説明

電子カメラ

【構成】イメージセンサ16は、被写界を捉える撮像面を有して被写界像を繰り返し生成する。CPU40は、イメージセンサ16によって生成された被写界像から人物の顔画像を繰り返し探索し、発見された顔画像の位置および/またはサイズと基準位置および/または基準サイズとの相違を繰り返し算出する。CPU40はまた、算出された相違に応じて異なる態様でLED装置42を点滅させる。
【効果】自分撮りを行うときの利便性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子カメラに関し、特に、撮像面で生成された被写界像から発見された人物像に基づいて撮像操作を支援する、電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカメラの一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、バストショットモードが選択された状態でシャッタボタンが半押しされると、顔の輪郭と顔の中心座標とが顔検出ICによって検出される。CPUは、顔の中心座標がバストショット用の判定領域の内側に入っているか否か、ならびに顔の輪郭が顔輪郭領域の内側で最大となるように入っているか否かを判定する。
【0003】
これらの判定結果の少なくとも一方がNGであれば、CPUは、LEDの点滅と「もっと後に下がって下さい。」などの音声ガイダンスとによって立ち位置の変更をユーザに促す。顔の中心座標および輪郭の判定結果がともにOKであれば、CPUは、LEDの連続点灯と「撮影できます」の音声ガイダンスとによって撮影可能をユーザに報知する。セルフタイマはその後に動作を開始し、既定時間が経過した時点で撮影・記録処理が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−244804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、背景技術では、顔の中心座標と判定領域との位置関係および/または顔の輪郭と顔輪郭領域とのサイズ関係によってLEDの点滅態様が変更されることはなく、自分撮りを行うときの利便性に限界がある。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、自分撮りを行うときの利便性を向上させることができる、電子カメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従う電子カメラ(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、被写界を捉える撮像面を有して被写界像を繰り返し生成する撮像手段(16)、撮像手段によって生成された被写界像から人物の顔画像を繰り返し探索する探索手段(S37)、探索手段によって発見された顔画像の位置および/またはサイズと基準位置および/または基準サイズとの相違を繰り返し算出する算出手段(S41, S43)、および算出手段によって算出された相違に応じて異なる態様で発光装置(42b, 42r)を点滅させる点滅手段(S49, S61)を備える。
【0008】
好ましくは、点滅手段は相違が抑制されるほど発光装置の点滅周期を短縮する。
【0009】
好ましくは、基準調整操作に応答して基準位置および/または基準サイズを調整する調整手段(S19~S25)がさらに備えられる。
【0010】
好ましくは、算出手段は、顔画像の位置と基準位置との相違を繰り返し算出する第1相違算出手段(S41)、および顔画像のサイズと基準サイズとの相違を繰り返し算出する第2相違算出手段(S43)を含み、発光装置は、第1色で発光する第1色発光装置(42b)、および第2色で発光する第2色発光装置(42r)を含み、点滅手段は、第1相違算出手段によって算出された相違に応じて異なる態様で第1色発光装置を点滅させる第1装置点滅手段(S49)、および第2相違算出手段によって算出された相違に応じて異なる態様で第2色発光装置を点滅させる第2装置点滅手段(S61)を含む。
【0011】
好ましくは、第1算出手段によって算出された相違および第2算出手段によって算出された相違のいずれもが既定範囲に収まるとき報知を発生する報知手段(S71)、および撮像手段によって生成された被写界像を報知手段の報知処理の後に記録する記録手段(S79, S13~S15)がさらに備えられる。
【0012】
この発明に従う撮像制御プログラムは、被写界を捉える撮像面を有して被写界像を繰り返し生成する撮像手段(16)を備える電子カメラ(10)のプロセッサ(40)に、撮像手段によって生成された被写界像から人物の顔画像を繰り返し探索する探索ステップ(S37)、探索ステップによって発見された顔画像の位置および/またはサイズと基準位置および/または基準サイズとの相違を繰り返し算出する算出ステップ(S41, S43)、および算出ステップによって算出された相違に応じて異なる態様で発光装置(42b, 42r)を点滅させる点滅ステップ(S49, S61)を実行させるための、撮像制御プログラムである。
【0013】
この発明に従う撮像制御方法は、被写界を捉える撮像面を有して被写界像を繰り返し生成する撮像手段(16)を備える電子カメラ(10)によって実行される撮像制御方法であって、撮像手段によって生成された被写界像から人物の顔画像を繰り返し探索する探索ステップ(S37)、探索ステップによって発見された顔画像の位置および/またはサイズと基準位置および/または基準サイズとの相違を繰り返し算出する算出ステップ(S41, S43)、および算出ステップによって算出された相違に応じて異なる態様で発光装置(42b, 42r)を点滅させる点滅ステップ(S49, S61)を備える。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、被写界像の生成処理,顔画像の探索処理および位置および/またはサイズの相違の算出処理は繰り返し実行され、発光装置は、算出された相違に応じて異なる態様で点滅する。したがって、発光装置の点滅態様は、顔画像の移動に伴って変化する。これによって、自分撮りを行うときの利便性が向上する。
【0015】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】図2実施例によって捉えられる被写界の一例を示す図解図である。
【図4】(A)は図2実施例の動作の一部を示す図解図であり、(B)は図2実施例の動作の他の一部を示す図解図である。
【図5】(A)は光軸方向における人物のずれ量と青色LEDの点滅周期との関係の一例を示すグラフであり、(B)は光軸に直交する方向における人物のずれ量と赤色LEDの点滅周期との関係の一例を示すグラフである。
【図6】図2実施例によって捉えられる被写界の他の一例を示す図解図である。
【図7】図2実施例に適用される顔検出回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図8】図7実施例に適用されるレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図9】図2実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図10】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図11】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図12】図2実施例に適用されるCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図13】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図14】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図15】図2実施例に適用されるCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0018】
図1を参照して、この発明の電子カメラは、基本的に次のように構成される。撮像手段1は、被写界を捉える撮像面を有して被写界像を繰り返し生成する。探索手段2は、撮像手段1によって生成された被写界像から人物の顔画像を繰り返し探索する。算出手段3は、探索手段2によって発見された顔画像の位置および/またはサイズと基準位置および/または基準サイズとの相違を繰り返し算出する。点滅手段4は、算出手段3によって算出された相違に応じて異なる態様で発光装置5を点滅させる。
【0019】
被写界像の生成処理,顔画像の探索処理および位置および/またはサイズの相違の算出処理は繰り返し実行され、発光装置5は、算出された相違に応じて異なる態様で点滅する。したがって、発光装置5の点滅態様は、顔画像の移動に伴って変化する。これによって、自分撮りを行うときの利便性が向上する。
[実施例]
【0020】
図2を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、ドライバ18aおよび18bによってそれぞれ駆動されるフォーカスレンズ12および絞りユニット14を含む。被写界の光学像は、これらの部材を通してイメージセンサ16の撮像面に照射される。
【0021】
電源が投入されると、CPU40は、撮像タスクの下で動画取り込み処理を実行するべく、ドライバ18cを起動する。ドライバ18cは、1/60秒毎に発生する垂直同期信号Vsyncに応答して、撮像面を露光し、撮像面で生成された電荷をラスタ走査態様で読み出す。イメージセンサ16からは、被写界を表す生画像データが60fpsのフレームレートで出力される。
【0022】
信号処理回路20は、イメージセンサ16からの生画像データに色分離,白バランス調整,YUV変換などの処理を施し、YUV形式の画像データを作成する。作成された画像データは、メモリ制御回路22を通してSDRAM24に書き込まれる。
【0023】
LCDドライバ26は、SDRAM24に格納された画像データをメモリ制御回路22を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ28を駆動する。この結果、被写界を表すリアルタイム動画像(スルー画像)がモニタ画面に表示される。
【0024】
信号処理回路20はまた、YUV変換によって生成されたYデータをCPU40に与える。CPU40は、撮像条件調整タスクの下でYデータに簡易AE処理を施し、適正EV値を算出する。算出された適正EV値を定義する絞り量および露光時間はドライバ18bおよび18cにそれぞれ設定され、これによってスルー画像の明るさが適度に調整される。
【0025】
撮像モードとしては、通常撮像モードおよび自己撮像モードが準備される。撮像モードは、キー入力装置38に設けられたモードスイッチ38mdの操作に応答して、通常撮像モードおよび自己撮像モードのいずれか一方に設定される。
【0026】
通常撮像モードが設定された状態でシャッタボタン38sが半押しされると、CPU40は、信号処理回路20から与えられたYデータに厳格なAE処理を施し、最適EV値を算出する。算出された最適EV値を定義する絞り量および露光時間は、上述と同様、ドライバ18bおよび18cにそれぞれ設定される。この結果、スルー画像の明るさが厳格に調整される。
【0027】
CPU40は続いて、信号処理回路20から与えられたYデータの高周波成分にAF処理を施す。フォーカスレンズ12はドライバ18aによって光軸方向に移動し、合焦点に配置される。この結果、スルー画像の鮮鋭度が向上する。
【0028】
シャッタボタン38sが全押しされると、CPU40は、撮像タスクの下で記録処理の実行をI/F30に命令する。I/F30は、シャッタボタン38sが操作された時点の被写界を表す1フレームの画像データをメモリ制御回路22を通してSDRAM24から読み出し、読み出された画像データをファイル形式で記録媒体32に記録する。
【0029】
撮像モードが自己撮像モードに変更されると、CPU40は、撮像タスクの下で顔捕捉枠表示命令をグラフィックジェネレータ34に向けて発行する。発行される顔捕捉枠表示命令には、既定サイズおよび既定位置が記述される。グラフィックジェネレータ34は顔捕捉枠表示命令の記述を参照して顔捕捉枠K1のグラフィックデータを作成し、この結果、顔捕捉枠K1が図3に示す要領でLCDモニタ28に表示される。
【0030】
キー入力装置38上でサイズ調整操作が行われると、CPU40は、顔捕捉枠K1のサイズを調整する。また、キー入力装置38上で位置調整操作が行われると、CPU40は、顔捕捉枠K1の位置を調整する。サイズ調整操作または位置調整操作が行われた場合、調整後のサイズまたは位置が記述された顔捕捉枠表示命令がグラフィックジェネレータ34に向けて発行される。LCDモニタ28に表示された顔捕捉枠K1のサイズまたは位置は、サイズ調整操作または位置調整操作に従う態様で調整される。
【0031】
シャッタボタン38sが操作されると、CPU40は、被写界に向けて設けられたLED装置42を撮像支援タスクの下で駆動し、青色LED42bおよび赤色LED42rを点滅させる。青色LED42bおよび赤色LED42rは当初、初期周期で点滅する。CPU40は続いて、3秒毎に顔認識処理を実行する。顔認識処理にあたっては、探索要求が顔検出回路36に向けて発行する。
【0032】
顔検出回路36は、照合枠をSDRAM24に格納された被写界像の先頭位置から末尾位置に向けてラスタ走査態様で移動させ、照合枠に属する一部の画像を辞書36dに登録された顔画像と照合する。照合枠の画像が登録された顔画像と符合すると、顔検出回路36は、現時点の照合枠のサイズおよび位置をレジスタ36eに登録する。照合枠は、末尾位置に到達する毎に縮小され、その後に先頭位置に再度設定される。これによって、互いに異なるサイズを有する照合枠が被写界像上をラスタ方向に走査される。最小サイズの照合枠が末尾位置に到達すると、探索終了通知が顔検出回路36からCPU40に向けて返送される。
【0033】
CPU40は、顔検出回路36から返送された探索終了通知に応答して、人物の顔の探索に成功したか否かを判別する。少なくとも1つの照合枠がレジスタ36eに登録されていれば、顔画像の探索に成功したと判別される。これに対して、照合枠がレジスタ36eに登録されていなければ、顔画像の探索に失敗したと判別される。
【0034】
顔画像の探索に成功すると、CPU40は、レジスタ36eに登録された1または2以上の照合枠のうち顔捕捉枠K1に最も近い照合枠を注目照合枠M1として特定し、特定された注目照合枠M1の位置と顔捕捉枠K1の位置との相違を表すベクトルを“VCps”として算出する。図4(A)を参照して、ベクトルVCpsは、注目照合枠M1の中心座標から顔捕捉枠K1の中心座標に向かう方向と、注目照合枠M1の中心座標から顔捕捉枠K1の中心座標までの距離とを示す。
【0035】
CPU40は続いて、注目照合枠M1のサイズと顔捕捉枠K1のサイズとの差分を“ΔSZ”として算出する。図4(B)を参照して、差分ΔSZは、顔捕捉枠K1のサイズから注目照合枠M1のサイズを減算することによって得られる。
【0036】
ベクトルVCpsの量が閾値THps以上であれば、人物の顔は光軸に直交する方向において基準から外れているとみなされる。CPU40は、ベクトルVCpsの量を参照して青色LED42bの点滅周期を調整し、ベクトルVCpsの方向に対応する報知の出力を音声ガイド装置44に命令する。
【0037】
青色LED42bは、被写界内の人物に向けて点滅する。点滅周期は、ベクトルVCpsの量が減少するほど短縮され、ベクトルVCpsの量が増大するほど延長される。したがって、青色LED42bの点滅周期は、光軸に直交する方向における顔のずれ量に対して、図5(A)に示す特性を示す。
【0038】
顔の移動によってベクトルVCpsの量が減少すると、青色LED42bの点滅周期もまた短縮される。ベクトルVCpsの量が閾値THpsを下回ると、青色LED42bの発光態様は“点滅”から“連続点灯”に遷移する。被写界内の人物は、光軸に直交する方向における位置が所望の位置に合わせられたことを、青色LED42bの連続点灯によって認識する。
【0039】
なお、音声ガイド装置44から出力される報知は、ベクトルVCpsの量が抑制される方向への移動を被写界に現れた人物に促すためのガイドに相当する。音声ガイドは、ベクトルVCpsが左方向の成分を有しているとき“右に移動してください”の要領で発せられ、ベクトルVCpsが右方向の成分を有しているとき“左に移動してください”の要領で発せられる。
【0040】
差分ΔSZが閾値THsz1未満であるか或いは閾値THsz2以上であれば、人物の顔は光軸方向において基準から外れているとみなされる。CPU40は、差分ΔSZの大きさを参照して赤色LED42rの点滅周期を調整し、差分ΔSZの極性に対応する報知の出力を音声ガイド装置42に命令する。
【0041】
赤色LED42rは、被写界内の人物に向けて点滅する。点滅周期は、サイズΔSZの大きさが減少するほど短縮され、サイズΔSZの大きさが増大するほど延長される。したがって、赤色LED42rの点滅周期は、光軸方向における顔のずれ量に対して、図5(B)に示す特性を示す。
【0042】
顔の移動によってサイズΔSZの大きさが減少すると、赤色LED42rの点滅周期もまた短縮される。サイズΔSZの大きさが“THsz1〜THsz2”の範囲に入ると、赤色LED42rの発光態様は、“点滅”から“連続点灯”に遷移する。被写界内の人物は、光軸方向における位置が所望の位置に合わせられたことを、赤色LED42rの連続点灯によって認識する。
【0043】
なお、音声ガイド装置44から出力される報知は、差分ΔSZの大きさが抑制される方向への移動を被写界に現れた人物に促すためのガイドに相当する。音声ガイドは、差分ΔSZがマイナスの極性を示すとき“後ろに移動してください”の要領で発せられ、差分ΔSZがプラスの極性を示すとき“前に移動してください”の要領で発せられる。
【0044】
ベクトルVCpsの量が閾値THpsを下回り、かつ差分ΔSZの大きさが“THsz1〜THsz2”の範囲に入れば、人物の顔の位置は光軸に直交する方向および光軸方向のいずれにおいても基準を満たしているとみなされる。CPU40は、撮像予告の出力を音声ガイド装置42に命令する。音声ガイド装置42からは、“撮影します”との報知が出力される。このような撮像予告は、図6に示す構図が確立されたときに出力される。
【0045】
撮像予告の出力が完了すると、条件調整トリガが撮像支援タスクから撮像条件調整タスクに向けて発行される。CPU40は、撮像条件調整タスクの下で、信号処理回路20から与えられたYデータに厳格なAE処理を施す。これによって算出された最適EV値を定義する絞り量および露光時間は、上述と同様、ドライバ18bおよび18cにそれぞれ設定される。CPU40は続いて、信号処理回路20から与えられたYデータの高周波成分にAF処理を施し、フォーカスレンズ12を合焦点に配置する。
【0046】
条件調整トリガの発行から既定時間が経過すると、撮像トリガが撮像支援タスクから撮像タスクに向けて発行される。CPU40は、撮像タスクの下で記録処理の実行をI/F30に命令する。I/F30は、撮像トリガが発行された時点の被写界を表す1フレームの画像データをメモリ制御回路22を通してSDRAM24から読み出し、読み出された画像データをファイル形式で記録媒体32に記録する。
【0047】
顔検出回路36は図8に示すように構成される。コントローラ36aは、SDRAM24に矩形の照合枠を割り当て、照合枠に属する一部の画像データをメモリ制御回路22を通して読み出す。読み出された画像データは、SRAM36bを経て照合回路36cに与えられる。
【0048】
辞書36dには、人物の顔画像を表すテンプレートが収められる。照合回路36cは、SRAM36bから与えられた画像データを辞書36dに収められたテンプレートと照合する。画像データと符合するテンプレートが発見されると、照合回路36cは、現時点の照合枠の位置およびサイズを図9に示すレジスタ36eに登録する。
【0049】
照合枠は、SDRAM24の先頭位置(左上位置)から末尾位置(右下位置)に向けて、ラスタ走査態様で既定量ずつ移動する。また、照合枠のサイズは、照合枠が末尾位置に到達する毎に“大サイズ”→“中サイズ”→“小サイズ”の順で更新される。“小サイズ”の照合枠が末尾位置に到達すると、探索終了通知が照合回路36cからCPU40に向けて返送される。
【0050】
CPU40は、図9〜図10に示す撮像タスク,図11〜図13に示す撮像支援タスク,および図14〜図15に示す撮像条件調整タスクを含む複数のタスクを並列的に実行する。なお、これらのタスクに対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ46に記憶される。
【0051】
図9を参照して、ステップS1では動画取り込み処理を実行する。この結果、被写界を表すスルー画像がLCDモニタ28に表示される。ステップS3では現時点で選択されている撮像モードが通常撮像モードおよび自己撮像モードのいずれであるかを判別し、ステップS5ではシャッタボタン38sが全押しされたか否かを判別する。
【0052】
現時点の撮像モードが通常撮像モードでかつシャッタボタン38sが全押しされると、ステップS3でNOと判別するとともに、ステップS5でYESと判別し、ステップS15で記録処理を実行する。この結果、シャッタボタン38sが操作された時点の被写界を表す画像データが記録媒体32に記録される。記録処理が完了すると、ステップS3に戻る。
【0053】
現時点の撮像モードが自己撮像モードであれば、ステップS3でYESと判別し、ステップS7で顔捕捉枠表示命令をグラフィックジェネレータ34に向けて発行する。顔捕捉枠表示命令には、既定サイズおよび既定位置が記述される。この結果、既定サイズを有する顔捕捉枠K1がLCDモニタ28の既定位置に表示される。
【0054】
ステップS9ではシャッタボタン38sが操作されたか否かを判別し、ステップS19ではサイズ調整操作が行われたか否かを判別し、ステップS23では位置調整操作が行われたか否かを判別する。
【0055】
ステップS9の判別結果がYESであれば、撮像支援タスクをステップS11で起動し、撮像トリガが発行されたか否かをステップS13で判別する。判別結果がNOからYESに更新されると、ステップS15で記録処理を実行する。この結果、撮像トリガが発行された時点の被写界を表す画像データが記録媒体32に記録される。記録処理が完了すると、ステップS3に戻る。
【0056】
ステップS19の判別結果がYESであれば、ステップS21で顔捕捉枠K1のサイズを調整する。ステップS23の判別結果がYESであれば、ステップS25で顔捕捉枠K1の位置を調整する。ステップS21またはS25の処理が完了すると、ステップS9に戻る。
【0057】
ステップS21では調整後のサイズが記述された顔捕捉枠表示命令がグラフィックジェネレータ34に向けて発行され、ステップS23では調整後の位置が記述された顔捕捉枠表示命令がグラフィックジェネレータ34に向けて発行される。LCDモニタ28に表示された顔捕捉枠K1のサイズまたは位置は、サイズ調整操作または位置調整操作に従う態様で調整される。
【0058】
図11を参照して、ステップS31では青色LED42bを点滅させ、ステップS33では赤色LED42rを点滅させる。青色LED42bおよび赤色LED42rのいずれも初期周期で点滅する。ステップS35では垂直同期信号VsyncがN回(N:たとえば180)発生したか否かを判別する。判別結果がNOからYESに更新されると、顔探索処理のために探索要求を顔検出回路36に向けて発行する。
【0059】
顔検出回路36は、照合枠をSDRAM24に格納された被写界像の先頭位置から末尾位置に向けてラスタ走査態様で移動させ、照合枠に属する一部の画像を辞書36dに登録された顔画像と照合する。照合枠の画像が登録された顔画像と符合すると、顔検出回路36は、現時点の照合枠のサイズおよび位置をレジスタ36eに登録する。最小サイズの照合枠が末尾位置に到達すると、顔検出回路36は探索終了通知をCPU40に向けて返送する。
【0060】
顔検出回路36から探索終了通知が返送されると、顔画像の探索に成功したか否かをステップS39で判別する。少なくとも1つの照合枠がレジスタ36eに登録されていれば、顔画像の探索に成功したと判別してステップS41に進む。これに対して、照合枠がレジスタ36eに登録されていなければ、顔画像の探索に失敗したと判別してステップS35に戻る。
【0061】
ステップS41では、レジスタ36eに登録された1または2以上の照合枠のうち顔捕捉枠に最も近い照合枠を注目照合枠M1として特定し、特定された注目照合枠M1の位置と撮像タスクによって定義された顔捕捉枠K1の位置との相違を表すベクトルを“VCps”として算出する。ステップS43では、注目照合枠M1のサイズと顔捕捉枠K1のサイズとの差分を“ΔSZ”として算出する。
【0062】
ステップS45では、ベクトルVCpsの量が閾値THpsを下回るか否かを判別する。判別結果がYESであれば、人物の顔の位置は光軸に直交する方向において基準を満たしているとみなし、ステップS53でフラグFLGpsを“1”に設定するとともに、ステップS55で青色LED42bを連続的に点灯させる。
【0063】
一方、判別結果がNOであれば、人物の顔は光軸に直交する方向において基準から外れているとみなし、ステップS47でフラグFLGpsを“0”に設定する。ステップS49ではベクトルVCpsの量を参照して青色LED42bの点滅周期を調整し、ステップS51ではベクトルVCpsの方向に対応する報知の出力を音声ガイド装置44に命令する。
【0064】
青色LED42bの点滅周期は、ベクトルVCpsの量が減少するほど短縮され、ベクトルVCpsの量が増大するほど延長される。また、音声ガイド装置44から出力される報知は、ベクトルVCpsの量が抑制される方向への移動を被写界に現れた人物に促すためのガイドに相当する。
【0065】
ステップS51またはS55の処理が完了すると、差分ΔSZが閾値THsz1以上でかつ閾値THsz2未満であるか否かをステップS57で判別する。判別結果がYESであれば、人物の顔は光軸方向において基準を満たしているとみなし、ステップS65でフラグFLGszを“1”に設定するとともに、ステップS67で赤色LED42rを連続的に点灯させる。
【0066】
一方、判別結果がNOであれば、人物の顔は光軸方向において基準から外れているとみなし、ステップS59でフラグFLGszを“0”に設定する。ステップS61ではサイズΔSZの大きさを参照して赤色LED42rの点滅周期を調整し、ステップS63では差分ΔSZの極性に対応する報知の出力を音声ガイド装置44に命令する。
【0067】
赤色LED42rの点滅周期は、サイズΔSZの大きさが減少するほど短縮され、サイズΔSZの大きさが増大するほど延長される。また、音声ガイド装置44から出力される報知は、差分ΔSZの大きさが抑制される方向への移動を被写界に現れた人物に促すためのガイドに相当する。
【0068】
ステップS63またはS67の処理が完了すると、フラグFLGpsおよびFLGszのいずれもが“1”を示すか否かをステップS69で判別する。判別結果がNOであればステップS35に戻り、判別結果がYESであればステップS71に進む。ステップS71では、撮像予告の出力を音声ガイド装置44に命令する。音声ガイド装置44からは、“撮影します”との報知が出力される。
【0069】
ステップS73では条件調整トリガを撮像条件調整タスクに向けて発行し、ステップS75では既定時間の待機を行う。既定時間が経過すると、ステップS77で撮像トリガを撮像タスクおよび条件調整タスクに向けて発行し、その後に処理を終了する。
【0070】
図14を参照して、ステップS81では現時点で設定されている撮像モードが通常撮像モードおよび自己撮像モードのいずれであるかを判別する。現時点の撮像モードが通常撮像モードであればステップS83に進み、現時点の撮像モードが自己撮像モードであればステップS95に進む。
【0071】
ステップS83ではシャッタボタン38sが半押しされたか否かを判別し、判別結果がNOである限り、ステップS85の簡易AE処理を繰り返す。この結果、スルー画像の明るさが適度に調整される。シャッタボタン38sが半押しされると、ステップS87でAE処理を実行し、ステップS89でAF処理を実行する。この結果、スルー画像の明るさおよび鮮鋭度が厳格に調整される。ステップS89の処理が完了すると、シャッタボタン38sの操作が解除されたか否かをステップS91で判別する。判別結果がNOからYESに更新されると、ステップS93おける既定時間の待機を経てステップS81に戻る。
【0072】
ステップS95では、条件調整トリガが発行されたか否かを判別し、判別結果がNOである限りステップS97の簡易AE処理を繰り返す。この結果、スルー画像の明るさが適度に調整される。条件調整トリガが発行されると、ステップS99でAE処理を実行し、ステップS101でAF処理を実行する。この結果、スルー画像の明るさおよび鮮鋭度が厳格に調整される。ステップS101の処理が完了すると、撮像トリガが発行されたか否かをステップS103で判別する。判別結果がNOからYESに更新されると、ステップS105における既定時間の待機を経てステップS81に戻る。
【0073】
以上の説明から分かるように、イメージセンサ16は、被写界を捉える撮像面を有して被写界像を繰り返し生成する。CPU40は、イメージセンサ16によって生成された被写界像から人物の顔画像を繰り返し探索し(S37)、発見された顔画像の位置および/またはサイズと基準位置および/または基準サイズとの相違を繰り返し算出する(S41, S43)。CPU40はまた、算出された相違に応じて異なる態様でLED装置42を点滅させる(S49, S61)。
【0074】
被写界像の生成処理,顔画像の探索処理および位置および/またはサイズの相違の算出処理は繰り返し実行され、LED装置42は、算出された相違に応じて異なる態様で点滅する。したがって、LED装置42の点滅態様は、顔画像の移動に伴って変化する。これによって、自分撮りを行うときの利便性が向上する。
【0075】
なお、この実施例では、静止画像を記録することを想定しているが、この発明は動画像を記録するビデオカメラにも適用できる。
【符号の説明】
【0076】
10 …ディジタルカメラ
16 …イメージセンサ
20 …信号処理回路
36 …顔検出回路
40 …CPU
42 …LED装置
44 …音声ガイド装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写界を捉える撮像面を有して被写界像を繰り返し生成する撮像手段、
前記撮像手段によって生成された被写界像から人物の顔画像を繰り返し探索する探索手段、
前記探索手段によって発見された顔画像の位置および/またはサイズと基準位置および/または基準サイズとの相違を繰り返し算出する算出手段、および
前記算出手段によって算出された相違に応じて異なる態様で発光装置を点滅させる点滅手段を備える、電子カメラ。
【請求項2】
前記点滅手段は前記相違が抑制されるほど前記発光装置の点滅周期を短縮する、請求項1記載の電子カメラ。
【請求項3】
基準調整操作に応答して前記基準位置および/または前記基準サイズを調整する調整手段をさらに備える、請求項1または2記載の電子カメラ。
【請求項4】
前記算出手段は、前記顔画像の位置と前記基準位置との相違を繰り返し算出する第1相違算出手段、および前記顔画像のサイズと前記基準サイズとの相違を繰り返し算出する第2相違算出手段を含み、
前記発光装置は、第1色で発光する第1色発光装置、および第2色で発光する第2色発光装置を含み、
前記点滅手段は、前記第1相違算出手段によって算出された相違に応じて異なる態様で第1色発光装置を点滅させる第1装置点滅手段、および前記第2相違算出手段によって算出された相違に応じて異なる態様で第2色発光装置を点滅させる第2装置点滅手段を含む、請求項1ないし3のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項5】
前記第1算出手段によって算出された相違および前記第2算出手段によって算出された相違のいずれもが既定範囲に収まるとき報知を発生する報知手段、および
前記撮像手段によって生成された被写界像を前記報知手段の報知処理の後に記録する記録手段をさらに備える、請求項1ないし4のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項6】
被写界を捉える撮像面を有して被写界像を繰り返し生成する撮像手段を備える電子カメラのプロセッサに、
前記撮像手段によって生成された被写界像から人物の顔画像を繰り返し探索する探索ステップ、
前記探索ステップによって発見された顔画像の位置および/またはサイズと基準位置および/または基準サイズとの相違を繰り返し算出する算出ステップ、および
前記算出ステップによって算出された相違に応じて異なる態様で発光装置を点滅させる点滅ステップを実行させるための、撮像制御プログラム。
【請求項7】
被写界を捉える撮像面を有して被写界像を繰り返し生成する撮像手段を備える電子カメラによって実行される撮像制御方法であって、
前記撮像手段によって生成された被写界像から人物の顔画像を繰り返し探索する探索ステップ、
前記探索ステップによって発見された顔画像の位置および/またはサイズと基準位置および/または基準サイズとの相違を繰り返し算出する算出ステップ、および
前記算出ステップによって算出された相違に応じて異なる態様で発光装置を点滅させる点滅ステップを備える、撮像制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−123353(P2011−123353A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281669(P2009−281669)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】