説明

電力変換装置、及び電力変換システム

【課題】電力変換装置の本来の機能を維持しつつ、蓄電池のメンテナンスを行うことができる電力変換装置、及びこれを用いた電力変換システムを提供する。
【解決手段】電力変換器4a,4b,4cと全体制御部3とを備え、電力変換器4a,4b,4cは、組電池91とPWMコンバータ8とを備え、全体制御部3は、組電池91にメンテナンスの必要が生じていない場合、各電力変換器4の各PWMコンバータ8によって、送電線Luとの間で入出力される電力量をそれぞれ調節させる通常処理を実行し、各電力変換器4の各組電池91のうちいずれかにメンテナンスの必要が生じた場合、当該メンテナンスの必要が生じた組電池91を含む電力変換器4を除く電力変換器4のPWMコンバータ8によって、送電線Luとの間で入出力される電力量をそれぞれ調節させるメンテナンス処理を実行するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池を用いて負荷への電力供給を調節する電力変換装置、及びこれを用いた電力変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
誘導性負荷が多く接続された配電系統では遅れ力率となるので、配電系統には無効電力が流れて系統電圧が不安定になる。将来的には、様々な形で分散型電源の導入が積極的に進められていくことが予想され、これに伴う配電系統の電圧変動も大きな問題となり得る。これに対し、配電系統の安定度向上および力率改善の対策として、無効電力補償装置が提案されている。このうち、自励式無効電力補償装置は、遅相から進相までの連続的な無効電力制御が可能であり、なおかつ高調波を発生しにくいという利点がある(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
また、環境配慮の観点から、風力発電や太陽光発電等の自然エネルギーを用いた発電が注目を浴びている。しかしこれらの発電量は、自然エネルギーを利用するため、風速や日照時間に依存して不規則に変動する。よって、配電系統に安定した電力を供給するために、分散電源を近傍に設置することで、変動電力を平準化する技術が知られている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0004】
このような無効電力補償装置や、変動電力の平準化を行う分散電源は、電力を蓄えるために複数の蓄電池を備えており、この蓄電池の充放電を制御することで、無効電力を補償したり、電力を平準化したりするようになっている。蓄電池への充放電は、直流で行われるので、このような無効電力補償装置や分散電源は、交流電力と直流電力とを相互に変換する電力変換装置を用いて構成されている。
【0005】
また、このような蓄電池は、電力系統で要求される電圧を出力するために、複数の二次電池が直列接続された組電池として構成されているのが一般的である。
【非特許文献1】「6.6 kVトランスレス・カスケードPWM STATCOM 三相200V 10kVAミニモデルによる動作検証」、2007年電気学会論文誌D、P781-788
【非特許文献2】「ウインドファームの出力平均化技術-風力発電電力系統安定化等技術開発」電気学会誌、VOL125、NO,11、NOV2005、pp.708−711
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の電力変換装置においては、組電池を構成する複数の二次電池相互間における容量ばらつきの発生や故障等が発生した場合、各二次電池の端子電圧を揃える均等化処理を行ったり組電池の交換を行ったりする等のメンテナンスを行うために、一度、電力変換装置を停止させる必要があり、本来の目的である、無効電力補償や電力の平準化のための運転を停止させる必要があった。
【0007】
本発明の目的は、電力変換装置の本来の機能を維持しつつ、蓄電池のメンテナンスを行うことができる電力変換装置、及びこれを用いた電力変換システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電力変換装置は、交流電力を送電する送電線の相間に直列に接続された複数の電力変換器と、前記各電力変換器と前記送電線との間で入出力される電力量を制御する電力制御部とを備え、前記各電力変換器は、蓄電池と、前記送電線から入出力される交流電力と、前記蓄電池により充放電される電力とを相互に変換すると共に、前記送電線と前記蓄電池との間で入出力される電力量を調節する変換部とを備え、前記電力制御部は、前記各電力変換器の各蓄電池にメンテナンスの必要が生じていない場合、前記各電力変換器の各変換部によって、前記送電線との間で入出力される電力量をそれぞれ調節させる通常処理を実行し、前記各電力変換器の各蓄電池のうちいずれかにメンテナンスの必要が生じた場合、当該メンテナンスの必要が生じた蓄電池を含む電力変換器を除く残余の電力変換器の各変換部によって、前記送電線との間で入出力される電力量をそれぞれ調節させるメンテナンス処理を実行する。
【0009】
この構成によれば、交流電力を送電する送電線の相間に、蓄電池を備えた複数の電力変換器が直列に接続されている。そして、各蓄電池のうちいずれかにメンテナンスの必要が生じた場合、当該メンテナンスの必要が生じた蓄電池を含む電力変換器を除く残余の電力変換器の各変換部によって、送電線との間で入出力される電力量をそれぞれ調節するメンテナンス処理が実行されるので、メンテナンスの必要が生じた電力変換器による電力調整動作をメンテナンスのために停止させても、他の電力変換器によって、送電線との間で入出力される電力量を調節することができる結果、電力変換装置の本来の機能を維持しつつ、蓄電池のメンテナンスを行うことができる。
【0010】
また、前記電力制御部は、前記通常処理において、前記各電力変換器の各変換部によって前記送電線との間で入出力される電力量の合計が、所定の目標電力量になるように、前記各変換部によって、前記送電線との間で入出力される電力量をそれぞれ調節させ、前記メンテナンス処理において、前記各変換部によって前記送電線との間で入出力される電力量の合計が、前記目標電力量になるように、前記メンテナンスの必要が生じた蓄電池を含む電力変換器を除く残余の電力変換器の各変換部によって、前記送電線との間で入出力される電力量を調節させることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、メンテナンス処理において、各変換部によって送電線との間で入出力される電力量の合計が、通常処理時と同じ目標電力量になるように、メンテナンスの必要が生じた蓄電池を含む電力変換器を除く残余の変換部によって、送電線との間で入出力される電力量がそれぞれ調節されるので、メンテナンスの必要が生じた電力変換器による電力調整動作をメンテナンスのために停止させても、他の電力変換器によって送電線との間で入出力される電力量を、通常処理時と同じ目標電力量になるように調節することができる結果、電力変換装置の本来の機能を維持しつつ、蓄電池のメンテナンスを行うことができる。
【0012】
また、前記蓄電池は、複数の二次電池を含む組電池であり、前記各電力変換器は、前記各二次電池の端子電圧の不均衡を検出すると共に、当該不均衡を検出した場合に、当該不均衡を検出した旨、前記電力制御部に通知する不均衡検出部を備え、前記電力制御部は、前記不均衡検出部から前記不均衡を検出した旨通知された場合、当該不均衡が検出された蓄電池に前記メンテナンスの必要が生じたと判定することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、不均衡検出部によって、各電力変換器が備える複数の二次電池における端子電圧の不均衡が検出されると、電力制御部によって、当該不均衡が検出された蓄電池にメンテナンスの必要が生じたと判定されて、当該不均衡が検出された蓄電池を含む電力変換器を除く残余の電力変換器の各変換部によって、送電線との間で入出力される電力量をそれぞれ調節するメンテナンス処理が実行されるので、不均衡が生じた電力変換器による電力調整動作をメンテナンスのために停止させても、他の電力変換器によって、送電線との間で入出力される電力量を調節することができる結果、電力変換装置の本来の機能を維持しつつ、不均衡が生じた蓄電池のメンテナンスを行うことができる。
【0014】
また、前記電力制御部は、前記複数の蓄電池それぞれについて、予め設定された設定時間毎に、前記メンテナンスの必要が生じたと判定するようにしてもよい。
【0015】
この構成によれば、電力制御部によって、複数の蓄電池それぞれについて、予め設定された設定時間毎にメンテナンスの必要が生じたと判定される。そして、当該メンテナンスの必要が生じたと判定された蓄電池を含む電力変換器を除く残余の電力変換器の各変換部によって、送電線との間で入出力される電力量をそれぞれ調節するメンテナンス処理が実行されるので、電力変換器による電力調整動作を、定期的にメンテナンスのために停止させても、他の電力変換器によって、送電線との間で入出力される電力量を調節することができる結果、電力変換装置の本来の機能を維持しつつ、蓄電池を定期的にメンテナンスすることができる。
【0016】
また、前記メンテナンス処理の実行期間中において、前記メンテナンスの必要が生じた蓄電池を含む電力変換器における変換部によって、当該蓄電池の充電に適した値に予め設定された設定電流を、当該蓄電池へ供給させて充電させるメンテナンス充電制御部をさらに備えることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、メンテナンス処理の実行期間中において、メンテナンスの必要が生じた蓄電池を含む電力変換器を除く残余の電力変換器の各変換部によって、送電線との間で入出力される電力量をそれぞれ調節させるのと並行して、メンテナンスの必要が生じた蓄電池を含む電力変換器における変換部によって、当該蓄電池の充電に適した値に予め設定された設定電流が蓄電池へ供給されて、端子電圧の不均衡が検出された各二次電池が充電される。そして、当該各二次電池の全てが満充電になるまで充電されると、ノイマン方式の充電反応によって、各二次電池の端子電圧が略満充電電圧で揃えられる結果、電力変換装置の本来の機能を維持しつつ、端子電圧の不均衡を低減することができる。
【0018】
また、前記電力制御部は、前記メンテナンス処理において、前記メンテナンスの必要が生じた蓄電池を含む電力変換器における変換部によって前記設定電流を供給させるための電力量と、前記メンテナンスの必要が生じた蓄電池を含む電力変換器を除く残余の電力変換器の各変換部によって前記送電線との間で入出力される電力量との合計が、前記目標電力量になるように、前記メンテナンスの必要が生じた蓄電池を含む電力変換器を除く残余の電力変換器の各変換部によって、前記送電線との間で入出力される電力量を調節させることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、メンテナンスの必要が生じた蓄電池に前記設定電流を供給するための電力を含めて、各電力変換器によって送電線との間で入出力される電力量を目標電力量に一致させることができる。
【0020】
また、前記複数の二次電池は、アルカリ二次電池であることが好ましい。
【0021】
アルカリ二次電池は、ノイマン方式の充電反応を生じるので、上記二次電池として適している。
【0022】
また、前記各電力変換器における蓄電池のSOCを検出するSOC検出部と、前記SOC検出部によって検出された各蓄電池のSOCのうち前記メンテナンスの必要が生じていない蓄電池のSOCの平均値を平均SOCとして算出するSOC平均部と、前記通常処理及び前記メンテナンス処理において、前記SOC平均部によって算出された平均SOCと、前記SOC検出部によって検出された各蓄電池のSOCとの差に応じて、当該各蓄電池のSOCが当該平均SOCより小さければ、当該差が大きい蓄電池ほど充電電力量が多く放電電力量が少なくなるように、当該各蓄電池のSOCが当該平均SOCより大きければ、当該差が大きい蓄電池ほど充電電力量が少なく放電電力量が多くなるように、前記電力制御部による前記電力量の調節を行わせるSOC制御部とをさらに備えることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、SOC検出部によって、各電力変換器における蓄電池のSOCが検出され、SOC検出部によって検出された各蓄電池のSOCのうちメンテナンスの必要が生じていない蓄電池のSOCの平均値が、SOC平均部によって平均SOCとして算出される。そして、平均SOCと、各蓄電池のSOCとの差に応じて、当該各蓄電池のSOCが当該平均SOCより小さければ、当該差が大きい蓄電池ほど充電電力量が多く放電電力量が少なくなるように、当該各蓄電池のSOCが当該平均SOCより大きければ、当該差が大きい蓄電池ほど充電電力量が少なく放電電力量が多くなるように、送電線と蓄電池との間で入出力される電力量が調整される。
【0024】
そうすると、SOCが平均SOCより小さい蓄電池は、充電時には充電電力が増大され、放電時には充電電力が減少される。一方、SOCが平均SOCより大きい蓄電池は、充電時には充電電力が減少され、放電時には充電電力が増大される。これにより、各蓄電池のSOCが、平均SOCに近づけられる結果、各蓄電池間でのSOCのばらつきが低減される。
【0025】
また、本発明に係る電力変換システムは、前記交流電力は、多相交流電力であり、上述の電力変換装置を、前記多相交流電力における各相にそれぞれ対応して複数備え、前記各電力変換装置の各電力変換器における蓄電池のSOCを検出するSOC検出部と、前記SOC検出部によって検出された各蓄電池のSOCのうち前記メンテナンスの必要が生じていない蓄電池のSOCの平均値を、前記電力変換装置毎に平均SOCとして算出するSOC平均部と、前記複数の電力変換装置に含まれる前記メンテナンスの必要が生じていない蓄電池のSOCの平均値をSOC目標値として算出する全体SOC平均部と、前記通常処理及び前記メンテナンス処理において、前記全体SOC平均部によって算出されたSOC目標値と、前記SOC平均部によって算出された前記電力変換装置毎の平均SOCとの差に応じて、当該平均SOCが当該SOC目標値より小さければ、当該差が大きい電力変換装置ほど充電電力量が多く放電電力量が少なくなるように、当該平均SOCがSOC目標値より大きければ、当該差が大きい電力変換装置ほど充電電力量が少なく放電電力量が多くなるように、前記電力制御部による前記電力量の調節を行わせる全体SOC制御部とをさらに備える。
【0026】
この構成によれば、SOC検出部によって、各電力変換器における蓄電池のSOCが検出され、SOC平均部によって、メンテナンスの必要が生じていない各蓄電池のSOCが電力変換装置毎に平均されて電力変換装置毎の平均SOCが算出される。また、全体SOC平均部によって、複数の電力変換装置に含まれるメンテナンスの必要が生じていない各蓄電池のSOCの平均値がSOC目標値として算出される。そして、SOC目標値と、電力変換装置毎の平均SOCとの差に応じて、当該平均SOCが当該SOC目標値より小さければ、当該差が大きい電力変換装置ほど充電電力量が多く放電電力量が少なくなるように、当該平均SOCがSOC目標値より大きければ、当該差が大きい電力変換装置ほど充電電力量が少なく放電電力量が多くなるように、送電線と蓄電池との間で入出力される電力量が調整される。
【0027】
そうすると、平均SOCがSOC目標値より小さい電力変換装置の各蓄電池は、充電時には充電電力が増大され、放電時には充電電力が減少される。一方、平均SOCがSOC目標値より大きい電力変換装置の各蓄電池は、充電時には充電電力が減少され、放電時には充電電力が増大される。これにより、各電力変換装置の平均SOCが、SOC目標値に近づけられる結果、各電力変換装置間での平均SOCのばらつきが低減される。
【0028】
また、前記送電線は、Y結線された三相交流配線であり、前記三相交流における各相と中性点との間に、前記電力変換装置がそれぞれ介設されていることが好ましい。
【0029】
この構成によれば、Y結線された三相交流電源系統において、電力調整を行う電力変換装置の本来の機能を維持しつつ、蓄電池のメンテナンスを行うことができる。
【0030】
また、前記送電線は、△結線された三相交流配線であり、前記三相交流における各相の相互間に、前記電力変換装置がそれぞれ介設されているようにしてもよい。
【0031】
この構成によれば、△結線された三相交流電源系統において、電力調整を行う電力変換装置の本来の機能を維持しつつ、蓄電池のメンテナンスを行うことができる。
【発明の効果】
【0032】
このような構成の電力変換装置は、交流電力を送電する送電線の相間に、蓄電池を備えた複数の電力変換器が直列に接続されている。そして、各蓄電池のうちいずれかにメンテナンスの必要が生じた場合、当該メンテナンスの必要が生じた蓄電池を含む電力変換器を除く残余の電力変換器の各変換部によって、送電線との間で入出力される電力量をそれぞれ調節するメンテナンス処理が実行されるので、メンテナンスの必要が生じた電力変換器による電力調整動作を、メンテナンスのために停止させても、他の電力変換器によって、送電線との間で入出力される電力量を調節することができる結果、電力変換装置の本来の機能を維持しつつ、蓄電池のメンテナンスを行うことができる。
【0033】
また、このような構成の電力変換システムは、SOC検出部によって、各電力変換器における蓄電池のSOCが検出され、SOC平均部によって、メンテナンスの必要が生じていない各蓄電池のSOCが電力変換装置毎に平均されて電力変換装置毎の平均SOCが算出される。また、全体SOC平均部によって、複数の電力変換装置に含まれるメンテナンスの必要が生じていない各蓄電池のSOCの平均値がSOC目標値として算出される。そして、SOC目標値と、電力変換装置毎の平均SOCとの差に応じて、当該平均SOCが当該SOC目標値より小さければ、当該差が大きい電力変換装置ほど充電電力量が多く放電電力量が少なくなるように、当該平均SOCがSOC目標値より大きければ、当該差が大きい電力変換装置ほど充電電力量が少なく放電電力量が多くなるように、送電線と蓄電池との間で入出力される電力量が調整される。
【0034】
そうすると、平均SOCがSOC目標値より小さい電力変換装置の各蓄電池は、充電時には充電電力が増大され、放電時には充電電力が減少される。一方、平均SOCがSOC目標値より大きい電力変換装置の各蓄電池は、充電時には充電電力が減少され、放電時には充電電力が増大される。これにより、各電力変換装置の平均SOCが、SOC目標値に近づけられる結果、各電力変換装置間での平均SOCのばらつきが低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態に係る電力変換システムを備えた電力システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0036】
図1に示す電力システム100は、発電装置101と、負荷装置102とが三相交流の送電線Lu,Lv.Lwで接続され、例えばY結線された送電線Lu,Lv.Lw間に電力変換システム1が接続されて構成されている。
【0037】
電力変換システム1は、電力変換クラスタ2u,2v,2wと、全体制御部3(電力制御部)とを備えて構成されている。電力変換クラスタ2uは、U相の送電線Luと三相の中性点P0との間に接続され、電力変換クラスタ2vは、V相の送電線Lvと中性点P0との間に接続され、電力変換クラスタ2wは、W相の送電線Lwと中性点P0との間に接続されている。
【0038】
すなわち、U相とV相との間に電力変換クラスタ2u,2vが接続され、V相とW相との間に電力変換クラスタ2v,2wが接続され、V相とU相との間に電力変換クラスタ2w,2uが接続されている。
【0039】
発電装置101は、発電電力を示す情報を、発電量Pg(供給電力量)として全体制御部3へ出力する。また、負荷装置102は、消費電力を示す情報を、消費電力Pc(消費電力量)として全体制御部3へ出力する。
【0040】
そして、全体制御部3は、発電量Pg、消費電力Pc、及び電力変換クラスタ2u,2v,2wから得られた信号に応じて電力変換クラスタ2u,2v,2wと送電線Lu,Lv.Lwとの間で入出力される電力量を制御する。また、全体制御部3は、後述する不均衡検出部922のうち少なくとも一つによって、不均衡が生じていると判定された場合、不均衡を低減するべくメンテナンス処理を実行する。
【0041】
この場合、電力変換クラスタ2uと全体制御部3、電力変換クラスタ2vと全体制御部3、及び電力変換クラスタ2wと全体制御部3とが、それぞれ請求項における電力変換装置の一例に相当している。なお、全体制御部3の一部が電力変換クラスタ2u,2v,2wに組み込まれて電力変換装置が構成されていてもよい。
【0042】
図2は、図1に示す電力変換システム1、及び電力変換クラスタ2uの構成の一例を示すブロック図である。図2に示す電力変換クラスタ2uは、電流検出器5、リアクトル6、電圧検出器7、及び電力変換器4a,4b,4cを備えている。そして、送電線Luから、電流検出器5、リアクトル6、及び電力変換器4a,4b,4cを介して中性点P0に接続されている。
【0043】
なお、電力変換クラスタ2v,2wは、いずれも電力変換クラスタ2uと同様に構成されているので、その詳細の記載を省略する。
【0044】
電力変換器4a,4b,4cは、互いに同様に構成されており、それぞれ単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8(変換部)、電池パック9、キャパシタ10、及び直流電圧検出部11を備えて構成されている。図2においては、電力変換器4aの構成のみ図示し、電力変換器4b,4cの内部構成については電力変換器4aと同様であるので図示を省略している。
【0045】
なお、以下の説明において、電力変換クラスタ2u,2v,2wを総称する場合には添え字を省略して電力変換クラスタ2と記載し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。また、電力変換クラスタ2u,2v,2wがそれぞれ備える電力変換器4a,4b,4cを総称する場合には添え字を省略して電力変換器4と記載し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0046】
単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8は、スイッチング素子Q1,Q2の直列回路と、スイッチング素子Q3,Q4の直列回路とがブリッジ状に並列接続されて構成されている。そして、スイッチング素子Q1,Q2の接続点P1及びスイッチング素子Q3,Q4の接続点P2が、単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8の交流側入出力端子すなわち電力変換器4の入出力端子として用いられる。
【0047】
また、スイッチング素子Q1,Q3の接続点P3と、スイッチング素子Q2,Q4の接続点P4との間に、キャパシタ10と直流電圧検出部11と電池パック9との並列回路が接続されている。この場合、接続点P3,P4が、単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8の直流側入出力端子となっている。
【0048】
スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4としては、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体スイッチング素子が用いられる。
【0049】
そして、電力変換器4aの接続点P1がリアクトル6、及び電流検出器5を介してトランスレスで送電線Luに接続され、電力変換器4aの接続点P2が電力変換器4bの接続点P1に接続され、電力変換器4bの接続点P2が電力変換器4cの接続点P1に接続され、電力変換器4cの接続点P2が中性点P0に接続されることで、電力変換器4a,4b,4cの各単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8における交流側がカスケード接続されて、電力変換器4a,4b,4cが直列接続されている。このようにして、直列接続された電力変換器4a,4b,4cが、電流検出器5とリアクトル6とを介して送電線Luに接続されている。
【0050】
そして、電流検出器5、リアクトル6、及び電力変換器4a,4b,4cの直列回路と並列に、電圧検出器7が接続されている。電圧検出器7は、例えば分圧抵抗を用いて構成されている。そして、電圧検出器7は、例えばU相の電圧(送電線Luと中性点P0との間の電圧)を分圧することにより検出し、その分圧電圧をU相の電圧瞬時値を示す電圧値Vuとして全体制御部3へ出力する。
【0051】
同様に、電力変換クラスタ2vにおける電圧検出器7は、V相の電圧を検出してその電圧値Vvを全体制御部3へ出力し、電力変換クラスタ2wにおける電圧検出器7は、W相の電圧を検出してその電圧値Vwを全体制御部3へ出力する。
【0052】
電力変換クラスタ2u,2v,2wにおける各電流検出器5は、各電力変換クラスタに入出力される電流を検出し、例えばその瞬時値をアナログ信号で示した電流値Iu,Iv,Iwを全体制御部3へ出力する。
【0053】
図3は、図2に示す電池パック9の構成の詳細の一例を示すブロック図である。図3に示す電池パック9は、組電池91と、電池制御部92と、電池電圧検出部93と、電池電流検出器94とを備えている。
【0054】
組電池91は、例えば、複数の電池ブロック911,912,913,914,915が直列に接続されて、構成されている。また、電池ブロック911,912,913,914,915は、それぞれ例えばNi−MH電池(ニッケル水素二次電池)が20セル、直列、並列、又は直列と並列とを組み合わせて接続されて、構成されている。
【0055】
電池ブロック911,912,913,914,915を構成する素電池は、ニッケル水素二次電池に限らず、種々の二次電池を用いることができ、素電池の数も20セルに限らない。また、電池ブロックの数も5つに限らない。例えば、電池ブロック911,912,913,914,915をそれぞれ1つの素電池で構成してもよい。
【0056】
なお、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池等のアルカリ二次電池を用いた場合には、後述するノイマン方式の充電反応を利用して、各二次電池間の端子電圧のばらつきを低減することが容易となる。
【0057】
組電池91は請求項における蓄電池の一例に相当し、電池ブロック911,912,913,914,915は請求項における二次電池の一例に相当している。
【0058】
電池電流検出器94は、例えば電流検出用のシャント抵抗や電流変成器、及びアナログデジタル変換器等によって構成されている。そして、電池電流検出器94は、例えば組電池91の充電電流をプラスの電流値Ibで、放電電流をマイナスの電流値Ibで表す信号を、電池制御部92へ出力する。
【0059】
電池電圧検出部93は、例えば、電池ブロック911,912,913,914,915の端子電圧を検出するブロック電圧検出器931,932,933,934,935を備えて構成されている。ブロック電圧検出器931,932,933,934,935は、それぞれ、対応する電池ブロックの端子電圧を分圧する分圧回路や、アナログデジタル変換器等によって構成されている。
【0060】
そして、ブロック電圧検出器931,932,933,934,935は、電池ブロック911,912,913,914,915の端子電圧Vb1,Vb2,Vb3,Vb4,Vb5を表す信号を、電池制御部92へ出力する。
【0061】
なお、電池電圧検出部93や電池電流検出器94にはアナログデジタル変換器を備えず、電池制御部92にアナログデジタル変換器を備える構成としてもよい。また、電池電圧検出部93や電池電流検出器94と、電池制御部92との間には、フィルタ回路や絶縁回路が設けられていていてもよい。
【0062】
そして、組電池91の正極(電池ブロック911の正極)が電池電流検出器94を介して接続点P3に接続され、組電池91の負極(電池ブロック915の負極)が接続点P4に接続されている。
【0063】
電池制御部92は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶された不揮発性のROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、通信部923と、その周辺回路等とを備えて構成されている。そして、電池制御部92は、例えばROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、SOC検出部921及び不均衡検出部922として機能する。
【0064】
SOC検出部921は、組電池91の満充電容量に対する充電電荷量の比率であるSOC(State Of Charge)を検出し、そのSOCの値を示す信号SOC(u1)を、通信部923を介して全体制御部3へ出力する。SOCの検出方法としては、電池電流検出器94で検出された電流値Ibを積算する方法や、電池電圧検出部93で検出された端子電圧Vb1,Vb2,Vb3,Vb4,Vb5からSOCを推定する方法等が用いられる。
【0065】
同様に、電力変換器4bにおけるSOC検出部921は、信号SOC(u2)を全体制御部3へ出力し、電力変換器4cにおけるSOC検出部921は、信号SOC(u3)を全体制御部3へ出力する。
【0066】
不均衡検出部922は、電池電圧検出部93で検出された端子電圧Vb1,Vb2,Vb3,Vb4,Vb5に基づいて、各端子電圧のばらつき度合い(不均衡)を判定する。具体的には、不均衡検出部922は、端子電圧Vb1,Vb2,Vb3,Vb4,Vb5の分散値や任意の端子電圧間の電圧差、例えば端子電圧Vb1,Vb2,Vb3,Vb4,Vb5の最大値と最小値との差を測定し、当該差がある定められた判定値以上であるならば、端子電圧の不均衡が生じていると判定し、全体制御部3によるメンテナンス処理を要求するべく不均衡が生じている旨の判定結果情報Mu1〜Mu3,Mv1〜Mv3,Mw1〜Mw3を、通信部923を介して全体制御部3へ出力する。
【0067】
この場合、不均衡が生じていることが、メンテナンスの必要が生じていることを意味している。
【0068】
通信部923は、例えばシリアル又はパラレルの通信インターフェイス回路であり、SOC検出部921で得られた組電池91のSOCや、不均衡検出部922による不均衡の判定結果Mu1〜Mu3,Mv1〜Mv3,Mw1〜Mw3等の情報を、全体制御部3へ出力する。
【0069】
単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8は、送電線Luから入出力される交流電力と、組電池91により充放電される直流電力とを相互に変換する。具体的には、組電池91を充電する際には、単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8は、例えば全体制御部3からのPWM(Pulse Width Modulation)制御信号に応じたデューティ比でスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4をオン、オフさせることで、送電線Luから供給される交流電圧をチョッピングしつつ全波整流してキャパシタ10へ出力する。
【0070】
そうすると、単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8によりチョッピングされた全波整流電圧が、キャパシタ10で平滑されて、直流電圧に変換される。そして、この直流電圧が組電池91に印加されることで、組電池91に充電用の直流電力が供給される。
【0071】
なお、必ずしもキャパシタ10を備える必要はない。PWM制御信号に応じてチョッピングされた全波整流電圧は、擬似的に直流電圧と見なすことができるので、このようにして得られた擬似的な直流電圧を組電池91に印加することで、組電池91に擬似的な直流電力を供給することができる。
【0072】
一方、組電池91を放電させて送電線Luへ電力を出力する際には、単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8は、例えばLu全体制御部3からのPWM制御信号に応じたデューティ比でスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4をオン、オフさせることで、組電池91の直流出力電圧をチョッピングして擬似的な交流電圧に変換し、接続点P1,P2から送電線Luへ出力する。
【0073】
全体制御部3は、スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4をオン、オフするデューティ比やタイミングを制御するPWM制御によって、送電線Luと組電池91との間で入出力される電力量を調節したり、送電線Luにおける有効電力や無効電力の補償を行ったりするようになっている。
【0074】
電力変換クラスタ2uが備える電力変換器4a,4b,4cにおける各直流電圧検出部11は、接続点P3,P4間の電圧、すなわち組電池91の端子電圧を検出し、電池電圧値VBU1,VBU2,VBU3として全体制御部3へ出力する。
【0075】
そして、電力変換クラスタ2vは、電力変換クラスタ2uにおける送電線Luの代わりに送電線Lvに接続され、電力変換クラスタ2wは、電力変換クラスタ2uにおける送電線Luの代わりに送電線Lwに接続されている。
【0076】
そして、電力変換クラスタ2vにおける電力変換器4a,4b,4cの各SOC検出部921は、信号SOC(v1),SOC(v2),SOC(v3)を全体制御部3へ出力し、電力変換クラスタ2wにおける各SOC検出部921は、信号SOC(w1),SOC(w2),SOC(w3)を全体制御部3へ出力する。
【0077】
同様に、電力変換クラスタ2vが備える電力変換器4a,4b,4cにおける各直流電圧検出部11は、電池電圧値VBV1,VBV2,VBV3を全体制御部3へ出力し、電力変換クラスタ2wが備える電力変換器4a,4b,4cにおける各直流電圧検出部11は、電池電圧値VBW1,VBW2,VBW3を全体制御部3へ出力する。
【0078】
図4は、図2に示す電力変換器4の制御に関して説明するためのブロック図である。全体制御部3は、例えば、PLL(Phase Locked Loop)回路31、A/D変換器32,33、PWM信号発生器34、及びDSP(Digital Signal Processor)35を備えて構成されている。
【0079】
各電力変換器4における直流電圧検出部11から出力された電池電圧値VBU1,VBU2,VBU3,VBV1,VBV2,VBV3,VBW1,VBW2,VBW3は、A/D変換器33によってデジタル値に変換されて、DSP35へ出力される。
【0080】
また、電流検出器5から出力された電流値Iu,Iv,Iw、及び電圧検出器7から出力された電圧値Vu,Vv,Vwは、A/D変換器32によってデジタル値に変換されて、DSP35へ出力される。
【0081】
PLL回路31は、電圧検出器7から出力された電圧値Vu,Vv,Vwを示すアナログ信号波形を逓倍することにより、電圧値Vu,Vv,Vwの位相を示す電圧位相情報Vsu,Vsv,Vswを取得し、DSP32へ送信する。例えば、電圧値Vu,Vv,Vwを示すアナログ信号波形を360逓倍したクロック信号を生成すると、1クロックが位相1度を示すこととなる。
【0082】
PWM信号発生器34は、DSP35からの各電力変換器4への電圧指示信号S(u1),S(u2),S(u3),S(v1),S(v2),S(v3),S(w1),S(w2),S(w3)に応じた電圧を、各電力変換器4の接続点P1,P2間に生じさせるように、各単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8におけるスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4のオン、オフを制御するPWM制御信号を生成する。
【0083】
PWM信号発生器34は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)で構成される。各電力変換器4における合計9台の単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8内には半導体スイッチング素子が合計36個が存在することから、PWM信号発生器34は、これら36個の半導体スイッチング素子をスイッチング制御するための、合計36種類のPWM制御信号を生成する。
【0084】
具体的には、組電池91を充電する際には、PWM信号発生器34は、各相の交流電圧が正極性の位相では、スイッチング素子Q2,Q3をオフさせたままスイッチング素子Q1,Q4をオン、オフさせ、各相の交流電圧が負極性の位相では、スイッチング素子Q1,Q4をオフさせたままスイッチング素子Q2,Q3をオン、オフさせることで整流する。そして、DSP35からの電圧指示信号で示される電圧が高いほど、スイッチング素子Q1,Q4、又はスイッチング素子Q2,Q3のオンデューティが大きくなるように、PWM制御信号を生成する。これにより、DSP35からの電圧指示信号Sに応じた電圧が、各電力変換器4の接続点P1,P2間に生じるようにされている。
【0085】
組電池91に充電される電力は、各電力変換クラスタ2に流れる電流の電流値Iu,Iv,Iwと、接続点P1,P2間の電圧との積となるから、DSP35は、電圧指示信号S(u1)等によって接続点P1,P2間の電圧を指示することによって、組電池91への充電電力を制御することができる。
【0086】
一方、組電池91を放電させる際には、PWM信号発生器34は、各相の交流電圧が正極性の位相では、スイッチング素子Q2,Q3をオフさせたままスイッチング素子Q1,Q4をオン、オフさせ、各相の交流電圧が負極性の位相では、スイッチング素子Q1,Q4をオフさせたままスイッチング素子Q2,Q3をオン、オフさせることで、組電池91の直流電圧出力を交流に変換する。
【0087】
そして、DSP35からの電圧指示信号で示される電圧が高いほど、スイッチング素子Q1,Q4、又はスイッチング素子Q2,Q3のオンデューティが大きくなるように、PWM制御信号を生成する。これにより、DSP35からの電圧指示信号Sに応じた擬似的な交流電圧が、各電力変換器4の接続点P1,P2間に生じるようにされている。
【0088】
組電池91から送電線へ放電される電力は、各電力変換クラスタ2に流れる電流の電流値Iu,Iv,Iwと、接続点P1,P2間の電圧との積となるから、DSP35は、電圧指示信号S(u1)等によって接続点P1,P2間の電圧を指示することによって、組電池91の放電電力を制御することができる。
【0089】
さらに、PWM信号発生器34は、各不均衡検出部922から出力された判定結果情報Mu1〜Mu3,Mv1〜Mv3,Mw1〜Mw3のうちいずれかが不均衡の発生を示す場合、メンテナンス処理において、当該不均衡が生じた電力変換クラスタ2を流れる電力調整のための電流が、不均衡が発生した電力変換器4の単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8をバイパスするように当該単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8におけるスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4のスイッチング動作を制御するようになっている。
【0090】
なお、各電力変換クラスタ2における電力変換器4の段数を3段としたこと、単相電力変換器を単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータにしたこと、半導体スイッチング素子としてIGBTを用いたことはあくまでも一例であって、本発明の構成を限定するものではなく、その他の段数、その他のコンバータ、その他の半導体スイッチング素子であってもよい。
【0091】
また、例えば図5に示すように、電力変換システム1aは、電力変換クラスタ2u,2v,2wが、△結線されたものであってもよい。また、系統電圧として200V系を想定したが、6.6kV系でも同様の構成で実現可能である。また、三相の交流としたが、単相であってもよい。また、接続先を系統電圧としたが、例えばUPS等の電力を貯蔵して交流出力をする装置の一部として使用してもよい。また組電池のブロック数や1ブロックのセル数は5ブロック、20セルとしたが、一例であって、その他のブロック数、セル数であってもよい。
【0092】
図6は、図4に示すDSP35の動作を説明するための原理ブロック図である。図6に示すDSP35は、目標電力設定部351、dq変換部352、相電圧目標値設定部353、全体SOC平均部354、及び組電池SOC制御ブロック355u,355v,355wを備えて構成されている。
【0093】
dq変換部352は、A/D変換器32から出力された電流値Iu,Iv,Iw、電圧値Vu,Vv,Vw、及びPLL回路31から出力された電圧位相情報Vsu,Vsv,Vswに基づいて、U,V,W相それぞれについて、有効電流であるd軸電流値i(d)と無効電流であるq軸電流値i(q)とを算出し、それぞれ対応する相の組電池SOC制御ブロック355へ出力する。
【0094】
d軸電流値i(d)及びq軸電流値i(q)は、例えばd−q変換として知られている公知技術(例えば、オーム社出版、電気学会・半導体電力変換 システム調査専門委員会編 パワーエレクトロニクス回路 参照)を用いて算出することができる。
【0095】
目標電力設定部351は、発電装置101から出力された発電量Pgと、負荷装置102から出力された消費電力Pcとの差(Pg−Pc)を、U,V,W相に対応して目標電力量Pref(u),Pref(v),Pref(w)として算出し、相電圧目標値設定部353へ出力する。なお、Pref(u),Pref(v),Pref(w)は通常略等しいので、以下、目標電力量Pref(u),Pref(v),Pref(w)をまとめて目標電力量Prefと記載する。
【0096】
相電圧目標値設定部353は、目標電力設定部351から出力された目標電力量Pref、dq変換部352から出力された各相のd軸電流値i(d)、A/D変換器32から出力された電流値Iu,Iv,Iw、電圧値Vu,Vv,Vw、及びPLL回路31から出力された電圧位相情報Vsu,Vsv,Vswに基づいて、電力変換クラスタ2u,2v,2wからそれぞれ出力させるべき電圧目標値Vtu,Vtv,Vtw(瞬時値)を設定する。
【0097】
具体的には、例えば相電圧目標値設定部353は、相毎の目標電力量Prefを、各相のd軸電流値i(d)で除算して電圧値を算出し、電圧位相情報Vsu,Vsv,Vsw、電流値Iu,Iv,Iw、及び電圧値Vu,Vv,Vwに基づき当該電圧値の位相を調整することで、各相の電圧目標値Vtu,Vtv,Vtwを設定する。ここで、電力変換クラスタ2u,2v,2wへの入出力電流の電流値Iu,Iv,Iwは、Iu=Pref/Vu、Iv=Pref/Vv、Iw=Pref/Vwとなる。
【0098】
全体SOC平均部354は、各電力変換器4の電池制御部92から定期的にDSP32へ送り続けられたすべてのSOC(u1),SOC(u2),SOC(u3),SOC(v1),SOC(v2),SOC(v3),SOC(w1),SOC(w2),SOC(w3)のうち、不均衡が生じていない組電池91のSOCの平均値を、SOC目標値(ref)として算出し、組電池SOC制御ブロック355u,355v,355wへ出力する。
【0099】
このとき、全体SOC平均部354は、各不均衡検出部922から出力された判定結果情報Mu1〜Mu3,Mv1〜Mv3,Mw1〜Mw3に基づいて、各組電池91の不均衡の有無を判定する。
【0100】
図7は、図6に示す組電池SOC制御ブロック355uの構成の一例を示すブロック図である。図8は、図6に示す組電池SOC制御ブロック355vの構成の一例を示すブロック図である。図9は、図6に示す組電池SOC制御ブロック355wの構成の一例を示すブロック図である。
【0101】
図8、図9に示す組電池SOC制御ブロック355v,355wは、図7に示す組電池SOC制御ブロック355uと同様に構成されており、各ブロックに入出力される信号名のみが異なっている。
【0102】
図7、図8、図9に示す組電池SOC制御ブロック355u,355v,355wは、クラスタ内SOC制御部551,552,553(SOC制御部)、クラスタ内SOC平均部554(SOC平均部)、クラスタ間SOC制御部555(全体SOC制御部)、加算器561,562,563、メンテナンス充電制御部571,572,573、及びセレクタ581,582,583を備えている。
【0103】
組電池SOC制御ブロック355uにおけるクラスタ内SOC平均部554は、判定結果情報Mu1,Mu2,Mu3のいずれもが不均衡が生じていないことを示す場合、通常処理を実行するべくSOC(u1)、SOC(u2)、及びSOC(u3)の平均値を、下記の式(1)によってクラスタ内平均SOC(uave)として算出し、クラスタ内SOC制御部551,552,553、及びクラスタ間SOC制御部555へ出力する。
【0104】
SOC(uave)={SOC(u1)+SOC(u2)+SOC(u3)}/3 ・・・(1)
一方、組電池SOC制御ブロック355uにおけるクラスタ内SOC平均部554は、判定結果情報Mu1,Mu2,Mu3のいずれかが不均衡を生じていることを示す場合、組電池SOC制御ブロック355uにおいて不均衡が生じている電力変換器4をのぞく残余の電力変換器4における組電池91のSOCの平均値を、SOC(uave)として算出し、クラスタ内SOC制御部551,552,553、及びクラスタ間SOC制御部555へ出力する。
【0105】
例えば、判定結果情報Mu1が不均衡を生じていることを示す場合、クラスタ内SOC平均部554は、下記の式(1)’に基づいてクラスタ内平均SOC(uave)を算出する。
【0106】
SOC(uave)={SOC(u2)+SOC(u3)}/2 ・・・(1)’
同様に、組電池SOC制御ブロック355vにおけるクラスタ内SOC平均部554は、判定結果情報Mv1,Mv2,Mv3のいずれもが不均衡が生じていないことを示す場合、通常処理を実行するべく下記の式(2)に基づいて、クラスタ内平均SOC(vave)を算出し、判定結果情報Mv1,Mv2,Mv3のいずれかが不均衡を生じていることを示す場合、メンテナンス処理を実行するべく組電池SOC制御ブロック355vにおいて不均衡が生じている電力変換器4をのぞく残余の電力変換器4における組電池91のSOCの平均値を、クラスタ内平均SOC(vave)として算出する。
【0107】
SOC(vave)={SOC(v1)+SOC(v2)+SOC(v3)}/3 ・・・(2)
また、組電池SOC制御ブロック355wにおけるクラスタ内SOC平均部554は、判定結果情報Mw1,Mw2,Mw3のいずれもが不均衡が生じていないことを示す場合、通常処理を実行するべく下記の式(3)に基づいて、クラスタ内平均SOC(wave)を算出し、判定結果情報Mw1,Mw2,Mw3のいずれかが不均衡を生じていることを示す場合、メンテナンス処理を実行するべく組電池SOC制御ブロック355wにおいて不均衡が生じている電力変換器4をのぞく残余の電力変換器4における組電池91のSOCの平均値を、クラスタ内平均SOC(wave)として算出する。
【0108】
SOC(wave)={SOC(w1)+SOC(w2)+SOC(w3)}/3 ・・・(3)
組電池SOC制御ブロック355u,355v,355wにおける各クラスタ間SOC制御部555は、それぞれ自クラスタにおける各組電池91の平均SOCであるクラスタ内平均SOCと、電力変換システム1全体(全クラスタ)の各組電池91のSOCの平均値であるSOC目標値(ref)との差を減少させるように相電圧目標値設定部353から出力された電圧目標値Vtu,Vtv,Vtwを各電力変換器4に配分するように、交流側端子電圧(接続点P1,P2間電圧)を制御するための制御信号S(Au1),S(Au2),S(Au3),S(Av1),S(Av2),S(Av3),S(Aw1),S(Aw2),S(Aw3)を生成し、各組電池SOC制御ブロック355における加算器561,562,563へ出力する。
【0109】
以下、制御信号S(Au1),S(Au2),S(Au3)を総称して制御信号S(Au)と称し、制御信号S(Av1),S(Av2),S(Av3)を総称して制御信号S(Av)と称し、制御信号S(Aw1),(Aw2),S(Aw3)を総称して制御信号S(Aw)と称する。
【0110】
制御信号S(Au)、S(Av)、S(Aw)は、電圧瞬時値を示しており、リアルタイムに変動するデジタル値で表されている。
【0111】
具体的には、各クラスタ間SOC制御部555は、各組電池91を充電させる際は、クラスタ内平均SOCがSOC目標値(ref)より小さければその差が大きいほど交流側端子電圧を増大させるように、すなわち組電池91へ供給される充電電力(電流)が増大するように電圧目標値Vtu,Vtv,Vtwを調節して制御信号S(Au)、S(Av)、S(Aw)を設定し、クラスタ内平均SOCがSOC目標値(ref)より大きければその差が大きいほど交流側端子電圧を減少させるように、すなわち組電池91へ供給される充電電力(電流)が減少するように電圧目標値Vtu,Vtv,Vtwを調節して制御信号S(Au)、S(Av)、S(Aw)を設定する。
【0112】
一方、各クラスタ間SOC制御部555は、各組電池91を放電させる際は、クラスタ内平均SOCがSOC目標値(ref)より小さければその差が大きいほど交流側端子電圧を減少させるように、すなわち組電池91から放電される電力(電流)が減少するように電圧目標値Vtu,Vtv,Vtwを調節して制御信号S(Au)、S(Av)、S(Aw)を設定し、クラスタ内平均SOCがSOC目標値(ref)より大きければその差が大きいほど交流側端子電圧を増大させるように、すなわち組電池91から放電される電力(電流)が増大するように電圧目標値Vtu,Vtv,Vtwを調節して制御信号S(Au)、S(Av)、S(Aw)を設定する。
【0113】
これにより、電力変換クラスタ2u,2v,2wにおける各組電池91のSOCの平均が、SOC目標値(ref)に近づけられる結果、電力変換クラスタ2u,2v,2w間でのSOCのばらつきが低減されるようになっている。
【0114】
さらに、各クラスタ間SOC制御部555は、q軸電流値i(q)に基づいて、無効電力を補償するように制御信号S(Au)、S(Av)、S(Aw)の位相や電圧値を調節するようになっている。
【0115】
また、組電池SOC制御ブロック355uにおけるクラスタ間SOC制御部555は、判定結果情報Mu1,Mu2,Mu3が不均衡が生じていないことを示す場合、通常処理を行うべく、クラスタ内の全ての電力変換器4a,4b,4cに電圧目標値Vtuを配分した上で、上述のクラスタ内平均SOCに基づく調節を施した制御信号S(Au1),S(Au2),S(Au3)を、加算器561,562,563へ出力する。
【0116】
電圧目標値Vtuは、相電圧目標値設定部353によって、目標電力量Prefが得られるように設定されているので、各組電池SOC制御ブロック355によって、上述のようにして制御信号S(Au1),S(Au2),S(Au3)が生成されることで、通常処理において、各電力変換器4の各単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8によって送電線Luとの間で入出力される電力量の合計が、目標電力量Prefになるように、電力変換器4a,4b,4cによって送電線Luとの間で入出力される電力量がそれぞれ調節される。
【0117】
一方、組電池SOC制御ブロック355uにおけるクラスタ間SOC制御部555は、判定結果情報Mu1,Mu2,Mu3のうちいずれかが不均衡を生じていることを示す場合、メンテナンス処理を行うべく、当該不均衡を生じている電力変換器4を除く残余の電力変換器4に電圧目標値Vtuを配分した上で、上述のクラスタ内平均SOCに基づく調節を施した制御信号S(Au1),S(Au2),S(Au3)を、加算器561,562,563へ出力する。
【0118】
例えば、判定結果情報Mu1が不均衡を生じていることを示す場合、当該不均衡を生じている電力変換器4aの出力電圧を指示する電圧指示信号S(u1)が、後述するメンテナンス充電制御部571によって、電力変換器4aをメンテナンスするために生成される。そして、クラスタ間SOC制御部555は、電圧目標値Vtuから電圧指示信号S(u1)の指示電圧を減算した値を、当該不均衡を生じている電力変換器4aを除く残余の電力変換器4b,4cに配分することで、制御信号S(Au2),S(Au3)について、上述のクラスタ内平均SOCに基づく調節を施して加算器561,562,563へ出力する。
【0119】
各組電池SOC制御ブロック355によって、このようにして制御信号S(Au1),S(Au2),S(Au3)が生成されることで、メンテナンス処理において、メンテナンスの必要が生じた組電池91を含む電力変換器4を除く残余の各電力変換器4の各単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8によって送電線Luとの間で入出力される電力量と、メンテナンスの必要が生じた組電池91を含む電力変換器4をメンテナンスするために用いられる電力量(すなわち当該組電池91に設定電流Isを供給するために必要な電力量)との合計が、目標電力量Prefになるように、電力変換器4a,4b,4cによって、送電線Luとの間で入出力される電力量がそれぞれ調節される。
【0120】
なお、例えばメンテナンスによって組電池91を交換する場合等、メンテナンス時に均等化充電を行わない場合には、後述のメンテナンス充電制御部571,572、573は不要であり、不均衡が生じている電力変換器4で用いられる電力はゼロであるから、各組電池SOC制御ブロック355によって、メンテナンス処理において、メンテナンスの必要が生じた組電池91を含む電力変換器4を除く残余の各電力変換器4の各単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8によって送電線Luとの間で入出力される電力量と、メンテナンスの必要が生じた組電池91を含む電力変換器4をメンテナンスするために用いられる電力量との合計が、目標電力量Prefになるように、電力変換器4a,4b,4cによって、送電線Luとの間で入出力される電力量がそれぞれ調節される。
【0121】
組電池SOC制御ブロック355v,355wにおけるクラスタ間SOC制御部555についても、上述の組電池SOC制御ブロック355uにおけるクラスタ間SOC制御部555と同様にして、制御信号S(Av1),S(Av2),S(Av3)、及び
制御信号S(Aw1),(Aw2),S(Aw3)を生成する。
【0122】
なお、制御信号S(Au)、S(Av)、S(Aw)は、各電力変換器4の交流側の各相電流を検出してこれに適切なゲインをかけることによって生成してもよい。
【0123】
組電池SOC制御ブロック355uにおけるクラスタ内SOC制御部551,552,553は、電力変換クラスタ2uにおける各組電池91のSOC(u1),SOC(u2),SOC(u3)と、電力変換クラスタ2uにおける各組電池91の平均SOCであるクラスタ内平均SOC(uave)との差を減少させるように、制御信号S(Bu1),S(Bu2),S(Bu3)を生成し、加算器561,562,563へ出力する。
【0124】
制御信号S(Bu1),S(Bu2),S(Bu3)は、電圧瞬時値を示しており、リアルタイムに変動するデジタル値で表されている。
【0125】
具体的には、クラスタ内SOC制御部551,552,553は、各組電池91を充電させる際は、SOC(u1),SOC(u2),SOC(u3)がクラスタ内平均SOC(uave)より小さければその差が大きいほど制御信号S(Bu1),S(Bu2),S(Bu3)を増大させ、SOC(u1),SOC(u2),SOC(u3)がクラスタ内平均SOC(uave)より大きければ制御信号S(Bu1),S(Bu2),S(Bu3)をマイナスの値に設定すると共にその差が大きいほどその絶対値を増大させる。
【0126】
一方、クラスタ内SOC制御部551,552,553は、各組電池91を放電させる際は、SOC(u1),SOC(u2),SOC(u3)がクラスタ内平均SOC(uave)より小さければ制御信号S(Bu1),S(Bu2),S(Bu3)をマイナスの値に設定すると共にその差が大きいほどその絶対値を増大させ、SOC(u1),SOC(u2),SOC(u3)がクラスタ内平均SOC(uave)より大きければその差が大きいほど制御信号S(Bu1),S(Bu2),S(Bu3)を増大させる。
【0127】
そして、このようにして生成された制御信号S(Bu1),S(Bu2),S(Bu3)が、加算器561,562,563によって制御信号S(Au)と加算され、その加算値が、電圧指示信号S(u1),S(u2),S(u3)としてセレクタ581,582,583を介してPWM信号発生器34へ出力される。
【0128】
そうすると、SOCがクラスタ内平均SOC(uave)より小さい組電池91を備える電力変換器4の電圧指示信号Sは、充電時には制御信号S(Au)が増大されて充電電力が増大され、放電時には制御信号S(Au)が低下されて充電電力が減少される。
【0129】
一方、SOCがクラスタ内平均SOC(uave)より大きい組電池91を備える電力変換器4の電圧指示信号Sは、充電時には制御信号S(Au)が低下されて充電電力が減少され、放電時には制御信号S(Au)が増大されて充電電力が増大される。
【0130】
これにより、電力変換クラスタ2uにおける電力変換器4a,4b,4cの各組電池91のSOCが、クラスタ内平均SOC(uave)に近づけられる結果、電力変換器4a,4b,4c間でのSOCのばらつきが低減されるようになっている。
【0131】
組電池SOC制御ブロック355v,355wにおけるクラスタ内SOC制御部551,552,553もまた、組電池SOC制御ブロック355uにおけるクラスタ内SOC制御部551,552,553と同様に動作することにより、電圧指示信号S(v1),S(v2),S(v3)、及び電圧指示信号S(w1),S(w2),S(w3)を生成し、PWM信号発生器34へ出力することで、電力変換クラスタ2v,2wにおける電力変換器4a,4b,4c間での各組電池91のSOCのばらつきが低減されるようになっている。
【0132】
メンテナンス充電制御部571,572,573は、組電池91の充電、特にノイマン方式の充電反応に適した電流値に予め設定された設定電流Isを、単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8によって組電池91に供給させるための電圧指示信号Sを生成し、セレクタ581,582,583へ出力する。
【0133】
具体的には、組電池SOC制御ブロック355uのメンテナンス充電制御部571は、例えば、A/D変換器32から出力された電流値Iuと、A/D変換器33から出力されたVBU1と、予め設定された設定電流Isとから、下記の式(4)に基づいて電圧指示信号S(u1)を生成する。
【0134】
S(u1)=Is×VBU1/Iu ・・・(4)
設定電流Isとしては、例えば1A程度の電流値を用いることができる。
【0135】
以下同様に、各組電池SOC制御ブロック355における各メンテナンス充電制御部は、下記の式(5)〜(12)に基づいて電圧指示信号S(u2),S(u3),S(v1),S(v2),S(v3),S(w1),S(w2),S(w3)を生成する。
【0136】
S(u2)=Is×VBU2/Iu ・・・(5)
S(u3)=Is×VBU3/Iu ・・・(6)
S(v1)=Is×VBV1/Iv ・・・(7)
S(v2)=Is×VBV2/Iv ・・・(8)
S(v3)=Is×VBV3/Iv ・・・(9)
S(w1)=Is×VBW1/Iw ・・・(10)
S(w2)=Is×VBW2/Iw ・・・(11)
S(w3)=Is×VBW3/Iw ・・・(12)。
【0137】
組電池SOC制御ブロック355uにおけるセレクタ581,582,583は、判定結果情報Mu1,Mu2,Mu3が、不均衡が生じていないことを示す場合、通常処理を実行するべく加算器561,562,563の出力信号を電圧指示信号S(u1),S(u2),S(u3)としてPWM信号発生器34へ出力する一方、判定結果情報Mu1,Mu2,Mu3が、不均衡が生じていることを示す場合、メンテナンス処理を実行するべくメンテナンス充電制御部571,572,573から出力された電圧指示信号S(u1),S(u2),S(u3)をPWM信号発生器34へ出力する。
【0138】
組電池SOC制御ブロック355v,355wにおけるセレクタ581,582,583についても、組電池SOC制御ブロック355uにおけるセレクタ581,582,583と同様、判定結果情報Mv1,Mv2,Mv3、及び判定結果情報Mw1,Mw2,Mw3に基づいて、加算器561,562,563及びメンテナンス充電制御部571,572,573のうちいずれか一方の出力信号を選択し、電圧指示信号S(v1),S(v2),S(v3)、及び電圧指示信号S(w1),S(w2),S(w3)としてPWM信号発生器34へ出力する。
【0139】
次に、上述のように構成された電力変換システム1の動作について説明する。まず、各電力変換器4のSOC検出部921によって、各組電池91のSOCが検出され、そのSOCの値を示す信号SOC(u1),SOC(u2),SOC(u3)、SOC(v1),SOC(v2),SOC(v3)、及びSOC(w1),SOC(w2),SOC(w3)が、全体制御部3へ出力される。
【0140】
また、各電力変換器4の不均衡検出部922によって、各電池電圧検出部93で検出された端子電圧Vb1,Vb2,Vb3,Vb4,Vb5に基づいて、各端子電圧のばらつき度合い(不均衡)が判定される。そして、各不均衡検出部922によって、各組電池91において端子電圧の不均衡が生じているか否か、すなわちメンテナンスが必要か否かを示す判定結果情報Mu1〜Mu3,Mv1〜Mv3,Mw1〜Mw3が、全体制御部3へ出力される。
【0141】
一方、全体制御部3では、目標電力設定部351によって、発電装置101から出力された発電量Pgと、負荷装置102から出力された消費電力Pcとの差(Pg−Pc)が、目標電力量Prefとして算出され、相電圧目標値設定部353へ出力される。
【0142】
また、dq変換部352によって、電流値Iu,Iv,Iw、電圧値Vu,Vv,Vw、及び電圧位相情報Vsu,Vsv,Vswに基づいて、U,V,W相それぞれについて、有効電流であるd軸電流値i(d)と無効電流であるq軸電流値i(q)とが算出されて、それぞれ対応する相の組電池SOC制御ブロック355u,355v,355wへ出力される。
【0143】
次に、相電圧目標値設定部353によって、目標電力量Pref、d軸電流値i(d)、電流値Iu,Iv,Iw、電圧値Vu,Vv,Vw、及び電圧位相情報Vsu,Vsv,Vswに基づいて、電力変換クラスタ2u,2v,2wからそれぞれ出力させるべき電圧目標値Vtu,Vtv,Vtw(瞬時値)が設定され、組電池SOC制御ブロック355u,355v,355wへ出力される。
【0144】
また、全体SOC平均部354によって、SOC(u1),SOC(u2),SOC(u3),SOC(v1),SOC(v2),SOC(v3),SOC(w1),SOC(w2),SOC(w3)のうち、不均衡が生じていない組電池91のSOCの平均値が、SOC目標値(ref)として算出され、組電池SOC制御ブロック355u,355v,355wへ出力される。
【0145】
組電池SOC制御ブロック355u,355v,355wは、同様に動作するので、以下、図7に示す組電池SOC制御ブロック355uの動作について、説明する。
【0146】
まず、判定結果情報Mu1,Mu2,Mu3のいずれもが不均衡が生じていないことを示す場合、クラスタ内SOC平均部554によって、通常処理を実行するべくSOC(u1)、SOC(u2)、及びSOC(u3)の平均値が、クラスタ内平均SOC(uave)として算出され、クラスタ内SOC制御部551,552,553、及びクラスタ間SOC制御部555へ出力される。
【0147】
一方、判定結果情報Mu1,Mu2,Mu3のいずれかが不均衡を生じていることを示す場合、メンテナンス処理を実行するべく不均衡が生じている電力変換器4をのぞく残余の電力変換器4における組電池91のSOCの平均値が、クラスタ内SOC平均部554によって、クラスタ内平均SOC(uave)として算出され、クラスタ内SOC制御部551,552,553、及びクラスタ間SOC制御部555へ出力される。
【0148】
これにより、メンテナンスが行われることにより、送電線の電力調整に用いることができなくなる電力変換器4を除く残余の電力変換器4について、クラスタ内平均SOC(uave)が算出され、このクラスタ内平均SOC(uave)に基づいて、クラスタ間SOC制御部555による制御信号S(Au1),S(Au2),S(Au3)の生成や、クラスタ内SOC制御部551,552,553による制御信号S(Bu1),S(Bu2),S(Bu3)の生成が行われる。
【0149】
これにより、電力変換器4a,4b,4cのうちいずれかについて、組電池91における各電池ブロックの端子電圧の不均衡を低減する等のメンテナンスのためにメンテナンス対象の電力変換器4が使用できない状態においても通常動作可能な他の電力変換器4によって、電力変換クラスタ2u,2v,2w間における組電池91のSOCのバラツキを低減するように各電力変換クラスタに入出力電力を配分したり、各電力変換クラスタ2における通常動作可能な電力変換器4間におけるSOCのバラツキを低減するように各電力変換器4に入出力電力を配分したりすることが可能となる。
【0150】
次に、クラスタ間SOC制御部555によって、クラスタ内平均SOCとSOC目標値(ref)との差を減少させるように、電圧目標値Vtuが、判定結果情報Mu1,Mu2,Mu3が不均衡を生じていないことを示している電力変換器4に配分されて、制御信号S(Au1),S(Au2),S(Au3)が生成されて、加算器561,562,563へ出力される。
【0151】
これにより、電力変換クラスタ2uにおける各組電池91のSOCの平均が、SOC目標値(ref)に近づけられる。同様に、電力変換クラスタ2v,2wにおける各組電池91のSOCの平均も、それぞれSOC目標値(ref)に近づけられる結果、電力変換クラスタ2u,2v,2w間でのSOCのばらつきが低減される。
【0152】
また、組電池SOC制御ブロック355uにおけるクラスタ内SOC制御部551,552,553によって、電力変換クラスタ2uにおける各組電池91のSOC(u1),SOC(u2),SOC(u3)とクラスタ内平均SOC(uave)との差を減少させるように制御信号S(Bu1),S(Bu2),S(Bu3)が生成され、加算器561,562,563へ出力される。
【0153】
そして、加算器561,562,563によって、制御信号S(Bu1),S(Bu2),S(Bu3)が制御信号S(Au1),S(Au2),S(Au3)と加算され、その加算値がセレクタ581,582,583へ出力される。
【0154】
そして、判定結果情報Mu1,Mu2,Mu3が、不均衡が生じていないこと、すなわちメンテナンスの必要がないことを示していれば、通常処理を実行するべくこの加算値が、セレクタ581,582,583によって、電圧指示信号S(u1),S(u2),S(u3)としてPWM信号発生器34へ出力される。
【0155】
そして、電圧指示信号S(u1),S(u2),S(u3)に応じたPWM制御信号が電力変換器4a,4b,4cへ出力されて、各単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8による各組電池91の充放電電力が調節されることで、電力変換クラスタ2uにおける電力変換器4a,4b,4cの各組電池91のSOCが、クラスタ内平均SOC(uave)に近づけられる結果、通常処理において電力変換器4a,4b,4c間でのSOCのばらつきが低減される。
【0156】
さらに、メンテナンス充電制御部571,572,573によって、単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8により設定電流Isを組電池91へ供給させるための電圧指示信号S(u1),S(u2),S(u3)が生成されて、セレクタ581,582,583へ出力される。
【0157】
セレクタ581,582,583では、判定結果情報Mu1,Mu2,Mu3が、不均衡が生じていること、すなわちメンテナンスの必要があることを示している場合、例えば判定結果情報Mu1のみが不均衡の発生を示している場合、セレクタ581によって、メンテナンス充電制御部571から出力された電圧指示信号S(u1)がPWM信号発生器34へ出力される。
【0158】
そうすると、電力変換器4aにおける単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8によって、設定電流Isが組電池91に供給され、電池ブロック911,912,913,914,915がそれぞれ設定電流Isで充電される。
【0159】
ここで、判定結果情報Mu1は不均衡の発生を示しているから、電池ブロック911,912,913,914,915の端子電圧Vb1,Vb2,Vb3,Vb4,Vb5には不均衡が生じている。端子電圧Vb1,Vb2,Vb3,Vb4,Vb5と電池ブロック911,912,913,914,915のSOCとの間には相関関係があるから、電池ブロック911,912,913,914,915の各SOC間にも不均衡が生じている。
【0160】
そうすると、電池ブロック911,912,913,914,915がそれぞれ設定電流Isで充電されることにより、SOCが大きい(端子電圧が高い)電池ブロックは、SOCが小さい(端子電圧が低い)電池ブロックより先に満充電になり、さらに充電が継続されると、先に満充電になった電池ブロックは過充電状態で充電されることとなる。
【0161】
ここで、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池等、アルカリ電池の場合には、過充電状態になると、正極から酸素が発生して負極へ移動し、負極で酸素が還元される(ノイマン方式)。このように酸素が移動することは、充電電荷が放電されることと同等であるため、過充電状態で充電を継続しても、満充電になった電池ブロックの端子電圧はそれ以上上昇せず、一定の電圧になる。
【0162】
このような状態で全ての電池ブロック911,912,913,914,915が満充電になるまで充電を継続すると、端子電圧Vb1,Vb2,Vb3,Vb4,Vb5が略等しくなるので、端子電圧Vb1,Vb2,Vb3,Vb4,Vb5の不均衡を解消することができる。
【0163】
一方、判定結果情報Mu2,Mu3は、不均衡が生じていないことを示しているから、加算器562,563の加算値が、電圧指示信号S(u2),S(u3)としてPWM信号発生器34へ出力される。そうすると、電圧指示信号S(u2),S(u3)に応じたPWM制御信号が電力変換器4b,4cへ出力されて、電力変換器4b,4cの各単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ8による不均衡が生じていない組電池91の充放電電力が調節される。
【0164】
これにより、電力変換器4aのメンテナンスの実行と並行して、電力変換器4b,4cによって、送電線Luにおける電力調整を行うことができるので、電力変換クラスタ2uの本来の機能を維持しつつ、電力変換器4aにおける組電池91のメンテナンスを行うことができる。
【0165】
なお、不均衡検出部922を備えて、組電池91における各電池ブロックの端子電圧の不均衡を検出することで、メンテナンスの必要の有無を判定する例を示したが、他の方法によりメンテナンスの必要の有無を判定するようにしてもよい。例えば、タイマを用いて、予め設定された設定時間毎、例えば1ヶ月経過ごとに、メンテナンスの必要が生じたと判定するようにしてもよい。
【0166】
また、組電池91における各電池ブロックの不均衡を低減する方法として、ノイマン方式の充電反応を利用する例を示したが、例えばSOCが大きい電池ブロックのみ強制的に放電させたり、SOCが小さい電池ブロックのみ充電させたりすることで、各電池ブロックの不均衡を低減するようにしてもよい。
【0167】
また、メンテナンスの種類も、組電池91における各電池ブロックの端子電圧の不均衡を低減することに限らない。また、電池のSOC状態を制御する構成を示したが、電池電圧を直接制御する方法を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明に係る電力変換装置、及び電力変換システムは、風力発電や太陽光発電等、種々の発電システムにおいて、蓄電池を用いて負荷への電力供給を調節する電力変換装置、及び電力変換システムとして、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る電力変換システムを備えた電力システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す電力変換システム、及び電力変換クラスタの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図2に示す電池パックの構成の詳細の一例を示すブロック図である。
【図4】図2に示す電力変換器の制御に関して説明するためのブロック図である。
【図5】図1に示す電力変換システムの変形例を示すブロック図である。
【図6】図4に示すDSPの動作を説明するための原理ブロック図である。
【図7】図6に示す組電池SOC制御ブロックの構成の一例を示すブロック図である。
【図8】図6に示す組電池SOC制御ブロックの構成の一例を示すブロック図である。
【図9】図6に示す組電池SOC制御ブロックの構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0170】
1,1a 電力変換システム
2,2u,2v,2w 電力変換クラスタ
3 全体制御部
4,4a,4b,4c 電力変換器
5 電流検出器
6 リアクトル
7 電圧検出器
8 単相フルブリッジ電圧形PWMコンバータ
9 電池パック
10 キャパシタ
11 直流電圧検出部
31 PLL回路
32,33 A/D変換器
34 PWM信号発生器
35 DSP
91 組電池
92 電池制御部
93 電池電圧検出部
94 電池電流検出器
100 電力システム
101 発電装置
102 負荷装置
351 目標電力設定部
352 dq変換部
353 相電圧目標値設定部
354 全体SOC平均部
355,355u,355v,355w 組電池SOC制御ブロック
551 クラスタ内SOC制御部
554 クラスタ内SOC平均部
555 クラスタ間SOC制御部
561,562,563 加算器
571,572,573 メンテナンス充電制御部
581,582,583 セレクタ
911,912,913,914,915 電池ブロック
921 SOC検出部
922 不均衡検出部
923 通信部
931,932,933,934,935 ブロック電圧検出器
Ib,Iu,Iv,Iw 電流値
Is 設定電流
Lu,Lv,Lw 送電線
Mu1〜Mu3,Mv1〜Mv3,Mw1〜Mw3 判定結果情報
P0 中性点
P1,P2,P3,P4 接続点
Pc 消費電力
Pg 発電量
Pref 目標電力量
VBU1〜VBU3,VBV1〜VBV3,VBW1〜VBW3 電池電圧値
Vb1,Vb2,Vb3,Vb4,Vb5 端子電圧
Vsu,Vsv,Vsw 電圧位相情報
Vtu,Vtv,Vtw 電圧目標値
Vu,Vv,Vw 電圧値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力を送電する送電線の相間に直列に接続された複数の電力変換器と、
前記各電力変換器と前記送電線との間で入出力される電力量を制御する電力制御部とを備え、
前記各電力変換器は、
蓄電池と、
前記送電線から入出力される交流電力と、前記蓄電池により充放電される電力とを相互に変換すると共に、前記送電線と前記蓄電池との間で入出力される電力量を調節する変換部とを備え、
前記電力制御部は、
前記各電力変換器の各蓄電池にメンテナンスの必要が生じていない場合、前記各電力変換器の各変換部によって、前記送電線との間で入出力される電力量をそれぞれ調節させる通常処理を実行し、前記各電力変換器の各蓄電池のうちいずれかにメンテナンスの必要が生じた場合、当該メンテナンスの必要が生じた蓄電池を含む電力変換器を除く残余の電力変換器の各変換部によって、前記送電線との間で入出力される電力量をそれぞれ調節させるメンテナンス処理を実行すること
を特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記電力制御部は、
前記通常処理において、前記各電力変換器の各変換部によって前記送電線との間で入出力される電力量の合計が、所定の目標電力量になるように、前記各変換部によって、前記送電線との間で入出力される電力量をそれぞれ調節させ、前記メンテナンス処理において、前記各変換部によって前記送電線との間で入出力される電力量の合計が、前記目標電力量になるように、前記メンテナンスの必要が生じた蓄電池を含む電力変換器を除く残余の電力変換器の各変換部によって、前記送電線との間で入出力される電力量を調節させること
を特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記蓄電池は、
複数の二次電池を含む組電池であり、
前記各電力変換器は、
前記各二次電池の端子電圧の不均衡を検出すると共に、当該不均衡を検出した場合に、当該不均衡を検出した旨、前記電力制御部に通知する不均衡検出部を備え、
前記電力制御部は、
前記不均衡検出部から前記不均衡を検出した旨通知された場合、当該不均衡が検出された蓄電池に前記メンテナンスの必要が生じたと判定すること
を特徴とする請求項1又は2記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記電力制御部は、
前記複数の蓄電池それぞれについて、予め設定された設定時間毎に、前記メンテナンスの必要が生じたと判定すること
を特徴とする請求項1又は2記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記メンテナンス処理の実行期間中において、前記メンテナンスの必要が生じた蓄電池を含む電力変換器における変換部によって、当該蓄電池の充電に適した値に予め設定された設定電流を、当該蓄電池へ供給させて充電させるメンテナンス充電制御部をさらに備えること
を特徴とする請求項3又は4記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記電力制御部は、
前記メンテナンス処理において、前記メンテナンスの必要が生じた蓄電池を含む電力変換器における変換部によって前記設定電流を供給させるための電力量と、前記メンテナンスの必要が生じた蓄電池を含む電力変換器を除く残余の電力変換器の各変換部によって前記送電線との間で入出力される電力量との合計が、前記目標電力量になるように、前記メンテナンスの必要が生じた蓄電池を含む電力変換器を除く残余の電力変換器の各変換部によって、前記送電線との間で入出力される電力量を調節させること
を特徴とする請求項5記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記複数の二次電池は、
アルカリ二次電池であること
を特徴とする請求項5又は6記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記各電力変換器における蓄電池のSOCを検出するSOC検出部と、
前記SOC検出部によって検出された各蓄電池のSOCのうち前記メンテナンスの必要が生じていない蓄電池のSOCの平均値を平均SOCとして算出するSOC平均部と、
前記通常処理及び前記メンテナンス処理において、前記SOC平均部によって算出された平均SOCと、前記SOC検出部によって検出された各蓄電池のSOCとの差に応じて、当該各蓄電池のSOCが当該平均SOCより小さければ、当該差が大きい蓄電池ほど充電電力量が多く放電電力量が少なくなるように、当該各蓄電池のSOCが当該平均SOCより大きければ、当該差が大きい蓄電池ほど充電電力量が少なく放電電力量が多くなるように、前記電力制御部による前記電力量の調節を行わせるSOC制御部とをさらに備えること
を特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記交流電力は、多相交流電力であり、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の電力変換装置を、前記多相交流電力における各相にそれぞれ対応して複数備え、
前記各電力変換装置の各電力変換器における蓄電池のSOCを検出するSOC検出部と、
前記SOC検出部によって検出された各蓄電池のSOCのうち前記メンテナンスの必要が生じていない蓄電池のSOCの平均値を、前記電力変換装置毎に平均SOCとして算出するSOC平均部と、
前記複数の電力変換装置に含まれる前記メンテナンスの必要が生じていない蓄電池のSOCの平均値をSOC目標値として算出する全体SOC平均部と、
前記通常処理及び前記メンテナンス処理において、前記全体SOC平均部によって算出されたSOC目標値と、前記SOC平均部によって算出された前記電力変換装置毎の平均SOCとの差に応じて、当該平均SOCが当該SOC目標値より小さければ、当該差が大きい電力変換装置ほど充電電力量が多く放電電力量が少なくなるように、当該平均SOCがSOC目標値より大きければ、当該差が大きい電力変換装置ほど充電電力量が少なく放電電力量が多くなるように、前記電力制御部による前記電力量の調節を行わせる全体SOC制御部とをさらに備えること
を特徴とする電力変換システム。
【請求項10】
前記送電線は、
Y結線された三相交流配線であり、
前記三相交流における各相と中性点との間に、前記電力変換装置がそれぞれ介設されていること
を特徴とする請求項9記載の電力変換システム。
【請求項11】
前記送電線は、
△結線された三相交流配線であり、
前記三相交流における各相の相互間に、前記電力変換装置がそれぞれ介設されていること
を特徴とする請求項9記載の電力変換システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−178495(P2010−178495A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18221(P2009−18221)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】