説明

電子ビーム照射の方法及び装置

本発明は、ウェブWを電子ビーム照射する装置を通気する方法及び装置に関し、その方法は、ウェブ入口開口部115とウェブ出口開口部121を備える第1チャンバ107を設ける段階と、第1チャンバ107内部に延びる第2チャンバ111を設ける段階であって、第2チャンバ111が、ウェブ入口開口部114と、ウェブ出口開口部112と、電子線が適合されて第2チャンバ111内にそこを通って放射される電子線出口表面21とを備える段階と、ウェブWを、第2チャンバ111に通過させる段階と、気体流体を、第1チャンバ107のウェブ出口開口部121内に供給し、少なくとも1つの出口113をもたらすことによって、第1及び第2チャンバ107、111の両方を通して、ウェブWの走行方向と反対方向に前記流体の流れを作り出す段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブの少なくとも一方側を電子ビーム照射する装置と、この装置の通風方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品包装産業では、紙若しくは板紙、ポリマーなどの液体仕切り、及びアルミニウム薄膜などの気体仕切りの、異なった層を備える包装材料のウェブから形成された包装が長年使用されている。包装機械では、ウェブが、ウェブの縦縁部を重ねて密封することによって筒状物に形成される。筒状物には連続的に製品が充填され、横方向に密封され、クッション状のものに形成される。クッション状のものは分離され、並行6面体などに形成される。ウェブから筒状物を形成するこの技術は、それ自体がよく知られており、ここでは詳しく述べない。
【0003】
包装する製品の保存期間を延ばすために、形成動作及び充填動作の前に、ウェブを殺菌することが既に知られている。どれだけの長さの保存期間が所望され、分配及び保管が冷蔵温度で行なわれるのか、周囲温度で行なわれるのかに応じて、異なったレベルの殺菌を選択することができる。ウェブを殺菌する一方法に、過酸化水素槽などを使用して化学的に殺菌することがある。他の方法には、電子ビーム放射体から放射した電子線によってウェブを照射することがある。そのような放射体は、例えば米国特許第A5,194,742号などで開示されている。
【0004】
電子ビーム放射体を使用する際、何よりも考慮しなければならない2つの重要な事柄がある。第1は、装置内部の所望の殺菌レベルをどのようにして維持するかである。ウェブ殺菌用装置には、ウェブが進入し、退出するための開口部が設けられる。残念ながら、バクテリア及び汚れ粒子が開口部を通って、また装置の異なった部分同士の相互連結部、及び周辺器具を通って進入する可能性がある。これらのバクテリア及び汚れ粒子が装置内に残る場合、ウェブが殺菌された後に、それらがウェブを再汚染する可能性がある。
【0005】
第2に考慮すべきことは、どのようにして装置からオゾン(O)を排出して、装置の外側へのオゾン漏出の危険を最小限度に抑えるかということである。電子線照射装置内の酸素分子(O)の存在が、電子線照射中にラジカル反応によってオゾン形成を起こすことが一般に知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、上述の両方の考慮点が配慮され、解決される電子ビーム照射用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ウェブの少なくとも一方側を電子ビーム照射する装置を通気する方法に関する。本発明の第1の態様によると、この方法は、ウェブ入口開口部及びウェブ出口開口部を備える第1チャンバを設ける段階と、第1チャンバ内部に延びる第2チャンバを設ける段階であって、第2チャンバが、ウェブ入口開口部と、ウェブ出口開口部と、電子線が適合されて第2チャンバ内にそこを通って放射される電子線退出表面とを備える段階と、ウェブを第2チャンバに通過させる段階と、気体流体を第1チャンバのウェブ出口開口部内に供給し、少なくとも1つの出口を設けることによって、前記流体の流れを、第1及び第2チャンバの両方を通して、ウェブの走行方向と反対方向に作り出す段階とを含む。気体流体の流れを、装置を通してウェブの走行方向と反対方向にもたらすことによって、所望レベルの殺菌を装置内部で維持することができる。どのような時点でも装置に進入するどのようなバクテリア若しくは汚粒子も、流れによって、未殺菌ウェブが進入する装置のその端部に移送され、そこで装置から出口を通って排出される。したがって、充填動作及び密封動作の前に、殺菌されたウェブが再汚染される危険は、最小限度に抑えられる。さらに、電子線照射中に形成されるオゾン(O)を、第1及び第2チャンバの両方から、同じ気体流体の流れによって効果的に確実に排出することができる。したがって、オゾンが装置の外部に漏出する危険は、最小限度に抑えられる。
【0008】
追加の利点として、気体流体の流れは、装置の予備殺菌中に使用するのに適切である。例えば過酸化水素などを気体流体に供給することができ、それによって第1及び第2チャンバの表面が殺菌される。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、この方法は、ウェブ入口開口部及びウェブ出口開口部を備える第1チャンバを設ける段階と、第1チャンバ内部に延びる第2チャンバを提供する段階であって、第2チャンバが、ウェブ入口開口部と、ウェブ出口開口部と、電子線が適合されて第2チャンバ内へそこを通って放射される電子線退出表面とを備える段階と、ウェブを第2チャンバに通過させる段階と、第2チャンバのウェブ出口開口部と第1チャンバのウェブ出口開口部に流体接続をもたらす段階と、第1チャンバと第1チャンバのウェブ出口開口部との流体接続を防止する段階と、気体流体を第1チャンバ及び第1チャンバのウェブ出口開口部内に供給し、少なくとも1つの出口を設けることによって、第1及び第2チャンバの両方を通して、ウェブの走行方向と反対方向に前記流体の流れを作り出す段階とを含む。気体流体の流れを、装置を通してウェブの走行方向と反対方向にもたらすことによって、所望レベルの殺菌を装置内部で維持することができ、オゾンを漏出なく装置の外部に安全に排出することができる。さらに、それぞれのチャンバで異なった圧力を有することが所望される場合、この設計は有利であるが、それは、チャンバは、それぞれに少なくとも1つの気体流体供給部によって供給されるからである。
【0010】
この方法は有利に、第1チャンバのウェブ入口開口部と、第1チャンバ及び第2チャンバのウェブ入口開口部のいずれとにも流体接続をもたらす段階を含む。この流体接続をもたらすことによって、第1チャンバからの気体流体を、第2チャンバから排出することができ、それによって出口を1つしか設けなくてよい。
【0011】
好ましい実施例では、この方法は、第1チャンバのウェブ出口開口部と、第1チャンバ及び第2チャンバのウェブ出口開口部のいずれとにも流体接続をもたらす段階を含む。このようにして、両方のチャンバに、同じ気体流体供給部によって、容易に供給することができる。
【0012】
追加の実施例では、第2チャンバのウェブ出口開口部は、第1チャンバのウェブ出口開口部と間隔を置いて、好ましくは実質的にそれに沿って位置する。このようにして、2つのチャンバの間でウェブ案内部を配置する必要がなく、第1チャンバの出口開口部を通って進入する気体流体は、両方のチャンバに容易に供給される。
【0013】
出口は、第2チャンバのウェブ入口開口部の近傍に設けられることが好ましい。ウェブ出口開口部の反対側の装置の端部に出口を設けることによって、バクテリア又は汚れ粒子が、ウェブが未だ殺菌されていない装置のその端部に押しやられ、それによって、ウェブが一旦殺菌された後の再汚染の危険が最小限度に抑えられる。
【0014】
出口が、第2チャンバ内部に、ウェブ入口開口部の近傍に有利に設けられる。このようにして、オゾンが第1チャンバに到達する可能性が低くなり、それによって、装置外部への漏出の危険がさらに最小限度に抑えられる。
【0015】
好ましい実施例では、出口が、第1チャンバのウェブ入口開口部の近傍に設けられる。このようにして、殺菌されたウェブが再汚染される危険を最小限度に抑えて、排出を信頼のおける形で行なうことができる。
【0016】
この方法は、第1の超過圧力が第1閉鎖チャンバ内部で作り出され、第2の超過圧力が第2チャンバ内部で作り出されるように気体流体の流れを制御する段階を含むことが好ましい。第1及び第2チャンバで超過圧力をもたらすことによって、装置外部からチャンバに進入するバクテリア及び汚れ粒子を有する危険が最小限度に抑えられる。このように、装置内部を所望の殺菌レベルに保つことができる。
【0017】
一実施例では、超過圧力は、第1超過圧力と第2超過圧力が同じになるように選択される。このようにして、例えばオゾンや汚れ粒子などの、2つのチャンバ間の望ましくない移送が防止される。
【0018】
他の実施例では、第1超過圧力と第2超過圧力が異なるように超過圧力が選択される。例えば第1超過圧力の方を第2超過圧力よりも高くすることができる。このような選択をする1つの理由は、オゾンを即座に排出することのできる第2チャンバ内にオゾンを保つためである。第2超過圧力を、第1超過圧力よりも大きくなるように選択する1つの理由は、例えば味抜けなどを引き起こすオゾン及び他の最終的な揮発性物質が、第2チャンバから迅速に抜けるようにすることにある。
【0019】
本発明は、ウェブの少なくとも一方側を電子ビーム照射する装置も含む。この装置は、ウェブ入口開口部及びウェブ出口開口部を備える第1チャンバと、第1チャンバ内部に延びる第2チャンバであって、ウェブ入口開口部と、ウェブ出口開口部とを備え、電子線が適合されて第2チャンバ内にそこを通って放射される電子線退出窓が設けられた電子ビーム放射体を受け取るように適合された第2チャンバとを備え、ウェブが第2チャンバを通過するように適合され、第1チャンバのウェブ出口開口部が気体流体供給部と連通するように適合され、両方のチャンバが出口と連通し、供給部及び出口が、気体流体の流れを、第1及び第2チャンバの両方を通してウェブの走行方向と反対方向に作り出すように適合される。先に説明したように、所望レベルの殺菌を装置内部で保つことができる。さらに、電子線照射中に形成されたオゾン(O)を、第1及び第2チャンバの両方から、効果的に確実に排出することができる。装置外部へのオゾン漏出の危険がそれによって最小限度に抑えられる。
【0020】
本発明は、ウェブの少なくとも一方側を電子線照射する装置であって、ウェブ入口開口部及びウェブ出口開口部を備える第1チャンバと、第1チャンバ内部に延びる第2チャンバであって、ウェブ入口開口部及びウェブ出口開口部を備え、電子が適合されて第2チャンバ内にそこを通って放射され電子線退出窓が設けられた電子線放射体を受け取るように適合された第2チャンバとを備え、ウェブが第2チャンバを通過するように適合され、流体接続が、第2チャンバのウェブ出口開口部と第1チャンバのウェブ出口開口部の間に設けられるように適合され、流体接続が、第1チャンバと第1チャンバのウェブ出口開口部の間で防止されるように適合され、第1チャンバのウェブ出口開口部が、第1気体流体供給部と連通するように適合され、第1チャンバが、第2気体流体供給部と連通するように適合され、両方のチャンバが出口と連通し、第1供及び第2供給部と出口が、気体流体の流れを、第1及び第2チャンバの両方を通してウェブの走行方向と反対方向に作り出す装置も含む。
【0021】
本発明は、ウェブの少なくとも一方側を電子ビーム照射する装置であって、ウェブ入口開口部及びウェブ出口開口部を備える第1チャンバと、第1チャンバ内部に延びる第2チャンバであって、ウェブ入口開口部と、ウェブ出口開口部と、電子線が第2チャンバ内にそこを通って放射される電子線退出窓が設けられた電子ビーム放射体とを備える第2チャンバとを備え、ウェブが第2チャンバを通過するように適合され、第1チャンバのウェブ出口開口部が、気体流体供給部と連通し、両方のチャンバが出口と連通し、供給部と出口が、気体流体の流れを、第1及び第2チャンバの両方を通してウェブの走行方向と反対方向に作り出すように適合される装置をさらに含む。
【0022】
さらに、本発明は、ウェブの少なくとも一方側を電子ビーム照射する装置であって、ウェブ入口開口部及びウェブ出口開口部を備える第1チャンバと、第1チャンバ内部に延びる第2チャンバであって、ウェブ入口開口部と、ウェブ出口開口部と、電子線が第2チャンバ内にそこを通って放射される電子線退出窓が設けられた電子ビーム放射体とを備える第2チャンバとを備え、ウェブが第2チャンバを通過するように適合され、流体接続が、第2チャンバのウェブ出口開口部と第1チャンバのウェブ出口開口部との間にもたらされ、第1チャンバが、第1チャンバのウェブ出口開口部と流体接続するのを防止され、第1チャンバのウェブ出口開口部が、第1気体流体供給部と連通し、第1チャンバが、第2気体流体供給部と連通し、両方のチャンバが出口と連通し、第1及び第2供給部と出口が、気体流体の流れを、第1及び第2チャンバの両方を通して、ウェブの走行方向と反対方向に作り出すように適合される装置をさらに備える。
【0023】
以下に、本発明の現在のところ好ましい実施例を、同封の図面を参照してより詳しく述べる。
【実施例】
【0024】
図1に示す装置は、1つ又は2つの放射体2、3が取り付けられた内側ハウジング1を備える。内側ハウジングの中央部分は、放射体を受け取るように適合される。内側ハウジング1はトンネルを形成し、包装材料のウェブWが、トンネルを通って送られ、放射体2、3を通過する。さらに、内側ハウジング1には、ウェブが進入し、退出する入口部分5及び出口部分6が設けられる。ウェブ入口部分5は、ウェブWの入口部分5内への入方向が、ウェブWの入口部分5から外への出方向に対して角度付けされるように設計される。ウェブWの入口部分5から外への出方向は、ウェブWが放射体2、3を通過する方向と等しい。ウェブWの入口部分5における入方向と出方向の間の角度は、少なくとも90°である。入口部分5は、少なくとも2つの位置で角度付けされるように形成される。図2では、入口部分5が、3つの連続したセグメント(区分)、進入セグメント5a、中央セグメント5b、退出セグメント5cを備えることを示す。中央セグメント5bは、進入セグメント5aに対して第1角度αを形成し、退出セグメント5cは、中央セグメント5bに対して第2角度βを形成する。さらに、トンネル幅、前記角度α、β、及びセグメント5a〜cの長さの関係は、進入セグメント5aのトンネル壁に当たる想像上の直線が、退出セグメント5cを退出する前に少なくとも退出セグメント5cのトンネル壁にも当たるようなものであり、また、進入セグメント5aを通過する想像上の直線が、中央セグメント5bのトンネル壁に当たって、退出セグメント5cを退出する前に、少なくとも退出セグメント5cのトンネル壁にも当たるようなものである。図3及び4には、どのようにして設計を、紙、定規、及びペンを用いて得ることができるかを示す。図3には、第1の最悪の事例を開示する。直線が、進入セグメント5a外部から始まって引かれ、それが、実質的に、進入セグメント5aと中央セグメント5bの間の外側隅を指す。直線は、進入セグメント5aのトンネル壁に当たり、実質的に、中央セグメント5bと退出セグメント5cの間の内側隅を指すように引かれる。トンネル幅、角度α、β、及びセグメント長さの関係が充分に良好であると考えられる場合、直線は、退出セグメント5cを退出する前に退出セグメント5cのトンネル壁に必ず当たることになる。図4には、第2の最悪の事例を開示する。直線がここでは、進入セグメント5a外部に始まって引かれ、それが、実質的に、進入セグメント5aの退出口付近の内側隅を指すが、中央セグメント5bのトンネル壁に当たっている。直線は次いで、実質的に、中央セグメント5bと退出セグメント5cの間の内側隅を指す。トンネル幅、角度α、β、及びセグメント長さの関係が充分に良好であると考えられる場合、直線は、退出セグメント5cを退出する前に退出セグメント5cのトンネル壁に必ず当たることになる。したがって、特定の角度が使用される場合、修正することができる変数は、トンネル幅又はセグメント長さのいずれかである。幅の広いトンネルは長いセグメントを必要とする。短いセグメントが必要な場合、トンネル幅を縮小しなければならない。他の可能性としては、当然ながら一方又は両方の角度を変更することがある。
【0025】
ウェブWの走行方向の変更は、入口部分5に少なくとも1つのウェブ案内部を設けることによって実施される。実施例では、ウェブ案内部は、入口部分5内部に取り付けられた第1ローラ及び第2ローラ9、10である。ここに開示する設計では、ウェブWは、入口部分5内に実質的に水平方向に入り、入口部分5を出、内側ハウジング1に進入する時、実質的に垂直上向きになる。この方向の変更を実施するために、ローラ9、10は、第1ローラ9がウェブWに第2角度βを付け、第2ローラ10がウェブWに第1角度αを付けるように形成され、相互に位置付けられる。ローラ9、10は支持部材に嵌められる。支持部材は、例えば外側遮蔽物、又はトンネルと同じ設計基準に従って設計されたベアリング・ハウジングが設けられたベアリングであることができる。
【0026】
出口部分6も同様に、進入セグメント6a、中央セグメント6b、及び退出セグメント6cを備えて設計される。ウェブWの走行方向を変更するために、出口部分6は1つ又は複数のローラ11、12を備える。入口部分5及び出口部分6は、ウェブWが、出口部分6を出る際に、入口部分5に進入する際と同じ方向に走行するように取り付けられ、設計される。開示する設計では、入口部分5と出口部分6は同一であり、それぞれの部分5、6で同じフランジを使用して、内側ハウジング1の対面1a、1bに取り付けられるが、内側ハウジング1を通って走行するウェブWの中心線に沿って延びる軸Aの周りで180°回転される。したがって、入口部分5と出口部分6それぞれの進入セグメント5a、6aは、トンネルの中央部分に隣接し、入口部分5と出口部分6それぞれの退出セグメント5c、6cは、相互に離れて方向付けがなされる。
【0027】
外側ハウジング4が内側ハウジング1を取り囲み、外側ハウジング4には、ウェブWの進入と退出のための入口7と出口8を形成する開口部が取り付けられる。
【0028】
放射体2、3が、電子ビームを退出窓21、31から外に伝送する。ウェブWの一方側が、第1放射体2によって照射され、反対側が第2放射体3によって照射される。この目的のために、第2電子ビーム放射体3は、実質的に第1放射体2の反対側に位置決めされ、第2放射体3の電子線退出窓31は、実質的に第1電子線退出窓21の反対側に位置決めされる。以下には放射体2しかより詳しく述べない。図5に示す開示設計によると、放射体2は一般に、フィラメント23及びケージ24が中に設けられた真空チャンバ22を備える。フィラメント23はタングステンで作られる。電流がフィラメント23に送られると、フィラメント23の電気抵抗によって、フィラメント23が2000℃程度の温度に加熱される。この加熱によって、フィラメント23は電子雲を放射する。多数の開口部が設けられたケージ24が、フィラメントを取り囲む。ケージ24は、ファラデー箱として働き、電子線を制御されたやりかたで分配する助けとなる。電子線は、ケージ24と退出窓21の電位差によって加速される。使用する放射体は、一般に低電圧電子ビーム放射体と示され、それらの放射体は、通常300kV以下の電圧を有する。ここに開示する設計では、加速電圧は、70〜85kV程度である。この電圧は、各電子線について結果として70〜85keVの運動エネルギー(動力)となる。電子線退出窓は、実質的に平面であり、実質的にウェブと並行に設けられる。さらに、退出窓21は、金属製フォイルで作られ、6μm程度の厚みを有する。アルミニウムで形成された支持ネットが、退出窓21を支持する。この種類の放射体が、米国特許第B1−6,407,492号でより詳しく述べられている。米国特許第A−5,637,953号には、開示されている他の放射体がある。この放射体は、一般的に退出窓が付いた真空チャンバを備え、真空チャンバ内に、フィラメント及び2枚の集束プレートが設けられる。米国特許第A−4,910,435号には、開示されている他の放射体があり、そこでは電子線が、イオンによって衝撃を与えられた材料からの二次的な放射力によって放射される。上記特許を参照して、これらの異なった放射体をより詳しく述べる。これらの放射体及び他の放射体を、ここで述べるシステムで使用できることを企図するものである。
【0029】
電子線が真空チャンバ内にある限り、それらは、ケージ24及び窓に供給される電圧によって画定される線に沿って走行するが、それらが放射体の窓から放射体を退出するが否や、それらは多かれ少なかれ不規則な軌道を移動し始める(散逸)。電子線は、それらが中でも空気分子、バクテリア、ハウジングのウェブ及び壁と衝突するにつれて、速度を落とす。この電子線の速度低下、即ち運動エネルギーの損失は、全方向へのX線(レントゲン線)放射を発生させる。X線は、直線に沿って伝播する。このようなX線がハウジングの内部壁に当たる時、X線は材料の中に特定距離分進入し、第1X線の進入点から全方向に、新しいX線の放射力を引き起こす。X線がハウジングの壁に当たり、二次的なX線を発生させる度に、エネルギーは、ハウジングの材料の選択に応じて、約700〜1000分の1に小さくなる。ステンレス・スチールは、約800の縮小率を有し、即ち二次的X線のエネルギーは、主X線に対して約800分の1に縮小される。鉛も、照射が関係する際にしばしば考慮される材料である。鉛の縮小率はより低いが、他方、材料を通したX線伝送に対してより大きな抵抗を有する。電子線が約80kVの電圧によって加速される場合、それぞれに約80keVの運動エネルギーが与えられる。このエネルギー・レベルのX線が内側ハウジング1を通過しないことを保証するために、内側ハウジング1は、22mmの厚みを有するステンレス・スチールで作られる。この厚みは、X線が壁に対して直角に走行するように算出される。壁に対して傾斜して走行するX線は、同じ深さに到達するのに、壁の中で、より長い距離を移動することになり、即ち壁は、より厚く見える。壁の厚みは、ハウジング外部の照射量に関する政府規制によって決定される。現在は、照射がそれ未満でなくてはならない制限値は、0.1mの距離で測定して0.1μSv/hであり、これによってアクセス可能な表面、即ち外部遮蔽部が形成される。材料の選択及び大きさは、現在適用されている規制に左右され、新しい規制が、材料の選択及び大きさを変更する可能性があることに留意されたい。各電子線のエネルギー(80keV)及び電子線の数が、電子雲の総エネルギー量を決定する。この総エネルギー量が、殺菌する表面へのエネルギーの総移送量となる。この照射エネルギーは、ユニット・グレイ(Gy)で測定される。先に簡単に述べた(フィラメント及びファラデー・ケージが付いた)電子線放射体の場合、現在のところ、約17mAの電流をフィラメントを通して使用するのが適切であると考えられている。しかし、これは決定した照射レベル及び殺菌する表面の面積によって決まる。本実施例では、放射体を35m/sの速度で走行する400mm幅のウェブを殺菌することを企図する。これは、平均で35kGy程度の照射エネルギーを与えることになる。他の実施例では、ウェブの幅は400mmのままであるが、ウェブが走行する速度は100m/sに上昇される。同じ照射エネルギー、35kGyを得るために、電流が約50mAに増大される。
【0030】
以下に、装置の気体流体システムを述べる。この実施例では、流体は空気であるが、当然ながら、この装置が使用される応用分野で適切な任意の気体流体であることができる。
【0031】
図6に示す機械の空気システム100は、圧縮機101と、加圧空気がそこから得られる水分離器102とを備える。この空気は、空気が約100℃まで中で予備加熱される熱交換器103に供給される。熱交換器103からは、空気は、空気が330〜450℃の範囲の温度に加熱される過熱器104に送られる。330℃を超える温度で、空気中のどのようなバクテリアも殺される。殺菌率は、温度と、バクテリアが前記温度にさらされた時間による。過熱器104からの空気は、熱交換器103に戻されて、入ってくる空気の上述の予備加熱を達成する。熱交換器103の2度目の通過後、空気は約90℃の温度を有する。次いで空気は切替弁106に送られ、これが充填機櫂の塔105と流体接続する第1分岐部と、外側ハウジング4によって形成される第1チャンバ107に流体接続する第2分岐部とを有する。塔105に供給された少量の空気は、ウェブWについて行き、出口開口部108から塔105の外に出る。塔105では、ウェブWは、ウェブの縦端部を重ねて密封することによって筒状物に形成される。筒状物には、ウェブが未だ筒状物に変形されていない端部から筒状物内に延びる製品管109を介して、連続的に製品が充填される。ウェブから筒状物を形成するこの技術は、それ自体がよく知られており、ここでは詳しく述べない。開口部108の外に制御された空気の流れを有するために、出口開口部108には(図示しない)密封リングが設けられる。これは、出口開口部108に、開口部108から外に送られる筒状物に対して所与の隙間を設けることによっても達成される。筒状物は、横方向に密封され、クッションに形成され、これが分離され、並行6面体の容器に形成される。この場合も、この技術はそれ自体がよく知られており、ここでは詳しく述べない。塔105に供給される空気のかなりの部分は、ウェブWの走行方向とは反対方向に塔105に流入する。塔105には、空気出口開口部110として働くウェブ入口開口部110が設けられる。塔105からの空気は、内側ハウジング1の形状を成す第2チャンバ111に送られる。
【0032】
以下に、図6の破線を付けた区域について述べる。この破線は、第1及び第2チャンバ内への空気流れの2つの代替的実施例を表す。第1実施例では、線は連続しており、第2チャンバ111のウェブ出口開口部112と、第1チャンバ107の、出口8とも示されるウェブ出口開口部121との間の直接の閉鎖連通を表す。第2の実施例では、線は存在せず、第1及び第2チャンバ107、111の両方と、第1チャンバ107のウェブ出口開口部121との開放連通を表す。
【0033】
第1実施例では、第2チャンバ111のウェブ出口開口部112と、第1チャンバ107のウェブ出口開口部121との流体接続がもたらされてある。したがって、空気は、空気流入口開口部112として働くウェブ出口開口部112を経て第2チャンバ111内に送られる。塔105は第1空気供給部として働く。第2チャンバ111のウェブ出口開口部112が、第1チャンバ107のウェブ出口開口部121と間隔を置いて、好ましくは実質的にそれに沿って位置する場合、流体接続は、例えば、第2チャンバ111のウェブ出口開口部112を、第1チャンバ107のウェブ出口開口部121に接続する管を備えることができる。別法として、第2チャンバ111のウェブ出口開口部112が、第1チャンバ107のウェブ出口開口部121に延びる。第1チャンバ107と、第1チャンバ107のウェブ出口開口部121との流体接続が、そのようにして防止される。先に述べたように、切替弁106は、第1チャンバ107への空気供給部106として働く。
【0034】
第2実施例では、第1チャンバ107と第2チャンバ111の両方が、第1チャンバ107のウェブ出口開口部121と流体接続し、したがってチャンバ107、111の両方が塔105の空気供給部と接続する。さらに、第1チャンバ107が、追加の空気供給のために弁106と接触する。
【0035】
いずれの実施例でも、第2チャンバ111の空気は、第2チャンバ111を通ってウェブWの走行方向とは反対方向に流れる。第2チャンバ111をほぼ完全に通過した後、空気は排出口113から送られて、最終的な空気処理を受ける。同様に、第1チャンバ107にもたらされた空気は、ウェブWの走行方向とは反対方向に流れる。第1チャンバ107及び第2チャンバ111からの空気は、出口113から排出される。したがってチャンバ107、111はいずれも出口と接触している。第1チャンバ107に供給された少量の空気は、入口7とも示すウェブ入口開口部115から逃げる。空気の逃げる量は隙間の形状及び使用する密封による。言い換えると、これは、何よりウェブに予備使用の開口装置が供給されるか否かによる。
【0036】
排出口113は、第2チャンバ111のウェブ入口開口部114の付近に位置する。図1では、出口113が第2チャンバ111内部に位置する。出口113を、例えば第2チャンバ111のウェブ入口開口部114の近傍に位置付けることもできる。出口113は、第2チャンバ111からのほぼ全ての空気と、第1チャンバ107からの空気の大部分とを排出する。第1チャンバ107のウェブ入口開口部115と、第1チャンバ107及び第2チャンバ111のウェブ入口開口部114のいずれとの間にも流体接続がもたらされる。図7で示す代替的実施例では、出口113は、第2チャンバ111と流体接続する2つの分岐部113a、113bを備える。図面を参照すると、第1出口分岐部113aが、第2チャンバ111のウェブ入口開口部114の近傍のチャンバ壁の頂部に位置し、第2出口分岐部113bが、第1チャンバの底部壁に位置する。
【0037】
システム内の空気は、第1超過圧力が第1チャンバ107内部で作り出されるように制御される。ここで述べる実施例では、この圧力は、30mmHO程度である。さらに、第2超過圧力が第2チャンバ111内部で作り出される。この超過圧力は、例えば第1超過圧力と第2超過圧力が同じになるように選択される。別法として、超過圧力が、第1超過圧力と第2超過圧力が異なるようにも選択される。第1圧力が第2圧力より高く、又はその反対であることができる。第1超過圧力を、それが第2超過圧力よりも高くなるように選択する1つの理由は、照射中に形成されたオゾン(O)を、出口113からそれを即座に排出することができる第2チャンバ111内に保つことにある。さらに、低い方の第2超過圧力は、装置の予備殺菌中に、例えば機械の始動の助けとなる。第2チャンバで、第1チャンバと比較して低い方の圧力を有することによって、殺菌中に使用する過酸化水素の充分な量が第2チャンバ内部に押しやられる。予備殺菌について以下により詳しく述べる。第2超過圧力を、それが第1超過圧力よりも高くなるように選択する1つの理由は、オゾンと、結果として生じる例えば味抜けなどを引き起こす他の揮発性物質とを第2チャンバから迅速に抜けるようにすることにある。
【0038】
内側ハウジング1の内部、即ち放射体2、3の周囲には第2チャンバ111内部の圧力よりも低いことが好ましい圧力が設けられる。第2チャンバ111内部の圧力よりも低い圧力を選択することの1つの理由は、ハウジング1に含まれる汚染された空気によってウェブWを再汚染する危険を最小限度に抑えることにある。この特定の実施例で使用する放射体2、3には特定の圧力は必要ではないので、内側ハウジング1の圧力は、大気圧であることができる。しかし、使用する放射体によって必要となる場合は、内側ハウジング1を加熱してもよいこと理解されたい。
【0039】
第1チャンバ107の外部では、空気システム100に所謂ゼロ・ポイント116が設けられる。ゼロ・ポイント116は、システム内で何かが故障した場合に、圧力が大気圧よりも下がるのを回避するのに必要な空気が、ゼロ・ポイント116からシステム内に送られることを確実にする装置である。このようにして、塔105、第1チャンバ107、及び第2チャンバ111内部の圧力が、少なくとも大気圧よりも下がらないことが保証される。ゼロ・ポイント116は一般に、入口117及び出口118と、弁120によって閉鎖される開口部119とを備えるハウジングを備える。大気圧を超える圧力が弁を外向きに押して、開口部119を密閉閉鎖する。ゼロ・ポイント116内部の圧力が、大気圧よりも下がる場合、弁120は開口部119に対して押し付けられない(反対に、弁は内向きにゼロ・ポイント116内に押され、空気を開口部119を通ってシステム内に導入することができる)。
【0040】
例えば機械の始動中、ウェブWを進入させる前に、空気システム100を使用して塔105、チャンバ107、111内部の表面を殺菌することができる。殺菌は、過酸化水素(H)で行なわれる。過酸化水素を使用する殺菌は、それ自体が知られているが、以下に空気システム100を参照して簡単に述べる。塔105は、噴霧ノズルが設けられた過酸化水素供給部と接続する。ノズルは過酸化水素を噴霧として空気の中に送り、塔に供給された空気は、過酸化水素が蒸発する温度、通常40〜50℃程度の温度まで加熱される。過酸化水素水が含まれた空気が塔、チャンバ107、111を通って先に述べた方向に流れ、排出口113で排出される。その途中、過酸化水素が表面で凝縮する。過酸化水素は次いで、過酸化水素の蒸発温度又はそれより高い温度の空気を供給することによって、表面から除去される。この実施例では、70〜90℃程度の温度が使用される。蒸発温度よりも充分に高い温度をもたらすことによって、過酸化水素は効果的且つ迅速に表面から除去される。
【0041】
ウェブWを電子ビーム照射する方法に従って、ウェブWがトンネルを通過するようにもたらされる。トンネルにはウェブ入口部分5と、ウェブ出口6と、電子線退出窓21、31が設けられた電子ビーム放射体2、3を受け取るように適合された中央部分とが設けられる。電子線は、放射体2、3から電子線退出窓21、31を通ってトンネル内に放射され、ウェブWの照射中に電子線によって形成されたX線は、トンネルを退出する前に2回トンネル壁に必ず当たるようになる。少なくとも2回当たることを達成するために、トンネルは、入口部分5と出口部分6それぞれの少なくとも2箇所で角度をつけて形成される。
【0042】
さらにこの方法は、入口部分5が3つの連続したセグメント、進入セグメント5a、中央セグメント5b、及び退出セグメント5cのラインを備えるようにそれを形成することを含む。中央セグメント5bは、進入セグメント5aに対して第1角度αを形成するように作られる。さらに退出セグメント5cは、中央セグメント5bに対して第2角度βを形成する。出口部分6も同様に設計される。
【0043】
トンネル幅、前記角度α、β、及びセグメント5a〜cの長さの関係は、進入セグメント5aでトンネル壁に当たる想像上の直線が、退出セグメント5cを退出する前に、少なくとも退出セグメント5cのトンネル壁にも当たるように、また進入セグメント5aを通過する想像上の直線が、退出セグメント5cを退出する前に、少なくとも退出セグメント5cのトンネル壁にも当たるように、中央セグメント5bのトンネル壁に当たるように形成される。
【0044】
電子線照射中、オゾン(O)が装置内部で形成されることが知られている。したがって、本発明は、装置を通気する方法も含む。この方法は、ウェブ入口開口部115とウェブ出口開口部121を備える第1チャンバ107を設ける段階を含む。第1チャンバ107は外側ハウジング4である。トンネルである第2チャンバ111も設けられ、第1チャンバ107内部に延びる。第2チャンバ111にはウェブ入口開口部114とウェブ出口開口部112が設けられる。さらに、電子線が適合されて第2チャンバ111内にそこを通って放出される、電子線退出窓21、31も設けられる。ウェブWは、第2チャンバ111を通過し、第1チャンバ107と第2チャンバ111の両方を通る空気流が作り出される。この空気流は、ウェブWの走行方向とは反対方向に流れる。空気は、第1チャンバ107のウェブ出口開口部121内に供給され、少なくとも1つの出口113が設けられてある。
【0045】
代替的方法では、流体接続が、第2チャンバ111のウェブ出口開口部121と、第1チャンバ107のウェブ出口開口部112との間で設けられる。同時に、第1チャンバ107と、第1チャンバ107のウェブ出口開口部121との流体接続が防止される。前記空気を第1チャンバ107内、及び第1チャンバ107のウェブ出口開口部121内に供給し、少なくとも1つの出口113を設けることによって、第1チャンバ107と第2チャンバ111の両方を通る、ウェブWの走行方向とは反対方向の空気流を作り出すことができる。空気は、第1チャンバ107と流体接続する弁106から第1チャンバ107に供給される。
【0046】
この方法によると、ウェブWはこのように第1チャンバ107のウェブ入口開口部115から装置に進入し、第2チャンバ111にそのウェブ入口開口部114で進入する。開口部115、114のいずれも、ウェブWを通す際、それが真っ直ぐ、実質的に水平に保たれるように位置付けられる。入口部分5内部では、ウェブWは、第1ローラ9で第2角度β分角度付けされ、第2ローラ10で第1角度α分角度付けされる。走行中、ウェブWは、ウェブWとは反対方向に流れる空気流に対する。ウェブWが、ここで垂直方向に走行してトンネルの中央部分を通過する時、ウェブWが放射体2、3によってそこから放射される電子線退出窓21、31を通過する。電子線退出窓21、31はトンネルの両側に位置し、それによってウェブWの両側を照射する。照射後、ウェブWは出口部分6内に進入するが、そこで、入口部分5のようにウェブWは2回角度付けされる。最後にそれは、第2チャンバ111のウェブ出口開口部112、次いで第1チャンバ107のウェブ出口開口部121を通って装置を退出し、それによって塔105に進入する。
【0047】
本発明を、現在のところ好ましい実施例に関して述べたが、添付請求項で規定する本発明の目的及び範囲から逸脱せずに、様々な修正形態及び変更形態を成すことができることを理解されたい。
【0048】
ここに述べた実施例は、2つの放射体2、3、即ち一方がウェブWの一方側を電子線照射し、他方がウェブWの他方側を電子線照射するものを備える。しかしこの装置は、2つの放射体2、3を備える必要はなく、1つの放射体しか備えなくてもよいことを理解されたい。さらに、2つの放射体2、3は相互に対向して位置付けられると述べた。別法としてそれらをウェブの方向に、相互から間隔を置いて位置付けることもできる。
【0049】
さらに、放射体の数は2つを超えてもよいことも理解されたい。例えば、いくつかの放射体を並べて有して、幅の広いウェブを取り扱うことも可能である。またウェブの方向に沿って相互の後ろに位置する複数の照射体を有して、それらが一緒になって決定された照射レベルを提供する後続の殺菌ゾーンを形成し、或いは、例えばより高い照射レベルを必要とすることのある閉鎖装置などの、特定点に対する選択的照射の手段となることも可能である。
【0050】
さらに、出口113の位置を修正することができることを理解されたい。上述の実施例では、出口113は、第2チャンバ111内部に位置する。別法として、出口113を、例えば第2チャンバ111のウェブ入口開口部114の近傍、又は第1チャンバ107のウェブ入口開口部115の近傍に位置付けることもできる。また出口113を、第1チャンバ107の外部、入口開口部115付近に位置付けることも可能である。
【0051】
さらに、上述の実施例では、出口113は第2チャンバ111内部に位置し、第1チャンバ107は第2チャンバ111と流体接続する。代替的実施例では、第2チャンバ111のウェブ入口開口部114は、第1チャンバ107のウェブ入口開口部115と流体接続し、第1チャンバ107と、そのウェブ開口部115と、第2チャンバ111のウェブ入口開口部114との流体接続は防止される。2つのチャンバ107、111は別個の出口と流体接続する。少なくとも1つの出口を、第1チャンバ107内に位置付けることができ、少なくとも1つの出口を、第2チャンバ111に位置付け、又は第2チャンバ111と流体接続させることができる。
【0052】
さらに、過酸化水素を使用するここに述べる空気システムは、殺菌の適用分野で使用されることが好ましい。低温殺菌された製品を取り扱うのに使用する包装機械の対応する空気システムでは、空気流は同様であるが、機械の殺菌は、通常ろ過空気を使用して行なわれる。上述のシステムの代わりに、このシステムはフィルタ及びファンを備えることもできる。動作中にオゾンをチャンバから抜くために、このシステムに触媒コンバータを設けることができる。
【0053】
さらに、図示する実施例では、第2チャンバ111のウェブ入口開口部114は、第1チャンバ107のウェブ入口開口部115から間隔を置いて、好ましくはそれに沿って位置する。別法として、第2チャンバ111は第1チャンバのウェブ入口開口部115まで延びることができ、それによって第1チャンバ107とウェブ入口開口部115の流体接続を防止する。第2チャンバ111の壁にはその代わり通り抜け開口部、好ましくはスリットが、ウェブ入口開口部から間隔を置いて、しかし出口113の前に設けられる。したがって2つのチャンバの流体接続が設けられ、この配置は、所謂噴射効果を生じて、第1チャンバからスリットを通って第2チャンバ内に入る空気流を作り、第2チャンバで空気流を出口113から抜くことができる。少量の空気を、ハウジング外部からウェブ入口開口部115から吸い込むこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】この装置の実施例の概略的断面図である。
【図2】トンネル、アングル、放射体を備えた内側ハウジングのセグメントを示す概略図である。
【図3】それらのセグメントのトンネル幅、角度、及び長さの関係についての第1概略図である。
【図4】それらのセグメントのトンネル幅、角度、及び長さの関係についての第2概略図である。
【図5】この装置に封入される放射体の概略的断面図である。
【図6】本発明による空気システムの概略図である。
【図7】図1と同様の概略図であるが、他方側から示してあり、代替的実施例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ(W)の少なくとも一方側を電子ビーム照射する装置を通気する方法であって、
ウェブ入口開口部(115)とウェブ出口開口部(121)を備える第1チャンバ(107)を設ける段階と、
前記第1チャンバ(107)内部に延びる第2チャンバ(111)を設ける段階であって、前記第2チャンバ(111)が、ウェブ入口開口部(114)と、ウェブ出口開口部(112)と、電子線が適合されて前記第2チャンバ(111)内にそこを通って放射される電子線出口表面(21)とを備える段階と、
ウェブ(W)を、前記第2チャンバ(111)に通過させる段階と、
気体流体を、前記第1チャンバ(107)の前記ウェブ出口開口部(121)内に供給し、少なくとも1つの出口(113)をもたらすことによって、前記第1及び第2チャンバ(107、111)の両方を通して、前記ウェブ(W)の走行方向と反対方向に前記流体の流れを作り出す段階とを含む方法。
【請求項2】
ウェブ(W)の少なくとも一方側を電子ビーム照射する装置を通気する方法であって、
ウェブ入口開口部(115)とウェブ出口開口部(121)を備える第1チャンバ(107)を設ける段階と、
前記第1チャンバ(107)内部に延びる第2チャンバ(111)を設ける段階であって、前記第2チャンバ(111)が、ウェブ入口開口部(114)と、ウェブ出口開口部(112)と、電子線が適合されて前記第2チャンバ(111)内にそこを通って放射される電子線出口表面(21)とを備える段階と、
前記ウェブ(W)を、前記第2チャンバ(111)に通過させる段階と、
前記第2チャンバ(111)の前記ウェブ出口開口部(112)と、前記第1チャンバ(107)の前記ウェブ出口開口部(121)とに流体接続をもたらす段階と、
前記第1チャンバ(107)と、前記第1チャンバ(107)の前記ウェブ出口開口部(121)との流体接続を防止する段階と、
前記気体流体を、前記第1チャンバ(107)内に、また前記第1チャンバ(107)の前記ウェブ出口開口部(121)内に供給し、少なくとも1つの出口(113)をもたらすことによって、前記第1及び第2チャンバ(107、111)の両方を通して、ウェブ(W)の走行方向と反対方向に前記流体の流れを作り出す段階とを含む方法。
【請求項3】
前記第1チャンバ(107)の前記ウェブ入口開口部(115)と、前記第1チャンバ(107)及び前記第2チャンバ(111)の前記ウェブ入口開口部(114)のいずれとにも流体接続をもたらす段階を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1チャンバ(107)の前記ウェブ出口開口部(121)と、前記第1チャンバ(107)及び前記第2チャンバ(111)の前記ウェブ出口開口部(112)のいずれとにも流体接続をもたらす段階を含む、請求項1及び3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第2チャンバ(111)の前記ウェブ出口開口部(112)を、前記第1チャンバ(107)の前記ウェブ出口開口部(121)から間隔を置いて、好ましくは実質的にそれに沿って位置付ける段階を含む、請求項1から4までのいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記出口(113)を、前記第2チャンバ(111)の前記ウェブ入口開口部(114)の近傍にもたらす段階を含む、請求項1から5までのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第2チャンバ(111)内部に、前記ウェブ入口開口部(114)の近傍に前記出口(113)をもたらす段階を含む、請求項1から5までのいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第1チャンバ(107)の前記ウェブ入口開口部(115)の近傍に、前記出口(113)をもうける段階を含む、請求項1から5までに記載の方法。
【請求項9】
第1超過圧力が、前記第1チャンバ(107)内部で作り出され、第2超過圧力が、前記第2チャンバ(111)内部で作り出されるように、気体流体の流れを制御する段階を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
前記第1超過圧力と前記第2超過圧力が同じであるように超過圧力が選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1超過圧力と前記第2超過圧力が異なるように超過圧力が選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ウェブ(W)の少なくとも一方側を電子ビーム照射する装置であって、
ウェブ入口開口部(115)とウェブ出口開口部(121)を備える第1チャンバ(107)と、
前記第1チャンバ(107)内部に延びる第2チャンバ(111)であって、ウェブ入口開口部(114)と、ウェブ出口開口部(112)とを備え、電子線が適合されて前記第2チャンバ(111)内にそこを通って放射される電子線退出窓(21)が設けられる電子ビーム放射体(2)を受け取るように適合された前記第2チャンバ(111)とを備え、
前記ウェブ(W)が、前記第2チャンバ(111)を通過するように適合され、
前記第1チャンバ(107)の前記ウェブ出口開口部(121)が気体流体供給部と連通するように適合され、両方のチャンバ(107、111)が出口(113)と連通するように適合され、前記供給部と前記出口(113)が、気体流体の流れを、前記第1及び第2チャンバ(107、111)の両方を通して、前記ウェブ(W)の走行方向とは反対方向に作り出すように適合される装置。
【請求項13】
ウェブ(W)の少なくとも一方側を電子ビーム照射する装置であって、
ウェブ入口開口部(115)とウェブ出口開口部(121)を備える第1チャンバ(107)と、
前記第1チャンバ(107)内部に延びる第2チャンバ(111)であって、ウェブ入口開口部(114)と、ウェブ出口開口部(112)とを備え、電子線が適合されて前記第2チャンバ(111)内にそこを通って放射される電子線退出窓(21)が設けられる電子ビーム放射体(2)を受け取るように適合された第2チャンバ(111)とを備え、
前記ウェブ(W)が、前記第2チャンバ(111)を通過するように適合され、
流体接続が、前記第2チャンバ(111)の前記ウェブ出口開口部(112)と、前記第1チャンバ(107)の前記ウェブ出口開口部(121)との間に設けられるように適合され、
流体接続が、前記第1チャンバ(107)と、前記第1チャンバ(107)の前記ウェブ出口開口部(121)との間で防止されるように適合され、
前記第1チャンバ(107)の前記ウェブ出口開口部(121)が、第1気体流体供給部と連通するように適合され、
前記第1チャンバ(107)が、第2気体流体供給部と連通するように適合され、
両方のチャンバ(107、111)が、出口(113)と連通し、
前記第1及び第2供給部と出口(113)が、気体流体の流れを、前記第1及び第2チャンバ(107、111)の両方を通して、前記ウェブ(W)の走行方向とは反対方向に作り出すように適合される装置。
【請求項14】
ウェブ(W)の少なくとも一方側を電子ビーム照射する装置であって、
ウェブ入口開口部(115)とウェブ出口開口部(121)を備える第1チャンバ(107)と、
前記第1チャンバ(107)内部に延びる第2チャンバ(111)であって、ウェブ入口開口部(114)と、ウェブ出口開口部(112)と、電子線が前記第2チャンバ(111)内にそこを通って放射される電子線退出窓(21)が設けられた電子ビーム放射体(2)とを備える第2チャンバ(111)とを備え、
前記ウェブ(W)が、前記第2チャンバ(111)を通過するように適合され、
前記第1チャンバ(107)の前記ウェブ出口開口部(121)が気体流体供給部と連通し、両方のチャンバ(107、111)が出口(113)と連通し、前記供給部と前記出口(113)が、気体流体の流れを、前記第1及び第2チャンバ(107、111)の両方を通して、前記ウェブ(W)の走行方向とは反対方向に作り出すように適合される装置。
【請求項15】
ウェブ(W)の少なくとも一方側を電子ビーム照射する装置であって、
ウェブ入口開口部(115)とウェブ出口開口部(121)を備える第1チャンバ(107)と、
前記第1チャンバ(107)内部に延びる第2チャンバ(111)であって、ウェブ入口開口部(114)と、ウェブ出口開口部(112)と、電子線が前記第2チャンバ(111)内にそこを通って放射される電子線退出窓(21)が設けられた電子ビーム放射体(2)とを備える第2チャンバ(111)とを備え、
前記ウェブ(W)が、前記第2チャンバ(111)を通過するように適合され、
流体接続が、前記第2チャンバ(111)の前記ウェブ出口開口部(112)と、前記第1チャンバ(107)の前記ウェブ出口開口部(121)との間に設けられ、
前記第1チャンバ(107)が、前記第1チャンバ(107)の前記ウェブ出口開口部(121)と流体接続することを防止され、
前記第1チャンバ(107)の前記ウェブ出口開口部(121)が、第1気体流体供給部と連通し、
前記第1チャンバ(107)が、第2気体流体供給部と連通し、
両方のチャンバ(107、111)が出口(113)と連通し、
前記第1及び第2供給部と前記出口(113)が、気体流体の流れを、前記第1及び第2チャンバ(107、111)の両方を通して、ウェブ(W)の走行方向とは反対方向に作り出すように適合される装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−526549(P2006−526549A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508580(P2006−508580)
【出願日】平成16年6月8日(2004.6.8)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000894
【国際公開番号】WO2004/110869
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(591007424)テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム (190)
【Fターム(参考)】