説明

集積回路、及びこれを用いた情報処理システム

【課題】CPUによるブートコードの実行速度の高速化とシステムの柔軟性の確保とを両立させつつ、マスタ回路と集積回路とを組み合わせた情報処理システムと、マスタ回路を備えない小規模な情報処理システムとに共用することが容易な集積回路、及びこの集積回路を用いた情報処理システムを提供する。
【解決手段】CPUと、RAMと、外部に不揮発性メモリを接続可能なSPIマスタ23と、RAMへのアクセスを受け付けるSPIスレーブ24と、第1ブートモードが設定された場合、開始アドレスを含んで不揮発性メモリをマッピングし、第2ブートモードが設定された場合、開始アドレスを含んでRAMのアドレスをマッピングするアドレスマッピング部25と、第1ブートモードではリセット信号に応じてCPUのリセットを解除し、第2ブートモードでは第2インターフェース部を介したアクセスに応じてCPUのリセットを解除するリセット制御部26とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CPUを内蔵した集積回路、及びこれを用いた情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、CPU(Central Processing Unit)のリセットが解除された後に実行すべきブートコード(パワーオンコード)を、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリに記憶しておき、この不揮発性メモリを、CPUのスタートアドレスを含むようにマッピングすることで、ブートコードの実行を開始させるようにした情報処理システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−312411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、半導体プロセスの微細化に伴い、CPUと、メモリとを1チップに集積化したASIC(Application Specific Integrated Circuit)が広く用いられるようになっている。このようなASICでは、CPUは、ASICの外部に接続したメモリよりも、チップに内蔵されたメモリへのアクセスの方が、高速に実行できる。また、システムの柔軟性を確保する観点からは、ASICの内蔵メモリは、読み書きが自由なRAM(Random Access Memory)が望ましい。
【0005】
そこで、図5に示すようなシステムが考えられる。図5は、このようなASICを用いた情報処理システムを示すブロック図である。
【0006】
図5に示す情報処理システムは、ASIC101とメインシステム102とを備えている。メインシステム102は、例えばマイクロコンピュータを用いて構成されており、ASIC101へのアクセス要求が可能なマスタとして動作するマスタ回路である。
【0007】
ASIC101は、CPU111、RAM112、インターフェース回路113、及びアドレスデコーダ114を備えている。そして、CPU111、RAM112、インターフェース回路113、及びアドレスデコーダ114は、内部バス115によって、互いに接続されている。
【0008】
インターフェース回路113は、メインシステム102に接続され、メインシステム102からのアクセスを受け付ける。アドレスデコーダ114は、CPU111の出力するアドレスをデコードし、RAM112をアクセスするための選択信号を生成する。アドレスデコーダ114は、RAM112を、CPUのスタートアドレスを含むようにマッピングする。
【0009】
そして、CPU111の起動時には、まず、メインシステム102が、RAM112にブートコードを書き込んで記憶させる。そして、CPU111のリセットが解除されると、CPU111からスタートアドレスが出力され、このスタートアドレスがアドレスデコーダ114でデコードされて、RAM112が選択されることで、CPU111がRAM112に記憶されているブートコードを読み出して、実行するようにする。
【0010】
このような構成にすれば、ASIC101にRAM112を内蔵して、CPU111によるブートコードの実行速度の高速化とシステムの柔軟性の確保とを両立させることが可能になると考えられる。
【0011】
ところで、図5に記載のASIC101は、RAM112にブートコードを書き込むことができるマスタ回路がないと、動作することができない。しかしながら、RAM112にブートコードを書き込むことができるマスタ回路は、CPUやメモリなどを備えたマイクロコンピュータシステムとして構成する必要があるため、回路規模が大きく、かつ高価である。
【0012】
そのため、例えばASIC101をテストしたい場合などは、マスタ回路を用いずに、小規模な回路でASIC101を動作させたいというニーズがある。また、ASIC101を、図5に示すようなマスタ回路と組み合わされた情報処理システムと、マスタ回路を備えない小規模な情報処理システムとに共用したい、というニーズもある。
【0013】
本発明の目的は、CPUを内蔵した集積回路において、CPUによるブートコードの実行速度の高速化とシステムの柔軟性の確保とを両立させつつ、マスタ回路と集積回路とを組み合わせた情報処理システムと、マスタ回路を備えない小規模な情報処理システムとに共用することが容易な集積回路、及びこの集積回路を用いた情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る集積回路は、リセットが解除された後、予め設定された開始アドレスから命令語をフェッチして、実行を開始するCPUと、前記CPUからアクセス可能なRAMと、外部に設けられる不揮発性メモリを、前記CPUから読出し可能に接続することが可能な第1インターフェース部と、前記RAMへの書込アクセスを受け付ける第2インターフェース部と、前記第1インターフェース部から前記CPUがリセット解除後に実行すべきブートコードを取得する第1ブートモードと、前記第2インターフェース部から前記ブートコードを取得する第2ブートモードとのいずれか一方のモードの設定指示を選択的に受け付けるモード設定受付部と、前記モード設定受付部によって前記第1ブートモードを設定すべき旨の設定指示が受け付けられた場合、前記開始アドレスを含むように前記第1インターフェース部に接続された不揮発性メモリのアドレスをマッピングし、前記モード設定受付部によって前記第2ブートモードを設定すべき旨の設定指示が受け付けられた場合、前記開始アドレスを含むように前記RAMのアドレスをマッピングするアドレスマッピング部と、前記リセットを示すリセット信号を受け付けると共に前記第2インターフェース部を介して外部からアクセス可能に構成され、かつ前記モード設定受付部によって前記第1ブートモードを設定すべき旨の設定指示が受け付けられた場合、前記リセット信号に応じて前記CPUのリセットを解除し、前記モード設定受付部によって前記第2ブートモードを設定すべき旨の設定指示が受け付けられた場合、前記第2インターフェース部を介したアクセスに応じて前記CPUのリセットを解除するリセット制御部とを備える。
【0015】
この構成によれば、RAMにブートコードを書き込むことができるマスタ回路を備えない小規模な情報処理システムにおいて、この集積回路を用いる場合には、ブートコードと、そのブートコードをCPUによってRAMに転送させた後、CPUの実行をRAMに転送されたブートコードにジャンプさせる命令コードである初期処理コードとが記憶された不揮発性メモリを第1インターフェース部に接続し、モード設定受付部に第1ブートモードの設定指示を入力することにより、この集積回路にブートコードを実行させることが可能となる。
【0016】
一方、この集積回路を、マスタ回路と組み合わせて用いる場合には、モード設定受付部に第2ブートモードの設定指示を入力し、第2インターフェース部にマスタ回路を接続する。そして、マスタ回路が、第2インターフェース部を介してRAMに、前記開始アドレスが先頭となるようにブートコードを書き込ませた後、マスタ回路が、第2インターフェース部を介してリセット制御部にアクセスすることにより、CPUのリセットを解除することで、この集積回路にブートコードを実行させることが可能となる。
【0017】
このように、上述の構成によれば、マスタ回路と集積回路とを組み合わせた情報処理システムと、マスタ回路を備えない小規模な情報処理システムとにおいて、同一の構成を有する集積回路を共用して用いることができる。そして、いずれの情報処理システムにおいてもCPUは、集積回路に内蔵されたRAMに記憶されたブートコードを実行することができるので、ブートコードの実行速度の高速化が容易である。さらに、ブートコードを変更する際も、集積回路を変更する必要がなく、不揮発性メモリに記憶されているブートコードや外部のマスタ回路によってRAMに書き込むブートコードを変更するだけでよいので、システムの柔軟性を確保することが容易である。
【0018】
また、本発明に係る情報処理システムは、上述の集積回路と、前記第1インターフェース部に接続された不揮発性メモリとを備え、前記モード設定受付部によって前記第1ブートモードを設定すべき旨の設定指示が受け付けられており、前記不揮発性メモリには、前記ブートコードと、前記不揮発性メモリに記憶されたブートコードを前記CPUによって前記RAMに転送させた後、前記CPUの実行を前記RAMに転送されたブートコードにジャンプさせる命令コードである初期処理コードとが記憶されており、前記初期処理コードの先頭アドレスは、前記開始アドレスである。
【0019】
この構成によれば、リセットが解除されると、CPUによって、不揮発性メモリの開始アドレスから命令語のフェッチが開始され、初期処理コードが実行される。そして、初期処理コードが実行されると、不揮発性メモリに記憶されたブートコードがCPUによってRAMに転送されて記憶される。さらに、ブートコードのRAMへの転送が終わると、CPUの実行がRAMに転送されたブートコードにジャンプし、ブートコードが実行される。
【0020】
これにより、マスタ回路を備えない小規模な情報処理システムにおいて、CPUが、ブートコードを実行することができる。そして、CPUは、集積回路に内蔵されたRAMに記憶されたブートコードを実行することができるので、ブートコードの実行速度の高速化が容易である。さらに、ブートコードを変更する際も、集積回路を変更する必要がなく、不揮発性メモリに記憶されているブートコードを変更するだけでよいので、システムの柔軟性を確保することが容易である。そして、この集積回路は、上述したようにマスタ回路と組み合わせて用いることも可能である。
【0021】
また、本発明に係る情報処理システムは、上述の集積回路と、前記第2インターフェース部に接続されたマスタ回路とを備え、前記モード設定受付部によって前記第2ブートモードを設定すべき旨の設定指示が受け付けられており、前記マスタ回路は、前記第2インターフェース部を介して前記RAMに、前記開始アドレスが先頭となるように前記ブートコードを書き込んだ後、前記第2インターフェース部を介して前記リセット制御部にアクセスすることにより、前記CPUのリセットを解除する。
【0022】
この構成によれば、マスタ回路によって、RAMに前記開始アドレスが先頭となるようにブートコードが書き込まれる。その後、マスタ回路によって、リセット制御部がアクセスされてCPUのリセットが解除される。そうすると、CPUによって、RAMの開始アドレスから命令語のフェッチが開始され、ブートコードが実行される。
【0023】
これにより、マスタ回路と集積回路とが組み合わされた情報処理システムにおいて、CPUがブートコードを実行することができる。そして、CPUは、集積回路に内蔵されたRAMに記憶されたブートコードを実行することができるので、ブートコードの実行速度の高速化が容易である。さらに、ブートコードを変更する際も、集積回路を変更する必要がなく、外部のマスタ回路によってRAMに書き込むブートコードを変更するだけでよいので、システムの柔軟性を確保することが容易である。そして、この集積回路は、上述したようにマスタ回路を備えない小規模なシステムにおいても用いることも可能である。
【発明の効果】
【0024】
このような構成の集積回路、及びこれを用いた情報処理システムは、マスタ回路と集積回路とを組み合わせた情報処理システムと、マスタ回路を備えない小規模な情報処理システムとにおいて、同一の構成を有する集積回路を共用して用いることができる。そして、いずれの情報処理システムにおいてもCPUは、集積回路に内蔵されたRAMに記憶されたブートコードを実行することができるので、ブートコードの実行速度の高速化が容易である。さらに、ブートコードを変更する際も、集積回路を変更する必要がなく、不揮発性メモリに記憶されているブートコードや外部のマスタ回路によってRAMに書き込むブートコードを変更するだけでよいので、システムの柔軟性を確保することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る集積回路を用いた情報処理システムの一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る集積回路を用いた情報処理システムの他の一例を示すブロック図である。
【図3】図1、図2に示すリセット制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図2に示す不揮発性メモリのメモリマップを示す説明図である。
【図5】マスタ回路と集積回路とを組み合わせた情報処理システムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1、図2は、本発明の一実施形態に係る集積回路を用いた情報処理システムの一例を示すブロック図である。
【0027】
図1に示す情報処理システム1は、例えば、ASIC2(集積回路)と、メインシステム3(マスタ回路)とがSPI(Serial Peripheral Interface)4を介して接続されて、構成されている。
【0028】
図2に示す情報処理システム1aは、例えば、ASIC2と、不揮発性メモリ5とが、SPI6を介して接続されて、構成されている。不揮発性メモリ5としては、FlashROMや、EEPROM等、種々の不揮発性記憶素子を用いることができる。そして、図2に示す情報処理システム1aは、図1に示す情報処理システム1と同じ構成のASIC2を備え、マスタ回路となるメインシステム3は備えていない。
【0029】
また、メインシステム3、不揮発性メモリ5は、SPI4,6によってASIC2に接続される例に限られず、例えばパラレルバスで接続されてもよく、他のシリアルバスによって接続されていてもよい。
【0030】
ASIC2は、CPU21と、SRAM(Static Random Access Memory)22(RAM)と、SPIマスタ23(第1インターフェース部)と、SPIスレーブ24(第2インターフェース部)と、アドレスマッピング部25と、リセット制御部26と、内部バス27と、接続端子28(モード設定受付部)と、接続端子29とを備えている。CPU21、SRAM22、SPIマスタ23、SPIスレーブ24、及びリセット制御部26は、内部バス27を介して相互にアクセス可能に接続されている。
【0031】
CPU21は、リセットが解除された後、予め設定された開始アドレス(例えば0番地)から命令語をフェッチして、命令実行を開始する。
【0032】
SRAM22は、RAMの一例であり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等、他の種類のRAMであってもよい。
【0033】
SPIマスタ23は、図2に示すように外部に接続された不揮発性メモリ5を、CPU21から読出し可能に接続することが可能なSPIのインターフェース回路である。
【0034】
SPIスレーブ24は、メインシステム3と接続されたSPIのインターフェース回路である。そして、SPIスレーブ24は、メインシステム3から、SRAM22への書込アクセスを受け付ける。
【0035】
ASIC2は、SPIマスタ23からリセット解除後に実行すべきブートコードを取得する第1ブートモードと、SPIスレーブ24からブートコードを取得する第2ブートモードとを有している。
【0036】
接続端子28は、第1及び第2ブートモードのいずれかを選択的に設定するための設定端子である。そして、接続端子28に印加された信号が、モードを示すモード信号MODEとしてアドレスマッピング部25及びリセット制御部26へ出力される。
【0037】
ASIC2は、例えば接続端子28がローレベルにされてモード信号MODEがローレベルになると第1ブートモードが設定され、接続端子28がハイレベルにされてモード信号MODEがハイレベルになると第2ブートモードが設定される。
【0038】
アドレスマッピング部25は、例えばアドレスデコード回路や論理回路等を用いて構成されている。そして、アドレスマッピング部25は、内部バス27のアドレス信号をデコードして、SRAM22、SPIスレーブ24、及びリセット制御部26の選択信号を生成することにより、これらをアドレスに割り付けて、マッピングする。また、アドレスマッピング部25は、同様に、SPIマスタ23、すなわちSPIマスタ23に接続される不揮発性メモリ5をアドレスに割り付けて、マッピングする。
【0039】
具体的には、アドレスマッピング部25は、接続端子28がローレベルにされて第1ブートモードが設定されると、開始アドレス(例えば0番地)を含むように、SPIマスタ23に接続される不揮発性メモリ5のアドレスをマッピングする。また、アドレスマッピング部25は、接続端子28がハイレベルにされて第2ブートモードが設定されると、開始アドレスを含むようにSRAM22のアドレスをマッピングする。
【0040】
接続端子29には、外部から、パワーオンリセット信号RESET(リセット信号)が入力される。このパワーオンリセット信号RESETは、接続端子29を介してリセット制御部26へ入力される。
【0041】
リセット制御部26は、メインシステム3からSPI4、及びSPIスレーブ24を介してアクセス可能に構成されている。そして、リセット制御部26は、接続端子28がローレベルにされて第1ブートモードが設定されると、パワーオンリセット信号RESETをCPUリセット信号RESとしてCPU21へ供給することで、パワーオンリセット信号RESETが解除されるとCPU21のリセットが解除されるようにする。
【0042】
また、リセット制御部26は、接続端子28がハイレベルにされて第2ブートモードが設定されると、メインシステム3からの指示に応じてCPUリセット信号RESを生成する。これにより、リセット制御部26は、メインシステム3からCPU21のリセット解除を要求する要求指示が出力されたとき、CPU21のリセットを解除する。
【0043】
図3は、図1、図2に示すリセット制御部26の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すリセット制御部26は、リセット制御レジスタ261と、マルチプレクサ262とを備えている。リセット制御レジスタ261は、内部バス27に接続されている。
【0044】
そして、メインシステム3がリセット制御部26をアクセスすると、アドレスマッピング部25によってラッチ信号が生成されて、リセット制御レジスタ261のクロック端子に入力される。これにより、メインシステム3からの、リセット要求、及び解除を示すリセット信号RESmが、リセット制御レジスタ261でラッチされるようになっている。
【0045】
リセット制御レジスタ261でラッチされたリセット信号RESmは、マルチプレクサ262へ出力される。マルチプレクサ262は、モード信号MODEがローレベルにされて第1ブートモードが設定されると、パワーオンリセット信号RESETをCPUリセット信号RESとしてCPU21へ供給する。また、マルチプレクサ262は、モード信号MODEがハイレベルにされて第2ブートモードが設定されると、リセット信号RESmをCPUリセット信号RESとしてCPU21へ供給する。
【0046】
まず、図1に示す情報処理システム1について説明する。
【0047】
メインシステム3は、例えば所定のアプリケーションを実現するための演算処理を実行するCPU31と、所定の制御プログラムが記憶された不揮発性のROM32と、データを一時的に記憶するRAM33と、HDD(Hard Disk Drive)34と、I/F(インターフェース)回路35と、その周辺回路等とを備えて構成されている。
【0048】
例えばHDD34やROM32には、CPU21がリセット解除後に実行すべきブートコードが記憶されている。
【0049】
I/F回路35は、SPIのインターフェース回路であり、CPU31が、SPI4及びSPIスレーブ24を介してSRAM22へアクセスすることを可能としている。
【0050】
図1に示す情報処理システム1では、接続端子28が電源に接続されてモード信号MODEがハイレベルにされ、第2ブートモードが設定されている。これにより、アドレスマッピング部25によって、開始アドレス(例えば0番地)を含むようにSRAM22のアドレスがマッピングされる。
【0051】
そして、ASIC2のCPU21がリセット制御部26によってリセットされているときに、メインシステム3のCPU31が、例えばROM32に記憶されている制御プログラムを実行することで、HDD35に記憶されているブートコードを読み出して、I/F回路35、SPI4、及びSPIスレーブ24を介して、SRAM22に記憶させる。
【0052】
このとき、CPU31は、SRAM22の開始アドレス(例えば0番地)がブートコードの先頭になるように、ブートコードの書込を行う。
【0053】
そして、CPU31は、SRAM22へのブートコードの書込が終了すると、I/F回路35、SPI4、及びSPIスレーブ24を介してリセット制御部26にアクセスし、リセットの解除要求をリセット制御レジスタ261にラッチさせることで、CPU21のリセットを解除する。
【0054】
そうすると、リセット制御部26からCPU21へ、リセット解除を示すCPUリセット信号RESが出力されてリセットが解除され、CPU21がSRAM22の開始アドレス(例えば0番地)に記憶されているブートコードの先頭をフェッチし、ブートコードの実行が開始される。
【0055】
次に、図2に示す情報処理システム1aについて説明する。
【0056】
図2に示す情報処理システム1aでは、接続端子28がグラウンドに接続されてモード信号MODEがローレベルにされ、第1ブートモードが設定されている。
【0057】
これにより、アドレスマッピング部25によって、不揮発性メモリ5のアドレスが、開始アドレス(例えば0x00000000番地)を含むように、マッピングされている。また、SRAM22のアドレスは、不揮発性メモリ5と重複しないように、アドレスマッピング部25によって、例えば0x10000000番地以降にマッピングされている。また、マルチプレクサ262によってパワーオンリセット信号RESETが選択されて、CPUリセット信号RESとしてCPU21へ出力されている。
【0058】
図4は、図2に示す不揮発性メモリ5のメモリマップを示す説明図である。図4に示すように、開始アドレスである0x00000000番地から、0x00000FFFの領域に初期処理コードが記憶され、アドレス0x00001000番地以降に、ブートコードが記憶されている。
【0059】
初期処理コードは、0x00001000番地以降に記憶されているブートコードを、CPU21によってSRAM22に転送させた後、CPU21の実行をSRAM22に転送されたブートコードにジャンプさせる命令コード(プログラム)である。
【0060】
これにより、パワーオンリセット信号RESETによるリセットが解除されると、リセット制御部26から、RESリセット解除を示すCPUリセット信号RESが出力されてCPU21のリセットが解除され、CPU21が不揮発性メモリ5の開始アドレス(0x00000000番地)に記憶されている初期処理コードの先頭をフェッチし、初期処理コードの実行が開始される。
【0061】
初期処理コードが実行されると、CPU21によって、不揮発性メモリ5のアドレス0x00001000番地以降に記憶されているブートコードが、SRAM22のアドレス0x10000000番地以降に転送され、記憶される。
【0062】
そして、ブートコードの転送が終了すると、CPU21によって、SRAM22の、例えばアドレス0x10000000番地へのJUMP命令が実行されて、CPU21によるブートコードの実行が開始される。
【0063】
以上、図1、図2に示す情報処理システム1,1aによれば、マスタ回路と集積回路とを組み合わせた情報処理システム1と、マスタ回路を備えない小規模な情報処理システム1aとにおいて、同一の構成を有するASIC2を共用して用いることができる。そして、情報処理システム1,1aのいずれにおいてもASIC2は、内蔵されたSRAM22に記憶されたブートコードを実行することができるので、ブートコードの実行速度の高速化が容易である。さらに、ブートコードを変更する際も、ASIC2を変更する必要がなく、メインシステム3や不揮発性メモリ5に記憶されているブートコードを変更するだけでよいので、システムの柔軟性を確保することが容易である。
【符号の説明】
【0064】
1,1a 情報処理システム
2 ASIC
3 メインシステム
4 SPI
5 不揮発性メモリ
21,31 CPU
22 SRAM
23 SPIマスタ
24 SPIスレーブ
25 アドレスマッピング部
26 リセット制御部
27 内部バス
28,29 接続端子
32 ROM
33 RAM
34 HDD
35 I/F回路
261 リセット制御レジスタ
262 マルチプレクサ
MODE モード信号
RES CPUリセット信号
RESET パワーオンリセット信号
RESm リセット信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リセットが解除された後、予め設定された開始アドレスから命令語をフェッチして、実行を開始するCPUと、
前記CPUからアクセス可能なRAMと、
外部に設けられる不揮発性メモリを、前記CPUから読出し可能に接続することが可能な第1インターフェース部と、
前記RAMへの書込アクセスを受け付ける第2インターフェース部と、
前記第1インターフェース部から前記CPUがリセット解除後に実行すべきブートコードを取得する第1ブートモードと、前記第2インターフェース部から前記ブートコードを取得する第2ブートモードとのいずれか一方のモードの設定指示を選択的に受け付けるモード設定受付部と、
前記モード設定受付部によって前記第1ブートモードを設定すべき旨の設定指示が受け付けられた場合、前記開始アドレスを含むように前記第1インターフェース部に接続された不揮発性メモリのアドレスをマッピングし、前記モード設定受付部によって前記第2ブートモードを設定すべき旨の設定指示が受け付けられた場合、前記開始アドレスを含むように前記RAMのアドレスをマッピングするアドレスマッピング部と、
前記リセットを示すリセット信号を受け付けると共に前記第2インターフェース部を介して外部からアクセス可能に構成され、かつ前記モード設定受付部によって前記第1ブートモードを設定すべき旨の設定指示が受け付けられた場合、前記リセット信号に応じて前記CPUのリセットを解除し、前記モード設定受付部によって前記第2ブートモードを設定すべき旨の設定指示が受け付けられた場合、前記第2インターフェース部を介したアクセスに応じて前記CPUのリセットを解除するリセット制御部とを備えること
を特徴とする集積回路。
【請求項2】
請求項1記載の集積回路と、
前記第1インターフェース部に接続された不揮発性メモリとを備え、
前記モード設定受付部によって前記第1ブートモードを設定すべき旨の設定指示が受け付けられており、
前記不揮発性メモリには、
前記ブートコードと、
前記不揮発性メモリに記憶されたブートコードを前記CPUによって前記RAMに転送させた後、前記CPUの実行を前記RAMに転送されたブートコードにジャンプさせる命令コードである初期処理コードとが記憶されており、
前記初期処理コードの先頭アドレスは、前記開始アドレスであること
を特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項1記載の集積回路と、
前記第2インターフェース部に接続されたマスタ回路とを備え、
前記モード設定受付部によって前記第2ブートモードを設定すべき旨の設定指示が受け付けられており、
前記マスタ回路は、
前記第2インターフェース部を介して前記RAMに、前記開始アドレスが先頭となるように前記ブートコードを書き込んだ後、前記第2インターフェース部を介して前記リセット制御部にアクセスすることにより、前記CPUのリセットを解除すること
を特徴とする情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−203946(P2011−203946A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69829(P2010−69829)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】