説明

電力管理システム

【課題】 システム構築の簡略化を図りながら、商用電源の電力供給情報を取得することができる電力管理システムを提供する。
【解決手段】 検針メータ14は、需要家のそれぞれに供給される商用電力を測定し、この測定結果をインターネットNT1を含む通信ネットワークに送出し、管理サーバCSは、需要家に供給可能な商用電力の時間変動に関する電力供給情報を検針メータ14へ通信ネットワークを介して送信し、電力管理装置12は、検針メータ14が受信した電力供給情報に基づいて、充電停止タイミングに蓄電池15の蓄電電力が所定の目標値に達しているように、蓄電池15の充電を開始し、単位時間あたりの充電量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、需要家における蓄電量を管理する電力管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力の供給元である電力会社は、商用電力の供給量が需要量を超える虞がある場合、供給範囲内の各需要家に対して、商用電力の供給量を低減させることを予め通知し、各需要家における電力使用量の削減を啓蒙することが考えられる。
【0003】
このとき、集合住宅の各住戸、戸建て住宅、工場、事務所等の各需要家では、電力供給量の低減期間の前に、電力を十分に蓄積しておれば、電力供給量の低減期間における電力需要を満たすことができる。しかし、電力供給量の低減期間の前に、電力を十分に蓄積することができなければ、生活、業務、生産等に支障をきたす。
【0004】
そこで、蓄電装置を設置した電源システムでは、商用電力の供給が停止したときに、蓄電装置の電力供給力を増大させ、蓄電装置から負荷装置へ電力を供給することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、商用電源の停止情報が入力された場合に、蓄電装置の目標状態量(例えばSOC(State Of Charge)の目標量)を向上させるとともに、充電電力を増大させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−187800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、商用電源の停止情報の取得経路については記載がなく、商用電源の停止情報を取得するためのネットワークを新たに設ける必要があった。
【0007】
しかしながら、近年、需要家においても、様々なネットワークが既に接続されており、需要家におけるシステム構築の簡略化という面からみても、商用電源の電力供給情報を取得するために、ネットワークを新たに設けることは望ましいことではない。
【0008】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、システム構築の簡略化を図りながら、商用電源の電力供給情報を取得することができる電力管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電力管理システムは、需要家のそれぞれに供給される商用電力を測定し、この測定結果をネットワーク上に送出する検針メータと、前記需要家に供給可能な商用電力の時間変動に関する電力供給情報を前記検針メータへ前記ネットワークを介して送信する管理サーバと、電力を蓄積する蓄電池と、前記需要家に供給された商用電力を用いて前記蓄電池を充電し、前記蓄電池の蓄電電力を放電させる電力管理装置と、商用電力と前記蓄電池の蓄電電力との少なくとも一方を用いて動作する機器とを備え、前記電力管理装置は、前記検針メータが受信した前記電力供給情報に基づいて、商用電力の供給量が低減して前記蓄電池の充電に用いることができる商用電力が所定量を下回る充電停止タイミングに前記蓄電池の蓄電電力が所定の目標値に達しているように、前記蓄電池の充電を開始し、単位時間あたりの充電量を制御することを特徴とする。
【0010】
この発明において、前記電力管理装置は、前記蓄電池の充電を開始してから前記充電停止タイミングまでの期間が長いほど、前記単位時間あたりの充電量を小さくすることが好ましい。
【0011】
この発明において、前記電力管理装置は、前記需要家に供給された商用電力のうち、前記機器が使用しない余剰電力を用いて前記蓄電池を充電し、前記充電停止タイミングに前記蓄電池の蓄電電力が所定の目標値に達しないと判断した場合、商用電力を用いて動作可能な前記機器の台数を低減させて、前記単位時間あたりの充電量を増大させることが好ましい。
【0012】
この発明において、前記電力管理装置は、前記充電停止タイミング以降において、前記機器の動作パターンに基づいて蓄電電力の放電量を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明では、システム構築の簡略化を図りながら、商用電源の電力供給情報を取得することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1の電力管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態2の電力管理システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(実施形態1)
本実施形態の電力管理システムは、電力会社から電力を供給されている各需要家において用いるものであり、図1に示すように、分電盤11、電力管理装置12、機器13、検針メータ14、蓄電池15を主構成として備える。
【0017】
分電盤11は、集合住宅の各住戸、戸建て住宅、工場、事務所等の需要家内に引き込まれたAC100/200Vの幹線電路Wa1が接続され、幹線電路Wa1を介して、電力会社からの商用電源が接続されている。分電盤11内には、複数の分岐ブレーカから構成される分岐部111が収納されている。幹線電路Wa1は、分岐部111を介して、住宅に敷設した複数の分岐電路Wa2に分岐する。分岐電路Wa2のそれぞれは、照明機器、空調機器、パーソナルコンピュータ(パソコン)等の機器13が接続され、これらの機器13へ動作電力を供給する。なお、商用電源は、各地に設けられた変電所から需要家の近傍の電柱Dに設けた柱上変圧器Trに配電され、柱上変圧器Trによって降圧された後に、各需要家へ配電される。なお、需要家の形態としては、集合住宅の各住戸、戸建て住宅、工場、事務所以外であってもよい。
【0018】
次に、電力管理装置12は、インバータ部121と、充放電部122と、機器制御部123とを備える。
【0019】
本システムは、リチウムイオン電池等で構成される蓄電池15を備えており、蓄電池15は、充放電部122に接続される。
【0020】
インバータ部121は、充放電部122を介して入力される蓄電池15の直流出力を交流電圧に変換し、インバータ部121の交流出力は、住宅に敷設した交流電路Wa3を介して分電盤11に供給される。なお、インバータ部121は、その交流出力を、幹線電路Wa1を介して供給される商用電源に協調させる機能を有する。
【0021】
充放電部122は、蓄電池15の充放電制御を行う、具体的に、充放電部122は、商用電源から幹線電路Wa1を介して供給される商用電力が入力され、この商用電力を直流電力に変換して蓄電池15を充電する。さらに充放電部122は、蓄電池15の直流出力をインバータ部121へ供給することによって、蓄電池15の蓄電電力を放電させて、機器13へ交流電力を供給する。
【0022】
機器制御部123は、通信線L1を介して機器13と通信可能に接続しており、通常時において、機器13に対して、予め設定されているスケジュール制御、省エネ制御、シーン制御等を実行する。機器13は、商用電源から供給される商用電力、電力管理装置12のインバータ部121から供給される電力(蓄電池15の蓄電電力)を用いて動作する。なお、機器制御部123は、機器13との間で無線信号による通信を行ってもよい。
【0023】
そして、通常(後述の電力ピークカットの要請がない場合)、インバータ部121の交流出力動作、充放電部122の充放電動作は、蓄電池15の蓄電量、時刻等に基づいて行われる。そして、機器13は、蓄電池15の蓄電電力、または商用電源、または蓄電池15の蓄電電力と商用電源との組み合わせが供給される。また、電力管理装置12は、無線通信機能を有しており、分電盤11、検針メータ14等との間で後述の無線通信を行う。
【0024】
次に、検針メータ14は、幹線電路Wa1に設けられ、需要家における商用電力の使用量を計測し、この計測結果(検針データ)を無線通信、電力線搬送通信等を用いて送信する遠隔検針機能を具備する。検針メータから送信された検針データは、例えば住宅近傍の電柱Dに設置した親機Xが受信し、親機Xは、光ファイバ等を用いて、インターネットNT1に接続した電力会社の管理サーバCSへ検針データを送信する。なお、インターネットNT1を含む通信ネットワークが、本発明のネットワークに相当する。
【0025】
また、親機Xは、電力会社の管理サーバCSから送信された各種信号を、インターネットNT1を含む通信ネットワークを介して検針メータ14へ送信し、検針メータ14は、受信した信号を需要家内の無線端末へ無線送信する機能も有する。
【0026】
そして、電力需要の増加や電力会社の発電状況等によっては、電力会社の配電範囲において、商用電源の需要量が発電量を超える電力供給不足によって停電が発生する虞がある。この場合、電力会社から配電範囲内の各需要家に対して、商用電源の使用を控えて電力需要のピークを抑制する電力ピークカットの要請がなされる。
【0027】
本実施形態では、電力ピークカットの要請時に、電力会社の管理サーバCSから配電範囲内の各需要家へ、インターネットNT1を含む通信ネットワークを介して電力供給情報が送信され、各需要家の検針メータ14が電力供給情報を受信する。電力供給情報は、商用電源から幹線電路Wa1を介して供給可能な商用電力の時間変動に関する情報であり、本実施形態では、「*月*日 *時〜*時まで供給可能な商用電力を*%低減」という情報で構成される。検針メータ14は、この電力供給情報を電力管理装置12へ無線信号で転送する。
【0028】
ここで、検針メータ14−管理サーバCS間の通信ネットワークは、検針メータ14の検針データを送信する遠隔検針ネットワークである。したがって、電力供給情報は、この遠隔検針ネットワークを用いて各需要家へ伝達されるので、需要家は、電力供給情報取得用のネットワークを別に設ける必要がない。すなわち、本電力管理システムは、システム構築の簡略化を図りながら、商用電源の電力供給情報を取得することができる。
【0029】
電力管理装置12の充放電部122は、受信した電力供給情報に基づき、電力ピークカットの開始時刻を認識し、この電力ピークカットの開始時刻を、充電停止タイミングとする。この充電停止タイミングは、需要家に対して供給可能な商用電力が機器13の使用電力を下回って余剰電力がゼロになる時刻であり、充電停止タイミング以降では、蓄電池15の充電が不可能になる。すなわち、充電停止タイミングは、商用電力の供給量が低減して、蓄電池15の充電に用いることができる商用電力が所定量(この場合はゼロ)を下回るタイミングである。
【0030】
そして、充放電部122は、充電停止タイミング(電力ピークカットの開始時刻)には、蓄電池15のSOC(State Of Charge)が予め決められた所定の目標値(例えば80%)に達しているように、蓄電池15を急速充電する。
【0031】
すなわち、急速充電の開始時刻、および急速充電時に蓄電池15を充電する単位時間あたりの充電量は、充電停止タイミングにおいて、蓄電池15のSOCが予め決められた所定の目標値に達しているように決定される。具体的に、急速充電の開始時刻は、電力供給情報の受信後の時刻に設定され(例えば、受信時刻+10分)、単位時間あたりの充電量は、急速充電の開始時刻と充電停止タイミングとに基づいて決定される。この単位時間あたりの充電量は、急速充電の開始時刻から充電停止タイミングまでの期間が長いほど、小さくなる。したがって、急速充電の開始時刻から充電停止タイミングまでの期間が長い場合は、急速充電中であっても、機器13へ供給可能な交流電力が増大し、動作可能な機器13を増やすことができる。
【0032】
このように、電力管理装置12は、電力供給情報に基づいて、充電停止タイミングに蓄電池15のSOCが所定の目標値に達しているように、急速充電を開始し、単位時間あたりの充電量を制御する。
【0033】
充放電部122は、充電停止タイミング以降において、蓄電池15の直流出力をインバータ部121へ供給することによって、蓄電池15の蓄電電力を放電させる。そして、充電停止タイミング以降において、蓄電池15の蓄電電力と商用電源との組み合わせが機器13に供給され、ピークカットを実行しながら、機器13の動作電力を確保することができる。
【0034】
そして、充電停止タイミング(電力ピークカットの開始時刻)には、蓄電池15のSOCが予め決められた所定の目標値(例えば80%)に達しているので、電力ピークカット期間においても、機器13への供給電力を確保することができる。
【0035】
また、充放電部122は、充電停止タイミング以降において、各機器13の動作パターンに基づいて蓄電電力の放電量を制御してもよい。例えば、全ての機器13から、ピークカット期間にも動作を保障する機器13を予め選択しておき、機器制御部123は、ピークカット期間において、この動作保障された機器13以外の機器13を待機状態に制御する。そして、充放電部122は、動作保障された機器13の動作パターンに基づいて放電量を制御することによって、蓄電池15の蓄電電力を効率よく消費することができ、蓄電電力の使用可能期間を長くすることができる。また、動作保障された機器13は、ライフラインを守る機器であり、テレビ、ネットワーク機器、最小限の照明機器等であり、外部とのネットワーク通信を行うことができる検針メータ14も含まれる。
【0036】
また、充放電部122は、需要家に供給された商用電力のうち、機器13が使用しない余剰電力を用いて蓄電池15を充電している。そして、充放電部122が、現在の余剰電力を用いて単位時間あたりの充電量を最大にした場合でも、充電停止タイミングに蓄電池15のSOCが所定の目標値に達しないと判断した場合、機器制御部123は、一部または全部の機器13を待機状態に制御する。すなわち、動作可能な機器13の台数を減らすことによって、機器13による商用電力の使用量が低減し、余剰電力が増大するので、充放電部122は、急速充電用の電力を確保して、単位時間あたりの充電量をより高く設定できる。この場合、蓄電池15のSOCを所定の目標値により近付けることができるので、充電停止タイミングにおける蓄電池15の蓄電量をより高くすることができ、ピークカット期間の供給電力をより確保することができる。
【0037】
(実施形態2)
本実施形態の電力管理システムは、図2に示すように、太陽電池16と、パワーコンディショナ17とを各需要家に設けたものであり、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0038】
本システムは、太陽電池16と、パワーコンディショナ17とで太陽光発電装置を構成しており、太陽光によって太陽電池16が発電した直流電力は、パワーコンディショナ17に供給され、パワーコンディショナ17によって交流電力に変換される。
【0039】
パワーコンディショナ17の交流出力は、交流電路Wa3に供給される。通常(電力ピークカットの要請がない場合)、パワーコンディショナ17の交流出力のうち、機器13で消費されなかった余剰分は、幹線電路Wa1を介して商用電源へ逆潮流(売電)する。なお、パワーコンディショナ17は、商用電源が供給する商用電力に交流出力を協調させる系統連系運転機能を有する。
【0040】
そして、電力会社から電力ピークカットの要請があった場合、パワーコンディショナ17の交流出力のうち、機器13で消費されなかった余剰分は、蓄電池15の急速充電に用いられる。したがって、蓄電池15の急速充電には、太陽光発電装置の発電電力を商用電力に併せて用いることができるので、蓄電池15の蓄電量を、より確実に確保することができる。
【0041】
また、電力ピークカット時には、太陽光発電装置の発電電力を、蓄電池15の蓄電電力に併せて用いることができるので、電力ピークカット時において使用可能な電力が増大する。
【符号の説明】
【0042】
11 分電盤
12 電力管理装置
121 インバータ部
122 充放電部
123 機器制御部
13 機器
14 検針メータ
15 蓄電池
CS 管理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要家のそれぞれに供給される商用電力を測定し、この測定結果をネットワーク上に送出する検針メータと、
前記需要家に供給可能な商用電力の時間変動に関する電力供給情報を前記検針メータへ前記ネットワークを介して送信する管理サーバと、
電力を蓄積する蓄電池と、
前記需要家に供給された商用電力を用いて前記蓄電池を充電し、前記蓄電池の蓄電電力を放電させる電力管理装置と、
商用電力と前記蓄電池の蓄電電力との少なくとも一方を用いて動作する機器とを備え、
前記電力管理装置は、前記検針メータが受信した前記電力供給情報に基づいて、商用電力の供給量が低減して前記蓄電池の充電に用いることができる商用電力が所定量を下回る充電停止タイミングに前記蓄電池の蓄電電力が所定の目標値に達しているように、前記蓄電池の充電を開始し、単位時間あたりの充電量を制御する
ことを特徴とする電力管理システム。
【請求項2】
前記電力管理装置は、前記蓄電池の充電を開始してから前記充電停止タイミングまでの期間が長いほど、前記単位時間あたりの充電量を小さくすることを特徴とする請求項1記載の電力管理システム。
【請求項3】
前記電力管理装置は、前記需要家に供給された商用電力のうち、前記機器が使用しない余剰電力を用いて前記蓄電池を充電し、前記充電停止タイミングに前記蓄電池の蓄電電力が所定の目標値に達しないと判断した場合、商用電力を用いて動作可能な前記機器の台数を低減させて、前記単位時間あたりの充電量を増大させることを特徴とする請求項1または2記載の電力管理システム。
【請求項4】
前記電力管理装置は、前記充電停止タイミング以降において、前記機器の動作パターンに基づいて蓄電電力の放電量を制御することを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の電力管理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−17268(P2013−17268A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147030(P2011−147030)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】