説明

電動動力源装置

【課題】相互に独立した2系統の電源系において、それぞれのバッテリ残量の制御を行う。
【解決手段】電動動力源装置は、複数の系を有する。それぞれの系は、電力の授受を行うバッテリと、出力用及び回生用に変更可能な2つ以上の独立した巻線を有し、自系又は他系のバッテリからの電力の供給を受ける場合には駆動トルクを出力し、回生制御を行う場合には電力を生成するモータと、バッテリとモータの電力の授受を制御する駆動回路と、を備える。モータは、一方の巻線が出力用として動作することで、一方の系のバッテリから電力の供給を受け駆動トルクを出力する場合に、他方の巻線が回生用として動作することで電力を生成し他方の系のバッテリの充電を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動動力源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、倒立制御状態を維持して走行する倒立二輪車が研究されている。倒立二輪車は、電動動力源としてモータやバッテリを備えているが、これらに何らかの故障が発生した場合に倒立制御状態を維持できず、転倒する可能性がある。そこで、倒立二輪車に2系統の電池及びモータを搭載し、一方の系が他方の系の機能を補間することにより、転倒を防止することが検討されている。
【0003】
特許文献1には、2つの系の電気回路を有する電動車両について記載されている。これによると、電動車両は、一方の系の駆動回路が故障した場合であっても、電気モータの駆動を継続し、走行することができる。
【0004】
図7は、第1のモータ201と、第2のモータ202のそれぞれが出力軸に接続された、電動動力源装置のブロック図である。電動動力源装置は、2系統の電源系が分離されており、第1のモータ201には、第1のバッテリ211から第1のアンプ221を介して電力が供給される。また、第2のモータ202には、第2のバッテリ212から第2のアンプ222を介して電力が供給される。これにより、電動動力源装置は、2系統の電源系が電気的に絶縁した状態で、出力軸を駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−312234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電源系を2系統に完全分離した倒立二輪車は、バッテリのばらつきや搭乗者の乗り方により、バッテリが偏減りすることがある。バッテリを互いに接続し相互に充電を行えば、バッテリの偏減りは防げるが、互いに絶縁されていないため電源系の相互独立が妨げられる。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、相互に独立した2系統の電源系において、それぞれバッテリ残量の制御を行う電動動力源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる電動動力源装置は、複数の系を有する電動動力源装置であって、それぞれの系は、電力の授受を行うバッテリと、出力用及び回生用に変更可能な2つ以上の独立した巻線を有し、自系又は他系の前記バッテリからの電力の供給を受ける場合には駆動トルクを出力し、回生制御を行う場合には電力を生成するモータと、前記バッテリと前記モータの電力の授受を制御する駆動回路と、を備え、前記モータは、一方の巻線が出力用として動作することで一方の系のバッテリから電力の供給を受け駆動トルクを出力する場合に、他方の巻線が回生用として動作することで電力を生成し他方の系のバッテリの充電を行う。
これにより、電気系を分離している2つの電池間で、電力を相互に受け渡すことができる。
【発明の効果】
【0008】
相互に独立した2系統の電源系において、それぞれのバッテリ残量の制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1にかかる電動動力源装置のブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかる動作パターンの図である。
【図3】実施の形態1にかかる双方の系から電気を持ちだす場合のブロック図である。
【図4】実施の形態1にかかる第2のバッテリの充電を行う場合のブロック図である。
【図5】実施の形態1にかかる第1のバッテリの充電を行う場合のブロック図である。
【図6】実施の形態1にかかる第1及び第2のバッテリの充電を行う場合のブロック図である。
【図7】従来の電動動力源装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、電動動力源装置10のブロック図である。
電動動力源装置10は、第1の系101と、第2の系102と、を備える。第1の系101は、第1のセンサ111と、第1の駆動回路121と、第1のアンプ131と、第2のアンプ132と、第1のモータ141と、第1のバッテリ151と、を備える。第2の系102は、第2のセンサ112と、第2の駆動回路122と、第3のアンプ133と、第4のアンプ134と、第2のモータ142と、第2のバッテリ152と、を備える。
第1の系101と、第2の系102は、電源系が別であり、絶縁状態である。典型的には、第1の系101は、倒立二輪車の左側に備えられた車輪の駆動を制御し、第2の系102は、倒立二輪車の右側に備えられた車輪の駆動を制御する。
【0011】
第1のセンサ111は、第1の系101に備えられたセンサである。第1のセンサ111は、第1の駆動回路121と、第1のアンプ131に接続している。
第1のセンサ111は、第1のアンプ131の動作状態を取得する。より具体的には、第1のセンサ111は、第1のアンプ131の電流や電圧を取得する。第1のセンサ111は、取得した情報を、信号として第1の駆動回路121に出力する。
なお、第1のセンサ111は、第1のアンプ131に内蔵されていてもよい。
【0012】
第2のセンサ112は、第1の系101に備えられたセンサである。第2のセンサ112は、第1の駆動回路121と、第2のアンプ132に接続している。
第2のセンサ112は、第2のアンプ132の動作状態を取得する。より具体的には、第2のセンサ112は、第2のアンプ132の電流や電圧を取得する。第2のセンサ112は、取得した情報を、信号として第1の駆動回路121に出力する。
なお、第2のセンサ112は、第2のアンプ132に内蔵されていてもよい。
【0013】
第3のセンサ113は、第2の系102に備えられたセンサである。第3のセンサ113は、第2の駆動回路122と、第3のアンプ133に接続している。
第3のセンサ113は、第3のアンプ133の動作状態を取得する。より具体的には、第3のセンサ113は、第1のアンプ133の電流や電圧を取得する。第3のセンサ113は、取得した情報を、信号として第2の駆動回路122に出力する。
なお、第3のセンサ113は、第3のアンプ133に内蔵されていてもよい。
【0014】
第4のセンサ114は、第2の系102に備えられたセンサである。第4のセンサ114は、第2の駆動回路122と、第4のアンプ134に接続している。
第4のセンサ114は、第4のアンプ134の動作状態を取得する。より具体的には、第4のセンサ114は、第4のアンプ134の電流や電圧を取得する。第4のセンサ114は、取得した情報を、信号として第2の駆動回路122に出力する。
なお、第4のセンサ114は、第4のアンプ134に内蔵されていてもよい。
【0015】
第1の駆動回路121は、第1の系101に備えられた駆動回路である。例えば、第1の駆動回路121は、CPUを有している。第1の駆動回路121は、第1のセンサ111と、第2のセンサ112と、第1のアンプ131と、第2のアンプ132に接続している。第1の駆動回路121は、第1のセンサ111と、第2のセンサ112から供給された信号に基づいて、制御信号を第1のアンプ131と、第2のアンプ132に出力する。
【0016】
第2の駆動回路122は、第2の系102に備えられた駆動回路である。例えば、第2の駆動回路122は、CPUを有している。第2の駆動回路122は、第3のセンサ113と、第4のセンサ114と、第3のアンプ133と、第4のアンプ134に接続している。第2の駆動回路122は、第3のセンサ113と、第4のセンサ114から供給された信号に基づいて、制御信号を第3のアンプ133と、第4のアンプ134に出力する。
【0017】
第1のアンプ131は、第1の系101に備えられたアンプである。第1のアンプ131は、第1の駆動回路121と、第1のモータ141と、第1のバッテリ151と、に接続する。第1のアンプ131は、第1の駆動回路121から供給される制御信号に基づいて動作し、第1のモータ141と、第1のバッテリ151との間の電流や電圧を調整する。例えば、第1のモータ141は、第1のモータ141と第1のバッテリ151の、どちらを高電位にするかを定める。
【0018】
第2のアンプ132は、第1の系101に備えられたアンプである。第2のアンプ132は、第1の駆動回路121と、第2のモータ142と、第1のバッテリ151と、に接続する。第2のアンプ132は、第1の駆動回路121から供給される制御信号に基づいて動作し、第2のモータ142と、第1のバッテリ151との間の電流や電圧を調整する。例えば、第2のモータ142は、第2のモータ142と第1のバッテリ151の、どちらを高電位にするかを定める。
【0019】
第3のアンプ133は、第2の系102に備えられたアンプである。第3のアンプ133は、第2の駆動回路122と、第1のモータ141と、第2のバッテリ152と、に接続する。第3のアンプ133は、第2の駆動回路122から供給される制御信号に基づいて動作し、第1のモータ141と、第2のバッテリ152との間の電流や電圧を調整する。例えば、第3のモータ143は、第1のモータ141と第2のバッテリ152の、どちらを高電位にするかを定める。
【0020】
第4のアンプ134は、第2の系102に備えられたアンプである。第4のアンプ134は、第2の駆動回路122と、第2のモータ142と、第2のバッテリ152と、に接続する。第4のアンプ134は、第2の駆動回路122から供給される制御信号に基づいて動作し、第2のモータ142と、第2のバッテリ152との間の電流や電圧を調整する。例えば、第4のアンプ134は、第2のモータ142と第2のバッテリ152の、どちらを高電位にするかを定める。
【0021】
第1のモータ141は、第1の系101に備えられたモータである。第1のモータ141は、互いに絶縁された2つの巻線を有する。例えば、第1のモータ141は、3相交流モータの各相を互いに絶縁された2重巻線により構成されている。2つの巻線は、それぞれ第1の巻線1411、第2の巻線1412とする。第1の巻線1411は、第1のアンプ131と接続している。また、第2の巻線1412は、第3のアンプ133と接続している。第1の巻線1411および第2の巻線1412は、トルクの出力用と回生用に、用途の変更が可能であり、互いに独立している。
第1のモータ141は、第1のバッテリ151および第2のバッテリ152から電力の供給を受け、駆動トルクを発生させる。また、第1のモータ141は、回生制御に基づき、電力を生成する。第1のモータ141の動作については、後に詳述する。
【0022】
第2のモータ142は、第2の系102に備えられたモータである。第1のモータ141と同様に、互いに絶縁された2つの巻線を有する。2つの巻線は、それぞれ第3の巻線1413、第4の巻線1414とする。第3の巻線1413は、第2のアンプ132と接続している。また、第4の巻線1414は、第4のアンプ134と接続している。第3の巻線1413および第4の巻線1414は、トルクの出力用と回生用に、用途の変更が可能であり、互いに独立している。
第2のモータ142は、第1のバッテリ151および第2のバッテリ152から電力の供給を受け、駆動トルクを発生させる。また、第2のモータ142は、回生制御に基づき、電力を生成する。第2のモータ142の動作については、後に詳述する。
【0023】
第1のバッテリ151は、第1の系101に備えられ、電力を供給するバッテリである。典型的には、第1のバッテリ151は、電力の供給を受けることで充電可能な二次電池である。
第1のバッテリ151は、第1のアンプ131と、第2のアンプ132に接続している。第1のバッテリ151は、第1のアンプ131を介して、第1のモータ141との電力の授受を行う。また、第1のバッテリ151は、第2のアンプ132を介して、第2のモータ142との電力の授受を行う。
【0024】
第2のバッテリ152は、第2の系102に備えられ、電力を供給するバッテリである。典型的には、第2のバッテリ152は、電力の供給を受けることで充電可能な二次電池である。
第2のバッテリ152は、第3のアンプ133と、第4のアンプ134に接続している。第2のバッテリ152は、第3のアンプ133を介して、第1のモータ141との電力の授受を行う。また、第2のバッテリ152は、第4のアンプ134を介して、第2のモータ142との電力の授受を行う。
【0025】
次に、電動動力源装置10の動作について説明する。図2は、電動動力源装置10の第1のモータ141の動作と、第2のモータ142の動作、および電気の受け渡しのパターンの関係を表した図である。
【0026】
まず、第1のモータ141および第2のモータ142ではトルクを出力し、それぞれのモータでは電力の回生を行わず、電気の受け渡しがない場合について説明する。すなわち、図2におけるパターン1である。図3は、第1のバッテリ151および第2のバッテリ152から電量の供給を受け、第1のモータ141と第2のモータがトルクを出力する場合の、電動動力源装置10のブロック図である。
【0027】
まず、第1の駆動回路121は、第1のアンプ131と、第2のアンプ132を制御する。
第1のアンプ131は、第1の駆動回路121の制御に基づき、第1のバッテリ151から第1のモータ141に電力が供給されるよう動作する。これにより、第1のモータ141の第1の巻線1411には、第1のアンプ131を介して、第1のバッテリ151から供給された電流が流れる。第1のモータ141は、供給された電流に基づいて駆動し、トルクを発生させる。
同様に、第2のアンプ132は、第1の駆動回路121の制御に基づき、第1のバッテリ151から第2のモータ142に電力が供給されるよう動作する。これにより、第2のモータ142の第3の巻線1413には、第2のアンプ132を介して、第1のバッテリ151から供給された電流が流れる。第2のモータ142は、供給された電流に基づいて駆動し、トルクを発生させる。
【0028】
なお、第1のセンサ111は、第1のアンプ131に流れる電流や電圧の値を取得し、第1の駆動回路121に取得した値を出力する。また、第2のセンサ112は、第2のアンプ132に流れる電流や電圧の値を取得し、第1の駆動回路121に取得した値を出力する。第1の駆動回路121は、供給された値に基づいて、第1のアンプ131および第2のアンプ132の動作状態を制御する。
【0029】
また、第2の駆動回路122は、第1のアンプ131と、第2のアンプ132を制御する。
第3のアンプ133は、第2の駆動回路122の制御に基づき、第2のバッテリ152から第1のモータ141に電力が供給されるよう動作する。これにより、第1のモータ141の第1の巻線1412には、第3のアンプ133を介して、第2のバッテリ152から供給された電流が流れる。第1のモータ141は、供給された電流に基づいて駆動し、トルクを発生させる。
同様に、第4のアンプ134は、第2の駆動回路122の制御に基づき、第2のバッテリ152から第2のモータ142に電力が供給されるよう動作する。これにより、第2のモータ142の第4の巻線1414には、第4のアンプ134を介して、第2のバッテリ152から供給された電流が流れる。第2のモータ142は、供給された電流に基づいて駆動し、トルクを発生させる。
【0030】
なお、第3のセンサ113は、第3のアンプ133に流れる電流や電圧の値を取得し、第2の駆動回路122に取得した値を出力する。また、第4のセンサ114は、第4のアンプ134に流れる電流や電圧の値を取得し、第2の駆動回路122に取得した値を出力する。第2の駆動回路122は、供給された値に基づいて、第3のアンプ133および第4のアンプ134の動作状態を制御する。
【0031】
次に、第2のバッテリ152が偏減りしており、第1のバッテリ151から第2のバッテリ152を充電する場合について説明する。すなわち、図2におけるパターン2である。図4は、第1のバッテリ151の電力を用いて、第2のバッテリ152を充電する場合のブロック図である。
【0032】
第1のモータ141および第2のモータ142が、第1のバッテリ151から電力を供給され、トルクを発生させる動作は、上記と同様である。
【0033】
第1の駆動回路121は、第1のアンプ131と、第2のアンプ132を制御する。
第1のアンプ131は、第1の駆動回路121の制御に基づき、第1のバッテリ151から第1のモータ141に電力が供給されるよう動作する。これにより、第1のモータ141の第1の巻線1411には、第1のアンプ131を介して、第1のバッテリ151から供給された電流が流れる。第1のモータ141は、供給された電流に基づいて駆動し、トルクを発生させる。
同様に、第2のアンプ132は、第1の駆動回路121の制御に基づき、第1のバッテリ151から第2のモータ142に電力が供給されるよう動作する。これにより、第2のモータ142の第3の巻線1413には、第2のアンプ132を介して、第1のバッテリ151から供給された電流が流れる。第2のモータ142は、供給された電流に基づいて駆動し、トルクを発生させる。
【0034】
また、第1のモータ141および第2のモータ141は、生成した電力を第2のバッテリ152に充電する。
【0035】
第2の駆動回路122は、第3のアンプ133と、第4のアンプ134を制御する。
第3のアンプ133は、第2の駆動回路122の回生制御に基づき、第2のバッテリ152側が、第1のモータ141に比べて電圧が低い状態にする。ここで、第1のモータ141は、第1のバッテリ151から供給された電力により駆動している。第1のモータ141の巻線1412では、第1のモータ141の駆動に基づいて、電力が生成される。第1のモータ141で生成された電力は、回生電力として第3のアンプ133を介して、第2のバッテリ152に充電される。
第4のアンプ134は、第2の駆動回路122の回生制御に基づき、第2のバッテリ152側が、第2のモータ142に比べて電圧が低い状態にする。ここで、第2のモータ142は、第1のバッテリ151から供給された電力により駆動している。第2のモータ142の巻線1414では、第2のモータ142の駆動に基づいて、電力が生成される。第2のモータ142で生成された電力は、回生電力として第4のアンプ134を介して、第2のバッテリ152に充電される。
これにより、第1のバッテリ151の電力を用いて、第2のバッテリ152を充電することができる。
【0036】
なお、第1のセンサ111は第1のアンプ131の動作状態を取得し、第2のセンサ112は第2のアンプ132の動作状態を取得し、第3のセンサ113は第3のアンプの動作状態を取得し、第4のセンサ114は第4のアンプ134の動作状態を取得する。第1のセンサ111および第2のセンサ112で取得された値は、第1の駆動回路121に供給され、第1の駆動回路121は、第1のアンプ131および第2のアンプ132の動作状態を制御する。第3のセンサ113および第4のセンサ114で取得された値は、第2の駆動回路122に供給され、第2の駆動回路122は、第3のアンプ133および第4のアンプ134の動作状態を制御する。
【0037】
次に、第1のバッテリ151が偏減りしており、第2のバッテリ152から第1のバッテリ151を充電する場合について説明する。すなわち、図2におけるパターン3である。図5は、第2のバッテリ152の電力を用いて、第1のバッテリ151を充電する場合のブロック図である。
【0038】
第2のバッテリ152の電力を用いて、第1のバッテリ151を充電する動作は、上記の、第1のバッテリ151の電力を用いて、第2のバッテリ152を充電する動作において、第1の系101と、第2の系102の動作を入れ替えれば良い。すなわち、以下の手順で行う。
【0039】
第2の駆動回路122は、第3のアンプ133と、第4のアンプ134を制御する。
第3のアンプ133は、第2の駆動回路122の制御に基づき、第2のバッテリ152から第1のモータ141に電力が供給されるよう動作する。これにより、第1のモータ141の第2の巻線1412には、第3のアンプ133を介して、第2のバッテリ152から供給された電流が流れる。第1のモータ141は、供給された電流に基づいて駆動し、トルクを発生させる。
同様に、第4のアンプ134は、第2の駆動回路122の制御に基づき、第2のバッテリ151から第2のモータ142に電力が供給されるよう動作する。これにより、第2のモータ142の第3の巻線1413には、第2のアンプ132を介して、第1のバッテリ151から供給された電流が流れる。第2のモータ142は、供給された電流に基づいて駆動し、トルクを発生させる。
【0040】
第1の駆動回路121は、第1のアンプ131と、第2のアンプ132を制御する。
第1のアンプ131は、第1の駆動回路121の回生制御に基づき、第1のバッテリ151側が、第1のモータ141に比べて電圧が低い状態にする。ここで、第1のモータ141は、第2のバッテリ152から供給された電力により駆動している。第1のモータ141の巻線1411では、第1のモータ141の駆動に基づいて、電力が生成される。第1のモータ141で生成された電力は、回生電力として第1のアンプ131を介して、第1のバッテリ151に充電される。
第2のアンプ132は、第1の駆動回路121の回生制御に基づき、第1のバッテリ151側が、第2のモータ142に比べて電圧が低い状態にする。ここで、第2のモータ142は、第2のバッテリ152から供給された電力により駆動している。第2のモータ142の巻線1413では、第2のモータ142の駆動に基づいて、電力が生成される。第2のモータ142で生成された電力は、回生電力として第2のアンプ132を介して、第1のバッテリ151に充電される。
これにより、第2のバッテリ152の電力を用いて、第1のバッテリ151を充電することができる。
【0041】
なお、第1のセンサ111、第2のセンサ112、第3のセンサ113、第4のセンサ114が取得した値に基づいて、第1の駆動回路121や第2の駆動回路122の動作が制御されるのは、上記と同様である。
【0042】
次に、第1のバッテリ151と、第2のバッテリ152の両方を充電する場合について説明する。すなわち、図2におけるパターン4である。図6は、第1のバッテリ151と、第2のバッテリ152の両方を充電する場合のブロック図である。
このとき倒立二輪車は、坂道を下るなど、モータの動作によらず走行しているものとする。
【0043】
第1の駆動回路121は、第1のアンプ131と、第2のアンプ132を制御する。
第1のアンプ131は、第1の駆動回路121の回生制御に基づき、第1のバッテリ151側が、第1のモータ141に比べて電圧が低い状態にする。第1のモータ141の巻線1411では、倒立二輪車の走行による第1のモータ141の駆動に基づいて、電力が生成される。第1のモータ141で生成された電力は、回生電力として第1のアンプ131を介して、第1のバッテリ151に充電される。
第2のアンプ132は、第1の駆動回路121の回生制御に基づき、第1のバッテリ151側が、第2のモータ142に比べて電圧が低い状態にする。第2のモータ142の巻線1413では、倒立二輪車の走行による第2のモータ142の駆動に基づいて、電力が生成される。第2のモータ142で生成された電力は、回生電力として第2のアンプ132を介して、第1のバッテリ151に充電される。
【0044】
第2の駆動回路122は、第3のアンプ133と、第4のアンプ134を制御する。
第3のアンプ133は、第2の駆動回路122の回生制御に基づき、第2のバッテリ152側が、第1のモータ141に比べて電圧が低い状態にする。第1のモータ141の巻線1412では、倒立二輪車の走行による第1のモータ141の駆動に基づいて、電力が生成される。第1のモータ141で生成された電力は、回生電力として第3のアンプ133を介して、第2のバッテリ152に充電される。
第4のアンプ134は、第2の駆動回路122の回生制御に基づき、第2のバッテリ152側が、第2のモータ142に比べて電圧が低い状態にする。第2のモータ142の巻線1414では、倒立二輪車の走行による第2のモータ142の駆動に基づいて、電力が生成される。第2のモータ142で生成された電力は、回生電力として第4のアンプ134を介して、第2のバッテリ152に充電される。
これにより、第1のバッテリ151および第2のバッテリ152では、回生電力により充電が行われる。
【0045】
なお、第1のセンサ111、第2のセンサ112、第3のセンサ113、第4のセンサ114が取得した値に基づいて、第1の駆動回路121や第2の駆動回路122の動作が制御されるのは、上記と同様である。
【0046】
これにより、電動動力源装置10では電源系を分離したまま、第1のモータ141および第2のモータ142でトルクを発生させることや、電力を発生させることができる。したがって、第1のバッテリ151と、第2のバッテリ152の間で、電力を相互に受け渡すことができる。
電源系が分離しているため、たとえ一方の系のモータやバッテリに故障が発生した場合であっても、他方の系に故障が波及することはない。
一方のバッテリから供給される電力を用いて、第1のモータ141と、第2のモータ142の両方を駆動させることができることから、1つのバッテリが使用不能となった場合であっても、倒立二輪車は走行状態を維持することができる。
【0047】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、第1のセンサ111と第2のセンサ112は、1つのセンサであっても良い。また、第3のセンサ113と第4のセンサ114は、1つのセンサであっても良い。
【符号の説明】
【0048】
10 電動動力源装置
101 第1の系
102 第2の系
111 第1のセンサ
112 第2のセンサ
113 第3のセンサ
114 第4のセンサ
121 第1の駆動回路
122 第2の駆動回路
131 第1のアンプ
132 第2のアンプ
133 第3のアンプ
134 第4のアンプ
141 第1のモータ
142 第2のモータ
151 第1のバッテリ
152 第2のバッテリ
1411 第1の巻線
1412 第2の巻線
1413 第3の巻線
1414 第4の巻線
201 第1のモータ
202 第2のモータ
211 第1のバッテリ
212 第2のバッテリ
221 第1のアンプ
222 第2のアンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の系を有する電動動力源装置であって、
それぞれの系は、
電力の授受を行うバッテリと、
出力用及び回生用に変更可能な2つ以上の独立した巻線を有し、自系又は他系の前記バッテリからの電力の供給を受ける場合には駆動トルクを出力し、回生制御を行う場合には電力を生成するモータと、
前記バッテリと前記モータの電力の授受を制御する駆動回路と、を備え、
前記モータは、一方の巻線が出力用として動作することで一方の系のバッテリから電力の供給を受け駆動トルクを出力する場合に、他方の巻線が回生用として動作することで電力を生成し他方の系のバッテリの充電を行う、電動動力源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−139082(P2012−139082A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291774(P2010−291774)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】