説明

電子カメラ

【課題】画素数の多い固体撮像素子で撮像される画像のピント状態を画素数の少ない画像表示手段で確認することができ、また、マニュアルでピント合わせを精度良く行うことができるようにする。
【解決手段】この電子カメラの固体撮像素子(CCD)18は、液晶モニタ14の画素数よりも多いものが使用されている。この電子カメラは、手動でピント調整部材を操作することによってピント合わせを行うマニュアルフォーカス機能を有し、前記ピント調整部材を手動で操作することに応じて、全撮影画像から所定の部分画像切り出し、この切り出した部分画像を示す画像信号をそのまま、又は通常の間引き率よりも小さい間引き率で間引いて液晶モニタ14に出力する。これにより、前記切り出された部分画像を液晶モニタ14に拡大表示し、ピント状態を精度よく確認できるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子カメラに係り、特にファインダとして使用可能な液晶モニタ等の画像表示装置を備えた電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタタルカメラ等の電子カメラに使用される固体撮像素子の画素数は、少ないもので30万画素から多いもので140万画素まであり、画素数が多くなる傾向にある。
【0003】
一方、電子カメラに設けられた液晶モニタの画素数は、6万画素からせいぜい10万画素位のものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−354273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、画素数の少ない液晶モニタをファインダとして使用する場合には、記録やプリント出力に必要な精度のピント状態を確認することができず、このため電子カメラで撮像した画像をパソコンの画面に表示し、あるいはプリンタで印画して初めてピンぼけが分かる場合がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、画素数の多い固体撮像素子で撮像される画像のピント状態を画素数の少ない画像表示手段で確認することができ、また、マニュアルでピント合わせを精度良く行うことができる電子カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために請求項1に係る電子カメラは、被写体を示す画像光を固体撮像素子の受光面に結像し、前記固体撮像素子の受光面に結像された画像光を画像信号に変換する撮像手段と、前記撮像手段によって得られた画像信号を記録する記録手段と、前記固体撮像素子の画素数よりも画素数が少ない画像を表示する画像表示手段と、手動でピント調整部材を操作することによってピント合わせを行うマニュアルフォーカス機能と、前記撮像手段による全撮影画像から所定の部分画像を切り出し、該切り出した部分画像を前記画像表示手段の画面に拡大表示させる拡大処理手段と、を備え、前記拡大処理手段は、前記ピント調整部材を手動で操作することに応じて、前記切り出した部分画像を前記画像表示手段の画面に拡大表示させることを特徴としている。
【0008】
上記請求項1に係る発明によれば、ピント調整部材を手動で操作することに応じて、全撮影画像から所定の部分画像切り出し、この切り出した部分画像を画像表示手段の画面に拡大表示するようにしたため、実際に撮像される画像のピント状態を精度よく確認することができる。尚、撮像手段から得られる全撮影画像の画素数は、画像表示手段の画素数よりも多いため、前記切り出した部分画像を拡大して表示する場合でも、画像表示手段が必要とする画素数を充分に得ることができる。
【0009】
請求項2に示すように請求項1に記載の電子カメラにおいて、前記画像表示手段が前記部分画像を拡大表示している間、該画像表示手段での表示が拡大表示中であることを警告する警告手段を有することを特徴としている。これにより、画像表示手段によって表示されている画像が、全撮影画像か又は全撮影画像から切り出された部分画像かを認識することができる。
【0010】
請求項3に示すように請求項2に記載の電子カメラにおいて、前記警告手段は、前記画像表示手段での表示が拡大表示中であることを示すアイコンを前記画像表示手段に表示させることを特徴としている。
【0011】
請求項4に示すように請求項3に記載の電子カメラにおいて、前記アイコンは、虫眼鏡を示すアイコンであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ピント調整部材を手動で操作することに応じて、全撮影画像から所定の部分画像切り出し、この切り出した部分画像を画像表示手段の画面に拡大表示するようにしたため、画素数の多い固体撮像素子で実際に撮像される画像のピント状態を画素数の少ない画像表示手段で精度よく確認することができ、また、マニュアルでピント合わせを精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明に係る電子カメラの実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図2は図1に示した電子カメラでの撮影状態を示す斜視図である。
【図3】図3は図2に示した電子カメラの液晶モニタの表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下添付図面に従って本発明に係る電子カメラの好ましい実施の形態について詳説する。
【0015】
図1は本発明に係る電子カメラの実施の形態を示すブロック図である。この電子カメラは、シャッタレリーズボタン10(図2参照)の操作により静止画をメモリカード12に記録するデジタルカメラであり、液晶モニタ14を有している。この液晶モニタ14は、撮影時には被写体像を表示することができる電子ビューファインダとして機能し、再生時にはメモリカード12に記録した静止画を表示するモニタとして機能する。
【0016】
このデジタルカメラでの撮影時(レリーズ全押しによる静止画の記録時に限らず、レリーズ半押し時又はムービー時に動画を液晶モニタ14に表示させる場合も含む)には、撮影レンズ16を介して固体撮像素子(CCD)18の受光面に結像した被写体像は、ここで光電変換されてCCD信号として順次読み出され、画像信号処理回路20に加えられる。ここで、CCD18は、液晶モニタ14の画素数よりも多いものが使用されている。
【0017】
画像信号処理回路20は、ホワイトバランス調整回路、ガンマ補正回路、YC処理回路を含み、これらの回路によって処理した画像データを画像記録装置22、オートフォーカス装置(AF装置)24、及び表示範囲選択回路28に出力する。画像記録装置22は、圧縮回路、カードインタフェース等を有しており、シャッタレリーズボタン10が操作されると、画像信号処理回路20のYC処理回路からYC信号(輝度信号Yとクロマ信号C)を受入し、このYC信号を圧縮し、その圧縮した画像データをカードインタフェースを介してメモリカード12に記録する。
【0018】
AF装置24は、AFスイッチ26がONされると動作可能となり、画像信号処理回路20から入力する輝度信号Yに基づいてコントラストAFを行う。即ち、AF装置24は、画像信号処理回路20から入力する輝度信号Yの高周波成分を抽出し、この高周波成分を積分することにより撮影コマの合焦状態を示す評価値を求める。そして、この評価値が極大となるように撮影レンズ16を制御する。尚、この撮影レンズ16は、マニュアルフォーカス機能を有しており、AFスイッチ26がOFFされている場合には、手動でフォーカスリング等のピント調整部材を操作することによってピント合わせを行うことができるようになっている。
【0019】
表示範囲選択回路28は、通常は画像信号処理回路20から入力する1コマ全体の画像信号をそのまま表示回路30に出力し、一方、拡大スイッチ32がONされた場合又は前記AFスイッチ26がOFFされている場合には動作可能となり、1コマ全体から所定の部分画像を切り出し、その切り出した部分画像を示す画像信号を表示回路30に出力する。
【0020】
表示回路30は、表示範囲選択回路28から入力する画像信号に基づいて液晶モニタ14の画面全体に画像を表示させる。従って、レリーズ半押し中又はムービー時には、被写体の画像がリアルタイム又はリアルタイムではないが、ほぼ連続した動画として液晶モニタ14に表示され、これにより液晶モニタ14の画面を見ながらスチル撮影する被写体の構図等を決めることができる。
【0021】
次に、前記表示範囲選択回路28から1コマ全体の画像信号が出力される場合と、1コマ全体から部分画像が切り出され、その切り出された部分画像を示す画像信号が出力される場合の作用について説明する。
【0022】
いま、図2に示すように被写体1を撮影すると、前述したように表示範囲選択回路28は、通常は1コマ全体の画像信号をそのまま表示回路30に出力する。この場合、表示範囲選択回路28から入力する画像信号の画素数(CCD18の画素数)は、液晶モニタ14の画素数よりも多いため、表示回路30は、液晶モニタ14の画素数に一致するように入力する画像信号の水平方向及び垂直方向の画素数を減じて(所定の割合で画素を間引いて)液晶モニタ14に出力する。
【0023】
これにより、液晶モニタ14には、図3(A)に示すように撮影している1コマ全体の画像が表示される。一方、拡大スイッチ32がONされると、表示範囲選択回路28は、1コマ全体から部分画像を切り出し、その切り出した部分画像を示す画像信号を表示回路30に出力する。この場合、表示範囲選択回路28から入力する部分画像の画像信号の画素数が減少するため、表示回路30は、入力する部分画像の画像信号をそのまま、又は通常の場合よりも画素の間引き率を小さくして液晶モニタ14に出力する。
【0024】
これにより、液晶モニタ14には、図3(B)に示すように撮影している1コマ全体から切り出された部分画像が拡大表示される。また、同図(B)に示すように部分画像を拡大表示している間、液晶モニタ14での表示が拡大表示中であることを警告表示する。この実施の形態では、虫眼鏡を示すアイコン34を液晶画面中に表示するようにしている。
【0025】
このように、拡大スイッチ32をONにすると、液晶モニタ14に表示される画像が拡大表示されるため、実際に撮像される画像のピント状態を精度よく確認することができる。尚、CCD18の画素数は、液晶モニタ14の画素数よりも多いため、1コマ全体から切り出した部分画像を拡大表示しても、液晶モニタ14が必要とする画素数を充分に得ることができる。
【0026】
また、この実施の形態では、AFスイッチ26がOFFされ、手動でピント調整部材を操作することによってピント合わせを行うマニュアルフォーカスが可能になると、前記拡大スイッチ32がOFFであっても、ONされたと同様に液晶モニタ14に部分画像を拡大表示するようにしている。これにより、部分画像を拡大表示している液晶モニタの画面を見ながらマニュアルでピント合わせを精度良く行うことができる。
【0027】
本発明の他の実施の形態として、撮影レンズ16のピント調整部材に手が触れているか否かを検出するタッチセンサ等のセンサを設け、このセンサによってピント調整部材に手が触れていることが検出されている期間中、液晶モニタに部分画像を拡大表示させるようにしてもよい。
【0028】
また、マクロ撮影に切り換えるマクロスイッチを設け、このマクロスイッチによってマクロ撮影に切り換えられると、液晶モニタに部分画像を拡大表示させるようにしてもよい。
【0029】
更に、液晶モニタをON/OFFさせる表示スイッチを設け、前記マクロスイッチによってマクロ撮影に切り換えられると、液晶モニタを強制的にONにし、液晶モニタに部分画像を拡大表示させるようにしてもよい。即ち、液晶モニタがOFFの場合には、光学ファインダを使用するが、マクロ撮影時にはパララックスが大きくなるため、液晶モニタを強制的にONにし、液晶モニタの画面を見ながらピント合わせを行うことができる。
【0030】
更にまた、液晶モニタ14の画面に拡大エリアを指定するためのタッチパネルを設け、このタッチパネルによって拡大エリアを指定すると、その指定した拡大エリアに対応する部分画像を切り出し、この切り出した部分画像を液晶モニタに拡大表示させるようにしてもよい。尚、オートフォーカス装置及び記録媒体は、この実施の形態のものに限らない。また、この実施の形態では、デジタルカメラについて説明したが、これに限らず、本発明は固体撮像素子の画素数が画像表示器の画素数よりも多いカメラであれば、ビデオカメラ等にも適用できる。
【符号の説明】
【0031】
1…被写体、10…シャッタレリーズボタン、12…メモリカード、14…液晶モニタ
16…撮影レンズ、18…固体撮像素子(CCD)、20…画像信号処理回路、22…画像記録装置、24…オートフォーカス装置、26…AFスイッチ、28…表示範囲選択回路、30…表示回路、32…拡大スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を示す画像光を固体撮像素子の受光面に結像し、前記固体撮像素子の受光面に結像された画像光を画像信号に変換する撮像手段と、
前記撮像手段によって得られた画像信号を記録する記録手段と、
前記固体撮像素子の画素数よりも画素数が少ない画像を表示する画像表示手段と、
手動でピント調整部材を操作することによってピント合わせを行うマニュアルフォーカス機能と、
前記撮像手段による全撮影画像から所定の部分画像を切り出し、該切り出した部分画像を前記画像表示手段の画面に拡大表示させる拡大処理手段と、を備え、
前記拡大処理手段は、前記ピント調整部材を手動で操作することに応じて、前記切り出した部分画像を前記画像表示手段の画面に拡大表示させることを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
前記画像表示手段が前記部分画像を拡大表示している間、該画像表示手段での表示が拡大表示中であることを警告する警告手段を有することを特徴とする請求項1に記載の電子カメラ。
【請求項3】
前記警告手段は、前記画像表示手段での表示が拡大表示中であることを示すアイコンを前記画像表示手段に表示させることを特徴とする請求項2に記載の電子カメラ。
【請求項4】
前記アイコンは、虫眼鏡を示すアイコンであることを特徴とする請求項3に記載の電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−118515(P2009−118515A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2918(P2009−2918)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【分割の表示】特願2008−5920(P2008−5920)の分割
【原出願日】平成10年4月10日(1998.4.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】