電子ペーパー用カラーフィルタ部材、電子ペーパー、およびそれらの製造方法
【課題】本発明は、フレキシブル性およびバリア性を具備し、寸法安定性が良好であり、電子ペーパーに用いた際に視差が発生し難く、良好なカラー表示特性を得ることが可能な電子ペーパー用カラーフィルタ部材を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、屈曲性を有するガラス基材と、上記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層とを有し、上記カラーフィルタ層および上記透明電極層側に電子ペーパーの表示媒体層が配置されて用いられることを特徴とする電子ペーパー用カラーフィルタ部材を提供することにより、上記目的を達成する。
【解決手段】本発明は、屈曲性を有するガラス基材と、上記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層とを有し、上記カラーフィルタ層および上記透明電極層側に電子ペーパーの表示媒体層が配置されて用いられることを特徴とする電子ペーパー用カラーフィルタ部材を提供することにより、上記目的を達成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパーに用いられるカラーフィルタ部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペーパーと呼ばれる情報媒体の研究がなされている。この媒体は、対向する基板間にマイクロカプセル等の表示媒体を封入し、電気的に表示の切り替えを行うものであり、低消費電力、曲げ可能なフレキシブル性、薄く軽いなどの優れた特性に加えて、書き換え可能という際立った特長を有し、実用化段階に入りつつある。
【0003】
上述した電子ペーパーでカラー表示を行う手段として、表示媒体自身を着色する方法が提案されている。しかしながら、この方法では、表示媒体粒子を均一に分散させ、安定して駆動させることが難しく、実用化には至っていない。
【0004】
一方、別の手段として、液晶ディスプレイと同様にカラーフィルタを用いる方法が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、良好なカラー表示特性を得るための電子ペーパー全体の適切な層構成については言及されておらず、良好なカラー表示特性を得るための電子ペーパー用カラーフィルタ部材の設計についても明確ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−280044号公報
【特許文献2】特開2010−44337号公報
【特許文献3】特表2010−503895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子ペーパーは、長尺状の基材を用いて連続プロセスによって製造することが可能であることから、大量生産性に優れるという利点も期待されている。そこで、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の基材としては、一般的に樹脂製フィルムが用いられている。しかしながら、樹脂製フィルムには次のような問題点がある。
まず、電子ペーパーとしては、種々の表示方式が知られており、水分や酸素等に対するバリア機能が必要とされる場合が多いが、樹脂製フィルムはバリア性が低いという問題がある。そのため、バリア層を設けたりバリアフィルムを貼付したりすることが試みられている。しかしながら、バリア層の形成は通常減圧雰囲気下で行われることから、大掛りな設備が必要であり製造コストが嵩む、また製造工程が煩雑となるという難点がある。また、バリア機能に優れるバリアフィルムは非常に高価であるという難点がある。一方、ガラス基板を使用することでバリア機能を付与することができるが、電子ペーパーとして十分なフレキシブル性が得られない。
次に、電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いて電子ペーパーを作製する際には精密な位置合わせを必要とするが、樹脂製フィルムは寸法安定性に劣るため、製造中や動作中に位置ずれが生じるという問題がある。
【0007】
また、電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いて電子ペーパーを作製する場合、例えば、電子ペーパー用カラーフィルタ部材と、表示媒体フィルムと、対向基板とを貼り合わせる方法が挙げられるが、カラーフィルタと表示媒体との間に距離があると視差が生じるという問題もある。
【0008】
特許文献2には、ガラス基板を厚みが薄くなるようにエッチングすることで、フレキシブル性が付与されることが記載されており、例えば、プラスチック基板上にカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板と、薄いガラス基板上にTFTが形成されたTFTガラス基板と、表示媒体フィルムと、対向基板とが順に積層された電子ペーパーが開示されている。しかしながら、このような電子ペーパーではTFTガラス基板の厚さ分だけ視差が生じてしまう。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、フレキシブル性およびバリア性を具備し、寸法安定性が良好であり、電子ペーパーに用いた際に視差が発生し難く、良好なカラー表示特性を得ることが可能な電子ペーパー用カラーフィルタ部材を提供することを主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、屈曲性を有するガラス基材と、上記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層とを有し、上記カラーフィルタ層および上記透明電極層側に電子ペーパーの表示媒体層が配置されて用いられることを特徴とする電子ペーパー用カラーフィルタ部材を提供する。
【0011】
本発明によれば、屈曲性をもつガラス基材を有するため、フレキシブル性およびバリア性を兼備することができ、電子ペーパーに用いた場合に電子ペーパーの表示媒体層を水分や酸素等から保護することができる。また本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材は、カラーフィルタ層および透明電極層側に電子ペーパーの表示媒体層が配置されて用いられることから、カラーフィルタ層および表示媒体層の距離を近くすることができ、視差を生じ難くすることができる。さらに、ガラス基材は寸法安定性に優れているので、電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いて電子ペーパーを作製する際には精度良く位置合わせを行うことができ、製造中や動作中での位置ずれを抑制することができる。したがって、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いることにより、カラー表示特性に優れた電子ペーパーを得ることが可能となる。さらに本発明によれば、屈曲性を有するガラス基材を用いるので、ロール・ツー・ロール方式により電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成することができ、生産性の高い電子ペーパー用カラーフィルタ部材とすることができる。
【0012】
上記発明においては、上記ガラス基材の一方の表面上に上記カラーフィルタ層または上記透明電極層が直接形成され、かつ、上記カラーフィルタ層および上記透明電極層が直接積層されていることが好ましい。ガラス基材の一方の表面上に直にカラーフィルタ層または透明電極層が形成されていることにより、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の寸法安定性を高めることができ、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた場合に位置ずれを抑制することができる。またガラス基材はアウトガスが極めて少ないことから、アウトガスによる電子ペーパーの表示媒体層の劣化を抑制することができる。さらには、上記の構成とすることにより、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成を簡素化することができるため、電子ペーパーをさらに薄型化できるとともに、層界面数の減少により電子ペーパーの光学特性を向上させることができる。
【0013】
また本発明においては、光学機能層または表面保護層が、上記ガラス基材の他方の表面側に形成され、かつ最表面に配置されていることが好ましい。本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた場合に、光学機能層を有することにより視認性を向上させることができ、表面保護層を有することにより電子ペーパー表面の傷および汚れを防止することができるからである。
【0014】
さらに本発明においては、タッチパネル層が、上記ガラス基材の他方の表面側に形成されていてもよい。タッチパネル層を有することで、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた場合に、画面に直接触れることにより情報の入力が可能な利便性の高い電子ペーパーを得ることができる。
【0015】
また本発明においては、表示媒体層が、上記カラーフィルタ層および上記透明電極層上に形成されていてもよい。
【0016】
また本発明は、屈曲性を有するガラス基材、ならびに、上記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材と、対向基材および上記対向基材上に形成された対向電極層を有する対向電極基板と、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材の上記カラーフィルタ層および上記透明電極層、ならびに、上記対向電極基板の上記対向電極層の間に配置された表示媒体層とを有することを特徴とする電子ペーパーを提供する。
【0017】
本発明によれば、屈曲性を有するガラス基材を備える電子ペーパー用カラーフィルタ部材を有するため、フレキシブル性およびバリア性を両立することができ、電子ペーパーの表示媒体層を水分や酸素等から保護することができる。また本発明によれば、カラーフィルタ層の外側にガラス基材が設けられているので、カラーフィルタ層および表示媒体層の距離が近く、視差を生じ難くすることができる。さらに、ガラス基材は寸法安定性に優れているので、製造中や動作中での電子ペーパー用カラーフィルタ部材と表示媒体層と対向電極基板との位置ずれを抑制することができる。したがって、優れたカラー表示特性を得ることが可能である。さらに本発明によれば、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成を簡素化することができるため、電子ペーパーのさらなる薄型化が可能であるとともに、層界面数の減少により電子ペーパーの光学特性を向上させることが可能である。
【0018】
さらに本発明は、屈曲性を有するガラス基材が巻回されたロール状ガラス基材を用いて、上記ガラス基材と、上記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層とを有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程を有することを特徴とする電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法を提供する。
【0019】
本発明によれば、ロール状ガラス基材を用いるので、各層の高い位置精度が要求されない電子ペーパー用カラーフィルタ部材をロール・ツー・ロール方式により形成することができ、生産性を向上させることが可能である。
【0020】
上記発明においては、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程にて、上記ロール状ガラス基材から巻き出された上記ガラス基材の一方の表面上に、上記カラーフィルタ層または上記透明電極層を直接形成し、かつ、上記カラーフィルタ層および上記透明電極層を直接積層することが好ましい。ガラス基材は寸法安定性に優れているので、ガラス基材の一方の表面上に直にカラーフィルタ層または透明電極層を形成することにより、電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いて電子ペーパーを作製する際には精度良く位置合わせを行うことができ、製造中や動作中での位置ずれを抑制することができる。またガラス基材はアウトガスが極めて少ないので、アウトガスによる電子ペーパーの表示媒体層の劣化を抑制することができる。さらに、上記の構成とすることにより、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成を簡素化することができるため、電子ペーパーの薄型化および光学特性の向上を図ることができる。
【0021】
また上記発明においては、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程にて、上記ロール状ガラス基材から巻き出された上記ガラス基材の一方の表面上に、上記カラーフィルタ層および上記透明電極層の少なくともいずれか一方を貼付してもよい。生産性をさらに高めることができるからである。
【0022】
さらに本発明においては、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程が、タッチパネル層をシート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する、または、タッチパネル層をシート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートするタッチパネル層積層工程を有することが好ましい。本発明により製造される電子ペーパー用カラーフィルタ部材がタッチパネル層を有する場合、タッチパネル層はカラーフィルタ層とのアライメントを必要とするが、上記タッチパネル層積層工程を有することでアライメントが調整されるため、タッチパネル機能を備え、かつ電子ペーパーに用いた際にカラー表示特性が良好な電子ペーパー用カラーフィルタ部材を得ることができる。
【0023】
また本発明は、屈曲性を有するガラス基材が巻回されたロール状ガラス基材を用いて、上述の表示媒体層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程と、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材と、対向基材および上記対向基材上に形成された対向電極層を有する対向電極基板とを、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材の表示媒体層および上記対向電極基板の上記対向電極層が対向するように、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する貼合工程とを有することを特徴とする電子ペーパーの製造方法を提供する。
【0024】
本発明によれば、各層の高い位置精度が要求されない電子ペーパー用カラーフィルタ部材をロール・ツー・ロール方式により形成し、精密な位置合わせを必要とする電子ペーパー用カラーフィルタ部材と対向電極基板との貼り合わせをシート・ツー・シート方式を用いた真空アライメント貼合により行うことで、高精度な位置合わせを行うことができ、また生産性を高めることができる。高精度で生産性の高い電子ペーパーを得ることができる。また、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いることで、カラー表示特性に優れた電子ペーパーを得ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明においては、電子ペーパーに用いた際に、良好なカラー表示特性を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の他の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の他の例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の他の例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の他の例を示す概略断面図である。
【図8】本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の他の例を示す概略断面図である。
【図9】本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の他の例を示す概略断面図である。
【図10】本発明の電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。
【図11】本発明における対向電極基板の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材、電子ペーパー、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法および電子ペーパーの製造方法について詳細に説明する。
【0028】
A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材
まず、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材について説明する。本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材は、屈曲性を有するガラス基材と、上記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層とを有し、上記カラーフィルタ層および上記透明電極層側に電子ペーパーの表示媒体層が配置されて用いられることを特徴とするものである。
【0029】
なお、カラーフィルタ層および透明電極層が「ガラス基材の一方の表面側に形成される」とは、ガラス基材の一方の表面上に直接形成される場合だけでなく、ガラス基材の一方の表面上に他の層を介して形成される場合を含む概念である。また、「カラーフィルタ層および透明電極層が積層される」とは、カラーフィルタ層および透明電極層が直接積層されている場合だけでなく、カラーフィルタ層および透明電極層が他の層を介して積層されている場合を含む概念である。
【0030】
本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の一例を示す概略断面図である。図1に例示する電子ペーパー用カラーフィルタ部材10は、ガラス基材1と、ガラス基材1の一方の表面上に形成され、複数の着色層(2R、2G、2B)を備えるカラーフィルタ層2と、カラーフィルタ層2上に形成された透明電極層3とを有している。図1に示す電子ペーパー用カラーフィルタ部材10が電子ペーパーに用いられる場合、透明電極層3側に電子ペーパーの表示媒体層が配置される。
【0031】
図2は、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の他の例を示す概略断面図である。図2に例示する電子ペーパー用カラーフィルタ部材10は、ガラス基材1と、ガラス基材1の一方の表面上に形成された透明電極層3と、透明電極層3上に形成され、複数の着色層(2R、2G、2B)を備えるカラーフィルタ層2とを有している。図2に示す電子ペーパー用カラーフィルタ部材10が電子ペーパーに用いられる場合、カラーフィルタ層2側に電子ペーパーの表示媒体層が配置される。
【0032】
本発明によれば、屈曲性をもつガラス基材を有するので、フレキシブル性およびバリア性を兼備することができ、電子ペーパーに用いた場合に電子ペーパーの表示媒体層を水分や酸素等から保護することができる。また本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材は、カラーフィルタ層および透明電極層側に電子ペーパーの表示媒体層が配置されて用いられることから、表示媒体層との視差を生じ難くすることができる。さらに、ガラス基材は寸法安定性に優れているので、電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いて電子ペーパーを作製する際には精度良く位置合わせを行うことができ、製造中や動作中での位置ずれを抑制することができる。したがって、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いることにより、カラー表示特性に優れた電子ペーパーを得ることが可能となる。
【0033】
さらに本発明によれば、屈曲性を有するガラス基材を用いるので、ロール・ツー・ロール方式により電子ペーパー用カラーフィルタ部材を作製することができ、生産性の高い電子ペーパー用カラーフィルタ部材とすることができる。さらには、バリア層を形成したりバリアフィルムを貼付したりする必要がないため、簡易な手法で電子ペーパー用カラーフィルタ部材を作製することができるとともに、製造コストを削減することができる。
【0034】
また、ガラス基材は、光透過性、耐久性、耐候性、耐熱性、低アウトガス等に優れるという利点を有するため、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の基材として好適である。
【0035】
以下、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材における各構成について説明する。
【0036】
1.ガラス基材
本発明に用いられるガラス基材は、屈曲性を有し、カラーフィルタ層および透明電極層を支持するものである。また、ガラス基材は、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材が電子ペーパーに用いられた際に、電子ペーパーの表示媒体層を水分や酸素等から保護するものである。
【0037】
なお、「ガラス基材が屈曲性を有する」とは、ガラス基材を直径85mmのABS樹脂製の棒に1回巻きつけた後に、目視確認にてガラス基材に割れ・欠けの損傷が無いことを指す。
【0038】
ガラス基材としては、屈曲性および光透過性を有するものであれば特に限定されるものではなく、種々のガラス基材を用いることができる。
【0039】
ガラス基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。透過率が上記範囲であることにより、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた場合に、表示輝度が低下すること等を防止することができるからである。
ここで、ガラス基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
【0040】
このようなガラス基材としては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等のガラス基材を挙げることができ、中でも、無アルカリガラスが好ましい。
【0041】
ガラス基材の厚みとしては、屈曲性およびバリア性が発現する厚みであれば特に限定されるものではなく、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の用途等に応じて適宜調整すればよい。具体的に、ガラス基材の厚みは、150μm以下であることが好ましく、中でも20μm〜120μmの範囲内、特に50μm〜100μmの範囲内であることがより好ましい。ガラス基材の厚みが薄すぎると、バリア性や強度が損なわれるおそれがあり、ガラス基材の厚みが厚すぎると、屈曲性が得られず、また電子ペーパーの薄型化が困難となるおそれがあるからである。
【0042】
2.カラーフィルタ層
本発明に用いられるカラーフィルタ層は、ガラス基材の一方の表面側に形成され、複数の着色層を備えるものである。
なお、「ガラス基材の一方の表面側に形成される」とは、ガラス基材の一方の表面上に直接形成される場合だけでなく、ガラス基材の一方の表面上に他の層を介して形成される場合を含む概念である。
【0043】
カラーフィルタ層の形成位置としては、ガラス基材の一方の表面側にカラーフィルタ層および透明電極層が順不同に積層されていればよく、カラーフィルタ層および透明電極層の積層順は特に限定されるものではなく、図1に例示するようにガラス基材1、カラーフィルタ層2、透明電極層3の順であってもよく、図2に例示するようにガラス基材1、透明電極層3、カラーフィルタ層2の順であってもよい。ガラス基材、カラーフィルタ層、透明電極層の順に積層されている場合には、透明電極層および電子ペーパーの表示媒体層の位置が近くなるので、電子ペーパーに用いた際に透明電極層の電位を低く設定することができ、消費電力を低減することができる。一方、ガラス基材、透明電極層、カラーフィルタ層の順に積層されている場合には、カラーフィルタ層および電子ペーパーの表示媒体層の位置が近くなるので、電子ペーパーに用いた際に視差を生じにくくすることができる。したがって、いずれの場合にも、電子ペーパーの表示特性を良好にすることができる。
中でも、カラーフィルタ層および透明電極層が他の層を介して積層されている場合には、ガラス基材、カラーフィルタ層、透明電極層の順に積層されていることが好ましい。透明電極層および電子ペーパーの表示媒体層の位置が遠いと、電子ペーパーの駆動が困難となるからである。
【0044】
カラーフィルタ層を構成する複数の着色層としては、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いて電子ペーパーを作製した際に、所望の色を発色できるものであれば特に限定されるものではなく、一般的なカラーフィルタに用いられている各色の着色層を用いることができる。通常は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色からなる複数の着色層が用いられる。
【0045】
複数の着色層は、通常、複数色が規則的に配置されるようにパターン状に形成されるが、パターンとしては特に限定されるものではなく、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の用途等に応じて適宜選択することができる。このようなパターンとしては、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、および、4画素配置型等を挙げることができる。また、このとき個々の着色層の面積は特に限定されるものではなく、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いて製造する電子ペーパーの解像度等に応じて適宜調整される。
【0046】
着色層の材料については、一般的なカラーフィルタの着色層に用いられているものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0047】
着色層の膜厚としては、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた場合に、良好な画像表示を行うことができれば特に限定されるものではないが、具体的には、0.5μm〜3.0μmの範囲内で設定することができる。
【0048】
着色層の形成方法としては、所望の厚みの着色層を混色無く形成することができる方法であれば、特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、フォトリソグラフィー法やインクジェット法等、一般的に公知の方法を用いることができる。
【0049】
カラーフィルタ層は、少なくとも着色層を有していればよく、必要に応じて着色層以外の他の構成を有していてもよい。このような他の構成としては特に限定されるものではなく、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の用途等に応じて、任意の機能を備えるものを用いることができる。このような他の構成としては、画素を区画するために各着色層間に形成られる遮光部や、着色層を保護したりカラーフィルタ層表面を平坦化したりするために設けられるオーバーコート層等を挙げることができる。なお、遮光部およびオーバーコート層については、一般的なカラーフィルタに用いられているものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0050】
カラーフィルタ層2は、ガラス基材1の一方の表面側に、図1および図2に例示するように単独で形成されていてもよく、また図3に例示するようにカラーフィルタ層基材12上にカラーフィルタ層2が形成されたカラーフィルタ層積層体として形成されていてもよい。なお、図3において、カラーフィルタ層積層体は、カラーフィルタ層基材12上に粘着層4が形成されて貼り合わされている。図3において説明していない符号については、図1と同様である。
【0051】
中でも、カラーフィルタ層はガラス基材の一方の表面側に単独で形成されていることが好ましい。電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成を簡素化することができるため、電子ペーパーをさらに薄型化できるとともに、層界面数の減少により電子ペーパーの光学特性を向上させることができるからである。
【0052】
特に、図1および図2に例示するように、ガラス基材1の一方の表面上にカラーフィルタ層2または透明電極層3が直接形成され、かつ、カラーフィルタ層2および透明電極層3が直接積層されていることが好ましい。
ガラス基材は寸法安定性に優れているので、ガラス基材の一方の表面上に直にカラーフィルタ層または透明電極層が形成されていることにより、製造中や動作中での位置ずれを効果的に抑制することができる。またガラス基材はアウトガスが極めて少ないことから、アウトガスによる電子ペーパーの表示媒体層の劣化を抑制することができる。またガラス基材は耐久性、耐候性、耐熱性に優れているので、信頼性を向上させることができる。さらにガラス基材は光透過性に優れているので、電子ペーパーに用いた場合には高輝度を実現することができる。また、上記の構成とすることにより、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成を簡素化することができるため、電子ペーパーをさらに薄型化できるとともに、層界面数の減少により電子ペーパーの光学特性を向上させることができる。
【0053】
カラーフィルタ層がガラス基材の一方の表面側にカラーフィルタ層積層体として形成されている場合、カラーフィルタ層積層体では、カラーフィルタ層がガラス基材側に配置されていてもよく、カラーフィルタ層基材がガラス基材側に配置されていてもよい。
【0054】
カラーフィルタ層基材としては、光透過性を有するものであれば特に限定されるものではなく、一般的なカラーフィルタに用いられている透明基材と同様のものを用いることができる。
【0055】
カラーフィルタ層基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。透過率が上記範囲であることにより、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた場合に、表示輝度が低下すること等を防止することができるからである。
なお、カラーフィルタ層基材の透過率の測定方法は、上記ガラス基材の透過率の測定方法と同様である。
【0056】
このようなカラーフィルタ層基材としては、ガラス基板等の屈曲性を有さない透明な基材であってもよく、あるいは、樹脂製フィルム等の屈曲性を有する透明な基材であってもよい。中でも、屈曲性を有する基材が好ましく用いられる。屈曲性を有する基材を用いることにより、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材をロール・ツー・ロール方式によって製造することが可能となるからである。樹脂製フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、セルローストリアセテート(CTA)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリサルフォン(PSF)、ポリアミドイミド(PAI)等からなるフィルムを挙げることができる。
【0057】
カラーフィルタ層基材の厚みとしては、カラーフィルタ層を支持することができれば特に限定されるものではないが、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。カラーフィルタ層基材の厚みが薄すぎると、強度が低下するおそれがあり、カラーフィルタ層基材の厚みが厚すぎると、電子ペーパーの薄型化が困難となるおそれがあるからである。
【0058】
また、カラーフィルタ層積層体は、通常、粘着材からなる粘着層を形成して貼り合わされる。粘着層は、カラーフィルタ層積層体のカラーフィルタ層側に形成されていてもよく、カラーフィルタ層基材側に形成されていてもよい。
【0059】
粘着材としては、所望の強度で接着させることができ、かつ、光透過性を有するものであればよく、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等を挙げることができ、中でも、アクリル系樹脂が好ましい。
また、粘着層の膜厚としては、カラーフィルタ層積層体が剥離しないように貼り合わせることができれば特に限定されるものではなく、具体的には、5μm〜50μmの範囲内で設定することができる。
【0060】
3.透明電極層
本発明に用いられる透明電極層は、ガラス基材の一方の表面側に形成されるものである。
なお、「ガラス基材の一方の表面側に形成される」とは、ガラス基材の一方の表面上に直接形成される場合だけでなく、ガラス基材の一方の表面上に他の層を介して形成される場合を含む概念である。
【0061】
透明電極層の形成位置としては、ガラス基材の一方の表面側にカラーフィルタ層および透明電極層が順不同に積層されていればよく、カラーフィルタ層および透明電極層の積層順は特に限定されるものではなく、上記カラーフィルタ層の項に記載した通りである。
【0062】
透明電極層の材料としては、透明電極を形成することができる導電性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)等の導電性酸化物、Au、Ni等の金属、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子等を用いることができ、中でも、ITOが好適に用いられる。
【0063】
透明電極層の厚みとしては、透明電極層として機能することができれば特に限定されるものではないが、15nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。透明電極層の厚みが上記範囲に満たない場合は、透明電極層を均一な厚みで形成することが困難であるからであり、透明電極層の厚みが上記範囲を超える場合は、透明電極層の成膜に用いられる時間や材料が多くなるため、製造コストが高くなるからである。
【0064】
透明電極層の形成方法としては、所望の厚みで透明電極層を形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。このような透明電極層の形成方法としては、一般的な電極の成膜方法を用いることができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法や、CVD法、導電ペーストを塗布する方法等が挙げられる。また、透明電極層は、ガラス基材の一方の表面側に一面に形成されていてもよくパターン状に形成されていてもよい。
【0065】
透明電極層3は、ガラス基材1の一方の表面側に、図1および図2に例示するように単独で形成されていてもよく、また図4に例示するように透明電極層基材13上に透明電極層3が形成された透明電極層積層体として形成されていてもよい。なお、図4において、透明電極層積層体は、透明電極層基材13上に粘着層4が形成されて貼り合わされている。また、透明電極層3上には表示媒体層9が形成されている。図4において説明していない符号については、図1と同様である。
【0066】
中でも、透明電極層はガラス基材の一方の表面側に単独で形成されていることが好ましい。電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成を簡素化することができるため、電子ペーパーをさらに薄型化できるとともに、層界面数の減少により電子ペーパーの光学特性を向上させることができるからである。
【0067】
特に、上記カラーフィルタ層の項に記載したように、図1および図2に例示するように、ガラス基材1の一方の表面上にカラーフィルタ層2または透明電極層3が直接形成され、かつ、カラーフィルタ層2および透明電極層3が直接積層されていることが好ましい。
【0068】
透明電極層がガラス基材の一方の表面側に透明電極層積層体として形成されている場合、透明電極層積層体では、透明電極層がガラス基材側に配置されていてもよく、透明電極層基材がガラス基材側に配置されていてもよい。
【0069】
透明電極層基材としては、上記カラーフィルタ層基材と同様のものを用いることができる。透明電極層基材の厚みとしては、透明電極層を支持することができれば特に限定されるものではないが、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。
【0070】
また、透明電極層積層体は、通常、粘着材からなる粘着層を形成して貼り合わされる。粘着層は、透明電極層積層体の透明電極層側に形成されていてもよく、透明電極層基材側に形成されていてもよい。粘着材としては、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着材と同様のものを用いることができる。粘着層の膜厚としては、透明電極層積層体が剥離しないように貼り合わせることができれば特に限定されるものではなく、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着層の膜厚と同様である。
【0071】
4.その他の構成
本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材は、ガラス基材、カラーフィルタ層および透明電極層を少なくとも有していればよく、必要な構成を適宜追加することが可能である。以下、このような構成について具体的に説明する。
【0072】
(1)光学機能層
本発明においては、光学機能層が、上記ガラス基材の他方の表面側に形成され、かつ最表面に配置されていることが好ましい。光学機能層を有することにより、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた場合、視認性を向上させることができるからである。光学機能層は、後述の表面保護層を兼ねていてもよい。
なお、「ガラス基材の他方の表面側に形成される」とは、ガラス基材の他方の表面上に直接形成される場合だけでなく、ガラス基材の他方の表面上に他の層を介して形成される場合を含む概念である。
【0073】
図5(a)は、光学機能層を有する本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の一例を示す概略断面図である。図5(a)に示す例においては、光学機能層5、ガラス基材1、カラーフィルタ層2、透明電極層3の順に積層されている。図5(a)に示す電子ペーパー用カラーフィルタ部材10が電子ペーパーに用いられる場合、透明電極層3側に電子ペーパーの表示媒体層が配置される。
【0074】
光学機能層5は、ガラス基材1の他方の表面側に、図5(a)に示すように単独で形成されていてもよく、また図5(b)に示すように光学機能層基材15上に光学機能層5が形成された光学機能層積層体として形成されていてもよい。なお、図5(b)において、光学機能層積層体は、光学機能層基材15上に粘着層4が形成されて貼り合わされている。図5(a)、(b)においては、カラーフィルタ層2および透明電極層3の積層順が逆であってもよい。図5(a)、(b)において説明していない符号については、図1と同様である。
【0075】
光学機能層がガラス基材の一方の表面側に光学機能層積層体として形成されている場合、光学機能層積層体では、通常、光学機能層基材がガラス基材側に配置される。
【0076】
光学機能層基材としては、上述のカラーフィルタ層基材と同様のものを用いることができる。光学機能層基材の厚みとしては、光学機能層を支持することができれば特に限定されるものではないが、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。
【0077】
また、光学機能層積層体は、通常、粘着材からなる粘着層を光学機能層基材側に形成して貼り合わされる。粘着材としては、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着材と同様のものを用いることができる。粘着層の膜厚としては、光学機能層積層体が剥離しないように貼り合わせることができれば特に限定されるものではなく、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着層の膜厚と同様である。
【0078】
光学機能層の形成位置としては、光学機能層がガラス基材の他方の表面側に形成され、かつ最表面に配置されていれば特に限定されるものではない。光学機能層がガラス基材の一方の表面側に光学機能層積層体として形成されている場合、通常、光学機能層が最表面に配置される。
【0079】
光学機能層としては、例えば、防眩層、反射防止層、低反射層、のぞき見防止層等を挙げることができ、中でも、防眩層および反射防止層であることが好ましい。以下、防眩層および反射防止層について説明する。
【0080】
(i)防眩層(アンチグレア層)
本発明に用いられる防眩層は、防眩性を有するものである。防眩層は、例えば、表面に凹凸を有する、または、内部散乱性を有することにより、防眩性を発現し、明所コントラストを向上させることができる。また、防眩層を有することで、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた際に、ぎらつき等の発生を抑制することが可能である。このような防眩層としては、公知の防眩層を用いることができ、例えば、特開2010−44311号公報等で説明されているものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
防眩層の平均膜厚は、1μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
【0081】
(ii)反射防止層(アンチリフレクション層)
本発明に用いられる反射防止層は、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材が電子ペーパーに用いられた際に、電子ペーパー表面での外来光の鏡面反射による背景の映り込み、画像の白化および画像のコントラスト低下を防止する機能を有するものである。このような反射防止層としては、公知の反射防止層を用いることができ、例えば、特開2008−249882号公報等で説明されているものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
【0082】
(2)表面保護層
本発明においては、表面保護層が、上記ガラス基材の他方の表面側に形成され、かつ最表面に配置されていることも好ましい。表面保護層を有することにより、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた場合、電子ペーパー表面の傷および汚れを防止することができる。表面保護層は、上述の光学機能層を兼ねていてもよい。
なお、「ガラス基材の他方の表面側に形成される」とは、ガラス基材の他方の表面上に直接形成される場合だけでなく、ガラス基材の他方の表面上に他の層を介して形成される場合を含む概念である。
【0083】
図6(a)は、表面保護層を有する本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の一例を示す概略断面図である。図6(a)においては、表面保護層6、ガラス基材1、カラーフィルタ層2、透明電極層3の順に積層されている。図6(a)に示す電子ペーパー用カラーフィルタ部材10が電子ペーパーに用いられる場合、透明電極層3側に電子ペーパーの表示媒体層が配置される。
【0084】
表面保護層6は、ガラス基材1の他方の表面側に、図6(a)に示すように単独で形成されていてもよく、また図6(b)に示すように表面保護層基材16上に表面保護層6が形成された表面保護層積層体として形成されていてもよい。なお、図6(b)において、表面保護層積層体は、表面保護層基材16上に粘着層4が形成されて貼り合わされている。図6(a)、(b)においては、カラーフィルタ層2および透明電極層3の積層順が逆であってもよい。図6(a)、(b)において説明していない符号については、図1と同様である。
【0085】
表面保護層がガラス基材の一方の表面側に表面保護層積層体として形成されている場合、表面保護層積層体では、通常、表面保護層基材がガラス基材側に配置される。
【0086】
表面保護層基材としては、上述のカラーフィルタ層基材と同様のものを用いることができる。表面保護層基材の厚みとしては、表面保護層を支持することができれば特に限定されるものではなく、具体的には、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。
【0087】
また、表面保護層積層体は、通常、粘着材からなる粘着層を表面保護層基材側に形成して貼り合わされる。粘着材としては、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着材と同様のものを用いることができる。粘着層の膜厚としては、表面保護層積層体が剥離しないように貼り合わせることができれば特に限定されるものではなく、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着層の膜厚と同様である。
【0088】
表面保護層の形成位置としては、表面保護層がガラス基材の他方の表面側に形成され、かつ最表面に配置されていれば特に限定されるものではない。表面保護層がガラス基材の一方の表面側に表面保護層積層体として形成されている場合、通常、表面保護層が最表面に配置される。
【0089】
本発明に用いられる表面保護層としては、例えば、ハードコート層、防汚層、帯電防止層、抗菌層等を挙げることができ、中でも、ハードコート層および防汚層が好ましい。以下、ハードコート層および防汚層について説明する。
【0090】
(i)ハードコート層
本発明に用いられるハードコート層は、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材に耐擦傷性を付与する機能を有する層である。このようなハードコート層としては、公知のハードコート層を用いることができ、例えば、特開2010−44311号公報等で説明されているものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
なお、「ハードコート層」とは、一般にJIS 5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものをいう。中でも、ハードコート層表面の硬度が「3H」以上であることが好ましい。
【0091】
(ii)防汚層
本発明に用いられる防汚層は、ごみや汚れが付着するのを防止し、あるいはごみが付着しても除去しやすくするために設けられる層である。本発明においては、公知の防汚層を用いることができる。
【0092】
防汚層は、防汚剤をごく薄く塗布し、乾燥させることで形成することができる。防汚剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤等の界面活性剤、フッ素系樹脂を含む塗料、シリコーンオイル等の剥離剤、もしくはワックス等が挙げられる。
【0093】
本発明においては、防汚層は、ハードコート層と別に設けられるものであってもよいが、ハードコート層に上記防汚剤を添加することにより、防汚層としてもよい。中でも、コストを削減できることから、ハードコート層に防汚剤を添加して、防汚層とすることが好ましい。
【0094】
防汚層の膜厚としては、1nm〜30nmの範囲内であることが好ましい。防汚層の膜厚が上記範囲を超えると、光学的な影響が生じるおそれがあるからである。
【0095】
(3)タッチパネル層
本発明においては、タッチパネル層が、上記ガラス基材の他方の表面側に形成されていてもよい。タッチパネル層を有することで、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた場合に、画面に直接触れることにより情報の入力が可能な利便性の高い電子ペーパーを得ることができる。
なお、「ガラス基材の他方の表面側に形成される」とは、ガラス基材の他方の表面上に直接形成される場合だけでなく、ガラス基材の他方の表面上に他の層を介して形成される場合を含む概念である。
【0096】
図7は、タッチパネル層を有する本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の一例を示す概略断面図である。図7においては、光学機能層5(または表面保護層6)、光学機能層基材15(または表面保護層基材16)、粘着層4、タッチパネル層7、粘着層4、ガラス基材1、カラーフィルタ層2、透明電極層3の順に積層されている。図7に示す電子ペーパー用カラーフィルタ部材10が電子ペーパーに用いられる場合、透明電極層3側に電子ペーパーの表示媒体層が配置される。図7に例示する電子ペーパー用カラーフィルタ部材10の最表面は、光学機能層5であってもよく、表面保護層6であってもよい。図7においては、カラーフィルタ層2および透明電極層3の積層順が逆であってもよい。図7において説明していない符号については、図1と同様である。
【0097】
タッチパネル層は、通常、粘着材からなる粘着層を用いて貼り合わされる。粘着層は、タッチパネル層の片面に形成されていてもよく両面に形成されていてもよい。粘着材としては、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着材と同様のものを用いることができる。粘着層の膜厚としては、タッチパネル層が剥離しないように貼り合わせることができれば特に限定されるものではなく、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着層の膜厚と同様である。
【0098】
タッチパネル層としては、抵抗膜方式、静電容量方式、光学方式、電磁誘導方式、超音波方式等の各種の方式を使用することができる。
抵抗膜方式のタッチパネルは、基板上に形成した電極面がギャップを保ち、相対した構造となっている。指またはペンなどの押圧を受けると基板が変形し、電極が接触する。電圧を印加し、接触部の電位勾配を読み取ることにより入力点を検出する。抵抗膜方式のタッチパネル層の構成については、例えば、特開2003−307723号公報等で説明されたものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
静電容量方式のタッチパネルは、指などの導電体がパネルに触れることにより電気容量変化することを利用して入力点を検出する方式である。複数の方式があるが、このうち投影型では、誘電体を挟んでマトリックス状にパターニングされた電極の構造となっており、各電極の電気容量に起因した電圧変化から入力点を検出する。静電容量方式のタッチパネル層の構成については、例えば、特表2003−511799号公報等で説明されたものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
【0099】
タッチパネル層の形成位置としては、タッチパネル層がガラス基材の他方の表面側に形成されていれば特に限定されるものではないが、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材が光学機能層および表面保護層の少なくとも一方を有する場合、タッチパネル層はこれらの層よりもガラス基材側に配置される。
【0100】
(4)表示媒体層
本発明においては、表示媒体層が、上記カラーフィルタ層および上記透明電極層上に形成されていてもよい。
なお、「カラーフィルタ層および透明電極層上に形成される」とは、カラーフィルタ層および透明電極層の積層体上に直接形成される場合だけでなく、カラーフィルタ層および透明電極層の積層体上に他の層を介して形成される場合を含む概念である。
【0101】
本発明に用いられる表示媒体層は、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材が用いられる電子ペーパーの表示方式に応じて適宜選択されるものである。
電子ペーパーの表示方式としては、公知のものを適用することができ、例えば、電気泳動方式、ツイストボール方式、粉体移動方式(電子粉流体方式、帯電トナー型方式)、液晶表示方式、サーマル方式(発色方式、光散乱方式)、エレクトロクロミック方式、エレクトロウェッティング方式、磁気泳動方式などが挙げられる。中でも、電気泳動方式が好適に用いられる。この方式は、実用段階に入っているとともに、粒子移動型であるため、視野角依存性が少なく、かつ応答性に優れた電子ペーパーを得ることができるからである。
【0102】
電気泳動方式は、溶媒中に分散された帯電粒子が、電界によって電極間を移動する電気泳動現象を利用したものである。電気泳動方式には、例えば、マイクロカプセル方式、マイクロカップ方式等がある。
マイクロカプセル方式では、帯電した白色粒子および黒色粒子と、これらの粒子を分散する透明分散媒とを透明樹脂からなるマイクロカプセル中に封入し、電界を印加することにより、白色粒子および黒色粒子を上下させることで白黒表示または階調を表現する。
マイクロカップ方式では、カップ状の窪み(マイクロカップ)で仕切られたセルに、染料で着色した分散媒と、帯電した白色粒子とを配置し、電界を印加することにより、白色粒子を上下させることで白色または分散媒の色を表示させる。
【0103】
本発明に用いられる表示媒体層の構成、材料および形成方法については、各表示方式の一般的な電子ペーパーに用いられるものと同様とすることができる。
【0104】
以下、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材がマイクロカプセル方式の電子ペーパーに用いられる場合の表示媒体層を例に挙げて説明する。このような表示媒体層としては、例えば、白色粒子と黒色粒子と透明分散媒とからなる分散液を内包したマイクロカプセルをバインダー樹脂により固定したものを挙げることができる。
【0105】
透明分散媒としては、例えば、アルコール系溶媒、各種エステル類、ケトン類、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩又はその他の種々の油類等の単独、またはこれらの混合物に界面活性剤等を配合したものを用いることができる。
【0106】
白色粒子としては、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の白色顔料を用いることができ、黒色粒子としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料を用いることができる。
さらに必要に応じて、これらの顔料に、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加してもよい。
【0107】
マイクロカプセルの壁膜を形成する材料としては、例えば、アラビアゴム・ゼラチンの複合膜、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、尿素樹脂などの化合物を用いることができる。
【0108】
バインダー樹脂としては、マイクロカプセルの壁膜に対する親和性が良好で、上記透明電極層に対する密着性に優れ、かつ絶縁性を有するものを用いることができ、例えば、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シリコーン樹脂等を挙げることができる。
【0109】
このような表示媒体層は、例えば、マイクロカプセルをバインダー樹脂に分散してインキ化したものを上記透明電極層上に塗布することにより形成することができる。
【0110】
表示媒体層は、上記カラーフィルタ層および上記透明電極層上に、単独で形成されていてもよく、また表示媒体層基材上に表示媒体層が形成された表示媒体層積層体として形成されていてもよい。
表示媒体層がカラーフィルタ層および透明電極層上に表示媒体層積層体として形成されている場合、表示媒体層積層体では、表示媒体層がカラーフィルタ層および透明電極層側配置されていてもよく、表示媒体層基材がカラーフィルタ層および透明電極層側に配置されていてもよい。
表示媒体層基材としては、上述のカラーフィルタ層基材と同様のものを用いることができる。表示媒体層基材の厚みとしては、表示媒体層を支持することができれば特に限定されるものではないが、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。
また、表示媒体層積層体は、通常、粘着材からなる粘着層を表示媒体層基材側に形成して貼り合わされる。粘着材としては、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着材と同様のものを用いることができる。粘着層の膜厚としては、表示媒体層積層体が剥離しないように貼り合わせることができれば特に限定されるものではなく、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着層の膜厚と同様である。
【0111】
表示媒体層の形成位置としては、表示媒体層がカラーフィルタ層および透明電極層上に形成されていれば特に限定されるものではない。
【0112】
5.電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成
本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成としては、以下のようなものが挙げられる。
・ガラス基材1/カラーフィルタ層2/透明電極層3(図1参照)
・ガラス基材1/透明電極層3/カラーフィルタ層2(図2参照)
・ガラス基材1/粘着層4/カラーフィルタ層基材12/カラーフィルタ層2/透明電極層3(図3参照)
・ガラス基材/粘着層/透明電極層基材/透明電極層/カラーフィルタ層(図示なし)
・ガラス基材1/カラーフィルタ層2/粘着層4/透明電極層基材13/透明電極層3/表示媒体層9(図4参照)
・ガラス基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層/透明電極層基材/表示媒体層(図示なし)
・ガラス基材1/粘着層4/カラーフィルタ層基材12/カラーフィルタ層2/粘着層4/透明電極層基材13/透明電極層3/表示媒体層9(図8参照)
・ガラス基材/粘着層/カラーフィルタ層基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層/透明電極層基材/表示媒体層(図示なし)
上述の層構成において、ガラス基材の一方の表面側(電子ペーパーの表示媒体層が配置される側または表示媒体層側)の最表面に粘着層が形成されていてもよい。
・ガラス基材1/カラーフィルタ層2/透明電極層3/表示媒体層9/粘着層4(図9(a)参照)
・ガラス基材1/透明電極層3/カラーフィルタ層2/表示媒体層9/粘着層4(図9(b)参照)
【0113】
本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材が光学機能層を有する場合、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成としては、以下のようなものが挙げられる。
・光学機能層5/ガラス基材1/カラーフィルタ層2/透明電極層3(図5(a)参照)
・光学機能層5/光学機能層基材15/粘着層4/ガラス基材1/カラーフィルタ層2/透明電極層3(図5(b)参照)
・光学機能層/ガラス基材/透明電極層/カラーフィルタ層
・光学機能層/光学機能層基材/粘着層/ガラス基材/透明電極層/カラーフィルタ層
・光学機能層/ガラス基材/粘着層/カラーフィルタ層基材/カラーフィルタ層/透明電極層
・光学機能層/光学機能層基材/粘着層/ガラス基材/粘着層/カラーフィルタ層基材/カラーフィルタ層/透明電極層
・光学機能層/ガラス基材/粘着層/透明電極層基材/透明電極層/カラーフィルタ層
・光学機能層/光学機能層基材/粘着層/ガラス基材/粘着層/透明電極層基材/透明電極層/カラーフィルタ層
・光学機能層/ガラス基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層基材/透明電極層/表示媒体層
・光学機能層/ガラス基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層/透明電極層基材/表示媒体層
・光学機能層/光学機能層基材/粘着層/ガラス基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層基材/透明電極層/表示媒体層
・光学機能層/光学機能層基材/粘着層/ガラス基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層/透明電極層基材/表示媒体層
・光学機能層/ガラス基材/粘着層/カラーフィルタ層基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層基材/透明電極層/表示媒体層
・光学機能層/ガラス基材/粘着層/カラーフィルタ層基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層/透明電極層基材/表示媒体層
・光学機能層/光学機能層基材/粘着層/ガラス基材/粘着層/カラーフィルタ層基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層基材/透明電極層/表示媒体層
・光学機能層/光学機能層基材/粘着層/ガラス基材/粘着層/カラーフィルタ層基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層/透明電極層基材/表示媒体層
上述の層構成において、ガラス基材の一方の表面側(電子ペーパーの表示媒体層が配置される側または表示媒体層側)の最表面に粘着層が形成されていてもよい。
・光学機能層/ガラス基材/カラーフィルタ層/透明電極層/表示媒体層/粘着層
・光学機能層/光学機能層基材/粘着層/ガラス基材/カラーフィルタ層/透明電極層/表示媒体層/粘着層
・光学機能層/ガラス基材/透明電極層/カラーフィルタ層/表示媒体層/粘着層
・光学機能層/光学機能層基材/粘着層/ガラス基材/透明電極層/カラーフィルタ層/表示媒体層/粘着層
【0114】
本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材が表面保護層を有する場合の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成としては、上述の層構成において、光学機能層を表面保護層に置き換えることにより例示することができる。
【0115】
本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材がタッチパネル層を有する場合の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成としては、上述の層構成において、タッチパネル層/粘着層を、光学機能層/光学機能層基材/粘着層とガラス基材との間に配置することにより例示することができる。
【0116】
本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材は、上述したように、種々の層構成を採ることが可能である。中でも、上記カラーフィルタ層の項に記載したように、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層または透明電極層が直接形成され、かつ、カラーフィルタ層および透明電極層が直接積層されていることが好ましい。好ましい層構成としては、以下のようなものを挙げることができる。
・ガラス基材1/カラーフィルタ層2/透明電極層3/表示媒体層9/粘着層4(図9(a)参照)
・ガラス基材1/透明電極層3/カラーフィルタ層2/表示媒体層9/粘着層4(図9(b)参照)
・光学機能層/ガラス基材/カラーフィルタ層/透明電極層/表示媒体層/粘着層
・光学機能層/ガラス基材/透明電極層/カラーフィルタ層/表示媒体層/粘着層
・表面保護層/ガラス基材/カラーフィルタ層/透明電極層/表示媒体層/粘着層
・表面保護層/ガラス基材/透明電極層/カラーフィルタ層/表示媒体層/粘着層
【0117】
B.電子ペーパー
次に、本発明の電子ペーパーについて説明する。本発明の電子ペーパーは、屈曲性を有するガラス基材、ならびに、上記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材と、対向基材および上記対向基材上に形成された対向電極層を有する対向電極基板と、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材の上記カラーフィルタ層および上記透明電極層、ならびに、上記対向電極基板の上記対向電極層の間に配置された表示媒体層とを有することを特徴とするものである。
【0118】
本発明の電子ペーパーについて、図面を参照しながら説明する。図10は、本発明の電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。図10に例示する電子ペーパー20は、電子ペーパー用カラーフィルタ部材10と、対向電極基板23と、電子ペーパー用カラーフィルタ部材10および対向電極基板23の間に配置された表示媒体層9とを有している。電子ペーパー用カラーフィルタ部材10は、ガラス基材1と、ガラス基材1の一方の表面側に形成され、複数の着色層(2R、2G、2B)を備えるカラーフィルタ層2と、カラーフィルタ層2上に形成された透明電極層3とを有している。対向電極基板23は、対向基材21と、対向基材21上に形成された対向電極層22とを有している。表示媒体層9および対向電極基板23は粘着層4を介して貼り合わされている。
図10において、カラーフィルタ層2および透明電極層3は積層順が逆であってもよい。また、電子ペーパー用カラーフィルタ部材10と表示媒体層9とが一体化していてもよく、電子ペーパー用カラーフィルタ部材10と表示媒体層9と粘着層4とが一体化していてもよい。
【0119】
本発明によれば、屈曲性をもつガラス基材を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いているため、フレキシブル性およびバリア性を両立することができ、電子ペーパーの表示媒体層を水分や酸素等から保護することができる。また本発明によれば、カラーフィルタ層の外側にガラス基材が設けられているので、カラーフィルタ層および表示媒体層の距離が近く、視差を生じ難くすることができる。さらに、ガラス基材は寸法安定性に優れているので、電子ペーパー用カラーフィルタ部材と表示媒体層と対向電極基板との精密な位置合わせを行うことができ、製造中や動作中での位置ずれを抑制することができる。したがって、優れたカラー表示特性を得ることが可能である。
【0120】
さらに本発明によれば、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成を簡素化することができるため、電子ペーパーのさらなる薄型化が可能であるとともに、層界面数の減少により電子ペーパーの光学特性を向上させることが可能である。
【0121】
また、バリア層を形成したりバリアフィルムを貼付したりする必要がないため、簡易な手法で電子ペーパーを作製することができるとともに、製造コストを削減することができる。
さらに、ガラス基材は、光透過性、耐久性、耐候性、耐熱性、低アウトガス等の特性に優れるという利点を有するため、電子ペーパーの基材として好適である。
【0122】
なお、電子ペーパー用カラーフィルタ部材および表示媒体層については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。以下、本発明の電子ペーパーにおける他の構成について説明する。
【0123】
1.対向電極基板
本発明に用いられる対向電極基板は、対向基材と、対向基材上に形成された対向電極層とを有するものである。
【0124】
(1)対向電極層
本発明に用いられる対向電極層としては、透明電極層のストライプパターンに直交するように形成された画素電極層であってもよく、複数のTFT素子とTFT素子に接続された画素電極とを有するTFT電極層であってもよい。前者を用いることにより、パッシブマトリクス型の電子ペーパーとすることができ、後者を用いることにより、アクティブマトリクス型の電子ペーパーとすることができる。中でも、TFT電極層を用いることが好ましい。コントラストが高く、応答速度の速いアクティブマトリクス型の電子ペーパーとすることができるからである。
【0125】
このようなTFT電極層について、図を参照しながら具体的に説明する。図11は、本発明に用いられる対向電極基板の一例を示す概略断面図である。図11に例示する対向電極基板23は、対向基材21と、対向基材21上に形成され、複数のTFT素子24およびTFT素子24に接続された画素電極25を有するTFT電極層22′とを備えている。このようなTFT電極層22′において、TFT素子24は、ゲート電極24aと、ゲート電極24a上に形成されたゲート絶縁膜24bと、ゲート絶縁膜24b上に形成された半導体層24cと、半導体層24c上に一定に間隔を空けて対向するように形成されたソース電極24dおよびドレイン電極24eとを有するものであり、画素電極25はドレイン電極24eと接続するように形成されているものである。
また、図11に例示するように、TFT電極層22′は、TFT素子24を覆うように保護膜26が形成され、保護膜26上に画素電極25が形成されたものであってもよい。
【0126】
TFT素子としては、特に限定されるものではなく、本発明の電子ペーパーの種類に応じて適宜選択され、例えば、a−Si TFT構造を有するものであってよく、p−Si TFT構造を有するものであってもよい。a−Si TFT構造を有するTFT素子の場合、正スタガ型(トップゲート構造)および逆スタガ型(ボトムゲート構造)のいずれであってもよい。また、逆スタガ型の場合、チャネルエッチ型およびチャネルプロテクト型のいずれであってもよい。一方、p−Si TFT構造を有するTFT素子の場合、プレーナ型およびスタガ型のいずれであってもよい。
【0127】
TFT素子を構成する半導体層としては、対向基材上に形成することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン、酸化物半導体、有機半導体が用いられる。
【0128】
シリコンとしては、ポリシリコン、アモルファスシリコンを用いることができる。
酸化物半導体としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)、酸化マグネシウム亜鉛(MgxZn1−xO)、酸化カドミウム亜鉛(CdxZn1−xO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化インジウム(In2O3)、酸化ガリウム(Ga2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化タングステン(WO)、InGaZnO系、InGaSnO系、InGaZnMgO系、InAlZnO系、InFeZnO系、InGaO系、ZnGaO系、InZnO系を用いることができる。
有機半導体としては、例えば、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物等を挙げることができる。より具体的には、ペンタセン、テトラセン、チオフェンオリゴマ誘導体、フェニレン誘導体、フタロシアニン化合物、ポリアセチレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、シアニン色素等が挙げられる。
【0129】
半導体層の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
【0130】
TFT素子を構成するゲート電極、ソース電極およびドレイン電極としては、所望の導電性を備えるものであれば特に限定されるものではなく、一般的にTFT素子に用いられる導電性材料を用いることができる。このような材料の例としては、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、Au、Ag、Pt、Mo−Ta合金、W−Mo合金、ITO、IZO等の無機材料、および、PEDOT/PSS等の導電性を有する有機材料を挙げることができる。
ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
【0131】
TFT素子を構成するゲート絶縁膜としては、一般的なTFT素子におけるゲート絶縁膜と同様のものを用いることができ、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の絶縁性無機材料、および、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂等の絶縁性有機材料等の絶縁性有機材料を用いることができる。
ゲート絶縁膜の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
【0132】
TFT素子上には保護膜が形成されていてもよい。保護膜は、TFT素子を保護するために設けられるものである。例えば、半導体層が空気中に含有される水分等に曝露されることを防止することができる。保護膜が形成されていることにより、TFT性能の経時劣化を低減することができるのである。このような保護膜としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素が用いられる。
保護膜の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
【0133】
画素電極は、一般的に電子ペーパー等に用いられているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム錫(IZO)等が好ましく用いられる。
画素電極の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
【0134】
(2)対向基材
本発明に用いられる対向基材は、上記対向電極層を支持するものである。このような対向基材としては、一般的に電子ペーパー等の基板として用いられているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ガラス板、プラスチック板などが好ましく挙げられる。
【0135】
2.電子ペーパー
本発明の電子ペーパーは、通常、電子ペーパー用カラーフィルタ部材上に表示媒体層が形成され、粘着材からなる粘着層を用いて、表示媒体層と、対向電極基板の対向電極層とが貼り合わされてなるものである。粘着層は、表示媒体層上に形成されていてもよく、対向電極層上に形成されていてもよい。粘着材としては、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」のカラーフィルタ層の項に記載した粘着材と同様のものを用いることができる。粘着層の膜厚としては、表示媒体層および対向電極層が剥離しないように貼り合わせることができれば特に限定されるものではなく、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」のカラーフィルタ層の項に記載した粘着層の膜厚と同様である。
【0136】
本発明の電子ペーパーの具体的な層構成としては、電子ペーパー用カラーフィルタ部材、表示媒体層、粘着層、対向電極層、対向基材の順であればよい。また、電子ペーパー用カラーフィルタ部材と表示媒体層とが一体化していてもよく、電子ペーパー用カラーフィルタ部材と表示媒体層と粘着層とが一体化していてもよい。
なお、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したいずれかの層構成を用いることができるので、ここでの記載は省略する。
【0137】
本発明の電子ペーパーは、上述したように、種々の層構成を採ることが可能である。中でも、ガラス基材上にカラーフィルタ層または透明電極層が直接形成され、かつ、カラーフィルタ層および透明電極層が直接積層されていることが好ましい。好ましい層構成としては、以下のようなものを挙げることができる。
・ガラス基材1/カラーフィルタ層2/透明電極層3/表示媒体層9/粘着層4/対向電極層22/対向基材21(図10参照)
・ガラス基材/透明電極層/カラーフィルタ層/表示媒体層/粘着層/対向電極層/対向基材
・光学機能層/ガラス基材/カラーフィルタ層/透明電極層/表示媒体層/粘着層/対向電極層/対向基材
・光学機能層/ガラス基材/透明電極層/カラーフィルタ層/表示媒体層/粘着層/対向電極層/対向基材
・表面保護層/ガラス基材/カラーフィルタ層/透明電極層/表示媒体層/粘着層/対向電極層/対向基材
・表面保護層/ガラス基材/透明電極層/カラーフィルタ層/表示媒体層/粘着層/対向電極層/対向基材
【0138】
本発明の電子ペーパーの用途としては、デジタル機器のディスプレイ、電子ブック、デジタル・サイネージ(電子看板)等に用いられる。
【0139】
C.電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法
次に、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法について説明する。本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法は、屈曲性を有するガラス基材が巻回されたロール状ガラス基材を用いて、上記ガラス基材と、上記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層とを有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程を有することを特徴としている。
【0140】
本発明によれば、ロール状ガラス基材を用いるので、各層の高い位置精度が要求されない電子ペーパー用カラーフィルタ部材をロール・ツー・ロール方式により形成することができ、生産性を向上させることが可能である。
【0141】
本発明における電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程は、屈曲性を有するガラス基材が巻回されたロール状ガラス基材を用いて、上記ガラス基材と、上記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層とを有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する工程である。
【0142】
ロール状ガラス基材としては、屈曲性を有するガラス基材が巻回されたものであれば特に限定されるものではない。なお、屈曲性を有するガラス基材については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、電子ペーパー用カラーフィルタ部材については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0143】
本発明における電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程は、ロール状ガラス基材を用いて、ロール・ツー・ロール方式により、電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する工程であればよい。本工程においては、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の一方の表面上に、カラーフィルタ層または透明電極層を直接形成し、かつ、カラーフィルタ層および透明電極層を直接積層してもよく(第1態様)、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の一方の表面上に、カラーフィルタ層および透明電極層の少なくともいずれか一方を貼付してもよい(第2態様)。また、本工程では、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の他方の表面上に、タッチパネル層を貼付してもよい(第3態様)。
以下、各態様に分けて説明する。
【0144】
1.第1態様
本態様においては、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層または透明電極層を直接形成し、かつ、カラーフィルタ層および透明電極層を直接積層する。
【0145】
本態様によれば、ガラス基材は寸法安定性に優れているので、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層または透明電極層を直接形成することにより、電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いて電子ペーパーを作製する際には精度良く位置合わせを行うことができ、製造中や動作中での位置ずれを抑制して、電子ペーパー全体としての寸法安定性を高めることが可能な電子ペーパー用カラーフィルタ部材を得ることができる。またガラス基材はアウトガスが極めて少ないので、アウトガスによる電子ペーパーの表示媒体層の劣化を抑制することが可能な電子ペーパー用カラーフィルタ部材を得ることができる。さらにガラス基材は耐候性、耐久性、耐熱性に優れることから、信頼性の高い電子ペーパー用カラーフィルタ部材を得ることができる。また、ガラス基材は光透過性に優れているので、電子ペーパーの高輝度化を実現することが可能な電子ペーパー用カラーフィルタ部材を得ることができる。さらには、上記の構成とすることにより、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成を簡素化することができるため、電子ペーパーの薄型化および光学特性の向上が可能な電子ペーパー用カラーフィルタ部材を得ることができる。
【0146】
本態様においては、ロール・ツー・ロール方式により、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層または透明電極層を直接形成し、かつ、カラーフィルタ層および透明電極層を直接積層すればよく、カラーフィルタ層および透明電極層の形成順序は特に限定されるものではなく、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層を直接形成した後に、カラーフィルタ層上に透明電極層を直接形成してもよく、またガラス基材の一方の表面上に透明電極層を直接形成した後に、透明電極層上にカラーフィルタ層を直接形成してもよい。
【0147】
なお、カラーフィルタ層および透明電極層の形成方法については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0148】
ガラス基材の他方の表面側に光学機能層または表面保護層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層を形成する前あるいはガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層を形成した後に、ガラス基材の他方の表面に、光学機能層基材上に光学機能層が形成された長尺状の光学機能層積層体または表面保護層基材上に表面保護層が形成された長尺状の表面保護層積層体をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよく、ガラス基材の他方の表面上に光学機能層または表面保護層を形成してもよい。
【0149】
また、ガラス基材の他方の表面側に光学機能層または表面保護層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層を形成した後に、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層が形成された積層体をシート状に切り出し、ガラス基材の他方の表面にシート状の光学機能層積層体または表面保護層積層体を貼り合わせてもよい。
【0150】
ガラス基材の他方の表面側にタッチパネル層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層を形成する前に、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の他方の表面に長尺状のタッチパネル層をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよく、またガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層を形成した後に、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層が形成された積層体をシート状に切り出し、ガラス基材の他方の表面にシート状のタッチパネル層を貼り合わせてもよい。カラーフィルタ層およびタッチパネル層のアライメント精度を考慮すると、後者の方法が好ましい。
【0151】
後者の場合、電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程が、タッチパネル層をシート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する、または、タッチパネル層をシート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートするタッチパネル層積層工程を有することが好ましい。本発明により製造される電子ペーパー用カラーフィルタ部材がタッチパネル層を有する場合、タッチパネル層はカラーフィルタ層とのアライメントを必要とするが、タッチパネル層積層工程を有することでアライメントが調整されるため、タッチパネル機能を備え、かつ電子ペーパーに用いた際にカラー表示特性が良好な電子ペーパー用カラーフィルタ部材を得ることができる。
【0152】
なお、タッチパネル層およびその形成位置については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0153】
タッチパネル層積層工程においては、タッチパネル層とカラーフィルタ層との位置精度が要求されるため、タッチパネル層またはタッチパネル層を含む部材とカラーフィルタ層を含む部材との貼り合わせをアライメント調整が可能なシート・ツー・シート方式により行う。
具体的には、タッチパネル層またはタッチパネル層を含む部材と、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層が形成されたカラーフィルタ層を含む部材とを、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する、または、シート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートする。
また、長尺状のタッチパネル層と長尺状の光学機能層積層体または表面保護層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせたタッチパネル層を含む部材と、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層が形成されたカラーフィルタ層を含む部材とを、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する、または、シート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートしてもよい。
【0154】
シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、真空チャンバー内で、枚葉状のカラーフィルタ層を含む部材と枚葉状のタッチパネル層またはタッチパネル層を含む部材との位置合わせを、両部材に予め形成されたアライメントマークを用いて行い、粘着層を介して両部材をプレスすることにより貼り合わせる方法等を挙げることができる。真空度としては、貼合面での異物および気泡の混入を防ぐことができれば特に限定されるものではなく、例えば、50Pa〜10000Paの範囲内で設定することができる。
【0155】
シート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートする方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、枚葉状のカラーフィルタ層を含む部材と枚葉状のタッチパネル層またはタッチパネル層を含む部材との位置合わせを、両部材に予め形成されたアライメントマークを用いて行い、粘着層を介して両部材をプレスすることによりラミネートする方法等を挙げることができる。
【0156】
表示媒体層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層を形成した後に、カラーフィルタ層および透明電極層上に表示媒体層を形成してもよく、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層が形成された積層体と表示媒体層基材上に表示媒体層が形成された長尺状の表示媒体層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよい。また、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層を形成した後に、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層が形成された積層体をシート状に切り出し、シート状の表示媒体層積層体と貼り合わせてもよい。
【0157】
なお、本態様における電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0158】
2.第2態様
本態様においては、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層の少なくともいずれか一方を貼付する。
【0159】
本態様によれば、ロール・ツー・ロール方式によりガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層の少なくともいずれか一方を貼付するので、生産性をさらに高めることができる。
【0160】
本態様においては、ロール・ツー・ロール方式により、粘着層を用いて、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層の少なくともいずれか一方を貼付すればよく、例えば、ガラス基材と、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層が形成されたカラーフィルタ層積層体と、透明電極層基材上に透明電極層が形成された透明電極層積層体とを順に貼り合わせてもよく、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層が直接形成された積層体と、透明電極層基材上に透明電極層が形成された透明電極層積層体とを貼り合わせてもよく、ガラス基材と、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層および透明電極層がこの順に積層された積層体とを貼り合わせてもよく、ガラス基材と、透明電極層基材上に透明電極層およびカラーフィルタ層がこの順に積層された積層体とを貼り合わせてもよい。
【0161】
ガラス基材と、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層が形成されたカラーフィルタ層積層体と、透明電極層基材上に透明電極層が形成された透明電極層積層体とを順に貼り合わせる場合、まず、ロール状ガラス基材と、長尺状のカラーフィルタ層積層体と、長尺状の透明電極層積層体とを準備し、次いで、これらをロール・ツー・ロール方式により順に貼り合わせる。これらを貼り合わせる順序としては、特に限定されるものではなく、ガラス基材とカラーフィルタ層積層体とを貼り合わせた後に、さらにカラーフィルタ層積層体と透明電極層積層体とを貼り合わせてもよく、カラーフィルタ層積層体と透明電極層とを貼り合わせた後に、さらにガラス基材とカラーフィルタ層積層体とを貼り合わせてもよい。
【0162】
ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層が直接形成された積層体と、透明電極層基材上に透明電極層が形成された透明電極層積層体とを貼り合わせる場合、まず、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層が直接形成された長尺状の積層体と、長尺状の透明電極層積層体とを準備し、次いで、これらの積層体をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせる。
【0163】
ガラス基材と、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層および透明電極層がこの順に積層された積層体とを貼り合わせる場合、まず、ロール状ガラス基材と、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層および透明電極層が順に直接形成された長尺状の積層体とを準備し、次いで、これらをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせる。
【0164】
ガラス基材と、透明電極層基材上に透明電極層およびカラーフィルタ層がこの順に積層された積層体とを貼り合わせる場合、まず、ロール状ガラス基材と、透明電極層基材上に透明電極層およびカラーフィルタ層が順に直接形成された長尺状の積層体とを準備し、次いで、これらをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせる。
【0165】
ガラス基材の他方の表面側に光学機能層または表面保護層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、上述の部材をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせる前あるいは上述の部材をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせた後に、ガラス基材の他方の表面に光学機能層基材上に光学機能層が形成された長尺状の光学機能層積層体または表面保護層基材上に表面保護層が形成された長尺状の表面保護層積層体をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよく、ガラス基材の他方の表面上に光学機能層または表面保護層を形成してもよい。
【0166】
また、ガラス基材の他方の表面側に光学機能層または表面保護層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、上述の部材をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせた後に、上述の部材を貼り合わせた積層体をシート状に切り出し、シート状の光学機能層積層体または表面保護層積層体と貼り合わせてもよい。
【0167】
ガラス基材の他方の表面側にタッチパネル層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、上述の部材をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせた後に、上述の部材を貼り合わせた積層体をシート状に切り出し、シート状のタッチパネル層と貼り合わせてもよい。この場合、電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程が、タッチパネル層をシート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する、または、タッチパネル層をシート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートするタッチパネル層積層工程を有することが好ましい。本発明により製造される電子ペーパー用カラーフィルタ部材がタッチパネル層を有する場合、タッチパネル層はカラーフィルタ層とのアライメントを必要とするが、タッチパネル層積層工程を有することでアライメントが調整されるため、タッチパネル機能を備え、かつ電子ペーパーに用いた際にカラー表示特性が良好な電子ペーパー用カラーフィルタ部材を得ることができる。
【0168】
なお、タッチパネル層およびその形成位置については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0169】
タッチパネル層積層工程においては、タッチパネル層とカラーフィルタ層との位置精度が要求されるため、タッチパネル層またはタッチパネル層を含む部材とカラーフィルタ層を含む部材との貼り合わせをアライメント調整が可能なシート・ツー・シート方式により行う。
具体的には、タッチパネル層またはタッチパネル層を含む部材と、上述の部材を貼り合わせたカラーフィルタ層を含む部材とを、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する、または、シート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートする。
また、長尺状のタッチパネル層と長尺状の光学機能層積層体または表面保護層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせたタッチパネル層を含む部材と、上述の部材を貼り合わせたカラーフィルタ層を含む部材とを、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する、または、シート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートしてもよい。
【0170】
なお、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する方法、および、シート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートする方法については、上記第1態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0171】
表示媒体層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、上述の部材をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせる前あるいは上述の部材をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせた後に、透明電極層積層体の透明電極層上に表示媒体層を形成してもよく、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層および透明電極層がこの順に積層された積層体の透明電極層上に表示媒体層を形成してもよく、透明電極層基材上に透明電極層およびカラーフィルタ層がこの順に積層された積層体のカラーフィルタ層上に表示媒体層を形成してもよく、透明電極層積層体と表示媒体層基材上に表示媒体層が形成された長尺状の表示媒体層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよく、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層および透明電極層がこの順に積層された積層体と長尺状の表示媒体層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよく、透明電極層基材上に透明電極層およびカラーフィルタ層がこの順に積層された積層体と長尺状の表示媒体層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよい。
【0172】
また、表示媒体層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、上述の部材をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせた後に、上述の部材を貼り合わせた積層体をシート状に切り出し、シート状の表示媒体層積層体と貼り合わせてもよい。
【0173】
なお、本態様における電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0174】
3.第3態様
本態様においては、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の他方の表面上に、タッチパネル層を貼付する。
【0175】
本態様においては、ロール・ツー・ロール方式により、粘着層を用いて、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の他方の表面上にタッチパネル層を貼付すればよく、まず、ロール状ガラス基材と、長尺状のタッチパネル層とを準備し、次いで、これらをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせる。次に、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材とカラーフィルタ層を含む部材とをシート・ツー・シート方式により貼り合わせる。具体的には、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材と、カラーフィルタ層を含む部材とを、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する、または、シート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートする。タッチパネル層とカラーフィルタ層との位置精度が要求されるため、アライメント調整が可能なシート・ツー・シート方式により行うのである。
【0176】
ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材とカラーフィルタ層を含む部材とをシート・ツー・シート方式により貼り合わせる際には、例えば、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材と、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層が形成されたカラーフィルタ層積層体と、透明電極層基材上に透明電極層が形成された透明電極層積層体とを順に貼り合わせてもよく、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材と、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層および透明電極層がこの順に積層された積層体とを貼り合わせてもよく、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材と、透明電極層基材上に透明電極層およびカラーフィルタ層がこの順に積層された積層体とを貼り合わせてもよい。
【0177】
なお、タッチパネル層およびその形成位置については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0178】
また、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する方法、および、シート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートする方法については、上記第1態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0179】
ガラス基材の他方の表面側に光学機能層または表面保護層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、ガラス基材とタッチパネル層をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせた後、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材とカラーフィルタ層を含む部材とを貼り合わせる前に、タッチパネル層上に光学機能層または表面保護層を形成してもよく、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材とカラーフィルタ層を含む部材とを貼り合わせた後に、タッチパネル層上に光学機能層または表面保護層を形成してもよい。
また、ガラス基材の他方の表面側に光学機能層または表面保護層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、ガラス基材とタッチパネル層をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせた後、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材とカラーフィルタ層を含む部材とを貼り合わせる前に、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材と長尺状の光学機能層積層体または表面保護層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよい。
【0180】
表示媒体層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材とカラーフィルタ層を含む部材とをシート・ツー・シート方式により貼り合わせる前に、透明電極層基材上に透明電極層が形成された透明電極層積層体の透明電極層上に表示媒体層を形成してもよく、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層および透明電極層がこの順に積層された積層体の透明電極層上に表示媒体層を形成してもよく、透明電極層基材上に透明電極層およびカラーフィルタ層がこの順に積層された積層体のカラーフィルタ層上に表示媒体層を形成してもよく、透明電極層積層体と表示媒体層基材上に表示媒体層が形成された長尺状の表示媒体層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよく、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層および透明電極層がこの順に積層された積層体と長尺状の表示媒体層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよく、透明電極層基材上に透明電極層およびカラーフィルタ層がこの順に積層された積層体と長尺状の表示媒体層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよい。
【0181】
また、表示媒体層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材とカラーフィルタ層を含む部材とをシート・ツー・シート方式により貼り合わせた後に、上述の部材を貼り合わせた積層体をシート状に切り出し、シート状の表示媒体層積層体と貼り合わせてもよい。
【0182】
なお、本態様における電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0183】
D.電子ペーパーの製造方法
次に、本発明の電子ペーパーの製造方法について説明する。本発明の電子ペーパーの製造方法は、屈曲性を有するガラス基材が巻回されたロール状ガラス基材を用いて、上述の表示媒体層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程と、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材と、対向基材および上記対向基材上に形成された対向電極層を有する対向電極基板とを、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材の表示媒体層および上記対向電極基板の上記対向電極層が対向するように、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する貼合工程とを有することを特徴としている。
【0184】
本発明によれば、各層の高い位置精度が要求されない電子ペーパー用カラーフィルタ部材をロール・ツー・ロール方式により形成し、精密な位置合わせを必要とする、表示媒体層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材と対向電極基板との貼り合わせをシート・ツー・シート方式を用いた真空アライメント貼合により行うことで、高精度な位置合わせおよび生産性の向上を図ることが可能である。また、上述の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いることで、カラー表示特性に優れた電子ペーパーを得ることができる。
【0185】
なお、表示媒体層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程については、上記「C.電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法」に記載したので、ここでの説明は省略する。以下、本発明の電子ペーパーの製造方法における他の工程について説明する。
【0186】
1.貼合工程
本発明における貼合工程は、電子ペーパー用カラーフィルタ部材と、対向基材および上記対向基材上に形成された対向電極層を有する対向電極基板とを、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の表示媒体層および対向電極基板の対向電極層が対向するように、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する工程である。
なお、対向電極基板については、上記「B.電子ペーパー」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0187】
本工程においては、通常、粘着材からなる粘着層を用いて、電子ペーパー用カラーフィルタ部材と対向電極基板とを貼り合わせる。粘着層は、電子ペーパー用カラーフィルタ部材に形成されていてもよく、対向電極基板に形成されていてもよい。なお、粘着層については、上記「B.電子ペーパー」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0188】
シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、真空チャンバー内で、枚葉状の電子ペーパー用カラーフィルタ部材と枚葉状の対向電極基板との位置合わせを、両部材に予め形成されたアライメントマークを用いて行い、粘着層を介して両部材をプレスすることにより貼り合わせる方法等を挙げることができる。真空度については、上記「C.電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法」の項に記載したものと同様である。
【0189】
2.任意の工程
本発明の電子ペーパーの製造方法は、必須の工程である上記の電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程および貼合工程の他に、必要に応じて任意の工程を有していてもよい。このような工程としては、例えば、上記貼合工程の前に、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程により形成された電子ペーパー用カラーフィルタ部材をシート状に切り出す工程、洗浄工程、UV照射などの表面改質工程、脱湿工程、検査工程等を挙げることができる。
【0190】
3.電子ペーパー
本発明の電子ペーパーの製造方法により製造される電子ペーパーの層構成および用途については、上記「B.電子ペーパー」の項に記載したので、ここでの記載は省略する。
【0191】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0192】
1 … ガラス基材
2 … カラーフィルタ層
3 … 透明電極層
4 … 粘着層
5 … 光学機能層
6 … 表面保護層
7 … タッチパネル層
9 … 表示媒体層
10 … 電子ペーパー用カラーフィルタ部材
12 … カラーフィルタ層基材
13 … 透明電極層基材
15 … 光学機能層基材
16 … 表面保護層基材
20 … 電子ペーパー
21 … 対向基材
22 … 対向電極層
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパーに用いられるカラーフィルタ部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペーパーと呼ばれる情報媒体の研究がなされている。この媒体は、対向する基板間にマイクロカプセル等の表示媒体を封入し、電気的に表示の切り替えを行うものであり、低消費電力、曲げ可能なフレキシブル性、薄く軽いなどの優れた特性に加えて、書き換え可能という際立った特長を有し、実用化段階に入りつつある。
【0003】
上述した電子ペーパーでカラー表示を行う手段として、表示媒体自身を着色する方法が提案されている。しかしながら、この方法では、表示媒体粒子を均一に分散させ、安定して駆動させることが難しく、実用化には至っていない。
【0004】
一方、別の手段として、液晶ディスプレイと同様にカラーフィルタを用いる方法が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、良好なカラー表示特性を得るための電子ペーパー全体の適切な層構成については言及されておらず、良好なカラー表示特性を得るための電子ペーパー用カラーフィルタ部材の設計についても明確ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−280044号公報
【特許文献2】特開2010−44337号公報
【特許文献3】特表2010−503895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子ペーパーは、長尺状の基材を用いて連続プロセスによって製造することが可能であることから、大量生産性に優れるという利点も期待されている。そこで、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の基材としては、一般的に樹脂製フィルムが用いられている。しかしながら、樹脂製フィルムには次のような問題点がある。
まず、電子ペーパーとしては、種々の表示方式が知られており、水分や酸素等に対するバリア機能が必要とされる場合が多いが、樹脂製フィルムはバリア性が低いという問題がある。そのため、バリア層を設けたりバリアフィルムを貼付したりすることが試みられている。しかしながら、バリア層の形成は通常減圧雰囲気下で行われることから、大掛りな設備が必要であり製造コストが嵩む、また製造工程が煩雑となるという難点がある。また、バリア機能に優れるバリアフィルムは非常に高価であるという難点がある。一方、ガラス基板を使用することでバリア機能を付与することができるが、電子ペーパーとして十分なフレキシブル性が得られない。
次に、電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いて電子ペーパーを作製する際には精密な位置合わせを必要とするが、樹脂製フィルムは寸法安定性に劣るため、製造中や動作中に位置ずれが生じるという問題がある。
【0007】
また、電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いて電子ペーパーを作製する場合、例えば、電子ペーパー用カラーフィルタ部材と、表示媒体フィルムと、対向基板とを貼り合わせる方法が挙げられるが、カラーフィルタと表示媒体との間に距離があると視差が生じるという問題もある。
【0008】
特許文献2には、ガラス基板を厚みが薄くなるようにエッチングすることで、フレキシブル性が付与されることが記載されており、例えば、プラスチック基板上にカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板と、薄いガラス基板上にTFTが形成されたTFTガラス基板と、表示媒体フィルムと、対向基板とが順に積層された電子ペーパーが開示されている。しかしながら、このような電子ペーパーではTFTガラス基板の厚さ分だけ視差が生じてしまう。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、フレキシブル性およびバリア性を具備し、寸法安定性が良好であり、電子ペーパーに用いた際に視差が発生し難く、良好なカラー表示特性を得ることが可能な電子ペーパー用カラーフィルタ部材を提供することを主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、屈曲性を有するガラス基材と、上記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層とを有し、上記カラーフィルタ層および上記透明電極層側に電子ペーパーの表示媒体層が配置されて用いられることを特徴とする電子ペーパー用カラーフィルタ部材を提供する。
【0011】
本発明によれば、屈曲性をもつガラス基材を有するため、フレキシブル性およびバリア性を兼備することができ、電子ペーパーに用いた場合に電子ペーパーの表示媒体層を水分や酸素等から保護することができる。また本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材は、カラーフィルタ層および透明電極層側に電子ペーパーの表示媒体層が配置されて用いられることから、カラーフィルタ層および表示媒体層の距離を近くすることができ、視差を生じ難くすることができる。さらに、ガラス基材は寸法安定性に優れているので、電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いて電子ペーパーを作製する際には精度良く位置合わせを行うことができ、製造中や動作中での位置ずれを抑制することができる。したがって、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いることにより、カラー表示特性に優れた電子ペーパーを得ることが可能となる。さらに本発明によれば、屈曲性を有するガラス基材を用いるので、ロール・ツー・ロール方式により電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成することができ、生産性の高い電子ペーパー用カラーフィルタ部材とすることができる。
【0012】
上記発明においては、上記ガラス基材の一方の表面上に上記カラーフィルタ層または上記透明電極層が直接形成され、かつ、上記カラーフィルタ層および上記透明電極層が直接積層されていることが好ましい。ガラス基材の一方の表面上に直にカラーフィルタ層または透明電極層が形成されていることにより、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の寸法安定性を高めることができ、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた場合に位置ずれを抑制することができる。またガラス基材はアウトガスが極めて少ないことから、アウトガスによる電子ペーパーの表示媒体層の劣化を抑制することができる。さらには、上記の構成とすることにより、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成を簡素化することができるため、電子ペーパーをさらに薄型化できるとともに、層界面数の減少により電子ペーパーの光学特性を向上させることができる。
【0013】
また本発明においては、光学機能層または表面保護層が、上記ガラス基材の他方の表面側に形成され、かつ最表面に配置されていることが好ましい。本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた場合に、光学機能層を有することにより視認性を向上させることができ、表面保護層を有することにより電子ペーパー表面の傷および汚れを防止することができるからである。
【0014】
さらに本発明においては、タッチパネル層が、上記ガラス基材の他方の表面側に形成されていてもよい。タッチパネル層を有することで、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた場合に、画面に直接触れることにより情報の入力が可能な利便性の高い電子ペーパーを得ることができる。
【0015】
また本発明においては、表示媒体層が、上記カラーフィルタ層および上記透明電極層上に形成されていてもよい。
【0016】
また本発明は、屈曲性を有するガラス基材、ならびに、上記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材と、対向基材および上記対向基材上に形成された対向電極層を有する対向電極基板と、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材の上記カラーフィルタ層および上記透明電極層、ならびに、上記対向電極基板の上記対向電極層の間に配置された表示媒体層とを有することを特徴とする電子ペーパーを提供する。
【0017】
本発明によれば、屈曲性を有するガラス基材を備える電子ペーパー用カラーフィルタ部材を有するため、フレキシブル性およびバリア性を両立することができ、電子ペーパーの表示媒体層を水分や酸素等から保護することができる。また本発明によれば、カラーフィルタ層の外側にガラス基材が設けられているので、カラーフィルタ層および表示媒体層の距離が近く、視差を生じ難くすることができる。さらに、ガラス基材は寸法安定性に優れているので、製造中や動作中での電子ペーパー用カラーフィルタ部材と表示媒体層と対向電極基板との位置ずれを抑制することができる。したがって、優れたカラー表示特性を得ることが可能である。さらに本発明によれば、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成を簡素化することができるため、電子ペーパーのさらなる薄型化が可能であるとともに、層界面数の減少により電子ペーパーの光学特性を向上させることが可能である。
【0018】
さらに本発明は、屈曲性を有するガラス基材が巻回されたロール状ガラス基材を用いて、上記ガラス基材と、上記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層とを有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程を有することを特徴とする電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法を提供する。
【0019】
本発明によれば、ロール状ガラス基材を用いるので、各層の高い位置精度が要求されない電子ペーパー用カラーフィルタ部材をロール・ツー・ロール方式により形成することができ、生産性を向上させることが可能である。
【0020】
上記発明においては、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程にて、上記ロール状ガラス基材から巻き出された上記ガラス基材の一方の表面上に、上記カラーフィルタ層または上記透明電極層を直接形成し、かつ、上記カラーフィルタ層および上記透明電極層を直接積層することが好ましい。ガラス基材は寸法安定性に優れているので、ガラス基材の一方の表面上に直にカラーフィルタ層または透明電極層を形成することにより、電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いて電子ペーパーを作製する際には精度良く位置合わせを行うことができ、製造中や動作中での位置ずれを抑制することができる。またガラス基材はアウトガスが極めて少ないので、アウトガスによる電子ペーパーの表示媒体層の劣化を抑制することができる。さらに、上記の構成とすることにより、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成を簡素化することができるため、電子ペーパーの薄型化および光学特性の向上を図ることができる。
【0021】
また上記発明においては、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程にて、上記ロール状ガラス基材から巻き出された上記ガラス基材の一方の表面上に、上記カラーフィルタ層および上記透明電極層の少なくともいずれか一方を貼付してもよい。生産性をさらに高めることができるからである。
【0022】
さらに本発明においては、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程が、タッチパネル層をシート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する、または、タッチパネル層をシート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートするタッチパネル層積層工程を有することが好ましい。本発明により製造される電子ペーパー用カラーフィルタ部材がタッチパネル層を有する場合、タッチパネル層はカラーフィルタ層とのアライメントを必要とするが、上記タッチパネル層積層工程を有することでアライメントが調整されるため、タッチパネル機能を備え、かつ電子ペーパーに用いた際にカラー表示特性が良好な電子ペーパー用カラーフィルタ部材を得ることができる。
【0023】
また本発明は、屈曲性を有するガラス基材が巻回されたロール状ガラス基材を用いて、上述の表示媒体層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程と、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材と、対向基材および上記対向基材上に形成された対向電極層を有する対向電極基板とを、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材の表示媒体層および上記対向電極基板の上記対向電極層が対向するように、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する貼合工程とを有することを特徴とする電子ペーパーの製造方法を提供する。
【0024】
本発明によれば、各層の高い位置精度が要求されない電子ペーパー用カラーフィルタ部材をロール・ツー・ロール方式により形成し、精密な位置合わせを必要とする電子ペーパー用カラーフィルタ部材と対向電極基板との貼り合わせをシート・ツー・シート方式を用いた真空アライメント貼合により行うことで、高精度な位置合わせを行うことができ、また生産性を高めることができる。高精度で生産性の高い電子ペーパーを得ることができる。また、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いることで、カラー表示特性に優れた電子ペーパーを得ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明においては、電子ペーパーに用いた際に、良好なカラー表示特性を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の他の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の他の例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の他の例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の他の例を示す概略断面図である。
【図8】本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の他の例を示す概略断面図である。
【図9】本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の他の例を示す概略断面図である。
【図10】本発明の電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。
【図11】本発明における対向電極基板の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材、電子ペーパー、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法および電子ペーパーの製造方法について詳細に説明する。
【0028】
A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材
まず、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材について説明する。本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材は、屈曲性を有するガラス基材と、上記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層とを有し、上記カラーフィルタ層および上記透明電極層側に電子ペーパーの表示媒体層が配置されて用いられることを特徴とするものである。
【0029】
なお、カラーフィルタ層および透明電極層が「ガラス基材の一方の表面側に形成される」とは、ガラス基材の一方の表面上に直接形成される場合だけでなく、ガラス基材の一方の表面上に他の層を介して形成される場合を含む概念である。また、「カラーフィルタ層および透明電極層が積層される」とは、カラーフィルタ層および透明電極層が直接積層されている場合だけでなく、カラーフィルタ層および透明電極層が他の層を介して積層されている場合を含む概念である。
【0030】
本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の一例を示す概略断面図である。図1に例示する電子ペーパー用カラーフィルタ部材10は、ガラス基材1と、ガラス基材1の一方の表面上に形成され、複数の着色層(2R、2G、2B)を備えるカラーフィルタ層2と、カラーフィルタ層2上に形成された透明電極層3とを有している。図1に示す電子ペーパー用カラーフィルタ部材10が電子ペーパーに用いられる場合、透明電極層3側に電子ペーパーの表示媒体層が配置される。
【0031】
図2は、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の他の例を示す概略断面図である。図2に例示する電子ペーパー用カラーフィルタ部材10は、ガラス基材1と、ガラス基材1の一方の表面上に形成された透明電極層3と、透明電極層3上に形成され、複数の着色層(2R、2G、2B)を備えるカラーフィルタ層2とを有している。図2に示す電子ペーパー用カラーフィルタ部材10が電子ペーパーに用いられる場合、カラーフィルタ層2側に電子ペーパーの表示媒体層が配置される。
【0032】
本発明によれば、屈曲性をもつガラス基材を有するので、フレキシブル性およびバリア性を兼備することができ、電子ペーパーに用いた場合に電子ペーパーの表示媒体層を水分や酸素等から保護することができる。また本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材は、カラーフィルタ層および透明電極層側に電子ペーパーの表示媒体層が配置されて用いられることから、表示媒体層との視差を生じ難くすることができる。さらに、ガラス基材は寸法安定性に優れているので、電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いて電子ペーパーを作製する際には精度良く位置合わせを行うことができ、製造中や動作中での位置ずれを抑制することができる。したがって、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いることにより、カラー表示特性に優れた電子ペーパーを得ることが可能となる。
【0033】
さらに本発明によれば、屈曲性を有するガラス基材を用いるので、ロール・ツー・ロール方式により電子ペーパー用カラーフィルタ部材を作製することができ、生産性の高い電子ペーパー用カラーフィルタ部材とすることができる。さらには、バリア層を形成したりバリアフィルムを貼付したりする必要がないため、簡易な手法で電子ペーパー用カラーフィルタ部材を作製することができるとともに、製造コストを削減することができる。
【0034】
また、ガラス基材は、光透過性、耐久性、耐候性、耐熱性、低アウトガス等に優れるという利点を有するため、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の基材として好適である。
【0035】
以下、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材における各構成について説明する。
【0036】
1.ガラス基材
本発明に用いられるガラス基材は、屈曲性を有し、カラーフィルタ層および透明電極層を支持するものである。また、ガラス基材は、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材が電子ペーパーに用いられた際に、電子ペーパーの表示媒体層を水分や酸素等から保護するものである。
【0037】
なお、「ガラス基材が屈曲性を有する」とは、ガラス基材を直径85mmのABS樹脂製の棒に1回巻きつけた後に、目視確認にてガラス基材に割れ・欠けの損傷が無いことを指す。
【0038】
ガラス基材としては、屈曲性および光透過性を有するものであれば特に限定されるものではなく、種々のガラス基材を用いることができる。
【0039】
ガラス基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。透過率が上記範囲であることにより、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた場合に、表示輝度が低下すること等を防止することができるからである。
ここで、ガラス基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
【0040】
このようなガラス基材としては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等のガラス基材を挙げることができ、中でも、無アルカリガラスが好ましい。
【0041】
ガラス基材の厚みとしては、屈曲性およびバリア性が発現する厚みであれば特に限定されるものではなく、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の用途等に応じて適宜調整すればよい。具体的に、ガラス基材の厚みは、150μm以下であることが好ましく、中でも20μm〜120μmの範囲内、特に50μm〜100μmの範囲内であることがより好ましい。ガラス基材の厚みが薄すぎると、バリア性や強度が損なわれるおそれがあり、ガラス基材の厚みが厚すぎると、屈曲性が得られず、また電子ペーパーの薄型化が困難となるおそれがあるからである。
【0042】
2.カラーフィルタ層
本発明に用いられるカラーフィルタ層は、ガラス基材の一方の表面側に形成され、複数の着色層を備えるものである。
なお、「ガラス基材の一方の表面側に形成される」とは、ガラス基材の一方の表面上に直接形成される場合だけでなく、ガラス基材の一方の表面上に他の層を介して形成される場合を含む概念である。
【0043】
カラーフィルタ層の形成位置としては、ガラス基材の一方の表面側にカラーフィルタ層および透明電極層が順不同に積層されていればよく、カラーフィルタ層および透明電極層の積層順は特に限定されるものではなく、図1に例示するようにガラス基材1、カラーフィルタ層2、透明電極層3の順であってもよく、図2に例示するようにガラス基材1、透明電極層3、カラーフィルタ層2の順であってもよい。ガラス基材、カラーフィルタ層、透明電極層の順に積層されている場合には、透明電極層および電子ペーパーの表示媒体層の位置が近くなるので、電子ペーパーに用いた際に透明電極層の電位を低く設定することができ、消費電力を低減することができる。一方、ガラス基材、透明電極層、カラーフィルタ層の順に積層されている場合には、カラーフィルタ層および電子ペーパーの表示媒体層の位置が近くなるので、電子ペーパーに用いた際に視差を生じにくくすることができる。したがって、いずれの場合にも、電子ペーパーの表示特性を良好にすることができる。
中でも、カラーフィルタ層および透明電極層が他の層を介して積層されている場合には、ガラス基材、カラーフィルタ層、透明電極層の順に積層されていることが好ましい。透明電極層および電子ペーパーの表示媒体層の位置が遠いと、電子ペーパーの駆動が困難となるからである。
【0044】
カラーフィルタ層を構成する複数の着色層としては、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いて電子ペーパーを作製した際に、所望の色を発色できるものであれば特に限定されるものではなく、一般的なカラーフィルタに用いられている各色の着色層を用いることができる。通常は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色からなる複数の着色層が用いられる。
【0045】
複数の着色層は、通常、複数色が規則的に配置されるようにパターン状に形成されるが、パターンとしては特に限定されるものではなく、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の用途等に応じて適宜選択することができる。このようなパターンとしては、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、および、4画素配置型等を挙げることができる。また、このとき個々の着色層の面積は特に限定されるものではなく、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いて製造する電子ペーパーの解像度等に応じて適宜調整される。
【0046】
着色層の材料については、一般的なカラーフィルタの着色層に用いられているものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0047】
着色層の膜厚としては、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた場合に、良好な画像表示を行うことができれば特に限定されるものではないが、具体的には、0.5μm〜3.0μmの範囲内で設定することができる。
【0048】
着色層の形成方法としては、所望の厚みの着色層を混色無く形成することができる方法であれば、特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、フォトリソグラフィー法やインクジェット法等、一般的に公知の方法を用いることができる。
【0049】
カラーフィルタ層は、少なくとも着色層を有していればよく、必要に応じて着色層以外の他の構成を有していてもよい。このような他の構成としては特に限定されるものではなく、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の用途等に応じて、任意の機能を備えるものを用いることができる。このような他の構成としては、画素を区画するために各着色層間に形成られる遮光部や、着色層を保護したりカラーフィルタ層表面を平坦化したりするために設けられるオーバーコート層等を挙げることができる。なお、遮光部およびオーバーコート層については、一般的なカラーフィルタに用いられているものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0050】
カラーフィルタ層2は、ガラス基材1の一方の表面側に、図1および図2に例示するように単独で形成されていてもよく、また図3に例示するようにカラーフィルタ層基材12上にカラーフィルタ層2が形成されたカラーフィルタ層積層体として形成されていてもよい。なお、図3において、カラーフィルタ層積層体は、カラーフィルタ層基材12上に粘着層4が形成されて貼り合わされている。図3において説明していない符号については、図1と同様である。
【0051】
中でも、カラーフィルタ層はガラス基材の一方の表面側に単独で形成されていることが好ましい。電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成を簡素化することができるため、電子ペーパーをさらに薄型化できるとともに、層界面数の減少により電子ペーパーの光学特性を向上させることができるからである。
【0052】
特に、図1および図2に例示するように、ガラス基材1の一方の表面上にカラーフィルタ層2または透明電極層3が直接形成され、かつ、カラーフィルタ層2および透明電極層3が直接積層されていることが好ましい。
ガラス基材は寸法安定性に優れているので、ガラス基材の一方の表面上に直にカラーフィルタ層または透明電極層が形成されていることにより、製造中や動作中での位置ずれを効果的に抑制することができる。またガラス基材はアウトガスが極めて少ないことから、アウトガスによる電子ペーパーの表示媒体層の劣化を抑制することができる。またガラス基材は耐久性、耐候性、耐熱性に優れているので、信頼性を向上させることができる。さらにガラス基材は光透過性に優れているので、電子ペーパーに用いた場合には高輝度を実現することができる。また、上記の構成とすることにより、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成を簡素化することができるため、電子ペーパーをさらに薄型化できるとともに、層界面数の減少により電子ペーパーの光学特性を向上させることができる。
【0053】
カラーフィルタ層がガラス基材の一方の表面側にカラーフィルタ層積層体として形成されている場合、カラーフィルタ層積層体では、カラーフィルタ層がガラス基材側に配置されていてもよく、カラーフィルタ層基材がガラス基材側に配置されていてもよい。
【0054】
カラーフィルタ層基材としては、光透過性を有するものであれば特に限定されるものではなく、一般的なカラーフィルタに用いられている透明基材と同様のものを用いることができる。
【0055】
カラーフィルタ層基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。透過率が上記範囲であることにより、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた場合に、表示輝度が低下すること等を防止することができるからである。
なお、カラーフィルタ層基材の透過率の測定方法は、上記ガラス基材の透過率の測定方法と同様である。
【0056】
このようなカラーフィルタ層基材としては、ガラス基板等の屈曲性を有さない透明な基材であってもよく、あるいは、樹脂製フィルム等の屈曲性を有する透明な基材であってもよい。中でも、屈曲性を有する基材が好ましく用いられる。屈曲性を有する基材を用いることにより、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材をロール・ツー・ロール方式によって製造することが可能となるからである。樹脂製フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、セルローストリアセテート(CTA)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリサルフォン(PSF)、ポリアミドイミド(PAI)等からなるフィルムを挙げることができる。
【0057】
カラーフィルタ層基材の厚みとしては、カラーフィルタ層を支持することができれば特に限定されるものではないが、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。カラーフィルタ層基材の厚みが薄すぎると、強度が低下するおそれがあり、カラーフィルタ層基材の厚みが厚すぎると、電子ペーパーの薄型化が困難となるおそれがあるからである。
【0058】
また、カラーフィルタ層積層体は、通常、粘着材からなる粘着層を形成して貼り合わされる。粘着層は、カラーフィルタ層積層体のカラーフィルタ層側に形成されていてもよく、カラーフィルタ層基材側に形成されていてもよい。
【0059】
粘着材としては、所望の強度で接着させることができ、かつ、光透過性を有するものであればよく、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等を挙げることができ、中でも、アクリル系樹脂が好ましい。
また、粘着層の膜厚としては、カラーフィルタ層積層体が剥離しないように貼り合わせることができれば特に限定されるものではなく、具体的には、5μm〜50μmの範囲内で設定することができる。
【0060】
3.透明電極層
本発明に用いられる透明電極層は、ガラス基材の一方の表面側に形成されるものである。
なお、「ガラス基材の一方の表面側に形成される」とは、ガラス基材の一方の表面上に直接形成される場合だけでなく、ガラス基材の一方の表面上に他の層を介して形成される場合を含む概念である。
【0061】
透明電極層の形成位置としては、ガラス基材の一方の表面側にカラーフィルタ層および透明電極層が順不同に積層されていればよく、カラーフィルタ層および透明電極層の積層順は特に限定されるものではなく、上記カラーフィルタ層の項に記載した通りである。
【0062】
透明電極層の材料としては、透明電極を形成することができる導電性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)等の導電性酸化物、Au、Ni等の金属、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子等を用いることができ、中でも、ITOが好適に用いられる。
【0063】
透明電極層の厚みとしては、透明電極層として機能することができれば特に限定されるものではないが、15nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。透明電極層の厚みが上記範囲に満たない場合は、透明電極層を均一な厚みで形成することが困難であるからであり、透明電極層の厚みが上記範囲を超える場合は、透明電極層の成膜に用いられる時間や材料が多くなるため、製造コストが高くなるからである。
【0064】
透明電極層の形成方法としては、所望の厚みで透明電極層を形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。このような透明電極層の形成方法としては、一般的な電極の成膜方法を用いることができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法や、CVD法、導電ペーストを塗布する方法等が挙げられる。また、透明電極層は、ガラス基材の一方の表面側に一面に形成されていてもよくパターン状に形成されていてもよい。
【0065】
透明電極層3は、ガラス基材1の一方の表面側に、図1および図2に例示するように単独で形成されていてもよく、また図4に例示するように透明電極層基材13上に透明電極層3が形成された透明電極層積層体として形成されていてもよい。なお、図4において、透明電極層積層体は、透明電極層基材13上に粘着層4が形成されて貼り合わされている。また、透明電極層3上には表示媒体層9が形成されている。図4において説明していない符号については、図1と同様である。
【0066】
中でも、透明電極層はガラス基材の一方の表面側に単独で形成されていることが好ましい。電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成を簡素化することができるため、電子ペーパーをさらに薄型化できるとともに、層界面数の減少により電子ペーパーの光学特性を向上させることができるからである。
【0067】
特に、上記カラーフィルタ層の項に記載したように、図1および図2に例示するように、ガラス基材1の一方の表面上にカラーフィルタ層2または透明電極層3が直接形成され、かつ、カラーフィルタ層2および透明電極層3が直接積層されていることが好ましい。
【0068】
透明電極層がガラス基材の一方の表面側に透明電極層積層体として形成されている場合、透明電極層積層体では、透明電極層がガラス基材側に配置されていてもよく、透明電極層基材がガラス基材側に配置されていてもよい。
【0069】
透明電極層基材としては、上記カラーフィルタ層基材と同様のものを用いることができる。透明電極層基材の厚みとしては、透明電極層を支持することができれば特に限定されるものではないが、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。
【0070】
また、透明電極層積層体は、通常、粘着材からなる粘着層を形成して貼り合わされる。粘着層は、透明電極層積層体の透明電極層側に形成されていてもよく、透明電極層基材側に形成されていてもよい。粘着材としては、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着材と同様のものを用いることができる。粘着層の膜厚としては、透明電極層積層体が剥離しないように貼り合わせることができれば特に限定されるものではなく、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着層の膜厚と同様である。
【0071】
4.その他の構成
本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材は、ガラス基材、カラーフィルタ層および透明電極層を少なくとも有していればよく、必要な構成を適宜追加することが可能である。以下、このような構成について具体的に説明する。
【0072】
(1)光学機能層
本発明においては、光学機能層が、上記ガラス基材の他方の表面側に形成され、かつ最表面に配置されていることが好ましい。光学機能層を有することにより、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた場合、視認性を向上させることができるからである。光学機能層は、後述の表面保護層を兼ねていてもよい。
なお、「ガラス基材の他方の表面側に形成される」とは、ガラス基材の他方の表面上に直接形成される場合だけでなく、ガラス基材の他方の表面上に他の層を介して形成される場合を含む概念である。
【0073】
図5(a)は、光学機能層を有する本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の一例を示す概略断面図である。図5(a)に示す例においては、光学機能層5、ガラス基材1、カラーフィルタ層2、透明電極層3の順に積層されている。図5(a)に示す電子ペーパー用カラーフィルタ部材10が電子ペーパーに用いられる場合、透明電極層3側に電子ペーパーの表示媒体層が配置される。
【0074】
光学機能層5は、ガラス基材1の他方の表面側に、図5(a)に示すように単独で形成されていてもよく、また図5(b)に示すように光学機能層基材15上に光学機能層5が形成された光学機能層積層体として形成されていてもよい。なお、図5(b)において、光学機能層積層体は、光学機能層基材15上に粘着層4が形成されて貼り合わされている。図5(a)、(b)においては、カラーフィルタ層2および透明電極層3の積層順が逆であってもよい。図5(a)、(b)において説明していない符号については、図1と同様である。
【0075】
光学機能層がガラス基材の一方の表面側に光学機能層積層体として形成されている場合、光学機能層積層体では、通常、光学機能層基材がガラス基材側に配置される。
【0076】
光学機能層基材としては、上述のカラーフィルタ層基材と同様のものを用いることができる。光学機能層基材の厚みとしては、光学機能層を支持することができれば特に限定されるものではないが、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。
【0077】
また、光学機能層積層体は、通常、粘着材からなる粘着層を光学機能層基材側に形成して貼り合わされる。粘着材としては、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着材と同様のものを用いることができる。粘着層の膜厚としては、光学機能層積層体が剥離しないように貼り合わせることができれば特に限定されるものではなく、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着層の膜厚と同様である。
【0078】
光学機能層の形成位置としては、光学機能層がガラス基材の他方の表面側に形成され、かつ最表面に配置されていれば特に限定されるものではない。光学機能層がガラス基材の一方の表面側に光学機能層積層体として形成されている場合、通常、光学機能層が最表面に配置される。
【0079】
光学機能層としては、例えば、防眩層、反射防止層、低反射層、のぞき見防止層等を挙げることができ、中でも、防眩層および反射防止層であることが好ましい。以下、防眩層および反射防止層について説明する。
【0080】
(i)防眩層(アンチグレア層)
本発明に用いられる防眩層は、防眩性を有するものである。防眩層は、例えば、表面に凹凸を有する、または、内部散乱性を有することにより、防眩性を発現し、明所コントラストを向上させることができる。また、防眩層を有することで、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた際に、ぎらつき等の発生を抑制することが可能である。このような防眩層としては、公知の防眩層を用いることができ、例えば、特開2010−44311号公報等で説明されているものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
防眩層の平均膜厚は、1μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
【0081】
(ii)反射防止層(アンチリフレクション層)
本発明に用いられる反射防止層は、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材が電子ペーパーに用いられた際に、電子ペーパー表面での外来光の鏡面反射による背景の映り込み、画像の白化および画像のコントラスト低下を防止する機能を有するものである。このような反射防止層としては、公知の反射防止層を用いることができ、例えば、特開2008−249882号公報等で説明されているものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
【0082】
(2)表面保護層
本発明においては、表面保護層が、上記ガラス基材の他方の表面側に形成され、かつ最表面に配置されていることも好ましい。表面保護層を有することにより、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた場合、電子ペーパー表面の傷および汚れを防止することができる。表面保護層は、上述の光学機能層を兼ねていてもよい。
なお、「ガラス基材の他方の表面側に形成される」とは、ガラス基材の他方の表面上に直接形成される場合だけでなく、ガラス基材の他方の表面上に他の層を介して形成される場合を含む概念である。
【0083】
図6(a)は、表面保護層を有する本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の一例を示す概略断面図である。図6(a)においては、表面保護層6、ガラス基材1、カラーフィルタ層2、透明電極層3の順に積層されている。図6(a)に示す電子ペーパー用カラーフィルタ部材10が電子ペーパーに用いられる場合、透明電極層3側に電子ペーパーの表示媒体層が配置される。
【0084】
表面保護層6は、ガラス基材1の他方の表面側に、図6(a)に示すように単独で形成されていてもよく、また図6(b)に示すように表面保護層基材16上に表面保護層6が形成された表面保護層積層体として形成されていてもよい。なお、図6(b)において、表面保護層積層体は、表面保護層基材16上に粘着層4が形成されて貼り合わされている。図6(a)、(b)においては、カラーフィルタ層2および透明電極層3の積層順が逆であってもよい。図6(a)、(b)において説明していない符号については、図1と同様である。
【0085】
表面保護層がガラス基材の一方の表面側に表面保護層積層体として形成されている場合、表面保護層積層体では、通常、表面保護層基材がガラス基材側に配置される。
【0086】
表面保護層基材としては、上述のカラーフィルタ層基材と同様のものを用いることができる。表面保護層基材の厚みとしては、表面保護層を支持することができれば特に限定されるものではなく、具体的には、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。
【0087】
また、表面保護層積層体は、通常、粘着材からなる粘着層を表面保護層基材側に形成して貼り合わされる。粘着材としては、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着材と同様のものを用いることができる。粘着層の膜厚としては、表面保護層積層体が剥離しないように貼り合わせることができれば特に限定されるものではなく、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着層の膜厚と同様である。
【0088】
表面保護層の形成位置としては、表面保護層がガラス基材の他方の表面側に形成され、かつ最表面に配置されていれば特に限定されるものではない。表面保護層がガラス基材の一方の表面側に表面保護層積層体として形成されている場合、通常、表面保護層が最表面に配置される。
【0089】
本発明に用いられる表面保護層としては、例えば、ハードコート層、防汚層、帯電防止層、抗菌層等を挙げることができ、中でも、ハードコート層および防汚層が好ましい。以下、ハードコート層および防汚層について説明する。
【0090】
(i)ハードコート層
本発明に用いられるハードコート層は、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材に耐擦傷性を付与する機能を有する層である。このようなハードコート層としては、公知のハードコート層を用いることができ、例えば、特開2010−44311号公報等で説明されているものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
なお、「ハードコート層」とは、一般にJIS 5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものをいう。中でも、ハードコート層表面の硬度が「3H」以上であることが好ましい。
【0091】
(ii)防汚層
本発明に用いられる防汚層は、ごみや汚れが付着するのを防止し、あるいはごみが付着しても除去しやすくするために設けられる層である。本発明においては、公知の防汚層を用いることができる。
【0092】
防汚層は、防汚剤をごく薄く塗布し、乾燥させることで形成することができる。防汚剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤等の界面活性剤、フッ素系樹脂を含む塗料、シリコーンオイル等の剥離剤、もしくはワックス等が挙げられる。
【0093】
本発明においては、防汚層は、ハードコート層と別に設けられるものであってもよいが、ハードコート層に上記防汚剤を添加することにより、防汚層としてもよい。中でも、コストを削減できることから、ハードコート層に防汚剤を添加して、防汚層とすることが好ましい。
【0094】
防汚層の膜厚としては、1nm〜30nmの範囲内であることが好ましい。防汚層の膜厚が上記範囲を超えると、光学的な影響が生じるおそれがあるからである。
【0095】
(3)タッチパネル層
本発明においては、タッチパネル層が、上記ガラス基材の他方の表面側に形成されていてもよい。タッチパネル層を有することで、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を電子ペーパーに用いた場合に、画面に直接触れることにより情報の入力が可能な利便性の高い電子ペーパーを得ることができる。
なお、「ガラス基材の他方の表面側に形成される」とは、ガラス基材の他方の表面上に直接形成される場合だけでなく、ガラス基材の他方の表面上に他の層を介して形成される場合を含む概念である。
【0096】
図7は、タッチパネル層を有する本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の一例を示す概略断面図である。図7においては、光学機能層5(または表面保護層6)、光学機能層基材15(または表面保護層基材16)、粘着層4、タッチパネル層7、粘着層4、ガラス基材1、カラーフィルタ層2、透明電極層3の順に積層されている。図7に示す電子ペーパー用カラーフィルタ部材10が電子ペーパーに用いられる場合、透明電極層3側に電子ペーパーの表示媒体層が配置される。図7に例示する電子ペーパー用カラーフィルタ部材10の最表面は、光学機能層5であってもよく、表面保護層6であってもよい。図7においては、カラーフィルタ層2および透明電極層3の積層順が逆であってもよい。図7において説明していない符号については、図1と同様である。
【0097】
タッチパネル層は、通常、粘着材からなる粘着層を用いて貼り合わされる。粘着層は、タッチパネル層の片面に形成されていてもよく両面に形成されていてもよい。粘着材としては、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着材と同様のものを用いることができる。粘着層の膜厚としては、タッチパネル層が剥離しないように貼り合わせることができれば特に限定されるものではなく、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着層の膜厚と同様である。
【0098】
タッチパネル層としては、抵抗膜方式、静電容量方式、光学方式、電磁誘導方式、超音波方式等の各種の方式を使用することができる。
抵抗膜方式のタッチパネルは、基板上に形成した電極面がギャップを保ち、相対した構造となっている。指またはペンなどの押圧を受けると基板が変形し、電極が接触する。電圧を印加し、接触部の電位勾配を読み取ることにより入力点を検出する。抵抗膜方式のタッチパネル層の構成については、例えば、特開2003−307723号公報等で説明されたものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
静電容量方式のタッチパネルは、指などの導電体がパネルに触れることにより電気容量変化することを利用して入力点を検出する方式である。複数の方式があるが、このうち投影型では、誘電体を挟んでマトリックス状にパターニングされた電極の構造となっており、各電極の電気容量に起因した電圧変化から入力点を検出する。静電容量方式のタッチパネル層の構成については、例えば、特表2003−511799号公報等で説明されたものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
【0099】
タッチパネル層の形成位置としては、タッチパネル層がガラス基材の他方の表面側に形成されていれば特に限定されるものではないが、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材が光学機能層および表面保護層の少なくとも一方を有する場合、タッチパネル層はこれらの層よりもガラス基材側に配置される。
【0100】
(4)表示媒体層
本発明においては、表示媒体層が、上記カラーフィルタ層および上記透明電極層上に形成されていてもよい。
なお、「カラーフィルタ層および透明電極層上に形成される」とは、カラーフィルタ層および透明電極層の積層体上に直接形成される場合だけでなく、カラーフィルタ層および透明電極層の積層体上に他の層を介して形成される場合を含む概念である。
【0101】
本発明に用いられる表示媒体層は、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材が用いられる電子ペーパーの表示方式に応じて適宜選択されるものである。
電子ペーパーの表示方式としては、公知のものを適用することができ、例えば、電気泳動方式、ツイストボール方式、粉体移動方式(電子粉流体方式、帯電トナー型方式)、液晶表示方式、サーマル方式(発色方式、光散乱方式)、エレクトロクロミック方式、エレクトロウェッティング方式、磁気泳動方式などが挙げられる。中でも、電気泳動方式が好適に用いられる。この方式は、実用段階に入っているとともに、粒子移動型であるため、視野角依存性が少なく、かつ応答性に優れた電子ペーパーを得ることができるからである。
【0102】
電気泳動方式は、溶媒中に分散された帯電粒子が、電界によって電極間を移動する電気泳動現象を利用したものである。電気泳動方式には、例えば、マイクロカプセル方式、マイクロカップ方式等がある。
マイクロカプセル方式では、帯電した白色粒子および黒色粒子と、これらの粒子を分散する透明分散媒とを透明樹脂からなるマイクロカプセル中に封入し、電界を印加することにより、白色粒子および黒色粒子を上下させることで白黒表示または階調を表現する。
マイクロカップ方式では、カップ状の窪み(マイクロカップ)で仕切られたセルに、染料で着色した分散媒と、帯電した白色粒子とを配置し、電界を印加することにより、白色粒子を上下させることで白色または分散媒の色を表示させる。
【0103】
本発明に用いられる表示媒体層の構成、材料および形成方法については、各表示方式の一般的な電子ペーパーに用いられるものと同様とすることができる。
【0104】
以下、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材がマイクロカプセル方式の電子ペーパーに用いられる場合の表示媒体層を例に挙げて説明する。このような表示媒体層としては、例えば、白色粒子と黒色粒子と透明分散媒とからなる分散液を内包したマイクロカプセルをバインダー樹脂により固定したものを挙げることができる。
【0105】
透明分散媒としては、例えば、アルコール系溶媒、各種エステル類、ケトン類、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩又はその他の種々の油類等の単独、またはこれらの混合物に界面活性剤等を配合したものを用いることができる。
【0106】
白色粒子としては、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の白色顔料を用いることができ、黒色粒子としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料を用いることができる。
さらに必要に応じて、これらの顔料に、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加してもよい。
【0107】
マイクロカプセルの壁膜を形成する材料としては、例えば、アラビアゴム・ゼラチンの複合膜、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、尿素樹脂などの化合物を用いることができる。
【0108】
バインダー樹脂としては、マイクロカプセルの壁膜に対する親和性が良好で、上記透明電極層に対する密着性に優れ、かつ絶縁性を有するものを用いることができ、例えば、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シリコーン樹脂等を挙げることができる。
【0109】
このような表示媒体層は、例えば、マイクロカプセルをバインダー樹脂に分散してインキ化したものを上記透明電極層上に塗布することにより形成することができる。
【0110】
表示媒体層は、上記カラーフィルタ層および上記透明電極層上に、単独で形成されていてもよく、また表示媒体層基材上に表示媒体層が形成された表示媒体層積層体として形成されていてもよい。
表示媒体層がカラーフィルタ層および透明電極層上に表示媒体層積層体として形成されている場合、表示媒体層積層体では、表示媒体層がカラーフィルタ層および透明電極層側配置されていてもよく、表示媒体層基材がカラーフィルタ層および透明電極層側に配置されていてもよい。
表示媒体層基材としては、上述のカラーフィルタ層基材と同様のものを用いることができる。表示媒体層基材の厚みとしては、表示媒体層を支持することができれば特に限定されるものではないが、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。
また、表示媒体層積層体は、通常、粘着材からなる粘着層を表示媒体層基材側に形成して貼り合わされる。粘着材としては、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着材と同様のものを用いることができる。粘着層の膜厚としては、表示媒体層積層体が剥離しないように貼り合わせることができれば特に限定されるものではなく、上述のカラーフィルタ層の項に記載した粘着層の膜厚と同様である。
【0111】
表示媒体層の形成位置としては、表示媒体層がカラーフィルタ層および透明電極層上に形成されていれば特に限定されるものではない。
【0112】
5.電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成
本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成としては、以下のようなものが挙げられる。
・ガラス基材1/カラーフィルタ層2/透明電極層3(図1参照)
・ガラス基材1/透明電極層3/カラーフィルタ層2(図2参照)
・ガラス基材1/粘着層4/カラーフィルタ層基材12/カラーフィルタ層2/透明電極層3(図3参照)
・ガラス基材/粘着層/透明電極層基材/透明電極層/カラーフィルタ層(図示なし)
・ガラス基材1/カラーフィルタ層2/粘着層4/透明電極層基材13/透明電極層3/表示媒体層9(図4参照)
・ガラス基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層/透明電極層基材/表示媒体層(図示なし)
・ガラス基材1/粘着層4/カラーフィルタ層基材12/カラーフィルタ層2/粘着層4/透明電極層基材13/透明電極層3/表示媒体層9(図8参照)
・ガラス基材/粘着層/カラーフィルタ層基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層/透明電極層基材/表示媒体層(図示なし)
上述の層構成において、ガラス基材の一方の表面側(電子ペーパーの表示媒体層が配置される側または表示媒体層側)の最表面に粘着層が形成されていてもよい。
・ガラス基材1/カラーフィルタ層2/透明電極層3/表示媒体層9/粘着層4(図9(a)参照)
・ガラス基材1/透明電極層3/カラーフィルタ層2/表示媒体層9/粘着層4(図9(b)参照)
【0113】
本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材が光学機能層を有する場合、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成としては、以下のようなものが挙げられる。
・光学機能層5/ガラス基材1/カラーフィルタ層2/透明電極層3(図5(a)参照)
・光学機能層5/光学機能層基材15/粘着層4/ガラス基材1/カラーフィルタ層2/透明電極層3(図5(b)参照)
・光学機能層/ガラス基材/透明電極層/カラーフィルタ層
・光学機能層/光学機能層基材/粘着層/ガラス基材/透明電極層/カラーフィルタ層
・光学機能層/ガラス基材/粘着層/カラーフィルタ層基材/カラーフィルタ層/透明電極層
・光学機能層/光学機能層基材/粘着層/ガラス基材/粘着層/カラーフィルタ層基材/カラーフィルタ層/透明電極層
・光学機能層/ガラス基材/粘着層/透明電極層基材/透明電極層/カラーフィルタ層
・光学機能層/光学機能層基材/粘着層/ガラス基材/粘着層/透明電極層基材/透明電極層/カラーフィルタ層
・光学機能層/ガラス基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層基材/透明電極層/表示媒体層
・光学機能層/ガラス基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層/透明電極層基材/表示媒体層
・光学機能層/光学機能層基材/粘着層/ガラス基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層基材/透明電極層/表示媒体層
・光学機能層/光学機能層基材/粘着層/ガラス基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層/透明電極層基材/表示媒体層
・光学機能層/ガラス基材/粘着層/カラーフィルタ層基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層基材/透明電極層/表示媒体層
・光学機能層/ガラス基材/粘着層/カラーフィルタ層基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層/透明電極層基材/表示媒体層
・光学機能層/光学機能層基材/粘着層/ガラス基材/粘着層/カラーフィルタ層基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層基材/透明電極層/表示媒体層
・光学機能層/光学機能層基材/粘着層/ガラス基材/粘着層/カラーフィルタ層基材/カラーフィルタ層/粘着層/透明電極層/透明電極層基材/表示媒体層
上述の層構成において、ガラス基材の一方の表面側(電子ペーパーの表示媒体層が配置される側または表示媒体層側)の最表面に粘着層が形成されていてもよい。
・光学機能層/ガラス基材/カラーフィルタ層/透明電極層/表示媒体層/粘着層
・光学機能層/光学機能層基材/粘着層/ガラス基材/カラーフィルタ層/透明電極層/表示媒体層/粘着層
・光学機能層/ガラス基材/透明電極層/カラーフィルタ層/表示媒体層/粘着層
・光学機能層/光学機能層基材/粘着層/ガラス基材/透明電極層/カラーフィルタ層/表示媒体層/粘着層
【0114】
本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材が表面保護層を有する場合の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成としては、上述の層構成において、光学機能層を表面保護層に置き換えることにより例示することができる。
【0115】
本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材がタッチパネル層を有する場合の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成としては、上述の層構成において、タッチパネル層/粘着層を、光学機能層/光学機能層基材/粘着層とガラス基材との間に配置することにより例示することができる。
【0116】
本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材は、上述したように、種々の層構成を採ることが可能である。中でも、上記カラーフィルタ層の項に記載したように、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層または透明電極層が直接形成され、かつ、カラーフィルタ層および透明電極層が直接積層されていることが好ましい。好ましい層構成としては、以下のようなものを挙げることができる。
・ガラス基材1/カラーフィルタ層2/透明電極層3/表示媒体層9/粘着層4(図9(a)参照)
・ガラス基材1/透明電極層3/カラーフィルタ層2/表示媒体層9/粘着層4(図9(b)参照)
・光学機能層/ガラス基材/カラーフィルタ層/透明電極層/表示媒体層/粘着層
・光学機能層/ガラス基材/透明電極層/カラーフィルタ層/表示媒体層/粘着層
・表面保護層/ガラス基材/カラーフィルタ層/透明電極層/表示媒体層/粘着層
・表面保護層/ガラス基材/透明電極層/カラーフィルタ層/表示媒体層/粘着層
【0117】
B.電子ペーパー
次に、本発明の電子ペーパーについて説明する。本発明の電子ペーパーは、屈曲性を有するガラス基材、ならびに、上記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材と、対向基材および上記対向基材上に形成された対向電極層を有する対向電極基板と、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材の上記カラーフィルタ層および上記透明電極層、ならびに、上記対向電極基板の上記対向電極層の間に配置された表示媒体層とを有することを特徴とするものである。
【0118】
本発明の電子ペーパーについて、図面を参照しながら説明する。図10は、本発明の電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。図10に例示する電子ペーパー20は、電子ペーパー用カラーフィルタ部材10と、対向電極基板23と、電子ペーパー用カラーフィルタ部材10および対向電極基板23の間に配置された表示媒体層9とを有している。電子ペーパー用カラーフィルタ部材10は、ガラス基材1と、ガラス基材1の一方の表面側に形成され、複数の着色層(2R、2G、2B)を備えるカラーフィルタ層2と、カラーフィルタ層2上に形成された透明電極層3とを有している。対向電極基板23は、対向基材21と、対向基材21上に形成された対向電極層22とを有している。表示媒体層9および対向電極基板23は粘着層4を介して貼り合わされている。
図10において、カラーフィルタ層2および透明電極層3は積層順が逆であってもよい。また、電子ペーパー用カラーフィルタ部材10と表示媒体層9とが一体化していてもよく、電子ペーパー用カラーフィルタ部材10と表示媒体層9と粘着層4とが一体化していてもよい。
【0119】
本発明によれば、屈曲性をもつガラス基材を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いているため、フレキシブル性およびバリア性を両立することができ、電子ペーパーの表示媒体層を水分や酸素等から保護することができる。また本発明によれば、カラーフィルタ層の外側にガラス基材が設けられているので、カラーフィルタ層および表示媒体層の距離が近く、視差を生じ難くすることができる。さらに、ガラス基材は寸法安定性に優れているので、電子ペーパー用カラーフィルタ部材と表示媒体層と対向電極基板との精密な位置合わせを行うことができ、製造中や動作中での位置ずれを抑制することができる。したがって、優れたカラー表示特性を得ることが可能である。
【0120】
さらに本発明によれば、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成を簡素化することができるため、電子ペーパーのさらなる薄型化が可能であるとともに、層界面数の減少により電子ペーパーの光学特性を向上させることが可能である。
【0121】
また、バリア層を形成したりバリアフィルムを貼付したりする必要がないため、簡易な手法で電子ペーパーを作製することができるとともに、製造コストを削減することができる。
さらに、ガラス基材は、光透過性、耐久性、耐候性、耐熱性、低アウトガス等の特性に優れるという利点を有するため、電子ペーパーの基材として好適である。
【0122】
なお、電子ペーパー用カラーフィルタ部材および表示媒体層については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。以下、本発明の電子ペーパーにおける他の構成について説明する。
【0123】
1.対向電極基板
本発明に用いられる対向電極基板は、対向基材と、対向基材上に形成された対向電極層とを有するものである。
【0124】
(1)対向電極層
本発明に用いられる対向電極層としては、透明電極層のストライプパターンに直交するように形成された画素電極層であってもよく、複数のTFT素子とTFT素子に接続された画素電極とを有するTFT電極層であってもよい。前者を用いることにより、パッシブマトリクス型の電子ペーパーとすることができ、後者を用いることにより、アクティブマトリクス型の電子ペーパーとすることができる。中でも、TFT電極層を用いることが好ましい。コントラストが高く、応答速度の速いアクティブマトリクス型の電子ペーパーとすることができるからである。
【0125】
このようなTFT電極層について、図を参照しながら具体的に説明する。図11は、本発明に用いられる対向電極基板の一例を示す概略断面図である。図11に例示する対向電極基板23は、対向基材21と、対向基材21上に形成され、複数のTFT素子24およびTFT素子24に接続された画素電極25を有するTFT電極層22′とを備えている。このようなTFT電極層22′において、TFT素子24は、ゲート電極24aと、ゲート電極24a上に形成されたゲート絶縁膜24bと、ゲート絶縁膜24b上に形成された半導体層24cと、半導体層24c上に一定に間隔を空けて対向するように形成されたソース電極24dおよびドレイン電極24eとを有するものであり、画素電極25はドレイン電極24eと接続するように形成されているものである。
また、図11に例示するように、TFT電極層22′は、TFT素子24を覆うように保護膜26が形成され、保護膜26上に画素電極25が形成されたものであってもよい。
【0126】
TFT素子としては、特に限定されるものではなく、本発明の電子ペーパーの種類に応じて適宜選択され、例えば、a−Si TFT構造を有するものであってよく、p−Si TFT構造を有するものであってもよい。a−Si TFT構造を有するTFT素子の場合、正スタガ型(トップゲート構造)および逆スタガ型(ボトムゲート構造)のいずれであってもよい。また、逆スタガ型の場合、チャネルエッチ型およびチャネルプロテクト型のいずれであってもよい。一方、p−Si TFT構造を有するTFT素子の場合、プレーナ型およびスタガ型のいずれであってもよい。
【0127】
TFT素子を構成する半導体層としては、対向基材上に形成することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン、酸化物半導体、有機半導体が用いられる。
【0128】
シリコンとしては、ポリシリコン、アモルファスシリコンを用いることができる。
酸化物半導体としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)、酸化マグネシウム亜鉛(MgxZn1−xO)、酸化カドミウム亜鉛(CdxZn1−xO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化インジウム(In2O3)、酸化ガリウム(Ga2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化タングステン(WO)、InGaZnO系、InGaSnO系、InGaZnMgO系、InAlZnO系、InFeZnO系、InGaO系、ZnGaO系、InZnO系を用いることができる。
有機半導体としては、例えば、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物等を挙げることができる。より具体的には、ペンタセン、テトラセン、チオフェンオリゴマ誘導体、フェニレン誘導体、フタロシアニン化合物、ポリアセチレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、シアニン色素等が挙げられる。
【0129】
半導体層の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
【0130】
TFT素子を構成するゲート電極、ソース電極およびドレイン電極としては、所望の導電性を備えるものであれば特に限定されるものではなく、一般的にTFT素子に用いられる導電性材料を用いることができる。このような材料の例としては、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、Au、Ag、Pt、Mo−Ta合金、W−Mo合金、ITO、IZO等の無機材料、および、PEDOT/PSS等の導電性を有する有機材料を挙げることができる。
ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
【0131】
TFT素子を構成するゲート絶縁膜としては、一般的なTFT素子におけるゲート絶縁膜と同様のものを用いることができ、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の絶縁性無機材料、および、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂等の絶縁性有機材料等の絶縁性有機材料を用いることができる。
ゲート絶縁膜の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
【0132】
TFT素子上には保護膜が形成されていてもよい。保護膜は、TFT素子を保護するために設けられるものである。例えば、半導体層が空気中に含有される水分等に曝露されることを防止することができる。保護膜が形成されていることにより、TFT性能の経時劣化を低減することができるのである。このような保護膜としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素が用いられる。
保護膜の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
【0133】
画素電極は、一般的に電子ペーパー等に用いられているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム錫(IZO)等が好ましく用いられる。
画素電極の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
【0134】
(2)対向基材
本発明に用いられる対向基材は、上記対向電極層を支持するものである。このような対向基材としては、一般的に電子ペーパー等の基板として用いられているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ガラス板、プラスチック板などが好ましく挙げられる。
【0135】
2.電子ペーパー
本発明の電子ペーパーは、通常、電子ペーパー用カラーフィルタ部材上に表示媒体層が形成され、粘着材からなる粘着層を用いて、表示媒体層と、対向電極基板の対向電極層とが貼り合わされてなるものである。粘着層は、表示媒体層上に形成されていてもよく、対向電極層上に形成されていてもよい。粘着材としては、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」のカラーフィルタ層の項に記載した粘着材と同様のものを用いることができる。粘着層の膜厚としては、表示媒体層および対向電極層が剥離しないように貼り合わせることができれば特に限定されるものではなく、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」のカラーフィルタ層の項に記載した粘着層の膜厚と同様である。
【0136】
本発明の電子ペーパーの具体的な層構成としては、電子ペーパー用カラーフィルタ部材、表示媒体層、粘着層、対向電極層、対向基材の順であればよい。また、電子ペーパー用カラーフィルタ部材と表示媒体層とが一体化していてもよく、電子ペーパー用カラーフィルタ部材と表示媒体層と粘着層とが一体化していてもよい。
なお、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したいずれかの層構成を用いることができるので、ここでの記載は省略する。
【0137】
本発明の電子ペーパーは、上述したように、種々の層構成を採ることが可能である。中でも、ガラス基材上にカラーフィルタ層または透明電極層が直接形成され、かつ、カラーフィルタ層および透明電極層が直接積層されていることが好ましい。好ましい層構成としては、以下のようなものを挙げることができる。
・ガラス基材1/カラーフィルタ層2/透明電極層3/表示媒体層9/粘着層4/対向電極層22/対向基材21(図10参照)
・ガラス基材/透明電極層/カラーフィルタ層/表示媒体層/粘着層/対向電極層/対向基材
・光学機能層/ガラス基材/カラーフィルタ層/透明電極層/表示媒体層/粘着層/対向電極層/対向基材
・光学機能層/ガラス基材/透明電極層/カラーフィルタ層/表示媒体層/粘着層/対向電極層/対向基材
・表面保護層/ガラス基材/カラーフィルタ層/透明電極層/表示媒体層/粘着層/対向電極層/対向基材
・表面保護層/ガラス基材/透明電極層/カラーフィルタ層/表示媒体層/粘着層/対向電極層/対向基材
【0138】
本発明の電子ペーパーの用途としては、デジタル機器のディスプレイ、電子ブック、デジタル・サイネージ(電子看板)等に用いられる。
【0139】
C.電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法
次に、本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法について説明する。本発明の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法は、屈曲性を有するガラス基材が巻回されたロール状ガラス基材を用いて、上記ガラス基材と、上記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層とを有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程を有することを特徴としている。
【0140】
本発明によれば、ロール状ガラス基材を用いるので、各層の高い位置精度が要求されない電子ペーパー用カラーフィルタ部材をロール・ツー・ロール方式により形成することができ、生産性を向上させることが可能である。
【0141】
本発明における電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程は、屈曲性を有するガラス基材が巻回されたロール状ガラス基材を用いて、上記ガラス基材と、上記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層とを有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する工程である。
【0142】
ロール状ガラス基材としては、屈曲性を有するガラス基材が巻回されたものであれば特に限定されるものではない。なお、屈曲性を有するガラス基材については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、電子ペーパー用カラーフィルタ部材については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0143】
本発明における電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程は、ロール状ガラス基材を用いて、ロール・ツー・ロール方式により、電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する工程であればよい。本工程においては、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の一方の表面上に、カラーフィルタ層または透明電極層を直接形成し、かつ、カラーフィルタ層および透明電極層を直接積層してもよく(第1態様)、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の一方の表面上に、カラーフィルタ層および透明電極層の少なくともいずれか一方を貼付してもよい(第2態様)。また、本工程では、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の他方の表面上に、タッチパネル層を貼付してもよい(第3態様)。
以下、各態様に分けて説明する。
【0144】
1.第1態様
本態様においては、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層または透明電極層を直接形成し、かつ、カラーフィルタ層および透明電極層を直接積層する。
【0145】
本態様によれば、ガラス基材は寸法安定性に優れているので、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層または透明電極層を直接形成することにより、電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いて電子ペーパーを作製する際には精度良く位置合わせを行うことができ、製造中や動作中での位置ずれを抑制して、電子ペーパー全体としての寸法安定性を高めることが可能な電子ペーパー用カラーフィルタ部材を得ることができる。またガラス基材はアウトガスが極めて少ないので、アウトガスによる電子ペーパーの表示媒体層の劣化を抑制することが可能な電子ペーパー用カラーフィルタ部材を得ることができる。さらにガラス基材は耐候性、耐久性、耐熱性に優れることから、信頼性の高い電子ペーパー用カラーフィルタ部材を得ることができる。また、ガラス基材は光透過性に優れているので、電子ペーパーの高輝度化を実現することが可能な電子ペーパー用カラーフィルタ部材を得ることができる。さらには、上記の構成とすることにより、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成を簡素化することができるため、電子ペーパーの薄型化および光学特性の向上が可能な電子ペーパー用カラーフィルタ部材を得ることができる。
【0146】
本態様においては、ロール・ツー・ロール方式により、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層または透明電極層を直接形成し、かつ、カラーフィルタ層および透明電極層を直接積層すればよく、カラーフィルタ層および透明電極層の形成順序は特に限定されるものではなく、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層を直接形成した後に、カラーフィルタ層上に透明電極層を直接形成してもよく、またガラス基材の一方の表面上に透明電極層を直接形成した後に、透明電極層上にカラーフィルタ層を直接形成してもよい。
【0147】
なお、カラーフィルタ層および透明電極層の形成方法については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0148】
ガラス基材の他方の表面側に光学機能層または表面保護層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層を形成する前あるいはガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層を形成した後に、ガラス基材の他方の表面に、光学機能層基材上に光学機能層が形成された長尺状の光学機能層積層体または表面保護層基材上に表面保護層が形成された長尺状の表面保護層積層体をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよく、ガラス基材の他方の表面上に光学機能層または表面保護層を形成してもよい。
【0149】
また、ガラス基材の他方の表面側に光学機能層または表面保護層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層を形成した後に、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層が形成された積層体をシート状に切り出し、ガラス基材の他方の表面にシート状の光学機能層積層体または表面保護層積層体を貼り合わせてもよい。
【0150】
ガラス基材の他方の表面側にタッチパネル層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層を形成する前に、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の他方の表面に長尺状のタッチパネル層をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよく、またガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層を形成した後に、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層が形成された積層体をシート状に切り出し、ガラス基材の他方の表面にシート状のタッチパネル層を貼り合わせてもよい。カラーフィルタ層およびタッチパネル層のアライメント精度を考慮すると、後者の方法が好ましい。
【0151】
後者の場合、電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程が、タッチパネル層をシート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する、または、タッチパネル層をシート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートするタッチパネル層積層工程を有することが好ましい。本発明により製造される電子ペーパー用カラーフィルタ部材がタッチパネル層を有する場合、タッチパネル層はカラーフィルタ層とのアライメントを必要とするが、タッチパネル層積層工程を有することでアライメントが調整されるため、タッチパネル機能を備え、かつ電子ペーパーに用いた際にカラー表示特性が良好な電子ペーパー用カラーフィルタ部材を得ることができる。
【0152】
なお、タッチパネル層およびその形成位置については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0153】
タッチパネル層積層工程においては、タッチパネル層とカラーフィルタ層との位置精度が要求されるため、タッチパネル層またはタッチパネル層を含む部材とカラーフィルタ層を含む部材との貼り合わせをアライメント調整が可能なシート・ツー・シート方式により行う。
具体的には、タッチパネル層またはタッチパネル層を含む部材と、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層が形成されたカラーフィルタ層を含む部材とを、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する、または、シート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートする。
また、長尺状のタッチパネル層と長尺状の光学機能層積層体または表面保護層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせたタッチパネル層を含む部材と、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層が形成されたカラーフィルタ層を含む部材とを、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する、または、シート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートしてもよい。
【0154】
シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、真空チャンバー内で、枚葉状のカラーフィルタ層を含む部材と枚葉状のタッチパネル層またはタッチパネル層を含む部材との位置合わせを、両部材に予め形成されたアライメントマークを用いて行い、粘着層を介して両部材をプレスすることにより貼り合わせる方法等を挙げることができる。真空度としては、貼合面での異物および気泡の混入を防ぐことができれば特に限定されるものではなく、例えば、50Pa〜10000Paの範囲内で設定することができる。
【0155】
シート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートする方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、枚葉状のカラーフィルタ層を含む部材と枚葉状のタッチパネル層またはタッチパネル層を含む部材との位置合わせを、両部材に予め形成されたアライメントマークを用いて行い、粘着層を介して両部材をプレスすることによりラミネートする方法等を挙げることができる。
【0156】
表示媒体層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層を形成した後に、カラーフィルタ層および透明電極層上に表示媒体層を形成してもよく、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層が形成された積層体と表示媒体層基材上に表示媒体層が形成された長尺状の表示媒体層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよい。また、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層を形成した後に、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層が形成された積層体をシート状に切り出し、シート状の表示媒体層積層体と貼り合わせてもよい。
【0157】
なお、本態様における電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0158】
2.第2態様
本態様においては、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層の少なくともいずれか一方を貼付する。
【0159】
本態様によれば、ロール・ツー・ロール方式によりガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層の少なくともいずれか一方を貼付するので、生産性をさらに高めることができる。
【0160】
本態様においては、ロール・ツー・ロール方式により、粘着層を用いて、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層および透明電極層の少なくともいずれか一方を貼付すればよく、例えば、ガラス基材と、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層が形成されたカラーフィルタ層積層体と、透明電極層基材上に透明電極層が形成された透明電極層積層体とを順に貼り合わせてもよく、ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層が直接形成された積層体と、透明電極層基材上に透明電極層が形成された透明電極層積層体とを貼り合わせてもよく、ガラス基材と、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層および透明電極層がこの順に積層された積層体とを貼り合わせてもよく、ガラス基材と、透明電極層基材上に透明電極層およびカラーフィルタ層がこの順に積層された積層体とを貼り合わせてもよい。
【0161】
ガラス基材と、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層が形成されたカラーフィルタ層積層体と、透明電極層基材上に透明電極層が形成された透明電極層積層体とを順に貼り合わせる場合、まず、ロール状ガラス基材と、長尺状のカラーフィルタ層積層体と、長尺状の透明電極層積層体とを準備し、次いで、これらをロール・ツー・ロール方式により順に貼り合わせる。これらを貼り合わせる順序としては、特に限定されるものではなく、ガラス基材とカラーフィルタ層積層体とを貼り合わせた後に、さらにカラーフィルタ層積層体と透明電極層積層体とを貼り合わせてもよく、カラーフィルタ層積層体と透明電極層とを貼り合わせた後に、さらにガラス基材とカラーフィルタ層積層体とを貼り合わせてもよい。
【0162】
ガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層が直接形成された積層体と、透明電極層基材上に透明電極層が形成された透明電極層積層体とを貼り合わせる場合、まず、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の一方の表面上にカラーフィルタ層が直接形成された長尺状の積層体と、長尺状の透明電極層積層体とを準備し、次いで、これらの積層体をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせる。
【0163】
ガラス基材と、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層および透明電極層がこの順に積層された積層体とを貼り合わせる場合、まず、ロール状ガラス基材と、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層および透明電極層が順に直接形成された長尺状の積層体とを準備し、次いで、これらをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせる。
【0164】
ガラス基材と、透明電極層基材上に透明電極層およびカラーフィルタ層がこの順に積層された積層体とを貼り合わせる場合、まず、ロール状ガラス基材と、透明電極層基材上に透明電極層およびカラーフィルタ層が順に直接形成された長尺状の積層体とを準備し、次いで、これらをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせる。
【0165】
ガラス基材の他方の表面側に光学機能層または表面保護層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、上述の部材をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせる前あるいは上述の部材をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせた後に、ガラス基材の他方の表面に光学機能層基材上に光学機能層が形成された長尺状の光学機能層積層体または表面保護層基材上に表面保護層が形成された長尺状の表面保護層積層体をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよく、ガラス基材の他方の表面上に光学機能層または表面保護層を形成してもよい。
【0166】
また、ガラス基材の他方の表面側に光学機能層または表面保護層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、上述の部材をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせた後に、上述の部材を貼り合わせた積層体をシート状に切り出し、シート状の光学機能層積層体または表面保護層積層体と貼り合わせてもよい。
【0167】
ガラス基材の他方の表面側にタッチパネル層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、上述の部材をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせた後に、上述の部材を貼り合わせた積層体をシート状に切り出し、シート状のタッチパネル層と貼り合わせてもよい。この場合、電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程が、タッチパネル層をシート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する、または、タッチパネル層をシート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートするタッチパネル層積層工程を有することが好ましい。本発明により製造される電子ペーパー用カラーフィルタ部材がタッチパネル層を有する場合、タッチパネル層はカラーフィルタ層とのアライメントを必要とするが、タッチパネル層積層工程を有することでアライメントが調整されるため、タッチパネル機能を備え、かつ電子ペーパーに用いた際にカラー表示特性が良好な電子ペーパー用カラーフィルタ部材を得ることができる。
【0168】
なお、タッチパネル層およびその形成位置については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0169】
タッチパネル層積層工程においては、タッチパネル層とカラーフィルタ層との位置精度が要求されるため、タッチパネル層またはタッチパネル層を含む部材とカラーフィルタ層を含む部材との貼り合わせをアライメント調整が可能なシート・ツー・シート方式により行う。
具体的には、タッチパネル層またはタッチパネル層を含む部材と、上述の部材を貼り合わせたカラーフィルタ層を含む部材とを、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する、または、シート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートする。
また、長尺状のタッチパネル層と長尺状の光学機能層積層体または表面保護層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせたタッチパネル層を含む部材と、上述の部材を貼り合わせたカラーフィルタ層を含む部材とを、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する、または、シート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートしてもよい。
【0170】
なお、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する方法、および、シート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートする方法については、上記第1態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0171】
表示媒体層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、上述の部材をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせる前あるいは上述の部材をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせた後に、透明電極層積層体の透明電極層上に表示媒体層を形成してもよく、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層および透明電極層がこの順に積層された積層体の透明電極層上に表示媒体層を形成してもよく、透明電極層基材上に透明電極層およびカラーフィルタ層がこの順に積層された積層体のカラーフィルタ層上に表示媒体層を形成してもよく、透明電極層積層体と表示媒体層基材上に表示媒体層が形成された長尺状の表示媒体層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよく、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層および透明電極層がこの順に積層された積層体と長尺状の表示媒体層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよく、透明電極層基材上に透明電極層およびカラーフィルタ層がこの順に積層された積層体と長尺状の表示媒体層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよい。
【0172】
また、表示媒体層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、上述の部材をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせた後に、上述の部材を貼り合わせた積層体をシート状に切り出し、シート状の表示媒体層積層体と貼り合わせてもよい。
【0173】
なお、本態様における電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0174】
3.第3態様
本態様においては、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の他方の表面上に、タッチパネル層を貼付する。
【0175】
本態様においては、ロール・ツー・ロール方式により、粘着層を用いて、ロール状ガラス基材から巻き出されたガラス基材の他方の表面上にタッチパネル層を貼付すればよく、まず、ロール状ガラス基材と、長尺状のタッチパネル層とを準備し、次いで、これらをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせる。次に、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材とカラーフィルタ層を含む部材とをシート・ツー・シート方式により貼り合わせる。具体的には、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材と、カラーフィルタ層を含む部材とを、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する、または、シート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートする。タッチパネル層とカラーフィルタ層との位置精度が要求されるため、アライメント調整が可能なシート・ツー・シート方式により行うのである。
【0176】
ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材とカラーフィルタ層を含む部材とをシート・ツー・シート方式により貼り合わせる際には、例えば、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材と、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層が形成されたカラーフィルタ層積層体と、透明電極層基材上に透明電極層が形成された透明電極層積層体とを順に貼り合わせてもよく、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材と、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層および透明電極層がこの順に積層された積層体とを貼り合わせてもよく、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材と、透明電極層基材上に透明電極層およびカラーフィルタ層がこの順に積層された積層体とを貼り合わせてもよい。
【0177】
なお、タッチパネル層およびその形成位置については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0178】
また、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する方法、および、シート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートする方法については、上記第1態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0179】
ガラス基材の他方の表面側に光学機能層または表面保護層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、ガラス基材とタッチパネル層をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせた後、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材とカラーフィルタ層を含む部材とを貼り合わせる前に、タッチパネル層上に光学機能層または表面保護層を形成してもよく、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材とカラーフィルタ層を含む部材とを貼り合わせた後に、タッチパネル層上に光学機能層または表面保護層を形成してもよい。
また、ガラス基材の他方の表面側に光学機能層または表面保護層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、ガラス基材とタッチパネル層をロール・ツー・ロール方式により貼り合わせた後、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材とカラーフィルタ層を含む部材とを貼り合わせる前に、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材と長尺状の光学機能層積層体または表面保護層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよい。
【0180】
表示媒体層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材とカラーフィルタ層を含む部材とをシート・ツー・シート方式により貼り合わせる前に、透明電極層基材上に透明電極層が形成された透明電極層積層体の透明電極層上に表示媒体層を形成してもよく、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層および透明電極層がこの順に積層された積層体の透明電極層上に表示媒体層を形成してもよく、透明電極層基材上に透明電極層およびカラーフィルタ層がこの順に積層された積層体のカラーフィルタ層上に表示媒体層を形成してもよく、透明電極層積層体と表示媒体層基材上に表示媒体層が形成された長尺状の表示媒体層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよく、カラーフィルタ層基材上にカラーフィルタ層および透明電極層がこの順に積層された積層体と長尺状の表示媒体層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよく、透明電極層基材上に透明電極層およびカラーフィルタ層がこの順に積層された積層体と長尺状の表示媒体層積層体とをロール・ツー・ロール方式により貼り合わせてもよい。
【0181】
また、表示媒体層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する場合、ガラス基材の他方の表面にタッチパネル層が貼り合わされた部材とカラーフィルタ層を含む部材とをシート・ツー・シート方式により貼り合わせた後に、上述の部材を貼り合わせた積層体をシート状に切り出し、シート状の表示媒体層積層体と貼り合わせてもよい。
【0182】
なお、本態様における電子ペーパー用カラーフィルタ部材の層構成については、上記「A.電子ペーパー用カラーフィルタ部材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0183】
D.電子ペーパーの製造方法
次に、本発明の電子ペーパーの製造方法について説明する。本発明の電子ペーパーの製造方法は、屈曲性を有するガラス基材が巻回されたロール状ガラス基材を用いて、上述の表示媒体層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程と、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材と、対向基材および上記対向基材上に形成された対向電極層を有する対向電極基板とを、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材の表示媒体層および上記対向電極基板の上記対向電極層が対向するように、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する貼合工程とを有することを特徴としている。
【0184】
本発明によれば、各層の高い位置精度が要求されない電子ペーパー用カラーフィルタ部材をロール・ツー・ロール方式により形成し、精密な位置合わせを必要とする、表示媒体層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材と対向電極基板との貼り合わせをシート・ツー・シート方式を用いた真空アライメント貼合により行うことで、高精度な位置合わせおよび生産性の向上を図ることが可能である。また、上述の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を用いることで、カラー表示特性に優れた電子ペーパーを得ることができる。
【0185】
なお、表示媒体層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程については、上記「C.電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法」に記載したので、ここでの説明は省略する。以下、本発明の電子ペーパーの製造方法における他の工程について説明する。
【0186】
1.貼合工程
本発明における貼合工程は、電子ペーパー用カラーフィルタ部材と、対向基材および上記対向基材上に形成された対向電極層を有する対向電極基板とを、電子ペーパー用カラーフィルタ部材の表示媒体層および対向電極基板の対向電極層が対向するように、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する工程である。
なお、対向電極基板については、上記「B.電子ペーパー」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0187】
本工程においては、通常、粘着材からなる粘着層を用いて、電子ペーパー用カラーフィルタ部材と対向電極基板とを貼り合わせる。粘着層は、電子ペーパー用カラーフィルタ部材に形成されていてもよく、対向電極基板に形成されていてもよい。なお、粘着層については、上記「B.電子ペーパー」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0188】
シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、真空チャンバー内で、枚葉状の電子ペーパー用カラーフィルタ部材と枚葉状の対向電極基板との位置合わせを、両部材に予め形成されたアライメントマークを用いて行い、粘着層を介して両部材をプレスすることにより貼り合わせる方法等を挙げることができる。真空度については、上記「C.電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法」の項に記載したものと同様である。
【0189】
2.任意の工程
本発明の電子ペーパーの製造方法は、必須の工程である上記の電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程および貼合工程の他に、必要に応じて任意の工程を有していてもよい。このような工程としては、例えば、上記貼合工程の前に、上記電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程により形成された電子ペーパー用カラーフィルタ部材をシート状に切り出す工程、洗浄工程、UV照射などの表面改質工程、脱湿工程、検査工程等を挙げることができる。
【0190】
3.電子ペーパー
本発明の電子ペーパーの製造方法により製造される電子ペーパーの層構成および用途については、上記「B.電子ペーパー」の項に記載したので、ここでの記載は省略する。
【0191】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0192】
1 … ガラス基材
2 … カラーフィルタ層
3 … 透明電極層
4 … 粘着層
5 … 光学機能層
6 … 表面保護層
7 … タッチパネル層
9 … 表示媒体層
10 … 電子ペーパー用カラーフィルタ部材
12 … カラーフィルタ層基材
13 … 透明電極層基材
15 … 光学機能層基材
16 … 表面保護層基材
20 … 電子ペーパー
21 … 対向基材
22 … 対向電極層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲性を有するガラス基材と、
前記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層と
を有し、前記カラーフィルタ層および前記透明電極層側に電子ペーパーの表示媒体層が配置されて用いられることを特徴とする電子ペーパー用カラーフィルタ部材。
【請求項2】
前記ガラス基材の一方の表面上に前記カラーフィルタ層または前記透明電極層が直接形成され、かつ、前記カラーフィルタ層および前記透明電極層が直接積層されていることを特徴とする請求項1に記載の電子ペーパー用カラーフィルタ部材。
【請求項3】
光学機能層または表面保護層が、前記ガラス基材の他方の表面側に形成され、かつ最表面に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子ペーパー用カラーフィルタ部材。
【請求項4】
タッチパネル層が、前記ガラス基材の他方の表面側に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の電子ペーパー用カラーフィルタ部材。
【請求項5】
表示媒体層が、前記カラーフィルタ層および前記透明電極層上に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の電子ペーパー用カラーフィルタ部材。
【請求項6】
屈曲性を有するガラス基材、ならびに、前記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材と、
対向基材および前記対向基材上に形成された対向電極層を有する対向電極基板と、
前記電子ペーパー用カラーフィルタ部材の前記カラーフィルタ層および前記透明電極層、ならびに、前記対向電極基板の前記対向電極層の間に配置された表示媒体層と
を有することを特徴とする電子ペーパー。
【請求項7】
屈曲性を有するガラス基材が巻回されたロール状ガラス基材を用いて、前記ガラス基材と、前記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層とを有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程を有することを特徴とする電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法。
【請求項8】
前記電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程にて、前記ロール状ガラス基材から巻き出された前記ガラス基材の一方の表面上に、前記カラーフィルタ層または前記透明電極層を直接形成し、かつ、前記カラーフィルタ層および前記透明電極層を直接積層することを特徴とする請求項7に記載の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法。
【請求項9】
前記電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程にて、前記ロール状ガラス基材から巻き出された前記ガラス基材の一方の表面上に、前記カラーフィルタ層および前記透明電極層の少なくともいずれか一方を貼付することを特徴とする請求項7に記載の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法。
【請求項10】
前記電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程が、タッチパネル層をシート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する、または、タッチパネル層をシート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートするタッチパネル層積層工程を有することを特徴とする請求項7から請求項9までのいずれかに記載の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法。
【請求項11】
屈曲性を有するガラス基材が巻回されたロール状ガラス基材を用いて、請求項5に記載の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程と、
前記電子ペーパー用カラーフィルタ部材と、対向基材および前記対向基材上に形成された対向電極層を有する対向電極基板とを、前記電子ペーパー用カラーフィルタ部材の表示媒体層および前記対向電極基板の前記対向電極層が対向するように、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する貼合工程と
を有することを特徴とする電子ペーパーの製造方法。
【請求項1】
屈曲性を有するガラス基材と、
前記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層と
を有し、前記カラーフィルタ層および前記透明電極層側に電子ペーパーの表示媒体層が配置されて用いられることを特徴とする電子ペーパー用カラーフィルタ部材。
【請求項2】
前記ガラス基材の一方の表面上に前記カラーフィルタ層または前記透明電極層が直接形成され、かつ、前記カラーフィルタ層および前記透明電極層が直接積層されていることを特徴とする請求項1に記載の電子ペーパー用カラーフィルタ部材。
【請求項3】
光学機能層または表面保護層が、前記ガラス基材の他方の表面側に形成され、かつ最表面に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子ペーパー用カラーフィルタ部材。
【請求項4】
タッチパネル層が、前記ガラス基材の他方の表面側に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の電子ペーパー用カラーフィルタ部材。
【請求項5】
表示媒体層が、前記カラーフィルタ層および前記透明電極層上に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の電子ペーパー用カラーフィルタ部材。
【請求項6】
屈曲性を有するガラス基材、ならびに、前記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層を有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材と、
対向基材および前記対向基材上に形成された対向電極層を有する対向電極基板と、
前記電子ペーパー用カラーフィルタ部材の前記カラーフィルタ層および前記透明電極層、ならびに、前記対向電極基板の前記対向電極層の間に配置された表示媒体層と
を有することを特徴とする電子ペーパー。
【請求項7】
屈曲性を有するガラス基材が巻回されたロール状ガラス基材を用いて、前記ガラス基材と、前記ガラス基材の一方の表面側に順不同に積層されたカラーフィルタ層および透明電極層とを有する電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程を有することを特徴とする電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法。
【請求項8】
前記電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程にて、前記ロール状ガラス基材から巻き出された前記ガラス基材の一方の表面上に、前記カラーフィルタ層または前記透明電極層を直接形成し、かつ、前記カラーフィルタ層および前記透明電極層を直接積層することを特徴とする請求項7に記載の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法。
【請求項9】
前記電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程にて、前記ロール状ガラス基材から巻き出された前記ガラス基材の一方の表面上に、前記カラーフィルタ層および前記透明電極層の少なくともいずれか一方を貼付することを特徴とする請求項7に記載の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法。
【請求項10】
前記電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程が、タッチパネル層をシート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する、または、タッチパネル層をシート・ツー・シート方式によりアライメント有りラミネートするタッチパネル層積層工程を有することを特徴とする請求項7から請求項9までのいずれかに記載の電子ペーパー用カラーフィルタ部材の製造方法。
【請求項11】
屈曲性を有するガラス基材が巻回されたロール状ガラス基材を用いて、請求項5に記載の電子ペーパー用カラーフィルタ部材を形成する電子ペーパー用カラーフィルタ部材形成工程と、
前記電子ペーパー用カラーフィルタ部材と、対向基材および前記対向基材上に形成された対向電極層を有する対向電極基板とを、前記電子ペーパー用カラーフィルタ部材の表示媒体層および前記対向電極基板の前記対向電極層が対向するように、シート・ツー・シート方式により真空下でアライメント貼合する貼合工程と
を有することを特徴とする電子ペーパーの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−42794(P2012−42794A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184987(P2010−184987)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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