説明

電力供給制御回路および電子回路

電源(2)からの電力の供給と遮断を制御する電力供給制御回路(3)であって、各々が所定の処理機能を有する複数の機能ブロックからの電力遮断要求信号(10)を受け取る要求受取部(11)と、複数の機能ブロックに対する電源からの電力の供給と遮断を切り替える切り替え部(12)と、要求受取部(11)が受け取った電力遮断要求信号(10)に基づいて切り替え部(12)を制御する制御部(13)を備える電力供給制御回路(3)により、電力供給と電力遮断を機能ブロック毎に適切に制御し、消費電力の削減を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費電力削減に有効な電力供給制御回路および電子回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器に実装される電子回路は高機能化が進み、プロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)、専用ハードウェアなどの特定の処理機能を有する多数の機能ブロックが搭載されている。更に、電子機器の小型化の要求に合わせて、これら多数の機能ブロックを有する電子回路は、ICやLSIなどの半導体集積回路に集積されている。この半導体回路への集積化に伴って、半導体回路には90nmおよび65nmといった微細プロセスの適用が進められている。
【0003】
しかしながら、微細プロセスにおいては、トランジスタ単体のリーク電流が大きく、半導体集積回路の動作停止時、および動作時におけるリーク電流が増加している。更に、高集積化によりリーク電流の総和も大きくなっている。
【0004】
このため、これらの半導体集積回路が組み込まれた電子機器での消費電力削減のためには、このリーク電流の削減が必要となっている。
【0005】
特に、バッテリー駆動の携帯端末機器においては、このリーク電流の増加が携帯端末機器の駆動時間の短時間化に繋がるため、リーク電流の削減が重要である。
【0006】
従来の電子機器に搭載された電子回路や半導体集積回路には、電子機器の電源に連動して、電力の供給が行われていた。電力は、電子回路や半導体集積回路の動作不要時でも供給され続ける。このため、実際の動作量に関係なく不要な消費電力が発生する問題があった。
【0007】
このような問題点を回避するために、電力供給を制御する技術が提案されている。
【0008】
文献1(特開平7−141074号公報)は、半導体集積回路に実装された特定の処理機能を有する機能ブロックに対して、外部からの制御で電力供給を遮断する技術を開示する。
【0009】
第16図は、文献1に開示されている電子回路のブロック図である。
【0010】
電子回路700は、特定の処理機能を有する第1の機能ブロック703a〜第8の機能ブロック703hを有している。第1の機能ブロック703a〜第8の機能ブロック703hは、それぞれ画像処理や音声処理、メモリアクセスなどの特定の処理機能を有する一つのブロックである。電力供給制御部701は、第1の機能ブロック703a〜第8の機能ブロック703hに対する電力の供給と遮断を制御する。電力制御レジスタ702は、外部から書き込みまれた電力制御データを保持する。電力供給制御部701は、この電力制御レジスタ702に保持されている電力制御データに従って、第1の機能ブロック703a〜第8の機能ブロック703hへの電力の供給と遮断を制御する。
【0011】
ここで、電力制御レジスタ702への書き込みは、外部のプロセッサを介して行われる。この構成により、複数の機能ブロック毎への電力供給が、外部からの設定で制御できる。
【0012】
また、文献2(特開2002−341976号公報)は、半導体集積回路に組み込まれたプロセッサのストップモード信号を利用して、電力供給の制御を行う技術を開示する。
【0013】
第17図は、文献2に開示されているシステムLSIのブロック図である。
【0014】
システムLSI800は、CPU803や回路A804、回路B805などを備える。CPU803は、回路A804と回路B805の動作終了後に、ストップモード信号を出力する。制御回路807は、ストップモード信号を受けて、外部への出力信号をバックアップレジスタ808に保持した上で、電源801に遮断要求信号を出力する。この遮断要求信号を受けた電源801は、システムLSI800に対する電力供給を遮断する。
【0015】
この電力供給制御では、半導体集積回路に集積された機能ブロックの動作終了検出により、電力供給が制御できる。
【0016】
しかしながら、従来の電力供給制御では、制御のための監視や処理に伴う負担が大きい問題があった。また、電力供給制御を細かに行うことができなかった。
【特許文献1】特開平7−141074号公報
【特許文献2】特開2002−341976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
そこで本発明は、電力供給制御に係る処理負担を軽減し、複数の機能ブロック毎の電力供給を適切に制御して、消費電力を削減する電力供給制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
第1の発明に係る電力供給制御回路は、電源からの電力の供給と遮断を制御する電力供給制御回路であって、各々が所定の処理機能を有する複数の機能ブロックからの電力遮断要求信号を受け取る要求受取部と、複数の機能ブロックに対する電源からの電力の供給と遮断を切り替える切り替え部と、要求受取部が受け取った電力遮断要求信号に基づいて切り替え部を制御する制御部を備える。
【0019】
この構成により、複数の機能ブロックの中で動作停止状態にある機能ブロックに対する電力供給を遮断できるので、消費電力が削減できる。また、機能ブロックからの要求に従って電力遮断できるため、外部からの設定等の処理負荷が少なく、更に機能ブロック毎に電力遮断を制御できる。
【0020】
第2の発明に係る電力供給制御回路では、電力遮断要求信号は、複数の機能ブロックが出力する処理終了信号である。
【0021】
この構成により、機能ブロックでの電力が不要となるタイミングを容易に検出でき、機能ブロック毎の電力遮断の制御を、機能ブロック自身の要求に従って行える。
【0022】
第3の発明に係る電力供給制御回路では、電力遮断要求信号は、複数の機能ブロックが出力する一定時間毎の通知信号である。
【0023】
この構成により、簡易な構成で容易に電力遮断要求信号を発生できる。結果として、機能ブロック毎の電力遮断の制御が、機能ブロック自身の要求に従って行われる。
【0024】
第4の発明に係る電力供給制御回路では、電力遮断要求信号は、電力遮断から電力供給までの時間情報を含んでいる。
【0025】
この構成により、電力遮断後において、電力供給を再開する処理が容易に行える。また、機能ブロックが出力する信号に再開までの時間情報が含まれているので、外部設定を要さずに電力供給を再開できる。
【0026】
第5の発明に係る電力供給制御回路では、制御部は、要求受取部で受け取られた電力遮断要求信号に基づいて電力遮断の開始と終了を許可する電力遮断許可部を備える。
【0027】
第6の発明に係る電力供給制御回路では、電力遮断許可部は、複数の機能ブロックの内、電力遮断要求信号を出力している機能ブロックと処理依存関係にある他の機能ブロックからの電力遮断要求信号に基づいて電力遮断の開始を許可する。
【0028】
第7の発明に係る電力供給制御回路では、電力遮断許可部は、要求受取部が複数の機能ブロックのいずれかからの電力遮断要求信号を受け取った場合に、複数の機能ブロックの内、電力遮断要求信号を出力している機能ブロックと処理依存関係にある他の機能ブロックからの電力遮断要求信号の有無に基づいて電力遮断の開始と終了を許可する。
【0029】
これらの構成により、信号のやり取りをはじめとした処理依存関係にある機能ブロックのいずれかからの電力遮断要求があった場合でも、処理依存関係にある別の機能ブロックの状況を考慮して電力遮断が決定される。結果として、ある機能ブロックの電力遮断によりこの機能ブロックと処理依存関係にある機能ブロックでの誤動作を防止できる。
【0030】
第8の発明に係る電力供給制御回路では、電力遮断許可部は、複数の機能ブロックの内、処理依存関係にある全ての機能ブロックからの電力遮断要求信号を受け取った場合に、電力遮断の開始を許可する。
【0031】
この構成により、処理依存関係にある機能ブロックに対する電力遮断に起因しうる誤動作が防止され、消費電力が削減できる。
【0032】
第9の発明に係る電力供給制御回路では、電力遮断許可部は、処理依存関係の情報を格納する情報格納部を備える。
【0033】
第10の発明に係る電力供給制御回路では、情報格納部は、外部要因により書き換え可能である。
【0034】
これらの構成により、複数の機能ブロックの処理依存関係を、必要に応じて設定できる。
【0035】
第11の発明に係る電力供給制御回路では、電力遮断許可部は、電力遮断要求信号の受取時から一定時間を計測する遮断時間計測部を備え、一定時間経過後に電力遮断の開始を許可する。
【0036】
この構成により、電力遮断要求信号の受信から実際の電力遮断までに一定のマージン時間を確保できるため、電力遮断時の電圧変動による機能ブロックの誤動作が防止できる。
【0037】
第12の発明に係る電力供給制御回路では、電力遮断許可部は、電力遮断の開始時から一定時間を計測する復帰時間計測部を備え、一定時間経過後に電力遮断の終了を許可する。
【0038】
この構成により、電力遮断後の電力供給の再開が容易に行われ、この再開のタイミングが容易に判別される。
【0039】
第13の発明に係る電子回路は、所定の処理機能を有する複数の機能ブロックと、複数の機能ブロックからの電力遮断要求信号を受け取る要求受取部と、複数の機能ブロックに対する電源からの電力の供給と遮断を切り替える切り替え部と、要求受取部が受け取った電力遮断要求信号に基づいて切り替え部を制御する制御部を備える。
【0040】
第14の発明に係る電子回路では、制御部は、要求受取部で受け取られた電力遮断要求信号に基づいて電力遮断の開始と終了を許可する電力遮断許可部を備える。
【0041】
これらの構成により、誤動作を防止した上で、機能ブロック自身の要求に従って適切に電力供給を制御でき、電子回路の消費電力を削減できる。
【0042】
第15の発明に係る電子回路は、複数の機能ブロックの出力信号の論理値を固定する出力値固定部を備え、出力値固定部は、複数の機能ブロックの内、電力遮断される機能ブロックの出力信号の論理値を固定する。
【0043】
この構成により、電力遮断時の電圧変動による出力値の変動に起因する信号出力先の機能ブロックでの誤動作を防止できる。
【0044】
第16の発明に係る電子回路では、出力値固定部に含まれる電子素子の動作電圧が、機能ブロックに含まれる電子素子の動作電圧よりも低い。
【0045】
この構成により、出力値固定部の消費電力を削減できる。特に、出力信号の増加によって出力値固定部の回路規模が増加したときの消費電力削減の効果が大である。
【0046】
第17の発明に係る電子回路では、出力値固定部に含まれる電子素子の閾値電圧が、機能ブロックに含まれる電子素子の閾値電圧よりも低い。
【0047】
この構成により、出力値固定部の消費電力が削減できる。特に、出力信号の増加による出力値固定部の回路規模の増加に対する消費電力削減の効果が大きい。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、複数の機能ブロック毎に電力供給と電力遮断を制御できる。また、機能ブロックが自発的に出力する電力遮断信号に基づいて電力遮断を制御するため、外部からの設定などの余分な負荷が生じない。
【0049】
また、電力遮断要求信号10に機能ブロックの出力する処理終了信号が用いられることで、容易かつ適切に電力遮断を行うことができる。
【0050】
更に、電力遮断要求信号10を出力した機能ブロックと処理依存関係にある機能ブロックが存在する場合は、この依存関係にある機能ブロックの電力遮断要求信号10も加味して電力遮断を行うことができる。結果として、相互に依存する処理が妨げられない。
【0051】
また、電力遮断される機能ブロックの出力値が固定されることで、この出力値を受ける他の機能ブロックにおける誤動作を防止できる。
【0052】
以上のように、電子回路全体の動作処理に影響を与えず、誤動作の発生も防止した上で、機能ブロックの出力する電力遮断要求信号に基づいた電力遮断により、消費電力が削減できる。結果として、電子機器の動作時間を延長できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0054】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について、第1図〜第3図を用いて説明する。
【0055】
第1図は、本発明の実施の形態1における電子回路のブロック図であり、電力供給制御回路を含む電子回路全体を示している。
【0056】
ここで、プロセッサ部4、画像コーデック部5、Direct Memory Accessコントローラ(以下、「DMAコントローラ」という)6、画像入力部7、画像出力部8、メモリコントローラ9は、各々は所定の処理機能を有する機能ブロックの例である。
【0057】
なお、電子回路1はディスクリートの電子素子で構成されてもよく、半導体集積回路に集積されてもよい。また、電力制御回路3が画像コーデック部5などの機能ブロックと別に構成されてもよく、同一に構成されてもよい。また、電力制御回路3は、機能ブロックと同一の半導体集積回路に集積されてもよい。半導体集積回路に集積されている場合には、リーク電流の削減において、大きな効果を奏する。
【0058】
まず、各部の詳細について説明する。
【0059】
最初に電源2について説明する。
【0060】
電源2は、電力供給源そのものであり、電力線路14を介して、機能ブロックを含む電子回路1に電力を供給する。電源2は、交流電源、バッテリなどが用いられる。
【0061】
次に、機能ブロックについて説明する。
【0062】
機能ブロックは、所定の処理機能を有する回路(必要なプログラムも含まれる)の一単位である。第1図では、プロセッサ部4、画像コーデック部5、DMAコントローラ6、画像入力部7、画像出力部8、メモリーコントローラ9が機能ブロックの例として示されている。なお、第1図では所定の処理機能を有する機能ブロックとして、これらプロセッサ部4や画像コーデック部5などが示されているが、これら以外の機能ブロックが備えられてもよい。
【0063】
プロセッサ部4は、CPUやDSPなどのプログラマブルに動作するプロセッサであり、他の機能ブロックに対する命令処理や同期処理などを行う。また、外部からのプログラム制御を受け付けて、電子回路1全体の動作を制御する。
【0064】
画像コーデック部5は、入力された画像データに基づき、画像符号化と、符号化された画像の復号を実行する。例えば、画像コーデック部5はMPEGやJPEGなどの規格に基づいた画像符号化、画像復号を実行する。ここで、画像コーデック部5が符号化に用いる画像データは、画像入力部7から入力された画像データである。画像コーデック部5が符号化した符号化データは、メモリ(図示せず)に格納される。格納されている符号化データは画像コーデック部5で復号される。復号された画像データは、画像出力部8を介して液晶画面やCRTなどの表示装置(図示せず)で表示される。
【0065】
なお、画像コーデック部5以外に音声コーデック部(図示せず)を有していてもよい。画像コーデック部5は、画像の符号化や復号時以外は非動作となる機能ブロックである。
【0066】
DMAコントローラ6は、プロセッサ部4を介さずに、上記メモリと画像コーデック部5などの他の機能ブロック間のデータ転送を実行する。プロセッサ部4を介さずにデータ転送が行われるので、ロード信号やストア信号などを制御する必要が無く、高速なデータ転送が可能となる。例えば、上記メモリに格納されている画像データを、画像コーデック部5に高速転送する場合に用いられる。DMAコントローラ6は、データ転送時以外は非動作となる機能ブロックである。
【0067】
画像入力部7は、外部カメラを介して画像データを受信する機能ブロックである。電子回路1が携帯端末に含まれる電子回路の場合には、画像入力部7は、搭載されたカメラを通じて撮影された画像データを、YCbCr(輝度、色差)やRGB(Red Green Blue)などのフォーマットで電子回路1内部に取り込む。
【0068】
取り込まれた画像データは、上記メモリに格納され、画像コーデック部5での符号化に用いられる。あるいは、画像入力部7で取り込まれた画像データは、直接画像出力部8に伝送されて、画像出力部8を介して上記の表示装置で表示される。
【0069】
なお、画像入力部7は、画像取り込み時以外は非動作状態となる機能ブロックである。
【0070】
画像出力部8は、画像コーデック部5で復号された画像データを、上記表示装置に出力する。あるいは、画像入力部7で受信された画像データを、上記表示装置に出力する。また、画像出力部8は必要に応じて、画像データを上記表示装置の仕様に応じたフォーマットに変換する。
【0071】
画像出力部8は、上記の表示装置への画像データ出力に関する処理時以外は、非動作状態となる機能ブロックである。
【0072】
なお、画像入力部7、及び画像出力部8は、画像のみでなく音声やデータなどの入力や出力を処理してもよい。
【0073】
メモリコントローラ9は、データをメモリ(図示せず)に格納し、あるいは上記メモリから取り出す制御を行う。例えば、画像入力部7で取得された画像データを上記メモリに格納する制御を行い、上記メモリに格納されている復号画像データを画像出力部8に転送する制御を行う。また、メモリコントローラ9は、使用されるメモリの種類に応じた制御を行う。上記メモリがシンクロナスDRAMの場合には、メモリコントローラ9は、必要なシーケンス信号や制御信号を生成して出力し、上記メモリがSRAMの場合には、メモリコントローラ9は、クロック同期信号を生成して出力する。
【0074】
メモリコントローラ9は、メモリアクセス時以外は、非動作となる機能ブロックである。
【0075】
以上のように、複数の機能ブロックは、それぞれ動作状態と非動作状態のいずれにもなりうる。
【0076】
次に、電力供給制御回路3について説明する。
【0077】
電力供給制御回路3は、要求受取部11と切り替え部12と制御部13を備えている。
【0078】
まず、要求受取部11は、複数の機能ブロックからの電力遮断要求信号10を受け取る。
【0079】
電力遮断要求信号10は、画像コーデック部5やDMAコントローラ6などの機能ブロックが自ら出力する信号である。電力供給制御回路3は、この各機能ブロックが出力する電力遮断要求信号10に基づいて、機能ブロックへの電力供給と電力遮断とを制御する。
【0080】
ここで、電力遮断要求信号10には種々の信号が用いられる。特に、各機能ブロックの出力する処理終了信号が好適に用いられる。各機能ブロックが電力遮断の要求を出す前提として、各機能ブロックでの処理が終了していることが必要であるからである。また、複数の機能ブロックの同期処理のために、各機能ブロックは処理の開始や処理の終了に関する通知信号をプロセッサ部4に対して出力する。このプロセッサ部4への通知信号が、電力遮断要求信号10として用いられることも好適である。
【0081】
処理終了以降は、電力供給が停止されてよいからである。また、処理終了信号はプロセッサ部4への通知信号として出力されるので、新たに信号出力を設ける必要もない。以上より、各機能ブロックの出力する処理終了信号が、電力遮断要求信号10として好適に用いられる。
【0082】
なお、プロセッサ部4は、他の機能ブロックが非動作状態から動作状態へ復帰する場合に、電力遮断要求信号10を非出力としてもよい。
【0083】
第2図に示されるように、各機能ブロックが出力する一定時間毎の通知信号10bが用いられてもよい。第2図は、本発明の実施の形態1における電子回路のブロック図であり、タイマ15は、各機能ブロックに設けられ、所定の時間を計測して通知信号10bを出力する。例えば、電子回路1が、画像入力と画像出力を一定時間毎に交互に実行する仕様を有している場合、画像入力部7と画像出力部8、及び画像コーデック部5は一定時間毎に動作状態と非動作状態を繰り返す。このため、これらの機能ブロックに設けられたタイマ15が、動作状態から非動作状態へ遷移する時間毎に通知信号10bを出力する。この通知信号10bにより、機能ブロックが動作状態から非動作状態へ遷移したことが判別される。このため、この一定時間毎の通知信号10bが、各機能ブロックに対する電力供給と電力遮断を制御する基礎となる電力遮断要求信号10として用いられる。
【0084】
なお、機能ブロック毎のタイマ15は、機能ブロック毎の仕様に応じた時間間隔に基づいた通知信号10bを生成すればよい。また、電力遮断要求信号10の出力を必要としない機能ブロックには、タイマ15が設けられなくてよい。
【0085】
次に、切り替え部12は、電源2から機能ブロックへの電力供給と、電力遮断とを切り替える。例えば、スイッチにより実現される。スイッチが接続状態の場合には、電源2と電力線路14が接続されて、各機能ブロックへ電力が供給される。逆に、スイッチが離隔状態の場合には、電源2と電力線路14が切り離されて各機能ブロックへの電力が遮断される。
【0086】
なお、切り替え部12では、機能ブロックの数に応じたスイッチが設けられ、機能ブロック毎に電力供給と電力遮断の切り替えが行われる。また、電力線路14も、各機能ブロック毎に個別に形成されて、機能ブロック毎の電力供給と電力遮断とが切り替えられる。
【0087】
次に、制御部13は、切り替え部12での切り替えを制御する。要求受取部11で受け取られた電力遮断要求信号10を基礎として、電力供給と電力遮断の切り替えタイミングを制御して、切り替え部12に対して切り替え命令を出力する。電力遮断要求信号10がアクティブの場合に、電力遮断を開始する制御信号を切り替え部12に出力し、電力遮断要求信号10がノンアクティブの場合に、電力制御を終了する制御信号を切り替え部12に出力する。
【0088】
ここで、制御部13は、電力遮断の開始と終了に係る制御信号を適当なタイミングを考慮して生成、出力することも好適である。例えば、電力遮断要求信号10を受け取ってから、一定のマージン時間経過後に電力遮断の制御信号を出力する。時間的マージンを考慮することで、電力供給から電力遮断への移行時での誤動作を防止できるからである。電力遮断から電力供給への移行時も同様である。
【0089】
次に、電力供給制御回路3の動作について説明する。なお、ここでは電源2の立ち上がり後に、画像データを取り込んで符号化し、その後復号して出力する動作を例として説明する。
【0090】
まず、電源2が起動されると、電子回路1に電力が供給される。初期状態では、切り替え部12は、全ての機能ブロックに対して電力を供給しており、全ての機能ブロックに電力が供給される。電子回路1の全てに電力の供給が行われると、各機能ブロックは動作状態となる。
【0091】
動作状態となると、プロセッサ部4は、画像入力部7に対して外部カメラからの画像データを取り込む命令を出力する。次いで、画像入力部7は、画像データを取り込みながら一定間隔毎にDMAコントローラ6に対してデータ転送要求信号を出力する。このデータ転送要求信号を受けたDMAコントローラ6は、取り込んだ画像データをメモリ(図示せず)に転送する。入力された画像データは、この処理によって画像データが一定量毎に上記メモリに格納されていく。画像入力部7は、1画面分の画像取り込みが終了すると、処理終了信号をプロセッサ部4に出力すると共に、要求受取部11に対してこの処理終了信号を電力遮断要求信号10として出力する。
【0092】
制御部13は、この画像入力部7からの電力遮断要求信号10に基づいて、画像入力部7に対する電力供給を遮断する制御信号を切り替え部12に出力する。切り替え部12は、制御部13から受け取った制御信号に従って、画像入力部7に対する電力供給を遮断する。 この一連の処理により、画像入力部7への電力が遮断される。この電力遮断の状態においては、画像入力部7でのリーク電流の発生がなくなり、動作の停止期間における消費電力が削減できる。
【0093】
一方、画像入力部7からの処理終了信号を受けたプロセッサ部4は、画像コーデック部5に対して画像符号化の命令制御を行う。この命令を受けた画像コーデック部5は、DMAコントローラ6に対して、転送要求信号を出力して、一定量の画像データを取り込む。この転送要求する画像データの一定量は、例えばマクロブロックと呼ばれる16画素X16画素のデータ量である。画像コーデック部5は、取り込んだ画像データをMPEGやJPEGなどの規格に従って符号化し、ビットストリームデータを出力する。
【0094】
次いで、画像コーデック部5は、DMAコントローラ6に対して転送要求信号を出力して、符号化した画像データをメモリ(図示せず)に転送する。画像コーデック部5は、画像入力部7が取り込んだ1画面分の画像データの符号化とメモリ(図示せず)への転送が終了すると、次に、メモリ(図示せず)に格納されている符号化された画像データの復号を開始する。画像コーデック部5は、符号化された画像データの復号を終了すると、処理終了信号をプロセッサ部4に出力する。同時に、画像コーデック部5は、この処理終了信号を電力遮断要求信号10として、要求受取部11に出力する。
【0095】
制御部13は、この受け取った電力遮断要求信号10に基づいて、画像コーデック部5に対する電力供給を遮断する制御信号を切り替え部12に出力する。切り替え部12は、この制御信号に基づいて、画像コーデック部5への電力供給を遮断する。これにより、非動作状態にある画像コーデック部5での余分な消費電力が削減できる。
【0096】
次に、プロセッサ部4は、画像出力部8に対して外部の表示装置への画像出力の命令を出力する。この命令を受けた画像出力部8は、DMAコントローラ6に対して、メモリ(図示せず)に格納されている復号された画像データの転送要求信号を出力する。DMAコントローラ6は、メモリ(図示せず)から復号されている画像データを画像出力部8に転送し、画像出力部8は、外部の表示装置に適したフォーマット(例えばRGB)に変更した画像データを出力する。
【0097】
復号された画像データの出力が終了すると、画像出力部8は、処理終了信号をプロセッサ部4に出力すると共に、この処理終了信号を電力遮断要求信号10として要求受取部11に出力する。電力供給制御回路3は、画像コーデック部5の場合と同様に、画像出力部8への電力供給を遮断する。この結果、画像出力部8が非動作状態では、電力供給が遮断されてリーク電流の発生も無く、消費電力の削減が可能となる。
【0098】
この後、再び画像入力部7への電力供給が再開されて、新たな画像取り込みが開始され、符号化や復号などの処理が再開される。
【0099】
このように、1画面毎に画像入力と画像出力が繰り返される一連の処理の中で、非動作状態にある機能ブロックに対する電力供給が遮断されることで、消費電力の削減が可能となる。
【0100】
なお、メモリコントローラ9は、メモリ(図示せず)へのアクセスの終了により処理終了信号を電力遮断要求信号10として出力し、非動作状態での電力供給が遮断される。
【0101】
また、電力供給が遮断された後、電力供給の復帰にはプロセッサ部4の出力する動作命令の信号が用いられればよい。あるいは、第3図に示されるように、電力遮断要求信号10にあらかじめ、復帰までの時間情報を含んでおくことで、電力供給の復帰制御を行うことも好適である。
【0102】
第3図は、本発明の実施の形態1における電力遮断要求信号のストリーム図である。複数ビットの信号により、遮断要求と遮断時間の両方の情報が含まれている。制御部13は、この遮断時間の情報に従って、電力供給を遮断する時間を設定して電力遮断の制御信号を切り替え部12に出力する。次いで、制御部13は、遮断時間の経過後に電力供給を再開する制御信号を切り替え部12に出力する。これにより、簡易な構成で電力供給の再開が制御できる。
【0103】
以上のように、各機能ブロックが自ら出力する電力遮断要求信号10に基づいて、機能ブロック毎に対する電力供給と電力遮断を制御できる。また、機能ブロックが出力する処理終了信号が電力遮断要求信号10に用いられることで、外部からの遮断設定が不要となり、処理負荷が軽減される。このように、非動作状態にある機能ブロックに対する電力供給が適切かつ細かに制御されて、消費電力が効果的に削減できる。特に、リーク電流が問題となりやすい半導体集積回路に実装された電子回路において効果的である。
【0104】
なお、外部設定可能な電力供給制御レジスタにより、電力遮断の外部制御も好適である。電力供給制御レジスタに、機能ブロック毎の電力遮断禁止設定を行うことで、機能ブロックから出力される電力遮断要求信号10にかかわらず電力遮断が禁止される。例えば、画像入力部7での画像取り込みと、画像コーデック部5での符号化を連続的かつ高速に行う処理動作の場合は、電力遮断後の復帰に要する時間により高速化が阻害されることがある。
【0105】
この場合には、あらかじめ電力供給制御レジスタに書き込まれた、画像入力部7と画像コーデック部5の遮断禁止設定により、電力遮断の無い高速動作が実現される。ここで、画像コーデック部5での符号化が連続的且つ高速の場合とは、画像入力部7への画像入力のフレームレートが増加した場合、あるいは画像出力部8の画像出力のフレームレートが増加した場合である。
【0106】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
【0107】
実施の形態2では、電力供給制御回路3が、受け取った電力遮断要求信号10を基礎とした高機能な電力遮断を行う処理について説明する。
【0108】
第4図は、本発明の実施の形態2における電子回路のブロック図であり、電力供給制御回路3を含む電子回路1が示されている。なお、電子回路1は、ICやLSIなどの単体の半導体集積回路に集積されたものでもよく、複数の半導体集積回路に集積されたものでもよく、ディスクリートの電子素子で構成されたものでもよい。また、電力供給制御回路3が、他の機能ブロックとは別個に形成されてもよく、同一に形成されてもよい。また、半導体集積回路で形成されてもよく、電子素子で構成されてもよい。なお、電源2は、交流電源やバッテリなどを備える。
【0109】
第4図に示される電力供給制御回路3は、実施の形態1で説明された電力供給制御回路3が、電力遮断許可部30を更に備えた構成を有している。電力遮断許可部30は、機能ブロックに対して電力遮断の可否を決定する。
【0110】
例えば、ある機能ブロックからの電力遮断要求信号10の出力があっても、他の機能ブロックとの処理依存関係から電力を遮断するべきでない場合がある。電力遮断許可部30は、このような状況を考慮して、電力遮断の可否を決定する。例えば、画像コーデック部5が電力遮断要求信号10を出力している場合でも、画像入力部7が動作中では符号化やデータ生成などの処理を停止することはできない。このため、画像コーデック部5からの電力遮断要求信号10にかかわらず、画像コーデック部5への電力供給は遮断されるべきではない。このように、電力遮断許可部30は、相互に処理依存関係にある機能ブロックの状態を考慮して電力遮断の可否を決定する。
【0111】
第5図は、本発明の実施の形態2における機能ブロックの処理依存関係図である。
【0112】
第5図において、値「1」の対応関係にある機能ブロックは、それぞれ相互に処理依存関係を有し、一方の機能ブロックの電力遮断要求信号10のみでは、電力遮断許可部30は電力遮断を許可できない。例えば、画像入力部7は、画像コーデック部5と画像出力部8と処理依存関係があるように設定されている。処理依存関係にあるこれらの機能ブロックからの電力遮断要求信号10も考慮して、電力遮断許可部30は電力遮断を決定する。これに対して、プロセッサ部4、DMAコントローラ6、メモリコントローラ9とは処理依存関係が設定されていない。このため、互いの機能ブロックの状態にかかわらず電力遮断の決定がなされる。
【0113】
この、相互の処理依存関係に基づき、画像入力部7が電力遮断要求信号10を出力しても、画像コーデック部5が電力遮断要求信号10を出力していなければ、画像入力部7への電力供給を遮断すべきで無い。画像コーデック部5が電力遮断要求信号10を出力していないのは、画像コーデック部5が動作継続状態にあり、画像コーデック部5において必要となる画像データの取り込みを停止することはできないからである。同様に、画像出力部8が電力遮断要求信号10を出力していない状態で、画像データの取り込みを停止すると表示する画像が消失することになるので、やはり画像入力部7の電力遮断要求信号10にかかわらず電力供給を遮断すべきではない。電力遮断許可部30は、このような複数の機能ブロック間の処理依存関係に基づいて、電力遮断の可否を決定する。
【0114】
これに対して、第5図において値「0」が書き込まれている枠にある機能ブロックの組み合わせは、相互に処理依存関係を有していない。このため、この組み合わせのいずれかの機能ブロックからの電力遮断要求信号10が出力された場合、他方の機能ブロックからの電力遮断要求信号10の有無にかかわらず、電力遮断許可部30は、遮断を許可できる。
【0115】
第9図を用いて、機能ブロックの処理依存関係に基づいて電力遮断許可部30が電力遮断を許可する処理について説明する。第9図は、本発明の実施の形態2における電力遮断決定の説明図である。電力遮断許可部30は、画像出力部8からの電力遮断要求信号10の組み合わせに応じて、電力遮断の開始と終了を決定する。
【0116】
第9図(a)には、画像入力部7のみが電力遮断を非要求で、画像コーデック部5と画像出力部8が電力遮断を要求している場合が示されている。ここで、第5図に示される通り、画像入力部7と画像コーデック部5と画像出力部8は、相互に処理依存関係にある。第9図(a)の状況では、相互に処理依存関係にある画像入力部7が非要求であるので、電力遮断許可部30は、遮断を不許可とする決定をする。一方、第9図(b)の状況では、画像入力部7と画像コーデック部5と画像出力部8の全てが電力遮断を要求しているので、電力遮断許可部30は、電力遮断を許可する決定を行う。決定結果は、切り替え部12に出力されて、切り替え部12の切り替え制御に用いられる。
【0117】
なお、第5図に示されている処理依存関係は、説明の一例に過ぎない。また、この処理依存関係は、電力遮断許可部30が参照するレジスタやメモリなどに格納されればよく、仕様変更に応じて事後的に書き換え可能であることも好適である。
【0118】
電力遮断許可部30が、処理依存関係についての情報を備えていることも好適である。このとき、処理依存関係情報は、外的要因により変更されて、電力遮断許可部30により用いられてもよい。なお、処理依存関係情報は、第5図に示されるようなマトリックスで構成されても良く、処理手順表で構成されても良い。
【0119】
ここで、第6図〜第8図を用いて、外的要因に基づいて処理依存関係情報が変更されるプロセスについて説明する。
【0120】
第6図は、本発明の実施の形態2における処理依存関係情報の変更を説明するフローチャートである。第7図、第8図は、本発明の実施の形態2における処理依存関係情報を示す説明図である。なお、第7図に示される処理依存関係情報を、第1マトリクス、第8図に示される処理依存関係情報を第2マトリクスとする。また、電子回路1は、デジタルカメラやビデオカメラなどの電子機器に搭載されており、これらの電子機器は、カメラや録画機能を有している。処理依存関係情報は、電子機器に搭載されているカメラや録画機能などの外的要因により、その内容が変更される。
【0121】
先ず、ステップS1にて、電子回路1を含む電子機器に備えられているカメラが動作を開始する。ここで、カメラの動作スイッチが入ることで、カメラ動作になったことが、電力供給制御回路3に通知される。あるいは、カメラ動作スイッチに基づくソフトウェア処理により、カメラ動作になったことが、電力供給制御回路3に通知される。
【0122】
カメラ動作が開始されると、ステップS2にて、第7図に示される第1マトリクスが、処理依存関係情報として生成される。カメラ動作の状態においては、カメラで取り込まれた画像が入力し、入力した画像が、表示部で表示される。すなわち、画像入力部7と画像出力部8が連続して動作している状態である。このため、第7図から明らかな通り、第1マトリクスにおいては、画像入力部7と画像出力部8が処理依存関係にある。
【0123】
第1マトリクスが生成されると、ステップS3にて、電力遮断許可部30は、第1マトリクスを処理依存関係情報として用いて、電力遮断を決定する。
【0124】
マトリクス1が処理依存関係情報として用いられている期間(ここでは、カメラと表示部のみが動作している期間)では、画像入力部7と画像出力部8の双方が電力遮断要求信号10を出力した場合のみ、電力遮断許可部30は、電力遮断を許可する。
【0125】
次に、ステップS4にて、録画が開始される。例えば、ユーザーが録画ボタンを押すなどして、録画開始状態になったことが、電力供給制御回路3に通知される。
【0126】
録画開始状態になると、ステップS5にて、第2マトリクスが、処理依存関係情報として生成される。録画状態では、カメラで取り込まれた画像が入力し、入力した画像がコーデックされて、最後に表示部で画像表示される。すなわち、録画状態では、画像入力部7、画像コーデック部5、画像出力部8が動作している。このため、第2マトリクスでは、画像入力部7は、画像コーデック部5と画像出力部8と処理依存関係にある。
【0127】
第2マトリクスが生成されると、ステップS6にて、電力遮断許可部30は、第2マトリクスを処理依存関係情報として用いて、電力遮断を決定する。
【0128】
具体的には、画像入力部7、画像コーデック部5、画像出力部8の全てが電力遮断要求信号10を出力した場合のみ、電力遮断許可部30は、電力遮断を許可する。
【0129】
すなわち、録画状態に変化すると、画像コーデック部5も画像入力部7と処理依存関係を有するので、電力遮断許可部30が使用する処理依存関係情報の内容が変更される(第1マトリクスから第2マトリクスへ変更される)。
【0130】
以上のように、電力遮断許可部30が、電力遮断を行う際に参照する処理依存関係情報は、外的要因により変更されることも好適である。外的要因により処理依存関係情報が変更されれることで、電子機器の動作に対応した電力遮断が行われる。
【0131】
以上のように、制御部13に電力遮断許可部30が設けられ、相互に処理依存関係にある複数の機能ブロックからの電力遮断要求信号10全体の把握により電力遮断が許可されることで、処理速度を阻害することなく消費電力の削減が可能となる。
【0132】
次に、電力遮断要求信号10を受け取ってから一定時間経過後に電力遮断を開始する処理について第10図を用いて説明する。
【0133】
第10図は、本発明の実施の形態2における電力供給制御回路の内部ブロック図である。第10図では、電力遮断許可部30が、遮断時間計測部32を備えている構成が示されている。遮断時間計測部32は、機能ブロックからの電力遮断要求信号10の受取時に時間計測を開始し、任意に定められた所定の時間を計測する。遮断時間計測部32は、所定の一定時間を計測し終えると、信号生成部33に通知信号を出力する。この通知信号を受けた信号生成部33は、切り替え部12に対して遮断許可信号31を出力する。切り替え部12は、遮断許可信号31を受けて、電力供給を遮断する。
【0134】
電力遮断許可部30が、この遮断時間計測部32を備えることで、電力遮断要求信号10の受取後に、一定の時間マージンを確保した後に電力遮断を許可できる。この時間マージンにより、機能ブロックからの電力遮断要求信号10の出力から、実際の電力遮断までに一定時間を確保できるため、機能ブロックでの誤動作を防止できる。また、一定時間が確保されることで、電力供給を遮断する通知信号を外部に出力したり、プロセッサに出力したりする時間が確保される。また、電力遮断要求信号10を出力した機能ブロックに対して、直後に動作要求の内部割込みや外部割込みなどが入った場合には、電力遮断までに確保された一定時間の間に電力遮断要求信号10を取り下げることもできる。この要求取り下げにより電力遮断を回避して、外部からの動作要求割り込みに即座に対応することもできる。
【0135】
このように、遮断時間計測部32による電力遮断までの一定時間の確保により、動作状態と非動作状態の細かな切り替わりにも対応できるユーザビリティの高い電力供給制御回路3が実現できる。
【0136】
次に、電力供給遮断の一定時間後に電力供給を復帰させる電力供給制御回路3について第11図を用いて説明する。
【0137】
第11図は、本発明の実施の形態2における電力供給制御回路の内部ブロック図である。第11図では、電力遮断許可部30が、復帰時間計測部34を備えている構成が示されている。復帰時間計測部34は、信号生成部33が電力遮断要求信号10に基づいて生成した遮断許可信号を受けて計測を開始して、任意に定められた一定時間経過後に供給許可信号35を切り替え部12に出力する。供給許可信号35を受けた切り替え部12は、電力遮断状態から電力供給状態に切り替えて、機能ブロックに対して再び電力供給を再開する。
【0138】
この復帰時間計測部34での一定時間計測後に電力供給を復帰させる処理により、電力供給の復帰のタイミングが簡単に生成される。特に、復帰時間計測部34で計測される一定時間の時間情報を、書き込み可能なレジスタやメモリに記憶させることで、事後的な仕様変更に応じて復帰までの時間を変えることができる。また、第3図に示される電力遮断要求信号10のように、遮断時間情報が含まれている場合には、この遮断時間情報から計測する一定時間が決定される。これにより、機能ブロックの要求に適切に対応した復帰時間の計測が可能となる。また、プロセッサ部4が復帰時間の設定を管理してもよい。
【0139】
以上のように、復帰時間計測部34が設けられて、電力遮断後の一定時間経過後に電力供給が自動で再開されることで、電力制御と電力供給の両方が適切に制御されて、消費電力が削減できる。
【0140】
なお、復帰時間計測部34が計測する一定時間は、電力供給再開時の立ち上がりに要する時間を見込んだ時間であることが好ましい。
【0141】
また、第10図に示される実際の電力遮断までのマージン時間を計測する遮断時間計測部32と第11図に示される復帰時間計測部34との両方が設けられてもよい。両方が設けられることにより、誤動作を防止した上で自動的に電力供給を復帰させることができる、ユーザビリティの高い電力供給制御回路3を実現できる。
【0142】
以上のように、本発明の実施の形態2における電力供給制御回路3によれば、機能ブロックが出力する電力遮断要求信号10を基礎として、ユーザビリティの高い電力遮断と電力供給の切り替えが実現できる。
【0143】
(実施の形態3)
第12図と第13図を用いて、本発明の実施の形態3について説明する。
【0144】
実施の形態3では、電力遮断時に機能ブロック間に設けられた信号線の出力値を固定する構成について説明する。
【0145】
第12図は、本発明の実施の形態3における電子回路のブロック図であり、第13図は、本発明の実施の形態3における出力値固定部の内部ブロック図である。
【0146】
複数の機能ブロックが構成されている場合、機能ブロック間で信号のやり取りが行われることがある。第12図では、画像出力部8とメモリコントローラ9との間に信号線41が形成されている。例えば、画像出力部8からメモリコントローラ9に対して、要求信号やアドレス信号が出力される。信号線41は、これらの要求信号やアドレス信号にかかわる信号線路である。
【0147】
ここで、画像出力部8の電力遮断要求信号10に従い、画像出力部8への電力供給が遮断される場合がある。このとき、メモリコントローラ9への信号線41を介した出力信号の適切な処理が必要である。画像出力部8への電力供給が遮断された場合に、遮断時における電圧の振れにより、信号線41の値が変動を起こすことがありうる。この変動に基づく信号線41の出力値がメモリコントローラ9に入力することで、メモリコントローラ9が誤動作を引き起こす可能性がある。
【0148】
画像出力部8が非動作状態では、メモリコントローラ9への要求信号がノンアクティブである必要があるのに、電力遮断時の電圧変動によりアクティブの状態で固定されてしまう恐れもある。この場合には、メモリコントローラ9は、電力が遮断されて動作していない画像出力部8からの要求をずっと受け付けた状態となり、他の機能ブロックのメモリアクセスを受け付けることができない。
【0149】
出力値固定部40は、機能ブロック間に形成されている信号線41の出力値を、電力遮断時に問題を生じさせない値に固定する。例えば、上記の要求信号はノンアクティブの値に固定され、アドレス信号は初期値に固定される。出力値固定部40は、制御部13の出力する遮断制御信号42を受けて出力値を固定する。出力値が固定されることで、機能ブロックの電力遮断後に生じうる誤動作を防止できる。
【0150】
出力値固定部40は、第13図に示される回路で構成されればよい。なお、第13図に示される回路は一例であって、これに限られるものではない。論理積43以外でも、セレクタやマルチプレクサ、スイッチ回路などが用いられる。
【0151】
出力値固定部40は、遮断制御信号42と出力信号44を入力とし、信号線41を出力とする論理積43を備える。ここで遮断制御信号42は、電力供給時には値「1」であり、電力遮断時には値「0」である。電力供給時には、論理積43に入力する遮断制御信号42は値「1」であるので、メモリコントローラ9へ出力される信号線41の値は、画像出力部8の出力信号44の値がそのまま出力される。これに対して、電力遮断時には論理積43に入力する遮断制御信号42は値「0」であるので、画像出力部8の出力信号44にかかわらず、メモリコントローラ9に出力される信号線41は、値「0」で固定される。このため、メモリコントローラ9に対して不適切な信号が出力されず、誤動作が防止できる。
【0152】
なお、第13図に示される構成の出力値固定部40は、電力遮断期間の出力値が値「0」に固定されるので、要求信号は、値「0」がノンアクティブとなるように構成されることが好ましい。
【0153】
また、出力値固定部40は、機能ブロック間でやり取りされる信号線41の全てに対して出力値を固定するのではなく、誤動作を引き起こす可能性のある信号線41のみの出力値を固定することも好適である。回路規模を削減できるメリットがあるからである。
【0154】
さらに、機能ブロックの個数の増加や、機能ブロック間の信号線41の増加に伴って、出力値固定部40の回路規模が増加する。出力値固定部40への電力供給への遮断はできないため、出力値固定部40の回路規模増加に伴う消費電力増加が問題となりうる。このため、出力値固定部40に含まれる論理積43のような電子素子の動作電圧、および閾値電圧の少なくとも一方を機能ブロックに含まれる電子素子の動作電圧や閾値電圧よりも低くすることも好適である。
【0155】
これにより、機能ブロックの増加や、信号線41の本数の増加による出力値固定部40での消費電力を抑制できる。また、出力値固定部40は、実施の形態1や実施の形態2で説明された電力供給制御回路3と合わせて用いられることも好適である。より高度な電力遮断制御ができるからである。
【0156】
以上のように、出力値固定部40が設けられることにより、電力遮断時の機能ブロックの誤動作が防止できる。
【0157】
なお、実施の形態1から実施の形態3で説明された電力供給制御回路3は、ディスクリートの電子素子で構成されても、半導体集積回路で構成されてもよい。また、機能ブロックと別個に構成されても、同一の電子回路で構成されてもよい。また、電力供給制御回路3と機能ブロックを含む電子回路1が、一つの半導体集積回路に集積されてもよく、別個の半導体集積回路に集積されてもよい。
【0158】
(実施の形態4)
第14図は、本発明の実施の形態4における携帯端末の斜視図であり、第15図は、本発明の実施の形態4におけるノートブックパソコンの斜視図である。
【0159】
携帯端末50は、携帯電話やPDA、メール端末などの携帯型の電子端末であり、実施の形態1から実施の形態3で説明された電力供給制御回路3が実装されている。携帯端末50は、通話機能、メール受信機能、メール送信機能、文字編集機能、画像撮影機能、画像再生機能などの機能を有している。これらの複数の機能は、それぞれが特定の処理機能を有する機能ブロックとして実装されており、機能ブロックはそれぞれ電子回路や半導体集積回路により実現されている。
【0160】
また、第14図、第15図には示されていないが、携帯端末5やノートブックパソコン51は、内部の回路やプログラムを制御する中央処理装置を備えている。例えば、中央演算プロセッサユニットを備えている。
【0161】
これらの複数の機能は常に全てが動作状態ではなく、例えば通話機能が動作中にはメール送信機能は非動作状態である。このように、非動作中の機能ブロックに対しては電力を遮断することが、消費電力削減の点から好ましい。電力供給制御回路3は、実施の形態1から実施の形態3で説明されたように、機能ブロックからの電力遮断要求信号を基礎として、非動作状態である機能ブロックに対する電力供給を遮断する。この処理により、通話機能が動作状態にある場合には、他の機能を実現する機能ブロックへの電力供給を遮断でき、消費電力の効果的な削減が可能となる。もちろん、文字編集機能とメール送信機能などのように、相互に処理依存関係にある機能ブロックに対しては、それぞれの電力遮断要求信号の監視により、電力遮断が決定される。
【0162】
第15図に示されるノートブックパソコン51も、複数の機能を実現する機能ブロックを備えている。このため、動作状態にある機能ブロックと非動作状態にある機能ブロックが存在する。この場合も、機能ブロックからの電力遮断要求信号10に基づいて、電力供給制御回路3が非動作状態にある機能ブロックへの電力供給を遮断する。この電力遮断により、ノートブックパソコン51の消費電力が削減できる。
【0163】
携帯端末50やノートブックパソコン51は、バッテリをはじめとした携帯型電源で動作するため、消費電力が削減されることで動作時間が長くなる。
【0164】
このように、電子機器に電力供給制限回路3を実装することで、消費電力が削減でき、動作時間が延長できる。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明は、例えば複数の機能ブロックを含む半導体集積回路に集積される電力供給制御回路であって、電力供給を適切かつ簡易に制御して、消費電力を削減する電力供給制御回路の分野等において好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】本発明の実施の形態1における電子回路のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における電子回路のブロック図
【図3】本発明の実施の形態1における電力遮断要求信号のストリーム図
【図4】本発明の実施の形態2における電子回路のブロック図
【図5】本発明の実施の形態2における機能ブロックの処理依存関係図
【図6】本発明の実施の形態2における処理依存関係情報の変更を説明するフローチャート
【図7】本発明の実施の形態2における処理依存関係情報を示す説明図
【図8】本発明の実施の形態2における処理依存関係情報を示す説明図
【図9】(a)本発明の実施の形態2における電力遮断決定の説明図、(b)本発明の実施の形態2における電力遮断決定の説明図
【図10】本発明の実施の形態2における電力供給制御回路の内部ブロック図
【図11】本発明の実施の形態2における電力供給制御回路の内部ブロック図
【図12】本発明の実施の形態3における電子回路のブロック図
【図13】本発明の実施の形態3における出力値固定部の内部ブロック図
【図14】本発明の実施の形態4における携帯端末の斜視図
【図15】本発明の実施の形態4におけるノートブックパソコンの斜視図
【図16】従来の電子回路のブロック図
【図17】従来のシステムLSIのブロック図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源からの電力の供給と遮断を制御する電力供給制御回路であって、
各々が所定の処理機能を有する複数の機能ブロックからの電力遮断要求信号を受け取る要求受取部と、
前記複数の機能ブロックに対する前記電源からの電力の供給と遮断を切り替える切り替え部と、
前記要求受取部が受け取った電力遮断要求信号に基づいて前記切り替え部を制御する制御部を備える電力供給制御回路。
【請求項2】
前記電力遮断要求信号は、前記複数の機能ブロックの少なくとも一つが出力する処理終了信号である請求の範囲第1項記載の電力供給制御回路。
【請求項3】
前記電力遮断要求信号は、前記複数の機能ブロックの少なくとも一つが出力する一定時間毎の通知信号である請求の範囲第1項記載の電力供給制御回路。
【請求項4】
前記電力遮断要求信号は、電力遮断から電力供給までの時間情報を含んでいる請求の範囲第1項記載の電力供給制御回路。
【請求項5】
前記制御部は、前記要求受取部で受け取られた電力遮断要求信号に基づいて電力遮断の開始と終了を許可する電力遮断許可部を備える請求の範囲第1項記載の電力供給制御回路。
【請求項6】
前記電力遮断許可部は、前記複数の機能ブロックの内、前記電力遮断要求信号を出力している機能ブロックと処理依存関係にある他の機能ブロックからの電力遮断要求信号に基づいて電力遮断の開始を許可する請求の範囲第5項記載の電力供給制御回路。
【請求項7】
前記電力遮断許可部は、前記要求受取部が前記複数の機能ブロックのいずれかからの電力遮断要求信号を受け取った場合に、前記複数の機能ブロックの内、前記電力遮断要求信号を出力している機能ブロックと処理依存関係にある他の機能ブロックからの電力遮断要求信号の有無に基づいて電力遮断の開始と終了を許可する請求の範囲第5項記載の電力供給制御回路。
【請求項8】
前記電力遮断許可部は、前記複数の機能ブロックの内、前記処理依存関係にある全ての機能ブロックからの電力遮断要求信号を受け取った場合に、電力遮断の開始を許可する請求の範囲第5項記載の電力供給制御回路。
【請求項9】
前記電力遮断許可部は、前記処理依存関係の情報を格納する情報格納部を備える請求の範囲第5項記載の電力供給制御回路。
【請求項10】
前記情報格納部は、外部要因により書き換え可能である請求の範囲第9項記載の電力供給制御回路。
【請求項11】
前記電力遮断許可部は、前記電力遮断要求信号の受取時から一定時間を計測する遮断時間計測部を備え、前記一定時間経過後に電力遮断の開始を許可する請求の範囲第5項記載の電力供給制御回路。
【請求項12】
前記電力遮断許可部は、電力遮断の開始時から一定時間を計測する復帰時間計測部を備え、前記一定時間経過後に電力遮断の終了を許可する請求の範囲第5項記載の電力供給制御回路。
【請求項13】
所定の処理機能を有する複数の機能ブロックと、
前記複数の機能ブロックからの電力遮断要求信号を受け取る要求受取部と、
前記複数の機能ブロックに対する前記電源からの電力の供給と遮断を切り替える切り替え部と、
前記要求受取部が受け取った電力遮断要求信号に基づいて前記切り替え部を制御する制御部を備える電子回路。
【請求項14】
前記制御部は、前記要求受取部で受け取られた電力遮断要求信号に基づいて電力遮断の開始と終了を許可する電力遮断許可部を備える請求の範囲第13項記載の電子回路。
【請求項15】
前記電子回路は前記複数の機能ブロックの出力信号の論理値を固定する出力値固定部を備え、前記出力値固定部は、前記複数の機能ブロックの内、電力遮断される機能ブロックの出力信号の論理値を固定する請求の範囲第13項記載の電子回路。
【請求項16】
前記出力値固定部に含まれる電子素子の動作電圧が、前記機能ブロックに含まれる電子素子の動作電圧よりも低い請求の範囲第15項記載の電子回路。
【請求項17】
前記出力値固定部に含まれる電子素子の閾値電圧が、前記機能ブロックに含まれる電子素子の閾値電圧よりも低い請求の範囲第15項記載の電子回路。
【請求項18】
所定の処理機能を有する複数の機能ブロックと、
前記複数の機能ブロックからの電力遮断要求信号を受け取る要求受取部と、
前記複数の機能ブロックに対する前記電源からの電力の供給と遮断を切り替える切り替え部と、
前記要求受取部が受け取った電力遮断要求信号に基づいて前記切り替え部を制御する制御部と、
前記複数の機能ブロックの前記処理機能を制御する中央処理部と、
筐体を備える電子機器。
【請求項19】
前記電子機器は、携帯端末である請求の範囲第18項記載の電子機器。
【請求項20】
前記電子機器は、ノートブックパソコンである請求の範囲第18項記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2008−530631(P2008−530631A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533815(P2007−533815)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【国際出願番号】PCT/JP2006/302903
【国際公開番号】WO2006/088167
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】