電力供給システム及び電力管理装置
【課題】 利用者が不在している場面における蓄電池の劣化を抑制できる電力供給システム等を提供する。
【解決手段】 電力供給システムは、負荷機器22A、防犯用負荷機器22Cを含む住宅システム2と電気自動車1との間で授受される電力を管理するため、電気自動車1の利用者の所定期間以上に亘る不在を検知する不在検知部26と、不在検知部26により検知された利用者の不在に基づいて、電気自動車1に搭載された蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するようEV蓄電池11の充放電を制御する制御部24とを含む。
【解決手段】 電力供給システムは、負荷機器22A、防犯用負荷機器22Cを含む住宅システム2と電気自動車1との間で授受される電力を管理するため、電気自動車1の利用者の所定期間以上に亘る不在を検知する不在検知部26と、不在検知部26により検知された利用者の不在に基づいて、電気自動車1に搭載された蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するようEV蓄電池11の充放電を制御する制御部24とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅と電気自動車との間で授受される電力を管理する電力供給システム及び電力管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の不在時において電気自動車の車載バッテリに充電を行う技術としては、特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1には、通常時には車載用に利便性と安全性のために設置してあるソナーやカメラを用いて、充電中には充電開始信号を受けて車載のソナーやカメラを起動して、物体の車への異常なる近接を検出し、照明や音響機器によって警告をすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−140451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば電気自動車のバッテリがリチウムイオン電池の場合、満充電状態で長時間放置すると寿命劣化が促進されてしまう。同様に、電気自動車のバッテリの充電レベルが低い状態で放置すると、自己放電により過放電となりバッテリの寿命が劣化する原因となる。
【0005】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、利用者が不在している場面における蓄電池の劣化を抑制できる電力供給システム及び電力管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る電力供給システムは、電気機器を含む住宅と電気自動車との間で授受される電力を管理する電力供給システムであって、電気自動車の利用者の所定期間以上に亘る不在を検知する不在検知部と、不在検知部により検知された利用者の不在に基づいて、電気自動車に搭載された蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するよう蓄電池の充放電を制御する電力制御部とを含むことを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の態様に係る電力供給システムは、上記第1の態様の電力供給システムであって、住宅の電気機器として防犯機器を含み、電力制御部は、蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するための蓄電池の放電電力を、住宅又は電気自動車に含まれる防犯機器に供給することを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の態様に係る電力供給システムは、上記第2の態様の電力供給システムであって、電力制御部は、防犯機器の必要電力及び優先度を設定しておき、蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するために放電可能な蓄電池の放電電力量及び蓄電池周辺の温度に応じた放電可能レートと、防犯機器の必要電力とを照合し、当該照合結果及び防犯機器の優先度に基づいて蓄電池の放電電力を供給する防犯機器を決定することを特徴とする。
【0009】
本発明の第4の態様に係る電力供給システムは、上記第2又は第3の態様の電力供給システムであって、発電装置を有し、電力制御部は、防犯機器の必要電力及び優先度と、蓄電池における充電レベルの所定範囲とに基づいて、発電装置により生成された発電電力を蓄電池に充電することを特徴とする。
【0010】
本発明の第5の態様に係る電力管理装置は、電気機器を含む住宅と電気自動車との間で授受される電力を管理する電力管理装置であって、電気自動車の利用者の所定期間以上に亘る不在を検知する不在検知部と、不在検知部により検知された利用者の不在に基づいて、電気自動車に搭載された蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するよう蓄電池の充放電を制御する電力制御部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の第6の態様に係る電力管理装置は、上記第5の態様の電力管理装置であって、不在検知部は、住宅に設置された人感センサの検知結果を取得し、当該検知結果に基づいて、利用者の所定期間に亘る不在を判断することを特徴とする。
【0012】
本発明の第7の態様に係る電力管理装置は、上記第5の態様の電力管理装置であって、不在検知部は、利用者が所有する情報端末から位置情報を取得し、当該位置情報に基づいて、利用者の所定期間に亘る不在を判断することを特徴とする。
【0013】
本発明の第8の態様に係る電力管理装置は、上記第5の態様の電力管理装置であって、不在検知部は、利用者が行う所定期間に亘る不在の操作を検知した場合に、利用者の所定期間に亘る不在を判断することを特徴とする。
【0014】
本発明の第9の態様に係る電力管理装置は、上記第5乃至第8の何れかの態様の電力管理装置であって、電力制御部は、蓄電池周辺の温度に基づいて、蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するための蓄電池の充放電レートを決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、利用者の長期不在が検知された場合には、蓄電池の充電レベルを所定範囲に制御するので、利用者が不在している場面における蓄電池の劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態として示す電力供給システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおいて、長期不在時における充電レベルの変化を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおけるEV蓄電池の充放電動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおける他の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおいて利用者の長期不在を判断する動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおける他の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおいて利用者の長期不在を判断する動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおける他の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおいて利用者の長期不在を判断する動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおける他の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおいてEV蓄電池の充放電レートを決定する動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおける他のEV蓄電池の充放電動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおける他の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおける他のEV蓄電池の充放電動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおける他のEV蓄電池の充放電動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおける他の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおける他のEV蓄電池の充放電動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本発明の実施形態として示す電力供給システムは、例えば図1に示すように構成される。この電力供給システムは、電気自動車(EV)1、住宅システム2を含む。住宅システム2は、電力系統3と接続されている。この電力供給システムは、電気自動車1が電力ケーブルを介して住宅システム2と電気的に接続が可能である。
【0019】
この電力供給システムは、住宅システム2が電力系統3から電力(以下、系統電力と呼ぶ。)が供給され、当該系統電力を住宅の家電製品等の負荷機器(電気機器)22に供給する。また、この電力供給システムは、電力系統3から住宅システム2に供給された系統電力を電気自動車1に供給可能となっている。更に、この電力供給システムは、電気自動車1に蓄えられた電力を住宅システム2の負荷機器22に供給可能である。
【0020】
電気自動車1は、EV蓄電池11、蓄電池情報記憶部12、通信部13、制御部14、照明機器15a及び音響機器15bを含む。
【0021】
EV蓄電池11は、電気自動車1に搭載された蓄電池である。EV蓄電池11は、電気自動車1が走行するために、電力を蓄積する。この電力は、住宅システム2から供給されてEV蓄電池11に蓄電され、電気自動車1の走行に応じて消費される。また、この電力は、電気自動車1が住宅システム2以外の電気スタンド等でも充電可能である。
【0022】
蓄電池情報記憶部12は、EV蓄電池11の蓄電池情報として、充電レベル(例えば、SOC:State Of Charge)の変化を示す充放電履歴情報を記憶している。蓄電池情報記憶部12は、EV蓄電池11に対する充電及び放電に応じて、充電レベルを更新する。そして、蓄電池情報記憶部12は、充電レベルを少なくとも記憶する。
【0023】
通信部13は、住宅システム2の通信部25との間で通信信号の授受を行う。通信部13は、住宅システム2の通信部25に対して蓄電池情報記憶部12に記憶している充電レベルを送信する。通信部25は、電気自動車1と住宅システム2とを接続する電力ケーブルに内蔵された通信ケーブルを介して通信を行ってもよく、無線通信によって通信を行ってもよい。
【0024】
照明機器15a及び音響機器15bは、電気自動車1の防犯機器として機能する。照明機器15a及び音響機器15bは、制御部14の制御に従って、発光及び放音する。照明機器15aは制御部14の制御に従って発光する。音響機器15bは制御部14の制御に従って放音する。
【0025】
制御部14は、後述する不在検知部26の検知結果によって電気自動車1の利用者が所定期間に亘って不在であることが、電気自動車1の通信部13から供給される。制御部14は、電気自動車1の利用者が不在である場合であって、振動等の異常を検知した時に照明機器15a及び音響機器15bを動作させる。これにより制御部14は、照明機器15a及び音響機器15bを防犯機器として機能させる。
【0026】
住宅システム2は、分電盤21、複数の負荷機器22A、貯湯タンク22B、充放電コンバータ23、制御部24、通信部25、不在検知部26、電力計測部27、及び、電力センサ28a、28bを含む。更に、住宅システム2は、電力系統3と接続された電力線に、電力センサ2aを備えている。
【0027】
負荷機器22Aは、住宅に備えられる各種の電気機器である。特に、負荷機器22Aには、後述するように、住宅の防犯のための各種センサやブザー、威嚇用照明といった防犯機器が含まれる。
【0028】
充放電コンバータ23は、電力ケーブルを介して電気自動車1と電気的に接続される。充放電コンバータ23は、電気自動車1と接続された場合に、制御部24の制御に従って、当該電気自動車1との間で電力を授受する。充放電コンバータ23は、DC−DC変換回路と、AC−DC変換回路とを含む。充放電コンバータ23は、住宅システム2に適した電圧と電気自動車1のEV蓄電池11に適した電圧との間でAC/DC変換を行う。例えば、住宅システム2に適した電圧は100Vの交流電圧である。例えば、電気自動車1におけるEV蓄電池11の充放電に適した電圧は300V〜400Vの直流電圧である。
【0029】
分電盤21は、負荷機器22A、貯湯タンク22B、電力系統3及び充放電コンバータ23と接続されている。分電盤21は、分岐回路やリレー、ブレーカ等を備える。分電盤21は、電力系統3から供給された系統電力を分岐して、負荷機器22A、貯湯タンク22Bに供給する。また、分電盤21は、電気自動車1のEV蓄電池11に対して充電を行う場合に、充放電コンバータ23に電力を供給する。更に、分電盤21は、電気自動車1のEV蓄電池11から放電された電力が充放電コンバータ23を介して供給された場合、当該EV蓄電池11から放電された電力を負荷機器22A、貯湯タンク22B等に分岐する。
【0030】
なお、分電盤21には、太陽電池や燃料電池が接続されていてもよい。分電盤21は、太陽電池や燃料電池によって電力が生成された場合に、負荷機器22A、貯湯タンク22Bや充放電コンバータ23に分岐することができる。
【0031】
電力計測部27は、電力センサ28a、電力センサ28b、電力センサ2aによるセンサ出力を入力する。なお、電力センサ28a、電力センサ28b、電力センサ2aは、電圧センサ、電流センサ等の電力が計測可能なセンサであれば特に限定はしない。電力計測部27は、センサ出力に基づいて、各部において授受されている電力を計測する。電力計測部27は、電力センサ28aのセンサ出力に基づいて分電盤21から負荷機器22A、貯湯タンク22Bに供給されている電力を計測する。電力計測部27は、電力センサ28bのセンサ出力に基づいて、分電盤21から充放電コンバータ23に供給されている電力及び充放電コンバータ23から分電盤21に要求されている電力を計測する。電力計測部27は、電力センサ2aのセンサ出力に基づいて電力系統3から分電盤21に供給されている電力を計測する。
【0032】
制御部24は、住宅システム2と電気自動車1との間で授受される電力を管理する電力管理装置の電力制御部として機能する。制御部24には、充放電コンバータ23、通信部25、不在検知部26及び電力計測部27が接続されている。
【0033】
不在検知部26は、電気自動車1の利用者の所定期間以上に亘る不在を検知する不在検知部として機能する。この不在検知部26により検知された検知結果は、制御部24に供給される。なお、この不在検知部26の構成は特に限定せず、後述するように各種の構成が採用可能である。
【0034】
この所定期間とは、次回に電気自動車1が走行するまでの期間が長いため、例えばEV蓄電池11の充電レベルが満充電に近い領域で維持されるよりも所定範囲で充電レベルが維持された方が利点が高いような期間が設定される。すなわち、夜間にEV蓄電池11を満充電し、翌日の朝に電気自動車1を走行させる場合には、EV蓄電池11を満充電の状態で維持させる必要性が高い。これに対し、翌日の朝のみならず、その後日も電気自動車1を走行させない長期不在の場合、EV蓄電池11を満充電の状態で維持させる必要性が無い。更に、EV蓄電池11を満充電の状態で維持すると、却ってEV蓄電池11の劣化が進んでしまい、EV蓄電池11を満充電に維持しておく利点がない。このような観点から、電力供給システムは、電気自動車1の利用者が電気自動車1を走行させない不在となる所定期間を設定しておく。
【0035】
制御部24は、不在検知部26により検知された利用者の不在に基づいて、電気自動車1に搭載されたEV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に維持するようEV蓄電池11の充放電を制御する電力制御部として機能する。制御部24は、利用者が所定期間に亘って不在である場合に、電気自動車1の劣化を抑制する範囲になるようEV蓄電池11の充電レベルを制御する。
【0036】
以上のように、この電力供給システムは、不在検知部26による電気自動車1の利用者の不在検知結果に基づいて、EV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に維持するように、EV蓄電池11の充放電を制御する。これにより、電気自動車1に搭載されたEV蓄電池11の劣化を抑制することができる。
【0037】
つぎに、上述した電力供給システムにおける具体的な動作について説明する。
【0038】
上述した電力供給システムは、不在検知部26の検知結果に基づいて、EV蓄電池11の充電レベルを制御する。具体的には、電力供給システムは、図2に示すように、不在検知部26によって利用者の長期不在を判断した後には、EV蓄電池11の充電レベルが所定範囲となるように放電制御又は充電制御を行う。以下、図3を参照して、EV蓄電池11に対する充放電の制御について説明する。
【0039】
電力供給システムは、図3に示すような動作を行って、利用者の長期不在時においてEV蓄電池11の充電レベルを制御する。なお、予め設定した所定時間毎にステップS1が実施される。
【0040】
先ずステップS1において、制御部24は、不在検知部26の検知結果に基づいて電気自動車1の利用者が長期不在であるか否かを判定する。利用者の長期不在となると判定した場合にはステップS2に処理を進め、そうでない場合にはステップS3に処理を進める。
【0041】
ステップS3において、利用者の長期不在とはならないので、制御部24は、通常の動作モードで充放電を実施するよう充放電コンバータ23を制御して、EV蓄電池11に対する充放電を実施する。この通常の動作モードでは、例えば、夜間時間帯にEV蓄電池11を満充電となるよう住宅システム2から電気自動車1に充電し、常に満充電状態で走行に備えるものであっても良い。また、夜間時間帯以外にEV蓄電池11に余剰電力がある場合には電気自動車1から住宅システム2に電力を放電させるものでもよい。また、この通常の動作モードは、夜間時間帯ではEV蓄電池11を満充電となるよう住宅システム2から電気自動車1に充電させる。さらには、太陽光発電装置など発電装置を備え、発電余剰電力によってEV蓄電池11を充電するものであってもよい。
【0042】
ステップS2において、電気自動車1の通信部13はEV蓄電池11の充電レベルを検出し、住宅システム2の通信部25に送信する。制御部24は、通信部13と通信部25との通信によって、EV蓄電池11の充電レベルを検出する。
【0043】
ステップS4において、制御部24は、ステップS2にて検出したEV蓄電池11の充電レベルが所定範囲内であるか否かを判定する。充電レベルが所定範囲内である場合には、ステップS5に処理を進め、そうでない場合にはステップS6に処理を進める。
【0044】
ステップS5において、制御部24は、EV蓄電池11に対する充放電を停止する。これにより、電力供給システムは、利用者の長期不在時には、EV蓄電池11の充電レベルを、当該EV蓄電池11の劣化が少ない所定範囲内に維持する。
【0045】
ステップS6において、制御部24は、ステップS2にて検出したEV蓄電池11の充電レベルが所定範囲を超えているか否かを判定する。充電レベルが所定範囲を超えている場合には、ステップS7に処理を進め、そうでない場合にはステップS8に処理を進める。
【0046】
ステップS7において、制御部24は、所定の放電レートでEV蓄電池11から住宅システム2に放電を実施するよう充放電コンバータ23を制御する。このとき、制御部24は、負荷機器22A、貯湯タンク22Bの消費電力を、EV蓄電池11の放電レートに決定する。このとき、電力計測部27は、電力センサ28aのセンサ出力を入力し、分電盤21から負荷機器22A、貯湯タンク22Bに供給している電力を検出する。制御部24は、電力計測部27により検出した負荷機器22A、貯湯タンク22Bの消費電力を放電レートに決定して、充放電コンバータ23を制御し、EV蓄電池11から住宅システム2に放電を行わせる。又は、制御部24は、所定の放電レートと負荷機器22A及び貯湯タンク22Bの消費電力とを比較して、小さい方をEV蓄電池11の放電レートに決定してもよい。
【0047】
なお、EV蓄電池11の放電電力を住宅システム2から電力系統3へ出力することが許容されていないため、EV蓄電池11から住宅システム2への放電レートは、負荷機器22A及び貯湯タンク22Bの消費電力を超えないよう考慮する必要がある。但し、電力系統3への電力出力が許容されれば、EV蓄電池11から住宅システム2に対して、負荷機器22A及び貯湯タンク22Bの消費電力を超える電力を放電する放電レートに決定してもよいことは勿論である。
【0048】
ステップS8において、制御部24は、所定の充電レートで住宅システム2からEV蓄電池11に充電を実施するよう充放電コンバータ23を制御する。このとき、制御部24は、所定の充電レートで住宅システム2からEV蓄電池11に電力を供給するよう充放電コンバータ23を制御する。このとき、制御部24は、電力計測部27により計測されている電力センサ28bのセンサ出力に基づく電力を参照する。また、電力センサ2aのセンサ出力から系統電力からの供給量が所定値以下となる充電電力を算出し、上記所定の充電レートと比較して小さい方で充電を実施するものとしてもよい。
【0049】
このように、電力供給システムは、利用者の長期不在が検知された場合には、EV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に制御するので、利用者が不在している場面におけるEV蓄電池11の劣化を抑制できる。
【0050】
なお、上述した電力供給システムでは、電気自動車1の制御部24によって充放電コンバータ23の動作を制御して、EV蓄電池11の充電レベルを制御したが、住宅システム2以外にコントローラとしての制御部24を設けてもよい。例えば、制御部24の機能を電気自動車1に搭載してもよい。
【0051】
つぎに、上述した電力供給システムの他の構成について説明する。
【0052】
他の電力供給システムは、図4に示すように、不在検知部26に、長期不在判定部26aと人感センサ26bとを含む。人感センサ26bは、例えば電気自動車1のガレージ、住宅内に設けられる。長期不在判定部26aは、人感センサ26bのセンサ出力に基づいて電気自動車1の利用者の長期不在を判定する。制御部24は、長期不在判定部26aによって利用者の長期不在が判定された場合には、EV蓄電池11の充電レベルを所定範囲にするよう充放電制御を行う。
【0053】
このような電力供給システムは、図5に示すように、ステップS11において、長期不在判定部26aによって、所定期間ごとに人感センサ26bのセンサ出力を検出する。
【0054】
次のステップS12において、長期不在判定部26aは、人感センサ26bのセンサ出力に基づいて、電気自動車1のガレージや住宅内に、長期不在とみなせるような所定期間に亘って利用者の存在による反応がないか否かを判定する。利用者の存在による反応がない場合には、長期不在判定部26aは、ステップS13において利用者が長期不在であると判定する。一方、利用者の存在による反応があった場合には、長期不在判定部26aは、ステップS14において利用者が長期不在ではないと判定する。
【0055】
このように、電力供給システムは、人感センサ26bを利用することによって、利用者の長期不在が自動で判断でき、自動的にEV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に制御することができる。
【0056】
また、他の電力供給システムは、図6に示すように、利用者が所有する利用者情報端末4から位置情報を取得し、当該位置情報に基づいて、利用者の所定期間に亘る不在を判断してもよい。
【0057】
この電力供給システムにおいて、利用者情報端末4は、少なくとも位置情報取得部41と通信部42とを含む。位置情報取得部41は、例えばGPS処理回路であり、自己の現在の位置情報を取得する。通信部42は、例えば携帯端末網を介して住宅システム2と通信可能な通信ICや通信アンテナ等を含む。利用者情報端末4は、例えば所定期間ごと又は利用者の操作に応じて、位置情報取得部41によって位置情報を取得して、通信部42によって住宅システム2に送信する。
【0058】
不在検知部26は、利用者情報端末4から送信された位置情報を取得するための通信部26cを備える。通信部26cは、利用者情報端末4から送信された位置情報を取得したことに応じて、当該位置情報を長期不在判定部26aに供給する。
【0059】
長期不在判定部26aは、利用者情報端末4の位置情報に基づいて、利用者の所定期間に亘る不在を判断する。
【0060】
このような電力供給システムは、図7に示すように、長期不在判定部26aは、ステップS11aにおいて、通信部26cから利用者情報端末4の位置情報を取得する。
【0061】
次のステップS11bにおいて、長期不在判定部26aは、ステップS11aにて取得した利用者情報端末4の位置情報と、住宅の位置情報との距離を算出する。
【0062】
次のステップS12aにおいて、長期不在判定部26aは、利用者が住宅から所定距離以上離れているか否かを判定する。利用者が住宅から所定距離以上離れている場合には、ステップS13において利用者が長期不在であると判定する。一方、利用者が住宅から所定距離以上離れていない場合には、ステップS14において利用者が長期不在ではないと判定する。
【0063】
これにより、電力供給システムは、利用者情報端末4を利用することによって、利用者の長期不在が自動で判断でき、自動的にEV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に制御することができる。また、この電力供給システムによれば、利用者と住宅との距離によって利用者が長期不在かを判断でき、人感センサ26bを利用するより正確に利用者の長期不在を判定できる。
【0064】
更に、他の電力供給システムは、図8に示すように、利用者が行う所定期間に亘る不在の操作を検知した場合に、利用者の所定期間に亘る不在を判断してもよい。
【0065】
この電力供給システムにおいて、不在検知部26には、利用者が操作可能な操作部26dを備える。この操作部26dは、例えば住宅に設置されたインターホン用の液晶操作パネルを利用したものであってもよく、更に住宅システム2の負荷機器22Aや貯湯タンク22Bを制御する液晶操作パネルであってもよい。更に、利用者情報端末4には、操作部43を備える。利用者の操作は、利用者が長期不在であることを入力する操作や、住宅システム2を留守モードにする操作や、防犯機器によって住宅を監視する操作など、電気自動車1を利用しない長期不在であることが認識できる操作であればよい。
【0066】
利用者は、自身が住宅から長期不在する場合に、当該長期不在であることを入力するために、不在検知部26の操作部26d又は利用者情報端末4の操作部43を操作する。
【0067】
操作部26dは、利用者の操作を受け付けた場合に、操作信号を長期不在判定部26aに供給する。これにより、長期不在判定部26aは、利用者が長期不在であることを判断できる。
【0068】
操作部43は、利用者の操作を受け付けた場合に、操作信号を通信部42に供給する。この操作信号は、利用者情報端末4の通信部42によって住宅システム2宛てに送信され、住宅システム2の通信部26cに受信され、長期不在判定部26aに供給される。これにより、長期不在判定部26aは、利用者が長期不在であることを判断できる。
【0069】
このような電力供給システムは、図9に示すように、長期不在判定部26aは、ステップS11cにおいて、操作部26d又は操作部43に対する操作入力を検出する。
【0070】
次に、長期不在判定部26aは、ステップS11cの操作が、利用者が長期不在であることの設定操作を実施したか否か(ステップS12b)、利用者が長期不在ではない設定操作を実施したか否か(ステップS12c)、を判定する。
【0071】
利用者が長期不在であることの設定操作を実施した場合(ステップS12b=YES)、ステップS13において、長期不在判定部26aは、利用者が長期不在であると判定する。一方、利用者が長期不在ではない設定操作を実施した場合(ステップS12c=YES)、ステップS14において、長期不在判定部26aは、利用者が長期不在ではないと判定する。
【0072】
このような電力供給システムは、利用者の操作を受け付けることによって利用者の長期不在を判断でき、利用者の意思によってEV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に制御することができる。
【0073】
更に、上述した電力供給システムは、EV蓄電池11の周辺の温度に基づいて、EV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に維持するためのEV蓄電池11の充放電レートを決定することが望ましい。
【0074】
この電力供給システムは、図10に示すように、電気自動車1に温度センサ16を備える。温度センサ16は、EV蓄電池11周辺の温度を検知する。温度センサ16のセンサ出力は、電気自動車1の通信部13によって住宅システム2に送信され、住宅システム2の通信部25に受信され、制御部24に供給される。
【0075】
制御部24は、電気自動車1から供給されたEV蓄電池11の周辺温度に基づいて充放電コンバータ23を制御して、EV蓄電池11の充電レベルが所定範囲となるよう充放電制御を行う。
【0076】
この電力供給システムは、図11に示すように、ステップS21において、所定期間ごとに温度センサ16のセンサ出力を検出する。
【0077】
次のステップS22において、制御部24は、ステップS21にて検出されたEV蓄電池11の周辺温度が所定の範囲内か否かを判定する。また、制御部24は、ステップS23において、ステップS21にて検出されたEV蓄電池11の周辺温度よりも高いか否かを判定する。
【0078】
EV蓄電池11の周辺温度が所定の範囲内である場合には、ステップS24において、充放電レートを条件Cに設定する。EV蓄電池11の周辺温度が所定の範囲よりも高い場合には、ステップS26において、充放電レートを条件Bに設定する。EV蓄電池11の周辺温度が所定の範囲よりも低い場合には、ステップS25において、充放電レートを条件Aに設定する。
【0079】
このEV蓄電池11の周辺温度の所定範囲は、EV蓄電池11が充放電を行ってもEV蓄電池11の劣化が大きくならないような温度範囲である。逆に、EV蓄電池11の周辺温度の所定範囲以外においてEV蓄電池11の充放電を行うと、EV蓄電池11の劣化が大きくなる。このような観点より、電力供給システムは、低温、高温時に充放電を控えるように、条件A〜Cによって、EV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に調整するための充放電レートを切り替える。
【0080】
例えば、EV蓄電池11の温度条件によって、充放電レートは以下のようにする。
【0081】
条件A(低温時):充電レートの上限値をPcA、放電レートの上限値をPdAとする
条件B(高温時):充電レートの上限値をPcB、放電レートの上限値をPdBとする
条件C(常温時):充電レートの上限値をPcC、放電レートの上限値をPdCとする
ここで、PcA<PcC、PcB<PcC、PdA<PdC、PdB<PdCとする。この結果、EV蓄電池11の高温時及び低温時には充電レート及び放電レートの上限値を低くして、EV蓄電池11の劣化を抑制できる。
【0082】
この電力供給システムにおいて、図12を参照して、図11に示す処理によって設定された充電レート及び放電レートに従ってEV蓄電池11に対して充放電を行う動作を説明する。
【0083】
この電力供給システムは、ステップS6においてEV蓄電池11の充電レベルが所定範囲を超えた場合にはステップS31の動作を行い、EV蓄電池11の充電レベルが所定範囲を超えていない場合にはステップS32の動作を行う。
【0084】
ステップS32において、制御部24は、現在のEV蓄電池11の充電レベルが所定範囲よりも少ないので、図11の処理によって設定された充電レートで、住宅システム2からEV蓄電池11に充電を行う。
【0085】
ステップS31において、電力計測部27は、負荷機器22A及び貯湯タンク22Bの消費電力を検出する。このとき、電力計測部27は、電力センサ28aのセンサ出力を取得する。
【0086】
次のステップS33において、制御部24は、ステップS31にて検出された負荷機器22A及び貯湯タンク22Bの消費電力が、図11の処理によって設定された放電レートよりも高いか否かを判定する。消費電力が設定された放電レートよりも高い場合にはステップS34に処理を進め、そうでない場合にはステップS35に処理を進める。
【0087】
ステップS34において、制御部24は、図11の処理によって設定された放電レートで、EV蓄電池11から住宅システム2に放電を行う。この放電電力は、充放電コンバータ23によって取り出され、分電盤21を介して負荷機器22A及び貯湯タンク22Bに供給される。
【0088】
ステップS35において、住宅システム2は、負荷機器22A及び貯湯タンク22Bの消費電力に対するEV蓄電池11の放電レートの不足分だけ、負荷機器22A及び貯湯タンク22Bを系統電力によって動作させる。
【0089】
以上のように、電力供給システムは、EV蓄電池11が劣化しやすい温度状況であっても、EV蓄電池11の劣化の少ない充電レベルに短時間で遷移して、EV蓄電池11の劣化を低減できる。また、電力供給システムは、充電レベルを所定範囲にすることによる劣化抑制効果と、温度環境に適した充放電レートで充放電を行うことによるによってEV蓄電池11を劣化抑制効果との双方を発揮できる。
【0090】
なお、上述の電力供給システムではステップS35において、放電レートの不足分だけ、負荷機器22A及び貯湯タンク22Bを動作するものとしたが、負荷機器の消費電力を放電レートとして設定して、放電を実施するものとしてもよい。
【0091】
更に、上述した電力供給システムにおいて、図13に示すように、住宅システム2に防犯用負荷機器22Cを含む。この防犯用負荷機器22Cとしては、照明、音響機器、電動カーテン、TV、防犯カメラ、防犯センサ、警報装置などが挙げられる。この電力供給システムにおいて、制御部24は、EV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に維持するためのEV蓄電池11の放電電力を、住宅システム2に含まれる防犯用負荷機器22Cに供給することが望ましい。
【0092】
このような電力供給システムは、図14に示すように、ステップS6にて現在のEV蓄電池11の充電レベルが所定範囲よりも高い場合のステップS41において、防犯用負荷機器22Cを動作させる。ここで、防犯用負荷機器22Cは、ステップS6にて判断を行ったタイミングにて動作しているのみならず、動作を停止している時に、ステップS41にて動作を開始してもよい。
【0093】
次のステップS7において、制御部24は、所定の放電レートに従ってEV蓄電池11の放電を実施させ、充放電コンバータ23から分電盤21を介して、防犯用負荷機器22Cに電力を供給する。
【0094】
このように、電力供給システムによれば、EV蓄電池11の放電電力を防犯用負荷機器22Cに使用する。これにより、EV蓄電池11の充電レベルを所定範囲にしてEV蓄電池11の寿命劣化を低減する効果と同時に、放電電力を利用者の長期不在時の防犯に有効利用できる。
【0095】
更に、この電力供給システムは、防犯用負荷機器22Cの必要電力及び優先度に応じて防犯用負荷機器22Cを制御してもよい。
【0096】
この電力供給システムは、図15に示すように、ステップS6にて現在のEV蓄電池11の充電レベルが所定範囲よりも高い場合に、ステップS51乃至ステップS53の処理を行って、ステップS41にて、防犯用負荷機器22Cを動作させる。
【0097】
ステップS51において、制御部24は、蓄電池情報記憶部12に記憶されているEV蓄電池11の充電レベルを取得し、当該現在の充電レベルから所定範囲までの放電電力量を算出する。
【0098】
次のステップS52において、制御部24は、防犯用負荷機器22Cの必要電力、防犯用負荷機器22Cの優先度を取得する。この防犯用負荷機器22Cの必要電力及び防犯用負荷機器22Cの優先度は、予め設定されたものであり、制御部24がアクセス可能なメモリに記憶されている。
【0099】
次のステップS53において、制御部24は、ステップS52にて取得した防犯用負荷機器22Cの必要電力及び防犯用負荷機器22Cの優先度に基づいて、動作する防犯用負荷機器22Cを設定する。このとき、(1)制御部24は、EV蓄電池11周辺の温度に応じた放電可能レートが防犯用負荷機器22Cの必要電力を満たす場合に、当該防犯用負荷機器22Cが動作可能と判断する。更に、制御部24は、(2)ステップS51にて算出された放電電力量が、防犯用負荷機器22Cの必要電力と負荷機器22の必要動作時間とによって求められる必要電力量を満たす場合に、当該防犯用負荷機器22Cが動作可能と判断する。この(1)及び(2)の条件を満たした防犯用負荷機器22Cが、EV蓄電池11の放電電力によって動作可能となる。制御部24は、複数の防犯用負荷機器22Cが動作可能な場合、当該複数の防犯用負荷機器22Cのうち、優先度が高い防犯用負荷機器22Cを動作させると設定する。
【0100】
次のステップS41において、制御部24は、ステップS53にて設定された防犯用負荷機器22Cに対してEV蓄電池11の放電電力を供給して、当該防犯用負荷機器22Cを動作させる。
【0101】
このように、電力供給システムは、EV蓄電池11の寿命劣化の低減ために放電する必要がある電力量に応じて、最適な防犯用負荷機器22Cを動作させることによって、放電電力を有効に利用できる。
【0102】
更に、この電力供給システムは、図16に示すように、太陽光発電装置29を備えていてもよい。この電力供給システムの住宅システム2は、太陽光発電装置29の発電電力を検出するための電力センサ28cを備える。なお、太陽光発電装置29に限らず、他の発電装置である燃料電池システム等であってもよい。
【0103】
この電力供給システムにおいて、制御部24は、EV蓄電池11における充電レベルの所定範囲のみならず、防犯用負荷機器22Cの必要電力及び優先度を考慮して、太陽光発電装置29により生成された発電電力をEV蓄電池11に充電する。
【0104】
この電力供給システムは、図17に示すように、ステップS2にてEV蓄電池11の充電レベルを検出した後のステップS61において、太陽光発電装置29の発電電力に余剰があるか否かを判定する。このとき、電力計測部27は、電力センサ28cのセンサ出力に基づいて太陽光発電装置29の発電電力を計測し、当該発電電力が負荷機器22の消費電力を超えているかを判断する。太陽光発電装置29の発電電力に余剰がない場合には、上述したステップS4以降の動作を行う。
【0105】
一方、太陽光発電装置29の発電電力に余剰がある場合には、ステップS62以降に処理を進める。ステップS62において、制御部24は、防犯用負荷機器22Cの必要電力、防犯用負荷機器22Cの優先度を取得する。
【0106】
次のステップS63において、制御部24は、所定の充電目標レベルを算出する。この所定の充電目標レベルは、上述していたEV蓄電池11の充電レベルの所定範囲に、ステップS25にて取得された防犯用負荷機器22Cの動作に必要な電力量を加算した充電レベルである。このとき、制御部24は、防犯用負荷機器22Cの優先度に応じて、当該優先度が高い防犯用負荷機器22Cを優先的に動作させるための必要電力を放電可能なように充電目標レベルを設定することが望ましい。また、制御部24は、長期不在中に各防犯用負荷機器22Cの動作回数も考慮することが望ましい。ここで、充電目標レベルは、上述したような長期不在であってもEV蓄電池11の寿命を劣化させない範囲とする必要があることは勿論である。
【0107】
次のステップS64において、制御部24は、ステップS2にて検出したEV蓄電池11の充電レベルが、ステップS63にて算出された充電目標レベルよりも低いか否かを判定する。EV蓄電池11の充電レベルが充電目標レベルよりも低い場合、ステップS65において、太陽光発電装置29の余剰電力でEV蓄電池11の充電を実施する。一方、EV蓄電池11の充電レベルが充電目標レベルよりも低くない場合、ステップS66において、EV蓄電池11の充電を停止する。
【0108】
このような電力供給システムによれば、太陽光発電装置29の発電電力に余剰がある場合には、防犯用負荷機器22Cの必要電力をEV蓄電池11に充電させることができる。その後、電力供給システムは、太陽光発電装置29の余剰電力がない場合に、ステップS4に移行して、防犯用負荷機器22Cを動作させることができる。
【0109】
これにより、この電力供給システムは、長期不在中に、EV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に維持して寿命の劣化を防止できる。これに加え、電力供給システムは、太陽光発電装置29の余剰電力を利用して、防犯用負荷機器22Cを長期間に亘り動作させることができ、EV蓄電池11の電力のみならず太陽光発電装置29の余剰電力を有効利用できる。
【0110】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0111】
1 電気自動車
2 住宅システム
4 利用者情報端末
22A 負荷機器(電気機器)
22B 貯湯タンク(電気機器)
22C 防犯用負荷機器
24 制御部(電力制御部)
26b 人感センサ
26 不在検知部
29 太陽光発電装置(発電装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅と電気自動車との間で授受される電力を管理する電力供給システム及び電力管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の不在時において電気自動車の車載バッテリに充電を行う技術としては、特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1には、通常時には車載用に利便性と安全性のために設置してあるソナーやカメラを用いて、充電中には充電開始信号を受けて車載のソナーやカメラを起動して、物体の車への異常なる近接を検出し、照明や音響機器によって警告をすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−140451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば電気自動車のバッテリがリチウムイオン電池の場合、満充電状態で長時間放置すると寿命劣化が促進されてしまう。同様に、電気自動車のバッテリの充電レベルが低い状態で放置すると、自己放電により過放電となりバッテリの寿命が劣化する原因となる。
【0005】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、利用者が不在している場面における蓄電池の劣化を抑制できる電力供給システム及び電力管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る電力供給システムは、電気機器を含む住宅と電気自動車との間で授受される電力を管理する電力供給システムであって、電気自動車の利用者の所定期間以上に亘る不在を検知する不在検知部と、不在検知部により検知された利用者の不在に基づいて、電気自動車に搭載された蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するよう蓄電池の充放電を制御する電力制御部とを含むことを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の態様に係る電力供給システムは、上記第1の態様の電力供給システムであって、住宅の電気機器として防犯機器を含み、電力制御部は、蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するための蓄電池の放電電力を、住宅又は電気自動車に含まれる防犯機器に供給することを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の態様に係る電力供給システムは、上記第2の態様の電力供給システムであって、電力制御部は、防犯機器の必要電力及び優先度を設定しておき、蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するために放電可能な蓄電池の放電電力量及び蓄電池周辺の温度に応じた放電可能レートと、防犯機器の必要電力とを照合し、当該照合結果及び防犯機器の優先度に基づいて蓄電池の放電電力を供給する防犯機器を決定することを特徴とする。
【0009】
本発明の第4の態様に係る電力供給システムは、上記第2又は第3の態様の電力供給システムであって、発電装置を有し、電力制御部は、防犯機器の必要電力及び優先度と、蓄電池における充電レベルの所定範囲とに基づいて、発電装置により生成された発電電力を蓄電池に充電することを特徴とする。
【0010】
本発明の第5の態様に係る電力管理装置は、電気機器を含む住宅と電気自動車との間で授受される電力を管理する電力管理装置であって、電気自動車の利用者の所定期間以上に亘る不在を検知する不在検知部と、不在検知部により検知された利用者の不在に基づいて、電気自動車に搭載された蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するよう蓄電池の充放電を制御する電力制御部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の第6の態様に係る電力管理装置は、上記第5の態様の電力管理装置であって、不在検知部は、住宅に設置された人感センサの検知結果を取得し、当該検知結果に基づいて、利用者の所定期間に亘る不在を判断することを特徴とする。
【0012】
本発明の第7の態様に係る電力管理装置は、上記第5の態様の電力管理装置であって、不在検知部は、利用者が所有する情報端末から位置情報を取得し、当該位置情報に基づいて、利用者の所定期間に亘る不在を判断することを特徴とする。
【0013】
本発明の第8の態様に係る電力管理装置は、上記第5の態様の電力管理装置であって、不在検知部は、利用者が行う所定期間に亘る不在の操作を検知した場合に、利用者の所定期間に亘る不在を判断することを特徴とする。
【0014】
本発明の第9の態様に係る電力管理装置は、上記第5乃至第8の何れかの態様の電力管理装置であって、電力制御部は、蓄電池周辺の温度に基づいて、蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するための蓄電池の充放電レートを決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、利用者の長期不在が検知された場合には、蓄電池の充電レベルを所定範囲に制御するので、利用者が不在している場面における蓄電池の劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態として示す電力供給システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおいて、長期不在時における充電レベルの変化を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおけるEV蓄電池の充放電動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおける他の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおいて利用者の長期不在を判断する動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおける他の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおいて利用者の長期不在を判断する動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおける他の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおいて利用者の長期不在を判断する動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおける他の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の一実施形態として示す電力供給システムにおいてEV蓄電池の充放電レートを決定する動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおける他のEV蓄電池の充放電動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおける他の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおける他のEV蓄電池の充放電動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおける他のEV蓄電池の充放電動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおける他の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の一実施形態として示す電力供給システムおける他のEV蓄電池の充放電動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本発明の実施形態として示す電力供給システムは、例えば図1に示すように構成される。この電力供給システムは、電気自動車(EV)1、住宅システム2を含む。住宅システム2は、電力系統3と接続されている。この電力供給システムは、電気自動車1が電力ケーブルを介して住宅システム2と電気的に接続が可能である。
【0019】
この電力供給システムは、住宅システム2が電力系統3から電力(以下、系統電力と呼ぶ。)が供給され、当該系統電力を住宅の家電製品等の負荷機器(電気機器)22に供給する。また、この電力供給システムは、電力系統3から住宅システム2に供給された系統電力を電気自動車1に供給可能となっている。更に、この電力供給システムは、電気自動車1に蓄えられた電力を住宅システム2の負荷機器22に供給可能である。
【0020】
電気自動車1は、EV蓄電池11、蓄電池情報記憶部12、通信部13、制御部14、照明機器15a及び音響機器15bを含む。
【0021】
EV蓄電池11は、電気自動車1に搭載された蓄電池である。EV蓄電池11は、電気自動車1が走行するために、電力を蓄積する。この電力は、住宅システム2から供給されてEV蓄電池11に蓄電され、電気自動車1の走行に応じて消費される。また、この電力は、電気自動車1が住宅システム2以外の電気スタンド等でも充電可能である。
【0022】
蓄電池情報記憶部12は、EV蓄電池11の蓄電池情報として、充電レベル(例えば、SOC:State Of Charge)の変化を示す充放電履歴情報を記憶している。蓄電池情報記憶部12は、EV蓄電池11に対する充電及び放電に応じて、充電レベルを更新する。そして、蓄電池情報記憶部12は、充電レベルを少なくとも記憶する。
【0023】
通信部13は、住宅システム2の通信部25との間で通信信号の授受を行う。通信部13は、住宅システム2の通信部25に対して蓄電池情報記憶部12に記憶している充電レベルを送信する。通信部25は、電気自動車1と住宅システム2とを接続する電力ケーブルに内蔵された通信ケーブルを介して通信を行ってもよく、無線通信によって通信を行ってもよい。
【0024】
照明機器15a及び音響機器15bは、電気自動車1の防犯機器として機能する。照明機器15a及び音響機器15bは、制御部14の制御に従って、発光及び放音する。照明機器15aは制御部14の制御に従って発光する。音響機器15bは制御部14の制御に従って放音する。
【0025】
制御部14は、後述する不在検知部26の検知結果によって電気自動車1の利用者が所定期間に亘って不在であることが、電気自動車1の通信部13から供給される。制御部14は、電気自動車1の利用者が不在である場合であって、振動等の異常を検知した時に照明機器15a及び音響機器15bを動作させる。これにより制御部14は、照明機器15a及び音響機器15bを防犯機器として機能させる。
【0026】
住宅システム2は、分電盤21、複数の負荷機器22A、貯湯タンク22B、充放電コンバータ23、制御部24、通信部25、不在検知部26、電力計測部27、及び、電力センサ28a、28bを含む。更に、住宅システム2は、電力系統3と接続された電力線に、電力センサ2aを備えている。
【0027】
負荷機器22Aは、住宅に備えられる各種の電気機器である。特に、負荷機器22Aには、後述するように、住宅の防犯のための各種センサやブザー、威嚇用照明といった防犯機器が含まれる。
【0028】
充放電コンバータ23は、電力ケーブルを介して電気自動車1と電気的に接続される。充放電コンバータ23は、電気自動車1と接続された場合に、制御部24の制御に従って、当該電気自動車1との間で電力を授受する。充放電コンバータ23は、DC−DC変換回路と、AC−DC変換回路とを含む。充放電コンバータ23は、住宅システム2に適した電圧と電気自動車1のEV蓄電池11に適した電圧との間でAC/DC変換を行う。例えば、住宅システム2に適した電圧は100Vの交流電圧である。例えば、電気自動車1におけるEV蓄電池11の充放電に適した電圧は300V〜400Vの直流電圧である。
【0029】
分電盤21は、負荷機器22A、貯湯タンク22B、電力系統3及び充放電コンバータ23と接続されている。分電盤21は、分岐回路やリレー、ブレーカ等を備える。分電盤21は、電力系統3から供給された系統電力を分岐して、負荷機器22A、貯湯タンク22Bに供給する。また、分電盤21は、電気自動車1のEV蓄電池11に対して充電を行う場合に、充放電コンバータ23に電力を供給する。更に、分電盤21は、電気自動車1のEV蓄電池11から放電された電力が充放電コンバータ23を介して供給された場合、当該EV蓄電池11から放電された電力を負荷機器22A、貯湯タンク22B等に分岐する。
【0030】
なお、分電盤21には、太陽電池や燃料電池が接続されていてもよい。分電盤21は、太陽電池や燃料電池によって電力が生成された場合に、負荷機器22A、貯湯タンク22Bや充放電コンバータ23に分岐することができる。
【0031】
電力計測部27は、電力センサ28a、電力センサ28b、電力センサ2aによるセンサ出力を入力する。なお、電力センサ28a、電力センサ28b、電力センサ2aは、電圧センサ、電流センサ等の電力が計測可能なセンサであれば特に限定はしない。電力計測部27は、センサ出力に基づいて、各部において授受されている電力を計測する。電力計測部27は、電力センサ28aのセンサ出力に基づいて分電盤21から負荷機器22A、貯湯タンク22Bに供給されている電力を計測する。電力計測部27は、電力センサ28bのセンサ出力に基づいて、分電盤21から充放電コンバータ23に供給されている電力及び充放電コンバータ23から分電盤21に要求されている電力を計測する。電力計測部27は、電力センサ2aのセンサ出力に基づいて電力系統3から分電盤21に供給されている電力を計測する。
【0032】
制御部24は、住宅システム2と電気自動車1との間で授受される電力を管理する電力管理装置の電力制御部として機能する。制御部24には、充放電コンバータ23、通信部25、不在検知部26及び電力計測部27が接続されている。
【0033】
不在検知部26は、電気自動車1の利用者の所定期間以上に亘る不在を検知する不在検知部として機能する。この不在検知部26により検知された検知結果は、制御部24に供給される。なお、この不在検知部26の構成は特に限定せず、後述するように各種の構成が採用可能である。
【0034】
この所定期間とは、次回に電気自動車1が走行するまでの期間が長いため、例えばEV蓄電池11の充電レベルが満充電に近い領域で維持されるよりも所定範囲で充電レベルが維持された方が利点が高いような期間が設定される。すなわち、夜間にEV蓄電池11を満充電し、翌日の朝に電気自動車1を走行させる場合には、EV蓄電池11を満充電の状態で維持させる必要性が高い。これに対し、翌日の朝のみならず、その後日も電気自動車1を走行させない長期不在の場合、EV蓄電池11を満充電の状態で維持させる必要性が無い。更に、EV蓄電池11を満充電の状態で維持すると、却ってEV蓄電池11の劣化が進んでしまい、EV蓄電池11を満充電に維持しておく利点がない。このような観点から、電力供給システムは、電気自動車1の利用者が電気自動車1を走行させない不在となる所定期間を設定しておく。
【0035】
制御部24は、不在検知部26により検知された利用者の不在に基づいて、電気自動車1に搭載されたEV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に維持するようEV蓄電池11の充放電を制御する電力制御部として機能する。制御部24は、利用者が所定期間に亘って不在である場合に、電気自動車1の劣化を抑制する範囲になるようEV蓄電池11の充電レベルを制御する。
【0036】
以上のように、この電力供給システムは、不在検知部26による電気自動車1の利用者の不在検知結果に基づいて、EV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に維持するように、EV蓄電池11の充放電を制御する。これにより、電気自動車1に搭載されたEV蓄電池11の劣化を抑制することができる。
【0037】
つぎに、上述した電力供給システムにおける具体的な動作について説明する。
【0038】
上述した電力供給システムは、不在検知部26の検知結果に基づいて、EV蓄電池11の充電レベルを制御する。具体的には、電力供給システムは、図2に示すように、不在検知部26によって利用者の長期不在を判断した後には、EV蓄電池11の充電レベルが所定範囲となるように放電制御又は充電制御を行う。以下、図3を参照して、EV蓄電池11に対する充放電の制御について説明する。
【0039】
電力供給システムは、図3に示すような動作を行って、利用者の長期不在時においてEV蓄電池11の充電レベルを制御する。なお、予め設定した所定時間毎にステップS1が実施される。
【0040】
先ずステップS1において、制御部24は、不在検知部26の検知結果に基づいて電気自動車1の利用者が長期不在であるか否かを判定する。利用者の長期不在となると判定した場合にはステップS2に処理を進め、そうでない場合にはステップS3に処理を進める。
【0041】
ステップS3において、利用者の長期不在とはならないので、制御部24は、通常の動作モードで充放電を実施するよう充放電コンバータ23を制御して、EV蓄電池11に対する充放電を実施する。この通常の動作モードでは、例えば、夜間時間帯にEV蓄電池11を満充電となるよう住宅システム2から電気自動車1に充電し、常に満充電状態で走行に備えるものであっても良い。また、夜間時間帯以外にEV蓄電池11に余剰電力がある場合には電気自動車1から住宅システム2に電力を放電させるものでもよい。また、この通常の動作モードは、夜間時間帯ではEV蓄電池11を満充電となるよう住宅システム2から電気自動車1に充電させる。さらには、太陽光発電装置など発電装置を備え、発電余剰電力によってEV蓄電池11を充電するものであってもよい。
【0042】
ステップS2において、電気自動車1の通信部13はEV蓄電池11の充電レベルを検出し、住宅システム2の通信部25に送信する。制御部24は、通信部13と通信部25との通信によって、EV蓄電池11の充電レベルを検出する。
【0043】
ステップS4において、制御部24は、ステップS2にて検出したEV蓄電池11の充電レベルが所定範囲内であるか否かを判定する。充電レベルが所定範囲内である場合には、ステップS5に処理を進め、そうでない場合にはステップS6に処理を進める。
【0044】
ステップS5において、制御部24は、EV蓄電池11に対する充放電を停止する。これにより、電力供給システムは、利用者の長期不在時には、EV蓄電池11の充電レベルを、当該EV蓄電池11の劣化が少ない所定範囲内に維持する。
【0045】
ステップS6において、制御部24は、ステップS2にて検出したEV蓄電池11の充電レベルが所定範囲を超えているか否かを判定する。充電レベルが所定範囲を超えている場合には、ステップS7に処理を進め、そうでない場合にはステップS8に処理を進める。
【0046】
ステップS7において、制御部24は、所定の放電レートでEV蓄電池11から住宅システム2に放電を実施するよう充放電コンバータ23を制御する。このとき、制御部24は、負荷機器22A、貯湯タンク22Bの消費電力を、EV蓄電池11の放電レートに決定する。このとき、電力計測部27は、電力センサ28aのセンサ出力を入力し、分電盤21から負荷機器22A、貯湯タンク22Bに供給している電力を検出する。制御部24は、電力計測部27により検出した負荷機器22A、貯湯タンク22Bの消費電力を放電レートに決定して、充放電コンバータ23を制御し、EV蓄電池11から住宅システム2に放電を行わせる。又は、制御部24は、所定の放電レートと負荷機器22A及び貯湯タンク22Bの消費電力とを比較して、小さい方をEV蓄電池11の放電レートに決定してもよい。
【0047】
なお、EV蓄電池11の放電電力を住宅システム2から電力系統3へ出力することが許容されていないため、EV蓄電池11から住宅システム2への放電レートは、負荷機器22A及び貯湯タンク22Bの消費電力を超えないよう考慮する必要がある。但し、電力系統3への電力出力が許容されれば、EV蓄電池11から住宅システム2に対して、負荷機器22A及び貯湯タンク22Bの消費電力を超える電力を放電する放電レートに決定してもよいことは勿論である。
【0048】
ステップS8において、制御部24は、所定の充電レートで住宅システム2からEV蓄電池11に充電を実施するよう充放電コンバータ23を制御する。このとき、制御部24は、所定の充電レートで住宅システム2からEV蓄電池11に電力を供給するよう充放電コンバータ23を制御する。このとき、制御部24は、電力計測部27により計測されている電力センサ28bのセンサ出力に基づく電力を参照する。また、電力センサ2aのセンサ出力から系統電力からの供給量が所定値以下となる充電電力を算出し、上記所定の充電レートと比較して小さい方で充電を実施するものとしてもよい。
【0049】
このように、電力供給システムは、利用者の長期不在が検知された場合には、EV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に制御するので、利用者が不在している場面におけるEV蓄電池11の劣化を抑制できる。
【0050】
なお、上述した電力供給システムでは、電気自動車1の制御部24によって充放電コンバータ23の動作を制御して、EV蓄電池11の充電レベルを制御したが、住宅システム2以外にコントローラとしての制御部24を設けてもよい。例えば、制御部24の機能を電気自動車1に搭載してもよい。
【0051】
つぎに、上述した電力供給システムの他の構成について説明する。
【0052】
他の電力供給システムは、図4に示すように、不在検知部26に、長期不在判定部26aと人感センサ26bとを含む。人感センサ26bは、例えば電気自動車1のガレージ、住宅内に設けられる。長期不在判定部26aは、人感センサ26bのセンサ出力に基づいて電気自動車1の利用者の長期不在を判定する。制御部24は、長期不在判定部26aによって利用者の長期不在が判定された場合には、EV蓄電池11の充電レベルを所定範囲にするよう充放電制御を行う。
【0053】
このような電力供給システムは、図5に示すように、ステップS11において、長期不在判定部26aによって、所定期間ごとに人感センサ26bのセンサ出力を検出する。
【0054】
次のステップS12において、長期不在判定部26aは、人感センサ26bのセンサ出力に基づいて、電気自動車1のガレージや住宅内に、長期不在とみなせるような所定期間に亘って利用者の存在による反応がないか否かを判定する。利用者の存在による反応がない場合には、長期不在判定部26aは、ステップS13において利用者が長期不在であると判定する。一方、利用者の存在による反応があった場合には、長期不在判定部26aは、ステップS14において利用者が長期不在ではないと判定する。
【0055】
このように、電力供給システムは、人感センサ26bを利用することによって、利用者の長期不在が自動で判断でき、自動的にEV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に制御することができる。
【0056】
また、他の電力供給システムは、図6に示すように、利用者が所有する利用者情報端末4から位置情報を取得し、当該位置情報に基づいて、利用者の所定期間に亘る不在を判断してもよい。
【0057】
この電力供給システムにおいて、利用者情報端末4は、少なくとも位置情報取得部41と通信部42とを含む。位置情報取得部41は、例えばGPS処理回路であり、自己の現在の位置情報を取得する。通信部42は、例えば携帯端末網を介して住宅システム2と通信可能な通信ICや通信アンテナ等を含む。利用者情報端末4は、例えば所定期間ごと又は利用者の操作に応じて、位置情報取得部41によって位置情報を取得して、通信部42によって住宅システム2に送信する。
【0058】
不在検知部26は、利用者情報端末4から送信された位置情報を取得するための通信部26cを備える。通信部26cは、利用者情報端末4から送信された位置情報を取得したことに応じて、当該位置情報を長期不在判定部26aに供給する。
【0059】
長期不在判定部26aは、利用者情報端末4の位置情報に基づいて、利用者の所定期間に亘る不在を判断する。
【0060】
このような電力供給システムは、図7に示すように、長期不在判定部26aは、ステップS11aにおいて、通信部26cから利用者情報端末4の位置情報を取得する。
【0061】
次のステップS11bにおいて、長期不在判定部26aは、ステップS11aにて取得した利用者情報端末4の位置情報と、住宅の位置情報との距離を算出する。
【0062】
次のステップS12aにおいて、長期不在判定部26aは、利用者が住宅から所定距離以上離れているか否かを判定する。利用者が住宅から所定距離以上離れている場合には、ステップS13において利用者が長期不在であると判定する。一方、利用者が住宅から所定距離以上離れていない場合には、ステップS14において利用者が長期不在ではないと判定する。
【0063】
これにより、電力供給システムは、利用者情報端末4を利用することによって、利用者の長期不在が自動で判断でき、自動的にEV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に制御することができる。また、この電力供給システムによれば、利用者と住宅との距離によって利用者が長期不在かを判断でき、人感センサ26bを利用するより正確に利用者の長期不在を判定できる。
【0064】
更に、他の電力供給システムは、図8に示すように、利用者が行う所定期間に亘る不在の操作を検知した場合に、利用者の所定期間に亘る不在を判断してもよい。
【0065】
この電力供給システムにおいて、不在検知部26には、利用者が操作可能な操作部26dを備える。この操作部26dは、例えば住宅に設置されたインターホン用の液晶操作パネルを利用したものであってもよく、更に住宅システム2の負荷機器22Aや貯湯タンク22Bを制御する液晶操作パネルであってもよい。更に、利用者情報端末4には、操作部43を備える。利用者の操作は、利用者が長期不在であることを入力する操作や、住宅システム2を留守モードにする操作や、防犯機器によって住宅を監視する操作など、電気自動車1を利用しない長期不在であることが認識できる操作であればよい。
【0066】
利用者は、自身が住宅から長期不在する場合に、当該長期不在であることを入力するために、不在検知部26の操作部26d又は利用者情報端末4の操作部43を操作する。
【0067】
操作部26dは、利用者の操作を受け付けた場合に、操作信号を長期不在判定部26aに供給する。これにより、長期不在判定部26aは、利用者が長期不在であることを判断できる。
【0068】
操作部43は、利用者の操作を受け付けた場合に、操作信号を通信部42に供給する。この操作信号は、利用者情報端末4の通信部42によって住宅システム2宛てに送信され、住宅システム2の通信部26cに受信され、長期不在判定部26aに供給される。これにより、長期不在判定部26aは、利用者が長期不在であることを判断できる。
【0069】
このような電力供給システムは、図9に示すように、長期不在判定部26aは、ステップS11cにおいて、操作部26d又は操作部43に対する操作入力を検出する。
【0070】
次に、長期不在判定部26aは、ステップS11cの操作が、利用者が長期不在であることの設定操作を実施したか否か(ステップS12b)、利用者が長期不在ではない設定操作を実施したか否か(ステップS12c)、を判定する。
【0071】
利用者が長期不在であることの設定操作を実施した場合(ステップS12b=YES)、ステップS13において、長期不在判定部26aは、利用者が長期不在であると判定する。一方、利用者が長期不在ではない設定操作を実施した場合(ステップS12c=YES)、ステップS14において、長期不在判定部26aは、利用者が長期不在ではないと判定する。
【0072】
このような電力供給システムは、利用者の操作を受け付けることによって利用者の長期不在を判断でき、利用者の意思によってEV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に制御することができる。
【0073】
更に、上述した電力供給システムは、EV蓄電池11の周辺の温度に基づいて、EV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に維持するためのEV蓄電池11の充放電レートを決定することが望ましい。
【0074】
この電力供給システムは、図10に示すように、電気自動車1に温度センサ16を備える。温度センサ16は、EV蓄電池11周辺の温度を検知する。温度センサ16のセンサ出力は、電気自動車1の通信部13によって住宅システム2に送信され、住宅システム2の通信部25に受信され、制御部24に供給される。
【0075】
制御部24は、電気自動車1から供給されたEV蓄電池11の周辺温度に基づいて充放電コンバータ23を制御して、EV蓄電池11の充電レベルが所定範囲となるよう充放電制御を行う。
【0076】
この電力供給システムは、図11に示すように、ステップS21において、所定期間ごとに温度センサ16のセンサ出力を検出する。
【0077】
次のステップS22において、制御部24は、ステップS21にて検出されたEV蓄電池11の周辺温度が所定の範囲内か否かを判定する。また、制御部24は、ステップS23において、ステップS21にて検出されたEV蓄電池11の周辺温度よりも高いか否かを判定する。
【0078】
EV蓄電池11の周辺温度が所定の範囲内である場合には、ステップS24において、充放電レートを条件Cに設定する。EV蓄電池11の周辺温度が所定の範囲よりも高い場合には、ステップS26において、充放電レートを条件Bに設定する。EV蓄電池11の周辺温度が所定の範囲よりも低い場合には、ステップS25において、充放電レートを条件Aに設定する。
【0079】
このEV蓄電池11の周辺温度の所定範囲は、EV蓄電池11が充放電を行ってもEV蓄電池11の劣化が大きくならないような温度範囲である。逆に、EV蓄電池11の周辺温度の所定範囲以外においてEV蓄電池11の充放電を行うと、EV蓄電池11の劣化が大きくなる。このような観点より、電力供給システムは、低温、高温時に充放電を控えるように、条件A〜Cによって、EV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に調整するための充放電レートを切り替える。
【0080】
例えば、EV蓄電池11の温度条件によって、充放電レートは以下のようにする。
【0081】
条件A(低温時):充電レートの上限値をPcA、放電レートの上限値をPdAとする
条件B(高温時):充電レートの上限値をPcB、放電レートの上限値をPdBとする
条件C(常温時):充電レートの上限値をPcC、放電レートの上限値をPdCとする
ここで、PcA<PcC、PcB<PcC、PdA<PdC、PdB<PdCとする。この結果、EV蓄電池11の高温時及び低温時には充電レート及び放電レートの上限値を低くして、EV蓄電池11の劣化を抑制できる。
【0082】
この電力供給システムにおいて、図12を参照して、図11に示す処理によって設定された充電レート及び放電レートに従ってEV蓄電池11に対して充放電を行う動作を説明する。
【0083】
この電力供給システムは、ステップS6においてEV蓄電池11の充電レベルが所定範囲を超えた場合にはステップS31の動作を行い、EV蓄電池11の充電レベルが所定範囲を超えていない場合にはステップS32の動作を行う。
【0084】
ステップS32において、制御部24は、現在のEV蓄電池11の充電レベルが所定範囲よりも少ないので、図11の処理によって設定された充電レートで、住宅システム2からEV蓄電池11に充電を行う。
【0085】
ステップS31において、電力計測部27は、負荷機器22A及び貯湯タンク22Bの消費電力を検出する。このとき、電力計測部27は、電力センサ28aのセンサ出力を取得する。
【0086】
次のステップS33において、制御部24は、ステップS31にて検出された負荷機器22A及び貯湯タンク22Bの消費電力が、図11の処理によって設定された放電レートよりも高いか否かを判定する。消費電力が設定された放電レートよりも高い場合にはステップS34に処理を進め、そうでない場合にはステップS35に処理を進める。
【0087】
ステップS34において、制御部24は、図11の処理によって設定された放電レートで、EV蓄電池11から住宅システム2に放電を行う。この放電電力は、充放電コンバータ23によって取り出され、分電盤21を介して負荷機器22A及び貯湯タンク22Bに供給される。
【0088】
ステップS35において、住宅システム2は、負荷機器22A及び貯湯タンク22Bの消費電力に対するEV蓄電池11の放電レートの不足分だけ、負荷機器22A及び貯湯タンク22Bを系統電力によって動作させる。
【0089】
以上のように、電力供給システムは、EV蓄電池11が劣化しやすい温度状況であっても、EV蓄電池11の劣化の少ない充電レベルに短時間で遷移して、EV蓄電池11の劣化を低減できる。また、電力供給システムは、充電レベルを所定範囲にすることによる劣化抑制効果と、温度環境に適した充放電レートで充放電を行うことによるによってEV蓄電池11を劣化抑制効果との双方を発揮できる。
【0090】
なお、上述の電力供給システムではステップS35において、放電レートの不足分だけ、負荷機器22A及び貯湯タンク22Bを動作するものとしたが、負荷機器の消費電力を放電レートとして設定して、放電を実施するものとしてもよい。
【0091】
更に、上述した電力供給システムにおいて、図13に示すように、住宅システム2に防犯用負荷機器22Cを含む。この防犯用負荷機器22Cとしては、照明、音響機器、電動カーテン、TV、防犯カメラ、防犯センサ、警報装置などが挙げられる。この電力供給システムにおいて、制御部24は、EV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に維持するためのEV蓄電池11の放電電力を、住宅システム2に含まれる防犯用負荷機器22Cに供給することが望ましい。
【0092】
このような電力供給システムは、図14に示すように、ステップS6にて現在のEV蓄電池11の充電レベルが所定範囲よりも高い場合のステップS41において、防犯用負荷機器22Cを動作させる。ここで、防犯用負荷機器22Cは、ステップS6にて判断を行ったタイミングにて動作しているのみならず、動作を停止している時に、ステップS41にて動作を開始してもよい。
【0093】
次のステップS7において、制御部24は、所定の放電レートに従ってEV蓄電池11の放電を実施させ、充放電コンバータ23から分電盤21を介して、防犯用負荷機器22Cに電力を供給する。
【0094】
このように、電力供給システムによれば、EV蓄電池11の放電電力を防犯用負荷機器22Cに使用する。これにより、EV蓄電池11の充電レベルを所定範囲にしてEV蓄電池11の寿命劣化を低減する効果と同時に、放電電力を利用者の長期不在時の防犯に有効利用できる。
【0095】
更に、この電力供給システムは、防犯用負荷機器22Cの必要電力及び優先度に応じて防犯用負荷機器22Cを制御してもよい。
【0096】
この電力供給システムは、図15に示すように、ステップS6にて現在のEV蓄電池11の充電レベルが所定範囲よりも高い場合に、ステップS51乃至ステップS53の処理を行って、ステップS41にて、防犯用負荷機器22Cを動作させる。
【0097】
ステップS51において、制御部24は、蓄電池情報記憶部12に記憶されているEV蓄電池11の充電レベルを取得し、当該現在の充電レベルから所定範囲までの放電電力量を算出する。
【0098】
次のステップS52において、制御部24は、防犯用負荷機器22Cの必要電力、防犯用負荷機器22Cの優先度を取得する。この防犯用負荷機器22Cの必要電力及び防犯用負荷機器22Cの優先度は、予め設定されたものであり、制御部24がアクセス可能なメモリに記憶されている。
【0099】
次のステップS53において、制御部24は、ステップS52にて取得した防犯用負荷機器22Cの必要電力及び防犯用負荷機器22Cの優先度に基づいて、動作する防犯用負荷機器22Cを設定する。このとき、(1)制御部24は、EV蓄電池11周辺の温度に応じた放電可能レートが防犯用負荷機器22Cの必要電力を満たす場合に、当該防犯用負荷機器22Cが動作可能と判断する。更に、制御部24は、(2)ステップS51にて算出された放電電力量が、防犯用負荷機器22Cの必要電力と負荷機器22の必要動作時間とによって求められる必要電力量を満たす場合に、当該防犯用負荷機器22Cが動作可能と判断する。この(1)及び(2)の条件を満たした防犯用負荷機器22Cが、EV蓄電池11の放電電力によって動作可能となる。制御部24は、複数の防犯用負荷機器22Cが動作可能な場合、当該複数の防犯用負荷機器22Cのうち、優先度が高い防犯用負荷機器22Cを動作させると設定する。
【0100】
次のステップS41において、制御部24は、ステップS53にて設定された防犯用負荷機器22Cに対してEV蓄電池11の放電電力を供給して、当該防犯用負荷機器22Cを動作させる。
【0101】
このように、電力供給システムは、EV蓄電池11の寿命劣化の低減ために放電する必要がある電力量に応じて、最適な防犯用負荷機器22Cを動作させることによって、放電電力を有効に利用できる。
【0102】
更に、この電力供給システムは、図16に示すように、太陽光発電装置29を備えていてもよい。この電力供給システムの住宅システム2は、太陽光発電装置29の発電電力を検出するための電力センサ28cを備える。なお、太陽光発電装置29に限らず、他の発電装置である燃料電池システム等であってもよい。
【0103】
この電力供給システムにおいて、制御部24は、EV蓄電池11における充電レベルの所定範囲のみならず、防犯用負荷機器22Cの必要電力及び優先度を考慮して、太陽光発電装置29により生成された発電電力をEV蓄電池11に充電する。
【0104】
この電力供給システムは、図17に示すように、ステップS2にてEV蓄電池11の充電レベルを検出した後のステップS61において、太陽光発電装置29の発電電力に余剰があるか否かを判定する。このとき、電力計測部27は、電力センサ28cのセンサ出力に基づいて太陽光発電装置29の発電電力を計測し、当該発電電力が負荷機器22の消費電力を超えているかを判断する。太陽光発電装置29の発電電力に余剰がない場合には、上述したステップS4以降の動作を行う。
【0105】
一方、太陽光発電装置29の発電電力に余剰がある場合には、ステップS62以降に処理を進める。ステップS62において、制御部24は、防犯用負荷機器22Cの必要電力、防犯用負荷機器22Cの優先度を取得する。
【0106】
次のステップS63において、制御部24は、所定の充電目標レベルを算出する。この所定の充電目標レベルは、上述していたEV蓄電池11の充電レベルの所定範囲に、ステップS25にて取得された防犯用負荷機器22Cの動作に必要な電力量を加算した充電レベルである。このとき、制御部24は、防犯用負荷機器22Cの優先度に応じて、当該優先度が高い防犯用負荷機器22Cを優先的に動作させるための必要電力を放電可能なように充電目標レベルを設定することが望ましい。また、制御部24は、長期不在中に各防犯用負荷機器22Cの動作回数も考慮することが望ましい。ここで、充電目標レベルは、上述したような長期不在であってもEV蓄電池11の寿命を劣化させない範囲とする必要があることは勿論である。
【0107】
次のステップS64において、制御部24は、ステップS2にて検出したEV蓄電池11の充電レベルが、ステップS63にて算出された充電目標レベルよりも低いか否かを判定する。EV蓄電池11の充電レベルが充電目標レベルよりも低い場合、ステップS65において、太陽光発電装置29の余剰電力でEV蓄電池11の充電を実施する。一方、EV蓄電池11の充電レベルが充電目標レベルよりも低くない場合、ステップS66において、EV蓄電池11の充電を停止する。
【0108】
このような電力供給システムによれば、太陽光発電装置29の発電電力に余剰がある場合には、防犯用負荷機器22Cの必要電力をEV蓄電池11に充電させることができる。その後、電力供給システムは、太陽光発電装置29の余剰電力がない場合に、ステップS4に移行して、防犯用負荷機器22Cを動作させることができる。
【0109】
これにより、この電力供給システムは、長期不在中に、EV蓄電池11の充電レベルを所定範囲に維持して寿命の劣化を防止できる。これに加え、電力供給システムは、太陽光発電装置29の余剰電力を利用して、防犯用負荷機器22Cを長期間に亘り動作させることができ、EV蓄電池11の電力のみならず太陽光発電装置29の余剰電力を有効利用できる。
【0110】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0111】
1 電気自動車
2 住宅システム
4 利用者情報端末
22A 負荷機器(電気機器)
22B 貯湯タンク(電気機器)
22C 防犯用負荷機器
24 制御部(電力制御部)
26b 人感センサ
26 不在検知部
29 太陽光発電装置(発電装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を含む住宅と電気自動車との間で授受される電力を管理する電力供給システムであって、
前記電気自動車の利用者の所定期間以上に亘る不在を検知する不在検知部と、
前記不在検知部により検知された利用者の不在に基づいて、前記電気自動車に搭載された蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するよう前記蓄電池の充放電を制御する電力制御部と
を含むことを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
前記住宅の電気機器として防犯機器を含み、
前記電力制御部は、前記蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するための前記蓄電池の放電電力を、前記住宅又は前記電気自動車に含まれる防犯機器に供給することを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記電力制御部は、
前記防犯機器の必要電力及び優先度を設定しておき、
前記蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するために放電可能な前記蓄電池の放電電力量及び前記蓄電池周辺の温度に応じた放電可能レートと、前記防犯機器の必要電力とを照合し、
当該照合結果及び前記防犯機器の優先度に基づいて前記蓄電池の放電電力を供給する防犯機器を決定すること
を特徴とする請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
発電装置を有し、
前記電力制御部は、前記防犯機器の必要電力及び優先度と、前記蓄電池における充電レベルの所定範囲とに基づいて、前記発電装置により生成された発電電力を前記蓄電池に充電することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電力供給システム。
【請求項5】
電気機器を含む住宅と電気自動車との間で授受される電力を管理する電力管理装置であって、
前記電気自動車の利用者の所定期間以上に亘る不在を検知する不在検知部と、
前記不在検知部により検知された利用者の不在に基づいて、前記電気自動車に搭載された蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するよう前記蓄電池の充放電を制御する電力制御部と
を備えることを特徴とする電力管理装置。
【請求項6】
前記不在検知部は、前記住宅に設置された人感センサの検知結果を取得し、当該検知結果に基づいて、前記利用者の所定期間に亘る不在を判断することを特徴とする請求項5に記載の電力管理装置。
【請求項7】
前記不在検知部は、前記利用者が所有する情報端末から位置情報を取得し、当該位置情報に基づいて、前記利用者の所定期間に亘る不在を判断することを特徴とする請求項5に記載の電力管理装置。
【請求項8】
前記不在検知部は、前記利用者が行う所定期間に亘る不在の操作を検知した場合に、前記利用者の所定期間に亘る不在を判断することを特徴とする請求項5に記載の電力管理装置。
【請求項9】
前記電力制御部は、前記蓄電池周辺の温度に基づいて、前記蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するための前記蓄電池の充放電レートを決定することを特徴とする請求項5乃至請求項8の何れか一項に記載の電力管理装置。
【請求項1】
電気機器を含む住宅と電気自動車との間で授受される電力を管理する電力供給システムであって、
前記電気自動車の利用者の所定期間以上に亘る不在を検知する不在検知部と、
前記不在検知部により検知された利用者の不在に基づいて、前記電気自動車に搭載された蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するよう前記蓄電池の充放電を制御する電力制御部と
を含むことを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
前記住宅の電気機器として防犯機器を含み、
前記電力制御部は、前記蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するための前記蓄電池の放電電力を、前記住宅又は前記電気自動車に含まれる防犯機器に供給することを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記電力制御部は、
前記防犯機器の必要電力及び優先度を設定しておき、
前記蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するために放電可能な前記蓄電池の放電電力量及び前記蓄電池周辺の温度に応じた放電可能レートと、前記防犯機器の必要電力とを照合し、
当該照合結果及び前記防犯機器の優先度に基づいて前記蓄電池の放電電力を供給する防犯機器を決定すること
を特徴とする請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
発電装置を有し、
前記電力制御部は、前記防犯機器の必要電力及び優先度と、前記蓄電池における充電レベルの所定範囲とに基づいて、前記発電装置により生成された発電電力を前記蓄電池に充電することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電力供給システム。
【請求項5】
電気機器を含む住宅と電気自動車との間で授受される電力を管理する電力管理装置であって、
前記電気自動車の利用者の所定期間以上に亘る不在を検知する不在検知部と、
前記不在検知部により検知された利用者の不在に基づいて、前記電気自動車に搭載された蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するよう前記蓄電池の充放電を制御する電力制御部と
を備えることを特徴とする電力管理装置。
【請求項6】
前記不在検知部は、前記住宅に設置された人感センサの検知結果を取得し、当該検知結果に基づいて、前記利用者の所定期間に亘る不在を判断することを特徴とする請求項5に記載の電力管理装置。
【請求項7】
前記不在検知部は、前記利用者が所有する情報端末から位置情報を取得し、当該位置情報に基づいて、前記利用者の所定期間に亘る不在を判断することを特徴とする請求項5に記載の電力管理装置。
【請求項8】
前記不在検知部は、前記利用者が行う所定期間に亘る不在の操作を検知した場合に、前記利用者の所定期間に亘る不在を判断することを特徴とする請求項5に記載の電力管理装置。
【請求項9】
前記電力制御部は、前記蓄電池周辺の温度に基づいて、前記蓄電池の充電レベルを所定範囲に維持するための前記蓄電池の充放電レートを決定することを特徴とする請求項5乃至請求項8の何れか一項に記載の電力管理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−102609(P2013−102609A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244645(P2011−244645)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]