説明

電子カメラ

【構成】複数のイメージセンサは、共通のシーンを表す画像を各々が出力しかつイメージセンサ16および56を有する。CPU26は、複数のイメージセンサのうちイメージセンサ56を含む少なくとも一部のイメージセンサから出力された画像から既定条件を満足する部分画像を探索する。CPU26はまた、イメージセンサ56から出力された画像のうち探知された部分画像に相当する部分画像に注目してイメージセンサ16の撮像条件を調整する。CPU26は、イメージセンサ56から出力された画像に対して調整処理の後に既定処理を施す。
【効果】撮像性能を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子カメラに関し、特に特定物体像に符合する画像を指定画像から探索する、電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカメラの一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、イメージセンサは、被写界を捉える撮像面を有し、被写界像を繰り返し生成する。CPUは、探索領域を撮像面に割り当て、探索領域上で顔画像を探索する探索処理をイメージセンサにおける被写界像の生成処理と並行して繰り返し実行する。探索処理によって検知された顔画像の位置を示すキャラクタは、LCDモニタ上のスルー画像に多重される。撮像面に割り当てられる探索領域のサイズは、撮像面のパンおよび/またはチルトの速度が増大するほど縮小される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−259423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術では、発見された顔画像等の特定物体像に注目して撮像条件が調整されたとき、探索用画像が探索処理に適さない画像に変更されることによって、新たにシーンに現れた特定物体像を発見できない可能性がある。したがって、撮像性能が低下する恐れがある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、撮像性能を高めることができる、電子カメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従う電子カメラ(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、共通のシーンを表す画像を各々が出力しかつ第1撮像手段および第2撮像手段を有する複数の撮像手段(16, 56)、複数の撮像手段のうち第1撮像手段を含む少なくとも一部の撮像手段から出力された画像から既定条件を満足する部分画像を探索する探索手段(S55)、および第2撮像手段から出力された画像のうち探索手段によって探知された部分画像に相当する部分画像に注目して第2撮像手段の撮像条件を調整する調整手段(S9~S13, S21~S23)を備える。
【0007】
好ましくは、第2撮像手段はフォーカスレンズを通してシーンを捉える撮像面を含み、調整手段はフォーカスレンズから撮像面までの距離を調整する距離調整手段(S21~S23)を含む。
【0008】
さらに好ましくは、調整手段は撮像面の露光量を調整する露光量調整手段(S9~S13)を含む。
【0009】
好ましくは、探索手段によって複数の部分画像が探知されたとき複数の撮像手段のいずれかから出力された画像の中央部に対応する部分画像を複数の部分画像の中から選択する第1選択手段(S63)をさらに備え、調整手段は第1選択手段によって選択された部分画像に注目して調整処理を実行する。
【0010】
好ましくは、探索手段によって複数の部分画像が探知されたとき最大サイズに対応する部分画像を複数の部分画像の中から選択する第2選択手段(S121~S125)をさらに備え、調整手段は第2選択手段によって選択された部分画像に注目して調整処理を実行する。
【0011】
好ましくは、第2撮像手段から出力された画像において探索手段によって探知された部分画像に相当する部分画像が占める領域を複数の撮像手段のうち部分画像の探知に関連した撮像手段と第2撮像手段との位置関係に基づいて算出する算出手段(S59~S61)をさらに備え、調整手段は算出手段によって算出された領域に基づいて調整処理を実行する。
【0012】
好ましくは、第2撮像手段から調整手段の調整処理の後に出力された画像を取り込む第1取り込み手段(S33)、および第1取り込み手段によって取り込まれた画像を記録する第1記録手段(S35)がさらに備えられる。
【0013】
好ましくは、複数の撮像手段のうち第2撮像手段を含む2以上の撮像手段から調整手段の調整処理の後にそれぞれ出力された2以上の画像を取り込む第2取り込み手段(S41)、および第2取り込み手段によって取り込まれた2以上の画像を記録する第2記録手段(S43)がさらに備えられる。
【0014】
この発明に従う撮像制御プログラムは、共通のシーンを表す画像を各々が出力しかつ第1撮像手段および第2撮像手段を有する複数の撮像手段(16, 56)を備える電子カメラ(10)のプロセッサ(26)に、複数の撮像手段のうち第1撮像手段を含む少なくとも一部の撮像手段から出力された画像から既定条件を満足する部分画像を探索する探索ステップ(S55)、および第2撮像手段から出力された画像のうち探索ステップによって探知された部分画像に相当する部分画像に注目して第2撮像手段の撮像条件を調整する調整ステップ(S9~S13, S21~S23)を実行させるための、撮像制御プログラムである。
【0015】
この発明に従う外部制御プログラムは、共通のシーンを表す画像を各々が出力しかつ第1撮像手段および第2撮像手段を有する複数の撮像手段(16, 56)、およびメモリ(44)に保存された内部制御プログラムに従う処理を実行するプロセッサ(26)を備える電子カメラ(10)に供給される外部制御プログラムであって、複数の撮像手段のうち第1撮像手段を含む少なくとも一部の撮像手段から出力された画像から既定条件を満足する部分画像を探索する探索ステップ(S55)、および第2撮像手段から出力された画像のうち探索ステップによって探知された部分画像に相当する部分画像に注目して第2撮像手段の撮像条件を調整する調整ステップ(S9~S13, S21~S23)を内部制御プログラムと協働してプロセッサに実行させるための、外部制御プログラムである。
【0016】
この発明に従う電子カメラ(10)は、共通のシーンを表す画像を各々が出力しかつ第1撮像手段および第2撮像手段を有する複数の撮像手段(16, 56)、および外部制御プログラムを受信する受信手段(60)、および受信手段によって受信された外部制御プログラムとメモリ(44)に保存された内部制御プログラムとに従う処理を実行するプロセッサ(26)を備える電子カメラ(10)であって、外部制御プログラムは、複数の撮像手段のうち第1撮像手段を含む少なくとも一部の撮像手段から出力された画像から既定条件を満足する部分画像を探索する探索ステップ(S55)、および第2撮像手段から出力された画像のうち探索ステップによって探知された部分画像に相当する部分画像に注目して第2撮像手段の撮像条件を調整する調整ステップ(S9~S13, S21~S23)を内部制御プログラムと協働して実行するプログラムに相当する。
【発明の効果】
【0017】
複数の撮像手段のうち第1撮像手段を含む少なくとも一部の撮像手段から出力されたシーンを表す画像から辞書画像に符合する部分画像が探索され、探知された部分画像に注目して第2撮像手段の撮像条件が調整される。したがって、第2撮像手段の撮像条件を部分画像に適した条件に調整する一方、探索処理に用いる撮像手段の撮像条件を維持することができる。このようにして、撮像性能を高めることができる。
【0018】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の一実施例のカメラの外観の一部を示す図解図である。
【図4】撮像面における評価エリアの割り当て状態の一例を示す図解図である。
【図5】顔検出処理において用いられる顔検出枠の一例を示す図解図である。
【図6】図2実施例で参照される顔辞書の構成の一例を示す図解図である。
【図7】顔検出処理の一部を示す図解図である。
【図8】顔検出処理において参照されるレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図9】撮像タスクおよび顔検出タスクにおいて参照されるレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図10】モニタ画面に表示された画像の一例を示す図解図である。
【図11】(A)は図2実施例に適用される撮像面において捉えられたシーンを表す画像の一例を示す図解図であり、(B)は図2実施例に適用される他の撮像面において捉えられたシーンを表す画像の一例を示す図解図である。
【図12】(A)は図2実施例に適用される撮像面において捉えられたシーンを表す画像の他の一例を示す図解図であり、(B)は図2実施例に適用される他の撮像面において捉えられたシーンを表す画像の他の一例を示す図解図である。
【図13】(A)は図2実施例に適用される撮像面において捉えられたシーンを表す画像のその他の一例を示す図解図であり、(B)は図2実施例に適用される他の撮像面において捉えられたシーンを表す画像のその他の一例を示す図解図である。
【図14】(A)は図2実施例に適用される撮像面において捉えられたシーンを表す画像のさらにその他の一例を示す図解図であり、(B)は図2実施例に適用される他の撮像面において捉えられたシーンを表す画像のさらにその他の一例を示す図解図である。
【図15】(A)は図2実施例に適用される撮像面において捉えられたシーンを表す画像の他の一例を示す図解図であり、(B)は図2実施例に適用される他の撮像面において捉えられたシーンを表す画像の他の一例を示す図解図である。
【図16】(A)は図2実施例に適用される撮像面において捉えられたシーンを表す画像のその他の一例を示す図解図であり、(B)は図2実施例に適用される他の撮像面において捉えられたシーンを表す画像のその他の一例を示す図解図である。
【図17】図2実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図18】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図19】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図20】図2実施例に適用されるCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図21】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図22】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図23】図2実施例に適用されるCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図24】この発明の他の実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図25】(A)は他の実施例に適用される撮像面において捉えられたシーンを表す画像の一例を示す図解図であり、(B)は他の実施例に適用される他の撮像面において捉えられたシーンを表す画像の一例を示す図解図である。
【図26】(A)は他の実施例に適用される撮像面において捉えられたシーンを表す画像の他の一例を示す図解図であり、(B)は他の実施例に適用される他の撮像面において捉えられたシーンを表す画像の他の一例を示す図解図である。
【図27】(A)は他の実施例に適用される撮像面において捉えられたシーンを表す画像のその他の一例を示す図解図であり、(B)は他の実施例に適用される他の撮像面において捉えられたシーンを表す画像のその他の一例を示す図解図である。
【図28】(A)は他の実施例に適用される撮像面において捉えられたシーンを表す画像のさらにその他の一例を示す図解図であり、(B)は他の実施例に適用される他の撮像面において捉えられたシーンを表す画像のさらにその他の一例を示す図解図である。
【図29】(A)は他の実施例に適用される撮像面において捉えられたシーンを表す画像の他の一例を示す図解図であり、(B)は他の実施例に適用される他の撮像面において捉えられたシーンを表す画像の他の一例を示す図解図である。
【図30】(A)は他の実施例に適用される撮像面において捉えられたシーンを表す画像のその他の一例を示す図解図であり、(B)は他の実施例に適用される他の撮像面において捉えられたシーンを表す画像のその他の一例を示す図解図である。
【図31】この発明のその他の実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0021】
図1を参照して、この実施例の電子カメラは、基本的に次のように構成される。複数の撮像手段1は、共通のシーンを表す画像を各々が出力しかつ第1撮像手段および第2撮像手段を有する。探索手段2は、複数の撮像手段1のうち第1撮像手段を含む少なくとも一部の撮像手段から出力された画像から既定条件を満足する部分画像を探索する。調整手段3は、第2撮像手段から出力された画像のうち探索手段によって探知された部分画像に相当する部分画像に注目して第2撮像手段の撮像条件を調整する。
【0022】
複数の撮像手段のうち第1撮像手段を含む少なくとも一部の撮像手段から出力されたシーンを表す画像から辞書画像に符合する部分画像が探索され、探知された部分画像に注目して第2撮像手段の撮像条件が調整される。したがって、第2撮像手段の撮像条件を部分画像に適した条件に調整する一方、探索処理に用いる撮像手段の撮像条件を維持することができる。このようにして、撮像性能を高めることができる。
[実施例]
【0023】
図2を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、ドライバ18aおよび18bによってそれぞれ駆動されるフォーカスレンズ12および絞りユニット14を含む。これらの部材を経たシーンの光学像は、ドライバ18cによって駆動されるイメージセンサ16の撮像面に照射され、光電変換を施される。また、ドライバ18a,ドライバ18b,ドライバ18c,およびイメージセンサ16は、第1撮像ブロック100(メイン系)を構成する。
【0024】
ディジタルカメラ10にはまた、イメージセンサ16によって捉えられたシーンと共通のシーンを捉えるために、フォーカスレンズ52,絞りユニット54,およびイメージセンサ56が設けられている。フォーカスレンズ52および絞りユニット54を経たシーンの光学像は、ドライバ58cによって駆動されるイメージセンサ56の撮像面に照射され、光電変換を施される。なお、フォーカスレンズ52は通常、パンフォーカス位置に配置される。また、ドライバ58a,ドライバ58b,ドライバ58c,およびイメージセンサ56は、第2撮像ブロック500(3D系)を構成する。
【0025】
これらの部材によって、イメージセンサ16によって捉えられたシーンに対応した電荷およびイメージセンサ56によって捉えられたシーンに対応した電荷が生成される。
【0026】
図3を参照して、第1撮像ブロック100および第2撮像ブロック500は、ディジタルカメラ10の筐体CB1の前面に固定的に設けられる。第1撮像ブロック100は筐体CB1の前方に向かって左側に位置し、第2撮像ブロック500は筐体CB1の前方に向かって右側に位置する。
【0027】
第1撮像ブロック100および第2撮像ブロック500はそれぞれ光軸AX_LおよびAX_Rを有し、筐体CB1の底面から光軸AX_Lまでの距離(=H_L)は筐体CB1の底面から光軸AX_Rまでの距離(=H_R)と一致する。また、水平方向における光軸AX_LおよびAX_Rの間隔(=W1)は、人間の両目の間隔を考慮して6cm程度に設定される。さらに、第1撮像ブロック100および第2撮像ブロック500は、共通の倍率を有する。
【0028】
このようなディジタルカメラ10は、3D(three dimensional)静止画像を記録するための3D記録モードおよび2D(two dimensional)静止画像を記録するための通常記録モードからなる2つの撮像モードを有する。操作者によるキー入力装置28の操作によって2つの撮像モードの各々が相互に切り替えられる。
【0029】
電源が投入されると、CPU26は、動画取り込み処理を実行するべく、撮像タスクの下で露光動作および電荷読み出し動作の繰り返しをドライバ18cおよび58cの各々に命令する。ドライバ18cおよび58cは、図示しないSG(Signal Generator)から周期的に発生する垂直同期信号Vsyncに応答して、イメージセンサ16および56の撮像面をそれぞれ露光し、かつイメージセンサ16および56の撮像面で生成された電荷をラスタ走査態様でそれぞれ読み出す。イメージセンサ16からは読み出された電荷に基づく第1生画像データが周期的に出力され、イメージセンサ56からは読み出された電荷に基づく第2生画像データが周期的に出力される。
【0030】
前処理回路20は、イメージセンサ16から出力された第1生画像データにディジタルクランプ,画素欠陥補正,ゲイン制御などの処理を施す。これらの処理を施された第1生画像データは、メモリ制御回路30を通してSDRAM32の第1生画像エリア32aに書き込まれる。
【0031】
前処理回路20はまた、イメージセンサ56から出力された第2生画像データにディジタルクランプ,画素欠陥補正,ゲイン制御などの処理を施す。これらの処理を施された第2生画像データは、メモリ制御回路30を通してSDRAM32の第2生画像エリア32bに書き込まれる。
【0032】
後処理回路34は、第1生画像エリア32aに格納された第1生画像データをメモリ制御回路30を通して読み出し、読み出された第1生画像データに色分離処理,白バランス調整処理およびYUV変換処理を施す。後処理回路34はさらに、YUV形式に従う画像データに対して表示用のズーム処理を実行する。この結果、YUV形式に従う表示画像データが作成される。表示画像データは、メモリ制御回路30によってSDRAM32の表示画像エリア32cに書き込まれる。
【0033】
後処理回路34はまた、第2生画像エリア32bに格納された第2生画像データをメモリ制御回路30を通して読み出し、読み出された第2生画像データに色分離処理,白バランス調整処理およびYUV変換処理を施す。後処理回路34はさらに、YUV形式に従う画像データに対して探索用のズーム処理を実行する。この結果、YUV形式に従う探索画像データが作成される。探索画像データは、メモリ制御回路30によってSDRAM32の探索画像エリア32dに書き込まれる。
【0034】
LCDドライバ36は、表示画像エリア32cに格納された表示画像データをメモリ制御回路30を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ38を駆動する。この結果、シーンを表すリアルタイム動画像(スルー画像)がモニタ画面に表示される。
【0035】
図4を参照して、イメージセンサ16および56の撮像面の中央には評価エリアEVA1およびEVA2がそれぞれ割り当てられる。評価エリアEVA1およびEVA2の各々は水平方向および垂直方向の各々において16分割され、256個の分割エリアが評価エリアEVA1およびEVA2の各々を形成する。また、図2に示す前処理回路20は、上述した処理に加えて、第1生画像データを簡易的にRGBデータに変換する簡易RGB変換処理を実行する。
【0036】
AE評価回路22は、前処理回路20によって生成されたRGBデータのうち評価エリアEVA1に属するRGBデータを、垂直同期信号Vsyncが発生する毎に積分する。これによって、256個の積分値つまり256個のAE評価値が、垂直同期信号Vsyncに応答してAE評価回路22から出力される。AF評価回路24は、前処理回路20によって生成されたRGBデータのうち評価エリアEVA1に属するRGBデータの高周波成分を、垂直同期信号Vsyncが発生する毎に積分する。これによって、256個の積分値つまり256個のAF評価値が、垂直同期信号Vsyncに応答してAF評価回路24から出力される。こうして得られたAE評価値およびAF評価値に基づく処理については、後述する。
【0037】
撮像タスクと並列して実行される顔検出タスクの下で、CPU26は、フラグFLG_fを“0”に初期設定する。CPU26は次に、探索画像エリア32dに格納された探索画像データから人物の顔画像を探索するべく、垂直同期信号Vsyncが発生する毎に顔検出処理を実行する。
【0038】
顔検出処理では、図5に示す要領でサイズが調整される顔検出枠FDと図6に示す5つの辞書画像(=向きが互いに異なる顔画像)を収めた顔辞書FDCとが用いられる。なお、顔辞書FDCはフラッシュメモリ44に保存される。
【0039】
顔検出処理ではまず、評価エリアEVA2の全域が探索エリアとして設定される。また、顔検出枠FDのサイズの可変範囲を定義するべく、最大サイズFSZmaxが“200”に設定され、最小サイズFSZminが“20”に設定される。
【0040】
顔検出枠FDは、探索エリアの開始位置(左上位置)から終了位置(右下位置)に向かって、ラスタ走査態様で既定量ずつ移動される(図7参照)。また、顔検出枠FDのサイズは、顔検出枠FDが終了位置に到達する毎に“FSZmax”から“FSZmin”まで“5”ずつ縮小される。
【0041】
顔検出枠FDに属する一部の探索画像データは、メモリ制御回路30を通して探索画像エリア32dから読み出される。読み出された探索画像データの特徴量は、顔辞書FDCに収められた5つの辞書画像の各々の特徴量と照合される。閾値THを超える照合度が得られると、顔画像が検出されたものとみなされる。現時点の顔検出枠FDの位置およびサイズは、顔情報として図8に示す顔検出レジスタRGSTdtに登録される。
【0042】
顔検出処理の完了後、顔検出レジスタRGSTdtに顔情報が登録されていた場合、CPU26は、顔検出レジスタRGSTdtに登録された顔情報の位置を補正する。補正後の顔情報は、図8に示す補正顔レジスタRGSTrvに登録される。
【0043】
顔検出レジスタRGSTdtには、第2生画像データに基づいて作成された探索画像データ上で発見された人物の顔情報が登録されている。すなわち、顔検出レジスタRGSTdtに登録された位置は、イメージセンサ56で捉えられたシーン上の位置である。このような顔情報の位置を補正することによって、CPU26は、イメージセンサ16で捉えられたシーン上で顔の存在が推定される位置を算出する。補正は、光軸AX_LおよびAX_Rの間隔ならびに顔検出レジスタRGSTdtに登録された顔情報のサイズに基づいて実行される。
【0044】
CPU26は次に、補正顔レジスタRGSTrvに登録された顔情報のうち撮像面中央に最も近い顔情報が示す領域を、後述のAF処理の対象領域とする。AF処理の対象領域とされた顔情報の位置およびサイズは、図9に示すAF対象レジスタRGSTafに登録される。また、CPU26は、人物を発見したことを表明するべくフラグFLG_fを“1”に設定する。
【0045】
なお、顔検出処理の完了後に顔検出レジスタRGSTdtに顔情報の登録がなかった場合、すなわち人物の顔が発見されなかった場合は、CPU26は、人物の顔が未発見であることを表明するべくフラグFLG_fを“0”に設定する。
【0046】
シャッタボタン28shが非操作状態のとき、CPU26は、以下の処理を実行する。フラグFLG_fが“0”を示すときCPU26は、AE評価回路22からの出力に基づく簡易AE処理を撮像タスクの下で実行し、適正EV値を算出する。簡易AE処理は動画取り込み処理と並列して実行され、算出された適正EV値を定義する絞り量および露光時間はドライバ18bおよび18cにそれぞれ設定される。この結果、スルー画像の明るさが適度に調整される。
【0047】
フラグFLG_fが“1”に更新されるとCPU26は、補正顔レジスタRGSTrvの登録内容を参照して、顔枠HFの表示をグラフィックジェネレータ46に要求する。グラフィックジェネレータ46は、顔枠HFを表すグラフィック情報をLCDドライバ36に向けて出力する。
【0048】
上述の通り、補正顔レジスタRGSTrvに登録された位置およびサイズは、イメージセンサ56によって捉えられたシーン上で発見された顔の存在がイメージセンサ16によって捉えられたシーン上で推定される位置である。したがって、図10を参照して、スルー画像上の顔画像の位置およびサイズに適合する態様で、顔枠HFがLCDモニタ38に表示される。
【0049】
図11(A)に示すように表示画像データが示す画像に人物HM1およびHM2が存在するとき、探索画像データが示す画像においても、図11(B)に示すように人物HM1およびHM2が存在する。探索画像データにおいては、顔検出処理の実行によって、顔検出枠FD_1に属する人物HM1の顔が検出され、顔検出枠FD_2に属する人物HM2の顔が検出される。
【0050】
フラグFLG_fが“1”に更新されるとまた、CPU26は、AE評価回路22から出力された256個のAE評価値のうち、補正顔位置レジスタRGSTrvに登録された位置およびサイズに対応するAE評価値を抽出する。CPU26は、抽出された一部のAE評価値に基づく厳格AE処理を実行する。厳格AE処理によって算出された最適EV値を定義する絞り量および露光時間は、ドライバ18bおよび18cにそれぞれ設定される。この結果、スルー画像の明るさが、補正顔位置レジスタRGSTrvに登録された位置に相当するシーンの一部に注目した明るさに調整される。
【0051】
シャッタボタン28shが半押しされると、CPU26はAF処理を実行する。フラグFLG_fが“0”を示すときCPU26は、AF評価回路24から出力された256個のAF評価値のうち、シーン中央の既定領域に対応するAF評価値を抽出する。CPU26は、抽出された一部のAF評価値に基づくAF処理を実行する。この結果、シーン中央に注目した合焦点にフォーカスレンズ12が配置され、スルー画像の鮮鋭度が向上する。
【0052】
フラグFLG_fが“1”を示すときCPU26は、AF評価回路24から出力された256個のAF評価値のうち、AF対象レジスタRGSTafに登録された位置およびサイズに対応するAF評価値を抽出する。CPU26は、抽出された一部のAF評価値に基づくAF処理を実行する。
【0053】
上述の通り、AF対象レジスタRGSTafに登録された位置およびサイズは、イメージセンサ56によって捉えられたシーン上で発見された顔の存在がイメージセンサ16によって捉えられたシーン上で推定される位置である。したがってAF処理の結果、AF処理の対象とされた人物の顔に注目した合焦点にフォーカスレンズ12が配置され、スルー画像の鮮鋭度が向上する。
【0054】
図12(B)に示す例によると、シャッタボタン28shが半押しされたとき、図11(B)に示す例で顔が発見された人物HM1の顔は、図11(B)とほぼ同一の位置で発見されている。一方、人物HM2の顔は、人物HM2の移動によって、図11(B)と異なる位置で発見されている。この時点では人物HM1の顔位置の方が撮像面中央に近いので、AF対象レジスタRGSTafには人物HM1の顔の位置およびサイズが登録される。したがって、AF処理の実行の結果、人物HM1の顔に注目した合焦点にフォーカスレンズ12が配置される。
【0055】
図12(A)に示す例によると、人物HM1は人物HM2よりも至近側に存在する。したがって、人物HM1の顔に注目したAF処理の実行の結果、第1撮像ブロック100の出力に基づく表示画像データにおいては、人物HM2の顔の鮮鋭度は低下する一方、人物HM1の顔の鮮鋭度が向上する。
【0056】
この状態でシャッタボタン28shが全押しされることなく解除されたとき、フォーカスレンズ12の配置は人物HM1の顔に注目した合焦点を維持する。したがって、図13(A)を参照して、表示画像データにおける人物HM2の顔については、低い鮮鋭度が維持される。
【0057】
一方、フォーカスレンズ52の配置はパンフォーカス位置を維持する。すなわち、探索画像データにおいては、人物HM1およびHM2の各々の顔に合焦された状態が維持される。したがって、図13(B)を参照して、探索画像データにおいては、顔検出処理の実行によって、人物HM1およびHM2の各々の顔が検出される。
【0058】
図13(B)に示す例によると、シャッタボタン28shが解除されたとき、人物HM1の顔は、図11(B)および図12(B)の各々とほぼ同一の位置で発見されている。一方、人物HM2の顔は、人物HM2の移動によって、図12(B)と異なる位置で発見されている。この時点では人物HM2の顔位置の方が撮像面中央に近いので、AF対象レジスタRGSTafの登録内容は、人物HM1の顔情報から人物HM2の顔情報に更新される。
【0059】
この状態でシャッタボタン28shが半押しされたとき、AF対象レジスタRGSTafには人物HM2の顔の位置およびサイズが登録されている。したがって、図14(A)を参照して、AF処理の実行の結果、フォーカスレンズ12の配置は、人物HM1の顔に注目した合焦点から人物HM2の顔に注目した合焦点に変更される。一方、フォーカスレンズ52の配置はパンフォーカス位置を維持する(図14(B)参照)。
【0060】
撮像モードが通常記録モードに設定されていた場合、シャッタボタン28shが全押しされると、CPU26は、撮像タスクの下でメイン系の静止画取り込み処理および記録処理を実行する。シャッタボタン28shが全押しされた時点の1フレームの第1生画像データは、静止画取り込み処理によってSDRAM32の第1静止画エリア32eに取り込まれる。取り込まれた1フレームの第1生画像データは、記録処理に関連して起動したI/F40によって第1静止画エリア32eから読み出され、ファイル形式で記録媒体42に記録される。
【0061】
撮像モードが3D記録モードに設定されていた場合、シャッタボタン28shが全押しされると、CPU26は、第2撮像ブロック500の露出設定を第1撮像ブロック100と同一の設定に変更する。すなわち、ドライバ18bおよび18cにそれぞれ設定された絞り量および露光時間が、ドライバ58bおよび58cにもそれぞれ設定される。
【0062】
また、CPU26は、第2撮像ブロック500のフォーカス設定を第1撮像ブロック100と同一の設定に変更する。すなわち、シャッタボタン28shの半押し時点でフラグFLG_fが“0”を示した場合は、シーン中央に注目した合焦点にフォーカスレンズ52が配置される。一方、シャッタボタン28shの半押し時点でフラグFLG_fが“1”を示した場合は、AF処理の対象とされた人物の顔に注目した合焦点にフォーカスレンズ52が配置される。
【0063】
第2撮像ブロック500の露出設定の変更およびフォーカス設定の変更が完了すると、CPU26は、撮像タスクの下でメイン系および3D系の各々の静止画取り込み処理と3D記録処理とを実行する。シャッタボタン28shが全押しされた時点の1フレームの第1生画像データおよび第2生画像データは、静止画取り込み処理によって第1静止画エリア32eおよびSDRAM32の第2静止画エリア32fにそれぞれ取り込まれる。
【0064】
また、3D記録処理によって、3D静止画の記録に対応した形式の1つの静止画ファイルが記録媒体42に作成される。取り込まれた第1生画像データおよび第2生画像データは、3D映像の格納を示す識別コード,2つの画像の配置方法,およびフォーカスレンズ12とフォーカスレンズ52との距離等とともに、新規作成された静止画ファイルに記録処理によって記録される。
【0065】
シャッタボタン28shが全押し後に解除されると、フォーカスレンズ52の配置は、通常位置であるパンフォーカス位置に戻される。
【0066】
撮像モードが3D記録モードに設定されていた場合、図14(B)の状態からシャッタボタン28shが解除されることなく全押しされたとき、第2撮像ブロック500の露出設定およびフォーカス設定は第1撮像ブロック100と同一の設定に変更される。すなわち、フォーカスレンズ52の配置は、パンフォーカス位置から人物HM2の顔に注目した合焦点に変更される。
【0067】
したがって、第2撮像ブロック500の出力に基づく探索画像データにおいては、図15(A)に示す表示画像データと同様に、人物HM2の顔の鮮鋭度が向上する一方、人物HM1の顔の鮮鋭度は低下する(図15(B)参照)。このとき顔検出タスクにおいて実行される顔検出処理においては、人物HM2の顔が検出される一方、人物HM1の顔は鮮鋭度の低下によって検出されない。
【0068】
この状態でシャッタボタン28shが全押し後に解除されたとき、フォーカスレンズ12の配置は人物HM1の顔に注目した合焦点を維持する。したがって、図16(A)を参照して、表示画像データにおける人物HM1の顔については、低い鮮鋭度が維持される。
【0069】
一方、フォーカスレンズ52の配置はパンフォーカス位置に戻される。これによって、探索画像データにおいては、再び人物HM1およびHM2の各々の顔に合焦される。したがって、図16(B)を参照して、探索画像データにおいては、顔検出処理の実行によって、人物HM1およびHM2の各々の顔が再び検出される。
【0070】
CPU26は、図17〜図19に示す撮像タスクおよび図20〜図21に示す顔検出タスクを含む複数のタスクを並列的に実行する。なお、これらのタスクに対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ44に記憶される。
【0071】
図17を参照して、ステップS1では動画取り込み処理を実行する。この結果、シーンを表すスルー画像がLCDモニタ38に表示される。ステップS3では顔検出タスクを起動する。
【0072】
ステップS5ではシャッタボタン28shが半押しされたか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS19に進む一方、判別結果がNOであればフラグFLG_fが“1”に設定されているか否かをステップS7で判別する。ステップS7の判別結果がYESであればステップS9で、補正顔レジスタRGSTrvに登録された位置およびサイズを読み出す。読み出された位置およびサイズに基づいて、ステップS11では顔枠HFの表示をグラフィックジェネレータ46に要求する。この結果、人物検出タスクの下で検出された顔画像の位置およびサイズに適合する態様で、顔枠HFがLCDモニタ38に表示される。
【0073】
ステップS11の処理が完了すると、顔画像の位置に対応した厳格AE処理をステップS13で実行する。厳格AE処理によって算出された最適EV値を定義する絞り量および露光時間は、ドライバ18bおよび18cにそれぞれ設定される。この結果、スルー画像の明るさが、顔画像の位置に相当するシーンの一部に注目した明るさに調整される。ステップS13の処理が完了するとステップS5に戻る。
【0074】
ステップS7の判別結果がNOであればステップS15で、顔枠HFの非表示をグラフィックジェネレータ46に要求する。この結果、モニタ38に表示された顔枠HFは非表示とされる。
【0075】
ステップS15の処理が完了すると、ステップS17で簡易AE処理を実行する。簡易AE処理によって算出された適正EV値を定義する絞り量および露光時間はドライバ18bおよび18cにそれぞれ設定される。この結果、スルー画像の明るさが適度に調整される。ステップS17の処理が完了するとステップS5に戻る。
【0076】
ステップS19ではフラグFLG_fが“1”に設定されているか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS25に進む一方、判別結果がYESであればAF処理の対象領域を確定するべく、AF対象レジスタRGSTafに登録された位置およびサイズをステップS21で読み出す。
【0077】
ステップS23では、顔を対象としたAF処理を実行して、人物の顔に注目した合焦点にフォーカスレンズ12を配置する。この結果、AF処理の対象領域に含まれる顔画像の鮮鋭度が向上する。ステップS23の処理が完了するとステップS27に進む。
【0078】
ステップS25ではシーン中央を対象としたAF処理を実行する。この結果、シーン中央に注目した合焦点にフォーカスレンズ12が配置され、スルー画像の鮮鋭度が向上する。ステップS25の処理が完了するとステップS27に進む。
【0079】
ステップS27ではシャッタボタン28shが全押しされたか否かを判別し、判別結果がNOであればシャッタボタン28shが解除されたか否かをステップS29で判別する。ステップS29の判別結果がNOであればステップS27に戻る一方、ステップS29の判別結果がYESであればステップS5に戻る。
【0080】
ステップS27の判別結果がYESであれば、撮像モードが3D記録モードに設定されているか否かをステップS31で判別する。判別結果がYESであればステップS37に進む一方、判別結果がNOであればステップS33で静止画取り込み処理を実行し、ステップS35では記録処理を実行する。シャッタボタン28shが全押しされた時点の1フレームの画像データは、静止画取り込み処理によって第1静止画エリア32eに取り込まれる。取り込まれた1フレームの画像データは、記録処理に関連して起動したI/F40によって第1静止画エリア32eから読み出され、ファイル形式で記録媒体42に記録される。記録処理が完了するとステップS5に戻る。
【0081】
ステップS37では、第2撮像ブロック500の露出設定を第1撮像ブロック100と同一の設定に変更する。ステップS39では、第2撮像ブロック500のフォーカス設定を第1撮像ブロック100と同一の設定に変更する。
【0082】
ステップS41では、メイン系および3D系の各々の静止画取り込み処理を実行する。この結果、シャッタボタン28shが全押しされた時点の1フレームの第1生画像データおよび第2生画像データは、静止画取り込み処理によって第1静止画エリア32eおよび第2静止画エリア32fにそれぞれ取り込まれる。
【0083】
ステップS43では、3D記録処理を実行する。この結果、3D静止画の記録に対応した形式の1つの静止画ファイルが記録媒体42に作成される。取り込まれた第1生画像データおよび第2生画像データは、3D映像の格納を示す識別コード,2つの画像の配置方法,およびフォーカスレンズ12とフォーカスレンズ52との距離等とともに、新規作成された静止画ファイルに記録処理によって記録される。
【0084】
ステップS45では、フォーカスレンズ52の配置を通常位置のパンフォーカス位置に戻す。
【0085】
図20を参照して、ステップS51ではフラグFLG_fを“0”に初期設定し、垂直同期信号Vsyncが発生したか否かをステップS53で繰り返し判別する。判別結果がNOからYESに更新されると、ステップS55で顔検出処理を実行する。
【0086】
顔検出処理の完了後、顔検出レジスタRGSTdtに顔情報の登録があるか否かをステップS57で判別し、判別結果がNOであればステップS51に戻る一方、判別結果がYESであればステップS59に進む。
【0087】
ステップS59では顔検出レジスタRGSTdtに登録された顔情報の位置を補正し、補正後の顔情報を用いて補正顔レジスタRGSTrvをステップS61で更新する。ステップS63では位置が撮像面中央に最も近い顔情報が示す領域をAF処理の対象領域とし、AF処理の対象領域とされた顔情報の位置およびサイズを用いてAF対象レジスタRGSTafをステップS65で更新する。
【0088】
ステップS67では人物の顔を発見したことを表明するべくフラグFLG_fを“1”に設定し、その後にステップS53に戻る。
【0089】
ステップS55の顔検出処理は、図22〜図23に示すサブルーチンに従って実行される。ステップS71では、顔検出レジスタRGSTdtを初期化すべく登録内容をクリアする。
【0090】
ステップS73では評価エリアEVA2の全域を探索エリアとして設定する。ステップS75では、顔検出枠FDのサイズの可変範囲を定義するべく、最大サイズFSZmaxを“200”に設定し、最小サイズFSZminを“20”に設定する。
【0091】
ステップS77では顔検出枠FDのサイズを“FSZmax”に設定し、ステップS79では顔検出枠FDを探索エリアの左上位置に配置する。ステップS81では、顔検出枠FDに属する一部の探索画像データを探索画像エリア32dから読み出し、読み出された探索画像データの特徴量を算出する。
【0092】
ステップS83では変数Nを“1”に設定し、ステップS81で算出された特徴量と辞書番号がNである顔辞書FDCの辞書画像の特徴量とをステップS85で照合する。照合の結果、閾値THを超える照合度が得られたか否かをステップS87で判別し、判別結果がNOであればステップS91に進む一方、判別結果がYESであればステップS89の処理を経てステップS91に進む。
【0093】
ステップS89では、現時点の顔検出枠FDの位置およびサイズを顔情報として顔検出レジスタRGSTdtに登録する。
【0094】
ステップS91では変数Nをインクリメントし、変数Nが“5”を超えたか否かをステップS93で判別する。判別結果がNOであればステップS85に戻る一方、判別結果がYESであれば、顔検出枠FDが探索エリアの右下位置に到達したか否かをステップS95で判別する。
【0095】
ステップS95の判別結果がNOであれば、ステップS97で顔検出枠FDを既定量だけラスタ方向に移動させ、その後にステップS81に戻る。ステップS95の判別結果がYESであれば、顔検出枠FDのサイズが“FSZmin”以下であるか否かをステップS99で判別する。ステップS99の判別結果がNOであれば、ステップS101で顔検出枠FDのサイズを“5”だけ縮小させ、ステップS103で顔検出枠FDを探索エリアの左上位置に配置し、その後にステップS81に戻る。ステップS99の判別結果がYESであれば、上階層のルーチンに復帰する。
【0096】
以上の説明から分かるように、複数のイメージセンサは、共通のシーンを表す画像を各々が出力しかつイメージセンサ16および56を有する。CPU26は、複数のイメージセンサのうちイメージセンサ56を含む少なくとも一部のイメージセンサから出力された画像から既定条件を満足する部分画像を探索する。CPU26はまた、イメージセンサ56から出力された画像のうち探知された部分画像に相当する部分画像に注目してイメージセンサ16の撮像条件を調整する。CPU26は、イメージセンサ56から出力された画像に対して調整処理の後に既定処理を施す。
【0097】
複数のイメージセンサのうちイメージセンサ56を含む少なくとも一部のイメージセンサから出力されたシーンを表す画像から辞書画像に符合する部分画像が探索され、探知された部分画像に注目してイメージセンサ16の撮像条件が調整される。イメージセンサ16から出力された画像に対しては、撮像条件の調整処理の後に既定処理が施される。したがって、イメージセンサ16の撮像条件を部分画像に注目した既定処理に適した条件に調整する一方、探索処理に用いるイメージセンサの撮像条件を維持することができる。このようにして、撮像性能を高めることができる。
【0098】
なお、この実施例では、補正顔レジスタRGSTrvに登録された顔情報のうち撮像面中央に最も近い顔情報が示す領域を、AF処理の対象領域とした。しかし、サイズが最も大きい顔情報が示す領域をAF処理の対象領域としてもよい。
【0099】
この場合、図21のステップS63に代えて図24のステップS121〜ステップS125を実行するようにすればよい。ステップS121では、補正顔レジスタRGSTrvに登録された顔情報のうちサイズが最も大きい顔情報が複数あるか否かを判別する。
【0100】
判別結果がYESであればステップS123で、複数の最大サイズの顔情報のうち位置が撮像面中央に最も近い顔情報が示す領域をAF処理の対象領域とする。判別結果がNOであればステップS125で、サイズが最も大きい顔情報が示す領域をAF処理の対象領域とする。ステップS123またはS125の処理が完了すると、ステップS65に進む。
【0101】
またこの場合、具体的には次の要領で各処理が実行される。図25(A)に示すように表示画像データが示す画像に人物HM3およびHM4が存在するとき、探索画像データが示す画像においては、図25(B)に示すように人物HM3およびHM4が存在する。探索画像データにおいては、顔検出処理の実行によって、顔検出枠FD_3に属する人物HM3の顔が検出され、顔検出枠FD_4に属する人物HM4の顔が検出される。
【0102】
図26(B)に示す例によると、シャッタボタン28shが半押しされたとき、図25(B)に示す例で顔が発見された人物HM4の顔は、人物HM4の移動によって、図25(B)と異なる位置で発見されている。この時点では人物HM3の顔のサイズおよび人物HM4の顔のサイズは同一である一方、人物HM3の顔の位置の方が撮像面中央に近い。よって、AF処理の実行の結果、人物HM3の顔に注目した合焦点にフォーカスレンズ12が配置される。
【0103】
ただし、人物HM3の顔のサイズおよび人物HM4の顔のサイズは同一であるので、フォーカスレンズ12からの距離はほぼ同一である。したがって、人物HM3の顔に注目したAF処理の実行の結果、表示画像データにおいては、人物HM3およびHM4の両方の顔の鮮鋭度が向上する。
【0104】
この状態でシャッタボタン28shが全押しされることなく解除されたとき、フォーカスレンズ12の配置は人物HM3の顔に注目した合焦点を維持する。図27(A)に示す例によると、図26(B)に示す例で顔が発見された人物HM4の顔は、人物HM4の移動によって、図26(B)よりも至近側で発見されている。したがって、表示画像データにおいて、人物HM3の顔については高い鮮鋭度が維持される一方、人物HM4の顔については鮮鋭度が低下する。
【0105】
一方、フォーカスレンズ52の配置はパンフォーカス位置を維持する。すなわち、探索画像データにおいては、人物HM3およびHM4の各々の顔に合焦された状態が維持される。したがって、図27(B)を参照して、探索画像データにおいては、顔検出処理の実行によって、人物HM3およびHM4の各々の顔が検出される。
【0106】
図27(B)に示す例によると、シャッタボタン28shが解除されたとき、人物HM4の顔のサイズの方が人物HM3の顔のサイズよりも大きいので、AF対象レジスタRGSTafの登録内容は、人物HM3の顔情報から人物HM4の顔情報に更新される。
【0107】
この状態でシャッタボタン28shが半押しされたとき、図28(A)を参照して、AF処理の実行の結果、フォーカスレンズ12の配置は、人物HM3の顔に注目した合焦点から人物HM4の顔に注目した合焦点に変更される。一方、フォーカスレンズ52の配置はパンフォーカス位置を維持する(図28(B)参照)。
【0108】
撮像モードが3D記録モードに設定されていた場合、図28(B)の状態からシャッタボタン28shが解除されることなく全押しされたとき、第2撮像ブロック500の露出設定およびフォーカス設定は第1撮像ブロック100と同一の設定に変更される。すなわち、フォーカスレンズ52の配置は、パンフォーカス位置から人物HM4の顔に注目した合焦点に変更される。
【0109】
したがって、探索画像データにおいては、図29(A)に示す表示画像データと同様に、人物HM3の顔の鮮鋭度は低下する一方、人物HM4の顔の鮮鋭度が向上する(図29(B)参照)。このとき顔検出タスクにおいて実行される顔検出処理においては、人物HM4の顔が検出される一方、人物HM3の顔は鮮鋭度の低下によって検出されない。
【0110】
この状態でシャッタボタン28shが全押し後に解除されたとき、フォーカスレンズ12の配置は人物HM4の顔に注目した合焦点を維持する。したがって、図30(A)を参照して、表示画像データにおける人物HM3の顔については、低い鮮鋭度が維持される。
【0111】
一方、フォーカスレンズ52の配置はパンフォーカス位置に戻される。これによって、探索画像データにおいては、再び人物HM3およびHM4の各々の顔に合焦される。したがって、図30(B)を参照して、探索画像データにおいては、顔検出処理の実行によって、人物HM3およびHM4の各々の顔が再び検出される。
【0112】
また、この実施例では、マルチタスクOSおよびこれによって実行される複数のタスクに相当する制御プログラムは、フラッシュメモリ44に予め記憶される。しかし、外部サーバに接続するための通信I/F60を図31に示す要領でディジタルカメラ10に設け、一部の制御プログラムを内部制御プログラムとしてフラッシュメモリ44に当初から準備する一方、他の一部の制御プログラムを外部制御プログラムとして外部サーバから取得するようにしてもよい。この場合、上述の動作は、内部制御プログラムおよび外部制御プログラムの協働によって実現される。
【0113】
また、この実施例では、CPU26によって実行される処理を、図17〜図19に示す撮像タスクおよび図20〜図21に示す顔検出タスクを含む複数のタスクに区分するようにしている。しかし、これらのタスクをさらに複数の小タスクに区分してもよく、さらには区分された複数の小タスクの一部を他のタスクに統合するようにしてもよい。また、転送タスクを複数の小タスクに区分する場合、その全部または一部を外部サーバから取得するようにしてもよい。
【0114】
また、この実施例では、2つのイメージセンサをそれぞれ含む2つの撮像ブロックを設けて、一方の撮像ブロックの出力に基づいて探索処理を実行し、探索結果に基づいて他方の撮像ブロックの撮像条件を調整するようにした。しかし、両方の撮像ブロックの出力に基づいて探索処理を実行するようにしてもよい。また、1または2以上の撮像ブロックをさらに設けて、追加された撮像ブロックの出力に基づいて探索処理を実行するようにしてもよい。また、追加された撮像ブロックの撮像条件を調整するようにしてもよい。
【0115】
また、この実施例では、ディジタルスチルカメラを用いて説明したが、本発明は、ディジタルビデオカメラ,携帯電話端末またはスマートフォンなどにも適用することができる。
【符号の説明】
【0116】
10 …ディジタルカメラ
12 …フォーカスレンズ
16 …イメージセンサ
26 …CPU
32 …SDRAM
52 …フォーカスレンズ
56 …イメージセンサ
100 …第1撮像ブロック
500 …第2撮像ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通のシーンを表す画像を各々が出力しかつ第1撮像手段および第2撮像手段を有する複数の撮像手段、
前記複数の撮像手段のうち前記第1撮像手段を含む少なくとも一部の撮像手段から出力された画像から既定条件を満足する部分画像を探索する探索手段、および
前記第2撮像手段から出力された画像のうち前記探索手段によって探知された部分画像に相当する部分画像に注目して前記第2撮像手段の撮像条件を調整する調整手段を備える、電子カメラ。
【請求項2】
前記第2撮像手段はフォーカスレンズを通して前記シーンを捉える撮像面を含み、
前記調整手段は前記フォーカスレンズから前記撮像面までの距離を調整する距離調整手段を含む、請求項1記載の電子カメラ。
【請求項3】
前記調整手段は前記撮像面の露光量を調整する露光量調整手段を含む、請求項2記載の電子カメラ。
【請求項4】
前記探索手段によって複数の部分画像が探知されたとき前記複数の撮像手段のいずれかから出力された画像の中央部に対応する部分画像を前記複数の部分画像の中から選択する第1選択手段をさらに備え、
前記調整手段は前記第1選択手段によって選択された部分画像に注目して調整処理を実行する、請求項1ないし3のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項5】
前記探索手段によって複数の部分画像が探知されたとき最大サイズに対応する部分画像を前記複数の部分画像の中から選択する第2選択手段をさらに備え、
前記調整手段は前記第2選択手段によって選択された部分画像に注目して調整処理を実行する、請求項1ないし3のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項6】
前記第2撮像手段から出力された画像において前記探索手段によって探知された部分画像に相当する部分画像が占める領域を前記複数の撮像手段のうち前記部分画像の探知に関連した撮像手段と前記第2撮像手段との位置関係に基づいて算出する算出手段をさらに備え、
前記調整手段は前記算出手段によって算出された領域に基づいて調整処理を実行する、請求項1ないし5のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項7】
前記第2撮像手段から前記調整手段の調整処理の後に出力された画像を取り込む第1取り込み手段、および
前記第1取り込み手段によって取り込まれた画像を記録する第1記録手段をさらに備える、請求項1ないし6のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項8】
前記複数の撮像手段のうち前記第2撮像手段を含む2以上の撮像手段から前記調整手段の調整処理の後にそれぞれ出力された2以上の画像を取り込む第2取り込み手段、および
前記第2取り込み手段によって取り込まれた2以上の画像を記録する第2記録手段をさらに備える、請求項1ないし6のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項9】
共通のシーンを表す画像を各々が出力しかつ第1撮像手段および第2撮像手段を有する複数の撮像手段を備える電子カメラのプロセッサに、
前記複数の撮像手段のうち前記第1撮像手段を含む少なくとも一部の撮像手段から出力された画像から既定条件を満足する部分画像を探索する探索ステップ、および
前記第2撮像手段から出力された画像のうち前記探索ステップによって探知された部分画像に相当する部分画像に注目して前記第2撮像手段の撮像条件を調整する調整ステップを実行させるための、撮像制御プログラム。
【請求項10】
共通のシーンを表す画像を各々が出力しかつ第1撮像手段および第2撮像手段を有する複数の撮像手段、および
メモリに保存された内部制御プログラムに従う処理を実行するプロセッサを備える電子カメラに供給される外部制御プログラムであって、
前記複数の撮像手段のうち前記第1撮像手段を含む少なくとも一部の撮像手段から出力された画像から既定条件を満足する部分画像を探索する探索ステップ、および
前記第2撮像手段から出力された画像のうち前記探索ステップによって探知された部分画像に相当する部分画像に注目して前記第2撮像手段の撮像条件を調整する調整ステップを前記内部制御プログラムと協働して前記プロセッサに実行させるための、外部制御プログラム。
【請求項11】
共通のシーンを表す画像を各々が出力しかつ第1撮像手段および第2撮像手段を有する複数の撮像手段、および
外部制御プログラムを受信する受信手段、および
前記受信手段によって受信された外部制御プログラムとメモリに保存された内部制御プログラムとに従う処理を実行するプロセッサを備える電子カメラであって、
前記外部制御プログラムは、
前記複数の撮像手段のうち前記第1撮像手段を含む少なくとも一部の撮像手段から出力された画像から既定条件を満足する部分画像を探索する探索ステップ、および
前記第2撮像手段から出力された画像のうち前記探索ステップによって探知された部分画像に相当する部分画像に注目して前記第2撮像手段の撮像条件を調整する調整ステップを前記内部制御プログラムと協働して実行するプログラムに相当する、電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−244278(P2012−244278A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110240(P2011−110240)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】