説明

階調補正装置、階調補正方法、プログラム、撮像装置および画像処理装置

【課題】演算量の少ない単純な処理で逆光や暗い環境でも視認性の高い画像を得る。
【解決手段】画像生成部151は高成分輝度信号IH(x,y)を生成する。LPF152は、強いLPF処理で平滑化輝度信号GH(x,y)を得る。画像生成部153は、低成分輝度信号IL(x,y)を生成する。LPF154は、強いLPF処理で平滑化輝度信号GL(x,y)を得る。LPF155は、入力輝度信号IY(x,y)に対して弱いLPF処理で平滑化輝度信号L(x,y)を得る。画像生成部156は、信号GH(x,y)、GL(x,y)のそれぞれの各画素の信号値に対し、信号L(x,y)の各画素の信号値に基づいた合成又は選択処理を施し、基準輝度信号G(x,y)を生成する。信号G(x,y)は、輪郭を保持しながら高周波成分を除去した輝度信号となる。信号処理部157は、入力輝度信号IY(x,y)に対して、画素毎に、基準輝度信号G(x,y)に応じたトーンカーブを用いた変換処理を行い、出力輝度信号OY(x,y)を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、階調補正装置、階調補正方法、プログラム、撮像装置および画像処理装置に関する。詳しくは、この発明は、輪郭を保持しながら高周波成分を除去した基準画像信号を生成し、入力画像信号の各画素の信号値をこの基準画像信号の各画素の信号値に応じたトーンカーブを用いて変換して出力画像信号を得ることにより、演算量の少ない単純な処理で逆光や暗い環境でも視認性の高い画像を得ることができるようにした階調補正装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラなどのデジタル撮像機器が普及してきている。デジタルカメラで撮像する場合には、逆光環境下では、撮像画像において、周囲に比べて人物の顔が暗くなってしまうことがある。また、例えば、監視システムにおいて、夜間の暗い環境下で撮像した場合に、人物の顔が暗くなってしまうことがある。
【0003】
従来、この種の問題を解決するために、トーンカーブ(階調変換カーブ)を用いて階調補正を行うことが知られている。トーンカーブは、例えば、周知のヒストグラム均等法により、ヒストグラムの分布が多い階調の画像のコントラストを強調するように求められる。
【0004】
画像全体で一つのトーンカーブを用いて階調補正を行う場合、画像内に明るい領域と暗い領域が混在していると、明暗それぞれの領域にそれぞれ割り当てる階調が不足することから、黒つぶれや白飛びなどの細部が消失する現象が発生することがある。
【0005】
そこで、従来、画像のオブジェクトを識別して領域分割し、それぞれ個別にトーンカーブを設定して階調補正を行うことが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−118062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように画像のオブジェクトを識別して領域分割し、それぞれ個別にトーンカーブを設定して階調補正を行う場合には、画像内に明暗の領域が混在している場合であっても、黒つぶれや白飛びの発生を抑制でき、視認性の高い画像を得ることができる。しかし、画像のオブジェクトを識別して、オブジェクト毎に領域分割を行うことが必要であることから、複雑なアルゴリズムで高負荷な演算が必要となる。
【0007】
この発明の目的は、演算量の少ない単純な処理で逆光や暗い環境でも視認性の高い画像を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の概念は、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値として、入力画像信号を構成する着目画素の信号値が基準値より大きいときは該入力画像信号の着目画素の信号値を配置し、上記入力画像信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値以下のときは第1の値を配置し、高成分画像信号を生成する高成分画像生成部と、
上記高成分画像生成部で生成された高成分画像信号に対して第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って高成分平滑化画像信号を生成する高成分平滑化画像生成部と、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値として、上記入力画像信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値以下のときは該入力画像信号の着目画素の信号値を配置し、上記入力画像信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値より大きいときは上記第1の値と同じあるいは異なる第2の値を配置し、低成分画像信号を生成する低成分画像生成部と、
上記低成分画像生成部で生成された低成分画像信号に対して上記第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って低成分平滑化画像信号を生成する低成分平滑化画像生成部と、
上記入力画像信号に対して、上記第1のカットオフ周波数より低い第2のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って入力平滑化画像信号を生成する入力平滑化画像生成部と、
各画素を順次着目画素として、着目画素の信号値を、上記高成分平滑化画像生成部で生成された高成分平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値および上記低成分平滑化画像生成部で生成された低成分平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値に対して、入力平滑化画像生成部で生成された入力平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値に基づいた合成処理または選択処理を行って求めて、基準画像信号を生成する基準画像生成部と、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値を、上記基準画像生成部で生成された基準画像信号を構成する該着目画素の信号値に応じたトーンカーブを用いて、上記入力画像信号の該着目画素の信号値を変換して求めて、出力画像信号を得る信号処理部
を備える階調補正装置にある。
【0009】
この発明において、高成分画像生成部により、高成分画像信号が生成される。この高成分画像信号を構成する各画素の信号値は、画像の各画素を順次着目画素として、入力画像信号に基づいて、以下のように決定される。すなわち、高成分画像信号の着目画素の信号値は、入力画像信号を構成する着目画素の信号値が基準値より大きいときは、当該入力画像信号の着目画素の信号値とされる。また、この高成分画像信号の着目画素の信号値は、入力画像信号を構成する着目画素の信号値が基準値以下のときは、第1の値とされる。
【0010】
また、低成分画像生成部により、低成分画像信号が生成される。この低成分画像信号を構成する各画素の信号値は、画像の各画素を順次着目画素として、入力画像信号に基づいて、以下のように決定される。すなわち、低成分画像信号の着目画素の信号値は、入力画像信号を構成する着目画素の信号値が基準値以下のときは、当該入力画像信号の着目画素の信号値とされる。また、この低成分画像信号の着目画素の信号値は、入力画像信号を構成する着目画素の信号値が基準値より大きいときは、第2の値とされる。
【0011】
例えば、基準値は入力画像信号のダイナミックレンジの中央値とされる。また、例えば、第1の値、第2の値は、基準値あるいはその前後の値とされる。第1の値と第2の値とは、同じ値でもよく、あるいは異なっていてもよい。
【0012】
また、高成分平滑化画像生成部により、高成分画像生成部で生成された高成分画像信号に対して、第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理が行われて、高成分平滑化画像信号が生成される。また、低成分平滑化画像生成部により、低成分画像生成部で生成された低成分画像信号に対して、第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理が行われて、低成分平滑化画像信号が生成される。ここで、第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理は、オブジェクトの輪郭も分からなくなる程度の強いローパスフィルタ処理とされる。
【0013】
また、入力平滑化画像生成部により、入力画像信号に対して、第2のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理が行われて、入力平滑化画像信号が生成される。ここで、第2のカットオフ周波数は上述の第1のカットオフ周波数より高くされる。この第2のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理は、オブジェクトの輪郭が分かる程度の弱いローパスフィルタ処理とされる。
【0014】
また、基準画像生成部により、輪郭を保持しながら高周波成分を除去した基準画像信号が生成される。この基準画像信号を構成する各画素の信号値は、画像の各画素を順次着目画素として、以下のように求められる。すなわち、基準画像信号の着目画素の信号値は、上述の高成分平滑化画像信号、低成分平滑化画像信号のそれぞれの着目画素の信号値に対して、上述の入力平滑化画像信号の着目画素の信号値に基づいた合成処理または選択処理が行われることで、求められる。
【0015】
例えば、高成分平滑化画像信号の着目画素の信号値を第1の信号値とし、低成分平滑化画像信号の着目画素の信号値を第2の信号値とし、入力平滑化画像信号の着目画素の信号値を第3の信号値とするとき、第3の信号値が小さくなる程第2の信号値の割合が大きくなるように、合成処理が行われる。また、例えば、高成分平滑化画像信号の着目画素の信号値を第1の信号値とし、低成分平滑化画像信号の着目画素の信号値を第2の信号値とし、入力平滑化画像信号の着目画素の信号値を第3の信号値とするとき、第1の信号値および第2の信号値のうち第3の信号値に近い方の値を選択する、選択処理が行われる。
【0016】
また、信号処理部により、入力画像信号に対して階調補正処理が行われて、出力画像信号が得られる。出力画像信号を構成する各画素の信号値は、画像の各画素を順次着目画素として、入力画像信号に基づいて、以下のように求められる。すなわち、出力画像信号の着目画素の信号値は、上述の基準画像信号の着目画素の信号値に応じたトーンカーブ(階調変換カーブ)を用いて、入力画像信号の着目画素の信号値が変換されて得られる。着目画素で使用されるトーンカーブは、例えば、基準画像信号の着目画素の信号値と同じ信号値が入力されるとき入力画像信号のダイナミックレンジの中央値と同じ信号値を出力するものとされる。
【0017】
上述したように、この発明においては、輪郭を保持しながら高周波成分を除去した基準画像信号が生成される。そして、入力画像信号の各画素の信号値が、この基準画像信号の各画素の信号値に応じたトーンカーブを用いて変換されて、出力画像信号が得られる。そのため、出力画像は、入力画像の暗い領域は明るくなるように階調変換され、また、入力画像の明るい領域はコントラストが強くなるように階調変換されたものとなる。これにより、演算量の少ない単純な処理で逆光や暗い環境でも視認性の高い画像を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、輪郭を保持しながら高周波成分を除去した基準画像信号を生成し、入力画像信号の各画素の信号値をこの基準画像信号の各画素の信号値に応じたトーンカーブを用いて変換して出力画像信号を得るものであり、演算量の少ない単純な処理で逆光や暗い環境でも視認性の高い画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
【0020】
<1.実施の形態>
[撮像装置の構成例]
図1は、実施の形態としての撮像装置(デジタルカメラ)100の構成例を示している。撮像装置100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read OnlyMemory)102、RAM(Random Access Memory)103、入力デバイス(ユーザ操作部)104を有している。
【0021】
また、撮像装置100は、撮像レンズ111、アイリス112、撮像素子113、アイリス制御部114、CDS(Correlated Double Sampling)回路115、A/D(Analog/Digital)変換部116を有している。また、撮像装置100は、デジタル信号処理部(DSP:Digital Signal Processor)117、タイミングジェネレータ118、記録再生部119、表示部120を有している。
【0022】
CPU101は、撮像装置100の各部を制御する。ROM102は、CPU101の制御プログラム等を記憶している。RAM103は、CPU101の制御処理に必要なデータの一時記憶等に用いられる。CPU101は、ROM102から読み出したプログラムやデータをRAM103上に展開してプログラムを起動し、撮像装置100の各部を制御する。
【0023】
入力デバイス(ユーザ操作部)104は、ユーザインタフェースを構成し、バス105を介してCPU101に接続されている。この入力デバイス104は、撮像装置100の図示しない筐体面に配置されたキー、ボタン、ダイヤル等で構成される。CPU101は、入力デバイス104からバス105を介して入力される情報の解析を行って、撮影者(ユーザ)の操作に対応した制御を行う。
【0024】
被写体200からの光は、光学系、つまり、撮像レンズ111およびアイリス112を通過して、撮像素子113に入射する。この場合、被写体200からの光は撮像レンズ111により集光され、アイリス112により集光された光の一部だけが撮像素子113に到達する。アイリス112の絞りは、アイリス制御部114により制御される。撮像素子113は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(ComplementaryMetal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等で構成される。撮像素子113は、撮像面に被写体の光学像が結像された状態で撮像処理を行って、撮像画像信号を出力する。
【0025】
CDS回路115は、撮像素子113から供給される撮像画像信号を、相関二重サンプリングによりノイズ成分を除去した後、A/D変換部116に供給する。A/D変換部116は、CDS回路115から供給される撮像画像信号をアナログ信号からデジタル信号に変換した後、デジタル信号処理部117に供給する。
【0026】
デジタル信号処理部117は、A/D変換部116から供給される撮像画像信号に対して画像処理を行う。ここでいう画像処理は、ホワイトバランス処理、ガンマ補正処理などである。これら処理は、全ての汎用デジタルカメラで行われる処理なので、その詳細を省略する。
【0027】
この実施の形態において、デジタル信号処理部117は、さらに、階調補正処理を行う階調補正部150を備えている。この階調補正処理は、逆光や暗い環境においても視認性の高い画像を得ることを可能とする処理である。階調補正部150の詳細については、後述する。
【0028】
デジタル信号処理部117は、処理後の画像データを、表示部120および記録再生部119に転送する。記録再生部119は、主にフラッシュメモリからなる着脱自在な記録媒体121に、ユーザのシャッター操作に対応した静止画像データを書き込み、あるいは、この記録媒体から静止画像データを読み出す。表示部120は、例えば、撮像装置100の筐体背面等に設けられるLCD(Liquid Crystal Display)等の表示パネルで構成される。この表示部120は、撮影した画像、記録再生部119で記録媒体121から読み出した画像、さらには、ユーザに対する各種情報等を表示する。
【0029】
次に、図1に示す撮像装置100の動作について説明する。撮像装置100は、記録モード時には、以下の動作をする。撮像素子113で撮像処理が行われて得られた撮像画像信号は、CDS回路115およびA/D変換部116を介してデジタル信号処理部117に供給される。このデジタル信号処理部117で、ホワイトバランス処理、ガンマ補正処理、階調補正処理等が行われる。
【0030】
デジタル信号処理部117で処理されて得られた画像データは、表示部120に転送される。これにより、表示部120には撮像画像が表示され、モニタリング状態となる。このモニタリング状態において、ユーザが入力デバイス104でシャッター操作を行うと、CPU101によりデジタル信号処理部117および記録再生部119が制御され、記録媒体121にシャッター操作に対応した静止画像データが書き込まれる。
【0031】
また、撮像装置100は、再生モード時には、以下の動作をする。すなわち、記録再生部119では、記録媒体121から、ユーザの入力デバイス104の操作によって選択された静止画像データが読み出される。この静止画像データは、記録再生部119からデジタル信号処理部117を介して表示部120に供給される。これにより、表示部120には、再生画像が表示される。
【0032】
[階調補正部の構成例]
次に、階調補正部150の詳細を説明する。図2は、階調補正部150の構成例を示している。この例は、輝度信号および色差信号に対して階調補正処理を行う例である。この階調補正部150は、高(High)成分画像生成部151と、ローパスフィルタ152,154,155と、低(Low)成分画像生成部153と、基準画像生成部156と、輝度信号処理部157と、色差信号処理部158を有している。
【0033】
高成分画像生成部151は、入力輝度信号IY(x,y)から、高成分輝度信号IH(x,y)を生成する。この場合、高成分輝度信号IH(x,y)を構成する各画素の信号値は、画像の各画素を順次着目画素として、入力輝度信号IY(x,y)に基づき、以下のように決定される。すなわち、高成分輝度信号IH(x,y)の着目画素の信号値は、入力輝度信号IY(x,y)を構成する着目画素の信号値が基準値Tより大きいときは、当該入力輝度信号IY(x,y)の着目画素の信号値とされる。また、この高成分輝度信号IH(x,y)の着目画素の信号値は、入力輝度信号IY(x,y)を構成する着目画素の信号値が基準値T以下のときは、第1の値とされる。
【0034】
ここで、基準値Tは、任意の値であり、例えば入力輝度信号IY(x,y)のダイナミックレンジの中央値とされる。例えば、入力輝度信号IY(x,y)が8ビットデータである場合、基準値Tは「128」とされる。また、第1の値は、例えば、基準値Tと同じ値とされる。しかし、この第1の値は、基準値Tと異なる値であってもよい。出力画像を明るくしたい場合には第1の値を低い値にすればよく、逆に出力画像を暗くしたい場合にはこの第1の値を高い値にすればよい。
【0035】
低成分画像生成部153は、入力輝度信号IY(x,y)から、低成分輝度信号IL(x,y)を生成する。この場合、低成分輝度信号IL(x,y)を構成する各画素の信号値は、画像の各画素を順次着目画素として、入力輝度信号IY(x,y)に基づき、以下のように決定される。すなわち、低成分輝度信号IL(x,y)の着目画素の信号値は、入力輝度信号IY(x,y)を構成する着目画素の信号値が基準値T以下のときは、当該入力輝度信号IY(x,y)の着目画素の信号値とされる。また、この低成分輝度信号IL(x,y)の着目画素の信号値は、入力輝度信号IY(x,y)を構成する着目画素の信号値が基準値Tより大きいときは、第2の値とされる。
【0036】
ここで、第2の値は、上述した第1の値と同様に、例えば、基準値Tと同じ値とされるが、基準値Tと異なる値であってもよい。出力画像を明るくしたい場合には第2の値を低い値にすればよく、逆に出力画像を暗くしたい場合にはこの第2の値を高い値にすればよい。また、この第2の値は、上述した第1の値と同じ値でなくてもよい。
【0037】
図3は、入力輝度信号IY(x,y)、高成分輝度信号IH(x,y)、低成分輝度信号IL(x,y)の具体例を示している。この例は、基準値Tを「128」とし、さらに、第1の値および第2の値をそれぞれ基準値Tと同じ「128」とした場合の例である。
【0038】
図3(a)に示すような入力輝度信号IY(x,y)に対し、図3(b)に示すように高成分輝度信号IH(x,y)が生成される。この場合、入力輝度信号IY(x,y)における「200」、「192」、「184」、「130」の画素信号値は、基準値T=「128」より大きいので、そのまま、高成分輝度信号IH(x,y)の画素信号値となっている。一方、入力輝度信号IY(x,y)における「200」、「192」、「184」、「130」以外の画素信号値は、基準値T=「128」以下であるので、対応する高成分輝度信号IH(x,y)の画素信号値は「128」となっている。
【0039】
また、図3(a)に示すような入力輝度信号IY(x,y)に対し、図3(c)に示すように低成分輝度信号IL(x,y)が生成される。この場合、入力輝度信号IY(x,y)における「200」、「192」、「184」、「130」の画素信号値は、基準値T=「128」より大きいので、対応する低成分輝度信号IL(x,y)の画素信号値は「128」となっている。一方、入力輝度信号IY(x,y)における「200」、「192」、「184」、「130」以外の画素信号値は、基準値T=「128」以下であるので、そのまま、低成分輝度信号IL(x,y)の画素信号値となっている。
【0040】
ローパスフィルタ152は、高成分画像生成部151で生成された高成分輝度信号IH(x,y)に対して、第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って、高成分平滑化輝度信号GH(x,y)を生成する。このローパスフィルタ152は、高成分平滑化画像生成部を構成している。
【0041】
ここで、第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理は、オブジェクトの輪郭も分からなくなる程度の強いローパスフィルタ処理とされる。ローパスフィルタ152は、高成分輝度信号IH(x,y)から、高成分平滑化輝度信号GH(x,y)を生成する。この場合、高成分平滑化輝度信号GH(x,y)を構成する各画素の信号値は、画像の各画素を順次着目画素として、高成分輝度信号IH(x,y)に基づき、例えば、以下のように決定される。
【0042】
すなわち、高成分平滑化輝度信号GH(x,y)の着目画素の信号値は、高成分輝度信号IH(x,y)を構成する着目画素とこの着目画素の周辺の比較的広い範囲の画素の信号値がタップ入力とされ、それらが加算平均されて求められる。この場合、着目画素を含む比較的広い範囲は、例えば、1280×720[pels]の全体サイズにおいて、64×48[pels]とされる。
【0043】
ローパスフィルタ154は、低成分画像生成部153で生成された低成分輝度信号IL(x,y)に対して、上述のローパスフィルタ152と同様に、第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って、低成分平滑化輝度信号GL(x,y)を生成する。このローパスフィルタ154は、低成分平滑化画像生成部を構成している。
【0044】
ローパスフィルタ155は、入力輝度信号IY(x,y)に対して、第2のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って、入力平滑化輝度信号L(x,y)を生成する。ここで、第2のカットオフ周波数は、上述の第1のカットオフ周波数より高くされる。この第2のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理は、オブジェクトの輪郭が分かる程度の弱いローパスフィルタ処理とされる。
【0045】
ローパスフィルタ155は、入力輝度信号IY(x,y)から、入力平滑化輝度信号L(x,y)を生成する。このローパスフィルタ155は、入力平滑化画像生成部を構成している。この場合、入力平滑化輝度信号L(x,y))を構成する各画素の信号値は、画像の各画素を順次着目画素として、入力輝度信号IY(x,y)に基づき、例えば、以下のように決定される。
【0046】
すなわち、入力平滑化輝度信号L(x,y))の着目画素の信号値は、入力輝度信号IY(x,y)を構成する着目画素とこの着目画素の周辺の比較的狭い範囲の画素の信号値がタップ入力とされ、それらが加算平均されて求められる。この場合、着目画素を含む比較的狭い範囲は、例えば、1280×720[pels]の全体サイズにおいて、5×5[pels]とされる。
【0047】
基準画像生成部156は、ローパスフィルタ152,154,155でそれぞれ生成された高成分平滑化輝度信号GH(x,y)、低成分平滑化輝度信号GL(x,y)、入力平滑化輝度信号L(x,y)を用いて、基準輝度信号G(x,y)を生成する。この基準輝度信号G(x,y)は、輪郭を保持しながら高周波成分を除去した、つまり領域毎に高周波成分を除去した輝度信号となる。
【0048】
この基準輝度信号G(x,y)を構成する各画素の信号値は、各画素を順次着目画素として、以下のように求められる。すなわち、基準輝度信号G(x,y)の着目画素の信号値は、輝度信号GH(x,y)、輝度信号GL(x,y)の着目画素の信号値に対し、輝度信号L(x,y)の着目画素の信号値に基づいた合成処理または選択処理で求められる。
【0049】
例えば、高成分平滑化輝度信号GH(x,y)の着目画素の信号値を第1の信号値とし、低成分平滑化輝度信号GL(x,y)の着目画素の信号値を第2の信号値とし、入力平滑化輝度信号L(x,y)の着目画素の信号値を第3の信号値とする。このとき、第3の信号値が小さくなる程第2の信号値の割合が大きくなるように、第1の信号値および第2の信号値の合成処理が行われる。
【0050】
この場合、基準輝度信号G(x,y)を着目画素の信号値をS(x,y)とし、第1の信号値をS1(x,y)とし、第2の信号値をS2(x,y)とし、第3の信号値をS3(x,y)とし、入力輝度信号IY(x,y)のダイナミックレンジをDとする。このとき、例えば、(1)式が使用されて、合成処理が行われる。
【0051】
S(x,y)
=[S2(x,y)×{D−S3(x,y)}+S1(x,y)×S3(x,y)]/D ・・(1)
【0052】
また、例えば、高成分平滑化輝度信号GH(x,y)の着目画素の信号値を第1の信号値とし、低成分平滑化輝度信号GL(x,y)の着目画素の信号値を第2の信号値とし、入力平滑化輝度信号L(x,y)の着目画素の信号値を第3の信号値とする。このとき、第1の信号値および第2の信号値のうち第3の信号値に近い方の値を選択するように選択処理が行われる。
【0053】
なお、上述の基準信号生成部156で使用される高成分平滑化輝度信号GH(x,y)、低成分平滑化輝度信号GL(x,y)、入力平滑化輝度信号L(x,y)は、基本的には、入力輝度信号IY(x,y)の同一フレームから生成されたものである。しかし、高成分平滑化輝度信号GH(x,y)、低成分平滑化輝度信号GL(x,y)を得るローパスフィルタ処理では広い範囲の画素信号値を使用することから、遅延が発生する。したがって、動画像データを処理する場合には、入力平滑化輝度信号L(x,y)に対して、高成分平滑化輝度信号GH(x,y)、低成分平滑化輝度信号GL(x,y)は前フレームの画像データを処理して得られたものであってもよい。
【0054】
輝度信号処理部157は、入力輝度信号IY(x,y)に対して階調補正処理を行って、出力輝度信号OY(x,y)を生成する。この場合、出力輝度信号OY(x,y)を構成する各画素の信号値は、画像の各画素を順次着目画素として、入力輝度信号IY(x,y)に基づいて、以下のように求められる。
【0055】
すなわち、出力輝度信号OY(x,y)の着目画素の信号値は、上述の基準輝度信号G(x,y)の着目画素の信号値に応じたトーンカーブ(階調変換カーブ)を用いて、入力輝度信号IY(x,y)の着目画素の信号値が変換されて得られる。基準輝度信号G(x,y)の着目画素の信号値は、当該着目画素が位置する領域の平均的な明るさを示す。
【0056】
そのため、以下のようなトーンカーブが用いられる。すなわち、基準輝度信号G(x,y)の着目画素の信号値が低いとき、暗い領域が明るくなるようなトーンカーブが用いられる。一方、基準輝度信号G(x,y)の着目画素の信号値が高いとき、明るい領域のコントラストが強くなるようなトーンカーブが用いられる。
【0057】
トーンカーブの生成方法には種々あるが、例えば、以下のような方法が挙げられる。
【0058】
(1)トーンカーブのγを調整して生成する。
(2)トーンカーブの傾きを調整して生成する。
(3)トーンカーブの最大値、最小値を調整して生成する。
(4)上述の(1)〜(3)の組み合わせにより生成する。
【0059】
基準輝度信号G(x,y)の着目画素の信号値に応じたトーンカーブは、例えば、基準輝度信号G(x,y)の着目画素の信号値と同じ信号値が入力されるとき入力輝度信号IY(x,y)のダイナミックレンジの中央値と同じ信号値を出力するものとされる。
【0060】
図4は、トーンカーブの一例を示している。この図4に示すトーンカーブは、基準輝度信号G(x,y)の着目画素の信号値S(x,y)が「67」である場合の例であり、信号値「67」が入力されるとき、中央値「128」を出力する。この場合、基準輝度信号G(x,y)の着目画素の信号値S(x,y)が「67」と低いので、暗い領域が明るくなるようなトーンカーブとなっている。
【0061】
図5は、トーンカーブの他の例を示している。この図5に示すトーンカーブも、基準輝度信号G(x,y)の着目画素の信号値S(x,y)が「67」である場合の例であり、信号値「67」が入力されるとき、中央値「128」を出力する。この図5に示すトーンカーブは、図4に示すトーンカーブを、2本の直線で近似したものである。この場合も、基準輝度信号G(x,y)の着目画素の信号値S(x,y)が「67」と低いので、暗い領域が明るくなるようなトーンカーブとなっている。
【0062】
図6は、トーンカーブのさらに他の例を示している。この図6に示すトーンカーブは、基準輝度信号G(x,y)の着目画素の信号値S(x,y)が「188」である場合の例であり、信号値「118」が入力されるとき、中央値「128」を出力する。この場合、基準輝度信号G(x,y)の着目画素の信号値S(x,y)が「188」と高いので、明るい領域のコントラストが強くなるようなトーンカーブとなっている。
【0063】
図7は、トーンカーブの別の例を示している。この図7に示すトーンカーブも、基準輝度信号G(x,y)の着目画素の信号値S(x,y)が「188」である場合の例であり、信号値「188」が入力されるとき、中央値「128」を出力する。この図7に示すトーンカーブは、図6に示すトーンカーブを、2本の直線で近似したものである。この場合も、基準輝度信号G(x,y)の着目画素の信号値S(x,y)が「188」と高いので、明るい領域のコントラストが強くなるようなトーンカーブとなっている。
【0064】
図2に戻って、色差信号処理部158は、入力輝度信号IY(x,y)から出力輝度信号OY(x,y)を得たのに伴って、入力青色差信号ICb(x,y)から出力青色差信号OCb(x,y)を得る。また、色差信号処理部158は、入力輝度信号IY(x,y)から出力輝度信号OY(x,y)を得たのに伴って、入力赤色差信号ICr(x,y)から出力赤色差信号OCr(x,y)を得る。色差信号処理部158は、(2)、(3)式に示すように、色差信号ICb(x,y),ICr(x,y)を、出力輝度信号OY(x,y)の入力輝度信号IY(x,y)に対する増減率と同率で増減して、色差信号OCb(x,y),OCr(x,y)を得る。これにより、色が薄くなる、あるいは色が濃くなることを防止できる。
【0065】
OCb(x,y)=ICb(x,y)×(OY(x,y)/IY(x,y)) ・・・(2)
OCr(x,y)=ICr(x,y)×(OY(x,y)/IY(x,y)) ・・・(3)
【0066】
図2に示す階調補正部150の動作を説明する。入力輝度信号IY(x,y)は高(High)成分画像生成部151に供給される。この高成分画像生成部151では、入力輝度信号IY(x,y)に基づいて、高成分輝度信号IH(x,y)が生成される。この場合、高成分輝度信号IH(x,y)の各画素の信号値は、入力輝度信号IY(x,y)の各画素の信号値が基準値T(例えば、ダイナミックレンジの中央値)より大きいときは、当該入力輝度信号IY(x,y)の各画素の信号値とされる。また、この場合、この高成分輝度信号IH(x,y)の着目画素の信号値は、入力輝度信号IY(x,y)の各画素の信号値が基準値T以下のときは、第1の値(例えば、基準値T)とされる。
【0067】
この高成分画像生成部151で生成された高成分輝度信号IH(x,y)はローパスフィルタ152に供給される。このローパスフィルタ152では、高成分輝度信号IH(x,y)に対して、第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理が行われ、高成分平滑化輝度信号GH(x,y)が得られる。この高成分平滑化輝度信号GH(x,y)は、高成分輝度信号IH(x,y)に対してオブジェクトの輪郭も分からなくなる程度の強いローパスフィルタ処理が施されたものとなる。
【0068】
また、入力輝度信号IY(x,y)は低(Low)成分画像生成部153に供給される。この低成分画像生成部153では、入力輝度信号IY(x,y)に基づいて、低成分輝度信号IL(x,y)が生成される。この場合、低成分輝度信号IL(x,y)の各画素の信号値は、入力輝度信号IY(x,y)の各画素の信号値が基準値T以下のときは、当該入力輝度信号IY(x,y)の各画素の信号値とされる。また、この場合、この低成分輝度信号IL(x,y)の着目画素の信号値は、入力輝度信号IY(x,y)の各画素の信号値が基準値Tより大きいときは、第2の値(例えば、基準値T)とされる。
【0069】
この低成分画像生成部153で生成された低成分輝度信号IL(x,y)はローパスフィルタ154に供給される。このローパスフィルタ154では、低成分輝度信号IL(x,y)に対して、第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理が行われ、低成分平滑化輝度信号GL(x,y)が得られる。この低成分平滑化輝度信号GL(x,y)は、低成分輝度信号IL(x,y)に対してオブジェクトの輪郭も分からなくなる程度の強いローパスフィルタ処理が施されたものとなる。
【0070】
また、入力輝度信号IY(x,y)はローパスフィルタ155に供給される。このローパスフィルタ155では、入力輝度信号IY(x,y)に対して、第2のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理が行われて、入力平滑化輝度信号L(x,y)が得られる。この入力平滑化輝度信号L(x,y)は、入力輝度信号IY(x,y)に対してオブジェクトの輪郭が分かる程度の弱いローパスフィルタ処理が施されたものとなる。
【0071】
ローパスフィルタ152,154,155で得られた高成分平滑化輝度信号GH(x,y)、低成分平滑化輝度信号GL(x,y)、入力平滑化輝度信号L(x,y)は基準画像生成部156に供給される。この基準画像生成部156では、輝度信号GH(x,y)、輝度信号GL(x,y)のそれぞれの各画素の信号値に対し、輝度信号L(x,y)の各画素の信号値に基づいた合成処理または選択処理が施されて、基準輝度信号G(x,y)が生成される。この基準輝度信号G(x,y)は、輪郭を保持しながら高周波成分を除去した、つまり領域毎に高周波成分を除去した輝度信号となる。
【0072】
また、入力輝度信号IY(x,y)は輝度信号処理部157に供給される。この輝度信号処理部157には、基準画像生成部156で得られた基準輝度信号G(x,y)も供給される。輝度信号処理部157では、入力輝度信号IY(x,y)に対して階調補正処理が行われて、出力輝度信号OY(x,y)が得られる。
【0073】
この場合、出力輝度信号OY(x,y)の各画素の信号値は、基準輝度信号G(x,y)の各画素の信号値に応じたトーンカーブ(階調変換カーブ)により、入力輝度信号IY(x,y)の各画素の信号値が変換されて得られる。この出力輝度信号OY(x,y)は、暗い領域では明るくされ、また、明るい領域ではコントラストが強くされたものとなる。そのため、入力輝度信号IY(x,y)が逆光や暗い環境で撮像されたものであっても、出力輝度信号OY(x,y)による画像は視認性の高い画像となる。
【0074】
また、入力青色差信号ICb(x,y)および入力赤色差信号ICr(x,y)は、色差信号処理部158に供給される。この色差信号処理部158には、さらに、輝度信号処理部157から、出力輝度信号OY(x,y)の入力輝度信号IY(x,y)に対する増減率を示す信号OY(x,y)/IY(x,y)が供給される。
【0075】
この色差信号処理部158では、入力色差信号ICb(x,y),ICr(x,y)が、出力輝度信号OY(x,y)の入力輝度信号IY(x,y)に対する増減率と同率で増減されて、出力色差信号OCb(x,y),OCr(x,y)が生成される。これにより、入力輝度信号IY(x,y)が出力輝度信号OY(x,y)に変換されても、色が薄くなる、あるいは色が濃くなるということが防止される。
【0076】
以上説明したように、図1に示す撮像装置100のデジタル信号処理部117に備えられている階調補正部150においては、輪郭を保持しながら高周波成分を除去した、つまり領域毎に高周波成分を除去した基準輝度信号G(x,y)が生成される。そして、入力輝度信号IY(x,y)の各画素の信号値は、この基準画像信号G(x,y)の各画素の信号値に応じたトーンカーブを用いて変換されて、出力輝度信号OY(x,y)が得られる。そのため、出力画像は、入力画像の暗い領域は明るくなるように階調変換され、また、入力画像の明るい領域はコントラストが強くなるように階調変換されたものとなる。従って、演算量の少ない単純な処理で、逆光や暗い環境でも視認性の高い画像を得ることが可能となる。
【0077】
図8は、入力輝度信号IY(x,y)、基準輝度信号G(x,y)および出力輝度信号OY(x,y)による画像の一例を示している。図8(a)は、入力輝度信号IY(x,y)による画像(入力画像)を示しており、被写体である「鳥」が暗くなっている。図8(b)は、基準輝度信号G(x,y)による画像(基準画像)を示しており、「鳥」の輪郭は残っているが、「鳥」の内部の細かな模様はなくなっている。図8(c)は、出力輝度信号OY(x,y)による画像(出力画像)を示しており、入力輝度信号IY(x,y)による画像では暗くなっていた「鳥」が明るくなり、視認性が高くなっている。
【0078】
また、この階調補正部150においては、入力色差信号ICb(x,y),ICr(x,y)が、出力輝度信号OY(x,y)の入力輝度信号IY(x,y)に対する増減率と同率で増減されて、出力色差信号OCb(x,y),OCr(x,y)が生成される。従って、入力輝度信号IY(x,y)が出力輝度信号OY(x,y)に変換されても、色が薄くなる、あるいは色が濃くなるということが防止される。
【0079】
<2.変形例>
[階調補正部の他の構成例]
なお、上述実施の形態において、図2に示す階調補正部150は輝度信号および色差信号に対して階調補正処理を行う例であるが、赤、緑、青の色信号に対して階調補正処理を行う例も考えられる。
【0080】
図9は、赤、緑、青の色信号に対して階調補正処理を行う階調補正部150Aの構成例を示している。この階調補正部150Aは、赤色信号に対して階調補正処理を行う赤色階調補正部150rと、緑色信号に対して階調補正処理を行う緑色階調補正部150gと、青色信号に対して階調補正処理を行う青色階調補正部150bとを備えている。
【0081】
赤色階調補正部150rは、高(High)成分画像生成部151rと、ローパスフィルタ152r,154r,155rと、低(Low)成分画像生成部153rと、基準画像生成部156rと、赤色信号処理部157rを有している。詳細説明は省略するが、これらは、図2の階調補正部150の高成分画像生成部151、ローパスフィルタ152,154,155、低成分画像生成部153、基準画像生成部156および輝度信号処理部157に相当している。
【0082】
入力赤色信号IR(x,y)が処理されて、基準画像生成部156rからは、基準赤色信号G(x,y)が生成される。この基準赤色信号G(x,y)は、輪郭を保持しながら高周波成分を除去した、つまり領域毎に高周波成分を除去した赤色信号となる。そして、赤色信号処理部157rでは、入力赤色信号IR(x,y)に対して階調補正処理が行われて、出力赤色信号OR(x,y)が得られる。
【0083】
この場合、出力赤色信号OR(x,y)の各画素の信号値は、基準赤色信号G(x,y)の各画素の信号値に応じたトーンカーブ(階調変換カーブ)により、入力赤色信号IR(x,y)の各画素の信号値が変換されて得られる。この出力赤色信号OR(x,y)は、上述の図2における出力輝度信号OY(x,y)と同様に、暗い領域では明るくされ、また、明るい領域ではコントラストが強くされたものとなる。そのため、入力赤色信号IR(x,y)が逆光や暗い環境で撮像されたものであっても、出力赤色信号OR(x,y)による画像は視認性の高い画像となる。
【0084】
緑色階調補正部150g、青色階調補正部150bは、上述の赤色階調補正部150rと同様に構成されている。補正部150g,150bでは、入力緑色信号IG(x,y)、入力青色信号IB(x,y)に対して階調変換処理が施され、上述の出力赤色信号OR(x,y)と同様の、出力緑色信号OG(x,y)、出力青色信号OB(x,y)が得られる。
【0085】
[コンピュータ装置による構成例]
また、上述の図2に示す階調補正部150は、ハードウェアで階調補正処理を行うものを示したが、同様の処理をソフトウェアで行うこともできる。図10は、ソフトウェアで処理を行うコンピュータ装置150Bの構成例を示している。コンピュータ装置150Bは、CPU181、ROM182、RAM183、データ入出力部(データI/O)184および画像メモリ185を有している。
【0086】
ROM182には、CPU181の処理プログラムが格納されている。RAM183は、CPU181のワークエリアとして機能する。CPU181は、ROM182に格納されている処理プログラムを必要に応じて読み出し、読み出した処理プログラムをRAM183に転送して展開し、当該展開された処理プログラムを読み出して、階調補正処理を実行する。この処理プログラムは、コンピュータ装置150Bに、図2に示す階調補正部150の各部と同様の機能を持たせるためのプログラムである。
【0087】
このコンピュータ装置150Bにおいては、入力輝度信号IY(x,Y)、入力色差信号ICb(x,y),ICr(x,y)は、データI/O184を介して入力され、画像メモリ185に蓄積される。この画像メモリ185に蓄積された各信号に対して、CPU181により、階調補正処理が実行される。
【0088】
そして、処理後に得られる出力輝度信号OY(x,Y)、出力色差信号OCb(x,y),OCr(x,y)は、画像メモリ185からデータI/O184を介して外部に出力される。
【0089】
図11のフローチャートは、CPU181による階調補正処理の処理手順を示している。なお、このフローチャートは、例えば、1画面の画像データの処理に対応しており、当該処理が各画面の画像データに対して順次行われる。
【0090】
CPU181は、まず、ステップST1において、処理を開始し、その後に、ステップST2の処理に移る。このステップST2において、CPU181は、データ入出力部184を通じて入力輝度信号IY(x,Y)、入力色差信号ICb(x,y),ICr(x,y)を入力し、画像メモリ185に蓄積する。
【0091】
次に、CPU181は、ステップST3において、入力輝度信号IY(x,y)に基づいて、高成分輝度信号IH(x,y)を生成する。このステップST3の処理は、図2の階調補正部150の高(High)成分画像生成部151の処理に相当する。CPU181は、輝度信号IH(x,y)の各画素の信号値を、入力輝度信号IY(x,y)の各画素の信号値が基準値T(例えば、ダイナミックレンジの中央値)より大きいとき、当該入力輝度信号IY(x,y)の各画素の信号値とする。また、CPU181は、輝度信号IH(x,y)の着目画素の信号値を、入力輝度信号IY(x,y)の各画素の信号値が基準値T以下のときは、第1の値(例えば、基準値T)とする。
【0092】
次に、CPU181は、ステップST4において、入力輝度信号IY(x,y)に基づいて、低成分輝度信号IL(x,y)を生成する。このステップST4の処理は、図2の階調補正部150の低(Low)成分画像生成部153の処理に相当する。この場合、CPU181は、低成分輝度信号IL(x,y)の各画素の信号値を、入力輝度信号IY(x,y)の各画素の信号値が基準値T以下のときは、当該入力輝度信号IY(x,y)の各画素の信号値とする。また、この場合、CPU181は、低成分輝度信号IL(x,y)の着目画素の信号値を、入力輝度信号IY(x,y)の各画素の信号値が基準値Tより大きいときは、第2の値(例えば、基準値T)とする。
【0093】
次に、CPU181は、ステップST5において、ステップST3で生成された高成分輝度信号IH(x,y)に基づいて、高成分平滑化輝度信号GH(x,y)を生成する。このステップST5の処理は、図2の階調補正部150のローパスフィルタ152の処理に相当する。この場合、CPU181は、高成分輝度信号IH(x,y)に対して、第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理、つまりオブジェクトの輪郭も分からなくなる程度の強いローパスフィルタ処理を施す。
【0094】
次に、CPU181は、ステップST6において、ステップST4で生成された低成分輝度信号IL(x,y)に基づいて、低成分平滑化輝度信号GL(x,y)を生成する。このステップST6の処理は、図2の階調補正部150のローパスフィルタ154の処理に相当する。この場合、CPU181は、低成分輝度信号IL(x,y)に対して、第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理、つまりオブジェクトの輪郭も分からなくなる程度の強いローパスフィルタ処理を施す。
【0095】
次に、CPU181は、ステップST7において、入力輝度信号IY(x,y)に基づいて、入力平滑化輝度信号L(x,y)を生成する。このステップST7の処理は、図2の階調補正部150のローパスフィルタ155の処理に相当する。この場合、CPU181は、入力輝度信号IY(x,y)に対して、第2のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理、つまりオブジェクトの輪郭が分かる程度の弱いローパスフィルタ処理を施す。
【0096】
次に、CPU181は、ステップST8において、ステップST5の高成分平滑化輝度信号GH(x,y)、ステップST6の低成分平滑化輝度信号GL(x,y)、ステップST7の入力平滑化輝度信号L(x,y)に基づき、基準輝度信号G(x,y)を生成する。このステップST8の処理は、図2の階調補正部150の基準画像生成部156の処理に相当する。
【0097】
この場合、CPU181は、輝度信号GH(x,y)、輝度信号GL(x,y)のそれぞれの各画素の信号値に対し、輝度信号L(x,y)の各画素の信号値に基づいた合成処理または選択処理を施して、基準輝度信号G(x,y)を生成する。この基準輝度信号G(x,y)は、輪郭を保持しながら高周波成分を除去した、つまり領域毎に高周波成分を除去した輝度信号となる。
【0098】
次に、CPU181は、ステップST9において、入力輝度信号IY(x,y)に対して、ステップST8で得られた基準輝度信号G(x,y)に基づいたトーンカーブ(階調変換カーブ)を用いた階調補正処理を行って、出力輝度信号OY(x,y)を得る。このステップST9の処理は、図2の階調補正部150の輝度信号処理部157の処理に相当する。
【0099】
この場合、CPU181は、出力輝度信号OY(x,y)の各画素の信号値を、基準輝度信号G(x,y)の各画素の信号値に応じたトーンカーブにより、入力輝度信号IY(x,y)の各画素の信号値を変換して得る。この出力輝度信号OY(x,y)は、暗い領域では明るくされ、また、明るい領域ではコントラストが強くされたものとなる。そのため、入力輝度信号IY(x,y)が逆光や暗い環境で撮像されたものであっても、出力輝度信号OY(x,y)による画像は視認性の高い画像となる。
【0100】
また、CPU181は、ステップST9において、入力色差信号ICb(x,y),ICr(x,y)を、出力輝度信号OY(x,y)の入力輝度信号IY(x,y)に対する増減率と同率で増減して、出力色差信号OCb(x,y),OCr(x,y)を得る。これにより、入力輝度信号IY(x,y)が出力輝度信号OY(x,y)に変換されても、色が薄くなる、あるいは色が濃くなるということが防止される。このステップST9の処理は、図2の階調補正部150の色差信号処理部158の処理に相当する。
【0101】
次に、CPU181は、ステップST10において、画像メモリ185に蓄積されている出力輝度信号OY(x,y)、色差信号OCb(x,y),OCr(x,y)を、データ入出力部184を通じて出力する。そして、CPU181は、ステップST10の処理の後、ステップST11において、一連の処理を終了する。
【0102】
[その他]
また、上述実施の形態において、基準画像信号(基準輝度信号G(x,y)等)は、階調補正を行うために使用されているが、この基準画像信号を、特殊効果画像を得るための画像信号として用いることもできる。すなわち、図2の階調補正部150における高(High)成分画像生成部151、ローパスフィルタ152,154,155、低(Low)成分画像生成部153および基準画像生成部156を、特殊効果画像を得るための画像処理装置等として使用できる。
【0103】
また、上述実施の形態においては、階調補正部150,150Aを備えた撮像装置100を示したが、同様の階調補正部を、テレビ受信機等の画像表示装置に備えて、入力画像得信号の階調補正を行うこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
この発明は、演算量の少ない単純な処理で逆光や暗い環境でも視認性の高い画像を得ることができるものであり、撮像装置、画像表示装置等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】この発明の実施の形態としての撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】撮像装置のデジタル信号処理部が備える階調補正部の構成例を示すブロック図である。
【図3】入力輝度信号IY(x,y)、高成分輝度信号IH(x,y)、低成分輝度信号IL(x,y)の具体例を示す図である。
【図4】トーンカーブ(S(x,y)=67の場合)の一例を示す図である。
【図5】トーンカーブ(S(x,y)=67の場合)の他の例(直線近似)を示す図である。
【図6】トーンカーブ(S(x,y)=188の場合)の一例を示す図である。
【図7】トーンカーブ(S(x,y)=188の場合)の他の例(直線近似)を示す図である。
【図8】入力輝度信号IY(x,y)、基準輝度信号G(x,y)および出力輝度信号OY(x,y)による画像の一例を示す図である。
【図9】撮像装置のデジタル信号処理部が備える階調補正部の他の構成例を示すブロック図である。
【図10】ソフトウェアで階調補正の処理を行うコンピュータ装置の構成例を示すブロック図である。
【図11】コンピュータ装置を構成するCPUによる階調補正処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0106】
100・・・撮像装置
101・・・CPU
102・・・ROM
103・・・RAM
104・・・入力デバイス
105・・・バス
111・・・撮像レンズ
112・・・アイリス
113・・・撮像素子
114・・・アイリス制御部
115・・・CDS回路
116・・・A/D変換部
117・・・デジタル信号処理部
118・・・タイミングジェネレータ
119・・・記録再生部
120・・・表示部
121・・・記録媒体
150,150A・・・階調補正部
150B・・・コンピュータ装置
150r・・・赤色階調補正部
150g・・・緑色階調補正部
150b・・・青色階調補正部
151,151r・・・高(High)成分画像生成部
152,152r,154,154r,155,155r・・・ローパスフィルタ
153,153r・・・低(Low)成分画像生成部
156,156r・・・基準画像生成部
157・・・輝度信号処理部
157r・・・赤色信号処理部
158・・・色差信号処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値として、入力画像信号を構成する着目画素の信号値が基準値より大きいときは該入力画像信号の着目画素の信号値を配置し、上記入力画像信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値以下のときは第1の値を配置し、高成分画像信号を生成する高成分画像生成部と、
上記高成分画像生成部で生成された高成分画像信号に対して第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って高成分平滑化画像信号を生成する高成分平滑化画像生成部と、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値として、上記入力画像信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値以下のときは該入力画像信号の着目画素の信号値を配置し、上記入力画像信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値より大きいときは上記第1の値と同じあるいは異なる第2の値を配置し、低成分画像信号を生成する低成分画像生成部と、
上記低成分画像生成部で生成された低成分画像信号に対して上記第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って低成分平滑化画像信号を生成する低成分平滑化画像生成部と、
上記入力画像信号に対して、上記第1のカットオフ周波数より高い第2のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って入力平滑化画像信号を生成する入力平滑化画像生成部と、
各画素を順次着目画素として、着目画素の信号値を、上記高成分平滑化画像生成部で生成された高成分平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値および上記低成分平滑化画像生成部で生成された低成分平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値に対して、入力平滑化画像生成部で生成された入力平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値に基づいた合成処理または選択処理を行って求めて、基準画像信号を生成する基準画像生成部と、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値を、上記基準画像生成部で生成された基準画像信号を構成する該着目画素の信号値に応じたトーンカーブを用いて、上記入力画像信号の該着目画素の信号値を変換して求めて、出力画像信号を得る信号処理部
を備える階調補正装置。
【請求項2】
上記基準画像生成部は、上記基準画像信号の上記着目画素の信号値を、
上記高成分平滑化画像生成部で生成された高成分平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値を第1の信号値とし、上記低成分平滑化画像生成部で生成された低成分平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値を第2の信号値とし、上記入力平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値を第3の信号値として、
上記第3の信号値が小さくなる程上記第2の信号値の割合が大きくなるように合成して求める
請求項1に記載の階調補正装置。
【請求項3】
上記基準画像生成部は、
上記基準画像信号の上記着目画素の信号値をS(x,y)とし、上記第1の信号値をS1(x,y)とし、上記第2の信号値をS2(x,y)とし、上記第3の信号値をS3(x,y)とし、上記入力画像信号のダイナミックレンジをDとするとき、
S(x,y)=[S2(x,y)×{D−S3(x,y)}+S1(x,y)×S3(x,y)]/D
の式により、信号値S(x,y)を求める
請求項2に記載の階調補正装置。
【請求項4】
上記基準画像生成部は、上記基準画像信号の上記着目画素の信号値を、
上記高成分平滑化画像生成部で生成された高成分平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値を第1の信号値とし、上記低成分平滑化画像生成部で生成された低成分平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値を第2の信号値とし、上記入力平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値を第3の信号値として、
上記第1の信号値および上記第2の信号値のうち上記第3の信号値に近い方の値とする
請求項1に記載の階調補正装置。
【請求項5】
上記階調補正部は、
上記出力画像信号の上記着目画素の信号値を求める際のトーンカーブとして、上記基準画像生成部で生成された基準画像信号の該着目画素の信号値と同じ信号値が入力されるとき上記入力画像信号のダイナミックレンジの中央値と同じ信号値を出力するトーンカーブを用いる
請求項1に記載の階調補正装置。
【請求項6】
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値として、入力画像信号を構成する着目画素の信号値が基準値より大きいときは該入力画像信号の着目画素の信号値を配置し、上記入力画像信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値以下のときは第1の値を配置し、高成分画像信号を生成する高成分画像生成ステップと、
上記高成分画像生成ステップで生成された高成分画像信号に対して第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って高成分平滑化画像信号を生成する高成分平滑化画像生成ステップと、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値として、上記入力画像信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値以下のときは該入力画像信号の着目画素の信号値を配置し、上記入力画像信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値より大きいときは上記第1の値と同じあるいは異なる第2の値を配置し、低成分画像信号を生成する低成分画像生成ステップと、
上記低成分画像生成ステップで生成された低成分画像信号に対して上記第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って低成分平滑化画像信号を生成する低成分平滑化画像生成ステップと、
上記入力画像信号に対して、上記第1のカットオフ周波数より高い第2のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って入力平滑化画像信号を生成する入力平滑化画像生成ステップと、
各画素を順次着目画素として、着目画素の信号値を、上記高成分平滑化画像生成ステップで生成された高成分平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値および上記低成分平滑化画像生成ステップで生成された低成分平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値に対して、上記入力平滑化画像生成ステップで生成された入力平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値に基づいた合成処理または選択処理を行って求めて、基準画像信号を生成する基準画像生成ステップと、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値を、上記基準画像生成ステップで生成された基準画像信号を構成する該着目画素の信号値に応じたトーンカーブを用いて、上記入力画像信号の該着目画素の信号値を変換して求めて、出力画像信号を得る信号処理ステップ
を備える階調補正方法。
【請求項7】
コンピュータを、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値として、入力画像信号を構成する着目画素の信号値が基準値より大きいときは該入力画像信号の着目画素の信号値を配置し、上記入力画像信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値以下のときは第1の値を配置し、高成分画像信号を生成する高成分画像生成手段と、
上記高成分画像生成手段で生成された高成分画像信号に対して第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って高成分平滑化画像信号を生成する高成分平滑化画像生成手段と、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値として、上記入力画像信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値以下のときは該入力画像信号の着目画素の信号値を配置し、上記入力画像信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値より大きいときは上記第1の値と同じあるいは異なる第2の値を配置し、低成分画像信号を生成する低成分画像生成手段と、
上記低成分画像生成手段で生成された低成分画像信号に対して上記第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って低成分平滑化画像信号を生成する低成分平滑化画像生成手段と、
上記入力画像信号に対して、上記第1のカットオフ周波数より高い第2のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って入力平滑化画像信号を生成する入力平滑化画像生成手段と、
各画素を順次着目画素として、着目画素の信号値を、上記高成分平滑化画像生成手段で生成された高成分平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値および上記低成分平滑化画像生成手段で生成された低成分平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値に対して、上記入力平滑化画像生成手段で生成された入力平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値に基づいた合成処理または選択処理を行って求めて、基準画像信号を生成する基準画像生成手段と、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値を、上記基準画像生成手段で生成された基準画像信号を構成する該着目画素の信号値に応じたトーンカーブを用いて、上記入力画像信号の該着目画素の信号値を変換して求めて、出力画像信号を得る信号処理手段
として機能させるプログラム。
【請求項8】
被写体を撮像して、該被写体に対応した画像信号を得る撮像部と、
上記撮像部で得られた画像信号に対して階調補正を行う階調補正部を備え、
上記階調補正部は、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値として、入力画像信号を構成する着目画素の信号値が基準値より大きいときは該入力画像信号の着目画素の信号値を配置し、上記入力画像信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値以下のときは第1の値を配置し、高成分画像信号を生成する高成分画像生成部と、
上記高成分画像生成部で生成された高成分画像信号に対して第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って高成分平滑化画像信号を生成する高成分平滑化画像生成部と、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値として、上記入力画像信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値以下のときは該入力画像信号の着目画素の信号値を配置し、上記入力画像信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値より大きいときは上記第1の値と同じあるいは異なる第2の値を配置し、低成分画像信号を生成する低成分画像生成部と、
上記低成分画像生成部で生成された低成分画像信号に対して上記第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って低成分平滑化画像信号を生成する低成分平滑化画像生成部と、
上記入力画像信号に対して、上記第1のカットオフ周波数より高い第2のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って入力平滑化画像信号を生成する入力平滑化画像生成部と、
各画素を順次着目画素として、着目画素の信号値を、上記高成分平滑化画像生成部で生成された高成分平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値および上記低成分平滑化画像生成部で生成された低成分平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値に対して、入力平滑化画像生成部で生成された入力平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値に基づいた合成処理または選択処理を行って求めて、基準画像信号を生成する基準画像生成部と、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値を、上記基準画像生成部で生成された基準画像信号を構成する該着目画素の信号値に応じたトーンカーブを用いて、上記入力画像信号の該着目画素の信号値を変換して求めて、出力画像信号を得る信号処理部を有する
撮像装置。
【請求項9】
輝度信号に階調補正処理を行う第1の階調補正部と、
色差信号に階調処理を行う第2の階調補正部を備え、
上記第1の階調補正部は、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値として、入力輝度信号を構成する着目画素の信号値が基準値より大きいときは該入力輝度信号の着目画素の信号値を配置し、上記入力輝度信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値以下のときは第1の値を配置し、高成分輝度信号を生成する高成分画像生成部と、
上記高成分画像生成部で生成された高成分輝度信号に対して第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って高成分平滑化輝度信号を生成する高成分平滑化画像生成部と、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値として、上記入力輝度信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値以下のときは該入力輝度信号の着目画素の信号値を配置し、上記入力輝度信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値より大きいときは上記第1の値と同じあるいは異なる第2の値を配置し、低成分輝度信号を生成する低成分画像生成部と、
上記低成分画像生成部で生成された低成分輝度信号に対して上記第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って低成分平滑化輝度信号を生成する低成分平滑化画像生成部と、
上記入力輝度信号に対して、上記第1のカットオフ周波数より高い第2のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って入力平滑化輝度信号を生成する入力平滑化画像生成部と、
各画素を順次着目画素として、着目画素の信号値を、上記高成分平滑化画像生成部で生成された高成分平滑化輝度信号を構成する該着目画素の信号値および上記低成分平滑化画像生成部で生成された低成分平滑化輝度信号を構成する該着目画素の信号値に対して、入力平滑化画像生成部で生成された入力平滑化輝度信号を構成する該着目画素の信号値に基づいた合成処理または選択処理を行って求めて、基準輝度信号を生成する基準画像生成部と、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値を、上記基準画像生成部で生成された基準輝度信号を構成する該着目画素の信号値に応じたトーンカーブを用いて、上記入力輝度信号の該着目画素の信号値を変換して求め、出力輝度信号を得る信号処理部を有し、
上記第2の階調補正部は、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値を、上記出力輝度信号および上記入力輝度信号の該着目画素の信号値の比を入力色差信号に乗算して求めて、出力色差信号を得る
階調補正装置。
【請求項10】
赤、緑、青の各色信号に対してそれぞれ階調補正処理を行う複数の階調補正部を備え、
上記階調補正部は、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値として、入力色信号を構成する着目画素の信号値が基準値より大きいときは該入力色信号の着目画素の信号値を配置し、上記入力色信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値以下のときは第1の値を配置し、高成分色信号を生成する高成分画像生成部と、
上記高成分画像生成部で生成された高成分色信号に対して第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って高成分平滑化色信号を生成する高成分平滑化画像生成部と、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値として、上記入力色信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値以下のときは該入力色信号の着目画素の信号値を配置し、上記入力色信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値より大きいときは上記第1の値と同じあるいは異なる第2の値を配置し、低成分色信号を生成する低成分画像生成部と、
上記低成分画像生成部で生成された低成分色信号に対して上記第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って低成分平滑化色信号を生成する低成分平滑化画像生成部と、
上記入力色信号に対して、上記第1のカットオフ周波数より高い第2のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って入力平滑化色信号を生成する入力平滑化画像生成部と、
各画素を順次着目画素として、着目画素の信号値を、上記高成分平滑化画像生成部で生成された高成分平滑化色信号を構成する該着目画素の信号値および上記低成分平滑化画像生成部で生成された低成分平滑化色信号を構成する該着目画素の信号値に対して、入力平滑化画像生成部で生成された入力平滑化色信号を構成する該着目画素の信号値に基づいた合成処理または選択処理を行って求めて、基準色信号を生成する基準画像生成部と、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値を、上記基準画像生成部で生成された基準色信号を構成する該着目画素の信号値に応じたトーンカーブを用いて、上記入力色信号の該着目画素の信号値を変換して求め、出力色信号を得る信号処理部を有する
階調補正装置。
【請求項11】
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値として、入力画像信号を構成する着目画素の信号値が基準値より大きいときは該入力画像信号の着目画素の信号値を配置し、上記入力画像信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値以下のときは第1の値を配置し、高成分画像信号を生成する高成分画像生成部と、
上記高成分画像生成部で生成された高成分画像信号に対して第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って高成分平滑化画像信号を生成する高成分平滑化画像生成部と、
画像の各画素を順次着目画素とし、着目画素の信号値として、上記入力画像信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値以下のときは該入力画像信号の着目画素の信号値を配置し、上記入力画像信号を構成する着目画素の信号値が上記基準値より大きいときは上記第1の値と同じあるいは異なる第2の値を配置し、低成分画像信号を生成する低成分画像生成部と、
上記低成分画像生成部で生成された低成分画像信号に対して上記第1のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って低成分平滑化画像信号を生成する低成分平滑化画像生成部と、
上記入力画像信号に対して、上記第1のカットオフ周波数より高い第2のカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を行って入力平滑化画像信号を生成する入力平滑化画像生成部と、
各画素を順次着目画素として、着目画素の信号値を、上記高成分平滑化画像生成部で生成された高成分平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値および上記低成分平滑化画像生成部で生成された低成分平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値に対して、入力平滑化画像生成部で生成された入力平滑化画像信号を構成する該着目画素の信号値に基づいた合成処理または選択処理を行って求めて、出力画像信号を生成する出力画像生成部と
を備える画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−98553(P2010−98553A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268077(P2008−268077)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】