説明

集積化走査式ミニチュア型共焦点光学ヘッドおよび同ヘッドを用いた共焦点イメージング装置

ヘッドは:励起ビームを生成する点光源(2b)と、検体の表面に関して表面下の面(P)(この面は光学ヘッドの光軸(A)に垂直である)に位置する励起点(S)に前記光ビームを収斂させるための光学手段(12、13)と、前記表面下の面内に観察範囲を描写するべく直交する2つの走査方向(横列における迅速な走査と縦列における緩慢な走査)に沿って前記励起点を走査するための手段を備えている。本発明は、前記2つの走査方向のうち少なくとも一方を得るべく、光学手段(12、13)のうち前記光軸(A)に垂直な方向に移動可能な少なくとも一方を選ばれた動き(Dc)に沿って並進移動させるようになった機械的マイクロシステム手段(MEMs)(14a、b)を有することを特徴としている。本発明の利点は、検体の軸方向照明を確保し、ヘッドを小型化できることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビームの集積化走査手段を備えた、特にミニチュア型の、共焦点光学ヘッド、および、同ヘッドを備えた共焦点イメージング装置に関する。
【0002】
より詳しくは、本発明は、検体中のイメージングすべき範囲が励起信号によって点から点へと走査されるようになった光学ヘッドおよび対応する光学装置に関する。この形式の装置は、情報処理によって、リアルタイムで点から点へと構成された共焦点イメージを得るのを可能にする。共焦点特性は、励起信号と同じ光路を通りながら検体の励起された点だけから来る戻り信号を検出するのを可能にする空間的濾過により得られる。
【0003】
目的とする応用分野は、特に内視鏡の又は内視鏡に組み込まれた操作チャンネルを介してアクセス可能な、生体内式(in-vivo)その場式(in-situ)にリアルタイムで生物組織の観察および分析を可能にする、高解像度の共焦点イメージングである。本発明は、また、光学ヘッドのミニチュア化をそれ程必要としない皮膚科学および婦人科学に適用することができる。本発明は、更に、例えば半導体や類似品の検査のために電子の分野に適用することができる。
【背景技術】
【0004】
第1のタイプの装置、特に特許出願WO 00/16151に記載された装置によれば、可撓性の光ファイバの束で構成されたイメージガイドが使用され、その遠位端には分析すべき検体に接触させるようになった集束用光学ヘッドが設けてある。励起ビームの走査手段は、ファイバを順々に走査するために設けたイメージガイドの近位端に位置する。共焦点特性は、この場合には、特に、ガイドの同一の光ファイバが励起信号と発射された戻り信号を伝送するために使用されることに存する。このタイプの装置は、機械的な観点において光学ヘッドが簡素化されており、従って、ミニチュア化することの可能な集束用光学手段を基本的に備えているという利点を有する。他方、この装置は、光ファイバのマトリックスを使用することに関連するある種の不都合、特に組織のサンプリングの問題(1本のファイバの照明に対応する複数の励起点間の連続性)、ファイバに1本づつ導入する問題およびイメージガイドの入口および出口におけるノイズ反射の問題、画像上のファイバのパターンを次に補正するために必要な画像の複雑な情報処理、などの問題を有する。
【0005】
他のタイプの公知の装置によれば、ビーム走査手段は1本の可撓性光ファイバからなるイメージガイドの遠位端にある光学ヘッド内に位置する。共焦点特性は、この場合には、ファイバのコアの直径を適切にすることにより、その光ファイバが励起信号と発射された戻り信号とを伝送するために使用されることによって得られる。
【0006】
この種の装置の不都合は、この場合、基本的に、ヘッドを小型化することの困難さと、光ファイバから出るビームの走査を行うために用いる機械的手段の再現可能性および信頼性に関連している。
【0007】
文献US 6,091,067には、1本の光ファイバが2つの同種二形型圧電楔に固定された走査装置が記載されており、一方の楔はファイバの軸方向に配置してあり、他方の楔は光軸に垂直な方向に配置してある。これらの楔は、観察範囲に対する適切な動きを提供するためには、所定の長さを有しなければならない。光ファイバの軸線に垂直なので、この長さの制約は実際には本発明の目的とする生体内式その場式用途にとっては光学ヘッドの直径が大きすぎるという結果を招く。
【0008】
幾つかの文献はマイクロメカニック(MEMs)形式のマイクロミラーを用いたミニチュア型共焦点光学ヘッドを記載している。
【0009】
特許出願US 2002/0018276は1本の光ファイバを用いたミニチュア型共焦点装置を記載している。ファイバから出る光はレンズのメタライズ部へ反射される。この光は次にファイバを囲繞する二次元のマイクロミラーMEMs上で反射される。光はそれから光学系を介して検体の方へ送られる。検体から来る光は逆の経路を辿り、空間的濾過の作用をするファイバを通る。この装置はミニチュアであり、直径2mm、長さ2.5mを有する。
【0010】
特許US 6,154,305、US 6,088,145、US 6,007,208、US 5,907,425、US 5,742,419は、静電気的に枢動する2つのマイクロミラーMEMsによって観察範囲の走査が行われるようになった共焦点ヘッドを記載している。提案されたヘッドはミニチュア化可能であるが、他方、本発明が目的とする用途(例えば一般に数十μmで離間した直径5μmの複数の核を観察できるには最小限100×100μmの範囲に対応する)に対してあまりにも小さな60×60μmの観察範囲を提供する。毎秒当たり画像数5〜8はリアルタイムのイメージング(640ラインの最も遅いモードで最低毎秒10〜12画像を必要とする)のためには更になお不充分である。更になお、観察範囲は光ファイバの軸線に平行であり、これは実際の使用(プローブの正しい位置決め)が困難となるおそれがある。
【0011】
特許US 6,172,789およびUS 6,057,952は、今度は光ファイバの軸線内に観察範囲を備え、観察面の深度を調節可能な、共焦点光学ヘッドを記載している。走査手段は1つの可動ミラーと1つの固定ミラーを有する。可動ミラーはその中央に開口を有し、それはMEMs型であり、少なくとも1つの方向に沿って枢動できるように取付けてある。可動ミラーおよび固定ミラーの反射面は向かい合いに配置してある。光ファイバから出る光は可動ミラーの開口を通り、次いで固定ミラーによって可動ミラーの方へ反射される。このような構成のヘッドを使用すれば、特に以下のような不都合がある:中央を穿孔した可動ミラーはコストが高く、また、このような二次元式のMEMsミラーの走査速度はリアルタイムのイメージングにとって充分ではない。
【0012】
一般的に、マイクロミラー上での前後連続する反射による光ビームの方向の変更は、補正するのが複雑な光学的欠陥、特に視野の歪み或いは湾曲を生じさせる。
【発明の開示】
【0013】
本発明は、これらの不都合を解消することを目的とするもので、解像度が高く(実質的に1〜2μmの軸方向光学解像度を提供する)、励起ビームの集積化走査手段を備えた、共焦点光学ヘッドを提供することを目的とするものである。他の目的に従えば、光学ヘッドはミニチュア化できなければならず(総直径3mmを超えない)、リアルタイムのイメージングを可能にしなければならず(少なくとも10画像/秒)、最低約100×100μm、好ましくは150×150μmのイメージング範囲をカバーしなければならない。
【0014】
本発明は、共焦点イメージング装置用、特に内視鏡用の、ミニチュア型共焦点光学ヘッドを提供するもので、前記ヘッドは:
−励起ビームを生成する点光源と;
−特に検体の表面に関して表面下の面(この面は光学ヘッドの光軸に垂直である)内に位置する励起点に前記光ビームを収斂させるようになった光学手段と;
−前記表面下の面内に観察範囲を描写するべく直交する2つの走査方向(横列における迅速な走査と縦列における緩慢な走査)に沿って前記励起点を走査する手段とを備え、
その特徴は、前記2つの走査方向のうち少なくとも一方を得るべく、光学手段のうち前記光軸に垂直な方向に移動可能な少なくとも1つを選ばれた動きに沿って並進移動させるようになった機械的マイクロシステム手段MEMsを有することからなる。
【0015】
本発明によれば、ビームの側方走査は伝送用光学部材の1つを光軸に対して側方に変位させることにより行われるもので、従って光学ヘッドの光軸は側方にしか修正されず、反射用光学部材の場合のように角度方向には修正されない。これは検体の軸方向照明を確保し、光学ヘッドの直径を最小限にできる利点がある。
【0016】
機械的マイクロシステム手段はMEMsという普通名称で知られているマイクロ素子の族に属するもので、一般に電場のパルス印加により作動せられて、走査、スイッチ、偏向(特に鏡の偏向)、等を行うのを可能にする。
【0017】
本発明で使用可能なMEMs手段は特に次の通りである:
−2つの電荷の間の吸引力を利用する静電気アクチュエータ;
−2つの材料の間の温度勾配又は熱膨脹係数の差を利用する熱的アクチュエータ、例えば温度上昇を生起する電流;
−2つの磁場の相互作用の合力を利用する磁気アクチュエータ;一般に、MEMsに対する外部磁場と内部磁場が例えば通電時に外部磁場を生起するコイルに印加される。
【0018】
MEMsは、本発明が目標とするイメージングすべき範囲のサイズ(即ち、約150μm)に対応する距離(但し、倍率は除く)にわたる、かつ、選択に応じてイメージング範囲の縦列の走査に対応するほぼ10〜15Hzの緩慢な走査か、或いは、前記範囲の横列の走査に対応するほぼ4kHzの迅速な走査を可能にする速度における、光学部材(特にレンズ)の変位に適合する応答時間を有する。MEMsは、更に、後述する詳細な説明から分かるように、光学ヘッドのミニチュア化に適合するサイズ(総直径で約2〜3mm)を有する。それらは光学部材に安定した反復性のある運動を与えるのを可能にする。好ましくは、このため、本発明で用いるMEMs手段は、直径方向に相対峙するべく配置され同時か交互かの異なるモードで作動される変位手段(例えば、静電気櫛の対)からなる。また、リング(その開口にレンズを固定することができる)の形の他のMEMs装置も存在し、往復並進運動を与えるためにやはり交番的に作動する。
【0019】
点光源はファイバ式にすることができ、従って、オフセットさせることができる:レーザ源に接続された可撓性の光ファイバの端部は光学ヘッドに固定される。光源は、また、出口の直径が数ミクロンのキャビティを有する擬似点光源的なレーザ源であるVCSEL(Vertical-Cavity Semiconductor Emitting Laser)素子で構成することができる。これら2つの場合において、光源のサイズ(光ファイバのコアの直径、又は、VCSEL素子のキャビティの出口の直径)は、後方散乱された信号の濾過用穴として作用すると共に、共焦点画像を形成することができるように選ばれる。VCSEL光源を使用する場合には、検出路を構成するべくセンサーはキャビティの直ぐ背後に配置する。更に、光源(ファイバ式又はVCSEL)の開口係数は、各励起スポットにより発射された光子を最大限に回収するように選ばれる(典型的には、0.2〜0.4)。
【0020】
光学ヘッドに用いる光学手段は、一般に、点光源から所定の焦点距離のところに配置された第1の光学手段を有し、後者は光源から出る励起ビーム(光源の開口係数の故に拡散性である)を平行ビーム又は僅かに拡散するビームに変換するようになっている。この(第1)光学手段は屈折式(標準型若しくは屈折率分布型)及び/又は回折式の1つ又は1組のレンズで構成されている。回折レンズはより小型で軽量であるという利点がある。第2の光学手段が第1光学手段から所定の焦点距離のところに配置されており、この第2光学手段は次いで表面下観察面に位置する励起点に光ビームを集束させる機能を有する。この(第2)光学手段もやはり屈折式及び/又は回折式の1つ又は1組のレンズで構成することができる。
【0021】
好ましくは、MEMs手段は、本発明によれば、第2の光学手段よりも第1の光学手段を変位させるために使用され、かつ、縦列の緩慢な走査を行うのを可能にする周波数で使用される。第2光学手段の走査は、検体に対するその開口係数が大きいので、追加的な光学収差を生じさせる。
【0022】
横列の迅速走査に関しては、本発明によれば、この走査は、例えば適当な圧電手段を用いて光源を変位させるか、或いは、固定光源を用いると共にやはり適当なMEMs手段により第1光学手段の変位に垂直な方向に沿って第2光学手段を変位させることにより行うことができる。
【0023】
可視化の深度を調整するため、Z方向の追加的な走査を本発明の光学ヘッド内に更に設けることができ、これには例えば可動光学手段の1つを光学ヘッドの光軸に沿って変位させるようになったMEMs手段を用いるか、或いは、光学手段の1つ(好ましくは、検体に最も近いもの)の曲率半径を修正するようになった手段を用いる。このような走査は有利なことに情報処理により3D画像を再形成するのを可能にする。
【0024】
本発明は、また、前述したような光学ヘッドを用いた共焦点イメージング装置を提供する。第1実施例によれば、この装置はファイバ付きの光源を有する。第2実施例によれば、この装置は光学ヘッド内の集積化検出手段に接続されたVCSEL型の光源と、光学ヘッドと信号のデータ処理手段との間の可撓性連結手段を備えている。
【0025】
添付図面を参照にした以下の実施例の説明により本発明はより良く理解され、他の利点も明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は本発明のミニチュアヘッドを組み込むことの可能なファイバ式共焦点イメージング装置を概略的に示す。
【0027】
この装置は例えばレーザ源のような光源1を備え、後者は検体中に蛍光又は後方散乱による戻り信号を発生することの可能な波長を有する励起信号を発射するようになっており、前記信号は単モードの第1の光ファイバ2aによって例えば50/50ファイバカプラーのような連結手段3まで搬送され、この連結手段は、光源1から来る励起信号を1本の単モード光ファイバ2b(その末端には本発明のミニチュア光学ヘッド4がある)内へ指向させるべく設けてあると共に、励起された部位から来る戻り信号を第3の単モード光ファイバ2cによって例えばフォトセンサーのような検出手段5の方へ指向させるべく設けてある。この装置は光源1と光学ヘッド4の走査手段と検出手段5とを同期して制御するための制御・操作・同期用電子手段6を備え、この電子手段は特に検体中における信号の位置を検出してリアルタイムで画像を構成するのを可能にする。この装置は、更に、検出手段5によって検出された信号を増幅し成形しA/D変換するための電子手段7と、取得カードとグラフィックカードを有する情報処理手段8と、得られた画像を表示する手段9を備えている。
【0028】
この装置は全体的には次のように作動する:ミニチュア光学ヘッド4は例えば内視鏡の操作チャンネルを介して分析すべき検体に接触せられる。光源1は所定の波長を有する励起信号をファイバ部分2a内へ送る。カプラー3は励起信号をファイバ部分2b内へ指向させて、信号を光学ヘッド4へ導き、光学ヘッド内では信号は走査され、かつ、光ファイバ2bによって定まる光軸に垂直な検体面内において分析表面(又は、分析フィールド)上に所与の深度のところに集束される。検体内の走査された表面から出た戻り信号は励起信号とは逆の経路を辿ってカプラー3に至る。即ち、戻り信号は光学ヘッド4の光学手段によって捕集され、ファイバ部分2b内に再結合され、次いでファイバ部分2c内のカプラー3によって検出器5の方へ指向せられる。検出された信号は増幅され、ディジタル信号に変換され、次いでデータ処理され、リアルタイムで表示される画像要素を完結する。
【0029】
次に図2に示した選ばれた実施例を参照しながら本発明のミニチュアヘッドを詳細に説明する。
【0030】
このヘッドは機械的支持構造15内に以下のものを備えている:
−光ファイバ2bの端部が接続された圧電式手段11。この手段は、光ファイバの前記端部(従って、そこから出る光ビーム)を、選ばれた動きDに沿って、光ファイバにより定まる光軸Aにほぼ垂直に、かつ、イメージングすべき範囲の1本の横列上の動きに対応して、基本的に往復並進状に変位させるようになっている(この圧電式手段は詳細に後述する)。
−ファイバ2bから出た拡散するビームを平行ビーム又は僅かに拡散するビームに変換すると共に、検体から出た戻りビームを捕集するための第1の光学手段12。この光学手段は、本発明によれば、動きDに垂直な選ばれた動き(二重矢印Dで示す)に沿って、かつ、イメージングすべき範囲の1本の縦列上の動きに対応して、光ビームを変位させるべく並進移動可能である。
−光学手段12を動きDに沿って往復移動させるようになったMEMs型のマイクロメカニック手段14a、14b(この手段は詳細に後述する)。
−前記平行ビームを収斂させて、所定深度に位置し光軸Aにほぼ垂直な検査すべき検体Eの平面P内の点又はスポットSへ集束させるための固定式の第2の光学手段13。
【0031】
圧電式手段11とMEMs手段14a、14bは、従って、イメージングすべき範囲の上に集束されたビームの走査を協働して実現するのを可能にするのであり、圧電式手段11は横列における迅速な走査を実現する作用をし、MEMs手段14a、14bは縦列における緩慢な走査を実現する作用をする。
【0032】
機械的支持構造15は例えば管状のレンズホルダーのような中空の本体16からなり、その一端には検体Eに接触させるための気密な窓17(励起信号と戻りの後方散乱又は蛍光信号がこの窓を透過する)が設けてあり、その他端には光ファイバ2bの端部とやはり圧電手段11のための通路18が設けてある。側壁19が通路18を囲繞していて、光学ヘッドを気密に封止している。固定光学手段13は本体16の内側において光軸Aに対して固定されかつセンタリングされており、可動光学手段12は詳細に後述するようにMEMs手段14aおよび14bを介して本体16の内側面に連結されている。
【0033】
光学ヘッドに連結された光ファイバ2bは好ましくは単モードであり、出来るだけ均質な検体照明を可能にする。ファイバの開口係数は、光子の回収を最適化すると共に、適切なコア直径と相俟って、ファイバ内への戻り信号の可能な限り最良の連結(従って、空間的濾過)を可能にするべく、出来るだけ大きくなるように選ばれる。典型的には、開口係数は0.4であり、コアの直径は1〜2μmである。光ファイバの特性の斯る選択は、光学手段12および13の特性と相俟って、戻り信号の空間的濾過を行うのを可能にし、装置の共焦点性を保障する。
【0034】
選ばれた実施例によれば、圧電手段11は圧電楔からなり、その表面には例えば接着により光ファイバ2bの端部が固定してあり、ファイバの端部の一部は突出している。この楔11は二重であり(同種二形とも呼ばれる)、電圧を印加した時に変形する特性を有し、これは楔の非励起位置(又は休止位置)と楔の励起に対応する励起位置との間で光ファイバを変位させるのを可能にする。楔11はこれら2つの位置の間の動き(これは、倍率を除いて、検体中でイメージングしたい範囲の幅に対応する)を呈するように選ばれる。更に、楔11は検体の横列方向に所望の迅速な走査を行うのを可能にするような周波数で励起されることができるように選ばれる。更に、ミニチュア化に最も適合する所与の長さの楔について、共鳴周波数で楔を励起しながら最大限の走査振幅を得ることができる。典型的には、±60Vの正弦波励起電圧で励起する長さ7.5mmの楔は4kHzの共鳴周波数に達することができ、幅150μmのイメージング範囲(単一の倍率を有する)にわたりリアルタイムのイメージングに適切な速度(少なくとも10画像/秒)で横列走査を行うのを可能にする。この長さはほぼ30mmのヘッドについて最大合計寸法と適合する。楔の幅(光ファイバに垂直な寸法)は共鳴に影響しないし、走査の振幅にも影響しない。典型的には、楔の幅は数拾ミクロンであり、ヘッドのために設けた最大外側合計直径(ほぼ2〜3mm)を超えない。1より大きな倍率を考慮すれば、イメージングすべき範囲の所与の寸法について、より大きな動きを得るべくより長く、かつ、より高い励起電圧(±100V〜±120V)を有する圧電楔を選ぶことができる。この装置は、更に、生体内の用途のために、この程度の電圧で使用するに必要な安全手段を有する。
【0035】
MEMs手段14aおよび14bは圧電手段によって付与されるファイバ運動方向に垂直な方向へ可動光学手段12を側方変位させる役割を果たす。より詳しくは、図示した選ばれた実施例によれば、可動光学手段12は1つの簡単なレンズで構成されているので、MEMs手段は直径方向に相対峙した2対の櫛14aと14bを備え、夫々の対の櫛はレンズ12に固定した櫛と本体16に取付けた櫛を有する。これらの櫛は整列せられた半導体のフィラメントであり、1つの対の2つの櫛のフィラメントは重なり合っている。レンズ12の運動は静電効果によって一方の櫛を他方の櫛に対してずらすことにより得られる。櫛の対によって行われる横断方向の運動はファイバの軸線に垂直である。この運動は緩慢な周波数(典型的には10〜15Hz)で行われ、走査振幅を適当に選ぶことにより150μmのイメージング範囲サイズを実現するのを可能にする。
【0036】
可動光学部材(レンズ)12は光ファイバ2bから現れた拡散ビームを平行ビーム又は拡散ビームに変換する機能を有する。それは寸法上の制約に応えなければならない:即ち、その直径はヘッドのミニチュア化に適合しなければならない(ヘッドの外側合計直径は最大限2〜3mmでなければならない)。それは機械的な制約に応えなければならず、充分に頑丈でなければならず、MEMs手段14と連動し並進駆動できるような強度がなければならない。それはまた光学的な制約に応えなければならない:即ち、その直径は得たいと思うイメージング範囲について投影ビームの直径に対して充分に大きくなければならない(さもないと、視野の縁に欠損(特に、唐草模様)を観察する危険がある);ヘッドの共焦点性を確保すると共に、走査中に検出する光子の数を最適化するためには、光学部材12の開口係数は、ファイバの開口係数に少なくとも等しくなければならず、或いは、好ましくはそれより大きくなければならない。レンズの最小限直径1mmは0.4(光ファイバ2bの開口係数)より大きな開口係数で得ることができ、これは外側直径が2〜3mmのミニチュアヘッドおよびMEMs手段14の介挿に適合する。例示として、最も簡素な実施態様においては、この光学部材12は従来型のレンズであるが、二枚玉レンズ或いは目的に適合するサイズと重さを維持することの可能な他のあらゆる通常のレンズでもよい。より洗練されたレンズの例として、異なる領域への入射ビームの波面を分解するために回折を利用し、再結合後に求める波面を得るのを可能にする回折レンズを使用することができる。更に、これらの光学部材は開口係数が大きく、嵩が小さく、軽量で、低コストであるという利点を有する。
【0037】
固定光学手段13は、走査されたビームを集束面内において検体内の或る深度のスポットSへ集束すると共に、この同じ集束面内の各スポットから来る光子を最大限に回収するのを可能にしなければならない。これらの光学手段の特性(特に、倍率と開口係数)は、光ファイバと可動光学手段12の仕様を考慮しながら、装置全体に対して共焦点性を保障するように、また、走査により起こり得る光学収差(歪み、不安定、光軸に対する可動光学手段のずれ、等)を最小限にするように定める。
【0038】
出口窓17は光学ヘッドと検体との間に位置する最後のインターフェースである。それは光学部材を保護すると共に、また、ヘッドと検体の間のインデックス調整を行う(特に、水のインデックスに等しい1.33のインデックスに対して例えばその外側面を処理することによる)機能を有する。この窓は、また、変化形では、光ビームに対する屈折力機能を有するレンズで構成することができる。
【0039】
図3には、可能な特定の実施例に基づく前述したヘッドの光学的模式図を示し(特に検体の横列における走査を示す)、同図ではファイバ2bはその休止位置Iと2つの側方極端位置IIおよびIIIにあるところが従来通りに示してある。
【0040】
光学的仕様は以下の通りである:
−走査された範囲:2Δx=400μm
−ファイバ2bのコアの直径:φコア=1.3μm
−ファイバ2bの開口係数:開口係数=sin(α)=0.4
−レンズ12:回折型
−可動レンズ12の焦点:f12=1.83mm
−レンズ12の総直径:φ12=2mm
−レンズ13:回折型
−固定レンズ13の焦点:f13=0.73mm
−レンズ13の総直径:φ13=1.6mm
−光学系の倍率=G=2.5
−イメージングされた範囲=2Δx物体=160μm
−物体の開口係数:開口係数物体=n sin(α)=1(水中ではn=1.33)
−検体中に集束された各スポットSの直径:イメージングされた全範囲にわたって回折により限定されている
【0041】
直前に述べた実施例において、励起スポットの横列の迅速走査手段は光ファイバの端部が固定された圧電楔を用いて実現される。可能な変化形においては、光ファイバが固定され、レンズ13が可動であり、可動光学部材12の並進運動に垂直な方向に沿って、横列の迅速走査に適合する周波数(4kHz)で光学レンズ13を変位させるために、手段14aおよび14bと同様のMEMs手段が使用してある。やはり、変化形として、逆に、迅速走査はレンズ12を変位させることにより、緩慢な走査はレンズ13を変位させることにより行うことができる。
【0042】
図4には図2の光学ヘッドの変化形が更に示してあり、同じ手段には図2のものと同じ参照番号が付してある。この変化形では、一方の側で管状レンズホルダー15に固定され他方の側でレンズ13に固定された手段16aおよび16bは、ヘッドの光軸Aに沿って前記レンズ13を変位させて、二重矢印Zで示したように検体内の可視化の深度をほぼ数十ミクロンにわたり調節するために使用される。これは有利なことに観察中の検体を三次元で再構成することを可能にする:異なる二次元データの取得を異なる深度で行い、次いでデータ処理により観察中の容積を再構成することが可能となる。他の場合には、可視化深度の調節は、有利なことに観察中の検体を検体の可視化に最適な深度に適合させるのを可能にすることができる。ヘッドの軸線方向への光学部材13の変位は、異なる距離のところにビームを収斂させるのを可能にする。手段16aおよび16bはMEMsタイプ又は圧電式である。
【0043】
更に変化形として、光学ヘッドは、光ファイバ2bの代わりに、VCSEL型の点光源を有することができ、これはVCSELのキャビティの直ぐ背後に配置されたセンサーに接続される。一例として、図3を参照するに、以下の光学的仕様を挙げることができる:
−走査された範囲:2Δx=400〜600μm
−VCSELキャビティの開口の直径:φキャビティ=2〜4μm
−VCSELキャビティの開口係数:開口係数=sin(α)=0.25(空中)
−レンズ12:回折型
−可動レンズ12の焦点:f12=3mm
−レンズ12の総直径:φ12=2mm
−レンズ13:回折型
−固定レンズ13の焦点:f13=1.17mm
−レンズ13の総直径:φ13=1.6mm
−光学系の倍率:G=3
−イメージングされた範囲=2Δx物体=160〜240μm
−物体の開口係数=開口係数物体=n sin(α)=0.75(水中ではn=1.33)
−検体中に集束された各スポットSの直径:イメージングされた全範囲にわたって回折により限定されている
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は本発明のミニチュアヘッドを用いたファイバ式共焦点イメージング装置の実施例の概略図である。
【図2】図2は第1実施例に基づくミニチュアヘッドの横からの断面図である。
【図3】図3は図2のミニチュアヘッドの光学的模式図である。
【図4】図4は図2と同様の図で、可能な第2実施例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共焦点イメージング装置用、特に内視鏡用の、ミニチュア型共焦点光学ヘッド(4)であって、前記ヘッドは:
−励起ビームを生成する点光源(2b)と;
−特に検体の表面に関して表面下の面(P。この面は光学ヘッドの光軸(A)に垂直である)内に位置する励起点(S)に前記光ビームを収斂させるようになった光学手段(12、13)と;
−前記表面下の面内に観察範囲を描写するべく直交する2つの走査方向(横列における迅速な走査と縦列における緩慢な走査)に沿って前記励起点を走査する手段とを備え、
その特徴は、前記2つの走査方向のうち少なくとも一方を得るべく、光学手段(12、13)のうち前記光軸(A)に垂直な方向に移動可能な少なくとも1つを選ばれた動き(DC)に沿って並進移動させるようになった機械的マイクロシステム手段MEMs(14a−b)を有することからなるミニチュア型共焦点光学ヘッド。
【請求項2】
リアルタイムで画像を形成するべく、緩慢な走査はほぼ10〜15Hzの周波数に対応し、迅速な走査はほぼ4kHzの周波数に対応することを特徴とする請求項1に基づく光学ヘッド。
【請求項3】
手段MEMs(14a−b)は直径方向に相対峙するべく、かつ、交互に可動光学手段(12、13)と協働するようになっていることを特徴とする請求項1又は2に基づく光学ヘッド。
【請求項4】
光源(2b)によって生成された光ビームは拡散性であり、光学手段(12、13)は、前記拡散ビームを平行ビーム又は僅かに拡散するビームに変換するようになった第1の手段(12)と、表面下集束点(S)を形成するようになった第2の光学手段(13)とを順次に有することを特徴とする請求項1から3のいづれかに基づく光学ヘッド。
【請求項5】
第1光学手段(12)は可動であり、縦列における光ビームの緩慢な走査を行うようになっていることを特徴とする請求項4に基づく光学ヘッド。
【請求項6】
2つの光学手段(12、13)は可動であり、夫々、各1つの走査方向を画定するべく光軸に垂直な方向に沿って変位するようになっていることを特徴とする請求項1から5のいづれかに基づく光学ヘッド。
【請求項7】
光源(2b)は可動であり、前記光源から発射された励起ビームを選ばれた動き(DL)をもって変位させて第2の走査方向を画定するようになった圧電式手段(11)に固定してあることを特徴とする請求項1から5のいづれかに基づく光学ヘッド。
【請求項8】
第2走査方向と圧電式手段(11)の特性は横列の迅速走査に対応することを特徴とする請求項7に基づく光学ヘッド。
【請求項9】
圧電式手段はヘッドの光軸(A)に沿って長手に延長する同種二形型圧電楔(11)を備え、前記光源(2b)は光学手段(12、13)に対向する当該楔の前端のところで前記楔の両面の一方に固定されていることを特徴とする請求項8に基づく光学ヘッド。
【請求項10】
検体内における表面下観察面(P)の深度を修正する手段を備えていることを特徴とする前記請求項のいづれかに基づく光学ヘッド。
【請求項11】
検体内における表面下観察面(P)の深度を修正する手段は光学手段(13)を光学ヘッドの光軸に沿って変位させるようになったマイクロメカニック手段MEMs(16a−b)を備えていることを特徴とする請求項10に基づく光学ヘッド。
【請求項12】
前記手段MEMs(16a−b)は光ビームの光軸に沿った変位(Z)を実現するべく集束用第2光学手段(13)を変位させるようになっていることを特徴とする請求項11に基づく光学ヘッド。
【請求項13】
表面下観察面(P)の深度を修正する手段はいづれかの光学手段の曲率半径を修正する手段を備えていることを特徴とする請求項10に基づく光学ヘッド。
【請求項14】
外部光源から励起信号を導くようになった光ファイバ(2b)の端末部を備え、ファイバから現れるビームは点光源を構成することを特徴とする前記請求項のいづれかに基づく光学ヘッド。
【請求項15】
光ファイバは単モードであって、戻り信号の空間的濾過を可能にし、従って、ヘッドの共焦点性を保障するコア直径を有し、光ファイバは出来るだけ大きな開口係数を有することを特徴とする請求項14に基づく光学ヘッド。
【請求項16】
光源はVCSEL型であり、共焦点装置に適合する開口係数およびキャビティ出口直径を有し、VCSELのキャビティの背後に配置されたセンサーに接続されていることを特徴とする請求項1から13のいづれかに基づく光学ヘッド。
【請求項17】
検体に接触させると共にインデックスの調整を行うための封止用窓(17)を光学ヘッドの出口に備えていることを特徴とする前記請求項のいづれかに基づく光学ヘッド。
【請求項18】
前記窓は集束された光ビームに対する屈折力機能を有することを特徴とする請求項17に基づく光学ヘッド。
【請求項19】
光学手段(12、13)は光源の開口係数に少なくとも等しい開口係数を有することを特徴とする前記請求項のいづれかに基づく光学ヘッド。
【請求項20】
−集積化ビーム走査式の集束用共焦点光学ヘッド(4)と;
−励起ビームを発射するようになった光源(1、2a、2b)と;
−発射された信号を検出する手段(5)と;
−発射された信号を制御し処理して、イメージングすべき範囲の共焦点画像を再構成するようになった電子情報処理手段(6〜9)、
とを備えた共焦点イメージング装置であって、
光学ヘッド(4)は前記請求項のいづれかに基づくことを特徴とするイメージング装置。
【請求項21】
レーザ光源(1)と連結手段(3)に接続された光ファイバ(2a)を備え、前記連結手段(3)は、前記ファイバ(2a)を光学ヘッド(4)までおよびからの搬送用光ファイバ(2b)に連結すると共に、検出手段までの発射信号搬送用ファイバ(2c)に連結することを特徴とする請求項20に基づく装置。
【請求項22】
光学ヘッドはVCSEL光源と集積化検出器を備え、この装置は光学ヘッドと信号処理手段との間の可撓性連結手段を備えていることを特徴とする請求項20に基づく装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−511309(P2006−511309A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566991(P2004−566991)
【出願日】平成15年12月12日(2003.12.12)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003686
【国際公開番号】WO2004/066016
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(504243970)マウナ ケア テクノロジーズ (12)
【Fターム(参考)】