説明

電動車両

【課題】本発明は、サービスプラグの被水を防止しつつ、車室内側からのサービスプラグヘのアクセスを容易にでき、またバッテリパックに汎用性を持たせての他車両への採用を容易に行うことができるバッテリパック構造を提供することを目的としている。
【解決手段】このため、バッテリパックと、フロアパネル下にバッテリパックを備えた電動車両であって、バッテリパックはバッテリモジュールとバッテリモジュールを保持する第一筺体と電力遮断機構とを備え、フロアパネルは車室内から車室外へと連通する点検ロを備えた電動車両において、バッテリパックはフロアパネルと向かい合う第一筺体の面上に上方に延びる第二筺体を備え、第二筺体は、内部に電力遮断機構を備えるとともに第二筺体の外部より電力遮断機構にアクセスするための開口を備え、開口の開口面は電力遮断機構のアクセス方向に対向するとともにアクセス方向の延長線上に点検ロが存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、動力源であるバッテリパックを車室外に搭載した車両に関するものであり、特にそのバッテリパックのサービスプラグの配置、構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(「EV」ともいう。)において、実用十分な航続距離を確保するために、大容量のバッテリを搭載する必要があるが、その際、バッテリ自体は大型化し、車室内には十分なスペースがないため、車室外の例えば車両のフロア下に搭載されることがある。
バッテリパック3は、図5に示す如く、バッテリセル24が組み合わされてバッテリモジュール4を形成し、このバッテリモジュール4を金属もしくは樹脂類のバッテリパックエンクロージャ(実施例の説明では、「第一筺体」と説明した。)5にて囲い、前記バッテリパック3をなしている。
前記バッテリパックエンクロージャ5は、車室外に搭載される場合、漏電を防止するために、防水処理が施されている。
また、前記バッテリパック3には、図5に示す如く、電気接続回路や制御装置等の電気制御回路25が内蔵された上、直列に接続されたバッテリモジュール4を電圧的に分断する位置に開閉スイッチ(図示せず)を設置し、点検時に作業性などを確保するサービスプラグである前記電力遮断機構6を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−83601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図6及び図7に示すバッテリパック103は、車両101のフロアパネル102下に設けられる従来のバッテリパック構造を示すものである。
車両101のフロアパネル102下に設けられる前記バッテリパック103は、このバッテリパック103の容量の確保とバッテリパック103の地面からの距離(「地上高」ともいう。)の確保とを両立させるために、前記車両101のフロアパネル102に沿って設けられることが多い。
更に、前記バッテリパック103には、このバッテリパック103の電力を一時的に遮断可能とするためのサービスプラグ(図示せず)が設けられている。
このサービスプラグは、例えば車両の組立工数削減効果を得るためにバッテリパック103と一体としている。
さらに、サービスプラグは車両101のフロアパネル102と向かい合うバッテリパック103の面(バッテリパック103上面)に設けられ、車両101の点検時に車室107側からバッテリパック103を電力遮断可能とするために、このサービスプラグはバッテリパック103の上面に設けられる。
さらに、このサービスプラグをサービスプラグリッド(実施例の説明では、「第二筺体リッド」と説明した。)111で覆うことで、サービスプラグの被水等によるバッテリパック103の漏電を防止している。
しかし、このようなバッテリパック103を搭載した車両101が雨天時の走行や冠水路面の走行を行うと、図7に矢印で示すように、車両前方から車両後方に向かってバッテリパック103上面に水流が発生することがある。
すると、バッテリパック103上面に設けられたサービスプラグ、サービスプラグリッド109の被水による漏電の可能性がある。
特に、車両のフロアパネル形状が地面とほぼ平行となる形状を有する場合、車両のフロアパネルに向かい合うバッテリパックの上面も同様にフラット面を形成することになるので、バッテリパック上面に設けられたサービスプラグの被水の可能性はより大きくなる。
サービスプラグリッドからバッテリパック内部へ水の浸入が無いよう、サービスプラグリッドには防水シール等は施されるものの、常にサービスプラグリッドが被水しやすい状態にあることはバッテリパックの故障を招きやすく望ましいことではない。
【0005】
ところで、上記のような課題に対する対策として、特許文献1がある。
上記特許文献1は、車両のフロアパネル下に設けられるバッテリパックのバッテリケースに形成されたサービスプラグ用開口部と、フロアパネルに形成された孔とを弾性変形可能で且つ防水性を有するブーツ部材で接続することで、ブーツ部材内の内側に防水空間を確保したことを特徴とする技術である。
これより車外の水がサービスプラグ用開口部よりバッテリケース内部に浸入することを防止でき、且つサービスプラグの車室内側からの操作を可能としている。
【0006】
しかし、上記特許文献1では以下のような不都合がある。
(1)バッテリパックと車両がブーツ部材によって結合されており、バッテリパックの車両からの脱着に手間がかかる上、バッテリパックの脱着や取付時にブーツ部材を傷つけてしまうおそれがあること。
この場合の欠陥を発見することが難しく、サービスプラグの被水の可能性があること。
(2)サービスプラグ用開口部とフロアパネルに形成された孔との距離には、ある程度の制限があること。
この距離が大きくなるとブーツ部材長さも大きくなり、車室内側からのサービスプラグの確認が困難になるとともに、メンテナンス性も悪化すること。
このため、バッテリパックの上面をフロアパネル側に近づける構造が必要であると同時に、車両ごとにこの構造を用意する場合、他の車体構造が異なる車両に本バッテリパックを共通して使用することが難しいので汎用性が低い。
【0007】
この発明は、サービスプラグの被水を防止しつつ、車室内側からのサービスプラグヘのアクセスを容易にでき、またバッテリパックに汎用性を持たせて他車両への採用を容易に行うことができるバッテリパック構造を提供することを目的とする。
【0008】
そして、この発明の特徴は、以下の点にある。
つまり、バッテリパックのサービスプラグエンクロージャのみを交換する構成とすることで、車体構造が異なる複数の車両にも共通のバッテリパックを使用でき、汎用性の高いバッテリパックを用意できる。
また、サービスプラグを内蔵するサービスプラグエンクロージャをバッテリパックの上面に設けることで、バッテリパックの上面を流れる水がそのままサービスプラグおよびサービスプラグリッドに被水することを防止できる。
更に、車両のフロアパネルに設けた車室内外を連通する点検口に指向するようにサービスプラグおよびサービスプラグリッドを配置することで、車室内側からのサービスプラグ操作を容易にできる。
更にまた、車室内側よりサービスプラグにアクセスするためのフロアパネルに設けた点検ロをフロアパネルの周囲の面より上方に配置し、さらに点検口を有する面の周囲に車両上下方向に沿って延びる縦壁を配置し、点検ロと縦壁とで区画される空間を形成し、その空間内にサービスプラグの被水を防止するためのサービスプラグリッドを配置した。このため、フロアパネル下が水に浸かるような状態であってもこの空間内には空気が溜まることで、サービスプラグリッドの被水が軽減できて、バッテリパックの故障発生を軽減できる。
また、サービスプラグエンクロージャは、車両のサイドフレーム及びクロスメンバによって区画された領域内に配置することで、サービスプラグエンクロージャヘの直接的な被水を避ける構造とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、この発明は、上述不都合を除去するために、車両の動力源であるバッテリパックと、前記車両のフロアパネルの下に前記バッテリパックを備えた電動車両であって、前記バッテリパックは蓄電機能を持つバッテリモジュールと前記バッテリモジュールを内部に保持する第一筺体と前記バッテリモジュールの電力を一時的に遮断するための電力遮断機構とを備え、前記フロアパネルは前記車両の車室内から車室外へと連通する点検ロを備えた電動車両において、前記バッテリパックは前記フロアパネルと向かい合う前記第一筺体の面上に上方に延びる第二筺体を備え、前記第二筺体は、内部に前記電力遮断機構を備えるとともに前記第二筺体の外部より前記電力遮断機構にアクセスするための開口を備え、前記開口の開口面は前記電力遮断機構のアクセス方向に対向するとともに前記アクセス方向の延長線上に前記点検ロが存在することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上詳細に説明した如くこの発明によれば、車両の動力源であるバッテリパックと、車両のフロアパネルの下にバッテリパックを備えた電動車両であって、バッテリパックは蓄電機能を持つバッテリモジュールとバッテリモジュールを内部に保持する第一筺体とバッテリモジュールの電力を一時的に遮断するための電力遮断機構とを備え、フロアパネルは車両の車室内から車室外へと連通する点検ロを備えた電動車両において、バッテリパックはフロアパネルと向かい合う第一筺体の面上に上方に延びる第二筺体を備え、第二筺体は、内部に電力遮断機構を備えるとともに第二筺体の外部より電力遮断機構にアクセスするための開口を備え、開口の開口面は電力遮断機構のアクセス方向に対向するとともにアクセス方向の延長線上に点検ロが存在する。
従って、前記バッテリパックの被水によるサービスプラグヘの被水を軽減でき、バッテリパックの故障の発生を軽減できる。
特に、前記バッテリパックの上面を流れる水がその上面を伝って前記サービスプラグが被水することを防止でき、前記バッテリパックの故障の発生を軽減できる。
また、前記サービスプラグが、前記バッテリパックの上面よりもさらに上方に設けられ、且つ前記サービスプラグ用開口部の開口面は前記サービスプラグヘのアクセス方向に対向して設けられ、且つそのアクセス方向の延長線上には前記点検ロが存在することで、車室内側からの前記サービスプラグヘのアクセスが容易になる。
更に、前記サービスプラグの被水を防止するための構造によって、前記車両と前記バッテリパックとが接続されておらず、車両からのバッテリパックの取り外しが容易になる。
更にまた、サービスプラグエンクロージャのみを変更することで、車両形状が異なる他機種への採用が可能となり、前記バッテリパックの汎用性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は車両フロア下へのバッテリパックの取り付けを示す斜視図である。(実施例)
【図2】図2は車両フロア下ヘバッテリパックの取り付け状態を示す車両側面視図である。(実施例)
【図3】図3はフロントシート下部分の点検口の概略拡大説明図である。(実施例)
【図4】図4はサービスプラグ用開口部とその周辺部位を示す概略斜視図である。(実施例)
【図5】図5はバッテリパックを車両上方から見たものでバッテリパック構造を示す模式図である。(実施例)
【図6】図6は従来技術の車両フロア下へのバッテリパックの取り付けを示す斜視図である。
【図7】図7は車両フロア下ヘのバッテリパックの取り付け状態を示す車両側面視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0013】
図1〜図5はこの発明の実施例を示すものである。
図1〜図5において、1は電動車両(単に「車両」ともいう。)、2は電動車両1のフロアパネル、3はバッテリパックである。
前記電動車両1は、この車両1の動力源である前記バッテリパック3と、このバッテリパック3を前記車両1のフロアパネル2の下に備えている。
また、前記バッテリパック3は、図5に示す如く、蓄電機能を持つバッテリモジュール4とこのバッテリモジュール4を内部に保持する第一筺体(「バッテリパックエンクロージャ」ともいう。)5と前記バッテリモジュール4の電力を一時的に遮断するための電力遮断機構(「サービスプラグ」ともいう。)6とを備え、前記フロアパネル2は前記車両1の車室7内から車室7外へと連通する点検ロ8を備えている。
そして、前記バッテリパック3は前記フロアパネル2と向かい合う前記第一筺体5の面上に上方に延びる第二筺体(「サービスプラグエンクロージャ」ともいう。)9を備え、前記第二筺体9は、内部に前記電力遮断機構6を備えるとともに前記第二筺体9の外部より前記電力遮断機構6にアクセスするための開口10を備え、前記開口10の開口面は前記電力遮断機構6のアクセス方向に対向するとともに前記アクセス方向の延長線上に前記点検ロ8が存在する構成とする。
詳述すれば、図1及び図2に示す如く、前記第一筺体5の上面に所定高さを持つ前記第二筺体9を設ける。
そして、この第二筺体9内には前記バッテリパック3の電力を一時的に遮断可能とする前記電力遮断機構6を設けている。
また、前記第二筺体9の上部には、図4に示す如く、その外部からサービスプラグである前記電力遮断機構6にアクセス可能な電力遮断機構6用の前記開口10を備えている。
この電力遮断機構6用の前記開口10の開口面は電力遮断機構6ヘのアクセス方向に対向するように設けられている。
更に、このアクセス方向の延長線上には前記点検ロ8が存在する構成となっている。
従って、前記バッテリパック3の被水による前記電力遮断機構6ヘの被水を軽減でき、バッテリパック3の故障の発生を軽減できる。特に、前記バッテリパック3の上面を流れる水がその上面を伝って前記電力遮断機構6が被水することを防止でき、前記バッテリパック3の故障の発生を軽減できる。
また、前記電力遮断機構6が、前記バッテリパック3の上面よりもさらに上方に設けられ、且つ、前記電力遮断機構6用の前記開口10の開口面は前記電力遮断機構6ヘのアクセス方向に対向して設けられ、且つ、そのアクセス方向の延長線上には前記点検ロ8が存在することで、前記車両1の車室7内側からの前記電力遮断機構6ヘのアクセスが容易になる。
更に、前記電力遮断機構6の被水を防止するための構造によって、前記車両1と前記バッテリパック3とが接続されておらず、車両1からのバッテリパック3の取り外しが容易になる。
更にまた、前記第二筺体9のみを変更することで、車両形状が異なる他機種への採用が可能となり、前記バッテリパック3の汎用性を持たせることができる。
【0014】
また、前記第二筺体9は前記開口10を覆うように第二筺体リッド(「サービスプラグリッド」ともいう。)11を上部に設け、前記点検ロ8は周囲のフロアパネル2の面よりも上方に位置し、前記点検ロ8を有する面の周囲から車両上下方向に沿って下側に延びる縦壁12を設け、前記縦壁12の下端を周囲のフロアパネル2の面に結合し、前記第二筺体リッド11は前記点検ロ8を有する面と前記縦壁12とで区画された空間13内に配置する構成とする。
詳しくは、前記電力遮断機構6用の前記開口10の開口面の法線方向は前記点検ロ8に指向している。
そして、前記電力遮断機構6は、この電力遮断機構6用の前記開口10の開口面に沿うように前記車両1の水平方向に対して傾斜して設けられ、この電力遮断機構6用の開口10よりアクセスして操作ができるように配置されている。
また、この電力遮断機構6用の開口10の開ロ面を覆う前記第二筺体リッド11を備え、前記第二筺体9ヘボルト等の締結部材14により固定されている。
前記バッテリパック3の点検時以外などは、前記第二筺体リッド11によって電力遮断機構6用の開口10を覆うことで、前記電力遮断機構6ヘのアクセスや被水等を防止する。
一方、前記バッテリパック3の取り付け状態において、前記第二筺体9は、その前後左右の周囲を車両の左側サイドフレーム15L及び右側サイドフレーム15Rと、前後に位置するクロスメンバである、前方から後方に向かって順次配置される第1、第2クロスメンバ16、17によって区画された領域内に位置するように車両に取り付けられる。
なお、前記バッテリパック3は、第1クロスメンバ16の後側に第1取付ブラケット18によって取り付けられるととともに、前記第2クロスメンバ17の下側に第2取付ブラケット19によって取り付けられる。
更に、前記第二筺体9の上下方向は前記車両1のフロアパネル2と前記第一筺体5の上面によって区画され、いわゆる閉空間内に前記第二筺体9は配置されている。
これより、前記電力遮断機構6の被水を軽減できる構成としている。
この電力遮断機構6ヘのアクセスは、フロアパネル2に設けた前記点検ロ8より車室7内側から行う。
この点検ロ8は、前記バッテリパック3の点検時以外はフロントシート20によって覆われており、バッテリパック3の点検時に、図2に示す如く、フロントシート20を後方に回転することで点検ロ8より電力遮断機構6にアクセスできる構造となっている。
更にまた、前記点検ロ8は、その点検ロ8が設けられるフロアパネル2の周囲よりも車両上方に位置している。
詳しくは、前記点検ロ8の周囲に、図3に示す如く、車両上方に沿って延びる前記縦壁12が設けられている。
このとき、前記点検ロ8は周囲の前記フロアパネル2よりも上方に位置することで、図3に示す如く、点検ロ8を有する面とその点検ロ8の周囲の前記縦壁12とで構成される前記空間13が存在している。
本発明は、この空間13内に前記第二筺体リッド11が存在している。
空間13の前方に位置するフロアパネル2面の高さよりも第二筺体リッド11の配置高さが車両上方に位置していることで、空間13の前方に位置するフロアパネル2面よりも高い位置にある第二筺体リッド11が被水することを防止できる。
また、前記車両1が冠水路等を走行した場合でも、この空間13内には空気が溜まることで第二筺体リッド11や電力遮断機構6が被水するおそれを軽減できる。
従って、前記点検ロ8を有する面とこの点検ロ8の周囲に存在する前記縦壁12によって区画された前記空間13内は周囲の前記フロアパネル2面よりも上方に位置しており、周囲のフロアパネル2面まで水が到達するような場合であっても、この空間13内には空気が溜まることで水の浸入が軽減できる。
また、前記空間13内に前記第二筺体リッド11を配置することで、電力遮断機構6ヘの被水の発生を軽減できる。
【0015】
前記開口10の車両前後方向中心の少なくともその一部を前記点検ロ8の開ロ部21よりも車両後方に配置し、前記第二筺体9の前方には補機部品22を設ける構成とする。
また、前記第二筺体9は、前記点検ロ8の開口部21位置に対してやや車両後方にオフセットさせて配置している。
このとき、前記電力遮断機構6用の開口10の少なくとも一部を点検ロ8よりも車両後方に位置させる。
また、前記電力遮断機構6ヘのアクセスのための電力遮断機構6用の開口10を有する前記第二筺体9の上部は、前記点検ロ8に指向するように車両水平方向に対して傾斜させている。
このような構造をとる第1の理由は、前記点検ロ8の上方にこの点検ロ8の蓋を兼ねる前記フロントシート18が車両後方に倒れることを可能に搭載されているためである。
そして、前記電力遮断機構6ヘのアクセスには、フロントシート18を車両後方に倒し、前記点検ロ8の車両前方上方より電力遮断機構6ヘのアクセスが可能となっている。
このアクセス方向を考慮して、前記電力遮断機構6用の開口10を有する前記第二筺体9の上部は車両前方上方に点検ロ8に指向させている。
詳しくは、前記フロントシート18を車両後方に倒したときの、このフロントシート18座面の底面に対して略直角の角度αとなるように傾斜させている。
また、第2の理由は、前記点検ロ8からの複数の部品へのアクセスを可能とするためである。
前記第二筺体9の前方には補機部品が備えられており、前記点検ロ8からの前記補機部品22へのアクセスを可能としている。
更に、第3の理由は、前記第二筺体9ヘの直接的な被水を防止するためでもある。
この第二筺体9の前方には、図4に示す如く、補機部品22が備えられており、車両前方から前記第一筺体5の上面を流れてきた水を補機部品22が受け止めることで、第二筺体9の直接の被水を防止でき、前記バッテリパック3の故障の発生を軽減できる。
従って、前記車両1の車室7内側から電力遮断機構6および補機部品22へのアクセスを可能としつつ、電力遮断機構6の前方に配置した補機部品22によって第二筺体9ヘの直接的な被水を防止できる。
【0016】
追記すれば、上記構造とすることで、以下のような効果を奏することができる。
前記第二筺体9を前記第一筺体5の上面より突出させて設け、前記電力遮断機構6用の開口10を第一筺体5の上面よりも上方に位置させることで、第一筺体5の上面を流れる水が電力遮断機構6に被水することを軽減できる。
また、前記第二筺体9は前記バッテリパック3の車両1への取り付け状態において、その周囲を車両1の左側サイドフレーム15L及び右側サイドフレーム15Rと第1、第2クロスメンバ16、17とによって区画された領域内に配置することで、前記第二筺体9の直接的な被水を防止できる。
更に、前記フロアパネル2に設けられる前記点検ロ8は周囲のフロアパネル2よりも上方に位置するように設けられ、点検ロ8の周囲には上下方向に延びる前記縦壁12が存在する。
この点検ロ8を有する面と前記縦壁12とで形成される空間が存在し、前記空間13内に電力遮断機構6用の開口10を覆う前記第二筺体リッド11を配置することで、電力遮断機構6が被水することを軽減できる。
更にまた、前記電力遮断機構6用の開口10を有する前記第二筺体9の上部は車両前方上方に前記点検ロ8に指向させている。
この点検ロ8を覆う部材を取り払って点検ロ8を完全開放できない場合であっても、前記電力遮断機構6ヘのアクセスおよび電力遮断機構6の操作が可能となる。
また、前記第二筺体9を前記点検ロ8に対して車両後方にオフセットして配置でき、第二筺体9の手前に前記補機部品22等を配置できて、点検ロ8からの補機部品22へのアクセスも可能となる。
また、前記第二筺体9の前方に配置した前記補機部品22によって車両前方より流れてくる水を受けることで、第二筺体9ヘの直接的な被水を防止できる。
更に、前記第二筺体9の車両前方に配置した前記補機部品22の整備等を前記車両1の車室7内側からも行うことができる。
しかも、前記第二筺体9のみを変更することで同様のバッテリパック3を他の車種にも適用でき、バッテリパック3に汎用性を持たせることができる。
そして、前記バッテリパック3と前記第二筺体9は脱着の必要が無いので、第二筺体9とバッテリパック3を接続する締結部23に被水防止のためのシール構造を追加でき、高い被水防止性能を得られる。
【0017】
なお、この発明は上述実施例に限定されるものではなく、種々の応用改変が可能である。
【0018】
例えば、この発明においては、電気自動車だけでなく、ハイブリッド車(「HEV」ともいう。)や燃料電池車(「FCEV」ともいう。)等のバッテリパックを車室外に搭載するものにも適用できる。
このとき、サービスプラグ形式については、特に限定しない。例えば、プラグタイプやブレーカースイッチタイプ等、開閉機能を持ったものに適用できる。
【符号の説明】
【0019】
1 電動車両(単に「車両」ともいう。)
2 フロアパネル
3 バッテリパック
4 バッテリモジュール
5 第一筺体(「バッテリパックエンクロージャ」ともいう。)
6 電力遮断機構(「サービスプラグ」ともいう。)
7 車室
8 点検ロ
9 第二筺体(「サービスプラグエンクロージャ」ともいう。)
10 開口
11 第二筺体リッド
12 縦壁
13 空間
14 締結部材
15L 左側サイドフレーム
15R 右側サイドフレーム
16、17 第1、第2クロスメンバ
18 第1取付ブラケット
19 第2取付ブラケット
20 フロントシート
21 開ロ部
22 補機部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の動力源であるバッテリパックと、前記車両のフロアパネルの下に前記バッテリパックを備えた電動車両であって、前記バッテリパックは蓄電機能を持つバッテリモジュールと前記バッテリモジュールを内部に保持する第一筺体と前記バッテリモジュールの電力を一時的に遮断するための電力遮断機構とを備え、前記フロアパネルは前記車両の車室内から車室外へと連通する点検ロを備えた電動車両において、前記バッテリパックは前記フロアパネルと向かい合う前記第一筺体の面上に上方に延びる第二筺体を備え、前記第二筺体は、内部に前記電力遮断機構を備えるとともに前記第二筺体の外部より前記電力遮断機構にアクセスするための開口を備え、前記開口の開口面は前記電力遮断機構のアクセス方向に対向するとともに前記アクセス方向の延長線上に前記点検ロが存在することを特徴とする電動車両。
【請求項2】
前記第二筺体は前記開口を覆うように第二筺体リッドを上部に設け、前記点検ロは周囲のフロアパネルの面よりも上方に位置し、前記点検ロを有する面の周囲から車両上下方向に沿って下側に延びる縦壁を設け、前記縦壁の下端を周囲のフロアパネルの面に結合し、前記第二筺体リッドは前記点検ロを有する面と前記縦壁とで区画された空間内に配置することを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
前記開口の車両前後方向中心の少なくともその一部を前記点検口の開ロ部よりも車両後方に配置し、前記第二筺体の前方には補機部品を設けたことを特徴とする請求項1に記載の電動車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−140054(P2012−140054A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292769(P2010−292769)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】