電子マネー決済システム、電子マネー端末装置、電子マネー媒体、および電子マネー決済方法
【課題】遊技店で電子マネーが使用される場合に、遊技への過剰なのめり込みを適正かつ効率良く防止して多重債務者の発生を抑制すること。
【解決手段】利用目的指示部220は、電子マネー端末装置200がカード発行装置300に接続されていることから、電子マネーの利用目的がプリペイドカードの発行である旨を利用可能残高算出部230へ通知する。利用可能残高算出部230は、利用目的指示部220の通知を受け、非クレジット残高110bを利用可能残高とする。利用判定部240は、利用可能残高がプリペイドカードの購入金額以上であれば電子マネーの利用が可能であると判定する。残高更新部260は、利用判定部240から電子マネーの利用が可能である旨の判定結果が出力された場合、利用可能残高からプリペイドカードの購入金額を減算する。
【解決手段】利用目的指示部220は、電子マネー端末装置200がカード発行装置300に接続されていることから、電子マネーの利用目的がプリペイドカードの発行である旨を利用可能残高算出部230へ通知する。利用可能残高算出部230は、利用目的指示部220の通知を受け、非クレジット残高110bを利用可能残高とする。利用判定部240は、利用可能残高がプリペイドカードの購入金額以上であれば電子マネーの利用が可能であると判定する。残高更新部260は、利用判定部240から電子マネーの利用が可能である旨の判定結果が出力された場合、利用可能残高からプリペイドカードの購入金額を減算する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マネー残高を記憶する電子マネー媒体と電子マネー端末装置とが通信して電子マネー決済を行う電子マネー決済システム、電子マネー端末装置、電子マネー媒体、および電子マネー決済方法に関し、特に、遊技店で電子マネーが使用される場合に、遊技への過剰なのめり込みを適正かつ効率良く防止して多重債務者の発生を抑制することができる電子マネー決済システム、電子マネー端末装置、電子マネー媒体、および電子マネー決済方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカードや携帯電話にあらかじめチャージと呼ばれる価値付け処理を行っておき、チャージされた電子マネーを物品購入などの際の決済に用いることが盛んに行われている。電子マネーのチャージの際には、専用端末への現金投入またはネットワークを介した金融機関の口座引き落としなどにより、所望の金額が電子マネー媒体であるICカードや携帯電話に記録される。
【0003】
また、例えば特許文献1では、クレジットカードで電子マネーのチャージを行うことが開示されている。これにより、現金の持ち合わせが無い場合や金融機関の口座に残高が無い場合でも電子マネーをチャージすることが可能となる。
【0004】
このような電子マネーは、例えばパチンコ店などの遊技店における使用も検討されている。例えば特許文献2には、遊技店内の玉貸し機に電子マネー媒体とプリペイドカードを挿入し、電子マネー媒体に記録されている電子マネー残高をプリペイドカードの度数に変換し、この度数を遊技用の玉貸しに供することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−123771号公報
【特許文献2】特開2004−243011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電子マネーが遊技店において使用される場合には、遊技客が銀行カードやクレジットカードによる電子マネーのチャージを繰り返しながら、無制限に玉貸しを受けることができるため、遊技へののめり込みが誘発されるという問題がある。
【0007】
特に、クレジットカードによる電子マネーのチャージが繰り返し行われると、遊技客が現金または金融機関の口座残高として実際に所持している金額以上のチャージが可能となってしまい、遊技への過剰なのめり込みは多重債務者の増加につながる。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、遊技店で電子マネーが使用される場合に、遊技への過剰なのめり込みを適正かつ効率良く防止して多重債務者の発生を抑制することができる電子マネー決済システム、電子マネー端末装置、電子マネー媒体、および電子マネー決済方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、電子マネー残高を記憶する電子マネー媒体と電子マネー端末装置とが通信して電子マネー決済を行う電子マネー決済システムであって、前記電子マネー媒体は、電子マネーの価値付けがクレジット決済によって行われるか否かを判定する判定手段と、クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高を他の電子マネー残高と区別して記憶する記憶手段とを有し、前記電子マネー端末装置は、前記クレジット残高および前記他の電子マネー残高から遊技店における利用可能残高を算出する算出手段と、前記利用可能残高が遊技客による利用希望金額以上である場合にのみ、前記他の電子マネー残高から前記利用希望金額を減算して更新する更新手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記算出手段は、クレジット決済以外の方法によって価値付けられた電子マネーの非クレジット残高を前記利用可能残高として算出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高および他の電子マネー残高を記憶する電子マネー媒体との間の通信を制御する通信制御手段と、前記クレジット残高および前記他の電子マネー残高から遊技店における利用可能残高を算出する算出手段と、前記利用可能残高が遊技客による利用希望金額以上である場合にのみ、前記他の電子マネー残高から前記利用希望金額を減算して更新する更新手段とを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記算出手段は、クレジット決済以外の方法によって価値付けられた電子マネーの非クレジット残高を前記利用可能残高として算出することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記算出手段は、電子マネーによる決済が可能な外部装置と接続する接続手段と、前記接続手段に接続された外部装置の種別によって電子マネーの利用目的を認識する認識手段とを含み、利用目的に応じた利用可能残高を算出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記更新手段は、電子マネーの利用目的が遊技店以外における利用である場合に、前記クレジット残高から優先して利用金額を減算することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記更新手段は、前記利用可能残高が遊技客による利用希望金額未満である場合は、前記クレジット残高および前記他の電子マネー残高のいずれも更新しないことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、電子マネーの価値付けがクレジット決済によって行われるか否かを判定する判定手段と、クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高を他の電子マネー残高と区別して記憶する記憶手段とを有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、前記記憶手段によって記憶された電子マネー残高のうち、クレジット決済以外の方法によって価値付けられた電子マネーの非クレジット残高を遊技店における利用可能残高として表示する表示手段をさらに有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記発明において、前記利用可能残高以下の利用希望金額であって、遊技客によって入力された利用希望金額を保持する保持手段をさらに有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、電子マネー残高を記憶する電子マネー媒体と電子マネー端末装置とが通信して電子マネー決済を行う電子マネー決済方法であって、前記電子マネー媒体は、電子マネーの価値付けがクレジット決済によって行われるか否かを判定する判定工程と、クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高を他の電子マネー残高と区別して記憶する記憶工程とを有し、前記電子マネー端末装置は、前記クレジット残高および前記他の電子マネー残高から遊技店における利用可能残高を算出する算出工程と、前記利用可能残高が遊技客による利用希望金額以上である場合にのみ、前記他の電子マネー残高から前記利用希望金額を減算して更新する更新工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電子マネー媒体は、電子マネーの価値付けがクレジット決済によって行われるか否かを判定し、クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高を他の電子マネー残高と区別して記憶し、電子マネー端末装置は、クレジット残高および他の電子マネー残高から遊技店における利用可能残高を算出し、利用可能残高が遊技客による利用希望金額以上である場合にのみ、他の電子マネー残高から利用希望金額を減算して更新するので、遊技店で電子マネーが利用される際には、クレジット残高の利用を制限した利用可能残高を設定することができ、遊技への過剰なのめり込みを適正かつ効率良く防止して多重債務者の発生を抑制することができる。
【0021】
また、本発明によれば、クレジット決済以外の方法によって価値付けられた電子マネーの非クレジット残高を利用可能残高として算出するので、遊技客は現金または金融機関の口座残高などとして実際に所持している金額に相当する電子マネーしか遊技に利用することができず、遊技へののめり込みを確実に防止することができる。
【0022】
また、本発明によれば、クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高および他の電子マネー残高を記憶する電子マネー媒体との間の通信を制御し、クレジット残高および他の電子マネー残高から遊技店における利用可能残高を算出し、利用可能残高が遊技客による利用希望金額以上である場合にのみ、他の電子マネー残高から利用希望金額を減算して更新するので、遊技店で電子マネーが利用される際には、クレジット残高の利用を制限した利用可能残高を設定することができ、遊技への過剰なのめり込みを適正かつ効率良く防止して多重債務者の発生を抑制することができる。
【0023】
また、本発明によれば、電子マネーによる決済が可能な外部装置と接続し、接続された外部装置の種別によって電子マネーの利用目的を認識し、利用目的に応じた利用可能残高を算出するので、電子マネーが遊技店で利用されるのか否かを正確に判別して、遊技店で利用される場合にのみ制限つきの利用可能残高を算出することができる。
【0024】
また、本発明によれば、電子マネーの利用目的が遊技店以外における利用である場合に、クレジット残高から優先して利用金額を減算するので、遊技店でも利用可能な非クレジット残高を最大限に残しておくことができる。
【0025】
また、本発明によれば、利用可能残高が遊技客による利用希望金額未満である場合は、クレジット残高および他の電子マネー残高のいずれも更新しないので、利用可能残高が不足している場合には、電子マネーの利用を禁止することができる。
【0026】
また、本発明によれば、電子マネーの価値付けがクレジット決済によって行われるか否かを判定し、クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高を他の電子マネー残高と区別して記憶するので、遊技店で電子マネーが利用される際には、クレジット残高の利用を制限した利用可能残高を設定することができ、遊技への過剰なのめり込みを適正かつ効率良く防止して多重債務者の発生を抑制することができる。
【0027】
また、本発明によれば、記憶された電子マネー残高のうち、クレジット決済以外の方法によって価値付けられた電子マネーの非クレジット残高を遊技店における利用可能残高として表示するので、遊技客はあらかじめ利用可能な電子マネー残高を把握することができ、利用可能な電子マネー残高を超える利用希望金額を指定するなどの無駄な操作を防止することができる。
【0028】
また、本発明によれば、利用可能残高以下の利用希望金額であって、遊技客によって入力された利用希望金額を保持するので、電子マネー媒体を電子マネー端末装置へかざすだけで、所望の金額を利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下では、遊技客が電子マネーを利用して玉貸しに利用できるプリペイドカードの発行を受ける場合について説明する。ただし、本発明は、遊技店におけるパチンコ玉やメダルなどの遊技媒体の借り受けに電子マネーが使用される場合には適用可能であり、プリペイドカードの発行にのみ限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るプリペイドカード発行用の電子マネー決済システムの概略を示す図である。同図に示す電子マネー決済システムにおいては、遊技客は、電子マネー媒体100を電子マネー端末装置200にかざすことによって電子マネー決済を行い、電子マネー端末装置200に接続されたカード発行装置300から発行されるプリペイドカードを取得する。
【0031】
電子マネー媒体100は、例えばICカードや携帯電話などであり、遊技客がチャージした電子マネー残高を記憶している。電子マネーのチャージは、例えば電子マネー端末装置200または図示しない専用端末装置に電子マネー媒体100をかざしつつ(タッチしつつ)、これらの端末装置に現金を投入することによって行われたり、遊技店内外に設置されたコンピュータで所定のWWW(World Wide Web)サーバにアクセスするとともに、このコンピュータに接続された専用リーダ/ライタを用いてデビット決済またはクレジット決済することによって行われたりする。また、電子マネー媒体100が携帯電話である場合は、所定のサーバ装置に直接アクセスしてモバイルバンキングやクレジット決済により所定金額の電子マネーをチャージすることもできる。
【0032】
電子マネー媒体100は、このようにしてチャージされた電子マネー残高を記憶するが、後に詳述するように、クレジット決済によってチャージされた電子マネー残高(以下「クレジット残高」という)をクレジット決済以外の方法によってチャージされた電子マネー残高(以下「非クレジット残高」という)と区別して記憶している。
【0033】
電子マネー端末装置200は、プリペイドカードの発行時に電子マネー媒体100がかざされると、電子マネー媒体100に記憶されている電子マネー残高からプリペイドカードの発行額を減算して、電子マネー残高を更新する。このとき、電子マネー端末装置200は、後に詳述するように、クレジット決済以外の方法によってチャージされた電子マネー残高(非クレジット残高)よりもプリペイドカードの購入金額が大きければ、電子マネーの利用を拒否し、電子マネー媒体100に記憶された電子マネー残高を更新しない。すなわち、電子マネー端末装置200は、クレジット残高がプリペイドカードの発行に利用されないように制限する。
【0034】
カード発行装置300は、遊技客によって指定された購入金額のプリペイドカードを発行する。ただし、電子マネー媒体100に記憶された非クレジット残高がプリペイドカードの購入金額に満たない場合は、プリペイドカードを発行せず、例えば電子マネー残高が不足している旨のエラーメッセージを表示する。
【0035】
図2は、本実施の形態に係る電子マネー媒体100の要部構成を示すブロック図である。図2に示す電子マネー媒体100は、記憶部110、入金種別判定部120、残高書込部130、残高読出部140、および通信制御部150を有している。
【0036】
記憶部110は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などから構成されており、クレジット決済によってチャージされたクレジット残高110aおよびクレジット決済以外の方法によってチャージされた非クレジット残高110bを別々に記憶している。クレジット残高110aは、遊技客が実際に所持している現金または金融機関の口座残高などとは関係が無い金額である一方、非クレジット残高110bは、遊技客が現時点において何らかの形で実際に所持している金額である。このため、非クレジット残高110bを利用する分には、遊技客に債務が発生することは無い。
【0037】
入金種別判定部120は、電子マネーのチャージが行われる際に、電子マネーのチャージがクレジット決済によるものか否かの入金種別を判定し、その判定結果を残高書込部130へ通知する。なお、入金種別判定部120は、電子マネー端末装置200または図示しない専用端末装置から電子マネーのチャージ時に送信される特定の信号によって入金種別を判定しても良く、遊技客による所定の操作(決済方法の選択操作など)を検知してクレジット決済であるか否かを判定しても良い。
【0038】
残高書込部130は、電子マネーがチャージされた場合または利用された場合に、記憶部110に記憶されたクレジット残高110aおよび非クレジット残高110bを通信制御部150から通知される電子マネー残高に更新する。具体的には、残高書込部130は、クレジット決済によるチャージが行われた場合には、記憶部110のクレジット残高110aを書き換え、クレジット決済以外の方法によるチャージが行われた場合には、記憶部110の非クレジット残高110bを書き換える。また、残高書込部130は、電子マネーが利用された場合に、クレジット残高110aおよび非クレジット残高110bのうち利用された電子マネー残高を書き換える。
【0039】
残高読出部140は、電子マネー媒体100が電子マネー端末装置200にかざされた場合に、記憶部110からクレジット残高110aおよび非クレジット残高110bを読み出し、通信制御部150を介して電子マネー端末装置200へ送信する。
【0040】
通信制御部150は、電子マネー端末装置200との間の通信を制御し、電子マネー端末装置200から送信される電子マネー残高を受信して残高書込部130へ通知する一方、残高読出部140によって読み出された電子マネー残高を電子マネー端末装置200へ送信する。また、電子マネーのチャージの際には、通信制御部150は、電子マネー端末装置200または図示しない専用端末装置から送信される入金種別を示す信号を入金種別判定部120へ通知するようにしても良い。
【0041】
図3は、本実施の形態に係る電子マネー端末装置200およびカード発行装置300の要部構成を示すブロック図である。図3に示す電子マネー端末装置200は、通信制御部210、利用目的指示部220、利用可能残高算出部230、利用判定部240、接続インタフェース(以下「接続I/F」と略記する)部250、および残高更新部260を有している。なお、図3に示す電子マネー端末装置200においては、電子マネーのチャージに必要な処理部の図示を省略している。また、図3に示すカード発行装置300は、接続I/F部310、入力部320、購入金額通知部330、制御部340、表示部350、およびカード発行部360を有している。
【0042】
電子マネー端末装置200の通信制御部210は、電子マネー媒体100との間の通信を制御し、電子マネー媒体100から送信される電子マネー残高を受信して利用可能残高算出部230へ通知する一方、残高更新部260によって更新された電子マネー残高を電子マネー媒体100へ送信する。また、電子マネーのチャージの際には、通信制御部210は、図示しない処理部から入金種別を示す信号を電子マネー媒体100へ送信するようにしても良い。
【0043】
利用目的指示部220は、電子マネー端末装置200がカード発行装置300に接続されていることから、電子マネーの利用目的がプリペイドカードの発行である旨を利用可能残高算出部230へ通知する。すなわち、利用目的指示部220は、電子マネー端末装置200が接続I/F部250を介して接続されている外部の装置に応じて、電子マネーが何に利用されるかを認識し、電子マネーの利用目的を利用可能残高算出部230へ通知する。
【0044】
利用可能残高算出部230は、利用目的に応じて電子マネー媒体100に記憶された電子マネー残高のうち利用可能な電子マネー残高を算出する。具体的には、利用可能残高算出部230は、利用目的が遊技店でのプリペイドカードの発行などである場合は、非クレジット残高110bを利用可能残高とし、利用目的が例えばショッピングなど遊技店以外での決済である場合は、クレジット残高110aと非クレジット残高110bを加算した総残高を利用可能残高とする。そして、利用可能残高算出部230は、算出された利用可能残高を利用判定部240および残高更新部260へ通知する。
【0045】
ここで、クレジット残高110aは、遊技客が実際に所持している金額とは無関係であるため、遊技店でのプリペイドカードの発行などに利用可能とすると、遊技客が遊技にのめり込んで債務が発生する虞がある。そこで、利用可能残高算出部230は、遊技店で利用可能とするのは、非クレジット残高110bのみとする。非クレジット残高110bは、現金または金融機関の口座残高などとして遊技客が実際に所持している金額であるため、債務が発生する虞は無い。
【0046】
利用判定部240は、利用可能残高とカード発行装置300から通知されるプリペイドカードの購入金額とを比較し、利用可能残高でプリペイドカードの購入が可能か否かを判定し、判定結果を接続I/F部250および残高更新部260へ通知する。すなわち、利用判定部240は、利用可能残高がプリペイドカードの購入金額以上であれば電子マネーの利用が可能であると判定し、利用可能残高がプリペイドカードの購入金額未満であれば電子マネーの利用が不可能であると判定する。したがって、遊技店におけるプリペイドカードの購入に際しては、非クレジット残高110bがプリペイドカードの購入金額以上である場合にのみ電子マネーの利用が可能となる。
【0047】
接続I/F部250は、カード発行装置300など外部の装置に接続されるインタフェースであり、外部の装置に接続された場合に、接続された外部の装置を利用目的指示部220へ通知し、利用目的指示部220は、接続された外部の装置に応じて電子マネーの利用目的を認識する。また、接続I/F部250は、利用判定部240による判定結果をカード発行装置300へ送信し、遊技客が指定したプリペイドカードの購入金額をカード発行装置300から受信して利用判定部240へ出力する。
【0048】
残高更新部260は、利用判定部240から電子マネーの利用が可能である旨の判定結果が出力された場合、利用可能残高からプリペイドカードの購入金額を減算し、更新されたクレジット残高110aおよび非クレジット残高110bを通信制御部210へ出力する。また、残高更新部260は、利用判定部240から電子マネーの利用が不可能である旨の判定結果が出力された場合、利用可能残高に対して何の計算もせずに、そのままクレジット残高110aおよび非クレジット残高110bを通信制御部210へ出力する。したがって、遊技店におけるプリペイドカードの購入に際しては、非クレジット残高110bがプリペイドカードの購入金額以上である場合に、非クレジット残高110bからプリペイドカードの購入金額が減算されて非クレジット残高110bが更新される。
【0049】
なお、利用目的指示部220、利用可能残高算出部230、利用判定部240、および残高更新部260は、本実施の形態に係る電子マネー端末装置200のアプリケーションを構成している。このアプリケーションは、必ずしも電子マネー端末装置200に実装される必要は無く、カード発行装置300に実装しても良く、携帯電話などの電子マネー媒体100に実装しても良い。
【0050】
カード発行装置300の接続I/F部310は、電子マネー端末装置200に接続されるインタフェースであり、遊技客が指定したプリペイドカードの購入金額を電子マネー端末装置へ送信し、電子マネー利用の可不可の判定結果を電子マネー端末装置200から受信して制御部340へ出力する。
【0051】
入力部320は、遊技客がプリペイドカードの購入金額などを指定するためのボタンなどから構成されており、遊技客が所望の金額のプリペイドカードを指定する操作を行うと、指定されたプリペイドカードの購入金額を購入金額通知部330へ出力する。購入金額通知部330は、入力部320から購入金額が出力されると、この購入金額を接続I/F部310および制御部340へ通知する。
【0052】
制御部340は、電子マネー端末装置200から送信された判定結果が電子マネーの利用可能を示す場合は、カード発行部360を制御して購入金額分のプリペイドカードを発行させる。また、制御部340は、電子マネー端末装置200から送信された判定結果が電子マネーの利用不可能を示す場合は、表示部350を制御してエラーメッセージを表示させる。
【0053】
表示部350は、制御部340の制御に従って、利用可能残高(すなわち、非クレジット残高110b)がプリペイドカードの購入金額に満たない場合に、電子マネー媒体100に記憶された電子マネー残高が不足している旨のエラーメッセージを表示する。
【0054】
カード発行部360は、制御部340の制御に従って、利用可能残高(すなわち、非クレジット残高110b)がプリペイドカードの購入金額以上である場合に、購入金額に相当するプリペイドカードを発行する。
【0055】
次いで、遊技客が電子マネーをチャージする場合の電子マネー媒体100の動作について、図4に示すフロー図を参照しながら説明する。以下では、遊技客が電子マネー媒体100を専用端末装置にかざしつつチャージする場合について説明する。
【0056】
遊技客は、電子マネー媒体100を専用端末装置にかざすと、専用端末装置に所望のチャージ金額を入力する(ステップS1000)。このとき、遊技客は、チャージを現金決済によって行うかまたはクレジット決済によって行うかなどの入金種別を同時に入力する。チャージ金額と入金種別が入力されると、専用端末装置は、必要に応じて金融機関などに設置されたコンピュータと通信し所定の手続きを行う。また、チャージ金額および入金種別は、電子マネー媒体100の通信制御部150へ送信される。
【0057】
そして、電子マネー媒体100の入金種別判定部120によって、入金種別がクレジット決済であるか否かが判定される(ステップS1100)。この結果、入金種別がクレジット決済であれば(ステップS1100肯定)、残高書込部130によって、記憶部110内のクレジット残高110aにチャージ金額が加算される(ステップS1200)。一方、入金種別がクレジット決済以外であれば(ステップS1100否定)、残高書込部130によって、記憶部110内の非クレジット残高110bにチャージ金額が加算される(ステップS1300)。
【0058】
このように、チャージがクレジット決済によって行われたか否かによって、電子マネー媒体100は、チャージ金額を区別して電子マネー残高を記憶するため、利用目的によっては非クレジット残高110bのみを利用可能とするなどの処理が可能となる。
【0059】
次に、遊技客が電子マネーを利用してプリペイドカードを購入する場合の電子マネー決済システムの動作について、図5に示すフロー図を参照しながら説明する。以下では、プリペイドカードの発行時に、遊技客によるカード発行装置300の操作、電子マネー媒体100から電子マネー端末装置200への電子マネー残高読み出し、電子マネー利用の可不可判定、電子マネー残高の更新という手順が取られる。また、カード発行装置300に電子マネー端末装置200が接続された時点で、電子マネー端末装置200の接続I/F部250から利用目的指示部220へ、電子マネー端末装置200がカード発行装置300に接続された旨が通知されているものとする。そして、電子マネー端末装置200がカード発行装置300に接続されたことから、利用目的指示部220によって、電子マネーがプリペイドカードの発行に利用されることが認識され、その旨が利用可能残高算出部230へ通知される。
【0060】
まず、遊技客は、カード発行装置300の入力部320を操作して、所望のプリペイドカードの購入金額を入力する(ステップS2000)。入力された購入金額は、購入金額通知部330へ出力され、制御部340および接続I/F部310へ通知される。そして、購入金額は、制御部340に保持されるとともに、接続I/F部310から電子マネー端末装置200の接続I/F部250を介して利用判定部240へ入力される。このとき、例えば遊技客が5000円のプリペイドカードを購入する場合、制御部340の制御によって、表示部350に例えば図6(a)のようなメッセージおよび購入金額が表示される。
【0061】
一方、遊技客は、プリペイドカードの購入金額を入力した後、電子マネー決済を行うため、電子マネー媒体100をカード発行装置300に接続された電子マネー端末装置200にかざす(ステップS2100)。電子マネー媒体100が電子マネー端末装置200にかざされると、電子マネー媒体100の残高読出部140によって記憶部110からクレジット残高110aおよび非クレジット残高110bが読み出され(ステップS2200)、通信制御部150から電子マネー端末装置200へ送信される。送信されたクレジット残高110aおよび非クレジット残高110bは、電子マネー端末装置200の通信制御部210を介して利用可能残高算出部230へ入力される。
【0062】
利用可能残高算出部230には、既に電子マネーがプリペイドカードの発行に利用される旨が通知されているため、クレジット残高110aおよび非クレジット残高110bからプリペイドカードの発行に利用できる利用可能残高が算出される(ステップS2300)。すなわち、利用目的が遊技店におけるプリペイドカードの発行であるため、非クレジット残高110bが利用可能残高となり、利用可能残高算出部230から利用判定部240および残高更新部260へ通知される。
【0063】
そして、利用判定部240によって、利用可能残高がカード発行装置300から通知された購入金額以上であるか否かが判定され(ステップS2400)、判定結果が残高更新部260および接続I/F部250へ通知される。ステップS2400における判定の結果、利用可能残高が購入金額以上であれば(ステップS2400肯定)、電子マネー決済によるプリペイドカードの発行が可能であるため、判定結果が接続I/F部250および接続I/F部310を介して制御部340へ入力されると、制御部340に保持されている購入金額分のプリペイドカードを発行する旨がカード発行部360へ指示される。この指示を受け、カード発行部360によって、遊技客が指定した金額のプリペイドカードが発行される(ステップS2500)。このとき、例えば購入金額5000円に対して非クレジット残高110bが6000円である場合、制御部340の制御によって、表示部350に例えば図6(b)のようなメッセージが表示される。
【0064】
また、残高更新部260によって、利用可能残高から購入金額が減算され、新たに電子マネー残高が算出される。ここでは、利用可能残高が非クレジット残高110bに等しいため、非クレジット残高110bから購入金額が減算されることにより、電子マネー残高が更新される(ステップS2600)。更新された電子マネー残高は、通信制御部210から電子マネー媒体100へ送信され、電子マネー媒体100の通信制御部150を介して残高書込部130へ入力され、残高書込部130によって記憶部110に書き込まれる。
【0065】
なお、電子マネーが遊技店以外でのショッピングなどに利用される場合は、電子マネー残高の更新に際して、クレジット残高110aおよび非クレジット残高110bを合算した利用可能残高のうち、遊技店で利用できないクレジット残高110aが優先して利用されるものとして更新するようにしても良い。こうすることにより、遊技店でも利用可能な非クレジット残高110bを最大限に残しておくことができる。
【0066】
一方、ステップS2400における判定の結果、利用可能残高が購入金額未満であれば(ステップS2400否定)、電子マネー決済によるプリペイドカードの発行が不可能であるため、判定結果が接続I/F部250および接続I/F部310を介して制御部340へ入力されると、電子マネー残高が不足しているというエラーメッセージを表示する旨が表示部350へ指示される。この指示を受け、表示部350によって、電子マネー残高が不足している旨のエラーメッセージが表示される(ステップS2700)。このとき、例えば購入金額5000円に対して非クレジット残高110bが2000円である場合、制御部340の制御によって、表示部350に例えば図6(c)のようなメッセージが表示される。
【0067】
また、電子マネー残高が不足している場合は、電子マネーが利用されることは無いため残高更新部260によって、利用可能残高がそのまま通信制御部210から電子マネー媒体100へ送信され、電子マネー媒体100の通信制御部150を介して残高書込部130へ入力され、残高書込部130によって記憶部110に書き込まれる。
【0068】
以上のように、本実施の形態によれば、電子マネー媒体にクレジット残高と非クレジット残高とを区別して記憶しておき、パチンコ店などの遊技店においては、電子マネー決済時に非クレジット残高のみを利用可能とするため、遊技客は現金または金融機関の口座残高などとして実際に所持している金額に相当する電子マネーしか遊技に利用することができず、遊技への過剰なのめり込みを適正かつ効率良く防止して多重債務者の発生を抑制することができる。
【0069】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の特徴は、電子マネー媒体が非クレジット残高ではなく総残高をクレジット残高と別に記憶する点、およびプリペイドカード購入時にあらかじめ購入可能な上限金額がカード発行装置に通知される点である。
【0070】
図7は、本実施の形態に係る電子マネー媒体100の要部構成を示すブロック図である。同図に示す電子マネー媒体100は、図2に示す電子マネー媒体100と同様の構成を有しているが、記憶部110に記憶される電子マネー残高のみが異なっている。すなわち、本実施の形態においては、記憶部110は、電子マネーの総残高110cを記憶するとともに、総残高110cのうちクレジット決済によってチャージされたクレジット残高110aのみを区別して記憶している。
【0071】
図8は、本実施の形態にかかる電子マネー端末装置200およびカード発行装置300の要部構成を示すブロック図である。同図において、図3と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図8に示す電子マネー端末装置200は、図3に示す電子マネー端末装置200の利用可能残高算出部230に代えて利用可能残高算出部410を有し、利用判定部240を除去した構成を採る。また、図8に示すカード発行装置300は、図3に示すカード発行装置300の制御部340および表示部350に代えて制御部420および表示部430を有する構成を採る。
【0072】
利用可能残高算出部410は、利用目的が遊技店でのプリペイドカードの発行などである場合は、総残高110cからクレジット残高110aを減算し、得られた非クレジット残高を利用可能残高とする。また、利用可能残高算出部410は、利用目的が例えばショッピングなど遊技店以外での決済である場合は、総残高110cを利用可能残高とする。そして、利用可能残高算出部410は、算出された利用可能残高を接続I/F部250へ通知する。
【0073】
なお、利用目的指示部220、利用可能残高算出部410、および残高更新部260は、本実施の形態に係る電子マネー端末装置200のアプリケーションを構成している。このアプリケーションは、必ずしも電子マネー端末装置200に実装される必要は無く、カード発行装置300に実装しても良く、携帯電話などの電子マネー媒体100に実装しても良い。
【0074】
制御部420は、電子マネー端末装置200から利用可能残高を受信した場合、表示部430を制御して利用可能残高によって購入可能なプリペイドカードの上限金額を表示させる。また、制御部420は、購入金額通知部330から購入金額が通知された場合、カード発行部360を制御して購入金額分のプリペイドカードを発行させる。
【0075】
表示部430は、制御部420の制御に従って、利用可能残高(すなわち、総残高110cとクレジット残高110aの差)によって購入可能なプリペイドカードの上限金額を表示する。なお、本実施の形態においては、表示部430がプリペイドカードの上限金額を表示する代わりに、例えば入力部320に設けられたボタンのうち利用可能残高で購入可能な金額のボタンのみが点灯するなどのようにしても良い。
【0076】
次いで、遊技客が電子マネーをチャージする場合の電子マネー媒体100の動作について、図9に示すフロー図を参照しながら説明する。同図において、図4と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。以下では、遊技客が電子マネー媒体100を専用端末装置にかざしつつチャージする場合について説明する。
【0077】
遊技客は、電子マネー媒体100を専用端末装置にかざすと、専用端末装置に所望のチャージ金額および入金種別を入力する(ステップS1000)。チャージ金額と入金種別が入力されると、専用端末装置は、必要に応じて金融機関などに設置されたコンピュータと通信し所定の手続きを行う。また、チャージ金額および入金種別は、電子マネー媒体100の通信制御部150へ送信される。
【0078】
そして、電子マネー媒体100の入金種別判定部120によって、入金種別がクレジット決済であるか否かが判定される(ステップS1100)。この結果、入金種別がクレジット決済であれば(ステップS1100肯定)、残高書込部130によって、記憶部110内のクレジット残高110aにチャージ金額が加算され(ステップS1200)、同時に総残高110cにもチャージ金額が加算される(ステップS3000)。一方、入金種別がクレジット決済以外であれば(ステップS1100否定)、残高書込部130によって、記憶部110内の総残高110cのみにチャージ金額が加算される(ステップS3100)。
【0079】
このように、電子マネー媒体100は、クレジット決済によってチャージされたクレジット残高110aを総残高110cとは区別して記憶するため、利用目的によっては総残高110cからクレジット残高110aを差し引いた非クレジット残高のみを利用可能とするなどの処理が可能となる。
【0080】
次に、遊技客が電子マネーを利用してプリペイドカードを購入する場合の電子マネー決済システムの動作について、図10に示すフロー図を参照しながら説明する。同図において、図5と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。以下では、プリペイドカードの発行時に、電子マネー媒体100から電子マネー端末装置200への電子マネー残高読み出し、購入可能金額の表示、遊技客によるカード発行装置300の操作、電子マネー残高の更新という手順が取られる。また、カード発行装置300に電子マネー端末装置200が接続された時点で、電子マネー端末装置200の接続I/F部250から利用目的指示部220へ、電子マネー端末装置200がカード発行装置300に接続された旨が通知されているものとする。そして、電子マネー端末装置200がカード発行装置300に接続されたことから、利用目的指示部220によって、電子マネーがプリペイドカードの発行に利用されることが認識され、その旨が利用可能残高算出部410へ通知される。
【0081】
まず、遊技客は、電子マネー媒体100をカード発行装置300に接続された電子マネー端末装置200にかざす(ステップS2100)。電子マネー媒体100が電子マネー端末装置200にかざされると、電子マネー媒体100の残高読出部140によって記憶部110からクレジット残高110aおよび総残高110cが読み出され(ステップS2200)、通信制御部150から電子マネー端末装置200へ送信される。送信されたクレジット残高110aおよび総残高110cは、電子マネー端末装置200の通信制御部210を介して利用可能残高算出部410へ入力される。
【0082】
利用可能残高算出部410には、既に電子マネーがプリペイドカードの発行に利用される旨が通知されているため、クレジット残高110aおよび総残高110cから利用可能残高が算出される(ステップS2300)。すなわち、利用目的が遊技店におけるプリペイドカードの発行であるため、総残高110cからクレジット残高110aを差し引いた非クレジット残高が利用可能残高となり、利用可能残高算出部410から接続I/F部250および残高更新部260へ通知される。
【0083】
そして、利用可能残高が接続I/F部250および接続I/F部310を介して制御部420へ入力されると、制御部420の制御によって、利用可能残高を上限としたプリペイドカードの購入可能金額が表示部430に表示される(ステップS4000)。ここで表示される購入可能金額は、総残高110cからクレジット残高110aを差し引いた非クレジット残高以下の金額であるため、たとえ購入可能金額と同額のプリペイドカードを発行したとしても、遊技客に債務が発生する虞は無い。
【0084】
購入可能金額が表示されると、遊技客は、カード発行装置300の入力部320を操作して、購入可能金額の範囲内で所望のプリペイドカードの購入金額を入力する(ステップS4100)。このとき、遊技客にはあらかじめ利用可能な電子マネー残高が報知されているため、遊技客は、利用可能な電子マネー残高を把握した状態で購入金額を入力することができ、利用可能な電子マネー残高を超える購入金額を指定するなどの無駄な操作を防止することができる。入力された購入金額は、購入金額通知部330へ出力され、制御部420および接続I/F部310へ通知される。そして、制御部420によって、購入金額分のプリペイドカードを発行する旨がカード発行部360へ指示される。この指示を受け、カード発行部360によって、遊技客が購入可能金額の範囲内で指定した金額のプリペイドカードが発行される(ステップS2500)。
【0085】
また、購入金額は、接続I/F部310から電子マネー端末装置200の接続I/F部250を介して残高更新部260へ入力される。そして、残高更新部260によって、利用可能残高から購入金額が減算され、新たに電子マネー残高が算出される。ここでは、利用可能残高が総残高110cとクレジット残高110aの差であるため、総残高110cのみから購入金額が減算され、クレジット残高110aはそのままとされることにより、電子マネー残高が更新される(ステップS2600)。更新された電子マネー残高は、通信制御部210から電子マネー媒体100へ送信され、電子マネー媒体100の通信制御部150を介して残高書込部130へ入力され、残高書込部130によって記憶部110に書き込まれる。
【0086】
なお、電子マネーが遊技店以外でのショッピングなどに利用される場合は、電子マネー残高の更新に際して、利用可能残高である総残高110cのうち、遊技店で利用できないクレジット残高110aが優先して利用されるものとして更新するようにしても良い。こうすることにより、遊技店でも利用可能な非クレジット残高を最大限に残しておくことができる。
【0087】
以上のように、本実施の形態によれば、電子マネー媒体にクレジット残高を総残高と区別して記憶しておき、パチンコ店などの遊技店においては、総残高からクレジット残高を差し引いた非クレジット残高を利用可能としてあらかじめ遊技客へ報知し、報知された非クレジット残高の範囲内でプリペイドカードを発行するため、遊技客は、現金または金融機関の口座残高などとして実際に所持している金額に相当する電子マネーしか遊技に利用することができず、遊技への過剰なのめり込みを適正かつ効率良く防止して多重債務者の発生を抑制することができる。また、あらかじめ利用可能な電子マネー残高が報知されるため、遊技客は、利用可能な電子マネー残高を把握してからプリペイドカードを購入することができ、利用可能な電子マネー残高を超える購入金額を指定するなどの無駄な操作を防止することができる。
【0088】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3の特徴は、電子マネー媒体が例えば携帯電話などである場合に、あらかじめ利用可能残高の範囲内で電子マネー媒体にプリペイドカードの購入金額を指定しておき、電子マネー媒体を電子マネー端末装置にかざすだけでプリペイドカードが発行される点である。
【0089】
図11は、本実施の形態に係る電子マネー媒体100の要部構成を示すブロック図である。同図において、図2と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図11に示す電子マネー媒体100は、図2に示す電子マネー媒体100に加えて、利用可能残高表示部510、入力部520、および購入金額保持部530を有している。本実施の形態においては、電子マネー媒体100が例えば携帯電話などであり、電子マネー残高を記憶する以外にも様々な機能のアプリケーションを実装することが可能である。
【0090】
利用可能残高表示部510は、記憶部110に記憶された電子マネー残高のうち遊技店で利用可能な電子マネー残高を算出して表示する。具体的には、利用可能残高表示部510は、非クレジット残高110bを利用可能残高として表示する。利用可能残高表示部510は、プリペイドカード発行用のアプリケーションの機能の一部を実行する処理部であり、このアプリケーションが起動された時点で、電子マネーの利用目的がプリペイドカードの発行であることが前提となっている。
【0091】
入力部520は、遊技客がプリペイドカードの購入金額などを指定するためのボタンなどから構成されており、遊技客が所望の金額のプリペイドカードを指定する操作を行うと、指定されたプリペイドカードの購入金額を購入金額保持部530へ出力する。購入金額保持部530は、入力部520から購入金額が出力されると、この購入金額を保持するとともに通信制御部150を介して電子マネー端末装置200へ送信する。
【0092】
図12は、本実施の形態に係る電子マネー端末装置200およびカード発行装置300の要部構成を示すブロック図である。同図において、図3と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図12に示す電子マネー端末装置200は、通信制御部210、接続I/F部250、残高更新部610、および購入金額通知部620を有している。また、図12に示すカード発行装置300は、接続I/F部310、カード発行部360、制御部630、および発行金額通知部640を有している。
【0093】
残高更新部610は、電子マネー媒体100から送信されたクレジット残高110aおよび非クレジット残高110bとカード発行装置300から通知されるプリペイドカードの発行金額とから電子マネー残高を更新する。具体的には、残高更新部610は、発行金額が遊技店におけるプリペイドカードに関するものであるため、非クレジット残高110bから発行金額を減算し、更新された電子マネー残高を通信制御部210へ出力する。購入金額通知部620は、電子マネー媒体100から送信された購入金額が通信制御部210に受信されると、この購入金額を接続I/F部250へ通知する。
【0094】
制御部630は、電子マネー端末装置200から購入金額を受信すると、カード発行部360を制御して購入金額分のプリペイドカードを発行させるとともに、プリペイドカードの発行金額を発行金額通知部640へ出力する。発行金額通知部640は、制御部630から発行金額が出力されると、この発行金額を接続I/F部310へ通知する。
【0095】
次いで、遊技客が電子マネーを利用してプリペイドカードを購入する場合の電子マネー決済システムの動作について、図13に示すフロー図を参照しながら説明する。同図において、図5と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。以下では、プリペイドカードの発行前に、電子マネー媒体100に購入金額の設定の手順が取られ、プリペイドカードの発行時に、電子マネー媒体100から電子マネー端末装置200への電子マネー残高および購入金額の読み出し、電子マネー残高の更新という手順が取られる。
【0096】
まず、遊技客は、携帯電話などの電子マネー媒体100を操作してプリペイドカード発行用のアプリケーションを起動する。このアプリケーションが起動されると、利用可能残高表示部510によって、クレジット残高110aおよび非クレジット残高110bからプリペイドカードの発行に利用できる利用可能残高が算出されて表示される(ステップS5000)。すなわち、利用目的が遊技店におけるプリペイドカードの発行であるため、非クレジット残高110bが利用可能残高として表示されることにより、プリペイドカード発行に利用可能な電子マネー残高が遊技客に報知される。
【0097】
遊技客は、入力部520を操作して、利用可能残高の範囲内で所望のプリペイドカードの購入金額を入力する(ステップS5100)。このとき、遊技客にはあらかじめ利用可能な電子マネー残高が報知されているため、遊技客は、利用可能な電子マネー残高を把握した状態で購入金額を入力することができ、利用可能な電子マネー残高を超える購入金額を指定するなどの無駄な操作を防止することができる。入力された購入金額は、購入金額保持部530へ出力されて保持される。
【0098】
そして、遊技客は、電子マネー媒体100をカード発行装置300に接続された電子マネー端末装置200にかざす(ステップS2100)。電子マネー媒体100が電子マネー端末装置200にかざされると、電子マネー媒体100の残高読出部140によって記憶部110からクレジット残高110aおよび非クレジット残高110bが読み出され(ステップS2200)、通信制御部150から電子マネー端末装置200へ送信される。同時に、購入金額保持部530に保持された購入金額が通信制御部150から電子マネー端末装置200へ送信される。
【0099】
本実施の形態においては、電子マネー媒体100にあらかじめ購入金額が保持されているため、遊技客は、電子マネー媒体100を電子マネー端末装置200にかざすだけで、所望の金額のプリペイドカード購入することができる。また、遊技客が電子マネー媒体100にあらかじめ入力する購入金額は、利用可能残高表示部510に表示された非クレジット残高110b以下の金額であるため、遊技客に債務が発生する虞は無い。
【0100】
送信されたクレジット残高110aおよび非クレジット残高110bは、電子マネー端末装置200の通信制御部210を介して残高更新部610へ入力され、購入金額は、電子マネー端末装置200の通信制御部210を介して購入金額通知部620へ入力される。そして、購入金額は、接続I/F部250からカード発行装置300へ通知される(ステップS5200)。購入金額がカード発行装置300の接続I/F部310を介して制御部630へ入力されると、制御部630によって、購入金額分のプリペイドカードを発行する旨がカード発行部360へ指示される。この指示を受け、カード発行部360によって、遊技客が電子マネー媒体100を操作して指定した金額のプリペイドカードが発行される(ステップS2500)。
【0101】
なお、制御部630は、購入金額が利用可能残高以下の適正な金額であるか否かを判定し、購入金額が利用可能残高を超える不適正な金額である場合は、電子マネー端末装置200を介して電子マネー媒体100へエラーメッセージを返送するようにしても良い。また、購入金額が適正であるか否かの判定は、電子マネー媒体100の入力部520に購入金額が入力された時点で行うことも可能である。
【0102】
カード発行部360によってプリペイドカードが発行されると、この発行金額が制御部630から発行金額通知部640へ出力され、発行金額通知部640から接続I/F部310を介して電子マネー端末装置200へ発行金額が通知される。ここで、遊技客が電子マネー媒体100に入力した購入金額が利用可能残高以下の金額であれば、購入金額は適正であり、プリペイドカードの発行が可能であるため、発行金額は購入金額に等しい。
【0103】
発行金額が電子マネー端末装置200の接続I/F部250を介して残高更新部610へ入力されると、残高更新部610によって、電子マネー残高から発行金額が減算され、新たに電子マネー残高が算出される。ここでは、非クレジット残高110bから発行金額が減算されることにより、電子マネー残高が更新される(ステップS2600)。更新された電子マネー残高は、通信制御部210から電子マネー媒体100へ送信され、電子マネー媒体100の通信制御部150を介して残高書込部130へ入力され、残高書込部130によって記憶部110に書き込まれる。
【0104】
残高更新部610による電子マネー残高の更新は、電子マネー媒体100から送信される電子マネー残高および購入金額から行うことも可能である。しかし、遊技客が利用可能残高を超える不適正な購入金額を指定した場合に電子マネー残高の更新を中止するためには、上述のように電子マネー媒体100から送信される電子マネー残高とカード発行装置300から通知される発行金額とから電子マネー残高を更新するのが好ましい。
【0105】
以上のように、本実施の形態によれば、電子マネー媒体は、パチンコ店などの遊技店において利用可能な非クレジット残高を遊技客に報知し、遊技客は、報知された非クレジット残高の範囲内であらかじめプリペイドカードの購入金額を指定するため、現金または金融機関の口座残高などとして実際に所持している金額に相当する電子マネーしか遊技に利用することができず、遊技への過剰なのめり込みを適正かつ効率良く防止して多重債務者の発生を抑制することができる。また、電子マネー媒体に購入金額があらかじめ指定されているため、遊技客は、電子マネー媒体を電子マネー端末装置へかざすだけで、所望の金額のプリペイドカードを購入することができる。
【0106】
なお、上記各実施の形態においては、遊技店においてはクレジット残高を一切利用できないものとしたが、遊技へののめり込みを防止するためには、クレジット決済によるチャージとプリペイドカードの発行とが連続して繰り返されることを防止すれば良い。そこで、例えばクレジット決済によるチャージの後、1度でも遊技店以外で電子マネーが利用された場合は、クレジット残高をプリペイドカードの発行に利用できるようにしても良い。
【0107】
この場合は、電子マネー媒体100は、電子マネー残高のみではなく、電子マネーの利用履歴を記憶しておき、電子マネー端末装置200は、クレジット決済によるチャージの後に遊技店以外での電子マネー利用があったか否かを判定して利用可能残高を算出する。すなわち、電子マネー端末装置200は、クレジット決済によるチャージの後に遊技店以外での電子マネー利用があった場合は、総残高を利用可能残高とし、遊技店以外での電子マネー利用が無かった場合は、非クレジット残高のみを利用可能残高とする。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、遊技への過剰なのめり込みを適正かつ効率良く防止して多重債務者の発生を抑制する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電子マネー決済システムの概略を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る電子マネー媒体の要部構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1に係る電子マネー端末装置およびカード発行装置の要部構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態1に係る価値付け処理を示すフロー図である。
【図5】実施の形態1に係るプリペイドカード発行処理を示すフロー図である。
【図6】実施の形態1に係るカード発行装置に表示されるメッセージ例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る電子マネー媒体の要部構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態2に係る電子マネー端末装置およびカード発行装置の要部構成を示すブロック図である。
【図9】実施の形態2に係る価値付け処理を示すフロー図である。
【図10】実施の形態2に係るプリペイドカード発行処理を示すフロー図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る電子マネー媒体の要部構成を示すブロック図である。
【図12】実施の形態3に係る電子マネー端末装置およびカード発行装置の要部構成を示すブロック図である。
【図13】実施の形態3に係るプリペイドカード発行処理を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0110】
110 記憶部
120 入金種別判定部
130 残高書込部
140 残高読出部
150、210 通信制御部
220 利用目的指示部
230、410 利用可能残高算出部
240 利用判定部
250、310 接続I/F部
260、610 残高更新部
320、520 入力部
330、620 購入金額通知部
340、420、630 制御部
350、430 表示部
360 カード発行部
510 利用可能残高表示部
530 購入金額保持部
640 発行金額通知部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マネー残高を記憶する電子マネー媒体と電子マネー端末装置とが通信して電子マネー決済を行う電子マネー決済システム、電子マネー端末装置、電子マネー媒体、および電子マネー決済方法に関し、特に、遊技店で電子マネーが使用される場合に、遊技への過剰なのめり込みを適正かつ効率良く防止して多重債務者の発生を抑制することができる電子マネー決済システム、電子マネー端末装置、電子マネー媒体、および電子マネー決済方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカードや携帯電話にあらかじめチャージと呼ばれる価値付け処理を行っておき、チャージされた電子マネーを物品購入などの際の決済に用いることが盛んに行われている。電子マネーのチャージの際には、専用端末への現金投入またはネットワークを介した金融機関の口座引き落としなどにより、所望の金額が電子マネー媒体であるICカードや携帯電話に記録される。
【0003】
また、例えば特許文献1では、クレジットカードで電子マネーのチャージを行うことが開示されている。これにより、現金の持ち合わせが無い場合や金融機関の口座に残高が無い場合でも電子マネーをチャージすることが可能となる。
【0004】
このような電子マネーは、例えばパチンコ店などの遊技店における使用も検討されている。例えば特許文献2には、遊技店内の玉貸し機に電子マネー媒体とプリペイドカードを挿入し、電子マネー媒体に記録されている電子マネー残高をプリペイドカードの度数に変換し、この度数を遊技用の玉貸しに供することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−123771号公報
【特許文献2】特開2004−243011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電子マネーが遊技店において使用される場合には、遊技客が銀行カードやクレジットカードによる電子マネーのチャージを繰り返しながら、無制限に玉貸しを受けることができるため、遊技へののめり込みが誘発されるという問題がある。
【0007】
特に、クレジットカードによる電子マネーのチャージが繰り返し行われると、遊技客が現金または金融機関の口座残高として実際に所持している金額以上のチャージが可能となってしまい、遊技への過剰なのめり込みは多重債務者の増加につながる。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、遊技店で電子マネーが使用される場合に、遊技への過剰なのめり込みを適正かつ効率良く防止して多重債務者の発生を抑制することができる電子マネー決済システム、電子マネー端末装置、電子マネー媒体、および電子マネー決済方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、電子マネー残高を記憶する電子マネー媒体と電子マネー端末装置とが通信して電子マネー決済を行う電子マネー決済システムであって、前記電子マネー媒体は、電子マネーの価値付けがクレジット決済によって行われるか否かを判定する判定手段と、クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高を他の電子マネー残高と区別して記憶する記憶手段とを有し、前記電子マネー端末装置は、前記クレジット残高および前記他の電子マネー残高から遊技店における利用可能残高を算出する算出手段と、前記利用可能残高が遊技客による利用希望金額以上である場合にのみ、前記他の電子マネー残高から前記利用希望金額を減算して更新する更新手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記算出手段は、クレジット決済以外の方法によって価値付けられた電子マネーの非クレジット残高を前記利用可能残高として算出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高および他の電子マネー残高を記憶する電子マネー媒体との間の通信を制御する通信制御手段と、前記クレジット残高および前記他の電子マネー残高から遊技店における利用可能残高を算出する算出手段と、前記利用可能残高が遊技客による利用希望金額以上である場合にのみ、前記他の電子マネー残高から前記利用希望金額を減算して更新する更新手段とを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記算出手段は、クレジット決済以外の方法によって価値付けられた電子マネーの非クレジット残高を前記利用可能残高として算出することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記算出手段は、電子マネーによる決済が可能な外部装置と接続する接続手段と、前記接続手段に接続された外部装置の種別によって電子マネーの利用目的を認識する認識手段とを含み、利用目的に応じた利用可能残高を算出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記更新手段は、電子マネーの利用目的が遊技店以外における利用である場合に、前記クレジット残高から優先して利用金額を減算することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記更新手段は、前記利用可能残高が遊技客による利用希望金額未満である場合は、前記クレジット残高および前記他の電子マネー残高のいずれも更新しないことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、電子マネーの価値付けがクレジット決済によって行われるか否かを判定する判定手段と、クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高を他の電子マネー残高と区別して記憶する記憶手段とを有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、前記記憶手段によって記憶された電子マネー残高のうち、クレジット決済以外の方法によって価値付けられた電子マネーの非クレジット残高を遊技店における利用可能残高として表示する表示手段をさらに有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記発明において、前記利用可能残高以下の利用希望金額であって、遊技客によって入力された利用希望金額を保持する保持手段をさらに有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、電子マネー残高を記憶する電子マネー媒体と電子マネー端末装置とが通信して電子マネー決済を行う電子マネー決済方法であって、前記電子マネー媒体は、電子マネーの価値付けがクレジット決済によって行われるか否かを判定する判定工程と、クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高を他の電子マネー残高と区別して記憶する記憶工程とを有し、前記電子マネー端末装置は、前記クレジット残高および前記他の電子マネー残高から遊技店における利用可能残高を算出する算出工程と、前記利用可能残高が遊技客による利用希望金額以上である場合にのみ、前記他の電子マネー残高から前記利用希望金額を減算して更新する更新工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電子マネー媒体は、電子マネーの価値付けがクレジット決済によって行われるか否かを判定し、クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高を他の電子マネー残高と区別して記憶し、電子マネー端末装置は、クレジット残高および他の電子マネー残高から遊技店における利用可能残高を算出し、利用可能残高が遊技客による利用希望金額以上である場合にのみ、他の電子マネー残高から利用希望金額を減算して更新するので、遊技店で電子マネーが利用される際には、クレジット残高の利用を制限した利用可能残高を設定することができ、遊技への過剰なのめり込みを適正かつ効率良く防止して多重債務者の発生を抑制することができる。
【0021】
また、本発明によれば、クレジット決済以外の方法によって価値付けられた電子マネーの非クレジット残高を利用可能残高として算出するので、遊技客は現金または金融機関の口座残高などとして実際に所持している金額に相当する電子マネーしか遊技に利用することができず、遊技へののめり込みを確実に防止することができる。
【0022】
また、本発明によれば、クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高および他の電子マネー残高を記憶する電子マネー媒体との間の通信を制御し、クレジット残高および他の電子マネー残高から遊技店における利用可能残高を算出し、利用可能残高が遊技客による利用希望金額以上である場合にのみ、他の電子マネー残高から利用希望金額を減算して更新するので、遊技店で電子マネーが利用される際には、クレジット残高の利用を制限した利用可能残高を設定することができ、遊技への過剰なのめり込みを適正かつ効率良く防止して多重債務者の発生を抑制することができる。
【0023】
また、本発明によれば、電子マネーによる決済が可能な外部装置と接続し、接続された外部装置の種別によって電子マネーの利用目的を認識し、利用目的に応じた利用可能残高を算出するので、電子マネーが遊技店で利用されるのか否かを正確に判別して、遊技店で利用される場合にのみ制限つきの利用可能残高を算出することができる。
【0024】
また、本発明によれば、電子マネーの利用目的が遊技店以外における利用である場合に、クレジット残高から優先して利用金額を減算するので、遊技店でも利用可能な非クレジット残高を最大限に残しておくことができる。
【0025】
また、本発明によれば、利用可能残高が遊技客による利用希望金額未満である場合は、クレジット残高および他の電子マネー残高のいずれも更新しないので、利用可能残高が不足している場合には、電子マネーの利用を禁止することができる。
【0026】
また、本発明によれば、電子マネーの価値付けがクレジット決済によって行われるか否かを判定し、クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高を他の電子マネー残高と区別して記憶するので、遊技店で電子マネーが利用される際には、クレジット残高の利用を制限した利用可能残高を設定することができ、遊技への過剰なのめり込みを適正かつ効率良く防止して多重債務者の発生を抑制することができる。
【0027】
また、本発明によれば、記憶された電子マネー残高のうち、クレジット決済以外の方法によって価値付けられた電子マネーの非クレジット残高を遊技店における利用可能残高として表示するので、遊技客はあらかじめ利用可能な電子マネー残高を把握することができ、利用可能な電子マネー残高を超える利用希望金額を指定するなどの無駄な操作を防止することができる。
【0028】
また、本発明によれば、利用可能残高以下の利用希望金額であって、遊技客によって入力された利用希望金額を保持するので、電子マネー媒体を電子マネー端末装置へかざすだけで、所望の金額を利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下では、遊技客が電子マネーを利用して玉貸しに利用できるプリペイドカードの発行を受ける場合について説明する。ただし、本発明は、遊技店におけるパチンコ玉やメダルなどの遊技媒体の借り受けに電子マネーが使用される場合には適用可能であり、プリペイドカードの発行にのみ限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るプリペイドカード発行用の電子マネー決済システムの概略を示す図である。同図に示す電子マネー決済システムにおいては、遊技客は、電子マネー媒体100を電子マネー端末装置200にかざすことによって電子マネー決済を行い、電子マネー端末装置200に接続されたカード発行装置300から発行されるプリペイドカードを取得する。
【0031】
電子マネー媒体100は、例えばICカードや携帯電話などであり、遊技客がチャージした電子マネー残高を記憶している。電子マネーのチャージは、例えば電子マネー端末装置200または図示しない専用端末装置に電子マネー媒体100をかざしつつ(タッチしつつ)、これらの端末装置に現金を投入することによって行われたり、遊技店内外に設置されたコンピュータで所定のWWW(World Wide Web)サーバにアクセスするとともに、このコンピュータに接続された専用リーダ/ライタを用いてデビット決済またはクレジット決済することによって行われたりする。また、電子マネー媒体100が携帯電話である場合は、所定のサーバ装置に直接アクセスしてモバイルバンキングやクレジット決済により所定金額の電子マネーをチャージすることもできる。
【0032】
電子マネー媒体100は、このようにしてチャージされた電子マネー残高を記憶するが、後に詳述するように、クレジット決済によってチャージされた電子マネー残高(以下「クレジット残高」という)をクレジット決済以外の方法によってチャージされた電子マネー残高(以下「非クレジット残高」という)と区別して記憶している。
【0033】
電子マネー端末装置200は、プリペイドカードの発行時に電子マネー媒体100がかざされると、電子マネー媒体100に記憶されている電子マネー残高からプリペイドカードの発行額を減算して、電子マネー残高を更新する。このとき、電子マネー端末装置200は、後に詳述するように、クレジット決済以外の方法によってチャージされた電子マネー残高(非クレジット残高)よりもプリペイドカードの購入金額が大きければ、電子マネーの利用を拒否し、電子マネー媒体100に記憶された電子マネー残高を更新しない。すなわち、電子マネー端末装置200は、クレジット残高がプリペイドカードの発行に利用されないように制限する。
【0034】
カード発行装置300は、遊技客によって指定された購入金額のプリペイドカードを発行する。ただし、電子マネー媒体100に記憶された非クレジット残高がプリペイドカードの購入金額に満たない場合は、プリペイドカードを発行せず、例えば電子マネー残高が不足している旨のエラーメッセージを表示する。
【0035】
図2は、本実施の形態に係る電子マネー媒体100の要部構成を示すブロック図である。図2に示す電子マネー媒体100は、記憶部110、入金種別判定部120、残高書込部130、残高読出部140、および通信制御部150を有している。
【0036】
記憶部110は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などから構成されており、クレジット決済によってチャージされたクレジット残高110aおよびクレジット決済以外の方法によってチャージされた非クレジット残高110bを別々に記憶している。クレジット残高110aは、遊技客が実際に所持している現金または金融機関の口座残高などとは関係が無い金額である一方、非クレジット残高110bは、遊技客が現時点において何らかの形で実際に所持している金額である。このため、非クレジット残高110bを利用する分には、遊技客に債務が発生することは無い。
【0037】
入金種別判定部120は、電子マネーのチャージが行われる際に、電子マネーのチャージがクレジット決済によるものか否かの入金種別を判定し、その判定結果を残高書込部130へ通知する。なお、入金種別判定部120は、電子マネー端末装置200または図示しない専用端末装置から電子マネーのチャージ時に送信される特定の信号によって入金種別を判定しても良く、遊技客による所定の操作(決済方法の選択操作など)を検知してクレジット決済であるか否かを判定しても良い。
【0038】
残高書込部130は、電子マネーがチャージされた場合または利用された場合に、記憶部110に記憶されたクレジット残高110aおよび非クレジット残高110bを通信制御部150から通知される電子マネー残高に更新する。具体的には、残高書込部130は、クレジット決済によるチャージが行われた場合には、記憶部110のクレジット残高110aを書き換え、クレジット決済以外の方法によるチャージが行われた場合には、記憶部110の非クレジット残高110bを書き換える。また、残高書込部130は、電子マネーが利用された場合に、クレジット残高110aおよび非クレジット残高110bのうち利用された電子マネー残高を書き換える。
【0039】
残高読出部140は、電子マネー媒体100が電子マネー端末装置200にかざされた場合に、記憶部110からクレジット残高110aおよび非クレジット残高110bを読み出し、通信制御部150を介して電子マネー端末装置200へ送信する。
【0040】
通信制御部150は、電子マネー端末装置200との間の通信を制御し、電子マネー端末装置200から送信される電子マネー残高を受信して残高書込部130へ通知する一方、残高読出部140によって読み出された電子マネー残高を電子マネー端末装置200へ送信する。また、電子マネーのチャージの際には、通信制御部150は、電子マネー端末装置200または図示しない専用端末装置から送信される入金種別を示す信号を入金種別判定部120へ通知するようにしても良い。
【0041】
図3は、本実施の形態に係る電子マネー端末装置200およびカード発行装置300の要部構成を示すブロック図である。図3に示す電子マネー端末装置200は、通信制御部210、利用目的指示部220、利用可能残高算出部230、利用判定部240、接続インタフェース(以下「接続I/F」と略記する)部250、および残高更新部260を有している。なお、図3に示す電子マネー端末装置200においては、電子マネーのチャージに必要な処理部の図示を省略している。また、図3に示すカード発行装置300は、接続I/F部310、入力部320、購入金額通知部330、制御部340、表示部350、およびカード発行部360を有している。
【0042】
電子マネー端末装置200の通信制御部210は、電子マネー媒体100との間の通信を制御し、電子マネー媒体100から送信される電子マネー残高を受信して利用可能残高算出部230へ通知する一方、残高更新部260によって更新された電子マネー残高を電子マネー媒体100へ送信する。また、電子マネーのチャージの際には、通信制御部210は、図示しない処理部から入金種別を示す信号を電子マネー媒体100へ送信するようにしても良い。
【0043】
利用目的指示部220は、電子マネー端末装置200がカード発行装置300に接続されていることから、電子マネーの利用目的がプリペイドカードの発行である旨を利用可能残高算出部230へ通知する。すなわち、利用目的指示部220は、電子マネー端末装置200が接続I/F部250を介して接続されている外部の装置に応じて、電子マネーが何に利用されるかを認識し、電子マネーの利用目的を利用可能残高算出部230へ通知する。
【0044】
利用可能残高算出部230は、利用目的に応じて電子マネー媒体100に記憶された電子マネー残高のうち利用可能な電子マネー残高を算出する。具体的には、利用可能残高算出部230は、利用目的が遊技店でのプリペイドカードの発行などである場合は、非クレジット残高110bを利用可能残高とし、利用目的が例えばショッピングなど遊技店以外での決済である場合は、クレジット残高110aと非クレジット残高110bを加算した総残高を利用可能残高とする。そして、利用可能残高算出部230は、算出された利用可能残高を利用判定部240および残高更新部260へ通知する。
【0045】
ここで、クレジット残高110aは、遊技客が実際に所持している金額とは無関係であるため、遊技店でのプリペイドカードの発行などに利用可能とすると、遊技客が遊技にのめり込んで債務が発生する虞がある。そこで、利用可能残高算出部230は、遊技店で利用可能とするのは、非クレジット残高110bのみとする。非クレジット残高110bは、現金または金融機関の口座残高などとして遊技客が実際に所持している金額であるため、債務が発生する虞は無い。
【0046】
利用判定部240は、利用可能残高とカード発行装置300から通知されるプリペイドカードの購入金額とを比較し、利用可能残高でプリペイドカードの購入が可能か否かを判定し、判定結果を接続I/F部250および残高更新部260へ通知する。すなわち、利用判定部240は、利用可能残高がプリペイドカードの購入金額以上であれば電子マネーの利用が可能であると判定し、利用可能残高がプリペイドカードの購入金額未満であれば電子マネーの利用が不可能であると判定する。したがって、遊技店におけるプリペイドカードの購入に際しては、非クレジット残高110bがプリペイドカードの購入金額以上である場合にのみ電子マネーの利用が可能となる。
【0047】
接続I/F部250は、カード発行装置300など外部の装置に接続されるインタフェースであり、外部の装置に接続された場合に、接続された外部の装置を利用目的指示部220へ通知し、利用目的指示部220は、接続された外部の装置に応じて電子マネーの利用目的を認識する。また、接続I/F部250は、利用判定部240による判定結果をカード発行装置300へ送信し、遊技客が指定したプリペイドカードの購入金額をカード発行装置300から受信して利用判定部240へ出力する。
【0048】
残高更新部260は、利用判定部240から電子マネーの利用が可能である旨の判定結果が出力された場合、利用可能残高からプリペイドカードの購入金額を減算し、更新されたクレジット残高110aおよび非クレジット残高110bを通信制御部210へ出力する。また、残高更新部260は、利用判定部240から電子マネーの利用が不可能である旨の判定結果が出力された場合、利用可能残高に対して何の計算もせずに、そのままクレジット残高110aおよび非クレジット残高110bを通信制御部210へ出力する。したがって、遊技店におけるプリペイドカードの購入に際しては、非クレジット残高110bがプリペイドカードの購入金額以上である場合に、非クレジット残高110bからプリペイドカードの購入金額が減算されて非クレジット残高110bが更新される。
【0049】
なお、利用目的指示部220、利用可能残高算出部230、利用判定部240、および残高更新部260は、本実施の形態に係る電子マネー端末装置200のアプリケーションを構成している。このアプリケーションは、必ずしも電子マネー端末装置200に実装される必要は無く、カード発行装置300に実装しても良く、携帯電話などの電子マネー媒体100に実装しても良い。
【0050】
カード発行装置300の接続I/F部310は、電子マネー端末装置200に接続されるインタフェースであり、遊技客が指定したプリペイドカードの購入金額を電子マネー端末装置へ送信し、電子マネー利用の可不可の判定結果を電子マネー端末装置200から受信して制御部340へ出力する。
【0051】
入力部320は、遊技客がプリペイドカードの購入金額などを指定するためのボタンなどから構成されており、遊技客が所望の金額のプリペイドカードを指定する操作を行うと、指定されたプリペイドカードの購入金額を購入金額通知部330へ出力する。購入金額通知部330は、入力部320から購入金額が出力されると、この購入金額を接続I/F部310および制御部340へ通知する。
【0052】
制御部340は、電子マネー端末装置200から送信された判定結果が電子マネーの利用可能を示す場合は、カード発行部360を制御して購入金額分のプリペイドカードを発行させる。また、制御部340は、電子マネー端末装置200から送信された判定結果が電子マネーの利用不可能を示す場合は、表示部350を制御してエラーメッセージを表示させる。
【0053】
表示部350は、制御部340の制御に従って、利用可能残高(すなわち、非クレジット残高110b)がプリペイドカードの購入金額に満たない場合に、電子マネー媒体100に記憶された電子マネー残高が不足している旨のエラーメッセージを表示する。
【0054】
カード発行部360は、制御部340の制御に従って、利用可能残高(すなわち、非クレジット残高110b)がプリペイドカードの購入金額以上である場合に、購入金額に相当するプリペイドカードを発行する。
【0055】
次いで、遊技客が電子マネーをチャージする場合の電子マネー媒体100の動作について、図4に示すフロー図を参照しながら説明する。以下では、遊技客が電子マネー媒体100を専用端末装置にかざしつつチャージする場合について説明する。
【0056】
遊技客は、電子マネー媒体100を専用端末装置にかざすと、専用端末装置に所望のチャージ金額を入力する(ステップS1000)。このとき、遊技客は、チャージを現金決済によって行うかまたはクレジット決済によって行うかなどの入金種別を同時に入力する。チャージ金額と入金種別が入力されると、専用端末装置は、必要に応じて金融機関などに設置されたコンピュータと通信し所定の手続きを行う。また、チャージ金額および入金種別は、電子マネー媒体100の通信制御部150へ送信される。
【0057】
そして、電子マネー媒体100の入金種別判定部120によって、入金種別がクレジット決済であるか否かが判定される(ステップS1100)。この結果、入金種別がクレジット決済であれば(ステップS1100肯定)、残高書込部130によって、記憶部110内のクレジット残高110aにチャージ金額が加算される(ステップS1200)。一方、入金種別がクレジット決済以外であれば(ステップS1100否定)、残高書込部130によって、記憶部110内の非クレジット残高110bにチャージ金額が加算される(ステップS1300)。
【0058】
このように、チャージがクレジット決済によって行われたか否かによって、電子マネー媒体100は、チャージ金額を区別して電子マネー残高を記憶するため、利用目的によっては非クレジット残高110bのみを利用可能とするなどの処理が可能となる。
【0059】
次に、遊技客が電子マネーを利用してプリペイドカードを購入する場合の電子マネー決済システムの動作について、図5に示すフロー図を参照しながら説明する。以下では、プリペイドカードの発行時に、遊技客によるカード発行装置300の操作、電子マネー媒体100から電子マネー端末装置200への電子マネー残高読み出し、電子マネー利用の可不可判定、電子マネー残高の更新という手順が取られる。また、カード発行装置300に電子マネー端末装置200が接続された時点で、電子マネー端末装置200の接続I/F部250から利用目的指示部220へ、電子マネー端末装置200がカード発行装置300に接続された旨が通知されているものとする。そして、電子マネー端末装置200がカード発行装置300に接続されたことから、利用目的指示部220によって、電子マネーがプリペイドカードの発行に利用されることが認識され、その旨が利用可能残高算出部230へ通知される。
【0060】
まず、遊技客は、カード発行装置300の入力部320を操作して、所望のプリペイドカードの購入金額を入力する(ステップS2000)。入力された購入金額は、購入金額通知部330へ出力され、制御部340および接続I/F部310へ通知される。そして、購入金額は、制御部340に保持されるとともに、接続I/F部310から電子マネー端末装置200の接続I/F部250を介して利用判定部240へ入力される。このとき、例えば遊技客が5000円のプリペイドカードを購入する場合、制御部340の制御によって、表示部350に例えば図6(a)のようなメッセージおよび購入金額が表示される。
【0061】
一方、遊技客は、プリペイドカードの購入金額を入力した後、電子マネー決済を行うため、電子マネー媒体100をカード発行装置300に接続された電子マネー端末装置200にかざす(ステップS2100)。電子マネー媒体100が電子マネー端末装置200にかざされると、電子マネー媒体100の残高読出部140によって記憶部110からクレジット残高110aおよび非クレジット残高110bが読み出され(ステップS2200)、通信制御部150から電子マネー端末装置200へ送信される。送信されたクレジット残高110aおよび非クレジット残高110bは、電子マネー端末装置200の通信制御部210を介して利用可能残高算出部230へ入力される。
【0062】
利用可能残高算出部230には、既に電子マネーがプリペイドカードの発行に利用される旨が通知されているため、クレジット残高110aおよび非クレジット残高110bからプリペイドカードの発行に利用できる利用可能残高が算出される(ステップS2300)。すなわち、利用目的が遊技店におけるプリペイドカードの発行であるため、非クレジット残高110bが利用可能残高となり、利用可能残高算出部230から利用判定部240および残高更新部260へ通知される。
【0063】
そして、利用判定部240によって、利用可能残高がカード発行装置300から通知された購入金額以上であるか否かが判定され(ステップS2400)、判定結果が残高更新部260および接続I/F部250へ通知される。ステップS2400における判定の結果、利用可能残高が購入金額以上であれば(ステップS2400肯定)、電子マネー決済によるプリペイドカードの発行が可能であるため、判定結果が接続I/F部250および接続I/F部310を介して制御部340へ入力されると、制御部340に保持されている購入金額分のプリペイドカードを発行する旨がカード発行部360へ指示される。この指示を受け、カード発行部360によって、遊技客が指定した金額のプリペイドカードが発行される(ステップS2500)。このとき、例えば購入金額5000円に対して非クレジット残高110bが6000円である場合、制御部340の制御によって、表示部350に例えば図6(b)のようなメッセージが表示される。
【0064】
また、残高更新部260によって、利用可能残高から購入金額が減算され、新たに電子マネー残高が算出される。ここでは、利用可能残高が非クレジット残高110bに等しいため、非クレジット残高110bから購入金額が減算されることにより、電子マネー残高が更新される(ステップS2600)。更新された電子マネー残高は、通信制御部210から電子マネー媒体100へ送信され、電子マネー媒体100の通信制御部150を介して残高書込部130へ入力され、残高書込部130によって記憶部110に書き込まれる。
【0065】
なお、電子マネーが遊技店以外でのショッピングなどに利用される場合は、電子マネー残高の更新に際して、クレジット残高110aおよび非クレジット残高110bを合算した利用可能残高のうち、遊技店で利用できないクレジット残高110aが優先して利用されるものとして更新するようにしても良い。こうすることにより、遊技店でも利用可能な非クレジット残高110bを最大限に残しておくことができる。
【0066】
一方、ステップS2400における判定の結果、利用可能残高が購入金額未満であれば(ステップS2400否定)、電子マネー決済によるプリペイドカードの発行が不可能であるため、判定結果が接続I/F部250および接続I/F部310を介して制御部340へ入力されると、電子マネー残高が不足しているというエラーメッセージを表示する旨が表示部350へ指示される。この指示を受け、表示部350によって、電子マネー残高が不足している旨のエラーメッセージが表示される(ステップS2700)。このとき、例えば購入金額5000円に対して非クレジット残高110bが2000円である場合、制御部340の制御によって、表示部350に例えば図6(c)のようなメッセージが表示される。
【0067】
また、電子マネー残高が不足している場合は、電子マネーが利用されることは無いため残高更新部260によって、利用可能残高がそのまま通信制御部210から電子マネー媒体100へ送信され、電子マネー媒体100の通信制御部150を介して残高書込部130へ入力され、残高書込部130によって記憶部110に書き込まれる。
【0068】
以上のように、本実施の形態によれば、電子マネー媒体にクレジット残高と非クレジット残高とを区別して記憶しておき、パチンコ店などの遊技店においては、電子マネー決済時に非クレジット残高のみを利用可能とするため、遊技客は現金または金融機関の口座残高などとして実際に所持している金額に相当する電子マネーしか遊技に利用することができず、遊技への過剰なのめり込みを適正かつ効率良く防止して多重債務者の発生を抑制することができる。
【0069】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の特徴は、電子マネー媒体が非クレジット残高ではなく総残高をクレジット残高と別に記憶する点、およびプリペイドカード購入時にあらかじめ購入可能な上限金額がカード発行装置に通知される点である。
【0070】
図7は、本実施の形態に係る電子マネー媒体100の要部構成を示すブロック図である。同図に示す電子マネー媒体100は、図2に示す電子マネー媒体100と同様の構成を有しているが、記憶部110に記憶される電子マネー残高のみが異なっている。すなわち、本実施の形態においては、記憶部110は、電子マネーの総残高110cを記憶するとともに、総残高110cのうちクレジット決済によってチャージされたクレジット残高110aのみを区別して記憶している。
【0071】
図8は、本実施の形態にかかる電子マネー端末装置200およびカード発行装置300の要部構成を示すブロック図である。同図において、図3と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図8に示す電子マネー端末装置200は、図3に示す電子マネー端末装置200の利用可能残高算出部230に代えて利用可能残高算出部410を有し、利用判定部240を除去した構成を採る。また、図8に示すカード発行装置300は、図3に示すカード発行装置300の制御部340および表示部350に代えて制御部420および表示部430を有する構成を採る。
【0072】
利用可能残高算出部410は、利用目的が遊技店でのプリペイドカードの発行などである場合は、総残高110cからクレジット残高110aを減算し、得られた非クレジット残高を利用可能残高とする。また、利用可能残高算出部410は、利用目的が例えばショッピングなど遊技店以外での決済である場合は、総残高110cを利用可能残高とする。そして、利用可能残高算出部410は、算出された利用可能残高を接続I/F部250へ通知する。
【0073】
なお、利用目的指示部220、利用可能残高算出部410、および残高更新部260は、本実施の形態に係る電子マネー端末装置200のアプリケーションを構成している。このアプリケーションは、必ずしも電子マネー端末装置200に実装される必要は無く、カード発行装置300に実装しても良く、携帯電話などの電子マネー媒体100に実装しても良い。
【0074】
制御部420は、電子マネー端末装置200から利用可能残高を受信した場合、表示部430を制御して利用可能残高によって購入可能なプリペイドカードの上限金額を表示させる。また、制御部420は、購入金額通知部330から購入金額が通知された場合、カード発行部360を制御して購入金額分のプリペイドカードを発行させる。
【0075】
表示部430は、制御部420の制御に従って、利用可能残高(すなわち、総残高110cとクレジット残高110aの差)によって購入可能なプリペイドカードの上限金額を表示する。なお、本実施の形態においては、表示部430がプリペイドカードの上限金額を表示する代わりに、例えば入力部320に設けられたボタンのうち利用可能残高で購入可能な金額のボタンのみが点灯するなどのようにしても良い。
【0076】
次いで、遊技客が電子マネーをチャージする場合の電子マネー媒体100の動作について、図9に示すフロー図を参照しながら説明する。同図において、図4と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。以下では、遊技客が電子マネー媒体100を専用端末装置にかざしつつチャージする場合について説明する。
【0077】
遊技客は、電子マネー媒体100を専用端末装置にかざすと、専用端末装置に所望のチャージ金額および入金種別を入力する(ステップS1000)。チャージ金額と入金種別が入力されると、専用端末装置は、必要に応じて金融機関などに設置されたコンピュータと通信し所定の手続きを行う。また、チャージ金額および入金種別は、電子マネー媒体100の通信制御部150へ送信される。
【0078】
そして、電子マネー媒体100の入金種別判定部120によって、入金種別がクレジット決済であるか否かが判定される(ステップS1100)。この結果、入金種別がクレジット決済であれば(ステップS1100肯定)、残高書込部130によって、記憶部110内のクレジット残高110aにチャージ金額が加算され(ステップS1200)、同時に総残高110cにもチャージ金額が加算される(ステップS3000)。一方、入金種別がクレジット決済以外であれば(ステップS1100否定)、残高書込部130によって、記憶部110内の総残高110cのみにチャージ金額が加算される(ステップS3100)。
【0079】
このように、電子マネー媒体100は、クレジット決済によってチャージされたクレジット残高110aを総残高110cとは区別して記憶するため、利用目的によっては総残高110cからクレジット残高110aを差し引いた非クレジット残高のみを利用可能とするなどの処理が可能となる。
【0080】
次に、遊技客が電子マネーを利用してプリペイドカードを購入する場合の電子マネー決済システムの動作について、図10に示すフロー図を参照しながら説明する。同図において、図5と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。以下では、プリペイドカードの発行時に、電子マネー媒体100から電子マネー端末装置200への電子マネー残高読み出し、購入可能金額の表示、遊技客によるカード発行装置300の操作、電子マネー残高の更新という手順が取られる。また、カード発行装置300に電子マネー端末装置200が接続された時点で、電子マネー端末装置200の接続I/F部250から利用目的指示部220へ、電子マネー端末装置200がカード発行装置300に接続された旨が通知されているものとする。そして、電子マネー端末装置200がカード発行装置300に接続されたことから、利用目的指示部220によって、電子マネーがプリペイドカードの発行に利用されることが認識され、その旨が利用可能残高算出部410へ通知される。
【0081】
まず、遊技客は、電子マネー媒体100をカード発行装置300に接続された電子マネー端末装置200にかざす(ステップS2100)。電子マネー媒体100が電子マネー端末装置200にかざされると、電子マネー媒体100の残高読出部140によって記憶部110からクレジット残高110aおよび総残高110cが読み出され(ステップS2200)、通信制御部150から電子マネー端末装置200へ送信される。送信されたクレジット残高110aおよび総残高110cは、電子マネー端末装置200の通信制御部210を介して利用可能残高算出部410へ入力される。
【0082】
利用可能残高算出部410には、既に電子マネーがプリペイドカードの発行に利用される旨が通知されているため、クレジット残高110aおよび総残高110cから利用可能残高が算出される(ステップS2300)。すなわち、利用目的が遊技店におけるプリペイドカードの発行であるため、総残高110cからクレジット残高110aを差し引いた非クレジット残高が利用可能残高となり、利用可能残高算出部410から接続I/F部250および残高更新部260へ通知される。
【0083】
そして、利用可能残高が接続I/F部250および接続I/F部310を介して制御部420へ入力されると、制御部420の制御によって、利用可能残高を上限としたプリペイドカードの購入可能金額が表示部430に表示される(ステップS4000)。ここで表示される購入可能金額は、総残高110cからクレジット残高110aを差し引いた非クレジット残高以下の金額であるため、たとえ購入可能金額と同額のプリペイドカードを発行したとしても、遊技客に債務が発生する虞は無い。
【0084】
購入可能金額が表示されると、遊技客は、カード発行装置300の入力部320を操作して、購入可能金額の範囲内で所望のプリペイドカードの購入金額を入力する(ステップS4100)。このとき、遊技客にはあらかじめ利用可能な電子マネー残高が報知されているため、遊技客は、利用可能な電子マネー残高を把握した状態で購入金額を入力することができ、利用可能な電子マネー残高を超える購入金額を指定するなどの無駄な操作を防止することができる。入力された購入金額は、購入金額通知部330へ出力され、制御部420および接続I/F部310へ通知される。そして、制御部420によって、購入金額分のプリペイドカードを発行する旨がカード発行部360へ指示される。この指示を受け、カード発行部360によって、遊技客が購入可能金額の範囲内で指定した金額のプリペイドカードが発行される(ステップS2500)。
【0085】
また、購入金額は、接続I/F部310から電子マネー端末装置200の接続I/F部250を介して残高更新部260へ入力される。そして、残高更新部260によって、利用可能残高から購入金額が減算され、新たに電子マネー残高が算出される。ここでは、利用可能残高が総残高110cとクレジット残高110aの差であるため、総残高110cのみから購入金額が減算され、クレジット残高110aはそのままとされることにより、電子マネー残高が更新される(ステップS2600)。更新された電子マネー残高は、通信制御部210から電子マネー媒体100へ送信され、電子マネー媒体100の通信制御部150を介して残高書込部130へ入力され、残高書込部130によって記憶部110に書き込まれる。
【0086】
なお、電子マネーが遊技店以外でのショッピングなどに利用される場合は、電子マネー残高の更新に際して、利用可能残高である総残高110cのうち、遊技店で利用できないクレジット残高110aが優先して利用されるものとして更新するようにしても良い。こうすることにより、遊技店でも利用可能な非クレジット残高を最大限に残しておくことができる。
【0087】
以上のように、本実施の形態によれば、電子マネー媒体にクレジット残高を総残高と区別して記憶しておき、パチンコ店などの遊技店においては、総残高からクレジット残高を差し引いた非クレジット残高を利用可能としてあらかじめ遊技客へ報知し、報知された非クレジット残高の範囲内でプリペイドカードを発行するため、遊技客は、現金または金融機関の口座残高などとして実際に所持している金額に相当する電子マネーしか遊技に利用することができず、遊技への過剰なのめり込みを適正かつ効率良く防止して多重債務者の発生を抑制することができる。また、あらかじめ利用可能な電子マネー残高が報知されるため、遊技客は、利用可能な電子マネー残高を把握してからプリペイドカードを購入することができ、利用可能な電子マネー残高を超える購入金額を指定するなどの無駄な操作を防止することができる。
【0088】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3の特徴は、電子マネー媒体が例えば携帯電話などである場合に、あらかじめ利用可能残高の範囲内で電子マネー媒体にプリペイドカードの購入金額を指定しておき、電子マネー媒体を電子マネー端末装置にかざすだけでプリペイドカードが発行される点である。
【0089】
図11は、本実施の形態に係る電子マネー媒体100の要部構成を示すブロック図である。同図において、図2と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図11に示す電子マネー媒体100は、図2に示す電子マネー媒体100に加えて、利用可能残高表示部510、入力部520、および購入金額保持部530を有している。本実施の形態においては、電子マネー媒体100が例えば携帯電話などであり、電子マネー残高を記憶する以外にも様々な機能のアプリケーションを実装することが可能である。
【0090】
利用可能残高表示部510は、記憶部110に記憶された電子マネー残高のうち遊技店で利用可能な電子マネー残高を算出して表示する。具体的には、利用可能残高表示部510は、非クレジット残高110bを利用可能残高として表示する。利用可能残高表示部510は、プリペイドカード発行用のアプリケーションの機能の一部を実行する処理部であり、このアプリケーションが起動された時点で、電子マネーの利用目的がプリペイドカードの発行であることが前提となっている。
【0091】
入力部520は、遊技客がプリペイドカードの購入金額などを指定するためのボタンなどから構成されており、遊技客が所望の金額のプリペイドカードを指定する操作を行うと、指定されたプリペイドカードの購入金額を購入金額保持部530へ出力する。購入金額保持部530は、入力部520から購入金額が出力されると、この購入金額を保持するとともに通信制御部150を介して電子マネー端末装置200へ送信する。
【0092】
図12は、本実施の形態に係る電子マネー端末装置200およびカード発行装置300の要部構成を示すブロック図である。同図において、図3と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図12に示す電子マネー端末装置200は、通信制御部210、接続I/F部250、残高更新部610、および購入金額通知部620を有している。また、図12に示すカード発行装置300は、接続I/F部310、カード発行部360、制御部630、および発行金額通知部640を有している。
【0093】
残高更新部610は、電子マネー媒体100から送信されたクレジット残高110aおよび非クレジット残高110bとカード発行装置300から通知されるプリペイドカードの発行金額とから電子マネー残高を更新する。具体的には、残高更新部610は、発行金額が遊技店におけるプリペイドカードに関するものであるため、非クレジット残高110bから発行金額を減算し、更新された電子マネー残高を通信制御部210へ出力する。購入金額通知部620は、電子マネー媒体100から送信された購入金額が通信制御部210に受信されると、この購入金額を接続I/F部250へ通知する。
【0094】
制御部630は、電子マネー端末装置200から購入金額を受信すると、カード発行部360を制御して購入金額分のプリペイドカードを発行させるとともに、プリペイドカードの発行金額を発行金額通知部640へ出力する。発行金額通知部640は、制御部630から発行金額が出力されると、この発行金額を接続I/F部310へ通知する。
【0095】
次いで、遊技客が電子マネーを利用してプリペイドカードを購入する場合の電子マネー決済システムの動作について、図13に示すフロー図を参照しながら説明する。同図において、図5と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。以下では、プリペイドカードの発行前に、電子マネー媒体100に購入金額の設定の手順が取られ、プリペイドカードの発行時に、電子マネー媒体100から電子マネー端末装置200への電子マネー残高および購入金額の読み出し、電子マネー残高の更新という手順が取られる。
【0096】
まず、遊技客は、携帯電話などの電子マネー媒体100を操作してプリペイドカード発行用のアプリケーションを起動する。このアプリケーションが起動されると、利用可能残高表示部510によって、クレジット残高110aおよび非クレジット残高110bからプリペイドカードの発行に利用できる利用可能残高が算出されて表示される(ステップS5000)。すなわち、利用目的が遊技店におけるプリペイドカードの発行であるため、非クレジット残高110bが利用可能残高として表示されることにより、プリペイドカード発行に利用可能な電子マネー残高が遊技客に報知される。
【0097】
遊技客は、入力部520を操作して、利用可能残高の範囲内で所望のプリペイドカードの購入金額を入力する(ステップS5100)。このとき、遊技客にはあらかじめ利用可能な電子マネー残高が報知されているため、遊技客は、利用可能な電子マネー残高を把握した状態で購入金額を入力することができ、利用可能な電子マネー残高を超える購入金額を指定するなどの無駄な操作を防止することができる。入力された購入金額は、購入金額保持部530へ出力されて保持される。
【0098】
そして、遊技客は、電子マネー媒体100をカード発行装置300に接続された電子マネー端末装置200にかざす(ステップS2100)。電子マネー媒体100が電子マネー端末装置200にかざされると、電子マネー媒体100の残高読出部140によって記憶部110からクレジット残高110aおよび非クレジット残高110bが読み出され(ステップS2200)、通信制御部150から電子マネー端末装置200へ送信される。同時に、購入金額保持部530に保持された購入金額が通信制御部150から電子マネー端末装置200へ送信される。
【0099】
本実施の形態においては、電子マネー媒体100にあらかじめ購入金額が保持されているため、遊技客は、電子マネー媒体100を電子マネー端末装置200にかざすだけで、所望の金額のプリペイドカード購入することができる。また、遊技客が電子マネー媒体100にあらかじめ入力する購入金額は、利用可能残高表示部510に表示された非クレジット残高110b以下の金額であるため、遊技客に債務が発生する虞は無い。
【0100】
送信されたクレジット残高110aおよび非クレジット残高110bは、電子マネー端末装置200の通信制御部210を介して残高更新部610へ入力され、購入金額は、電子マネー端末装置200の通信制御部210を介して購入金額通知部620へ入力される。そして、購入金額は、接続I/F部250からカード発行装置300へ通知される(ステップS5200)。購入金額がカード発行装置300の接続I/F部310を介して制御部630へ入力されると、制御部630によって、購入金額分のプリペイドカードを発行する旨がカード発行部360へ指示される。この指示を受け、カード発行部360によって、遊技客が電子マネー媒体100を操作して指定した金額のプリペイドカードが発行される(ステップS2500)。
【0101】
なお、制御部630は、購入金額が利用可能残高以下の適正な金額であるか否かを判定し、購入金額が利用可能残高を超える不適正な金額である場合は、電子マネー端末装置200を介して電子マネー媒体100へエラーメッセージを返送するようにしても良い。また、購入金額が適正であるか否かの判定は、電子マネー媒体100の入力部520に購入金額が入力された時点で行うことも可能である。
【0102】
カード発行部360によってプリペイドカードが発行されると、この発行金額が制御部630から発行金額通知部640へ出力され、発行金額通知部640から接続I/F部310を介して電子マネー端末装置200へ発行金額が通知される。ここで、遊技客が電子マネー媒体100に入力した購入金額が利用可能残高以下の金額であれば、購入金額は適正であり、プリペイドカードの発行が可能であるため、発行金額は購入金額に等しい。
【0103】
発行金額が電子マネー端末装置200の接続I/F部250を介して残高更新部610へ入力されると、残高更新部610によって、電子マネー残高から発行金額が減算され、新たに電子マネー残高が算出される。ここでは、非クレジット残高110bから発行金額が減算されることにより、電子マネー残高が更新される(ステップS2600)。更新された電子マネー残高は、通信制御部210から電子マネー媒体100へ送信され、電子マネー媒体100の通信制御部150を介して残高書込部130へ入力され、残高書込部130によって記憶部110に書き込まれる。
【0104】
残高更新部610による電子マネー残高の更新は、電子マネー媒体100から送信される電子マネー残高および購入金額から行うことも可能である。しかし、遊技客が利用可能残高を超える不適正な購入金額を指定した場合に電子マネー残高の更新を中止するためには、上述のように電子マネー媒体100から送信される電子マネー残高とカード発行装置300から通知される発行金額とから電子マネー残高を更新するのが好ましい。
【0105】
以上のように、本実施の形態によれば、電子マネー媒体は、パチンコ店などの遊技店において利用可能な非クレジット残高を遊技客に報知し、遊技客は、報知された非クレジット残高の範囲内であらかじめプリペイドカードの購入金額を指定するため、現金または金融機関の口座残高などとして実際に所持している金額に相当する電子マネーしか遊技に利用することができず、遊技への過剰なのめり込みを適正かつ効率良く防止して多重債務者の発生を抑制することができる。また、電子マネー媒体に購入金額があらかじめ指定されているため、遊技客は、電子マネー媒体を電子マネー端末装置へかざすだけで、所望の金額のプリペイドカードを購入することができる。
【0106】
なお、上記各実施の形態においては、遊技店においてはクレジット残高を一切利用できないものとしたが、遊技へののめり込みを防止するためには、クレジット決済によるチャージとプリペイドカードの発行とが連続して繰り返されることを防止すれば良い。そこで、例えばクレジット決済によるチャージの後、1度でも遊技店以外で電子マネーが利用された場合は、クレジット残高をプリペイドカードの発行に利用できるようにしても良い。
【0107】
この場合は、電子マネー媒体100は、電子マネー残高のみではなく、電子マネーの利用履歴を記憶しておき、電子マネー端末装置200は、クレジット決済によるチャージの後に遊技店以外での電子マネー利用があったか否かを判定して利用可能残高を算出する。すなわち、電子マネー端末装置200は、クレジット決済によるチャージの後に遊技店以外での電子マネー利用があった場合は、総残高を利用可能残高とし、遊技店以外での電子マネー利用が無かった場合は、非クレジット残高のみを利用可能残高とする。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、遊技への過剰なのめり込みを適正かつ効率良く防止して多重債務者の発生を抑制する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電子マネー決済システムの概略を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る電子マネー媒体の要部構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1に係る電子マネー端末装置およびカード発行装置の要部構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態1に係る価値付け処理を示すフロー図である。
【図5】実施の形態1に係るプリペイドカード発行処理を示すフロー図である。
【図6】実施の形態1に係るカード発行装置に表示されるメッセージ例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る電子マネー媒体の要部構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態2に係る電子マネー端末装置およびカード発行装置の要部構成を示すブロック図である。
【図9】実施の形態2に係る価値付け処理を示すフロー図である。
【図10】実施の形態2に係るプリペイドカード発行処理を示すフロー図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る電子マネー媒体の要部構成を示すブロック図である。
【図12】実施の形態3に係る電子マネー端末装置およびカード発行装置の要部構成を示すブロック図である。
【図13】実施の形態3に係るプリペイドカード発行処理を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0110】
110 記憶部
120 入金種別判定部
130 残高書込部
140 残高読出部
150、210 通信制御部
220 利用目的指示部
230、410 利用可能残高算出部
240 利用判定部
250、310 接続I/F部
260、610 残高更新部
320、520 入力部
330、620 購入金額通知部
340、420、630 制御部
350、430 表示部
360 カード発行部
510 利用可能残高表示部
530 購入金額保持部
640 発行金額通知部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子マネー残高を記憶する電子マネー媒体と電子マネー端末装置とが通信して電子マネー決済を行う電子マネー決済システムであって、
前記電子マネー媒体は、
電子マネーの価値付けがクレジット決済によって行われるか否かを判定する判定手段と、
クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高を他の電子マネー残高と区別して記憶する記憶手段とを有し、
前記電子マネー端末装置は、
前記クレジット残高および前記他の電子マネー残高から遊技店における利用可能残高を算出する算出手段と、
前記利用可能残高が遊技客による利用希望金額以上である場合にのみ、前記他の電子マネー残高から前記利用希望金額を減算して更新する更新手段とを有する
ことを特徴とする電子マネー決済システム。
【請求項2】
前記算出手段は、
クレジット決済以外の方法によって価値付けられた電子マネーの非クレジット残高を前記利用可能残高として算出することを特徴とする請求項1記載の電子マネー決済システム。
【請求項3】
クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高および他の電子マネー残高を記憶する電子マネー媒体との間の通信を制御する通信制御手段と、
前記クレジット残高および前記他の電子マネー残高から遊技店における利用可能残高を算出する算出手段と、
前記利用可能残高が遊技客による利用希望金額以上である場合にのみ、前記他の電子マネー残高から前記利用希望金額を減算して更新する更新手段と
を有することを特徴とする電子マネー端末装置。
【請求項4】
前記算出手段は、
クレジット決済以外の方法によって価値付けられた電子マネーの非クレジット残高を前記利用可能残高として算出することを特徴とする請求項3記載の電子マネー端末装置。
【請求項5】
前記算出手段は、
電子マネーによる決済が可能な外部装置と接続する接続手段と、
前記接続手段に接続された外部装置の種別によって電子マネーの利用目的を認識する認識手段とを含み、
利用目的に応じた利用可能残高を算出することを特徴とする請求項3記載の電子マネー端末装置。
【請求項6】
前記更新手段は、
電子マネーの利用目的が遊技店以外における利用である場合に、前記クレジット残高から優先して利用金額を減算することを特徴とする請求項5記載の電子マネー端末装置。
【請求項7】
前記更新手段は、
前記利用可能残高が遊技客による利用希望金額未満である場合は、前記クレジット残高および前記他の電子マネー残高のいずれも更新しないことを特徴とする請求項3記載の電子マネー端末装置。
【請求項8】
電子マネーの価値付けがクレジット決済によって行われるか否かを判定する判定手段と、
クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高を他の電子マネー残高と区別して記憶する記憶手段と
を有することを特徴とする電子マネー媒体。
【請求項9】
前記記憶手段によって記憶された電子マネー残高のうち、クレジット決済以外の方法によって価値付けられた電子マネーの非クレジット残高を遊技店における利用可能残高として表示する表示手段をさらに有することを特徴とする請求項8記載の電子マネー媒体。
【請求項10】
前記利用可能残高以下の利用希望金額であって、遊技客によって入力された利用希望金額を保持する保持手段をさらに有することを特徴とする請求項9記載の電子マネー媒体。
【請求項11】
電子マネー残高を記憶する電子マネー媒体と電子マネー端末装置とが通信して電子マネー決済を行う電子マネー決済方法であって、
前記電子マネー媒体は、
電子マネーの価値付けがクレジット決済によって行われるか否かを判定する判定工程と、
クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高を他の電子マネー残高と区別して記憶する記憶工程とを有し、
前記電子マネー端末装置は、
前記クレジット残高および前記他の電子マネー残高から遊技店における利用可能残高を算出する算出工程と、
前記利用可能残高が遊技客による利用希望金額以上である場合にのみ、前記他の電子マネー残高から前記利用希望金額を減算して更新する更新工程とを有する
ことを特徴とする電子マネー決済方法。
【請求項1】
電子マネー残高を記憶する電子マネー媒体と電子マネー端末装置とが通信して電子マネー決済を行う電子マネー決済システムであって、
前記電子マネー媒体は、
電子マネーの価値付けがクレジット決済によって行われるか否かを判定する判定手段と、
クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高を他の電子マネー残高と区別して記憶する記憶手段とを有し、
前記電子マネー端末装置は、
前記クレジット残高および前記他の電子マネー残高から遊技店における利用可能残高を算出する算出手段と、
前記利用可能残高が遊技客による利用希望金額以上である場合にのみ、前記他の電子マネー残高から前記利用希望金額を減算して更新する更新手段とを有する
ことを特徴とする電子マネー決済システム。
【請求項2】
前記算出手段は、
クレジット決済以外の方法によって価値付けられた電子マネーの非クレジット残高を前記利用可能残高として算出することを特徴とする請求項1記載の電子マネー決済システム。
【請求項3】
クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高および他の電子マネー残高を記憶する電子マネー媒体との間の通信を制御する通信制御手段と、
前記クレジット残高および前記他の電子マネー残高から遊技店における利用可能残高を算出する算出手段と、
前記利用可能残高が遊技客による利用希望金額以上である場合にのみ、前記他の電子マネー残高から前記利用希望金額を減算して更新する更新手段と
を有することを特徴とする電子マネー端末装置。
【請求項4】
前記算出手段は、
クレジット決済以外の方法によって価値付けられた電子マネーの非クレジット残高を前記利用可能残高として算出することを特徴とする請求項3記載の電子マネー端末装置。
【請求項5】
前記算出手段は、
電子マネーによる決済が可能な外部装置と接続する接続手段と、
前記接続手段に接続された外部装置の種別によって電子マネーの利用目的を認識する認識手段とを含み、
利用目的に応じた利用可能残高を算出することを特徴とする請求項3記載の電子マネー端末装置。
【請求項6】
前記更新手段は、
電子マネーの利用目的が遊技店以外における利用である場合に、前記クレジット残高から優先して利用金額を減算することを特徴とする請求項5記載の電子マネー端末装置。
【請求項7】
前記更新手段は、
前記利用可能残高が遊技客による利用希望金額未満である場合は、前記クレジット残高および前記他の電子マネー残高のいずれも更新しないことを特徴とする請求項3記載の電子マネー端末装置。
【請求項8】
電子マネーの価値付けがクレジット決済によって行われるか否かを判定する判定手段と、
クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高を他の電子マネー残高と区別して記憶する記憶手段と
を有することを特徴とする電子マネー媒体。
【請求項9】
前記記憶手段によって記憶された電子マネー残高のうち、クレジット決済以外の方法によって価値付けられた電子マネーの非クレジット残高を遊技店における利用可能残高として表示する表示手段をさらに有することを特徴とする請求項8記載の電子マネー媒体。
【請求項10】
前記利用可能残高以下の利用希望金額であって、遊技客によって入力された利用希望金額を保持する保持手段をさらに有することを特徴とする請求項9記載の電子マネー媒体。
【請求項11】
電子マネー残高を記憶する電子マネー媒体と電子マネー端末装置とが通信して電子マネー決済を行う電子マネー決済方法であって、
前記電子マネー媒体は、
電子マネーの価値付けがクレジット決済によって行われるか否かを判定する判定工程と、
クレジット決済によって価値付けられた電子マネーのクレジット残高を他の電子マネー残高と区別して記憶する記憶工程とを有し、
前記電子マネー端末装置は、
前記クレジット残高および前記他の電子マネー残高から遊技店における利用可能残高を算出する算出工程と、
前記利用可能残高が遊技客による利用希望金額以上である場合にのみ、前記他の電子マネー残高から前記利用希望金額を減算して更新する更新工程とを有する
ことを特徴とする電子マネー決済方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−82934(P2007−82934A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−278404(P2005−278404)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】
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