説明

集合住宅の報知システム

【課題】住戸内の環境悪化が進行するのを防止できる集合住宅の報知システムを提供する。
【解決手段】集合住宅10は複数の住戸11と、管理室12とを有している。管理室12には、管理サーバ30が設けられ、管理サーバ30は記憶部36及び通信部35を有してなるコントローラ31を備える。集合住宅10の各住戸11には、住戸11内の環境に関する情報を検知する住戸内環境センサ41が設けられている。集合住宅10の各住戸11には、報知装置47が設けられている。コントローラ31は、各住戸内環境センサ41により取得した各住戸11の住戸内環境情報に基づいて、各住戸11ごとに住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを判定し、その判定結果に基づいて、表示部33に報知信号を出力し、各住戸11の報知装置47に報知信号を出力し、通信部35を通じて各住戸11の居住者の携帯電話機39に報知メールを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅の報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の住戸を備える建物として、マンションやアパート等の集合住宅がある(例えば、特許文献1)。集合住宅では、いずれかの住戸に空室が発生することがある。通常空室となっている住戸は窓やドア等を閉め切って施錠した状態で長期間放置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−138443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したように空室の状態にある住戸はドア等を閉め切った状態で長期間放置されるため、住戸内に湿気がこもったり熱がこもったりし易い。そのため、かかる住戸ではカビが発生する等住戸内環境の悪化を招き易い。したがって、例えば集合住宅の管理人等が気づかない間に住戸内の環境の悪化が進行し、その結果新しい入居者を迎える前に大掛かりなリフォームやクリーニングを行う必要に迫られる等の問題が生じることがある。
【0005】
また、居住者が入居している住戸においても居住者が長期出張等により長期にわたって不在である場合には、上記空室の住戸と同様に住戸が閉め切り状態で長期間放置されるため、居住者の知らない間に住戸内の環境が悪化する場合がある。その場合、居住者が住戸に帰宅した後、健康を害したり、住戸内を専門業者にクリーニングしてもらう必要が生じたりするおそれがある。
【0006】
さらに、住戸内の環境悪化は比較的ゆっくり進行するため、日々住戸内で生活している居住者がその進行に気づかないことも考えられる。したがって、居住者が在宅中の住戸においても、居住者が気づかぬ間に住戸内の環境悪化が進行することがあり、その場合にはやはり居住者の健康が害される等の不都合が生じるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、住戸内の環境悪化が進行するのを防止できる集合住宅の報知システムを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の集合住宅の報知システムは、複数の住戸を備えた集合住宅に適用され、前記各住戸の住戸内環境に関する住戸内環境情報を取得する住戸内情報取得手段と、前記住戸内情報取得手段により取得した前記各住戸の住戸内環境情報に基づいて、前記各住戸ごとに住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを判定する環境悪化判定手段と、前記各住戸の居住者及び前記集合住宅の管理者に対して個別に報知を行う報知手段と、前記環境悪化判定手段によりいずれかの住戸において住戸内環境が悪化した状態にあると判定された場合に、当該悪化状態にあると判定された住戸の居住者及び前記管理者の少なくともいずれかを含む報知対象者に住戸内環境が悪化した旨を前記報知手段により報知する報知制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、集合住宅の各住戸のうちいずれかの住戸において住戸内に湿気が著しくこもる等住戸内環境の悪化が生じた場合には、その悪化が生じた住戸の居住者及び集合住宅の管理人の少なくともいずれかを含む報知対象者に、その悪化があった旨が報知手段により報知される。これにより、報知を受けた者(報知対象者)は住戸内の環境が悪化したことを知ることができるため、住戸内を換気する等住戸内の環境を改善すべく迅速な対応をとることができる。よって、この場合住戸内の環境悪化が進行するのを防止することができる。
【0010】
なお、住戸内情報取得手段により取得する住戸内環境情報としては、住戸内の温度情報や湿度情報等が挙げられる。
【0011】
第2の発明の集合住宅の報知システムは、第1の発明において、前記環境悪化判定手段は、前記住戸内情報取得手段により取得した前記各住戸の住戸内環境情報に基づいて、前記各住戸の間で互いの住戸内環境情報を相対比較し、その相対比較の結果に基づいていずれかの住戸において住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを判定することを特徴とする。
【0012】
一般に住戸内の環境は外気の温度や日射量等屋外環境の影響を受け易い。ここで、集合住宅では各住戸がほぼ同じ屋外環境に晒されていることから、通常の状況であれば各住戸内の住戸内環境がほぼ同じになることが考えられる。つまり、裏を返せば、ある住戸内の住戸内環境が他の住戸の住戸内環境と異なる場合には、いずれかの住戸において住戸内環境が悪化していると考えられる。そこで、本発明ではこの点に着目し、各住戸の間で互いの住戸内環境を相対比較し、その相対比較の結果に基づいていずれかの住戸にて住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを判定することとしている。この場合、複数の住戸を備える集合住宅において、いずれかの住戸にて住戸内環境が悪化した状態にあることを好適に確認することができる。
【0013】
第3の発明の集合住宅の報知システムは、第2の発明において、前記各住戸について空室であるか否かを判定する空室判定手段を備え、前記環境悪化判定手段は、前記空室判定手段により空室であると判定された住戸と空室でないと判定された住戸との間で住戸内環境情報を相対比較し、その相対比較の結果に基づいて前記空室の住戸について住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを判定することを特徴とする。
【0014】
一般に空室状態にある住戸は閉め切った状態で放置されるため住戸内環境が悪化し易い。その一方、空室ではない住戸すなわち居住者が入室している住戸については居住者が出入りしたり定期的に住戸内を換気したりするため住戸内環境が良好な状態に維持されていると考えられる。そこで、本発明では、この点に着目して、各住戸が空室状態であるか否かを判定する空室判定手段を備え、空室であると判定された住戸と空室でないと判定された住戸との間で住戸内環境を比較し、その比較結果に基づいて空室住戸について住戸内環境が悪化しているか否かの判定をしている。これにより、住戸内環境が悪化し易い空室状態の住戸について住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを好適に判定できる。
【0015】
第4の発明の集合住宅の報知システムは、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記各住戸にはそれぞれ、屋内外を連通する開口部と、前記開口部を開閉する開閉手段と、前記開閉手段を開閉駆動する開閉駆動手段とが設けられ、前記報知手段による報知処理を実施してから所定期間が経過しても前記環境悪化判定手段による住戸内環境が悪化状態にあるとの判定が継続されている場合に、前記開閉手段を開状態とするよう前記開閉駆動手段を制御する開放制御手段を備えることを特徴とする。
【0016】
例えば、住戸内環境が悪化した状態にある住戸の居住者が長期出張等により長期不在の場合、当該居住者が外出先から報知を受けても住戸内環境を改善するための処置をとれないことがある。その場合、報知処理を行ったにもかかわらず住戸内環境が改善されないまま放置されることとなる。その点を考慮すると、屋内外を連通する開口部を開閉する開閉手段を開閉駆動するための開閉駆動手段を設け、住戸内環境が悪化した場合には報知処理を実施すること以外に、開閉駆動手段を駆動させ開閉手段を開状態とするのが望ましいと思われる。なぜならこの場合、居住者が不在でも開口部を通じて住戸内の換気が自動で行われるため住戸内環境の悪化を抑制できるからである。しかしながら、かかる構成とすると開状態の開口部が不審者により住戸内の侵入に利用されるおそれがある等防犯性の面で懸念がある。そこで、本発明では、以上の点に鑑みて、報知処理を実施してから所定期間が経過しても住戸内環境が未だ悪化した状態にある場合に、開閉手段を開状態とすることにしている。すなわち、本発明では、報知と同時に開閉手段を開くのではなくまずは報知により居住者等に住戸内環境の改善を促し、それで改善されない場合に住戸内を強制的に換気することとしている。これにより、居住者が報知を受けたにもかかわらず住戸内環境を改善する処置をとれない場合でも住戸内環境の悪化の進行を抑制することができ、しかもかかる効果を防犯性を著しく損なうことなく得ることができる。
【0017】
第5の発明の集合住宅の報知システムは、第4の発明において、屋外の環境に関する屋外環境情報を取得する屋外情報取得手段と、前記屋外情報取得手段により取得した屋外環境情報に基づいて、屋外が住戸内の換気に適した所定の環境となっているか否かを判定する屋外環境判定手段と、を備え、前記開放制御手段は、屋外が住戸内の換気に適した所定の環境となっていないことが前記屋外環境判定手段により判定された場合には、前記開放制御を実施しないことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、屋外情報取得手段により取得された屋外環境情報に基づいて、屋外にて雨が降っていたり外気が高温多湿であったりする等、屋外が住戸内の換気に適した環境となっていない場合には、開閉部材が開放されない。そのため、雨水や高温多湿の外気が開口部を通じて住戸内に入りこむ等してかえって住戸内環境の悪化を招く等の不都合を回避できる。
【0019】
第6の発明の集合住宅の報知システムは、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記各住戸において居住者が所定期間以上不在であることを判定する長期不在判定手段を備え、前記報知制御手段は、前記環境悪化判定手段により住戸内環境が悪化した状態にあると判定された住戸の居住者が所定期間以上不在であることが前記長期不在判定手段により判定された場合には、前記集合住宅の管理者に対し前記報知手段による報知処理を行うことを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、住戸内環境が悪化した状態にある住戸の居住者が所定期間以上不在である場合には、集合住宅の管理者に対して報知処理が行われる。これにより、当該居住者が長期出張等により長期にわたり不在である場合でも、集合住宅の管理者が当該居住者に代わって住戸内の換気を行う等住戸内環境改善のための対応をとることができ、その結果住戸内環境の悪化が進行するのを回避できる。
【0021】
第7の発明の集合住宅の報知システムは、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記環境悪化判定手段による住戸内環境が悪化した状態にあるか否かの判定の際の判定基準値を可変設定する手段を備えることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを判定する際の判定基準値を可変設定できるため、判定基準値を比較的小さい(又は大きい)値に設定することで住戸内環境が悪化し始めたタイミングで報知処理を行ったり、判定基準値を比較的大きい(又は小さい)値に設定することで住戸内環境の悪化が進んだタイミングで報知処理を行ったりする等、報知の仕方について自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】集合住宅を示す平面図。
【図2】報知システムの電気的構成を示すブロック図。
【図3】報知制御処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図1は集合住宅10を示す平面図である。
【0025】
図1に示すように、建物としての集合住宅10は複数の住戸11と、管理室12とを有している。住戸11はワンルームタイプの住戸であり、キッチン付きの居室15、トイレ17、浴室18及び玄関19を備えている。各住戸11にはそれぞれ、屋内外を連通する開口部としての窓部21が設けられている。窓部21は、居室15に面して設けられている。窓部21には、当該窓部21を開閉する開閉手段としてのガラス戸22が設けられている。ガラス戸22は、例えば引き違い式のガラス戸により構成されている。
【0026】
各住戸11にはそれぞれ、住戸11内へ出入りするための玄関出入口25が設けられている。玄関出入口25には、当該出入口25を開閉する玄関ドア26が設けられている。玄関ドア26は、例えば回動式のドアからなる。
【0027】
管理室12は、集合住宅10を管理する管理人(例えば大家)の居所であり、本実施形態では、管理室12が管理人の住戸として兼用されている。管理室12には、集合住宅10の各住戸11に関する各種情報(例えば各住戸11の居住者の情報等)を管理するための管理サーバ30が設けられている。管理サーバ30は、例えば管理人が所有するパソコン等の端末装置により構成されている。
【0028】
ところで、集合住宅10では、住戸11が空室となったり住戸11の居住者が長期にわたり外出したりすることで、住戸11内が長期間不在状態になることがある。かかる住戸11は通常閉め切った状態で放置されるため、住戸11内に湿気が異常にこもる等して住戸11内の環境が知らない間に悪化するおそれがある。そこで、本実施形態では、住戸11内の環境が悪化した場合には、その旨を環境が悪化した住戸11の居住者や管理人等に報知し、これにより居住者等が住戸内環境を改善すべく迅速な対応を採ることができるようにしている。以下、その詳細について説明する。
【0029】
図1に示すように、本集合住宅10の各住戸11にはそれぞれ、住戸内情報取得手段としての住戸内環境センサ41が設けられている。住戸内環境センサ41は、住戸11内の環境に関する情報を検知するセンサである。具体的には、住戸内環境センサ41は、住戸11内の温度を検知する温度情報取得手段としての温度センサと、住戸11内の湿度を検知する湿度情報取得手段としての湿度センサとを兼ね備えたものとして構成されている。住戸内環境センサ41は、例えば各住戸11の居室15に設けられている。なお、温度センサと湿度センサとを兼ね備える上記センサ41を用いることに代えて、温度センサと湿度センサとをそれぞれ個別に設けるようにしてもよい。
【0030】
集合住宅10には、屋外情報取得手段としての屋外環境センサ42が設けられている。屋外環境センサ42は、屋外の環境情報を検知するセンサであり、具体的には屋外の気温や湿度、天候等に関する情報を検知する。屋外環境センサ42は、例えば集合住宅10の外壁面に設けられている。
【0031】
集合住宅10の各住戸11にはそれぞれ、人検知手段としての人検知センサ43が設けられている。人検知センサ43は、住戸11内に居住者が存在しているか否かをすなわち居住者が在宅しているか否かを検知するセンサである。人検知センサ43は、例えば各住戸11の居室15に設けられている。
【0032】
集合住宅10の各住戸11にはそれぞれ、開閉駆動手段としての窓駆動部45が設けられている。窓駆動部45は、居室15に設けられたガラス戸22を開閉駆動するものであり、例えば電動モータ等の電動式の駆動機構からなる。
【0033】
集合住宅10の各住戸11にはそれぞれ、報知手段としての報知装置47が設けられている。報知装置47は、例えばドアホン装置として構成されており、液晶パネル等からなるディスプレイを有する。報知装置47は、各住戸11の玄関19に設けられている。
【0034】
次に、本報知システムの電気的構成について図2に基づいて説明する。なお、図2は報知システムの電気的構成を示す図である。また、図2では、図示の便宜上、一の住戸11に設けられた住戸内環境センサ41、人検知センサ43、報知装置47、窓駆動部45のみを図示している。
【0035】
図2に示すように、本報知システムにおいて、管理室12に設置されている管理サーバ30は、報知制御手段としてのコントローラ31と、管理人等のユーザにより操作される操作部32と、各種情報が表示される表示部33とを備えており、コントローラ31に対して操作部32及び表示部33が接続されている。
【0036】
コントローラ31は、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを備えて構成されており、記憶部36と通信部35とを備えている。記憶部36は、各住戸11の空室/入室情報や住戸内環境情報等、各住戸11における各種情報を記憶するものである。
【0037】
通信部35は、インターネット等の外部ネットワーク51を介して携帯電話会社の基地局52と接続されている。コントローラ31は、通信部35及び基地局52を介して各住戸11の居住者が携帯する携帯電話機39との間で通信可能とされている。例えば、コントローラ31は、各住戸11の居住者の携帯電話機39に電子メールを送信することが可能である。
【0038】
操作部32は、例えばキーボード等を備えてなる。操作部32に対して入力操作が行われると、その操作に応じた操作信号が操作部32から適宜コントローラ31に入力される。例えば、各住戸11における空室/入室情報(以下、略して入空室情報という)が管理人により操作部32に対して入力されると、その入力された入空室情報がコントローラ31に入力される。コントローラ31はその入力された同情報を記憶部36に記憶する。
【0039】
表示部33は、例えばディスプレイ等を備えてなる。コントローラ31から表示部33に各種情報が入力されると、その入力された情報が表示部33に表示される。また、表示部33は音声を出力するスピーカ等の音声出力部(図示略)を有しており、コントローラ31から入力された情報を音声出力部より音声として出力することもできる。
【0040】
コントローラ31には、各住戸11の住戸内環境センサ41から逐次(例えば1分おきに)検知結果が入力される。コントローラ31は、各住戸内環境センサ41から検知結果が入力されると、その検知結果に基づいて各住戸11の住戸内環境情報を、詳細には各住戸11の温度情報及び湿度情報を取得する。そして、コントローラ31は、その取得した各住戸11の温度情報及び湿度情報をそれぞれ住戸11ごとに時系列の情報として都度記憶部36に記憶する。
【0041】
コントローラ31には、各住戸11の人検知センサ43から逐次(例えば1分おきに)検知結果が入力される。コントローラ31は、各人検知センサ43から検知結果が入力されると、その検知結果に基づいて各住戸11における居住者の在不在に関する在宅情報を取得する。そして、コントローラ31は、その取得した各住戸11の在宅情報をそれぞれ住戸11ごとに時系列の情報として都度記憶部36に記憶する。
【0042】
また、コントローラ31には、その他屋外環境センサ42から逐次検知結果が入力される。
【0043】
コントローラ31は、記憶部36に記憶されている各住戸11の住戸内環境情報に基づいて各住戸11ごとに住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを、換言すると各住戸11ごとに住戸内環境に異常があるか否かを判定する異常判定処理を実施する。そして、コントローラ31は、その判定結果に基づいて、表示部33に報知信号を出力し、各住戸11の報知装置47に報知信号を出力し、通信部35を通じて各住戸11の居住者の携帯電話機39に報知メール(電子メール)を送信する。また、コントローラ31は、異常判定処理の判定結果等に基づいて、各住戸11の窓駆動部45に駆動信号を出力する。
【0044】
次に、管理サーバ30のコントローラ31によって実行される報知制御処理について図3に基づいて説明する。なお、図3は報知制御処理を示すフローチャートである。また、本処理は、1日1回所定の時刻(例えば午前10時)になったことをトリガとして実行される。
【0045】
図3に示すように、まずステップS11では、各住戸11の住戸内環境情報をすなわち各住戸11の温度情報及び湿度情報を記憶部36より読み出す。具体的には、各住戸11における最新の1週間分の温度情報及び湿度情報を読み出す。
【0046】
ステップS12では、ステップS11において読み出した各住戸11の温度情報及び湿度情報に基づいていずれかの住戸11において住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを、換言するといずれかの住戸11において住戸内環境に異常があるか否かを判定する。この判定は、例えば次のように行うことができる。まず各住戸11の最新の1週間分の湿度情報に基づいて、各住戸11ごとに1週間における湿度の平均値を算出する。そして、その算出した湿度の平均値が所定の基準値α(判定基準値に相当)よりも高いか否かを各住戸11ごとに判定し、基準値αよりも高い住戸11があればその住戸11について湿気が異常にこもっていると、すなわち住戸内環境に異常があると判定する。判定の結果、いずれの住戸11においても住戸内環境に異常がない場合には、本処理を終了する。一方、いずれかの住戸11において住戸内環境に異常がある場合には、ステップS13に進む。
【0047】
ステップS13では、ステップS12において住戸内環境に異常があると判定された住戸11(以下、略して環境異常住戸11Aという)が空室状態であるか否かを判定する。この判定は、記憶部36に記憶されている環境異常住戸11Aの入空室情報を読み出し、その読み出した入空室情報に基づいて行う。
【0048】
ステップS14では、ステップS13にて環境異常住戸11Aが空室状態でない(つまり入室状態である)と判定された場合に、その居住者が長期出張等で長期にわたり不在であるか否かを判定する。この判定は、記憶部36に記憶されている環境異常住戸11Aの所定期間分(例えば1か月)の在宅情報を読み出して、その読み出した所定期間分の在宅情報に基づいて行う。例えば、環境異常住戸11Aの居住者が1か月以上不在である場合に、居住者が長期不在であると判定する。
【0049】
ステップS15では、報知処理を実行する。報知処理は、以下のように行われる。まず、ステップS13において環境異常住戸11Aが空室であると判定された場合には、管理サーバ30の表示部33に報知信号を出力する。これにより、表示部33には、空室住戸11Aの住戸内環境に異常がある旨が表示される。例えば、「○○号室。住戸内の環境に異常あり。」等のメッセージが表示される。そのため、管理人は環境異常住戸11Aのガラス戸22を開けて住戸11A内を換気する等の対応をとることが可能となる。
【0050】
また、ステップS13において環境異常住戸11Aが入室状態であると判定され、かつステップS14において環境異常住戸11Aの居住者が長期不在であると判定された場合には、その住戸11Aの居住者の携帯する携帯電話機39に通信部35を通じて報知メールを送信する。これにより、居住者は外出中でありながらも自らの住戸11Aにおいて住戸内環境に異常が生じたことを知ることができる。したがって、居住者は集合住宅10の近くに暮らす家族や知人等に外出先から自らの住戸11Aを換気する等の依頼をすることが可能となる。
【0051】
また、ステップS13において環境異常住戸11Aが入室状態であると判定され、かつステップS14において環境異常住戸11Aの居住者が長期不在でないと判定された場合には、環境異常住戸11Aに設置された報知装置47に報知信号を出力する。これにより、当該住戸11Aの報知装置47のディスプレイには、住戸内環境に異常がある旨が表示される。例えば、「住戸内の湿気が異常に高くなっています。」「換気してください。」等のメッセージが表示される。なお、異常がある旨を報知装置47のディスプレイにより報知することに代えて、報知装置47のスピーカにより音声で報知してもよい。
【0052】
報知処理後のステップS16では、タイマによる計時を開始する。続くステップS17では、タイマによる計時を開始してからの経過時間が予め定められた所定期間を経過したか否かを判定する。ここで、所定期間は、報知処理により住戸内環境に異常があったことを知った管理人等が環境異常住戸11Aの玄関ドア26を開放して換気を行う等住戸内環境の改善を行うのに必要十分な期間に設定され、例えば3日間に設定されている。タイマによる経過時間が所定期間を経過した場合には、ステップS18に進む。タイマによる経過時間が所定期間を経過していない場合には、所定期間を経過するまで本判定を繰り返す。
【0053】
ステップS18では、環境異常住戸11Aの住戸内環境が未だ異常状態にあるか否かを判定する。つまり、環境異常住戸11Aの住戸内環境が改善されたか否かを判定する。この判定は、例えば記憶部36より環境異常住戸11Aの最新の1日分の湿度情報を読み出して、その読み出した1日分の湿度の平均値を算出し、その算出した平均値が上記の基準値αよりも大きいか否かに基づいて行う。判定の結果、住戸内環境が改善されている場合には、本処理を終了する。一方、住戸内環境が未だ改善されていない場合には、ステップS19に進む。
【0054】
ステップS19では、屋外環境センサ42からの検知結果に基づいて、屋外が住戸11A内の換気を行うのに適した所定の環境である否かを判定する。屋外が住戸内の換気を行うのに適した環境となっている場合には、ステップS20に進む。屋外で雨が降っていたり外気が高温多湿となっていたりする等、屋外が住戸内の換気を行うのに適した環境となっていない場合には、適した環境となるまで本判定を繰り返し行う。
【0055】
ステップS20では、換気処理を実行する。換気処理では、環境異常住戸11Aに設けられた窓駆動部45に対し開放信号を出力する。これにより、当該住戸11Aのガラス戸22が所定の時間開かれるため、窓部21を通じて住戸11A内の換気が行われる。なおここで、所定の時間は、防犯性の観点から住戸11内の換気を行うのに必要最小限の時間に設定されており、例えば5分に設定されている。換気処理を実行後、本処理を終了する。
【0056】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0057】
各住戸11ごとに各々の住戸11の住戸内環境情報を検知(取得)する住戸内環境センサ41を設け、それら各住戸内環境センサ41により取得した各住戸11の住戸内環境情報に基づいて、各住戸11ごとに住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを判定するようにした。そして、いずれかの住戸11において住戸内環境が悪化した状態にあると判定された場合に、その悪化したと判定された住戸11の居住者及び集合住宅10の管理人の少なくともいずれかにその悪化があった旨を報知するようにした。これにより、報知を受けた居住者や管理人は住戸内環境が悪化したことを知ることができるため、玄関ドア26を開いて住戸11内を換気する等住戸11内の環境を改善すべく迅速な対応をとることができる。よって、この場合住戸11内の環境悪化が進行するのを防止することができる。したがって、例えば住戸11内の環境悪化が進行して住戸11内を清掃業者にクリーニングしてもらう必要に迫られたり居住者の健康が害されたりするといった不都合が生じるのを回避できる。
【0058】
住戸内環境センサ41により取得した各住戸11の湿度情報を記憶する記憶部36を設け、記憶部36に記憶されている各住戸11の所定期間(詳細には1週間分)の湿度情報に基づいて、所定期間における湿度の平均値を算出した。そして、その湿度の平均値が所定の基準値αよりも高いか否かに基づいて各住戸11ごとに住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを判定した。一般に、住戸11内の湿度は天候等屋外環境の影響で1日の間でも大小変動する(ばらつく)と考えられる。そのため、例えば1日のうちのある時点における湿度が所定の基準値αよりも高いか否かに基づき住戸内環境の悪化を判定する場合、湿度のばらつきの影響により精度のよい判定をすることが困難となると考えられる。その点、所定期間の湿度平均値に基づいて住戸内環境の悪化を判定する構成とすれば、上記ばらつきの影響を受けにくいためかかる判定を精度よく行うことができる。
【0059】
各住戸11にそれぞれ、屋内外を連通する窓部21と、窓部21を開閉するガラス戸22と、ガラス戸22を開閉駆動する窓駆動部45とを設け、報知処理を実施してから所定期間が経過しても住戸内環境の異常判定が継続されている場合に、ガラス戸22を開状態とするよう窓駆動部45を制御するようにした。環境異常住戸11Aの居住者が長期出張等により長期不在の場合、当該居住者が外出先から報知を受けても住戸内環境を改善するための処置をとれないことがある。その点、かかる構成とすれば、当該居住者が報知を受けたにもかかわらず住戸内環境を改善できない場合でも、窓部21を通じて住戸11内の換気が強制的に行われるため住戸内環境の悪化の進行を抑制できる。しかも、かかる効果を防犯性を著しく損なうことなく得ることができる。
【0060】
屋外の環境に関する屋外環境情報を検知(取得)する屋外環境センサ42を設け、同センサ42により取得した屋外環境情報に基づいて、屋外が住戸11内の換気に適した所定の環境となっているか否かを判定し、判定の結果屋外が住戸11内の換気に適した所定の環境となっていない場合にはガラス戸22の開放を行わないようにした。これにより、屋外にて雨が降っていたり外気が高温多湿であったりする場合にはガラス戸22が開放されないため、雨水や高温多湿の外気が窓部21を通じて住戸11内に入り込みかえって住戸内環境の悪化を招く等の不都合を回避できる。
【0061】
各住戸11ごとに居住者が所定期間以上不在であることを判定する手段を備え、住戸内環境が悪化した状態にあると判定された住戸11の居住者が所定期間以上不在であると判定された場合には、管理サーバ30の表示部33に報知処理を行うこととした。これにより、居住者が長期出張等により長期にわたり不在である場合でも、集合住宅10の管理人が当該居住者に代わって住戸11内の換気を行う等住戸内環境改善のための対応をとることができ、その結果住戸内環境の悪化が進行するのを回避できる。
【0062】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0063】
(1)上記実施形態では、いずれかの住戸11において住戸内環境が悪化した状態にあるか否かの判定(住戸内環境に異常があるか否かの判定)を、各住戸11ごとに住戸11内の湿度(詳しくは1週間分の湿度の平均値)が所定の基準値αよりも大きいか否かに基づいて行ったが、これを変更してもよい。例えば、記憶部36に記憶されている各住戸11の湿度情報に基づき、各住戸11の間で互いの湿度情報を相対比較し、その相対比較の結果に基づいていずれかの住戸11において住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを判定してもよい。具体的には、各住戸11のうちで最も低い湿度にある住戸11を住戸内環境が良好にある住戸とみなし、かかる住戸11の湿度を基準値として、その基準値に対しその他の各住戸11の湿度がどの程度乖離しているか(つまりどの程度高くなっているか)を各住戸11ごとに算出する。そして、かかる算出の結果、いずれかの住戸11にて湿度が上記基準値に対し所定以上乖離していることが判定された場合に、当該住戸11において住戸内環境が悪化した状態にあると判定することが考えられる。一般に集合住宅10では各住戸11がほぼ同じ屋外環境に晒されていることから、通常の状況であれば各住戸11の住戸内環境はほぼ同じになっていると考えられる。つまり裏を返せば、ある住戸11の住戸内環境が他の住戸11の住戸内環境と異なっている場合には、いずれかの住戸11において住戸内環境が悪化した状態にあることが考えられる。そのため、上記のような構成とすれば、複数の住戸11を備える集合住宅10において、いずれかの住戸11にて住戸内環境が悪化した状態にあることを好適に確認することができる。
【0064】
(2)(1)の構成において、各住戸11について空室である否かを判定する空室判定手段を備え、空室判定手段により空室であると判定された住戸と空室でない(つまり入室である)と判定された住戸との間で湿度情報を相対比較し、その相対比較の結果に基づいて空室の住戸について住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを判定するようにしてもよい。具体的には、記憶部36に記憶されている各住戸11の入空室情報に基づき、各住戸11について入室及び空室のいずれの状態であるかを判定する。そして、記憶部36に記憶されている各住戸11の湿度情報に基づき、空室状態の住戸11と入室状態の住戸11との間で互いの湿度情報を比較し、その比較に基づいて空室の住戸11について住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを判定することが考えられる。より詳しくは、空室の住戸11の湿度が、入室状態の住戸11の湿度に対し所定以上乖離した場合(つまり所定以上高くなった場合)に、空室の住戸11について住戸内環境が悪化した状態にあると判定することが考えられる。一般に空室状態の住戸11は閉め切った状態で放置されることから住戸内環境が悪化し易いのに対し、入室状態にある住戸は居住者が定期的に出入りしたり住戸内を換気したりするため住戸内環境が良好な状態に維持されていると考えられる。そのため、かかる構成とすることで、住戸内環境が悪化し易い空室状態の住戸11について住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを好適に判定することができる。
【0065】
(3)上記実施形態では、各住戸11の居室15にのみ住戸内環境センサ41を設置したが、各住戸11において居室15以外のスペース、例えば浴室18等にも上記センサ41を設置してもよい。また、各住戸11において複数のスペースに住戸内環境センサ41を設置してもよい。
【0066】
(4)上記実施形態では、住戸内環境に異常があると判定された住戸11Aの居住者や集合住宅10の管理人に対して報知処理を行ったが、集合住宅10の近くに暮らす居住者の家族や知人等その他の人に対して報知処理を行ってもよい。例えば、居住者の家族が所有する携帯電話機のメールアドレスを操作部32に対する入力操作により予め記憶部36に登録しておき、住戸内環境に異常が生じた場合に、そのメールアドレスに通信部35を通じて報知メールを送信することが考えられる。
【0067】
また、住戸内環境が悪化した状態にあることを判定する基準値として、上記の基準値αに加え、基準値αよりも大きい値である第二の基準値β(α<β)を設け、住戸11内の1週間における湿度の平均値が第二の基準値βよりも高い場合(住戸内環境がより悪化したと判定された場合)には、指定の清掃業者に対し報知処理を行うようにしてもよい。これにより、住戸11内の環境がクリーニングが必要となる程劣悪である場合には清掃業者にその旨が自動で報知される。また、空室状態の住戸11において上記湿度の平均値が第二の基準値βよりも高くなった場合にのみ、清掃業者への報知処理を行うようにしてもよい。
【0068】
(5)上記実施形態では、記憶部36に記憶されている各住戸11の湿度情報に基づいて各住戸11ごとに住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを判定したが、これを変更し、同記憶部36に記憶されている各住戸11の温度情報に基づいてかかる判定を行ってもよい。この場合、例えば各住戸11ごとに住戸11内の温度が所定温度以上にあるか否かを判定し、その判定の結果いずれかの住戸11において住戸11内の温度が所定温度以上にある場合に、当該住戸11において住戸11内に熱が異常にこもっていると、すなわち住戸内環境が悪化した状態にあると判定することが考えられる。
【0069】
また、温度情報及び湿度情報以外の住戸内環境情報を取得する手段を設け、かかる手段により取得した住戸内環境情報に基づいて住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを判定してもよい。例えば、各住戸11にそれぞれ各々の住戸11内の埃量を検知する埃センサ(住戸内情報取得手段に相当)を設置し、各住戸11の埃センサからの埃量情報に基づいて、各住戸11ごとに住戸11内に埃が著しく溜まっているか否かを、すなわち住戸11内が悪化した状態にあるか否かを判定してもよい。
【0070】
また、各住戸11にそれぞれ各々の住戸11内に存在する煙の量を検知する煙センサ(住戸内情報取得手段に相当)を設置し、各住戸11の煙センサからの煙量情報に基づいて、各住戸11の内壁面がタバコの煙により変色しているか否かを判定してもよい。具体的には、煙センサからの煙量情報を都度記憶部36に記憶するようにし、その記憶部36に記憶されている過去の煙量情報(例えば煙量の総量)に基づいて住戸11内の内壁面の変色が所定以上進んでいるか否かを、すなわち住戸内環境に異常があるか否かを判定することが考えられる。なお、この場合の報知処理としては、例えば異常があったと判定された住戸11の報知装置47に報知信号を出力し、当該住戸11の居住者に喫煙量を減らす等の警告を行うことが考えられる。これにより、タバコの煙により住戸11内の内壁面の変色が進行するのを防止できる。また、管理サーバ30の表示部33に報知信号を出力して、集合住宅10の管理人に異常があった旨を知らせてもよく、その場合管理人は当該居住者に注意を与える等することができる。
【0071】
その他、各住戸11の温度情報又は湿度情報に基づいて各住戸11ごとに住戸11内に存在するかびの量を推定するかび量推定手段を設け、その推定したかび量に基づいて住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを判定してもよい。
【0072】
(6)上記実施形態では、各住戸11ごとに最新の1週間における湿度の平均値を算出し、その算出した湿度の平均値に基づいて各住戸11ごとに住戸内環境に異常があるか否かを判定したが、必ずしも所定期間の湿度に基づいてかかる判定をする必要ない。例えば、各住戸11の最新の湿度情報に基づいて、すなわち各住戸11の現時点の湿度に基づいて住戸内環境に異常があるか否かを判定してもよい。
【0073】
(7)各住戸11に各々の住戸11内における騒音量を検知する騒音センサを設け、各住戸11の騒音センサの検知結果に基づいて、各住戸11にて所定以上の騒音が発生しているか否かを判定し、判定の結果いずれかの住戸11にて所定以上の騒音が発生している場合に報知処理を行うようにしてもよい。この場合、居住者が大音量で音楽を聞く等して騒音を発生させている場合には、当該居住者に警告を与える等することができるため、周囲の住戸11の居住者に不快感を与えるのを回避することが期待できる。
【0074】
(8)上記実施形態では、住戸11内の湿度(詳しくはその1週間の平均値)が基準値αよりも大きいか否かに基づいて住戸内環境の異常の有無を判定することとしたが、この基準値αを可変設定する手段を設けてもよい。そうすれば、基準値αを比較的小さい値に設定することで住戸内環境が悪化し始めたタイミングで報知処理を行ったり、基準値αを比較的大きい値に設定することで住戸内環境の悪化が進行したタイミングで報知処理を行なったりする等、報知の仕方について自由度を高めることができる。
【0075】
基準値αを可変設定する手段としては、各住戸11に入力操作するための操作部を設け、その操作部に対する基準値αの入力操作に基づいて基準値αが記憶部36に記憶(登録)されるようにすることが考えられる。この場合、記憶部36に記憶されている基準値αに基づいて異常判定処理が実行される。また、基準値αが、屋外環境センサ42により取得された屋外環境情報に基づいて設定されるようにしてもよい。一般に、外気温が高い夏場には住戸11内の温度が高くなる等住戸内環境は屋外環境によって変動する。そのため、望ましくは住戸内環境を判定するための基準値αを屋外環境に応じて変更するのがよい。しかしながら、屋外環境に応じて基準値αを都度上記操作部により変更するのは居住者等にとって面倒である。その点、屋外環境情報に基づいて基準値αが設定されるようにすれば、屋外環境に応じた適切な基準値αを自動で設定できるため、利便性を図ることができる。
【0076】
(9)上記実施形態では、ガラス戸22を開閉する窓駆動部45を開閉駆動手段として設けたが、これに代えて又は付加して、玄関ドア26を開閉するドア駆動部を設け、このドア駆動部を開閉駆動手段として用いてもよい。この場合、換気処理時には玄関出入口25を通じて住戸11内の換気が行われる。
【符号の説明】
【0077】
10…集合住宅、12…住戸、21…開口部としての窓部、22…開閉部材としてのガラス戸、30…管理サーバ、31…報知制御手段及び開放制御手段としてのコントローラ、41…住戸内情報取得手段としての住戸内環境センサ、42…屋外情報取得手段としての屋外環境センサ、45…開閉駆動手段としての窓駆動部、47…報知手段としての報知装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の住戸を備えた集合住宅に適用され、
前記各住戸の住戸内環境に関する住戸内環境情報を取得する住戸内情報取得手段と、
前記住戸内情報取得手段により取得した前記各住戸の住戸内環境情報に基づいて、前記各住戸ごとに住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを判定する環境悪化判定手段と、
前記各住戸の居住者及び前記集合住宅の管理者に対して個別に報知を行う報知手段と、
前記環境悪化判定手段によりいずれかの住戸において住戸内環境が悪化した状態にあると判定された場合に、当該悪化状態にあると判定された住戸の居住者及び前記管理者の少なくともいずれかを含む報知対象者に住戸内環境が悪化した旨を前記報知手段により報知する報知制御手段と、
を備えることを特徴とする集合住宅の報知システム。
【請求項2】
前記環境悪化判定手段は、前記住戸内情報取得手段により取得した前記各住戸の住戸内環境情報に基づいて、前記各住戸の間で互いの住戸内環境情報を相対比較し、その相対比較の結果に基づいていずれかの住戸において住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の集合住宅の報知システム。
【請求項3】
前記各住戸について空室であるか否かを判定する空室判定手段を備え、
前記環境悪化判定手段は、前記空室判定手段により空室であると判定された住戸と空室でないと判定された住戸との間で住戸内環境情報を相対比較し、その相対比較の結果に基づいて前記空室の住戸について住戸内環境が悪化した状態にあるか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の集合住宅の報知システム。
【請求項4】
前記各住戸にはそれぞれ、屋内外を連通する開口部と、前記開口部を開閉する開閉手段と、前記開閉手段を開閉駆動する開閉駆動手段とが設けられ、
前記報知手段による報知処理を実施してから所定期間が経過しても前記環境悪化判定手段による住戸内環境が悪化状態にあるとの判定が継続されている場合に、前記開閉手段を開状態とするよう前記開閉駆動手段を制御する開放制御手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の集合住宅の報知システム。
【請求項5】
屋外の環境に関する屋外環境情報を取得する屋外情報取得手段と、
前記屋外情報取得手段により取得した屋外環境情報に基づいて、屋外が住戸内の換気に適した所定の環境となっているか否かを判定する屋外環境判定手段と、
を備え、
前記開放制御手段は、屋外が住戸内の換気に適した所定の環境となっていないことが前記屋外環境判定手段により判定された場合には、前記開放制御を実施しないことを特徴とする請求項4に記載の集合住宅の報知システム。
【請求項6】
前記各住戸において居住者が所定期間以上不在であることを判定する長期不在判定手段を備え、
前記報知制御手段は、前記環境悪化判定手段により住戸内環境が悪化した状態にあると判定された住戸の居住者が所定期間以上不在であることが前記長期不在判定手段により判定された場合には、前記集合住宅の管理者に対し前記報知手段による報知処理を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の集合住宅の報知システム。
【請求項7】
前記環境悪化判定手段による住戸内環境が悪化した状態にあるか否かの判定の際の判定基準値を可変設定する手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の集合住宅の報知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−253216(P2011−253216A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124603(P2010−124603)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】