説明

電子チケット

【課題】 安定した電源供給が可能で実用性の高い電子チケットを提供する。
【解決手段】 チケット本体1に充電式電池11を組み込み、かかる充電式電池11を電源としてRFID通信により予約センターとの情報のやり取りを行い、イベント施設の予約や、予約センターからのイベント施設利用可能情報を情報表示ディスプレイ2に表示させるなどの動作を実現した。また、チケット本体1に組み込まれる充電式電池11として10C以上の電流で急速充電できるリチウムイオン二次電池が用いられことも特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば非接触型電子タグ(RFID:Radio Frequency ID)を採用した電子チケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、通信手段としてRFIDを採用した電子チケットは、例えば、特許文献1に開示されるようなものがあり、アミューズメントパーク、コンサート会場、スキー場など、様々なイベント施設で使用されるようになってきた。このような電子チケットを使うメリットとしては、偽造が難しく不正使用がしにくいこと、入退場の管理がしやすく入場者数の集計なども素早く可能なこと、さらに他のシステムと連動させて付加機能を持たせられることなどが挙げられる。
【0003】
ところで、このような電子チケットのRFIDは、外部から供給される電源により動作するパッシブタイプのものが多く用いられている。パッシブタイプは基本的に電源となる電池を必要とはしないためにメンテナンスが楽であることが、その理由となっている。
【0004】
しかし、その反面で、電源を持たないためチケット自体に付加機能を持たせることが難しい。また、電子チケット自体をRFIDリーダ/ライタにタッチさせるか、少なくともかなり近距離でないとセンターとの通信が難しいため、チケットを持った人の動きに制約が出来てしまう。このことは、例えば、大規模なイベント施設の場合、出入り口での入退場管理は特定の場所を通行するため余り問題にならないが、イベント施設内でチケット所有者がランダムに移動するような状況ではセンターとの通信が困難になり、利用不能になることがある。
【0005】
これに対して、電源として電池を搭載したアクティブ型のRFIDを用いた電子チケットによれば、通信距離が長くなり、電子チケットを持った人がリーダ/ライタにタッチするなどの特別の行動をしなくとも、意識せずにセンターなどとの通信が可能となる。このことは、例えばアミューズメントパークでのアトラクションの起動トリガーとしての利用もしやすい。また、例えば鞄の中や服のポケットなどに入っていても識別可能にすることも出来る。さらに電源が有り電力供給することが出来るので、様々な付加機能を電子チケットに付加することも可能である。
【特許文献1】特開2005−277723号公報
【特許文献2】特開2005−123183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、電池を電源とするものでは、定期的な電池交換が必要となり、予備として用意しておく電池の費用、作業に要する人件費などコストがかかり、特にアミューズメントパークのように非常に多くの電子チケットを管理してシステムを運用する業態ではその影響は極めて大きい。
【0007】
そこで、電池として充電を可能にした二次電池を使用することが考えられる。しかし、このような二次電池も、電子チケットの使用頻度が高く、連続して使用されると電池切れを生じることがある。電池切れをした場合は、一般に用いられる例えばニッケル水素蓄電池の場合、普通充電で12時間程度、急速充電で2〜3時間の充電時間が必要で、この間電子チケットは使用できないことになり実用的であるとはいえない。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、安定した電源供給が可能で実用性の高い電子チケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、イベント施設との間で情報を送受信する通信手段を内蔵したチケット本体と、前記チケット本体内部に設けられ、前記通信手段の電源として用いられる10C以上の電流で急速充電可能な充電式電池と、を具備したことを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記チケット本体は、さらに前記イベント施設において前記チケット本体を識別するチケット固有のチケットIDを記憶する記憶手段と、前記イベント施設からの情報を表示する表示手段を有することを特徴としている。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記通信手段は、RFID通信であることを特徴としている。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、さらに充電手段を有し、該充電手段は、前記チケット本体が電気的に接続可能で、該接続状態で前記充電式電池を充電可能にすることを特徴としている。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、さらに前記充電式電池の過充電、過放電及び過電流の少なくとも一つを検出し、前記充電式電池の充電又は放電を停止させる監視保護手段を有することを特徴としている。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明において、前記充電式電池は、リチウムイオン二次電池からなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、安定した電源供給が可能で実用性の高い電子チケットを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態を図面に従い説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に適用されるアクティブ型のRFIDを採用した電子チケットの概略構成を示している。図において、1はチケット本体で、このチケット本体1は、カード状をしている。チケット本体1には、不図示の電池収納部が設けられ、この電池収納部に後述する充電式電池11が収納されている。チケット本体1の一方板面には、表示手段として情報表示ディスプレイ2が設けられている。この情報表示ディスプレイ2は、後述する予約センター16からの各種情報を文字、記号などにより表示可能にしている。この情報表示ディスプレイ2には、例えば、液晶、有機EL或いは電子ペーパなどが用いられる。また、チケット本体1の端部には、充電用端子3a、3bが並べて配置されている。これら充電用端子3a、3bは、充電式電池11の充電を行う際に用いられる。なお、4は、充電用端子3a、3bを外部から保護するためのカバーで、充電式電池11の充電を行うとき以外は、チケット本体1端部に装着される。
【0018】
図2は、このように構成された電子チケットの回路構成を示している。なお、図2は、上述した図1と同一部分には同符号を付している。
【0019】
図2において、11は充電式電池で、この充電式電池11は、前記チケット本体1内部に設けられている。充電式電池11には、急速充電が可能なリチウムイオン二次電池が用いられる。リチウムイオン二次電池は、アルミニウムラミネートフィルムからなる外装部材による容器と、この容器内に収容された非水電解質と、前記容器内に収納されアルミニウム箔よりなる正極集電体にリチウムコバルト酸化物を正極作用物質として含む正極層が担持された正極と、前記容器内に収納されアルミニウム箔よりなる負極集電体に平均粒子径が1μm以下の粒度分布を有するチタン酸リチウムを負極活物質粒子として含む負極層が担持された負極とを備えた構造を有している。
【0020】
ここで、リチウムイオン二次電池についてさらに詳細に説明する。かかる、リチウムイオン二次電池は、リチウムチタン酸化物を活物質として含む負極を備えている。活物質であるリチウムチタン酸化物は、特許文献2に開示される通り、リチウムを吸蔵・放出可能な材料であり、リチウムイオンの挿入・離脱が1.4Vから1.7V/Li付近で行われる。このため、この二次電池は大電流での急速充電を行っても、従来の負極活物質に炭素材料を用いた場合と比べてリチウムの析出が起こらずに安全性を確保できる。また、リチウムの吸蔵放出に伴う膨張収縮が生じるのを抑制することができるため、20C電流の急速充電を繰り返し行った際にも負極活物質の構造破壊を抑えることができる。その結果、充放電を繰り返し行った場合においても長い寿命を維持できる。電池の電位としては2.4V程度であることから、従来のニッケル水素蓄電池やニッケルカドミウム蓄電池の2本直列分に相当するため、使用本数で50%の減量化が達成できる。
【0021】
具体的には、以下のような方法で組み立てたリチウムイオン二次電池は20Cで3分間充電することにより約80%電池容量まで充電することが可能な急速充電二次電池であることが確認されている。ここで、『C』は充放電率を表す単位であり、完全放電から完全充電(または完全充電から完全放電)までを定電流充電した場合に計算上1時間で行えるレートを1Cとして表現する。1/10時間の場合、10Cと表現する。したがって、例えば20C充電とは、1C充電の20倍の電流が必要になる。
【0022】
<負極の作製>
活物質として、平均粒子径5μmでLi吸蔵電位が1.55V(vs.Li/Li+)のチタン酸リチウム(Li4Ti512)粉末と、導電剤として平均粒子径0.4μmの炭素粉末と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを重量比で90:7:3となるように配合し、これらをn−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散してスラリーを調製した。
【0023】
なお、活物質の粒子径の測定には、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所株式会社 型番SALD−300)を用いた。まず、ビーカー等に試料約0.1gを入れた後、界面活性剤と1〜2mLの蒸留水を添加して十分に攪拌し、攪拌水槽に注入した。2秒間隔で、64回光強度分布を測定し、粒度分布データを解析し、累積度数分布が50%の粒径(D50)を平均粒子径とした。
【0024】
次いで、厚さ10μmのアルミニウム箔(純度99.99%)を負極集電体に前記スラリーを塗布し、乾燥した後、プレスを施すことにより電極密度2.4g/cm3の負極を作製した。
【0025】
<正極の作製>
活物質としてリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)と、導電材として黒鉛粉末と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを重量比で87:8:5となるように配合し、これらをn−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散させてスラリーを調製した。厚さ15μmのアルミニウム箔(純度99.99%)にスラリーを塗布し、乾燥した後、プレスすることにより電極密度3.5g/cm3の正極を作製した。
【0026】
<二次電池の組み立て>
容器(外装部材)の形成材料として、厚さが0.1mmのアルミニウム含有ラミネートフィルムを用意した。このアルミニウム含有ラミネートフィルムのアルミニウム層は、膜厚約0.03mmであった。アルミニウム層を補強する樹脂には、ポリプロピレンを使用した。このラミネートフィルムを熱融着で貼り合わせることにより、容器(外装部材)を得、さらに金属アルミニウムの容器に収めた。
【0027】
次いで、前記正極に正極端子を電気的に接続すると共に、前記負極に負極端子を電気的に接続した。厚さ12μmのポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータを正極に密着させて被覆した。セパレータで被覆された正極に負極を対向するように重ね、これらを渦巻状に捲回して電極群を作製した。この電極群をプレスして扁平状に成形した。容器(外装部材)に扁平状に成形した電極群を挿入した。
【0028】
エチレンカーボネート(EC)とγ−ブチルラクトン(GBL)が体積比(EC:GBL)で1:2の割合で混合された有機溶媒にリチウム塩であるLiBF4を1.5mol/L溶解させ、液状の非水電解質を調製した。得られた非水電解質を前記容器内に注液し、リチウム二次電池を組み立てた。このようなリチウム二次電池は、満充電時電圧2.8V、放電終止電圧1.5Vで使用することができる。
【0029】
この実施の形態では、前記充電式電池11として、10C以上の電流で急速充電可能なリチウムイオン二次電池が使用される。勿論、かかる充電式電池11は、上述した20Cで3分間充電することにより約80%電池容量まで充電可能なものである。
【0030】
このような充電式電池11には、RFIDを構成する制御手段としての制御部12、記憶手段としての記憶部13、通信手段としての送受信部14及び前記情報表示ディスプレイ2が接続されている。また、充電式電池11には、前記充電用端子3a、3bが接続されている。
【0031】
制御部12は、チケット情報制御手段121、通信制御手段122を有している。記憶部13は、チケット本体1を識別するためのチケット固有のチケットIDを記憶している。送受信部14は、通信制御手段122の指示により後述する予約センター16との間で情報の送受信をRFID通信により行う。チケット情報制御手段121は、前記記憶部13に記憶されたチケットIDの読み出しや、予約センター16からのイベント施設利用可能情報などを受け取り、その旨を情報表示ディスプレイ2に表示させる。
【0032】
充電式電池11には、監視保護手段として監視保護回路15が設けられている。この監視保護回路15は、充電式電池11の状態を監視するもので、かかる監視結果に応じて不図示のスイッチを駆動して充電式電池11の充放電を停止させる。この場合、監視保護回路15は、充電式電池11の過充電、過放電及び過電流を監視する。そして、充電式電池11の充電電圧が所定値の範囲では、充電式電池11の充放電を許容し、充電式電池11の充電電圧が所定値以上になると過充電と判断し前記スイッチ(不図示)を開放して充電式電池11の充電を停止させ、また、充電式電池11の充電電圧が所定値以下になると過放電と判断し前記スイッチ(不図示)を開放して充電式電池11の放電を停止させる。さらに充電式電池11の放電電流が所定値以上になると、過電流と判断し前記スイッチ(不図示)を開放して充電式電池11の放電を停止させる。これにより、充電式電池11が過充電状態になって電解液の分解によりガスが発生し、電池内部の圧力が上昇して漏液するのを防止し、また、充電式電池11が過放電状態になって負極の集電体の銅が電解液で溶解し電池性能を劣化させるのを防止する。このような監視保護回路15は、モジュール化され、前記充電式電池11内部に一体に組み込まれるものが用いられる。
なお、監視保護回路15は、充電式電池11の過充電、過放電及び過電流の少なくとも一つを監視するものであっても良い。
【0033】
図3は、このような電子チケットが使用されるイベント施設の概略構成を示している。この場合、施設内に設けられる予約センター16には、チケット情報管理部17が接続されている。チケット情報管理部17は、施設内の各種イベント施設の予約に関する情報、例えばイベント施設の予約優先順位などをチケットIDと対応させて管理する。この場合のイベント施設予約の優先順位は、イベント施設の利用が終了するごとに更新される。
【0034】
予約センター16には、複数のリーダ/ライタ18a〜18nが接続されている。これらリーダ/ライタ18a〜18nは、各イベントの出入り口などに配置され、チケット本体1との情報のやり取りをRFID通信により行う。この場合、リーダ/ライタ18a〜18nは、チケット本体1からチケットIDを受け取ると、このチケットIDによりチケット本体1の正当性の認証を行う。また、認証の取れたチケットIDをチケット情報管理部17に転送しイベント施設の予約優先順位に対応させて記憶させる。また、リーダ/ライタ18a〜18nは、チケット情報管理部17においてイベント施設の予約優先順位が更新されることで、この予約優先順位に対応するチケットIDがイベント施設利用可能な順位になると、該当するチケットIDを有するチケット本体1に対してイベント施設利用可能情報を送信する。
【0035】
このような充電式電池11を内蔵した電子チケットによれば、充電式電池11を一度満充電にすれば、数十回〜百回程度繰り返して使用できるが、安全を考えて常に満充電状態にしておくのが望ましい。
【0036】
そこで、この実施の形態では、使用済みの電子チケットを回収するイベント会場出口に電子チケット回収部を設け、この電子チケット回収部に充電器の機能を付加するようにしている。図4は、このような電子チケット回収部の一例を示すものである。図において、19は電子チケット回収部本体で、この電子チケット回収部本体19は、箱型をしており、その上面に複数のチケット差込口19aが並べて形成されている。これらチケット差込口19aには、上述したカード状のチケット本体1が差し込まれる。チケット本体1は、チケット差込口19aに差し込まれた状態で前記充電用端子3a、3bを介して充電手段としての充電部20が電気的に接続される。
【0037】
図2は、この状態を示しており、充電部20には、電源として電源コード21を介してAC電源が接続されるとともに、充電用端子20a、20bが接続されている。これら充電用端子20a、20bは、チケット差込口19aにチケット本体1が差し込まれた状態で、前記充電用端子3a、3bに電気的に接続される。充電式電池11は、充電部20により満充電まで充電される。
【0038】
次に、このように構成した電子チケットの作用を図5を用いて説明する。
【0039】
図5において、まず、ステップ101で、電子チケット利用者は、ベント施設の予約センターに出向き施設の予約登録を行う。この場合、チケット本体1をリーダ/ライタ18a〜18nに対して予約登録の操作を行う。すると、制御部12のチケット情報制御手段121により記憶部13からチケットIDが読み出され、送受信部14よりRFID通信によりリーダ/ライタ18a〜18nに送信される。
【0040】
予約センター16は、リーダ/ライタ18a〜18nを介して予約情報としてチケットIDを受信する(ステップ201)。そして、このチケットIDによりチケット本体1の正当性の認証を行う。ここで、チケット本体1の正当性を判断すると、チケットIDをチケット情報管理部17に転送する。
【0041】
チケット情報管理部17は、チケットIDにより予約管理を行う(ステップ202)。この場合、チケット情報管理部17は、チケットIDをイベント施設の予約優先順位に対応させて記憶する。
【0042】
以下、他の電子チケット利用者についても同様で、イベント施設の予約登録を行うと、チケット情報管理部17は、予約対象となるイベント施設の予約優先順位に対応させてそれぞれのチケットIDを記憶していく。
【0043】
この状態で、イベント施設の利用が進むと、チケット情報管理部17でのイベント施設の予約優先順位が更新されていく。その後、チケットIDがイベント施設利用可能な順位に達すると(ステップ203)、予約センター16は、リーダ/ライタ18a〜18nより該当するチケットIDを有するチケット本体1にイベント施設利用可能情報を送信する。
【0044】
チケット本体1は、リーダ/ライタ18a〜18nからのイベント施設利用可能情報を送受信部14により受信すると、情報表示ディスプレイ2にその旨を表示する(ステップ102)。図1は、情報表示ディスプレイ2での表示例を示すもので、ここでは、「予約の施設が利用可能になりました」が表示される。
【0045】
電子チケット利用者は、情報表示ディスプレイ2の表示を確認しイベント施設が利用可能になったことを知り、イベント施設を利用する(ステップ103)。
【0046】
その後、電子チケット利用者によるイベント施設の利用が終了すると、利用終了情報が予約センター16のリーダ/ライタ18a〜18nに送られる(ステップ104)。この場合、利用終了情報は、イベント施設から直接予約センター16に出力するか、イベント施設を退出する際に、チケット本体1をイベント施設出口のリーダ/ライタ18a〜18nでチェックすることで出力する。
【0047】
リーダ/ライタ18a〜18nがイベント施設利用終了を確認すると(ステップ204)、
予約センター16は、チケット情報管理部17でのイベント施設の予約優先順位を更新する。そして、次に予約登録済みの電子チケット所有者のチケットIDを特定し(ステップ205)、該当するチケットIDを有するチケット本体1に対しイベント施設利用可能情報を送信する(ステップ203)。
【0048】
したがって、このようにすれば、チケット本体1に充電式電池11を組み込み、かかる充電式電池11を電源としてRFID通信により予約センター16との情報の送受信を行い、イベント施設の予約や、予約センター16からのイベント施設利用可能情報を情報表示ディスプレイ2に表示させるなどの動作を実現した。また、チケット本体1に組み込まれる充電式電池11として10C以上の電流で急速充電できるリチウムイオン二次電池が用いられことも特徴としている。これにより、充電式電池11は短時間の急速充電が可能で、しかも充電部20を接続するだけで充電式電池11を繰り返し充電ができるので、電子チケットの使用頻度が高く連続して使用されるような場合も、電子チケットの使用を長時間中断することなく安定した電源供給が可能となり実用性の高い電子チケットを実現できる。
【0049】
また、充電式電池11の充電を頻繁に行うことができるので、電池容量の小さな充電式電池11を使用することが可能で、チケット本体1の小型軽量化とともにコスト低減につなげることができる。これらのことは、急速充電が可能な充電式電池11を使用することによって実現できることである。
【0050】
さらに、この実施の形態では、通信手段としてRFIDを採用しているが、このようなRFIDを利用すればシステムが単純で安価に構築できる。また、RFIDは、情報の送受信の範囲が限られるが、そのことが逆に位置情報の把握に役立つ。例えば、イベント会場内に多数のリーダ/ライタ18a〜18nを配置すれば、電子チケット本体1と送受信しているリーダ/ライタの特定によってチケット所有者の位置情報を知ることができる。このことは、例えばアトラクションの開始トリガーに位置情報を利用したり、あるいは施設に入場した子供にチケット本体1を携帯させれば、迷子になった際に見つけるための手段に利用することができる。さらに、チケット所有者の位置情報を知ることで、チケット所有者現在の状況を把握できるので、例えば、チケット所有者の位置情報から他のイベント施設を利用中で直ぐには予約登録したイベント施設にいけない状況にあると判断された場合には、他の予約者を先にして順番を入れ替えようにすれば、イベント施設の稼動を円滑にすると言った柔軟な活用も可能である。
【0051】
その他、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。例えば、上述した実施の形態では、イベント施設利用可能情報を情報表示ディスプレイ2に表示するようにしたが、さらに音声や振動などを発生する手段を併用すれば、さらに確実にイベント施設利用可能情報をチケット所有者に伝えることが可能になる。また、上述した実施の形態では、通信手段としてRFIDを用いたが、携帯電話、PHS、無線LANなどを利用することも可能で有る。
【0052】
さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施の形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題を解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる電子チケットの概略構成を示す図。
【図2】一実施の形態にかかる電子チケットの回路構成を示す図。
【図3】一実施の形態の電子チケットが使用される予約センタの回路構成を示す図。
【図4】一実施の形態に用いられる電子チケット回収部の概略構成を示す図。
【図5】一実施の形態にかかる電子チケットの動作を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0054】
1…チケット本体、2…情報表示ディスプレイ
3a.3b…充電用端子、11…充電式電池
12…制御部、121…チケット情報制御手段
122…通信制御手段、13…記憶部
14…送受信部、15…監視保護回路
16…予約センター、17…チケット情報管理部
18a〜18n…リーダ/ライタ、19…電子チケット回収部本体
19a…チケット差込口、20…充電部
20a.20b…充電用端子、21…電源コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベント施設との間で情報を送受信する通信手段を内蔵したチケット本体と、
前記チケット本体内部に設けられ、前記通信手段の電源として用いられる10C以上の電流で急速充電可能な充電式電池と、
を具備したことを特徴とする電子チケット。
【請求項2】
前記チケット本体は、さらに前記イベント施設において前記チケット本体を識別するチケット固有のチケットIDを記憶する記憶手段と、前記イベント施設からの情報を表示する表示手段を有することを特徴とする請求項1記載の電子チケット。
【請求項3】
前記通信手段は、RFID通信であることを特徴とする請求項1又は2記載の電子チケット。
【請求項4】
さらに充電手段を有し、該充電手段は、前記チケット本体が電気的に接続可能で、該接続状態で前記充電式電池を充電可能にすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子チケット。
【請求項5】
さらに前記充電式電池の過充電、過放電及び過電流の少なくとも一つを検出し、前記充電式電池の充電又は放電を停止させる監視保護手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子チケット。
【請求項6】
前記充電式電池は、リチウムイオン二次電池からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子チケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−27126(P2008−27126A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198094(P2006−198094)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000003539)東芝電池株式会社 (109)
【Fターム(参考)】