説明

集積回路チップの実装構造および実装方法

【課題】ICチップと配線基板との接着部分が複雑な形状になる領域と端子間のピッチが狭小化した領域とが混在するときにICチップの配線基板への実装を低コストで行う。
【解決手段】配線基板10にICチップ20が実装された実装構造において、比較的狭いピッチで比較的小さいサイズのバンプ22bが配置されている領域では、ACF3によって配線基板10とICチップ20との接着が行われ、配線基板10とICチップ20との接着部分の形状が矩形以外の形状となっている領域もしくは配線基板10の厚さが一定とはなっていない領域では、ACP4によって配線基板10とICチップ20との接着が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の実装方法および実装構造に関し、より詳しくは、導電性の接着剤を用いてIC(集積回路)チップを配線基板に実装する方法およびその方法によって得られる実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化や薄型化への要求が高まっている。それに伴い、IC(Integrated Circuit:集積回路)チップを配線基板に実装する方法に関して、様々な提案がなされている。例えば、ごく小さい領域でICチップの配線基板への実装を実現する手法として、「フリップチップ実装」と呼ばれる実装方法が知られている。フリップチップ実装とは、「ベアチップ」と呼ばれるパッケージ化されていないICチップの表面(ひょうめん)に「バンプ」と呼ばれる突起電極を形成し、回路面を下に向けて配線基板に直接電気接続する実装方法である。
【0003】
フリップチップ実装に際して、配線基板とICチップとの接着には一般的に異方性導電材料が用いられる。異方性導電材料は、圧着部における厚さ方向に対しては導電性を有し、圧着部における面方向に対しては絶縁性を有する接続材料である。異方性導電性材料は、主に導電性粒子と接着剤とから構成されている。接着の際には、接着部分に熱と圧力が加えられることにより、接着剤が押し広げられる。このとき、対向する電極間に1個以上の導電性粒子が挟みこまれる(捕捉される)ことにより、対向する電極間が電気的に導通する。なお、導電性粒子の接着剤への充填量については、電極の接続面積や電極間スペースに応じて設計される。
【0004】
異方性導電材料としては、典型的には、ACP(Anisotropic Conductive Paste:異方性導電ペースト)と呼ばれるペースト状の接着剤とACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電フィルム)と呼ばれるフィルム状の接着剤とが知られている。ACPおよびACFは、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂から成る接着剤の中にニッケル粒子や金めっきプラスチック粒子などの導電性粒子を分散させた接着剤である。ACPについては、配線基板等への塗布がディスペンサを用いて行われるので、接着部分が複雑な形状や段差のある形状であっても、比較的容易に塗布が行われる。しかし、ACPはペースト状であるため、導電性粒子の流動性が高い。このため、ACPについては、接着の際に電極間に導電性粒子が捕捉されにくいという不利な点がある。これに対して、ACFは、フィルム状であって、所定幅でロール状に巻かれた状態で供給される。このため、接着部分の形状が例えば図14(平面図)に示すような平面ロの字形状のときには、開口部を金型で切り抜くなどの工程が必要となりコスト増となる。また、接着部分の形状が図15(断面図)に示すような段差のある形状のときには、ACFがフィルム状であることに起因して、高さの調整が困難となる。しかしながら、ACFについては、接着の際に電極間に導電性粒子が捕捉されやすく電気的導通が確実に確保されるという利点がある。
【0005】
ところで、電子機器の小型化や薄型化に伴い、ICチップの端子間のピッチの狭小化や電極パッドの微細化が進んでいる。そこで、導電性粒子の捕捉のされやすさの観点から、フリップチップ実装の際に接着剤としてACFが採用されることが多くなっている。以下、図16を参照しつつ、フリップチップ実装によってICチップを配線基板に実装する方法について説明する。
【0006】
まず、図16(a)に示すように、ICチップ20との電気的接続のための端子部を含む配線パターン12が形成された配線基板10が準備される。なお、この配線基板10については、ガラス基板等の硬質基板であっても良いし、フレキシブル基板であっても良い。また、ベアチップ状態のICチップ20が準備され、例えば電気めっきによる方法やワイヤボンディング装置を用いた方法により、図16(b)に示すように電極パッド上にバンプ22が形成される。
【0007】
次に、ICチップ20上に形成されたバンプ22と配線基板10上の端子部とを電気的に接続するための接着剤として、ACF3が準備される。ACF3は、PET(Polyethylene Terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどのセパレータ31上に形成され、また、セパレータ31と共に送り出しリール30にロール状に巻かれた状態で供給される。そして、図16(c)に示すように、送り出しリール30からセパレータ31と共にACF3が巻き出され、ICチップ20のサイズに応じてACF3の切断が行われる。その後、図16(d)に示すように、ACF貼付けツール32を下降させることにより、切断後のACF3が配線基板10に貼り付けられてセパレータ31から分離される。さらに、図16(e)に示すように、圧着ツール50によるICチップ20の配線基板10への熱圧着が行われる。その熱圧着は、ICチップ20上に設けられたバンプ22と配線基板10上の端子部とが位置合わせされた状態で行われる。以上のようにして、配線基板10へのICチップ20の実装が行われる。
【0008】
なお、本願発明に関連して、以下のような先行技術が知られている。特開2007−27483号公報には、ICチップのバンプと基板端子とが接触する部分には導電性粒子を多く含む異方性導電層を配置し、異方性導電層よりも少ない導電性粒子を含む接着フィルムを異方性導電層を覆うように配置することにより、高密度実装の際のショートを防止する技術が開示されている。特開2002−110741号公報には、ICチップの外周部全体にACFを形成し、ICチップの4隅角部にNCP(Non Conductive Paste:非導電ペースト)を形成して、ICチップを基板に熱圧着させることにより、ICチップの4隅角部の割れを防止する技術が開示されている。特開平7−99214号公報には、光学ガラスにTAB(Tape Automated Bonding)テープを接着し、当該TABテープとCCDの電極パッドとを異方性導電膜を介して電気的に接続することにより、CCDの実装プロセスを簡便にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−27483号公報
【特許文献2】特開2002−110741号公報
【特許文献3】特開平7−99214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、電子機器の高機能化に伴い、配線基板10とICチップ20との接着部分の形状に関し、端子間のピッチが狭小化した領域と図14や図15に示したような複雑な形状の領域とが混在することが生じつつある。例えば、ガラス基板10上に液晶ドライバ20bとCCDセンサーチップ20aとを並べて配置した装置について、図17(平面模式図)を参照しつつ説明する。液晶ドライバ20bについては、全体において電極パッドの面積は小さくされ端子間のピッチは狭小化されている。一方、CCDセンサーチップ20aについては、符号91で示す領域では、電極パッドの面積は小さくされ端子間のピッチは狭小化されているが、符号92で示す領域では、電極パッドの面積は大きくされ端子間のピッチも比較的大きくされている。また、センサーチップ20aの中央部には、受光用のマイクロレンズ24が設けられている。このような構成において、CCDセンサーチップ20aとガラス基板10との接着にACPが採用されると、符号91で示す領域において電極間に捕捉される導電性粒子が不足して電気的な導通が充分に確保されないことがある。一方、CCDセンサーチップ20aとガラス基板10との接着にACFが採用されると、マイクロレンズ24の領域に対応する開口部をACFに設ける必要が生じ、上述したように開口部を金型で切り抜くなどの工程が必要となりコスト増となる。
【0011】
そこで本発明は、ICチップと配線基板との接着部分が複雑な形状になる領域と端子間のピッチが狭小化した領域とが混在するときにICチップの配線基板への実装を低コストで行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明は、配線基板に集積回路チップが実装された実装構造であって、
前記配線基板と前記集積回路チップとを電気的に接続するための1以上の突起電極を含む複数の突起電極が前記集積回路チップに設けられ、
前記複数の突起電極は、一群の突起電極である第1の突起電極群と、互いに隣接する突起電極間の間隔が前記第1の突起電極群以下とされている第2の突起電極群とからなり、
前記第1の突起電極群が配置されている第1の領域では、ペースト状の接着剤によって前記配線基板と前記集積回路チップとが接着され、
前記第2の突起電極群が配置されている第2の領域では、フィルム状の接着剤によって前記配線基板と前記集積回路チップとが接着されていることを特徴とする。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、
前記第2の領域には、前記第2の突起電極群として200ミクロン以下のピッチで複数の突起電極が配置されていることを特徴とする。
【0014】
第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記第1の領域においては、前記配線基板と前記集積回路チップとの接着部分の形状が矩形以外の形状となっている、もしくは、前記配線基板の厚さが一定とはなっていないことを特徴とする。
【0015】
第4の発明は、第1から第3までのいずれかの発明において、
前記集積回路チップの周縁部の4辺のうちの1辺およびその対辺のそれぞれに前記第2の突起電極群が配置され、
前記配線基板と前記集積回路チップとは、各第2の突起電極群毎に用意された前記フィルム状の接着剤によって、当該各第2の突起電極群を介して接着されていることを特徴とする。
【0016】
第5の発明は、第1から第4までのいずれかの発明において、
前記集積回路チップに設けられている複数の突起電極は、前記配線基板と前記集積回路チップとの間で電気信号を伝達するための信号用突起電極と、前記信号用突起電極以外の突起電極であるダミー突起電極とからなり、
前記信号用突起電極は、前記第2の突起電極群のみに含まれていることを特徴とする。
【0017】
第6の発明は、第1から第5までのいずれかの発明において、
前記配線基板と前記集積回路チップとの接着部分の形状が開口を有する形状であることを特徴とする。
【0018】
第7の発明は、第6の発明において、
前記集積回路チップはセンサーチップであることを特徴とする。
【0019】
第8の発明は、第1から第7までのいずれかの発明において、
前記配線基板には、突起電極として前記第1の突起電極群と前記第2の突起電極群とが設けられた第1の集積回路チップと、突起電極として前記第2の突起電極群が設けられた第2の集積回路チップとが実装され、
前記第1の集積回路チップにおいて、前記第2の突起電極群は、当該第1の集積回路チップの周縁部の4辺のうち前記第2の集積回路チップに隣接する辺に設けられ、
前記第1の集積回路チップにおいて前記第2の突起電極群が設けられている領域と前記第2の集積回路チップにおいて前記第2の突起電極群が設けられている領域とでは、前記第1の集積回路チップおよび前記第2の集積回路チップと前記配線基板とが一片の前記フィルム状の接着剤によって接着されていることを特徴とする。
【0020】
第9の発明は、第8の発明において、
前記第1の集積回路チップに設けられている突起電極の高さと前記第2の集積回路チップに設けられている突起電極の高さとが異なるときに、高い方の突起電極が設けられている集積回路チップと前記配線基板との間に前記フィルム状の接着剤に積層するようにして前記ペースト状の接着剤が塗布されている領域があることを特徴とする。
【0021】
第10の発明は、第1から第9までのいずれかの発明において、
前記ペースト状の接着剤は、異方性導電ペーストであることを特徴とする。
【0022】
第11の発明は、第1から第10までのいずれかの発明において、
前記フィルム状の接着剤は、異方性導電フィルムであることを特徴とする。
【0023】
第12の発明は、第1から第11までのいずれかの発明において、
前記配線基板は、ガラス基板であることを特徴とする。
【0024】
第13の発明は、一群の突起電極である第1の突起電極群と、互いに隣接する突起電極間の間隔が前記第1の突起電極群以下とされている第2の突起電極群とが設けられている集積回路チップの配線基板への実装方法であって、
前記配線基板上の領域のうち前記配線基板と前記集積回路チップとが前記第2の突起電極群を介して接続されるべき領域にフィルム状の接着剤を貼り付けるフィルム状接着剤貼り付け工程と、
前記配線基板上の領域のうち前記配線基板と前記集積回路チップとが前記第1の突起電極群を介して接続されるべき領域にペースト状の接着剤を塗布するペースト状接着剤塗布工程と、
前記フィルム状接着剤貼り付け工程によって前記配線基板に貼り付けられたフィルム状の接着剤と前記ペースト状接着剤塗布工程によって前記配線基板に塗布されたペースト状の接着剤とを介して前記集積回路チップを前記配線基板に圧着させる圧着工程と
を含むことを特徴とする。
【0025】
第14の発明は、第13の発明において、
前記フィルム状接着剤貼り付け工程では、前記配線基板上の領域のうち、前記第2の突起電極群として前記集積回路チップに200ミクロン以下のピッチで配置されている複数の突起電極を介して前記配線基板と前記集積回路チップとが接続されるべき領域に、前記フィルム状の接着剤が貼り付けられることを特徴とする。
【0026】
第15の発明は、第13または第14の発明において、
前記ペースト状接着剤塗布工程では、前記配線基板上の領域のうち、前記配線基板と前記集積回路チップとが接着されるべき部分の形状が矩形以外の形状となっている領域、もしくは、前記配線基板の厚さが一定とはなっていない領域に、前記ペースト状の接着剤が塗布されることを特徴とする。
【0027】
第16の発明は、第13から第15までのいずれかの発明において、
前記集積回路チップの周縁部の4辺のうちの1辺を構成する第1周縁部およびその対辺を構成する第2周縁部に前記第2の突起電極群が配置され、
前記フィルム状接着剤貼り付け工程は、前記配線基板上の前記第1周縁部に対応する領域に前記フィルム状の接着剤を貼り付ける第1のフィルム状接着剤貼り付け工程と、前記配線基板上の前記第2周縁部に対応する領域に前記フィルム状の接着剤を貼り付ける第2のフィルム状接着剤貼り付け工程とからなることを特徴とする。
【0028】
第17の発明は、突起電極として前記第1の突起電極群と前記第2の突起電極群とが設けられた第1の集積回路チップと、突起電極として前記第2の突起電極群が設けられた第2の集積回路チップとを前記配線基板に実装する、第13から第16までのいずれかの発明において、
前記フィルム状接着剤貼り付け工程では、前記第1の集積回路チップにおいて前記第2の突起電極群が設けられている領域および前記第2の集積回路チップにおいて前記第2の突起電極群が設けられている領域のすべてが含まれるように、一片の前記フィルム状の接着剤が前記配線基板に貼り付けられることを特徴とする。
【0029】
第18の発明は、第17の発明において、
前記圧着工程では、前記第1の集積回路チップの周縁部の4辺のうち前記第2の突起電極群が設けられている辺が前記第2の集積回路チップに隣接するように、前記第1の集積回路チップが前記配線基板上に配置されることを特徴とする。
【0030】
第19の発明は、第17または第18の発明において、
前記第1の集積回路チップに設けられている突起電極の高さと前記第2の集積回路チップに設けられている突起電極の高さとが異なるときに、前記配線基板上の領域であって前記フィルム状接着剤貼り付け工程によって前記フィルム状の接着剤が貼り付けられた領域のうち高い方の突起電極が設けられている集積回路チップと対向する領域に、前記フィルム状の接着剤に積層するように前記ペースト状の接着剤を塗布する重ね塗り工程を更に含むことを特徴とする。
【0031】
第20の発明は、第13から第19までのいずれかの発明において、
前記ペースト状接着剤塗布工程では、前記ペースト状の接着剤として異方性導電ペーストが前記配線基板に塗布されることを特徴とする。
【0032】
第21の発明は、第13から第20までのいずれかの発明において、
前記フィルム状接着剤貼り付け工程では、前記フィルム状の接着剤として異方性導電フィルムが前記配線基板に貼り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
上記第1の発明によれば、配線基板に集積回路チップが実装された実装構造において、比較的狭いピッチで突起電極が配置されている領域(第2の領域)では、配線基板と集積回路チップとの接着にフィルム状の接着剤が採用され、比較的広いピッチで突起電極が配置されている領域(第1の領域)では、配線基板と集積回路チップとの接着にペースト状の接着剤が採用されている。このため、比較的狭いピッチで突起電極が配置されている領域があっても、すなわち、(接着部の)面積の小さい突起電極が配置されている領域があっても、当該領域において「電極間に導電性粒子が捕捉されず、配線基板と集積回路チップとの間の電気的な導通が確保されない」ということが抑制される。また、比較的広いピッチで突起電極が配置されている領域における(配線基板と集積回路チップとの)接着部の形状が複雑な形状となる場合に、フィルム状の接着剤が採用されたときに必要となる(接着剤の)切り貼り等の工程が不要となり、集積回路チップを配線基板に実装するのに要するコストが低減される。
【0034】
上記第2の発明によれば、200ミクロン以下のピッチで複数の突起電極が配置されている領域を有する構成において、上記第1の発明と同様の効果を奏する、集積回路チップの配線基板への実装構造が実現される。
【0035】
上記第3の発明によれば、配線基板と集積回路チップとの接着部分が矩形以外の形状となっている領域あるいは配線基板の厚さが一定とはなっていない領域を有する構成において、上記第1または第2の発明と同様の効果を奏する、集積回路チップの配線基板への実装構造が実現される。
【0036】
上記第4の発明によれば、比較的狭いピッチで配置された一群の突起電極である第2の突起電極群が、集積回路チップの周縁部の4辺のうちの1辺とその対辺とに設けられている。各第2の突起電極群はそれぞれフィルム状の接着剤によって貼り付けられているところ、それらの接着剤の幅は同じ幅となる。このため、2枚のフィルム状の接着剤をそれぞれ配線基板に貼り付けるための工程において貼り付け用のツールの場所を移動させるだけで良く、異なる2つの幅のフィルム状の接着剤を用意する必要や配線基板を回転させる工程を増やす必要がない。
【0037】
上記第5の発明によれば、電気信号を伝達するための信号用突起電極が設けられている領域では、フィルム状の接着剤によって配線基板と集積回路チップとの接着が行われる。このため、配線基板と集積回路チップとの電気的導通に関し、高い信頼性が得られる。
【0038】
上記第6の発明によれば、配線基板と集積回路チップとの接着部分が開口を有する形状となる構成において、上記第1から第5までのいずれかの発明と同様の効果を奏する、集積回路チップの配線基板への実装構造が実現される。
【0039】
上記第7の発明によれば、上記第6の発明と同様の効果を奏する、センサーチップの配線基板への実装構造が実現される。
【0040】
上記第8の発明によれば、突起電極の形状や配置の異なる2つの集積回路チップが配線基板に実装された実装構造において、一方の集積回路チップにおいて比較的狭いピッチで突起電極が配置されている領域と他方の集積回路チップにおいて比較的狭いピッチで突起電極が配置されている領域とでは、一片のフィルム状の接着剤によって配線基板と集積回路チップとの接着が行われている。このため、本来2回必要となるフィルム状の接着剤の配線基板への貼り付け工程を1回に削減することができる。これにより、突起電極の形状や配置の異なる2つの集積回路チップを配線基板に実装するのに要するコストが低減される。
【0041】
上記第9の発明によれば、2つの集積回路チップに設けられている突起電極の高さが異なっていても、当該2つの集積回路チップは安定した状態で配線基板に実装される。
【0042】
上記第10の発明によれば、比較的広いピッチで突起電極が配置されている領域では、異方性導電ペーストによって配線基板と集積回路チップとの接着が行われる。このため、当該領域において、端子間の短絡を抑制しつつ、配線基板と集積回路チップとの機械的および電気的接続が容易に行われる。
【0043】
上記第11の発明によれば、比較的狭いピッチで突起電極が配置されている領域では、異方性導電フィルムによって配線基板と集積回路チップとの接着が行われる。このため、当該領域において、端子間の短絡を抑制しつつ、配線基板と集積回路チップとの機械的および電気的接続が容易に行われる。
【0044】
上記第12の発明によれば、上記第1から第11までのいずれかの発明と同様の効果を奏する、集積回路チップのガラス基板への実装構造が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるICチップの実装構造を示す平面模式図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】上記第1の実施形態において、第2のエリアにおけるバンプの配置について説明するための図である。
【図4】上記第1の実施形態において、配線基板とICチップとの接着について説明するための断面図である。
【図5】上記第1の実施形態における実装工程について説明するための図である。
【図6】上記第1の実施形態の第1の変形例におけるICチップの実装構造を示す平面模式図である。
【図7】ACFについて説明するための図である。
【図8】上記第1の実施形態の第2の変形例におけるICチップの実装構造を示す平面模式図である。
【図9】図8のB−B線断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態におけるICチップの実装構造を示す平面模式図である。
【図11】図10のC−C線断面図である。
【図12】上記第2の実施形態における実装工程について説明するための図である。
【図13】上記第2の実施形態において、第1のICチップの配置について説明するための図である。
【図14】ACFによる接着が困難な形状について説明するための図である。
【図15】ACFによる接着が困難な形状について説明するための図である。
【図16】従来例における実装工程について説明するための図である。
【図17】従来例における課題について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0047】
<1.第1の実施形態>
<1.1 実装構造>
図1は、本発明の第1の実施形態におけるICチップ20の配線基板10への実装構造を示す平面模式図である。また、図2は、図1のA−A線断面図である。本実施形態における実装構造は、ガラス基板である配線基板10と、ICチップ20とによって構成されている。なお、このICチップ20は、パッケージ化されていない「ベアチップ」と呼ばれる状態のものである。また、ICチップ20の平面視での大きさは、例えば、5mm×5mmである。配線基板10には、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)などの導電性薄膜による配線パターン12が形成されている。配線パターン12には、ICチップ20との電気的接続のための端子部が含まれている。ICチップ20には、半導体素子などが集積されているチップ本体の底面から突出するように複数のバンプ22a,22bが設けられている。そして、配線基板10とICチップ20とは、ACF3やACP4などの異方性導電接着剤によって互いに接着されている。なお、図1では、配線パターン12を省略している。
【0048】
配線基板10とICチップ20とが接着されている領域は、図1に示すように、2つの領域に分けられる。一方の領域(「第1のエリア」という。)においては、比較的サイズの大きいバンプ22aが平面コの字型に配置されている。他方の領域(「第2のエリア」という。)においては、比較的サイズの小さいバンプ22bが比較的狭い間隔(ピッチ)で一列に配置されている。第2のエリアにおいては、具体的には、図3に示すようにピッチLが200ミクロン以下となるように一列に複数のバンプ22bが配置されている。なお、以下においては、第1のエリアに配置されている一群のバンプ22aのように比較的サイズが大きくまた比較的複雑な形状(矩形以外の形状)をなすよう配置された一群のバンプのことを「第1のバンプ群」といい、第2のエリアに配置されている一群のバンプ22bのように比較的サイズが小さくまた矩形をなすよう配置された一群のバンプのことを「第2のバンプ群」という。
【0049】
以上のような構成において、配線基板10とICチップ20とは、第1のエリアにおいてはACP4によって接着され、第2のエリアにおいてはACF3によって接着されている。すなわち、第1のバンプ群が配置されている領域(配線基板10とICチップ20との接着部分の形状が図14や図15に示したような複雑な形状となる領域)においてはACP4による接着が行われ、第2のバンプ群が配置されている領域(端子間のピッチが狭小化されている領域)においてはACF3による接着が行われている。
【0050】
図4は、配線基板10とICチップ20との接着について説明するための断面図である。上述したように、配線基板10上に形成された配線パターン12には端子部14が含まれており、ICチップ20にはバンプ22が設けられている。配線基板10とICチップ20とは、図4に示すように、端子部14とバンプ22とが位置合わせされた状態で異方性導電接着剤5によって互いに接着されている。異方性導電接着剤5は、エポキシ樹脂などの熱硬化性の絶縁性樹脂とニッケル粒子や金めっきプラスチック粒子などの導電性粒子6とによって構成されている。そして、端子部14とバンプ22との間に、図4で符号7で示すように導電性粒子6が捕捉されている。これにより、配線基板10とICチップ20との間の電気的な導通が確保されている。なお、上述したように、第1のエリアにおいては異方性導電接着剤5としてACP4が採用され、第2のエリアにおいては異方性導電接着剤5としてACF3が採用されている。
【0051】
<1.2 実装方法>
次に、図5を参照しつつ、配線基板10へのICチップ20の実装方法(実装工程)について説明する。
【0052】
まず、図5(a)に示すように、ICチップ20との電気的接続のための端子部を含む配線パターン12が形成された配線基板10が準備される。また、表面(ひょうめん)に電極パッド(不図示)が形成されたICチップ20が準備され、例えば電気めっきによる方法やワイヤボンディング装置を用いた方法により、図5(b)に示すように電極パッド上にバンプ22a,22bが形成される。
【0053】
次に、ACF3が準備される。上述のように、ACF3は、PETフィルムなどのセパレータ31上に形成され、また、セパレータ31と共に送り出しリール30にロール状に巻かれた状態で供給される。そして、図5(c)に示すように、送り出しリール30からセパレータ31と共にACF3が巻き出され、上記第2のエリアに応じたサイズでACF3の切断が行われる。その後、図5(d)に示すように、ACF貼付けツール32を下降させることにより、切断後のACF3が配線基板10に貼り付けられてセパレータ31から分離される(フィルム状接着剤貼り付け工程)。なお、ACF3の貼り付けが行われる際、例えば、ACF貼付けツール32は60〜90℃に加熱され、ACF3は配線基板10上に1〜4秒間、圧力1〜5MPaで押圧される。
【0054】
次に、ACP4が準備される。ACP4は、図5(e)に示すようにディスペンサ40を用いて、上記第1のエリアに図1に示すようにコの字型に塗布される(ペースト状接着剤塗布工程)。その後、図5(f)に示すように、圧着ツール50によるICチップ20の配線基板10への熱圧着が行われる(圧着工程)。その熱圧着は、ICチップ20上に形成されたバンプ22a,22bと配線基板10上の端子部とが位置合わせされた状態で行われる。なお、熱圧着が行われる際、例えば、圧着ツール50は180〜250℃に加熱され、ICチップ20は配線基板10上に5〜20秒間、圧力60〜200MPaで押圧される。以上のようにして、配線基板10へのICチップ20の実装が行われる。
【0055】
<1.3 効果>
本実施形態によれば、比較的小さいサイズのバンプ22bが狭ピッチで配置されている領域においては、配線基板10とICチップ20との接着にはACF3が採用されている。このため、ICチップ20上に形成されたバンプ22bと配線基板10上の端子部との間に導電性粒子6が捕捉されずに配線基板10−ICチップ20間の電気的な導通が確保されないということが抑制される。また、比較的大きいサイズのバンプ22aが配置され配線基板10とICチップ20との接着部分が複雑な形状となる領域においては、配線基板10とICチップ20との接着にはACP4が採用されている。このため、仮にACF3が採用されたときに必要となる(ACF3の)切り貼り等の工程が不要となり、実装工程が短縮される。これにより、ICチップ20を配線基板10に実装するのに要するコストが低減される。
【0056】
また、本実施形態において接着剤として採用されているACF3やACP4は異方性導電材料である。この異方性導電材料は、圧着部における厚さ方向に対しては導電性を有し、圧着部における面方向に対しては絶縁性を有する接続材料である。このため、端子間の短絡を抑制しつつ、配線基板10とICチップ20との機械的接続と電気的接続とをまとめて行うことができる。
【0057】
<1.4 変形例>
<1.4.1 第1の変形例>
上記第1の実施形態においては、ICチップ20の周縁部の4辺のうちの1辺のみに第2のバンプ群が配置されていたが、本発明はこれに限定されない。図6に示すように、ICチップ20の周縁部の4辺のうちの1辺およびその対辺に第2のバンプ群が配置され、それ以外の辺に第1のバンプ群が配置された構成であっても良い。
【0058】
本変形例においては、ICチップ20の周縁部の4辺のうちの1辺およびその対辺に対応する領域(第2のエリア)では、ACF3によって配線基板10とICチップ20とが接着されており、それ以外の辺に対応する領域(第1のエリア)では、ACP4によって配線基板10とICチップ20とが接着されている。
【0059】
実装工程については、図6で符号81で示す第2のエリアおよび図6で符号82で示す第2のエリアにおいてそれぞれ上記第1の実施形態と同様にしてACF3が配線基板10に貼り付けられる。詳しくは、第2のエリア81において図5(d)に示すようにしてACF3の貼り付けが行われた(第1のフィルム状接着剤貼り付け工程)後、第2のエリア82において図5(d)に示すようにしてACF3の貼り付けが行われる(第2のフィルム状接着剤貼り付け工程)。すなわち、本変形例においては、ACF3を貼り付ける工程が2回必要となる。しかしながら、第2のエリア81と第2のエリア82とでは、配線基板10に貼り付けられるべきACF3の幅が同じであるので、ACF3の貼り付けが行われる工程において、リールの場所を移動させるだけで良い。
【0060】
ところで、第1のエリアにおいても配線基板10とICチップ20とをACF3によって接着させようとすると、ACF3の貼り付けが行われる工程において、2つの異なるリール幅のACF3を準備することが必要となる。具体的には、第2のエリアでACF3の貼り付けが行われる際には、図7(a)に示すようなW1の幅を有するACF3が準備されなければならない。一方、第1のエリアでACF3の貼り付けが行われる際には、図7(b)に示すようなW2の幅を有するACF3が準備されなければならない。このように、ACF3の貼り付けが行われる工程において2つの異なるリール幅のACF3が用いられることになるので、作業が非効率となる。また、仮に第1のエリアと第2のエリアとで同じリール幅のACF3が使用できたとしても、第2のエリアにおいてACF3を貼り付ける工程と第1のエリアにおいてACF3を貼り付ける工程との間に配線基板10を90度回転させる工程が必要となる。
【0061】
以上より、ICチップ20上において第1のバンプ群と第2のバンプ群とが図6に示すように配置されているときには、本変形例のように、第1のバンプ群が配置されている領域ではACP4によって配線基板10とICチップ20とが接着され、第2のバンプ群が配置されている領域ではACF3によって配線基板10とICチップ20とが接着されることが好ましい。このようにすることにより、比較的小さいサイズのバンプ22bが狭ピッチで配置されている第2のバンプ群がICチップ20上において2箇所に配置されているときに、低コストでICチップ20を配線基板10に実装することが可能となる。
【0062】
<1.4.2 第2の変形例>
図8は、上記第1の実施形態の第2の変形例におけるICチップ20の配線基板10への実装構造を示す平面模式図である。また、図9は、図8のB−B線断面図である。本変形例においては、ICチップ20としてCMOSセンサーチップが配線基板10に実装されている。このため、ICチップ20の中央部に、受光用のマイクロレンズ24が設けられている。なお、配線基板10については、上記第1の実施形態と同様、ガラス基板が採用されている。
【0063】
図8に示すように、比較的大きいサイズの一群のバンプ22aからなる第1のバンプ群は平面コの字型に配置され、比較的小さいサイズの一群のバンプ22bからなる第2のバンプ群は矩形をなすよう二列に配置されている。第1のバンプ群が配置されている領域(第1のエリア)では、ACP4によって配線基板10とICチップ20とが接着され、第2のバンプ群が配置されている領域(第2のエリア)では、ACF3によって配線基板10とICチップ20とが接着されている。また、本変形例においては、ICチップ20に設けられているバンプは、電気信号を伝達するためのバンプ(以下、「信号用バンプ」という。)と電気信号を伝達する機能を有さないバンプ(以下、「ダミーバンプ」という。)とに分類される。本変形例においては、信号用バンプは全て第2のバンプ群に含まれている。なお、ダミーバンプは、例えば、ICチップ20が配線基板10に安定した状態で実装されることを目的として設けられている。
【0064】
ところで、ACF3とACP4とを比較すると、導電性粒子の捕捉のされやすさという点では、上述したようにACP4よりもACF3の方が優れている。また、ガラスへの密着性という点についても、ACP4よりもACF3の方が優れている。従って、配線基板10としてガラス基板が採用されているときには、接着剤としてACP4を用いるよりもACF3を用いた方が信頼性が高くなる。本変形例においては、第2のバンプ群が配置されている領域においてはACF3によって配線基板10とICチップ20との接着が行われ、また、信号用バンプは全て第2のバンプ群に含まれている。このため、本変形例に係る構成によると、配線基板10とICチップ20との電気的導通に関する高い信頼性が得られる。
【0065】
なお、例えばグラウンドに接続するための多数の信号用バンプがICチップ20に設けられているような場合には、必ずしもそれらのバンプ全てが第2のバンプ群に含まれていなくても良く、それらのバンプの一部が第1のバンプ群に含まれていても良い。この理由は、グラウンドに接続するためのバンプが例えば10個存在するときに、そのうちの1個のバンプで接続不良が生じても、一般に動作上の影響はあまり大きくはならないからである。
【0066】
<2.第2の実施形態>
<2.1 実装構造>
図10は、本発明の第2の実施形態におけるICチップ20a,20bの配線基板10への実装構造を示す平面模式図である。また、図11は、図10のC−C線断面図である。本実施形態における実装構造は、ガラス基板である配線基板10と、CMOSセンサーチップとして機能する第1のICチップ20aと、液晶ドライバとして機能する第2のICチップ20bとによって構成されている。なお、これらICチップ20a,20bは、パッケージ化されていない「ベアチップ」と呼ばれる状態のものである。配線基板10には、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)などの導電性薄膜による配線パターン12が形成されている。配線パターン12には、ICチップ20a,20bとの電気的接続のための端子部が含まれている。第1のICチップ20aには、受光用のマイクロレンズ24が設けられている。また、第1のICチップ20aには比較的大きいサイズの複数のバンプ22a(第1のバンプ群)と比較的小さいサイズの複数のバンプ22b(第2のバンプ群)とが設けられ、第2のICチップ20bには比較的小さいサイズの複数のバンプ22b(第2のバンプ群)が設けられている。なお、本実施形態においては、図11に示すように、第2のICチップ20bに設けられているバンプの高さよりも第1のICチップ20aに設けられているバンプの高さの方が高くなっている。配線基板10とICチップ20a,20bとは、ACF3やACP4などの異方性導電接着剤によって互いに接着されている。
【0067】
本実施形態においては、配線基板10とICチップ20a,20bとの接着が行われている領域は、図10に示すように3つの領域(「第1のエリア」,「第2のエリア」,および「第3のエリア」)に分けられる。第1のエリアは配線基板10と第1のICチップ20aとの接着が行われる領域であって、当該第1のエリアには第1のバンプ群が平面コの字型に配置されている。第2のエリアは配線基板10と第1のICチップ20aとの接着が行われる領域であって、当該第2のエリアには第2のバンプ群が比較的狭い間隔(ピッチ)で一列に配置されている。第3のエリアは配線基板10と第2のICチップ20bとの接着が行われる領域であって、当該第3のエリアには第2のバンプ群が比較的狭い間隔(ピッチ)で平面ロの字型に配置されている。
【0068】
以上のような構成において、第1のエリアでは、配線基板10と第1のICチップ20aとはACP4によって接着されている。第2のエリアでは、配線基板10と第1のICチップ20aとはACF3とACP4とによって接着されている。すなわち、第2のエリアでは、図11に示すように、ACF3に積層するようにACP4が塗布されている。第3のエリアでは、配線基板10と第2のICチップ20bとはACF3によって接着されている。ここで、第2のエリアと第3のエリアとでは、一片のACF3によって、第1のICチップ20aおよび第2のICチップ20bが配線基板10に接着されている。
【0069】
<2.2 実装方法>
次に、図12を参照しつつ、配線基板10へのICチップ20a,20bの実装方法(実装工程)について説明する。
【0070】
まず、図12(a)に示すように、ICチップ20a,20bとの電気的接続のための端子部を含む配線パターン12が形成された配線基板10が準備される。また、表面(ひょうめん)に電極パッドが形成されたICチップ20a,20bが準備され、例えば電気めっきによる方法やワイヤボンディング装置を用いた方法により、図12(b)に示すように電極パッド上にバンプ22a,22bが形成される。
【0071】
次に、ACF3が準備される。上述のように、ACF3は、PETフィルムなどのセパレータ31上に形成され、また、セパレータ31と共に送り出しリール30にロール状に巻かれた状態で供給される。そして、図12(c)に示すように、送り出しリール30からセパレータ31と共にACF3が巻き出され、第2のエリア内のバンプ22bと第3のエリア内のバンプ22bとが全て含まれるようなサイズとなるよう、ACF3が切断される。その後、図12(d)に示すように、ACF貼付けツール32を下降させることにより、切断後のACF3が配線基板10に貼り付けられてセパレータ31から分離される(フィルム状接着剤貼り付け工程)。次に、第3のエリアにおいて、圧着ツール50による第2のICチップ20bの配線基板10への熱圧着が行われる(圧着工程)。
【0072】
次に、ACP4が準備される。ACP4は、図12(e)に示すようにディスペンサ40を用いて、まず、上記第1のエリアに図10に示すようにコの字型に塗布される(ペースト状接着剤塗布工程)。次いで、ACP4は、図12(f)に示すように、上記第2のエリアにおいてACF3に積層するように塗布される(重ね塗り工程)。なお、第1のエリアと第2のエリアとを比較すると、単位面積当たりのACP4の塗布量は、第2のエリアよりも第1のエリアの方が多くされなければならない。このため、塗布圧力やニードル径が同じ場合、ディスペンサ40の移動速度は、第2のエリアでの塗布時よりも第1のエリアでの塗布時の方が遅くされなければならない。ACP4の塗布の終了後、図12(g)に示すように、圧着ツール50による第1のICチップ20aの配線基板10への熱圧着が行われる(圧着工程)。以上のようにして、配線基板10上に第1のICチップ20aと第2のICチップ20bとが実装される。
【0073】
<2.3 効果>
本実施形態によれば、第1のICチップ20aに設けられている第2のバンプ群は、第2のICチップ20bに隣接するように配置されている。すなわち、第2のバンプ群28は、図13(a)や図13(b)に示すようには配置されず、図13(c)に示すように配置されている。このような配置にすることにより、第1のICチップ20a上の第2のバンプ群と第2のICチップ20b上の第2のバンプ群とで矩形が形成されている。これにより、第2のエリアと第3のエリアとで、第1のICチップ20aおよび第2のICチップ20bと配線基板10とを一片のACF3によって接着させることが可能となっている。このため、本来第1のICチップ20aと第2のICチップ20bとでそれぞれ必要となるACF3の配線基板10への貼り付け工程を1回に削減することができる(配線基板10にACF3を貼り付ける工程が2回から1回に削減される)。以上より、バンプの形状や配置の異なる2つのICチップ(本実施形態では、CMOSセンサーチップと液晶ドライバ)を配線基板10に実装するのに要するコストが低減される。
【0074】
また、上記第1の実施形態と同様、比較的小さいサイズのバンプ22bが狭ピッチで配置されている領域においては、配線基板10とICチップ20a,20bとの接着にはACF3が採用されている。このため、配線基板10とICチップ20a,20bとの間の電気的な導通が確保されないということが抑制される。また、上記第1の実施形態と同様、比較的大きいサイズのバンプ22aが配置され配線基板10とICチップ20a,20bとの接着部分が複雑な形状となる領域においては、配線基板10とICチップ20a,20bとの接着にはACP3が採用されている。このため、ACF3の切り貼り等の工程が不要となり、実装工程が短縮される。以上より、バンプの形状や配置の異なる2つのICチップの配線基板10への実装が低コストで実現される。
【0075】
さらに、本実施形態によれば、第1のICチップ20aに設けられているバンプの高さと第2のICチップ20bに設けられているバンプの高さとが異なっているところ、ACF3に積層するようにしてACP4が塗布されることによって、それらバンプの高さの違いに対する調整が施されている。このため、2つのICチップ20a,20b間におけるバンプの高さの違いにかかわらず、当該2つのICチップ20a,20bは安定した状態で配線基板10に実装される。
【0076】
<3.その他>
上記各実施形態においては、配線基板10としてガラス基板が採用されている例を挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、ガラス基板以外の硬質基板が配線基板10として採用されていても良いし、フレキシブル基板が配線基板10として採用されていても良い。
【0077】
また、上記各実施形態においては、配線基板10にACF3が貼り付けられた後に配線基板10にACP4が塗布されているが、本発明はこれに限定されず、配線基板10にACP4が塗布された後に配線基板10にACF3が貼り付けられても良い。
【0078】
さらに、上記各実施形態においては、第1のバンプ群が配置されている領域においては接着剤としてACP4が採用されている例を挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されない。配線基板10とICチップ20との間に電気的な導通が必要とされないダミーバンプが配置されているような領域においては、接着剤として例えばNCPが採用されていても良い。
【符号の説明】
【0079】
3…ACF(異方性導電フィルム)
4…ACP(異方性導電ペースト)
5…異方性導電接着剤
6…導電性粒子
10…配線基板
12…配線パターン
14…端子部
20,20a,20b…ICチップ(集積回路チップ)
22,22a,22b…バンプ
24…マイクロレンズ
30…送り出しリール
31…セパレータ
32…ACF貼付けツール
40…ディスペンサ
50…圧着ツール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板に集積回路チップが実装された実装構造であって、
前記配線基板と前記集積回路チップとを電気的に接続するための1以上の突起電極を含む複数の突起電極が前記集積回路チップに設けられ、
前記複数の突起電極は、一群の突起電極である第1の突起電極群と、互いに隣接する突起電極間の間隔が前記第1の突起電極群以下とされている第2の突起電極群とからなり、
前記第1の突起電極群が配置されている第1の領域では、ペースト状の接着剤によって前記配線基板と前記集積回路チップとが接着され、
前記第2の突起電極群が配置されている第2の領域では、フィルム状の接着剤によって前記配線基板と前記集積回路チップとが接着されていることを特徴とする、実装構造。
【請求項2】
前記第2の領域には、前記第2の突起電極群として200ミクロン以下のピッチで複数の突起電極が配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の実装構造。
【請求項3】
前記第1の領域においては、前記配線基板と前記集積回路チップとの接着部分の形状が矩形以外の形状となっている、もしくは、前記配線基板の厚さが一定とはなっていないことを特徴とする、請求項1または2に記載の実装構造。
【請求項4】
前記集積回路チップの周縁部の4辺のうちの1辺およびその対辺のそれぞれに前記第2の突起電極群が配置され、
前記配線基板と前記集積回路チップとは、各第2の突起電極群毎に用意された前記フィルム状の接着剤によって、当該各第2の突起電極群を介して接着されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の実装構造。
【請求項5】
前記集積回路チップに設けられている複数の突起電極は、前記配線基板と前記集積回路チップとの間で電気信号を伝達するための信号用突起電極と、前記信号用突起電極以外の突起電極であるダミー突起電極とからなり、
前記信号用突起電極は、前記第2の突起電極群のみに含まれていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の実装構造。
【請求項6】
前記配線基板と前記集積回路チップとの接着部分の形状が開口を有する形状であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の実装構造。
【請求項7】
前記集積回路チップはセンサーチップであることを特徴とする、請求項6に記載の実装構造。
【請求項8】
前記配線基板には、突起電極として前記第1の突起電極群と前記第2の突起電極群とが設けられた第1の集積回路チップと、突起電極として前記第2の突起電極群が設けられた第2の集積回路チップとが実装され、
前記第1の集積回路チップにおいて、前記第2の突起電極群は、当該第1の集積回路チップの周縁部の4辺のうち前記第2の集積回路チップに隣接する辺に設けられ、
前記第1の集積回路チップにおいて前記第2の突起電極群が設けられている領域と前記第2の集積回路チップにおいて前記第2の突起電極群が設けられている領域とでは、前記第1の集積回路チップおよび前記第2の集積回路チップと前記配線基板とが一片の前記フィルム状の接着剤によって接着されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の実装構造。
【請求項9】
前記第1の集積回路チップに設けられている突起電極の高さと前記第2の集積回路チップに設けられている突起電極の高さとが異なるときに、高い方の突起電極が設けられている集積回路チップと前記配線基板との間に前記フィルム状の接着剤に積層するようにして前記ペースト状の接着剤が塗布されている領域があることを特徴とする、請求項8に記載の実装構造。
【請求項10】
前記ペースト状の接着剤は、異方性導電ペーストであることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の実装構造。
【請求項11】
前記フィルム状の接着剤は、異方性導電フィルムであることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の実装構造。
【請求項12】
前記配線基板は、ガラス基板であることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の実装構造。
【請求項13】
一群の突起電極である第1の突起電極群と、互いに隣接する突起電極間の間隔が前記第1の突起電極群以下とされている第2の突起電極群とが設けられている集積回路チップの配線基板への実装方法であって、
前記配線基板上の領域のうち前記配線基板と前記集積回路チップとが前記第2の突起電極群を介して接続されるべき領域にフィルム状の接着剤を貼り付けるフィルム状接着剤貼り付け工程と、
前記配線基板上の領域のうち前記配線基板と前記集積回路チップとが前記第1の突起電極群を介して接続されるべき領域にペースト状の接着剤を塗布するペースト状接着剤塗布工程と、
前記フィルム状接着剤貼り付け工程によって前記配線基板に貼り付けられたフィルム状の接着剤と前記ペースト状接着剤塗布工程によって前記配線基板に塗布されたペースト状の接着剤とを介して前記集積回路チップを前記配線基板に圧着させる圧着工程と
を含むことを特徴とする、実装方法。
【請求項14】
前記フィルム状接着剤貼り付け工程では、前記配線基板上の領域のうち、前記第2の突起電極群として前記集積回路チップに200ミクロン以下のピッチで配置されている複数の突起電極を介して前記配線基板と前記集積回路チップとが接続されるべき領域に、前記フィルム状の接着剤が貼り付けられることを特徴とする、請求項13に記載の実装方法。
【請求項15】
前記ペースト状接着剤塗布工程では、前記配線基板上の領域のうち、前記配線基板と前記集積回路チップとが接着されるべき部分の形状が矩形以外の形状となっている領域、もしくは、前記配線基板の厚さが一定とはなっていない領域に、前記ペースト状の接着剤が塗布されることを特徴とする、請求項13または14に記載の実装方法。
【請求項16】
前記集積回路チップの周縁部の4辺のうちの1辺を構成する第1周縁部およびその対辺を構成する第2周縁部に前記第2の突起電極群が配置され、
前記フィルム状接着剤貼り付け工程は、前記配線基板上の前記第1周縁部に対応する領域に前記フィルム状の接着剤を貼り付ける第1のフィルム状接着剤貼り付け工程と、前記配線基板上の前記第2周縁部に対応する領域に前記フィルム状の接着剤を貼り付ける第2のフィルム状接着剤貼り付け工程とからなることを特徴とする、請求項13から15までのいずれか1項に記載の実装方法。
【請求項17】
突起電極として前記第1の突起電極群と前記第2の突起電極群とが設けられた第1の集積回路チップと、突起電極として前記第2の突起電極群が設けられた第2の集積回路チップとを前記配線基板に実装する、請求項13から16までのいずれか1項に記載の実装方法であって、
前記フィルム状接着剤貼り付け工程では、前記第1の集積回路チップにおいて前記第2の突起電極群が設けられている領域および前記第2の集積回路チップにおいて前記第2の突起電極群が設けられている領域のすべてが含まれるように、一片の前記フィルム状の接着剤が前記配線基板に貼り付けられることを特徴とする、実装方法。
【請求項18】
前記圧着工程では、前記第1の集積回路チップの周縁部の4辺のうち前記第2の突起電極群が設けられている辺が前記第2の集積回路チップに隣接するように、前記第1の集積回路チップが前記配線基板上に配置されることを特徴とする、請求項17に記載の実装方法。
【請求項19】
前記第1の集積回路チップに設けられている突起電極の高さと前記第2の集積回路チップに設けられている突起電極の高さとが異なるときに、前記配線基板上の領域であって前記フィルム状接着剤貼り付け工程によって前記フィルム状の接着剤が貼り付けられた領域のうち高い方の突起電極が設けられている集積回路チップと対向する領域に、前記フィルム状の接着剤に積層するように前記ペースト状の接着剤を塗布する重ね塗り工程を更に含むことを特徴とする、請求項17または18に記載の実装方法。
【請求項20】
前記ペースト状接着剤塗布工程では、前記ペースト状の接着剤として異方性導電ペーストが前記配線基板に塗布されることを特徴とする、請求項13から19までのいずれか1項に記載の実装方法。
【請求項21】
前記フィルム状接着剤貼り付け工程では、前記フィルム状の接着剤として異方性導電フィルムが前記配線基板に貼り付けられることを特徴とする、請求項13から20までのいずれか1項に記載の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−182705(P2010−182705A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22093(P2009−22093)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】