説明

離型フィルム

【課題】モールド成形装置を用いた樹脂の成形加工において、モールド成形後に金型から樹脂を脱型するために使用する樹脂モールド成形用の離型フィルムの金型追従性を向上させる。
【解決手段】中間層の両側に含フッ素ポリマー層からなる外面層を有し、上記中間層が、含フッ素ポリマー層の両側にフッ素非含有ポリマー層を有する複合層、あるいは、上記中間層の含フッ素ポリマー層と、フッ素非含有ポリマー層とをそれぞれ2層以上有する複合層とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、離型フィルム、特に樹脂モールド成形用の離型フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂モールド成形用の離型フィルムは、モールド成形装置を用いた樹脂の成形加工において、モールド成形後に金型から樹脂(封止材料)を脱型するために、金型と樹脂の間に挟み込み、モールド成形された樹脂と金型を離型するために使用されるものである。
【0003】
かかる離型フィルムは、金型への追従性が不十分であると、フィルムにシワが発生し、発生したシワがモールド樹脂に転写されるという不都合が生じる。
【0004】
従来、この金型追従性を向上させた離型フィルムとして、両側の含フッ素ポリマー層の間に、含フッ素非含有ポリマー層を介在させたものが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−285990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示された離型フィルムは、金型への追従性に優れているが、金型の形状や封止材料の改良に伴って、さらに金型の形状への追従性により優れたものが求められている。
【0007】
そこで、この発明は、従来の離型フィルムよりもさらに金型の形状への追従性により優れたものを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、この発明の離型フィルムは、中間層の両側に含フッ素ポリマー層からなる外面層を有し、上記中間層が含フッ素ポリマー層と、フッ素非含有ポリマー層との複合層からなることを特徴とする。
【0009】
上記中間層は、含フッ素ポリマー層の両側にフッ素非含有ポリマー層を有する複合層にすることができる。
【0010】
また、上記中間層の含フッ素ポリマー層と、フッ素非含有ポリマー層とをそれぞれ2層以上有するようにしてもよい。
【0011】
上記含フッ素ポリマー層は、炭素−炭素二重結合、カルボニル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホン酸基、及び、エポキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの接着性官能基を有するポリマーを使用することができる。
【0012】
また、上記フッ素非含有ポリマー層は、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、及び、エチレン/ビニルアルコール共重合体からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーからなる。
【0013】
この発明の離型フィルムは、樹脂モールド成形用離型フィルムとして好適に使用することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明の離型フィルムは、両側の含フッ素ポリマー層の間に、含フッ素非含有ポリマー層を介在させた従来のものよりも、金型の形状への追従性により優れている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施例について説明する。
含フッ素ポリマー層を形成するフッ素樹脂として、ETFE:ダイキン工業社製の商品名「ネオフロン EP−7000」(融点255℃)を使用した。
【0016】
また、含フッ素非含有ポリマー層を形成する樹脂として、NY(ポリアミド樹脂):三菱エンジニアリングプラスチックス社製の商品名「ノバミッド 2430」(融点195℃)と、PO(ポリオレフィン):三菱化学社製の商品名「モディックL112」(融点110℃)を使用した。
【0017】
また、比較例として、PBT(ポリブチレンテレフタレート樹脂):三菱エンジニアリングプラスチックス社製の商品名「ノバデュラン 5020」(融点225℃)も使用した。
【0018】
上記の樹脂を使用して、表1に示す層構成の離型フィルムを作製し、それぞれのフィルムの金型追従性の評価を行った。
【0019】
多層のフィルムを製造するには、水冷式又は空冷式の共押出インフレーション法、共押出Tダイ法等を使用することができる。
【0020】
【表1】


【0021】
金型追従性の評価は、次のように行った。
樹脂モールド成形法で、一定温度の金型内に離型フィルムをセットした後、金型上部の穴から真空吸引して、離型フィルムを金型上部形状に追従、密着させた。その金型内に未硬化の封止用エポキシ樹脂、シリコーン樹脂を流動させ、120〜130秒間保持し、樹脂を硬化させた後、金型を開き、成形品を脱型させた。
【0022】
評価は、金型形状にフィルムが完全に追従し、成形圧力にフィルムが耐え、成形品形状が金型形状通りに成形されるかどうかを評価した。
◎:形状が良好でフィルム破れがない場合
○:フィルム破れはないが、形状が◎よりも若干劣る場合
△:フィルム破れはないが、形状が○よりも若干劣る場合
×:成形品形状が不良であったり、フィルム破れにより、スジ、バリ等が発生したりした場合

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間層の両側に含フッ素ポリマー層からなる外面層を有し、上記中間層が含フッ素ポリマー層と、フッ素非含有ポリマー層との複合層からなることを特徴とする離型フィルム。
【請求項2】
上記中間層が、含フッ素ポリマー層の両側にフッ素非含有ポリマー層を有する複合層からなる請求項1記載の離型フィルム。
【請求項3】
上記中間層の含フッ素ポリマー層と、フッ素非含有ポリマー層とがそれぞれ2層以上有する請求項1記載の離型フィルム。
【請求項4】
上記含フッ素ポリマー層は、炭素−炭素二重結合、カルボニル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホン酸基、及び、エポキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの接着性官能基を有するポリマーである請求項1〜3のいずれかに記載の離型フィルム。
【請求項5】
上記フッ素非含有ポリマー層は、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、及び、エチレン/ビニルアルコール共重合体からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーからなる請求項1〜4のいずれかに記載の離型フィルム。
【請求項6】
樹脂モールド成形用離型フィルムである請求項1〜5のいずれかに記載の離型フィルム。

【公開番号】特開2011−218588(P2011−218588A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87460(P2010−87460)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(591200575)四国化工株式会社 (16)
【Fターム(参考)】