説明

集合住宅における複層屋上防水構造及び集合住宅

【課題】 防水層のメンテナンス性を高く保持すると同時に、万一漏水が発生しても、集合住宅に及ぶ影響を最小限に留めうる、集合住宅における複層屋上防水構造を提供することを目的とする。
【解決手段】 本集合住宅における防水構造は、屋上スラブ1と、屋上スラブ1の上部を覆う下側防水層6と、下側防水層6よりも上に位置し、外部に露出する上側防水層13とを備え、下側防水層6と上側防水層13の間に、通気性及び通水性を有する中間層8を設けてなる。防水層のメンテナンスを、露出防水構造と同等程度に容易にし、万一、上側防水層13の防水性が破られ漏水が発生しても、中間層8を介して水を屋上スラブ1外へ排出し、コンクリートスラブを保護する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンション等の複数階層を備える集合住宅における屋上の防水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
陸屋根を有する集合住宅の最上部には、屋上スラブが施工される。屋上スラブに何らの防水構造が施されず、屋上スラブがそのまま露出するように処理される場合もあるが、屋上スラブに防水層を施工し、防水性を高める処理がされることが多い。
【0003】
100年あるいはそれ以上(例えば、300年)の長寿命の集合住宅を求める傾向が強まっているが、集合住宅を長く安心して住めるものにしてゆくためには、屋上の防水性についても考慮が必要となる。
【0004】
そうすると、屋上スラブをそのまま露出させるのは、問題外であって、何らかの防水構造を施すことが必須となる。このような防水構造は、次の2種類の構造に分けることができる。
【0005】
その一つは、いわゆる押え防水構造である。すなわち、屋上スラブの上を防水層で覆い、さらにその防水層の上を、コンクリート等で覆う防水構造である。このようにすれば、防水層を押え部材が風雨、日照り等から保護することになる。
【0006】
しかしながら、防水層は、完全に押え部材の下に隠されてしまい、外部から目視することができないので、防水層の状態の点検、補修、交換というようなメンテナンスを行うことは極めて困難になる。押え部材に保護されているとはいえ、防水層には保証年数(通常10年程度)があり、防水層は、いずれは劣化し、その防水能力を失い使用できなってしまう。また、一度漏水が発生すると、防水層が押え部材に覆われているため、どの箇所が原因なのか不明であり、対応が困難になる。
【0007】
もう一つは、いわゆる露出防水構造である。すなわち、屋上スラブの上を防水層で覆うが、その防水層の少なくともほとんどの部分が、露出する防水構造である。様々なメーカーが、様々な構造、素材を工夫し、多層の防水材を重ね合わせ、多種多様の防水層が市販されている。
【0008】
防水層のメーカーは、自社製品の保証年数(例えば、10年)を謳い、その防水性を競っているが、その防水層からは水が漏れないという前提の上でのみ物事を考えており、防水性が破られ、漏水が発生した場合は、全く想定していない。
【0009】
それ故、露出防水構造を採用すると、押え防水構造に比べ、防水層のメンテナンスを格段に行いやすいが、防水層は押え部材で保護されておらず、防水性が一旦破られると、防止層の下に水がたまり、その水が原因で、水漏れや屋上スラブ等の劣化等が発生してしまうおそれがあった。
【0010】
このような事態は、集合住宅の寿命延長の障碍となることは言うまでもない。
【特許文献1】特開2004−293031号公報
【特許文献2】特開2004−121031号公報
【特許文献3】特開2006−161430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで本発明は、防水層のメンテナンス性を高く保持すると同時に、万一漏水が発生しても、集合住宅に及ぶ影響を最小限に留め、防水層の貼り替え周期を、例えば50年ごとなど、なるべく長くできる、集合住宅における複層屋上防水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明に係る集合住宅における防水構造は、屋上スラブと、屋上スラブの上部を覆う下側防水層と、下側防水層よりも上に位置し、外部に露出する上側防水層とを備え、下側防水層と上側防水層の間に、通気性及び通水性を有する中間層を設けてなる。
【0013】
この構成において、上側防水層は、外部に露出するから、防水層の点検、補修及び交換等のメンテナンスを、露出防水構造と同様に容易に実施できる。
【0014】
また、上側防水層と下側防水層により、通気性及び通水性を有する中間層がサンドイッチされるため、万一、上側防水層の防水性が破られ、上側防水層の下部に漏水が発生しても、中間層を介して水は滞留することなく速やかに屋上スラブ外へ排出される。
【0015】
さらに、漏水が発生した際にも、下側防水層の防水性により、屋上スラブは保護されているので、コンクリートスラブは水による被害を受けにくい。
【0016】
第2の発明に係る集合住宅における防水構造は、屋上スラブの一定箇所において雨樋を設け、一定箇所において下側防水層のレベルを下げて下側防水層と上側防水層との間で捉えられた水を雨樋へ導く排水部を設けてなる。
【0017】
この構成により、万一上側防水をの防水性を破る漏水が発生しても、中間層を介して一定箇所に水を集めることができ、速やかに、屋上スラブから下方(雨樋側)へ排水し、屋上スラブを保護することができる。
【0018】
第3の発明に係る集合住宅における防水構造は、排水部は、雨樋の上端部に取り付けられる第1のドレイン本体と、第1のドレイン本体と共に下側防水層を挟む第1の防水層押えと、下側防水層と上側防水層との間に捉えられた水が第1のドレイン本体側へ流入できるように第1の防水層押えの上部に設けられる通水筒と、通水筒の周囲に券回される緩衝材と、通水筒の上部に設けられる第2のドレイン本体と、第2のドレイン本体と共に上側防水層を挟む第2の防水層押えと、第2の防水層押えの上部に設けられる屋上用ストレーナとを備える。
【0019】
この構成により、下側防水層の排水部側は、第1のドレイン本体と第1の防水層押えにより挟まれ、上側防水層の排水部側は、第2のドレイン本体と第2の防水層押えにより挟まれ、上側防水層及び下側防水層の間に捉えられた水が外部に漏れず、通水筒を介して排水部の内部へ導かれるようになっている。
【0020】
また、上側防水層の上面により捉えられた水は、屋上ストレーナを介して排水部の内部へ導かれるようになっている。
【0021】
即ち、以上2系統の水の流れが確保され、排水部において合流し、雨樋へ円滑に排水される。
【0022】
第4の発明に係る集合住宅における防水構造は、屋上用ストレーナと、第2の防水層押えと、第2のドレイン本体と、通水筒と、第1の防水層押えとは、下側防水層及び上側防水層を屋上スラブ上に設置したまま、第1のドレイン本体から分離可能に形成され、分離時には、第1のドレイン本体と雨樋の上端部が外部に露出し取り外し可能となる。
【0023】
この構成により、排水部内の清掃を行う際には、屋上用ストレーナと、第2の防水層押えと、第2のドレイン本体と、通水筒と、第1の防水層押えと取り外し、第1のドレイン本体と雨樋の上端部を外部に露出させることができ、排水部に溜まった、土、コケ、ゴミ等の異物を容易に取り除くことができる。しかもこの際、屋上スラブや、上側防水層、下側防水層等が傷つけられることはない。
【0024】
清掃が完了したら、以上とは逆に各部材を取り付けることにより、上側防水層、下側防水層を傷つけることなく、清掃前の状態へ復帰することができる。
【0025】
第5の発明に係る集合住宅における防水構造は、屋上スラブと下側防水層との間に、断熱層を設け、断熱層のうち排水部に臨む縁部を排水部に向けて下向きに傾斜するように形成して下側防水層のうち排水部に至る箇所を同様に傾斜させ、中間層から通水層へ至り傾斜する下側防水層の上に位置する領域に、通水部材を配置する。
【0026】
この構成により、排水部へ至る水勾配を確保できるし、通水部材の配置により、排水部回りで、中間層及びそれよりも上の層をフラットな姿勢とすることができる。
【0027】
第6の発明に係る集合住宅における防水構造は、屋上スラブから垂直に起立するパラペットに対して空間を空けてレンガ又はブロックを積み、レンガ又はブロックにより上側防水層の端部を押さえ、しかも、レンガ又はブロックの上部を孔開きレンガ又はブロックとして、中間層から空間に至り、さらに孔開きレンガ又はブロックを介して外部へ連通する空気通路を形成してなる。
【0028】
この構成により、レンガ又はブロックにより、上側スラブの端部を押さえて浮き上がりを防止できるだけでなく、中間層は通気性及び通水性を有するので、上側防水層と下側防水層との間の気体(空気が主であるが、水蒸気を含むかもしれない。)を空間及び孔開きレンガ又はブロックを介して、外気と連通させることができ、上側防水層側が高温となったときには排気を行い、上側防水層側が低温となったときには給気を行うなど、屋上スラブの直上部分における通気性を良好に保持することができ、防水層の膨れを防止できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、防水層の点検、補修及び交換等のメンテナンスを、露出防水構造と同等程度に容易に実施できる。
【0030】
万一、上側防水層の防水性が破られ、上側防水層の下部に漏水が発生しても、中間層を介して水を屋上スラブ外へ排出でき、コンクリートスラブを水による被害から保護できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施の形態における複層屋上防水構造の斜視図、図2は、本発明の一実施の形態における下側防水層のレベルが下げられた排水部付近(孔開きレンガ有り)の縦断面図、図3は、本発明の一実施の形態における下側防水層のレベルが下げられた排水部付近(孔開きレンガ無し)の縦断面図である。
【0033】
図1に示すように、集合住宅の屋上において、屋上スラブ1が水平に形成され、屋上スラブ1の縁部から垂直にパラペット2が起立する。
【0034】
パラペット2の上端部は、屋上の内側に水平に折れ曲がる。その水平に折れ曲がった部分の上面には、例えば400ミリメートル角のタイル3が敷かれ、タイル3の外側縁部には、水切金物4が固定される。以上は、通常の集合住宅の屋上設備と同様に形成して差し支えない。
【0035】
水平な屋上スラブ1の上面上には、断熱層5を形成するシートあるいはパネルが敷き詰められる。断熱層5の上面には、下側防水層6が形成される。
【0036】
下側防水層6は、概ね屋上スラブ1と平行に、つまり水平に設けられるが、所定の箇所では、図2、図3に示すように、レベルが下げられ、その所定の箇所の最低部は、縦に配置される雨樋14の上端部分に接続される。なお、詳細は後述する。
【0037】
また、下側防水層6は、パラペット2の起立部分まで形成されるとともに、パラペット2の起立部分に接した後、上側に折れ曲がり起立部6aとなり、起立部6aは、パラペット2の内面に沿って、パラペット2が水平に折れ曲がる角部まで形成される。
【0038】
パラペット2の水平部分と、起立部6aの上端部とは、逆L字状をなす押え金物7により固定され、下側防水層6とパラペット2との間に水が進入できないようにされている。
【0039】
図1に示すように、下側防水層6の上面には、図2に示す中間層本体8aが複数枚敷き詰められ、中間層8が形成される。
【0040】
本形態の中間層本体8aは、一定厚を有する板体を有し、所定位置に設けられる溝tを開けて板体の裏面側から下向きに突出する角柱状の突部が複数個設けられる。板体は、例えば900ミリメートル角程度の大きさとすることが望ましく、突部の幅は、例えば250ミリメートル程度とし、突部同士の溝tは、例えば50ミリメートル程度とするのが望ましい。
【0041】
中間層本体8aは、断熱材により構成するのが望ましいが、原理的には、通気性、通水性及び強度等が実用にかなうものであれば任意に構成できる。例えば、剣山のように図2の例よりももっと細かな突部を多数設けてもよいし、突部を円形、菱形、平行四辺形、六角形、あるいはそのほかの多角形にするなど種々変更しても差し支えない。
【0042】
さて、図1、図2に示すように、中間層8は、パラペット2に接する下側防水6の起立部6aまでは至らず、中間層8と下側防水層6の起立部6aとの間には、空間Sが開けられている。
【0043】
次に、図4から図11を参照しながら、施工手順について詳しく説明する。(1)まず屋上スラブ1のコンクリート打設時に、雨樋14と同軸状になるように、ドレイン本体30を図4(b)に示すように設置する。
【0044】
(2)図5に示すように、打設された屋上スラブ1の上に断熱材5(例えば、硬質スタイロフォーム等が好ましい)を敷設する。ここで、断熱材5のドレイン回りは、逆円錐状に斜めに(つまり雨樋14側が低くなるように)形成されており、これにより、水勾配が確保される。
【0045】
(3)図6に示すように、断熱材5の上に下側防水層6を敷設する。また、図2に示すように、防水層押え31とドレイン本体30との間に、下側防水層6の先端部分を挟み込む。
【0046】
また、図2に示すように、下側防水層6の端部をパラペット2の内面に沿って起立させ起立部6aとする。起立部6aの上端部は、パラペット2の角まで至り、そこで押え金物7でパラペット2の内面に固定する。
【0047】
(4)図7に示すように、下側防水層6と上側防水層13との間において、ドレインの回りに通水筒21と緩衝材20を設置する。
【0048】
通水筒21には、下側防水層6と上側防水層13との間に設けられる中間層8からの水をドレイン内へ導けるようにするため、適宜、通水孔が開けてある。また、通水筒21は、上側防水層13を挟む中継用ストレーナ32の位置を安定させる役割も持つ。
【0049】
通水筒21の周囲には、粗目で通水性を有する素材で形成された緩衝材20が巻回される。このようにしたのは、通水筒21と、その外側に充填されるモルタル9では、熱膨張係数、つまり伸縮の度合いが異なるため、互いの縁を切り、部材の破損を回避し、中継用ストレーナ32を保護するためである。なお、中継用ストレーナ32を図示した状態から天地逆にすることもできる。
【0050】
(5)図8に示すように、通水筒21と緩衝材20の外側に、モルタル(透水モルタルが好適である)9を、その上面がフラットとなるように充填する。こうすれば、(2)で形成した勾配が補正され、モルタル9よりも上の部材をフラットにし、これらの部材の荷重を受けることができる。
【0051】
(6)図9に示すように、フラットとなったモルタル9及びその周囲の下側防水層6の上に、中間層8を形成する中間層本体8aを敷設する。これにより、下側防水層6と上側防水層13の間に、通水及び通気を可能とする空間が確保される。中間層本体8aは、全面に隙間無く敷設するのではなく、図9(a)に示すように、隣接する中間層本体8a同士の間に、適当な隙間(溝)が形成されるようにするのが望ましい。
【0052】
(7)図10に示すように、中間層8の上に断熱層5を敷設する。ドレイン回りにおいては、ドレイン内へ水を導くため、断熱層5を小割にして、導水路を確保するのが望ましい。
【0053】
なお、端部においては、図2に示すように、断熱層5を敷設せず、かわりに、ワイヤーメッシュが予め配筋された敷きモルタル22を敷設し、敷きモルタル22をレンガ又はブロック積みの基礎とする。
【0054】
さらに、敷きモルタル22の上にレンガ又はブロック10を積む。このように、中間層本体8a、敷きモルタル22、レンガ又はブロック10という、縦方向の配置を採用したため、各部材の膨張係数、即ち、伸縮幅が異なっても、防水層6、13を傷つけないようになっている。このような配慮は、各防水層の寿命を延長する上で重要であることは言うまでもない。
【0055】
また、防水層押え31の上に、中継用ストレーナ32を、天地逆向き(上側の直径が大きく下側の直径が小さくなるように)に設置する。中継用ストレーナ32は、ストレーナの上層と下層とを接続し、これらの層が互いにずれないように保持する役割を有する。
【0056】
(8)図11に示すように、断熱層5の上に、上側防水層13を敷設する。また、図2に示すように、上側防水層13のうち、ドレイン回りに至る部分を、ドレイン本体33と防水層押え34とにより、挟み込んで押さえる。但し、接着は行わないのが望ましい。これは、後述するように、排水部を清掃する際に、部材の分割を容易にするためにである。
【0057】
さらに、図2に示すように、防水層押え34の上に、屋上用ストレーナ34を取り付ける。以上により、施工が完了する。
【0058】
さて、図2に示すように、所定の部分においては、レンガ又はブロック10が何段か積まれた後、その上には、孔開きレンガ又はブロック11が積まれて、孔開きレンガ又はブロック11の頂部は、ほぼパラペットの直下まで至る。パラペット2の水平部下面と孔開きレンガ又はブロック11との間は、適宜折り曲げられたカバー12が取り付けられ、水切りされる。
【0059】
図2に示すように、所定の部分においては、カバー12の下端部は、孔開きレンガ又はブロック11よりも下方まで延びているので、カバー12の水切り作用により、孔開きレンガ又はブロック11から空間Sへ水が進入したり、レンガ又はブロック10と上側防水層13との間から水がこの間に進入しないようになっている。
【0060】
しかしながら、図3に示すように、所定の部分以外では、孔開きレンガ又はブロック11を設けず、レンガ又はブロック10がパラペット2の折れ曲がり部の真下まで至るようにしてよい。このようにしても、空間Sは、レンガ又はブロック10の背部で互いに連通しているので、空間Sの通気性は十分確保できる。勿論、孔開きレンガ又はブロック11が設けられていない部分では、カバー12の設置を省略して良い。
【0061】
次に、図12を参照しながら、排水部を清掃する際の操作について説明する。排水部は、上述のように構成されているから、各部品を上から順に取り外して分離することができる。
【0062】
即ち、屋上用ストレーナ35、防水層押え34、ドレイン本体33、通水筒21及び緩衝材20、中継用ストレーナ32、防水層押え31の順に、それぞれを排水部から外してゆくことができる。
【0063】
外す途中においても、外し終わった状態においても、図12に示すように、下側防水層6及び上側防水層13は、屋上スラブ上に設置したままにしておけるだけでなく、これらの破損・損傷は、生じない。
【0064】
外し終われば、露出空間Aにおいて、ドレイン本体30と雨樋14の上端部が外部に露出する。よって、排水部内や露出空間Aなどに存在する、ゴミ等の異物を容易に除去し、清掃を円滑・容易に実施できる。このような清掃をこまめに、かつ容易にできることは、設備及びひいては集合住宅の寿命を延ばすために重要なことである。また、この際、下側防水層の一部を目視できるから、下側防水層の痛み具合を確認することもできる。
【0065】
清掃が完了したら、外した際と逆の順番に、再度各部材を取り付ける。なお、複層屋上防水構造は、図13に示すように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施の形態における複層屋上防水構造の斜視図
【図2】本発明の一実施の形態における下側防水層のレベルが下げられた排水部付近(孔開きレンガ有り)の縦断面図
【図3】本発明の一実施の形態における下側防水層のレベルが下げられた排水部付近(孔開きレンガ無し)の縦断面図
【図4】(a)本発明の一実施の形態における設置工程を示す平面図 (b)本発明の一実施の形態における設置工程を示す断面図
【図5】(a)本発明の一実施の形態における設置工程を示す平面図 (b)本発明の一実施の形態における設置工程を示す断面図
【図6】(a)本発明の一実施の形態における設置工程を示す平面図 (b)本発明の一実施の形態における設置工程を示す断面図
【図7】(a)本発明の一実施の形態における設置工程を示す平面図 (b)本発明の一実施の形態における設置工程を示す断面図
【図8】(a)本発明の一実施の形態における設置工程を示す平面図 (b)本発明の一実施の形態における設置工程を示す断面図
【図9】(a)本発明の一実施の形態における設置工程を示す平面図 (b)本発明の一実施の形態における設置工程を示す断面図
【図10】(a)本発明の一実施の形態における設置工程を示す平面図 (b)本発明の一実施の形態における設置工程を示す断面図
【図11】(a)本発明の一実施の形態における設置工程を示す平面図 (b)本発明の一実施の形態における設置工程を示す断面図
【図12】本発明の一実施の形態における排水部の分解説明図
【図13】本発明の他の例における複層屋上防水構造の縦断面図
【符号の説明】
【0067】
1 屋上スラブ
2 パラペット
3 タイル
4 水切金物
5 断熱層
5a ドレイン回り
6 下側防水層
6a 起立部
7 押え金物
8 中間層
8a 中間層本体
8b 板体
8c 突部
9 モルタル
10 レンガ又はブロック
11 孔開きレンガ又はブロック
12 カバー
13 上側防水層
14 雨樋
15 下・中継用ドレイン
16 屋上用ドレイン
20 緩衝材
21 通水筒
22 敷きモルタル
30 ドレイン本体(下・中継用)
31 防水層押え
32 中継用ストレーナ
33 ドレイン本体(屋上用)
34 防水層押え
35 屋上用ストレーナ
A 露出空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋上スラブと、
前記屋上スラブの上部を覆う下側防水層と、
前記下側防水層よりも上に位置し、外部に露出する上側防水層とを備え、
前記下側防水層と前記上側防水層の間に、通気性及び通水性を有する中間層を設けたことを特徴とする集合住宅における複層屋上防水構造。
【請求項2】
前記屋上スラブの一定箇所において雨樋を設け、前記一定箇所において前記下側防水層のレベルを下げて前記下側防水層と前記上側防水層との間で捉えられた水を前記雨樋へ導く排水部を設けたことを特徴とする請求項1記載の集合住宅における複層屋上防水構造。
【請求項3】
前記排水部は、
前記雨樋の上端部に取り付けられる第1のドレイン本体と、
前記第1のドレイン本体と共に前記下側防水層を挟む第1の防水層押えと、
前記下側防水層と前記上側防水層との間に捉えられた水が前記第1のドレイン本体側へ流入できるように前記第1の防水層押えの上部に設けられる通水筒と、
前記通水筒の周囲に券回される緩衝材と、
前記通水筒の上部に設けられる第2のドレイン本体と、
前記第2のドレイン本体と共に前記上側防水層を挟む第2の防水層押えと、
前記第2の防水層押えの上部に設けられる屋上用ストレーナとを備えることを特徴とする請求項2記載の集合住宅における複層屋上防水構造。
【請求項4】
前記屋上用ストレーナと、前記第2の防水層押えと、前記第2のドレイン本体と、前記通水筒と、前記第1の防水層押えとは、前記下側防水層及び前記上側防水層を前記屋上スラブ上に設置したまま、前記第1のドレイン本体から分離可能に形成され、分離時には、前記第1のドレイン本体と前記雨樋の上端部が外部に露出し取り外し可能とすることを特徴とする請求項3記載の集合住宅における複層屋上防水構造。
【請求項5】
前記屋上スラブと前記下側防水層との間に、断熱層を設け、前記断熱層のうち前記排水部に臨む縁部を前記排水部に向けて下向きに傾斜するように形成して前記下側防水層のうち前記排水部に至る箇所を同様に傾斜させ、前記中間層から前記通水層へ至り傾斜する前記下側防水層の上に位置する領域に、通水部材を配置することを特徴とする請求項3又は4記載の集合住宅における複層屋上防水構造。
【請求項6】
前記屋上スラブから垂直に起立するパラペットに対して空間を空けてレンガ又はブロックを積み、前記レンガ又はブロックにより前記上側防水層の端部を押さえ、しかも、前記レンガ又はブロックの上部を孔開きレンガ又はブロックとして、前記中間層から前記空間に至り、さらに前記孔開きレンガ又はブロックを介して外部へ連通する空気通路を形成したことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の集合住宅における複層屋上防水構造。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の集合住宅における複層屋上防水構造を有する集合住宅。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−63937(P2011−63937A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212998(P2009−212998)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(593144828)株式会社福永博建築研究所 (8)
【Fターム(参考)】