説明

電動機の特性を取得する装置、方法、プログラム、電動機、電動機搭載装置

【課題】電動機の各種特性を取得するための技術を提供する。
【解決手段】電動機の特性を取得する装置であって、前記電動機に電圧を印可する印可手段209と、前記電動機の特性を取得する特性取得部210と、を備え、前記特性取得部は、電磁コイルの抵抗値と、前記電動機に印可される印可電圧と、前記印可電圧下において前記電動機を無負荷状態で運転させたときの前記電動機の回転数である無負荷回転数と、前記印可電圧下において前記電動機を無負荷状態で運転させたときの前記電磁コイルに流れる無負荷電流と、前記電動機の運転状態と、を用いて当該運転状態下における前記電動機の特性を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機の特性を取得する装置、方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トルク−回転数特性等の電動機の特性を取得するためには、測定対象となる電動機が発生させるトルクを、トルク測定装置を用いて機械的に測定していた(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−109564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の方法では、定回転数で負荷トルクを変動させたり、定トルクで回転数を変動させたりするような時の電動機の特性を求めようとする場合、高度なPI制御を行う必要があった。そのため、このような時の電動機の特性を容易に求めることは難しかった。
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決し、高度なPI制御を行うことなく電動機の各種特性を取得するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
電動機の特性を取得する装置であって、前記電動機に電圧を印可する印可手段と、前記電動機の特性を取得する特性取得部と、を備え、前記特性取得部は、電磁コイルの抵抗値と、前記電動機に印可される印可電圧と、前記印可電圧下において前記電動機を無負荷状態で運転させたときの前記電動機の回転数である無負荷回転数と、前記印可電圧下において前記電動機を無負荷状態で運転させたときの前記電磁コイルに流れる無負荷電流と、 前記電動機の運転状態と、を用いて当該運転状態下における前記電動機の特性を取得する、装置。
この適用例によれば、高度なPI制御をすることなく、電動機の特性を取得することが可能である。
【0008】
[適用例2]
適用例1に記載の装置において、前記運転状態は、前記電動機の回転数を一定回転数で維持する運転状態、前記電動機の出力を一定値で維持する運転状態、前記電動機のトルクを一定の大きさで維持する運転状態、前記電動機の回転数を一定回転数で維持し、かつ、前記電動機のトルクを一定の大きさで維持する運転状態のいずれかである、装置。
この適用例によれば、様々な運転状態における電動機の特性を容易に取得することが可能となる。
【0009】
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載の装置において、前記特性は、前記電動機のトルクと、電流値との関係、前記電動機のトルクと、出力との関係、前記電動機のトルクと、効率との関係、前記電動機の回転数と、電流値との関係、前記電動機の回転数と、出力との関係、前記電動機の回転数と、効率との関係、前記電動機の回転数及び前記トルクの値と、出力との関係、のうち少なくとも1つを含む、装置。
この適用例によれば、電動機のトルクに対する各種特性、電動機の回転数に対する各種特性を取得することが可能となる。
【0010】
[適用例4]
適用例1から適用例3のいずれかに記載の装置において、さらに、前記電動機の電磁コイルの温度を取得する温度測定部と、前記電磁コイルの抵抗を測定する抵抗測定部と、前記電磁コイルに流れる電流を測定する電流測定部と、前記電動機の回転数を取得する回転数取得部と、を備える、装置。
この適用例によれば、特性取得部が用いる、抵抗、印可電圧、無負荷回転数、無負荷電流を容易に取得することが可能となる。
【0011】
[適用例5]
適用例1から適用例4のいずれかに記載の装置において、前記電動機をPWM駆動する場合に、前記特性取得部は、前記印可電圧値として、供給電圧値にデューティー比を掛けた実効値を印可電圧値として用いる、装置。
この適用例によれば、PWM駆動時の電動機の特性を容易に取得することが可能となる。
【0012】
[適用例6]
適用例1から適用例5のいずれかに記載の装置において、前記電磁コイルが3相スター結線されている場合には、前記電動機の電磁コイルの総抵抗として、前記電磁コイル単体の抵抗値の2倍の抵抗値を用いる、装置。
この適用例によれば、電磁コイルが3相スター結線されている場合においても、電動機の特性を容易に取得することが可能となる。
【0013】
[適用例7]
適用例1から適用例6のいずれかに記載の装置において、さらに、前記算出された電動機の特性を表示する表示部を備える、装置。
この適用例によれば、算出された電動機の特性を表示することができる。
【0014】
[適用例8]
適用例1から適用例7のいずれかに記載の装置において、さらに、前記算出された電動機の特性に基づいて電動機を制御する制御部を備える、装置。
この適用例によれば、電動機を適切に制御することができる。
【0015】
[適用例9]
電動機を制御する装置であって、供給電圧と、前記供給電圧下における無負荷電流、無負荷回転数と、前記無負荷電流、無負荷回転数からの相関パラメータと、電磁コイルの抵抗値パラメータと、を記憶するパラメータ記憶部と、前記パラメータ記憶部から前記パラメータを読み出して、目標とするトルク量または回転数を維持するために必要な、供給電圧量からのPWM量を決定して制御する制御部と、を備える装置。
この適用例によれば、電動機を適切に制御することが可能となる。
【0016】
[適用例10]
適用例8または適用例9に記載の装置を備える電動機。
この適用例によれば、適切に制御された電動機を実現することができる。
【0017】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、電動機の特性算出方法および装置、電動機の特性算出システム、それらの方法または装置の機能を実現するための集積回路、コンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例としての測定対象となる電動機100の構成を示す模式図である。
【図2】第1実施例における電動機特性取得装置200の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】演算部210の構成の一例を示す説明図である。
【図4】電動機100の特性を算出する工程を示すフローチャートである。
【図5】PWM駆動における供給電圧Esと、電磁コイル20に流れる電流Iを示す説明図である。
【図6】1つの電気角の中に2つの駆動パルスが存在している状態を示す説明図である。
【図7】PWM実効電圧Epwmと、無負荷回転数Nnlとの関係を示すグラフである。
【図8】PWM実効電圧Epwmと、無負荷電流値Inlとの関係を示すグラフである。
【図9】電動機100の特性を示すグラフである。
【図10】外負荷トルクTxと、外負荷電流Iy、外負荷誘起電圧Egyの関係を説明するグラフである。
【図11】外負荷トルクTxと、電動機100の回転数Ny、総出力Wyの関係を説明するグラフである。
【図12】外負荷トルクTxと、電動機100の回転数Ny、総入力Py、総発熱電力Pθyの関係を説明するグラフである。
【図13】外負荷トルクTxと、電動機100の回転数Ny、総効率ηyの関係を説明するグラフである。
【図14】定回転動作における外負荷トルクTxと、総出力Wy、総入力Py、総発熱電力Pθy、総効率ηyとの関係を示すグラフである。
【図15】シミュレーション結果と実測値とを比較して示す説明図である。
【図16】定トルク動作における電動機の回転数と、出力Wy、入力Py、発熱電力Pθy、効率ηyとの関係を示す説明図である。
【図17】シミュレーション結果と実測値とを比較して示す説明図である。
【図18】定出力動作における外負荷トルクTxと、出力Wy、入力Py、発熱電力Pθy、効率ηy、回転数Nyとの関係を示す説明図である。
【図19】シミュレーション結果と実測値とを比較して示す説明図である。
【図20】動作点動作における外負荷トルクTxと、外負荷回転数、総入力、発熱電力、総出力の関係を示す説明図である。
【図21】第2の実施例における電動機特性取得装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図22】第3の実施例を示す説明図である。
【図23】本発明の適用例によるモーターを利用したプロジェクターを示す説明図である。
【図24】本発明の適用例によるモーターを利用した燃料電池式携帯電話を示す説明図である。
【図25】本発明の適用例によるモーター/発電機を利用した移動体の一例としての電動自転車(電動アシスト自転車)を示す説明図である。
【図26】本発明の適用例によるモーターを利用したロボットの一例を示す説明図である。
【図27】本発明の変形例によるモーターを利用した鉄道車両を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
1.第1の実施例:
2.第2の実施例:
3.第3の実施例:
4.変形例:
5.応用例:
【0020】
1.第1の実施例:
1−1.無負荷特性:
図1は、本発明の一実施例としての測定対象となる電動機100の構成を示す模式図である。電動機100は、永久磁石を有するローター部10と、電磁コイル20と、PWMドライバー22と、ホールIC26と、PWM制御部28とを備えている。また、電動機100は、電源24に接続されており、電源電圧として供給電圧値Es[V]が供給されている。
【0021】
ホールIC26は、ローター部10の回転位置に応じたセンサー信号SSAを生成する。センサー信号SSAは、PWM制御部28に供給される。PWM制御部28は、センサー信号SSAに応じて、PWMドライバー22の2つのスイッチS1、S2を切り替える。この結果、電磁コイル20に流れる電流の向きが入れ替わる。そして、電磁コイル20に流れる電流の向きが入れ替わることによって、電磁コイル20の磁化方向が入れ替わり、ローター部10は回転することができる。電磁コイル20は、内部抵抗31と、インダクタンス33と、逆起電力Egとして模擬されている。逆起電力Eg[V]は、電磁コイル20に流れる電流の方向とは逆向きに発生する。内部抵抗31は、抵抗値Rdc[Ω]を有する。インダクタンス33は、インダクタンスL[H]を有する。
【0022】
本実施例では、電磁コイル20の抵抗値Rdcと、供給電圧値Esと、無負荷で電動機100を回転させた場合の回転数(無負荷回転数Nnl[rpm])と、無負荷で電動機100を回転させた場合に電磁コイル20に流れる電流値(無負荷電流値Inl[A])とを測定する。そして、これらの値を用いて、様々な動作状態における電動機100の各種の特性を算出する。ここで、様々な動作状態とは、例えば、定回転動作、定トルク動作、定出力動作、動作点動作等を含む。また、電動機の特性には、例えば、逆起電力定数Ke、トルク−電流特性、トルク−回転数特性、トルク−仕事特性、トルク−効率特性、回転数−電流特性、回転数−トルク特性、回転数−仕事特性、回転数−効率特性を含む。また、電動機の特性には、動作点における特性をも含む。なお、本明細書において、「無負荷」とは、ローター部10に外部負荷が接続されていない状態を意味する。
【0023】
図2は、第1実施例における電動機特性取得装置200の構成の一例を示すブロック図である。電動機特性取得装置200は、回転速度測定部202と、温度測定部203と、抵抗値測定部204と、供給電圧値測定部206と、電流値測定部208と、演算部210とを備えている。回転速度測定部202は、カップリング224を介して、電動機100の回転軸102と接続されている。回転速度測定部202は、無負荷で電動機100を回転させた場合の回転数Nnlを測定する。以下では、無負荷で電動機100を回転させた場合の回転数Nnlを「無負荷回転数Nnl」とも呼ぶ。この無負荷回転数Nnlは、演算部210に供給される。
【0024】
供給電圧値測定部206は、電源24(図1)から電動機100に供給される供給電圧値Esを測定する。電流値測定部208は、無負荷で電動機100を回転させた場合に電磁コイル20(図1)に流れる電流値Inlを測定する。以下では、無負荷で電動機100を回転させた場合に電磁コイル20に流れる電流値Inlを、「無負荷電流値Inl」とも呼ぶ。この無負荷電流値Inlは、演算部210に供給される。
【0025】
抵抗値測定部204は、電磁コイル20の内部抵抗31(図1)の抵抗値Rdcを測定する。電磁コイル20の抵抗値Rdcは、逆起電力Egが発生していない状態において電磁コイル20に流れている電流値Iと、供給電圧値Esとの関係から求めることができる。その際、抵抗値Rdcがジュール熱の影響を受けないように、電流値Iまたは供給電圧値Esを制御することが好ましい。なお、逆起電力Egが発生していない状態は、例えば、ローター部10を停止させる目的の機械角位置で回転しないように固定し、PWMドライバー22のスイッチS1,S2を固定した状態にすることによって実現することができる。測定された抵抗値Rdcは、演算部210に供給される。
【0026】
演算部210は、抵抗値Rdcと、供給電圧値Esと、無負荷電流値Inlと、無負荷回転数Nnlと、電動機100の動作状態に基づいて、電動機100の特性を算出する。この算出方法については後述する。演算部210によって算出された電動機100の特性は、表示装置222によって表示される。
【0027】
図3は、演算部210の構成の一例を示す説明図である。演算部210は、CPU230と、RAM231と、記憶装置232と、を備える。記憶装置232は、例えば、ハードディスクやSSDにより構成され、特性評価プログラム233を格納している。CPU230は、回転速度測定部202、温度測定部203、抵抗値測定部204、供給電圧値測定部206、電流値測定部208から取得した回転速度、温度、抵抗値、供給電圧値、電流値を、RAM231に一次的に記憶し、記憶装置232に格納する。CPU230は、特性評価プログラム233を実行し、回転速度、温度、抵抗値、供給電圧値、電流値から、様々な特性を算出する。具体的な算出については、後述する。
【0028】
図4は、電動機100の特性を算出する工程を示すフローチャートである。ステップS10では、温度測定部203は、電磁コイル20(図1)の温度Tmを測定し、抵抗値測定部204は、その温度Tmにおける内部抵抗31(図1)の抵抗値RdcTmを測定する。ステップS20では、演算部210は、任意の温度Tpにおける電磁コイル20の抵抗値Rdcを、以下の式(1)を用いて算出する。
【数1】

【0029】
ここで、係数pは、電磁コイル20の温度係数[10-3/℃]である。温度係数pは、電磁コイル20の構成材料により定まる値を有する。したがって、電磁コイル20の構成材料がわかっていれば既知である。なお、温度係数pが既知でない場合には、演算部210は、複数の温度で測定された複数の抵抗値を取得する。そして、演算部210は、それらの温度と抵抗値とを用いて、温度係数pを取得する。その後、演算部210は、その温度係数pを用いて所望の温度Tpにおける電磁コイル20の抵抗値を取得してもよい。
【0030】
ステップS30では、供給電圧値測定部206は、PWM実効電圧Epwmを取得する。なお、PWM実効電圧Epwmと、供給電圧Esと、PWM駆動のデューティー比Drとの間には、式(2)の関係がある。すなわち、PWM実効電圧Epwmは、供給電圧Esにデューティー比Drを掛けたものである。
【数2】

【0031】
PWM駆動において、式(2)が成り立つのは、以下の理由による。図5は、PWM駆動における供給電圧Esと、電磁コイル20に流れる電流Iを示す説明図である。PWM駆動では、電磁コイル20への電圧の供給がオンになる期間と、オフになる期間とがあるため、電流が変化する。電動機100は、電磁コイル20を有しているため、PWM駆動においては、電流の変化による電磁コイル20の誘導起電力を考慮する必要がある。
【0032】
図5では、供給電圧Esのデューティー比をDrとし、デューティーの制御期間の長さをUとしている。このとき、時刻0から時刻Dr×Uまでの期間は、電圧の供給がオンの期間である。電圧の供給がオフからオンに変化する場合、電磁コイル20には、急に最大の電流が流れる訳ではなく、電流が徐々に増加していく。時刻Dr×Uから時刻Uまでの期間は、電圧の供給がオフの期間である。電圧の供給がオンからオフに変化する場合も同様に、電磁コイル20に流れる電流は、急にゼロになる訳ではなく、徐々に減少していく。
【0033】
電磁コイル20への電圧の供給がオンの期間と、オフの期間とに分けて電動機100の回路方程式を立てる。電磁コイル20への電圧の供給がオンの期間(0≦t≦Dr×U)では、図1の電動機100の回路方程式は式(3)に示す式となる。
【数3】

【0034】
ここで、供給電圧をEs、電磁コイル20の抵抗をRdc、インダクタンスをL、逆起電力をEgとしている。式(3)の右辺第1項は、内部抵抗31(図1)による電圧降下である。右辺第2項は、電磁コイル20による誘導起電力である。右辺第3項は、逆起電力である。式(3)を解くと、式(4)が得られる。
【数4】

【0035】
ここで、式(4)の定数Aの具体的な値は、境界条件を定めることにより、求めることが可能である。しかし、定数Aの値は、後の計算により相殺されて消えるので、ここではAのまま残しておく。次に、電磁コイル20への電圧の供給がオフの期間(Dr×U≦t≦U)の回路方程式を立てる。この場合、電動機100の回路方程式は、式(3)においてEs=0とすればよく、具体的には、式(5)に示す式となる。
【数5】

【0036】
式(5)を解くと、式(6)が得られる。
【数6】

【0037】
ここで、定数Bの値も同様に求めることが可能であるが、定数Aの値と同様に、後の計算により相殺されて消えるので、ここではBのまま残しておく。次に、境界条件を検討する。式(7)に示す境界条件により式(8)が得られる。この境界条件は、式(4)の終点(t=Dr×U)と、式(6)の始点(t=Dr×U)とが、一致することによるものである。
【数7】

【数8】

【0038】
式(8)を変形すると式(9)が得られる。
【数9】

【0039】
また、式(10)に示す境界条件により式(11)が得られ、同様に式(11)を変形すると、式(12)が得られる。この境界条件は、式(4)の始点(t=0)と、式(6)の終点(t=U)とが、一致することによるものである。
【数10】

【数11】

【数12】

【0040】
次に、電動機100の平均の電流を求める。平均の電流Iは、式(13)で算出することができる。すなわち、式(4)をt=0からt=Dr×Uまで積分し、式(6)をt=Dr×Uからt=Uまで積分し、両者を足して、PWMの周期の値Uで割ればよい。
【数13】

【0041】
式(13)の分子第1項は、式(14)のように変形することができる。
【数14】

【0042】
また、式(13)の分子第2項は、式(15)のように変形することができる。
【数15】

【0043】
ここで、式(14)の右辺第1項と式(15)の右辺第1項を加えると、式(16)が得られる。
【数16】

【0044】
式(16)に式(9)、式(12)を代入すると、式(17)が得られる。すなわち、式(14)の右辺第1項と式(15)の右辺第1項との和は、ゼロになる。
【数17】

【0045】
次に式(15)の第2項と式(15)の第2項を加えると、式(18)が得られる。
【数18】

【0046】
その結果、式(13)に、式(17)、式(18)の結果を代入することにより、式(13)は、(19)式のように変形することができる。
【数19】

【0047】
式(19)を見ればわかるように、式(4)、式(6)にあった定数A、Bは、相殺され、消えている。また、式(19)から明らかなように、電磁コイル20のインダクタンスLは、式(19)に現れていない。その代わり、式(19)には、デューティー比Drが現れている。これは、電磁コイル20のインダクタンスとしての特徴を反映している。すなわち、電磁コイル20を含む回路では、電圧の供給がオンの時には、電磁コイル20にエネルギーが蓄積され、逆に電圧の供給がオフの時には、逆に電磁コイル20からエネルギーが放出される。PWMの一周期を考えれば、電圧の供給がオンの時に電磁コイル20に蓄積されるエネルギーの量と、電圧の供給がオフの時に電磁コイル20から放出されるエネルギーの量は同じであることが判る。このように、電磁コイル20では、インダクタンスLにより、エネルギーが消費されない。電磁コイル20のインダクタンスLは、電圧の供給がオンの期間だけ、あるいは電圧の供給がオフの期間だけで見れば考慮する必要がある。しかし、PWMの一周期を考えれば、電磁コイル20のインダクタンスLの影響は相殺されるため、考慮する必要がなくなる。その結果、PWM駆動下では、インダクタンスLの値を考慮する必要が無く、代わりにデューティー比Drを考慮すればよい。式(19)を変形すると、式(20)が得られる。
【数20】

【0048】
式(20)に、式(2)を適用すれば、式(21)が得られる。すなわち、PWM駆動の時には、供給電圧Esの代わりにPWM実効電圧Epwm(=Es×Dr)を用いることが可能である。なお、PWM実効電圧Epwmの大きさは、供給電圧Esを変更することによる他、デューティー比Drを変更することによっても変更することができる。
【数21】

【0049】
図6は、1つの電気角の中に2つの駆動パルスが存在している状態を示す説明図である。ここでは、駆動パルスのオンの期間(D1×U+(D3×U−D2×U)を電気角の周期Uで割った値をデューティー比Drと呼ぶ。デューティー比は、D1+(D3−D2)となる。
【0050】
供給電圧Esのオンオフで4つの期間に分けて、各期間における方程式を立てて、各期間における電流を求めると、式(22)〜式(25)が得られる。なお、定数A〜Dの値は境界条件を定めることにより具体的に求めることができるが、同様に、後の計算により相殺されるので、ここでは、A〜Dのままにしておく。
【数22】

【数23】

【数24】

【数25】

【0051】
式(22)の終点=式(23)の始点(いずれもt=D1U)、式(23)の終点=式(24)の始点(いずれもt=D2U)、式(24)の終点=式(25)の始点(いずれもt=D3U)、式(25)の終点(t=U)=式(22)の始点(t=0)、の4つの境界条件により、式(26)〜式(29)が得られる。
【数26】

【数27】

【数28】

【数29】

【0052】
平均電流Iは、式(30)で示すことができる。
【数30】

【0053】
(30)式の右辺分子第1項〜第4項はそれぞれ、式(31)〜式(34)のように変形できる。
【数31】

【数32】

【数33】

【数34】

【0054】
式(31)〜式(34)の右辺第1項を加えた後変形し、式(26)〜式(29)の結果を代入すると、式(35)が得られる。すなわち、式(31)〜式(34)の右辺第1項を加えた和はゼロになる。
【数35】

【0055】
式(31)〜式(34)の右辺第2項を加えると、式(36)が得られる。
【数36】

【0056】
したがって、平均電流Iは、式(37)で示すことが出来る。
【数37】

【0057】
式(37)の結果は、式(19)の結果と同じである。ここでは、電気角の1周期に2つの駆動パルスがある場合について説明したが、3つ以上の駆動パルスがある場合も同様に考えることが可能である。すなわち、式(37)を適用することが可能である。なお、図6(B)においては、各区間の電流のグラフが交わる点(点W,X、Y、Z)における電流の値は、同じであるとして模式的にグラフを描いているが、これらの点W〜点Zにおける電流の値はD1〜D3の値により変動する。
【0058】
図7は、PWM実効電圧Epwmと無負荷回転数Nnlとの関係を示すグラフである。図8は、PWM実効電圧Epwmと無負荷電流値Inlとの関係を示すグラフである。ステップS40(図4)では、電源電圧制御部209は、電源24(図1)のPWM実効電圧Epwmを例えば5[V]刻みで変更する。なお、ここでは、供給電圧Esの代わりにPWM実効電圧Epwmを用いている。供給電圧値測定部206は、PWM実効電圧Epwmが変更されるごとにPWM実効電圧Epwmを測定する。回転速度測定部202は、PWM実効電圧Epwmが変更されるごとに無負荷回転数Nnlを測定する。電流値測定部208は、PWM実効電圧Epwmが変更されるごとに無負荷電流値Inlを測定する。
【0059】
ステップS50では、演算部210は、測定されたPWM実効電圧Epwmに対応する無負荷回転数Nnlをグラフ上にプロットし、例えば最小二乗法を用いて、プロットした点を近似する曲線G1を取得する。本実施例では、演算部210は、この曲線G1を、PWM実効電圧Epwmと無負荷回転数Nnlとの関係を示す二次関数として求めている。具体的には、演算部210は、係数KnpeA、KnpeB、KnpeCを算出する。図6から明らかなように、この二次関数は、実測値とほぼ一致している。以下ではこの二次関数を第1の関係式とも呼ぶ。第1の関係式は、式(38)で示される。
【数38】

【0060】
同様に、ステップS60では、演算部210は、測定されたPWM実効電圧Epwmに対応する無負荷電流値Inlをグラフ上にプロットし、例えば最小二乗法を用いて、プロットした点を近似する曲線G2を取得する。本実施例では、演算部210は、この曲線G2を、PWM実効電圧Epwmと無負荷電流値Inlとの関係を示す二次関数として求めている。具体的には、演算部210は、係数KipeA、KipeB、KipeCを算出する。図7から明らかなように、この二次関数は、実測値とほぼ一致している。以下ではこの二次関数を第2の関係式とも呼ぶ。第2の関係式は、式(39)で示される。
【数39】

【0061】
ステップS70では、演算部210は、任意のPWM実効電圧Epwmに対応する無負荷回転数Nnlを第2の関係式(図7の曲線G1)にしたがって算出する。また、演算部210は、任意のPWM実効電圧Epwmに対応する無負荷電流値Inlを第2の関係式(図8の曲線G2)にしたがって算出する。すなわち、演算部210は、PWM実効電圧Epwmが変更されるごとに無負荷回転数Nnlや無負荷電流値Inlを測定することなく、任意のPWM実効電圧Epwmにおける無負荷回転数Nnlや無負荷電流値Inlを算出することが可能である。
【0062】
ステップS80では、演算部210は、抵抗値Rdcと、PWM実効電圧Epwmと、無負荷回転数Nnlと、無負荷電流値Inlとを用い、電動機100の動作状態に応じた電動機100の特性を算出する。電動機100の特性の算出方法については、後述する。
【0063】
図9は、電動機100の特性を示すグラフである。ここでは、トルクTrに対する電流値I、回転数N、真出力Pr、真効率ηrがグラフに示されている。また、縦の破線R0は無負荷を示す線である。「無負荷」では、ローター部10(図1)に接続された外部負荷は存在しないが、ローター部10自身の負荷は存在する。したがって、無負荷であっても、ローター部10を回転させるためには、無負荷トルクTnlが必要である。無負荷を示す破線R0と、電流Iを示す線の交点における電流の値が、無負荷電流Inlである。また、無負荷を示す破線R0と、回転数Nを示す線の交点における回転数Nの値が、無負荷回転数Nnlである。また、トルクTrの値が0のときの回転数Nを「理論回転数Nll」と呼ぶ。なお、無負荷を示す破線R0より左側の領域は、電動機100が動作することが出来ない領域である。すなわち、理論回転数Nllで電動機100を回転させることは、現実には不可能である。ただし、理論回転数Nllで電動機100を回転させることを、理論上考えることは可能である。図9では、外部負荷が無負荷の状態であっても、ローター部10自身の負荷が存在するとしてグラフを表記している。本実施例では、このような表記を「新表記方法」と呼ぶ。
【0064】
まず、演算部210は、無負荷で電動機100を回転させた場合に電磁コイル20に発生する逆起電力(以下では、無負荷逆起電力Egnl[V]とも呼ぶ。)を以下の式(40)を用いて算出する。
【数40】

【0065】
ローター部10(図1)の角速度ωと、逆起電力Egの間には、式(41)の関係があることが知られている。すなわち、逆起電力Egは、ローター部10の角速度ωに比例する。この式(41)は、フレミング右手の法則から導くことができる。なお、式(41)の比例定数(Ke)を「逆起電力定数Ke」と呼ぶ。
【数41】

【0066】
理論回転数Nllの時のローター部10の角速度を「理論角速度ωll」と呼び、無負荷回転数のときの角速度を「無負荷角速度ωnl」と呼ぶ。回転数が理論回転数Nllのときは、電流Iがゼロとなるため、式(21)より、Eg=Epwmとなる。したがって、逆起電力Egの値は、PWM実効電圧Epwmに等しい。また、回転数が無負荷回転数Nnlのときは、逆起電力Egは、無負荷逆起電力Egnlである。したがって、式(41)を、式(42)のように変形することが可能である。
【数42】

【0067】
また、無負荷回転数Nnlと無負荷角速度ωnlの間には、式(43)の関係があり、理論回転数Nllと理論角速度ωllの間には式(44)の関係がある。
【数43】

【数44】

【0068】
式(42)に、式(43)、式(44)を適用することにより、式(45)が得られる。さらに、式(45)を変形することにより、式(46)を得ることが可能である。
【数45】

【数46】

【0069】
したがって、演算部210は、式(46)を用いることにより、無負荷回転数Nnl、無負荷逆起電力Egnl、PWM実効電圧Epwmから、理論回転数Nllを算出することが可能である。ここで、無負荷回転数Nnlは、ローター部10(図1)に負荷を加えずに電動機100を動作させたときのローター部10の回転速度を測定することにより容易に求めることが可能である。無負荷逆起電力Egnlは、以下のようにして求めることが可能である。電動機100に電源を供給せずに、外部から無負荷回転数Nnlでローター部10を回転させる。そして、そのときに電磁コイルに生じる起電力を測定することにより、無負荷逆起電力Egnlを容易に求めることが可能である。PWM実効電圧は、供給電圧Esとデューティー比Drとから容易に求めることが可能である。
【0070】
次に、無負荷トルクTnlを求める。先ず、無負荷トルクTnlを求めるための式を検討する。図9のトルク−回転数のグラフの傾きから、式(47)を得ることが可能である。
【数47】

【0071】
式(47)は以下のようにして導かれる。図9に2つの三角形△ABCと△CDEを考えることが可能である。△ABCの斜辺ACの傾きは、AB/BCである。ここで、BC=Tnl、AB=Nll−Nnlである。従って、斜辺ACの傾きは、(Nll−Nnl)/Tnlとなる。また、△CDEの斜辺CEの傾きは、CD/DEである。ここで、DE=Tst−Tnl、CD=Nnlである。従って、斜辺CEの傾きは、Nnl/(Tst−Tnl)となる。ここで、△ABCの斜辺ACと△CDEの斜辺CEは、一直線であるので、傾きは同じである。従って、AB/BC=CD/DEである。その結果、式(47)を得ることが出来る。式(47)を変形すると、式(48)が得られる。
【数48】

【0072】
式(48)の左辺第3項と、右辺の項は、同じであるため、相殺することができる。その結果、式(48)を、式(49)に変形することができる。
【数49】

【0073】
式(49)において、理論回転数Nll、無負荷回転数Nnlは既知であるが、始動トルクTstの値は未知である。演算部210は、始動トルクTstを求める前に、先ず、始動電流Istを取得する。始動時には、ローター部10(図1)が回転していないため、式(21)において、逆起電力Egは0である。この条件下で式(21)を変形すると、式(50)を得ることができる。なお、抵抗値Rdcの代わりに温度補正した抵抗値Rdcθを用いた。
【数50】

【0074】
演算部210は、式(50)を用いることにより、抵抗値Rdcθと、PWM実効電圧Epwmから始動電流Istを算出する。
【0075】
次に、電動機100においては、電流IとトルクTの間には、式(51)で示す関係がある。すなわち、トルクの大きさは、電流に比例する。なお、式(51)は、フレミング左手の法則から導かれるものである。この比例定数(Kt)を「トルク定数Kt」と呼ぶ。なお、逆起電力定数Keと、トルク定数Ktは、同じ値である。
【数51】

【0076】
演算部210は、式(51)を用い、始動電流Istと、トルク定数Ktとから、始動トルクを算出する。具体的には、演算部210は、式(52)で示される演算を行う。
【数52】

【0077】
演算部210は、始動トルクTstを取得すると、式(49)を用い、無負荷トルクTnlを算出する。また、演算部210は、式(53)を用いて、始動電力Pstを取得する。
【数53】

【0078】
1−2.定回転時の特性:
1−2−1.外部負荷特性:
定回転時の特性とは、電動機100に対し外負荷トルクを加え、且つ、電動機100を一定の回転数で回転させているときの特性をいう。このときの回転数を「外負荷回転数Nc」と呼ぶ。この特性には、例えば、トルク対電流、トルク対出力、トルク対効率等の特性を含む。なお、一般に、電動機100に外負荷トルクを加えた場合おいて、電動機100の回転数を一定の回転数で維持するには、外負荷トルクの大きさに応じてPWM実効電圧Epwmを変更する必要がある。
【0079】
電動機100は、外負荷トルクTxが加わっている状態で、外負荷回転数Ncを維持しているとする。先ず、演算部210は、式(54)を用い、外負荷回転数Ncから、外負荷角速度ωyを算出する。
【数54】

【0080】
次に、演算部210は、式(55)を用い、外負荷トルクTxから外負荷電流Iyを算出する。なお、式(55)は、式(51)を変形することにより得ることができる。
【数55】

【0081】
次に、演算部210は、式(41)を用い、外負荷角速度ωyから外負荷誘起電圧Egyを算出する。具体的には、演算部210は、式(56)で示される演算を行う。
【数56】

【0082】
式(55)より、外負荷トルクTxが0の時は、電流Iyも0である。この関係を式(21)に適用することにより、式(57)が得られる。
【数57】

【0083】
外負荷トルクTxを加えた状態で、電動機100を定回転数で回転させるためには、外負荷トルクTxを加えない場合に比べてΔEgyだけ大きな電圧を電動機100に供給する必要がある。この関係を式(57)に適用することにより、式(58)が得られる。ここでEgyは逆起電力である。
【数58】

【0084】
ところで、定回転数では、外負荷トルクTxを加えていても、加えていなくても、逆起電力の大きさは同じである。式(41)(式(57))により、逆起電力の大きさは、ローター部10の角速度の大きさに比例するからである。したがって、式(57)の逆起電力Egyと、式(58)の逆起電力Egyは同じ値である。その結果、式(59)が得られる。
【数59】

【0085】
式(59)は、差分のΔEgyにより供給される電流は、外負荷電流Iyとして、電磁コイル20の抵抗31により消費される(ジュール熱)ことを意味している。なお、本実施例では、このΔEgyを「外負荷誘起電位差ΔEgy」とも呼ぶ。演算部210は、式(59)を用い、抵抗値Rdcθと外負荷電流Iyとから、外負荷誘起電位差ΔEgyを算出する。
【0086】
演算部210は、式(60)を用い、外負荷誘起電位差ΔEgyと逆起電力Egとから、外負荷PWM電圧Epwmyを算出する。式(60)は、式(58)に式(59)を適用したものである。ここで得られる外負荷PWM電圧Epwmyは、外負荷トルクTxを電動機100に加えたときに、電動機100の回転数を一定に維持するために電動機100に供給すべき電圧である。
【数60】

【0087】
1−2−2.無負荷特性
定回転時には、電動機100には、外負荷トルクTxが加わり、電動機100は、外負荷回転数Ncで回転している。このとき、電動機100には、外負荷PWM電圧Epwmyが供給されている。
【0088】
外負荷トルクTxをゼロとし、外負荷PWM電圧Epwmyが供給されているときの、無負荷回転数Nnly、無負荷電流Inly、無負荷トルクTnlyを求める。外負荷PWM電圧Epwmyの値が変われば、電動機100の特性も変化するからである。先ず、演算部210は、式(57)、式(58)を用いて、無負荷回転数Nnly、無負荷電流Inlyを算出する。式(61)、式(62)は、式(38)、式(39)のPWM実効電圧Epwmを外負荷PWM電圧Epwmyに変えたものである。
【数61】

【数62】

【0089】
次に、演算部は、式(63)を用い、式(62)で取得した無負荷電流Inlyから、無負荷トルクTnlyを算出する。式(63)は、式(51)から導かれるものである。
【数63】

【0090】
1−2−3.理論特性
演算部210は、式(64)を用い、外負荷PWM電圧Epwmyが供給されているときの、理論回転数Nllyを算出する。式(64)は、式(46)及び式(59)、式(60)より導かれたものである。
【数64】

【0091】
1−2−4.始動特性
演算部210は、式(65)を用い、外負荷PWM電圧Epwmyと抵抗値Rdcθとから、始動電流Istyを算出する。式(65)は、式(50)より導かれたものである。
【数65】

【0092】
演算部210は、式(66)を用い、始動電流Istyとトルク定数Ktから、始動トルクTstyを算出する。式(66)は、式(52)より導かれたものである。
【数66】

【0093】
1−2−5.総負荷特性
演算部210は、外部より総トルクTxxが加わっているときの特性を算出する。まず、総トルクTxxは、式(67)により表され、外負荷トルクTxと無負荷トルクTnlyの和である。
【数67】

【0094】
演算部210は、式(68)を用い、総トルクTxxから、総電流Iyyを算出する。式(68)は、式(51)から導かれるものである。
【数68】

【0095】
演算部210は、式(69)を用い、抵抗値Rdcθと総電流Iyyとから、総電位差ΔEgyyを算出する。
【数69】

【0096】
演算部210は、式(70)を用い、外負荷誘起電圧Egyと総電位差ΔEgyyから、総負荷電圧Epwmyyを算出する。
【数70】

【0097】
演算部210は、式(71)を用い、総トルクTxxと、外負荷角速度ωyから、総出力Wyを算出する。
【数71】

【0098】
演算部210は、式(72)を用い、総負荷電圧Epwmyyと総電流Iyyとから、総入力Pyを算出する。
【数72】

【0099】
演算部210は、式(73)を用い、総入力Pyと総出力Wyとから、総効率ηyを算出する。
【数73】

【0100】
演算部210は、式(74)を用い、総入力Pyと総効率ηyとから、総発熱電力Pθyを算出する。総発熱電力Pθyは、電磁コイル20における熱損失に相当する。
【数74】

【0101】
演算部210は、式(75)を用い、外負荷誘起電圧Egyと逆起電力定数Keとから、電動機100の回転数Nyを算出する。
【数75】

【0102】
図10は、外負荷トルクTxと、外負荷電流Iy、外負荷誘起電圧Egyの関係を説明するグラフである。図11は、外負荷トルクTxと、電動機100の回転数Ny、総出力Wyの関係を説明するグラフである。図12は、外負荷トルクTxと、電動機100の回転数Ny、総入力Py、総発熱電力Pθyの関係を説明するグラフである。図13は、外負荷トルクTxと、電動機100の回転数Ny、総効率ηyの関係を説明するグラフである。
【0103】
図14は、定回転動作における、外負荷トルクTxと、総出力Wy、総入力Py、総発熱電力Pθy、総効率ηyとの関係を示すグラフである。図14(A)は3000rpm時を示し、図14(B)は7000rpm時を示す。この2つのグラフから明らかなように、電動機100の回転数が3000rpmから7000rpmに増加すると、総入力Pyや総出力Wyは増加する。これに対し、電動機100の回転数が3000rpmから7000rpmに増加しても、総発熱電力Pθyは、ほとんど変化しないことがわかる。
【0104】
図15は、シミュレーション結果と実測値とを比較して示す説明図である。図15(A)がシミュレーション結果を示し、図15(B)が実測値を示している。この2つのグラフから明らかなように、トルクと、入力、出力、発熱電力は、シミュレーション結果と実測値がほぼ一致している。一方、トルクと効率の関係は、実測値は旧表記によるローターを負荷として扱っていない表記だが、シミュレーション結果では、新表記でローターを負荷として扱っているために差が生じているが、ほぼ一致していることが判る。
【0105】
1−3.定トルク時の特性:
1−3−1.外部負荷特性:
定トルク時の特性とは、電動機100に対し一定の定トルクTcを加えて電動機100を回転させているときの特性をいう。このときの外負荷トルクTxは式(76)に示すように定トルクTcに等しい。なお、電動機100の回転数を外負荷回転数Nyとする。
【数76】

【0106】
演算部210は、式(77)を用い、外負荷トルクTxから外負荷電流Iyを算出する。
【数77】

【0107】
演算部210は、式(78)を用い、外負荷回転数Nyから外負荷誘起電圧Egy を算出する。
【数78】

【0108】
演算部210は、式(79)を用い、抵抗値Rdcθと、外負荷電流Iyから、外負荷誘起電位差ΔEgyを算出する。
【数79】

【0109】
演算部210は、式(80)を用い、外負荷誘起電圧Egyと外負荷誘起電位差ΔEgyとから、外負荷PWM電圧Epwmyを算出する。この外負荷PWM電圧Epwmyは、外負荷トルクTxの時に電動機100を回転数Nyで回転させるときに、電動機100に供給すべき電圧である。
【数80】

【0110】
1−3−2.無負荷特性:
定回転時の特性と同じのため説明を省略する(1−2−2.参照)。
1−3−3.理論特性:
定回転時の特性と同じのため説明を省略する(1−2−3.参照)。
1−3−4.始動特性:
定回転時の特性と同じのため説明を省略する(1−2−4.参照)。
1−3−5.総負荷特性:
定回転時の特性と同じのため説明を省略する(1−2−5.参照)。
【0111】
図16は、定トルク動作における電動機の回転数と、出力Wy、入力Py、発熱電力Pθy、効率ηyとの関係を示す説明図である。図16(A)は、外負荷トルクTxが35Nm時、図16(B)は、外負荷トルクTxが60Nm時を示す。この2つのグラフから明らかなように、外負荷トルクTx一定の場合、回転数の増加に伴い、機械的出力(総出力Wy)は増加するが、発熱電力Pθyはほとんど変わらない。すなわち、発熱電力Pθy(熱損失)は、回転数Nyの大きさに依存しない。外負荷トルクTx一定で電動機100の回転数を上げれば、効率ηyが向上する。また、発熱電力Pθyは、外負荷トルクTxが大きくなると、大きくなる。
【0112】
図17は、シミュレーション結果と実測値とを比較して示す説明図である。図17(A)がシミュレーション結果を示し、図17(B)が実測値を示している。この2つのグラフから明らかなように、シミュレーションにおける電動機の回転数と、出力Wy、入力Py、発熱電力Pθy、効率ηyとの関係については、実測値は旧表記によるローターを負荷として扱っていない表記だが、シミュレーション結果では、新表記でローターを負荷として扱っているために差が生じているが、ほぼ一致していることが判る。
【0113】
1−4.定出力時の特性:
1−4−1.外部負荷特性:
定出力時の特性とは、電動機100が一定の出力で運転しているときの、電動機100の特性をいう。電動機100が出力Wcで回転しているとする。このとき、演算部210は式(81)を用い、出力Wcと、電動機100の回転数Nyから、外負荷トルクTxを算出する。電動機100の回転数は、回転速度測定部202(図2)より取得することが可能である。
【数81】

【0114】
演算部210は、式(82)を用い、外負荷トルクTxから、外負荷電流Iyを算出する。
【数82】

【0115】
演算部210は、式(83)を用い、逆起電力定数Keと回転数Nyから、外負荷誘起電圧Egyを算出する。
【数83】

【0116】
演算部210は、式(84)を用い、抵抗値Rdcθと外負荷電流Iyから、外負荷誘起電位差ΔEgyを算出する。
【数84】

【0117】
演算部210は、式(85)を用い、外負荷誘起電圧Egyと、外負荷誘起電位差ΔEgyとを用いて外負荷PWM電圧Epwmyを算出する。外負荷PWM電圧Epwmyは、出力Wc、回転数Nyで回転させるときに電動機100に供給すべき電圧である。
【数85】

【0118】
1−4−2.無負荷特性:
定回転時の特性と同じのため説明を省略する(1−2−2.参照)。
1−4−3.理論特性:
定回転時の特性と同じのため説明を省略する(1−2−3.参照)。
1−4−4.始動特性:
定回転時の特性と同じのため説明を省略する(1−2−4.参照)。
1−4−5.総負荷特性:
定回転時の特性と同じのため説明を省略する(1−2−5.参照)。
【0119】
図18は、定出力動作における、外負荷トルクTxと、出力Wy、入力Py、発熱電力Pθy、効率ηy、回転数Nyとの関係を示す説明図である。外負荷トルクTxが大きくなると、入力Py、発熱電力Pθyが大きくなる。また、外負荷トルクが大きくなると、回転数Nyは、少なくなる。外負荷トルクTxが小さくなると、効率ηyは、100%に近づく。
【0120】
図19は、シミュレーション結果と実測値とを比較して示す説明図である。図19(A)がシミュレーション結果を示し、図19(B)が実測値を示している。実測値の場合には、ローター部10自身の負荷(無負荷トルクTnl)が存在する。外負荷トルクTxが小さくなると、外負荷トルクTxに対して、ローター部10自身の負荷の割合が増加するため効率は、0に向かっている。一方、シミュレーションでは、ローター部10自身の負荷も外負荷トルクTxに含まれるとみなしているため、効率は100%に近づく。なお、一定の出力を得るためには一定のトルク以上の外負荷トルクTxと回転数Nyを要することが判る。また、実測値は旧表記によるローターを負荷として扱っていない表記だが、シミュレーション結果では、新表記でローターを負荷として扱っているために差が生じているが、ほぼ一致していることが判る。
【0121】
1−5.動作点特性:
1−5−1.外部負荷特性:
動作点特性とは、例えば、電動機100に対し一定の定トルクTcを加え、かつ、電動機100を一定の定回転数Ncで回転させているときの特性をいう。電動機の外負荷回転数Nyは、式(86)に示すように定回転数Ncに等しく、外負荷トルクTxは、式(87)に示すようにTcに等しい。
【数86】

【数87】

【0122】
演算部210は、式(88)を用い、外負荷トルクTxから外負荷電流Iyを算出する。
【数88】

【0123】
演算部210は、式(89)を用い、外負荷回転数Nyから外負荷誘起電圧Egyを算出する。
【数89】

【0124】
演算部210は、式(90)を用い、抵抗値Rdcθと外負荷電流Iyとから外負荷誘起電位差ΔEgyを算出する。
【数90】

【0125】
演算部210は、式(91)を用い、外負荷誘起電圧Egyと外負荷誘起電位差ΔEgyから、外負荷PWM電圧Epwmyを算出する。外負荷PWM電圧Epwmyは、電動機100に対し一定の定トルクTcを加え、かつ、電動機100を一定の定回転数Ncで回転させているときに電動機100に供給すべき電圧である。
【数91】

【0126】
1−5−2.無負荷特性
定回転時の特性と同じのため説明を省略する(1−2−2.参照)。
1−5−3.理論特性
定回転時の特性と同じのため説明を省略する(1−2−3.参照)。
1−5−4.始動特性
定回転時の特性と同じのため説明を省略する(1−2−4.参照)。
1−5−5.総負荷特性
定回転時の特性と同じのため説明を省略する(1−2−5.参照)。
【0127】
図20は、動作点動作における、外負荷トルクTxと、外負荷回転数、総入力、発熱電力、総出力の関係を示す説明図である。動作点動作では、外負荷トルクTxが変動しないため、外負荷回転数、総入力、発熱電力、総出力が、点で示されている。
【0128】
以上、本実施例によれば、電磁コイル20の抵抗値Rdcθと、電動機100の無負荷回転数Nnlと、無負荷電流Inlと、電動機100の運転状態と、から電動機100の各運転状態における各種特性を容易に取得することができる。なお、このとき、電動機100をPI制御により高度に制御する必要がない。
【0129】
2.第2の実施例:
図21は、第2の実施例における電動機特性取得装置の構成の一例を示すブロック図である。第2の実施例の電動機特性取得装置200は、第1の実施例の構成に加えて、電動機制御部226と、目標値入力部228と、を備える。すなわち、電動機特性取得装置200は、電動機100の制御装置として機能する。具体的には、電動機特性取得装置200は、第1の実施例に示すように、例えば、抵抗値Rdcと、供給電圧値Esと、無負荷電流値Inlと、無負荷回転数Nnlと、に基づいて電動機100の特性を算出する。そして、電動機特性取得装置200の電動機制御部226は、取得した電動機100の特性に基づいて、電動機100の動作を制御する。目標値入力部228は、目標とする値、例えばトルク、回転数、出力等を入力するために用いられる。このような電動機特性取得装置200によれば、適切に電動機100を制御することが可能となる。また、この電動機特性取得装置200を備える電動機100を実現することもできる。
【0130】
3.第3の実施例:
図22は、第3の実施例を示す説明図である。第3の実施例は、図22(A)に示すように、電動機の3つの電磁コイル20をスター結線にしている。ここで、スター結線の3つの端子をそれぞれ、端子Vu、Vv、Vwと呼ぶ。図22(B)は、端子Vu、Vv、Vwに印可される電圧を示す説明図である。図22(C)は、図22(B)における期間Q3を拡大して示す説明図である。
【0131】
図22(C)に示す期間T2、T4では、図22(A)の端子VuとVvの間に供給電圧Esが印可され、端子Vwは、ハイ・インピーダンスになっている。そして、電流は端子Vuから端子Vvに流れる。また、電磁コイル20の内部抵抗をRdcとすると、端子Vuと端子Vvの間の合成抵抗は、2Rdcである。また、期間T3では、端子VuとVwの間に供給電圧Esが印可され、端子Vvは、ハイ・インピーダンスになっている。そして、電流は端子Vuから端子Vwに流れる。なお、端子Vuと端子Vwの間の合成抵抗は、2Rdcである。また、期間T1、T5では、いずれの端子もハイ・インピーダンスになっており、いずれの端子Vu、Vv、Vwにも電流は流れない。
【0132】
このような3相PWM駆動においては、供給電圧値として、第2の実施例で示したように、供給電圧Esにデューティー比Drを掛けたEs×Drを代わりに用いることができる。また、電磁コイルの抵抗値として、2Rdcを代わりに用いることが可能となる。例えば、実施例1で使用した式(20)は、式(92)のようになる。他の式も同様である。
【数92】

【0133】
ここで、合成抵抗値2Rdcは、逆起電力Egが発生していない状態において電動機100に流れている電流値Iと、供給電圧値Esとの関係から求めることができる。具体的には、この逆起電力Egが発生していない状態は、例えば、ローター部10(図1参照)を回転しないように固定し、図22(C)の期間T2に示す状態を維持することにより、実現することが可能である。なお、このとき算出される抵抗値は、合成抵抗2Rdcである。
【0134】
以上のように、3相PWM駆動においても、供給電圧値Esと、抵抗値2Rdcと、無負荷電流値Inlと、無負荷回転数Nnlとを測定することによって、電動機100の各種特性を算出することが可能である。
4.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0135】
4−1.変形例1:
上記実施例では、供給電圧値測定部206が供給電圧値Es(あるいはPWM実効電圧Epwm)を測定しているが、電動機100に供給される電源の電圧値が判明している場合には、供給電圧値Es(PWM実効電圧Epwm)を測定することなく、判明している供給電圧値Es(PWM実効電圧Epwm)を演算部210に供給することとしてもよい。すなわち、電動機特性取得装置200は、供給電圧値Es(PWM実効電圧Epwm)を取得すればよい。
【0136】
4−2.変形例2:
上記実施例では、抵抗値測定部204が抵抗値Rdcを測定しているが、電磁コイル20の抵抗値が判明している場合には、抵抗値Rdcを測定することなく、判明している抵抗値Rdcを演算部210に供給することとしてもよい。すなわち、電動機特性取得装置200は、抵抗値Rdcを取得すればよい。
【0137】
4−3.変形例3:
上記実施例では、回転速度測定部202は、電動機100の回転速度を、回転数N[rpm]として測定している。しかし、回転速度測定部202は、電動機100の回転速度を、角速度ω[rad/s]として測定し、角速度ωを演算部210に供給することとしてもよい。
【0138】
4−4.変形例4:
電動機の特性の算出をコンピュータプログラムで実現する場合には、供給電圧値Esと、抵抗値Rdcと、無負荷電流値Inlと、無負荷回転数Nnlとを予め測定しておき、得られた4つの値をコンピュータプログラムに取得させることとしてもよい。また、供給電圧値Esと、逆起電力Egとを予め測定しておき、得られた2つの値をコンピュータプログラムに取得させることとしてもよい。
【0139】
5.応用例:
本発明は、ファンモーター、時計(針駆動)、ドラム式洗濯機(単一回転)、ジェットコースタ、振動モーターなどの種々の装置のモーターに適用可能である。本発明をファンモーターに適用した場合には、種々の効果(低消費電力、低振動、低騒音、低回転ムラ、低発熱、高寿命)が特に顕著である。このようなファンモーターは、例えば、デジタル表示装置や、車載機器、燃料電池式パソコン、燃料電池式デジタルカメラ、燃料電池式ビデオカメラ、燃料電池式携帯電話などの燃料電池使用機器、プロジェクター等の各種装置のファンモーターとして使用することができる。本発明のモーターは、さらに、各種の家電機器や電子機器のモーターとしても利用可能である。例えば、光記憶装置や、磁気記憶装置、ポリゴンミラー駆動装置等において、本発明によるモーターをスピンドルモーターとして使用することが可能である。また、本発明によるモーターは、移動体やロボット用のモーターとしても利用可能である。
【0140】
図23は、本発明の適用例によるモーターを利用したプロジェクターを示す説明図である。このプロジェクター1600は、赤、緑、青の3色の色光を発光する3つの光源1610R、1610G、1610Bと、これらの3色の色光をそれぞれ変調する3つの液晶ライトバルブ1640R、1640G、1640Bと、変調された3色の色光を合成するクロスダイクロイックプリズム1650と、合成された3色の色光をスクリーンSCに投写する投写レンズ系1660と、プロジェクター内部を冷却するための冷却ファン1670と、プロジェクター1600の全体を制御する制御部1680と、を備えている。冷却ファン1670を駆動するモーターとしては、上述した各種のブラシレスモーターを利用することができる。
【0141】
図24は、本発明の適用例によるモーターを利用した燃料電池式携帯電話を示す説明図である。図24(A)は携帯電話1700の外観を示しており、図24(B)は、内部構成の例を示している。携帯電話1700は、携帯電話1700の動作を制御するMPU1710と、ファン1720と、燃料電池1730とを備えている。燃料電池1730は、MPU1710やファン1720に電源を供給する。ファン1720は、燃料電池1730への空気供給のために携帯電話1700の外から内部へ送風するため、或いは、燃料電池1730で生成される水分を携帯電話1700の内部から外に排出するためのものである。なお、ファン1720を図24(C)のようにMPU1710の上に配置して、MPU1710を冷却するようにしてもよい。ファン1720を駆動するモーターとしては、上述した各種のブラシレスモーターを利用することができる。
【0142】
図25は、本発明の適用例によるモーター/発電機を利用した移動体の一例としての電動自転車(電動アシスト自転車)を示す説明図である。この自転車1800は、前輪にモーター1810が設けられており、サドルの下方のフレームに制御回路1820と充電池1830とが設けられている。モーター1810は、充電池1830からの電力を利用して前輪を駆動することによって、走行をアシストする。また、ブレーキ時にはモーター1810で回生された電力が充電池1830に充電される。制御回路1820は、モーターの駆動と回生とを制御する回路である。このモーター1810としては、上述した各種のブラシレスモーターを利用することが可能である。
【0143】
図26は、本発明の適用例によるモーターを利用したロボットの一例を示す説明図である。このロボット1900は、第1と第2のアーム1910,1920と、モーター1930とを有している。このモーター1930は、被駆動部材としての第2のアーム1920を水平回転させる際に使用される。このモーター1930としては、上述した各種のブラシレスモーターを利用することが可能である。
【0144】
図27は、本発明の変形例によるモーターを利用した鉄道車両を示す説明図である。この鉄道車両3500は、モーター3510と、車輪3520とを有している。このモーター3510は、車輪3520を駆動する。さらに、モーター3510は、鉄道車両3500の制動時には発電機として利用され、電力が回生される。このモーター3510としては、上述した各種のブラシレスモーターを利用することができる。
【0145】
以上、いくつかの実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【符号の説明】
【0146】
10…ローター部
20…電磁コイル
22…PWMドライバー
24…電源
26…ホールIC
28…PWM制御部
31…内部抵抗
33…インダクタンス
100…電動機
102…回転軸
200…電動機特性取得装置
202…回転速度測定部
203…温度測定部
204…抵抗値測定部
206…供給電圧値測定部
208…電流値測定部
209…電源電圧制御部
210…演算部
222…表示装置
224…カップリング
226…電動機制御部
230…CPU
231…RAM
232…記憶装置
233…特性評価プログラム
1600…プロジェクター
1610R…光源
1640R…液晶ライトバルブ
1650…クロスダイクロイックプリズム
1660…投写レンズ系
1670…冷却ファン
1680…制御部
1700…携帯電話
1720…ファン
1730…燃料電池
1800…自転車
1810…モーター
1820…制御回路
1830…充電池
1900…ロボット
1910…第2のアーム
1920…第2のアーム
1930…モーター
3500…鉄道車両
3510…モーター
3520…車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機の特性を取得する装置であって、
前記電動機に電圧を印可する印可手段と、
前記電動機の特性を取得する特性取得部と、
を備え、
前記特性取得部は、
電磁コイルの抵抗値と、
前記電動機に印可される印可電圧と、
前記印可電圧下において前記電動機を無負荷状態で運転させたときの前記電動機の回転数である無負荷回転数と、
前記印可電圧下において前記電動機を無負荷状態で運転させたときの前記電磁コイルに流れる無負荷電流と、
前記電動機の運転状態と、
を用いて当該運転状態下における前記電動機の特性を取得する、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記運転状態は、
前記電動機の回転数を一定回転数で維持する運転状態、
前記電動機の出力を一定値で維持する運転状態、
前記電動機のトルクを一定の大きさで維持する運転状態、
前記電動機の回転数を一定回転数で維持し、かつ、前記電動機のトルクを一定の大きさで維持する運転状態
のいずれかである、装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の装置において、
前記特性は、
前記電動機のトルクと、電流値との関係、
前記電動機のトルクと、出力との関係、
前記電動機のトルクと、効率との関係、
前記電動機の回転数と、電流値との関係、
前記電動機の回転数と、出力との関係、
前記電動機の回転数と、効率との関係、
前記電動機の回転数及び前記トルクの値と、出力との関係、
のうち少なくとも1つを含む、装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の装置において、さらに、
前記電動機の電磁コイルの温度を取得する温度測定部と、
前記電磁コイルの抵抗を測定する抵抗測定部と、
前記電磁コイルに流れる電流を測定する電流測定部と、
前記電動機の回転数を取得する回転数取得部と、
を備える、装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の装置において、
前記電動機をPWM駆動する場合に、
前記特性取得部は、前記印可電圧値として、供給電圧値にデューティー比を掛けた実効値を印可電圧値として用いる、装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の装置において、
前記電磁コイルが3相スター結線されている場合には、前記電動機の電磁コイルの総抵抗として、前記電磁コイル単体の抵抗値の2倍の抵抗値を用いる、装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の装置において、さらに、
前記算出された電動機の特性を表示する表示部を備える、装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の装置において、さらに、
前記算出された電動機の特性に基づいて電動機を制御する制御部を備える、装置。
【請求項9】
電動機を制御する装置であって、
供給電圧と、前記供給電圧下における無負荷電流、無負荷回転数と、前記無負荷電流、無負荷回転数からの相関パラメータと、電磁コイルの抵抗値パラメータと、を記憶するパラメータ記憶部と、
前記パラメータ記憶部から前記パラメータを読み出して、目標とするトルク量または回転数を維持するために必要な、供給電圧量からのPWM量を決定して制御する制御部と、
を備える装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の装置を備える電動機。
【請求項11】
請求項10に記載の電動機を備える電動機搭載装置。
【請求項12】
請求項11に記載の電動機搭載装置であって、
前記電動機搭載装置は、電子機器である、電動機搭載装置。
【請求項13】
請求項11に記載の電動機搭載装置であって、
前記電動機搭載装置は、プロジェクターである、電動機搭載装置。
【請求項14】
請求項11に記載の電動機搭載装置であって、
前記電動機搭載装置は、移動体である、電動機搭載装置。
【請求項15】
請求項11に記載の電動機搭載装置であって、
前記電動機搭載装置は、ロボットである、電動機搭載装置。
【請求項16】
電動機の特性を取得する方法であって、
電磁コイルの抵抗値を取得する工程と、
前記電動機に印可される印可電圧を取得する工程と、
前記印可電圧下において前記電動機を無負荷状態で運転させたときの前記電動機の回転数である無負荷回転数を取得する工程と、
前記印可電圧下において前記電動機を無負荷状態で運転させたときの前記電磁コイルに流れる無負荷電流を取得する工程と、
前記電動機の運転状態と、前記抵抗値と、前記印可電圧値と、前記無負荷回転数と、前記無負荷電流値とを用いて、当該運転状態下における前記電動機の特性を取得する工程と、
を備える前記電動機の特性を取得する、方法。
【請求項17】
電動機の特性を取得するプログラムであって、
コンピュータを、
電磁コイルの抵抗値を取得する抵抗値取得手段と、
前記電動機に印可される印可電圧を取得する印可電圧取得手段と、
前記印可電圧下において前記電動機を無負荷状態で運転させたときの前記電動機の回転数である無負荷回転数を取得する無負荷回転数取得手段と、
前記印可電圧下において前記電動機を無負荷状態で運転させたときの前記電磁コイルに流れる無負荷電流を取得する無負荷電流取得手段と、
前記電動機の運転状態と、前記抵抗値と、前記印可電圧値と、前記無負荷回転数と、前記無負荷電流値とを用いて、当該運転状態下における前記電動機の特性を取得する特性取得手段と、
して機能させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2010−276401(P2010−276401A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127421(P2009−127421)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】