説明

電子、特に微細電子機能群とその製造方法

本発明は、電子、特に微細電子機能群とそのような機能群の製造方法に関する。本発明の方法は、以下のステップを含む。a) キャリア(5a)を非導電性接着剤でコーティングし、b)導体構造を前記接着層(4a)の一部に適用し、c) 少なくとも一つの外部接続接点(2)を備えた電子部品(1)を前記接着層(4a)と前記導体構造(3)とに配置し、前記電子部品(1)の前記少なくとも一つの接続接点(2)が前記導体構造(3)と直接接触し、前記部品(1)の外郭の一部が前記接着層(4a)と直接接触する。本発明の方法は、電子、特に微細電子機能群を、注意を払い、素早く、特に低コストで実現可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子、特に微細電子機能群とそのような機能群の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機能群は、一般に、少なくとも一つ以上の電子部品、電子部品に接する導体構造、および、電子部品と導体構造が適用されるキャリアを含んでいる。
【0003】
電子部品、特に微細電子部品、例えばチップなどを導体構造に電気的に接続し、キャリアに配置するために、様々な方法が知られている。
【0004】
一方では、電気接続接点を備えたチップを、キャリアに適用された導体構造に配置し、例えば熱、超音波、または圧力等のエネルギーを用いて、チップの金属接点と導体構造の対応接点との間に一体結合部を形成することが知られている。
【0005】
他方では、等方性導電性接着剤により、少なくとも部分的に導体構造を構成し、この領域にチップを配置して接着剤を硬化することが可能である。
【0006】
さらに、接点側のチップの全面に、金属球または金属コーティング球を少量含む異方性導電性接着剤をコーティングすることが知られている。このチップは、基質および構成された導体構造に圧着される。球の統計的分布により、チップが導体構造に圧着される際に、十分な数の球が接点表面の領域に常に存在することが保証される。高接点圧と接着剤硬化中の収縮に因り、接点は、互いに摩擦結合する。その一方、不適当な金属球は、他の接点を備える好ましくない電気的ブリッジの構造の導電性に利用可能である。
【0007】
さらに、非導電性接着剤が利用され得る。この場合、チップの接続接点は、導電性バンプして構成される。十分な高接点圧と接着剤の硬化および収縮に因り、導電性バンプと導体構造との直接接点が形成保持される。
【0008】
上記方法の問題点は、これらは、熱的および/または機械的に大きな負荷を電子部品に与え、または、部品と基質との間に機械的に不適切な結合を形成することである。後者の例では、部品の機械的な配置を保証するために、さらなる計測が必要となり、結果として、方法がより複雑となる。上記方法のさらなる問題点は、これらが、部分的に導電性接着剤を必要とし、このタイプの接着剤が比較的高価であり、誘電特性のために、多数の良好な適用に不適切であることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、部品と導体構造およびキャリアとの安定した接点を保証し、簡易で安価に形成することができ、部品を保護しつつ、特に導電性接着剤が不要である、電子、特に微細電子機能群を実現することである。また、本発明の他の目的は、そのような機能群の製造方法を実現することである。
【0010】
これらの目的は、独立項による機能群と機能群の製造方法により達成される。
【0011】
従属項では、有利な発展が記述されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、平面的な第一キャリアと、前記第一キャリアに適用され、非導電性接着剤を含む第一接着層と、前記キャリアと離れた側の前記接着層の一部に適用される導体構造と、少なくとも一つの外部接続接点を備えた、少なくとも一つの電子部品、特に微細電子チップ(1)と、を含み、前記電子部品の前記少なくとも一つの接続接点が前記導体構造と直接接触し、前記部品の外郭の一部が前記接着層と直接接触する、電子、特に微細電子機能群を形成する。外部接点により、部品の各接点は外部からアクセス可能であり、導体構造に接続される。
【0013】
本発明により、非導電性接着層が、電子部品の機械的固定に用いられる。
【0014】
このタイプの接着剤は、経済的に利用できる。これは、層としてキャリア表面の全表面への接着剤の適用を特に可能にし、接着剤の特別な構造が要求されないため、複雑さとプロセスコストを低減する。さらに、異方性導電性接着剤の弱い誘電特性と、異方性導電性接着剤の高すぎる抵抗を避けることができる。
【0015】
硬化しない、または低温でのみ硬化する接着剤を用いることにより、電子部品の熱負荷を避けることができる。部品と導体構造の間の電気接点の形成に高接点圧が要求されないため、異方性導電性接着剤を用いる場合、機械的負荷も低く維持され得る。
【0016】
導体構造は、好ましくは、接着層に直接設定される。
【0017】
キャリア、接着層、導体構造、および前記少なくとも一つの電子部品は、機械的に固定され、またはフレキシブルである。
【0018】
フレキシブルなエレメント、特にフレキシブルなキャリアの利用は、フレキシブルな電子機能群の形成を可能にする。このタイプのフレキシブルな機能群は、チップとアンテナを備え、動作時に高周波数識別信号を送信するラベル、いわゆる“スマートラベル”としての利用に特に適している。
【0019】
硬く耐屈曲性のある機能群の構造も、基本的に可能である。
【0020】
さらなる適用分野は、例えば、スマートラベルなどのRFID活用のポリマー電子、eペーパー、テレホンカード、顧客ディスカウントシステム等のボーナスカードに用いられる一般的なフレキシブル表示の分野に広げられる。
【0021】
キャリアとしては、例えば、紙、カード板、ポリマーフィルム、またはプリント回路基板が、フレキシブルまたは対屈曲性構造のどちらを得る目的かによって用いられ得る。
【0022】
接着剤としては、アクリレート、ポリシロキサン、エポキシド、熱可塑性樹脂が、可能であれば適切な表面処理を伴って用いられ得る。
【0023】
導体構造は、銀インクまたは導体ペーストの適用により形成され得る。
【0024】
本発明の有効な発展は、前記機能群が、非導電性接着剤を含む第二接着層と、平面的な第二キャリアとを含み、第一接着層と第一キャリアとともに第一キャリア−第一接着層−第二接着層−第二キャリア固体層合成物を形成し、前記導体構造および前記少なくとも一つの電子部品の少なくとも一方が、少なくとも第一および第二キャリアの間の領域に位置することを実現する。
【0025】
このようにして、一方では、電子部品および導体構造の少なくとも一方を機械的に安定させ、他方では、2つのエレメントをそのような“サンドイッチ”構造により機械的に十分保護し得ることが可能となる。
【0026】
好ましくは、導体構造および少なくとも一つの電子部品は、部分的に、または、全体的に、第一と第二接着層の間に位置し、特に接着層に埋め込まれる。
【0027】
2つの接着層は、好ましくは、キャリアにより、上側および下側が完全に覆われている。
【0028】
好ましくは、第一および第二接着層の接着剤は、同一である。これは、層間の良好な一体結合を確保する。
【0029】
例えばアンテナコイルの巻き線を越えて絶縁ブリッジを適用するために、第一接着層と同様に、第二接着層に導体構造を提供し、電子部品を後者に接触させることが可能である。
【0030】
さらに、本発明は、下記ステップを含む、上述した電子機能群の製造方法を実現する。
a) キャリアを非導電性接着剤でコーティングし、
b) 導体構造を前記接着層の一部に適用し、
c) 少なくとも一つの外部接続接点を備えた電子部品を前記接着層と前記導体構造とに配置し、前記電子部品の前記少なくとも一つの接続接点が前記導体構造と直接接触し、前記部品の外郭の一部が前記接着層と直接接触する。
【0031】
特に、電子部品の軽い押圧は、部品の接続接点と導体構造との間の良好な電気的接点を形成し、部品を接着層に接着結合するのに十分である。好ましくは、接着層は、電子部品に十分大きな接触面を与えるために、十分に大きな表面で構成される。
【0032】
部品の接続接点と導体構造との間の摩擦結合は、大部分のアプリケーションに対して電気的接続を保証するのに適している。この場合、電子部品の配置は、部品の高い圧力および熱負荷なしで行われ得る。これは、、繊細な部品、例えば微細電子チップ、が配置される場合に、特に有利である。
【0033】
さらに、前記部品の少なくとも一つの電気的接続接点が、さらなるステップにおいて、熱処理により、前記接点に電気的に接する前記導体構造の一部に接続されることが可能である。このようにして、導電性金属間層が容易に形成される。
【0034】
本発明による方法は、roll-to-rollプロセス、すなわち、連続プロセスに適用することができる。これは、特に、独立加熱炉において連続的硬化を要しない接着剤が利用され得ることで可能である。本発明による方法は、数秒継続する時間周期において実行され得る。従って、例えば上述した“スマートラベル”など、経済的利益のために低コストで大量生産が必要な電子機能群の形成に特に有利である。
【0035】
roll-to-rollプロセスに加え、方法を、roll-to-sheet材料またはsheet-to-sheet材料として構築することができる。後者は、特に、対屈曲性機能群を形成する場合に可能である。
【0036】
本発明の有利な発展は、さらなるステップにおいて、前記第一接着層と、好ましくは、前記第一接着層に配置される前記部品と、前記導体構造の少なくとも一つが、さらなる非導電性接着剤で少なくとも部分的にコーティングされ、さらなるキャリアがこの第二接着層に配置されることを実現する。
【0037】
これは、特に、導体構造、少なくとも一つの電子部品、および接着層が取り付けられたキャリアのラミネート加工により行われ得る。方法は、まず、さらなるキャリアが第二接着剤層でコーティングされ、次に、ラミネート加工プロセスにより、適用された部品および/または導体構造とともに、第一接着層または後者へ全体が運ばれて、有利に実現され得る。
【0038】
前記導体構造は、例えばインクジェット印刷法により、接着層の表面に直接適用され得る。他に、まず、導体構造を基材の表面に構成し、基材を導体構造の接着層に配置することにより、導体構造を基材から接着層に転写することが可能である。
【0039】
本発明は、図面により表される実施形態を参照しつつ、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】電子部品を導体構造および接着層に接触させる直前の状態の、本発明による機能群の実施形態。
【図2】部品が導体構造および接着増に接した後の状態の本方法。
【図3】製造方法終了後の、本発明による電子機能群の他の実施形態。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の方法の一実施形態によれば、まず平面キャリア5a、ここでは厚さ200マイクロメータの紙シートの片側全面が、非導電性接着剤、ここではアクリレートにより、均一にコーティングされ、厚さ20マイクロメータの第一接着層4aが形成される。前述した導体構造3の形態の銀インクが、インクジェット印刷法により、接着層4aの一部に適用される。
【0042】
図1は、電子部品、ここでは外部電気接続接点2を備えたRFIDチップ1が、導体構造3および接着層4aに配置される直前の、このプロセス状態を示す。
【0043】
例えばバンプ形態で構成され、しかしながら他の形態をも有し得る、外部電気接続接点2を備えたチップ1は、接着層4aおよび導体構造3に配置され、接続接点2は導体構造3に直接接触し、部品1の外郭の一部は、接着層に直接接触する。接続接点2と導体構造3との間の良好な摩擦結合と、外郭と接着層4aとの間の良好な接着結合とを確保するために、チップ1は、キャリア5aの方向に軽く押圧される。
【0044】
図2は、本方法のこの状態を示す。
【0045】
非導電性接着剤、ここではアクリレート、を含む第二層は、第一接着層4aの空き表面領域、導体構造3、およびチップ1の空き表面に適用される。この第二接着層4bは、第二キャリア5b、ここでは、厚さ200マイクロメータの紙シートで上側がシールされる(図3)。
【0046】
従って、導体構造3およびチップ1は、接着層4aおよび4bに完全に埋め込まれる。これらは、外部キャリア層5aおよび5bにより、機械的に保護される。紙製のフレキシブルキャリア、薄い接着層4aおよび4b、および薄い導体構造3は、電子機能群が全体的にフレキシブルであることを保証する。チップ自体のフレキシブル製は低いが、キャリア層5aおよび5bの屈曲可能半径に対して十分小さい。必要に応じて、局所的補強が要求され得る。
【0047】
本実施形態においては、電子機能群は、いわゆる“スマートラベル”を形成する。RFIDチップは、認識用の高周波数電磁信号を送信することができる。この観点では、導体構造3は、チップ1に対する送受信アンテナとして構成される。
【0048】
前述した実施形態に加えて、対屈曲エレメント、特に対屈曲キャリアを、特に使用することができる。さらに、熱処理により、導体構造3と電子部品の接続接点2とを、金属間層に転写することができる。加えて、キャリアは、独立したプロセスで、接着層および導体構造とが提供され得る。
【0049】
ここで記述した方法は、“スマートラベル”の製造に特に適している。この方法は、既存の材料を排他的に利用し、配置および結合技術を要するプロセスステップを最小限に縮小する。製造は、非常に経済的で、最適な処理能力で、室温または熱キャビネット内で、例えば、全ロールまたはシート材料としての連続設定フェーズを用いたroll-to-rollプロセスを介して行われる。加えて、本方法は、機械的負荷の低い保護的方法で実施され得る。
【符号の説明】
【0050】
1 電子部品
2 接続接点
3 導体構造
4a 第一接着層
4b 第二接着層
5a 第一キャリア
5b 第二キャリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面的な第一キャリア(5a)と、
前記第一キャリア(5a)に適用され、非導電性接着剤を含む第一接着層(4a)と、
前記キャリア(5a)と離れた側の前記接着層(4a)の一部に適用される導体構造(3)と、
少なくとも一つの外部接続接点(2)を備えた、少なくとも一つの電子部品(1)、特に微細電子チップ(1)と、
を含み、
前記電子部品(1)の前記少なくとも一つの接続接点(2)が前記導体構造(3)と直接接触し、前記部品(1)の外郭の一部が前記接着層(4a)と直接接触する、
電子、特に微細電子機能群。
【請求項2】
前記機能群が、非導電性接着剤を含む第二接着層(4b)と、平面的な第二キャリア(5b)とを含み、第一接着層(4a)と第一キャリア(5a)とともに第一キャリア(5a)−第一接着層(4a)−第二接着層(4b)−第二キャリア(5b)固体層合成物を形成し、前記導体構造(3)および前記少なくとも一つの電子部品(1)の少なくとも一方が、少なくとも第一および第二キャリア(5)の間の領域に位置すること、
を特徴とする請求項1に記載の機能群。
【請求項3】
キャリア(5a、5b)、接着層(4a、4b)、導体構造(3)、および前記少なくとも一つの電子部品(1)の少なくとも一つが、フレキシブルであること、
を特徴とする請求項1または2に記載の機能群。
【請求項4】
a) キャリア(5a)を非導電性接着剤でコーティングし、
b)導体構造を前記接着層(4a)の一部に適用し、
c) 少なくとも一つの外部接続接点(2)を備えた電子部品(1)を前記接着層(4a)と前記導体構造(3)とに配置するステップを含み、
前記電子部品(1)の前記少なくとも一つの接続接点(2)が前記導体構造(3)と直接接触し、前記部品(1)の外郭の一部が前記接着層(4a)と直接接触する電子機能群、特に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の機能群の製造方法。
【請求項5】
さらなるステップにおいて、前記第一接着層(4a)と、好ましくは、導体構造(3)および前記第一接着層(4a)に配置される前記部品(1)と、前記導体構造(3)の少なくとも一つが、さらなる非導電性接着剤で少なくとも部分的にコーティングされ、さらなるキャリア(5b)がこの第二接着層(4b)に配置されること、
を特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
さらなるステップにおいて、前記部品(1)の前記少なくとも一つの電気的接続接点(2)が、熱処理により、前記接点に電気的に接する前記導体構造(3)の一部に接続されること、
を特徴とする請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記導体構造(3)が、インクジェット印刷プロセス、スクリーン印刷プロセス、吹き付け、または基材から接着層(4a)への転写により適用されること、
を特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−510678(P2010−510678A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537486(P2009−537486)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011515
【国際公開番号】WO2008/061554
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(504174917)フラウンホッファー−ゲゼルシャフト・ツァー・フォデラング・デル・アンゲワンテン・フォーシュング・エー.ファウ. (26)
【Fターム(参考)】