説明

電動ブレーキ倍力装置、電動ブレーキ倍力装置付き車両および電動ブレーキ倍力方法

【課題】 ホイールシリンダのブレーキ液を排出し、排出したブレーキ液をマスタシリンダに環流させる場合であっても、アクチュエータにおける電流の消費を抑制することができる電動ブレーキ倍力装置を提供すること。
【解決手段】 ブレーキペダルのストローク量に基づいて前記アクチュエータを制御する位置制御を行い、前記減圧制御を行っているときは、前記マスタシリンダの液圧に基づいて前記アクチュエータを制御する液圧制御を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキアシスト力を付与する電動ブレーキ倍力装置、電動ブレーキ倍力装置付き車両および電動ブレーキ倍力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術としては、特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報では、入力ピストンのストロークに応じて、電動モータによりブースタピストンをストロークさせているものが開示されている。
【特許文献1】特開2007−112426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術において、ABSが作動した場合、排出したブレーキ液をマスタシリンダに環流する際に、ブレーキペダル位置が変化しなければ、アクチュエータ(電動モータ)はブースタピストンの位置を保持するため、マスタシリンダの液圧が上昇し、アクチュエータにおいて必要以上に電流を消費してしまう。
【0004】
本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、ホイールシリンダのブレーキ液を排出し、排出したブレーキ液をマスタシリンダに環流させる場合であっても、アクチュエータにおける電流の消費を抑制することができる電動ブレーキ倍力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明においては、ブレーキペダルのストローク量に基づいて前記アクチュエータを制御する位置制御を行い、前記減圧制御を行っているときは、前記マスタシリンダの液圧に基づいて前記アクチュエータを制御する液圧制御を行うようにした。
【発明の効果】
【0006】
よって、ホイールシリンダのブレーキ液をマスタシリンダに環流させる場合には、マスタシリンダの液圧を必要以上に上昇させることがなく、アクチュエータにおける電流の消費を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の電動ブレーキ倍力装置を実現する最良の形態を、実施例1に基づいて説明する。
【0008】
[実施例1]
実施例1の電動ブレーキ倍力装置20の構成について説明する。
【0009】
〔ブレーキシステムの構成〕
図1は、実施例1の電動ブレーキ倍力装置20を有する車両80である。この車両80は、運転者によるブレーキペダル踏力に対して増幅した力をマスタシリンダM/Cに作用する電動ブレーキ倍力装置20と、各ホイールシリンダW/Cに供給する液圧を制御する液圧制御ユニット19と、各車輪21FL,21FR,21RL、21RRの車輪速を検出する車輪速センサ71と、電動ブレーキ倍力装置20や液圧制御ユニット19を制御するコントロールユニット70を有する。
【0010】
コントロールユニット70は電動ブレーキ倍力装置20の電動モータ41(図3参照)と、液圧制御ユニット19の各ソレノイドバルブ1,2,3,4(図2参照)を制御する。またコントロールユニット70は、車輪速センサ71から車輪情報と、電動ブレーキ倍力装置20のブレーキストロークセンサ43(図3参照)からブレーキペダルBPのストローク情報、レゾルバ44(図3参照)から電動モータ41の回転位置情報と、電流センサ45(図3参照)からの電動モータ41の駆動電流情報と、後述する液圧制御ユニット19のマスタシリンダ圧センサ(図2参照)からマスタシリンダM/Cの液圧情報を入力し、これらの情報から各装置に指令信号を出力する。
【0011】
〔液圧制御ユニットの構成〕
図2は、液圧制御ユニット19の構成を示す図である。実施例1のブレーキシステムにおいては、P系統とS系統との2系統からなる、X配管と呼ばれる配管構造となっている。P系統は、左前輪のホイールシリンダW/C(FL)、右後輪のホイールシリンダW/C(RR)を有し、S系統は、右前輪のホイールシリンダW/C(FR)、左後輪のホイールシリンダW/C(RL)を有している。また、マスタシリンダM/Cとは別のブレーキ液圧源としてポンプ機構Pを有し、このポンプ機構Pは、P系統、S系統に設けたポンプPPとポンプPSと、このポンプPPとポンプPSを駆動する電動モータMを有している。
【0012】
マスタシリンダM/Cとポンプ機構Pの吸入側との間に、油路10P,10Sを有し、この各油路10は、常閉型のソレノイドバルブであるゲートインバルブ1P,1Sを有している。ゲートインバルブ1とポンプ機構Pとの間にチェックバルブ5P,5Sを有し、各チェックバルブ5は、ゲートインバルブ1からポンプ機構Pへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。また油路10SにはマスタシリンダM/Cの液圧を検出するマスタシリンダ圧センサ18を設けている。
【0013】
マスタシリンダM/Cと各ホイールシリンダW/Cとに間に油路12P,12Sを有しており、各油路12は、常開型のソレノイドバルブであるゲートアウトバルブ2P,2Sを有するとともに、各ゲートアウトバルブ2を迂回する油路17P,17Sを有している。各油路17はチェックバルブ8P,8Sを有し、各チェックバルブ8は、マスタシリンダM/C側からホイールシリンダW/Cへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0014】
また、各油路12は、ゲートアウトバルブ2よりもホイールシリンダW/C側に、各ホイールシリンダW/Cに対応する常開型のソレノイドバルブである増圧・保持バルブ3FL,3RR,3FR,3RLを有している。更に各油路12は、各増圧・保持バルブ3を迂回する油路16FL,16RR,16FR,16RLを有している。この油路16は、チェックバルブ9FL,9RR,9FR,9RLを有し、各チェックバルブ9は、ホイールシリンダW/Cからポンプ機構Pへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0015】
ポンプ機構Pの吐出側と油路12との間に、油路11P,11Sを有しており、油路11と油路12とはゲートアウトバルブ2と増圧・保持バルブ3との間において合流している。また各油路11は、油路12との合流点とポンプ機構Pとの間にチェックバルブ6P,6Sを有し、この各チェックバルブ6は、ポンプ機構Pから増圧・保持バルブ3へ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0016】
ポンプ機構Pの吸入側にリザーバ15P,15Sを有し、リザーバ15とポンプ機構Pとの間に油路14P,14Sを有している。また、リザーバ15とポンプ機構Pとの間にチェックバルブ7P,7Sを有し、各チェックバルブ7は、リザーバ15からポンプ機構Pへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0017】
ホイールシリンダW/Cと油路14との間に油路13P,13Sを有しており、油路13と油路14とはチェックバルブ7とリザーバ15との間において合流している。この各油路13は、常閉型のソレノイドバルブである減圧バルブ4FL,4RR,4FR,4RLを有している。
【0018】
〔電動ブレーキ倍力装置の構成〕
図3は電動ブレーキ倍力装置20の部分断面図である。
電動ブレーキ倍力装置20は、マスタシリンダM/Cと、運転者がブレーキペダルBPに入力したブレーキ操作力により作動する主ピストン30と、推力発生機構40により作動するブースタピストン50とを備えている。
【0019】
推力発生機構40は、電動モータ41と、電動モータ41の推力をブースタピストン50に伝達するねじ軸42と、ブレーキペダルBPのストローク量を検出するブレーキストロークセンサ43とを有している。
【0020】
電動モータ41は中空のDCブラシレスモータであって、ハウジング60の内壁に固定したステータ41aと、内周側にボールねじ溝41cを有するロータ41bを備えている。またレゾルバ44を設け、電動モータ41の回転位置を検出している。
【0021】
ねじ軸42の外周側は、ロータ41bのボールねじ溝41cと噛み合うボール42bを回転自在に保持している。電動モータ41が駆動すると、ロータ41bの回転力をボール42bを介してねじ軸42に軸方向の推力として伝達する。ねじ軸42は、中空部42aを有しており、この中空部42aに主ピストン30の大径部30bを収装している。また主ピストン30の大径部30bはプッシュロッド31によりブレーキペダルBPと接続し、主ピストン30はブレーキペダルBPのストロークに応じて進退する。
【0022】
ブースタピストン50の電動モータ41側端部は、ねじ軸42と当接しており、ねじ軸42の移動に伴ってブースタピストン50が移動する。ブースタピストン50は中空部50aを有しており、この中空部50aに主ピストン30の小径部30aを収装している。主ピストン30の小径部30aは、ブースタピストン50の中空部50aの内周面と摺動するシール部材30cを有している。
【0023】
マスタシリンダM/Cは、有底のシリンダ本体61を有している。シリンダ本体61内には、プライマリピストンとしての主ピストン30およびブースタピストン50と、ブースタピストン50と対を成すセカンダリピストン51とをシリンダ本体61の内壁に対して摺動可能に収装している。ブースタピストン50とセカンダリピストン51はシリンダ本体61の内周面と摺動するシール部材50b、51aをそれぞれ有している。
【0024】
主ピストン30、ブースタピストン50とセカンダリピストン51とは、シリンダ本体61内を2つのプライマリ液圧室61a、セカンダリ液圧室61bに隔成している。ブースタピストン50とセカンダリピストン51との間、セカンダリピストン51とシリンダ本体61の底面との間は、スプリング62a,62bを有し、セカンダリピストン51がブースタピストン50の端面とシリンダ本体61の底面との中央付近に位置するように付勢している。
【0025】
主ピストン30、ブースタピストン50とセカンダリピストン51の移動に応じて、プライマリ液圧室61a、セカンダリ液圧室61b内に封じ込めているブレーキ液がブレーキ液圧回路を介して各ホイールシリンダW/Cに移動する。
【0026】
主ピストン30の小径部30aは、ブースタピストン50の中空部50aの内周の径よりも小径であり、大径部30bは、ブースタピストン50の内周の径よりも大径であって、ねじ軸42の内周の径よりも小径である。
【0027】
ブレーキが作動していない状態において、主ピストン30の大径部30bのマスタシリンダM/C側の端面30dと、ブースタピストン50のブレーキペダルBP側の端面50cとは軸方向に離間して位置している。これにより、自動ブレーキ作動時には、ブースタピストン50のみが移動し、主ピストン30、ブレーキペダルBPが移動しないようにしている。
【0028】
〔ABS制御について〕
実施例1のブレーキシステムは、ABSを搭載しており、コントロールユニット70はABS制御を行っている。実施例1において行われるABS制御の概要について説明する。
【0029】
(1) 通常ブレーキ・増圧制御
運転者によるブレーキ操作が行われると、マスタシリンダM/CによりホイールシリンダW/Cへブレーキ液圧が増圧され、各車輪21のブレーキを作動させる。
【0030】
(2) 減圧制御
ブレーキ作動の際に、車輪スリップ率が所定以上(路面摩擦係数μが低下する範囲)となり車輪のロック傾向が強くなると増圧・保持バルブ3を閉弁し減圧バルブ4を開弁して、ホイールシリンダW/Cのブレーキ液圧をリザーバ15へ排出し、ブレーキを緩めて車輪のスリップ率を減少させる。
リザーバ15に排出されたブレーキ液はポンプPによってマスタシリンダM/Cに環流される。
【0031】
(3) 保持制御
ブレーキ作動の際に、車輪スリップ率が所定の範囲(路面摩擦係数μが最高値に近い範囲)の際には、増圧・保持バルブ3と減圧バルブ4とを共に閉弁して、ホイールシリンダW/C側のブレーキ液圧を保持する。
【0032】
以上、車輪スリップ率に応じて主に上記の通常ブレーキ制御・増圧制御、減圧制御、保持制御を切り替えることにより、高い制動性能を車輪をロックさせずに得ることができる。
【0033】
〔ブレーキ倍力制御について〕
実施例1のコントロールユニット70では、電動ブレーキ倍力装置20のブレーキペダルBPのストローク量に応じてブースタピストン50が進退するように電動モータ41を制御している。すなわち、ブースタピストン50は、機械的にブレーキペダルBPと接続している主ピストン30と一体に進退することとなる。
【0034】
〔減圧時のブレーキ倍力制御処理〕
図4はコントロールユニット70において行われるブレーキ倍力制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【0035】
ステップS1では、ABSにおいて減圧制御が行われているか否かについて判定し、減圧制御が行われているときにはステップS2へ移行し、減圧制御が行われていないときにはステップS8へ移行する。
ステップS2では、マスタシリンダ圧センサ18からマスタシリンダ圧Pmcの情報を入力して、ステップS3へ移行する。
【0036】
ステップS3では、路面摩擦係数μを算出して、ステップS4へ移行する。路面摩擦係数μは車輪スリップ率Sから求めることができる。図5は車輪スリップ率Sと路面摩擦係数μの関係を示すグラフである。図5に示すように、車輪スリップ率Sが分かれば路面摩擦係数μを求めることができる。ここで車輪スリップ率は次のようにして求めることができる。各車輪21に設けた車輪速センサ71から各車輪速情報を入力する。各車輪速情報のうち従動輪の車輪速を車体速度とする。この各車輪速を車体速で除した値がそれぞれの車輪の車輪スリップ率となる。
【0037】
ステップS4では、前輪(車輪21FL,21FR)と後輪(車輪21RL,21RR)とが共にロックするマスタシリンダM/Cの同時ロック液圧Plockを算出して、ステップS5へ移行する。
図6は前輪のホイールシリンダW/C(FL),W/C(FR)の液圧と後輪のホイールシリンダW/C(RL),W/C(RR)の液圧との関係を示すグラフである。細実線は前輪のホイールシリンダW/C(FL),W/C(FR)の液圧と後輪のホイールシリンダW/C(RL),W/C(RR)の液圧との関係の理想値である。太実線は実施例1のブレーキシステムの前輪のホイールシリンダW/C(FL),W/C(FR)の液圧と後輪のホイールシリンダW/C(RL),W/C(RR)の液圧との関係を示す。一点鎖線は路面摩擦係数μがμ0のときの前輪、後輪がそれぞれロックするホイールシリンダW/Cの液圧を示す。二点差線は前輪がロックするホイールシリンダW/Cの液圧を、点線は後輪がロックするホイールシリンダW/Cの液圧を示す。
【0038】
図6に示すように、前輪のホイールシリンダW/C(FL),W/C(FR)の液圧と後輪のホイールシリンダW/C(RL),W/C(RR)の液圧との関係が点A2にあるときに前輪と後輪とが共にロックする。このときのホイールシリンダW/Cの液圧をマスタシリンダM/Cの液圧に換算し、これを同時ロック液圧Plockとする。
【0039】
ステップS5では、ステップS2で入力したマスタシリンダ圧Pmcが同時ロック液圧Plockよりも大きいか否かを判定して、マスタシリンダ圧Pmcが同時ロック液圧Plockよりも大きいときにはステップS6へ移行し、小さいときにはステップS7へ移行する。
ステップS6では、ステップS2で検出したマスタシリンダ圧Pmcを保持するように電動モータ41の液圧制御を行い、処理を終了する。
【0040】
ステップS7では、マスタシリンダ圧PmcがステップS4で算出した同時ロック液圧Plockとなるまでは昇圧を可能とし、マスタシリンダ圧Pmcが同時ロック液圧Plockまで昇圧すると、この同時ロック液圧Plockを維持するように電動モータ41を制御して処理を終了する。
ステップS8では、電動モータ41の位置制御を行い、処理を終了する。この位置制御では、ブースタピストン50が主ピストン30と一体に進退するように電動モータ41を制御する。
【0041】
〔減圧時のブレーキ倍力制御作用〕
上述のようにストローク制御では、ブースタピストン50が主ピストン30と一体に進退するように電動モータ41を制御する。また、ABS制御では車輪スリップ率が高くなり車輪のロック傾向が強くなると、ロック傾向が強くなった車輪21のホイールシリンダW/Cのブレーキ液を排出し、排出したブレーキ液をマスタシリンダM/Cに環流させる。そのため、ブレーキ液をマスタシリンダM/Cに環流させる際に、運転者がブレーキペダルBPのストローク量を維持してしまうと、環流したブレーキ液圧によってマスタシリンダ圧Pmcが高くなる。よって、ホイールシリンダW/Cで減圧しようとしているにも関わらず、マスタシリンダ圧Pmcを上昇させることとなり、ブースタピストン50の位置を維持するために電動モータ41の必要以上に消費電力も大きくなる問題があった。
【0042】
そこで実施例1では、コントロールユニット70は、ブレーキペダルBPのストローク量に応じて電動モータ41を制御するストローク制御を行うとともに、液圧制御ユニット19によるABS減圧制御時にはマスタシリンダM/Cの液圧に応じて電動モータ41を制御する液圧制御を行うようにした。
【0043】
電動モータ41のストローク制御では、ブレーキペダルBPのストローク量に応じて電動モータ41を制御するため、運転者の減速意志に応じた制御を行うことができる。しかしABS減圧制御時は、ブレーキペダルBPのストローク量の増加に合わせてマスタシリンダ圧Pmcを上昇させたとしても、車輪の制動力は増加しない。そのためABS減圧制御時には、マスタシリンダ圧Pmcを無駄に上昇させないように液圧制御を行い、電動モータ41の消費電力を抑制することができる。
【0044】
ここで、運転者はブレーキペダルBPのストローク量によってのみ車両の減速操作を行っているのではなく、ブレーキペダルBPの反力に応じた踏力によって車両の減速操作を行っている。そのため、ABS減圧制御が行われていないときであっても、電動モータ41を液圧制御することも考えられる。しかしながら、ブレーキペダルBPのストロークに対して、マスタシリンダ圧Pmcの立ち上がりが遅れるため、ブレーキペダルBPがストロークを開始した直後では、電動モータ41の制御制が悪化する。実施例1では、電動モータ41のストローク制御と液圧制御とを切り換えることにより、電動モータ41の制御制の悪化を回避しつつ、電動モータ41の消費電力を抑制することができる。
【0045】
またある車輪のロック傾向が高くなり、ロック傾向の高くなった車輪にのみABS減圧制御が作動したとしても、他の車輪ではまだ制動力を高くする余地がある(通常の車両では前輪が後輪よりも先にロック傾向が高くなるため、前輪にABS減圧制御が作動したとしても、後輪のブレーキ液圧を上昇させることにより後輪の制動力を高くすることが可能となり、車両の減速度を大きくすることができる)。
【0046】
そこで実施例1では、コントロールユニット70は、全車輪がロック状態となる同時ロック液圧Plockを路面摩擦係数μに基づき演算し、液圧制御を行うときには、マスタシリンダ圧Pmcを同時ロック液圧Plockまでは昇圧可能とするように電動モータ41を制御するようにした。
【0047】
図7はABSの減圧制御が開始されたときにマスタシリンダ圧Pmcが同時ロック液圧Plockより低い液圧であるときのタイムチャートである。図7(a)は運転者の要求減速度(ブレーキペダルBPのストローク量)、図7(b)は車体減速度、図7(c)は電動モータ41の消費電力、図7(e)はブレーキペダル踏力、図7(f)はABS制御の作動・非作動を示す。実線は実施例1のABSの減圧制御が開始されるときに電動モータ41を液圧制御したときのタイムチャート、点線はABSの減圧制御が開始された後にも電動モータ41を位置制御したときのタイムチャートである。
【0048】
時間t0において、運転者がブレーキペダルを踏み始め、マスタシリンダ圧Pmcが増加する。マスタシリンダ圧Pmcの増加に伴い、車体減速度が大きくなり、また電動モータ41の消費電力、ブレーキペダル踏力が増大する。
【0049】
時間t1において、ある車輪に対してABS制御が開始される。このときのマスタシリンダ圧PmcはP1(図6において、前輪のホイールシリンダW/C(FL),W/C(FR)の液圧と後輪のホイールシリンダW/C(RL),W/C(RR)の液圧との関係が点A1のときのマスタシリンダ圧)である。この液圧P1は同時ロック液圧Plockよりも低いため、マスタシリンダ圧Pmcを同時ロック液圧Plockまで昇圧可能とする。
【0050】
この後、ブレーキペダルBPのストローク量の増加と、ABSの減圧制御によるブレーキ液のマスタシリンダM/Cへの環流とによって、マスタシリンダ圧Pmcが増加する。マスタシリンダ圧Pmcの増加に伴い、車体減速度が大きくなり、また電動モータ41の消費電力、ブレーキペダル踏力が増大する。
【0051】
時間t2において、マスタシリンダ圧Pmcが同時ロック液圧Plockとなる。マスタシリンダ圧Pmcが同時ロック液圧Plockとなった後は、ブレーキペダルBPのストローク量が大きくなってもマスタシリンダ圧Pmcを同時ロック液圧Plockに保持する。時間t2以降もブレーキペダルBPのストローク量の増加と、ABSの減圧制御によるブレーキ液のマスタシリンダM/Cへの環流が行われるが、電動モータ41の消費電力とブレーキペダル踏力は増大しない。
【0052】
時間t3において、ブレーキペダルBPのストローク量が減少し、マスタシリンダ圧Pmcが減少する。マスタシリンダ圧Pmcの減少に伴い、車体減速度が小さくなり、また電動モータ41の消費電力、ブレーキペダル踏力が減少する。
【0053】
時間t4において、全ての車輪に対してのABS制御が終了し、コントロールユニット70は、電動モータ41をブレーキペダルBPのストローク量に応じた位置制御を行う。
【0054】
図7の時間t1から時間t2に示すように、ABSの減圧制御が開始された後であっても同時ロック液圧Plockとなるまでは、マスタシリンダ圧Pmcを増加させるため車体減速度を増加することができる。
【0055】
またABSの減圧制御開始時に、マスタシリンダ圧Pmcが同時ロック液圧Plockよりも高い液圧であるときには、それ以上マスタシリンダ圧Pmcを増加しても車体減速度は高くならない。
【0056】
そこで実施例1では、コントロールユニット70は、液圧制御ユニット19が全車輪のブレーキ液の排出を開始したときのマスタシリンダ圧Pmcを記憶し、液圧制御を行うときには、マスタシリンダ圧Pmcを記憶した液圧を保持するように電動モータ41を制御するようにした。
【0057】
図8はABSの減圧制御が開始されたときにマスタシリンダ圧Pmcが同時ロック液圧Plockより高い液圧であるときのタイムチャートである。図8(a)は運転者の要求減速度(ブレーキペダルBPのストローク量)、図8(b)は車体減速度、図8(c)は電動モータ41の消費電力、図8(e)はブレーキペダル踏力、図8(f)はABS制御の作動・非作動を示す。実線は実施例1のABSの減圧制御が開始されるときに電動モータ41を液圧制御したときのタイムチャート、点線はABSの減圧制御が開始された後にも電動モータ41を位置制御したときのタイムチャートである。
【0058】
時間t10において、運転者がブレーキペダルを踏み始め、マスタシリンダ圧Pmcが増加する。マスタシリンダ圧Pmcの増加に伴い、車体減速度が大きくなり、また電動モータ41の消費電力、ブレーキペダル踏力が増大する。
【0059】
時間t11において、全車輪に対してABS制御が開始される。このときのマスタシリンダ圧PmcはP3(図6において、前輪のホイールシリンダW/C(FL),W/C(FR)の液圧と後輪のホイールシリンダW/C(RL),W/C(RR)の液圧との関係が点A3のときのマスタシリンダ圧)である。
【0060】
この後、ブレーキペダルBPのストローク量が大きくなってもマスタシリンダ圧Pmcを液圧P3に保持する。時間t12以降もブレーキペダルBPのストローク量の増加と、ABSの減圧制御によるブレーキ液のマスタシリンダM/Cへの環流が行われるが、電動モータ41の消費電力とブレーキペダル踏力は増大しない。
【0061】
時間t12において、ブレーキペダルBPのストローク量が減少し、マスタシリンダ圧Pmcが減少する。マスタシリンダ圧Pmcの減少に伴い、車体減速度が小さくなり、また電動モータ41の消費電力、ブレーキペダル踏力が減少する。
【0062】
時間t13において、全ての車輪に対してのABS制御が終了し、コントロールユニット70は、電動モータ41をブレーキペダルBPのストローク量に応じた位置制御を行う。
【0063】
図8の時間t11から時間t12に示すように、車体減速度を維持したまま電動モータ41の消費電力を抑制することができる。
【0064】
〔実施例1の効果〕
次に実施例1の効果について以下に列記する。
【0065】
(1)ブレーキペダルBPからの入力により進退移動する主ピストン30と、主ピストン30対して相対変位可能であるブースタピストン50と、ブースタピストン50を進退移動する電動モータ41と、主ピストン30および/またはブースタピストン50の移動により液圧を発生するマスタシリンダM/Cと、ブレーキペダルBPのストローク量を検出するブレーキストロークセンサ43と、マスタシリンダ圧Pmcを検出するマスタシリンダ圧センサ18と、マスタシリンダM/CとホイールシリンダW/Cとの間に設け、各車輪のロック傾向を検出したときに、ロック傾向である車輪21のホイールシリンダW/Cのブレーキ液を排出し、排出したブレーキ液をマスタシリンダM/Cに環流する液圧制御ユニット19と、ブレーキペダルBPのストローク量に応じて電動モータ41を制御する位置制御を行うとともに、液圧制御ユニット19の作動時(ABS減圧制御時)にはマスタシリンダM/Cの液圧に応じて電動モータ41を制御する液圧制御を行うコントロールユニット70とを設けた。
よって、液圧制御ユニット19の作動時には、マスタシリンダ圧Pmcを無駄に上昇させないように液圧制御を行い、電動モータ41の消費電力を抑制することができる。
【0066】
(2)コントロールユニット70は、全車輪がロック状態となるマスタシリンダ圧Pmc(同時ロック液圧Plock)を路面摩擦係数μに基づき演算し、液圧制御を行うときには、マスタシリンダM/Cの液圧が、同時ロック液圧Plockまで昇圧が可能となるようにした。
【0067】
ABSの減圧制御が開始された後であっても同時ロック液圧Plockとなるまでは、マスタシリンダ圧Pmcを増加させるため車体減速度を増加することができる。
【0068】
(3)コントロールユニット70は、液圧制御ユニット19が全車輪のブレーキ液の排出を開始したときのマスタシリンダ圧を記憶し、液圧制御を行うときには、マスタシリンダ圧Pmcを記憶したマスタシリンダ圧に維持するように電動モータ41を制御するようにした。
【0069】
よって、車体減速度を維持したまま電動モータ41の消費電力を抑制することができる。
【0070】
(4)車両80において、ブレーキペダルBPからの入力により進退移動する主ピストン30と、主ピストン30対して相対変位可能であるブースタピストン50と、ブースタピストン50を進退移動する電動モータ41と、主ピストン30および/またはブースタピストン50の移動により液圧を発生するマスタシリンダM/Cと、ブレーキペダルBPのストローク量を検出するブレーキストロークセンサ43と、マスタシリンダ圧Pmcを検出するマスタシリンダ圧センサ18と、マスタシリンダM/CとホイールシリンダW/Cとの間に設け、各車輪のロック傾向を検出したときに、ロック傾向である車輪21のホイールシリンダW/Cのブレーキ液を排出し、排出したブレーキ液をマスタシリンダM/Cに環流する液圧制御ユニット19と、ブレーキペダルBPのストローク量に応じて電動モータ41を制御する位置制御を行うとともに、液圧制御ユニット19の作動時(ABS減圧制御時)にはマスタシリンダM/Cの液圧に応じて電動モータ41を制御する液圧制御を行うコントロールユニット70とを設けた。
よって、液圧制御ユニット19の作動時には、マスタシリンダ圧Pmcを無駄に上昇させないように液圧制御を行い、電動モータ41の消費電力を抑制することができる。
【0071】
(5)ブレーキペダルBPからの入力により進退移動する主ピストン30と、主ピストン30対して相対変位可能であるブースタピストン50と、ブースタピストン50を進退移動する電動モータ41と、主ピストン30および/またはブースタピストン50の移動により液圧を発生するマスタシリンダM/Cと、ブレーキペダルBPのストローク量を検出するブレーキストロークセンサ43と、マスタシリンダ圧Pmcを検出するマスタシリンダ圧センサ18と、マスタシリンダM/CとホイールシリンダW/Cとの間に設け、各車輪のロック傾向を検出したときに、ロック傾向である車輪21のホイールシリンダW/Cのブレーキ液を排出し、排出したブレーキ液をマスタシリンダM/Cに環流する液圧制御ユニット19とを有し、電動ブレーキ倍力方法として、ブレーキペダルBPのストローク量に応じて電動モータ41を駆動させるとともに、液圧制御ユニット19の作動時にはマスタシリンダM/Cの液圧に応じて電動モータ41を駆動させるようにした。
よって、液圧制御ユニット19の作動時には、マスタシリンダ圧Pmcを無駄に上昇させないように液圧制御を行い、電動モータ41の消費電力を抑制することができる。
【0072】
[他の実施例]
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0073】
実施例1では、マスタシリンダ圧Pmcを検出するマスタシリンダ圧センサ18を設けていた。この構成を、マスタシリンダ圧センサ18を用いずに、電動モータ41の消費電力によってマスタシリンダ圧Pmcを推定することによって置き換えても良い。
【0074】
図9はマスタシリンダ圧Pmcと電動モータ41の消費電力との関係を示すグラフである。図9に示す関係を用いれば電動モータ41の消費電力からマスタシリンダ圧Pmcを推定することができる。なお電動モータ41の消費電力は、電流センサ45からの駆動電流情報から算出することができる。
【0075】
この効果について以下に記載する。
(6)電動モータ41の駆動電流を検出する駆動電流を検出する電流センサ45を有し、検出した駆動電流から演算した消費電力を用いてマスタシリンダM/Cの液圧を求めるようにした。
よって、マスタシリンダ圧センサ18を省くことができ、ブレーキ液圧回路の構成を簡易にすることができる。
【0076】
なお、マスタシリンダ圧センサ18は本発明のマスタシリンダ圧検出手段、電動モータ41は本発明のアクチュエータ、ブレーキストロークセンサ43はス本発明のトローク検出手段、電流センサ45は電流検出手段、コントロールユニット70は本発明のアクチュエータ制御手段、ロック液圧演算手段および液圧記憶手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】実施例1のブレーキ倍力装置を搭載した車両を示す図である。
【図2】実施例1の液圧制御ユニットの構成を示す図である。
【図3】実施例1の電動ブレーキ倍力装置の部分断面図である。
【図4】実施例1のコントロールユニットの制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施例1の車輪スリップ率と路面摩擦係数の関係を示すグラフである。
【図6】実施例1の前輪のホイールシリンダ液圧と後輪のホイールシリンダの液圧との関係を示すグラフである。
【図7】実施例1の作用を示すタイムチャートである。
【図8】実施例1の作用を示すタイムチャートである。
【図9】実施例1のマスタシリンダ圧と電動モータの消費電力との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0078】
18 マスタシリンダ圧センサ(マスタシリンダ圧検出手段)
19 液圧制御ユニット
20 電動ブレーキ倍力装置
30 主ピストン
41 電動モータ(アクチュエータ)
43 ブレーキストロークセンサ(ストローク検出手段)
45 電流センサ(電流検出手段)
50 ブースタピストン
70 コントロールユニット(アクチュエータ制御手段、ロック液圧演算手段、液圧記憶手段)
BP ブレーキペダル
M/C マスタシリンダ
W/C ホイールシリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキペダルからの入力により進退移動する主ピストンと、
該主ピストンに対して相対変位可能であるブースタピストンと、
該ブースタピストンを進退移動するアクチュエータと、
前記主ピストンおよび/または前記ブースタピストンの移動により液圧を発生するマスタシリンダと、
前記ブレーキペダルのストローク量を検出するストローク検出手段と、
前記マスタシリンダの液圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段と、
前記マスタシリンダとホイールシリンダとの間に設け、各車輪のロック傾向を検出したときに、ロック傾向である車輪の前記ホイールシリンダのブレーキ液を排出し、排出した前記ブレーキ液を前記マスタシリンダに環流する減圧制御を行う液圧制御手段と、を備え、
前記液圧制御手段は、減圧制御を行っていないときは、前記ブレーキペダルのストローク量に基づいて前記アクチュエータを制御する位置制御を行い、前記減圧制御を行っているときは、前記マスタシリンダの液圧に基づいて前記アクチュエータを制御する液圧制御を行うアクチュエータ制御手段と、
を設けたことを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動ブレーキ倍力装置において、
前記アクチュエータ制御手段は、全車輪がロック状態となる前記マスタシリンダの液圧を路面摩擦係数に基づき演算するロック液圧演算手段を有し、前記液圧制御を行うときには、前記マスタシリンダの液圧が、前記ロック液圧演算手段で演算した液圧まで昇圧が可能となるように前記アクチュエータを制御することを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電動ブレーキ倍力装置において、
前記アクチュエータ制御手段は、前記液圧制御ユニットが全車輪のブレーキ液の排出を開始したときの前記マスタシリンダの液圧を記憶する液圧記憶手段を有し、前記液圧制御を行うときには、前記マスタシリンダの液圧が、前記液圧記憶手段が記憶した液圧を維持するように前記アクチュエータを制御することを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3に記載のブレーキ倍力装置において、
前記マスタシリンダ圧検出手段は、アクチュエータの駆動電流を検出する駆動電流を検出する電流検出手段を有し、検出した前記駆動電流から演算した消費電力を用いて前記マスタシリンダの液圧を求めることを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項5】
ブレーキペダルからの入力により進退移動する主ピストンと、
該主ピストン対して相対変位可能であるブースタピストンと、
該ブースタピストンを進退移動するアクチュエータと、
前記主ピストンおよび/または前記ブースタピストンの作動により液圧を発生するマスタシリンダと、
前記ブレーキペダルのストローク量を検出するストローク検出手段と、
前記マスタシリンダの液圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段と、
前記マスタシリンダとホイールシリンダとの間に設け、各車輪のロック状態を検出したときにロックした前記車輪の前記ホイールシリンダのブレーキ液を排出し、排出した前記ブレーキ液を前記マスタシリンダに環流する減圧制御を行う液圧制御手段と、を備え、
前記液圧制御手段は、前記減圧制御を行っているときは、前記ブレーキペダルのストローク量に基づいて前記アクチュエータを制御する位置制御を行い、前記減圧制御を行っているときは前記マスタシリンダの液圧に基づいて前記アクチュエータを制御する液圧制御を行うアクチュエータ制御手段と、
を設けたことを特徴とする電動ブレーキ倍力装置付き車両。
【請求項6】
ブレーキペダルからの入力により進退移動する主ピストンと、
該主ピストン対して相対変位可能であるブースタピストンと、
該ブースタピストンを進退移動するアクチュエータと、
前記主ピストンおよび/または前記ブースタピストンの作動により液圧を発生するマスタシリンダと、
前記ブレーキペダルのストローク量を検出するストローク検出手段と、
前記マスタシリンダの液圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段と、
前記マスタシリンダとホイールシリンダとの間に設け、各車輪のロック状態を検出したときにロックした前記車輪の前記ホイールシリンダのブレーキ液を排出し、排出した前記ブレーキ液を前記マスタシリンダに環流する減圧制御を行う液圧制御手段と、
を有し、
前記液圧制御手段は、前記減圧制御を行っていないときは、前記ブレーキペダルのストローク量に基づいて前記アクチュエータを駆動させるとともに、前記減圧制御を行っているときは前記マスタシリンダの液圧に基づいて前記アクチュエータを駆動させることを特徴とする電動ブレーキ倍力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−132189(P2010−132189A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311367(P2008−311367)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】