説明

電力供給システム、電源プレート、及び電子機器

【課題】安全性を十分に保障した状態でバッテリ駆動の電子機器に外部電源の電力供給を行う電源プレートを提供する。
【解決手段】バッテリから出力されるバッテリの識別情報に基づいて電力供給を制御する電子機器40のバッテリ収納部に収納されるプレート本体2と、一端がプレート本体と接続され、他端がバッテリ収納部の導出孔からこの電子機器40本体外部に導出されるとともに電源と接続されるコネクタが形成されたケーブルとからなり、電源プレートのコネクタと接続された電源の電力を電子機器2へ供給する電源プレートにおいて、プレート本体2は、記憶媒体61に記憶されたこの電源プレートの識別情報を読み出して、このプレート本体2が収納された電子機器40に出力し、出力した電源プレートの識別情報に基づいて電子機器40に電力供給の制御をさせる情報出力部60を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリによって駆動する電子機器のバッテリ収納部に収納可能なプレート本体に接続されたケーブルを介して電力を供給する電力供給システム、この電力供給システムを構成する電源プレート、及びこの電源プレートからの供給電力によって駆動される電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、乾電池などの一次電池や、リチウムイオンバッテリなどの二次電池を用いるデジタルカメラなどの電子機器には、電池収納部内に一次電池やバッテリに代えて家庭電源の電力を電池収納部内に設けられた端子から供給する電源プレートが用いられ、家庭内や店頭展示などでの長時間使用に供されている(特許文献1)。
【0003】
さらに、このような電子機器の中には、従来から、リチウムイオンバッテリと電源プレートとの形状を統一させて、リチウムイオンバッテリと電源プレートとが共用して収納可能な収納部を有するものが提案されている。このような共用の収納部を備える電子機器は、バッテリ収納部以外の筐体部分に直流電源入力端子を設ける必要がないため、筐体の小型化やコストダウンなどを実現することができる。
【0004】
このような共用の収納部を備える電子機器では、電源プレートのプレート本体及びバッテリのいずれか一方が収納されたかを判別する必要がある。この共用収納部にバッテリ又は電源プレートのどちらかが収納されたかを電子機器側が判別するため、従来から次のような方法がある。
【0005】
第1の方法は、バッテリと電源プレートとに、それぞれの筐体に互いを識別するための判別溝を設けることである。このような判別溝を設けることで、電子機器は、その共用収納部に、バッテリ又は電源プレートが収納されたときのみにおいて押圧されるスイッチを設けることで、バッテリ又は電源プレートが収納されたことが判断できる。
【0006】
第2の方法は、バッテリと電源プレートとの出力端子の配置位置をそれぞれ異なるものとすることである。このように、これらの出力端子の配置位置に対応して、電子機器の共用収納部の入力端子位置を配置することで、バッテリ又は電源プレートが収納されたことが判断できる。
【0007】
また、デジタルスチルカメラなどの電子機器と、この電子機器へ電力を供給するバッテリとの間では、従来からバッテリが、特定の電子機器に対応する正規品であるか否かの認証を行っている。これは、正規品でないバッテリの中に過放電や過電流などを防止する保護回路を備えていないものがあるからである。
【0008】
このため、従来から正規品の専用バッテリには、電力供給用の正極及び負極端子に加えて、そのバッテリの識別情報などを出力する情報出力端子を備えている。そして、このような電子機器は、専用バッテリの情報出力端子から出力されるバッテリの識別情報に基づいて、装着されたバッテリが正規品であるか否かの認証処理を行っている。
【0009】
また、携帯型電子機器と、この携帯型電子機器へ電力を供給するバッテリとの間では、従来からバッテリが、特定の携帯型電子機器に対応する正規品であるか否かの認証を行っている。これは、正規品でないバッテリの中に、過放電や過電流などを防止する保護回路を備えていないものがあるからである。
【0010】
このため、従来から、正規品である専用バッテリには、電力供給用の正極端子及び負極端子に加えて、そのバッテリの識別情報などを出力する情報出力端子を備えている。そして、携帯型電子機器は、情報出力端子から出力されるバッテリの識別情報に基づいて、装着されたバッテリが専用バッテリであるか否かの認証処理を行っている。
【0011】
【特許文献1】特開2006―229357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の電子機器では、共用収納部に電源プレートが収納されたことを、識別溝や出力端子の配置位置などで判断している。ここで、仮に電源プレートの識別溝や出力端子の配置位置に適合した構造を有するバッテリが、電子機器の共用収納部に収納されると、電源側では電源プレートが収納されたものと判断して、このバッテリから電力供給を行うこととなる。すなわち、電子機器は、その共用収納部に、正規品でないバッテリが収納されても、電源プレートが収納されたものと判断してしまう。このため、電子機器の共用収納部の形状に専用性を施すだけでは、収納されたバッテリが正規品であるか否かの認証を精度良く行うことができない。
【0013】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、正規品であるか否かの認証をより精度良く行い、バッテリ駆動の電子機器に外部電源の電力を供給する電力供給システム、電源プレート、及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するための手段として、本発明は、バッテリ収納部に収納されたバッテリから出力されるバッテリの識別情報に基づいて電力供給を制御する電子機器と、上記電子機器のバッテリ収納部に収納されるプレート本体と、一端が上記プレート本体と接続され、他端が上記バッテリ収納部の導出孔からこの電子機器外部に導出されるとともに電源と接続されるコネクタが形成されたケーブルとからなる電源プレートとを備え、上記電源プレートのコネクタと接続された電源の電力を上記電子機器へ供給する電力供給システムにおいて、上記電源プレートのプレート本体は、記憶媒体に記憶された電源プレートの識別情報を読み出して、このプレート本体が収納された上記電子機器に出力する情報出力部を有し、上記電子機器は、上記本体プレートの情報出力部から出力される電源プレートの識別情報及び上記バッテリから出力されるバッテリの識別情報に基づいて、上記バッテリと上記プレート本体とのいずれか一方が上記バッテリ収納部に収納されたかの認証を行う認証処理部と、上記認証処理部の認証結果に応じて、上記バッテリ及び上記電源プレートのいずれか一方から供給される電力を制御する制御部とを有する。
【0015】
また、本発明は、バッテリから出力されるバッテリの識別情報に基づいて電力供給を制御する電子機器のバッテリ収納部に収納されるプレート本体と、一端が上記プレート本体と接続され、他端が上記バッテリ収納部の導出孔からこの電子機器本体外部に導出されるとともに電源と接続されるコネクタが形成されたケーブルとからなり、上記コネクタと接続された電源の電力を上記電子機器へ供給する電源プレートにおいて、上記プレート本体は、記憶媒体に記憶されたこの電源プレートの識別情報を読み出して、このプレート本体が収納された上記電子機器に出力し、上記出力した電源プレートの識別情報に基づいて上記電子機器に電力供給の制御をさせる情報出力部を有する。
【0016】
また、本発明は、バッテリ収納部に収納されたバッテリから出力されるバッテリの識別情報に基づいて電力供給を制御する電子機器において、電源に接続されるコネクタと、上記電子機器のバッテリ収納部に収納されるプレート本体とをケーブルを介して接続された電源プレートから出力される電源プレートの識別情報と、上記バッテリから出力されるバッテリの識別情報とに基づいて、上記バッテリと上記プレート本体とのいずれか一方が上記バッテリ収納部に収納されたかの認証を行う認証処理部と、上記認証処理部の認証結果に応じて、上記バッテリ及び上記電源プレートのいずれか一方から供給される電力を制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、電子機器のバッテリ収納部にプレート本体が収納された電源プレートから出力される電源プレートの識別情報に基づいて、バッテリ及び電源プレートのいずれか一方がバッテリ収納部に収納されたかの認証を行い、この認証結果に応じて、電力の供給を制御するので、電子機器に接続されるバッテリ及び電源プレートが正規品であるか否かの認証を精度良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明が適用された電源プレートについて、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明が適用された電源プレートは、電子機器のバッテリ収納部に収納される二次電池と形状や大きさが略同一とされ、二次電池に換えてバッテリ収納部に収納されて用いられるものである。本実施形態では、まず、本発明が適用された電源プレートの形状の一例について説明する。続いて、本実施形態では、電源プレートと、この電源プレートのプレート本体が収納されて電力供給が行われる電子機器との間で行われる認証処理について説明する。
【0019】
<電源プレートの形状について>
電源プレート1は、図1に示すように、全体を矩形平板状に形成されたプレート本体2と、プレート本体2より引き出され電源と接続されるケーブル3とを有する。ケーブル3の先端には、AC/DCコンバータ4と接続される接続コネクタ5が形成されている。
【0020】
そして電源プレート1は、図2に示すように、接続コネクタ5を介してAC/DCコンバータ4に接続されるとともに、AC/DCコンバータ4に家庭内などにあるコンセントに接続されるコード6が接続されることにより、電源と接続される。これにより電源プレート1は、家庭用電源から電子機器側に電力を供給することができ、バッテリの残電力量を気にすることなく連続して電子機器を駆動させることができる。
【0021】
この電源プレート1のプレート本体2は、図3〜図5に示すように、上下一対のハーフ10,11を突き合わせ結合されることにより略矩形平板状に形成されている。上ハーフ10は、電子機器側のバッテリ収納部41への挿入端となる前面壁10aが形成され、この前面壁10aには、バッテリ収納部41内に設けられている電子機器側の電源端子と接触する正極端子部31、負極端子部32及び情報伝達用の端子部33を前面側に臨ませる複数の端子孔12がそれぞれ形成されている。また上ハーフ10は、両側面の背面側が厚さ方向に立ち上がることにより薄く形成され、後述するケーブル3の導出領域24を構成している。なお上ハーフ10は、下方に向かって図示しないボスが立設され、下ハーフ11側から挿通されたネジ13が螺合されることにより下ハーフ11と接続される。
【0022】
また下ハーフ11は、電源と接続されるケーブル3を挟持して保持する保持部15と、ケーブル3の導出方向を規制する導出路16が設けられた導出部17とが形成されている。また、下ハーフ11は、上ハーフ10と同様にバッテリ収納部への挿入端となる前面壁11aが形成され、ケーブル3の導線と接続された正極タブ18及び負極タブ19が挿通されるとともに、正極端子部31、負極端子部32及び情報端子部33がそれぞれ形成された端子板20を支持している。
【0023】
ケーブル3を保持する保持部15は、下ハーフ11の主面の略中央部に設けられ、相対向して立設されたコ字状の支持壁22,22を有し、ケーブル3の外周部に嵌合された嵌合片23が、支持壁22,22間に挟持されて形成されている。保持部15は、嵌合片23が支持壁22,22に挟持されることにより、ケーブル3をプレート本体2内に保持し、引っ張り等の外力に対してもケーブル3の抜けや切断などを防止する。
【0024】
導出部17は、プレート本体2の背面側に設けられ、保持部15に保持されたケーブル3の導出方向を規制するものである。この導出部17は、図3及び図4に示すように、下ハーフ11の背面壁11bよりも背面側が主面部よりも低く形成されることにより、背面壁11bから引き出されたケーブル3が外部に導出される導出領域24が設けられ、この導出領域24に形成される。具体的に、導出部17は、下ハーフ11の背面壁11bに開口された開口部25より引き出されたケーブル3を、プレート本体2の背面側の両角部2a,2bの何れか一方に分岐させる分岐部26が形成されている。
【0025】
開口部25は、背面壁11bの略中央が前面壁11a側に向かって略V字状に形成され、その最も前面側に形成されている。開口部25からは、保持部15に保持されたケーブル3が導出領域24に導出される。
【0026】
また、分岐部26は、下ハーフ11の背面壁11bよりもさらに背面側に形成され、略三角形状をなしその頂部が開口部25と対峙されている。また分岐部26は、頂部より一方の斜面がプレート本体2の背面側の一方の角部2aに向かって形成され、他方の斜面がプレート本体2の背面側の他方の角部2bに向かって形成されている。なお、分岐部26は、三角形状の底辺が下ハーフ11の背面側の側縁となり、上ハーフ10と接合されることにより、該上ハーフ10の背面壁と連続される。
【0027】
これにより導出部17は、分岐部26の斜面と下ハーフ11の背面壁11bとで、ケーブル3をプレート本体2の背面側の角部2a,2bの何れか一方に導出させる導出路16a,16bが形成される。そして導出部17は、開口部25より外方に引き出されたケーブル3を分岐部26を介して導出路16a,16bの何れか一方に規制し、プレート本体2の背面側の角部2a,2bの何れかより導出させることができる。
【0028】
なお、ケーブル3は、可撓性を有するため、保持部15に保持された状態でも、開口部25より先に導出された部分は、導出部17によって左右いずれにも方向を換えることができる。そしてケーブル3は、導出部17に導出方向を規制されることにより、図5に示すように、プレート本体2の背面側の一方の角部2aと、略90°移動させた他方の角部2bとにおいて、導出でき、また両角部2a,2bにおいてプレート本体2の背面方向や側方、斜め方向など、自在に導出できる。
【0029】
また導出路16には、ケーブル3を挟持する挟持片27a、27bが立設されている。挟持片27a、27bは、分岐部26によって導出方向が規制されたケーブル3を挟持することにより、ケーブル3の揺動を防止するものであり、各導出路16a,16bに設けられている。挟持片27a、27bは、図6に示すように、分岐部26の両側壁26a,26bにそれぞれ設けられた第1の挟持片27aと、背面壁11bの分岐部26の両側壁26a,26bと対峙する位置にそれぞれ設けられた第2の挟持片27bとを有し、これら第1,第2の挟持片27a,27bとが相対向して立設されている。
【0030】
第1の挟持片27aは、下ハーフ11の導出領域24より立設され、上方には第2の挟持片27b側に向かって膨出することによりケーブル3の抜け止めを図る膨出部28が形成されている。また第1の挟持片27aは、分岐部26の側壁26aに第1の挟持片27aを囲むように凹部が形成されることにより、揺動可能に形成されている。第2の挟持片27bは、背面壁11bより第1の挟持片27a側に膨出する膨出部29が形成されている。
【0031】
そして第1の挟持片27aは、撓んでケーブル3が圧入されることにより、これを挟持する。第1の挟持片27aに挟持されることにより、ケーブル3は、揺動することなくプレート本体2の背面側の角部2a,2bの何れか一方に導出される。
【0032】
下ハーフ11の前面壁11aには、正極タブ18及び負極タブ19が挿通、保持される挿通孔が形成されている。前面壁11aに保持される正極タブ18及び負極タブ19は、ニッケル(Ni)等の金属薄板からなり、下ハーフ11内に配設されケーブル3の正極導線又は負極導線と接合される接合板部18a,19aと、前面壁11aの挿通孔を介して前面側に突出され、端子板20と溶接される溶接板部18b,19bとを有する。各溶接板部18b,19bは、端子板20と接合された後、前面壁11aの挿通孔にガイドされて前面壁11aに沿うように約90°に折り曲げられ、端子板20を前面壁11aに当接させる。
【0033】
また下ハーフ11の前面壁11aには前面側に端子板20を支持する支持凹部30が形成されている。支持凹部30は、端子板20が前面壁11aの側縁部に当接されると、端子板20に実装されている半導体チップや、正極タブ18及び負極タブ19が溶接された溶接板が位置される。
【0034】
前面壁11aに支持される端子板20は、いわゆるリジット配線基板であり、前面側には上ハーフ10の端子孔12より外方に臨まされる正極端子部31、負極端子部32及び情報端子部33が形成されている。正極端子部31は、基板に形成された配線パターンにより背面側に設けられた溶接板を介して正極タブ18と接続され、負極端子部32は、同様に負極タブ19と接続されている。情報端子部33は、電源プレート1の識別情報などを出力する情報出力用の端子であり、端子板20に実装された半導体チップと接続されている。また、情報端子部33は、電源プレートの識別情報を電源プレートに出力することにより、後述する認証処理が電子機器との間で行われる。
【0035】
かかる電源プレート1は、開口部25を挿通したケーブル3を保持部15で保持した後、下ハーフ11の前面壁11aに挿通、保持されている正極タブ18及び負極タブ19の各接合板部18a,19aと、ケーブル3の正極導線及び負極導線とを半田などで接合する。次いで、前面壁11aの前面側に突出されている正極タブ18及び負極タブ19の溶接板部18b,19bと、端子板20の溶接板とを重ね、スポット溶接などにより溶接する。これにより端子板20の正極端子部31と正極タブ18とが接続され、負極端子部32と負極タブ19とが接続される。
【0036】
次いで、溶接板部18b,19bを折り曲げることにより端子板20を前面壁11aの前面側に当接させる。最後に上ハーフ10と下ハーフ11とをネジ13で接続する。これにより電源プレート1は、上ハーフ10に形成された端子孔12より、端子板20の正極端子部31、負極端子部32及び情報端子部33が臨まされる。また端子板20は、下ハーフ11の前面壁11aと上ハーフ10の前面壁10aとに挟持されることによって位置が固定される。また端子板20は、各端子部31〜33が押圧された場合にも、当該押圧力が下ハーフ11の前面壁11aによって受け止められることから、端子位置がずれることもない。
【0037】
次いで、電源プレート1が用いられる電子機器のバッテリ収納部について説明する。この電子機器は、例えば図7(a)及び図7(b)に示すようなデジタルスチルカメラ40であり、図8に示すように、一側面に二次電池や電源プレート1が挿入されるバッテリ収納部41が形成されている。バッテリ収納部41は、デジタルスチルカメラ40の一側面の下部に凹面部43が形成され、この凹面部43に二次電池や電源プレート1のサイズに応じた略矩形状の収納凹部44と、ケーブル3を導出する導出孔45とが形成されている。
【0038】
収納凹部44は、最深部に正極端子接続部、負極端子接続部、情報端子接続部及び排出用の付勢部材などが設けられている。また収納凹部44は、電池蓋42によって開閉される。
【0039】
導出孔45は、凹面部43の収納凹部44と隣接して設けられキャップ46によって閉塞されている。キャップ46は、弾性部材によって形成され、一辺を片持ち梁状にデジタルスチルカメラ40に支持されることにより、電池蓋42側を自由端とされている。そして導出孔45は、電源プレート1が収納凹部44に収納されると(図2参照)、図9に示すように、キャップ46が外側に撓んで開放され、ケーブル3を外部に導出させることができる。
【0040】
デジタルスチルカメラ40は、二次電池を用いる場合には、バッテリ収納部41に二次電池を収納した後、詳細を省略する係止片によって二次電池をバッテリ収納部41内に保持し、電池蓋42が閉められる。このときデジタルスチルカメラ40は、キャップ46が閉塞されることにより電池蓋42と面一とされているため、収納凹部44が完全に閉塞される。
【0041】
また電源プレート1のプレート本体2をデジタルスチルカメラ40のバッテリ収納部41内に収納する際には、まず、導出部17によって、バッテリ収納部41に形成された導出孔45の形成方向に応じてケーブル3の導出方向を変える。具体的に、図2及び図9に示すように、デジタルスチルカメラ40のバッテリ収納部41内へ収納する場合には、図10に示すように、ケーブル3を一方の角部2a側に導出させる。
【0042】
そして電源プレート1は、プレート本体2を収納凹部44に収納すると共に、ケーブル3を導出孔45より導出する。このときデジタルスチルカメラ40は、キャップ46が外方に撓まされることで、ケーブル3を外方に導出させている。その後、電源プレート1は、接続コネクタ5を介してAC/DCコンバータ4に接続されるとともに、AC/DCコンバータ4に家庭内などにあるコンセントに接続されるコード6が接続されることにより、電源と接続される。これにより電源プレート1は、家庭用電源からデジタルスチルカメラ40側に電力を供給することができ、バッテリの残電力量を気にすることなく連続してデジタルスチルカメラ40を駆動させることができる。
【0043】
電源プレート1は、導出部17によってケーブル3の導出方向がデジタルスチルカメラ40の導出孔45の位置に応じて角部2a方向に規制されているため、バッテリ収納部41内に収納された場合にも、ケーブル3に捻れや屈曲などをおこすことなく外部へ導出させることができる。したがって電源プレート1は、ケーブル3やバッテリ収納部41の破損や過剰な負荷などの不具合を防止しながら家庭用電源を供給することができる。
【0044】
また電源プレート1は、バッテリ収納部41を同じ規格で形成された他の電子機器に用いる場合には、当該他の電子機器に形成されたケーブル3の導出孔に応じて、ケーブル3の導出方向を変える。例えば、図11に示すデジタルスチルカメラ47のバッテリ収納部に収納する場合には、ケーブル3の導出孔48に応じて図12に示すように、ケーブル3を他方の角部2b側に導出させる。これにより電源プレート1は、ケーブル3に捻れや屈曲などをおこすことなく、デジタルスチルカメラ47のバッテリ収納部にも収納することができる。
【0045】
このように電源プレート1は、異なる機種のバッテリ収納部に収納することができるとともに、各機種毎に設けられたケーブルの導出孔に応じて、プレート本体2からのケーブル3の導出方向を変えることができ無理なくケーブル3を導出させることができるため、各機種毎に電源プレートを用意する必要がない。したがって、例えば量販店などで複数の異なる機種を店頭展示する場合など長時間に亘って電力の供給を必要とする場合に、電源プレートを機種毎に用意する必要が無く、また電源プレートの入れ間違いなども防止できる。
【0046】
なお、本発明は、上述した電源プレート1のように、導出部が分岐部によってプレート本体の背面側の両角部2a,2bに分岐されるのみならず、例えば図13に示すように、分岐部によって、両角部2a,2bに加えて背面方向へ導出させるようにしてもよい。
【0047】
この場合、分岐部には下ハーフ11の背面壁11bとの間に導出路16a,16bが形成され、さらに開口部25と対峙するように第3の導出路16cが形成される。この第3の導出路16cにも、挟持片27a又は27bを形成することができる。
【0048】
かかる第3の導出路16cが形成された導出部17を備えることにより、本発明が適用された電源プレートは、ケーブル3の導出方向の選択肢を増やすことができ、さらにバッテリ収納部に形成されたケーブル導出孔の位置が異なる複数の電子機器間で共用することができる。
【0049】
<電源プレートと電子機器との間で行われる認証処理>
次に、本発明に係る電源プレートと、この電源プレートのプレート本体が収納されて電力が供給される電子機器との間で行われる認証処理について説明する。
【0050】
認証処理を行うために、電源プレート1及びデジタルスチルカメラ40は、図14に示すような構成を備える。
【0051】
すなわち、電源プレート1のプレート本体2は、電源プレートの識別情報を、デジタルスチルカメラ40に出力する情報出力部60を備える。ここで、電源プレートの識別情報とは、出荷時などに予めこの情報出力部60にアクセス可能なメモリ61上に記録された情報であり、特定の電子機器の機種に対応して設定された情報である。なお、本実施形態では、上述したデジタルスチルカメラ40、47などが、このような対応関係を有する電子機器に該当する。換言すれば、この電源プレートの識別情報は、デジタルスチルカメラ40、47にとって、正規品の電源プレートである旨を示す情報である。
【0052】
この情報出力部60及び電子プレートの識別情報が記憶されたメモリ61は、端子板20に実装されている半導体チップに組み込まれている。そして、この情報出力部60は、家庭電源などから半導体チップに電力が供給されることにより起動し、メモリ61から電源プレートの識別情報を読み出して、この電源プレートの識別情報を情報端子部33から外部へ出力する。
【0053】
具体的には、プレート本体2は、以下に示すような回路構成を有している。なお、プレート本体2の説明に先立ち、まず、従来例として、デジタルスチルカメラ40のバッテリ収納部41に接続されるバッテリパック100の電源回路の構成について図15(A)を参照して説明する。
【0054】
バッテリパック100には、図15(A)に示すように、化学反応によって起電力を発生するバッテリセル101と、このバッテリセル101の充放電を制御するとともに、このバッテリの識別情報や残電力量情報などをデジタルスチルカメラ40へ出力するバッテリ制御部102と、バッテリセル101の正極側の外部出力端である正極端子103と、バッテリセル101の負極側の外部出力端である負極端子104と、このバッテリ制御部102から出力される情報を外部へ出力する情報出力端子105と、バッテリセル101が過放電状態となるのを防止する放電制御回路106と、バッテリセル101が過充電状態となるのを防止する充電制御回路107とを備えている。
【0055】
バッテリセル101は、その正極側が、分岐Aを介してバッテリ制御部102及び正極端子103にそれぞれ接続される。また、バッテリセル101は、その負極側が、分岐Bを介してバッテリ制御部102及び負極端子104にそれぞれ接続される。
【0056】
放電制御回路106は、分岐Bと負極端子104との間に直列に接続される回路である。この放電制御回路106は、バッテリ制御部102によってオンオフ制御されるスイッチ106aと、ダイオード106bとが並列に接続された回路から構成される。このダイオード106bは、バッテリセル101の放電方向に対して逆方向バイアスをかけるように配置される。
【0057】
放電制御回路106は、通常、スイッチ106aがオンにされ、バッテリセル101が過放電状態に近づくとバッテリ制御部102によってスイッチ106aがオフにされ、バッテリセル101が過放電状態になるのを防止する。また、放電制御回路106は、過放電を防止するためにスイッチ106aがオフになっても、ダイオード106bを介して充電方向に電流を流すことができ、スイッチ106aがオフの状態で、バッテリセル101を過放電状態に近い状態から充電させ、通常の動作状態へ復帰させることができる。
【0058】
充電制御回路107は、放電制御回路106と同様に、分岐Bと負極端子104との間に直列に接続される回路である。この充電制御回路107は、バッテリ制御部102によってオンオフ制御されるスイッチ107aと、ダイオード107bとの並列回路から構成される。ここで、このダイオード107bは、バッテリセル101の放電方向に対して順方向バイアス、換言すれば、充電方向に対して逆方向バイアスをかけるように配置される。
【0059】
充電制御回路107は、通常、バッテリ制御部102によってスイッチ107aがオンにされ、バッテリセル101が過充電状態に近づくとバッテリ制御部102によってスイッチ107aがオフにされ、バッテリセル101が過充電状態になるのを防止する。また、充電制御回路107は、過充電を防止するためにスイッチ107aがオフになっても、ダイオード107bを介して放電方向に電流を流すことができ、オフになったスイッチ107aをオンにしなくても、バッテリセル101を過放電状態に近い状態から放電させ、通常の動作状態へ復帰させることができる。
【0060】
これに対して、本実施形態の電源プレート1のプレート本体2は、図15(B)に示すように、デジタルスチルカメラ40への電源供給を制御するプレート制御部62と、AC/DCコンバータ4の正極端に接続される正極接続端子63と、このAC/DCコンバータ4の負極端に接続される負極接続端子64と、放電制御回路65とを備えている。
【0061】
プレート制御部62は、上述した情報出力部60とメモリ61との機能を含む処理部であって、プレートの識別情報などを情報端子部33を介してデジタルスチルカメラ40へ出力する。
【0062】
このプレート本体2において、正極接続端子63は、分岐Cを介してプレート制御部62と、正極端子部31とにそれぞれ接続される。また、このプレート本体2において、負極接続端子64は、分岐Dを介してプレート制御部62と、負極端子部32とにそれぞれ接続される。
【0063】
放電制御回路65は、分岐Dと負極端子部32との間に直列に接続される回路である。この放電制御回路65は、プレート制御部62によってオンオフ制御されるスイッチ65aと、ダイオード65bとの並列回路から構成される。ここで、このダイオード65bは、逆方向バイアスをかけるように配置される。放電制御回路65は、通常、スイッチ65aがオンにされ、AC/DCコンバータ4からの供給電源が過電流状態や過電圧状態に近づくとプレート制御部62によってスイッチ65aがオフにされる。なお、AC/DCコンバータ4の内部に過電流状態や過電圧状態を防止する放電制御回路を設けていれば、プレート本体2は、放電制御回路65を備えなくても良い。
【0064】
上述した従来例としたバッテリパック100と比較した場合、プレート本体2は、バッテリセルが過放電状態や過充電状態となるのを防止する回路を設ける必要がないため、回路規模の簡略化を図ることができ、加えてコストを抑えることもできる。
【0065】
次に、電源プレート1との間で認証処理を行うため、デジタルスチルカメラ40が備える各処理部の構成について説明する。このプレート本体2を収納するデジタルスチルカメラ40には、プレート本体2の端子板20に形成されている正極端子部31、負極端子部32及び情報端子部33に対して、それぞれ電気的に接続される正極端子接続部51、負極端子接続部52、及び情報端子接続部53が、上述したようにバッテリ収納部41の収納凹部44の最深部に形成されている。
【0066】
デジタルスチルカメラ40は、そのバッテリ収納部41にプレート本体が収納されると、正極端子接続部51と負極端子接続部52とから電力が供給され、また、情報端子接続部53から電源プレートの識別情報が入力される。
【0067】
さらに、デジタルスチルカメラ40は、正極端子接続部51と負極端子接続部52とから電力が供給され、後述するカメラ処理主要部56への電力供給を制御する電源制御部54と、情報端子接続部53に入力された電源プレートの識別情報に基づいて、後述する認証処理を行う認証処理部55と、デジタルスチルカメラ40の主要動作を行うカメラ処理主要部56とを備えている。
【0068】
電源制御部54は、電源プレート1のプレート本体2がバッテリ収納部41に収納されると、プレート本体2からの電力供給を受けて、認証処理部55を起動させる。そして、電源制御部54は、認証処理部55で行われる認証結果に応じて、カメラ処理主要部56へ電力を供給するか否かの制御を行う。
【0069】
認証処理部55は、電源制御部54によって起動されると、情報端子接続部53に入力された電源プレートの識別情報に基づいて認証処理を行って、認証結果を電源制御部54に供給する。また、認証処理部55には、電子機器の識別情報が記憶されたメモリ55aとアクセス可能に接続されている。ここで、電子機器の識別情報は、出荷時などにおいて予めメモリ55aに記録された情報であり、後述する認証処理において上述した正規品の対応関係を有する電源プレートの識別情報との間で照合される。
【0070】
カメラ処理主要部56は、デジタルスチルカメラ40の主要動作を行う複数の処理部から構成され、具体的には、被写体像を撮像する撮像処理手段、撮像した画像をデータ化する画像処理手段、画像データを記憶する記憶手段、画像データを表示する表示手段、及び、ユーザがこれらの各処理手段への操作命令を行うユーザインタフェース手段などから構成される。
【0071】
次に、電源制御部54及び認証処理部55を中心として行われる認証処理の処理工程に関して、図16を参照して説明する。
【0072】
以下に示す認証処理の前提として、電源プレート1のプレート本体2がデジタルスチルカメラ40のバッテリ収納部41に収納され、このプレート本体2の端子板20の正極端子部31、負極端子部32、及び情報端子部33が、バッテリ収納部41に形成されている正極端子接続部51、負極端子接続部52、及び情報端子接続部53と電気的に接続されているものとする。
【0073】
そして、電源制御部54は、電源プレート1から供給される電力によって起動すると、認証処理部55に電力を供給して起動させ、以下に示す認証処理が開始される。
【0074】
なお、電源制御部54及び認証処理部55は、デジタルスチルカメラ40に設けられたプロセッサによって実現されるものであって、このプロセッサが以下に示すフローチャートに基づいたプログラムを実行することによって、次に示す認証処理が行われる。
【0075】
ステップS11において、認証処理部55は、情報端子接続部53から電源プレートの識別情報が供給されたか否かを検出する。具体的に、認証処理部55は、起動した時点から所定の時間内において、電源プレートの識別情報が供給されたか否かを判断して、検出されたときにはステップS12へ進み、検出されなかったときにはステップS14へ進む。
【0076】
ステップS12において、認証処理部55は、供給された電源プレートの識別情報に基づいて、次に示すような認証処理を行う。すなわち、認証処理部55は、メモリ55aから電子機器の識別情報を読み出して、この電子機器の識別情報と供給された電源プレートの識別情報とを照合して、ステップS13へ進む。
【0077】
ステップS13において、認証処理部55は、電子機器の識別情報と電源プレートの識別情報との照合結果により、認証が成功したか否かを判断し、認証が成功したときにはステップS15へ進み、認証が成功しなかったときはステップS14へ進む。
【0078】
ステップS14において、認証処理部55は、認証が失敗した認証結果を電源制御部54に供給する。そして、電源制御部54は、この認証結果において、カメラ処理主要部56の表示手段に表示するなどすることによってユーザに提示して、その後、カメラ処理主要部56への電力供給を禁止する。
【0079】
なお、本処理工程では、前提としてバッテリ収納部41に電源プレート1のプレート本体2が収納されたこととして、以上の処理工程が行われるが、バッテリ収納部41にバッテリが収納された際にも同様の認証処理が行われる。すなわち、認証処理部55は、電子機器の識別情報とバッテリの識別情報との間で照合処理を行って、認証が成功したときにはステップS15へ進み、認証が成功しなかったときにはステップS14へ進む。
【0080】
ステップS15において、認証処理部55は、電源プレートの識別情報及びバッテリの識別情報に基づいて、プレート本体2がバッテリ収納部41に収納されているか否かを判断して、プレート本体2が収納されているときにステップS17へ進み、プレート本体2が収納されていないときにステップS16へ進む。すなわち、本処理において、デジタルスチルカメラ40のバッテリ収納部41に、プレート本体2が収納されているときにはステップS17へ進み、バッテリが収納されているときにはステップS16へ進む。
【0081】
ステップS16において、認証処理部55は、バッテリ収納部41にバッテリが収納されている旨の認証情報を電源制御部54へ供給する。そして、電源制御部54は、このバッテリが収納されている旨の認証情報の供給に応じて、次に示すようなバッテリモードに従って、カメラ処理主要部56へ電力を供給する。
【0082】
本実施形態において、バッテリモードは、デジタルスチルカメラ40がバッテリで駆動するのに適して設定された動作モードである。具体的には、このバッテリモードに従って、カメラ処理主要部56の各処理手段が次のように動作する。図17(A)に示すように、デジタルスチルカメラ40は、カメラ処理主要部56のうち、表示手段としてディスプレイ70と、ユーザインタフェース手段としてデジタルスチルカメラ40の筐体に複数の操作入力部80とを備えている。この図を参照してバッテリモードに応じた動作について以下のように説明する。
【0083】
第1の動作として、電源制御部54は、バッテリモードに従って、所定の待機時間内にユーザによって操作入力部からの入力がないときに、この機器の駆動を停止するオートパワーオフ機能を有効にする。ここで、このオートパワーオフ機能の処理手段は、本発明に係る停止制御手段として、本実施形態では電源制御部54に組み込まれているものとする。
【0084】
第2の動作として、電源制御部54は、バッテリモードに従って、例えばディスプレイ70の右上端部71にバッテリの残電力量情報を表示する。ここで、バッテリの残電力量情報は、バッテリに設けられた情報端子から出力される情報であって、バッテリ収納部41に形成されている情報端子接続部53を介して入力され、カメラ処理主要部56によって表示処理される。
【0085】
第3の動作として、電源制御部54は、バッテリモードに従って、ディスプレイ70の表示出力を省電力表示モードに設定する。ここで、本実施形態において、省電力表示モードとは、できるだけデジタルスチルカメラ40の長時間動作を図るために電力消費量を抑制する動作モードである。具体的には、ディスプレイ70は、省電力表示モードに従って、低照度表示すなわち彩度値及び明度値を低い値にして画像を出力したり、操作入力部80に所定時間内に何も入力されなかったときに彩度値及び明度値を低い値にして画像を出力する。
【0086】
ステップS17において、認証処理部55は、電源プレートの識別情報に基づいて、バッテリ収納部41に収納されたプレート本体2の電源プレート1が、後述する拡張型電源プレートであるか否かを判断して、拡張型電源プレートでないとき、すなわち通常の電源プレートであるときにはステップS18へ進み、拡張型電源プレートであるときにはステップS19へ進む。
【0087】
ステップS18において、認証処理部55は、バッテリ収納部41に通常の電源プレートのプレート本体が収納されている旨の認証情報を電源制御部54へ供給する。そして、電源制御部54は、この認証情報の供給に応じて、次に示すような電源プレートモードに従って、カメラ処理主要部56への電力供給を開始して、電源プレートの識別情報に基づいた認証処理を終了する。
【0088】
本実施形態において、電源プレートモードは、デジタルスチルカメラ40がバッテリの残電力量を気にすることなく電力を消費して駆動する動作モードである。具体的には、カメラ処理主要部56の各処理手段は、電源プレートモードに従って、次のように動作する。なお、図17(B)に示すように、デジタルスチルカメラ40は、表示手段としてディスプレイ70と、ユーザインタフェースとしてデジタルスチルカメラ40の筐体に複数の操作入力部80とを備えている。この図を参照して電源プレートモードに応じた動作について説明する。
【0089】
第1の動作として、電源制御部54は、電源プレートモードに従って、オートパワーオフ機能を無効にする。
【0090】
第2の動作として、電源制御部54は、電源プレートモードに従って、上述したバッテリモードの駆動時に表示される残電力量情報の表示を行わない。
【0091】
第3の動作として、電源制御部54は、電源プレートモードに従って、例えば、ディスプレイ70の表示出力を高照度表示モードに設定する。ここで、高照度表示モードは、電力消費量を抑制せずにディスプレイ70に画像を表示させる動作モードである。すなわち、ディスプレイ70は、高照度表示モードに従って、バッテリモードの駆動時におけるディスプレイの表示出力と比べてその彩度値及び明度値を高い値にして画像を出力したり、操作入力部80からの操作入力が無くても常に彩度値及び明度値を高い値に保って画像を出力する。ディスプレイ70は、高照度表示モードで画像を表示することにより、例えば店頭表示用として、バッテリモードの駆動時における低照度表示に比べて、より見やすく、より美感を与える表示画像を、ユーザや顧客などに対して提供することができる。
【0092】
ステップS19において、認証処理部55は、バッテリ収納部41に拡張型の電源プレートのプレート本体が収納されている旨の認証情報を電源制御部54へ供給する。そして、電源制御部54は、この認証情報の供給に応じて、次に示すような拡張型電源プレートモードに従って、カメラ処理主要部56への電力供給を開始して、電源プレートの識別情報に基づいた認証処理を終了する。
【0093】
本実施形態において、拡張型電源プレートモードは、電源プレートの識別情報に加えて、情報端子接続部53に入力される拡張機能情報に応じたデジタルスチルカメラ40の動作モードである。電源制御部54は、この拡張型電源プレートモードに従って、具体的には次に示すような拡張機能を有効にして、カメラ処理主要部56を動作させる。
【0094】
第1の機能として、電源制御部54は、拡張機能情報に応じて、カメラ処理主要部56のファームウェアを書き換えて、このファームウェアの機能をバージョンアップする。
【0095】
第2の機能として、電源制御部54は、拡張機能情報に応じて、消費電力が非常に大きいためバッテリモードを含め通常の動作では行わない高消費電力撮影機能を有効にしてカメラ処理主要部56の撮像処理手段を制御する。ここで、高消費電力撮影機能とは、例えば、ストロボへの急速充電、ストロボによるフラッシュの連続照射機能、固体撮像素子へより高い電圧を印加させることにより受光感度を増加させて低照度の撮像を可能とする低照度撮影機能、長時間動画像を撮像する長時間タイマ撮像機能、及び、ストロボの長時間露光機能などである。
【0096】
拡張型電源プレートは、電源プレートの識別情報に加えて、拡張機能情報を、デジタルスチルカメラ40へ供給することによって、バッテリ駆動では消費電力が非常に大きいために通常組み込まれていない機能を用いて、上述した高消費電力撮影機能を有効にして被写体像を撮像することができる。
【0097】
以上のように、本実施形態では、デジタルスチルカメラ40のバッテリ収納部41にプレート本体2が収納された電源プレート1から出力される電源プレートの識別情報に基づいて、バッテリ又は電源プレート1のプレート本体2のいずれか一方がバッテリ収納部41に収納されたかを判断し、この判断結果に応じて、電力の供給を制御するので、デジタルスチルカメラ40などの電子機器に接続されるバッテリ及び電源プレートが正規品であるか否かの認証を精度良く行うことができる。
【0098】
また、従来では、バッテリと電源プレートとに、それぞれの筐体に互いを識別するための判別溝を設けたり、電子機器の収納部にバッテリ又は電源プレートが収納されたときのみに押圧されるスイッチを設けることでバッテリ又は電源プレートが収納されたことを判断していた。これに対して、本実施形態では、バッテリの識別情報及び電源プレートの識別情報を用いて、バッテリと電源プレート1のプレート本体2のいずれか一方がバッテリ収納部41に収納されたか否かを判断するので、上述した従来の認証方法に比べて、バッテリ、電源プレート1のプレート本体2、及びバッテリ収納部41の各形状の制約が緩和される。したがって、本実施形態では、従来に比べてよりバッテリのサイズを大きくすることでその電力容量を増加させたり、判別可能な種類が増加することができる。
【0099】
さらに、本実施形態に係る電源プレート1は、電源プレートの識別情報をデジタルスチルカメラ40に出力する情報出力部60を有していれば、いかなる形状のものを用いるようにしても良いが、上述したように、デジタルスチルカメラ40に形成された導出孔の位置に応じて電源プレート1のケーブル3の導出方向を変える複数の導出路16が設けられているものと組み合わせることによって、次のような利点がある。
【0100】
まず、導出路が形成された導出部を備えることにより、本発明が適用された電源プレートは、ケーブルの導出方向の選択肢を増やすことができ、バッテリ収納部に形成されたケーブル導出孔の位置が異なる複数の電子機器間で共用することができるものである。しかしながら、このような電源プレートは、たとえケーブル導出孔の位置が異なる複数の電子機器間で共用することができたとしても、収納部の形状が多数の機種間で統一されていなければ、より多くの機種に対応させて使用することができない。
【0101】
ここで、本実施形態に係る電源プレートは、電源プレートの識別情報に応じた認証処理を電子機器に行わせるため、収納部形状が多数の機種間で統一されても、安全性を損なうことなく電力供給を行うことができる。
【0102】
つまり、本実施形態に係る電源プレートは、電源プレートの識別情報を出力する情報出力部と、電子機器に形成された導出孔の位置に応じてケーブルの導出方向を変える複数の導出路とを有することにより、正規品であるか否かの認証を精度良く行うことができるとともに、より多くの電子機器の機種に対して電力供給を行うことができる。
【0103】
なお、本発明は、以上の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明が適用された電源プレートを示す斜視図である。
【図2】本発明が適用された電源プレートの使用状態を示す斜視図である。
【図3】本発明が適用された電源プレートを示す分解斜視図である。
【図4】本発明が適用された電源プレート底面側から示す斜視図である。
【図5】ケーブルの導出方向を示す底面図である。
【図6】挟持片を示す斜視図である。
【図7】本発明が適用された電源プレートが用いられるデジタルスチルカメラを示す斜視図である。
【図8】バッテリ収容部を示す斜視図である。
【図9】バッテリ収容部に電源プレートが収容されたデジタルスチルカメラを示す斜視図である。
【図10】ケーブルを一方の角部側から導出させている電源プレートを示す底面図である。
【図11】本発明が適用された電源プレートが用いられる他のデジタルスチルカメラを示す斜視図である。
【図12】ケーブルを他方の角部側から導出させている電源プレートを示す底面図である。
【図13】プレート本体の背面方向に向かう第3の導出路を備えた電源プレートを示す底面図である。
【図14】認証処理を行うために、デジタルスチルカメラ及び電源プレートが備える構成について説明した概略図である。
【図15】図15(A)は従来のバッテリが備える電源供給回路を示す概略図であり、図15(B)は本発明が適用された電源プレートのプレート本体内部の電源供給回路を示す概略図である。
【図16】認証処理部及び電源制御部が中心として行われる認証処理工程を示すフローチャートである。
【図17】図17(A)はバッテリモード駆動時におけるカメラ処理主要部の動作の説明に供する図であり、図17(B)は電源プレートモード駆動時におけるカメラ処理主要部の動作の説明に供する図である。
【符号の説明】
【0105】
1 電源プレート、2 プレート本体、2a,2b 角部、3 ケーブル、4 AC/DCコンバータ、5 接続コネクタ、6 コード、10 上ハーフ、10a 前面壁、11 下ハーフ、11a 前面壁、11b 背面壁、12 端子孔、13 ネジ、15 保持部、16a,16b,16c 導出路、17 導出部、18 正極タブ、19 負極タブ、18a,19a 接合板部、18b、19b 溶接板部、20 端子板、22 支持壁、23 嵌合片、24 導出領域、25 開口部、26 分岐部、26a,26b 側壁、27a,27b 狭持片、28,29 膨出部、30 支持凹部、31 正極端子部、32 負極端子部、33 情報端子部、40,47 デジタルスチルカメラ、41 バッテリ収納部、42 電池蓋、43 凹面部、44 収納凹部、45,48 導出孔、46 キャップ、51 正極端子接続部、52 負極端子接続部、53 情報端子接続部、54 電源制御部、55 認証処理部、55a メモリ、56 カメラ処理主要部、60 情報出力部、61 メモリ、62 プレート制御部、63 正極接続端子、64 負極接続端子、65 放電制御部、65a、106a、107a スイッチ、65b、106b、107b ダイオード、70 ディスプレイ、71 右上端部、80 操作入力部、100 バッテリ、101 バッテリセル、102 バッテリ制御部、103 正極端子、104 負極端子、105 情報出力端子、106 放電制御回路、107 充電制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ収納部に収納されたバッテリから出力されるバッテリの識別情報に基づいて電力供給を制御する電子機器と、
上記電子機器のバッテリ収納部に収納されるプレート本体と、一端が上記プレート本体と接続され、他端が上記バッテリ収納部の導出孔からこの電子機器外部に導出されるとともに電源と接続されるコネクタが形成されたケーブルとからなる電源プレートとを備え、
上記電源プレートのコネクタと接続された電源の電力を上記電子機器へ供給する電力供給システムにおいて、
上記電源プレートのプレート本体は、記憶媒体に記憶された電源プレートの識別情報を読み出して、このプレート本体が収納された上記電子機器に出力する情報出力部を有し、
上記電子機器は、上記本体プレートの情報出力部から出力される電源プレートの識別情報及び上記バッテリから出力されるバッテリの識別情報に基づいて、上記バッテリと上記プレート本体とのいずれか一方が上記バッテリ収納部に収納されたかの認証を行う認証処理部と、上記認証処理部の認証結果に応じて、上記バッテリ及び上記電源プレートのいずれか一方から供給される電力を制御する制御部とを有する電力供給システム。
【請求項2】
上記電子機器は、画像を表示する表示部が設けられた電子機器であって、
上記電子機器の制御部は、上記認証処理部により上記バッテリ収納部に上記プレート本体が収納されたと認証されたときに、上記表示部の表示出力の明度値、及び彩度値のうち少なくとも一の値を、このバッテリ収納部に上記バッテリが収納されたときよりも高く設定して、上記表示部に画像を表示させることを特徴とする請求項1記載の電力供給システム。
【請求項3】
上記電子機器は、バッテリの残電力量情報を表示可能な表示部が設けられた電子機器であって、
上記電子機器の制御部は、上記認証処理部により上記バッテリ収納部に上記プレート本体が収納されたと認証されたときに、上記表示部に上記バッテリの残電力量情報を表示させないことを特徴とする請求項1記載の電力供給システム。
【請求項4】
上記電子機器は、所定の待機時間内にこの機器に操作入力がないときにこの機器の駆動を停止する停止制御手段が設けられた電子機器であって、
上記電子機器の制御部は、上記認証処理部により上記バッテリ収納部に上記バッテリが収納されたと認証されたときに、上記停止制御手段の動作を有効にし、上記認証処理部により上記バッテリ収納部に上記プレート本体が収納されたと認証されたときに、上記停止制御手段の動作を無効にすることを特徴とする請求項1記載の電力供給システム。
【請求項5】
上記プレート本体には、上記ケーブルの一端を保持する保持部と、この保持部より上記プレート本体の外周方向に向かって形成され、上記電子機器に形成された導出孔の位置に応じて上記ケーブルの導出方向を変える複数の導出路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項6】
バッテリから出力されるバッテリの識別情報に基づいて電力供給を制御する電子機器のバッテリ収納部に収納されるプレート本体と、一端が上記プレート本体と接続され、他端が上記バッテリ収納部の導出孔からこの電子機器本体外部に導出されるとともに電源と接続されるコネクタが形成されたケーブルとからなり、上記コネクタと接続された電源の電力を上記電子機器へ供給する電源プレートにおいて、
上記プレート本体は、記憶媒体に記憶されたこの電源プレートの識別情報を読み出して、このプレート本体が収納された上記電子機器に出力し、上記出力した電源プレートの識別情報に基づいて上記電子機器に電力供給の制御をさせる情報出力部を有する電源プレート。
【請求項7】
バッテリ収納部に収納されたバッテリから出力されるバッテリの識別情報に基づいて電力供給を制御する電子機器において、
電源に接続されるコネクタと、上記電子機器のバッテリ収納部に収納されるプレート本体とをケーブルを介して接続された電源プレートから出力される電源プレートの識別情報と、上記バッテリから出力されるバッテリの識別情報とに基づいて、上記バッテリと上記プレート本体とのいずれか一方が上記バッテリ収納部に収納されたかの認証を行う認証処理部と、
上記認証処理部の認証結果に応じて、上記バッテリ及び上記電源プレートのいずれか一方から供給される電力を制御する制御部とを備える電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−146166(P2008−146166A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329758(P2006−329758)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】