説明

電力変換器

【課題】小型化し得る電力変換器を提供する。
【解決手段】スイッチング素子(11)と整流素子(12)とを有する半導体素子(10)と、半導体素子(10)を冷却する冷却部材(37)と、半導体素子(10)と冷却部材(37)との間に介在して、両者の結合と相互の熱伝達を行う実装部材(28、36、32)と、を備え、実装部材は、熱伝導率の異なる少なくとも2つの充填部材(33、34)を内包し、充填部材(33、34)のうち熱伝導率が相対的に高い充填部材(34)はスイッチング素子(11)と冷却部材(37)の間に配置し、熱伝導率が相対的に低い充填部材(33)は整流素子(12)と冷却部材(37)との間に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電力変換器、例えば電気自動車駆動用モータを駆動するための電力変換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スイッチング素子よりも整流素子を高温に保つために、冷却器から整流素子までの熱抵抗を冷却器からスイッチング素子への熱抵抗よりも大きくしているものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-303306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両駆動用モータを制御する電力変換器においては、走行状態によってスイッチング素子の発熱と整流素子の発熱との間には偏りが生じるため、上記特許文献1の技術では整流素子の最大発熱量において、高い熱抵抗を介して冷却しても動作保障温度内に収めるために冷却器が大型化するという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電力変換器は、スイッチング素子と整流素子とを有する半導体素子と、半導体素子を冷却する冷却部材と、半導体素子と冷却部材との間に介在して、両者の結合と相互の熱伝達を行う実装部材と、を備えている。実装部材は、熱伝導率の異なる少なくとも2つの充填部材を内包し、充填部材のうち熱伝導率が相対的に高い充填部材はスイッチング素子と冷却部材の間に配置し、熱伝導率が相対的に低い充填部材は整流素子と冷却部材との間に配置している。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スイッチング素子から冷却部材までの熱抵抗が、整流素子から冷却部材までの熱抵抗よりも低くなるため、整流素子を過冷却せずにスイッチング素子を冷却できる。これによって、冷却部材を小型化することが可能となり、電力変換器を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態のモータ駆動用3相インバータの回路図である。
【図2】パワーモジュールの素子配置を示す概略平面図である。
【図3】第1実施形態の冷却装置の概略斜視図である。
【図4】第1実施形態の冷却装置の概略図である。
【図5】冷却装置と車両との位置関係を示す概略図である。
【図6】車両の各状態毎の液体と気体の存在位置を示す冷却装置の概略縦断面図である。
【図7】第2実施形態の冷却装置の概略斜視図である。
【図8】第2実施形態の冷却装置の概略図である。
【図9】第3実施形態の冷却装置の概略斜視図である。
【図10】第3実施形態の冷却装置の概略図である。
【図11】第4実施形態の冷却装置の概略斜視図である。
【図12】第4実施形態の冷却装置の概略図である。
【図13】第5実施形態の冷却装置の概略斜視図である。
【図14】第5実施形態の冷却装置の概略図である。
【図15】第6実施形態の冷却装置の概略斜視図である。
【図16】第6実施形態の冷却装置の概略図である。
【図17】第7実施形態の冷却装置の概略斜視図である。
【図18】第7実施形態の冷却装置の概略図である。
【図19】第8実施形態の冷却装置の概略斜視図である。
【図20】第8実施形態の冷却装置と車両との位置関係を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づき詳細に説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係るパワーモジュール10(半導体素子)を備えたモータ駆動用3相インバータ14の回路図である。図1に示すように、1つのパワーモジュール10は、複数(この例では4個)のスイッチング素子11a〜11d及び整流素子12a〜12dを有しており、各整流素子12は、各スイッチング素子11と逆並列に接続されている。このパワーモジュール10は、交流モータ13を駆動するための3相インバータ14の1相分である。直流電源15の電力は、平滑用のコンデンサ16と3個のパワーモジュール10により、交流モータ13を駆動する3相交流電力に変換される。
【0011】
詳細には、インバータには、交流モータ13とインバータ14を接続する外部バスバー(出力側)21、直流電源15とインバータ14を接続する外部バスバー(P側)22及び外部バスバー(N側)23を備えている。1つのパワーモジュール10には、外部バスバー(出力側)21と接続する出力電極24、外部バスバー(P側)22と接続するP型電極25及び外部バスバー(N側)23と接続するN型電極26を備えている。
【0012】
図2は1つのパワーモジュール10の素子配置を示す概略平面図である。図1には3つのパワーモジュール10が示されているが、3つとも同じ構成である。左右に間隔をおいて縦方向にほぼ等間隔で並ぶ4つのスイッチング素子11a〜11d及び整流素子12a〜12dは、P側電極25、N側電極26、出力電極24とボンディングワイヤ27で電気的にそれぞれ接続され、平板状の基板28の上に実装されている。
【0013】
なお、図1の回路図においては1つのパワーモジュール10について、スイッチング素子が2つ、整流素子が2つであるのに対して、図2の素子の実装状態を表す概略平面図においては1つのパワーモジュール10について、スイッチング素子が4つ、整流素子が4つ用いられている。これは、2つのスイッチング素子、2つの整流素子がそれぞれ並列で用いられることを表している。
【0014】
さて、上記の交流モータ13(回転機)及びインバータ14(電力変換器)を電気自動車駆動用に用いる場合には、乗員の空間を確保するためにも、交流モータ13やインバータ14を小型化することが強く求められる。高効率化や高出力密度化のために、最近では図2に示したパワーモジュール10のスイッチング素子11a〜11dや整流素子12a〜12dとして、高温で動作可能なSiCのスイッチング素子や整流素子を用いるようになった。
【0015】
SiCを用いたスイッチング素子11a〜11dや整流素子12a〜12dを適切な温度で扱うためには冷却方法が重要である。例えば、Si系スイッチング素子とSiC系整流素子を同一の冷媒で冷却する場合に小型化するためにはSiC系整流素子の冷却を抑制しSi系スイッチング素子を積極的に冷却する構造にしなければならない。また、素子の素材に拘わらず、スイッチング素子と整流素子の発熱は車両駆動状態に依存して偏りが生じる。車両の加速時にはスイッチング素子の発熱が、車両の減速時、エネルギー回生時には整流素子(ダイオード)の発熱が大きな割合を占める。
【0016】
従来、このスイッチング素子と整流素子との間の発熱の偏りに対して一定の冷却を行う場合には、整流素子、スイッチング素子の発熱量が最大値となった状態でも冷却できるような冷却器を必要とするため冷却器が大型化するという問題があった。また、各々の素子の温度変化が増大し、インバータ(電力変換器)の信頼性を低下させるという問題があった。
【0017】
本発明では車両の加減速時の重力Gを用いて、熱拡散部材32の内部に形成した密閉空間35内の流動体を移動させることにより、発熱量の多い素子から冷却器37までの熱抵抗を相対的に低減し、発熱量の少ない素子から冷却器37までの熱抵抗を相対的に増大させ、動作保障範囲内に各素子を冷却する小型の冷却器37を提供するとともに、各素子の温度変化幅を低減することにより、インバータ(電力変換器)の信頼性を向上させるものである。以下、パワーモジュール10の冷却方法について詳述する。3つのパワーモジュール10の冷却方法は同じであるので、1つのパワーモジュール10で代表させて述べる。
【0018】
図3、図4はパワーモジュール10の冷却装置(以下単に「冷却装置」ともいう。)31の概略図である。このうち、図3は冷却装置31の概略斜視図、図4(a)は整流素子とスイッチング素子とが並ぶ方向での縦断面で見た冷却装置31の概略縦断面図、図4(b)は基板28の上から冷却装置31を見た概略透視図である。なお、図4(a)に示す縦断面は整流素子12aとスイッチング素子11aとが隣合っている部分で代表させている。
【0019】
ここでは、2つの異なる素子(スイッチング素子11a〜11d及び整流素子12a〜12d)の冷却を対象とするので、P側電極25、N側電極26、出力電極24、ボンディングワイヤ27は省略して図3、図4に示していない。なお、図6〜図20で後述する他の実施形態においても、P側電極25、N側電極26、出力電極24、ボンディングワイヤ27は省略して示さないこととする。
【0020】
冷却装置31は、パワーモジュール10を冷却する冷却器37(冷却部材)と、パワーモジュール10と冷却器37との間に介在して、両者の結合と相互の熱伝達を行う実装部材とを備えている。実装部材は、熱拡散部材32、絶縁部材36を含んでいる。実装部材には基板28も含まれる。
【0021】
整流素子及びスイッチング素子を実装している基板28の下には、厚みのある熱伝導率の高い金属製(例えば銅製)の熱拡散部材32が接続(結合)され、熱拡散部材32の下には薄い絶縁部材36を介して冷却器37が接続(結合)される。冷却器37の外枠は熱伝導率の高い銅などの金属製で、内部を冷媒が循環する。
【0022】
素子で発生する熱は、基本的に熱拡散部材32を垂直に伝導して冷却器37に到達し、ここで熱交換が行われる。熱拡散部材32には、内部に熱伝導率の異なる少なくとも2つの充填部材を内包した密閉空間35を備えている。熱伝導率の異なる少なくとも2つの充填部材としては、気体(例えば空気)33及び液体(例えば水)34を用いている。熱伝導率が相対的に高い充填部材が液体34、熱伝導率が相対的に低い充填部材が気体33である。なお、熱拡散部材32のうち密閉空間35を除いた残りの固体部分の熱伝導率は、気体33及び液体34よりも高くなっている。
【0023】
密閉空間35は、整流素子12aとスイッチング素子11aとが並ぶ方向での縦断面で見たとき、図4(a)に示したように平行四辺形となるように形成する。同縦断面でみたとき、密閉空間35の天井35aは整流素子12aの真下でかつ整流素子12aの近傍に位置して、これに対して密閉空間35の底35bはスイッチング素子11aの真下でかつスイッチング素子11aから最も離れたところに位置して配置されている。そして、天井35aと底35bの各左端を下方の斜面35cが、天井35aと底35bの各右端を上方の斜面35dがつないている。
【0024】
基板28の上から見たとき、密閉空間35の形状は、スイッチング素子11a〜11d及び整流素子12a〜12dの下部をすべてカバーする形状である。すなわち、密閉空間35の一方の(図4(b)で上方の)縦壁35eは、第1整流素子12a、第1スイッチング素子11aの上端に位置して、また密閉空間35の他方の(図4(b)で下方の)縦壁35fは、第4整流素子12d、第4スイッチング素子11dの下端に位置して設けられている。密閉空間35の左端35gは整流素子12a〜12dの左端に、密閉空間35の右端35hはスイッチング素子11a〜11dの右端にそろっている。
【0025】
なお、以下では4つの整流素子について上から第1整流素子12a、第2整流素子12b、第3整流素子12c、第4整流素子12dとして区別することがある。また、4つのスイッチング素子について上から第1スイッチング素子11a、第2スイッチング素子11b、第3スイッチング素子11c、第4スイッチング素子11dとして区別することがある。
【0026】
冷却装置31は、図5にも示したように車両41が平地に静止している状態で地上に対して平行となるように配置する。かつスイッチング素子11aが整流素子12aよりも車両後方となるように、つまり密閉空間35内の天井35aが車両前方に、密閉空間35内の底35bが車両後方にくるように車両41に配置している。
【0027】
密閉空間35内の気体33と液体34の割合は、液体34の割合の方を大きくし、液体34がスイッチング素子11aの下に多く存在するようにする。このため、液面34aは整流素子12aの真下まで延びている。
【0028】
なお、密閉空間35の縦断面形状は平行四辺形に限定されるものでない。密閉空間35の縦断面形状としては長方形でも楕円でもかまわない。ここでは、液体34が底35bに貯まっている状態から天井35aへと流動し、あるいはこの逆に液体34が天井35aに貯まっている状態から底35bへと流動することが容易に行われる形状として平行四辺形としている。
【0029】
なお、実施形態では、熱伝導率の異なる少なくとも2つの充填部材として、気体33及び液体34を用いているが、熱伝導率の異なる2つの液体を用いてもかまわない。
【0030】
図6(a)、(b)、(c)は車両の各状態毎に液体34及び気体33がどのような挙動を示すかを説明するための冷却装置31の概略縦断面図である。まず、図6(a)は車両の停止状態または車両が一定速度で走行している状態のときのもので、図4(a)と同じである。
【0031】
図6(b)は車両の加速状態または上り坂を走行中のときのもので、車両後方へと向かう重力Gにより、液面34aが斜めとなり、そのぶん気体33の縦方向の幅が拡大している。この状態では、整流素子12aから冷却器37までの熱抵抗が、図6(a)の場合より増加する。以上は、整流素子12aに着目した場合であるが、スイッチング素子11aに着目すれば、次のようになる。すなわち、図6(b)の状態では、スイッチング素子11aから冷却器37までの熱抵抗が、図6(a)の場合より減少する。
【0032】
一方、 図6(c)は車両の減速状態または下り坂を走行中のときのものである。車両前方へと向かう重力Gにより、液体34が気体33を押しのけて前方の空間を占領するため、液体34と気体33の位置が、図6(a)に示す状態とは逆転している。この状態では、整流素子12aから冷却器37までの熱抵抗が、図6(a)の場合より減少する。スイッチング素子11aに着目すれば、図6(c)の状態では、スイッチング素子11aから冷却器37までの熱抵抗が、図6(a)の場合より増大する。
【0033】
整流素子12aの発熱量は車両の加速時または上り坂走行時に相対的に少なく、車両減速時または下り坂定速走行時に相対的に増大するため、整流素子12aの発熱量が相対的に少ないときに、図6(b)に示したように液体34がスイッチング素子の側に移動した状態になることで、整流素子12aから冷却器37までの熱抵抗が大きくなる。これによって、整流素子12aを冷却し過ぎないようにすることができる。一方、整流素子12aの発熱量が相対的に多いときに、図6(c)に示したように液体34が整流素子の側に移動した状態になることで、整流素子12aから冷却器37までの熱抵抗が小さくなる。これによって、整流素子12aを十分に冷却することができる。このように、整流素子12aの発熱状態に合わせて、密閉空間35内の液体34を整流素子12aから離したり近づけたりすることが可能となったことから、整流素子12aを動作保証温度以下で高温に保つために必要となる冷却器37を小型化することができる。
【0034】
一方、スイッチング素子11aの発熱量は車両の加速時または上り坂走行時に相対的に多く、車両減速時または下り坂定速走行時に相対的に減少するため、スイッチング素子11aの発熱量が相対的に少ないときに、図6(c)に示したように液体34が整流素子12aの側に移動した状態になることで、スイッチング素子11aから冷却器37までの熱抵抗が大きくなる。これによって、スイッチング素子11aを冷却し過ぎないようにすることができる。一方、スイッチング素子11aの発熱量が相対的多いときに、図6(b)に示したように液体34がスイッチング素子11aの側に移動した状態になることで、スイッチング素子11aから冷却器37までの熱抵抗が小さくなる。これによって、スイッチング素子11aを十分に冷却することができる。このように、スイッチング素子11aに関しても、スイッチング素子11aを動作保証温度以下で高温に保つために必要となる冷却器37を小型化することができることとなっている。
【0035】
整流素子12aもスイッチング素子11aも温度変化が何度も加えられると寿命が短くなるため、温度変化を低減することが本発明の狙いである。また、一部の素子では高温になるほど効率が向上するため、「動作保証温度以下で高温に保つ」という記述をしている。
【0036】
ここで、本実施形態の作用効果を説明する。
【0037】
本実施形態によれば、スイッチング素子11a〜11dと整流素子12a〜12dとを有するパワーモジュール10(半導体素子)と、パワーモジュール10を冷却する冷却器37(冷却部材)と、パワーモジュール10と冷却器37との間に介在して、両者の結合と相互の熱伝達を行う実装部材(28、32、36)と、を備え、実装部材は、気体33及び液体34(熱伝導率の異なる少なくとも2つの充填部材)を内包し、液体34(充填部材のうち熱伝導率が相対的に高い充填部材)はスイッチング素子11と冷却器37の間に配置し、気体33(熱伝導率が相対的に低い充填部材)は整流素子12と冷却器37との間に配置している。これによって、スイッチング素子11aから冷却器37までの熱抵抗が、整流素子12aから冷却器37までの熱抵抗よりも低くなるため、整流素子12aを過冷却せずにスイッチング素子11aを冷却できる。これによって、冷却器37を小型化することが可能となり、インバータ14(電力変換器)を小型化できる。
【0038】
本実施形態によれば、実装部材には、スイッチング素子11a〜11dと整流素子12a〜12dを水平方向に実装する基板28を含み、この基板28に下方から接触すると共に、気体33及び液体34(少なくとも2つの充填部材)の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有する材質(銅などの金属)からなる熱拡散部材32を備え、この熱拡散部材32の内部に、スイッチング素子11a〜11d及び整流素子12a〜12dの下部をカバーすると共に、整流素子12a〜12dに対しては相対的に近寄り、スイッチング素子11a〜11dに対しては相対的に離れる形状の密閉空間35を形成し、気体33及び液体34をこの密閉空間35に内包させているので、定常時(車両の停止状態または車両が一定速度で走行している状態のとき)に整流素子12a〜12dから冷却器37への熱抵抗を相対的に大きく、スイッチング素子11a〜11dから冷却器37への熱抵抗を相対的に小さくすることが可能となり、整流素子12a〜12dの過冷却を防ぐことができる。
【0039】
本実施形態によれば、整流素子12a〜12dがスイッチング素子11a〜11dよりも車両前方にくるように基板28を配置すると共に、気体33及び液体34は流動し得る物質であるので、整流素子12a〜12dの発熱量が最大になる車両の減速時に気体33及び液体34が密閉空間35内を流動し、液体34が整流素子12a〜12dの下部に、気体33がスイッチング素子11a〜11dの下部にくるので(図6(c)参照)、整流素子12a〜12dから冷却器37までの熱抵抗が定常時より減少する。これによって冷却器37を小型化できる。
【0040】
本実施形態によれば、密閉空間35に内包させる少なくとも2つの充填部材の一方は気体33、つまり空気であるので、液体34の体積膨張による密閉空間の内圧を低減できる。
【0041】
本実施形態によれば、密閉空間35は、整流素子12aとスイッチング素子11aとが並ぶ方向での縦断面でみたとき、上底(天井35a)が整流素子12aに近寄り、下底(底35b)がスイッチング素子11aより離れる平行四辺形となるように形成するので、気体33及び液体34(少なくとも2つの充填部材)が流動するのに最適な形状を与えることができる。
【0042】
(第2実施形態)
図7、図8は第2実施形態の冷却装置31の概略図で、第1実施形態の図3、図4と置き換わるものである。このうち図7は冷却装置31の概略斜視図、図8(a)は整流素子とスイッチング素子とが並ぶ方向での縦断面で見た冷却装置31の概略縦断面図、図8(b)は基板28の上から冷却装置31を見た概略透視図である。図7、図8において図3、図4と同一部分には同一番号を付している。
【0043】
図8(b)に示したように、第2実施形態は、基板28の上から冷却装置31を見たとき、隣り合う2つの同じスイッチング素子11a〜11dの間にまたは隣り合う2つの同じ整流素子12a〜12dの間に、熱拡散部材32と同じ素材(熱伝導率の高い銅などの金属)の柱であって密閉空間35を垂直方向に貫く柱51を複数設けたものである。これによって、隣り合う2つのスイッチング素子同士の熱干渉または隣り合う2つの整流素子同士の熱干渉を低減すると共に、熱拡散部材32の変形を抑制することができる。
【0044】
以下、詳述する。熱拡散部材32の材質は例えば熱伝導率の高い銅などの金属であるので、液体(例えば水)34及び気体33(例えば空気)よりも熱伝導率は高い。素子(整流素子またはスイッチング素子)からの熱がどの方向に伝わるのかを考えると、柱51がない場合、素子から冷却器37への熱抵抗(素子に対して垂直方向の熱抵抗)が大きいため、素子に対して水平方向に熱が伝わり易くなる。つまり、隣の同じ素子に熱の影響を与えやすい状況になる。一方、隣り合う2つの同じ素子の間に柱51を設けると、熱は気体33の中や液体34の中を水平方向に伝わるよりもこの固体の柱51を伝って垂直方向に熱が伝わり易くなる。つまり、隣り合う2つの同じ素子の間で密閉空間35を垂直方向に貫く金属製の柱51を設けることで、素子から冷却器37までの熱抵抗が下がるのであり、水平方向への熱の伝わりを抑制することができる。
【0045】
スイッチング素子がスイッチングしたり整流素子が整流している瞬間瞬間で見ると、4つの同じ素子のうち一部の素子が休み一部の素子が働いている状態になるが、熱の伝わりの時間スケールで考えると、働く・休むのサイクルは無視でき、平均的に隣り合う2つの同じ素子のうちどちらの素子も発熱していると考えられる。また、2つの同じスイッチング素子、2つの同じ整流素子を並列で使用する場合には、並列使用される2つの同じ素子双方の熱が干渉し、並列使用される2つの同じ素子の間の部分が高温になる。従って、並列使用される2つの同じ素子の間に柱51(図8(b)で上から第1列目の柱と第3列目の柱)を介在させることによって、並列使用される2つの同じ素子双方の熱干渉で高温となることを抑制できる。
【0046】
また、密閉空間35に柱51を貫通させて設けるので、熱拡散部材32の強度が増し、これによって熱拡散部材32の変形を抑制することができる。
【0047】
第2実施形態では、柱51は円柱状であるが、この形状に限定されるものでない。
【0048】
第2実施形態によれば、気体33及び液体34(少なくとも2つの充填部材)の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有する材質(金属)からなる柱51を密閉空間35内に垂直方向に貫通させて設けると共に、この柱51の位置が基板28の上から見て基板28上で隣り合う整流素子と整流素子の間または隣り合うスイチング素子とスイッチング素子の間(2つの同じ素子の間)にくるようにするので、整流素子から発生する熱が隣の整流素子へと水平方向に伝導したりスイッチング素子から発生する熱が隣のスイッチング素子へと水平方向に伝導したりするよりも、柱51を垂直方向に冷却器37へと伝導するので、隣り合う2つの整流素子の間のまたは隣り合う2つのスイッチング素子の間の熱干渉を抑制できる。
【0049】
第2実施形態によれば、基板28の上から見たとき、密閉空間35の形状は、スイッチング素子11a〜11d及び整流素子12a〜12dの下部をすべてカバーする形状であるので、整流素子12a〜12dやスイッチング素子11a〜11dの素子密集部の熱を柱51を通して抜熱することが可能となり、素子間の温度バラツキが抑制できる。また、柱51によって熱拡散部材32の変形を抑制できる。
【0050】
(第3実施形態)
図9、図10は第3実施形態の冷却装置31の概略図で、第1実施形態の図3、図4と置き換わるものである。このうち図9は冷却装置31の概略斜視図、図10(a)は整流素子とスイッチング素子とが並ぶ方向での縦断面で見た冷却装置31の概略縦断面図、図10(b)は基板28の上から冷却装置31を見た概略透視図である。図9、図10において図3、図4と同一部分には同一番号を付している。なお、図10(a)に示す縦断面は、図4(a)と相違して第2整流素子12bと第2スイッチング素子11bとが隣合っている部分で示している。
【0051】
図10(b)に示したように、第3実施形態は、冷却装置31を基板28の上から見たとき、隣り合う異なる素子(整流素子とスイッチング素子)の間に、熱拡散部材32と同じ素材の柱であって密閉空間35を垂直方向に貫く柱52を設けたものである。これによって、隣り合う異なる素子(スイッチング素子と整流素子)の間の熱干渉を低減すると共に、熱拡散部材32の変形を抑制することができる。
【0052】
第3実施形態では、第2実施形態のように複数の柱を設けるのではなく、第2整流素子12b及び第2スイッチング素子11bから第3整流素子12c及び第3スイッチング素子11cまでを連続的に仕切る1つの中央柱52としている。
【0053】
なお、図10(b)に示したように、第1スイッチング素子11aと第1整流素子12aとの間、第4スイッチング素子11dと第4整流素子11dとの間には中央柱52は延設されていない。これは、他の素子に挟まれていない4隅にある素子(11a、11d、12a、12d)は、他の素子に挾まれている素子よりも熱干渉を受けにくいので、中央柱52を延設するまでもないためである。
【0054】
第3実施形態によれば、気体33及び液体34(少なくとも2つの充填部材)の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有する材質(銅などの金属)からなる中央柱52を密閉空間35内に垂直方向に貫通させて設けると共に、この中央柱52の位置が基板28の上から見て基板28上で隣り合う2つの異なる素子(整流素子12b、12cとスイッチング素子11b、11c)の間にくるようにするので、整流素子12b、12cから発生する熱が隣のスイッチング素子11b、11cへとまたはスイッチング素子11b、11cから発生する熱が隣の整流素子12b、12cへと水平方向に伝導するよりも中央柱52を垂直方向に冷却器37へと伝導するので、隣り合う2つの異なる素子間の熱干渉を抑制できる。
【0055】
(第4実施形態)
図11、図12は第4実施形態の冷却装置31の概略図で、第1実施形態の図3、図4と置き換わるものである。このうち図11は冷却装置31の概略斜視図、図12(a)は整流素子とスイッチング素子とが並ぶ方向での縦断面で見た冷却装置31の概略縦断面図、図12(b)は基板28の上から冷却装置31を見た概略透視図である。図11、図12において図3、図4と同一部分には同一番号を付している。
【0056】
第1実施形態では、冷却装置31を上から見たとき、図4(b)のように密閉空間35の横幅(左端35gから右端35hまでの幅)は上から下まで同じであった。これに対して、第4実施形態は、図12(b)に示したように、冷却装置31を上から見たとき、
同じ素子が並ぶ方向の中央部での密閉空間35の水平方向の幅Wcを、同じ素子が並ぶ方向の両端部での密閉空間35の水平方向の幅Weよりも相対的に狭くしたものである。すなわち、第4実施形態では、4つの同じ素子のうち、中央にある2つの素子の下面を被覆する割合を、両端にある2つの素子の下面を被覆する割合よりも相対的に小さくしている。
【0057】
熱拡散部材32のうち密閉空間35は、気体33及び液体34を内包させた空間であるため、密閉空間35を介した冷却器37との間の熱抵抗は、密閉空間35を除いた残りの固体部分を介した冷却器37との間の熱抵抗よりもともと高くなっている。冷却装置31を上から見たとき、同じ素子が並ぶ方向の中央部での密閉空間35の水平方向の幅Wcを、同じ素子が並ぶ方向の両端部での密閉空間35の水平方向の幅Weより狭くしたことは、素子が並ぶ方向の中央部にある第2、第3の素子(12b、12c、11b、11c)と冷却器37との間の熱抵抗を、同じ素子が並ぶ方向の両端部にある第1、第4の素子(12a、12d、11a、11d)と冷却器37との間の熱抵抗より相対的に小さくすることを意味する。
【0058】
第4実施形態の意図は、一列に整列している4つの同じ素子の間での温度バラツキを抑制することにある。図12(b)に示したように、4つの同じ素子が一列に整列するとき、密閉空間35の水平方向の幅が同じであるとき、その列のほぼ中心部が最も高温となる傾向にある。つまり、4つの同じ素子を一列に並べることによって相対的に高温となる部位(第2、第3の素子12b、12c、11b、11c)と相対的に低温となる部位(第1、第4の素子12a、12d、11a、11d)とが生じる。この場合に、相対的に高温となる部位の温度を相対的に低温となる部位の温度と同じにするには、相対的に高温となる部位と冷却器37の間の熱抵抗を、相対的に低温となる部位と冷却器37の間の熱抵抗より相対的に小さくしてやればよい。言い換えると、相対的に高温となる部位には密閉空間35を相対的に少なくして熱が冷却器37に伝わり易くし、相対的に高温となる部位には密閉空間35を相対的に多くして熱が冷却器37に伝わりにくくすることで、一列に並んだ4つの同じ素子の温度をほぼ同じ温度に保たせることができる。
【0059】
なお、図12(b)に示したように、スイッチング素子11a〜11dの列と、整流素子12a〜12dの列とで、密閉空間35の水平方向の幅を狭くする部位の形状が、若干相違している(図12(b)で左右対称になっていない)。これは、一般的にスイッチング素子11a〜11dの列のほうが整流素子12a〜12dの列より温度バラツキが大きいため、整流素子12a〜12dの列よりもスイッチング素子11a〜11dの列ほうが熱抵抗が小さくなるようにする必要があるためである。
【0060】
このように、第4実施形態によれば、基板28上にスイッチング素子11a〜11dと整流素子12a〜12dとを隣合わせでそれぞれ一列に整列させて実装する場合に、基板28を上から見たとき、同じ素子が並ぶ方向の中央部での密閉空間35の水平方向の幅Wcを、同じ素子が並ぶ方向の両端部での密閉空間35の水平方向の幅Weよりも相対的に狭くするので、同じ素子が並ぶ方向の中央部で積極的に抜熱することが可能となり、同じ素子を複数整列させていても、同じ素子の間の温度バラツキを低減することができる。
【0061】
(第5実施形態)
図13、図14は第5実施形態の冷却装置31の概略図で、第1実施形態の図3、図4と置き換わるものである。このうち図13は冷却装置31の概略斜視図、図14(a)は整流素子とスイッチング素子とが並ぶ方向での縦断面で見た冷却装置31の概略縦断面図、図14(b)は基板28の上から冷却装置31を見た概略透視図である。図13、図14において図3、図4と同一部分には同一番号を付している。
【0062】
図14(a)に示したように、第5実施形態は、密閉空間35の斜面35cの途中に液体34の流動を阻止する遮蔽物としての壁55を設けると共に、この壁55をバイパスして流れる孔56を斜面35cに貫通して設けたものである。
【0063】
密閉空間35内に気体33及び液体34が内包されており、気体33より重い液体34は、車両の動きに応じ、車両減速時または下り坂走行時には、液体34は斜面35cを遡って天井35aの方へ流れようとする。このとき、壁55を越えて天井35aまで流れようとする液体と、壁55で流れを堰き止められる液体とに分かれる。壁55で流れを堰き止められた液体の一部は、孔56を通って壁55より上の斜面35cへと流れ出て、さらに天井35aに向かって流れようとする。
【0064】
また、車両減速直後の加速時または下り坂走行直後の上り坂走行時には、液体34は斜面35cを下って底35bの方へ流れようとする。このとき、壁55を越えて底35bまで流れようとする液体と、壁55で流れを堰き止められる液体とに分かれる。壁55で流れを堰き止められた液体の一部は、孔56を通って壁55より下の斜面35cへと流れ出て、さらに底35bに向かって流れようとする。
【0065】
つまり、液体34の流れを堰き止めるように壁55を設ける一方で、堰き止められた液体の一部の流れを許容する孔56を設けることによって、車両減速時または下り坂走行時に液体34が天井35aに向かって流れる速度が、もしくは車両減速直後の加速時または下り坂走行直後の上り坂走行時に液体34が底35bに向かって流れる速度がそれぞれ制限されることとなる。
【0066】
第5実施形態によれば、密閉空間35の下面は、整流素子12aの側からスイッチング素子11aの側に傾く斜面35cであり、この斜面35cの途中に液体34(少なくとも2つの充填部材のうち熱伝導率が相対的に高い充填部材)の流動を阻止する壁55(遮蔽物)を設けると共に、この壁55をバイパスして流れる孔56を斜面35cに貫通して設けるので、液体34が密閉空間35内を整流素子12aの側へあるいはその後にスイッチング素子11aの側へと流動する速度を制限することが可能となり、急な加減速でも整流素子12aを過冷却せずにスイッチング素子11aを冷却できる。
【0067】
(第6実施形態)
図15、図16は第6実施形態の冷却装置31の概略図で、第1実施形態の図3、図4と置き換わるものである。このうち図15は冷却装置31の概略斜視図、図16(a)は整流素子とスイッチング素子とが並ぶ方向での縦断面で見た冷却装置31の概略縦断面図、図16(b)は基板28の上から冷却装置31を見た概略透視図である。図15、図16において図3、図4と同一部分には同一番号を付している。
【0068】
図15、図16に示したように、第6実施形態は、4つの整流素子12a〜12d及び4つのスイッチング素子11a〜11dを、隣り合う2つの異なる素子(つまり1つの整流素子とこれに隣接する1つのスイッチング素子)の4つの組に分け、各組毎に密閉空間 61〜64を設けたものである。
【0069】
第6実施形態によれば、基板28上にスイッチング素子11a〜11dと整流素子12a〜12dとを隣合わせでそれぞれ一列に整列させて実装する場合に、隣り合う一つのスイッチング素子と一つの整流素子との組み合わせ(つまり11aと12a、11bと12b、11cと12c、11dと12dの各組み合わせ)に分割し、各組み合わせごとに密閉空間61〜64を設けるので、1つの密閉空間が4つのスイッチング素子11a〜11d及び4つの整流素子12a〜12dの下部をすべてカバーする場合より個々の密閉空間61〜64が小さくなり、1つの組み合わせを構成する各々の素子に対して偏りなく気体33及び液体34を流動させることが可能となり、高精度に熱抵抗を可変にできる。
【0070】
(第7実施形態)
図17、図18は第7実施形態の冷却装置31の概略図で、第1実施形態の図3、図4と置き換わるものである。このうち図17は冷却装置31の概略斜視図、図18(a)は整流素子とスイッチング素子とが並ぶ方向での縦断面で見た冷却装置31の概略縦断面図、図18(b)は基板28の上から冷却装置31を見た概略透視図である。図17、図18において図3、図4と同一部分には同一番号を付している。
【0071】
図18(b)に示したように、第7実施形態は、気体33及び液体34(少なくとも2つの充填部材)の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有する材質(銅などの金属)からなる2種類の柱51、58を密閉空間35内に垂直方向に貫通させて設けると共に、一方の柱51の位置が基板28の上から見て基板28上で隣り合う2つの同じ素子の間に、他方の柱58の位置が隣り合う2つの異なる素子の間にくるようにしたものである。
【0072】
第7実施形態は、図7、図8に示した第2実施形態と図9、図10に示した第3実施形態とを組み合わせたものに相当する。
【0073】
(第8実施形態)
図19は第8実施形態の冷却装置31の概略斜視図、図20は第8実施形態の冷却装置31と車両との位置関係を示す概略図である。図19において第1実施形態の図3と同一部分には、また図20において第1実施形態の図5と同一部分には同一番号を付している。
【0074】
第8実施形態は、スイッチング素子11a〜11dが配置されている車両後方側を整流素子12a〜12dが配されている車両前方側よりも低くなるように冷却装置31を傾けて設けたものである。
【0075】
第8実施形態によれば、基板28と熱拡散部材32と冷却器37の全体を、車両後方の側が車両前方の側よりも低くなるように設けるので、単純な密閉空間構造で整流素子12a〜12dを過冷却せずにスイッチング素子を冷却できるため低コスト化できる。
【符号の説明】
【0076】
10 パワーモジュール(半導体素子)
11、11a〜11d スイッチング素子
12、12a〜12d 整流素子
28 基板
31 冷却装置
32 熱拡散部材
33 気体(熱伝導率が相対的に低い充填部材)
34 液体(熱伝導率が相対的に高い充填部材)
35 密閉空間
37 冷却器(冷却部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子と整流素子とを有する半導体素子と、
前記半導体素子を冷却する冷却部材と、
前記半導体素子と前記冷却部材との間に介在して、両者の結合と相互の熱伝達を行う実装部材と、
を備え、
前記実装部材は、熱伝導率の異なる少なくとも2つの充填部材を内包し、充填部材のうち熱伝導率が相対的に高い充填部材は前記スイッチング素子と前記冷却部材の間に配置し、熱伝導率が相対的に低い充填部材は前記整流素子と前記冷却部材との間に配置することを特徴とする電力変換器。
【請求項2】
前記実装部材には、前記スイッチング素子と前記整流素子を水平方向に実装する基板を含み、
この基板に下方から接触すると共に、前記少なくとも2つの充填部材の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有する材質からなる熱拡散部材を備え、
この熱拡散部材の内部に、前記スイッチング素子及び整流素子の下部をカバーすると共に、前記整流素子に対しては相対的に近寄り、前記スイッチング素子に対しては相対的に離れる形状の密閉空間を形成し、前記少なくとも2つの充填部材をこの密閉空間に内包させることを特徴とする請求項1に記載の電力変換器。
【請求項3】
前記整流素子が前記スイッチング素子よりも車両前方にくるように前記基板を配置すると共に、前記少なくとも2つの充填部材は流動し得る物質であることを特徴とする請求項2に記載の電力変換器。
【請求項4】
前記少なくとも2つの充填部材の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有する材質からなる柱を前記密閉空間内に垂直方向に貫通させて設けると共に、この柱の位置が前記基板の上から見て前記基板上で隣り合う2つの同じ素子の間にまたは隣り合う2つの異なる素子の間にくるようにすることを特徴とする請求項2または3に記載の電力変換器。
【請求項5】
前記基板の上から見たとき、前記密閉空間の形状は、前記スイッチング素子及び前記整流素子の下部をカバーする形状であることを特徴とする請求項4に記載の電力変換器。
【請求項6】
前記基板上に前記スイッチング素子と前記整流素子とを隣合わせでそれぞれ一列に整列させて実装する場合に、
隣り合う一つのスイッチング素子と一つの整流素子との組み合わせに分割し、各組み合わせごとに前記密閉空間を設けることを特徴とする請求項3から5までのいずれか一つに記載の電力変換器。
【請求項7】
前記基板上に前記スイッチング素子と前記整流素子とを隣合わせでそれぞれ一列に整列させて実装する場合に、
前記基板を上から見たとき、同じ素子が並ぶ方向の中央部での前記密閉空間水平方向の幅を、同じ素子が並ぶ方向の両端部での前記密閉空間の水平方向の幅よりも相対的に狭くすることを特徴とする請求項2から5までのいずれか一つに記載の電力変換器。
【請求項8】
前記密閉空間の下面は、前記整流素子の側から前記スイッチング素子の側に傾く斜面であり、
この斜面の途中に前記少なくとも2つの充填部材のうち熱伝導率が相対的に高い充填部材の流動を阻止する遮蔽物を設けると共に、この遮蔽物をバイパスして流れる孔を前記斜面に貫通して設けることを特徴とする請求項3から5までのいずれか一つに記載の電力変換器。
【請求項9】
前記基板と前記熱拡散部材と前記冷却部材の全体を、車両後方の側が車両前方の側よりも低くなるように設けることを特徴とする請求項2から8までのいずれか一つに記載の電力変換器。
【請求項10】
前記少なくとも2つの充填部材は水と空気であることを特徴とする請求項1から9までのいずれか一つに記載の電力変換器。
【請求項11】
前記密閉空間は、前記整流素子と前記スイッチング素子とが並ぶ方向での縦断面で見たとき、上底が整流素子に近寄り、下底がスイッチング素子より離れる平行四辺形となるように形成することを特徴とする請求項3から10までのいずれか一つに記載の電力変換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−5194(P2012−5194A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135887(P2010−135887)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】