説明

集品システム

【課題】処理時間の無駄がなくなり、総トランザクション時間の短縮化が実現出来る集品システムを提供する。
【解決手段】通常のライン16と、これと合流点19で合流する別のライン4と、通常のライン及び別のライン夫々の合流点上流に備えられた個体識別手段5−1,5−2と、これら個体識別手段に電気的に接続され、かつ合流点に電気的及び/又は機械的に接続された合流制御手段17,18とからなる集品システム1であって、各顧客からの注文を分析し、i)顧客固有のオリコン等に複数個箱詰め出来る商品群と、ii)1個しか箱詰め出来ない商品群とに区分し、i)の商品群についてはDPS等にて箱詰め作業を行い、配送順に合わせ通常のラインに流す一方、ii)に相当する商品群は、別のラインより配送順に合わせて流し、合流点において、i)に相当するオリコン等と最終合流させ、配送順を整え出荷工程に移行するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集品システムに係り、特に、処理時間の無駄がなくなり、総トランザクション時間の短縮化を実現することが可能な集品システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば生活物品の共同購買活動を行う生活協同組合の配送センター等では、商品の仕分け、搬送及び集品等の各種作業を効率化し、処理時間の無駄をなくし、総トランザクション時間の削減を図る努力が種々行われている。
その一つとして、商品仕分け、搬送及び集品の自動化が、これまでにも公知のマテハン機器、システム等を活用して種々行われているところである(特許文献1等参照)。
【0003】
しかしながら、未だ完全なシステムは提案されておらず、集品システムにおいても次のような問題があった。
【0004】
すなわち従来は、全商品のうち、例えば顧客固有のシッパー又は折りたたみコンテナ(オリコン)に、
i)複数個箱詰め可能な商品も、
ii)逆に1個のみしか箱詰めできない商品も、
配送順を乱してはいけないことから、上流から一緒にラインを流して出荷に至っていた。
【0005】
そうすると、
i)ほとんどの商品群が顧客固有のシッパー又は折りたたみコンテナに複数個、箱詰め 可能なものであり、1個のみしか箱詰め出来ないものは少数である;
ii)にも拘らず、たとえ、配送順に並べられているのを乱してはいけないとは言っても、この、1個しか箱詰め出来ないものを一緒にラインを流すということは、
iii)箱詰め作業がライン途中で1回の作業で終わるものを無駄に同じライン上に流していることにも繋がる。
【0006】
かかる事情を総合的に勘案しても、顧客固有のシッパー又はオリコンに全商品、すなわち、
i)複数個箱詰め可能な商品も、
ii)逆に1個のみしか箱詰めできない商品も、
一緒にラインを通過させることは、処理時間の無駄となり、総トランザクション時間の増大に繋がると言う問題があった。
【0007】
また、全商品の内、例えば比較的小さな商品は各顧客ごとの定型バケットに箱詰めする一方、比較的大きな商品は上記定型バケットに納まらないことから、別途大きな箱を用意して箱詰めするケースにおいても、上記の例と同様の問題があった。
【0008】
すなわち、従来の装置であれば、この顧客固有のバケット及び必要に応じて別途大きな箱は、顧客順、即ち配送ルート順に並べられている都合上、これを乱してはいけないために、一緒にラインを流れて出荷に至っていた。
【0009】
ここで、
i) 殆どの商品群が定型バケットに箱詰め可能な小さなものであり、比較的大きな商品は確率的には少数である。
ii) にも拘らず、例え、配送ルート順に並べられているのを乱してはいけないとは言っても、定型バケットと別途大きな箱とを一緒にライン上に流すということは、
iii) 定型バケットと別途大きな箱の何れか一方を、ある箇所では、商品の箱詰め作業が何らなされない空箱として通過させる、と言う結果を招くことになる。
【0010】
そうすると、無駄なカラ流し時間が発生してしまうことになり、先程の例と同様に処理時間の無駄が発生し、総トランザクション時間の増大に繋がると言った問題があった。
【特許文献1】特開2005−15102号公報
【0011】
したがって本発明は、処理時間の無駄がなくなり、総トランザクション時間の短縮化を実現することが可能な集品システムを提供することを課題とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決すべく種々検討を行った結果、本願発明者は、以下の発想を基礎とし、これより構成された集品システムとすることにより上記課題を解決可能なことを見い出し、本発明を完成した。
【0013】
(1)すなわち、上記課題を解決可能な本発明の集品システムは、次の発想を基礎とするものである。
A. 各顧客からの注文を分析し、
i) 顧客固有のシッパー又は折りたたみコンテナ(オリコン)に複数個、箱詰め出来る商品群と、
ii) 顧客固有のシッパー又はオリコンに1個しか箱詰め出来ない商品群と、
に区分する。
B. そうした上で、これに対応し、
i)の商品群はソータ及び/又はデジタルピッキングシステム(DPS)にて箱詰め作業を行い、配送順に合わせラインに流す一方、
上記ii)に相当する商品群は、上記別のラインより配送順に合わせて流し、通常のライン最終手前に設けられた合流点において、上記i)に相当する顧客固有のシッパー又はオリコンと最終合流させ、配送順を整え、出荷する。
【0014】
(2)或いは、上記課題を解決可能な本発明の集品システムは、次の発想を基礎とするものである。
A. 各顧客からの注文を分析し、
i) 比較的小さな商品の注文のみに係るものと、
ii) 比較的大きな商品の注文を含んでいるものと、
に区分する。
B. そうした上で、これに対応し、
i)に相当するバケットのみを、メイン或いは通常のライン上に流し、特定の箇所で商品の箱詰め作業がなされる実箱として通過させる。また、
ii)に相当するバケット(或いは別途大きな箱)については、
一旦メイン或いは通常のラインから抜き出して別のラインに流すか、或いは元々メイン或いは通常のラインとは別のラインに流し、
ここでも必要な箇所で商品の箱詰め作業がなされる実箱として通過させる。
これにより、バケットのカラ流しが発生しないようにする。
C. B.において夫々のバケット(或いは別途大きな箱)につき商品の箱詰めが終了したのち、一旦メインラインから抜き出して別のラインに流していた、或いは元々メインラインとは別のラインに流していたii)に相当するバケット(或いは別途大きな箱)を、(元の通り、或いは顧客順、即ち配送ルート順に)メインライン上に合流させて戻し、再び、配送ルート順に並べた状態にする。
i)に相当するバケットと、ii)に相当するバケット(或いは別途大きな箱)とは、最終合流後、配送順を整え、出荷に廻る。
【0015】
上記課題を解決可能な、本発明の請求項1に係る集品システムは、
通常のラインと、
前記通常のラインと或る合流点で合流する別のラインと、
前記通常のライン及び前記別のラインにおける、前記合流点の上流にそれぞれ備えられた個体識別手段と、
前記通常のライン及び前記別のラインのそれぞれに備えられた前記個体識別手段に電気的に接続されると共に、前記合流点に電気的及び/又は機械的に接続された合流制御手段と、
からなる集品システムであって、
各顧客からの注文を分析し、
i) 顧客固有のシッパー又は折りたたみコンテナに複数個、箱詰め出来る商品群と、
ii) 前記顧客固有のシッパー又は折りたたみコンテナに1個しか箱詰め出来ない商品群と、
に区分し、
前記i)の商品群についてはソータ及び/又はデジタルピッキングシステムにて箱詰め作業を行い、配送順に合わせ前記通常のラインに流す一方、
前記ii)に相当する商品群は、前記別のラインより配送順に合わせて流し、前記通常のライン最終手前に設けられた前記合流点において、前記i)に相当する顧客固有のシッパー又はオリコンと最終合流させ、配送順を整え、出荷工程に移行する、
ことを特徴とするものである。
【0016】
また、上記課題を解決可能な、本発明の請求項2に係る集品システムは、
通常のラインと、
前記通常のラインと或る合流点で合流する別のラインと、
前記通常のライン及び前記別のラインにおける、前記合流点の上流にそれぞれ備えられた個体識別手段と、
前記通常のライン及び前記別のラインのそれぞれに備えられた前記個体識別手段に電気的に接続されると共に、前記合流点に電気的及び/又は機械的に接続された合流制御手段と、
からなる集品システムであって、
各顧客からの注文を分析し、
i) 比較的小さな商品の注文のみに係るものと、
ii) 比較的大きな商品の注文を含んでいるものと、
に区分し、
前記i)に相当するバケットのみを、前記通常のライン上に流し、或る特定の箇所で商品の箱詰め作業がなされる実箱として通過させる一方、
前記ii)に相当するバケットについては、一旦前記通常のラインから抜き出して別のラインに流すか、或いは元々前記通常のラインとは別のラインに流し、必要な箇所で商品の箱詰め作業がなされる実箱として通過させて、バケットのカラ流しが発生しないようにし、
前記i)及びii)に相当する夫々のバケットにつき商品の箱詰めが終了したのち、一旦前記通常のラインから抜き出して前記別のラインに流していた、或いは元々前記通常のラインとは別のラインに流していた前記ii)に相当するバケットを、前記合流点において前記通常のライン上に合流させて戻し、再び、配送ルート順に並べた状態に整え、出荷工程に移行する、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
上記の本発明の集品システムによれば、処理時間の無駄がなくなり、総トランザクション時間の短縮化を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面に基づき、本発明の集品システムの一実施例を説明する。図1は別ライン集品の作業イメージ図、図2は本発明の別ライン集品・オリコン自動合流集品システムの作業の流れを示すフローチャートである。
【0019】
[実施例]
以下は、本発明の集品システムの一実施例に該当する、別ライン集品・オリコン自動合流集品システムの説明である。
【0020】
(1)別ライン集品の目的
集品箱1箱に対し1個しか入らない商品を通常のソータ・DPSでの集品ラインから除いて、別ラインで集品し、そのオーダーをドーリーへの積み付けの直前に合流させることによって、集品時間の短縮と生産性の向上を図り、ランニングコスト(人件費)の抑制に繋げる。
【0021】
(2)現状の問題点
現状の想定ではドライ集品の米5kgはソータでの集品となっており、集品箱である16Bオリコンに対し1個だけの割付となり、また非食品集品については、顧客側の対応によりトイレットペーパー、ボックスティッシュ等の紙類がDPSでの班別集品の対象となる。これらの他に寝装具等の大型品で集品箱1箱に対し1個しか入らないものが多く企画されると、オーダー数の増加による集品時間の延長、大型重量品の荷扱いによる生産性の悪化が現状でも問題となっている。
【0022】
(3)問題点の解決策
上記の問題点の解決策として、集品箱1箱に対し商品が1個しか入らないオーダーを別ラインで集品することにより、通常ラインを流れるオーダーを削減し、集品時間の短縮を図る。また生産性向上の足を引っ張ることになる大型重量品を別ラインに集約することにより、作業全体の生産性の向上を図る。
【0023】
(4)作用効果
更に通常ラインのオーダーと別ラインのオーダー合流をバーコードでの自動合流にすることにより、作業人員の削減と共に、精度面の向上も期待出来る。
【0024】
(5)別ライン集品の流れ
以下、図1及び図2を参照しつつ、別ライン集品の流れを説明する。最初に、別ライン集品の流れを説明した後、通常のラインとの合流につき説明する。
【0025】
なお、別ライン集品の作業イメージ図は図1に示す通りであるが、オリコン13,14の自動合流を司るCPU17は、図1からも明らかな通り、バーコードリーダー5−1及び5−2、並びに合流制御部18と互いに電気的に接続されている。CPU17には、他のパラメータ情報も入力される(不図示)。
また、図1では省略しているが、合流制御部18は、通常のライン16と別ライン4の合流部19と、互いに機械的に接続されている。
【0026】
i) まず前提として、別ライン4分の別ライン対象商品W2のピッキングは、パレット、カゴ車等で仮置された商品をラベルに基づいて行う(ラベルピッキング。S1)。
このラベルピッキング自体は公知の手法で構わない。
【0027】
ii) 次に、ピッキングした商品W2を大型集品箱(本例ではオリコン)14に入れ、ラベルをオリコン14に貼付し、別ライン4に投入する(S2)。
【0028】
iii) 別ライン4に投入されたオリコン14は、貼付したラベルの個体識別手段(本例ではバーコードスキャン)により、通常のライン16を流れて来る通常の集品箱(本例ではこれもオリコン)13と自動合流する(S3)。
【0029】
ここで、オリコン13,14は、自動合流の前に、オリコン13は通常のライン16を流れて来る際にバーコードリーダー5−1を通過してきている一方で、オリコン14は別ライン4を流れて来る際にバーコードリーダー5−2を通過してきている。
また、オリコン13,14はいずれも、配送ルート順に合わせて並べて流されている。
【0030】
CPU17は、バーコードリーダー5−1及び5−2で検出したラベルの個体識別情報のマッチングをとり、マッチングが取れたときに限り、合流制御部18に合流指令を送出する。合流制御部18では、合流指令を受けたときに機械制御により合流部19でオリコン13,14を自動合流させる。
【0031】
逆に、マッチングが取れないときには、合流制御部18はオリコン13,14を自動合流させることは無い。この場合、オリコン13は合流部19を通過して通常のライン16を還流する。或いは、もう大型商品との詰め合わせが必要なく、別ライン4に投入されたオリコン14との合流自体不要と判断された際には、そのまま単独で出荷の態勢に入る。この判断は、CPU17に入力される他のパラメータ情報より判断される。
【0032】
一方、マッチングが取れないときにおけるオリコン14は、合流部19手前の別ライン4上で待機しており、マッチングが取れたときに合流部19でオリコン13と自動合流できるよう準備している。
【0033】
以上の様にして、本実施例の別ライン集品・オリコン自動合流集品システムは実現される。
【0034】
[変形例]
以上、本発明につき一実施例を挙げて詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に記載の態様に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0035】
例えば、上記実施例では、マッチングが取れないときにおけるオリコン14を、合流部19手前の別ライン4上で待機させ、マッチングが取れたときに合流部19でオリコン13と自動合流できるよう準備する構成としたが、これに限らず、別ライン4を通常のライン16と同様に構成し、オリコン14も還流可能な様構成しても構わない。
【0036】
以上の通り本発明の集品システムによれば、処理時間の無駄がなくなり、総トランザクション時間の短縮化が実現出来る、新規かつ有用なるものであることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】別ライン集品の作業イメージ図である。
【図2】本発明の別ライン集品・オリコン自動合流集品システムの作業の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
1 集品システム
2 ピッキング済み商品投入
3 ドーリー積付
4 別ライン
5−1 バーコードリーダー
5−2 バーコードリーダー
6 ラベルピッキング
7 詰合せ
8 自動合流
9 袋括り
10 DPSピッキング
11 64Bオリコン投入
12 出荷搬送
13 集品箱
14 大型集品箱
15 出荷用箱
16 通常ライン
17 CPU
18 合流制御部
19 合流部
20 別ライン集品
21 出荷ライン
W1 一般商品
W2 別ライン対象商品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常のラインと、
前記通常のラインと或る合流点で合流する別のラインと、
前記通常のライン及び前記別のラインにおける、前記合流点の上流にそれぞれ備えられた個体識別手段と、
前記通常のライン及び前記別のラインのそれぞれに備えられた前記個体識別手段に電気的に接続されると共に、前記合流点に電気的及び/又は機械的に接続された合流制御手段と、
からなる集品システムであって、
各顧客からの注文を分析し、
i) 顧客固有のシッパー又は折りたたみコンテナに複数個、箱詰め出来る商品群と、
ii) 前記顧客固有のシッパー又は折りたたみコンテナに1個しか箱詰め出来ない商品群と、
に区分し、
前記i)の商品群についてはソータ及び/又はデジタルピッキングシステムにて箱詰め作業を行い、配送順に合わせ前記通常のラインに流す一方、
前記ii)に相当する商品群は、前記別のラインより配送順に合わせて流し、前記通常のライン最終手前に設けられた前記合流点において、前記i)に相当する顧客固有のシッパー又はオリコンと最終合流させ、配送順を整え、出荷工程に移行する、
ことを特徴とする集品システム。
【請求項2】
通常のラインと、
前記通常のラインと或る合流点で合流する別のラインと、
前記通常のライン及び前記別のラインにおける、前記合流点の上流にそれぞれ備えられた個体識別手段と、
前記通常のライン及び前記別のラインのそれぞれに備えられた前記個体識別手段に電気的に接続されると共に、前記合流点に電気的及び/又は機械的に接続された合流制御手段と、
からなる集品システムであって、
各顧客からの注文を分析し、
i) 比較的小さな商品の注文のみに係るものと、
ii) 比較的大きな商品の注文を含んでいるものと、
に区分し、
前記i)に相当するバケットのみを、前記通常のライン上に流し、或る特定の箇所で商品の箱詰め作業がなされる実箱として通過させる一方、
前記ii)に相当するバケットについては、一旦前記通常のラインから抜き出して別のラインに流すか、或いは元々前記通常のラインとは別のラインに流し、必要な箇所で商品の箱詰め作業がなされる実箱として通過させて、バケットのカラ流しが発生しないようにし、
前記i)及びii)に相当する夫々のバケットにつき商品の箱詰めが終了したのち、一旦前記通常のラインから抜き出して前記別のラインに流していた、或いは元々前記通常のラインとは別のラインに流していた前記ii)に相当するバケットを、前記合流点において前記通常のライン上に合流させて戻し、再び、配送ルート順に並べた状態に整え、出荷工程に移行する、
ことを特徴とする集品システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−84022(P2009−84022A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258449(P2007−258449)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(500573071)株式会社カワタキコーポレーション (2)
【Fターム(参考)】