説明

電子会議設定プログラム、電子会議端末、電子会議設定方法

【課題】電子会議網の構築を簡易化する。
【解決手段】拠点20には、電子黒板22、プリンタ24、テレビ会議システム26及びそれを管理する会議情報蓄積部28が設けられており、拠点40にも同様の構成が設けられている。拠点20と拠点40とが電子会議を行う場合、電子会議サーバ60にアクセスして、相手方の拠点に関する情報を入力する必要がある。そこで、拠点20における会議の参加者が携帯電話30から拠点40における会議の参加者の携帯電話に電話をかけ、各携帯電話30,50をそれぞれ会議情報蓄積部28,48に接続することで、互いの拠点についての情報が交換される。交換した情報に基づく入力が各拠点から電子会議サーバ60になされた場合、電子会議サーバ60は、両拠点を結ぶ電子会議網を構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数拠点を接続して行われる電子会議に関する技術、特に、拠点に設けられた電子会議端末を電子会議網に組み込む技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の開催拠点を接続して電子会議(遠隔会議またはテレビ会議と呼ばれる場合もある)を行う場合、一般に、各拠点に設けられた電子会議端末を、ネットワーク上の適当な接続先に接続して、電子会議網を構築する必要がある。しかし、接続に必要な情報がなかったり、設定の仕方がわからなかったりして、電子会議網を構築できないことが往々にして発生する。
【0003】
このような場合、例えば、電子会議を共に催す他拠点の人物に対し、電話や携帯電話などで問い合わせた上で接続が試みられる。しかし、特に装置設定に不慣れな者にとっては、電話で問い合わせたとしても設定作業は困難であり、時間がかかったり、時には完了できなかったりすることとなる。
【0004】
下記特許文献1の請求項1には、電話相手のコンピュータに接続された電話機と自己のコンピュータに接続された電話機との間に1次チャネルを確立し、1次チャネルを通じて取得した位置情報に従って接続を行うことで、電話相手のコンピュータとの間に電話以外の2次チャネルを構築する技術が開示されている。さらに、この文献の0032段落には、位置情報として遠隔会議中のサーバ名を示すことができるとの記載もある。
【0005】
下記特許文献2には、遠隔地と行う会議等において、アウェアネス情報を用いて、コミュニケーションを効率的に開始する技術が開示されている。しかし、この技術は、通信先との接続条件が整った時点で行われるものであり、接続の設定そのものに関して処理を実施する本発明とは直接的に関係するものではない。
【0006】
【特許文献1】特開2004−336741号公報
【特許文献2】特開平8−140158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の技術は、必ずしも電子会議に適したものではなく、基本的に、電話中の二人が互いの手元のコンピュータを接続することを念頭においてなされたものに過ぎない。電子会議に適用する場合には、電子会議の特性を考慮してこの技術をさらに発展させる必要がある。
【0008】
本発明の目的は、電子会議網の構築を簡易化する技術を確立することにある。
【0009】
本発明の目的は、電子会議網同士を接続して大きな電子会議網を接続する処理を簡易に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電子会議設定プログラムは、電子会議の開催拠点に設けられた電子会議端末に対し、本電子会議端末にかかる電子会議網を構築するための接続情報を、他拠点の相手方の電子会議端末から、電子会議網とは異なる電話網を介して取得する取得手順と、取得した接続情報に基づいて接続を行い、本電子会議端末を構築される電子会議網に組み込む接続手順と、を実行させるプログラムであって、電子会議網は、複数の他拠点の電子会議端末間で通信を中継する電子会議サーバを用いて構築され、取得手順において取得される接続情報は、本電子会議端末をこの電子会議サーバに接続するための情報である。
【0011】
電子会議端末は、パソコン等の通信機能を備えたハードウエアと、そのハードウエアを制御するプログラムを備えている。音声データ又は動画像データの入力装置又は出力装置は、この電子会議端末に内蔵されていてもよいし外付けされていてもよい。通信は、経路又はプロコトルが異なる二つの態様で行われる。一つは、電話網による通信であり、固定電話あるいは携帯電話を接続したり、固定電話あるいは携帯電話の機能を内蔵したりすることで行われる。この通信は、電話専用の経路の他、IP電話のようにインターネットなどの汎用的な通信経路を通じて行うこともできる。もう一つは、この電話網以外の通信網による通信であり、典型的にはインターネットを用いて行われる。電子会議網は、この通信網において構築され、少なくとも二つ、典型的には三つ以上の拠点の電子会議端末を結んでなるネットワークである。電子会議網により、各拠点で入力される音声データ又は画像データを別の拠点に出力することが可能となり、複数拠点を結んだ電子会議が実施できることとなる。
【0012】
一般に、電話網による通信は、多くの人にとって簡単に行うことができる。そこで、まず、電話網を通じて、電話の相手方の電子会議端末にアクセスし、本電子会議端末(プログラムの制御にかかる電子会議端末)を電子会議網に組み込むための接続情報を取得する。接続情報とは、電子会議網を構築するために必要となる情報である。具体的には、例えば、IPアドレスなど接続先の位置(装置)を特定する情報や、その接続先で入力が必要となる電子会議の特定情報やパスワード情報などを挙げることができる。接続情報を取得した後には、プログラムに従って、本電子会議端末を構築される電子会議網に組み込むための接続が行われる。
【0013】
この構成によれば、電子会議端末を簡易に電子会議網に組み込むことが可能となる。特に、機械操作に不慣れな者であっても、相手方の電話番号がわかりそこに電話を行うことで、接続に必要な情報が得られ、電子会議網を構築することが可能となる。なお、電話網を通じて他の拠点の電子会議端末と通信を行うためには、他の拠点の電子会議端末に対しても同様に、電話網による通信が可能となるように設定を行っておく必要がある。
【0014】
本発明の電子会議設定プログラムの一態様においては、電子会議網は、複数の他拠点の電子会議端末間で通信を中継する電子会議サーバを用いて構築され、取得手順において取得される接続情報は、本電子会議端末をこの電子会議サーバに接続するための情報である。電子会議サーバの例としては、MCU(Multi−point Control Unit;多地点会議制御装置)を挙げることができる。電子会議サーバは、電子会議網上に単体で存在するものであってもよいし、いずれかの電子会議端末の筐体中に構成されるものであってもよい。
【0015】
本発明の電子会議設定プログラムの一態様においては、取得手順において取得される接続情報は、本電子会議端末を相手方の電子会議端末に直接接続するための情報である。すなわち、相手方の電子会議端末に直接接続を行うことで、少なくとも相手方との間で電子会議網が構築されることとなる。また、相手方が他の電子会議端末と接続していれば、その電子会議端末を含む電子会議網の構築も可能となる。
【0016】
本発明の電子会議設定プログラムの一態様においては、電子会議網は、複数の他拠点の電子会議端末間で通信を中継する電子会議サーバを複数用いて構築され、取得手順において取得される接続情報は、本電子会議端末が組み込まれた電子会議網に含まれる電子会議サーバを、相手方の電子会議端末が組み込まれた電子会議網に含まれる電子会議サーバに接続するための情報である。これにより、例えば、ある電子会議サーバを用いて構築された電子会議網と、別の電子会議サーバを用いて構築された別の電子会議網とを、両電子会議サーバを接続することで融合させることが可能となる。
【0017】
本発明の電子会議端末は、電子会議の開催拠点に設けられた電子会議端末であって、本電子会議端末にかかる電子会議網を構築するための接続情報を、他拠点の相手方の電子会議端末から、電子会議網とは異なる電話網を介して取得する取得手段と、取得した接続情報に基づいて接続を行い、本電子会議端末を構築される電子会議網に組み込む接続手段と、を備え、電子会議網は、複数の他拠点の電子会議端末間で通信を中継する電子会議サーバを用いて構築され、取得手順において取得される接続情報は、本電子会議端末をこの電子会議サーバに接続するための情報である。
【0018】
本発明の電子会議設定方法は、電子会議の開催拠点に設けられた電子会議端末が実行する方法であって、本電子会議端末にかかる電子会議網を構築するための接続情報を、他拠点の相手方の電子会議端末から、電子会議網とは異なる電話網を介して取得する取得手順と、取得した接続情報に基づいて接続を行い、本電子会議端末を構築される電子会議網に組み込む接続手順と、を含み、電子会議網は、複数の他拠点の電子会議端末間で通信を中継する電子会議サーバを用いて構築され、取得手順において取得される接続情報は、本電子会議端末をこの電子会議サーバに接続するための情報である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本実施の形態にかかる電子会議システム10の装置構成例を説明する模式図である。電子会議システム10は、拠点20、拠点40、及び、電子会議サーバ60とを含んでいる。拠点20と拠点40は、それぞれ、電子会議端末として動作するものであり、電子会議が開かれる遠隔地点に設けられている。
【0020】
拠点20には、電子会議を実現するための装置として、電子黒板22、プリンタ24、テレビ会議システム26、会議情報蓄積部28及び携帯電話30が設けられている。電子黒板22は、画像を映し出すディスプレイとしての機能と、ディスプレイ面へのペン入力により電子的にアノテーションを書き込む機能を備えた装置である。また、プリンタ24は、電子黒板22の表示のハードコピーその他の出力を行うために設けられている。テレビ会議システム26は、カメラ及びマイクを備えており、発表者を撮影しその声を捉えることができる。会議情報蓄積部28は、電子黒板22、プリンタ24、テレビ会議システム26の制御を行う装置であり、演算機能及び記憶機能を備えたハードウエア及びその動作を制御するプログラムを用いて構築されている。この会議情報蓄積部28には、電子黒板22、プリンタ24、テレビ会議システム26と接続するための情報が蓄積されている。携帯電話30は、電子会議の参加者が所有する携帯電話の電話機である。携帯電話30は、電子会議の設定作業のため、会議情報蓄積部28に接続されて用いられる。
【0021】
同様に、拠点40にも、電子黒板42、プリンタ44、テレビ会議システム46、会議情報蓄積部48及び携帯電話50が設けられている。また、電子会議サーバ60は、インターネット上に設けられて電子会議を行う複数の拠点を接続し、これらの拠点に音声データや画像データを入出力する装置である。電子会議サーバ60には、各拠点との通信の制御情報が記憶されており、この情報に基づいて通信開始の制御が行われる。
【0022】
ここで、図2を用いて、図1に示した会議情報蓄積部28に蓄積される情報70について説明する。この情報は、会議情報蓄積部28と接続された各装置と接続を行うための情報であり、装置欄72、装置情報欄74及び値欄76の各項目に値が格納されてなる。具体的には、装置欄72には、テレビ会議システム欄78、電子黒板欄80、プリンタ欄82の各項目が設けられている。そして、テレビ会議システム欄78は、テレビ会議システム26のIPアドレスが222.123.52.231であることと、機種名が○×△であることを示し、電子黒板欄80は、電子黒板22の会議体名がユビキタス会議であることを示し、プリンタ欄82は、プリンタ24のIPアドレスが222.123.52.233であることと、機種名が○×□であることを示している。
【0023】
図3は、図1に示した電子会議サーバ60に記録されている通信制御情報90の例を示す図である。ここには、装置欄92と起動手順欄94が設けられ、各値が格納されている。具体的には、装置欄92には、テレビ会議システム欄96、電子黒板欄98及びプリンタ欄100が設けられている。そして、テレビ会議システム欄96は、テレビ会議システムの起動手順が電子会議サーバのコール及び相手方IPアドレスのセットからなることを示しており、電子黒板欄98は、電子黒板の起動手順が会議体名をセットし遠隔共有開始の指示からなることを示しており、プリンタ欄100は、プリンタの起動手順が相手方IPアドレスのセットからなることを示している。
【0024】
再び図1を参照して、この電子会議システム10の動作について説明する。ここでは、拠点20と拠点40とを接続して、電子会議を行う場合を想定している。この接続は、互いに電子会議サーバ60にアクセスすることで行われるが、拠点20においてはそのアクセスに必要な情報を把握していないものとする。
【0025】
この場合、拠点20にいる会議の参加者は、自らの携帯電話30を用いて、拠点40にいる会議の参加者のうち電話番号を把握している者に対して電話をかける。そして、今から予定されている会議を行うこと、及び、その接続設定をしたいため携帯電話50を会議情報蓄積部48に接続して欲しい旨を伝え、その了承の返答をもらう(S10,S12)。
【0026】
これにより、拠点40の参加者の携帯電話50は、通話中状態を維持したまま、その出力端子に繋がれるケーブルにより会議情報蓄積部48に接続される。会議情報蓄積部48の内部には、携帯電話50が接続された場合に、それを検知し、制御するプログラムがインストールされている。そして、表示画面上に、検知を行った旨の表示と、これから接続設定を行う旨の表示を行う。
【0027】
一方、電話をかけた側である拠点20の参加者の携帯電話30も、通話中状態を維持したまま、その出力端子にケーブルを接続され、会議情報蓄積部28に接続される。会議情報蓄積部28の内部にも、携帯電話30が接続された場合に、それを検知し制御するプログラムがインストールされており、表示画面上に、検知を行った旨の表示と、これから接続設定を行う旨の表示を行う。そして、まず、相手方の携帯電話50を通じて、相手方の会議情報蓄積部48に対し、所定の設定準備ができたかを問い合わせる。準備ができた旨の回答があると、会議情報蓄積部28は、図2に示した会議情報蓄積部に蓄積された情報70を携帯電話30に送信し(S14)、さらに携帯電話30から相手方の携帯電話50へと電話回線を通じて伝達する。
【0028】
拠点40においては、会議情報蓄積部48が、伝達された情報を取得し保存する(S16)。それと同時に、会議情報蓄積部48は、自己の蓄積している同様の情報を携帯電話50を通じて拠点20に送信する。この結果、拠点20の会議情報蓄積部28と拠点40の会議情報蓄積部48とは、互いに蓄積していた情報を共有することとなる(S18)。
【0029】
続いて、プログラム設定に従い、取得した相手方の情報に基づいて、インターネット上での電子会議網の構築が行われる。拠点20の会議情報蓄積部28は、テレビ会議システム26の接続においては、電子会議サーバ60に対しアクセスを行い、自己のテレビ会議システム26のIPアドレス及び取得した相手方のテレビ会議システム46のIPアドレスの値を入力する(S20)。拠点40から電子会議サーバ60への接続がまだ行われていない場合には、同様にして、プログラムに従った自動接続が行われる。そして、電子会議サーバ60は、両拠点20,40からの入力が行われた場合に、図3に示したテレビ会議システム欄96の起動手順に基づいて、両テレビ会議システム26,46の接続を行う(S22)。
【0030】
拠点20の会議情報蓄積部28は、同様にして、電子黒板22の会議体名と、プリンタ24のIPアドレスを電子会議サーバ60に送信する。そして、電子会議サーバ60は、拠点40からも同様の入力がなされた場合に、図3に示した電子黒板欄98及びプリンタ欄100の起動手順に従って両拠点20,40の間に電子会議網を構築する。これにより、両拠点20,40の間で、電子会議をはじめることが可能となる。
【0031】
以上の説明においては、処理はプログラムに従って自動的に行われ、ユーザ入力は特に行われないことを想定していた。しかし、詳細な設定や、処理の確認のために、ユーザ入力を求めることも可能である。具体的には、携帯電話の接続を検知した後に接続設定を行って良いか確認する例や、会議情報蓄積部の制御にかかる装置が複数ある場合にいずれの装置について設定を行うか選択させる例などが挙げられる。
【0032】
続いて、図4〜図6を用いて、本実施の形態の変形例について説明する。
【0033】
図4は、電子会議サーバが複数存在する場合の態様について説明する図である。図4(a)は電子会議網の設定前の状態を表し、図4(b)は電子会議網の設定後の状態を表している。両図においては、同一する構成には同一の番号を付している。
【0034】
ここでは、図4(a)に示すように、拠点110にかかる電子会議網を構築する態様を想定しており、図中には、拠点110がアクセスしうる二つの電子会議サーバが描かれている。一つは、電子会議サーバ114であり、この電子会議サーバ114は、この時点で、拠点116及び拠点118との間を繋いで電子会議網を構築している。もう一つは、電子会議サーバ122であり、この電子会議サーバ122は、常日頃、拠点110,124,126の間に電子会議網を構築している装置である。拠点110の標準設定では、電子会議サーバ122に対して接続を行うこととなる。しかし、ここでは、拠点116,118との間に電子会議網を構築して電子会議を催したいものとする。この場合、拠点110にいる会議の参加者は(携帯)電話112から、拠点118にいる会議の参加者の(携帯)電話120に電話をして通信128を行う。そして、電話112,120をそれぞれ拠点110,118に接続することで、使用する電子会議サーバ114へのアクセス情報(例えばIPアドレス)を含む電子会議網の構築に必要なデータが拠点118から拠点110に送られる。
【0035】
この結果、図4(b)に示すように、拠点110は電子会議サーバ114にアクセスを行い、少なくとも拠点118との会議を行う旨の情報(例えば拠点118の装置のIPアドレス)を入力する。そして、電子会議サーバ114は、既に構築されていた拠点116,118の電子会議網に拠点116を加えている。これにより、三拠点110,116,118による電子会議を開始することができるようになる。
【0036】
この変形例で示したように、本実施の形態においては、接続すべき電子会議サーバが複数あり、どの電子会議サーバと接続すべきかについて任意性がある場合にも、電話通信を通じて適切な電子会議サーバについての情報が得られ、それに従って接続処理が行われる。一般に、電子会議サーバには、インターネット上のIPアドレスなどのように、ネットワーク上で一意に特定できる識別情報が与えられている。したがって、電話通信により、その識別情報を取得することで、標準以外の電子会議サーバを容易に使用できるようになる。また、この変形例で示したように、本実施の形態の設定態様は、既に部分的に構築されている電子会議網に対し、新たな拠点を追加して、電子会議網を拡大する場合にも利用可能である。
【0037】
図5は、少なくとも三つの拠点を含む電子会議網を構築する場合に、拠点間で次々と接続のための情報を受け渡していく態様を説明する図である。図5(a)〜図5(c)は、時間順に、電話通信及び接続状況を示した図であり、同一の構成には同一の番号を付している。
【0038】
図5(a)においては、電子会議サーバ130に対し、拠点132,134の接続が行われ、これらの間で電子会議網が構築されている。しかし、電子会議を共に行うべき拠点138,142においては、未だ、接続設定がなされていない。この状況で、拠点138にいる会議の参加者は、自己の電話140から拠点134にいる会議の参加者の電話136に電話通信146をしている。そして、上に説明した流れに従って、接続に必要な情報を取得している。
【0039】
図5(b)では、取得した情報に従って、拠点138が電子会議サーバ130に対し接続を行い、これにより、拠点132,134,138の間に電子会議網が構築されている。しかし、依然として、拠点142においては、接続設定がされていない。そこで、拠点142にいる参加者は、自己の電話144を通じて、知人たる拠点138の参加者の電話140に電話通信148を行い、上に説明した流れに従って、相手方の装置のIPアドレスや電子会議サーバの情報など接続に必要な情報を取得している。
【0040】
この結果、図5(c)では、取得した情報に従って、拠点142が電子会議サーバ130に対し接続を行い、これにより、拠点132,134,138,142の間に電子会議網が構築されている。この拠点138のように、一旦、他の拠点から接続に必要な情報を取得すれば、その拠点は他の拠点に対して接続に必要な情報を提供できるようになる。つまり、P2P(Peer to Peer)の形態で次々と電子会議網を広げていくことが可能となる。
【0041】
図6は、少なくとも三つの拠点を含む電子会議網を構築する場合に、拠点間で次々と接続のための情報を受け渡していく態様を説明する図である。図6(a)は接続設定前の状況を表し図6(b)は接続設定後の状況を表している。同一の構成には同一の番号を付している。
【0042】
図6(a)においては、電子会議サーバ150に対し、拠点152,154,156の接続が行われ、これらの間で電子会議網が構築されている。また、別の電子会議サーバ160に対し、拠点162,164の接続が行われ、これらの間で別の電子会議網が構築されている。この状況で、全ての拠点152,154,156,162,164を繋ぐ電子会議網を構築することを考える。このため、一方の電子会議網に属する拠点156の参加者は、電話158から他方の電子会議網の属する拠点162の参加者の電話166に電話通信168を行っている。そして、他方の電子会議網が電子会議サーバ160を使用して構築されているとの情報、及び、拠点162,164に設けられている装置のIPアドレス情報等を取得する。
【0043】
この結果、拠点156から電子会議サーバ150に指令信号及び接続情報の送出が行われ、電子会議サーバ150は電子会議サーバ160に対して接続依頼を行う。そして、電子会議サーバ150と電子会議サーバ160の間で、電子会議にかかる通信を共有する設定が行われ、これにより、全ての拠点152,154,156,162,164を結ぶ電子会議網が構築されている。このようにして電子会議サーバのカスケード接続を行うことで、大きな電子会議網を容易に構築することが可能となる。
【0044】
以上に示した本実施の形態の各態様においては、電子会議の拠点にいる参加者は、他の拠点にいる参加者の電話番号や電話回線を使用したメールアドレスなどの電話接続情報を知りさえすれば、そこに電話をかけることで、電子会議網の設定を自動的に行わせることができる。したがって、インターネットなど電子会議網の設定に不慣れな者であっても、容易に接続が可能となる他、接続設定に慣れた者も複数拠点間の電子会議設定を簡易に行うことが可能となる。
【0045】
なお、ここでは、まず会議すべき相手方に電話をかけて相手方を確認をしたのちに、拠点に接続して接続処理を行うものとした。これにより、電話のかけ間違いや接続開始時間の勘違いなどの接続トラブルを減らすことができる。しかし、もちろん、予め拠点と接続した電話から相手方に電話通信することも可能であり、また、その際には参加者同士による会話を必ずしも必要とするものではない。こうした態様をとることで、接続処理の迅速化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】電子会議システムの装置構成例を説明する模式図である。
【図2】会議情報蓄積部に蓄積される情報の例を説明する図である。
【図3】電子会議サーバに記録されている通信制御情報の例を示す図である。
【図4】電子会議網の構築設定例を示す図である。
【図5】電子会議網の別の構築設定例を示す図である。
【図6】電子会議網のさらに別の構築設定例を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
10 電子会議システム、20,40 拠点、22,42 電子黒板、24,44 プリンタ、26,46 テレビ会議システム、28,48 会議情報蓄積部、30,50 携帯電話、60 電子会議サーバ、70 会議情報蓄積部に蓄積される情報、90 電子会議サーバに記録されている通信制御情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子会議の開催拠点に設けられた電子会議端末に対し、
本電子会議端末にかかる電子会議網を構築するための接続情報を、他拠点の相手方の電子会議端末から、電子会議網とは異なる電話網を介して取得する取得手順と、
取得した接続情報に基づいて接続を行い、本電子会議端末を構築される電子会議網に組み込む接続手順と、
を実行させるプログラムであって、
電子会議網は、複数の他拠点の電子会議端末間で通信を中継する電子会議サーバを用いて構築され、
取得手順において取得される接続情報は、本電子会議端末をこの電子会議サーバに接続するための情報である、ことを特徴とする電子会議設定プログラム。
【請求項2】
電子会議の開催拠点に設けられた電子会議端末に対し、
本電子会議端末にかかる電子会議網を構築するための接続情報を、他拠点の相手方の電子会議端末から、電子会議網とは異なる電話網を介して取得する取得手順と、
取得した接続情報に基づいて接続を行い、本電子会議端末を構築される電子会議網に組み込む接続手順と、
を実行させるプログラムであって、
取得手順において取得される接続情報は、本電子会議端末を相手方の電子会議端末に直接接続するための情報である、ことを特徴とする電子会議設定プログラム。
【請求項3】
電子会議の開催拠点に設けられた電子会議端末に対し、
本電子会議端末にかかる電子会議網を構築するための接続情報を、他拠点の相手方の電子会議端末から、電子会議網とは異なる電話網を介して取得する取得手順と、
取得した接続情報に基づいて接続を行い、本電子会議端末を構築される電子会議網に組み込む接続手順と、
を実行させるプログラムであって、
電子会議網は、複数の他拠点の電子会議端末間で通信を中継する電子会議サーバを複数用いて構築され、
取得手順において取得される接続情報は、本電子会議端末が組み込まれた電子会議網に含まれる電子会議サーバを、相手方の電子会議端末が組み込まれた電子会議網に含まれる電子会議サーバに接続するための情報である、ことを特徴とする電子会議設定プログラム。
【請求項4】
電子会議の開催拠点に設けられた電子会議端末であって、
本電子会議端末にかかる電子会議網を構築するための接続情報を、他拠点の相手方の電子会議端末から、電子会議網とは異なる電話網を介して取得する取得手段と、
取得した接続情報に基づいて接続を行い、本電子会議端末を構築される電子会議網に組み込む接続手段と、
を備え、
電子会議網は、複数の他拠点の電子会議端末間で通信を中継する電子会議サーバを用いて構築され、
取得手順において取得される接続情報は、本電子会議端末をこの電子会議サーバに接続するための情報である、ことを特徴とする電子会議端末。
【請求項5】
電子会議の開催拠点に設けられた電子会議端末が実行する方法であって、
本電子会議端末にかかる電子会議網を構築するための接続情報を、他拠点の相手方の電子会議端末から、電子会議網とは異なる電話網を介して取得する取得手順と、
取得した接続情報に基づいて接続を行い、本電子会議端末を構築される電子会議網に組み込む接続手順と、
を含み、
電子会議網は、複数の他拠点の電子会議端末間で通信を中継する電子会議サーバを用いて構築され、
取得手順において取得される接続情報は、本電子会議端末をこの電子会議サーバに接続するための情報である、ことを特徴とする電子会議設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−304151(P2006−304151A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−126163(P2005−126163)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】