隠蔽検知装置、画像監視システム、隠蔽検知方法及び隠蔽検知プログラム
【課題】監視カメラが隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能な画像監視システムを提供する。
【解決手段】監視カメラ(10)の隠蔽の有無を検知する隠蔽検知装置(20)を有して構成する画像監視システムであり、隠蔽検知装置(20)は、監視カメラ(10)で撮像した画像データを受け付ける受付部(21)と、受付部(21)で受け付けた画像データの輝度値の標準偏差値と、輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラ(10)の隠蔽の有無を判定する判定部(22)と、を有することを特徴とする。
【解決手段】監視カメラ(10)の隠蔽の有無を検知する隠蔽検知装置(20)を有して構成する画像監視システムであり、隠蔽検知装置(20)は、監視カメラ(10)で撮像した画像データを受け付ける受付部(21)と、受付部(21)で受け付けた画像データの輝度値の標準偏差値と、輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラ(10)の隠蔽の有無を判定する判定部(22)と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラを用いて画像を監視する技術に関し、特に、監視カメラの隠蔽の有無を検知することが可能な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィスビル等の入退室ゲート、住宅等のインターフォン、貴重品等を収納するセーフティボックス、チケット類等の各種商品を販売する販売機等には、監視カメラが設置されている。そして、その監視カメラを用いて利用者の画像を監視し、不正侵入や不正操作を防止するようにしている。
【0003】
しかし、悪意の利用者が監視カメラの存在に気付き、手や持物等で監視カメラを隠蔽してしまうと、監視カメラの機能が発揮できない可能性がある。このような場合に、悪意の利用者による不正行為を防止するためには、監視カメラが隠蔽されたと検知した場合に、各種装置の機能を停止したり、管理者等に警告を通知したりするなどの対策を講じることが必用となる。
【0004】
なお、監視カメラの隠蔽の有無を検知するための方法としては、例えば、顔認証などの生体認証技術を利用し、監視カメラで撮像した利用者の画像が正しく撮像されているか否かを確認する方法がある。しかし、生体認証技術のように精緻な認証技術を用いると、正規の利用者の行為であっても、監視カメラで撮像した利用者の画像が正しく撮像されていない場合には、監視カメラが隠蔽されたと誤検知してしまうことになる。このため、生体認証技術のように精緻な認証技術を用いると、正規の利用者の行為であっても、各種装置の機能を停止したり、管理者等に警告を通知したりすることになる。その結果、正規の利用者に不快な思いをさせてしまったり、各種装置の機能の利用を滞らせてしまったりすることになる。
【0005】
従って、監視カメラの隠蔽の有無を検知するための方法としては、画像の認証の精度を向上させるよりも、明らかな不正行為が行われた可能性が高い場合に、監視カメラが隠蔽されたと検知する方法(逆に、正規の行為である可能性がある場合には、監視カメラが隠蔽されたと検知しない方法)を採用することが好ましい。
【0006】
なお、本発明より先に出願された技術文献として、画像センサの撮像手段に対し、画策行為が行われたことを検出する技術について開示された文献がある(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1では、撮像画像を微分し、高周波成分が少ない領域が所定以上ある場合に、撮像画像が異常であると判定し、画策行為が行われたことを検出するようにしている。
【0007】
また、監視カメラの視野が妨害された場合に、警報を出力する技術について開示された文献がある(例えば、特許文献2参照)。
上記特許文献2では、所定の輝度値以上の画像の所定領域が、所定数以上となった場合に、監視カメラの視野が妨害されたと判断し、警報を出力するようにしている。
【0008】
また、監視カメラに覆いが被せられた場合に、警報を出力する技術について開示された文献がある(例えば、特許文献3参照)。
上記特許文献3では、撮像画像の平均輝度が所定値以下の場合に、監視カメラに覆いが被せられたと判断し、警報を出力するようにしている。
【特許文献1】特開2000−194969号公報
【特許文献2】特開2000−222646号公報
【特許文献3】特開2002−344948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
なお、上記特許文献1〜3の技術では、1つの情報を用いて、監視カメラの隠蔽の有無を検知するように設計している。このため、上記特許文献1〜3の技術では、上述した認証技術を適用した場合と同様に、正規の行為であっても、監視カメラが隠蔽されたと誤検知してしまう場合が発生することになる。即ち、上記特許文献1〜3の技術では、監視カメラが隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することができないことになる。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、上述した課題である、監視カメラが隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能な隠蔽検知装置、画像監視システム、隠蔽検知方法及び隠蔽検知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有することとする。
【0012】
<隠蔽検知装置>
本発明にかかる隠蔽検知装置は、
監視カメラの隠蔽の有無を検知する隠蔽検知装置であって、
監視カメラで撮像した画像データを受け付ける受付手段と、
前記画像データの輝度値の標準偏差値と、前記輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定する判定手段と、
を有することを特徴とする。
【0013】
<画像監視システム>
また、本発明にかかる画像監視システムは、
監視カメラの隠蔽の有無を検知する隠蔽検知装置を有して構成する画像監視システムであって、
前記隠蔽検知装置は、
監視カメラで撮像した画像データを受け付ける受付手段と、
前記画像データの輝度値の標準偏差値と、前記輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定する判定手段と、
を有することを特徴とする。
【0014】
<隠蔽検知方法>
また、本発明にかかる隠蔽検知方法は、
監視カメラの隠蔽の有無を検知する隠蔽検知方法であって、
監視カメラで撮像した画像データを受け付ける受付工程と、
前記画像データの輝度値の標準偏差値と、前記輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定する判定工程と、
を有することを特徴とする。
【0015】
<隠蔽検知プログラム>
また、本発明にかかる隠蔽検知プログラムは、
監視カメラの隠蔽の有無を検知する隠蔽検知プログラムであって、
監視カメラで撮像した画像データを受け付ける受付処理と、
前記画像データの輝度値の標準偏差値と、前記輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定する判定処理と、
を、コンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、監視カメラが隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
まず、図1、図2を参照しながら、本実施形態の画像監視システムの概要について説明する。
本実施形態における画像監視システムは、監視カメラ(10)の隠蔽の有無を検知する隠蔽検知装置(20)を有して構成する。なお、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、図1に示すように、監視カメラ(10)で撮像した画像データを受け付ける受付部(21)と、受付部(21)で受け付けた画像データの輝度値の標準偏差値と、輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラ(10)の隠蔽の有無を判定する判定部(22)と、を有することを特徴とする。これにより、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、監視カメラ(10)で撮像した画像データから算出した2つの値(標準偏差値、変化量)を基に、監視カメラ(10)の隠蔽の有無を判定することになるため、監視カメラ(10)が隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能となる。
【0018】
また、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、図2に示すように、判定部(22)で監視カメラ(10)の隠蔽が有と判定した場合に、所定の処理を実行する実行部(23)を有することを特徴とする。これにより、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判定した場合に、所定の処理を自動的に実行することが可能となるため、監視カメラ(10)の隠蔽が行われた場合に、迅速な対応をすることが可能となる。なお、所定の処理は、監視カメラ(10)が隠蔽された場合に自動的に行いたい処理であれば、特に限定せず、あらゆる処理を行うように設計することが可能である。例えば、監視カメラ(10)が設置された場所の各種装置の機能を停止するようにしたり、監視カメラ(10)が隠蔽された旨の警告を、監視カメラ(10)を管理している管理者端末に通知するようにしたりすることが可能である。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の画像監視システムについて詳細に説明する。
【0019】
<画像監視システムのシステム構成>
まず、図3を参照しながら、本実施形態の画像監視システムのシステム構成について説明する。
【0020】
本実施形態の画像監視システムは、監視カメラ(10)と、隠蔽検知装置(20)と、入退室管理システム(30)と、管理者端末(40)と、がネットワーク(NW)を介して接続して構成している。
【0021】
なお、本実施形態におけるネットワーク(NW)は、各装置間で情報通信が可能であれば、通信形態は、特に限定するものではなく、有線、無線を問わずあらゆる通信形態が適用可能である。
【0022】
<監視カメラ:10>
監視カメラ(10)は、各種画像データを撮像するためのものである。なお、監視カメラ(10)は、オフィスビル等の入退室ゲート、住宅等のインターフォン、貴重品等を収納するセーフティボックス、チケット類等の各種商品を販売する販売機等に設置されることになる。
【0023】
<隠蔽検知装置:20>
隠蔽検知装置(20)は、監視カメラ(10)で撮像した画像データを基に、監視カメラ(10)の隠蔽の有無を検知するものである。
【0024】
<入退室管理システム:30>
入退室管理システム(30)は、利用者の入退室を管理するものである。
【0025】
<管理者端末:40>
管理者端末(40)は、監視カメラ(10)を管理する管理者等が使用する端末である。
【0026】
<隠蔽検知装置:20の内部構成>
次に、図3を参照しながら、本実施形態の隠蔽検知装置(20)の内部構成について説明する。
本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、画像受付部(21)と、隠蔽判定部(22)と、実行部(23)と、を有して構成する。
【0027】
画像受付部(21)は、監視カメラ(10)で撮像した画像データを受け付けるものである。
隠蔽判定部(22)は、画像受付部(21)が受け付けた画像データを基に、監視カメラ(10)が隠蔽されているか否かを判定するものである。
実行部(23)は、隠蔽判定部(22)において監視カメラ(10)が隠蔽されていると判定した場合に、所定の処理を実行するものである。なお、本実施形態における実行部(23)は、例えば、ゲートの閉鎖等を行うように入退室管理システム(30)を制御したりする。また、監視カメラ(10)が隠蔽された旨の警告を管理者端末(40)に通知したりする。
【0028】
<隠蔽検知装置:20における処理動作>
次に、図4、図5を参照しながら、隠蔽検知装置(20)における処理動作について詳細に説明する。なお、図4は、隠蔽検知装置(20)における処理動作を示し、図5は、画像データの構成例を示す。
【0029】
まず、画像受付部(21)は、監視カメラ(10)で撮像した図5(a)に示す画像データを受け付ける(ステップS1)。
【0030】
次に、隠蔽判定部(22)は、画像受付部(21)が受け付けた図5(a)に示す画像データを標本化し、図5(b)に示すように、M×N画素の画像データを生成する。なお、Mは、縦方向の画素数を示し、Nは、横方向の画素数を示す。このため、図5(b)に示す全画素数;nは、n=M×Nとなる。次に、隠蔽判定部(22)は、図5(b)に示す各画素の画素データ(r,g,b)を基に、画像データの輝度値の標準偏差値;Yを算出する(ステップS2)。
【0031】
なお、輝度値の標準偏差値;Yを算出する際の具体的な処理例を以下に説明する。
まず、隠蔽判定部(22)は、画像データを構成する図5(b)に示す各画素の画素データ(r,g,b)の輝度値;Xを算出する。
本実施形態では、各画素毎に、輝度値;Xを以下の式(1)を用いて算出する。
【0032】
輝度値;Xn=0.299×rn+0.587×gn+0.114×bn・・・式(1)
なお、r,g,bは、1画素を構成するデータを示し、rは、レッドを示し、gは、グリーンを示し、bは、ブルーを示す。また、nは、画素数を示す。このため、Xnは、n画素目の画素データ(rn,gn,bn)の輝度値を示す。
【0033】
次に、隠蔽判定部(22)は、各画素毎に算出した輝度値;X1〜Xnを基に、画像データの輝度値の平均値:Aveを以下の式(2)を用いて算出する。
【0034】
平均値;Ave=X1+X2+・・・+Xn/n・・・式(2)
【0035】
例えば、画像データを標本化し、(M=5)×(N=5)=25画素の画像データを形成したと仮定する。この場合、各画素毎に、輝度値;Xを算出し、各画素毎に算出した輝度値;Xを基に、輝度値の平均値:Aveを算出した場合、上記式(2)は、以下のようになる。
平均値;Ave=X1+X2+・・・+X25/25・・・式(2)
【0036】
次に、隠蔽判定部(22)は、上記式(2)で算出した輝度値の平均値;Aveを基に、輝度値の標準偏差値;Yを以下の式(3)を用いて算出する。
【0037】
標準偏差値;Y=√B2・・・式(3)
B2=((X1−Ave)2+(X2−Ave)2+・・+(Xn−Ave)2)/n
【0038】
上記の処理により、隠蔽判定部(22)は、画像データの輝度値の標準偏差値;Yを算出することになる。
【0039】
次に、隠蔽判定部(22)は、上記式(3)で算出した標準偏差値;Yと、所定の閾値;ThYと、を比較し、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にあるか否かを判定する(Y≦ThY?)(ステップS3)。
【0040】
隠蔽判定部(22)は、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にあると判定した場合には(Y≦ThY )(ステップS3/Yes)、監視カメラ(10)で撮像した画像データの明暗の度合が正常であると判断する。また、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判定した場合には(Y>ThY )(ステップS3/No)、監視カメラ(10)で撮像した画像データの明暗の度合に異常があると判断する。
【0041】
例えば、監視カメラ(10)の隠蔽が行われていない状態で監視カメラ(10)で撮像した画像データを図6に示す状態と仮定する。そして、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判定した場合には(Y>ThY )(ステップS3/No)、隠蔽判定部(22)は、図7に示す状態のように、監視カメラ(10)を指で隠蔽したような状態が発生したと判断することになる。
【0042】
なお、隠蔽判定部(22)は、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にあると判定した場合には(Y≦ThY )(ステップS3/Yes)、監視カメラ(10)が隠蔽されていない可能性があるため、処理を終了する。また、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判定した場合には(Y>ThY )(ステップS3/No)、監視カメラ(10)が隠蔽されている可能性があるため、画像データを構成する各画素の輝度値;Xについて、隣接する画素の輝度値との変化量;Zを算出する(ステップS4)。
【0043】
なお、輝度値の変化量;Zは、以下の式(4)を用いて算出する。
【0044】
変化量;Z=(|X2,1−X1,1|+|X1,2−X1,1|+|X3,1−X2,1|+|X2,2−X2,1|+・・・+|XM,N−X(M-1),N|)/((M−1)×N+M×(N−1))・・・式(4)
【0045】
なお、上記式(4)において、Mは、縦方向の画素数を示し、Nは、横方向の画素数を示す。例えば、X2,1は、図5(c)に示すように、縦方向が2番目の画素で、横方向が1番目の画素の輝度値を示す(図5(c)に示す『2,1』の箇所)。なお、図5(c)は、M×N画素の画像データを示す図である。
【0046】
次に、隠蔽判定部(22)は、上記算出した変化量;Zと、所定の閾値;ThZと、を比較し、変化量;Zが所定の閾値;ThZの範囲内にあるか否かを判定する(Z≦ThZ?)(ステップS5)。
【0047】
隠蔽判定部(22)は、変化量;Zが所定の閾値;ThZの範囲内にあると判定した場合には(Z≦ThZ)(ステップS5/Yes)、隠蔽カメラ(10)で撮像した画像データのエッヂの度合が正常であると判断する。また、変化量;Zが所定の閾値;ThZの範囲内にないと判定した場合には(Z>ThZ)(ステップS5/No)、隠蔽カメラ(10)で撮像した画像データのエッヂの度合に異常があると判断する。
【0048】
例えば、監視カメラ(10)の隠蔽が行われていない状態で監視カメラ(10)で撮像した画像データを図6に示す状態と仮定する。そして、変化量;Zが所定の閾値ThZの範囲内にないと判定した場合には(Z>ThZ)(ステップS5/No)、隠蔽判定部(22)は、図8に示す状態のように、監視カメラ(10)を半透明のビニール等で隠蔽したような状態が発生したと判断することになる。
【0049】
なお、隠蔽判定部(22)は、変化量;Zが所定の閾値;ThZの範囲内にあると判定した場合には(Z≦ThZ)(ステップS5/Yes)、監視カメラ(10)が隠蔽されていない可能性があるため、処理を終了する。また、変化量;Zが所定の閾値;ThZの範囲内にないと判定した場合には(Z>ThZ)(ステップS5/No)、監視カメラ(10)が明らかに隠蔽されていると判断し、監視カメラ(10)が隠蔽されている旨の情報を実行部(23)に通知する。実行部(23)は、監視カメラ(10)が隠蔽されている旨の情報を受け付けた場合に、所定の処理を実行する(ステップS6)。
【0050】
例えば、実行部(23)は、ゲートの閉鎖等を行う旨の指示内容を入退室管理システム(30)に通知し、ゲートの閉鎖等を行うように入退室管理システム(30)を制御したりする。また、実行部(23)は、監視カメラ(10)が隠蔽された旨の警告を管理者端末(40)に通知したりする。なお、実行部(23)における処理は、上記処理に限定するものではなく、監視カメラ(10)の隠蔽が行われていると判断した場合に実行したい処理であれば、あらゆる処理を実行するように設計することが可能である。例えば、実行部(23)は、監視カメラ(10)が隠蔽されている旨の情報を受け付けた場合に、その隠蔽された監視カメラ(10)が設置されている場所の各種装置の機能を停止したりするように制御することも可能である。
【0051】
このように、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、標準偏差値;Y、または、変化量;Zが、所定の閾値の範囲内である場合には(Y≦ThY、または、Z≦ThZ)、正規の行為である可能性があるため、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判断しないことになる。そして、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値が所定の閾値の範囲内でない場合には(Y>ThY、且つ、Z>ThZ)、明らかな不正行為が行われた可能性が高いため、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判断することになる。これにより、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、正規の行為である可能性がある場合には、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判断せず、明らかな不正行為が行われた可能性が高い場合に、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判断することになるため、監視カメラ(10)が隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、顔認証などの生体認証技術を利用せず、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値を用いて隠蔽の有無を判定することになるため、隠蔽の有無を判定する際の演算処理を簡易な構成で行うことが可能となる。
【0053】
また、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、明らかな不正行為が行われた可能性が高い場合に、監視カメラ(10)の隠蔽が有と判定し、所定の処理を自動的に実行することになるため、不正行為に対する迅速な対応をすることが可能となる。
【0054】
なお、上述した実施形態では、図4に示すように、先に、標準偏差値;Yを基に隠蔽の有無を判定し(ステップS3)、その後に、変化量;Zを基に隠蔽の有無の判定を行うことにした(ステップS5)。しかし、図9に示すように、先に、変化量;Zによる隠蔽の有無の判定を行い(ステップA3)、その後に、標準偏差値;Yを基に隠蔽の有無を判定するように構築することも可能である(ステップA5)。
【0055】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0056】
第2の実施形態における画像監視システムは、監視カメラ(10)で撮像した図6に示す画像データを、図10に示すように複数のブロックに分割する。そして、各ブロック毎に、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、を算出し、各ブロック毎に算出した2つの値(標準偏差値;Y、変化量;Z)を基に、監視カメラ(10)の隠蔽の有無を判定する。
【0057】
これにより、本実施形態における画像監視システムは、図6に示す画像データ全体から隠蔽の有無を判定するのではなく、図10に示すように画像データを複数のブロックに分割し、各ブロック毎に隠蔽の有無を判定することになる。その結果、本実施形態における画像監視システムは、監視カメラ(10)の撮像環境が原因で、画像データの一部に明暗やエッジの度合の異常が発生してしまった場合でも、監視カメラ(10)が隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能となる。以下、図10〜図11を参照しながら、第2の実施形態について詳細に説明する。なお、第2の実施形態における画像監視システムは、上述した第1の実施形態と同様に構成し、隠蔽検知装置(20)における処理動作が第1の実施形態と異なるだけであるため、以下の説明では、図11を基に、隠蔽検知装置(20)における処理動作について説明する。
【0058】
<隠蔽検知装置:20の処理動作>
まず、画像受付部(21)は、監視カメラ(10)で撮像した図6に示す画像データを受け付ける(ステップS11)。
【0059】
次に、隠蔽判定部(22)は、画像受付部(21)が受け付けた図6に示す画像データを図10に示すように複数のブロックに分割する(ステップS12)。なお、図10は、画像データを4つのブロックに分割した例を示しているが、分割するブロックの数やそのブロックの形状は特に限定するものではなく、任意に設定変更することが可能である。
【0060】
次に、隠蔽判定部(22)は、上記分割した複数のブロックの中から、1つのブロックの画像データを選択する(ステップS13)。そして、隠蔽判定部(22)は、上記選択した1つのブロックの画像データを基に、上述した図4に示すステップS2〜S5の処理と同様な判定処理を行うことになる。
【0061】
これにより、隠蔽判定部(22)は、ステップS13で選択した1ブロックの画像データの輝度値の標準偏差値;Yを算出し、その算出した標準偏差値;Yと、所定の閾値;ThYと、を比較することになる(ステップS14)。
【0062】
また、隠蔽判定部(22)は、ステップS13で選択した1ブロックの画像データを構成する各画素の輝度値(X)について、隣接する画素の輝度値との変化量;Zを算出し、その算出した変化量;Zと、所定の閾値;Thzと、を比較することになる(ステップS15)。
【0063】
なお、隠蔽判定部(22)は、上記ステップS13〜S16の処理を1ブロック毎に繰り返し、全てのブロックについて上記判定処理を行うことになる。
【0064】
次に、隠蔽判定部(22)は、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値が所定の閾値の範囲内にない(Y>ThY、且つ、Z>ThZ)と判断したブロック数をカウントし、そのカウントしたブロック数が一定数を超えるか否かを判定する(ステップS17)。
【0065】
隠蔽判定部(22)は、上記カウントしたブロック数が一定数を超えると判定した場合は(ステップS17/Yes)、監視カメラ(10)の隠蔽が行われたと判断し、監視カメラ(10)が隠蔽されている旨の情報を実行部(23)に通知する。実行部(23)は、隠蔽判定部(22)から隠蔽有の情報を受け付けた場合に、第1の実施形態と同様に、所定の処理を実行することになる(ステップS18)。
【0066】
また、隠蔽判定部(22)は、上記カウントしたブロック数が一定数を超えないと判定した場合は(ステップS17/No)、監視カメラ(10)の隠蔽が行われていないと判断し、処理を終了することになる。
【0067】
このように、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、監視カメラ(10)で撮像した画像データを複数のブロックに分割し、各ブロック毎に隠蔽の有無を判定することで、監視カメラ(10)の撮像環境が原因で、画像データの一部に明度等の異常が発生してしまった場合でも、監視カメラ(10)が隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値が所定の閾値の範囲内にない(Y>ThY、且つ、Z>ThZ)と判断したブロック数が一定数を超えた場合に、監視カメラ(10)の隠蔽が行われたと判断することになる。これにより、監視カメラ(10)が隠蔽されていない可能性がある場合には、隠蔽されたと判断しないことになるため、監視カメラ(10)が隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能となる。
【0069】
なお、上述した実施形態における処理動作では、図11に示すように、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値が所定の閾値の範囲内にない(Y>ThY、且つ、Z>ThZ)と判断したブロック数が一定数を超えるか否かを判定することにした。しかし、図12に示すように設計することも可能である。
【0070】
図12では、隠蔽判定部(22)は、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判断したブロック数をカウントする。また、変化量;Zが所定の閾値;Thzの範囲内にないと判断したブロック数をカウントする。そして、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判断したブロック数が一定数を超え(ステップS17'/Yes)、且つ、変化量;Zが所定の閾値;Thzの範囲内にないと判断したブロック数が一定数を超える場合に(ステップS17''/Yes)、監視カメラ(10)の隠蔽が行われたと判断する。これにより、標準偏差値;Yと、輝度値の変化量;Zと、の各々毎にカウントしたブロック数の両方が一定数を超えた場合に、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判断することになるため、監視カメラ(10)が隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能となる。
【0071】
なお、図11、図12では、ステップS13〜S16の処理により、各ブロック毎に、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値を一緒に算出することにした。しかし、図13に示すように設計することも可能である。
【0072】
図13では、まず、各ブロック毎に、標準偏差値;Yを算出する(ステップA13〜A15)。そして、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判断したブロック数をカウントし、そのカウントしたブロック数が一定数を超えない場合には(ステップA16/No)、監視カメラ(10)が隠蔽されていない可能性があるため、処理を終了する。また、カウントしたブロック数が一定数を超える場合には(ステップA16/Yes)、監視カメラ(10)が隠蔽されている可能性があるため、各ブロック毎に、変化量;Zを算出する(ステップA17〜A19)。そして、変化量;Zが所定の閾値;Thzの範囲内にないと判断したブロック数をカウントし、そのカウントしたブロック数が一定数を超えない場合には(ステップA20/No)、監視カメラ(10)が隠蔽されていない可能性があるため、処理を終了する。また、カウントしたブロック数が一定数を超える場合には(ステップA20/Yes)、監視カメラ(10)が明らかに隠蔽されていると判断する。これにより、標準偏差値;Yと、輝度値の変化量;Zと、の各々毎にカウントしたブロック数の両方が一定数を超えた場合に、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判断することになるため、監視カメラ(10)が隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能となる。また、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判断したブロック数が一定数を超えない場合には(ステップA16/No)、そのまま処理を終了することになるため、監視カメラ(10)が隠蔽されていない可能性がある場合には、処理を簡略化することが可能となる。
【0073】
なお、図13では、先に、標準偏差値;Yを基に隠蔽の有無を判定し(ステップA16)、その後に、変化量;Zを基に隠蔽の有無の判定を行うことにした(ステップA20)。しかし、先に、変化量;Zによる隠蔽の有無の判定を行い、その後に、標準偏差値;Yを基に隠蔽の有無を判定するように構築することも可能である。
【0074】
また、上述した図12、図13に示す処理動作の場合には、例えば、標準偏差値;Yについてはブロック数が2以上、変化量;Zについてはブロック数が3以上というように、各値毎に上述した一定数を変動させて上記判定処理を行うように構築することも可能である。
【0075】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
【0076】
第3の実施形態における画像監視システムは、監視カメラ(10)の隠蔽の有無判定に影響を及ぼす影響度を、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の各々に対して割り当て、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値の各々に応じた影響度を算出する。そして、その影響度の合計値が、所定の閾値の範囲内でないと判定した場合に、監視カメラ(10)の隠蔽が有と判定することを特徴とする。これにより、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の重み付けを変化させて、監視カメラ(10)の隠蔽の有無を判定することが可能となる。以下、図14〜図15を参照しながら、第3の実施形態について詳細に説明する。
【0077】
本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、図15に示すように、監視カメラ(10)の隠蔽の有無判定に影響を及ぼす影響度を、標準偏差値;Y、変化量;Zの各々の値に対して割り当てるための換算テーブルを管理する。図15(a)は、標準偏差値;Yに対して割り当てる影響度の換算テーブルを示し、図15(b)は、変化量;Zに対して割り当てる影響度の換算テーブルを示す。なお、図15に示す換算テーブルは、一例であり、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の各々の値に応じた影響度を割り当てることが可能であれば、あらゆる手法を適用することが可能である。例えば、図15に示す換算テーブルは、標準偏差値;Yや変化量;Zの値と、影響度;αの値と、を1対1で対応付けて管理することにしたが、標準偏差値;Yや変化量;Zの値に所定の幅を持たせて、影響度;αを対応付けて管理するように構築することも可能である(例えば、標準偏差値;YがY1〜Y3の範囲の値の場合には、影響度;α1の値を割り当てるように換算テーブルを設計する)。また、図15に示すような換算テーブルを利用するのではなく、アルゴリズムを用いて、標準偏差値;Y、変化量;Zの各々の値に応じた影響度を割り当てるように構築することも可能である。
【0078】
次に、図14を参照しながら、本実施形態の隠蔽検知装置(20)における処理動作について詳細に説明する。
【0079】
まず、画像受付部(21)は、監視カメラ(10)で撮像した画像データを受け付ける(ステップS21)。
【0080】
次に、隠蔽判定部(22)は、第1の実施形態と同様に、画像受付部(21)が受け付けた画像データを基に、画像データの輝度値の標準偏差値;Yと、輝度値の変化量;Zと、を算出する(ステップS22)。
【0081】
次に、隠蔽判定部(22)は、図15(a)に示す換算テーブルを参照し、上記算出した標準偏差値;Yの値に応じた影響度を算出する。また、図15(b)に示す換算テーブルを参照し、上記算出した変化量;Zの値に応じた影響度を算出する(ステップS23)。
【0082】
例えば、標準偏差値;Yの値が、Y=Y7の場合には、そのY7の値に応じた影響度=α7を算出する。また、変化量;Zの値が、Z=Z2の場合には、そのZ2の値に応じた影響度=α2を算出する。
【0083】
次に、隠蔽判定部(22)は、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値に応じた影響度の合計値;SUMα=(α7+α2)が所定の閾値;Thαの範囲内か否かを判定する(ステップS24)。
【0084】
隠蔽判定部(22)は、上記算出した影響度の合計値;SUMαが所定の閾値;Thαの範囲内である場合には(SUMα≦Thα)、監視カメラ(10)が隠蔽されていないと判断し(ステップS24/Yes)、処理を終了する。
【0085】
また、隠蔽判定部(22)は、影響度の合計値;SUMαが所定の閾値;Thαの範囲内でない場合には(SUMα>Thα)、監視カメラ(10)が隠蔽されていると判断し(ステップS24/No)、監視カメラ(10)が隠蔽されている旨の情報を実行部(23)に通知する。実行部(23)は、隠蔽判定部(22)から隠蔽有の情報を受け付けた場合に、第1の実施形態と同様に、所定の処理を実行することになる(ステップS25)。
【0086】
このように、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、監視カメラ(10)の隠蔽の有無判定に影響を及ぼす影響度を、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の各々に対して割り当て、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値の各々に応じた影響度を算出する。そして、その影響度の合計値;SUMαが、所定の閾値;Thαの範囲内でないと判定した場合に(SUMα>Thα)、監視カメラ(10)の隠蔽が有と判断する。これにより、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の重み付けを変化させて、監視カメラ(10)の隠蔽の有無を判定することが可能となる。
【0087】
なお、上述した図14に示す処理動作は、第1の実施形態のように、画像データ全体から算出した標準偏差値;Yと、変化量;Zと、を基に、その値に応じた影響度を算出することにしたが、例えば、図16に示すように設計することも可能である。図16は、第2の実施形態のように、各ブロック毎に算出した標準偏差値;Yと、変化量;Zと、を基に、その値に応じた影響度を各ブロック毎に算出する場合を示す。
【0088】
図16では、隠蔽判定部(22)は、各ブロック毎に、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値に応じた影響度の合計値;SUMαを算出する(ステップA23〜A26)。次に、隠蔽判定部(22)は、各ブロック毎に算出した影響度の合計値;SUMαが所定の閾値;Thαの範囲内でないと判断したブロック数をカウントし、そのカウントしたブロック数が一定数を超えるか否かを判定する(ステップA27)。そして、そのカウントしたブロック数が一定数を超えない場合には、監視カメラ(10)の隠蔽が行われていないと判断し(ステップA27/No)、処理を終了する。また、そのカウントしたブロック数が一定数を超える場合には、監視カメラ(10)の隠蔽が行われたと判断し(ステップA27/Yes)、所定の処理を実行する(ステップA28)。これにより、各ブロック毎に算出した標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の重み付けを変化させて、監視カメラ(10)の隠蔽の有無を判定することが可能となる。
【0089】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
【0090】
第4の実施形態における画像監視システムは、監視カメラ(10)で撮像した図6に示す画像データを、図10に示すように複数のブロックに分割する。そして、各ブロック毎に、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値を算出し、各ブロック毎に算出した2つの値(標準偏差値;Y、変化量;Z)の少なくとも一方の値が所定の閾値の範囲内でない(Y>ThY、及び/又は、Z>ThZ)と判定したブロック数が一定数を超えた場合に、監視カメラ(10)の隠蔽が有と判定することを特徴とする。
【0091】
これにより、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、監視カメラ(10)で撮像した画像データを複数のブロックに分割し、各ブロックから算出した2つの情報(標準偏差値、変化量)を用いて監視カメラ(10)の隠蔽の有無を判定することになるため、隠蔽の有無の検知精度を低下させずに、簡易な構成で監視カメラ(10)の隠蔽の有無を検知することが可能となる。以下、図17を参照しながら、第4の実施形態について詳細に説明する。なお、第4の実施形態における画像監視システムは、上述した実施形態と同様に構成し、隠蔽検知装置(20)における処理動作が異なるだけであるため、以下の説明では、図17を基に、隠蔽検知装置(20)における処理動作について説明する。
【0092】
<隠蔽検知装置:20における処理動作>
本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、図11に示すステップS11〜S16と同様の処理を行い、監視カメラ(10)で撮像した図6に示す画像データを、図10に示すように複数のブロックに分割する。そして、各ブロック毎に、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値を算出し、その算出した2つの値(標準偏差値;Yと、変化量;Z)と、所定の閾値(ThY、Thz)と、を比較することになる(ステップS11〜S16)。
【0093】
次に、隠蔽判定部(22)は、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の少なくとも1つの値が所定の閾値の範囲内にない(Y>ThY、及び/又は、Z>ThZ)と判断したブロック数をカウントし、そのカウントしたブロック数が一定数を超えるか否かを判定する(ステップB17)。
【0094】
隠蔽判定部(22)は、上記カウントしたブロック数が一定数を超えないと判定した場合は(ステップB17/No)、監視カメラ(10)の隠蔽が行われていないと判断し、処理を終了することになる。
【0095】
また、隠蔽判定部(22)は、上記カウントしたブロック数が一定数を超えると判定した場合は(ステップB17/Yes)、監視カメラ(10)の隠蔽が行われたと判断し、監視カメラ(10)が隠蔽されている旨の情報を実行部(23)に通知する。実行部(23)は、隠蔽判定部(22)から隠蔽有の情報を受け付けた場合に、所定の処理を実行することになる(ステップS18)。
【0096】
このように、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、監視カメラ(10)で撮像した画像データを複数のブロックに分割し、各ブロック毎に、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、を算出する。そして、各ブロック毎に算出した標準偏差値;Yと、変化量;Zと、を基に、隠蔽の有無を判定する。これにより、隠蔽の有無の検知精度を低下させずに、簡易な構成で監視カメラ(10)の隠蔽の有無を検知することが可能となる。また、監視カメラ(10)の撮像環境が原因で、画像データの一部に明暗やエッジの度合の異常が発生してしまった場合でも、監視カメラ(10)が隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能となる。
【0097】
また、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の少なくとも1つの値が所定の閾値の範囲内にない(Y>ThY、及び/又は、Z>ThZ)と判断したブロック数が一定数を超えた場合に、監視カメラ(10)の隠蔽が行われたと判断することになる。これにより、不正行為が行われている可能性がある場合には、監視カメラ(10)が隠蔽されたと検知することが可能となる。
【0098】
なお、上述した実施形態における処理動作では、図17に示すように、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の少なくとも1つの値が所定の閾値の範囲内にない(Y>ThY、及び/又は、Z>ThZ)と判断したブロック数が一定数を超えるか否かを判定することにした。しかし、図18に示すように設計することも可能である。
【0099】
図18では、隠蔽判定部(22)は、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判断したブロック数をカウントする。また、変化量;Zが所定の閾値;Thzの範囲内にないと判断したブロック数をカウントする。そして、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判断したブロック数が一定数を超える場合(ステップB17'/Yes)、または、変化量;Zが所定の閾値;Thzの範囲内にないと判断したブロック数が一定数を超える場合に(ステップB17''/Yes)、監視カメラ(10)の隠蔽が行われたと判断する。これにより、標準偏差値;Yと、輝度値の変化量;Zと、の各々毎にカウントしたブロック数の少なくとも一方が一定数を超えた場合に、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判断することになるため、不正行為が行われている可能性がある場合には、監視カメラ(10)が隠蔽されたと検知することが可能となる。
【0100】
なお、図17、図18では、ステップS13〜S16の処理により、各ブロック毎に、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値を一緒に算出することにした。しかし、図19に示すように設計することも可能である。
【0101】
図19では、まず、各ブロック毎に、標準偏差値;Yを算出する(ステップC13〜C15)。そして、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判断したブロック数をカウントし、そのカウントしたブロック数が一定数を超える場合には(ステップC16/Yes)、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判断し、所定の処理を実行する(ステップC21)。また、カウントしたブロック数が一定数を超えない場合には(ステップC16/No)、各ブロック毎に、変化量;Zを算出する(ステップC17〜C19)。そして、変化量;Zが所定の閾値;Thzの範囲内にないと判断したブロック数をカウントし、そのカウントしたブロック数が一定数を超える場合には(ステップC20/Yes)、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判断し、所定の処理を実行する(ステップC21)。また、カウントしたブロック数が一定数を超えない場合には(ステップC20/No)、処理を終了する。
【0102】
これにより、標準偏差値;Yと、輝度値の変化量;Zと、の少なくとも一方でカウントしたブロック数が一定数を超えた場合に、監視カメラ(10)が隠蔽されていると判断することになるため、不正行為が行われている可能性がある場合には、監視カメラ(10)が隠蔽されたと検知することが可能となる。また、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判断したブロック数が一定数を超える場合には(ステップC16/Yes)、所定の処理を実行し(ステップC21)、そのまま処理を終了することになるため、処理を簡略化することが可能となる。
【0103】
なお、図19では、先に、標準偏差値;Yを基に隠蔽の有無を判定し(ステップC16)、その後に、変化量;Zを基に隠蔽の有無の判定を行うことにした(ステップC20)。しかし、先に、変化量;Zによる隠蔽の有無の判定を行い、その後に、標準偏差値;Yを基に隠蔽の有無を判定するように構築することも可能である。
【0104】
また、上述した図18、図19に示す処理動作の場合には、例えば、標準偏差値;Yについてはブロック数が2以上、変化量;Zについてはブロック数が3以上というように、各値毎に上述した一定数を変動させて上記判定処理を行うように構築することも可能である。
【0105】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において当業者が上記実施形態の修正や代用を行い、種々の変更を施した形態を構築することが可能である。
【0106】
例えば、上述した実施形態では、1画素を構成するデータ(r,g,b)を基に、輝度値;Xを算出することにしたが、データ(r,g,b)のうち最も輝度値;Xに影響を与えるg(グリーン)のデータを輝度値;Xとして利用するように構築することも可能である。即ち、輝度値;Xの算出方法は、特に限定せず、あらゆる算出方法を適用することが可能である。また、上述した実施形態における閾値や一定数は、システム設計に応じて任意に設定変更するように構築することが可能である。
【0107】
また、上述した本実施形態における画像監視システムを構成する各装置における制御動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実行することも可能である。
【0108】
なお、ソフトウェアを用いて処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0109】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、リムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。なお、リムーバブル記録媒体としては、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどが挙げられる。
【0110】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールすることになる。また、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送することになる。また、ネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することになる。
【0111】
また、本実施形態における画像監視システムは、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に処理が実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に処理を実行するように構築することも可能である。
【0112】
また、本実施形態における画像監視システムは、複数の装置の論理的集合構成にしたり、各構成の装置が同一筐体内に存在する構成にしたりするように構築することも可能である。例えば、上述した隠蔽検知装置(20)における処理動作を、監視カメラ(10)、入退室管理システム(30)、管理者端末(40)等の装置において行うように構築することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、監視カメラを利用した各種システムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本実施形態における画像監視システムの概要を説明するための第1の図である。
【図2】本実施形態における画像監視システムの概要を説明するための第2の図である。
【図3】本実施形態における画像監視システムのシステム構成例を示す図である。
【図4】第1の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【図5】画像データの構成例を説明するための図である。
【図6】監視カメラ(10)の隠蔽が行われていない状態で、監視カメラ(10)で撮像した画像データ例を示す図である。
【図7】監視カメラ(10)を指で隠蔽したような状態で、監視カメラ(10)で撮像した画像データ例を示す図である。
【図8】監視カメラ(10)を半透明のビニール等で隠蔽したような状態で、監視カメラ(10)で撮像した画像データ例を示す図である。
【図9】第1の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【図10】図6に示す画像データを、複数のブロックに分割した状態を示す図である。
【図11】第2の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【図12】第2の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【図13】第2の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【図14】第3の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【図15】第3の実施形態における隠蔽検知装置(20)で管理する換算テーブルの構成例を示す図である。
【図16】第3の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【図17】第4の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【図18】第4の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【図19】第4の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【符号の説明】
【0115】
10 監視カメラ
20 隠蔽検知装置
21 画像受付部(受付部)
22 隠蔽判定部(判定部)
23 実行部
30 入退室管理システム
40 管理者端末
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラを用いて画像を監視する技術に関し、特に、監視カメラの隠蔽の有無を検知することが可能な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィスビル等の入退室ゲート、住宅等のインターフォン、貴重品等を収納するセーフティボックス、チケット類等の各種商品を販売する販売機等には、監視カメラが設置されている。そして、その監視カメラを用いて利用者の画像を監視し、不正侵入や不正操作を防止するようにしている。
【0003】
しかし、悪意の利用者が監視カメラの存在に気付き、手や持物等で監視カメラを隠蔽してしまうと、監視カメラの機能が発揮できない可能性がある。このような場合に、悪意の利用者による不正行為を防止するためには、監視カメラが隠蔽されたと検知した場合に、各種装置の機能を停止したり、管理者等に警告を通知したりするなどの対策を講じることが必用となる。
【0004】
なお、監視カメラの隠蔽の有無を検知するための方法としては、例えば、顔認証などの生体認証技術を利用し、監視カメラで撮像した利用者の画像が正しく撮像されているか否かを確認する方法がある。しかし、生体認証技術のように精緻な認証技術を用いると、正規の利用者の行為であっても、監視カメラで撮像した利用者の画像が正しく撮像されていない場合には、監視カメラが隠蔽されたと誤検知してしまうことになる。このため、生体認証技術のように精緻な認証技術を用いると、正規の利用者の行為であっても、各種装置の機能を停止したり、管理者等に警告を通知したりすることになる。その結果、正規の利用者に不快な思いをさせてしまったり、各種装置の機能の利用を滞らせてしまったりすることになる。
【0005】
従って、監視カメラの隠蔽の有無を検知するための方法としては、画像の認証の精度を向上させるよりも、明らかな不正行為が行われた可能性が高い場合に、監視カメラが隠蔽されたと検知する方法(逆に、正規の行為である可能性がある場合には、監視カメラが隠蔽されたと検知しない方法)を採用することが好ましい。
【0006】
なお、本発明より先に出願された技術文献として、画像センサの撮像手段に対し、画策行為が行われたことを検出する技術について開示された文献がある(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1では、撮像画像を微分し、高周波成分が少ない領域が所定以上ある場合に、撮像画像が異常であると判定し、画策行為が行われたことを検出するようにしている。
【0007】
また、監視カメラの視野が妨害された場合に、警報を出力する技術について開示された文献がある(例えば、特許文献2参照)。
上記特許文献2では、所定の輝度値以上の画像の所定領域が、所定数以上となった場合に、監視カメラの視野が妨害されたと判断し、警報を出力するようにしている。
【0008】
また、監視カメラに覆いが被せられた場合に、警報を出力する技術について開示された文献がある(例えば、特許文献3参照)。
上記特許文献3では、撮像画像の平均輝度が所定値以下の場合に、監視カメラに覆いが被せられたと判断し、警報を出力するようにしている。
【特許文献1】特開2000−194969号公報
【特許文献2】特開2000−222646号公報
【特許文献3】特開2002−344948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
なお、上記特許文献1〜3の技術では、1つの情報を用いて、監視カメラの隠蔽の有無を検知するように設計している。このため、上記特許文献1〜3の技術では、上述した認証技術を適用した場合と同様に、正規の行為であっても、監視カメラが隠蔽されたと誤検知してしまう場合が発生することになる。即ち、上記特許文献1〜3の技術では、監視カメラが隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することができないことになる。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、上述した課題である、監視カメラが隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能な隠蔽検知装置、画像監視システム、隠蔽検知方法及び隠蔽検知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有することとする。
【0012】
<隠蔽検知装置>
本発明にかかる隠蔽検知装置は、
監視カメラの隠蔽の有無を検知する隠蔽検知装置であって、
監視カメラで撮像した画像データを受け付ける受付手段と、
前記画像データの輝度値の標準偏差値と、前記輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定する判定手段と、
を有することを特徴とする。
【0013】
<画像監視システム>
また、本発明にかかる画像監視システムは、
監視カメラの隠蔽の有無を検知する隠蔽検知装置を有して構成する画像監視システムであって、
前記隠蔽検知装置は、
監視カメラで撮像した画像データを受け付ける受付手段と、
前記画像データの輝度値の標準偏差値と、前記輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定する判定手段と、
を有することを特徴とする。
【0014】
<隠蔽検知方法>
また、本発明にかかる隠蔽検知方法は、
監視カメラの隠蔽の有無を検知する隠蔽検知方法であって、
監視カメラで撮像した画像データを受け付ける受付工程と、
前記画像データの輝度値の標準偏差値と、前記輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定する判定工程と、
を有することを特徴とする。
【0015】
<隠蔽検知プログラム>
また、本発明にかかる隠蔽検知プログラムは、
監視カメラの隠蔽の有無を検知する隠蔽検知プログラムであって、
監視カメラで撮像した画像データを受け付ける受付処理と、
前記画像データの輝度値の標準偏差値と、前記輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定する判定処理と、
を、コンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、監視カメラが隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
まず、図1、図2を参照しながら、本実施形態の画像監視システムの概要について説明する。
本実施形態における画像監視システムは、監視カメラ(10)の隠蔽の有無を検知する隠蔽検知装置(20)を有して構成する。なお、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、図1に示すように、監視カメラ(10)で撮像した画像データを受け付ける受付部(21)と、受付部(21)で受け付けた画像データの輝度値の標準偏差値と、輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラ(10)の隠蔽の有無を判定する判定部(22)と、を有することを特徴とする。これにより、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、監視カメラ(10)で撮像した画像データから算出した2つの値(標準偏差値、変化量)を基に、監視カメラ(10)の隠蔽の有無を判定することになるため、監視カメラ(10)が隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能となる。
【0018】
また、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、図2に示すように、判定部(22)で監視カメラ(10)の隠蔽が有と判定した場合に、所定の処理を実行する実行部(23)を有することを特徴とする。これにより、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判定した場合に、所定の処理を自動的に実行することが可能となるため、監視カメラ(10)の隠蔽が行われた場合に、迅速な対応をすることが可能となる。なお、所定の処理は、監視カメラ(10)が隠蔽された場合に自動的に行いたい処理であれば、特に限定せず、あらゆる処理を行うように設計することが可能である。例えば、監視カメラ(10)が設置された場所の各種装置の機能を停止するようにしたり、監視カメラ(10)が隠蔽された旨の警告を、監視カメラ(10)を管理している管理者端末に通知するようにしたりすることが可能である。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の画像監視システムについて詳細に説明する。
【0019】
<画像監視システムのシステム構成>
まず、図3を参照しながら、本実施形態の画像監視システムのシステム構成について説明する。
【0020】
本実施形態の画像監視システムは、監視カメラ(10)と、隠蔽検知装置(20)と、入退室管理システム(30)と、管理者端末(40)と、がネットワーク(NW)を介して接続して構成している。
【0021】
なお、本実施形態におけるネットワーク(NW)は、各装置間で情報通信が可能であれば、通信形態は、特に限定するものではなく、有線、無線を問わずあらゆる通信形態が適用可能である。
【0022】
<監視カメラ:10>
監視カメラ(10)は、各種画像データを撮像するためのものである。なお、監視カメラ(10)は、オフィスビル等の入退室ゲート、住宅等のインターフォン、貴重品等を収納するセーフティボックス、チケット類等の各種商品を販売する販売機等に設置されることになる。
【0023】
<隠蔽検知装置:20>
隠蔽検知装置(20)は、監視カメラ(10)で撮像した画像データを基に、監視カメラ(10)の隠蔽の有無を検知するものである。
【0024】
<入退室管理システム:30>
入退室管理システム(30)は、利用者の入退室を管理するものである。
【0025】
<管理者端末:40>
管理者端末(40)は、監視カメラ(10)を管理する管理者等が使用する端末である。
【0026】
<隠蔽検知装置:20の内部構成>
次に、図3を参照しながら、本実施形態の隠蔽検知装置(20)の内部構成について説明する。
本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、画像受付部(21)と、隠蔽判定部(22)と、実行部(23)と、を有して構成する。
【0027】
画像受付部(21)は、監視カメラ(10)で撮像した画像データを受け付けるものである。
隠蔽判定部(22)は、画像受付部(21)が受け付けた画像データを基に、監視カメラ(10)が隠蔽されているか否かを判定するものである。
実行部(23)は、隠蔽判定部(22)において監視カメラ(10)が隠蔽されていると判定した場合に、所定の処理を実行するものである。なお、本実施形態における実行部(23)は、例えば、ゲートの閉鎖等を行うように入退室管理システム(30)を制御したりする。また、監視カメラ(10)が隠蔽された旨の警告を管理者端末(40)に通知したりする。
【0028】
<隠蔽検知装置:20における処理動作>
次に、図4、図5を参照しながら、隠蔽検知装置(20)における処理動作について詳細に説明する。なお、図4は、隠蔽検知装置(20)における処理動作を示し、図5は、画像データの構成例を示す。
【0029】
まず、画像受付部(21)は、監視カメラ(10)で撮像した図5(a)に示す画像データを受け付ける(ステップS1)。
【0030】
次に、隠蔽判定部(22)は、画像受付部(21)が受け付けた図5(a)に示す画像データを標本化し、図5(b)に示すように、M×N画素の画像データを生成する。なお、Mは、縦方向の画素数を示し、Nは、横方向の画素数を示す。このため、図5(b)に示す全画素数;nは、n=M×Nとなる。次に、隠蔽判定部(22)は、図5(b)に示す各画素の画素データ(r,g,b)を基に、画像データの輝度値の標準偏差値;Yを算出する(ステップS2)。
【0031】
なお、輝度値の標準偏差値;Yを算出する際の具体的な処理例を以下に説明する。
まず、隠蔽判定部(22)は、画像データを構成する図5(b)に示す各画素の画素データ(r,g,b)の輝度値;Xを算出する。
本実施形態では、各画素毎に、輝度値;Xを以下の式(1)を用いて算出する。
【0032】
輝度値;Xn=0.299×rn+0.587×gn+0.114×bn・・・式(1)
なお、r,g,bは、1画素を構成するデータを示し、rは、レッドを示し、gは、グリーンを示し、bは、ブルーを示す。また、nは、画素数を示す。このため、Xnは、n画素目の画素データ(rn,gn,bn)の輝度値を示す。
【0033】
次に、隠蔽判定部(22)は、各画素毎に算出した輝度値;X1〜Xnを基に、画像データの輝度値の平均値:Aveを以下の式(2)を用いて算出する。
【0034】
平均値;Ave=X1+X2+・・・+Xn/n・・・式(2)
【0035】
例えば、画像データを標本化し、(M=5)×(N=5)=25画素の画像データを形成したと仮定する。この場合、各画素毎に、輝度値;Xを算出し、各画素毎に算出した輝度値;Xを基に、輝度値の平均値:Aveを算出した場合、上記式(2)は、以下のようになる。
平均値;Ave=X1+X2+・・・+X25/25・・・式(2)
【0036】
次に、隠蔽判定部(22)は、上記式(2)で算出した輝度値の平均値;Aveを基に、輝度値の標準偏差値;Yを以下の式(3)を用いて算出する。
【0037】
標準偏差値;Y=√B2・・・式(3)
B2=((X1−Ave)2+(X2−Ave)2+・・+(Xn−Ave)2)/n
【0038】
上記の処理により、隠蔽判定部(22)は、画像データの輝度値の標準偏差値;Yを算出することになる。
【0039】
次に、隠蔽判定部(22)は、上記式(3)で算出した標準偏差値;Yと、所定の閾値;ThYと、を比較し、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にあるか否かを判定する(Y≦ThY?)(ステップS3)。
【0040】
隠蔽判定部(22)は、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にあると判定した場合には(Y≦ThY )(ステップS3/Yes)、監視カメラ(10)で撮像した画像データの明暗の度合が正常であると判断する。また、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判定した場合には(Y>ThY )(ステップS3/No)、監視カメラ(10)で撮像した画像データの明暗の度合に異常があると判断する。
【0041】
例えば、監視カメラ(10)の隠蔽が行われていない状態で監視カメラ(10)で撮像した画像データを図6に示す状態と仮定する。そして、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判定した場合には(Y>ThY )(ステップS3/No)、隠蔽判定部(22)は、図7に示す状態のように、監視カメラ(10)を指で隠蔽したような状態が発生したと判断することになる。
【0042】
なお、隠蔽判定部(22)は、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にあると判定した場合には(Y≦ThY )(ステップS3/Yes)、監視カメラ(10)が隠蔽されていない可能性があるため、処理を終了する。また、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判定した場合には(Y>ThY )(ステップS3/No)、監視カメラ(10)が隠蔽されている可能性があるため、画像データを構成する各画素の輝度値;Xについて、隣接する画素の輝度値との変化量;Zを算出する(ステップS4)。
【0043】
なお、輝度値の変化量;Zは、以下の式(4)を用いて算出する。
【0044】
変化量;Z=(|X2,1−X1,1|+|X1,2−X1,1|+|X3,1−X2,1|+|X2,2−X2,1|+・・・+|XM,N−X(M-1),N|)/((M−1)×N+M×(N−1))・・・式(4)
【0045】
なお、上記式(4)において、Mは、縦方向の画素数を示し、Nは、横方向の画素数を示す。例えば、X2,1は、図5(c)に示すように、縦方向が2番目の画素で、横方向が1番目の画素の輝度値を示す(図5(c)に示す『2,1』の箇所)。なお、図5(c)は、M×N画素の画像データを示す図である。
【0046】
次に、隠蔽判定部(22)は、上記算出した変化量;Zと、所定の閾値;ThZと、を比較し、変化量;Zが所定の閾値;ThZの範囲内にあるか否かを判定する(Z≦ThZ?)(ステップS5)。
【0047】
隠蔽判定部(22)は、変化量;Zが所定の閾値;ThZの範囲内にあると判定した場合には(Z≦ThZ)(ステップS5/Yes)、隠蔽カメラ(10)で撮像した画像データのエッヂの度合が正常であると判断する。また、変化量;Zが所定の閾値;ThZの範囲内にないと判定した場合には(Z>ThZ)(ステップS5/No)、隠蔽カメラ(10)で撮像した画像データのエッヂの度合に異常があると判断する。
【0048】
例えば、監視カメラ(10)の隠蔽が行われていない状態で監視カメラ(10)で撮像した画像データを図6に示す状態と仮定する。そして、変化量;Zが所定の閾値ThZの範囲内にないと判定した場合には(Z>ThZ)(ステップS5/No)、隠蔽判定部(22)は、図8に示す状態のように、監視カメラ(10)を半透明のビニール等で隠蔽したような状態が発生したと判断することになる。
【0049】
なお、隠蔽判定部(22)は、変化量;Zが所定の閾値;ThZの範囲内にあると判定した場合には(Z≦ThZ)(ステップS5/Yes)、監視カメラ(10)が隠蔽されていない可能性があるため、処理を終了する。また、変化量;Zが所定の閾値;ThZの範囲内にないと判定した場合には(Z>ThZ)(ステップS5/No)、監視カメラ(10)が明らかに隠蔽されていると判断し、監視カメラ(10)が隠蔽されている旨の情報を実行部(23)に通知する。実行部(23)は、監視カメラ(10)が隠蔽されている旨の情報を受け付けた場合に、所定の処理を実行する(ステップS6)。
【0050】
例えば、実行部(23)は、ゲートの閉鎖等を行う旨の指示内容を入退室管理システム(30)に通知し、ゲートの閉鎖等を行うように入退室管理システム(30)を制御したりする。また、実行部(23)は、監視カメラ(10)が隠蔽された旨の警告を管理者端末(40)に通知したりする。なお、実行部(23)における処理は、上記処理に限定するものではなく、監視カメラ(10)の隠蔽が行われていると判断した場合に実行したい処理であれば、あらゆる処理を実行するように設計することが可能である。例えば、実行部(23)は、監視カメラ(10)が隠蔽されている旨の情報を受け付けた場合に、その隠蔽された監視カメラ(10)が設置されている場所の各種装置の機能を停止したりするように制御することも可能である。
【0051】
このように、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、標準偏差値;Y、または、変化量;Zが、所定の閾値の範囲内である場合には(Y≦ThY、または、Z≦ThZ)、正規の行為である可能性があるため、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判断しないことになる。そして、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値が所定の閾値の範囲内でない場合には(Y>ThY、且つ、Z>ThZ)、明らかな不正行為が行われた可能性が高いため、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判断することになる。これにより、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、正規の行為である可能性がある場合には、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判断せず、明らかな不正行為が行われた可能性が高い場合に、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判断することになるため、監視カメラ(10)が隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、顔認証などの生体認証技術を利用せず、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値を用いて隠蔽の有無を判定することになるため、隠蔽の有無を判定する際の演算処理を簡易な構成で行うことが可能となる。
【0053】
また、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、明らかな不正行為が行われた可能性が高い場合に、監視カメラ(10)の隠蔽が有と判定し、所定の処理を自動的に実行することになるため、不正行為に対する迅速な対応をすることが可能となる。
【0054】
なお、上述した実施形態では、図4に示すように、先に、標準偏差値;Yを基に隠蔽の有無を判定し(ステップS3)、その後に、変化量;Zを基に隠蔽の有無の判定を行うことにした(ステップS5)。しかし、図9に示すように、先に、変化量;Zによる隠蔽の有無の判定を行い(ステップA3)、その後に、標準偏差値;Yを基に隠蔽の有無を判定するように構築することも可能である(ステップA5)。
【0055】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0056】
第2の実施形態における画像監視システムは、監視カメラ(10)で撮像した図6に示す画像データを、図10に示すように複数のブロックに分割する。そして、各ブロック毎に、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、を算出し、各ブロック毎に算出した2つの値(標準偏差値;Y、変化量;Z)を基に、監視カメラ(10)の隠蔽の有無を判定する。
【0057】
これにより、本実施形態における画像監視システムは、図6に示す画像データ全体から隠蔽の有無を判定するのではなく、図10に示すように画像データを複数のブロックに分割し、各ブロック毎に隠蔽の有無を判定することになる。その結果、本実施形態における画像監視システムは、監視カメラ(10)の撮像環境が原因で、画像データの一部に明暗やエッジの度合の異常が発生してしまった場合でも、監視カメラ(10)が隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能となる。以下、図10〜図11を参照しながら、第2の実施形態について詳細に説明する。なお、第2の実施形態における画像監視システムは、上述した第1の実施形態と同様に構成し、隠蔽検知装置(20)における処理動作が第1の実施形態と異なるだけであるため、以下の説明では、図11を基に、隠蔽検知装置(20)における処理動作について説明する。
【0058】
<隠蔽検知装置:20の処理動作>
まず、画像受付部(21)は、監視カメラ(10)で撮像した図6に示す画像データを受け付ける(ステップS11)。
【0059】
次に、隠蔽判定部(22)は、画像受付部(21)が受け付けた図6に示す画像データを図10に示すように複数のブロックに分割する(ステップS12)。なお、図10は、画像データを4つのブロックに分割した例を示しているが、分割するブロックの数やそのブロックの形状は特に限定するものではなく、任意に設定変更することが可能である。
【0060】
次に、隠蔽判定部(22)は、上記分割した複数のブロックの中から、1つのブロックの画像データを選択する(ステップS13)。そして、隠蔽判定部(22)は、上記選択した1つのブロックの画像データを基に、上述した図4に示すステップS2〜S5の処理と同様な判定処理を行うことになる。
【0061】
これにより、隠蔽判定部(22)は、ステップS13で選択した1ブロックの画像データの輝度値の標準偏差値;Yを算出し、その算出した標準偏差値;Yと、所定の閾値;ThYと、を比較することになる(ステップS14)。
【0062】
また、隠蔽判定部(22)は、ステップS13で選択した1ブロックの画像データを構成する各画素の輝度値(X)について、隣接する画素の輝度値との変化量;Zを算出し、その算出した変化量;Zと、所定の閾値;Thzと、を比較することになる(ステップS15)。
【0063】
なお、隠蔽判定部(22)は、上記ステップS13〜S16の処理を1ブロック毎に繰り返し、全てのブロックについて上記判定処理を行うことになる。
【0064】
次に、隠蔽判定部(22)は、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値が所定の閾値の範囲内にない(Y>ThY、且つ、Z>ThZ)と判断したブロック数をカウントし、そのカウントしたブロック数が一定数を超えるか否かを判定する(ステップS17)。
【0065】
隠蔽判定部(22)は、上記カウントしたブロック数が一定数を超えると判定した場合は(ステップS17/Yes)、監視カメラ(10)の隠蔽が行われたと判断し、監視カメラ(10)が隠蔽されている旨の情報を実行部(23)に通知する。実行部(23)は、隠蔽判定部(22)から隠蔽有の情報を受け付けた場合に、第1の実施形態と同様に、所定の処理を実行することになる(ステップS18)。
【0066】
また、隠蔽判定部(22)は、上記カウントしたブロック数が一定数を超えないと判定した場合は(ステップS17/No)、監視カメラ(10)の隠蔽が行われていないと判断し、処理を終了することになる。
【0067】
このように、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、監視カメラ(10)で撮像した画像データを複数のブロックに分割し、各ブロック毎に隠蔽の有無を判定することで、監視カメラ(10)の撮像環境が原因で、画像データの一部に明度等の異常が発生してしまった場合でも、監視カメラ(10)が隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値が所定の閾値の範囲内にない(Y>ThY、且つ、Z>ThZ)と判断したブロック数が一定数を超えた場合に、監視カメラ(10)の隠蔽が行われたと判断することになる。これにより、監視カメラ(10)が隠蔽されていない可能性がある場合には、隠蔽されたと判断しないことになるため、監視カメラ(10)が隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能となる。
【0069】
なお、上述した実施形態における処理動作では、図11に示すように、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値が所定の閾値の範囲内にない(Y>ThY、且つ、Z>ThZ)と判断したブロック数が一定数を超えるか否かを判定することにした。しかし、図12に示すように設計することも可能である。
【0070】
図12では、隠蔽判定部(22)は、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判断したブロック数をカウントする。また、変化量;Zが所定の閾値;Thzの範囲内にないと判断したブロック数をカウントする。そして、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判断したブロック数が一定数を超え(ステップS17'/Yes)、且つ、変化量;Zが所定の閾値;Thzの範囲内にないと判断したブロック数が一定数を超える場合に(ステップS17''/Yes)、監視カメラ(10)の隠蔽が行われたと判断する。これにより、標準偏差値;Yと、輝度値の変化量;Zと、の各々毎にカウントしたブロック数の両方が一定数を超えた場合に、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判断することになるため、監視カメラ(10)が隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能となる。
【0071】
なお、図11、図12では、ステップS13〜S16の処理により、各ブロック毎に、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値を一緒に算出することにした。しかし、図13に示すように設計することも可能である。
【0072】
図13では、まず、各ブロック毎に、標準偏差値;Yを算出する(ステップA13〜A15)。そして、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判断したブロック数をカウントし、そのカウントしたブロック数が一定数を超えない場合には(ステップA16/No)、監視カメラ(10)が隠蔽されていない可能性があるため、処理を終了する。また、カウントしたブロック数が一定数を超える場合には(ステップA16/Yes)、監視カメラ(10)が隠蔽されている可能性があるため、各ブロック毎に、変化量;Zを算出する(ステップA17〜A19)。そして、変化量;Zが所定の閾値;Thzの範囲内にないと判断したブロック数をカウントし、そのカウントしたブロック数が一定数を超えない場合には(ステップA20/No)、監視カメラ(10)が隠蔽されていない可能性があるため、処理を終了する。また、カウントしたブロック数が一定数を超える場合には(ステップA20/Yes)、監視カメラ(10)が明らかに隠蔽されていると判断する。これにより、標準偏差値;Yと、輝度値の変化量;Zと、の各々毎にカウントしたブロック数の両方が一定数を超えた場合に、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判断することになるため、監視カメラ(10)が隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能となる。また、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判断したブロック数が一定数を超えない場合には(ステップA16/No)、そのまま処理を終了することになるため、監視カメラ(10)が隠蔽されていない可能性がある場合には、処理を簡略化することが可能となる。
【0073】
なお、図13では、先に、標準偏差値;Yを基に隠蔽の有無を判定し(ステップA16)、その後に、変化量;Zを基に隠蔽の有無の判定を行うことにした(ステップA20)。しかし、先に、変化量;Zによる隠蔽の有無の判定を行い、その後に、標準偏差値;Yを基に隠蔽の有無を判定するように構築することも可能である。
【0074】
また、上述した図12、図13に示す処理動作の場合には、例えば、標準偏差値;Yについてはブロック数が2以上、変化量;Zについてはブロック数が3以上というように、各値毎に上述した一定数を変動させて上記判定処理を行うように構築することも可能である。
【0075】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
【0076】
第3の実施形態における画像監視システムは、監視カメラ(10)の隠蔽の有無判定に影響を及ぼす影響度を、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の各々に対して割り当て、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値の各々に応じた影響度を算出する。そして、その影響度の合計値が、所定の閾値の範囲内でないと判定した場合に、監視カメラ(10)の隠蔽が有と判定することを特徴とする。これにより、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の重み付けを変化させて、監視カメラ(10)の隠蔽の有無を判定することが可能となる。以下、図14〜図15を参照しながら、第3の実施形態について詳細に説明する。
【0077】
本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、図15に示すように、監視カメラ(10)の隠蔽の有無判定に影響を及ぼす影響度を、標準偏差値;Y、変化量;Zの各々の値に対して割り当てるための換算テーブルを管理する。図15(a)は、標準偏差値;Yに対して割り当てる影響度の換算テーブルを示し、図15(b)は、変化量;Zに対して割り当てる影響度の換算テーブルを示す。なお、図15に示す換算テーブルは、一例であり、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の各々の値に応じた影響度を割り当てることが可能であれば、あらゆる手法を適用することが可能である。例えば、図15に示す換算テーブルは、標準偏差値;Yや変化量;Zの値と、影響度;αの値と、を1対1で対応付けて管理することにしたが、標準偏差値;Yや変化量;Zの値に所定の幅を持たせて、影響度;αを対応付けて管理するように構築することも可能である(例えば、標準偏差値;YがY1〜Y3の範囲の値の場合には、影響度;α1の値を割り当てるように換算テーブルを設計する)。また、図15に示すような換算テーブルを利用するのではなく、アルゴリズムを用いて、標準偏差値;Y、変化量;Zの各々の値に応じた影響度を割り当てるように構築することも可能である。
【0078】
次に、図14を参照しながら、本実施形態の隠蔽検知装置(20)における処理動作について詳細に説明する。
【0079】
まず、画像受付部(21)は、監視カメラ(10)で撮像した画像データを受け付ける(ステップS21)。
【0080】
次に、隠蔽判定部(22)は、第1の実施形態と同様に、画像受付部(21)が受け付けた画像データを基に、画像データの輝度値の標準偏差値;Yと、輝度値の変化量;Zと、を算出する(ステップS22)。
【0081】
次に、隠蔽判定部(22)は、図15(a)に示す換算テーブルを参照し、上記算出した標準偏差値;Yの値に応じた影響度を算出する。また、図15(b)に示す換算テーブルを参照し、上記算出した変化量;Zの値に応じた影響度を算出する(ステップS23)。
【0082】
例えば、標準偏差値;Yの値が、Y=Y7の場合には、そのY7の値に応じた影響度=α7を算出する。また、変化量;Zの値が、Z=Z2の場合には、そのZ2の値に応じた影響度=α2を算出する。
【0083】
次に、隠蔽判定部(22)は、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値に応じた影響度の合計値;SUMα=(α7+α2)が所定の閾値;Thαの範囲内か否かを判定する(ステップS24)。
【0084】
隠蔽判定部(22)は、上記算出した影響度の合計値;SUMαが所定の閾値;Thαの範囲内である場合には(SUMα≦Thα)、監視カメラ(10)が隠蔽されていないと判断し(ステップS24/Yes)、処理を終了する。
【0085】
また、隠蔽判定部(22)は、影響度の合計値;SUMαが所定の閾値;Thαの範囲内でない場合には(SUMα>Thα)、監視カメラ(10)が隠蔽されていると判断し(ステップS24/No)、監視カメラ(10)が隠蔽されている旨の情報を実行部(23)に通知する。実行部(23)は、隠蔽判定部(22)から隠蔽有の情報を受け付けた場合に、第1の実施形態と同様に、所定の処理を実行することになる(ステップS25)。
【0086】
このように、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、監視カメラ(10)の隠蔽の有無判定に影響を及ぼす影響度を、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の各々に対して割り当て、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値の各々に応じた影響度を算出する。そして、その影響度の合計値;SUMαが、所定の閾値;Thαの範囲内でないと判定した場合に(SUMα>Thα)、監視カメラ(10)の隠蔽が有と判断する。これにより、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の重み付けを変化させて、監視カメラ(10)の隠蔽の有無を判定することが可能となる。
【0087】
なお、上述した図14に示す処理動作は、第1の実施形態のように、画像データ全体から算出した標準偏差値;Yと、変化量;Zと、を基に、その値に応じた影響度を算出することにしたが、例えば、図16に示すように設計することも可能である。図16は、第2の実施形態のように、各ブロック毎に算出した標準偏差値;Yと、変化量;Zと、を基に、その値に応じた影響度を各ブロック毎に算出する場合を示す。
【0088】
図16では、隠蔽判定部(22)は、各ブロック毎に、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値に応じた影響度の合計値;SUMαを算出する(ステップA23〜A26)。次に、隠蔽判定部(22)は、各ブロック毎に算出した影響度の合計値;SUMαが所定の閾値;Thαの範囲内でないと判断したブロック数をカウントし、そのカウントしたブロック数が一定数を超えるか否かを判定する(ステップA27)。そして、そのカウントしたブロック数が一定数を超えない場合には、監視カメラ(10)の隠蔽が行われていないと判断し(ステップA27/No)、処理を終了する。また、そのカウントしたブロック数が一定数を超える場合には、監視カメラ(10)の隠蔽が行われたと判断し(ステップA27/Yes)、所定の処理を実行する(ステップA28)。これにより、各ブロック毎に算出した標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の重み付けを変化させて、監視カメラ(10)の隠蔽の有無を判定することが可能となる。
【0089】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
【0090】
第4の実施形態における画像監視システムは、監視カメラ(10)で撮像した図6に示す画像データを、図10に示すように複数のブロックに分割する。そして、各ブロック毎に、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値を算出し、各ブロック毎に算出した2つの値(標準偏差値;Y、変化量;Z)の少なくとも一方の値が所定の閾値の範囲内でない(Y>ThY、及び/又は、Z>ThZ)と判定したブロック数が一定数を超えた場合に、監視カメラ(10)の隠蔽が有と判定することを特徴とする。
【0091】
これにより、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、監視カメラ(10)で撮像した画像データを複数のブロックに分割し、各ブロックから算出した2つの情報(標準偏差値、変化量)を用いて監視カメラ(10)の隠蔽の有無を判定することになるため、隠蔽の有無の検知精度を低下させずに、簡易な構成で監視カメラ(10)の隠蔽の有無を検知することが可能となる。以下、図17を参照しながら、第4の実施形態について詳細に説明する。なお、第4の実施形態における画像監視システムは、上述した実施形態と同様に構成し、隠蔽検知装置(20)における処理動作が異なるだけであるため、以下の説明では、図17を基に、隠蔽検知装置(20)における処理動作について説明する。
【0092】
<隠蔽検知装置:20における処理動作>
本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、図11に示すステップS11〜S16と同様の処理を行い、監視カメラ(10)で撮像した図6に示す画像データを、図10に示すように複数のブロックに分割する。そして、各ブロック毎に、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値を算出し、その算出した2つの値(標準偏差値;Yと、変化量;Z)と、所定の閾値(ThY、Thz)と、を比較することになる(ステップS11〜S16)。
【0093】
次に、隠蔽判定部(22)は、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の少なくとも1つの値が所定の閾値の範囲内にない(Y>ThY、及び/又は、Z>ThZ)と判断したブロック数をカウントし、そのカウントしたブロック数が一定数を超えるか否かを判定する(ステップB17)。
【0094】
隠蔽判定部(22)は、上記カウントしたブロック数が一定数を超えないと判定した場合は(ステップB17/No)、監視カメラ(10)の隠蔽が行われていないと判断し、処理を終了することになる。
【0095】
また、隠蔽判定部(22)は、上記カウントしたブロック数が一定数を超えると判定した場合は(ステップB17/Yes)、監視カメラ(10)の隠蔽が行われたと判断し、監視カメラ(10)が隠蔽されている旨の情報を実行部(23)に通知する。実行部(23)は、隠蔽判定部(22)から隠蔽有の情報を受け付けた場合に、所定の処理を実行することになる(ステップS18)。
【0096】
このように、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、監視カメラ(10)で撮像した画像データを複数のブロックに分割し、各ブロック毎に、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、を算出する。そして、各ブロック毎に算出した標準偏差値;Yと、変化量;Zと、を基に、隠蔽の有無を判定する。これにより、隠蔽の有無の検知精度を低下させずに、簡易な構成で監視カメラ(10)の隠蔽の有無を検知することが可能となる。また、監視カメラ(10)の撮像環境が原因で、画像データの一部に明暗やエッジの度合の異常が発生してしまった場合でも、監視カメラ(10)が隠蔽されたと誤検知してしまうリスクを低減することが可能となる。
【0097】
また、本実施形態における隠蔽検知装置(20)は、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の少なくとも1つの値が所定の閾値の範囲内にない(Y>ThY、及び/又は、Z>ThZ)と判断したブロック数が一定数を超えた場合に、監視カメラ(10)の隠蔽が行われたと判断することになる。これにより、不正行為が行われている可能性がある場合には、監視カメラ(10)が隠蔽されたと検知することが可能となる。
【0098】
なお、上述した実施形態における処理動作では、図17に示すように、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の少なくとも1つの値が所定の閾値の範囲内にない(Y>ThY、及び/又は、Z>ThZ)と判断したブロック数が一定数を超えるか否かを判定することにした。しかし、図18に示すように設計することも可能である。
【0099】
図18では、隠蔽判定部(22)は、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判断したブロック数をカウントする。また、変化量;Zが所定の閾値;Thzの範囲内にないと判断したブロック数をカウントする。そして、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判断したブロック数が一定数を超える場合(ステップB17'/Yes)、または、変化量;Zが所定の閾値;Thzの範囲内にないと判断したブロック数が一定数を超える場合に(ステップB17''/Yes)、監視カメラ(10)の隠蔽が行われたと判断する。これにより、標準偏差値;Yと、輝度値の変化量;Zと、の各々毎にカウントしたブロック数の少なくとも一方が一定数を超えた場合に、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判断することになるため、不正行為が行われている可能性がある場合には、監視カメラ(10)が隠蔽されたと検知することが可能となる。
【0100】
なお、図17、図18では、ステップS13〜S16の処理により、各ブロック毎に、標準偏差値;Yと、変化量;Zと、の2つの値を一緒に算出することにした。しかし、図19に示すように設計することも可能である。
【0101】
図19では、まず、各ブロック毎に、標準偏差値;Yを算出する(ステップC13〜C15)。そして、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判断したブロック数をカウントし、そのカウントしたブロック数が一定数を超える場合には(ステップC16/Yes)、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判断し、所定の処理を実行する(ステップC21)。また、カウントしたブロック数が一定数を超えない場合には(ステップC16/No)、各ブロック毎に、変化量;Zを算出する(ステップC17〜C19)。そして、変化量;Zが所定の閾値;Thzの範囲内にないと判断したブロック数をカウントし、そのカウントしたブロック数が一定数を超える場合には(ステップC20/Yes)、監視カメラ(10)が隠蔽されたと判断し、所定の処理を実行する(ステップC21)。また、カウントしたブロック数が一定数を超えない場合には(ステップC20/No)、処理を終了する。
【0102】
これにより、標準偏差値;Yと、輝度値の変化量;Zと、の少なくとも一方でカウントしたブロック数が一定数を超えた場合に、監視カメラ(10)が隠蔽されていると判断することになるため、不正行為が行われている可能性がある場合には、監視カメラ(10)が隠蔽されたと検知することが可能となる。また、標準偏差値;Yが所定の閾値;ThYの範囲内にないと判断したブロック数が一定数を超える場合には(ステップC16/Yes)、所定の処理を実行し(ステップC21)、そのまま処理を終了することになるため、処理を簡略化することが可能となる。
【0103】
なお、図19では、先に、標準偏差値;Yを基に隠蔽の有無を判定し(ステップC16)、その後に、変化量;Zを基に隠蔽の有無の判定を行うことにした(ステップC20)。しかし、先に、変化量;Zによる隠蔽の有無の判定を行い、その後に、標準偏差値;Yを基に隠蔽の有無を判定するように構築することも可能である。
【0104】
また、上述した図18、図19に示す処理動作の場合には、例えば、標準偏差値;Yについてはブロック数が2以上、変化量;Zについてはブロック数が3以上というように、各値毎に上述した一定数を変動させて上記判定処理を行うように構築することも可能である。
【0105】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において当業者が上記実施形態の修正や代用を行い、種々の変更を施した形態を構築することが可能である。
【0106】
例えば、上述した実施形態では、1画素を構成するデータ(r,g,b)を基に、輝度値;Xを算出することにしたが、データ(r,g,b)のうち最も輝度値;Xに影響を与えるg(グリーン)のデータを輝度値;Xとして利用するように構築することも可能である。即ち、輝度値;Xの算出方法は、特に限定せず、あらゆる算出方法を適用することが可能である。また、上述した実施形態における閾値や一定数は、システム設計に応じて任意に設定変更するように構築することが可能である。
【0107】
また、上述した本実施形態における画像監視システムを構成する各装置における制御動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実行することも可能である。
【0108】
なお、ソフトウェアを用いて処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0109】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、リムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。なお、リムーバブル記録媒体としては、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどが挙げられる。
【0110】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールすることになる。また、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送することになる。また、ネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することになる。
【0111】
また、本実施形態における画像監視システムは、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に処理が実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に処理を実行するように構築することも可能である。
【0112】
また、本実施形態における画像監視システムは、複数の装置の論理的集合構成にしたり、各構成の装置が同一筐体内に存在する構成にしたりするように構築することも可能である。例えば、上述した隠蔽検知装置(20)における処理動作を、監視カメラ(10)、入退室管理システム(30)、管理者端末(40)等の装置において行うように構築することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、監視カメラを利用した各種システムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本実施形態における画像監視システムの概要を説明するための第1の図である。
【図2】本実施形態における画像監視システムの概要を説明するための第2の図である。
【図3】本実施形態における画像監視システムのシステム構成例を示す図である。
【図4】第1の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【図5】画像データの構成例を説明するための図である。
【図6】監視カメラ(10)の隠蔽が行われていない状態で、監視カメラ(10)で撮像した画像データ例を示す図である。
【図7】監視カメラ(10)を指で隠蔽したような状態で、監視カメラ(10)で撮像した画像データ例を示す図である。
【図8】監視カメラ(10)を半透明のビニール等で隠蔽したような状態で、監視カメラ(10)で撮像した画像データ例を示す図である。
【図9】第1の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【図10】図6に示す画像データを、複数のブロックに分割した状態を示す図である。
【図11】第2の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【図12】第2の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【図13】第2の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【図14】第3の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【図15】第3の実施形態における隠蔽検知装置(20)で管理する換算テーブルの構成例を示す図である。
【図16】第3の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【図17】第4の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【図18】第4の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【図19】第4の実施形態における隠蔽検知装置(20)の処理動作例を示す図である。
【符号の説明】
【0115】
10 監視カメラ
20 隠蔽検知装置
21 画像受付部(受付部)
22 隠蔽判定部(判定部)
23 実行部
30 入退室管理システム
40 管理者端末
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視カメラの隠蔽の有無を検知する隠蔽検知装置であって、
監視カメラで撮像した画像データを受け付ける受付手段と、
前記画像データの輝度値の標準偏差値と、前記輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定する判定手段と、
を有することを特徴とする隠蔽検知装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記画像データを複数のブロックに分割し、各ブロック毎に、前記標準偏差値と、前記変化量と、を算出し、各ブロック毎に算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定することを特徴とする請求項1記載の隠蔽検知装置。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記標準偏差値が、所定の閾値の範囲内か否かを判定する第1の判定と、
前記変化量が、所定の閾値の範囲内か否かを判定する第2の判定と、を行い、
前記第1の判定と、前記第2の判定と、の判定結果を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定することを特徴とする請求項1または2記載の隠蔽検知装置。
【請求項4】
前記判定手段は、
前記第1の判定と、前記第2の判定と、の2つの判定において所定の閾値の範囲内でないと判定した場合に、監視カメラの隠蔽が有と判定することを特徴とする請求項3記載の隠蔽検知装置。
【請求項5】
前記判定手段は、
前記第1の判定と、前記第2の判定と、の2つの判定において所定の閾値の範囲内でないと判定したブロック数が一定数を超えた場合に、監視カメラの隠蔽が有と判定することを特徴とする請求項3記載の隠蔽検知装置。
【請求項6】
前記判定手段は、
前記第1の判定において所定の閾値の範囲内でないと判定したブロック数が一定数を超え、且つ、前記第2の判定において所定の閾値でないと判定したブロック数が一定数を超えた場合に、監視カメラの隠蔽が有と判定することを特徴とする請求項3記載の隠蔽検知装置。
【請求項7】
前記判定手段は、
前記第1の判定と、前記第2の判定と、の少なくとも1つの判定において所定の閾値の範囲内でないと判定したブロック数が一定数を超えた場合に、監視カメラの隠蔽が有と判定することを特徴とする請求項3記載の隠蔽検知装置。
【請求項8】
前記判定手段は、
前記第1の判定において所定の閾値の範囲内でないと判定したブロック数が一定数を超えた場合、及び/又は、前記第2の判定において所定の閾値でないと判定したブロック数が一定数を超えた場合に、監視カメラの隠蔽が有と判定することを特徴とする請求項3記載の隠蔽検知装置。
【請求項9】
監視カメラの隠蔽の有無判定に影響を及ぼす影響度を、前記標準偏差値と、前記変化量と、の各々に対して割り当て、
前記判定手段は、
前記算出した2つの値の各々に応じた影響度を算出し、前記影響度の合計値が、所定の閾値の範囲内でないと判定した場合に、監視カメラの隠蔽が有と判定することを特徴とする請求項1記載の隠蔽検知装置。
【請求項10】
監視カメラの隠蔽の有無判定に影響を及ぼす影響度を、前記標準偏差値と、前記変化量と、の各々に対して割り当て、
前記判定手段は、
前記算出した2つの値の各々に応じた影響度を各ブロック毎に算出し、前記影響度の合計値が所定の閾値の範囲内でないと判定したブロック数が一定数を超えた場合に、監視カメラの隠蔽が有と判定することを特徴とする請求項2記載の隠蔽検知装置。
【請求項11】
前記判定手段は、前記一定数を変動させて、前記一定数を超えたか否かの判定を行うことを特徴とする請求項5、6、7、8、10の何れか1項に記載の隠蔽検知装置。
【請求項12】
前記判定手段で監視カメラの隠蔽が有と判定した場合に、所定の処理を実行する実行手段を有することを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の隠蔽検知装置。
【請求項13】
監視カメラの隠蔽の有無を検知する隠蔽検知装置を有して構成する画像監視システムであって、
前記隠蔽検知装置は、
監視カメラで撮像した画像データを受け付ける受付手段と、
前記画像データの輝度値の標準偏差値と、前記輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定する判定手段と、
を有することを特徴とする画像監視システム。
【請求項14】
前記判定手段は、
前記画像データを複数のブロックに分割し、各ブロック毎に、前記標準偏差値と、前記変化量と、を算出し、各ブロック毎に算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定することを特徴とする請求項13記載の画像監視システム。
【請求項15】
監視カメラの隠蔽の有無を検知する隠蔽検知方法であって、
監視カメラで撮像した画像データを受け付ける受付工程と、
前記画像データの輝度値の標準偏差値と、前記輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定する判定工程と、
を有することを特徴とする隠蔽検知方法。
【請求項16】
前記判定工程は、
前記画像データを複数のブロックに分割し、各ブロック毎に、前記標準偏差値と、前記変化量と、を算出し、各ブロック毎に算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定することを特徴とする請求項15記載の隠蔽検知方法。
【請求項17】
監視カメラの隠蔽の有無を検知する隠蔽検知プログラムであって、
監視カメラで撮像した画像データを受け付ける受付処理と、
前記画像データの輝度値の標準偏差値と、前記輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定する判定処理と、
を、コンピュータに実行させることを特徴とする隠蔽検知プログラム。
【請求項18】
前記判定処理は、
前記画像データを複数のブロックに分割し、各ブロック毎に、前記標準偏差値と、前記変化量と、を算出し、各ブロック毎に算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定することを特徴とする請求項17記載の隠蔽検知プログラム。
【請求項1】
監視カメラの隠蔽の有無を検知する隠蔽検知装置であって、
監視カメラで撮像した画像データを受け付ける受付手段と、
前記画像データの輝度値の標準偏差値と、前記輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定する判定手段と、
を有することを特徴とする隠蔽検知装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記画像データを複数のブロックに分割し、各ブロック毎に、前記標準偏差値と、前記変化量と、を算出し、各ブロック毎に算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定することを特徴とする請求項1記載の隠蔽検知装置。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記標準偏差値が、所定の閾値の範囲内か否かを判定する第1の判定と、
前記変化量が、所定の閾値の範囲内か否かを判定する第2の判定と、を行い、
前記第1の判定と、前記第2の判定と、の判定結果を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定することを特徴とする請求項1または2記載の隠蔽検知装置。
【請求項4】
前記判定手段は、
前記第1の判定と、前記第2の判定と、の2つの判定において所定の閾値の範囲内でないと判定した場合に、監視カメラの隠蔽が有と判定することを特徴とする請求項3記載の隠蔽検知装置。
【請求項5】
前記判定手段は、
前記第1の判定と、前記第2の判定と、の2つの判定において所定の閾値の範囲内でないと判定したブロック数が一定数を超えた場合に、監視カメラの隠蔽が有と判定することを特徴とする請求項3記載の隠蔽検知装置。
【請求項6】
前記判定手段は、
前記第1の判定において所定の閾値の範囲内でないと判定したブロック数が一定数を超え、且つ、前記第2の判定において所定の閾値でないと判定したブロック数が一定数を超えた場合に、監視カメラの隠蔽が有と判定することを特徴とする請求項3記載の隠蔽検知装置。
【請求項7】
前記判定手段は、
前記第1の判定と、前記第2の判定と、の少なくとも1つの判定において所定の閾値の範囲内でないと判定したブロック数が一定数を超えた場合に、監視カメラの隠蔽が有と判定することを特徴とする請求項3記載の隠蔽検知装置。
【請求項8】
前記判定手段は、
前記第1の判定において所定の閾値の範囲内でないと判定したブロック数が一定数を超えた場合、及び/又は、前記第2の判定において所定の閾値でないと判定したブロック数が一定数を超えた場合に、監視カメラの隠蔽が有と判定することを特徴とする請求項3記載の隠蔽検知装置。
【請求項9】
監視カメラの隠蔽の有無判定に影響を及ぼす影響度を、前記標準偏差値と、前記変化量と、の各々に対して割り当て、
前記判定手段は、
前記算出した2つの値の各々に応じた影響度を算出し、前記影響度の合計値が、所定の閾値の範囲内でないと判定した場合に、監視カメラの隠蔽が有と判定することを特徴とする請求項1記載の隠蔽検知装置。
【請求項10】
監視カメラの隠蔽の有無判定に影響を及ぼす影響度を、前記標準偏差値と、前記変化量と、の各々に対して割り当て、
前記判定手段は、
前記算出した2つの値の各々に応じた影響度を各ブロック毎に算出し、前記影響度の合計値が所定の閾値の範囲内でないと判定したブロック数が一定数を超えた場合に、監視カメラの隠蔽が有と判定することを特徴とする請求項2記載の隠蔽検知装置。
【請求項11】
前記判定手段は、前記一定数を変動させて、前記一定数を超えたか否かの判定を行うことを特徴とする請求項5、6、7、8、10の何れか1項に記載の隠蔽検知装置。
【請求項12】
前記判定手段で監視カメラの隠蔽が有と判定した場合に、所定の処理を実行する実行手段を有することを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の隠蔽検知装置。
【請求項13】
監視カメラの隠蔽の有無を検知する隠蔽検知装置を有して構成する画像監視システムであって、
前記隠蔽検知装置は、
監視カメラで撮像した画像データを受け付ける受付手段と、
前記画像データの輝度値の標準偏差値と、前記輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定する判定手段と、
を有することを特徴とする画像監視システム。
【請求項14】
前記判定手段は、
前記画像データを複数のブロックに分割し、各ブロック毎に、前記標準偏差値と、前記変化量と、を算出し、各ブロック毎に算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定することを特徴とする請求項13記載の画像監視システム。
【請求項15】
監視カメラの隠蔽の有無を検知する隠蔽検知方法であって、
監視カメラで撮像した画像データを受け付ける受付工程と、
前記画像データの輝度値の標準偏差値と、前記輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定する判定工程と、
を有することを特徴とする隠蔽検知方法。
【請求項16】
前記判定工程は、
前記画像データを複数のブロックに分割し、各ブロック毎に、前記標準偏差値と、前記変化量と、を算出し、各ブロック毎に算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定することを特徴とする請求項15記載の隠蔽検知方法。
【請求項17】
監視カメラの隠蔽の有無を検知する隠蔽検知プログラムであって、
監視カメラで撮像した画像データを受け付ける受付処理と、
前記画像データの輝度値の標準偏差値と、前記輝度値の変化量と、の2つの値を算出し、該算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定する判定処理と、
を、コンピュータに実行させることを特徴とする隠蔽検知プログラム。
【請求項18】
前記判定処理は、
前記画像データを複数のブロックに分割し、各ブロック毎に、前記標準偏差値と、前記変化量と、を算出し、各ブロック毎に算出した2つの値を基に、監視カメラの隠蔽の有無を判定することを特徴とする請求項17記載の隠蔽検知プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−193464(P2009−193464A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35143(P2008−35143)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000232092)NECソフト株式会社 (173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000232092)NECソフト株式会社 (173)
【Fターム(参考)】
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