説明

電子ペーパー

【課題】複写装置による複製の作製を防止する電子ペーパーを提供する。
【解決手段】本発明の電子ペーパー10は、表示部110と、前記表示部110に表示させる表示データと前記表示データに著作権があることを現す著作権フラグとを記憶する表示情報記憶部150と、複製の作成を検知する光センサ130などの検知手段と、を有し、前記表示部110で著作権フラグがついた表示データを表示中に、前記検知手段が複製の作成を検知すると、前記表示部110における表示を変更することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部における画面表示内容を書き換えることが可能に構成された電子ペーパーに関する。
【背景技術】
【0002】
紙媒体である用紙にとって代わることが可能な表示媒体として、画像情報を表示部に無電源や小電力で表示保持することができ、しかも、用紙の如く薄型で持ち運び自在である電子ペーパーが開発されている。
【0003】
電子ペーパーは、無電源や小電力で画像を表示保持する表示部を有した表示装置であり、例えば、電子データに基づいて自己で画像を表示部に書き込む機能を有する自己書き込み型電子ペーパーや、投影された画像を表示部に保持する光書き込み型電子ペーパーなどがある。
【0004】
このような電子ペーパーは、用紙と異なって表示部に表示保持した画像を消去したり上書きすることが可能であり、表示保持する画像を更新したり消去して、書き換え可能で繰り返し使用することができるので紙資源の節約等の観点からも利用促進が望まれている。電子ペーパーについては、例えば、特許文献1(特開2008−268572号公報)などに開示がなされている。
【特許文献1】特開2008−268572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の電子ペーパーでは、著作権があるデータを表示させているときでも、コピーなどの複写装置によって簡単に複製を作ることができてしまい、著作権の侵害を助長する恐れがあり、問題であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記のような問題を解決するために、本発明に係る電子ペーパーは、表示部と、前記表示部に表示させる表示データと前記表示データに著作権があることを現す著作権フラグとを記憶する表示情報記憶部と、複製の作成を検知する検知手段と、を有し、前記表示部で著作権フラグがついた表示データを表示中に、前記検知手段が複製の作成を検知すると、前記表示部における表示を変更することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る電子ペーパーは、前記前記表示部における表示の変更が、表示の消去であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る電子ペーパーは、前記前記表示部における表示の変更が、定型画像への表示変更であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る電子ペーパーは、光センサが設けられており、前記検知手段は前記光センサからの情報に基づいて複製の作成を検知することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る電子ペーパーは、前記光センサが前記表示部の両端近傍に配されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る電子ペーパーは、前記光センサが前記表示部の対角近傍に複数配さ
れることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る電子ペーパーは、前記光センサが所定以上の明るさを検出することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る電子ペーパーは、傾斜センサが設けられており、前記検知手段は前記傾斜センサからの情報に基づいて複製の作成を検知することを特徴とする。
【0014】
以上、本発明の電子ペーパーによれば、表示部で著作権フラグがついた表示データを表示中に、検知手段が複製の作成を検知すると、前記表示部における表示を変更するので、コピーなどの複写装置によって複製を作ることを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る電子ペーパーを斜視的示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電子ペーパーのブロック構成の概要を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る電子ペーパーの表示情報記憶部におけるデータ構造を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る電子ペーパーの表示処理のフローチャートを示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る電子ペーパーの表示例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る電子ペーパーのコピー検知処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図7】コピー検知処理の原理を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る電子ペーパーのブロック構成の概要を示す図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る電子ペーパーのコピー検知処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る電子ペーパーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、以下、本発明については電子ペーパーを例にとり説明するが、電子ペーパーのように可搬性があり、複写装置の原稿台に載せ得る表示装置なども本発明の電子ペーパーの概念に含むものである。
【0017】
図1は本発明の実施形態に係る電子ペーパーを斜視的示す図であり、図2は本発明の実施形態に係る電子ペーパーのブロック構成の概要を示す図である。図1及び図2において、10は電子ペーパー、100は主制御部、110は表示部、120は操作部、130は光センサ、150は表示情報記憶部、160はインターフェイス部をそれぞれ示している。
【0018】
本発明に係る電子ペーパー10の表示部110としては、種々の方式のものを用いることができる。例えば、帯電された粒子を移動させて表示を切り替える電気泳動方式のもの、帯電された粒子を回転させて表示を切り替える粒子回転方式のもの、磁気により粒子を移動させて表示を切り替える磁気泳動方式のもの、小型バッテリ駆動の薄型の液晶やEL素子による表示方式のもの、強誘電液晶に代表されるメモリ性のある液晶による表示方式のものなどを適宜電子ペーパー10の表示部110として採用することができる。
【0019】
電子ペーパー10の主制御部100は、CPUとCPU上で動作するプログラムを保持するROMとCPUのワークエリアであるRAMなどからなる汎用の情報処理機構である
。主制御部100は、ブロック図中に示されている主制御部100と接続される各構成と協働・動作する。例えば、表示情報記憶部150に記憶される表示用のデータに基づいて、表示部110の表示を変更したりする。また、本発明の電子ペーパーにおける種々の制御処理は、主制御部100内のROMなどの記憶手段に記憶保持されるプログラムやデータに基づいて実行されるものである。
【0020】
操作部120はボタンスイッチなどで構成され、この操作部120をユーザーが操作することで、電子ペーパー10により表示する表示データの選択などを行い得るようになっている。
【0021】
光センサ130は、表示部110の両端の対角近傍に複数設けられており、複写装置などのスキャン用光源レベルの、明るさが所定以上の光を検出するようになっている。光センサ130は電子ペーパー10一端から他端に向かってN1→N2→N3となるように配置され、また、他端から一端に向かってN1'→N2'→N3'となるように配置されてい
ている。本実施形態では、対角近傍に3つの光センサを設けるように構成しているが、2つ以上の光センサであればいくつであっても構わない。
【0022】
表示情報記憶部150は表示部110に表示させるための表示データを記憶する不揮発性のメモリであり、インターフェイス部160からのアクセスに基づいて表示情報記憶部150の記憶内容の書き換えを行うことができるように構成されている。図3は本発明の実施形態に係る電子ペーパーの表示情報記憶部150におけるデータ構造を示す図である。表示情報記憶部150に記憶される表示データのそれぞれには、著作権フラグが付されており、著作権を有する表示データにはフラグ「1」がたてられており、著作権のない表示データにはフラグがたてられていない。
【0023】
次に、以上のように構成される本実施形態に係る電子ペーパー10の表示処理について説明する。図4は本発明の実施形態に係る電子ペーパーの表示処理のフローチャートを示す図である。図4において、電子ペーパー10の起動などによりステップS100で表示処理が開始されると、次にステップS101に進み、表示情報記憶部150を参照して、表示部110で表示しようとしている表示ページには著作権フラグがたてられているか否かが判定される。ステップS101における判定の結果がNOであればステップS102に進み、当該表示用データを表示する。ステップS103では、不図示の電源がOFFされたかが判定され、判定がYESであるとステップS107に進み処理を終了する。
【0024】
一方、ステップS101における判定の結果がYESであれば、ステップS104に進みコピー検知処理のサブルーチンが実行される。ステップS105では、先のサブルーチンによってコピーが検知されたか否かが判定される。ステップS105における判定がNOであれば、ステップS102に進み、データの表示を行う。ステップS105における判定がYESであれば、ステップS106に進み、表示部110の表示を消去する。このように、本実施形態では、表示データが著作権を有するものであるとき、コピー検知処理で複製の作製が検知されると、表示部110の表示を消去するので、表示部110における表示を変更(消去)するので、コピーなどの複写装置によって複製を作ることを防止することが可能となる。
【0025】
図5は本発明の他の実施形態に係る電子ペーパーの表示例を示す図である。図4に示す実施形態では、ステップS106において、コピー検知処理で複製の作製が検知されると、表示部110の表示を消去するものであったが、図5に示す実施形態では、表示部110の表示を消去する代わりに、図5に示すような定型画像(「このデータを複製することは法律で禁止されています」などのメッセージの画像)の表示を行うものである。このような実施形態によっても先の実施形態と同様の効果を得ることができると共に、前記メッ
セージによりユーザーに著作権遵守の精神を喚起させることができるものと期待することができる。
【0026】
次に、コピー検知処理のサブルーチンについてより詳しく説明する。図6は本発明の実施形態に係る電子ペーパーのコピー検知処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。また、図7はコピー検知処理を行う際の状況を示す図である。図7は電子ペーパー10の表示画面の複製を作製しようとして、コピー機の原稿台に電子ペーパー10を載置したときの状況である。このとき、本発明の電子ペーパー10は、主として光センサ130によって、コピー機のスキャン用光源を検知することによって、複製作成の意図を検知するものである。
【0027】
図6のステップS200でコピー検知処理サブルーチンがスタートすると、次にステップS201で、N1(N1’)乃至N3(N3’)の光センサ130からの信号を取得すると共に、この信号のログをとる。
【0028】
ステップS202では、N1(N1’)乃至N3(N3’)の光センサ130からの全信号が「暗」であるかが判定される。このステップは、コピー機の原稿台に電子ペーパー10が載置され、原稿台カバーが閉じられたときの状況を判定するものである。ステップS202における判定がYESであるときには、ステップS205に進みコピーを検知とし、続くステップS206でメインルーチンにリターンする。
【0029】
ステップS202における判定がNOであるときには、ステップS203に進み、光センサ130からの信号取得及び信号ログによって、N1(N1’)からN3(N3’)に「明」が移動しているかを判定する。これは、コピー機の原稿台に電子ペーパー10が載置され、コピー機のスキャン用光源でスキャンされているか否かを判定するステップである。ステップS203の判定がYESであるときには、ステップS205に進みコピーを検知とし、続くステップS206でメインルーチンにリターンする。ステップS203の判定がNOであるときにはステップS204に進み、コピーは検知していないものとしてステップS206でメインルーチンにリターンする。本実施形態では、このようなコピー検知処理のサブルーチンによって、コピー機による複製作製を検知し、この検知結果に基づき、表示を変更するので、著作権のあるデータのコピー機による複製を防止することが可能となる。
【0030】
次に本発明の他の実施形態について説明する。図8は本発明の他の実施形態に係る電子ペーパーのブロック構成の概要を示す図であり、図9は本発明の他の実施形態に係る電子ペーパーのコピー検知処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。図において、先の実施形態と同様の参照番号が付された構成については同様のものを示しているので説明を省略する。本実施形態に係る電子ペーパー10’には、さらに傾斜センサ140が設けられており、この傾斜センサ140によって電子ペーパー10’の傾斜を検出する点が先の実施形態と異なる点である。本実施形態では、この傾斜センサ140の検出情報も用いることによって、より正確にコピー機による複製作製を検知することが可能となる。
【0031】
本実施形態のメインの表示処理に係るフローチャートは先の実施形態と同様であるので、サブルーチンのフローチャートについて説明する。図9は本発明の他の実施形態に係る電子ペーパーのコピー検知処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0032】
図9のステップS300でコピー検知処理サブルーチンがスタートすると、ステップS301で、傾斜センサ140からの情報に基づいて表示部110が下向きとなっているか否かが判定される。このステップの判定がNOであればステップS305に進み、コピーは検知していないものとしてステップS307でメインルーチンにリターンする。
【0033】
次にステップS302で、N1(N1v)乃至N3(N3’)の光センサ130からの
信号を取得すると共に、この信号のログをとる。
【0034】
ステップS303では、N1(N1’)乃至N3(N3’)の光センサ130からの全信号が「暗」であるかが判定される。このステップは、コピー機の原稿台に電子ペーパー10が載置され、原稿台カバーが閉じられたときの状況を判定するものである。ステップS303における判定がYESであるときには、ステップS306に進みコピーを検知とし、続くステップS307でメインルーチンにリターンする。
【0035】
ステップS303における判定がNOであるときには、ステップS304に進み、光センサ130からの信号取得及び信号ログによって、N1(N1’)からN3(N3’)に「明」が移動しているかを判定する。これは、コピー機の原稿台に電子ペーパー10が載置され、コピー機のスキャン用光源でスキャンされているか否かを判定するステップである。ステップS304の判定がYESであるときには、ステップS306に進みコピーを検知とし、続くステップS307でメインルーチンにリターンする。ステップS304の判定がNOであるときにはステップS305に進み、コピーは検知していないものとしてステップS307でメインルーチンにリターンする。本実施形態では、このようなコピー検知処理のサブルーチンによって、光センサからの情報と傾斜センサからの情報を併せて、コピー機による複製作製をより正確に検知し、この検知結果に基づき、表示を変更するので、著作権のあるデータのコピー機による複製を防止することが可能となる。
【0036】
次に本発明の他の実施形態について説明する。図10は本発明の他の実施形態に係る電子ペーパー10''を示す図である。本実施形態が先の実施形態と異なる点は、表示部110の四隅の近傍の全てに、光センサ130が複数設けられている点である。このような実施形態によれば電子ペーパー10はX方向のスキャン用光源の移動を検知することができるのみならず、Y方向のスキャン用光源の移動をも検知することが可能となる。このような実施形態によれば、X、Y両方向からの被スキャン状況を検出し、これによりコピー機による複製作製をより正確に検知し、この検知結果に基づき、表示部110での表示を変更するので、著作権のあるデータのコピー機による複製を防止することが可能となる。
【0037】
なお、本明細書においては、種々の実施の形態について説明したが、それぞれの実施の形態の構成を適宜組み合わせて構成された実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0038】
10・・・電子ペーパー、100・・・主制御部、110・・・表示部、120・・・操作部、130・・・光センサ、140・・・傾斜センサ、150・・・表示情報記憶部、160・・・インターフェイス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部に表示させる表示データと前記表示データに著作権があることを現す著作権フラグとを記憶する表示情報記憶部と、
複製の作成を検知する検知手段と、を有し、
前記表示部で著作権フラグがついた表示データを表示中に、前記検知手段が複製の作成を検知すると、前記表示部における表示を変更することを特徴とする電子ペーパー。
【請求項2】
前記前記表示部における表示の変更が、表示の消去であることを特徴とする請求項1に記載の電子ペーパー。
【請求項3】
前記前記表示部における表示の変更が、定型画像への表示変更であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子ペーパー。
【請求項4】
光センサが設けられており、前記検知手段は前記光センサからの情報に基づいて複製の作成を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電子ペーパー。
【請求項5】
前記光センサが前記表示部の両端近傍に配されることを特徴とする請求項4に記載の電子ペーパー。
【請求項6】
前記光センサが前記表示部の対角近傍に複数配されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の電子ペーパー。
【請求項7】
前記光センサが所定以上の明るさを検出することを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載の電子ペーパー。
【請求項8】
傾斜センサが設けられており、前記検知手段は前記傾斜センサからの情報に基づいて複製の作成を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の電子ペーパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−186005(P2010−186005A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29469(P2009−29469)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】