説明

電力消費機器管理方法、電力消費機器システム、及び、電力消費機器監視装置

【課題】一般的、社会的な基準による電力消費機器の制御が可能であり、また、ユーザー利便性及びユーザーの省エネルギー意識を向上させることができる電力消費機器管理方法等を提供する。
【解決手段】電力源から電力線を介して電力供給を受ける複数の電力消費機器と電力消費機器の監視装置とが備えられる場合における電力消費機器管理方法において、各電力消費機器にその機器による電力消費の重要度合を示す重要度レベル情報が予め記憶されると共に、各電力消費機器によってその機器による消費電力が検出され、監視装置が、随時、各電力消費機器から電力線を介して重要度レベル情報と消費電力の情報を取得して保持し、当該保持した情報を用い、電力線を介して電力消費機器を制御すると共に、重要度レベルに応じた単価による消費電力料金に関する情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力消費機器の管理方法等に関し、特に、一般的、社会的な基準による電力消費機器の制御が可能であり、また、ユーザー利便性及びユーザーの省エネルギー意識を向上させることができる電力消費機器管理方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭や店舗などの電力を使用する管理単位毎に契約電力が定められており、使用する電力がそれを超えるとブレーカーが落ち、それより下流の電力消費機器への電力供給が停止してしまう構成となっている。
【0003】
このような過電流による電力遮断は通常突然起こるため、これにより電力消費機器によっては重大な不具合が発生する虞がある。
【0004】
そこで、かかる電力遮断を回避する技術が提案されている。下記特許文献1では、家庭電化製品と電灯線を介して接続されるコントローラが、契約電力量を超えないように、各製品のプライオリティ番号により各製品の使用電力量を抑える制御を行う旨が示されている。
【0005】
また、下記特許文献2では、電気機器の電力監視制御の設定をユーザーによって簡単に行うことができる電力管理システムにおいて、制御可能順位が高い場所や名称の電気機器を優先して制御し、主幹ブレーカーの過電流を回避する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−84658号公報
【特許文献2】特開2009−130973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献に記載の内容では、電化製品、電気機器を制御するための判断基準がユーザーによって設定されるので、ユーザーがこれら電力消費機器の優先度や制御の内容について十分に理解していなくてはならず、また、使用する機器が変更される度に設定作業をする必要があり、ユーザー利便性の面で課題がある。
【0008】
また、上記判断基準を成すプライオリティや制御可能順位が個別の判断に基づくものであり、管理対象エリア毎にまちまちであるため、電力不足時などには総量規制はできるものの、今後必要になるであろう、電力消費機器の一般的、社会的な重要度等による使用制限に対応することはできない。
【0009】
さらに、今後は、電力を使用するユーザーの省エネルギー意識、省資源意識を更に向上させることが望まれている。
【0010】
そこで、本発明の目的は、電力消費機器の管理方法であって、一般的、社会的な基準による電力消費機器の制御が可能であり、また、ユーザー利便性及びユーザーの省エネルギー意識を向上させることができる電力消費機器管理方法、等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの側面は、電力源から電力線を介して電力供給を受ける複数の電力消費機器と、前記電力線に接続される前記電力消費機器の監視装置とが備えられる場合における電力消費機器管理方法において、前記各電力消費機器にその機器による電力消費の重要度合を示す重要度レベル情報が予め記憶されると共に、前記各電力消費機器によってその機器による消費電力が検出され、前記監視装置が、随時、前記各電力消費機器から前記電力線を介して前記重要度レベル情報と前記消費電力の情報を取得して保持し、当該保持した情報を用い、前記電力線を介して前記電力消費機器を制御すると共に、前記重要度レベルに応じた単価による消費電力料金に関する情報を表示する、ことである。
【0012】
更に、上記発明において、その好ましい態様は、前記電力消費機器の制御は、前記複数の電力消費機器における消費電力が予め定められた閾値を超えた場合に、前記重要度レベルの低い運転中の前記電力消費機器を停止させる制御を含む、ことを特徴とする。
【0013】
更にまた、上記発明において、その好ましい態様は、前記電力消費機器の制御は、前記電力線を介した通信により、又は、入力により、電力制限指示を受けた場合に、前記重要度レベルの低い前記電力消費機器を停止状態にして電力制限の解除指示を行うまで運転させない制御を含む、ことを特徴とする。
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、電力源から電力線を介して電力供給を受ける複数の電力消費機器と、前記電力線に接続される前記電力消費機器の監視装置とを有する電力消費機器システムにおいて、前記各電力消費機器は、その機器による電力消費の重要度合を示す重要度レベル情報を予め記憶すると共に、前記各電力消費機器による消費電力を検出し、前記監視装置は、随時、前記各電力消費機器から前記電力線を介して前記重要度レベル情報と前記消費電力の情報を取得して保持し、当該保持した情報を用い、前記電力線を介して前記電力消費機器を制御すると共に、前記重要度レベルに応じた単価による消費電力料金に関する情報を表示する、ことである。
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明の更に別の側面は、電力源から電力線を介して電力供給を受ける複数の電力消費機器と前記電力線を介して接続される前記電力消費機器の監視装置が、前記各電力消費機器にその機器による電力消費の重要度合を示す重要度レベル情報が予め記憶されると共に、前記各電力消費機器によってその機器による消費電力が検出される場合に、随時、前記各電力消費機器から前記電力線を介して前記重要度レベル情報と前記消費電力の情報を取得して保持し、当該保持した情報を用い、前記電力線を介して前記電力消費機器を制御すると共に、前記重要度レベルに応じた単価による消費電力料金に関する情報を表示する、ことである。
【0016】
本発明の更なる目的及び、特徴は、以下に説明する発明の実施の形態から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用した電力消費機器システムの実施の形態例に係る概略構成図である。
【図2】情報テーブル231を例示した図である。
【図3】監視装置2による情報取得処理及び情報表示処理の処理手順を例示したフローチャートである。
【図4】監視装置2による制御処理の処理手順を例示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、図において、同一又は類似のものには同一の参照番号又は参照記号を付して説明する。
【0019】
図1は、本発明を適用した電力消費機器システムの実施の形態例に係る概略構成図である。図1に示す監視装置2と複数の電力消費機器3(3A、3B、3C、・・・、3N)が本実施の形態例に係る上記電力消費機器システムであり、各電力消費機器3にはその機器による電力使用の重要度レベルが定められ、監視装置2は、随時、各電力消費機器3の当該重要度レベルと使用電力量の情報を取得して保持すると共に、重要度レベルに基づく使用電力料をユーザーに表示し、また、通常使用時及び電力制限時において、当該重要度レベルに基づいて各電力消費機器3の制御を行う。当該電力消費機器システムは、これらの特徴により、一般的、社会的な基準による電力消費機器の制御を可能とし、また、ユーザー利便性及びユーザーの省エネルギー意識を向上させることができる。
【0020】
本発明は、図1に示すような制御対象エリア1内に設置される電力消費機器3を管理するためのものであり、本実施の形態例では、一例として、制御対象エリア1がPOSシステムを利用する店舗である。
【0021】
当該制御対象エリア1には電力源5から電力線4を介して電力供給がなされる。電力線4は、当該制御対象エリア1内の各電力消費機器3及び監視装置2に接続され、それぞれ、電力供給がなされる。電力線4は、また、監視装置2と各電力消費機器3間の通信にも用いられる。また、図示していないが、電力線4には各電力消費機器3(3A、3B、3C、・・・、3N)への電力供給を遮断する1つのブレーカーが設けられている。
【0022】
次に、監視装置2は、制御対象エリア1内の電力消費機器3を監視する装置であり、各電力消費機器3の情報の収集、使用電力に関するユーザーへの情報提供、及び、使用電力量を抑制するための制御を実行する。なお、当該制御は、電力線4を通信線として用いた各電力消費機器3への通信によって行われる。
【0023】
また、監視装置2は、コンピューターで構成することができ、図示していないが、CPU、RAM、ROM、HDD、入力装置等が備えられる。図1では、監視装置2の機能構成を示しており、情報取得部21、電力消費機器制御部22、データ格納部23、及び表示部24を有している。
【0024】
情報取得部21は、定期的に各電力消費機器3から情報を取得して、後述する情報テーブル231の情報を更新する部分である。また、情報取得部21は、当該情報テーブル231の情報を用いて、ユーザーに表示する情報を生成し表示部24に表示させる処理も実行する。
【0025】
電力消費機器制御部22は、随時、上記情報テーブル231の情報を用いて電力消費機器3における電力使用量を監視し、その総量が制御対象エリア1の定格電力量(契約電力量)を超えないように、各電力消費機器3の稼働状態を制御する部分である。また、電力消費機器制御部22は、当該制御対象エリア1を含む地域において電力不足が発生した場合などに、電力制限処理を実行する。
【0026】
なお、情報取得部21及び電力消費機器制御部22が行う処理の具体的な手順等については後述する。また、情報取得部21及び電力消費機器制御部22は、これらが行う処理を指示する各プログラムと当該プログラムに従って処理を実行する上記CPU等によって構成される。なお、上記プログラムは、上記ROM又は上記HDDに記憶される。
【0027】
次に、データ格納部23は、上記情報テーブル231等を記憶する部分であり、上記HDD等で構成される。図2は、情報テーブル231を例示した図である。図2に示されるように、当該テーブルには、各電力消費機器3の識別情報毎に、消費電力及びその制御に係る各種情報が収められる。「重要度レベル」は、その電力消費機器3による電力消費の重要度を示すものであり、ここでは、一例として、「5」が最も重要度が高く、「1」が最も重要度が低いものとしている。
【0028】
「定格電力」は、その電力消費機器3の仕様定格電力であり、例えば、kw(キロワット)の単位で示される。「単価」は、その電力消費機器3で電力を使用した場合の電力単価を示しており、この値は、重要度レベルに依存した値である。ここでは、重要度レベルが高い場合ほど単価が安くなるように設定されている。従って、図2に示す例では、「○○」、「××」、「△△」の順で単価が安い。なお、単価は、例えば、円/kwh(キロワット時)の単位で示される。
【0029】
「消費電力」は、その電力消費機器3で消費されているその時点での電力を示した値であり、例えば、kw(キロワット)の単位で示される。また、「電力料」は、その電力消費機器3で消費された電力量に対する料金であり、例えば、過去5秒間分の料金が記録される。また、「累積電力料」は、その電力消費機器3で消費された電力量に対する累積料金であり、例えば、その月の累積料金が記録される。
【0030】
次に、表示部24は、液晶ディスプレイなどで構成される監視装置2の表示装置であり、上記情報取得部21が生成した情報をユーザーに表示する。
【0031】
電力消費機器3は、図1に示すように、制御対象エリア1内に複数設けられ、電力線4を介して供給される電力によって動作する。ここでは、制御対象エリア1が店舗であるため、電力消費機器3としては、POS端末装置(3A、3B)、データ格納装置(3C)、冷凍・冷蔵装置(3N)等が設けられている。
【0032】
これら電力消費機器3には、それそれ、上述の通り、重要度レベルが予め定められている。この重要度レベルは、その電力消費機器3による電力消費の重要度合いを表す情報であり、国や地域で統一的に定められた基準によって各電力消費機器3の重要度レベルが決定される。かかる基準では、生命維持への寄与、使用の緊急度、社会活動への寄与、事業活動への寄与、日常生活維持への寄与、自然環境への寄与、電力利用効率、娯楽への寄与、個人都合での利用といった観点が考慮される。従って、この重要度レベルは、個人都合で決定したり変更したりするものではなく、一般的、社会的な重要度を表現するものである。
【0033】
上記POS端末装置は、いわゆるPOSシステムにおいて商品販売時に精算処理を実行する装置であるが、ここでは、新型であり電力消費量が少ない新POS端末3Aと旧型で相対的に電力消費量が多い旧POS端末3Bが設置されている。これら装置に付される重要度レベルは、一例として、前者が「4」であり、後者が「3」である。
【0034】
また、上記データ格納装置は、店舗の様々なデータを保管するサーバーシステムであり、その重要度レベルは、一例として、「5」である。また、上記冷凍・冷蔵装置は、当該店舗で販売する商品を保管する装置であり、その重要度レベルは、一例として、「5」である。
【0035】
また、各電力消費機器3は、図1の右側に示されるように、データ部31、消費電力部32、及び通信制御部33を備えている。データ部31は、HDD等のデータ記憶装置から構成され、上記その電力消費機器3に定められた重要度レベル、定格電力などの仕様情報等が格納される。重要度レベルは、当該装置の製造時又は設置時に記憶される。
【0036】
消費電力部32は、電力計とデータ保持機能を有する制御部を備え、当該装置で消費される電力を計測し、その結果を保持する部分である。また、通信制御部33は、電力線4を介して監視装置2と通信を行う部分であり、監視装置2からの要求に応じて、情報を返信する処理、電力消費機器3本体の制御部に制御内容を通知する処理などを実行する。当該通信制御部33は、CPU、RAM、ROM等で構成される。
【0037】
以上説明したような構成を有する本実施の形態例における電力消費機器システムでは、監視装置2による各種処理に特徴があり、以下、その具体的内容について説明する。図3は、監視装置2による情報取得処理及び情報表示処理の処理手順を例示したフローチャートである。まず、図3に基づいて、情報取得処理及び情報表示処理について説明する。
【0038】
監視装置2は、予め定められた頻度(例えば、5秒間隔)で各電力消費機器3に対して情報の通知を要求する通信を行う。従って、当該頻度に基づく情報取得タイミングになるのを待って(ステップS1のNo)、そのタイミングになった際に(ステップS1のYes)、上記情報通知要求を行う(ステップS2)。具体的には、情報取得部21が、電力線4を介して、電力線4に接続される全ての電力消費機器3に対して、上記重要度レベル及びその時点の消費電力の情報を要求する通信を行う。
【0039】
その通信を受信した各電力消費機器3では、通信制御部33がデータ部31に格納される重要度レベルの値を取得すると共に、消費電力部32によって検出(測定)されるその時点での消費電力の値を取得する。そして、通信制御部33は、取得した重要度レベルと消費電力の値を、当該電力消費機器3の識別情報を付して監視装置2の情報取得部21へ返信する。
【0040】
その後、情報取得部21は、各電力消費機器3からの返信を受信し(ステップS3)、データ格納部23に保持される上記情報テーブル231の内容を、受信した値に基づいて更新する(ステップS4)。具体的には、まず、図2に例示したテーブルの「重要度レベル」及び「消費電力」の欄の値を、上記識別情報に相応して、それぞれ、受信した値に更新する。次に、「単価」の欄の値が、各重要度レベルに対して予め定められている値を用いて、「重要度レベル」の欄の値に相応して更新される。その後、更新された「消費電力」の値、「単価」の値、及び上記情報取得の間隔、すなわち、5秒の値を用いて、前回情報を取得してから今回情報を取得するまでに費やした電力料金を求め、「電力料」の欄をその値に更新する。また、その電力料金を「累積電力料」の欄に保持されていた値に加えた値で、「累積電力料」の欄を更新する。なお、前回情報を取得してから今回情報を取得するまでの間に月が変わった場合には、「累積電力料」の値を「電力料」の値と同じ値に更新する。
【0041】
なお、通常の場合には、制御対象エリア1内に設けられる電力消費機器3は変わらず、上記更新処理において、「重要度レベル」及び「単価」の値は変わらないので、これらの情報の取得と更新は、その頻度を少なくしてもよい。また、新しい電力消費機器3が設置された場合には、情報テーブル231にその識別情報が記憶されていないので、テーブルの新しいレコードに受信した情報に基づく各値を記憶する。また、これまで設置されていた電力消費機器3が撤去された場合には、情報テーブル231に記憶される「電力消費機器識別情報」の値の中に、上記電力消費機器3からの受信を受けないものが発生するので、そのレコードを削除する。
【0042】
次に、情報取得部21は、上記更新した情報テーブル231の値を用いて、ユーザーに表示するための画面を生成する。具体的には、一例として、情報テーブル231において全ての電力消費機器3の「消費電力」、「電力料」、及び「累積電力料」をそれぞれ合計した総消費電力、総電力料(過去短時間内の電力料金)、及び総累積電力料金(今月の電力料金)を求め、それら3つの情報をユーザーに分かり易く報知できる画面データを生成する。
【0043】
その後、情報取得部21は、当該画面データを表示部24へ送り当該画面を表示させる(ステップS5)。表示部24では、次の表示指示がなされるまで当該画面を表示する。ユーザーは、当該表示部24に表示される内容により、現在消費している電力の状況を把握することができる。
【0044】
当該表示処理により、一連の情報取得及び表示処理が終了し、処理がステップS1に戻る。そして、上記情報取得タイミングになる度に同様の処理が繰り返し実行される。
【0045】
なお、上述の説明では、「電力料」、「累積電力料」を監視装置2側で計算して求めていたが、各電力消費機器3で、それぞれ、それらの値を計算して保持し、情報通知要求(S2)に対してこれらの値も合わせて返信してもよい。また、過去5秒間の消費電力量及び今月の消費電力量までを計算して保持し、これらを返信してもよい。
【0046】
次に、監視装置2による電力消費機器3の制御処理について説明する。図4は、監視装置2による制御処理の処理手順を例示したフローチャートである。まず、監視装置2の電力消費機器制御部22は、所定の頻度で、値が常に更新されている上記情報テーブル231にアクセスし、「消費電力」の合計値(上記総消費電力)が予め定められた電力閾値を超えているか否かをチェックする(ステップS11)。ここで、電力閾値は、当該制御対象エリア1の契約電力よりも若干低い値であり、当該制御により実質的に総消費電力が常に契約電力を超えることがないような、すなわち、ブレーカーが落ちることがないような値が選択される。
【0047】
当該チェックの結果、その時点の総消費電力が電力閾値を超えていない場合には(ステップS11のNo)、処理がステップS15へ移行する。
【0048】
一方、その時点の総消費電力が電力閾値を超えている場合には(ステップS11のYes)、電力消費機器制御部22は、消費電力を抑えるべく制御対象、すなわち、運転を停止させる電力消費機器3を決定する(ステップS12)。具体的には、情報テーブル231にアクセスし、「消費電力」がゼロでないことからその時点で運転中の(電力を使用している)電力消費機器3を特定し、特定された電力消費機器3から「重要度レベル」が低い順に、その機器3の「消費電力」をその時点の総消費電力から差し引いていく。そして、差し引いた結果が上記電力閾値以下になった時点で、それまでに「消費電力」を差し引いた機器3を制御対象として決定する。
【0049】
例えば、図2において、電力消費機器3Bの「700」kwを差し引いた時点で上記電力閾値以下になった場合には、電力消費機器3B(旧POS端末)までが制御対象となり、電力消費機器3A(新POS端末)、3C(データ格納装置)、及び3N(冷凍・冷蔵装置)等は、制御対象にならない。なお、「重要度レベル」が同じ機器間においては、予め定められたルールによって順位付けを行う。例えば、「消費電力」の大きい順に差し引いていく。
【0050】
このように制御対象を決定すると、電力消費機器制御部22は、決定した各電力消費機器3に対して制御指示を行う(ステップS13)。具体的には、制御対象の各電力消費機器3に電力線4を介して運転を停止すべき旨の通信を行う。
【0051】
当該通信がなされると、それを受信した各電力消費機器3では、通信制御部33が、電力消費機器3本体の制御部に対して、運転停止の指示を通知する。当該通知に基づいて電力消費機器3の運転が停止されると、通信制御部33は、制御が完了した旨の返信を監視装置2に対して行う。
【0052】
この制御完了の返信を監視装置2の電力消費機器制御部22が全ての制御対象機器から受信すると(ステップS14)、上記電力閾値を超えたことに起因する制御が完了し、処理がステップS15に移行する。
【0053】
このステップS15では、電力消費機器制御部22は、電力制限指示を受けたか否かをチェックする。この電力制限指示とは、当該制御対象エリア1が位置する地域において、災害や事故などにより電力不足になっている場合に発せられるものであり、電力線4を介して電力源5から通信により送信される、あるいは、監視装置2の入力装置を用いて入力される。また、電力制限指示には電力不足の程度に応じて複数のレベルがあってもよい。
【0054】
前回の処理からの間にかかる電力制限指示を受けていない場合には(ステップS15のNo)、処理がステップS11に戻る。
【0055】
一方、前回の処理からの間にかかる電力制限指示を受けた場合には(ステップS15のYes)、電力消費機器制御部22は、制御対象の電力消費機器3を決定する(ステップS16)。具体的には、情報テーブル231にアクセスし、予め定められた又は上記指示に示される「重要度レベル」の電力消費機器3を制御対象として決定する。例えば、「重要度レベル」が「1」から「3」までの電力消費機器3を制御対象とする。また、電力制限指示に複数のレベルがある場合には、指示されるレベルに応じた「重要度レベル」の電力消費機器3を制御対象として決定する。例えば、電力不足が軽度である場合には低いレベルの電力制限指示が出され、「重要度レベル」が「1」から「2」までの電力消費機器3が制御対象となる。
【0056】
このようにして制御対象を決定すると、電力消費機器制御部22は、決定した各電力消費機器3に対して制御指示を行う(ステップS17)。具体的には、制御対象の各電力消費機器3に対して電力線4を介して、解除指示をするまで運転停止状態とすべき旨の通信を行う。
【0057】
当該通信がなされると、それを受信した各電力消費機器3では、通信制御部33が、電力消費機器3本体の制御部に対して、解除指示をするまで運転停止状態とすべき通知を行う。当該通知に基づいて電力消費機器3が運転停止状態とされ、電力消費機器3本体の制御部が、解除指示があるまでこれらの機器について運転をしないことを認識すると、通信制御部33は、制御が完了した旨の返信を監視装置2に対して行う。
【0058】
この制御完了の返信を監視装置2の電力消費機器制御部22が全ての制御対象機器から受信すると(ステップS18)、当該電力制限に係る制御が終了し、処理がステップS11に戻る。この電力制限の制御では、「重要度レベル」が低い電力消費機器3について、運転中のものは停止されて解除指示が来るまで運転されなくなり、停止中のものはそのまま解除指示が来るまで停止し続けることになる。これにより消費電力が抑えられる。例えば、図2の例では、電力消費機器3B(旧POS端末)までが制御対象となって運転されず、電力消費機器3A(新POS端末)、3C(データ格納装置)、及び3N(冷凍・冷蔵装置)等は、制御対象にならないので必要に応じて運転される。
【0059】
また、かかる電力制限がなされた状態で、ステップS15において、電力制限解除の指示を受けた場合には(ステップS15のYes)、電力制限指示を受けた場合と同様の手順で、電力消費機器制御部22は、制限指示をしていた電力消費機器3を制御対象として決定し(ステップS16)、それら制御対象に対して制限を解除する旨の通信を行う(ステップS17)。その後、それを受信した各電力消費機器3では、通信制御部33が、電力消費機器3本体の制御部に対して、制限の解除指示の通知を行う。当該通知に基づいて電力消費機器3が運転可能状態とされると、通信制御部33は、制御が完了した旨の返信を監視装置2に対して行う。この制御完了の返信を監視装置2の電力消費機器制御部22が全ての制御対象機器から受信すると(ステップS18)、当該電力制限解除に係る制御が終了する。そして、処理がステップS11に戻る。
【0060】
以上説明したように、電力消費機器制御部22による電力消費機器3の監視及び制御処理が実行される。
【0061】
なお、上述した電力制限の処理では、「重要度レベル」に応じて対象となるレベルの機器3について全停とする制御を行ったが、消費電力の総量を平常時よも下げる制御を行ってもよい。すなわち、制御対象エリア1毎に、定格電力より一定割合又は一定量少ない値を超えないように制御する。この場合には、上記ステップS11からS14で説明した場合と同様の制御を、平常時よりも小さい値の電力閾値を用いて実行する。
【0062】
また、上述の説明では、制御対象の機器3を停止状態とする制御を行ったが、機器3に応じて又は「重要度レベル」に応じて、停止とせずに消費電力を抑える制御を行ってもよい。
【0063】
また、上述の実施形態では、制御対象エリア1が店舗であったが、本発明は、家庭、病院など他の制御対象エリア1にも適用することができる。例えば、病院では、医療機器の「重要度レベル」が高く、テレビなどの「重要度レベル」が低いので、上述した処理に従って、医療機器への電力供給が確保される。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態例に係る電力消費機器システムでは、一般的、社会的基準に基づいて統一的に定められた「重要度レベル」に基づいて電力消費機器についての電力抑制の制御を実行することができる。
【0065】
また、その「重要度レベル」は、各電力消費機器3に記憶されており、監視装置2が適宜その情報を取得して電力制御を行うので、ユーザーによる監視装置2に対する設定作業等は必要なく、また、電力消費機器3が交換されたような場合にも同様であるので、ユーザーの利便性が向上する。
【0066】
さらに、監視装置2の表示部24に、常に、消費電力や「重要度レベル」に応じた単価による電力料金が表示されるので、ユーザーの省エネルギー意識や省資源意識を向上させることができる。
【0067】
本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【符号の説明】
【0068】
1 制御対象エリア、 2 監視装置、 3 電力消費機器、 4 電力線、 5 電力源、 21 情報取得部、 22 電力消費機器制御部、 23 データ格納部、 24 表示部、 31 データ部、 32 消費電力部、 33 通信制御部、 231 情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力源から電力線を介して電力供給を受ける複数の電力消費機器と、前記電力線に接続される前記電力消費機器の監視装置とが備えられる場合における電力消費機器管理方法であって、
前記各電力消費機器にその機器による電力消費の重要度合を示す重要度レベル情報が予め記憶されると共に、前記各電力消費機器によってその機器による消費電力が検出され、
前記監視装置が、随時、前記各電力消費機器から前記電力線を介して前記重要度レベル情報と前記消費電力の情報を取得して保持し、当該保持した情報を用い、前記電力線を介して前記電力消費機器を制御すると共に、前記重要度レベルに応じた単価による消費電力料金に関する情報を表示する
ことを特徴とする電力消費機器管理方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記電力消費機器の制御は、前記複数の電力消費機器における消費電力が予め定められた閾値を超えた場合に、前記重要度レベルの低い運転中の前記電力消費機器を停止させる制御を含む
ことを特徴とする電力消費機器管理方法。
【請求項3】
請求項1あるいは2において、
前記電力消費機器の制御は、前記電力線を介した通信により、又は、入力により、電力制限指示を受けた場合に、前記重要度レベルの低い前記電力消費機器を停止状態にして電力制限の解除指示を行うまで運転させない制御を含む
ことを特徴とする電力消費機器管理方法。
【請求項4】
電力源から電力線を介して電力供給を受ける複数の電力消費機器と、前記電力線に接続される前記電力消費機器の監視装置とを有する電力消費機器システムであって、
前記各電力消費機器は、その機器による電力消費の重要度合を示す重要度レベル情報を予め記憶すると共に、前記各電力消費機器による消費電力を検出し、
前記監視装置は、随時、前記各電力消費機器から前記電力線を介して前記重要度レベル情報と前記消費電力の情報を取得して保持し、当該保持した情報を用い、前記電力線を介して前記電力消費機器を制御すると共に、前記重要度レベルに応じた単価による消費電力料金に関する情報を表示する
ことを特徴とする電力消費機器システム。
【請求項5】
電力源から電力線を介して電力供給を受ける複数の電力消費機器と前記電力線を介して接続される前記電力消費機器の監視装置であって、
前記各電力消費機器にその機器による電力消費の重要度合を示す重要度レベル情報が予め記憶されると共に、前記各電力消費機器によってその機器による消費電力が検出される場合に、
随時、前記各電力消費機器から前記電力線を介して前記重要度レベル情報と前記消費電力の情報を取得して保持し、当該保持した情報を用い、前記電力線を介して前記電力消費機器を制御すると共に、前記重要度レベルに応じた単価による消費電力料金に関する情報を表示する
ことを特徴とする監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−235548(P2012−235548A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100437(P2011−100437)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】