説明

雄コネクタ、雌コネクタ及びコネクタ

【課題】高電圧の電源を供給するためのコネクタを提供する。
【解決手段】電源と電子機器とを電気的に接続するための雌コネクタと接続される雄コネクタであって、雄コネクタは電力供給を受けるための導体からなる2本の電力用プラグ端子と、1本の制御用プラグ端子を有し、制御用プラグ端子は、差込方向に伸縮可能であり、雌コネクタは2本の電力用プラグ端子の各々対応する2つの電力用ジャック端子と、制御用プラグ端子に対応する制御用ジャック端子を有しており、2本の電力用プラグ端子と2つの電力用ジャックを嵌合した状態において、制御用ジャック端子に前記制御用プラグ端子を差込方向に伸すことにより、電子機器に電力が供給されるものであることを特徴とする雄コネクタを提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を供給するために用いられる雄コネクタ、雌コネクタ及びコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に電気機器は、電源より電力の供給を受け動作する。このように、電源より電力の供給を受ける際には、通常コネクタを介し電源より電気機器へ電力が供給される。この際用いられるコネクタは、特許文献1、2に開示されているように、凸状の雄型タイプのコネクタと、凹状の雌型タイプのコネクタを嵌合することにより、電気的に接続を行うものである。
【0003】
一方近年では、地球温暖化等に対する対策の一つとして、ローカルエリアにおける送電においても、電圧変換や送電等における電力損失が少なく、ケーブルの太さも太くする必要のない、直流で高電圧の電力の供給が検討されている。特に、サーバ等の情報機器においては、大量に電力を消費するためこのような電力供給が望ましいものとされている。
【0004】
このように電気機器に供給される電力に関しては、電圧が高いと人体に影響を及ぼす場合や、電子部品の動作に影響を与える場合がある。
【0005】
このような高電圧の電力をサーバ等の情報機器に用いる場合においては、装置の設置やメンテナンスの際においては、人により作業が行われるため、電気的接続がされている部分であるコネクタは通常の交流の商用電源に用いられるものとは異なるものとする必要がある。
【特許文献1】特開平5−82208号公報
【特許文献2】特開2003−31301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、特に、高電圧の電力を安全に供給することが可能な雄コネクタ、雌コネクタ及びコネクタを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電源と、前記電源から電力の供給を受ける電子機器とを電気的に接続するための雌コネクタと接続される雄コネクタであって、前記雄コネクタは、前記電子機器に接続されており、前記電力供給を受けるための導体からなる2本の電力用プラグ端子と、1本の制御用プラグ端子を有し、前記制御用プラグ端子は、差込方向に伸縮可能であり、前記雌コネクタは、前記電源に接続されており、前記2本の電力用プラグ端子の各々対応する2つの電力用ジャック端子と、前記制御用プラグ端子に対応する制御用ジャック端子を有しており、前記制御用ジャック端子には、2つの制御スイッチが設けられており、前記2つの制御スイッチは、前記2つの電力用ジャック端子の各々に接続されており、前記電源は前記2つの制御スイッチを介し前記電力用ジャック端子より電力を供給するものであって、前記2本の電力用プラグ端子と前記2つの電力用ジャック端子を嵌合した状態において、前記制御用ジャック端子に前記制御用プラグ端子を差込方向に伸すことにより、前記2つの制御スイッチの接点が接続され、前記電子機器に電力が供給されるものであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、電源と、前記電源から電力の供給を受ける電子機器とを電気的に接続するための雄コネクタと接続される雌コネクタであって、前記雄コネクタは、前記電子機器に接続されており、前記電力供給を受けるための導体からなる2本の電力用プラグ端子と、1本の制御用プラグ端子を有し、前記制御用プラグ端子は、差込方向に伸縮可能であり、前記雌コネクタは、前記電源に接続されており、前記2本の電力用プラグ端子の各々対応する2つの電力用ジャック端子と、前記制御用プラグ端子に対応する制御用ジャック端子を有しており、前記制御用ジャック端子には、2つの制御スイッチが設けられており、前記2つの制御スイッチは、前記2つの電力用ジャック端子の各々に接続されており、前記電源は前記2つの制御スイッチを介し前記電力用ジャック端子より電力を供給するものであって、前記2本の電力用プラグ端子と前記2つの電力用ジャック端子を嵌合した状態において、前記制御用ジャック端子に前記制御用プラグ端子を差込方向に伸すことにより、前記2つの制御スイッチの接点が接続され、前記電子機器に電力が供給されるものであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、電源と前記電源から電力の供給を受ける電子機器とを電気的に接続するための雄コネクタと雌コネクタからなるコネクタであって、前記雄コネクタは、前記電子機器に接続されており、前記電力供給を受けるための導体からなる2本の電力用プラグ端子と、1本の制御用プラグ端子を有し、前記制御用プラグ端子は、差込方向に伸縮可能であり、前記雌コネクタは、前記電源に接続されており、前記2本の電力用プラグ端子の各々対応する2つの電力用ジャック端子と、前記制御用プラグ端子に対応する制御用ジャック端子を有しており、前記制御用ジャック端子には、2つの制御スイッチが設けられており、前記2つの制御スイッチは、前記2つの電力用ジャック端子の各々に接続されており、前記電源は前記2つの制御スイッチを介し前記電力用ジャック端子より電力を供給するものであって、前記2本の電力用プラグ端子と前記2つの電力用ジャック端子を嵌合した状態において、前記制御用ジャック端子に前記制御用プラグ端子を差込方向に伸すことにより、前記2つの制御スイッチの接点が接続され、前記電子機器に電力が供給されるものであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記制御スイッチは、金属からなる板バネ状のスイッチであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記雌コネクタにおいて、前記2つの制御スイッチと、前記制御用プラグ端子との間には、絶縁体バネが設けられており、前記制御用プラグ端子を差込方向に伸すことにより、前記絶縁体バネが変形し、前記絶縁体バネを介し、前記制御スイッチの接点が接続されるものであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記制御スイッチの接点の近傍には永久磁石が設けられており、前記永久磁石は、前記制御スイッチの接点が切断される際に生じるアークを外側に吹き飛ばし、前記電源からの電力供給を切断するものであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記制御プラグ端子の差込方向の伸縮は、スライドスイッチ、または、押ボタンスイッチにより行われるものであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、制御プラグ端子リンクを介し前記制御プラグ端子の差込方向の伸縮を行うためのスライドスイッチと、伸縮可能なコイルバネと、を有し、前記スライドスイッチの移動方向と前記コイルバネの伸縮方向とが垂直となる中立状態となるものであって、前記スライドスイッチを移動させることにより、前記コイルバネを伸縮させるものであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記中立状態において、前記コイルバネは伸びた状態又は縮んだ状態にあり、前記中立状態より、前記コイルバネの復元力により、前記制御プラグ端子は前記制御プラグ端子リンクを介し、前記差込方向に対し伸びるものであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記中立状態において、前記コイルバネは伸びた状態又は縮んだ状態にあり、前記中立状態より、前記コイルバネの復元力により、前記制御プラグ端子は前記制御プラグ端子リンクを介し、前記差込方向に対し縮むものであることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記雄コネクタには、前記制御用プラグ端子の差込方向の伸縮に対応して、前記差込方向に垂直に突出するロック端子が設けられており、前記ロック端子は、前記プラグ端子を前記差込方向に伸すことにより、前記差込方向に垂直に突出し、前記雌コネクタには、前記突出したロック端子に対応した形状の凹状部が設けられており、前記雄コネクタと雌コネクタとを嵌合した状態で、前記制御用プラグ端子を伸すことにより、前記雌コネクタの凹状部に前記ロック端子が前記差込方向に垂直に嵌入し、前記雄コネクタと前記雌コネクタとの嵌合状態が維持されるものであることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前記雄コネクタには接地用プラグ端子が設けられており、前記雌コネクタには、前記接地用プラグ端子に対応した接地用ジャック端子が設けられおり、前記雌コネクタと雄コネクタとが嵌合した状態においては、前記接地用プラグ端子と前記接地用ジャック端子とは嵌合した状態にあることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、前記電源より供給される電力は、直流であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、前記電源より供給される電力の電圧は、48Vを超える電圧であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、高電圧の電力を安全に供給することが可能な雄コネクタ、雌コネクタ及びコネクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態における雄コネクタ、雌コネクタ及びコネクタについて説明する。
【0023】
(雄コネクタ、雌コネクタ及びコネクタの構成)
図1に、本実施の形態における雄コネクタ、雌コネクタ及びコネクタの構成の概要を示す。
【0024】
本実施の形態におけるコネクタは、雄コネクタ10と雌コネクタ20から構成されている。雄コネクタ10は、サーバ等の情報機器40に接続されており、電力の供給を受けるための2本の電力用プラグ端子11、12、制御用プラグ端子13、アースのための接地用プラグ端子14を有している。制御用プラグ端子13は、雄コネクタ10の差込方向に伸縮させることが可能な構成となっている。
【0025】
一方、雌コネクタ20は電力を供給するための高圧電源50に接続されている。雌コネクタ20には、電力用プラグ端子11、12に対応している電力用ジャック端子21、22、制御用プラグ端子13に対応している制御用ジャック端子23、接地用プラグ端子14に対応している接地用ジャック端子24を有している。
【0026】
また、雌コネクタ20には、2つの制御スイッチ31、32が設けられている。この制御スイッチ31、32は、板バネ状のスイッチ等により構成されており、これを押下することにより接点が接触し電流が流れる構成のスイッチである。尚、本実施の形態では、制御スイッチ31、32の直上に絶縁体の板バネ33が設けられている。
【0027】
制御スイッチ31の一方の端子は、高圧電源50の正の出力に接続されており、他方の端子は、電力用ジャック端子21に接続されている。また、制御スイッチ32の一方の端子は、高圧電源50の負の出力に接続されており、他方の端子は、電力用ジャック端子22に接続されている。
【0028】
この2つの制御スイッチ31、32は、雄コネクタ10と雌コネクタ20とを嵌合させた状態において、雄コネクタ10の制御用プラグ端子13を差込方向に伸すことにより、絶縁体の板バネ33を介し、2つの制御スイッチ31、32の接点が接続される構成のものである。
【0029】
このように、制御スイッチ31、32の接点が接続されることにより、雌コネクタ20における電力用ジャック端子21、22に電力が供給され、更には、雄コネクタ10における電力用プラグ端子11、12を介し、サーバ等の情報機器40に電力が供給される。
【0030】
本実施の形態におけるコネクタでは、電力用ジャック端子21、22の各々に、制御スイッチ31、32が接続されているが、これは48V超える電圧、更には200V以上の電圧である高電圧の直流電力の場合では、接触により人体に与える危険が極めて高いため、電力用ジャック端子21、22の双方に制御スイッチ31、32を接続することにより、電力用ジャック端子21、22の双方からの電力供給を制御し、安全性をより一層高めている。
【0031】
尚、本発明では、制御用ジャック端子23とは、制御用プラグ端子13の伸縮により力学的な力によりオン、オフが制御される制御スイッチ等を内部に含む構成のものも含まれる。
【0032】
(コネクタの構造)
次に、図2から図5に基づき、本実施の形態におけるコネクタの具体的な構造について説明する。図2(a)は、本実施の形態における雄コネクタ10の外観の斜視図であり、図2(b)は、本実施の形態における雌コネクタ20の外観の斜視図である。図3(a)は、本実施の形態における雄コネクタ10において、制御用プラグ端子13が縮んでいる状態の内部構造の斜視図であり、図3(b)は、本実施の形態における雄コネクタ10において、制御用プラグ端子13が伸びている状態の内部構造の斜視図である。図4(a)は、本実施の形態における雌コネクタ20の上面図であり、図4(b)は、本実施の形態における雌コネクタ20の側面図であり、図4(c)は、本実施の形態における雌コネクタ20の裏面図である。図5(a)は、本実施の形態における雌コネクタ20の内部構造図であり、図5(b)は、図5(a)の雌コネクタ20の制御スイッチ31、32近傍の拡大図である。
【0033】
図2(a)に示されるように、本実施の形態における雄コネクタ10の本体の外観は、幅W1が30mm、長さD1が30mm、高さH1が16mmである。この雄コネクタ10には、400VDCの直流の電源ケーブル15が接続されており、反対側には、金属により形成された電力用プラグ端子11、12、制御用プラグ端子13、接地用プラグ端子14が設けられている。電力用プラグ端子11、12の長さAは17mmであり、接地用プラグ端子14の長さBは19mmである。
【0034】
本実施の形態における雄コネクタ10は、雌コネクタ20に差し込まれた直後は、図3(a)に示す状態にあり、この後、押ボタン16を押すことにより、制御用プラグ端子13が伸びるとともに、ヒンジ17が回転し、差込方向と垂直方向にロック端子18が突出し、図3(b)に示す状態となる。
【0035】
一方、図2(b)及び図4に示すように、本実施の形態における雌コネクタ20は、雄コネクタ10の本体の一部が嵌入する構成のものである。雌コネクタ20には、電力用プラグ端子11、12と接続される電力用ジャック端子21、22、接地用プラグ端子14に接続される接地用ジャック端子24、制御用プラグ端子13が伸びた状態で接続される制御用ジャック端子23が設けられている。
【0036】
雌コネクタ20は、裏面にて後述するPDU等に接続されるための端子が設けられている。具体的には、制御スイッチ31を介し電力用ジャック端子21と接続される電力用端子21A、制御スイッチ32を介し電力用ジャック端子22と接続される電力用端子22A、接地用ジャック端子24に接続された接地端子24Aが設けられている。
【0037】
また、雌コネクタ20の本体の外観は、幅W2が56mm、長さD2が40mm、高さH2が40.5mmである。
【0038】
図5(a)、(b)は、雌コネクタ20の内部構造を斜視図である。雌コネクタ20の制御用ジャック端子23は、内部において2つの制御スイッチ31、32が設けられており、この2つの制御スイッチ31、32の上部に設けられた絶縁体の板バネ33が上部より押されて撓み変形することにより、2つの制御スイッチ31、32の接点が接触し、電流が流れる構成となっている。この際流れる電流は、400VDCであることから、雄コネクタ10の制御用プラグ端子13の先端が直接2つの制御スイッチ31、32を押下し、接点を接触させることは危険であるため、絶縁体の板バネ33を介し2つの制御スイッチ31、32の接点を接触させる構成としている。尚、本実施の形態では、制御スイッチ31、32の接点近傍には、アーク防止用の永久磁石25A、24Bが設けられている。
【0039】
次に、図6から図8に基づき、本実施の形態における雄コネクタ10と雌コネクタ20の接続方法について説明する。図6から図8は、雄コネクタ10と雌コネクタ20の接続方法の説明図であり、断面における概略構成を示す。
【0040】
最初に、図6に、雄コネクタ10と雌コネクタ20とが接続される前の状態を示す。この状態では、雄コネクタ10の電力用プラグ端子11と電力用ジャック端子21とは接続されていない。同様に、図1に示される電力用プラグ端子12と電力用ジャック端子22も接続されておらず、接地用プラグ端子14と接地用ジャック端子24も接続されていない。また、制御用プラグ端子13は、縮んだ状態となっており、制御用プラグ端子13の伸縮させるための押ボタン16も押される前の出っ張った状態となっている。
【0041】
一方、雌コネクタ20は、制御スイッチ31と電力用ジャック端子21とが接続されている。具体的には、制御スイッチ31は、板バネ部35と接点36、37により構成されており、接点36は電力用ジャック端子21と接続されており、板バネ部35は金属の板バネ状に形成されており、接点37は板バネ部35を介し電源50と接続されている。同様に、図1に示される制御スイッチ32は電力用ジャック端子22と接続されており、制御スイッチ32は、電源50と接続されている。また、制御スイッチ31、32の上部に設けられている絶縁体の板バネ33は、絶縁体の板バネ33の上部より力が加わることにより撓み変形し、その力が制御スイッチ31、32に伝達される構成となっている。
【0042】
次に、図7に、雄コネクタ10が雌コネクタ20に差し込まれた状態を示す。この状態では、雄コネクタ10の電力用プラグ端子11と電力用ジャック端子21とは嵌合している。同様に、図1に示される電力用プラグ端子12と電力用ジャック端子22も嵌合しており、接地用プラグ端子14と接地用ジャック端子24も嵌合している。尚、この状態では、制御用プラグ端子13は、縮んだ状態のままであり、制御用プラグ端子13の伸縮させるための押ボタン16も押される前の出っ張った状態のままである。よって、雌コネクタ20の制御スイッチ31の接点36と接点37は接続されていない。同様に、不図示の制御スイッチ32の接点38と接点39も接続されていない。
【0043】
次に、図8に、雄コネクタ10が雌コネクタ20に差し込まれた状態において、制御プラグ端子13が伸びた状態を示す。
【0044】
具体的には、押ボタン16を押すことにより、制御用プラグ端子13が伸び、制御用プラグ端子13の先端が絶縁体の板バネ33を押して撓ませ変形させる。この絶縁体の板バネ33の撓みによる変形により、制御スイッチ31における板バネ部35を撓ませ、制御スイッチ31の接点36と接点37とが接続される。制御スイッチ31の接点36と接点37が接続されることにより、図1に示す電源50からの電力は、電力用ジャック端子21に供給され、同様に、図1に示される電力用ジャック端子22にも電力が供給される。これにより、電力用ジャック端子21、22と接続されている電力用プラグ端子11、12を介し、雄コネクタ10に接続されている図1に示すサーバ等の電気機器40に電源50からの電力が供給される。
【0045】
次に、図9に基づき、制御スイッチ31の接点36、37及び、制御スイッチ32の接点38、39について説明する。図5に示したように、制御スイッチ31の接点36、37の近傍には永久磁石25Aが設けられており、制御スイッチ32の接点38、39の近傍には永久磁石25Bが設けられている。
【0046】
図9(a)に示すように、制御スイッチ31における直線矢印は、接点36、37が接続された場合に流れる電流の向きを示し、制御スイッチ32における直線矢印は、接点38、39が接続された場合に流れる電流の向きを示す。この状態では、電源50から供給される電流は、制御スイッチ31及び制御スイッチ32を流れて、サーバ等の情報機器40に供給される。ここで、制御用プラグ端子13を縮めると、制御スイッチ31の接点36、37及び、制御スイッチ32の接点38、39が離れて電流の流れがとまる。この瞬間に、接点36と接点37の間、及び接点38と接点39の間にアーク(アーク電流)が発生する。ここで、接点36と接点37の近傍に永久磁石25Aを設けることにより、図9(b)に示すように、永久磁石25Aにより、破線矢印に示すように磁束が発生し、フレミングの左手の法則に基づきローレンツ力が作用し、図9(a)に示すようにアークは符号91に示すように偏向されて、吹き飛ばされる。また、接点38と接点39の近傍に永久磁石25Bを設けることにより、図9(c)に示すように、永久磁石25Bにより、破線矢印に示すように磁束が発生し、フレミングの左手の法則に基づきローレンツ力が作用し、図9(a)に示すようにアークは符号92に示すように偏向されて、吹き飛ばされる。これにより、速やかに電力の供給が遮断される。此により、より高い安全性を得ることができる。以上は、永久磁石25A、25Bの二つの永久磁石を用いる場合について説明したが、図9(d)に示すように、永久磁石25A、25Bの二つの永久磁石を一つにした永久磁石25を用いても良い。
【0047】
次に、図10、図11に基づき、制御用プラグ端子13及びロック端子18の機能について説明する。図10(a)は、本実施の形態における雄コネクタ10において、制御用プラグ端子13が縮んでいる状態の外観の斜視図であり、図10(b)は、本実施の形態における雄コネクタ10と雌コネクタ20とが接続された状態において、制御用プラグ端子13が縮んでいる状態の部分透過斜視図である。図11(a)は、本実施の形態における雄コネクタ10において、制御用プラグ端子13が伸びている状態の外観の斜視図であり、図11(b)は、本実施の形態における雄コネクタ10と雌コネクタ20とが接続された状態において、制御用プラグ端子13が伸びている状態の部分透過斜視図である。
【0048】
図10(a)に示すように、制御用プラグ端子13が縮んでいる状態の長さC1は10mmであり、図11(a)に示すように、制御用プラグ端子13が伸びている状態の長さC2は14.5mmである。
【0049】
図10(b)に示すように、雌コネクタ20には、突出したロック端子18に対応した凹部29が形成されており、図11(b)に示すように、ロック端子18が突出している状態では、凹部29により、雄コネクタ10と雌コネクタ20との接合が外れることはない。
【0050】
尚、本実施の形態においては、押ボタン16を用いて差込方向に制御用プラグ端子13を伸縮させるとともにロック端子18の突出させるものであるが、押ボタン16に代えて、差込方向に移動可能なスライドスイッチ等を用いて、差込方向に制御用プラグ端子13を伸縮させるとともにロック端子18の突出を行う構成であっても良い。
【0051】
このように、制御用プラグ端子13が伸びた状態においてのみ、電力用ジャック端子21、22より電力が供給されるように構成されているのは、雌コネクタ20に雄コネクタ10が接続されていない状態において、電力用ジャック端子21、22に400VDCの高電圧が印加されることを防止するためである。即ち、雌コネクタ20に雄コネクタ10が接合されていない状態において、雌コネクタ20の電力用ジャック端子21、22に400VDCの高電圧が印加されていると、電力用ジャック端子21、22に人が不注意に接触した場合や、電力用ジャック端子21、22よりドライバ、金属片又は切れかけ導線等を介し人が接触した場合において、人体に危険が及ぶ場合があり、このような事態を防ぐためである。
【0052】
以上より、本実施の形態におけるコネクタは、雄コネクタ10の電力用プラグ端子11、12が、雌コネクタ20の電力用ジャック端子21、22に嵌合された状態において、制御用プラグ端子13を伸すことにより、制御用ジャック端子23に設けられた制御スイッチを介して電流が流れ、電力用ジャック端子21、22及び、雄コネクタ10のプラグ端子11、12を介し、情報機器40に電力が供給されるものである。
【0053】
(電力供給システム)
次に、本実施の形態におけるコネクタを用いた電力供給システムの構成を説明する。
【0054】
図12は、本実施の形態におけるコネクタを用いた電力供給システムの構成を示すものである。
【0055】
この電力供給システムは、商用電源70より供給されるAC100V又はAC200Vの電力を高圧電源50に入力し、高圧電源50におけるAC/DC変換器51により、AC100V又はAC200VをDC400Vに変換する。直流電力は、バッテリー等により蓄電することが可能であるため、バックアップ用にバッテリー52を設けることにより、停電等の場合においても容易に対応することが可能である。高圧電源50には電源ケーブルを介し、本実施の形態における雌コネクタ20が接続されており、高圧電源50からの400VDCの電力は、雌コネクタ20より供給される。
【0056】
一方、本実施の形態における雄コネクタ10は、サーバ等の情報機器40と電源ケーブル15を介し接続されており、雌コネクタ20と雄コネクタ10とを電気的に接続することにより、高圧電源50からの電力が、サーバ等の情報機器40に供給される。
【0057】
また、サーバ等の情報機器40内には、400VDCをCPU42等の電子部品の動作が可能な低電圧のDC出力に変換するDC/DC変換器41が設けられている。
【0058】
このような、電力供給システムでは、商用電源70からのACからDCへの変換が一回で済むため電力損失が少ないこと、高電圧な直流である400VDCでは、導線等の太さを気にする必要があまりないこと、直流であることからバッテリー52に蓄えることが可能であり、商用電源70の供給が停電等により停止した場合においても、対応しやすいこと等の利点を有している。
【0059】
次に、図13に基づき、本実施の形態におけるコネクタを用いたPDU(パワー・ディストリビューション・ユニット)について説明する。
【0060】
図12に示される高圧電源50より供給される400VDCは、一旦、分電盤70に入力し、各々のPDU(パワー・ディストリビューション・ユニット)30に電力が分配される。各々のPDU30には、本実施の形態における雌コネクタ20が複数設けられており、各々の雌コネクタ20を介し400VDCの電力を供給することが可能である。一方、サーバラック45には、複数のサーバ等の情報機器40が収納されており、各々のサーバ等の情報機器40には、電源供給を受けるための雄コネクタ10が電源ケーブル15を介し接続されている。雄コネクタ10は、PDU30に設けられた雌コネクタ20と電気的に接続することにより、400VDCの電力が供給されるように構成されている。
【0061】
尚、上記説明においては、400VDCの場合について詳しく説明したが、本発明の実施の形態として記載されている雄コネクタ、雌コネクタ及びコネクタは直流(DC)であれば、用いることが可能である。特に、直流の場合はACと異なり、人体に安全な周波数というのも存在しないからである。
【0062】
また、人体における影響の観点から直流電圧としては、通常は48V以下の電圧が用いられている。これは、通常48V以下であれば、感電により人体に与える影響が殆どないためであり、このことから、48Vを超える電圧の場合、人体に与える影響は大きく、特に、200V以上の電圧は危険である。
【0063】
本発明の実施の形態における雄コネクタ、雌コネクタ及びコネクタは、安全性を高めた構成であることから、48Vを超える電圧、更には、200V以上の電圧に特に顕著な効果を発揮するものである。即ち、本実施の形態における雄コネクタ、雌コネクタ及びコネクタは、従来とは異なる構成により安全性を高めているため、48Vを超える電圧、更には、200V以上の電圧についても安全性が高められているため、特に、顕著な効果を発揮するものである。
【0064】
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態は、本発明に係る雄コネクタに関するものである。具体的には、制御用プラグ端子の伸縮をスライドスイッチにより行う構成のものである。
【0065】
図14に、本実施の形態の雄コネクタの構成を示す。図14(a)は、制御用プラグ端子113が縮んでいる状態の雄コネクタ110の斜視図であり、図14(b)は、制御用プラグ端子113が伸びている状態の雄コネクタ110の斜視図である。
【0066】
本実施の形態における雄コネクタ110は、電力の供給を受けるための2本の電力用プラグ端子111、112、制御用プラグ端子113、アースのための接地用プラグ端子114、スライドスイッチ116、ロック端子108を有している。
【0067】
図14(a)に示す状態から、図14(b)に示す状態に、スライドスイッチ116を制御用プラグ端子113の差込方向にスライドさせることにより、制御用プラグ端子113が伸びる構成のものである。
【0068】
次に、図15、図16に基づき本実施の形態に係る雄コネクタ110において、制御用プラグ端子113を伸す場合について説明する。尚、制御用プラグ端子113を伸すことにより、不図示の雌コネクタにおける制御用ジャック端子に設けられたスイッチの接点が開いた状態から閉じた状態となる。
【0069】
図15(a)は、制御用プラグ端子113が縮んでいる状態における内部構造図であり、図15(b)は、制御用プラグ端子113が縮んでいる状態における内部斜視図である。図15(c)は、制御用プラグ端子113が縮んでいる状態から伸びた状態に移行する際の中立状態における内部構造図であり、図15(d)は、制御用プラグ端子113が縮んでいる状態から伸びた状態に移行する際の中立状態における内部斜視図である。図15(e)は、制御用プラグ端子113が伸びている状態における内部構造図であり、図15(f)は、制御用プラグ端子113が伸びている状態における内部斜視図である。また、図16は、図15(b)の部分的拡大図である。
【0070】
図15(a)、(b)に示すように、スライドスイッチ116は、雄コネクタ110の内部においてU字部117が設けられており、制御用プラグ端子リンク118を介し、制御用プラグ113が伸びる構成のものである。また、雄コネクタ110の内部には、コイルバネ119が設けられており、このコイルバネ119はコイルバネ119の伸縮を伝達する伝達部120の一方の端と接続されている。伝達部120の他方の端は、制御用プラグ端子リンク118のカム軸121と回転可能な状態で接続されており、このカム軸121は、カム溝122内を移動可能な構成となっている。
【0071】
また、制御用プラグ端子リンク118には、スライド軸123が設けられており、スライド溝124内を移動可能な構成となっている。また、制御プラグ端子リンク118の先端部125は、制御プラグ端子113に設けられた緩衝溝126内に挿入しており、移動可能な状態となっている。
【0072】
制御用プラグ端子113が縮んでいる状態では、図面上、スライドスイッチ116は左側に位置しており、制御用プラグ端子リンク118も左側に位置している。カム軸121は、カム溝122内の最も左側に位置しており、U字部117の左側の内部壁面において接している。また、制御用プラグ端子リンク118のスライド軸123は、スライド溝124内の左側に位置しており、先端部125は、緩衝溝126の左端と接している。この際、コイルバネ119は若干縮んだ状態にある。
【0073】
この後、スライドスイッチ116を差込方向に対し差込む方向(右方向)に移動させることにより、図15(c)、(d)に示す中立状態となる。この中立状態では、スライドスイッチ116の移動方向と、コイルバネ119の伸縮方向とが垂直となっている。
【0074】
この状態では、図面上、スライドスイッチ116はほぼ中央部に位置し、制御用プラグ端子リンク118は、U字部117の左側の内部壁面により、カム軸121が右側に押され、カム溝122内を右側に移動しほぼ中央部に移動する。この際、制御用プラグ端子リンク118の先端部125も右側に移動するが、緩衝溝126内での移動であるため、制御用プラグ端子113は、縮んだ状態のままである。この状態では、先端部125は、緩衝溝126の右端に接しており、また、コイルバネ119は、図15(a)、(b)に示す状態よりも更に縮んだ状態となっており、コイルバネ119の復元力により伝達部120を押し上げようとする力が強くなっている。
【0075】
この後、スライドスイッチ116を差込方向に対し差込む方向(右方向)に更に移動させることにより、コイルバネ119の復元力により図15(e)、(f)に示す状態となる。
【0076】
即ち、コイルバネ119が伸びる復元力により、図面上、伝達部120を介しカム溝122内をカム軸121が右方向に移動し、これにより、制御用プラグ端子リンク118の先端部125を介し、緩衝溝126の右端が押され、制御用プラグ端子113が差込方向に伸びるのである。
【0077】
この状態では、図面上、スライドスイッチ116は右側に移動しており、制御用プラグ端子リンク118も右側に移動している。また、カム軸121は、カム溝122内の最も右側に移動しており、U字部117の右側の内部壁面において接している。また、制御用プラグ端子リンク118のスライド軸123は、スライド溝124内の右側に移動し、先端部125は、緩衝溝126の右端と接している。この際、コイルバネ119は、中立状態よりも伸びた状態となっている。
【0078】
このようにして、制御用プラグ端子113を差込方向に伸すことができる。これは、中立状態からのコイルバネ119の復元力、即ち、コイルバネ119の伸びる力により、制御用プラグ端子113が差込方向に伸すものであるため、短時間に行われる。
【0079】
次に、図17に基づき本実施の形態に係る雄コネクタ110において、制御用プラグ端子113を縮ませる場合について説明する。尚、制御用プラグ端子113が縮んだ状態では、不図示の雌コネクタにおける制御用ジャック端子に設けられたスイッチの接点が閉じた状態から開いた状態となる。
【0080】
図17(a)は、制御用プラグ端子113が伸びている状態における内部構造図であり、図17(b)は、制御用プラグ端子113が伸びている状態における内部斜視図である。図17(c)は、制御用プラグ端子113が伸びている状態から縮んでいる状態に移行する際の中立状態における内部構造図であり、図17(d)は、制御用プラグ端子113が伸びている状態から縮んでいる状態に移行する際の中立状態における内部斜視図である。図17(e)は、制御用プラグ端子113が縮んでいる状態における内部構造図であり、図17(f)は、制御用プラグ端子113が縮んでいる状態における内部斜視図である。
【0081】
図17(a)、(b)に示すように、制御用プラグ端子113が伸びている状態では、図面上、スライドスイッチ116は右側に位置しており、制御用プラグ端子リンク118も右側に位置している。カム軸121は、カム溝122内の最も右側に位置しており、U字部117の右側の内部壁面において接している。また、制御用プラグ端子リンク118のスライド軸123は、スライド溝124内の右側に位置しており、先端部125は、緩衝溝126の右端に接している。この際、コイルバネ119は若干縮んだ状態にある。
【0082】
この後、スライドスイッチ116を引抜く方向(左方向)に移動させることにより、図17(c)、(d)に示す中立状態となる。この中立状態では、スライドスイッチ116の移動方向と、コイルバネ119の伸縮方向とが垂直となっている。
【0083】
この状態では、図面上、スライドスイッチ116はほぼ中央部に位置し、制御用プラグ端子リンク118は、U字部117の右側の内部壁面により、カム軸121が左側に押され、カム溝122内で左側に移動しほぼ中央部に移動する。この際、先端部125も左側に移動するが、緩衝溝126内での移動であるため、制御用プラグ端子113は、伸びた状態のままである。この状態では、先端部125は、緩衝溝126の右端に接しており、また、コイルバネ119は、図17(a)、(b)に示す状態よりも更に縮んだ状態となっており、コイルバネ119の復元力により伝達部120を押し上げようとする力が強くなっている。
【0084】
この後、スライドスイッチ116を引抜く方向(左方向)に更に移動させることにより、コイルバネ119の復元力により図17(e)、(f)に示す状態となる。
【0085】
即ち、コイルバネ119が伸びる復元力により、図面上、伝達部120を介しカム溝122内をカム軸121が左方向に移動し、これにより、制御用プラグ端子リンク118の先端部125を介し、緩衝溝126の左端が押され、制御用プラグ端子113が差込方向に対し縮むのである。
【0086】
この状態では、図面上、スライドスイッチ116は左側に移動しており、制御用プラグ端子リンク118も左側に移動している。また、カム軸121は、カム溝122内の最も左側に移動しており、U字部117の左側の内部壁面において接している。また、制御用プラグ端子リンク118のスライド軸123は、スライド溝124内の左側に移動し、先端部125は、緩衝溝126の左端と接している。この際、コイルバネ119は、中立状態よりも伸びた状態となっている。
【0087】
このようにして、制御用プラグ端子113を差込方向に対し縮ませることができる。これは、中立状態からのコイルバネ119の復元力、即ち、コイルバネ119の伸びる力により、制御用プラグ端子113が差込方向に対し縮ませるものであるため、短時間に行われる。
【0088】
ところで、このようなコイルバネ119を有しない構成の場合、人の指の力のみで、制御用プラグ端子113を差込方向に伸したり縮めたりするが、人によって伸す速度や縮める速度が異なり、遅くなる場合がある。
【0089】
このような場合、制御用プラグ端子113の伸びる速度や縮める速度が遅いことに起因し、この制御用プラグ端子113により接続される不図示の雌コネクタの接点において、アークが発生したりチャタリングが発生したりする。このようなアークの発生やチャタリングの発生は、雌コネクタの接点を破損させたり、雄コネクタに接続されている機器を破損させたりするおそれがある。
【0090】
本実施の形態における雄コネクタ110においては、短時間に制御用プラグ端子113を伸したり、縮めたりすることができるため、このようなアークの発生やチャタリングの発生を防ぐことができ、雌コネクタの接点の破損や、雄コネクタに接続されている機器の破壊を防止することが可能となる。
【0091】
次に、図18に基づき本実施の形態における雄コネクタの機構について、より詳細に説明する。図18(a)は、制御用プラグ端子113が縮んでいる状態における雄コネクタの部分的な断面図であり、図18(b)は、中立状態における雄コネクタの部分的な断面図であり、図18(c)は、制御用プラグ端子113が伸びている状態における雄コネクタの部分的な断面図である。
【0092】
図18(a)において、図面上、スライドスイッチ116を左側に移動させることにより、U字部117の右側の内部壁面よりカム軸121が左側に押され、カム軸121がカム溝122内を左側に移動し、制御用プラグ端子リンク118が左側に移動する。この際、カム軸121より伝達部120を介し、コイルバネ119が縮む。尚、本実施の形態における雄コネクタ110のコイルバネ119は、コイルバネホルダ127内に納められており、伝達部120に接していない方の端は、コイルバネホルダ127の内部において固定されている。また、コイルバネホルダ127は、雄コネクタ110の筐体と回転軸128において回転可能な状態で支持されている。
【0093】
このようにして、図18(b)に示す中立状態となる。この状態では、コイルバネ119は縮んだ状態であり、伸びる方向への復元力が大きな状態となっている。
【0094】
この後、スライドスイッチ116を更に左側に移動させることにより、コイルバネ119の復元力により、伝達部120を押し上げ、この力により、カム軸121がカム溝122内を左側に移動する。この力により、制御用プラグ端子リンク118の先端部125を介し、制御用プラグ端子113が左方向に移動、即ち、制御用プラグ端子113が差込方向に伸び、図18(c)に示す状態となる。
【0095】
このようにして、短時間で制御用プラグ端子113を伸すことができるのである。
【0096】
同様に、制御用プラグ端子113を縮める場合も、コイルバネ119の復元力により、中立状態から制御用プラグ端子113が縮んだ状態とすることができるため、短時間で制御用プラグ端子113を縮めることができる。
【0097】
尚、本実施の形態では、コイルバネ119が縮んでいる状態から伸びる方向に働く復元力を利用して、制御用プラグ端子113を伸縮させるものについて説明したが、カム溝122の構造等を変えることにより、コイルバネ119が伸びた状態から縮む復元力を利用して、同様に制御用プラグ端子113の伸縮を行うことも可能である。また、本実施の形態では、コイルバネ119を用いたが、同様の作用が得られる弾性体であれば、どのような構成のものであってもよい。
【0098】
以上、本実施の形態における雄コネクタについて説明したが、本実施の形態における雄コネクタは、第1の実施の形態における雄コネクタに代えて用いることができるものであり、本実施の形態における雄コネクタと、第1の実施の形態に記載されている雌コネクタにより、コネクタとして使用することができるものである。
【0099】
また、本発明の実施に係る形態について具体的に説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】第1の実施の形態におけるコネクタの構成図
【図2】第1の実施の形態におけるコネクタの外観の斜視図
【図3】第1の実施の形態における雄コネクタの内部構造の斜視図
【図4】第1の実施の形態における雌コネクタの構造図
【図5】第1の実施の形態における雌コネクタの内部構造の斜視図
【図6】第1の実施の形態におけるコネクタの接続方法の説明図(1)
【図7】第1の実施の形態におけるコネクタの接続方法の説明図(2)
【図8】第1の実施の形態におけるコネクタの接続方法の説明図(3)
【図9】第1の実施の形態における雌コネクタのスイッチ部分の構成概略図
【図10】第1の実施の形態におけるコネクタの制御用プラグ端子が縮んだ状態の斜視図
【図11】第1の実施の形態におけるコネクタの制御用プラグ端子が伸びた状態の斜視図
【図12】第1の実施の形態におけるコネクタを用いた電源供給システムの構成図
【図13】第1の実施の形態におけるコネクタを用いたPDUの斜視図
【図14】第2の実施の形態における雄コネクタの外観の斜視図
【図15】第2の実施の形態における雄コネクタの制御用プラグ端子を伸す場合の説明図
【図16】第2の実施の形態における雄コネクタの内部構造の斜視図
【図17】第2の実施の形態における雄コネクタの制御用プラグ端子を縮ませる場合の説明図
【図18】第2の実施の形態における雄コネクタの内部構造の部分的な断面図
【符号の説明】
【0101】
10 雄コネクタ
11 電力用プラグ端子(+)
12 電力用プラグ端子(−)
13 制御用プラグ端子
14 接地用プラグ端子
15 電源ケーブル
20 雌コネクタ
21 電力用ジャック端子(+)
22 電力用ジャック端子(−)
23 制御用ジャック端子
24 接地用ジャック端子
25、25A、25B 永久磁石
31 制御スイッチ
32 制御スイッチ
33 絶縁体の板バネ
40 サーバ等の情報機器
50 高圧電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、前記電源から電力の供給を受ける電子機器とを電気的に接続するための雌コネクタと接続される雄コネクタであって、
前記雄コネクタは、前記電子機器に接続されており、前記電力供給を受けるための導体からなる2本の電力用プラグ端子と、1本の制御用プラグ端子を有し、前記制御用プラグ端子は、差込方向に伸縮可能であり、
前記雌コネクタは、前記電源に接続されており、前記2本の電力用プラグ端子の各々対応する2つの電力用ジャック端子と、前記制御用プラグ端子に対応する制御用ジャック端子を有しており、
前記制御用ジャック端子には、2つの制御スイッチが設けられており、
前記2つの制御スイッチは、前記2つの電力用ジャック端子の各々に接続されており、前記電源は前記2つの制御スイッチを介し前記電力用ジャック端子より電力を供給するものであって、
前記2本の電力用プラグ端子と前記2つの電力用ジャック端子を嵌合した状態において、前記制御用ジャック端子に前記制御用プラグ端子を差込方向に伸すことにより、前記2つの制御スイッチの接点が接続され、前記電子機器に電力が供給されるものであることを特徴とする雄コネクタ。
【請求項2】
前記制御プラグ端子の差込方向の伸縮は、スライドスイッチ、または、押ボタンスイッチにより行われるものであることを特徴とする請求項1に記載の雄コネクタ。
【請求項3】
制御プラグ端子リンクを介し前記制御プラグ端子の差込方向の伸縮を行うためのスライドスイッチと、伸縮可能なコイルバネと、を有し、
前記スライドスイッチの移動方向と前記コイルバネの伸縮方向とが垂直となる中立状態となるものであって、
前記スライドスイッチを移動させることにより、前記コイルバネを伸縮させるものであることを特徴とする請求項1に記載の雄コネクタ。
【請求項4】
前記中立状態において、前記コイルバネは伸びた状態又は縮んだ状態にあり、
前記中立状態より、前記コイルバネの復元力により、前記制御プラグ端子は前記制御プラグ端子リンクを介し、前記差込方向に対し伸びるものであることを特徴とする請求項3に記載の雄コネクタ。
【請求項5】
前記中立状態において、前記コイルバネは伸びた状態又は縮んだ状態にあり、
前記中立状態より、前記コイルバネの復元力により、前記制御プラグ端子は前記制御プラグ端子リンクを介し、前記差込方向に対し縮むものであることを特徴とする請求項3に記載の雄コネクタ。
【請求項6】
前記雄コネクタには、前記制御用プラグ端子の差込方向の伸縮に対応して、前記差込方向に垂直に突出するロック端子が設けられており、
前記ロック端子は、前記プラグ端子を前記差込方向に伸すことにより、前記差込方向に垂直に突出し、
前記雌コネクタには、前記突出したロック端子に対応した形状の凹状部が設けられており、
前記雄コネクタと雌コネクタとを嵌合した状態で、前記制御用プラグ端子を伸すことにより、前記雌コネクタの凹状部に前記ロック端子が前記差込方向に垂直に嵌入し、前記雄コネクタと前記雌コネクタとの嵌合状態が維持されるものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の雄コネクタ。
【請求項7】
前記雄コネクタには接地用プラグ端子が設けられており、
前記雌コネクタには、前記接地用プラグ端子に対応した接地用ジャック端子が設けられおり、
前記雌コネクタと雄コネクタとが嵌合した状態においては、前記接地用プラグ端子と、前記接地用ジャック端子とが嵌合した状態にあることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の雄コネクタ。
【請求項8】
前記電源より供給される電力は、直流であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の雄コネクタ。
【請求項9】
前記電源より供給される電力の電圧は、48Vを超える電圧であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の雄コネクタ。
【請求項10】
電源と、前記電源から電力の供給を受ける電子機器とを電気的に接続するための雄コネクタと接続される雌コネクタであって、
前記雄コネクタは、前記電子機器に接続されており、前記電力供給を受けるための導体からなる2本の電力用プラグ端子と、1本の制御用プラグ端子を有し、前記制御用プラグ端子は、差込方向に伸縮可能であり、
前記雌コネクタは、前記電源に接続されており、前記2本の電力用プラグ端子の各々対応する2つの電力用ジャック端子と、前記制御用プラグ端子に対応する制御用ジャック端子を有しており、
前記制御用ジャック端子には、2つの制御スイッチが設けられており、
前記2つの制御スイッチは、前記2つの電力用ジャック端子の各々に接続されており、前記電源は前記2つの制御スイッチを介し前記電力用ジャック端子より電力を供給するものであって、
前記2本の電力用プラグ端子と前記2つの電力用ジャック端子を嵌合した状態において、前記制御用ジャック端子に前記制御用プラグ端子を差込方向に伸すことにより、前記2つの制御スイッチの接点が接続され、前記電子機器に電力が供給されるものであることを特徴とする雌コネクタ。
【請求項11】
前記制御スイッチは、金属からなる板バネ状のスイッチであることを特徴とする請求項10に記載の雌コネクタ。
【請求項12】
前記雌コネクタにおいて、前記2つの制御スイッチと、前記制御用プラグ端子との間には、絶縁体バネが設けられており、前記制御用プラグ端子を差込方向に伸すことにより、前記絶縁体バネが撓み、前記絶縁体バネを介し、前記制御スイッチの接点が接続されるものであることを特徴とする請求項11又は12に記載の雌コネクタ。
【請求項13】
前記制御スイッチの接点の近傍には永久磁石が設けられており、前記永久磁石は、前記制御スイッチの接点が切断される際に生じるアークを外側に吹き飛ばし、前記電源からの電力供給を切断するものであることを特徴とする請求項10から12が電荷結合撮像デバイスのいずれかに記載の雌コネクタ。
【請求項14】
前記雄コネクタには接地用プラグ端子が設けられており、
前記雌コネクタには、前記接地用プラグ端子に対応した接地用ジャック端子が設けられおり、
前記雌コネクタと雄コネクタとが嵌合した状態においては、前記接地用プラグ端子と、前記接地用ジャック端子とが嵌合した状態にあることを特徴とする請求項10から13のいずれかに記載の雌コネクタ。
【請求項15】
前記電源より供給される電力は、直流であることを特徴とする請求項10から14のいずれかに記載の雌コネクタ。
【請求項16】
前記電源より供給される電力の電圧は、48Vを超える電圧であることを特徴とする請求項10から15のいずれかに記載の雌コネクタ。
【請求項17】
電源と前記電源から電力の供給を受ける電子機器とを電気的に接続するための雄コネクタと雌コネクタからなるコネクタであって、
前記雄コネクタは、前記電子機器に接続されており、前記電力供給を受けるための導体からなる2本の電力用プラグ端子と、1本の制御用プラグ端子を有し、前記制御用プラグ端子は、差込方向に伸縮可能であり、
前記雌コネクタは、前記電源に接続されており、前記2本の電力用プラグ端子の各々対応する2つの電力用ジャック端子と、前記制御用プラグ端子に対応する制御用ジャック端子を有しており、
前記制御用ジャック端子には、2つの制御スイッチが設けられており、
前記2つの制御スイッチは、前記2つの電力用ジャック端子の各々に接続されており、前記電源は前記2つの制御スイッチを介し前記電力用ジャック端子より電力を供給するものであって、
前記2本の電力用プラグ端子と前記2つの電力用ジャック端子を嵌合した状態において、前記制御用ジャック端子に前記制御用プラグ端子を差込方向に伸すことにより、前記2つの制御スイッチの接点が接続され、前記電子機器に電力が供給されるものであることを特徴とするコネクタ。
【請求項18】
前記制御スイッチは、金属からなる板バネ状のスイッチであることを特徴とする請求項17に記載のコネクタ。
【請求項19】
前記雌コネクタにおいて、前記2つの制御スイッチと、前記制御用プラグ端子との間には、絶縁体バネが設けられており、前記制御用プラグ端子を差込方向に伸すことにより、前記絶縁体バネが変形し、前記絶縁体バネを介し、前記制御スイッチの接点が接続されるものであることを特徴とする請求項17又は18に記載のコネクタ。
【請求項20】
前記制御スイッチの接点の近傍には永久磁石が設けられており、前記永久磁石は、前記制御スイッチの接点が切断される際に生じるアークを外側に吹き飛ばし、前記電源からの電力供給を切断するものであることを特徴とする請求項17から19のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項21】
前記制御プラグ端子の差込方向の伸縮は、スライドスイッチ、または、押ボタンスイッチにより行われるものであることを特徴とする請求項17から20のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項22】
制御プラグ端子リンクを介し前記制御プラグ端子の差込方向の伸縮を行うためのスライドスイッチと、伸縮可能なコイルバネと、を有し、
前記スライドスイッチの移動方向と前記コイルバネの伸縮方向とが垂直となる中立状態となるものであって、
前記スライドスイッチを移動させることにより、前記コイルバネを伸縮させるものであることを特徴とする請求項17から20のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項23】
前記中立状態において、前記コイルバネは伸びた状態又は縮んだ状態にあり、
前記中立状態より、前記コイルバネの復元力により、前記制御プラグ端子は前記制御プラグ端子リンクを介し、前記差込方向に対し伸びるものであることを特徴とする請求項22に記載のコネクタ。
【請求項24】
前記中立状態において、前記コイルバネは伸びた状態又は縮んだ状態にあり、
前記中立状態より、前記コイルバネの復元力により、前記制御プラグ端子は前記制御プラグ端子リンクを介し、前記差込方向に対し縮むものであることを特徴とする請求項22に記載のコネクタ。
【請求項25】
前記雄コネクタには、前記制御用プラグ端子の差込方向の伸縮に対応して、前記差込方向に垂直に突出するロック端子が設けられており、
前記ロック端子は、前記プラグ端子を前記差込方向に伸すことにより、前記差込方向に垂直に突出し、
前記雌コネクタには、前記突出したロック端子に対応した形状の凹状部が設けられており、
前記雄コネクタと雌コネクタとを嵌合した状態で、前記制御用プラグ端子を伸すことにより、前記雌コネクタの凹状部に前記ロック端子が前記差込方向に垂直に嵌入し、前記雄コネクタと前記雌コネクタとの嵌合状態が維持されるものであることを特徴とする請求項17から24のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項26】
前記雄コネクタには接地用プラグ端子が設けられており、
前記雌コネクタには、前記接地用プラグ端子に対応した接地用ジャック端子が設けられおり、
前記雌コネクタと雄コネクタとが嵌合した状態においては、前記接地用プラグ端子と前記接地用ジャック端子とは嵌合した状態にあることを特徴とする請求項17から25のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項27】
前記電源より供給される電力は、直流であることを特徴とする請求項17から26のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項28】
前記電源より供給される電力の電圧は、48Vを超える電圧であることを特徴とする請求項17から27のいずれかに記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図16】
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【図18】
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【図13】
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【図15】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−56055(P2010−56055A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251497(P2008−251497)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】