説明

電子デバイス又は他の物品上のコーティングに使用するハイブリッド層

有機デバイス本体を含む電子デバイスを保護するための方法。この方法は化学気相成長法によって蒸着されたハイブリッド層の使用を伴う。ハイブリッド層はポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を含み、ポリマー材料の非ポリマー材料に対する重量比は95:5〜5:95の範囲であり、ポリマー材料及び非ポリマー材料は同一の前駆体物質原料から形成される。また、環境汚染物の横方拡散を防ぐための技術が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2008年5月7日に出願された米国仮特許出願第61/051,265号明細書の利益を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に援用される。
【0002】
政府の権利
37C.F.R.§401.14(f)(4)で求められた特定の言語の使用:本発明は、米国陸軍研究所によって与えられた認可番号W911QX−06−C−0017による政府助成によってなされた。政府は、本発明においてある種の権利を有する。
【0003】
共同研究契約
権利請求されている発明は、産学共同研究契約の当事者であるプリンストン大学、南カリフォルニア大学、Universal Display Corporationのうちの1つまたは複数を代表して、及び/又は該当事者の1つまたは複数と関わってなされた。本契約は、権利請求されている発明がなされた日及びそれ以前に効力が発生しており、権利請求されている発明は本契約の範囲内で取り組んだ活動の結果として行われた。
【0004】
本発明は、電子デバイス用のバリアコーティングに関する。
【背景技術】
【0005】
有機発光デバイス(OLED)等の有機電子デバイスは、水蒸気又は酸素に触れたときに劣化しやすい。水蒸気又は酸素にOLEDが晒されるのを少なくするためにOLEDを覆うバリアコーティングは、デバイスの寿命及び性能を向上させるのに役立つ可能性がある。食品の包装での使用に成功を収めている酸化シリコン、窒化シリコン、又は酸化アルミニウムの膜が、OLEDに対するバリアコーティングとして使用されると考えられている。但し、こうした無機膜は、膜を通して水蒸気及び酸素を拡散させてしまう微視的欠陥を内包する傾向がある。場合によっては、この欠陥が脆性薄膜のクラックとして開裂する。このレベルの水蒸気及び酸素の拡散は食品にとっては許容し得るものであるが、OLEDにとっては許容できない。こうした問題に対処するため、無機層とポリマー層を交互に使用する多層バリアコーティングがOLEDに対して試験され、水蒸気及び酸素の侵入に対して高い耐性を有することが判明している。しかし、このような多層コーティングは複雑さ及びコストの面で問題を有する。したがって、OLEDの保護に使用するのに適したバリアコーティングを形成する他の方法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/051,265号明細書
【特許文献2】米国特許第6,597,111号明細書
【特許文献3】米国特許第7,187,119号明細書
【特許文献4】米国特許第7,002,294号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本発明は表面上にコーティングを形成する方法を提供する。この方法は、ポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を備えたハイブリッド層を、表面上に堆積する工程を含む。ハイブリッド層は単相又は多相を備えてよい。
【0008】
本明細書において使用される「非ポリマー」という用語は、1つの明確な分子量で、明確な1つの化学式を有する分子から形成された材料を示す。「非ポリマー」分子は、著しく大きな分子量を有することが可能である。一部の状況では、非ポリマー分子は繰り返しユニットを含んでよい。本明細書において使用される「ポリマー」という用語は、共有結合している繰り返しサブユニットを有する分子から形成された材料であり、重合反応がそれぞれの分子に対して異なる数の繰り返しユニットをもたらすことにより分子毎に異なる分子量を有する分子から形成された材料を示す。ポリマーは、ホモポリマー、及びブロック、グラフト、ランダム又は交互コポリマー等のコポリマー、並びにそれらの混合物及び改質物を含むが、これに限定されるものではない。ポリマーは、炭素又はシリコンのポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0009】
本明細書で使用される「ポリマー材料と非ポリマー材料との混合物」は、当業者が、純ポリマーでも純非ポリマーでもないと理解する組成を示す。「混合物」という用語は、(例えば、もちろんポリマー材料の隙間に存在し得る)付随的な量の非ポリマー材料を含むポリマー材料であるが、当業者が、それでもなお、純ポリマーである考え得るいずれのポリマー材料も除外することを意図したものである。同様に、これは、付随的な量のポリマー材料を含む非ポリマー材料であるが、当業者が、それでもなお、純非ポリマーであると考え得るいずれの非ポリマー材料も除外することを意図したものである。場合によっては、ハイブリッド層におけるポリマー材料と非ポリマー材料との重量比が、95:5〜5:95の範囲であり、好ましくは、90:10〜10:90の範囲であり、さらに好ましくは、25:75〜10:90の範囲である。
【0010】
層のポリマー/非ポリマー組成は、水滴のぬれ接触角度、IR吸収、硬度、及び柔軟性を含む、様々な手法を使用して決定され得る。場合によっては、ハイブリッド層は30°〜85°の範囲のぬれ接触角度を有し、好ましくは30°〜60°の範囲、更に好ましくは36°〜60°の範囲である。成膜されたままの膜の表面で決定された場合、ぬれ接触角は、組成の尺度であることに留意されたい。ぬれ接触角は成膜後の処理によって大きく変化する可能性があるので、このような処理の後の測定は、層の組成を正確に示さない場合もある。これらのぬれ接触角は、有機シリコン前駆体から形成される広範囲の層に適用できると考えられている。場合によっては、ハイブリッド層は、3〜20GPaの範囲の、好ましくは10〜18GPaの範囲のナノインデンテーション硬度を有する。場合によっては、ハイブリッド層は0.1nm〜10nmの範囲の、好ましくは0.2nm〜0.35nmの範囲の表面粗度(二乗平均平方根)を有する。場合によっては、ハイブリッド層が50μmの厚さのポリイミド箔基板上に4μmの厚さの層として堆積された場合、ハイブリッド層は、0.2%の引っ張り歪み(ε)、或いは0.1%の引っ張り歪み(ε)における直径1インチのロールでの少なくとも55,000のローリングサイクルの後においても微細構造に関する変化が観察されないという十分な柔軟性を有する。場合によっては、ハイブリッド層は、少なくとも0.35%の引っ張り歪み(ε)(当業者が、通常、4μmの純酸化シリコン層にクラックが生じると考える引っ張り歪みレベル)においてもクラックが現われない十分な柔軟性を有する。
【0011】
「混合物」という用語は、単相を有する組成物及び多相を有する組成物を含むことを意図する。したがって、「混合物」は、ポリマーと非ポリマー層が順次に交互に堆積したものを含まない。言い換えると、「混合物」とみなされるためには、同じ反応条件及び/又は同じ時間に層が蒸着されなければならない。
【0012】
ハイブリッド層は、前駆体物質の単一の原料を使用した化学気相成長法によって形成される。本明細書において、「前駆体物質の単一原料」とは、反応ガスの有無に関係なく、前駆体物質がCVDにより堆積されたときにポリマー材料と非ポリマー材料の両方を形成するために必要なあらゆる前駆体物質を提供する原料を指す。これは、ある前駆体物質を使用してポリマー材料が形成され、別の前駆体物質を使用して非ポリマー材料が形成される方法を除外するためのものである。前駆体物質の単一原料を使用することで、堆積プロセスが簡易化される。例えば、前駆体物質の単一原料は、前駆体物質の流れを分離する必要性、及び分離した流れを提供し制御するという付随する必要性をなくす。
【0013】
前駆体物質は単一の化合物であっても、又は化合物の混合物であってもよい。前駆体物質が化合物の混合物である場合、場合によっては、その混合物の異なる化合物それぞれが単独で独立して前駆体物質としての役割を果たすことができる。例えば、前駆体物質はヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)とジメチルシロキサン(DMSO)の混合物であってよい。
【0014】
場合によっては、プラズマCVD(PE−CVD)をハイブリッド層の堆積に使用し得る。低温堆積、均一なコーティング形成、及び制御可能な工程パラメータ等、様々な理由によりPE−CVDが好まれ得る。RFエネルギーを使用してプラズマを生成するもの等、本発明での使用に適した様々なPE−CVD工程が当技術分野において知られている。
【0015】
前駆体物質とは、化学気相成長法によって堆積された場合に、ポリマー材料と非ポリマー材料の両方を形成することが可能な材料である。こうした様々な前駆体物質が本発明での使用に適し、その様々な特性から選択される。例えば、前駆体物質は、化学元素のその含量、化学元素の化学量論比、及び/又はCVD下で形成されるポリマー材料と非ポリマー材料によって選択されてよい。例えば、シロキサン等の有機シリコン化合物が、前駆体物質としての使用に適した化合物の類である。シロキサン化合物の代表例として、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)及びジメチルシロキサン(DMSO)が挙げられる。CVDによって堆積されたときに、こうしたシロキサン化合物は、シリコーンポリマー等のポリマー材料と酸化シリコン等の非ポリマー材料を形成することができる。また、コスト、非毒性、取扱特性、室温において液相を維持する能力、揮発度、分子量等のその他の様々な特性により、前駆体物質を選択してもよい。
【0016】
前駆体物質としての使用に適した他の有機シリコン化合物としては、メチルシラン、ジメチルシラン、ビニルトリメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、エチルシラン、ジシラノメタン、ビス(メチルシラノ)メタン、1,2−ジシラノエタン、1,2−ビス(メチルシラノ)エタン、2,2−ジシラノプロパン、1,3,5−トリシラノ−2,4,6−トリメチレン、及びこれらの化合物のフッ素化誘導体が挙げられる。前駆体物質としての使用に適したフェニル基含有の有機シリコン化合物としては、ジメチルフェニルシラン及びジフェニルメチルシランが挙げられる。前駆体物質としての使用に適した酸素含有の有機シリコン化合物としては、ジメチルジメトキシシラン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(シラノメチレン)ジシロキサン、ビス(1−メチルジシロキサニル)メタン、2,2−ビス(1−メチルジシロキサニル)プロパン、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、2,4,6,8,10−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7−テトラシラノ−2,6−ジオキシ−4,8−ジメチレン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメトキシジシロキサン、及びこれらの化合物のフッ素化誘導体が挙げられる。前駆体物質としての使用に適した窒素含有の有機シリコン化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン等のシラザン、ジメチルビス(N−メチルアセトアミド)シラン、ジメチルビス−(N−エチルアセトアミド)シラン、メチルビニルビス(N−メチルアセトアミド)シラン、メチルビニルビス(N−ブチルアセトアミド)シラン、メチルトリス(N−フェニルアセトアミド)シラン、ビニルトリス(N−エチルアセトアミド)シラン、テトラキス(N−メチルアセトアミド)シラン、ジフェニルビス(ジエチルアミノキシ)シラン、メチルトリス(ジエチルアミノキシ)シラン、及びビス(トリメチルシリル)カルボジイミドが挙げられる。
【0017】
CVDによって堆積された場合、前駆体物質が、前駆体物質の種類、任意の反応ガスの存在、及び他の反応条件によって決まる様々な量の様々な種類のポリマー材料を形成し得る。ポリマー材料は、無機であっても有機であってもよい。例えば、前駆体物質として有機シリコン化合物が使用される場合、堆積されたハイブリッド層は、ポリシロキサン、ポリカルボシラン、及びポリシランを形成するためのSi−O結合、Si−C結合、又はSi−O−C結合のポリマー鎖、及び有機ポリマーを含み得る。
【0018】
CVDによって堆積された場合、前駆体物質は、前駆体物質の種類、任意の反応ガスの存在、及び他の反応条件によって決まる様々な量の様々な種類の非ポリマー材料を形成し得る。非ポリマー材料は無機であっても有機であってもよい。例えば、酸素含有反応ガスと組み合わせて、前駆体物質として有機シリコン化合物が使用される場合、非ポリマー材料が、SiO、SiO及び混合原子価酸化物SiOのような酸化シリコンを含んでよい。窒素含有反応ガスと共に堆積された場合、非ポリマー材料が、窒化シリコン(SiN)を含んでよい。形成され得る他の非ポリマー材料は、シリコンオキシカーバイド及び酸窒化シリコンを含んでよい。
【0019】
PE−CVDを使用する場合、前駆体物質は、PE−CVDプロセスで前駆体物質と反応する反応ガスとともに使用されてよい。PE−CVDでの反応ガスの使用は当技術分野では周知であり、酸素含有ガス(O、オゾン、水等)及び窒素含有ガス(アンモニア等)等、様々な反応ガスが本発明での使用に適している。反応ガスを使用することで、反応混合物内に存在する化学元素の化学量論比を変化させることができる。例えば、シロキサン前駆体物質を酸素又は窒素含有の反応ガスと一緒に使用した場合、反応ガスは、反応混合物のケイ素及び炭素に対する酸素又は窒素の化学量論比を変化させる。反応混合物の様々な化学元素(ケイ素、炭素、酸素、窒素等)間のこの化学量論的関係は、いくつかの方法で変化し得る。1つの方法は、反応における前駆体物質又は反応ガスの濃度を変化させることである。他の方法は、反応における前駆体物質又は反応ガスの流量を変化させることである。他の方法は、反応で使用する前駆体物質又は反応ガスの種類を変えることである。
【0020】
反応混合物内の元素の化学量論比を変化させることにより、堆積されたハイブリッド層のポリマー材料と非ポリマー材料の特性及び相対量に影響を及ぼすことができる。例えば、シロキサンガスを様々な量の酸素と結合させ、ハイブリッド層のポリマー材料に対する非ポリマー物質の相対量を調整することができる。ケイ素又は炭素に対する酸素の化学量論比を増加させることにより、酸化シリコン等の非ポリマー材料の量を増やし得る。同様に、酸素の化学量論比を減らすことで、ケイ素及び炭素含有のポリマー材料の量を増やし得る。その他の反応条件を調整することにより、ハイブリッド層の組成も変え得る。例えば、PE−CVDの場合、RF出力及び周波数、堆積力、堆積時間、並びにガス流量といったプロセスパラメータを変化させることが可能である。
【0021】
したがって、本発明の方法を使用することにより、ポリマー/非ポリマーのハイブリッド特性で、様々な用途での使用に適した特性を有するハイブリッド層を形成することができる。このような特性は、光透過性(例えば、場合によって、ハイブリッド層は光学的に透明である)、不浸透性、柔軟性、厚さ、接着性、及び他の機械的特性を含む。例えば、1つ又は複数のこれらの特性は、ハイブリッド層内のポリマー材料の重量%を、残りの非ポリマー材料と共に、変化させることによって調整され得る。例えば、所望のレベルの柔軟性及び不浸透性を実現するために、wt%のポリマー材料は好ましくは5〜95%の範囲、更に好ましくは10〜25%の範囲であってよい。但し、用途によっては、他の範囲も可能である。
【0022】
酸化シリコン等の純粋に非ポリマー材料から形成されるバリア層は、光透過性、良好な接着性、及び良好な膜応力に関して様々な利点を有することができる。但し、こうした非ポリマー層は、層を介して水蒸気及び酸素を拡散させてしまう微視的欠陥を内包する傾向がある。非ポリマー層に対してある種のポリマー特性を提供することで、純粋な非ポリマー層の有利な特性を著しく変更させることなく、層の浸透性を低下させることが可能である。理論に縛られることを意図するものではないが、ポリマー/非ポリマーのハイブリッド特性を有する層により、欠陥(特に微小クラック)の数及び/又は大きさを減らすことによって層の浸透性が低下すると、本発明者らは考えている。
【0023】
場合によっては、本発明のコーティングは複数のハイブリッド層を有してよく、各ハイブリッド層の組成が独立して変化することが可能である。場合によっては、あるハイブリッド層の重量%比率が、コーティングにおける他のハイブリッド層と少なくとも10重量%だけ異なる。各ハイブリッド層の厚さも、独立して変化することが可能である。ハイブリッド層の堆積に使用する反応条件を順に調整することにより、異なるハイブリッド層を形成することができる。例えば、PE−CVDプロセスでは、反応混合物に提供される反応ガスの量を順次に調整することにより、それぞれが分離し異なる組成を有する複数のハイブリッド層を形成することができる。
【0024】
コーティングの組成がある高さから他の高さへ実質的に連続的に変化する領域をコーティングが有する場合、この領域内のハイブリッド層は、極めて薄く、それもコーティング内の最小の分子単位と同じ薄さになり得る。例えば、コーティングは、非ポリマー材料に対するポリマー材料のwt%比率が連続して変動する領域を有してよい。連続的な変化は、線形(例えば、ポリマー材料の非ポリマー材料に対するwt%比が、高さが高くなるにつれて増加し得る)又は非線形(例えば、循環的に増加及び減少する)であってよい。
【0025】
この複数のハイブリッド層が真空下で堆積されている場合、ハイブリッド層の堆積間で真空が破られ得る。この工程は、層間の不連続部を最小にして形成する、別々に堆積される層の能力を高める場合に有用となり得る。例えば、堆積された層を、真空を破る間に大気中の酸素に触れさせることで、層を酸化させ、その接着性を上げ得る。
【0026】
複数のハイブリッド層を使用する場合は、次に堆積されるハイブリッド層を、その基礎であるハイブリッド層のエッジ上に延在させることができる(即ち、次に堆積されるハイブリッド層の占有面積は基礎となるハイブリッド層より広くなる)。この構成は、環境汚染物(例えば、水分又は酸素)の側方侵入からハイブリッド層のエッジを保護する際に有用となり得る。更に、この複数のハイブリッド層の間に他のポリマー層を配置し得る。例えば、図21に示した実施形態を参照すると、電子デバイス240は基板242上に実装されたOLED本体244(有機層の積層を含む)を備えている。第1のハイブリッド層250を、OLED本体244のエッジを超えて延びるようにOLED本体244にコーティングする。第1のハイブリッド層250はポリマー層254でコーティングされる。ポリマー層254は第2のハイブリッド層252でコーティングされ、この第2のハイブリッド層は、ポリマー層254及びOLED本体244のエッジを超えて延びて、基板242の表面と接触する。第2のハイブリッド層252は、第1のハイブリッド層250のエッジを覆い隠すことにより、第1のハイブリッド層250からの環境汚染物の側方侵入を防止する。
【0027】
ハイブリッド層は、様々なタイプの物品上に堆積されてよい。場合によっては、この部品はOLED等の有機電子デバイスであってよい。OLEDでは、ハイブリッド層が水蒸気及び酸素の浸透を抑えるバリアコーティングとしての役割を果たし得る。例えば、1日あたり10−6g/m未満の水蒸気透過率及び/又は1日あたり10−3cm/m未満(或いは、場合によっては1日あたり10−4cm/m未満)の酸素透過率を有するハイブリッド層がOLEDを保護するのに適し得る。場合によっては、ハイブリッド層の厚さを、0.1〜10μmの範囲とすることが可能であるが、用途に応じて、それ以外の厚さも使用可能である。また、光透過性を与える厚さ及び材料組成を有するハイブリッド層が、OLEDとの使用に適したものとなり得る。柔軟なOLEDで使用する場合、ハイブリッド層は、所望の柔軟性を有するように設計されてよい。場合によっては、調合薬、医療機器若しくはインプラント、生物学的作用物質、生物サンプル、バイオセンサー、又は精密測定装置等、環境への暴露によって劣化しやすい他の物品上にハイブリッド層を使用してもよい。
【0028】
場合によっては、ハイブリッド層は、非混合ポリマー層又は非混合非ポリマー層等の、前駆体物質の同じ単一原料を使用することによって形成され得る非混合層と組み合わせて使用してもよい。非混合層は、ハイブリッド層が堆積される前又はハイブリッド層が堆積された後に堆積してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の特定の実施形態を使用するために使用可能なPE−CVD装置の概略図を示す。
【図2】一実施形態に係るハイブリッド層の光の透過スペクトルを示す。
【図3】膜上の水滴の接触角の測定方法を示す。
【図4】様々なO/HMDSOガス流量比下で形成された数個のハイブリッド層の接触角のプロットを示す。
【図5】PE−CVDプロセス中に様々な出力レベルの適応下で形成された複数個のハイブリッド層の接触角のプロットを示す。
【図6】純SiO(熱酸化物)の膜又は純ポリマーの膜と比較した、相対的に高いO流量及び相対的に低いO流量を使用して形成されたハイブリッド層の赤外吸収スペクトルを示す。
【図7】純SiO膜の硬度と比較した、様々なO/HMDSOガス流量比下で形成された様々なハイブリッド層のナノインデンテーション硬度のプロットを示す。
【図8】様々なO/HMDSOガス流量比下で形成された数個のハイブリッド層の表面粗度のプロットを示す。
【図9】様々な出力レベル下で形成された数個のハイブリッド層の表面粗度のプロットを示す。
【図10A】50μmの厚さのKaptonポリイミド箔に堆積された4μmのハイブリッド層の表面の光学顕微鏡写真を示す。
【図10B】50μmの厚さのKaptonポリイミド箔に堆積された4μmのハイブリッド層の表面の光学顕微鏡写真を示す。
【図11】一実施形態に係る封入されたOLEDの一部の断面図を示す。
【図12】バリアコーティングを備えた完成したOLEDの加速環境試験の結果を示す。
【図13】他の実施形態に係る封入されたOLEDを示す。
【図14】他の実施形態に係るハイブリッド層の断面の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図15】他の実施形態に係る封入されたOLEDを示す。
【図16A】他の実施形態に係るハイブリッド層の断面の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図16B】他の実施形態に係るハイブリッド層の断面の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図17A】一条件下で堆積されたハイブリッド層の断面の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図17B】他の条件下で堆積されたハイブリッド層の断面の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図18A】ポリイミド基板とその上に堆積された様々なハイブリッド層との間の不整合歪みのプロットを示す。
【図18B】ポリイミド基板とその上に堆積された様々なハイブリッド層との間の不整合歪みのプロットを示す。
【図18C】ポリイミド基板とその上に堆積された様々なハイブリッド層との間の不整合歪みのプロットを示す。
【図19】他の実施形態に係る封入されたOLEDを示す。
【図20】他の実施形態に係る封入されたOLEDを示す。
【図21】他の実施形態に係る封入されたOLEDを示す。
【図22】他の実施形態に係る封入されたOLEDを示す。
【図23】他の実施形態に係る封入されたOLEDを示す。
【図24】他の実施形態に係る封入されたOLEDを示す。
【図25】他の実施形態に係る封入されたOLEDを示す。
【図26】他の実施形態に係る封入されたOLEDを示す。
【図27】他の実施形態に係る封入されたOLEDを示す。
【図28】他の実施形態に係る封入されたOLEDを示す。
【図29】他の実施形態に係る封入されたOLEDを示す。
【図30】他の実施形態に係る封入されたOLEDを示す。
【図31】他の実施形態に係る封入されたOLEDを示す。
【図32】他の実施形態に係る封入されたOLEDを示す。
【図33】他の実施形態に係る封入されたOLEDを示す。
【図34】ハイブリッド層をコーティングする間、基板ホルダー上に保持されるOLEDを示す。
【図35A】OLEDにハイブリッド層をコーティングする方法を示す。
【図35B】OLEDにハイブリッド層をコーティングする方法を示す。
【図35C】OLEDにハイブリッド層をコーティングする方法を示す。
【図36】OLEDにハイブリッド層をコーティングする他の方法を示す。
【図37A】単一の基板シート上に複数のOLEDを形成する方法を示す。
【図37B】単一の基板シート上に複数のOLEDを形成する方法を示す。
【図37C】単一の基板シート上に複数のOLEDを形成する方法を示す。
【図38】OLEDのカットエッジにコーティングする方法を示す。
【図39】OLEDのカットエッジにコーティングする他の方法を示す。
【図40A】単一の基板シート上に複数のOLEDを形成する他の方法を示す。
【図40B】単一の基板シート上に複数のOLEDを形成する他の方法を示す。
【図41】ハイブリッド層の堆積時にOLEDから熱を逃がす方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
様々なタイプのCVD炉のいずれかを使用して、本発明の方法を実現できる。一例として、図1は、本発明の特定の実施形態を実現するために使用できるPE−CVD装置10を示す。PE−CVD装置10は、反応室20を備え、ここでは電子デバイス30がホルダー24上に取付けられる。反応室20は真空を含むように設計され、真空ポンプ70が反応室20に接続され、適切な圧力とする及び/又は適切な圧力を維持する。Nガスタンク50は、パージ装置10にNガスを提供する。反応室20は更に、反応によって生じる熱を減らすための冷却システムを含んでよい。
【0031】
ガスの流れを操作するために、装置10はまた、手動又は自動制御であり得る様々な流れ制御装置(質量流量制御装置80、遮断弁82、及び逆止め弁84等)を含む。前駆体物質源40は、蒸発されて反応室20内に供給される前駆体物質(例えば、液状のHMDSO)を提供する。場合によっては、アルゴン等の搬送ガスを使用して、前駆体物質を反応室20に搬送できる。反応ガスタンク60は反応ガス(例えば、酸素)を提供し、これも反応室20に送られる。前駆体物質と反応ガスが反応室20に流れ込み、反応混合物42を形成する。前駆体物質と反応ガスは別々に反応室20に流れ込んでも、又は反応室20に入る前に前もって混合されてもよい。反応室20内の圧力を更に調整して、堆積圧を実現してもよい。反応室20は、導体又は絶縁体であり得る電極スタンドオフ26上に取付けられた一組の電極22を含む。デバイス30と電極22の様々な配置が可能である。二極管若しくは三極管の電極、又は遠隔電極を使用し得る。図1に示すように、デバイス30は、離れて位置してよく、又は、二極管構成の一方若しくは両方の電極上に取付けられてもよい。
【0032】
反応混合物42内にプラズマ条件を作り出すために、電極22にRF出力が供給される。プラズマによって形成された反応生成物が電子デバイス30上に堆積される。電子デバイス30上にハイブリッド層を堆積するために十分な時間の間、この反応が進行されてよい。反応時間は、電極22に対するデバイス30の位置、堆積させるハイブリッド層の種類、反応条件、ハイブリッド層の所望の厚さ、前駆体物質、及び反応ガス等、様々な要因に依存する。反応時間は5秒から5時間までの期間が可能であるが、用途に応じて、これよりも長い又は短い時間も使用可能である。
【0033】
以下の表1は、3つの実施例によるハイブリッド層を形成するために使用された反応条件を示す。水滴のぬれ接触角から決定された際に、実施例1のハイブリッド層は、約7%のポリマー材料と93%の非ポリマー材料を含むものであった。水滴のぬれ接触角から決定された際に、実施例2のハイブリッド層は、約94%のポリマー材料及び6%の非ポリマー材料を含むものであった。水滴のぬれ接触角から決定された際に、実施例3のハイブリッド層は、約25%のポリマー材料及び75%の非ポリマー材料を含むものであった。実施例1〜3のそれぞれにおいては、堆積プロセスを通して反応条件は一定に維持され、ハイブリッド層は、全体を通して均質な組成を持つ単一相にある。また、実施例1〜3に示したように、ハイブリッド層は、厚さが少なくとも800Åにわたって、場合によっては、厚さが800Å〜60,000Åの範囲にわたって均質な組成を持つ単一相となり得る。しかし、他の実施形態では、前述のように反応条件を変化させることにより、ハイブリッド層は、それぞれが異なる組成を有する複数の異なる副層を用いて、複数の相を持つことができる。
【0034】
【表1】

【0035】
図2は、実施例3のハイブリッド層の光透過率スペクトルを示す。近紫外線から近赤外線スペクトルにおいて、このハイブリッド層は90%を超える透過率を有する。図3は、膜上における水滴の接触角の算出方法を示す。図4は、純SiO膜及び純ポリマー膜の接触角と比較した、様々なO/HMDSOガス流量下において形成された複数のハイブリッド層の接触角のプロットである。ハイブリッド層の接触角は、堆積プロセスの酸素流量が増えるのに伴い、純SiO膜の接触角度に接近している。
【0036】
図5は、PE−CVDプロセスの間において適用される様々な出力レベル下で形成された複数のハイブリッド層の接触角のプロットである。出力レベルが増加するにつれて、ハイブリッド層の接触角が、純SiO膜のそれに接近しているが、これは、高い出力レベルが、Oを強い酸化剤にするという事実によるものと考えられる。図6は、純SiO(熱酸化物)又は純ポリマーの膜と比較した、相対的に大きなO流量及び相対的に小さなO流量を使用して形成されたハイブリッド層の赤外線吸収スペクトルを示す。高Oハイブリッド層は、Si−O−Si結合における強いピークを示す。熱酸化物(純SiO)膜に対するSi−CH結合でのわずかなピークは、Si−O振動に関連すると考えられる。図7は、純SiO膜の硬度と比較した、様々なO/HMDSOガス流量下において形成された様々なハイブリッド層のナノインデンテーション硬度のプロットである。堆積プロセスにおける酸素流量が増加するにつれてハイブリッド層の硬度が増加し、これらのハイブリッド層は、靭性を有し高い柔軟性があるにもかかわらず、硬い純SiO膜と同程度となることが可能である。
【0037】
図8は、原子間力顕微鏡法によって測定された、様々なO/HMDSOガス流量下で形成された複数のハイブリッド層の表面粗度(二乗平均平方根)のプロットであり、堆積プロセスで使用されるO流量が増加するとともに、表面粗度が減少することを示す。図9は、原子間力顕微鏡法によって測定された、様々な出力レベル下で形成された複数のハイブリッド層の表面粗度(二乗平均平方根)のプロットであり、堆積プロセスで使用される出力レベルが増加するとともに、表面粗度が減少することを示す。
【0038】
図10A及び図10Bは、厚さ50μmのKaptonポリイミド箔上の4μmのハイブリッド層(上記実施例3の同じ原料温度、ガス流量、圧力、及びRF出力下で堆積された)の表面の光学顕微鏡写真を示す。図10Aに示す画像は、コーティングされた箔が直径1インチのロール(引っ張り歪みε=0.2%)でのローリングサイクルにさらされる前後に得られたものである。58,600のローリングサイクルの後で、微細構造の変化は観察されなかった。図10Bでは、コーティングされた箔が、増加する引っ張り歪みにさらされ、画像が、第1のクラッキングが現われた後(14mmのロール直径)及び大きなクラッキングの後(2mmのロール直径)に得られた。これらの柔軟性の結果は、本発明の方法が、高い柔軟性を有するコーティングを提供することが可能であることを示す。
【0039】
図11は、封入されたOLED100の一部の断面図を示し、このOLED100は基板150上のOLEDプロパー140と、バリアコーティング110としての上記実施例3のハイブリッド層とを含む。図12は、バリアコーティングを備えた完成したOLEDの加速環境試験の結果を示す。底部発光OLED及び透明OLEDは両方とも、実施例3の厚さ6μmのハイブリッド層でコーティングされた。次に、温度65℃及び相対湿度85%の環境チャンバ内にデバイスが格納された。画像は、初めの時点及び指示された時間間隔の後でのOLEDの状態を示す。OLEDは1000時間をはるかに超えて機能し続けた。したがって、環境暴露の劣化の影響から効果的に保護するコーティングを本発明の方法により提供可能であることが示された。
【0040】
電子デバイスの環境バリアとしてハイブリッド層が使用される場合、ハイブリッド層は、電子デバイスが配置される表面、電子デバイスのカバー、又はその両方としての役割を果たし得る。例えば、一つのハイブリッド層を電子デバイスの上に堆積することでこれを覆うことができ、他のハイブリッド層を電子デバイスの下の基板上に堆積することで電子デバイスが配置される表面を提供することができる。このようにして、2つのハイブリッド層の間に電子デバイスが密閉される。
【0041】
例えば、図13に示す実施形態を参照すると、封入されたOLED160は、基板150とそこに堆積されたハイブリッド層162とを含む。OLED(電極を含む)の本体140が、ハイブリッド層162の表面に配置される。もう1つのハイブリッド層164(ハイブリッド層162と同じ組成を有していても、有していなくてもよい)が、コンフォーマルなコーティングとしてOLED本体140上に堆積される。したがって、ハイブリッド層164は、OLED本体140の上面を覆うことに加え、OLED本体140の側面を下方に延びて、ハイブリッド層162の表面と接する。このようにして、OLED本体140がハイブリッド層162とハイブリッド層164との間に挟まれる。
【0042】
特定の実施形態では、表面とハイブリッド層との間の界面結合を増加するために、ハイブリッド層を堆積する前に、ハイブリッド層が堆積される表面を前処理してよい。表面の前処理を行うことにより、表面の接着性の強化、表面の化学的性質の改善(例えば、表面の活性化)、表面粗度の変更、表面エネルギーの増大、表面の平坦化、及び/又は表面の洗浄等、様々な表面特性を改善することができる。表面とハイブリッド層との間の界面結合を増加させることにより、この機構は、ハイブリッド層のエッジからの環境汚染物(水分又は酸素等)の側方拡散を減らすのに有用となり得る。
【0043】
表面とハイブリッド層との間の界面結合を増大することが可能な種々の表面処理が本発明での使用に適している。例として、機械的摩耗、化学的処理(例えば、酸化剤への暴露、官能基の導入による活性化)、又は物理化学的処理(例えば、プラズマへの露出、コロナ放電、又はUV照射)等が挙げられる。プラズマ処理を使用する場合は、ハイブリッド層の堆積に使用されるのと同じチャンバ内で処理を行うことも、別個の装置内でプラズマ処理を行うこともできる。別個の装置内で処理を行う場合は、バレル型プラズマシステムや平行板型プラズマシステム等、当技術分野において周知である種々のプラズマ処理装置のいずれも使用できる。
【0044】
プラズマ処理において従来から使用されている種々ガスのいずれも表面の前処理に適すると考えられ、例として、酸素、水素、窒素、アルゴン、アンモニア、又はこれらの混合物等が挙げられる。特に好ましいガスとしては、酸素やアルゴンがある。異なるガスを使用することで、表面を様々に修正し得る。例えば、アルゴンガスを用いたプラズマ処理では、表面をアルゴンイオンで照射する。アルゴンイオンは、表面を洗浄すること、又は表面を原子スケールで粗くすることが可能であり、これによりハイブリッド層へのその接着能力が改善される。酸素を用いたプラズマ処理では、ハイブリッド層との結合を形成し得る酸素含有官能基を使用して表面を化学的に活性化することが可能である。所望の表面特性を達成するために、プラズマ処理プロセスの他の各種パラメータを調整することが可能であり、例として、出力、周波数、継続時間、圧力、温度等のパラメータが挙げられる。
【0045】
場合によっては、表面とハイブリッド層との間に介在層を配置させることで、表面を前処理し得る。介在層は、表面とハイブリッド層との間の界面結合を改善する役割を果たし得る種々の材料を含む。例えば、介在層での使用に適した材料には、窒化シリコン、クロム、チタン、ニッケルチタン合金、又は誘電体が挙げられる。この層は、化学気相成長法、プラズマ蒸着、又はスパッタリング等、薄膜の堆積に従来使用されている様々な手法のいずれかを使用して堆積され得る。介在層の厚さは、特定の用途に応じて変動する。場合によっては、介在層は単原子層であっても単分子層であってもよく、又は最大50nmの厚さを有し得るが、他の例ではこれ以外の厚さも可能である。介在層内の材料は、介在層の上または下にある層又は構造内の材料と化学反応を起こし得る。
【0046】
図14は、エッチングされたシリコンウエハに堆積されたハイブリッド層の断面の走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。シリコンウエハのエッチングされていない部分(ステップ高5μmで隆起したエッジとして、図14の左側に示される)が、シリコンウエハのエッチング中にエッチングマスクとしても機能する80nmのクロム膜でコーティングされている。シリコンウエハのエッチングされた部分(図14の右側に示す)は、クロム膜で前処理されていない。ハイブリッド層は、以下の条件下で、シリコンウエハの両方の部分の上にPE−CVDによって堆積されている。
【0047】
【表2】

【0048】
断続的な堆積プロセスの加熱及び冷却サイクルを通しての、シリコンウエハ基板の平均温度は、80℃より高かった(開始温度は約22℃、終了温度は約160℃)。クロム処理表面上では、ハイブリッド層が緻密な微細構造を有した。しかしながら、処理されていない表面上では、バリア層は一様でない、円柱状の微細構造を有する。形態学的差異に基づくと、クロム処理表面上のハイブリッド層(緻密な微細構造を有する)は、処理されていない表面上に堆積されたハイブリッド層と比較して、水分及び酸素に対する浸透性が低いと予想される。
【0049】
場合によっては、介在層は、1つ又は複数の平坦化副層と1つ又は複数の接着促進副層を含む多層構造であってよい。例えば、米国特許第6,597,111号明細書(Silvernailら)及び米国特許第7,187,119号明細書(Weaver)では、交互に連続するポリマー平坦化副層と高密度副層とから形成されるバリア層について説明している。ポリマー平坦化副層は、滑らかな表面を形成するポリマー平坦化材料を含む。環境汚染物の拡散が防止されるように、高密度副層は、原子の間隔が十分に近接した高密度材料(例えば、無機、セラミック、又は誘電材料)を含む。他の実施例では、介在層は、スピンコーティングされたポリマー層とハイブリッド層(上記の方法で堆積される)の多重交互層、SiN層とハイブリッド層の多重交互層、又はスピンコーティングされたポリマー層とSiN層の多重交互層を備えてよい。
【0050】
例えば、図15に示された実施形態を参照すると、電子デバイス176は、ポリマー材料の平坦化副層170でコーティングされた基板150を備えている。平坦化副層170上には接着促進副層172が堆積される。接着促進副層172の表面上にはOLEDの本体140(電極を含む)が配置される。更に、OLED本体140上には、コンフォーマルコーティングとしてハイブリッド層174が堆積される。したがって、ハイブリッド層174は、OLED本体140の上面を覆うことに加え、OLED本体140の側面の下方にも広がり接着促進副層172の表面と接する。このようにして、ハイブリッド層174と接着促進副層172との間の接着により、界面領域を介した環境汚染物の側方拡散を減らすことが可能である。
【0051】
前述のように、堆積条件を変更することにより、構造、組成、及び/又は特性の異なるハイブリッド層を提供することができる。ここで言う特性には、環境汚染物に対するその浸透性やハイブリッド層が堆積される表面に対するその接着能力が含まれる。場合によっては、堆積温度を制御して(例えば、基板の加熱及び冷却によって)、ハイブリッド層の浸透性を低減することができる。図16A及び16Bは、エッチングされたシリコンウエハ上に堆積されたハイブリッド層の断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す。シリコンウエハのエッチングされていない部分(高くなったエッジとして図16A及び16Bの右側に示される)は、シリコンウエハのエッチング中にエッチングマスクとしても機能するクロムの薄膜で覆われた。シリコンウエハのエッチング部(図16A及び16Bの左側に示される)は、クロム薄膜で前処理されていない。シリコンウエハの両方の部分にPE−CVDによって以下の条件でハイブリッド層が堆積された。
【0052】
【表3】

【0053】
断続的な堆積プロセスの加熱及び冷却サイクルにおけるシリコンウエハ基板の平均温度は約35℃であった。断続的な堆積プロセスにおいて、堆積温度を制御する方法の1つは、加熱及び/又はサイクルの回数又は継続時間を調整することである。したがって、加熱サイクルの継続時間を短縮し、冷却サイクルの回数を増やして、このハイブリッド層は堆積されたので、平均堆積温度は、図14に示したハイブリッド層の堆積に使用される温度よりも低かった。結果として、シリコンウエハのクロム処理表面と非処理表面の両方の上のハイブリッド層は、一様でない、円柱状の構造を有する。また、ステップの側面上の被覆率が低い。したがって、ある特定の範囲内の高い堆積温度を使用して形成されたハイブリッド層は、低い堆積温度を使用して形成されたハイブリッド層よりも浸透性が低くなることが予想される。場合によっては、ハイブリッド層は40℃〜90℃の範囲の堆積温度で堆積される。
【0054】
場合によっては、堆積出力を制御することにより、ハイブリッド層の浸透性を下げることができる。図17Aは、底部発光OLEDスタック上に堆積されたハイブリッド層の断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す。以下の条件下でPE−CVDによってハイブリッド層が堆積された。
【0055】
【表4】

【0056】
堆積出力が高くなると、モノマーフラグメンテーションが促進されると考えられる。したがって、出力を24Wから50Wに徐々に増加させていくと、ハイブリッド層内の連続する各階層は、より酸化物様である特性及びそれほどポリマー様でない特性を取ることが観察されている。図17Aにおいて、表面に最も近いハイブリッド層の階層(低出力下で堆積された)は、多孔質のポリマー様微細構造を有し、一方、表面からさらに遠い階層(高出力下で堆積された)は、より高密度の酸化物様構造を有する。
【0057】
図17Bは、発光OLEDスタックの上面にPE−CVDによって以下の条件下で堆積された他のハイブリッド層の断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【0058】
【表5】

【0059】
図17Aに示したハイブリッド層と比較して、図17Bに示したハイブリッド層を堆積する際には高い堆積出力が使用された。結果として、このハイブリッド層は、図17Aに示したハイブリッド層よりも、高い密度の微細構造を有する。したがって、高い堆積出力を使用して形成されたハイブリッド層は、低い堆積出力を使用して形成されたハイブリッド層よりも、低い浸透性を有することが予想される。
【0060】
2つの異なる材料が、他と密接に接触して配置された場合、このような接触によって、特に2つの材料の間の界面に応力が生じ得る。したがって、特定の実施形態では、ハイブリッド層の残留内部応力を制御することにより、クラッキング、ボイド、バックリング、又は層間剥離等の、ハイブリッド層における応力誘起欠陥の発生を減らすことができる。ハイブリッド層内の内部応力を制御する方法の1つは、堆積条件を調整することである。
【0061】
図18A〜図18Cは、厚さ25μmのKapton−Eポリイミド基板とその上に様々な条件下で堆積された種々のハイブリッド層(厚さ320〜600nm)との間の不整合歪みを示す。正の不整合はハイブリッド層での引張応力に対応し、負の不整合はハイブリッド層での圧縮応力に対応する。図18Aを参照すると、堆積出力及びガス流量を一定に保ったままで、堆積圧を100mTorrから150mTorrに増加させると、結果としてハイブリッド層内により大きな引張応力が生じる。図18Bを参照すると、堆積圧及びガス流量を一定に保ったままで、堆積出力を50Wから80Wに増加させると、結果としてハイブリッド層内により大きな圧縮応力が生じる。図18Cを参照すると、堆積圧及び出力を一定に保ったままで、HMDSO/Oガス流量を1.0/34から2.0/67に増加させると、結果としてハイブリッド層内により大きな引張応力が生じる。
【0062】
これらの結果は、堆積パラメータを変えることによってハイブリッド層内の内部応力を調整可能であることを示す。また、これらの結果は、ハイブリッド層内での応力を最小化することが可能な堆積パラメータの最適な組み合わせが存在することを示す。例えば、1つの堆積パラメータを調整することによりハイブリッド層内に圧縮応力を生成することができ、一方、他の堆積パラメータを調整することにより、ハイブリッド層内に整合する引張応力を生成することができる。結果として、ゼロ又はゼロに近い残留正味応力を生じる。多層コーティングが複数のハイブリッド層を含む場合は、コーティング内における全応力を制御するように、各ハイブリッド層内の応力を個別に調整することも可能である。例えば、コーティング内の全応力が平衡するように、又は表面からの距離が増加するともにハイブリッド層内の応力の合計が徐々に増加するように、各ハイブリッド層を調整してもよい。
【0063】
2つの異なる材料が他と密接に接触して配置された場合も、熱膨張係数(CTE)の違いにより残留応力が生じ得る。したがって、ある実施形態では、ハイブリッド層の組成を調整することにより、隣接する構造体(例えば、ポリマー基板又は金属/無機酸化物相互接続)の熱膨張係数とより厳密に整合させることができる。例えば、基板のCTEと厳密に整合させるために、ポリマー材料の非ポリマー材料に対する相対比を調整してハイブリッド層のCTEを増大又は減少させることができる。
【0064】
特定の実施形態では、基礎部として機能する表面(即ち、基礎部表面)上に電子デバイスが配置された場合、ハイブリッド層及び/又は表面は、エッジバリアを更に備えることにより、基礎部材料自体又は基礎部表面とハイブリッド層との間の界面のいずれかを介した側方拡散による環境汚染物(例えば、水分又は酸素)の浸入を減らすことができる。基礎部は、本明細書で説明したいずれの材料、又はそれ上に電子デバイスを配置するために使用される他の公知の材料から形成されてよい(例えば、金属箔基板又はバリアコーティングプラスチック基板上の平坦化及び/又は絶縁層に使用される材料)。当技術分野で公知の様々な種類のエッジバリアのいずれも本発明での使用に適している。場合によっては、エッジバリアは、電子デバイスの周囲に近接する領域において、ハイブリッド層を基礎部表面に結合させることによって構成される。結合を達成するには、それらの領域への熱融着又は接着(例えば、エポキシベース接着剤)を行う。
【0065】
場合によっては、エッジバリアは、電子デバイスの上表面から、電子デバイスの側面の下方に沿って延びて、及び基礎部表面と接触するエンドキャップであってよい。本発明での使用に適し得るエンドキャップの1つのタイプが、米国特許第7,002,294号明細書(Forrestら)に説明されている。エンドキャップは、環境汚染物の側方侵入から電子デバイスを保護することが可能ないずれの材料から形成されてよく、例として高密度セラミック材料(例えば、二酸化シリコン)又は金属材料が挙げられる。
【0066】
例えば、図19に示した実施形態を参照すると、封入されたOLED180は、基板150と、基板150上に配置されたOLEDの本体140(電極を含む)とを備える。OLED本体140上にハイブリッド層182が堆積される。エンドキャップ184は、ハイブリッド層182の上部表面から、OLED本体140の側面を下方に延びて、基板150の表面と接触するように、ハイブリッド層182及びOLED本体140の周囲に配置される。エンドキャップ184は、OLED180の側面又はエッジを介した環境汚染物の側方侵入を減らすように機能する。
【0067】
場合によっては、エッジバリアは、電子デバイスの周囲に近接する領域において、基礎部表面内に1つ又は複数の不連続部を作成することにより形成してもよい。これらの不連続部は、様々な機構によって環境汚染物の侵入に対するバリアとして機能し得る。例として、環境汚染物の側方侵入に対する経路長を増加させること、又はこの経路内に遮断部を形成すること(基礎部材料が環境汚染物の侵入に対する経路として機能する場合)が挙げられる。本明細書において使用される「不連続部」という用語は、ボイドの大きさ、形状、及び位置を制御する手法を使用して、材料の除去又は堆積を行うことによって、基礎部表面内に形成される分離したボイド(例えば、トレンチ、溝、スロット、クラック、破損部、ギャップ、ホール、貫通孔)を示す。例えば、このような手法には、エネルギービーム(例えば、レーザー、イオン、又は電子)を使用したダイレクトライトエッチング、マイクロマシニング、マイクロ掘削、リソグラフプロセス、又はボイドを形成すべき領域上で選択的なマスキングを使用した基礎部材料のマスク堆積等がある。
【0068】
例えば、図20に示した実施形態を参照すると、基板150が、ポリイミド膜194でコーティングされる。ポリイミド膜194は、OLEDの本体140(電極を含む)が配置される基礎部表面として機能する。ポリイミド膜194には、OLED本体140の周辺を囲むトレンチ196がエッチング形成される。或いは、トレンチ196は、ポリイミド膜194の堆積中にこの領域を選択的にマスキングすることによって形成されてもよい。トレンチ196は、ポリイミド膜194の全厚さを貫いて広がっている。OLED本体140はハイブリッド層192で覆われている。このハイブリッド層192は、OLED本体194の上面を覆い、OLED本体140の側面を下方に延びて基礎部表面まで至る。基礎部表面では、ハイブリッド層192がトレンチ196に埋め込まれることにより、ポリイミド膜が、環境汚染物の側方侵入に対する経路として機能するのを防ぐ。
【0069】
他にも様々なタイプのエッジバリアが可能である。特定の実施形態では、エッジバリアは、ハイブリッド層のエッジを超えて延びる他のバリアコーティングであってよい。例えば、図22に示す実施形態を参照すると、電子デバイス200は基板202に実装されたOLED本体204(有機層のスタックを備える)を含む。OLED本体204は、OLED本体204のエッジを超えて延びて基板202の表面と接触するに至るハイブリッド層210でコーティングされる。バリアコーティング212はハイブリッド層210上に堆積され、環境汚染物の側方侵入を防止するためにハイブリッド層210のエッジを超えて延びている。
【0070】
ハイブリッド層を被覆するのに使用されるバリアコーティングは、それ自体が本発明のハイブリッド層であってよい。例えば、図22に示す電子デバイス200の代替実施形態では、バリアコーティング212は、ハイブリッド層210が堆積された後で堆積されるもう1つのハイブリッド層である。他の例では、バリアコーティングは、電子デバイスの保護に従来から使用されている任意のバリアコーティングであってよい。したがって、場合によっては、バリアコーティングは、ハイブリッド層と比べて比較的厚く又は硬度が高くてよい。場合によっては、バリアコーティングは、環境汚染物の侵入防止についてはハイブリッド層ほど効果的でないが、電子デバイスを機械的な損傷から保護できるような十分な厚さ及び/硬度を有する。
【0071】
また、ハイブリッド層上のバリアコーティングは、ハイブリッド層を必ずしも完全に覆う必要はない。例えば、図23に示す実施形態を参照すると、電子デバイス220は基板222に実装されたOLED本体224(有機層のスタックを備える)を含んでいる。OLED本体224は、OLED本体224のエッジを超えて延びて基板222の表面と接触するに至るハイブリッド層230でコーティングされている。バリアコーティング232は、ハイブリッド層230のエッジだけを被覆するように、ハイブリッド層230にマスク堆積されるか、又は堆積されてからパターン形成される。この実施形態では、バリアコーティング232は、OLED本体224を覆い隠していないので透明である必要はない。例えば、バリアコーティング232は金属から製造することも、比較的厚くすることも可能である。
【0072】
場合によっては、エッジバリアを前述した介在層と組み合わせることが可能である。この介在層は、ハイブリッド層を備える基板の表面とエッジバリアとの間の界面結合を改善する役割を果たす。例えば、図24に示す実施形態を参照すると、電子デバイス260は、基板262に実装されたOLED本体264(有機層のスタックを備える)を含んでいる。OLED本体264の周囲を取り囲んでいるのは介在層274である。OLED本体264は、OLED本体264のエッジを超えて延びて介在層274と接触するに至るハイブリッド層270によってコーティングされている。ハイブリッド層270上にはバリアコーティング272が堆積されており、バリアコーティング272は、ハイブリッド層270のエッジを超えて延びて介在層274と接触するに至る。この構成では、介在層274の役割は、ハイブリッド層270とバリアコーティング272を基板262に接着することである。
【0073】
特定の実施形態では、介在層は、OLED本体の上部電極(例えば、カソード)と上から覆いかぶさるハイブリッド層との間の界面結合を向上させるために使用される。例えば、図31に示す実施形態を参照すると、電子デバイス400は、基板402上に実装されたOLED本体404(有機層のスタックを備える)を含んでいる。OLED本体404は、OLED本体404のエッジを超えて延びて基板402の表面と接触するに至るハイブリッド層410によってコーティングされている。バリアコーティング412はハイブリッド層410上に堆積され、環境汚染物の側方侵入を防止するためにハイブリッド層410のエッジを超えて延びている。介在層414はマスクを使用してOLED本体404の上部電極に直接堆積されている。この場合、介在層414の役割は、OLED本体404の上部表面を、上から覆いかぶさるハイブリッド層410に接着することである。
【0074】
特定の実施形態では、エッジバリアは乾燥剤材料を含み、この乾燥剤材料は当技術分野で公知の種々の乾燥剤材料のいずれでもよい(例えば、塩化カルシウム、二酸化珪素、酸化バリウム、酸化カルシウム、二酸化チタン)。このようなエッジバリアは、OLEDを含む有機電子デバイスで使用される乾燥剤材料について当技術分野で公知の種々の構造(例えば、層、ダム、リング)及び配置のいずれを有してもよい。エッジバリアで使用される乾燥剤材料は、ハイブリッド層のエッジから拡散する水分を吸収するのに有効であり得る。例えば、図25に示す実施形態を参照すると、電子デバイス280は基板282に実装されたOLED本体284(有機層のスタックを備える)を含んでいる。OLED本体284は、OLED本体284のエッジを超えて延びて基板282の表面と接触するに至るハイブリッド層290によってコーティングされている。ハイブリッド層290のエッジの周囲には乾燥剤リング層294が配置されている。これらの構成要素上にはバリアコーティング292が堆積されており、バリアコーティング292は乾燥剤リング層294を超えて延びて基板282の表面と接触するに至る。
【0075】
環境汚染物の側方侵入の経路として他に考えられるのは、有機電子デバイス上の電極(例えば、アノード又はカソード)と接続する相互接続リード(例えば、電極ストリップ又は電極線)の周辺である。場合によっては、ハイブリッド層は、相互接続リードのエッジ上に延在する。例えば、図26を参照すると、電子デバイス300は基板302上に実装されたOLED本体304(有機層のスタックを備える)を含んでいる。OLED本体304は電極305を備えており、相互接続リード306はこの電極305からOLED本体304の外方に延在している。但し、相互接続リード306は、基板302のエッジまで延在していない。ハイブリッド層310は、相互接続リード306のエッジを超えて延びて基板302の外周付近の表面と接触するに至るように、該当する構成要素上に堆積されている。
【0076】
相互接続リード306は側方エッジの近くに柱308を備えている。この柱は非腐食性の導電金属(例えば、銅又は金)で製造される。柱308はハイブリッド層310の開口部を通って突き出しており、相互接続リード306と電気的に接続させるための導体パッドとしての役割を果たす。この柱308と、柱308が貫通するハイブリッド層310の開口部とを製造するには、集積回路の製造において公知の種々の技法のいずれを使用してもよい。例えば、ハイブリッド層310内の開口部は、ハイブリッド層310の形成中にシャドウマスキングによって形成可能であり、柱308は電気メッキ技法により形成可能である。
【0077】
この場合、相互接続リード306のエッジはハイブリッド層310によって覆われるので、相互接続リード306の周囲での環境汚染物の側方拡散は防止される。また、柱308は、環境汚染物の侵入防止及び拡散経路の延長も担うダムとして機能する。電子デバイス300の代替実施形態では、もう1つのハイブリッド層が基板とOLED本体304との間に配置され、結果としてOLED本体304が2つのハイブリッド層の間に挟まれる。電子デバイス300の他の代替実施形態では、基板は金属箔であり、基板とOLED本体304との間に平坦化層が配置され、結果としてOLED本体304はハイブリッド層310と平坦化層との間に挟まれる。電子デバイス300の更に他の代替実施形態では、基板はポリマー基板であり、基板とOLED本体304との間に不活性化層が配置され、結果としてOLED本体304はハイブリッド層310と不活性化層との間に挟まれる。図33に示すように、電子デバイス300の他の代替実施形態では、柱308の外側部分は、ハイブリッド層310の表面に沿って外方に延在して拡散経路を更に長くするノブ312を有する。
【0078】
基板が金属基板(例えば、金属箔)である場合、基板の表面を平坦化するためにポリマー層がしばしば使用される。但し、このポリマー層は、環境汚染物の拡散の経路として機能する可能性がある。したがって、特定の実施形態では、ポリマー平坦化層が使用される場合、ポリマー平坦化層は基板のエッジまで延在されない。この構成の場合、ポリマー平坦化層を介した環境汚染物の拡散が防止される。ポリマー平坦化層は様々な技法でこのように形成することができる。例として、マスキングによるポリマー平坦化層の堆積、又はポリマー平坦化層の堆積後のエッジ部分の除去が挙げられる。
【0079】
例えば、図27に示す実施形態を参照すると、電子デバイス320は金属箔基板322を備え、この上に第1のハイブリッド層330が堆積される。第1のハイブリッド層330の上にはポリマー平坦化層332が堆積されている。ポリマー平坦化層332のエッジ部分は除去されており、このためポリマー平坦化層332は金属箔基板322のエッジまで延在していない。ポリマー平坦化層332の上には、電極325を備えるOLED本体324(有機層のスタックを備える)が形成されている。相互接続リード326は、電極325から金属箔基板322のエッジまで延びている。相互接続リード326はステップ部分327を備え、ここでは相互接続リード326はポリマー平坦化層332のエッジを越えて第1のハイブリッド層330の表面と接触する。このような構成要素(相互接続リード326等)上には第2のハイブリッド層334が堆積されている(しかし、導体パッド用にわずかな部分が未被覆のままである)。
【0080】
別の例では、図28に示す実施形態を参照すると、電子デバイス340は金属箔基板342を備え、金属箔基板342上にはポリマー平坦化層354が堆積されている。ポリマー平坦化層354のエッジ部分は除去され、ポリマー平坦化層354のエッジ上には第1のハイブリッド層350が堆積される。ポリマー平坦化層354上には、電極345を有するOLED本体344(有機層のスタックを備える)が形成されている。相互接続リード346は電極345から延びており、ステップ部347を備える。ステップ部347において相互接続リード346は第1のハイブリッド層350を越えている。このような構成要素(相互接続リード346等)上には第2のハイブリッド層352が堆積されている(しかし、導体パッド用にわずかな部分が未被覆のままである)。
【0081】
また、図27及び図28の前述実施形態では、拡散経路が長くなるように、或いは環境汚染物の側方侵入が防止されるように、相互接続リードを構成可能であることを示している。このような構成には、表面が平坦ではない相互接続リード、非平面構成を備える相互接続リード、又は曲がりくねった経路を取る相互接続リードが含まれる。上記の例において、相互接続リードのステップ部は、環境汚染物の拡散経路を長くする役割を果たす。
【0082】
場合によっては、環境汚染物の側方侵入を防止するための上記の種々の技法を組み合わせることが可能である。例えば、図29に示す実施形態を参照すると、電子デバイス360は金属箔基板362を備え、金属箔基板362に第1のハイブリッド層370が堆積されている。次に、第1のハイブリッド層370にはポリマー平坦化層374が堆積され、ポリマー平坦化層374のエッジ部分は除去される。ポリマー平坦化層374には電極365を有するOLED本体364(有機層のスタックを備える)が形成されている。相互接続リード366は電極365から外側に向けて延びているが、金属箔基板362のエッジまで達していない。相互接続リード366はステップ部分367を備え、ここでは相互接続リード366はポリマー平坦化層374のエッジを越えている。このような構成要素(相互接続リード366のエッジ等)の上には第2のハイブリッド層372が堆積されている。相互接続リード366は側方エッジの近くに柱368を備えている。この柱は導電性の材料で製造され、柱368は第2のハイブリッド層372の開口部を通って突き出しており、導体パッドとしての役割を果たすことができる。
【0083】
他の例では、図30に示す実施形態を参照すると、電子デバイス380はガラス基板382に実装されたOLED本体384(有機層のスタックを備える)を含んでいる。OLED本体384は電極385を備えており、相互接続リード386はこの電極385からOLED本体384の外方に延在している。但し、相互接続リード386は、基板382のエッジまで延びていない。基板382はその外周でパターン成形され、乾燥剤396が埋め込まれている。この乾燥剤は、蒸着、スピンオン、ゾルゲルプロセス、積層等、様々な方法で堆積可能である。乾燥剤396等のこれらの構成要素上にハイブリッド層390が堆積される。ハイブリッド層390は開口部を備え、相互接続リード386上の柱388はこの開口部を通って突き出している。この構成では、ハイブリッド層390のエッジを介して侵入する水分を乾燥剤396が吸収する。更に、相互接続リード386のエッジはハイブリッド層390で覆われているので、相互接続リード386の周囲での環境汚染物の側方拡散が防止される。また、柱388は、環境汚染物の侵入防止や拡散経路の延長も担うダムとして機能する。
【0084】
電子デバイス380の代替実施形態では、基板は金属箔であり、OLED本体と金属箔基板との間に平坦化層が配置されている。この場合、平坦化層はその外周でパターン成形され、乾燥剤が埋め込まれる。電子デバイス380の他の代替実施形態では、基板はポリマー基板であり、OLED本体とこの基板との間に不活性化層が配置されている。この場合、不活性化層は、その外周でパターン成形され、乾燥剤が埋め込まれる。
【0085】
OLEDによっては下部電極に格子を使用してアクティブ画素領域を画定する。格子は有機材料(例えば、フォトレジスト)から形成されても、無機材料(例えば、窒化シリコン)から形成されてもよい。しかしながら、格子は水分及び/又は酸素の側方拡散の経路として働く場合もある。このような水分及び/又は酸素の侵入を防止するために、特定の実施形態では、水分又は酸素の流れを妨げるような格子材料を選択することも、格子を完全に除去することもできる。また、経路に遮断部を設けることにより環境汚染物の拡散を防止することができる不連続部分を有するように、格子を形成することも可能である。場合によっては、このような不連続部分にハイブリッド層が浸透することにより、環境汚染物の拡散を更に防止することができる。
【0086】
特定の実施形態では、基板はポリマー基板である。そのような場合、基板内のポリマー材料は、環境汚染物の拡散経路となり得る。したがって、本発明のハイブリッド層を使用することにより、基板及び/又は有機デバイス本体への環境汚染物質の拡散を防止することができる。例えば、図32に示す実施形態を参照すると、電子デバイス420はポリマー基板422を備えており、このポリマー基板は上面と底面が両方とも、不活性化層として働くハイブリッド層432及び433によって覆われている。不活性化層432上にはOLED本体424が実装されている。OLED本体424と不活性化層432の上には更に別のハイブリッド層430が堆積されている。この実施形態において、ハイブリッド層432は、ポリマー基板422を介して移動し得る環境汚染物の拡散を防止する役割を果たす。更に、この実施形態は、上記の実施形態において説明した種々の特徴(図26で説明した相互接続リード及び/又は図30で説明した乾燥剤を含む)のいずれかと組み合わせることができる。
【0087】
更に、場合によっては、基板の側面及び底部を含む基板全体をハイブリッド層内に封入することもできる。更に、場合によっては、基板が乾燥剤として機能し、電子デバイスに侵入する水分を吸収する。基板を様々な方法で乾燥剤として機能するように製造することができる。例として、封入前に基板の脱気を行う及び/又は乾燥剤を基板材料に混入させる等の方法が挙げられる。
【0088】
堆積時に、ハイブリッド層は基板のエッジや基板の下等、プラズマと直接対向していない領域までが延在しているのが観察された。このようなハイブリッド層の周辺への広がりは、プラズマ内の長寿命の活性種の拡散又は表面に沿った拡散によるものである。したがって、特定の実施形態では、有機電子デバイス上のハイブリッド層は、横方向に延びて基板のエッジを覆い、場合によっては、基板の下面を少なくとも部分的に同様に覆う。このようにエッジバリアとしての役割を果たすハイブリッド層は、環境汚染物の側方拡散の低減に加えて、機能的な有機体が基板のエッジ方向に更に延びるのを可能にするので、アクティブデバイス領域を拡大することもできる。
【0089】
例えば、図34は、金属基板406と、金属基板406の表面を平坦化するポリマー平坦化層404とを備えるOLED400を示す。平坦化層404上には機能的な有機体402(有機層のスタックを備える)が形成されている。ハイブリッド層を堆積するには、OLED400を、堆積反応室内に配置し、基板ホルダー408によって保持する。堆積プロセス時には、プラズマ416と対向するOLED400上部表面がハイブリッド層410によってコーティングされる。堆積プロセスが継続すると、プラズマ416内の活性種の一部は、OLED400のエッジへ拡散してハイブリッド層410の側部412を形成するのに十分な長さ残留する。基板406及び平坦化層404の側方エッジを含むOLED400の側方エッジは、側部412によって覆われる。活性種の一部はまた、基板406の下面へも拡散する。基板ホルダー408の領域は基板406に比べて狭いので、活性種は基板ホルダー408によってマスクされていない基板406の下面領域上にハイブリッド層410の下側部分414を形成する。代替実施形態において、基板ホルダー408が基板406の下部全体をマスクしている場合、ハイブリッド層410の側部412は存在するが、下部414は存在しない。
【0090】
特定の実施形態では、堆積時のこのようなハイブリッド層の周辺への広がりを利用して、基板の下面を完全に覆うことが可能である。例えば、図35A〜図35Cに、OLEDの完全な封入を達成し得るプロセスを示す。図35Aは、ポリマー基板426とその上に形成された機能的な有機体422とを含むOLED420を示す。反応チャンバでは、OLED420が基板ホルダー428で保持されている間、機能的な有機体422が第1のハイブリッド層430によってコーティングされる。上記したプロセスによって、プラズマ内の活性種の拡散が発生し、その結果、ハイブリッド層430の側部が形成されて基板426の側面を含むOLED420の側面が覆われる。基板426の下面の部分的な被覆も存在する(即ち、基板ホルダー428によってマスクされていない領域上の被覆)。
【0091】
図35Bを参照すると、OLED420の上部表面が基板ホルダー428上に支持され堆積プロセスが繰り返されるように、基板ホルダー428上でOLED420が反転されている。この反転された位置では、基板426の下面432がプラズマと向き合うことになる。したがって、図35Cに示すように、基板426の下面432の予め露出された部分が第2のハイブリッド層440によってコーティングされる。この第2のハイブリッド層440も側方に延びてOLED420の側面を覆う(側部442によって)と共にOLED420の上面の一部を覆う(上部444によって)。結果として、基板426を含むOLED420は、ハイブリッド層440及び430によって完全に封入される。ハイブリッド層440及び430の組成は、同じでも異なってもよい。
【0092】
図36は、基板の下面の被覆を増やす、及び/又は有機電子デバイスと接続する接続リードにコーティングする、他のプロセスを例示したものである。図36は、ポリマー基板496とその上に形成された機能的な有機体492とを含むOLED490を示す。OLED490もまた、接続リード498(例えば、ワイヤ又はストリップ)に電気的に接続された電極486を備える。OLED490は、付着点482に固定された接続リード498により堆積チャンバに保持される。ハイブリッド層480は、機能的な有機体492上に堆積される。活性種の拡散によって、ハイブリッド層480はまた、OLED490の側面及び基板496の下面を覆う。或いは、OLED490は堆積チャンバ内に吊るされているので、OLED490をプラズマ内に直接置くか、2つ以上のプラズマ間に置くことにより、その上面と下面の両方を同時にコーティングすることが可能である。これにより、より均一な厚さのハイブリッド層480を形成することが可能である。
【0093】
基板496の下面にはマスキングを施していないので、ハイブリッド層480で覆われる基板496の下面の範囲は広くなる(この場合は完全に覆われる)。また、接続リード498もハイブリッド層460によって少なくとも部分的にコーティングされるので、接続リード498周辺での環境汚染物の側方拡散が防止される。接続リード498の端部は裸のままで電気接点としての役割を果たす。
【0094】
様々な製造プロセスが、本発明の有機電子デバイスの製造に適していると考えられる。場合によっては、処理性能の高い製造のために単一基板上に複数のデバイスを製造することができる。例えば、従来のバッチプロセスを使用することにより、又はフレキシブル基板でのロール・ツー・ロール処理等の連続プロセスによって複数のデバイスを製造することができる。したがって、本発明の特定の実施形態では、基板上に複数の機能的な有機体(有機電子デバイスの場合)が形成される。次に、バリアコーティング(本発明のハイブリッド層又は他の適切なタイプの透過バリアであり得る)が機能的な有機要素上に塗布される。ポリマー基板の場合、基板の下面もバリアコーティングで覆うことができる。このバリアコーティングは、本発明のハイブリッド層又は他の適切なタイプの透過バリアであってよい。基板は切断して個々の有機電子デバイスに分割される。このような場合、デバイスのカットエッジは露出され得る。デバイスの露出されたエッジを保護するために、本発明のハイブリッド層をエッジバリアとして使用することができる。
【0095】
例えば、図37A〜図37Cは、平坦化層454と、その上に形成された複数の機能的有機体452とを備えるフレキシブル金属シート456を示す。図37Bに示すように、機能的な有機体452上にはバリアコーティング462が堆積されている。バリアコーティング462は、本発明のハイブリッド層とすることも、当技術分野で公知の他の適切なタイプの透過バリアのいずれかとすることもできる。図37Cに示すように、個々の機能的な有機体は切断され、個々のOLED466が形成される。
【0096】
環境汚染物の側方拡散を防止するために、OLED466のカットエッジをハイブリッド層でコーティングすることができる。例えば、図38を参照すると、OLED466は堆積反応チャンバ内に配置され、基板ホルダー468で保持されている。OLED466上にハイブリッド層460が堆積される。ハイブリッド層460は、バリアコーティング462の上部表面、並びに平坦化層454及び基板456の側部エッジを覆う。図39は代替実施形態を示す。ここでは、ハイブリッド層470は平坦化層454及び基板456の側部エッジを覆っているがOLED466の上部表面は一部のみの被覆である。このアプローチは、エッジ部でカット又はトリミングされる領域が非常に広いデバイスにおいて有用である。このような場合、もしもデバイスの側部エッジをハイブリッド層で保護することのみが必要である場合には、ハイブリッド層でデバイス全体を覆う必要はない。
【0097】
ハイブリッド層の堆積についても、有機電子デバイス製造のための処理能力の高い製造プロセスに組み込むことが可能である。例えば、図40Aに示すのは、フレキシブル基板シート520であり、このシート上には複数の機能的な有機体522が形成されている。フレキシブル基板シート520には、機能的な有機体522間にスルーホール524のパターンが位置している。スルーホール524は基板シート520の厚さを完全に貫通しており、機能的な有機体522間における基板シート520の分割を容易にするのに適切なパターン、形状、寸法、又は密度を有し得る。スルーホール524は、機能的な有機体522を基板シート520上に形成する前に又は後に形成することが可能である(例えば、レーザー切断又はスタンピング)。機能的な有機体522上にはハイブリッド層が堆積されている。スルーホール524へのプラズマ活性種の拡散により、ハイブリッド層によるスルーホール524のコーティングが生じる。ハイブリッド層はまた、スルーホール524を介して基板シート520の下面をコーティングし得る。スルーホール524は、プラズマ活性種がスルーホール524へ容易に拡散するような大きさに設定される。例えば、拡散を促進するようにスルーホール524の縦横比を選択することができる。場合によっては、スルーホール524の幅は、少なくとも基板シート520の厚さと同程度の値とする。図40Bに示すように、スルーホール524に沿って基板シート520が分割されると(例えば、切断又は割ることにより)複数の独立したOLED526がもたらされる。各OLED526では、その側面と基板520の下面がハイブリッド層530によって覆われている。
【0098】
本発明で使用される堆積プロセスでは、有機電子デバイスが高温にさらされる場合がある。したがって、特定の実施形態では、本発明はまた、堆積プロセス中にデバイスから熱を移動させて逃がすことにより有機電子デバイスを冷却する方法も提供する。デバイスから熱を移動させるための一つのアプローチは、基板ホルダーを介した伝熱によるものである。このアプローチは、基板が金属基板の場合に特に有用である。かかる場合、例えば、基板から熱を逃がすために、基板ホルダーを冷却することもヒートシンクに連結することも可能である。
【0099】
デバイスから熱を移動させるための他のアプローチは、デバイスの電極の1つによるものである。このアプローチは、基板が断熱材料(例えば、いくつかのポリマー基板)で製造されていて、デバイスから熱を効果的に伝導して逃がすために使用できない場合に有用となり得る。したがって、このアプローチの場合、デバイスから伝熱により逃がすことには効果的に使用されない。例えば、図41を参照すると、OLED500では機能的な有機体502が基板504に実装されている。OLED500は上部金属電極506(例えばカソード)を備え、これは接続リード510を介して外側へ延びてヒートシンク508と連結されている。ヒートシンク508は、放熱に使用できる適切な構造体又はアセンブリであればどれでもよい(例えば、金属ストリップ、ラジエータ、冷却ファン)。OLED500へのハイブリッド層の堆積中に、熱は、OLED500から電極506及び接続リード510を介して伝熱して逃がされ、ヒートシンク508へ伝達される。
【0100】
前述の記載及び実施例は、単に本発明を例示するために説明されたものであり、限定されることを意図するものではない。開示された本発明の態様及び実施形態のそれぞれは、個々に、又は本発明の他の態様、実施形態、及び変形形態と組み合わせて考えられてよい。当業者によって、本発明の趣旨及び内容を組み込んだ開示された実施形態の変更が行われてもよく、このような変更は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
10 PE−CVD装置
20 反応室
22 電極
24 ホルダー
30 電子デバイス
40 前駆体物質源
50 Nガスタンク
60 反応ガスタンク
70 真空ポンプ
80 質量流量制御装置
82 遮断弁
84 逆止め弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機デバイス本体の基礎部として機能する表面に配置された前記有機デバイス本体を有する電子デバイスを保護するための方法であって、
前駆体物質の原料を提供する工程と、
前記電子デバイスに近接する反応位置に前記前駆体物質を移動する工程と、
前記前駆体物質の原料を使用する化学気相成長法によって前記有機デバイス本体上に第1のハイブリッド層を堆積する工程であり、前記第1のハイブリッド層がポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を含み、ポリマー材料の非ポリマー材料に対する重量比が95:5〜5:95の範囲であり、ポリマー材料及び非ポリマー材料が同一の前駆体物質原料から形成される、工程と、
前記有機デバイス本体の周囲に近接する1つ又は複数の領域にエッジバリアを配置する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記エッジバリアが乾燥剤材料を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機デバイス本体の周囲に近接する1つ又は複数の領域において、前記基礎部表面内に1つ又は複数の不連続部を形成し、前記乾燥剤材料を前記不連続部に堆積することにより、前記エッジバリアが形成される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記エッジバリアは前記第1のハイブリッド層上に堆積されるバリアコーティングであり、前記バリアコーティングは前記第1のハイブリッド層のエッジ上に延在する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記バリアコーティングで前記有機デバイス本体を覆わない請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記バリアコーティングが透明ではない請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記バリアコーティングが、ポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を備える第2のハイブリッド層であり、ポリマー材料の非ポリマー材料に対する重量比が95:5〜5:95の範囲にある請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のハイブリッド層が真空下で堆積され、前記真空が破られた後前記第2のハイブリッド層が堆積される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のハイブリッド層と前記バリアコーティングとの間にポリマー層を配置する工程を更に含む請求項4に記載の方法。
【請求項10】
基板上に配置された有機デバイス本体を有する電子デバイスを保護するための方法であって、
前駆体物質の原料を提供する工程と、
前記電子デバイスに近接する反応位置に前記前駆体物質を移動する工程と、
前記前駆体物質の原料を使用する化学気相成長法によって前記有機デバイス本体上にハイブリッド層を堆積する工程であり、前記ハイブリッド層がポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を含み、ポリマー材料の非ポリマー材料に対する重量比が95:5〜5:95の範囲であり、ポリマー材料及び非ポリマー材料が同一の前駆体物質原料から形成される工程と、を含み、
前記電子デバイスが相互接続リードを含み、前記ハイブリッド層が前記相互接続リードの側方エッジを覆う方法。
【請求項11】
前記相互接続リードが前記基板のエッジまで延在しない請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記相互接続リードが、前記ハイブリッド層を通って突き出す突起部を含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
基板上に配置された有機デバイス本体を有する電子デバイスを保護するための方法であって、
前駆体物質の原料を提供する工程と、
前記電子デバイスに近接する反応位置に前記前駆体物質を移動する工程と、
前記前駆体物質の原料を使用する化学気相成長法によって前記有機デバイス本体上にハイブリッド層を堆積する工程であり、前記ハイブリッド層がポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を含み、ポリマー材料の非ポリマー材料に対する重量比が95:5〜5:95の範囲であり、ポリマー材料及び非ポリマー材料が同一の前駆体物質原料から形成される工程と、を含み、
介在層が前記ハイブリッド層と前記基板との間に配置され、前記介在層が前記ハイブリッド層を前記基板に接着するように働く方法。
【請求項14】
基板上に配置された有機デバイス本体を有する電子デバイスを保護するための方法であって、
前駆体物質の原料を提供する工程と、
前記電子デバイスに近接する反応位置に前記前駆体物質を移動する工程と、
前記前駆体物質の原料を使用する化学気相成長法によって前記有機デバイス本体上にハイブリッド層を堆積する工程であり、前記ハイブリッド層がポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を含み、ポリマー材料の非ポリマー材料に対する重量比が95:5〜5:95の範囲であり、ポリマー材料及び非ポリマー材料が同一の前駆体物質原料から形成される工程と、を含み、
介在層が前記ハイブリッド層と前記有機デバイス本体の上部表面との間に配置され、前記介在層が前記ハイブリッド層を前記有機デバイス本体の前記上部表面に接着するように働く方法。
【請求項15】
ポリマー基板上に配置された有機デバイス本体を有する電子デバイスを保護するための方法であって、
前駆体物質の原料を提供する工程と、
前記電子デバイスに近接する反応位置に前記前駆体物質を移動する工程と、
前記前駆体物質の原料を使用する化学気相成長法によって前記有機デバイス本体上に第1のハイブリッド層を堆積する工程であり、前記第1のハイブリッド層がポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を含み、ポリマー材料の非ポリマー材料に対する重量比が95:5〜5:95の範囲であり、ポリマー材料及び非ポリマー材料が同一の前駆体物質原料から形成される工程と、を含み、
第2のハイブリッド層が、前記ポリマー基板の上部表面に配置され、前記第2のハイブリッド層上に前記有機デバイス本体が配置され、前記第2のハイブリッド層がポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を含み、ポリマー材料の非ポリマー材料に対する重量比が95:5〜5:95の範囲である方法。
【請求項16】
前記第2のハイブリッド層が、前記ポリマー基板の不活性化層として働く請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリマー基板が乾燥剤として働く請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリマー基板が、乾燥剤材料を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマー基板が脱気される請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第2のハイブリッド層が、前記ポリマー基板の底面も覆う請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記第2のハイブリッド層が、前記ポリマー基板の側部も含む前記ポリマー基板を完全に封入する請求項15に記載の方法。
【請求項22】
金属基板上に配置された有機デバイス本体を有する電子デバイスを保護するための方法であって、
前駆体物質の原料を提供する工程と、
前記電子デバイスに近接する反応位置に前記前駆体物質を移動する工程と、
前記前駆体物質の原料を使用する化学気相成長法によって前記有機デバイス本体上にハイブリッド層を堆積する工程であり、前記ハイブリッド層がポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を含み、ポリマー材料の非ポリマー材料に対する重量比が95:5〜5:95の範囲であり、ポリマー材料及び非ポリマー材料が同一の前駆体物質原料から形成される工程と、を含み、
前記電子デバイスが、前記金属基板の上部表面にポリマー平坦化層を含み、前記ポリマー平坦化層が前記金属基板のエッジまで延在しない方法。
【請求項23】
複数の有機デバイス本体を区切るための格子上に配置された前記複数の有機デバイス本体を有する電子デバイスを保護するための方法であって、
前駆体物質の原料を提供する工程と、
前記電子デバイスに近接する反応位置に前記前駆体物質を移動する工程と、
前記前駆体物質の原料を使用する化学気相成長法によって前記有機デバイス本体上にハイブリッド層を堆積する工程であり、前記ハイブリッド層がポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を含み、ポリマー材料の非ポリマー材料に対する重量比が95:5〜5:95の範囲であり、ポリマー材料及び非ポリマー材料が同一の前駆体物質原料から形成される工程と、を含む方法。
【請求項24】
前記格子が、水分又は酸素の流れを妨げる材料を含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記材料が無機材料である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記格子が、前記ハイブリッド層の一部が貫通する不連続部を備える請求項23に記載の方法。
【請求項27】
有機電子デバイスであって、
基板と、
前記基板上に配置される機能的な有機体と、
前記機能的な有機体に接続される相互接続リードと、
前記機能的な有機体上に配置され、前記相互接続リードの側方エッジを覆うハイブリッド層であり、ポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を含むハイブリッド層と、を含む有機電子デバイス。
【請求項28】
前記相互接続リードが前記基板のエッジまで延在しない請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記相互接続リードが、前記ハイブリッド層を通って突き出す突起部を備える請求項27に記載のデバイス。
【請求項30】
前記突起部が、前記ハイブリッド層の外側に出ている前記突起部の一部分にノブを更に備え、前記ノブが前記ハイブリッド層の表面上を側方に延びる請求項29に記載のデバイス。
【請求項31】
前記相互接続リードがステップ部を備える請求項27に記載のデバイス。
【請求項32】
前記ハイブリッド層と前記基板との間に配置される乾燥剤を更に備える請求項27に記載のデバイス。
【請求項33】
前記ハイブリッド層が、少なくとも厚さ800Åにわたる均質な組成を有する請求項27に記載のデバイス。
【請求項34】
前記ポリマー材料がポリマーシリコンであり、前記非ポリマー材料が無機シリコンである請求項27に記載のデバイス。
【請求項35】
有機電子デバイスであって、
金属基板と、
前記基板上に配置される機能的な有機体と、
前記金属基板と前記機能的な有機体との間に配置されるポリマー平坦化層であり、前記金属基板のエッジまで延在しないポリマー平坦化層と、
前記ポリマー平坦化層のエッジを覆うハイブリッド層であり、ポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を含むハイブリッド層と、を含む有機電子デバイス。
【請求項36】
前記ハイブリッド層が前記機能的な有機体を更に覆い、前記デバイスが、
前記機能的な有機体に接続された相互接続リードを更に含み、前記相互接続リードが、前記ポリマー平坦化層のエッジを越え、前記ポリマー平坦化層の前記エッジを前記相互接続リードが越えるステップ部を備える請求項35に記載のデバイス。
【請求項37】
前記ハイブリッド層が、前記相互接続リードの前記ステップ部を覆う請求項36に記載のデバイス。
【請求項38】
前記相互接続リードが、前記基板のエッジまで延在しない請求項37に記載のデバイス。
【請求項39】
前記相互接続リードが、前記ハイブリッド層を通って突き出す突起部を備える請求項38に記載のデバイス。
【請求項40】
前記ハイブリッド層が、ポリマー材料と非ポリマー材料の第1の混合物を含む第1のハイブリッド層であり、前記デバイスが、
前記機能的な有機体に接続された相互接続リードであり、前記第1のハイブリッド層を越え、前記第1のハイブリッド層を前記相互接続リードが越えるステップ部を備える相互接続リードと、
ポリマー材料と非ポリマー材料の第2の混合物を含み、前記機能的な有機体を覆う第2のハイブリッド層と、を更に含む請求項35に記載のデバイス。
【請求項41】
前記ハイブリッド層が、少なくとも厚さ800Åにわたる均質な組成を有する請求項35に記載のデバイス。
【請求項42】
前記ポリマー材料がポリマーシリコンであり、前記非ポリマー材料が無機シリコンである請求項35に記載のデバイス。
【請求項43】
有機電子デバイスであって、
ポリマー基板と、
前記基板の上部表面に配置され、ポリマー材料と非ポリマー材料との第1の混合物を含む第1のハイブリッド層と、
前記基板の下面に配置され、ポリマー材料と非ポリマー材料との第2の混合物を含む第2のハイブリッド層と、
前記第1のハイブリッド層上に配置される機能的な有機体と、
前記機能的な有機体上に配置され、ポリマー材料と非ポリマー材料との第3の混合物を含む第3のハイブリッド層と、を含む有機電子デバイス。
【請求項44】
前記第1のハイブリッド層、前記第2のハイブリッド層、又は前記第3のハイブリッド層のうちの少なくとも1つが、少なくとも厚さ800Åにわたる均質な組成を有する請求項43に記載のデバイス。
【請求項45】
前記ポリマー材料がポリマーシリコンであり、前記非ポリマー材料が無機シリコンである請求項43に記載のデバイス。
【請求項46】
有機電子デバイスであって、
基板と、
前記基板上に配置される機能的な有機体と、
前記機能的な有機体上に配置され、側方に延びて前記基板の側部エッジを覆い、ポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を含むハイブリッド層と、を含む有機電子デバイス。
【請求項47】
前記ハイブリッド層が、前記基板の下面の少なくとも一部を更に覆う請求項46に記載のデバイス。
【請求項48】
前記ハイブリッド層が、前記基板の下面全体を覆う請求項46に記載のデバイス。
【請求項49】
前記ハイブリッド層がポリマー材料と非ポリマー材料との第1の混合物を含む第1のハイブリッド層であり、前記デバイスが、前記基板の下面及び前記第1のハイブリッド層の少なくとも一部を覆う第2のハイブリッド層を更に含む請求項46に記載のデバイス。
【請求項50】
第1及び第2のハイブリッド層が、前記機能的な有機体及び前記基板を完全に封入する請求項49に記載のデバイス。
【請求項51】
前記機能的な有機体と接触する電極と、
前記電極に接続され、前記基板のエッジ上に外へ広がる接続リードと、を更に含み、
前記ハイブリッド層が前記接続リードの少なくとも一部分をコーティングする請求項46に記載のデバイス。
【請求項52】
前記電極が、前記機能的な有機体と前記基板との間に位置する請求項A1に記載のデバイス。
【請求項53】
前記ハイブリッド層が、少なくとも厚さ800Åにわたる均質な組成を有する請求項46に記載のデバイス。
【請求項54】
前記ポリマー材料がポリマーシリコンであり、前記非ポリマー材料が無機シリコンである請求項46に記載のデバイス。
【請求項55】
基板を有する有機電子デバイスを保護するための方法であって、
前記基板によってホルダー上に保持される有機電子デバイスを堆積チャンバ内に配置する工程と、
前駆体物質の原料を提供する工程と、
前記有機電子デバイスに近接する反応位置に前記前駆体物質を移動する工程と、
前記前駆体物質の原料を使用するプラズマ化学気相成長法によって前記有機電子デバイス上にハイブリッド層を堆積する工程であり、前記ハイブリッド層がポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を含み、ポリマー材料及び非ポリマー材料が同一の前駆体物質原料から形成される工程と、
前記ハイブリッド層が前記基板の側部エッジを覆うまで前記堆積プロセスを継続する工程と、を含む方法。
【請求項56】
前記ホルダーが前記基板の一部分だけをマスクし、前記ハイブリッド層が前記基板の下面の少なくとも一部分を覆うまで前記堆積プロセスが継続される請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記ハイブリッド層がポリマー材料と非ポリマー材料との第1の混合物を含む第1のハイブリッド層であり、前記第1のハイブリッド層を堆積した後で、
前記ホルダー上で前記有機電子デバイスを反転させる工程と、
前記有機電子デバイスに近接する反応位置に前記前駆体物質を移動する工程と、
前記前駆体物質の原料を使用するプラズマ化学気相成長法によって前記有機電子デバイス上に第2のハイブリッド層を堆積する工程であり、前記第2のハイブリッド層がポリマー材料と非ポリマー材料との第2の混合物を含み、ポリマー材料及び非ポリマー材料が同一の前駆体物質原料から形成される工程と、
前記第2のハイブリッド層が前記第1のハイブリッド層の少なくとも一部分を覆うまで前記堆積プロセスを継続する工程と、を更に含む請求項55に記載の方法。
【請求項58】
少なくとも厚さ800Åの前記ハイブリッド層が同じ反応条件で堆積される請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記前駆体物質が有機シリコン化合物である請求項55に記載の方法。
【請求項60】
有機電子デバイスであって、
基板と、
前記基板上に配置される複数の機能的な有機体と、
前記機能的な有機体を独立した画素領域に区切る格子であり、不連続部を備える格子と、
前記機能的な有機体と前記格子上に配置されるハイブリッド層であり、前記不連続部を貫通し、ポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を含むハイブリッド層と、を含む有機電子デバイス。
【請求項61】
前記ハイブリッド層が、少なくとも厚さ800Åにわたる均質な組成を有する請求項60に記載のデバイス。
【請求項62】
前記ポリマー材料がポリマーシリコンであり、前記非ポリマー材料が無機シリコンである請求項60に記載のデバイス。
【請求項63】
有機電子デバイスであって、
基板と、
前記基板上に配置される機能的な有機体と、
前記機能的な有機体上に配置されるハイブリッド層であり、ポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を含むハイブリッド層と、
前記ハイブリッド層上に配置され、前記ハイブリッド層のエッジ上に延びるバリアコーティングと、を含む有機電子デバイス。
【請求項64】
前記ハイブリッド層が、ポリマー材料と非ポリマー材料の第1の混合物を含む第1のハイブリッド層であり、前記バリアコーティングが、ポリマー材料と非ポリマー材料の第2の混合物を含む第2のハイブリッド層である請求項63に記載のデバイス。
【請求項65】
前記バリアコーティングが、前記機能的な有機体の少なくとも一部分を覆わない請求項63に記載のデバイス。
【請求項66】
前記バリアコーティングが透明ではない請求項65に記載のデバイス。
【請求項67】
前記基板の表面と前記バリアコーティングとの間に配置された介在層を更に有し、前記介在層が前記基板表面と前記バリアコーティングとの間の界面結合を増大させるように働く材料を含む請求項63に記載のデバイス。
【請求項68】
前記バリアコーティングと前記ハイブリッド層との間に配置された乾燥剤材料を更に含む請求項63に記載のデバイス。
【請求項69】
前記ハイブリッド層が、少なくとも厚さ800Åにわたる均質な組成を有する請求項63に記載のデバイス。
【請求項70】
前記ポリマー材料がポリマーシリコンであり、前記非ポリマー材料が無機シリコンである請求項63に記載のデバイス。
【請求項71】
基板と金属電極を備える有機電子デバイスを保護するための方法であって、
前記金属電極をヒートシンクに連結する工程と、
ポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を含むハイブリッド層を、前記有機電子デバイス上に堆積する工程と、を含む方法。
【請求項72】
前記ハイブリッド層がプラズマ化学気相成長法によって堆積される請求項71に記載の方法。
【請求項73】
少なくとも厚さ800Åの前記ハイブリッド層が同じ反応条件で堆積される請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記ポリマー材料がポリマーシリコンであり、前記非ポリマー材料が無機シリコンである請求項71に記載の方法。
【請求項75】
有機電子デバイスを形成する方法であって、
基板上に配置される複数の機能的な有機体を提供する工程と、
前記機能的な有機体上にバリアコーティングを塗布する工程と、
前記基板を切断して複数の個別の有機電子デバイスに分割する工程と、
ポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を含むハイブリッド層を、個々の有機電子デバイスのカットエッジ上に堆積する工程と、を含む方法。
【請求項76】
前記基板がフレキシブル基板であり、前記方法がロール・ツー・ロールプロセスを使用して前記基板上に複数の機能的な有機体を形成する工程を更に含む請求項75に記載の方法。
【請求項77】
少なくとも厚さ800Åの前記ハイブリッド層が同じ反応条件で堆積される請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記ポリマー材料がポリマーシリコンであり、前記非ポリマー材料が無機シリコンである請求項75に記載の方法。
【請求項79】
有機電子デバイスを保護するための方法であって、
(a)基板と、
(b)機能的な有機体と接触する電極と、
(c)前記電極に接続され、前記基板のエッジ上に外へ延びる接続リードと、を有する有機電子デバイスを提供する工程と、
前記有機電子デバイスを堆積チャンバ内に配置する工程であり、前記有機電子デバイスが前記接続リードによって前記堆積チャンバ内に保持される工程と、
前記機能的な有機体上に、及び前記接続リード上にハイブリッド層を堆積する工程であり、前記ハイブリッド層がポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を備える工程と、を含む方法。
【請求項80】
前記ハイブリッド層が前記基板の下面の少なくとも一部分を覆うまで前記堆積プロセスを継続する工程を更に含む請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記ハイブリッド層が前記基板の下面全体を覆うまで前記堆積プロセスを継続する工程を更に含む請求項80に記載の方法。
【請求項82】
少なくとも厚さ800Åの前記ハイブリッド層が同じ反応条件で堆積される請求項79に記載の方法。
【請求項83】
前記ポリマー材料がポリマーシリコンであり、前記非ポリマー材料が無機シリコンである請求項79に記載の方法。
【請求項84】
前記ハイブリッド層がプラズマ化学気相成長法によって堆積され、前記有機電子デバイスが、前記堆積プロセス中に、1つのプラズマ内に浸漬されるか又は2つ以上のプラズマ間に配置される請求項79に記載の方法。
【請求項85】
有機電子デバイスを形成する方法であって、
基板上に配置される複数の機能的な有機体を提供する工程であり、前記基板が、前記機能的な有機体の間に位置する複数のスルーホールを有する工程と、
ポリマー材料と非ポリマー材料との混合物を含むハイブリッド層を、前記機能的な有機体上に堆積する工程と、
前記スルーホールの内部エッジが前記ハイブリッド層で覆われるまで前記堆積プロセスを継続する工程と、
前記スルーホールに沿って前記基板を分割して、複数の個々の有機電子デバイスを提供する工程と、を含む方法。
【請求項86】
前記基板がフレキシブル基板であり、前記方法がロール・ツー・ロールプロセスを使用して前記基板上に前記複数の機能的な有機体を形成する工程を更に含む請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記基板の下面の少なくとも一部が前記ハイブリッド層で覆われるまで前記堆積プロセスを継続する工程を更に含む、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
前記スルーホールの幅が、前記基板の厚さと同じかそれより大きい請求項85に記載の方法。
【請求項89】
少なくとも厚さ800Åの前記ハイブリッド層が同じ反応条件で堆積される請求項85に記載の方法。
【請求項90】
前記ポリマー材料がポリマーシリコンであり、前記非ポリマー材料が無機シリコンである請求項85に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35A】
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【図35B】
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【図35C】
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【図36】
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【図37A】
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【図37B】
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【図37C】
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【図38】
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【図39】
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【図40A】
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【図40B】
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【図41】
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【図6】
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【図10A】
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【図10B】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−520041(P2011−520041A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508600(P2011−508600)
【出願日】平成21年5月5日(2009.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/042829
【国際公開番号】WO2010/011390
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(591003552)ザ、トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ (68)
【出願人】(503055897)ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション (61)
【Fターム(参考)】