説明

階層型情報収集のためのシステム、装置、およびプログラム

【課題】 階層の上に位置するサービスが利用する情報の鮮度が悪化するのを回避する。
【解決手段】 実施形態によれば、情報収集部と、データベース部と、ずれ幅推定部と、収集制御部と、を具備する情報収集装置が提供される。情報収集部は、起点時刻から収集周期に従い時系列データを収集する。データベース部は前記時系列データを蓄積する。ずれ幅推定部は、前記データベース部に蓄積された時系列データにおけるデータの欠損を検出し、当該欠損が生じた時刻と、次に収集された外れ値のデータの収集時刻との差に相当するずれ幅を推定する。収集制御部は、前記ずれ幅を解消する前記起点時刻の補正値および前記収集周期の補正値をそれぞれ求め、該補正値に従って前記情報収集部による時系列データの収集を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、階層型情報収集のためのシステム、装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の情報収集システムは、下位のセンター(情報収集システム)において、データの取得時刻やデータの再取得トリガーの機能を持たせることで効率的に情報を収集するものである。広域の情報収集システムにあっては、マルチベンダー環境が想定されることから、下位のセンターが当該機能を持たない場合が多く、上位のセンターが情報を効率的に収集することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−246438号公報
【特許文献2】特開2009−122820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
階層の上に位置するサービスによる情報の収集周期に対し、各階層における情報収集のタイミング(位相)にずれが発生することによって、当該サービスが収集する情報の鮮度が悪化することが想定される。
【0005】
そこで、既に運用中の下位センターをそのまま利用し、各階層の情報収集のタイミングを自動的に調整することにより、階層の上に位置するサービスが利用する情報の鮮度が悪化するのを回避できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、情報収集部と、データベース部と、ずれ幅推定部と、収集制御部と、を具備する情報収集装置が提供される。情報収集部は、起点時刻から収集周期に従い時系列データを収集する。データベース部は前記時系列データを蓄積する。ずれ幅推定部は、前記データベース部に蓄積された時系列データにおけるデータの欠損を検出し、当該欠損が生じた時刻と、次に収集された外れ値のデータの収集時刻との差に相当するずれ幅を推定する。収集制御部は、前記ずれ幅を解消する前記起点時刻の補正値および前記収集周期の補正値をそれぞれ求め、該補正値に従って前記情報収集部による時系列データの収集を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係る階層型情報収集システムを示すブロック図
【図2】情報収集装置の動作を示すフローチャート
【図3】データ欠損の検出方法を説明するための図
【図4】データ欠損の検出と、ずれ幅推定の動作を示すフローチャート
【図5】推定欠損時刻の導出を説明するための図
【図6】起点時刻制御のシーケンス例を示す図
【図7】起点時刻制御の例を示すフローチャート
【図8】第2の実施形態に係る階層型情報収集システムを示すブロック図
【図9】第2の実施形態に係る情報収集装置の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る階層型情報収集システムを示すブロック図である。第1の実施形態に係る階層型情報収集システムは、階層的に接続された複数のセンター(本実施形態では例えば第1センターC1〜第3センターC3の3つのセンター)で構成される。各センターは、情報の収集と提供を行う情報収集装置である。特に第1センターC1は、様々なタイプのビルの各ビル設備から、ネットワークを介して周期的に情報を収集する。
【0010】
<<第1センターC1>>
第1センターC1は、情報収集部101、DB(データベース)部102、通信部103を有する。情報収集部101は、設備や機械に対するデータ取得や制御指令などの問い合わせであるクエリーを例えばビル設備のノードN1〜N3・・・に送信する。ビル設備は、計測機器を含む。クエリーに対する応答メッセージを各ノードから受信することにより、情報収集部101は、ビル設備等の稼働情報を収集することができる。稼働情報は、例えば、空調設備であれば、部屋温度や消費電力などの計測値、運転時間や消費電力量などの積算値、ON/OFF状態や冷暖モードなどの状態値といった情報のことであり、ポイント(監視制御点)にネットワークを介してアクセスすることで、アクセス時点の情報を取得することができる。
【0011】
本実施形態はノードN1〜N3・・・の例を各地のビルで稼働しているビル設備としているが、ビルの種類としては、延べ床面積3000m以下の小規模事務所ビル、延べ床面積数万mの中規模事務所ビル、延べ床面積50000m以上の大規模事務所ビル、などの各規模の事務所ビルだけでなく、商業施設、娯楽施設、工場、官庁施設、医療施設、学校施設などがある。各ビルには、ビルの規模や用途毎に設計された空調設備、照明設備、電源設備、衛生設備、防犯設備、防災設備、昇降機設備などが、保守・運用されている。
【0012】
第1センターC1は、通信部103を介してノードから収集した情報を直接的に第2センターC2に提供するか、あるいはデータベースやファイルなどの形態でDB部102に蓄積し、間接的に第2センターC2に提供する。通信部103は、例えば、Webブラウザ画面におけるダウンロード機能や、データベースミドルウェアのSQL処理機能の形態で、第1センターC1の機能として実現してもよい。
【0013】
<<第2センターC2>>
第2センターC2は、1つ以上の第1センターC1から情報を収集する情報収集部201と、情報収集部201が収集した情報を蓄積するDB部202と、DB部202に蓄積された情報を再利用のために上位の階層に送信する通信部203と、DB部202に蓄積された情報から情報収集の収集周期起点時刻のずれを検出するずれ検出部204と、ずれ検出部204が検出した収集周期起点時刻のずれを補正する収集制御部205と、を備える。ずれ検出部204は、検出対象情報のリスト206に基づいてDB部202から時系列データを取得するデータ取得部207と、データ取得部207により取得されたデータにおける欠損を検出し、さらにはデータ収集起点時刻のずれ幅を推定するずれ幅推定部208とを有する。収集制御部205は、ずれ検出部204において推定されたデータ収集起点時刻のずれ幅に基づき、このようなずれ幅を解消して適切なデータ収集起点時刻および収集周期を決定して情報収集部の設定情報211を更新するものであって、判定部209と、取得時刻推定部210と、取得時刻指定部212とを有する。ずれ検出部204および収集制御部205については、フローチャートを参照して後に詳しく説明する。
【0014】
<<第3以降のセンター>>
第3センターC3(あるいは、それより上位のセンター(不図示))は、階層型情報収集システムが対象とする区域の情報を集めるために、第2センターC2、あるいはそれより上位のセンターから情報を収集するものであって、情報収集部301と、DB部302と、通信部303とを有する。第3センターC3は、階層化による同様の問題が生じる可能性があるため、第2センターC2と同様の内部構成をとることが望ましい。
【0015】
図2を参照しながら、第2センターC2の動作を中心として、情報収集装置の動作を説明する。第2センターC2の全体的な動作は次の通りである。すなわち、情報収集部201は、第1センターC1から情報を収集し、DB部202に蓄積する。ずれ検出部204は、第1センターの提供する情報全体から、計測時刻(すなわちデータ収集起点時刻)のずれが生じている情報グループを検出し、そのずれ幅を推定する。収集制御部205は、ずれ検出部204が推定した情報グループ毎の計測時刻のずれをそれぞれ処理し、正しい起点時刻を決定する。
【0016】
最初に、ずれ検出部204の動作例(ステップS21,S22)を説明する。データ取得部207は、所定の検出対象情報のリスト206に記載された時系列データをDB部202から取得する(ステップS21)。検出対象の情報リスト206は、例えば、情報グループテーブル、ポイントテーブルといった情報構造で定義される。
【0017】
情報グループは、例えば、ビル設備毎のグルーピングを示す情報であって、第1センターC1における情報収集の処理単位、または、その処理単位を分割または合成した単位のことである。ビルでは、設備のサブシステム毎に必要となる監視制御の機能が異なる場合が一般的であり、その単位で計測制御用の通信モジュールが備わっている。いうまでもないが、これはあくまで代表的な例である。
【0018】
ポイントテーブルは、情報グループテーブルの持つポイント(監視制御点)を示すテーブルである。例えば、受配電サブシステムの情報グループの場合、受電点や分電盤の積算電力量、瞬時電力、瞬時電圧、瞬時電流などのセンサの各計測値の一覧がポイントテーブルに格納される。
【0019】
情報グループテーブルの例を次の表1に示し、ポイントテーブルの例を表2に示す。
【表1】

【表2】

【0020】
ずれ検出部204のデータ取得部207は、このような検出対象情報リスト206の具体例としての情報グループ毎ポイントテーブルに記載された時系列データを、所定の期間(例:1日分)について、DB部202から取得する。つづいて、ずれ検出部204のずれ幅推定部208は、取得した時系列データからデータ欠損を検出し、収集起点時刻のずれ幅を推定する(ステップS22)。
【0021】
データ欠損を検出し、収集起点時刻のずれ幅を推定するステップS22の動作を図3〜図5を参照して説明する。
【0022】
図3は、データ欠損の検出方法を説明するための図である。
【0023】
図3に示すグラフの横軸は、第2センターC2におけるデータの取得時刻、縦軸は、第3センターC3(上位センタ−)に提供している情報の値、すなわち、第2センターC2のDB部202に蓄積されている時系列データの値である。検出対象にする情報の性質に依存して、時系列変化にはバリエーションがある。このような時系列データとしては、例えば、受電点積算値、受電点瞬時値、外気温湿度値、稼働時間値、センサ計測時刻値などがある。図3から分かるように、時系列データの値と最小二乗法などに基づく近似曲線Lとの差分が閾値以上となれば、データ欠損の可能性がある。
【0024】
図4は、データ欠損の検出と、ずれ幅推定の動作を示すフローチャートであり、図5は推定欠損時刻の導出を説明する図である。
【0025】
(ステップS41)
取得した時系列データの近似曲線式を求める。近似曲線式は、例えば、最小二乗法による時刻Tと計測値Y(T)の直線近似式;Y(T)=aT+bとして求めることができる。
【0026】
(ステップS42)
時系列の各データ値と、各計測時刻の近似曲線式の値との差分値を求め、差分値の集合を生成する。
【0027】
(ステップS43)
差分値集合において、閾値を超えたはずれ値を検出し、順次処理を行う(n=1からスタートする)。
【0028】
(ステップS44)
図5に示すように、はずれ値のデータと、はずれ値の1つ前のデータとを結ぶ補助線式(Y’(T)=a’T+b’)を求める。
【0029】
(ステップS45)
図5に示すように、「(補助線式の値)−(近似曲線式の値)=閾値」となる推定欠損時刻τpnを求める。
【0030】
(ステップS46)
(はずれ値の計測時刻)−(推定欠損時刻)から、収集起点時刻の推定最大ずれ幅Tpnを求める。閾値を超えたはずれ値が集合に残っている場合には、n=n+1としてステップS43に戻る。
【0031】
(ステップS47)
Tpnの平均値を、推定最大ずれ幅Tpとする。
【0032】
(ステップS48)
(τpn−τpn−1)の平均値を、最大ずれ発生推定周期Tmaxとする。
【0033】
以上により、ずれ検出部204は、取得起点時刻のずれによる時系列データの欠損を検出し、推定欠損時刻と、現在の起点時刻による情報収集の推定最大ずれ幅(第1センターC1が情報提供を開始する時刻と、第2センターC2が情報を収集する時刻との差の最大値)を算出する。
【0034】
<<ずれの調整フロー>>
図2のフローチャートに戻り、第2センターC2の収集制御部205の動作例を説明する。
【0035】
収集制御部205の判定部209は、ずれ検出部204が推定したずれ幅を初期値として、データ欠損の起きない起点時刻の導出処理を開始する(ステップS23)。また、起点時刻の導出完了を判定し、情報収集部設定情報211を更新する。再度の導出処理が必要な場合は、起点時刻を再計算し、ステップS24およびS25の処理を繰り返す(ステップS26)。ステップS24において、収集制御部205の取得時刻指定部212は、指定された起点時刻を情報収集部201の収集時刻として指定する。またステップS25において、収集制御部205の取得時刻推定部210は、情報収集部が取得した各データの取得時刻を推定し、または取得する。
【0036】
図6は起点時刻制御のシーケンス例を示す図、図7は収集制御部205による起点時刻制御の例を示すフローチャートである。図6において、τはn回目の収集時刻、Tは所定の収集周期、ΔTpnはn回目の予想ずれ幅、ΔTは起点時刻修正基準値を示している。起点時刻修正基準値を低減しながらデータの追加取得を行い、値の変化の有無を判定し、補正された収集周期T’およびn回目の補正された収集時刻τ’を求める。
【0037】
具体的には、図7のフローチャートに従ってT’およびτ’を求めることができる。なお、τは推定欠損時刻、Tpは推定最大ずれ幅、Tmaxは最大ずれ発生推定周期である。
【0038】
(ステップS71)
次回最大ずれ幅最大化時刻τを「τ=τ+Tmax×n、τ>現在時刻」より求める。
【0039】
(ステップS72)
時刻τ=τ+Tとする。
【0040】
(ステップS73)
時刻τの予想ずれ幅ΔTpnを「ΔTpn=T−(T÷Tmax)×(n−1)」より求める。
【0041】
(ステップS74)
時刻(τ−(ΔTpn−ΔT÷2^n)を、取得時刻指定部212に指定し、データを追加取得する。
【0042】
(ステップS75)
取得時刻推定部210により、前記追加取得データの取得時刻と値を取得する。
【0043】
(ステップS76)
追加取得した値が、DB部202が蓄積している前回値と同値であるか否かを判定する。値が異なる場合にはステップS77に進む。同値の場合には、n=n+1としてステップS72に戻る。
【0044】
(ステップS77)
値変化のカウンターに1を加え、カウンター閾値と比較する。カウンター閾値を超えた場合にはステップS78に進む。カウンター閾値以下の場合には、n=n+1としてステップS72に戻る。
【0045】
(ステップS78)
時刻(τ0n−(ΔTpn−ΔT÷2^n)を補正した起点時刻とし、時間(T−T÷Tmax)を補正した収集周期とする。
【0046】
以上の手順はあくまで基本的な手順を示したものに過ぎず、細かなチューニングすることで、さらに効率良く処理を行うことができる。
【0047】
例えば、ずれ検出部204に関し、図4で示したフローチャートで処理するポイント(監視制御点)を、稼働時間値やセンサ計測時刻値など1次的に単調増加する傾向のあるポイントや、受電点積算値や外気温湿度値など類似する過去データ(前日履歴や前年相当日履歴)からデータの変化の傾向が類推しやすいポイントに絞って、ずれ検出およびずれ幅推定を行うことにより、当該ポイントが含まれる情報グループのずれ幅と見なす処理をすることで、検出処理の効率化が期待できる。
【0048】
また、ずれ検出部204において、近似曲線式として、多項式曲線(Y(T)=aT+bT+cやY(T)=aT+bT+cT+dなど)や、円錐曲線・三角関数曲線などの数式、当該ポイントの過去のデータから得られる経験則的な曲線(例えば、前年相当日の電力量変化曲線)など、カーブフィティングしやすい数式・数列の曲線を用いることで、推定欠損時刻τpnと実際の欠損時刻との誤差を少なくすることができる。
【0049】
また、ずれ検出部204において、最大ずれ発生推定周期Tmaxを、変動成分が1個の時系列データと見なすのではなく、1週間〜数カ月単位の長期の時系列データを母集合とし、フーリエ変換などの周波数解を行い、複数の変動成分の構成比率を求め、その中で比率が最大の周期を、最大ずれ発生推定周期Tmaxとすることで、推定精度を高めることができる。
【0050】
また、ずれ検出部204の呼び出しタイミングを、バッチ処理的に行うだけでなく、第2センターC2のシステムのメンテナンス時の再稼働のタイミングや、第1センターC1との接続開始のタイミングなど、起点時刻のずれたポイントが多そうなタイミングに、集中的にずれ検出し、起点時刻コントロールによりデータ収集起点時刻と収集周期を補正することで、効率よく情報の鮮度の最悪値の小さい時系列データを収集することができる。
【0051】
また、収集起点コントロール部において、n回目の予想ずれ幅ΔTpnを補正するための、起点時刻修正基準値ΔTについて、バイナリーサーチのように1/2ずつ減らしていくだけでなく、ΔTの等分値ΔT00ずつ幅寄せしていく方式や、ΔTpnに対して過去の経験則で得られる差分値列に基づいて投機的に当たりをつけていくなど、補正された収集時刻をより高速に導出するアルゴリズムを用いることができる。
【0052】
また、収集起点コントロール部において、第1センターC1がプッシュ型で情報を提供する場合であっても、第1センターC1のシステムが別途用意するインタフェースや設定手段を用いて、情報通知時刻の指定を行うことで、情報の収集起点時刻の指定を行うことができる。
【0053】
このように、第1の実施形態によれば、情報を収集する側(本例では第2センターC2)が、収集周期起点時刻のずれ検出機能と、収集周期の起点時刻を制御する機能とを備えている。また、受電点電力量値など計測毎に値が変化することが期待できるデータを用いて、データの時間的な変化からずれを検出し、データの更新タイミングから基点時刻を導出することで情報を提供する側(第1センターC1のシステム)に機能を追加することなく、鮮度の高い情報を収集することができる。
【0054】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係る階層型情報収集システムを示すブロック図、図9は、第2の実施形態に係る情報収集装置の動作を示すフローチャートである。第2の実施形態において、第2センターC2は、第2センターC2の情報を再利用するシステム、または、アプリケーションに相当する第3センターC3からのデータ取得要求(クエリー)の到着時刻、および、取得対象のリスト(情報グループテーブル、およびポイントテーブル)を時系列で記録するデータ取得タイミング把握部213を備える点で第1の実施形態とは構成が相違する。その他の構成要素については第1の実施形態と同様である。
【0055】
図9は、前記到着時刻の時系列の各区間において、第1センターC1(ビル設備や家電などの機器と接続する最下層のセンター)から情報取得が行われていない区間を検出する動作例を示す。なお、取得対象のリストのアイテム毎に第1センターC1のデータ取得の周期が異なる場合は、データ取得周期毎にリストを分割し、それぞれに図9の処理を適用する。
【0056】
(ステップS81)
データ取得タイミング把握部213は、所定の過去の時刻τc1−0に対して処理を開始する(n=0)。
【0057】
(ステップS82)
比較元となる時刻τc1−n=τc1−0+Tc1とする。Tc1は通信部203で記録された第1センターC1のアクセス周期である。
【0058】
(ステップS83)
DB部202において,τc1−n〜τc1−n+Tc1の期間のデータ有無を検出する。データが有りの場合には、ステップS82に戻る。データが無い場合には、ステップS84に進む。
【0059】
(ステップS84)
ずれ検出部204は、DB部202において、τc1−0〜τc1−n+Tc1の期間のデータ数Cc1をカウントする。
【0060】
(ステップS85)
「データ取得要求に対する欠損発生推定周期TA=((τc1−n+Tc1)−τc1−0)÷Cc1」とする。
【0061】
さらに、データ取得タイミング把握部213と連係するずれ検出部204は、次回欠損発生推定時刻τc1を、τc1=(前回欠損発生時刻)+TA×nで算出する。そして、時刻τAを、第2センターC2においてデータ取得欠損が生じた時刻と見なして、ずれ検出部204のずれ検出処理を行う。具体的には、例えば、図9のフローチャートにおいて、τc1を次回最大ずれ幅最大化時刻とし、τc1における近似曲線式との差分値を予想ずれ幅ΔTとして、第1の実施形態で述べた処理を行う。
【0062】
ずれ検出部204は、収集制御部205に、算出した推定最大ずれ幅Tpと、最大ずれ発生推定周期Tmaxを引き渡す。収集制御部205は、補正された起点時刻と、補正された収集周期を導出する。
【0063】
データ取得タイミング把握部213は、収集制御部205が補正したのちの、前記到着時刻の時系列の各区間において、第1センターC1から情報取得が行われていない区間A’nを、情報取得部の動作時刻の記録と突き合わせて、当該区間の記録の有無から検出し、その値が、収集制御部205が補正する前の数より少なくなっていることを確認する。
【0064】
なお、上述した階層型情報収集システムまたは装置は、例えば、汎用のコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用いることでも実現することが可能である。すなわち、階層型情報収集システムまたは装置の構成要素は、上記のコンピュータ装置に搭載されたプロセッサにプログラムを実行させることにより実現することができる。このとき、階層型情報収集システムまたは装置は、上記のプログラムをコンピュータ装置にあらかじめインストールすることで実現してもよいし、CD−ROMなどの記憶媒体に記憶して、あるいはネットワークを介して上記のプログラムを配布して、このプログラムをコンピュータ装置に適宜インストールすることで実現してもよい。また、上記のコンピュータ装置に内蔵あるいは外付けされたメモリ、ハードディスクもしくはCD−R、CD−RW、DVD−RAM、DVD−Rなどの記憶媒体などを適宜利用して実現することができる。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
C1〜C3…第1〜第3センター、
101,201,301…情報収集部、
102,202,302…DB部、
103,203,303…通信部、
204…ずれ検出部、
205…収集制御部、
206…検出対象情報リスト、
207…データ取得部、
208…ずれ幅推定部、
209…判定部、
210…取得時刻推定部、
211…情報収集機能設定情報、
212…取得時刻指定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起点時刻から収集周期に従い時系列データを収集する情報収集部と、
前記時系列データを蓄積するデータベース部と、
前記データベース部に蓄積された時系列データにおけるデータの欠損を検出し、当該欠損が生じた時刻と、次に収集された外れ値のデータの収集時刻との差に相当するずれ幅を推定するずれ幅推定部と、
前記ずれ幅を解消する前記起点時刻の補正値および前記収集周期の補正値をそれぞれ求め、該補正値に従って前記情報収集部による時系列データの収集を制御する収集制御部と、を具備する情報収集装置。
【請求項2】
前記ずれ幅推定部は、前記データベース部に蓄積された時系列データに基づく近似曲線と、前記外れ値との乖離量が閾値以上である場合をずれ発生と判定し、
前記収集制御部は、前記情報収集部による時系列データの収集を可変の前倒し時間だけ前倒しさせることにより、収集された時系列データの最新値が変化しなくなるタイミングを求め、前記最新値が変化しなくなるタイミングに基づいて前記起点時刻の補正値および前記収集周期の補正値をそれぞれ求める請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記時系列データは、受電点積算値、受電点瞬時値、外気温湿度値、稼働時間値、センサ計測時刻値を含む請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
コンピュータを、情報収集装置として機能させるためのプログラムであって、
前記プログラムは、
起点時刻から収集周期に従い時系列データを収集する情報収集機能と、
前記時系列データを蓄積するデータベース機能と、
前記データベース部に蓄積された時系列データにおけるデータの欠損を検出し、当該欠損が生じた時刻と、次に収集された外れ値のデータの収集時刻との差に相当するずれ幅を推定するずれ幅推定機能と、
前記ずれ幅を解消する前記起点時刻の補正値および前記収集周期の補正値をそれぞれ求め、該補正値に従って前記情報収集部による時系列データの収集を制御する収集制御機能と、を具備するプログラム。
【請求項5】
前記ずれ幅推定機能は、前記データベース部に蓄積された時系列データに基づく近似曲線と、前記外れ値との乖離量が閾値以上である場合をずれ発生と判定し、
前記収集制御部は、前記情報収集部による時系列データの収集を可変の前倒し時間だけ前倒しさせることにより、収集された時系列データの最新値が変化しなくなるタイミングを求め、前記最新値が変化しなくなるタイミングに基づいて前記起点時刻の補正値および前記収集周期の補正値をそれぞれ求める機能を含む、請求項4記載のプログラム。
【請求項6】
前記時系列データは、受電点積算値、受電点瞬時値、外気温湿度値、稼働時間値、センサ計測時刻値を含む請求項4または5記載のプログラム。
【請求項7】
第1の情報収集装置と、第2の情報収集装置とが階層的に接続された階層型情報収集システムであって、
前記第1の情報収集装置は、
計測機器から時系列データを収集する第1情報収集部と、
前記第1収集部により収集された時系列データを蓄積する第1データベース部と、
前記第1蓄積部に蓄積された時系列データを前記第2の情報収集装置に送信する第1通信部と、を具備し、
前記第2の情報収集装置は、
起点時刻から収集周期に従い、前記第1通信部を通じて時系列データを収集する第2情報収集部と、
前記第2情報収集部により収集された時系列データを蓄積する第2データベース部と、
前記第2データベース部に蓄積された時系列データにおけるデータの欠損を検出し、当該欠損が生じた時刻と、次に収集された外れ値のデータの収集時刻との差に相当するずれ幅を推定するずれ幅推定部と、
前記ずれ幅を解消する前記起点時刻の補正値および前記収集周期の補正値をそれぞれ求め、該補正値に従って前記情報収集部による時系列データの収集を制御する収集制御部と、を具備する、階層型情報収集システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−73497(P2013−73497A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213298(P2011−213298)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】