説明

集泥用濁水処理装置

【課題】河川改修工事等で流出する汚濁水を簡単な設備である移動自在及び組立自在とした低コストによって集泥及び濁水処理を良好とする集泥用濁水処理装置を提供する。
【解決手段】濁水流入口を設けた撹拌槽1には、内部に撹拌機7の回転体9を挿入し、該撹拌機よりの流水は下方に位置する水圧回転する回流分離槽2に送られる。該回流分離槽は流水を回流しながらスラッジを下方に沈殿して、上方の流水を次の濾過槽3に送流する。該濾過槽には、隔壁の所定個所に人工ゼオライト14を収納し、その人工ゼオライトを通過して清水として放流する。また、該撹拌機、該回流分離槽及び該濾過槽の下部の開閉弁21により沈殿したスラッジを汚泥槽4に排出することを特徴としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川改修工事等で現場から流出する汚濁水を低コストな装置で処理するもので、低コストで環境の負荷の少ない単純なメカニズムを用いて効率を良好とした組立自在とした省エネルギーを目的とした集泥用濁水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の集泥用濁水処理装置は、膨大な機械処理装置を使用して処理するが、広大な場所に沈砂池を作って清水等に処理するのが一般に実施されている現状である。
しかし、大型の機械処理装置の場合は、有機質薬剤を使用し、且つ高価の設備が必要であると共に、省エネルギー及びリサイクル等の環境に対する配慮が何等考慮されていない問題点がある。また、広大な沈砂池(調整池)の場合は、広い場所を必要とすると共に、周辺の環境の問題が克服できず、且つ常時必要とする電力量が膨大で省エネルギーとならない問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来で述べている問題点を解決するものであり、その主たる目的とする所は、大型の機械を使用することなく、全体が軽量で分解組立式であって、装置そのものが分解して設置及び輸送が可能であると共に、設置に対して大型重機を必要とせず、且つ大掛かりな基礎工事が不要となるものである。また、沈砂池の場合のように、現場周辺の汚濁水の臭気を解決し、環境の保全を確保し、且つ使用する電力量を極力節約するようにした装置を提供したものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記目的を達成するために、汚濁水を注入する撹拌槽には、内部に回転体を設けた撹拌機を挿入し、且つ隣接して段差を設け、且つ上水のみを流水する回流分離槽を装設し、該回流分離槽は、回流しながら上方の流水より、次に、下方に段差を設けた濾過槽に連通する。該濾過槽には、微粉末の人工ゼオライトを収納してある。該撹拌槽、回流分離槽及び濾過槽には、各々底部に沈殿する汚泥を排出口より汚泥槽に送られ処理した後に放水する。また、該撹拌槽に連通する回流分離槽と濾過槽との装設を各々複数個を設置するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、従来の汚濁水装置のように、広大な場所に高価な機械による処理装置の設備と異なり、無公害な無機質の材料のみを使用し、且つ処理装置そのものが非常に簡素化されたものを組合せて構成し、それぞれを分離して輸送に便利とした効果と、また、各々の各槽が小型化されて軽量なもので製作できるので、設置にも大型の重機等も不要であると共に、大掛かりな基礎工事も必要とせず、大変に経済的な優れた効果もある。そして、撹拌槽には、内部に回転体を設けた撹拌機によって、撹拌槽の大小に対しても充分対応できる撹拌機を自由に選択できる効果と、該撹拌槽の下方に段差を以って隣接装設した円筒形の回流分離槽は、撹拌槽より流入した濁水は、浸入の流速に沿って回流しながら下方に沈殿してスラッジとして処分できる。また、該回流分離槽より送られた流水は、濾過槽の内部に収納されている微粉末の濾過材によって、内部に流水した水は、沈降剤及び濁水処理用の吸着剤の役目を充分に果たし、有害物質を排水しないと共に、ランニングコストを著しく抑えると云う効果もある。更に、該撹拌槽、該回流分離槽及び濾過槽との三者を各々段差を設けて設置したので、最初に濁水を送り込むポンプと、スラッジを抜き取るポンプとの2台の動力源で充分達成できるので省エネルギーとなる効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
上記のように構成されている集泥用濁水処理装置によれば、最初に河川改修工事等から現場に流出する汚濁水は、枠台(23)の上部に載置された撹拌槽(1)に流入し、撹拌機(7)によって回流され、上部の流水は濁水流出口(6)を経て円筒形の回流分離槽(2)に至り、該回流分離槽(2)の内部の流速により回流しながら、下部にスラッジを沈下させる。次に該回流分離槽(2)の上方より流水は、方形状等よりなる濾過槽(3)に浸入し、内部の人工ゼオライトによって浄化され、汚泥槽(4)より清水として放流口(17)より放出される。この時、該撹拌槽(1)、該回流分離槽(2)及び濾過槽(3)の下部に各々設けてある開閉弁(21)の操作により各々のスラッジの汲引するポンプ(19)の使用により、各スラッジは汚泥槽(4)に送られ、内部に設けた汚泥収容具(16)により流水のみを放流口(17)より排出するものである。
【実施例1】
【0007】
次に、本発明の実施例を図面について説明すると、図1に示される実施例では、河川工事等の現場で流水する汚濁水は、濁水流出口(6)より矢印の如く、撹拌槽(1)に導入され、回転体(9)を設けた撹拌機(7)の作動で内部の汚濁を回動させ、上部の濁水はオーバーフロー(8)を経て、次に位置している下方に段差を設けて設置された回流分離槽(2)の汚濁水入口(11)より内部に流入する。該回流分離槽(2)には、上部に円形状の回流する区画を設けると共に、下部には、逆円錐形の沈殿部(10)を装設してある。該回流分離槽(2)の内部で回流された流水は、上部の流水出口(12)より、下段の位置に設置してある濾過槽(3)の上方に設けた流水入口(13)より注入される。該濾過槽(3)は、方形状等の形状を有し、内部に数段の区画を形成すると共に、排出側の近くに清水とするための石炭灰を加工した人工ゼオライト(14)を収納してある。該人工ゼオライト(14)によって濁水は完全に処理されて清水となり、放流水となって放流口(17)より放出される。
【0008】
次に、汚泥槽(4)は、内部に汚泥収容具(16)を内装し、該汚泥収容具(16)より排出した流水は、矢印の如く放流口(17)より外部に排出する。また、該汚泥槽(4)には、該撹拌槽(1)、該回流分離槽(2)及び濾過槽(3)の下端にスラッジ排出用の排出口(20)(20)と開閉弁(21)(21)…を各装設してある。該開閉弁(21)(21)には、流水管(18)(18)を介在したスラッジ引抜きのポンプ(19)によって、各々のスラッジは該汚泥槽(4)に送り込まれ、下方より矢印の如く放流口(17)より外部に流水となって放流されるものである。
【実施例2】
【0009】
次に、図2に示す実施例は、該撹拌槽(1)を昇降台(24)を設けた組立てられた枠台(23)の上部に載置した状態を示し、且つ該回流分離槽(2)の形状を縦長の円筒状としてある。また、符号(22)は、必要に応じて薬剤等を挿入する粉体投入機を示したものである。(25)は、円筒形である該回流分離槽(2)を安定に支持する安定台を示したものである。
【0010】
更に、図3に示す実施例のものは、該撹拌槽(1)に設けられている濁水流出管(5)より流水管(18)(18)を経て複数の回流分離槽(2)(2)を設置し、各々の該回流分離槽(2)(2)より流水管(18)(18)を介在して複数個の帯電化反応濾過槽(3)(3)を設置したものを示している。該濾過槽(3)(3)には、該流水管(18)(18)を通過して汚泥槽(4)に連結するものである。
【実施例3】
【0011】
また、図4、図5に示す実施例のものは、回流分離槽(2)の2種類を示し、図4のものは、円筒の形状を縦長にして、流水の回流を長くして沈殿を効果的にしたものである。また、図5に示すものは、該回流分離槽(2)の円筒形の高さを下げて構成を小型化にしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 本発明の集泥用濁水処理装置の一部欠除した全体を配置された側面図である。
【図2】 同じく本発明の装置の一部配列を変更した全体的な側面図である。
【図3】 本発明の一部欠除した全体的な平面図である。
【図4】 同じく本発明の回流分離槽の内部を開示した斜面図である。
【図5】 本発明の回流分離槽の他の実施例の斜面図である。
【符号の説明】
【0013】
1 撹拌槽
2 回流分離槽
3 濾過槽
4 汚泥槽
5 濁水流出管
6 濁水流出口
7 撹拌機
8 オーバーフロー
9 回転体
10 逆円錐形沈殿部
11 汚濁水入口
12 流水出口
13 流水入口
14 人工ゼオライト
16 汚泥収容具
17 放流口
18 流水管
19 ポンプ
20 排出口
21 開閉弁
22 粉体投入機
23 枠台
24 安定台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濁水流入口を有する撹拌槽には、内部に回転体を設けた撹拌機を挿設し、該撹拌機より下方に段差を設けた濁水流出管を経て汚濁水入口を有する円筒形よりなる回流分離槽を装設し、該回流分離槽の位置より下方に流水入口を設けた濾過槽を連接し、該濾過槽には、内部に濾過材を収納し、且つ該濾過槽には、流水管を介して汚泥槽に連通し、該汚泥槽の放流口より外部に放流することを特徴とする集泥用濁水処理装置。
【請求項2】
請求項1の濁水流入口よりの回流分離槽と濾過槽とを各々複数個を装設したことを特徴とする請求項1の集泥用濁水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−68247(P2008−68247A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280693(P2006−280693)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(592054133)株式会社安田 (2)
【Fターム(参考)】