電子デバイスモジュール、並びに該電子デバイスモジュールを用いたブラインド装置、カーテン装置、及び照明装置
【課題】太陽電池等の電子デバイスの設置上重要となる、直列接続または並列接続の両方を簡単に選択することができる電子デバイスモジュール、そしてこの電子デバイスモジュールを用いたブラインド装置、カーテン装置、及び照明装置を提供する。
【解決手段】電子デバイスと、電子デバイスの陽極の出力端と、電子デバイスの陰極の出力端と、を備えた複数のパネルと、複数のパネルの各々が二つの配置状態で装着可能であり、一方の配置状態の場合、前記複数のパネルに搭載された各々の電子デバイスが直列接続になるように配線する直列配線と、他方の配置状態の場合、複数のパネルに搭載された各々の電子デバイスが並列接続になるように配線する並列配線とを設ける。
【解決手段】電子デバイスと、電子デバイスの陽極の出力端と、電子デバイスの陰極の出力端と、を備えた複数のパネルと、複数のパネルの各々が二つの配置状態で装着可能であり、一方の配置状態の場合、前記複数のパネルに搭載された各々の電子デバイスが直列接続になるように配線する直列配線と、他方の配置状態の場合、複数のパネルに搭載された各々の電子デバイスが並列接続になるように配線する並列配線とを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光または発電に関する電子デバイスを搭載したパネルを複数接続した電子デバイスモジュール、並びに該電子デバイスモジュールを搭載したブラインド装置、カーテン装置、及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL(Electro−Luminescence)素子、LED(Light Emitting Diode)などを用いた照明装置や、太陽電池などが、省エネルギー化の要望の下、実用形態を意識した鋭意開発がなされている(例えば特許文献1,2,3参照)。
【0003】
特許文献1に記載のブラインド装置においては、ブラインド上に、太陽電池、シート状ポリマー二次電池、または有機EL素子等を具備したシート状面発光体を備えており、ブラインドの面を有効に利用していることが開示されている。
【0004】
特許文献2に記載のブラインド装置においては、ブラインド上に太陽電池を配設し、引出した出力端子を出力リード線とブラインドのラダーコードを兼ねさせていることが開示されている。
【0005】
特許文献3に記載の太陽電池においては、枠体と太陽電池の端子電極を電気的に接続し、その枠体端部に凹部あるいは凸部を形成し嵌合させることによってモジュール相互の機械的、電気的の接続を行っていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−82058号公報
【特許文献2】特開2004−27661号公報
【特許文献3】特開平7−86627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のブラインド装置においては、面発光デバイス、太陽電池、二次電池のシート状の3種類のデバイスが貼り合わせ構造になっていることを開示しているのみであり、実際にそれらを配設する際に必要な配線の接続手段に関しての開示はなされていない。
【0008】
また、特許文献2に記載の太陽電池においては、その太陽電池の接続方法についての開示はされているが、単にリード線で行うものであり、実際に組付を行う際に、煩雑な手間を要する。
【0009】
そして、特許文献3に記載の太陽電池においては、太陽電池に枠体が付けられたモジュールによって電気的接続を一意的な配線で行っているものの、太陽電池の設置上重要となる直列接続または並列接続の両方を選択して設置することができない。
【0010】
本発明は、発光、発電等の電子デバイスを複数接続・設置上重要となる直列接続または並列接続の両方を簡単に選択することができる電子デバイスモジュール、並びに該電子デバイスモジュールを用いたブラインド装置、カーテン装置、及び照明装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の目的は、下記に記載する発明により達成される。
【0012】
1.電子デバイスと、該電子デバイスの陽極の出力端と、該電子デバイスの陰極の出力端と、を備えた複数のパネルと、
前記複数のパネルの各々が二つの配置状態で装着可能であり、
一方の配置状態の場合、前記複数のパネルに搭載された各々の前記電子デバイスが直列接続になるように配線する直列配線と、
他方の配置状態の場合、前記複数のパネルに搭載された各々の前記電子デバイスが並列接続になるように配線する並列配線と、
を備えた支持接続基板と、
を有することを特徴とする電子デバイスモジュール。
【0013】
2.前記パネルは、前記支持接続基板に装着した状態で、隣り合う他の前記パネルと嵌合することを可能とする凸部と凹部とを有することを特徴とする前記1記載の電子デバイスモジュール。
【0014】
3.前記パネルは、フィルム基板またはガラス基板を有することを特徴とする前記1または2に記載の電子デバイスモジュール。
【0015】
4.前記電子デバイスは、発光デバイス、光電変換デバイスの何れかであることを特徴とする前記1から3の何れか一項に記載の電子デバイスモジュール。
【0016】
5.前記発光デバイスは、LED、有機エレクトロルミネッセンス素子の何れかであることを特徴とする前記4に記載の電子デバイスモジュール。
【0017】
6.前記光電変換デバイスは、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、薄膜シリコン太陽電池、HIT太陽電池、多接合太陽電池、CdTe太陽電池、CIGS太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池、または、フォトダイオードの何れかであることを特徴とする前記4に記載の電子デバイスモジュール。
【0018】
7.前記1から6の何れかに記載の電子デバイスモジュールを備えたことを特徴とするブラインド装置。
【0019】
8.前記1から6の何れかに記載の電子デバイスモジュールを備えたことを特徴とするカーテン装置。
【0020】
9.前記1から6の何れかに記載の電子デバイスモジュールを備えたことを特徴とする照明装置。
【発明の効果】
【0021】
発光、発電等の電子デバイスを複数接続・設置上重要となる直列接続または並列接続の両方を簡単に選択することができる電子デバイスモジュール、並びに該電子デバイスモジュールを用いたブラインド装置、カーテン装置、及び照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る電子デバイスモジュール1の概要図の一例である。
【図2】本実施形態に係る電子デバイスモジュール1の概要図の他の例である。
【図3】パネル3と支持接続基板5の配線図であり、図3(a)が支持接続基板5の概要図の概要図、図3(b)がパネル3である。
【図4】並列接続で1つおきに電子デバイス搭載のパネルが配置・接続された電子デバイスモジュール1の概要図である。
【図5】直列接続で1つおきに電子デバイス搭載のパネルが配置・接続された電子デバイスモジュール1の概要図である。
【図6】有機EL素子100の断面構造を示す概要図である。
【図7】太陽電池の断面構造を示す概要図である。
【図8】図1をA−A’線に沿って切断した縦断図である。
【図9】透光性基板45上に作製された電子デバイス7の概要図である。
【図10】電子デバイス7が作り込まれたガラス基板45(パネル)を、支持接続基板5に装着した状態を示す模式図である。
【図11】電子デバイスモジュール1を用いたブラインド装置300の概要図である。
【図12】電子デバイスモジュール1を用いたカーテン装置400の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施形態を図面により説明するが、本発明は以下に説明する実施形態に限られるものではない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0024】
図1は、本実施形態に係る電子デバイスモジュール1の概要図の一例である。図2は、本実施形態に係る電子デバイスモジュール1の概要図の他の例である。図1と図2の相違は、支持接続基板5に対する向きを異ならせてパネル3を装着した点である。つまり、図1では、並列配線13を用いて並列接続されるように支持接続基板5にパネル3を装着している。一方、図2では、直列配線11を用いて直列接続されるように支持接続基板5にパネル3を装着している。
【0025】
電子デバイスモジュール1は、電子デバイス7を搭載した複数のパネル3と、支持接続基板5とを備える。なお、パネル3の基板及び支持接続基板5は、ガラスや金属のような曲げることが難しい剛性の大きい材料からなる基板で構成されても良く、可撓性フィルムのように曲げることができる材料からなる基板で構成されても良い。
【0026】
図3は、パネル3と支持接続基板5の配線図であり、図3(a)が支持接続基板5の概要図、図3(b)がパネル3の概要図である。
【0027】
複数のパネル3が支持接続基板5に着脱可能であり、かつ、支持接続基板5に対する向きを異ならせてパネル3を装着可能なように、パネル3と支持接続基板5の構成が設定されている。支持接続基盤5にパネル3を装着後、支持接続基盤5からパネル3を取り外せないように、支持接続基盤5とパネル3との装着部分を構成してもよいし、取り外せるように構成してもよい。
【0028】
パネル3には、電子デバイス7が搭載され、電子デバイスの陽極の出力端と陰極の出力端とが、パネル3の基板の一端まで形成されている。各出力端は、外部の端子と導通可能なように形成されている。詳細は後述するが、各出力端は、例えば、パネル3に搭載している電子デバイス7を保護する保護層が設けられており、この保護層は基板の端部の一部で各出力端を露出させた構造となっている。このように出力端を露出させた構造の他に、出力端に接続端子が設けられていても良い。パネル3は図3(b)で示すように、パネル3に搭載される電子デバイス7の陽極と陰極がどちらかわかるように、例えば凸部31と凹部32が形成されている。なお、電子デバイス7を搭載するとは、パネル3の基板上に、電子デバイス7を作り込むこと、または実装することを言う。ここで、パネル3の基板上に、電子デバイス7を作り込むとは、パネル3の基板上に、適当な半導体プロセスにより、図6,7で示す各層を成膜、及び図9で示すパターンにパターニングして作製することを言う。
【0029】
パネル3の基板が、例えばフィルム基板の場合、厚み100μmのPETまたはPENフィルム上に直接電子デバイスを形成し、さらにその上に印刷技術等で金属を配線として形成した構造を有する。さらにその上に引き出し線を形成しても良い。配線、引き出し線はAl,Cu,Agなど、低抵抗の金属を用いることができる。そして、電子デバイスと配線が形成されたフィルム基板を、電気的な絶縁性を得るためや、水分、酸化防止のために、バリアフィルムで両面から封止する構成を取る。このようにフィルム基板を有するパネル3は、何れにしても薄いことからフレキシブルに変形する可撓性を有する。
【0030】
パネル3が支持接続基板5に取付けられると、パネル3の陽極の端子と陰極の端子とが、支持接続基板5に備えられた直列配線11または並列配線13に導通可能なように配線位置(配置状態)が設定されている。
【0031】
そして、複数のパネル3が、直列配線11または並列配線13の何れか一方に導通するように支持接続基板5に取り付けられると、複数のパネル3の全てが直列接続、または並列接続されることとなる。
【0032】
さらに、図3(c)、(d)のように、電子デバイスの搭載されていないダミーパネルや、配線のみ搭載されたダミーパネルを用いれば、図3に示す電子デバイスの搭載されているパネルは連続で支持接続基板に配置・接続することなく、任意の位置で配置・接続可能である。例えば図4では、並列接続で1つおきに電子デバイスの搭載されているパネルを配置・接続する場合を示している。また、図5では、直列接続で1つおきに電子デバイスの搭載されているパネルを配置・接続する場合を示している。何れの場合も、パネルとダミーパネルの配置・接続の設定はこの例の限りではなく、任意に設定可能である。
【0033】
電子デバイス7は、例えば、発光デバイスであれば有機EL素子、LEDを採用することができ、また、例えば光電変換デバイスであれば太陽電池やフォトダイオードを採用できる。
【0034】
太陽電池としては、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン、微結晶シリコン薄膜、シリコン化合物(SiC,SiGe)薄膜を単独または組み合わせて積層した薄膜シリコン太陽電池、単結晶シリコンにアモルファスシリコンや微結晶シリコンを薄膜積層したHIT太陽電池、バンドギャップの異なる太陽電池を複数積み重ねた多接合太陽電池、CdTe太陽電池、CIGS太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池を好適に採用できる。
【0035】
図6は、有機EL素子100の断面構造を示す概要図である。有機EL素子100は、基材104の上にITO101、有機層102、アルミ層103を積層配置してなり、アルミ層103、ITO101間に電圧を印加する構造となっている。
【0036】
有機EL素子の発光原理としては、基板の上に透明導電膜(アノード)、有機EL材料、そして金属電極(カソード)の、極めて薄い薄膜を積層させたものに電流を流すことにより、有機EL材料中で電子−正孔の再結合を起こさせ、これにより光を発生させる、というものである。有機EL素子は、軽量、面発光で、薄型化できる。さらに基板を可撓性のあるフィルム基板にすれば屈曲自在となり、壊れにくくすることも可能である。また、有機層の発光する材料を変えることで、発光は白色だけでなく様々な発光色にすることができる。
【0037】
LEDは、半導体を用いて作製されたPN接合において、電極から注入された電子と正孔が、異なったエネルギー帯(伝導帯と価電子帯)を移動し、禁制帯を越えて再結合する際にほぼ禁制帯幅に相当するエネルギーを光として放出するものである。
【0038】
図7(a)は、結晶系太陽電池の断面概要図である。LEDと同様にP型とN型の半導体を接合したPN接合型ダイオードになっている。
【0039】
結晶系太陽電池200は、例えば、反射防止膜201、N型半導体層202、P型半導体層203、P+型半導体層204、裏面電極205を備える。半導体材料としては、シリコン系、化合物系がある。LEDと逆の過程を通じて電子に光のエネルギーを吸収させて光励起し、エネルギーを持った電子を直接的に電力として取り出す。
【0040】
図7(b)は、薄膜系太陽電池の断面図であり、アモルファスシリコンを用いた薄膜シリコン太陽電池の例を示す。ガラス基板250上に、スパッタ法によって透明導電膜251を成膜し、プラズマCVDによりシランガスSiH4を分解して光電変換層252を成膜、その上に裏面電極253をスパッタ法により成膜する。光電変換層はPIN型ダイオードの構造となっており、より詳しくはP層、I層、N層と順次成膜する。I層はシランガスのみをプラズマCVDにより分解して水素化アモルファスシリコン膜a−Si:Hを成膜する。P層はジボランB2H6というP型ドーピングガスをシランと共にプラズマCVDによって分解し形成する。N層は同様にホスフィンPH3というN型ドーピングガスをシランと共にプラズマCVDによって分解し形成する。
【0041】
光電変換層の半導体材料はいろいろなものが開発されており、アモルファスシリコンの他に、Cd,Teの化合物を用いたCdTe太陽電池、Cu,In,Ga,Seの化合物を用いたCIGS系太陽電池、有機半導体を用いた有機薄膜太陽電池等がある。特に、これら薄膜系太陽電池は、光電変換層を低温で形成することができ、上記のガラス基板の替わりにフィルム基板上に作製できるものが多い。これによって、軽く、フレキシブル性を持つ太陽電池を実現でき、様々な応用が考えられている。
【0042】
電子デバイス7には、光を電気に変換する光電変換素子、電気を光に変換する発光素子の他、他の素子を採用することができる。光電変換素子としては、例えば、薄膜フォトダイオードなどを採用することができる。
【0043】
なお、電子デバイス7は、複数の電子デバイスを直列に、並列に、または混在した接続方法で接続した電子デバイスの集合体でもよい。
【0044】
支持接続基板5上には、直列配線11と、並列配線13と、各々の配線に接続されたスイッチ6,15とが備えられている。また、電子デバイス7が、有機EL素子などの電気を光に変換するデバイスの場合は、スイッチ6,15と直列に電源9を有し、電子デバイス7が、太陽電池などの光を電気に変換するデバイスの場合は、スイッチ6,15と直列に二次電池10を有する。
【0045】
電源9や二次電池10は、支持接続基板5の外部に備えてもよい。電源9や二次電池10が、支持接続基板5の外部に備えられている場合、支持接続基板5には、外部の電源9や二次電池10からの電力を導く配線を設ける。また、電源9や二次電池10は、支持接続基板の表裏面のどちらに設けてもよい。
【0046】
例えば、電子デバイス7が太陽電池であって、各々の太陽電池で生じる電圧を合算したい場合には、太陽電池を搭載したパネル3を直列接続する。このように、太陽電池を搭載したパネル3を直列接続することで、二次電池10には太陽電池から電圧値を向上させた起電力が蓄積される。
【0047】
また、例えば、電子デバイス7が、太陽電池であって、各々の太陽電池で生じる電流を合算したい場合には、太陽電池を搭載したパネル3を並列接続する。このように、太陽電池を搭載したパネル3を並列接続することで、二次電池10には太陽電池からの電流値を向上させた起電力が蓄積される。
【0048】
スイッチ6,15は、例えば、プッシュスイッチ、スライドスイッチを採用できるが、スイッチ6,15自体を設けない構成でもよい。また、スイッチ6,15は支持接続基板5の外部に設けても良い。
【0049】
パネル3は、支持接続基板5に装着した状態で、隣り合う他のパネル3と嵌合して、固定され配置される構造となっている。すなわち、互いの凸部31と凹部32とが嵌合することで、位置決めされるようになっている。凸部31と凹部32とが嵌合する形状であれば、各々の形状は問わない。
【0050】
また、パネル3と、支持接続基板5とは、互いに位置が固定されるような構造を有している。
【0051】
図8は、電子デバイス7がLEDの場合の図1のA−A’線に沿って切断した断面図である。
【0052】
支持接続基板5は、支持接続基板5のベース部51、中間層52、直列配線11、並列配線13、保護層53を有する。
【0053】
パネル3は、絶縁体54,56、配線55、電子デバイス7を備える。
【0054】
パネル3のベースである絶縁体54は、支持接続基板5のベース部51と保護層53との間に嵌め込まれる構造となっている。
【0055】
そして、支持接続基板5の並列配線13と、パネル3の配線55とが導通されるようになっている。
【0056】
また、パネル3の向きを変えれば、パネル3の配線55と支持接続基板5の他の直列配線11とが導通されるようになっている。
【0057】
図9は、透光性基板45上に作製された電子デバイス7の概要図である。透光性基板としては、例えば、液晶ディスプレイガラスに使用されているような透光性のガラスや、PET及びPENなどの可撓性を持つフレキシブルな基板を用いることができる。図9における列方向は、電子デバイスが1素子のみの場合、2素子直列の場合、2素子並列の場合をそれぞれ表す。行方向は、回路図、構成図、そしてX−X’断面図の例を示した。
【0058】
回路図で表されているように、一枚の基板内で電子デバイスの素子数を任意に設定できる。また直列、並列の配置も一枚の基板内で任意に設定可能である。
【0059】
図9は、電子デバイス7が有機EL素子などの発光素子、または、アモルファスシリコン太陽電池、有機半導体を光電変換層として使った有機薄膜太陽電池や光センサなどの光電変換素子の場合を表している。何れの場合も、透光性基板45上において、電極40と透明電極43とで、発光層(または光電変換層)42が挟まれた構造をなし、保護層44が形成されている。電極40と透明電極43には引出配線41が接続されている。保護層44は、電子デバイスを電気的(リーク、帯電防止)、環境的(水分や酸化防止)に保護する層であり、蒸着、スパッタ、CVD法などの真空成膜法により形成されるシリコン酸化膜、シリコン窒化膜などのバリア膜、またはガラス、バリアフィルムを接着剤で接着したものであってもよい。また、内部に乾燥剤と乾燥窒素を封入した封止用メタル缶により接着封止したものであってもよい。
【0060】
構成図に見るように、発光層(または光電変換層)42は透光性基板45の面内になるべく大きな面積比で設けられる。透明電極は、例えば、ITO、ZnOなどの無機透明導電膜、またはPEDOT−PSSなどの有機導電膜が好適である。
【0061】
図10は、透光性基板45上に電子デバイス7が作り込まれたパネル3を、支持接続基板5に装着した状態を示す模式図である。図10(a)は、透光性基板45上に電子デバイス7が作り込まれたパネル3の概略図であり、図10(b)は、パネル3を支持接続基板5に装着した状態を表し、図10(c)は、パネル3を逆さまにして、支持接続基板5に装着した状態を表す。電子デバイス7が作り込まれたパネル3への光の入射または、パネル3からの光の出射は、透光性基板45側から行われるが、支持接続基板5のベース部51が透光性である、または窓が開いて光が入射または出射する構造の場合が図10(b)で示され、そうでない場合が図10(c)で示されている。
【0062】
次に、電子デバイスモジュール1を用いた応用について説明する。図11は、電子デバイスモジュール1を用いたブラインド装置300の概要図である。
【0063】
ブラインド装置300は、横型ブラインドであり、スラット301を多数水平に並設させ各スラット301の両端に巻き上げ紐302を結合し、各スラット301を前後に回動自在、及び巻き上げ自在としたものである。
【0064】
ブラインド装置300は、遮光目的で用いられる通常のブラインドの場合と同様に室内側の窓側近傍へ、吊り下げるように設置される。
【0065】
ブラインド装置300では、電子デバイスモジュール1がスラット301として用いられる。すなわち、電子デバイスモジュール1自体に巻き上げ紐を通す穴を形成することで、電子デバイスモジュール1自体がスラット301の役割を果たす。
【0066】
パネル3に搭載される電子デバイス7は、例えば、有機薄膜太陽電池または有機EL素子である。
【0067】
電子デバイス7が太陽電池の場合、スラット301の数に合わせて電子デバイスモジュール1を設け、スラット301毎の電子デバイスモジュール1に搭載した太陽電池の出力を合算するための配線を、巻き上げ紐302に並列して設け、出力をブラインド装置300の外部に取り出しても良い。
【0068】
また、電子デバイス7が有機EL素子の場合、同じく、スラット301の数に合わせて電子デバイスモジュール1を設け、スラット301毎の電子デバイスモジュール1に搭載した有機EL素子へ電力を供給するための配線を、巻き上げ紐302に並列して設け、外部から有機EL素子を制御してもよい。
【0069】
次に、電子デバイスモジュール1を用いた他の応用について説明する。図12は、電子デバイスモジュール1を用いたカーテン装置400の概要図である。
【0070】
カーテン装置400は、ブラインド装置300のスラット301を縦型にした横型ブラインドと実質同じである。
【0071】
スラット401を多数鉛直に並設させ、各スラット401の上端にカーテンレール402を、リング403を通して結合し、各スラット401を左右に自在に移動可能としたものである。この場合、スラット401の上端からリング403、カーテンレール402を通して、外部と接続し、有機EL素子を制御したり、太陽電池から電力を取り出してもよい。各々の機能は、上述のブラインド装置300における機能と同様であるので説明を省略する。
【0072】
なお、図12に示すように、電子デバイスモジュール1を、例えば室内の天井に設ける照明装置500として利用することもできる。この照明装置500では、電子デバイス7に有機EL素子やLED等の発光素子を採用し、これら発光素子毎に指定の電圧または電流で駆動するために並列または直列に配置し、スイッチ15にプッシュスイッチを採用し、使用者がスイッチを操作するものである。
【0073】
以上のように、本実施形態によれば、電子デバイスと、電子デバイスの陽極の出力端と、電子デバイスの陰極の出力端と、を備えた複数のパネルと、複数のパネルの各々が二つの配置状態で装着可能であり、一方の配置状態の場合、前記複数のパネルに搭載された各々の前記電子デバイスが直列接続になるように配線する直列配線と、他方の配置状態の場合、前記複数のパネルに搭載された各々の前記電子デバイスが並列接続になるように配線する並列配線と、を備えた支持接続基板と、を有することで、発光、発電等の電子デバイスを複数接続・設置上重要となる直列接続または並列接続の両方を簡単に選択することができる電子デバイスモジュールを提供することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、パネルは、支持接続基板に装着した状態で、隣り合う他のパネルと嵌合することを可能とする凸部と凹部とを有することで、パネル同士の位置決めを精度よく行う、正確な配線を実現できる電子デバイスモジュールを提供することができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、パネルを構成する基板は、ガラス基板、フィルム基板の両方を採用でき、フレキシブルかリジッドかを問わず選択することができる。
【0076】
また、本実施形態によれば、電子デバイスは、発光デバイス、光電変換デバイスの何れを採用することができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、発光デバイスは、LED、有機エレクトロルミネッセンス素子の何れを採用することができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、光電変換デバイスは、結晶シリコン太陽電池、薄膜シリコン太陽電池、CdTe太陽電池、CIGS太陽電池、有機薄膜太陽電池、または、薄膜フォトダイオードの何れを採用することができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、上記の電子デバイスモジュールを採用することで、光を電気に変換し、または電気を光に変換する機能を有するブラインド装置、カーテン装置を提供することができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、上記の電子デバイスモジュールを採用することで、有機EL素子等の発光素子の直列接続または並列接続の両方を簡単に選択することが可能な照明装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 電子デバイスモジュール
3 パネル
5 支持接続基板
7 電子デバイス
11 直列配線
13 並列配線
31 凸部
32 凹部
100 有機EL素子
200 太陽電池
300 ブラインド装置
400 カーテン装置
500 照明装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光または発電に関する電子デバイスを搭載したパネルを複数接続した電子デバイスモジュール、並びに該電子デバイスモジュールを搭載したブラインド装置、カーテン装置、及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL(Electro−Luminescence)素子、LED(Light Emitting Diode)などを用いた照明装置や、太陽電池などが、省エネルギー化の要望の下、実用形態を意識した鋭意開発がなされている(例えば特許文献1,2,3参照)。
【0003】
特許文献1に記載のブラインド装置においては、ブラインド上に、太陽電池、シート状ポリマー二次電池、または有機EL素子等を具備したシート状面発光体を備えており、ブラインドの面を有効に利用していることが開示されている。
【0004】
特許文献2に記載のブラインド装置においては、ブラインド上に太陽電池を配設し、引出した出力端子を出力リード線とブラインドのラダーコードを兼ねさせていることが開示されている。
【0005】
特許文献3に記載の太陽電池においては、枠体と太陽電池の端子電極を電気的に接続し、その枠体端部に凹部あるいは凸部を形成し嵌合させることによってモジュール相互の機械的、電気的の接続を行っていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−82058号公報
【特許文献2】特開2004−27661号公報
【特許文献3】特開平7−86627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のブラインド装置においては、面発光デバイス、太陽電池、二次電池のシート状の3種類のデバイスが貼り合わせ構造になっていることを開示しているのみであり、実際にそれらを配設する際に必要な配線の接続手段に関しての開示はなされていない。
【0008】
また、特許文献2に記載の太陽電池においては、その太陽電池の接続方法についての開示はされているが、単にリード線で行うものであり、実際に組付を行う際に、煩雑な手間を要する。
【0009】
そして、特許文献3に記載の太陽電池においては、太陽電池に枠体が付けられたモジュールによって電気的接続を一意的な配線で行っているものの、太陽電池の設置上重要となる直列接続または並列接続の両方を選択して設置することができない。
【0010】
本発明は、発光、発電等の電子デバイスを複数接続・設置上重要となる直列接続または並列接続の両方を簡単に選択することができる電子デバイスモジュール、並びに該電子デバイスモジュールを用いたブラインド装置、カーテン装置、及び照明装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の目的は、下記に記載する発明により達成される。
【0012】
1.電子デバイスと、該電子デバイスの陽極の出力端と、該電子デバイスの陰極の出力端と、を備えた複数のパネルと、
前記複数のパネルの各々が二つの配置状態で装着可能であり、
一方の配置状態の場合、前記複数のパネルに搭載された各々の前記電子デバイスが直列接続になるように配線する直列配線と、
他方の配置状態の場合、前記複数のパネルに搭載された各々の前記電子デバイスが並列接続になるように配線する並列配線と、
を備えた支持接続基板と、
を有することを特徴とする電子デバイスモジュール。
【0013】
2.前記パネルは、前記支持接続基板に装着した状態で、隣り合う他の前記パネルと嵌合することを可能とする凸部と凹部とを有することを特徴とする前記1記載の電子デバイスモジュール。
【0014】
3.前記パネルは、フィルム基板またはガラス基板を有することを特徴とする前記1または2に記載の電子デバイスモジュール。
【0015】
4.前記電子デバイスは、発光デバイス、光電変換デバイスの何れかであることを特徴とする前記1から3の何れか一項に記載の電子デバイスモジュール。
【0016】
5.前記発光デバイスは、LED、有機エレクトロルミネッセンス素子の何れかであることを特徴とする前記4に記載の電子デバイスモジュール。
【0017】
6.前記光電変換デバイスは、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、薄膜シリコン太陽電池、HIT太陽電池、多接合太陽電池、CdTe太陽電池、CIGS太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池、または、フォトダイオードの何れかであることを特徴とする前記4に記載の電子デバイスモジュール。
【0018】
7.前記1から6の何れかに記載の電子デバイスモジュールを備えたことを特徴とするブラインド装置。
【0019】
8.前記1から6の何れかに記載の電子デバイスモジュールを備えたことを特徴とするカーテン装置。
【0020】
9.前記1から6の何れかに記載の電子デバイスモジュールを備えたことを特徴とする照明装置。
【発明の効果】
【0021】
発光、発電等の電子デバイスを複数接続・設置上重要となる直列接続または並列接続の両方を簡単に選択することができる電子デバイスモジュール、並びに該電子デバイスモジュールを用いたブラインド装置、カーテン装置、及び照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る電子デバイスモジュール1の概要図の一例である。
【図2】本実施形態に係る電子デバイスモジュール1の概要図の他の例である。
【図3】パネル3と支持接続基板5の配線図であり、図3(a)が支持接続基板5の概要図の概要図、図3(b)がパネル3である。
【図4】並列接続で1つおきに電子デバイス搭載のパネルが配置・接続された電子デバイスモジュール1の概要図である。
【図5】直列接続で1つおきに電子デバイス搭載のパネルが配置・接続された電子デバイスモジュール1の概要図である。
【図6】有機EL素子100の断面構造を示す概要図である。
【図7】太陽電池の断面構造を示す概要図である。
【図8】図1をA−A’線に沿って切断した縦断図である。
【図9】透光性基板45上に作製された電子デバイス7の概要図である。
【図10】電子デバイス7が作り込まれたガラス基板45(パネル)を、支持接続基板5に装着した状態を示す模式図である。
【図11】電子デバイスモジュール1を用いたブラインド装置300の概要図である。
【図12】電子デバイスモジュール1を用いたカーテン装置400の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施形態を図面により説明するが、本発明は以下に説明する実施形態に限られるものではない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0024】
図1は、本実施形態に係る電子デバイスモジュール1の概要図の一例である。図2は、本実施形態に係る電子デバイスモジュール1の概要図の他の例である。図1と図2の相違は、支持接続基板5に対する向きを異ならせてパネル3を装着した点である。つまり、図1では、並列配線13を用いて並列接続されるように支持接続基板5にパネル3を装着している。一方、図2では、直列配線11を用いて直列接続されるように支持接続基板5にパネル3を装着している。
【0025】
電子デバイスモジュール1は、電子デバイス7を搭載した複数のパネル3と、支持接続基板5とを備える。なお、パネル3の基板及び支持接続基板5は、ガラスや金属のような曲げることが難しい剛性の大きい材料からなる基板で構成されても良く、可撓性フィルムのように曲げることができる材料からなる基板で構成されても良い。
【0026】
図3は、パネル3と支持接続基板5の配線図であり、図3(a)が支持接続基板5の概要図、図3(b)がパネル3の概要図である。
【0027】
複数のパネル3が支持接続基板5に着脱可能であり、かつ、支持接続基板5に対する向きを異ならせてパネル3を装着可能なように、パネル3と支持接続基板5の構成が設定されている。支持接続基盤5にパネル3を装着後、支持接続基盤5からパネル3を取り外せないように、支持接続基盤5とパネル3との装着部分を構成してもよいし、取り外せるように構成してもよい。
【0028】
パネル3には、電子デバイス7が搭載され、電子デバイスの陽極の出力端と陰極の出力端とが、パネル3の基板の一端まで形成されている。各出力端は、外部の端子と導通可能なように形成されている。詳細は後述するが、各出力端は、例えば、パネル3に搭載している電子デバイス7を保護する保護層が設けられており、この保護層は基板の端部の一部で各出力端を露出させた構造となっている。このように出力端を露出させた構造の他に、出力端に接続端子が設けられていても良い。パネル3は図3(b)で示すように、パネル3に搭載される電子デバイス7の陽極と陰極がどちらかわかるように、例えば凸部31と凹部32が形成されている。なお、電子デバイス7を搭載するとは、パネル3の基板上に、電子デバイス7を作り込むこと、または実装することを言う。ここで、パネル3の基板上に、電子デバイス7を作り込むとは、パネル3の基板上に、適当な半導体プロセスにより、図6,7で示す各層を成膜、及び図9で示すパターンにパターニングして作製することを言う。
【0029】
パネル3の基板が、例えばフィルム基板の場合、厚み100μmのPETまたはPENフィルム上に直接電子デバイスを形成し、さらにその上に印刷技術等で金属を配線として形成した構造を有する。さらにその上に引き出し線を形成しても良い。配線、引き出し線はAl,Cu,Agなど、低抵抗の金属を用いることができる。そして、電子デバイスと配線が形成されたフィルム基板を、電気的な絶縁性を得るためや、水分、酸化防止のために、バリアフィルムで両面から封止する構成を取る。このようにフィルム基板を有するパネル3は、何れにしても薄いことからフレキシブルに変形する可撓性を有する。
【0030】
パネル3が支持接続基板5に取付けられると、パネル3の陽極の端子と陰極の端子とが、支持接続基板5に備えられた直列配線11または並列配線13に導通可能なように配線位置(配置状態)が設定されている。
【0031】
そして、複数のパネル3が、直列配線11または並列配線13の何れか一方に導通するように支持接続基板5に取り付けられると、複数のパネル3の全てが直列接続、または並列接続されることとなる。
【0032】
さらに、図3(c)、(d)のように、電子デバイスの搭載されていないダミーパネルや、配線のみ搭載されたダミーパネルを用いれば、図3に示す電子デバイスの搭載されているパネルは連続で支持接続基板に配置・接続することなく、任意の位置で配置・接続可能である。例えば図4では、並列接続で1つおきに電子デバイスの搭載されているパネルを配置・接続する場合を示している。また、図5では、直列接続で1つおきに電子デバイスの搭載されているパネルを配置・接続する場合を示している。何れの場合も、パネルとダミーパネルの配置・接続の設定はこの例の限りではなく、任意に設定可能である。
【0033】
電子デバイス7は、例えば、発光デバイスであれば有機EL素子、LEDを採用することができ、また、例えば光電変換デバイスであれば太陽電池やフォトダイオードを採用できる。
【0034】
太陽電池としては、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン、微結晶シリコン薄膜、シリコン化合物(SiC,SiGe)薄膜を単独または組み合わせて積層した薄膜シリコン太陽電池、単結晶シリコンにアモルファスシリコンや微結晶シリコンを薄膜積層したHIT太陽電池、バンドギャップの異なる太陽電池を複数積み重ねた多接合太陽電池、CdTe太陽電池、CIGS太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池を好適に採用できる。
【0035】
図6は、有機EL素子100の断面構造を示す概要図である。有機EL素子100は、基材104の上にITO101、有機層102、アルミ層103を積層配置してなり、アルミ層103、ITO101間に電圧を印加する構造となっている。
【0036】
有機EL素子の発光原理としては、基板の上に透明導電膜(アノード)、有機EL材料、そして金属電極(カソード)の、極めて薄い薄膜を積層させたものに電流を流すことにより、有機EL材料中で電子−正孔の再結合を起こさせ、これにより光を発生させる、というものである。有機EL素子は、軽量、面発光で、薄型化できる。さらに基板を可撓性のあるフィルム基板にすれば屈曲自在となり、壊れにくくすることも可能である。また、有機層の発光する材料を変えることで、発光は白色だけでなく様々な発光色にすることができる。
【0037】
LEDは、半導体を用いて作製されたPN接合において、電極から注入された電子と正孔が、異なったエネルギー帯(伝導帯と価電子帯)を移動し、禁制帯を越えて再結合する際にほぼ禁制帯幅に相当するエネルギーを光として放出するものである。
【0038】
図7(a)は、結晶系太陽電池の断面概要図である。LEDと同様にP型とN型の半導体を接合したPN接合型ダイオードになっている。
【0039】
結晶系太陽電池200は、例えば、反射防止膜201、N型半導体層202、P型半導体層203、P+型半導体層204、裏面電極205を備える。半導体材料としては、シリコン系、化合物系がある。LEDと逆の過程を通じて電子に光のエネルギーを吸収させて光励起し、エネルギーを持った電子を直接的に電力として取り出す。
【0040】
図7(b)は、薄膜系太陽電池の断面図であり、アモルファスシリコンを用いた薄膜シリコン太陽電池の例を示す。ガラス基板250上に、スパッタ法によって透明導電膜251を成膜し、プラズマCVDによりシランガスSiH4を分解して光電変換層252を成膜、その上に裏面電極253をスパッタ法により成膜する。光電変換層はPIN型ダイオードの構造となっており、より詳しくはP層、I層、N層と順次成膜する。I層はシランガスのみをプラズマCVDにより分解して水素化アモルファスシリコン膜a−Si:Hを成膜する。P層はジボランB2H6というP型ドーピングガスをシランと共にプラズマCVDによって分解し形成する。N層は同様にホスフィンPH3というN型ドーピングガスをシランと共にプラズマCVDによって分解し形成する。
【0041】
光電変換層の半導体材料はいろいろなものが開発されており、アモルファスシリコンの他に、Cd,Teの化合物を用いたCdTe太陽電池、Cu,In,Ga,Seの化合物を用いたCIGS系太陽電池、有機半導体を用いた有機薄膜太陽電池等がある。特に、これら薄膜系太陽電池は、光電変換層を低温で形成することができ、上記のガラス基板の替わりにフィルム基板上に作製できるものが多い。これによって、軽く、フレキシブル性を持つ太陽電池を実現でき、様々な応用が考えられている。
【0042】
電子デバイス7には、光を電気に変換する光電変換素子、電気を光に変換する発光素子の他、他の素子を採用することができる。光電変換素子としては、例えば、薄膜フォトダイオードなどを採用することができる。
【0043】
なお、電子デバイス7は、複数の電子デバイスを直列に、並列に、または混在した接続方法で接続した電子デバイスの集合体でもよい。
【0044】
支持接続基板5上には、直列配線11と、並列配線13と、各々の配線に接続されたスイッチ6,15とが備えられている。また、電子デバイス7が、有機EL素子などの電気を光に変換するデバイスの場合は、スイッチ6,15と直列に電源9を有し、電子デバイス7が、太陽電池などの光を電気に変換するデバイスの場合は、スイッチ6,15と直列に二次電池10を有する。
【0045】
電源9や二次電池10は、支持接続基板5の外部に備えてもよい。電源9や二次電池10が、支持接続基板5の外部に備えられている場合、支持接続基板5には、外部の電源9や二次電池10からの電力を導く配線を設ける。また、電源9や二次電池10は、支持接続基板の表裏面のどちらに設けてもよい。
【0046】
例えば、電子デバイス7が太陽電池であって、各々の太陽電池で生じる電圧を合算したい場合には、太陽電池を搭載したパネル3を直列接続する。このように、太陽電池を搭載したパネル3を直列接続することで、二次電池10には太陽電池から電圧値を向上させた起電力が蓄積される。
【0047】
また、例えば、電子デバイス7が、太陽電池であって、各々の太陽電池で生じる電流を合算したい場合には、太陽電池を搭載したパネル3を並列接続する。このように、太陽電池を搭載したパネル3を並列接続することで、二次電池10には太陽電池からの電流値を向上させた起電力が蓄積される。
【0048】
スイッチ6,15は、例えば、プッシュスイッチ、スライドスイッチを採用できるが、スイッチ6,15自体を設けない構成でもよい。また、スイッチ6,15は支持接続基板5の外部に設けても良い。
【0049】
パネル3は、支持接続基板5に装着した状態で、隣り合う他のパネル3と嵌合して、固定され配置される構造となっている。すなわち、互いの凸部31と凹部32とが嵌合することで、位置決めされるようになっている。凸部31と凹部32とが嵌合する形状であれば、各々の形状は問わない。
【0050】
また、パネル3と、支持接続基板5とは、互いに位置が固定されるような構造を有している。
【0051】
図8は、電子デバイス7がLEDの場合の図1のA−A’線に沿って切断した断面図である。
【0052】
支持接続基板5は、支持接続基板5のベース部51、中間層52、直列配線11、並列配線13、保護層53を有する。
【0053】
パネル3は、絶縁体54,56、配線55、電子デバイス7を備える。
【0054】
パネル3のベースである絶縁体54は、支持接続基板5のベース部51と保護層53との間に嵌め込まれる構造となっている。
【0055】
そして、支持接続基板5の並列配線13と、パネル3の配線55とが導通されるようになっている。
【0056】
また、パネル3の向きを変えれば、パネル3の配線55と支持接続基板5の他の直列配線11とが導通されるようになっている。
【0057】
図9は、透光性基板45上に作製された電子デバイス7の概要図である。透光性基板としては、例えば、液晶ディスプレイガラスに使用されているような透光性のガラスや、PET及びPENなどの可撓性を持つフレキシブルな基板を用いることができる。図9における列方向は、電子デバイスが1素子のみの場合、2素子直列の場合、2素子並列の場合をそれぞれ表す。行方向は、回路図、構成図、そしてX−X’断面図の例を示した。
【0058】
回路図で表されているように、一枚の基板内で電子デバイスの素子数を任意に設定できる。また直列、並列の配置も一枚の基板内で任意に設定可能である。
【0059】
図9は、電子デバイス7が有機EL素子などの発光素子、または、アモルファスシリコン太陽電池、有機半導体を光電変換層として使った有機薄膜太陽電池や光センサなどの光電変換素子の場合を表している。何れの場合も、透光性基板45上において、電極40と透明電極43とで、発光層(または光電変換層)42が挟まれた構造をなし、保護層44が形成されている。電極40と透明電極43には引出配線41が接続されている。保護層44は、電子デバイスを電気的(リーク、帯電防止)、環境的(水分や酸化防止)に保護する層であり、蒸着、スパッタ、CVD法などの真空成膜法により形成されるシリコン酸化膜、シリコン窒化膜などのバリア膜、またはガラス、バリアフィルムを接着剤で接着したものであってもよい。また、内部に乾燥剤と乾燥窒素を封入した封止用メタル缶により接着封止したものであってもよい。
【0060】
構成図に見るように、発光層(または光電変換層)42は透光性基板45の面内になるべく大きな面積比で設けられる。透明電極は、例えば、ITO、ZnOなどの無機透明導電膜、またはPEDOT−PSSなどの有機導電膜が好適である。
【0061】
図10は、透光性基板45上に電子デバイス7が作り込まれたパネル3を、支持接続基板5に装着した状態を示す模式図である。図10(a)は、透光性基板45上に電子デバイス7が作り込まれたパネル3の概略図であり、図10(b)は、パネル3を支持接続基板5に装着した状態を表し、図10(c)は、パネル3を逆さまにして、支持接続基板5に装着した状態を表す。電子デバイス7が作り込まれたパネル3への光の入射または、パネル3からの光の出射は、透光性基板45側から行われるが、支持接続基板5のベース部51が透光性である、または窓が開いて光が入射または出射する構造の場合が図10(b)で示され、そうでない場合が図10(c)で示されている。
【0062】
次に、電子デバイスモジュール1を用いた応用について説明する。図11は、電子デバイスモジュール1を用いたブラインド装置300の概要図である。
【0063】
ブラインド装置300は、横型ブラインドであり、スラット301を多数水平に並設させ各スラット301の両端に巻き上げ紐302を結合し、各スラット301を前後に回動自在、及び巻き上げ自在としたものである。
【0064】
ブラインド装置300は、遮光目的で用いられる通常のブラインドの場合と同様に室内側の窓側近傍へ、吊り下げるように設置される。
【0065】
ブラインド装置300では、電子デバイスモジュール1がスラット301として用いられる。すなわち、電子デバイスモジュール1自体に巻き上げ紐を通す穴を形成することで、電子デバイスモジュール1自体がスラット301の役割を果たす。
【0066】
パネル3に搭載される電子デバイス7は、例えば、有機薄膜太陽電池または有機EL素子である。
【0067】
電子デバイス7が太陽電池の場合、スラット301の数に合わせて電子デバイスモジュール1を設け、スラット301毎の電子デバイスモジュール1に搭載した太陽電池の出力を合算するための配線を、巻き上げ紐302に並列して設け、出力をブラインド装置300の外部に取り出しても良い。
【0068】
また、電子デバイス7が有機EL素子の場合、同じく、スラット301の数に合わせて電子デバイスモジュール1を設け、スラット301毎の電子デバイスモジュール1に搭載した有機EL素子へ電力を供給するための配線を、巻き上げ紐302に並列して設け、外部から有機EL素子を制御してもよい。
【0069】
次に、電子デバイスモジュール1を用いた他の応用について説明する。図12は、電子デバイスモジュール1を用いたカーテン装置400の概要図である。
【0070】
カーテン装置400は、ブラインド装置300のスラット301を縦型にした横型ブラインドと実質同じである。
【0071】
スラット401を多数鉛直に並設させ、各スラット401の上端にカーテンレール402を、リング403を通して結合し、各スラット401を左右に自在に移動可能としたものである。この場合、スラット401の上端からリング403、カーテンレール402を通して、外部と接続し、有機EL素子を制御したり、太陽電池から電力を取り出してもよい。各々の機能は、上述のブラインド装置300における機能と同様であるので説明を省略する。
【0072】
なお、図12に示すように、電子デバイスモジュール1を、例えば室内の天井に設ける照明装置500として利用することもできる。この照明装置500では、電子デバイス7に有機EL素子やLED等の発光素子を採用し、これら発光素子毎に指定の電圧または電流で駆動するために並列または直列に配置し、スイッチ15にプッシュスイッチを採用し、使用者がスイッチを操作するものである。
【0073】
以上のように、本実施形態によれば、電子デバイスと、電子デバイスの陽極の出力端と、電子デバイスの陰極の出力端と、を備えた複数のパネルと、複数のパネルの各々が二つの配置状態で装着可能であり、一方の配置状態の場合、前記複数のパネルに搭載された各々の前記電子デバイスが直列接続になるように配線する直列配線と、他方の配置状態の場合、前記複数のパネルに搭載された各々の前記電子デバイスが並列接続になるように配線する並列配線と、を備えた支持接続基板と、を有することで、発光、発電等の電子デバイスを複数接続・設置上重要となる直列接続または並列接続の両方を簡単に選択することができる電子デバイスモジュールを提供することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、パネルは、支持接続基板に装着した状態で、隣り合う他のパネルと嵌合することを可能とする凸部と凹部とを有することで、パネル同士の位置決めを精度よく行う、正確な配線を実現できる電子デバイスモジュールを提供することができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、パネルを構成する基板は、ガラス基板、フィルム基板の両方を採用でき、フレキシブルかリジッドかを問わず選択することができる。
【0076】
また、本実施形態によれば、電子デバイスは、発光デバイス、光電変換デバイスの何れを採用することができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、発光デバイスは、LED、有機エレクトロルミネッセンス素子の何れを採用することができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、光電変換デバイスは、結晶シリコン太陽電池、薄膜シリコン太陽電池、CdTe太陽電池、CIGS太陽電池、有機薄膜太陽電池、または、薄膜フォトダイオードの何れを採用することができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、上記の電子デバイスモジュールを採用することで、光を電気に変換し、または電気を光に変換する機能を有するブラインド装置、カーテン装置を提供することができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、上記の電子デバイスモジュールを採用することで、有機EL素子等の発光素子の直列接続または並列接続の両方を簡単に選択することが可能な照明装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 電子デバイスモジュール
3 パネル
5 支持接続基板
7 電子デバイス
11 直列配線
13 並列配線
31 凸部
32 凹部
100 有機EL素子
200 太陽電池
300 ブラインド装置
400 カーテン装置
500 照明装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスと、該電子デバイスの陽極の出力端と、該電子デバイスの陰極の出力端と、を備えた複数のパネルと、
前記複数のパネルの各々が二つの配置状態で装着可能であり、
一方の配置状態の場合、前記複数のパネルに搭載された各々の前記電子デバイスが直列接続になるように配線する直列配線と、
他方の配置状態の場合、前記複数のパネルに搭載された各々の前記電子デバイスが並列接続になるように配線する並列配線と、
を備えた支持接続基板と、
を有することを特徴とする電子デバイスモジュール。
【請求項2】
前記パネルは、前記支持接続基板に装着した状態で、隣り合う他の前記パネルと嵌合することを可能とする凸部と凹部とを有することを特徴とする請求項1記載の電子デバイスモジュール。
【請求項3】
前記パネルは、フィルム基板またはガラス基板を有することを特徴とする請求項1または2に記載の電子デバイスモジュール。
【請求項4】
前記電子デバイスは、発光デバイス、光電変換デバイスの何れかであることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の電子デバイスモジュール。
【請求項5】
前記発光デバイスは、LED、有機エレクトロルミネッセンス素子の何れかであることを特徴とする請求項4に記載の電子デバイスモジュール。
【請求項6】
前記光電変換デバイスは、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、薄膜シリコン太陽電池、HIT太陽電池、多接合太陽電池、CdTe太陽電池、CIGS太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池、または、フォトダイオードの何れかであることを特徴とする請求項4に記載の電子デバイスモジュール。
【請求項7】
請求項1から6の何れかに記載の電子デバイスモジュールを備えたことを特徴とするブラインド装置。
【請求項8】
請求項1から6の何れかに記載の電子デバイスモジュールを備えたことを特徴とするカーテン装置。
【請求項9】
請求項1から6の何れかに記載の電子デバイスモジュールを備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項1】
電子デバイスと、該電子デバイスの陽極の出力端と、該電子デバイスの陰極の出力端と、を備えた複数のパネルと、
前記複数のパネルの各々が二つの配置状態で装着可能であり、
一方の配置状態の場合、前記複数のパネルに搭載された各々の前記電子デバイスが直列接続になるように配線する直列配線と、
他方の配置状態の場合、前記複数のパネルに搭載された各々の前記電子デバイスが並列接続になるように配線する並列配線と、
を備えた支持接続基板と、
を有することを特徴とする電子デバイスモジュール。
【請求項2】
前記パネルは、前記支持接続基板に装着した状態で、隣り合う他の前記パネルと嵌合することを可能とする凸部と凹部とを有することを特徴とする請求項1記載の電子デバイスモジュール。
【請求項3】
前記パネルは、フィルム基板またはガラス基板を有することを特徴とする請求項1または2に記載の電子デバイスモジュール。
【請求項4】
前記電子デバイスは、発光デバイス、光電変換デバイスの何れかであることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の電子デバイスモジュール。
【請求項5】
前記発光デバイスは、LED、有機エレクトロルミネッセンス素子の何れかであることを特徴とする請求項4に記載の電子デバイスモジュール。
【請求項6】
前記光電変換デバイスは、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、薄膜シリコン太陽電池、HIT太陽電池、多接合太陽電池、CdTe太陽電池、CIGS太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池、または、フォトダイオードの何れかであることを特徴とする請求項4に記載の電子デバイスモジュール。
【請求項7】
請求項1から6の何れかに記載の電子デバイスモジュールを備えたことを特徴とするブラインド装置。
【請求項8】
請求項1から6の何れかに記載の電子デバイスモジュールを備えたことを特徴とするカーテン装置。
【請求項9】
請求項1から6の何れかに記載の電子デバイスモジュールを備えたことを特徴とする照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−4008(P2012−4008A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139128(P2010−139128)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
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