説明

集束装置を有するリング精紡機

【解決手段】 本発明は、集束領域のための、材料走行3内において位置するカバー面14でもって、精紡機内においてスライバを集束するための集束装置に関する。これらカバー面に沿っての繊維集積の形成を防止するために、これらカバー面、およびこれらカバー面を支持する挿入部材15は、合成物質−射出成形部材として構成され、材料流動の妨げになるこれら挿入部材の全ての縁部が角を丸くされ、且つ、射出成形型枠の分離継ぎ目22が、これら分離継ぎ目が材料流動内において位置しないように敷設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集束装置を有するリング精紡機であって、
これら集束装置のそれぞれが、少なくとも1つのパーフォレーション軌跡を有する集束エプロンを備えており、
この集束エプロンが、サクションシューの表面に沿って走行し、
且つ、この集束エプロンに、挿入片に沿って形付けられているカバー面が向き合って対峙しており、
この挿入片が、この集束装置に沿って延在する支持レールに設けられている、
様式の上記リング精紡機に関する。
【背景技術】
【0002】
この様式の集束装置は、突出している繊維をスライバ粗糸に吸引すること、および、このことによって、製造された糸の多毛性が低減される。このことによって、この糸の引張り強度も向上し、且つ、この糸の織物、または編組物への処理可能性が改善される。
【0003】
集束領域に所属して設けられたカバー面は、この集束領域を、例えば移動洗浄装置(Wanderreiniger)の、障害となる渦流空気に対して保護する。このカバー面を有する挿入片の縁部において、極めて軽微な繊維集積が形成され、これら繊維集積は、コントロール不能な状態で解離し、且つ糸内において太い部位を誘起することは、しかしながら明らかとなった。これら太い部位は、糸の品質を低下させ、且つ、この糸の更なる処理において、糸破損を誘起する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のことに応じて、本発明には、カバー面を有する挿入片を、繊維を集積する傾向が低減されるように形成するという課題が提示された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、この課題を、主請求項の特徴部において述べられている特徴によって解決する。この挿入片が、合成物質−射出成形部材として形成されることによって、この挿入片は、例えば切削による加工によって形成する稜線を回避すること、および、同様にしばしば、鋭利な縁部を有する工具分離線を、この工具分離線が材料流動から逸らされているように配置することの可能性を与える。このことによって、この工具分離線に繊維集積が形成されること、または、このような繊維集積がそれにも拘らず形成された場合に、これら繊維集積がこれら繊維集積の解離の際に材料流動内へと入り込むことは回避される。
【発明の効果】
【0006】
挿入片は、この挿入片が2つの脚部でもって、その支持レール自体の両方の側面に当接するというやり方で、この支持レールの上に「乗っている」。有利には、しかしながら、挿入片は、支持レールを全面的に囲繞している。このことは、この挿入片の精確な位置を保証し、且つ、それにも拘らず、材料走行方向に見て前方および後方のウェブが、射出成形型枠の分離線が、材料流動の領域内において存在しないようにこの挿入片の長手方向に相対して位置ずれさせることの可能性を与える。
【0007】
材料流動の方向における、材料流動の妨げになる、挿入片のウェブの湾曲部は、この面上に形成され得る材料堆積が側方に押し退けられ、且つスライバ走行内へと導かれないという有利な作用を有している。
【0008】
挿入片による、支持レールの全面的な囲繞は、この挿入片の下側の板において、即ち材料流動から逸らされた状態で、締付けねじを設けることの有利な可能性をも与え、この締付けねじを用いて、この支持レールに沿って位置移動可能な挿入片が、正確に機能する位置に固定される。
【0009】
図示された図において、本発明の実施形態が概略的に示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1において、集束装置1が図示されており、この集束装置は、周知のドラフト機構のフロントローラー対2に後続して設けられており、このドラフト機構からここでただこのフロントローラー対だけが図示されている、参照符号3でもって、繊維材料の経過が、指示されている。
【0011】
集束装置1は、それ自体で公知の構造様式である。この集束装置は、サクションシュー4を備えており、このサクションシューが、サクション導管5を介して、ここで図示されていないサクション装置と結合されている。このサクションシュー4は、このサクションシューの下側にサクション開口部6を有しており、このサクション開口部の上を通過して、集束エプロン7が案内されている。この集束エプロンの周囲を回って、小さなサクション孔のパーフォレーション軌跡が指向しており、このパーフォレーション軌跡は、このサクション開口部6の上を通過して案内されている。この集束エプロン7が、ローラー対8を介して運動される場合、このローラー対の、リング精紡機の全てのドラフト機構にわたって指向する下側ローラー9は駆動されており、且つ、このローラー対の上側ローラー10が、ここで図示されていない上側ローラー支持兼負荷アームを介して、この下側ローラーに押圧されている。
【0012】
サクションシュー4、上側ローラー10、および集束エプロン7は、保持器11内において案内されており、この保持器が、同様に、支持兼負荷アームに保持されており、且つ、案内湾曲片12、および掻取り条片13を、この集束エプロンのために備えている。
【0013】
サクションシュー4のサクション開口部6に、カバー面14が向き合って対峙しており、このカバー面14の輪郭は、このサクションシュー4のアーチ形部に適合されており、且つ、このカバー面が、挿入片15に附設して形成されている。この挿入片は、支持レール16を囲繞しており、この支持レールが、リング精紡機の全ドラフト機構に沿って延在している。このカバー面14と、集束エプロン7の下側面との間で、僅かの間隔が維持されており、従って、このエプロンは、このカバー面に擦過しない。
【0014】
図2から詳細に見て取れるように、挿入片15は、一部材から成る射出成形部材として形成されている。この挿入片は、その板からカバー面14が立ち上がる上側の板17、および、その板内にねじ山孔19が設けられている下側の板18、および、2つの、両方の板を結合するウェブ20および21から成っている。この前方の、材料流動3の妨げになる挿入片15のウェブ20は、1つの部分から成り、これに対して、このウェブ20に相対して位置しているウェブ21は、2つの部分から成っている。このウェブ21のこれら両方の部分は、このウェブ20に対して、支持レール16の方向に、これら両方の部分が、このウェブ20とオーバーラップしないようにずらされている。
【0015】
このことは、挿入片15を2つの部分から成る射出成形型枠を用いて製造することの可能性を与え、その際、両方の型枠部分の分離継ぎ目22は、図2において太く引かれた線に沿って附設されている。射出成形型枠の両方の部分は、前方および後方へと移動可能である。認識できるように、如何なる分離継ぎ目も、矢印3によって示された材料流動に領域内において位置してなく、即ちカバー面14の端縁部23が、この材料流動の方向に指向し、従って、この分離継ぎ目において如何なる繊維蓄積も形成しない。
【0016】
ねじ山孔19は、完全な下側の板18内に刻み付けられることは可能であり、しかしながら同様に、引抜き可能な芯材を用いて、平滑な穿孔を射出成形すること、および、この穿孔内にねじ山を刻み付けることも可能である。このねじ山孔19内へと、締付けねじがねじ込まれ、この締付けねじを用いて、支持レール16に沿って位置移動可能な挿入片15は、正確に機能する位置において固定される。
【0017】
前方の、材料流動の妨げになる挿入片15のウェブ20は、有利な方法で、円筒形の前方への湾曲部24を有している。このウェブの上で堆積可能である、繊維飛散物、および繊維集積体は、このウェブの前で回転する、ドラフト機構のフロントローラー対2の下側ローラーによって、下方へ/外方へと払い落とし、従って、これら繊維飛散物、および繊維集積体が、繊維材料の経過3の領域内へと引き込まれることはない。
【0018】
フロントローラー対2によって仕上げドラフトされ、しかしながら幅広に走出するスライバは、集束エプロン7とカバー面14との間の領域内へと案内される。そこで、このスライバは、この集束エプロンのサクション孔、およびサクションシュー4内におけるサクション開口部6を通って整向された、サクション空気流を用いて、側方に、これらサクション孔へと引っ張られ、且つ、その際に集束され、且つ、突出している繊維がこのスライバに付着される。このようにして集束されたスライバは、ローラー対8の間を通り抜けて、後続して設けられた加撚ゾーンに供給され、この加撚ゾーン内において、このスライバが、例えば、リング/トラベラー装置によって撚りを与えられ、且つ、このスライバが、糸へと仕上げされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】リング精紡機−ドラフト機構の、集束装置を備える領域の断面図である。
【図2】材料流動に対して傾斜する、挿入片の立体的な図である。
【符号の説明】
【0020】
1 集束装置1
2 ドラフト機構のフロントローラー対
3 繊維材料の経過
4 サクションシュー
5 サクション導管
6 サクション開口部
7 集束エプロン
8 ローラー対
9 下側ローラー
10 上側ローラー
11 保持器
12 案内湾曲片
13 掻取り条片
14 カバー面
15 挿入片
16 支持レール
17 上側の板
18 下側の板
19 ねじ山孔
20 ウェブ
21 ウェブ
22 分離継ぎ目
23 カバー面の端縁部
24 ウェブ20の前方への湾曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集束装置を有するリング精紡機であって、
これら集束装置のそれぞれが、少なくとも1つのパーフォレーション軌跡を有する集束エプロンを備えており、
この集束エプロンが、サクションシューの表面に沿って走行し、
且つ、この集束エプロンに、挿入片に沿って形付けられているカバー面が向き合って対峙しており、
この挿入片が、この集束装置に沿って延在する支持レールに設けられている、
様式の上記、集束装置を有するリング精紡機において、
挿入片(15)が、合成物質−射出成形部材として形成されており、
この挿入片の、材料流動の方を向いた縁部が角を丸くされており、且つ、
この挿入片の工具分離線(22)が、この材料流動から逸らされているように構成されている、
ことを特徴とする、集束装置を有するリング精紡機。
【請求項2】
挿入片(15)は、支持レール(16)を全面的に囲繞していることを特徴とする請求項1に記載の、集束装置を有するリング精紡機。
【請求項3】
支持レール(16)を、この支持レールの前面側および後面側で囲繞するウェブ(20、21)は、この支持レールの長手方向において、オーバーラップしない状態で位置ずれされていることを特徴とする請求項1に記載の、集束装置を有するリング精紡機。
【請求項4】
材料流動(3)の妨げになる、挿入片(15)のウェブ(20)は、この材料流動に対抗するように指向された湾曲部(24)を有していることを特徴とする請求項1に記載の、集束装置を有するリング精紡機。
【請求項5】
カバー面(14)と相対して位置している、挿入片(15)の板(18)は、締付けねじのためのねじ山孔(19)を有しており、この締付けねじを用いて、この挿入片が、支持レール(16)の上で、この支持レールの長手方向において固定可能であるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の、集束装置を有するリング精紡機。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−528736(P2006−528736A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529600(P2006−529600)
【出願日】平成16年5月15日(2004.5.15)
【国際出願番号】PCT/DE2004/001033
【国際公開番号】WO2004/104279
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(504011069)ザウラー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト (17)
【Fターム(参考)】