説明

電子メトロノーム

【課題】 視覚のみによらず、現在設定されているテンポ知ることができる電子メトロノームの提供。
【解決手段】 設定入力部1から入力されたテンポから、テンポ演算部3でテンポ値を査演算し、設定値通知部4で設定されたテンポ値の音声信号を出力し、スピーカー部5で音声により、テンポ値を発声する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子メトロノームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子メトロノームは、ユーザーが入力した設定テンポを、LCDやLEDなどの表示装置で視覚的にタイミング表示したり、スピーカーや振動モーターなどの装置でテンポタイミングを聴覚/触覚的に伝えるものがあった(例えば、特許文献1参照。)。テンポの設定方法としてはスイッチやダイヤルから直接テンポ数を入力するものと、決められたスイッチをユーザーが複数回押すことで、その押される間隔を測定してテンポ設定に割当てるTAP入力(タップ入力)とがある(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開昭62−200281号公報
【特許文献2】特開2001−141852号公報(段落0005、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
テンポのタイミングを知らせる方法としては、聴覚に訴える音や、視覚に訴えるLEDなどの発光素子、触覚に訴える振動モーターなどがある。しかし、いま動作しているメトロノームのテンポ設定数値がいくつなのかを知るには、メトロノームに備わったテンポ目盛りや、表示装置に表示されている数字を読むしか方法がない。したがって目の不自由なユーザーは、今の設定テンポ数値を知る方法が無いという課題が生じてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために本発明は、設定数値を知らせる設定値報知部を備え、目の不自由なユーザーが動作中のメトロノームのテンポ数値を知りたいときに決められたスイッチを押すと、メトロノームの音がMUTEされ、テンポ数を知らせる音声信号が出力する。
【0005】
本発明では、任意のテンポを入力設定する設定入力部と、設定されたテンポ値を読み上げる設定値報知部を有する電子式メトロノームとした。
【0006】
本発明では、テンポ値の読み上げ開始を指示する入力部を有する電子式メトロノームとした。
本発明では、テンポ値が大きい数値の場合、テンポ値の読み上げ速度が、速くなる電子式メトロノームとした。
本発明では、テンポの設定値を入力する設定入力部と、
設定入力部の出力信号からテンポ時間を演算するテンポ演算部と、
テンポ演算部の出力からテンポ信号を出力する制御部と、
制御部が出力するテンポ信号から、テンポ設定値を読み上げる音声合成信号を出力する設定値通知部と、
テンポ信号と前記テンポ設定値の音声合成信号を発音する発音部とからなる電子式メトロノームとした。
本発明は、設定通知部が、複数の音色の音声合成信号を合成する音源を有する電子式メトロノームとした。
本発明では、テンポ演算部が、設定入力部の設定入力スイッチが押される時間間隔から前記テンポ時間を演算する電子式メトロノームとした。
【0007】
本発明では、設定通知部のテンポ設定値の読み上げる音声合成信号の出力の開始を指示する信号を入力する入力部を有する電子式メトロノームとした。
本発明は、入力部が、音声入力部から特定の音声が入力された場合、音声合成信号の出力を開始する信号を出力する電子式メトロノームとした。
本発明は、入力部から音声合成信号の出力開始を指示する信号の入力があった場合、制御部が、テンポ信号に基づくメトロノーム音の発音を停止し、テンポ設定値の発音を開始する信号を出力する電子式メトロノームとした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、目の不自由な人でも正しくテンポを認識して、楽器演奏を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1に本発明の電子メトロノームのブロック図を示し、接続と動作を説明する。設定入力部1はビートやテンポを選択するなどのユーザーからの操作を入力する部分で、入力された設定値は制御部2に送られる。制御部2で制御されるテンポ演算部3では制御部2に入力された設定値からテンポ時間を演算し、制御部2に渡す。制御部2ではテンポとビート設定値に応じて信号を成型し、その信号はスピーカ部5と設定表示部6とテンポタイミング表示部6に送られ、スピーカ部5で発音、設定表示部6で設定値を表示し、テンポタイミング表示部7で発光したり、画像の動きとして表示される。テンポタイミング表示部7はLCD表示装置やLED表示装置などによって構成される。設定値を知らせる入力があると制御部2から信号が設定値報知部4に入力され、設定値から音声データを選定し、スピーカ部5へ送られる。音声データは、記憶素子に設定値に対応して記憶された音声データや、設定値から演算した数値の音声合成データでも良い。これによってスピーカ部5からテンポ設定値を案内する音声信号が発音される。
【実施例1】
【0010】
次に、図2に示す電子メトロノームで実施例として説明する。パワースイッチ13を押すとメトロノームが動作し始める。この電子メトロノームでは、ビートとテンポを入力設定することが可能であり、テンポダイヤル10はダイヤルを左右に回すことでテンポが+1づつ、または−1づつ増減することにより設定値を選ぶことができる。ビートスイッチ12は1回押すごとにビート値が変化していく。液晶表示8にはユーザーが設定したテンポとビートが点灯表示され、テンポにあわせてテンポ表示LED14が機械式振り子のように左右に往復スキャンする。もう一つのテンポ入力方法として、TAP入力スイッチ15がある。このスイッチをユーザーが複数回、自分の演奏したい楽曲に近いタイミングで押すと、スイッチが押される間隔を計算し、その値をテンポ値として変換する。こうしてメトロノームは一定間隔で音を発し、さらに振り子のように光が点滅動作する。
【0011】
しかし目の自由な人は自分が演奏したい楽曲の推奨テンポ値と、メトロノームのテンポとが一致しているのかわからない。そこでユーザーがテンポコールスイッチ12を押すとメトロノームの発音がとまり、設定されたテンポ値を読み上げる音声案内がスピーカ9から出力される。案内が終れば、またメトロノーム動作を継続する。
例えばユーザーがテンポ120で楽曲を演奏するためにテンポ設定を120にあわせたいとする。ユーザーはパワースイッチ13をONしメトロノームを動作させる。この時のテンポが60であったとすると、ユーザーはテンポコールスイッチ12を押す。スピーカ9からは「テンポ60です。」という音声が流れ、もっとテンポを速くしなければならないことがわかる。速くするためにテンポダイヤル10をざっくり右に回しテンポコールスイッチ12を押す。この一連の操作でユーザーが希望のテンポ120の設定になると、「テンポ120です。」という音声が出力される。
【0012】
あるいはユーザーがTAP入力を使ってテンポを60にキープする練習を行いたいとする。TAP入力スイッチ15を一定間隔で複数回押すとテンポが検出される。テンポを知らせる音声信号で「テンポ63です。」と案内されると少し速いことがわかる。この場合テンポがゆっくりした速さであれば音声信号はテンポを検出して、指定された間隔で案内を出力しても音声はきちんと聞こえる。しかしテンポが速くなった場合は、上述の指定された間隔を大きくしていき、音声信号の出力に重なりがないようにする。
これらによってスイッチを触る操作だけでは認識できなかった設定テンポ値を音声で認識でき、目の不自由な人でも、単独で演奏練習やトレーニングを行うことが可能となる。
【実施例2】
【0013】
さらに、図2に示す電子メトロノームで実施例として説明する。音声信号を出力するテンポコールスイッチ12に自動モードを儲ける。この場合、電子メトロノーム内部にセンサーやマイクを組み込み、ユーザーが指定した特定の信号に反応し、テンポ音声信号を出力させることができる。特定の信号として「拍手音」やユーザーの「テンポ」という声などを前もって記憶させておく。メトロノーム動作中に記憶していた信号と同じ信号がセンサー、マイクで検出できれば、現在のテンポ値を音声信号で出力する。また、テンポ値を案内する音声信号の音源をユーザーが選択できるようにしておけば、女性の声、男性の声、子供の声、アニメキャラクターの声、日本語、英語などいろいろと用途に応じて使い分けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明で実施した電子メトロノームのブロック図である。
【図2】本発明を用いた電子メトロノームの実施例の斜視図である。
【符号の説明】
【0015】
1 設定入力部
2 制御部
3 テンポ演算部
4 設定値報知部
5 スピーカ部
6 設定表示部
7 テンポタイミング表示部
8 液晶表示
9 スピーカー
10 テンポダイヤル
11 テンポコールスイッチ
12 ビートスイッチ
13 パワースイッチ
14 テンポ表示LED
15 TAP入力スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意のテンポを入力設定する設定入力部と、設定されたテンポ値を読み上げる設定値報知部を有する電子式メトロノーム。
【請求項2】
前記テンポ値の読み上げ開始を指示する入力部を有する請求項1記載の電子式メトロノーム。
【請求項3】
前記テンポ値が大きい数値の場合、前記テンポ値の読み上げ速度が、速くなる請求項1記載の電子式メトロノーム。
【請求項4】
テンポの設定値を入力する設定入力部と、
前記設定入力部の出力信号からテンポ時間を演算するテンポ演算部と、
前記テンポ演算部の出力からテンポ信号を出力する制御部と、
前記制御部が出力するテンポ信号から、テンポ設定値を読み上げる音声合成信号を出力する設定値通知部と、
前記テンポ信号と前記テンポ設定値の音声合成信号を発音する発音部とからなる電子式メトロノーム。
【請求項5】
前記設定通知部が、複数の音色の前記音声合成信号を合成する音源を有する請求項4記載の電子式メトロノーム。
【請求項6】
前記テンポ演算部が、前記設定入力部の設定入力スイッチが押される時間間隔から前記テンポ時間を演算する請求項4記載の電子式メトロノーム。
【請求項7】
前記設定通知部の前記テンポ設定値の読み上げる前記音声合成信号の出力の開始を指示する信号を入力する入力部を有する請求項4記載の電子式メトロノーム。
【請求項8】
前記入力部が、音声入力部から特定の音声が入力された場合、前記音声合成信号の出力を開始する信号を出力する請求項7記載の電子式メトロノーム。
【請求項9】
前記入力部から前記音声合成信号の出力開始を指示する信号の入力があった場合、前記制御部が、前記テンポ信号に基づくメトロノーム音の発音を停止し、前記テンポ設定値の発音を開始する信号を出力する請求項7記載の電子式メトロノーム。

【図1】
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【図2】
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