説明

電力供給装置

【課題】人力を用いて発電された電力により孔版印刷装置1に印刷処理を実行させる。
【解決手段】孔版印刷装置1と接続され、孔版印刷装置1へ電力を供給する電力供給装置10であって、人力を利用して発電する人力発電装置200と、人力発電装置200により発電された電力を孔版印刷装置1へ供給する電力供給制御装置100とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力を用いて発電された電力を、印刷装置へ供給する電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、製版された孔版原紙をドラムに着版した後、印刷用紙をこのドラムに給紙し、この供給された印刷用紙をプレスローラによりドラムに圧接することにより印刷を行う孔版印刷装置が良く知られている。
【0003】
この孔版印刷装置は、インクジェット式印刷装置やレーザー式印刷装置等に比較すると、1枚当たりの印刷コストが低いことや、消費電力が小さいこと等の理由から官公庁や学校に導入される場合が多い。
【0004】
一方、地震等の災害時には学校が避難所として利用されることが多い。そのため、学校が情報発信基地として利用され、例えば、学校に設置された孔版印刷装置により避難情報を印刷して配布するような場合も考えられる。しかしながら、災害により学校等の避難所が停電になった場合、孔版印刷装置を含め全ての印刷装置は使用できなくなる。
【0005】
そこで、特許文献1には、ソーラーパネルで発電された電力により画像形成動作を実行する画像形成装置が提案されている。
【0006】
また、特許文献2には、人力で発電する人力発電装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−240481号公報
【特許文献2】特開2003−9596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、ソーラーパネルで発電するので、夜間や災害時に天気の悪い日が続いた場合は、画像形成装置を可動させるのに十分な電力を発電することが困難であった。
【0009】
また、特許文献2に記載の人力発電装置では、人力で発電するのみであるので、印刷装置を稼働させることが困難であった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、人力を用いて発電された電力により印刷装置に印刷処理を実行させる電力供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る電力供給装置の第1の特徴は、印刷装置と接続され、前記印刷装置へ電力を供給する電力供給装置であって、人力を利用して発電する人力発電手段と、前記人力発電手段により発電された電力を前記印刷装置へ供給する電力制御手段と、を備えたことにある。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る電力供給装置の第2の特徴は、前記人力発電手段により発電された電力に応じた前記印刷装置の印刷速度を決定する印刷速度決定手段と、前記印刷速度決定手段により決定された印刷速度で印刷させるように、前記印刷速度を前記印刷装置に設定する印刷設定手段と、を更に備えたことにある。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る電力供給装置の第3の特徴は、蓄電する蓄電手段を更に備え、前記印刷速度決定手段は、前記人力発電手段により発電された電力及び前記蓄電手段に蓄電された電力のいずれか一方に基づいて、前記印刷装置の印刷速度を決定し、前記電力制御手段は、前記印刷速度決定手段により決定された印刷速度に対応する電力を、前記人力発電手段又は前記蓄電手段から前記印刷装置へ供給することにある。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る電力供給装置の第4の特徴は、前記人力発電手段により発電された電力と、前記蓄電手段に蓄電された電力と、前記印刷装置の印刷速度とを関連付けて電圧速度情報として記憶する記憶手段と、をさらに備え、前記印刷速度決定手段は、前記記憶手段に記憶された電圧速度情報に基づいて、前記人力発電手段により発電された電力及び前記蓄電手段に蓄電された電力それぞれに対応する前記印刷速度のうち速い方を前記印刷装置の印刷速度として決定することにある。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係る電力供給装置の第5の特徴は、前記電力制御手段は、前記人力発電手段により発電された電力を前記蓄電手段に蓄電させることにある。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明に係る電力供給装置の第6の特徴は、前記印刷設定手段は、前記人力発電手段により所定トルクより高いトルクを発生する時間内に、前記印刷装置の負荷が大きくなるように、前記負荷を同期させた前記印刷装置の動作スケジュールを設定することにある。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明に係る電力供給装置の第7の特徴は、前記印刷設定手段は、前記印刷装置の負荷が大きくなる時間内に、前記人力発電手段により発生するトルクが最も低い時点が重ならないように、前記負荷を分散させた前記印刷装置の動作スケジュールを設定することにある。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明に係る電力供給装置の第8の特徴は、前記印刷設定手段は、前記印刷速度が速くなるように変更する場合に、前記印刷装置の消費電力の急激な変化を低減するように、前記印刷速度の上昇を緩やかにした前記印刷装置の動作スケジュールを設定することにある。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明に係る電力供給装置の第9の特徴は、前記人力発電手段に関する情報を表示手段に表示させる表示制御手段、を、更に備えたことにある。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る電力供給装置の第1の特徴によれば、人力を利用して発電する人力発電手段と、人力発電手段により発電された電力を印刷装置へ供給する電力制御手段と、を備えているので、人力を用いて発電された電力により印刷装置に印刷処理を実行させることができる。
【0021】
本発明に係る電力供給装置の第2の特徴によれば、人力発電手段により発電された電力に応じた印刷装置の印刷速度を決定するので、人力発電手段により発電された電力に応じて、最適な印刷速度で印刷装置に印刷処理を実行させることができる。
【0022】
本発明に係る電力供給装置の第3の特徴によれば、蓄電する蓄電手段を更に備え、印刷速度決定手段は、人力発電手段により発電された電力及び蓄電手段に蓄電された電力のいずれか一方に基づいて、印刷装置の印刷速度を決定し、電力制御手段は、印刷速度決定手段により決定された印刷速度に対応する電力を、人力発電手段又は蓄電手段から印刷装置へ供給するので、より最適な印刷速度で印刷装置に印刷処理を実行させることができる。
【0023】
本発明に係る電力供給装置の第4の特徴によれば、記憶手段に記憶された電圧速度情報に基づいて、人力発電手段により発電された電力及び蓄電手段に蓄電された電力それぞれに対応する印刷速度のうち速い方を印刷装置の印刷速度として決定するので、より最適な印刷速度で印刷装置に印刷処理を実行させることができる。
【0024】
本発明に係る電力供給装置の第5の特徴によれば、人力発電手段により発電された電力を蓄電手段に蓄電させるので、発電した電力を無駄なく利用することができる。
【0025】
本発明に係る電力供給装置の第6の特徴によれば、人力発電手段により所定トルクより高いトルクを発生する時間内に、印刷装置の負荷が大きくなるように、負荷を同期させた印刷装置の動作スケジュールを設定するので、利用者は無理なく、人力発電手段に発電させ続けることができ、これにより、印刷装置に安定した電力を供給することができる。
【0026】
本発明に係る電力供給装置の第7の特徴によれば、印刷装置の負荷が大きくなる時間内に、人力発電手段により発生するトルクが最も低い時点が重ならないように、負荷を分散させた印刷装置の動作スケジュールを設定するので、利用者は無理なく、人力発電手段に発電させ続けることができ、これにより、印刷装置に安定した電力を供給することができる。
【0027】
本発明に係る電力供給装置の第8の特徴によれば、印刷速度が速くなるように変更する場合に、印刷装置の消費電力の急激な変化を低減するように前記印刷速度の上昇を緩やかにした印刷装置による動作スケジュールを設定するので、利用者は無理なく、人力発電手段に発電させ続けることができ、これにより、印刷装置に安定した電力を供給することができる。
【0028】
本発明に係る電力供給装置の第9の特徴によれば、人力発電手段に関する情報を表示手段に表示させるので、利用者は、人力発電手段に発電さるペースを上げる必要があるのか、現在のペースを維持すればよいのを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1である電力供給装置の全体構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施例1である電力供給装置の構成を示す構成図である。
【図3】本発明の実施例1である電力供給装置が備える記憶部に記憶された電圧速度情報の一例を示した図である。
【図4】本発明の実施例1である電力供給装置における処理手順を示したフローチャートである。
【図5】本発明の実施例1である電力供給装置に接続された孔版印刷装置1における処理手順を示したフローチャートである。
【図6】本発明の実施例2である電力供給装置の全体構成を示す構成図である。
【図7】本発明の実施例2である電力供給制御装置の構成を示す構成図である。
【図8】本発明の実施例2である電力供給装置が備える記憶部に記憶された電圧速度情報の一例を示した図である。
【図9】本発明の実施例2である電力供給装置における処理手順を示したフローチャートである。
【図10】本発明の実施例2である電力供給装置が備えるコントロールパネル203に表示された発電情報の一例を示した図である。
【図11】本発明の実施例3である電力供給装置の電力供給制御装置が備えるコントロール部の印刷設定部の構成を示した図である。
【図12】利用者が自転車のペダルの角度を説明した図である。
【図13】(a)は、孔版印刷装置1が製版動作を実行中であるときの動作負荷を示した図であり、(b)は、孔版印刷装置1が印刷動作を実行中であるときの動作負荷を示した図である。
【図14】(a)は、本発明の実施例3である電力供給装置において、通常印刷時における孔版印刷装置1の動作負荷を示した図であり、(b)は、排紙ファン及び分離ファンの駆動状態を示した図であり、(c)は、(b)に従って排紙ファン及び分離ファンの駆動した場合における孔版印刷装置1の動作負荷を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0031】
本発明の実施例1では、孔版印刷装置と接続され、人力発電された電力を孔版印刷装置へ供給する電力供給装置を例に挙げて説明する。
【0032】
<電力供給装置の構成>
図1は、本発明の実施例1である電力供給装置の全体構成を示す構成図である。
【0033】
図1に示すように、電力供給装置10は、孔版印刷装置1と接続されており、孔版印刷装置1との間で各種信号を送受信すると共に、孔版印刷装置1へ電力を供給する。
【0034】
電力供給装置10は、電力供給制御装置100と、人力発電装置200とを備えている。
【0035】
人力発電装置200は、自転車201と、発電機202とを備えている。自転車201は、市販の自転車でよく、利用者がこの自転車201のペダルを漕ぐ動作をすることにより発電機202が発電するようになっている。
【0036】
孔版印刷装置1は、製版部2と、印刷部3と、給紙部4と、排紙部5と、排版部6と、操作部7と、制御部8とを備えている。
【0037】
製版部2は、ロールされた長尺状の孔版原紙21を収容する原紙収容部22と、この原紙収容部22の搬送下流に配置されたサーマルヘッド23と、このサーマルヘッド23の対向位置に配置されたプラテンロール24と、このプラテンロール24及びサーマルヘッド23の搬送下流に配置された一対の原紙送りロール25と、プラテンロール24及び原紙送りロール25を回転駆動させるライトパルスモータ26と、一対の原紙送りロール25の搬送下流に配置された原紙カッタ27とを有する。
【0038】
そして、製版部2は、プラテンロール24と原紙送りロール25の回転により長尺状の孔版原紙21を搬送し、図示しない画像読み取り部により読み取られた画像データに基づき、サーマルヘッド23の各点状発熱体が選択的に発熱動作することにより孔版原紙21に感熱穿孔して製版し、この製版された孔版原紙21を原紙カッタ27で切断して所定長さの孔版原紙21を作製する。
【0039】
印刷部3は、メインモータ31の駆動力によって図1の矢印A方向に回転するドラム32と、このドラム32の外周面に設けられ、孔版原紙21の先端をクランプする原紙クランプ部33とを備えている。
【0040】
また、印刷部3は、ドラム32の外周面に孔版原紙21が巻き付け装着されているか否かを検出する原紙確認センサ34と、ドラム32の基準位置を検出する基準位置検出センサ35と、メインモータ31の回転に応じて定周期でパルス信号を出力するロータリエンコーダ36とを有する。基準位置検出センサ35の検出出力を基にロータリエンコーダ36のパルス信号を検出することによってドラム32の回転位置を検出することができるようになっている。
【0041】
さらに、印刷部3は、ドラム32の下方位置に配置されたプレスロール37を有し、このプレスロール37はソレノイド部38の駆動力によってドラム32の外周面に押圧する押圧位置と、ドラム32の外周面から離間する待機位置との間で変移可能に構成されている。プレスロール37は、給紙部4からの給紙動作に同期して待機位置から押圧位置に変移され、印刷用紙41がドラム32の下部を通過する際のみ押圧位置に位置され、それ以外の時には待機位置に位置されるようになっている。
【0042】
そして、製版部2から搬送される孔版原紙21の先端を原紙クランプ部33でクランプし、このクランプした状態でドラム32が回転されて孔版原紙21がドラム32の外周面に巻き付け装着される。そして、ドラム32の回転に同期して給紙部4より給紙される印刷用紙41をプレスロール37でドラム32に巻装された孔版原紙21に押圧することによって印刷用紙41に孔版原紙21の穿孔からインクが転写されて画像が印刷されるようになっている。
【0043】
給紙部4は、印刷用紙41が積層される給紙台42と、この給紙台42から最上位置の印刷用紙41のみを搬送させる1次給紙ロール43,44と、この1次給紙ロール43,44によって搬送された印刷用紙41をドラム32の回転に同期してドラム32とプレスロール37間に搬送する一対の2次給紙ロール45と、この一対の2次給紙ロール45間に印刷用紙41が搬送されたか否かを検出する給紙センサ46と、給紙台42に積層された印刷用紙41を検出する紙有無センサ48とを有する。1次給紙ロール43,44には給紙クラッチ47を介してメインモータ31の回転が選択的に伝達されるように構成されている。
【0044】
排紙部5は、印刷された印刷用紙41をドラム32から分離する用紙分離爪51と、風力にて印刷用紙41をドラム32から分離する分離ファン56と、この用紙分離爪51によりドラム32から離間された印刷用紙41を搬送する排紙ローラ52と、この排紙ローラを駆動する排紙モータ55と、この排紙ローラ52上を印刷用紙41が通過するか否かを検出する紙ジャム検出センサ53と、排紙ローラ52により排紙される印刷用紙41が載置される排紙台54とを有する。
【0045】
また、排紙ローラ52には、排紙ファン52aが設けられ、印刷用紙41を排紙ローラ52で排紙できるように排紙ローラ52側に吸引する。
【0046】
紙ジャム検出センサ53は、印刷部3で印刷された印刷用紙41が正しく搬送されて来るか否かを検出する。印刷後に所定時間経過しても紙ジャム検出センサ53が印刷用紙41の搬送を検出しない場合には、印刷部3内で印刷用紙41が滞留していると判定される。
【0047】
排版部6は、ドラム32の外周面よりクランプ解除された孔版原紙21の先端を導き、この導いた使用済みの孔版原紙21をドラム32より引き剥がしながら搬送する排版搬送手段61と、この排版搬送手段61により搬送されて来る孔版原紙21を収納する排版ボックス62と、排版搬送手段61により排版ボックス62内に搬送されて来た孔版原紙21を排版ボックス62の奥に押し込む排版圧縮部材63とを有する。
【0048】
操作部7は、表示/入力パネル(図示しない)と、製版や印刷等を開始させるためのスタートキー、製版や印刷等を停止させるためのストップキー、印刷枚数等を入力するためのテンキー(いずれも図示せず)等の各種操作キーとを備え、利用者操作に基づく操作信号を制御部8に供給する。
【0049】
操作部7の表示/入力パネルは、前面に配置された感圧式あるいは静電式の透明なタッチパネルと、このタッチパネルの裏面に配置され、各種表示画面を表示する液晶表示パネル(いずれも図示せず)とを有している。利用者は、液晶表示パネルの表示画面を見ながら、タッチパネルの表面を指などで直接触れることで、バッテリー優先モード等の各種印刷モードを設定することができる。
【0050】
制御部8は、孔版印刷装置1の中枢的な制御を行う。具体的には、制御部8は、電力供給装置10から供給される印刷速度に基づいて、製版部2と、印刷部3と、給紙部4と、排紙部5及び排版部6とを制御することにより印刷処理を実行する。
【0051】
また、制御部8は、所定の周期で、孔版印刷装置1が印刷状態を示す印刷状態情報を電力供給装置10へ供給する。
【0052】
図2は、本発明の実施例1である電力供給装置10の構成を示す構成図である。
【0053】
図2に示すように、本発明の実施例1である電力供給装置10は、ノイズフィルタ101と、トランス102と、平滑整流部105と、DC/DCコンバータ106と、インバータ107と、記憶部108と、コントロール部109とを備えている。
【0054】
ノイズフィルタ101は、AC電源から供給された交流電力のノイズを除去する。
【0055】
トランス102は、交流電力の電圧を昇圧又は降圧する。また、トランス102は、出力電圧を安定させるAVR(Automatic Voltage Regulator)機能も有している。
【0056】
平滑整流部105は、発電機202から供給される電力の交流電圧を直流電圧に変換し、電圧変動を平滑化する。
【0057】
DC/DCコンバータ106は、平滑整流部105により変換された直流電圧を昇圧又は降圧する。
【0058】
インバータ107は、DC/DCコンバータ106から供給される直流電圧を交流電圧に変換する。
【0059】
記憶部108は、例えば、不揮発性半導体で構成され、発電機202により発電された起電圧と、孔版印刷装置1の印刷速度、即ち、ドラム32の回転速度を関連付けて、電圧速度情報として記憶する。
【0060】
図3は、本発明の実施例1である電力供給装置10が備える記憶部108に記憶された電圧速度情報の一例を示した図である。
【0061】
図3に示すように、電圧速度情報は、“動作モード”(符号301)が“モード1”〜“モード3”毎に、ドラム32の回転速度である印刷速度(符号302)と、孔版印刷装置消費電力(符号303)と、孔版印刷装置エコモード時の消費電力(符号304)と、起電圧(符号305)とが関連付けられて記憶されている。
【0062】
コントロール部109は、電力制御部109aと、印刷速度決定部109bと、印刷設定部109cとを備える。
【0063】
電力制御部109aは、人力発電装置200により発電された電力を孔版印刷装置1へ供給する。具体的には、電力制御部109aは、人力発電装置200により発電された電力を、インバータ107を制御することにより、トランス102を介して、孔版印刷装置1へ電力を供給させる。
【0064】
印刷速度決定部109bは、人力発電装置200により発電された電力に応じた孔版印刷装置1の印刷速度を決定する。
【0065】
印刷設定部109cは、印刷速度決定部109bにより決定された印刷速度で印刷させるように、印刷速度を孔版印刷装置1に設定する。
【0066】
以上のように、本発明の実施例1である電力供給装置10によれば、人力を利用して発電する人力発電装置200を備え、人力発電装置200により発電された電力を孔版印刷装置1へ供給するので、人力を用いて発電された電力により孔版印刷装置1に印刷処理を実行させることができる。
【0067】
<電力供給装置の作用>
次に、本発明の実施例1である電力供給装置10の作用について説明する。
【0068】
図4は、本発明の実施例1である電力供給装置10における処理手順を示したフローチャートである。
【0069】
図4に示すように、電力供給装置10の電源がオンされると(ステップS101)、電力供給装置10は、起電圧の測定を開始する(ステップS105)。具体的には、平滑整流部105が、平滑整流した直流電圧を測定し、測定値を起電圧情報としてコントロール部109への供給を開始する。
【0070】
次に、コントロール部109の印刷速度決定部109bは、コントロール部109の内部に備えられたタイマーに基づいて、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS107)。ここで、所定時間とは、人力により発電機202で発電された電力は一定していないので、例えば、1(秒)等というようにある時間間隔で平均を算出するために設定される。
【0071】
ステップS107において、所定時間が経過したと判定された場合(YESの場合)、印刷速度決定部109bは、孔版印刷装置1に印刷要求があるか否かを判定する(ステップS109)。具体的には、印刷速度決定部109bは、孔版印刷装置1から供給された印刷状態情報に基づいて、利用者により孔版印刷装置1の操作部7から印刷を要求する操作がなされ、孔版印刷装置1の印刷処理が完了していないか否かを判定する。
【0072】
ステップS109において、孔版印刷装置1に印刷要求がないと判定された場合(NOの場合)、コントロール部109の内部に備えられたタイマーの計時をリセットする。
【0073】
一方、ステップS109において、孔版印刷装置1に印刷要求があると判定された場合(YESの場合)、印刷速度決定部109bは、起電圧の平均値を算出する(ステップS113)。具体的には、印刷速度決定部109bは、所定時間に平滑整流部105により検出された起電圧の電圧値を平均する。
【0074】
そして、印刷速度決定部109bは、算出された起電圧の平均値が下限電圧を超えているか否かを判定する(ステップS115)。ここで、下限電圧とは、孔版印刷装置1が印刷処理を実行する上で必要最低限の電圧であり、例えば、33(V)と設定されている。
【0075】
ステップS115において、起電圧の平均値が下限電圧を超えていると判定された場合(YESの場合)、コントロール部109の印刷設定部109cは、孔版印刷装置1へエコモードを通知する(ステップS117)。ここで、エコモードとは、孔版印刷装置1が消費電力を低減して印刷処理を実行する動作モードであり、例えば、外部とのインタフェース部等の印刷処理を実行する上で動作が必須でない機器、即ちエコモード対象機器以外の機器を停止して、印刷処理を実行するモードである。
【0076】
次に、印刷速度決定部109bは、印刷速度を決定する(ステップS119)。具体的には、印刷速度決定部109bは、記憶部108に記憶された電圧速度情報を読み出し、この読み出した電圧速度情報に基づいて、起電圧の平均値に対応する動作モード301及び印刷速度302を決定する。図3に示した電圧速度情報を例にとると、例えば、算出された起電圧の平均値が40(V)であった場合、印刷速度決定部109bは、動作モードを“モード2”、印刷速度を“80”(枚/分)として決定する。
【0077】
そして、印刷設定部109cは、決定された印刷速度を孔版印刷装置1へ送信する(ステップS121)。
【0078】
次に、コントロール部109は、電源がオフされた場合(YESの場合)、処理を終了する(ステップS123)。
【0079】
以上のように、本発明の実施例1である電力供給装置10によれば、人力発電装置200により発電された電力に応じた孔版印刷装置1の印刷速度を決定し、この決定された印刷速度で印刷させるので、人力発電装置200により発電された電力に応じて、最適な印刷速度で孔版印刷装置1に印刷処理を実行させることができる。
【0080】
<孔版印刷装置の作用>
次に、本発明の実施例1である電力供給装置10に接続された孔版印刷装置1の作用について説明する。
【0081】
図5は、本発明の実施例1である電力供給装置10に接続された孔版印刷装置1における処理手順を示したフローチャートである。
【0082】
図5に示すように、孔版印刷装置1の電源がオンされると(ステップS201)、孔版印刷装置1は、各種設定情報を初期化する(ステップS203)。
【0083】
そして、孔版印刷装置1の制御部8は、印刷開始が要求されたか否かを判定する(ステップS205)。具体的には、制御部8は、利用者の操作により操作部7から印刷開始を要求する操作信号が供給されたか否かを判定する。
【0084】
ステップS205において、印刷開始が要求されたと判定された場合(YESの場合)、制御部8は、電力供給装置10からエコモードが通知されているか否かを判定する(ステップS207)。
【0085】
ステップS207において、エコモードが通知されていないと判定された場合(NOの場合)、制御部8は、通常の印刷処理を実行する(ステップS209)。
【0086】
一方、ステップS207において、エコモードが通知されていると判定された場合(YESの場合)、制御部8は、エコモード対象機器以外を停止する(ステップS211)。具体的には、外部とのインタフェース部等の印刷処理を実行する上で動作が必須でない機器、即ちエコモード対象機器以外の機器を停止する。
【0087】
次に、制御部8は、電力供給装置10から通知された印刷速度を設定する(ステップS213)。
【0088】
そして、制御部8は、印刷処理を実行する(ステップS215)。具体的には、制御部8は、設定された印刷速度でドラム32を回転させて印刷を行うように、製版部2と、印刷部3と、給紙部4と、排紙部5及び排版部6とを制御することにより、印刷処理を実行する。
【0089】
そして、制御部8は、電源がオフされた場合(YESの場合)、処理を終了する(ステップS217)。
【0090】
以上のように、本発明の実施例1である電力供給装置10に接続された孔版印刷装置1によれば、電力供給装置10から供給された印刷速度に応じて印刷処理を実行するので、電力供給装置10から供給される電力に応じた最適の印刷速度で印刷を行うことができる。
【実施例2】
【0091】
本発明の実施例2では、孔版印刷装置1と接続され、人力発電された電力又は蓄電された電力を切り替えて孔版印刷装置1へ供給する電力供給装置を例に挙げて説明する。
【0092】
<電力供給装置の構成>
図6は、本発明の実施例2である電力供給装置の全体構成を示す構成図である。
【0093】
図6に示すように、本発明の実施例2である電力供給装置10Aは、孔版印刷装置1と接続されており、電力供給制御装置100Aと、人力発電装置200Aと、バッテリ300とを備えている。以下の説明の中で、本発明の実施例1である電力供給装置10又は孔版印刷装置1の構成と同一符号が付された構成については、それぞれ同一であるので、説明を省略する。
【0094】
バッテリ300は、電力供給制御装置100Aから供給された電力を蓄電したり、蓄電した電力を電力供給制御装置100Aへ供給したりする。
【0095】
人力発電装置200Aは、自転車201と、発電機202と、コントロールパネル203と、ペダル位置検出部204とを備えている。
【0096】
コントロールパネル203は、電力供給制御装置100Aから供給される各種発電に関する情報を表示する。
【0097】
ペダル位置検出部204は、自転車201が備えるペダルの位置を検出する。具体的には、ペダル位置検出部204は、自転車201の車輪の回転に応じて定周期でパルス信号を出力するエンコーダ(図示しない)と、自転車201の車輪が1周する毎に基準検出信号を出力する基準位置検出センサ(図示しない)を有する。基準位置検出センサによる基準検出信号を基に、エンコーダのパルス信号を検出することによって自転車201の車輪の回転角度、即ちペダルの位置を検出することができるようになっている。
【0098】
電力供給制御装置100Aは、人力発電装置200Aにより人力発電された電力、又はバッテリ300に蓄電された電力を切り替えて孔版印刷装置1へ供給する。
【0099】
図7は、本発明の実施例2である電力供給制御装置100Aの構成を示す構成図である。
【0100】
図7に示すように、本発明の実施例2である電力供給装置10Aの電力供給制御装置100Aは、ノイズフィルタ101と、トランス102と、平滑整流部105と、DC/DCコンバータ106と、インバータ107と、記憶部108Aと、コントロール部109Aと、充電部110とを備えている。これらの構成のうち、ノイズフィルタ101と、トランス102と、平滑整流部105と、DC/DCコンバータ106と、インバータ107とについては、それぞれ本発明の実施例1である電力供給装置10の電力供給制御装置100が備える構成と同一であるので、説明を省略する。
【0101】
記憶部108Aは、例えば、不揮発性半導体で構成され、動作モードと、必要発電量と、必要バッテリ残量とを関連付けて、電圧速度情報として記憶する。
【0102】
図8は、本発明の実施例2である電力供給装置10Aが備える記憶部108Aに記憶された電圧速度情報の一例を示した図である。
【0103】
図8に示すように、電圧速度情報は、各動作モードの必要電力401と、発電機202の必要発電量402と、バッテリ300の残量403とが関連付けられて記憶されている。
【0104】
各動作モードの必要電力401は、動作モード401aと、孔版印刷装置1の印刷速度401bと、この動作モードで動作が行われる際に必要な電力401cとを含み、必要発電量402は、発電機202により発電する起電圧402aと、発電機202の回転数402bと、自転車201のペダルの回転数402cとを含み、必要バッテリ残量403は、バッテリ300の残量を示す端子電圧403aと、端子電圧(補正1)403bと、端子電圧(補正2)403cとを含んでいる。ここで、端子電圧(補正1)403bと、端子電圧(補正2)403cとは、端子電圧403aに比較して低い値となっているが、これは、バッテリ300の残量が少ない(端子電圧が低い)場合にも、電力入力源としてバッテリ300が選択され易いように設定されているためである。
【0105】
図7に戻り、充電部110は、トランス102から供給された電力、又はDC/DCコンバータ106から供給された電力をバッテリ330に供給し、充電させる。
【0106】
コントロール部109Aは、電力制御部109aと、印刷速度決定部109bと、印刷設定部109cとを備える。
【0107】
印刷速度決定部109bは、記憶部108Aに記憶された電圧速度情報に基づいて、人力発電装置200により発電された電力及びバッテリ300に蓄電された電力それぞれに対応する印刷速度のうち速い方を孔版印刷装置1の印刷速度として決定する。
【0108】
電力制御部109aは、印刷速度決定部109bにより決定された印刷速度に対応する電力を、人力発電装置200又はバッテリ300から孔版印刷装置1へ供給する。具体的には、電力制御部109aは、人力発電装置200により発電された電力及びバッテリ300に蓄電された電力のうち、印刷速度決定部109bにより速い方として決定された印刷速度に対応する電力を、インバータ107を制御することにより、トランス102を介して、孔版印刷装置1へ電力を供給させる。
【0109】
印刷設定部109cは、印刷速度決定部109bにより決定された印刷速度で印刷させるように、印刷速度を孔版印刷装置1へ設定する。
【0110】
<電力供給装置の作用>
次に、本発明の実施例2である電力供給装置10Aの作用について説明する。
【0111】
図9は、本発明の実施例2である電力供給装置10Aにおける処理手順を示したフローチャートである。なお、図9に示したフローチャートの各処理のうち、図4に示した本発明の実施例1である電力供給装置10における処理手順を示したフローチャートと同一のステップ番号を付したものは同一処理を実行するので、説明を省略する。
【0112】
ステップS113において、印刷速度決定部109bは、起電圧の平均値を算出すると、次に、DC/DCコンバータ106がバッテリ300の端子電圧を測定し、測定した端子電圧を端子電圧情報としてコントロール部109に供給する(ステップS315)。具体的には、DC/DCコンバータ106は、バッテリ300のプラス極側の端子と、マイナス極側の端子との端子間の電圧を、端子電圧として測定する。
【0113】
次に、印刷速度決定部109bは、測定された端子電圧が下限電圧を超えているか否かを判定する(ステップS317)。
【0114】
ステップS317において、端子電圧が下限電圧以下であると判定された場合(NOの場合)、印刷速度決定部109bは、測定された起電圧の平均値が下限電圧を超えているか否かを判定する(ステップS337)。
【0115】
ステップS337において、起電圧の平均値が下限電圧以下であると判定された場合(NOの場合)、印刷設定部109cは、孔版印刷装置1の電源をオフにする(ステップS339)。
【0116】
一方、ステップS317において、端子電圧が下限電圧を超えていると判定された場合(YESの場合)、印刷速度決定部109bは、バッテリ優先モードが選択されているか否かを判定する(ステップS319)。バッテリ優先モードは、利用者により操作部7が操作されることにより設定される。ここでは、バッテリ優先モード1とバッテリ優先モード2とが選択可能であるとする。
【0117】
ステップS319において、バッテリ優先モードが選択されていないと判定された場合(NOの場合)、印刷速度決定部109bは、記憶部108Aに記憶された速度設定情報に基づいて、端子電圧に対応する動作モードを抽出する(ステップS321)。
【0118】
図8に示した速度設定情報では、ステップS315において測定された端子電圧が、“10.9”(V)であるとすると、印刷速度決定部109bは、端子電圧403aが“10.9”(V)に対応する動作モード401aとして、“モード3”と、対応する印刷速度401bとして、“110”(枚/分)とを抽出する。
【0119】
一方、ステップS319において、バッテリ優先モードが選択されていると判定された場合(YESの場合)、印刷速度決定部109bは、記憶部108Aに記憶された速度設定情報に基づいて、補正された端子電圧に対応する動作モードを抽出する(ステップS323)。
【0120】
例えば、バッテリ優先モード1が選択されている場合において、ステップS315において測定された端子電圧が、“10.9”(V)であるとすると、印刷速度決定部109bは、補正された端子電圧(補正1)103bが“10.9”(V)に対応する動作モード401aとして、“モード4”と、対応する印刷速度401bとして、“130”(枚/分)とを抽出する。
【0121】
次に、印刷速度決定部109bは、記憶部108Aに記憶された速度設定情報に基づいて、起電圧に対応する動作モードを抽出する(ステップS325)。
【0122】
例えば、ステップS113において算出された起電圧の平均値が、“40”(V)であるとすると、印刷速度決定部109bは、起電圧402aが“40”(V)に対応する動作モード401aとして、“印刷速度2”を抽出する。
【0123】
そして、印刷速度決定部109bは、印刷速度がより早い方の動作モードを選択する(ステップS327)。例えば、ステップS321において、端子電圧に対応する動作モード401aとして“モード3”が抽出され、ステップS325において、起電圧に対応する動作モード401aとして“モード2”が抽出された場合、“モード3”の方が“モード2”より印刷速度は速いので、印刷速度決定部109bは、“モード3”を選択する。
【0124】
次に、表示制御部109dは、人力発電装置200Aの発電情報をコントロールパネル203に表示させる(ステップS329)。
【0125】
図10(a)(b)は、コントロールパネル203に表示された発電情報の一例を示した図である。
【0126】
図10(a)に示すように、コントロールパネル203には、動作モードとして、“モード3”(符号205)が表示され、この動作モードで印刷処理を継続するために必要な必要電力として“160W” (符号206)と表示している。そして、現在の人力発電装置200Aによる発電量として、“170W”(符号207)が表示されている。
【0127】
図10(a)の場合、発電量が必要電力以上であるので、メッセージとして、“そのペースを持続してください”(符号208)と表示している。
【0128】
また、図10(b)に示す例では、コントロールパネル203に、動作モードとして、“モード1”(符号205)が表示され、この動作モードで印刷処理を継続するために必要な必要電力として“120W” (符号206)と表示している。そして、現在の人力発電装置200Aによる発電量として、“100W”(符号207)が表示されている。
【0129】
図10(b)の場合、発電量が必要電力未満であるので、メッセージとして、“ペースを上げてください”(符号208)と表示している。
【0130】
なお、コントロールパネル203上には、その他にも、印刷済み枚数や、消費カロリー0や、印刷終了までの残り時間等を表示することもできる。
【0131】
図9に戻り、コントロール部109の印刷設定部109cは、孔版印刷装置1へエコモードを通知する(ステップS331)。
【0132】
次に、印刷設定部109cは、選択された動作モードに対応する印刷速度を孔版印刷装置1へ送信する(ステップS333)。
【0133】
次に、コントロール部109は、電源がオフされた場合(YESの場合)、処理を終了する(ステップS335)。
【0134】
以上のように、本発明の実施例2である電力供給装置10Aによれば、人力発電装置200により発電された電力、及びバッテリ300に蓄電された電力のいずれか一方に基づいて、孔版印刷装置1の印刷速度を決定し、この決定された印刷速度で印刷させるので、より最適な印刷速度で孔版印刷装置1に印刷処理を実行させることができる。
【0135】
また、本発明の実施例2である電力供給装置10Aによれば、人力発電装置200Aの発電情報をコントロールパネル203に表示させるので、自転車201を漕いでいる利用者は、今後漕ぐペースを上げる必要があるのか、現在のペースを維持すればよいのを認識することができる。
【実施例3】
【0136】
本発明の実施例3では、孔版印刷装置1と接続され、人力発電装置200が備える自転車201のペダルの角度に応じて孔版印刷装置1による動作スケジュールを設定する電力供給装置を例に挙げて説明する。
【0137】
本発明の実施例3である電力供給装置10Bは、図6、図7に示した本発明の実施例2である電力供給装置10Aの構成と同一であるので、説明を省略する。
【0138】
図11は、本発明の実施例3である電力供給装置10Bの電力供給制御装置100Bが備えるコントロール部109の印刷設定部109cの構成を示した図である。
【0139】
図11に示すように、記憶部108Bには、利用者が自転車201のペダルを漕いだときに、所定トルクより高いトルクを発生するペダルの角度を示しているペダル踏み込み角度設定値と、ペダルが最も高い位置にある上死点の角度であるペダル上死点検出角度値とを記憶している。
【0140】
図12は、利用者が自転車201のペダルの角度を説明した図である。
【0141】
図12に示すように、通常、ペダル上死点検出角度値は、ペダルが最も高い位置にある上死点501の角度(通常は0°)として記憶されている。
【0142】
また、ペダル踏み込み角度設定値502は、利用者が自転車201のペダルを漕いだときに、所定トルクより高いトルクを発生するペダルの角度を示しており、例えば、240(°)〜300(°)として設定される。
【0143】
図11に戻り、印刷設定部109cは、パルスカウンタ1091と、比較部1093と、回転数管理部1093と、動作制御部1094とを備える。
【0144】
パルスカウンタ1091は、ペダル位置検出部204のロータリエンコーダにより検出されたパルス信号をカウントし、ペダル位置検出部204の基準位置検出センサにより検出された基準検出信号が供給されるとカウントをリセットする。即ち、パルスカウンタ1091は、ペダル位置検出部204の基準位置検出センサにより検出された基準検出信号が供給されてから、次に基準検出信号が供給されるまでのパルス信号を計数し、この計数した計数値を比較部1092へ供給する。
【0145】
比較部1092は、パルスカウンタ1091から供給された計数値に基づいて現在のペダルの角度を算出し、記憶部108Bに記憶されたペダル踏み込み角度設定値に基づいて、この算出された角度がペダル踏み込み角度の範囲に入っているか否かを判定する。そして、この算出された角度がペダル踏み込み角度の範囲に入っていると判定した場合、比較部1093は、ペダルの角度がペダル踏み込み角度の範囲に入っていることを示す信号を回転数管理部1093へ供給する。
【0146】
回転数管理部1093は、比較部1092から供給された信号と、後述する動作制御部1094から供給される印刷状態情報に含まれるドラム32の角度情報とに基づいて、動作スケジュールを設定する。具体的には、回転数管理部1093は、人力発電装置200により所定トルクより高いトルクを発生する時間内、即ち比較部1092から信号が供給されている間に、孔版印刷装置1の動作負荷がピークなるように、動作負荷を同期させた動作スケジュールを設定する。
【0147】
図13(a)は、孔版印刷装置1が製版動作を実行中であるときの動作負荷を示した図であり、図13(b)は、孔版印刷装置1が印刷動作を実行中であるときの動作負荷を示した図である。
【0148】
図13(a)に示すように、ドラム32が回転を開始するt1時点、排版部6による孔版原紙の排版動作を開始するt2時点、ドラム32への着版動作を開始するt3時点、1枚目の印刷(ファーストプリント)が実行されるt4時点において、動作負荷がピークとなる。そこで、回転数管理部1093は、孔版印刷装置1の動作負荷のピークであるt1、t2、t3、t4時点が、人力発電装置200により所定トルクより高いトルクを発生する時間内に、即ち、自転車201のペダルの角度がペダル踏み込み角度の範囲内に入るように、動作スケジュールを設定する。
【0149】
また、図13(b)に示すように、印刷処理の実行中、動作モードが変更される度に、印刷速度が変化するので、その度に動作負荷が大きくなりピークとなる。具体的には、t11、t12、t13、t14、・・・の時点において、動作モードが変更されており、動作負荷がピークとなっている。また、プレスロール37によるドラム32の押圧が解除されたt16時点においても同様に、動作負荷がピークとなっている。
【0150】
そこで、回転数管理部1093は、孔版印刷装置1の動作負荷のピークであるt11、t12、t13、t14、・・・t16時点が、人力発電装置200により所定トルクより高いトルクを発生する時間内に、即ち、自転車201のペダルの角度がペダル踏み込み角度の範囲内に入るように、動作スケジュールを設定する。
【0151】
図11に戻り、動作制御部1094は、孔版印刷装置1から供給された印刷状態情報に含まれるドラム32の角度情報を回転数管理部1093へ供給する。また、動作制御部1094は、回転数管理部1093により設定された動作スケジュールに基づいて、孔版印刷装置1を制御するための制御信号を孔版印刷装置1へ供給する。そして、孔版印刷装置1は、供給された制御信号に含まれる動作スケジュールに基づいて、印刷処理を実行する。
【0152】
以上のように、本発明の実施例3である電力供給装置10Bによれば、人力発電装置200により所定トルクより高いトルクを発生する時間内に、孔版印刷装置1の負荷が大きくなるように、孔版印刷装置1による動作スケジュールを設定するので、利用者は無理なく、自転車201を漕ぎ続けることができ、これにより、孔版印刷装置1に安定した電力を供給することができる。
【0153】
なお、本発明の実施例3では、人力発電装置200により所定トルクより高いトルクを発生する時間内に、孔版印刷装置1の負荷が大きくなるように、孔版印刷装置1による動作スケジュールを設定する電力供給装置10Bを例に挙げて説明したが、これに限らない。
【0154】
例えば、孔版印刷装置1の負荷が大きくなる時間内に、人力発電装置200により最も低いトルクを発生する時点が重ならないように、孔版印刷装置1の動作スケジュールを設定するようにしてもよい。
【0155】
具体的には、比較部1092が、算出された現在のペダルの角度が、記憶部108Bに記憶されたペダル上死点検出角度値に一致するか否かを判定し、算出された現在のペダルの角度がペダル上死点検出角度値に一致すると判定された場合、ペダルの角度がペダル上死点検出角度に一致していることを示す信号を回転数管理部1093へ供給する。
【0156】
そして、回転数管理部1093は、ペダルの角度がペダル上死点検出角度になっときに、孔版印刷装置1の動作負荷がピークとならないように、動作負荷を分散させた孔版印刷装置1の動作スケジュールを設定するようにしてもよい。
【0157】
また、本発明の実施例3では、孔版印刷装置1の負荷が大きくなる時間内に、人力発電装置200により最も低いトルクを発生する時点が重ならないように、孔版印刷装置1による動作スケジュールを設定する電力供給装置10Bを例に挙げて説明したが、これに限らず、孔版印刷装置1の動作負荷のピークを低下させるようにしてもよい。
【0158】
図14(a)は、本発明の実施例3である電力供給装置10Bにおいて、通常印刷時における孔版印刷装置1の動作負荷を示した図であり、図14(b)は、排紙ファン25a及び分離ファンの駆動状態を示した図であり、図14(c)は、図14(b)に従って排紙ファン25a及び分離ファンの駆動した場合における孔版印刷装置1の動作負荷を示した図である。
【0159】
図14(a)に示すように、孔版印刷装置1は通常印刷時、印刷の1サイクル毎に動作負荷にピークが発生する(t21時点、t22時点)。
【0160】
そこで、本発明の実施例3である電力供給装置10Bでは、図14(b)に示すように、動作負荷にピークが発生するt21時点及びt22時点において、例えば、排紙ファン25a及び分離ファン等の印刷処理を実行する上で動作が必須でない機器を停止して印刷処理を実行する。
【0161】
これにより、図14(c)に示すように、t21時点及びt22時点における動作負荷のピークが小さくなる。
【0162】
このように、本発明の実施例3である電力供給装置10Bによれば、動作負荷にピークが発生する時点において、印刷処理を実行する上で必要最小限の機器を動作させて、即ち、印刷処理を実行する上で動作が必須でない機器を停止して印刷処理を実行させるので、消費電力を低減することができる。
【0163】
また、本発明の実施例3である電力供給装置10Bでは、印刷処理の実行中、動作モードが変更される度に、印刷速度が変化するので、その度に動作負荷が大きくなりピークとなる。そこで、印刷速度が速くなるように変更する場合に、孔版印刷装置1の消費電力の急激な変化を低減するように、印刷速度の上昇を緩やかにした(印刷の加速度を低くした)孔版印刷装置1の動作スケジュールを設定するようにしてもよい。
【0164】
例えば、ドラム32の回転数を80(rpm)から120(rpm)へ上昇させる場合、通常の印刷では、約60(秒)で上昇させていたところを、約200(秒)で上昇させる。
【0165】
これにより、印刷速度を変化する際においても、動作負荷のピークを比較的小さくすることができる。
【0166】
また、本発明の実施例1〜3では、孔版印刷装置1と接続され、孔版印刷装置1へ電力を供給する電力供給装置10,10A,10Bを例に挙げて説明したが、接続される印刷装置は、孔版印刷方式に限らず、インクジェット方式、レーザ方式等他の方式のものであってもよい。ただし、電力供給装置10,10A,10Bにより供給される電力により稼働できることが条件となるので、比較的消費電力が小さい孔版印刷装置が好適である。
【符号の説明】
【0167】
1…孔版印刷装置
2…製版部
3…印刷部
4…給紙部
5…排紙部
6…排版部
7…操作部
8…制御部
10,10A,10B…電力供給装置
100,100A,100B…電力供給制御装置
101…ノイズフィルタ
102…トランス
105…平滑整流部
106…DC/DCコンバータ
107…インバータ
108,108A,108B…記憶部
109,109A…コントロール部
109a…電力制御部
109b…印刷速度決定部
109c…印刷設定部
109d…表示制御部
110…充電部
200,200A…人力発電装置
201…自転車
202…発電機
203…コントロールパネル
204…ペダル位置検出部
300…バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置と接続され、前記印刷装置へ電力を供給する電力供給装置であって、
人力を利用して発電する人力発電手段と、
前記人力発電手段により発電された電力を前記印刷装置へ供給する電力制御手段と、
を備えたことを特徴とする電力供給装置。
【請求項2】
前記人力発電手段により発電された電力に応じた前記印刷装置の印刷速度を決定する印刷速度決定手段と、
前記印刷速度決定手段により決定された印刷速度で印刷させるように、前記印刷速度を前記印刷装置に設定する印刷設定手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の電力供給装置。
【請求項3】
蓄電する蓄電手段を更に備え、
前記印刷速度決定手段は、
前記人力発電手段により発電された電力及び前記蓄電手段に蓄電された電力のいずれか一方に基づいて、前記印刷装置の印刷速度を決定し、
前記電力制御手段は、
前記印刷速度決定手段により決定された印刷速度に対応する電力を、前記人力発電手段又は前記蓄電手段から前記印刷装置へ供給する
ことを特徴とする請求項2記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記人力発電手段により発電された電力と、前記蓄電手段に蓄電された電力と、前記印刷装置の印刷速度とを関連付けて電圧速度情報として記憶する記憶手段と、をさらに備え、
前記印刷速度決定手段は、
前記記憶手段に記憶された電圧速度情報に基づいて、前記人力発電手段により発電された電力及び前記蓄電手段に蓄電された電力それぞれに対応する前記印刷速度のうち速い方を前記印刷装置の印刷速度として決定する
ことを特徴とする請求項3記載の電力供給装置。
【請求項5】
前記電力制御手段は、
前記人力発電手段により発電された電力を前記蓄電手段に蓄電させる
ことを特徴とする請求項3又は4記載の電力供給装置。
【請求項6】
前記印刷設定手段は、
前記人力発電手段により所定トルクより高いトルクを発生する時間内に、前記印刷装置の負荷が大きくなるように、前記負荷を同期させた前記印刷装置の動作スケジュールを設定する
ことを特徴とする請求項2〜5のうちいずれか1項記載の電力供給装置。
【請求項7】
前記印刷設定手段は、
前記印刷装置の負荷が大きくなる時間内に、前記人力発電手段により発生するトルクが最も低い時点が重ならないように、前記負荷を分散させた前記印刷装置の動作スケジュールを設定する
ことを特徴とする請求項2〜5のうちいずれか1項記載の電力供給装置。
【請求項8】
前記印刷設定手段は、
前記印刷速度が速くなるように変更する場合に、前記印刷装置の消費電力の急激な変化を低減するように、前記印刷速度の上昇を緩やかにした前記印刷装置の動作スケジュールを設定する
ことを特徴とする請求項2〜7のうちいずれか1項記載の電力供給装置。
【請求項9】
前記人力発電手段に関する情報を表示手段に表示させる表示制御手段、を、
更に備えたことを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか1項記載の電力供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−86435(P2012−86435A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234458(P2010−234458)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】