説明

集合住宅のゴミ自動収集装置

【課題】 集合住宅の各戸から出されるゴミを自動収集することにより、ゴミ出しに要する負担を軽減して、快適かつ清潔な居住環境を提供する。
【解決手段】 各戸にそれぞれ備えられ、所定の基準に基づいて分別されたゴミを分別種類毎に収納するゴミ収納ボックス2と、各戸とゴミ収集・管理センター9との間で、ゴミ収納ボックス2を搬送する搬送装置(例えば、第1ベルトコンベア3、エレベータ4、第2ベルトコンベア5、第3ベルトコンベア6)と、搬送装置に対してゴミ収納ボックス2を積み下ろしする積み下ろし装置と、搬送装置に対してゴミ収納ボックス2を着脱可能に保持する保持装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅のゴミ自動収集装置に係り、特に、シルバーマンション、ウイークリーマンション、寮等の集合住宅において、各戸から出されるゴミを自動収集して、快適かつ清潔な居住環境を提供することができる集合住宅のゴミ自動収集装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者人口の増加や核家族化が進んでおり、高齢者のみが居住する住居が増加している。また、障害者に対する福祉支援政策の充実に伴い、介護者が同居していない障害者家庭も存在するようになってきた。
【0003】
ところで、高齢者や障害者は健常者と比較して身体機能が十分でない場合が多く、重いゴミを集積場所まで運ぶことができない等、居住者の負担が増加する傾向にある。そこで、このような身体機能が十分でない家庭の場合には、訪問介護者が来訪した際にゴミ出し等を依頼しているのが現状である。しかし、行政機関等によるゴミ収集は毎日行われているとは限らず、特に重量がある瓶等の資源ゴミの収集日は多くても週1回程度である。
このため、訪問介護者の来訪日がゴミ収集日に該当しないと、ゴミ出しを行うことができない場合があった。
【0004】
また、一般的に、ゴミ収集場所ではゴミ収集時間が決められており、決められた収集時間以外にゴミ出しを行うことが禁止されている。したがって、健常者であっても、帰宅時間や出勤時間がゴミ収集時間に合致しない場合には、ゴミ出しを行うことができない場合もあった。
特に、重量があり嵩張る瓶等の資源ゴミを捨てることができないと、居住空間を圧迫してしまう。また、夏場には、生ゴミが腐敗して悪臭を放つ等、衛生面において快適な居住環境を提供できない場合もあった。
【0005】
そこで、従来より、このような集合住宅を対象としたゴミ収集装置に関する技術が提案されている。例えば、特許文献1の特開平9−77206号「ゴミ収集システム」に、高層マンションの各家庭から出されたゴミ類を、階段やエレベータ等を使わずにゴミ収集場所まで搬送できるようにした技術が種々提案されている。
【0006】
この特許文献1に記載されている「ゴミ収集システム」は、以下の手順により各階からゴミ収集場所までゴミを自動的に搬送するようになっている。まず、筒形シュータ内に待機しているポットを呼出階に空気圧送した後、アクセストランクの蓋を開いてポット内のパケットにゴミを投入する。そして、アクセストランクの蓋を閉じて、空気制動力を利用してポットを降下させ、ポット収集階に停止させる。この際、緩衝機構により落下衝撃を軽減させる。続いて、ポット収集階のアクセストランクの蓋を開いてポット内のパケットをゴミ収集ピットに移動させる。さらに、パケット内のゴミをゴミ収集ピットへ投入する。
【0007】
特許文献1に記載されている「ゴミ収集システム」では、上述した手順により、各階からゴミ収集場所までゴミを自動的に搬送して、高層ビルに居住する居住者のゴミ捨てに関する負担を軽減することができるとしている。
【0008】
【特許文献1】特開平9−77206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した特許文献1に記載された「ゴミ収集システム」は、所定の基準に基づいて分別されたゴミを分別種類毎に収集するシステムではない。このため、環境保護の観点等から、ゴミを分別収集することが当然となっている現状では、このシステムをそのまま利用することはできない。
【0010】
また、空気制動力を利用してポットを降下させているため、特に、重量がある瓶等の資源ゴミをポット内のパケットに投入した場合には、ポットの降下速度が増加して、機器を損傷させるおそれがある。さらに、緩衝機構により落下衝撃を軽減させているとはいえ、ガラス瓶のように破損しやすいゴミをポット内のパケットに投入した場合には、ガラスが割れてゴミ収集作業者が怪我をするおそれがある。
【0011】
また、ゴミを投入するパケットは居住者が共用するものであり、ゴミの投入者を特定できないという匿名性のために、不適切なゴミ出しが行われるおそれがある。さらに、機器が損傷し、あるいはゴミ収集作業者が怪我をした場合等に、責任の所在を明らかにすることができない。
【0012】
また、各戸からポットまでゴミを搬送する際には、ゴミを収納袋に収納する必要があり、この収納袋もゴミとなるため、環境負荷の軽減に貢献することができない。
さらに、各戸からポットまでは、ある程度の距離があるため、身体機能が十分でない老人や障害者にとって、ゴミ出しが負担となる場合もある。
【0013】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、集合住宅の各戸から出されるゴミを自動収集することにより、ゴミ出しに要する負担を軽減して、快適かつ清潔な居住環境を提供することができる集合住宅のゴミ自動収集装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、集合住宅(1)において各戸から排出されるゴミを自動的に収集するための装置であって、各戸にそれぞれ備えられ、所定の基準に基づいて分別されたゴミを分別種類毎に収納するゴミ収納ボックス(2)と、各戸とゴミ収集・管理センター(9)との間で、前記ゴミ収納ボックス(2)を搬送する搬送装置(第1ベルトコンベア3,エレベータ4,第2ベルトコンベア5,第3ベルトコンベア6)と、前記搬送装置(第1ベルトコンベア3,エレベータ4,第2ベルトコンベア5,第3ベルトコンベア6)に対して前記ゴミ収納ボックス(2)を積み下ろしする積み下ろし装置と、前記搬送装置(第1ベルトコンベア3,エレベータ4,第2ベルトコンベア5,第3ベルトコンベア6)に対して前記ゴミ収納ボックス(2)を着脱可能に保持する保持装置と、を備えたことを特徴とする集合住宅のゴミ自動収集装置が提供される。
【0015】
また、前記ゴミ収納ボックス(2)は、各戸専用とするとともに、前記搬送装置(第1ベルトコンベア3,エレベータ4,第2ベルトコンベア5,第3ベルトコンベア6)は、ゴミ収集前と同一の各戸に前記ゴミ収納ボックス(2)を返却する返却機能を有することが好ましい。
【0016】
また、前記搬送装置(第1ベルトコンベア3,エレベータ4,第2ベルトコンベア5,第3ベルトコンベア6)は、各階毎に前記ゴミ収納ボックス(2)の収集および返却を行うことが好ましい。さらに、前記搬送装置(第1ベルトコンベア3,エレベータ4,第2ベルトコンベア5,第3ベルトコンベア6)は、集合住宅(1)において他の居住空間と隔てられた専用スペース(専用搬送路8)内に設けられていることが好ましい。
【0017】
また、前記ゴミ収納ボックス(2)を洗浄する洗浄装置(11)を備えることが好ましく、さらに、ゴミ収納ボックス(2)を殺菌・脱臭する殺菌・脱臭装置(13)を備えることが好ましい。
【0018】
また、収集したゴミの重量を計量する計量装置(15)を備えることが好ましく、さらに、収集したゴミの成分を分析する成分分析装置(16)を備えることが好ましい。
【0019】
また、駆動源の少なくとも一部を太陽電池(太陽電池パネル17)とすることが好ましい。さらに、収集したゴミから燃料ガスを発生させるバイオガスプラント(18)を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の集合住宅(1)のゴミ自動収集装置では、所定の基準に基づいてゴミを分別して自動収集するため、資源の有効利用を図って環境負荷を低減することが可能となる。また、居住者がゴミを収集場所まで持って行く必要がないため、身体機能が十分ではない老人等の負担を軽減することができる。また、ゴミ出しが面倒な重量がある瓶等の資源ゴミが住居内に溜まってしまうことがないので、居住空間を有効利用することができる。さらに、ゴミ出しを怠って生ゴミが腐敗することがないので、衛生面において快適な居住環境を提供することができる。
【0021】
また、ゴミ収納ボックス(2)を各戸専用として、さらにゴミ回収後のゴミ収納ボックス(2)を洗浄、殺菌・脱臭することにより、衛生面等で居住者に嫌悪感を抱かせることがなく、この点においても快適で衛生的な居住環境を提供することができる。
【0022】
また、搬送装置(第1ベルトコンベア3,エレベータ4,第2ベルトコンベア5,第3ベルトコンベア6)を他の居住空間と隔てた専用スペース(専用搬送路8)内に配設することにより、ゴミ収集過程においてゴミ収納ボックス(2)が居住者の目にふれないので、衛生面等に几帳面な居住者に不快感を与えることがないだけではなく、各居住者のプライバシーを保護することができる。
【0023】
また、駆動源の少なくとも一部を太陽電池(太陽電池パネル17)とし、また、バイオガスプラント(18)により収集したゴミから燃料ガスを発生させることにより、ゴミを有効利用して環境負荷を低減させることができる。
【0024】
また、収集したゴミの重量を計量し、さらに、成分を分析することにより、居住者の健康管理等を行うことができ、ゴミ収集装置の付加価値を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
<ゴミ収集装置>
本発明の集合住宅のゴミ収集装置は、シルバーマンション、ウイークリーマンション、寮等の集合住宅において、各戸から出されるゴミを所定の基準に基づいて分別して自動収集することにより、快適かつ清潔な居住環境を提供する装置である。
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜図4は本発明の実施形態に係る集合住宅のゴミ自動収集装置に関するもので、図1はゴミ自動収集装置の概略構成を模式的に示す斜視図、図2はゴミ自動収集装置を適用した集合住宅を模式的に示す縦断面図、図3はゴミ収集装置を適用したゴミ収集・管理センターの概略構成を模式的に示す縦断面図、図4はゴミ収集装置を用いて集合住宅の各戸からゴミを収集する手順を示すフローチャートである。
【0027】
<ゴミ収納ボックス>
図1に示すように、本発明の実施形態に係るゴミ収集装置は、集合住宅1の住居毎に専用のゴミ収納ボックス2が備えられている。このゴミ収納ボックス2は、6つの収納部に区分されており、各収納部の上部には、蓋部材が開閉可能に取り付けられている。この蓋部材は、通常の状態においてゴミ収納ボックス2の開口部を密閉することができ、ゴミ収納ボックス2を上下反転させた場合に、重力により回動して、ゴミ収納ボックス2の開口部を開放するようになっている。各収納部には、所定の基準に基づいて分別されたゴミを収納する。ゴミの分別種類は、例えば、生ゴミ、可燃ゴミ、不燃ゴミ、缶類、ガラス瓶類、およびペットボトルの6種類である。なお、ゴミの分別種類は、集合住宅1の規模や管理基準、所在地を管轄する自治体のゴミ分別基準等に基づいて適宜変更することができる。このゴミの分別種類の数に応じて、ゴミ収納ボックス2における収納部の数が設定される。
【0028】
<搬送装置>
図1に示すように、各戸に設置されたゴミ収納ボックス2を搬送するための搬送装置は、各階の通路7に沿って設けられた第1ベルトコンベア3と、この第1ベルトコンベア3の一端部に接続するエレベータ4と、エレベータ4の積み下ろし階とゴミ収集・管理センター9との間に架設された第2ベルトコンベア5と、この第2ベルトコンベア5の途中からゴミ処理位置の間に架設された第3ベルトコンベア6とからなる。
【0029】
図1に示すように、第1ベルトコンベア3は、各階毎に設けられており、各戸とエレベータ4への積み下ろし位置との間でゴミ収納ボックス2を搬送するようになっている。なお、第1ベルトコンベア3は、通路7に沿って設けられた専用搬送路8内に配置されている。また、第1ベルトコンベア3は、各階において、部屋の並び順(例えば部屋番号順)にゴミ収納ボックス2が載置される。
【0030】
図1および図2に示すように、エレベータ4は、集合住宅1の上下階を往復して、各階とゴミ収集・管理センター9への積み下ろし階との間でゴミ収納ボックス2を搬送するようになっている。なお、エレベータ4には、各階毎にゴミ収納ボックス2が積載される。
【0031】
図1に示すように、第2ベルトコンベア5は、ゴミ収集・管理センター9への積み下ろし階とゴミ収集・管理センター9との間でゴミ収納ボックス2を搬送するようになっている。この第2ベルトコンベア5の一端部は、エレベータ4に隣接して設けられている。この第2ベルトコンベア5には、各階毎に搬送してきたゴミ収納ボックス2が部屋の並び順に載置される。第2ベルトコンベア5に載置されたゴミ収納ボックス2は、第3ベルトコンベア6との交差位置で第3ベルトコンベア6に移載されてゴミ収集等が行われた後に、再び第2ベルトコンベア5に移載されて留置位置まで搬送される。この留置位置には、ゴミ収集等が行われた後のゴミ収納ボックス2が部屋の並び順に留置される。そして、各階における全てのゴミ収納ボックス2からゴミ収集等が行われると、搬送方向が反転されてゴミ収納ボックス2をエレベータ4への積み下ろし位置にまで搬送する。
【0032】
図1に示す例では、4階の各戸(401号室,402号室,403号室,404号室)におけるゴミ収納ボックス2(401),2(402),2(403),2(404)を、各戸(401号室,402号室,403号室,404号室,)からゴミ収集・管理センター9との間で搬送している状態が示されている。
【0033】
図1および図3に示すように、第3ベルトコンベア6は、第2ベルトコンベア5との交差位置とゴミ処理位置との間に架設されており、第2ベルトコンベア5から移載されたゴミ収納ボックス2をゴミ処理位置へ搬送し、ゴミ処理位置においてゴミ回収、洗浄、および殺菌・脱臭が行われた後に、ゴミ収納ボックス2を再び第2ベルトコンベア5へ移載するようになっている。
【0034】
なお、図3に示すように、第3ベルトコンベア6には、無端ベルトに沿って、ゴミ収納ボックス2の搬入・搬出位置、内容物の目視位置、計量位置、内容物の成分分析位置、ゴミ運搬車10へのゴミダンピング位置、洗浄位置、殺菌・脱臭位置がそれぞれ設けられており、ゴミ収納ボックス2は各位置において一旦停止して各処理が行われるようになっている。
【0035】
<積み下ろし装置>
搬送装置に対してゴミ収納ボックス2を積み下ろしするための積み下ろし装置は、詳細には図示しないが、各戸のゴミ置場と第1ベルトコンベア3との間、第1ベルトコンベア3とエレベータ4との間、エレベータ4と第2ベルトコンベア5の間、および第2ベルトコンベア5と第3ベルトコンベア6との間に設けられている。
【0036】
この積み下ろし装置は、ゴミ収納ボックス2を搬送装置に対して積み下ろしできればどのような構造であってもよいが、例えば、ゴミ収集時に、ゴミ収納ボックス2を把持して各戸のゴミ置場から第1ベルトコンベア3上に積み込み、ゴミ収納ボックス2の返却時に、ゴミ収納ボックス2を把持して第1ベルトコンベア3上から各戸のゴミ置場へ移動させることが可能な周知の機構を利用することができる。同様に、第1ベルトコンベア3とエレベータ4との間、エレベータ4と第2ベルトコンベア5の間、および第2ベルトコンベア5と第3ベルトコンベア6との間に設けられた積み下ろし装置も、周知の機構を利用することができる。
【0037】
<保持装置>
搬送装置に対してゴミ収納ボックス2を着脱可能に保持するための保持装置は、本実施形態の場合、特に、第3ベルトコンベア6に設けられている。すなわち、第1ベルトコンベア3、エレベータ4、および第2ベルトコンベア5では、ゴミ収納ボックス2を載置して、水平方向あるいは垂直方向に移動させるのみであるため、ゴミ収納ボックス2を搬送装置に強固に固定しなくても、ゴミ収納ボックス2が搬送装置から落下する可能性は少ない。
【0038】
一方、第3ベルトコンベア6では、無端ベルトがゴミ収納ボックス2を載置したまま周方向に沿って移動する。したがって、ゴミ収納ボックス2が第3ベルトコンベア6の上面に載置している場合には、ゴミ収納ボックス2が第3ベルトコンベア6上から落下する可能性は少ないが、無端ベルトが移動してゴミ収納ボックス2が上下逆転した場合には、無端ベルトに対してゴミ収納ボックス2を固定していないと、重力によりゴミ収納ボックス2が第3ベルトコンベア6上から落下してしまう。
【0039】
したがって、第3ベルトコンベア6とゴミ収納ボックス2との間に保持装置を設けて、第3ベルトコンベア6の無端ベルトにゴミ収納ボックス2を固定することが必要である。この保持装置は、例えば、第3ベルトコンベア6の無端ベルトを、可撓性を有する磁石等により形成するとともに、ゴミ収納ボックス2の少なくとも下面を磁性体により形成し、磁力により第3ベルトコンベア6の無端ベルトにゴミ収納ボックス2を固定するようにした装置を利用することができる。
【0040】
なお、この保持装置は、搬送装置に対してゴミ収納ボックス2を着脱可能に保持することができればどのような構造であってもよく、磁力を利用した保持装置の他に、例えば、搬送装置上に載置したゴミ収納ボックス2を把持するような装置を利用してもよい。また、保持装置は、第3ベルトコンベア6のみではなく、第1ベルトコンベア3、エレベータ4、および第2ベルトコンベア5に設けてもよいことは勿論である。
【0041】
<洗浄装置>
ゴミ収納ボックス2を洗浄するための洗浄装置11は、図3に示すように、ゴミ収集・管理センター9の洗浄室12に設けられており、例えば、洗浄水を噴射する洗浄ノズルを含んで構成される。この洗浄ノズルから、ゴミ収納ボックス2内に高圧の洗浄水を噴射することにより、ゴミ収納ボックス2内が洗浄される。
【0042】
また、特に生ゴミ収納部等を確実に洗浄するために、洗剤を含有した洗浄水を使用したり、洗浄水として温水を用いたりすることができる。また、温風を送出する乾燥装置を洗浄装置11の構成要素としてもよい。さらに、水あるいは温水による予備洗浄工程、洗剤水を噴出する本洗浄工程、水あるいは温水によるすすぎ洗浄工程、および乾燥工程という一連の洗浄工程によりゴミ収納ボックス2の洗浄を行うことにより、確実かつ清潔な洗浄を行うことができる。
【0043】
<殺菌・脱臭装置>
ゴミ収納ボックス2を殺菌・脱臭するための殺菌・脱臭装置13は、図3に示すように、ゴミ収集・管理センター9の殺菌・脱臭室14に設けられており、例えば、紫外線照射装置、オゾン発生装置、エチルアルコール等を含有した除臭剤噴射装置により構成される。また、ゴミ収納ボックス2の内面に二酸化チタン等の光触媒層を設け、この光触媒層を殺菌・脱臭装置13として利用することもできる。この場合、ゴミ収納ボックス2の蓋内面に紫外線を発生する蛍光灯を取り付けておくことにより、常にゴミ収納ボックス2内の殺菌・脱臭を行うことができる。
【0044】
<計量装置>
収集したゴミの重量を計量するための計量装置15は、図3に示すように、例えば、第3ベルトコンベア6に内蔵した重量計により構成される。なお、計量装置15は、収集したゴミの重量を計量することができればどのような装置であってもよく、例えば、ゴミ収納ボックス2を吊り上げて重量を計量する構成とすることもできる。
【0045】
<成分分析装置>
収集したゴミの成分を分析するための成分分析装置16は、図3に示すように、成分分析位置においてゴミ収納ボックス2の上方に位置するように配設された成分センサからなる。この成分センサは、例えば糖分、塩分、アルコール分、メタン等を検出することができるようになっている。なお、成分センサで検出するゴミの成分は、上述したものに限らず、集合住宅1の用途や居住者の構成等に応じて適宜変更して設定することができる。
【0046】
<太陽電池>
本実施形態のゴミ収集装置を適用する集合住宅1およびゴミ収集・管理センター9の屋根には、太陽光発電を行うための太陽電池パネル17が配設されている。なお、太陽電池を用いた電力システムは、周知の技術を用いることができる。この太陽電池により得られた電力は、本実施形態のゴミ収集装置を駆動するための駆動源の少なくとも一部として利用される。
【0047】
<バイオガスプラント>
本実施形態のゴミ収集装置を適用するゴミ収集・管理センター9には、生ゴミ等の有機性廃棄物をメタン発酵させ、発生したバイオガスを用いて電力と熱を回収するためのバイオガスプラント18が設置されている。また、このバイオガスプラント18では、生成されたメタンガスを利用して発電するとともに、発酵残渣は有機肥料として利用することができる。なお、バイオガスプラント18の構造および規模は、集合住宅1の規模や地域環境等に応じて適宜変更して実施することができる。
【0048】
<ゴミの収集手順>
次に、本実施形態のゴミ収集装置を用いて集合住宅1の各戸からゴミを収集する手順について説明する。
図4に示すように、本実施形態のゴミ収集装置を用いてゴミを収集するには、まず、各戸のゴミ置場からゴミ収集・管理センター9まで、ゴミ収納ボックス2を搬送する(S1)。この際、ゴミ収納ボックス2の搬送は各階毎に行われる。本実施形態では、4階、3階、2階、1階の順でゴミ収集が行われる。ゴミ収納ボックス2の搬送には、搬送手段である第1ベルトコンベア3、エレベータ4、第2ベルトコンベア5、および第3ベルトコンベア6が用いられる。
【0049】
なお、ゴミ収集を行う時間は、どのように設定してもよいが、例えば、朝食と昼食との間、昼食と夕食との間、および夕食と朝食との間のように1日3回行うことが好ましく、これにより、各住居内を常に清潔に保つことができる。また、収集したゴミの分析結果に基づいて居住者の健康管理等を行う場合には、きめ細かな健康管理等を行うことができる。
【0050】
ゴミ収納ボックス2がゴミ収集・管理センター9へ搬送されると、ゴミ収納ボックス2からゴミを収集し(S2)、洗浄装置11によりゴミ収納ボックス2内を洗浄するとともに、殺菌・脱臭装置13によりゴミ収納ボックス2内を殺菌・脱臭し(S3)、ゴミ収納ボックス2を各階毎に各戸まで返却する(S4)。
【0051】
そして、上述したゴミ収集処理(S1〜S4)が全ての階において終了したか否かを判断し(S5)、全ての階においてゴミ収集処理が終了した場合には、処理を終了する。一方、未だゴミ収集処理を行っていない階がある場合には、全ての階においてゴミ収集処理が終了するまで上述したゴミ収集処理(S1〜S4)を行う。
【0052】
<ゴミの計量、分析結果に基づく生活状況管理>
また、本実施形態のゴミ収集装置では、各戸から分別収集されたゴミを分析するとともに、居住者の年齢、健康状態、人数等に関する居住者情報に対応したゴミの基準情報や、各戸の健康時の基準情報等と比較し、ゴミ情報がゴミ基準情報の許容範囲を超えていると判断された場合に警告発生手段により警告を発生することもできる。このような構成とすることにより、各戸の居住者毎に、居住者の食生活等を直接分析して健康管理を含めた生活状況管理を行うことができる。
【0053】
なお、上述した例では、シルバーマンション、ウイークリーマンション、寮等の集合住宅1において、各戸から出されるゴミを自動収集する装置について詳述したが、集合住宅1の目的や用途、居住者の年齢等に応じて、ゴミの分別種類や、収集時間を変更するといった種々の形態にすることができ、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の集合住宅のゴミ自動収集装置は、主にシルバーマンション、ウイークリーマンション、寮等の集合住宅1において、各戸から出されるゴミを分別して自動収集する際に利用できるが、ホテルや病院等において排出されるゴミを分別して自動収集する際にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係るゴミ自動収集装置の概略構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るゴミ自動収集装置を適用した集合住宅の概略構成を模式的に示す縦断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るゴミ収集装置を適用したゴミ収集・管理センターの概略構成を模式的に示す縦断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るゴミ収集装置を用いて集合住宅の各戸からゴミを収集する手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1 集合住宅
2 ゴミ収納ボックス
3 第1ベルトコンベア
4 エレベータ
5 第2ベルトコンベア
6 第3ベルトコンベア
7 通路
8 専用搬送路
9 ゴミ収集・管理センター
10 ゴミ運搬車
11 洗浄装置
12 洗浄室
13 殺菌・脱臭装置
14 殺菌・脱臭室
15 計量装置
16 成分分析装置
17 太陽電池パネル
18 バイオガスプラント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅(1)において各戸から排出されるゴミを自動的に収集するための装置であって、
各戸にそれぞれ備えられ、所定の基準に基づいて分別されたゴミを分別種類毎に収納するゴミ収納ボックス(2)と、
各戸とゴミ収集・管理センター(9)との間で、前記ゴミ収納ボックス(2)を搬送する搬送装置(3,4,5,6)と、
前記搬送装置(3,4,5,6)に対して前記ゴミ収納ボックス(2)を積み下ろしする積み下ろし装置と、
前記搬送装置(3,4,5,6)に対して前記ゴミ収納ボックス(2)を着脱可能に保持する保持装置と、を備えたことを特徴とする集合住宅のゴミ自動収集装置。
【請求項2】
前記ゴミ収納ボックス(2)は、各戸専用とするとともに、
前記搬送装置(3,4,5,6)は、ゴミ収集前と同一の各戸に前記ゴミ収納ボックス(2)を返却する返却機能を有することを特徴とする請求項1に記載の集合住宅のゴミ自動収集装置。
【請求項3】
前記搬送装置(3,4,5,6)は、各階毎に前記ゴミ収納ボックス(2)の収集および返却を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の集合住宅のゴミ自動収集装置。
【請求項4】
前記搬送装置(3,4,5,6)は、集合住宅(1)において他の居住空間と隔てられた専用スペース(8)内に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の集合住宅のゴミ自動収集装置。
【請求項5】
前記ゴミ収納ボックス(2)を洗浄する洗浄装置(11)を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の集合住宅のゴミ自動収集装置。
【請求項6】
前記ゴミ収納ボックス(2)を殺菌・脱臭する殺菌・脱臭装置(13)を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の集合住宅のゴミ自動収集装置。
【請求項7】
収集したゴミの重量を計量する計量装置(15)を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の集合住宅のゴミ自動収集装置。
【請求項8】
収集したゴミの成分を分析する成分分析装置(16)を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の集合住宅のゴミ自動収集装置。
【請求項9】
駆動源の少なくとも一部を太陽電池(17)としたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の集合住宅のゴミ自動収集装置。
【請求項10】
収集したゴミから燃料ガスを発生させるバイオガスプラント(18)を備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の集合住宅のゴミ自動収集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−314288(P2007−314288A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145032(P2006−145032)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(591260672)中電技術コンサルタント株式会社 (58)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】