説明

雪除け板付き吸気管の製造方法

【課題】
解決しようとする課題は、自動車用吸気管に雪除け機能を持たせる場合、ブロー成形製の該吸気管とは別に雪除け板を用意しなければならず、尚且つ捨袋部が無駄になるという点である。本発明は上記の点を解決するためになされた。
【解決手段】
吸気管と雪除け板部をブロー成形により一括成形し、成形後該吸気管と該雪除け板部とを分離し、分離された該雪除け板部を分離された該吸気管の所定の位置に固定、或いはインサート成形することにより前記課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジンルーム内に吹き込む雪の、雪除け機能を持った自動車用吸気管のブロー成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用吸気管のブロー成形方法に関する従来技術としては特許文献1に開示されているようなものがある。
【特許文献1】特開平9−317581号公報
【0003】
しかし、自動車のエンジンルーム内に吹き込む雪の、雪除け機能を持たせる場合、特許文献1に示されているような自動車用吸気管には雪除け対策が講じられてはおらず、雪除け用に別部品を用意しなければならないのでコストがかさむという欠点があった。
【0004】
以下、図によってより詳しく説明する。図1は従来のウレタンフォーム製の雪除け板2が付いた吸気管1の吸気口10の部分縦断面図である。該吸気管1には該雪除け板2が粘着テープ(図示せず)によって着設されている。
【0005】
該吸気管1はブロー成形によって形成され、成形直後の該吸気管1の部分縦断面図を図2に示す。捨袋部3はカットライン5にて製品部4から切り離され廃棄される。
【0006】
従って従来の該吸気管1はウレタンフォーム製の該雪除け板2を別部品として用意しなければならず、尚且つ該捨袋部3を廃棄するという材料の無駄も生じていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする課題は、自動車用吸気管に雪除け機能を持たせる場合、該吸気管とは別に雪除け板を用意しなければならず、尚且つ捨袋部が無駄になるという点である。本発明は上記の点を解決するためになされた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明は、吸気管と雪除け板部をブロー成形により一括成形し、成形後該吸気管と該雪除け板部とを分離し、分離された該雪除け板部を分離された該吸気管の所定の位置に固定することを最も主要な特徴とする。
【0009】
また、吸気管と雪除け板部をブロー成形により一括成形し、成形後該吸気管と該雪除け板部とを分離し、次の成形サイクルにて新たに吸気管と雪除け板部をブロー成形により一括成形する際に、分離された該雪除け板部を雪除け板の成形用インサートとして用いてインサート成形することを第2の主要な特徴とする
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、吸気管とは別部品としての雪除け板を用意する必要がなく、尚且つ捨袋部の一部をリベット止め用の雪除け板部または成形インサート用の雪除け板として再利用できるという効果がある。
【0011】
更に、実施例2では雪除け板をインサート成形するため、リベット止め等の固定作業を必要としないので、より安価に実施できるという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
雪除け機能を持つ自動車用吸気管の製造において、該吸気管とは別部品として雪除け板を用意せずともよく、尚且つ捨袋部を無駄にしないという目的を、吸気管と雪除け板部をブロー成形により一括成形し、成形後該吸気管と該雪除け板部とを分離し、分離された該雪除け板部を分離された該吸気管の所定の位置に固定、或いはインサート成形することにより、ブロー成形という安価な工法のみによって、雪除け板付き吸気管の機能を損なわずに実現した。
【実施例1】
【0013】
本発明の構成を発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。尚、従来例と同一の符号は同一の部材を表す。
【0014】
図3は、本発明の1実施例を示すポリプロピレン製吸気管1のブロー成形後の部分縦断面図である。捨袋部3の上部には雪除け板部12が形成されており、該捨袋部3及び該雪除け板部12はカットライン5にて製品部4から切り離され、更に該雪除け板部12がカットライン15、15、15にて該捨袋部3から切り離される。
【0015】
該捨袋部3から切り離された該雪除け板部12の縦断面図を図4に示す。
【0016】
尚、該吸気管1に適用される熱可塑性樹脂としてはポリプロピレンに限らず、ポリエチレンや他のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、シンジオタクチックポリスチレン、ポリスチレン、ゴム改質ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート等、ブロー成形が可能な樹脂であれば何でも良い。また、該熱可塑性樹脂にガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、硫酸カルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末等を混錬させた複合材であってもよい。
【0017】
次に、該雪除け板部12を該製品部4の側面にリベット13、13にて固定する。固定後の部分縦断面図を図5に示す。
【0018】
尚、上記実施例では該製品部4の側面への該雪除け板部12の固定をリベット13、13によって行う例を示したが、タッカーによってもステイプラーによっても、また粘着テープによって固定しても勿論構わない。
【実施例2】
【0019】
図6は別の実施例を表す吸気管1の部分縦断面図である。直前の成形サイクルにて得られた該雪除け板部12を、次の成形サイクルにおける雪除け板22用の成形インサートとしてインサート成形したものである。
【0020】
該雪除け板22は製品部4の側面に肉盛り部23、23によって堅牢に融着されている。
【0021】
尚、この回の成形サイクルにて得られた該雪除け板部12を、更に次の回の成形サイクルにおける該雪除け板22用の成形インサートとしてインサート成形するという作業を繰り返すことにより、際限なく成形サイクルを継続させることができる。
【0022】
以上実施例に述べたように本発明によれば、吸気管とは別に雪除け板を用意する必要がなく、尚且つ捨袋部の一部をリベット止め用の雪除け板部または成形インサート用の雪除け板として再利用できるという利点がある。
【0023】
更に、実施例2では雪除け板をインサート成形するため、リベット止め等の固定作業を必要としないので、より安価に実施できるという利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、自動車のエンジンルーム内に吹き込む雪の雪除け機能を持った自動車用吸気管のブロー成形に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来の雪除け板が付いた吸気管の吸気口の部分縦断面図
【図2】従来の吸気管のブロー成形直後の部分縦断面図
【図3】本発明に係る吸気管のブロー成形直後の部分縦断面図
【図4】捨袋部から切り離した後の雪除け板部の縦断面図
【図5】雪除け板部が固定された吸気管の部分縦断面図
【図6】雪除け板をインサート成形した吸気管の部分縦断面図
【符号の説明】
【0026】
1 吸気管
2 雪除け板
3 捨袋部
4 製品部
5 カットライン
10 吸気口
12 雪除け板部
13 リベット
15 カットライン
22 雪除け板
23 肉盛り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気管と雪除け板部をブロー成形により一括成形し、成形後該吸気管と該雪除け板部とを分離し、分離された該雪除け板部を分離された該吸気管の所定の位置に固定することを特徴とする雪除け板付き吸気管の製造方法
【請求項2】
吸気管と雪除け板部をブロー成形により一括成形し、成形後該吸気管と該雪除け板部とを分離し、次の成形サイクルにて新たに吸気管と雪除け板部をブロー成形により一括成形する際に、分離された該雪除け板部を雪除け板の成形用インサートとして用いてインサート成形することを特徴とする雪除け板付き吸気管の製造方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−269006(P2007−269006A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2006−350950(P2006−350950)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(503233130)株式会社アイテック (96)
【Fターム(参考)】