説明

電子写真印刷機

【課題】被記録媒体に連続紙を用いての高速性に対応でき、高速生産においても転写ローラの表面のクリーニングを良好に行うようにする。
【解決手段】転写ローラ2の周囲で、被記録媒体7への転写位置と転写ローラクリーニング装置12との間に、転写ローラ表面に転接するキャリア液供給ロール13にてキャリア液を供給するキャリア液供給装置11を設け、また、上記転写ローラクリーニング装置を、転写ローラの表面に対して摺擦回転すると共に、転写ローラの表面における残留トナーと逆極性のバイアス電圧を印加したクリーニングロール17と、このクリーニングロールより転写ローラの回転方向下流側に位置して転写ローラの表面に接触する表面掻き取りブレード18と、転写ローラの側面に接触する側面掻き取りブレード19とにて構成し、さらに上記クリーニングロールの周囲に、クリーニングロールの表面に接触する表面掻き取りブレード26を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体ドラム上に形成された液体トナーによるトナー像を転写ローラ表面に一次転写を行い、ついでこの一次転写像を転写ローラとバックアップローラ間に走行する被記録媒体(用紙)に二次転写して画像形成を行うようにした電子写真印刷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被記録媒体へ二次転写した直後の転写ローラの表面は、これに一次転写されていた一次転写像に含まれていた液体トナーのキャリア液が被記録媒体に吸収されて乾燥体に近い状態となり、したがってこの転写ローラの表面に残留しているトナーは乾燥状態になって付着している。
【0003】
転写ローラ表面の残留トナーの除去には、一般にクリーニングブレードにて掻き取るようにしているが、この残留トナーが上記したように乾燥状態であるため、このクリーニングブレードによる除去率が悪く、またブレードの耐久性に支障をきたしており、また転写ローラ表面の微細穴に入り込んだトナーを除去しにくいという問題もある。
【0004】
このため従来のこの種の転写ローラのクリーニング装置は、転写ローラの被記録媒体への画像の転写領域より下流側に、この転写ローラ表面にリバース回転して摺擦する拭き取りローラと2枚のクリーニングブレードとを転写ローラの回転方向上流側から順に設け、上記拭き取りローラにクリーニング液を供給しながらこの拭き取りローラを回転して、上記転写ローラ表面に残留したトナーをクリーニング液と共に拭き取り、その後2枚のクリーニングブレードにて転写ローラ表面をクリーニングするようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−11142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来の転写ローラクリーニング装置にあっては、拭き取りロールにクリーニング液を供給しながら、この拭き取りロールを転写ローラ表面に摺擦するようになっているため、転写ローラ表面の残留トナーは拭き取りローラの位置にてクリーニング液が塗布される。このため転写ローラが高速回転した場合には、クリーニング液による残留トナーのクリーニングが間に合わなくなり、連続用紙での高速印刷に対応できにくかった。
【0007】
本発明は上記のことに鑑みなされたもので、被記録媒体に連続紙を用いての高速性に対応でき、高速生産においても転写ローラ表面に残留するトナーをより微少となるようにクリーニングできるようにした転写ローラクリーニングを備えた電子写真印刷機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子写真印刷機は、感光体ドラム上に現像装置にて形成されたトナー像を転写ローラを介して被記録媒体上に転写し、転写後の転写ローラ表面を転写ローラクリーニング装置にてクリーニングするようにした電子写真印刷機において、転写ローラの周囲で、被記録媒体への転写位置と転写ローラクリーニング装置との間に、転写ローラ表面に転接するキャリア液供給ロールにてキャリア液を供給するキャリア液供給装置を設け、また、上記転写ローラクリーニング装置を、転写ローラの表面に対して摺擦回転すると共に、転写ローラの表面における残留トナーと逆極性のバイアス電圧を印加したクリーニングロールと、このクリーニングロールより転写ローラの回転方向下流側に位置して転写ローラの表面に接触する表面掻き取りブレードと、転写ローラの側面に接触する側面掻き取りブレードとにて構成し、さらに上記クリーニングロールの周囲に、クリーニングロールの表面に接触する表面掻き取りブレードを設けた構成になって
いる。
【0009】
そして上記電子写真印刷機において、キャリア液供給装置のキャリア液供給ロールと転写ローラクリーニング装置のクリーニングロールのそれぞれを個々に制御可能にした単独モータにて駆動制御するようにした。
【0010】
また、転写ローラクリーニング装置のクリーニングロール、表面掻き取りブレードのそれぞれを被接触部材側へ付勢力を調整可能にした付勢機構にて付勢するようにした。
【0011】
さらに感光体ドラムの周囲に、感光体ドラムの表面に転接すると共に、感光体ドラムの表面のトナーと同極性のバイアス電圧を印加したキャリア液除去ロールと、このキャリア液除去ロールの表面に接触する表面掻き取りブレードと、側面に接触する側面掻き取りブレードとからなるキャリア液除去装置と、感光体ドラムの表面に転接して転写ローラへの転写後の感光体ドラムの表面をクリーニングするクリーニングロールと、このクリーニングロールより感光体ドラムの回転方向下流側に位置して感光体ドラムの表面に接触する表面掻き取りブレードと、感光体ドラムの側面に接触する側面掻き取りブレードとからなる感光体ドラムクリーニング装置を設け、上記キャリア液除去装置のキャリア液除去ロールと、感光体ドラムクリーニング装置のクリーニングロール、各表面掻き取りブレードのそれぞれを被接触部材側へ付勢力を調整可能にした付勢機構で付勢するようにした。
【0012】
そしてさらに、感光体ドラムクリーニング装置のクリーニングロールを、感光体ドラム表面に対して摺擦接触させると共に、感光体ドラムの表面における残留トナーと逆極性のバイパス電圧を印加するようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明において、請求項1に記載の構成によれば、転写ローラクリーニング装置より転写ローラの回転方向上流側で、この転写ローラの表面にキャリア液を供給できることにより、転写ローラの表面に乾燥状態で付着している残留トナーは、上記転写ローラクリーニング装置によるクリーニング作用が行われる前に、このキャリア液にて軟化され、被記録媒体に連続紙を用いての高速印刷においても、転写クリーニング装置による転写ローラのクリーニングを良好に行うことができる。
【0014】
また、上記転写ローラクリーニング装置では、これのクリーニングロールが転写ローラの表面に摺擦すること、及びこれに残留トナーと逆極性のバイアス電圧が印加されていること、及び表面掻き取りブレードと側面掻き取りブレードとで転写ローラの表面及び側面のトナーが掻き落とされることにより、高速生産においても転写ローラの表面に残留するトナー量をより微少となるように除去することができ、高速走行される被記録材への画像記録においても、この記録画像を所定品質に維持することができる。
【0015】
また、請求項2に記載の構成によれば、キャリア液供給装置のキャリア液供給ロールと転写ローラクリーニング装置のクリーニングロールのそれぞれを個々に制御可能にした単独モータにて駆動することにより、洗浄効果の高い適性回転をそれぞれの装置において自由に選択可能になり、高品質、高速での画像記録が可能となった。また、上記各ロールは画像記録速度の変化に追随して、全画像記録速度の領域にて各ローラの最適な回転速度に制御することができ、広範囲の速度条件で均一な品質の生産ができ損紙を少なくすることができた。
【0016】
請求項3及び請求項4に記載の構成によれば、転写ローラクリーニング装置、感光体ドラムクリーニング装置、感光体ドラムクリーニング装置の各クリーニングロール及び上記転写ローラクリーニング装置のクリーニングロールに接触する表面掻き取りブレード、感光体ドラムの表面に接触する感光体ドラムクリーニング装置の表面掻き取りブレードのそれぞれが、調整可能な付勢力にて被接触部材にて付勢でき、それぞれの接触圧の安定化を図ることができ、安定した品質の画像印刷を行うことができる。
【0017】
また請求項4に記載の構成によれば、キャリア液除去ロールに感光体ドラムの表面のトナーと同極性のバイアス電圧を印加したことにより、このキャリア液除去ロールの転接により、感光体ドラムの表面の余剰のキャリア液が除去されると共に、感光体ドラムに現像されたトナーは感光体ドラムの表面に押し付けられる。また、請求項5に記載の構成によれば、感光体ドラムクリーニング装置のクリーニングロールに感光体ドラムの表面の残留トナーと逆極性のバイアス電圧を印加したことにより、このクリーニングロールによるクリーニング効果を良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明を実施しようとする電子写真印刷機を概略的に示す説明図であり、図中1は感光体ドラム、2はこの感光体ドラム1に対接する転写ローラ、3はこの転写ローラ2に対接するバックアップローラである。
【0019】
この電子写真印刷機にあっては、上記観光体ドラム1は図示しないモータ等の駆動手段にて画像形成時に一定速度で矢印方向に回転され、感光体ドラム1の表面は、帯電装置4にて暗中にて一様に帯電され、ついで感光体ドラム1の表面に露光装置5により原稿光像が照射結像され、これにより感光体ドラム1の表面に静電潜像が形成されるようになっている。その後、この静電潜像が現像領域を通過する際に、液体トナーを用いた現像装置6にて可視像化されて感光体ドラム1の表面にトナー像が形成されるようになっている。
【0020】
感光体ドラム1の表面におけるトナー像は、転写領域にて転写ローラ2を介して印加されるバイアス電圧と感光体ドラム1と転写ローラ2とのニップ圧により、転写ローラ2の表面に一次転写され、この一次転写のトナー像は二次転写領域にて、転写ローラ2とバックアップローラ3の間を通過する被記録媒体7に二次転写されるようになっている。上記転写ローラ2の周面は導電性のゴム質材料で被覆されている。
【0021】
そして上記感光体ドラム1の周囲には、現像装置6の位置より回転方向下流側に配置されて、現像後の液体トナー像成分であるキャリア液の一部(余剰分)を除去するキャリア液除去装置8が、また感光体ドラム1の転写ローラ1との転接部より下流側で転写ローラ2への一次転写後に感光体ドラム1に残留している残留電位を除電器9にて除電してから、これの表面に残留している残留トナーを除去する感光体ドラムクリーニング装置10が設けられている。
【0022】
また、転写ローラ2の周囲には、これのバックアップローラ3との転接部より回転方向下流側で、かつ感光体ドラム1との転接部の間に、上流側から順に二次転写後の転写ローラ2の表面にキャリア液を供給するキャリア液供給装置11と、転写ローラ2の表面をクリーニングする転写ローラクリーニング装置12が設けられている。そしてこのクリーニング装置12は、上記キャリア液供給装置11より所定の距離、例えば転写ローラ2の距離1/4周長程度離れた位置に配置されている。
【0023】
次に、感光体ドラム1の周囲に設けられたキャリア液除去装置8、感光体ドラムクリーニング装置10及び転写ローラ2の周囲に設けられたキャリア液供給装置11、転写ローラクリーニング装置12の構成を図2に基づいて説明する。
【0024】
まず、二次転写完了直後の転写ローラ2の表面にキャリア液を供給するキャリア液供給装置11について説明する。
【0025】
図中13はキャリア液供給ロール、14はキャリア液元ロール、15はキャリア液舟、16はこれらを収納支持するケースである。
【0026】
上記キャリア液供給ロール13は、表面がクロームメッキ処理されたロールで、単独モータで駆動され、転写ローラ2の表面に対して順方向に転接回転し、その転写ローラ2に対する表面速度比率が自由に調整できるようになっている。そして、特に図示してないがキャリア液供給装置11を支持する幅方向両側部に設けられるブラケットが、本体フレームに固定された空気圧シリンダにより駆動されてキャリア供給ロール13が転写ローラ2に対して接離方向に移動可能に構成されており、キャリア供給ロール13の転写ローラ2との接触圧は、上記空気圧シリンダによる転写ローラ2方向への移動を制限するストッパの調整により行う構成となっている。
【0027】
キャリア液元ロール14は、キャリア液供給ロール13と歯車で連結駆動されるようになっている。そしてこのキャリア液元ロール14は偏心軸受に支持されていて、その軸心位置を移動調整することでキャリア液供給ロール13との接触圧の調整が行われるようになっている。キャリア液元ロール14は、キャリア液を貯留するキャリア液舟15内のキャリア液中にその下側部分を浸漬しており、回転することによりキャリア液をキャリア液供給ロール13に補給するようになっている。そしてこの補給量の調整は、上記接触圧の増減により行われる。
【0028】
キャリア液元ロール14から薄膜状に調整補給されたキャリア液がキャリア液供給ロール13を介して転写ローラ2の表面に順方向回転で受け渡し供給することで、被記録媒体に吸収されて乾燥体に近い状態となった残留トナーに再度キャリア液が供給され、この残留トナーが次工程の転写ローラクリーニング装置12によるクリーニングが行い易くなっている。
【0029】
次に転写ローラクリーニング装置12の構成を説明する。この転写ローラクリーニング装置12は、転写ローラ2に順方向に回転接触するクリーニングロール17と、転写ローラ2の表面に転写ローラ2の回転方向と逆方向に向けて接触する表面掻き取りブレード18と、転写ローラ2の両側面に転写ローラ2の回転方向と逆方向に向けて接触する側面掻き取りブレード19とを有している。
【0030】
クリーニングロール17は、表面にメッキを施した金属ロールにて構成されており、このクリーニングロール17は、回転支点20を支点にして転写ローラ2の表面に対して遠近方向に回動可能に、かつスプリングプランジャ21にて転写ローラ2の表面方向にばね付勢される回動ブラケット22に支承されている。この回動ブラケット22の先端部にはヨーク部が形成してあり、このヨーク部にストッパピン23が所定の隙間を有して係合されていて、回動ブラケット22はこの隙間分にわたって回動するようになっている。この回動ブラケット22はクリーニングロール17の軸方向両端部に設けられている。
【0031】
また、上記クリーニングロール17は単独モータで駆動されていて、転写ローラ2に対する表面速度を自由に加減速制御が可能であり、電子写真印刷機の運転速度や画像など、その印刷条件に合わせた最適な速度設定可能なシステムとして構成されている。またこのクリーニングロール17には、転写ローラ2の表面に付着しているトナーを吸着するように、このトナーと逆極性のバイアス電圧が印加されて、このバイアス電圧により発生する電気泳動によるクリーニング機能が付与されていて、この作用により、転写ローラ2の表面の微細穴に残留するトナーが浮き上がって吸着除去されるようになっている。
【0032】
スプリングプランジャ21はブラケット24にねじ結合により支持されていて、回動ブラケット22に当接する先端部材は、プランジャ内に内装されているばねにて突出方向に付勢されている。そして、スプリングプランジャ21を回転して上記ブラケット24に対して進退方向に移動することにより、上記回動ブラケット22に対する付勢力が調整されるようになっている。
【0033】
表面掻き取りブレード18と側面掻き取りブレード19は、ブレード用の回動ブラケット25に支持されていて、この回動ブラケット25はスプリングプランジャ21にて付勢されていて、上記表面掻き取りブレード18が転写ローラ2の表面側に向けて回動するように付勢されている。
【0034】
クリーニングロール17の周囲に、このクリーニングロール17の表面に付着したトナーを掻き取る表面掻き取りブレード26が、スプリングプランジャ21にてクリーニングロール17の表面側に付勢される回動ブラケット27に支持して設けられている。
【0035】
上記転写ローラ用の両掻き取りブレード18,19及びクリーニングロール用の表面掻き取りブレード26の下側には受け皿28が設けられていて、各ブレードにて掻き取られたトナーがこの受け皿28にて受けられて排除されるようになっている。
【0036】
感光体ドラム1の周囲に設けられたキャリア液除去装置8は、感光体ドラム1の表面に転接して順回転するキャリア液除去ロール29と、このキャリア液除去ロール29の表面に、これの回転方向と逆方向に向けて接触する表面掻き取りブレード30と、キャリア液除去ロール29の両側面に、これの回転方向と逆方向に向けて接触する側面掻き取りブレード31とを有している。上記キャリア液除去ロール29の表面は電導性ゴムにて構成されている。また、このキャリア液除去ロール29には、液体トナーと同極でトナーを反発するためのバイアス電圧が印加されている。
【0037】
キャリア液除去ロール29は、回動支点32を支点にして感光体ドラム1の表面に対して遠近方向に回動可能に、かつスプリングプランジャ21にて感光体ドラム1の表面方向にばね付勢される回動ブラケット33に支承されている。この回動ブラケット33も上記転写ローラクリーニング装置12のクリーニングローラ17を支持する回動ブラケット22と同様にストッパピン23にて必要以上の回動が規制されるようになっている。
【0038】
また、上記両掻き取りブレード30,31は、キャリア液除去ロール29の表面に対して遠近方向に移動可能にした支持台34に支持されている。そしてこの支持台34は、スプリングプランジャ21にてロール方向に付勢されている。上記支持台34は受け皿状になっていて、両掻き取りブレード30,31にて掻き取った余剰キャリア液は、この支持台34にて受けられ排除されるようになっている。
【0039】
感光体ドラム1の周囲で除電器9より下流側に設けられる感光体ドラムクリーニング装置10も、上記転写ローラクリーニング装置12と略同様の構成になっていて、クリーニングロール35は回動ブラケット36に支持されていて、スプリングプランジャ21にて感光体ドラム1の表面方向にばね付勢されている。そして感光体ドラム1の表面に、これの回転方向と逆方向に向けて接触する表面掻き取りブレード37と両側面に接触する側面掻き取りブレード38が他の回動ブラケットに支持されていて、スプリングプランジャ21にてドラム表面方向にばね付勢されている。また、この感光体ドラムクリーニング装置10のクリーニングロール35は、上記転写ローラクリーニング装置12のクリーニングロール17と同様に、単独モータにて駆動されていて、これの周速度を感光体ドラム1の周速と変えて、感光体ドラム1に対して摺擦接触させる。またこれと共に、感光体ドラム1の表面に付着しているトナーを吸着するように、このトナーと逆極性のバイアス電圧が印加されていて、このバイアス電圧により発生する電気泳動によるクリーニング機能が付与されており、この作用により感光体ドラム1の表面の微細穴に残留するトナーが浮き上がって吸着除去されるようになっている。この感光体ドラムクリーニング装置10の下部には、上記各ブレードで掻き取られたトナーを受ける受け皿39が設けてある。なお、上記クリーニングロール35の周囲にも、このクリーニングロール35の周面に付着したトナーを掻き取る表面掻き取りブレード40がスプリングプランジャ21にて付勢されて設けられている。
【0040】
上記構成において、キャリア液供給装置11にあっては、キャリア液供給ロール13が単独モータにて駆動されて転写ローラ2の回転と順方向に転接回転し、キャリア液元ロール14から薄膜状に調整補給されたキャリア液が転写ローラ2の表面に供給される。
【0041】
被記録媒体7にトナー像を転写した後の乾燥状態になっている残留トナー像は上記キャリア液の供給により軟化されて、次工程の転写ローラクリーニング装置12でのクリーニングの容易化が図られる。
【0042】
このときにおいて、キャリア液供給ロール13の回転速度は、これを駆動する単独モータの制御により任意に変えることができ、転写ローラ2の回転速度に対して最適の回転速度に設定することができる。また、キャリア液供給ロール13の転写ローラ2への接触圧力は、キャリア液供給装置11の全体を空気圧シリンダにより移動することにより調整される。また、キャリア液元ロール14からキャリア液供給ロール13へのキャリア液の供給量は、キャリア液元ロール14の軸心位置を、これを支持している偏心軸受の調整により変化させ、両ロール13,14の接触圧を調整することができる。
【0043】
上記キャリア液供給装置11にてキャリア液が供給されて軟化した残留トナーは、転写ローラクリーニング装置12にてクリーニングされる。
【0044】
この転写ローラクリーニング装置12にあっては、クリーニングロール17が転写ローラ2の周速より少し速い周速で回転することにより、このクリーニングロール17の表面が転写ローラ2の表面に摺擦されて、転写ローラの表面の上記軟化した残留トナーがクリーニングロール17側に吸着除去される。このときのクリーニングローラ17は、これを駆動する単独モータを制御することにより、転写ローラ2に対し自由に加減速制御でき、電子写真印刷機の運転速度や画像などの印刷条件に合わせた最適な速度設定することができる。
【0045】
また、このクリーニングロール17には、トナーを吸着するようにトナーとは逆電位のバイアス電圧が印加されていることにより、クリーニングロール17が対向する部分でのトナーに電気泳動が生じて、転写ローラ2の表面の微細穴に残留するトナーを浮き上がらせて吸着除去する。そしてこのクリーニングロール17の表面に付着したトナーは、表面掻き取りブレード26にて掻き落とされる。
【0046】
上記転写ローラクリーニング装置12の転写ローラ2の回転方向下流側では、上記転写ローラクリーニング装置12にて取り残された表面の残留トナーが表面掻き取りブレード18にて掻き取られる。また、転写ローラ2の側面に付着しているトナーは、側面書き取りブレード19にて掻き取られる。
【0047】
上記各ブレードにて掻き取られたトナーは受け皿28にて受けられて排除される。
【0048】
また、この転写ローラクリーニング装置12において、転写ローラ2に対するクリーニングロール17の接触付勢力、転写ローラ2に対する表面掻き取りブレード18の接触付勢力、さらにクリーニングロール17に対する表面掻き取りブレード26の接触付勢力は、それぞれみ設けられたスプリングプランジャ21にて得られ、かつこの各接触付勢力は各スプリングプランジャ21を調整することにより調整することができる。また、上記クリーニングロール17及び転写ローラ2用の表面掻き取りブレード18は、上記したようにスプリングプランジャ21によるばね付勢されていることにより、仮に転写ローラ2に振れが存在する場合であっても、これの弾性力により追随して常時均等の付勢力を維持することができる。そしてこの接触圧は、各スプリングプランジャ21を操作することにより微妙に調整することができる。クリーニングロール用の表面掻き取りブレード26も同様である。
【0049】
次に感光体ドラム1の周囲に設けられるキャリア液除去装置8と感光体ドラムクリーニング装置10の作用を説明する。
【0050】
キャリア液除去装置8にあっては、キャリア液除去ロール29が感光体ドラム1に順方向に転接することにより、感光体ドラム1上の余剰のキャリア液が除去される。そして除去されてキャリア液除去ロール29の表面に付着したキャリア液は表面掻き取りブレード30にて、また側面に付着したキャリア液は側面掻き取りブレード31にてそれぞれ掻き取られて支持台34にて受けられて排除される。
【0051】
このときのキャリア液除去ロール29及び表面掻き取りブレード30のそれぞれは、スプリングプランジャ21,21により感光体ドラム1、キャリア液除去ロール29のそれぞれにばね付勢される。
【0052】
また、このキャリア液除去装置8のキャリア液除去ロール29には、液体トナーとは同極のバイアス電圧が印加されていることにより、このキャリア液除去ロール29が感光体ドラム1に転接することにより、感光体ドラム1に現像されたトナー像のトナーが感光体側へ押しつけられる。
【0053】
感光体ドラム1の回転の周囲で、これの回転方向の除電器9の下流側に設けられた感光体ドラムクリーニング装置10は、上記転写ローラ2に対する転写ローラクリーニング装置12と同様の作用を行って感光体ドラム1の表面及び側面のクリーニングが行われる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明を実施しようとする電子写真印刷機を概略的に示す構成説明図である。
【図2】本発明の実施の形態の要部を示す構成説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1…感光体ドラム、2…転写ローラ、3…バックアップローラ、4…帯電装置、5…露光装置、6…現像装置、7…被記録媒体、8…キャリア液除去装置、9…除電器、10…感光体ドラムクリーニング装置、11…キャリア液供給装置、12…転写ローラクリーニング装置、13…キャリア液供給ロール、14…キャリア液元ロール、15…キャリア液舟、16…ケース、17…クリーニングロール、18…表面掻き取りブレード、19…側面掻き取りブレード、20…回動支点、21…スプリングプランジャ、22…回動ブラケット、23…ストッパピン、24…ブラケット、25…回動ブラケット、26…表面掻き取りブレード、27…回動ブラケット、28…受け皿、29…キャリア液除去ロール、30…表面掻き取りブレード、31…側面掻き取りブレード、32…回動支点、33…回動ブラケット、34…支持台、35…クリーニングロール、36…回動ブラケット、37…表面掻き取りブレード、38…側面掻き取りブレード、39…受け皿、40…表面掻き取りブレード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラム上に現像装置にて形成されたトナー像を転写ローラを介して被記録媒体上に転写し、転写後の転写ローラ表面を転写ローラクリーニング装置にてクリーニングするようにした電子写真印刷機において、
転写ローラの周囲で、被記録媒体への転写位置と転写ローラクリーニング装置との間に、転写ローラ表面に転接するキャリア液供給ロールにてキャリア液を供給するキャリア液供給装置を設け、
また、上記転写ローラクリーニング装置を、
転写ローラの表面に対して摺擦回転すると共に、転写ローラの表面における残留トナーと逆極性のバイアス電圧を印加したクリーニングロールと、このクリーニングロールより転写ローラの回転方向下流側に位置して転写ローラの表面に接触する表面掻き取りブレードと、転写ローラの側面に接触する側面掻き取りブレードとにて構成し、さらに上記クリーニングロールの周囲に、クリーニングロールの表面に接触する表面掻き取りブレードを設けた
ことを特徴とする電子写真印刷機。
【請求項2】
キャリア液供給装置のキャリア液供給ロールと転写ローラクリーニング装置のクリーニングロールのそれぞれを個々に制御可能にした単独モータにて駆動制御するようにしたことを特徴とする請求項1記載の電子写真印刷機。
【請求項3】
転写ローラクリーニング装置のクリーニングロール、表面掻き取りブレードのそれぞれを被接触部材側へ付勢力を調整可能にした付勢機構にて付勢するようにしたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項記載の電子写真印刷機。
【請求項4】
感光体ドラムの周囲に、
感光体ドラムの表面に転接すると共に、感光体ドラムの表面のトナーと同極性のバイアス電圧を印加したキャリア液除去ロールと、このキャリア液除去ロールの表面に接触する表面掻き取りブレードと、側面に接触する側面掻き取りブレードとからなるキャリア液除去装置と、
感光体ドラムの表面に転接して転写ローラへの転写後の感光体ドラムの表面をクリーニングするクリーニングロールと、このクリーニングロールより感光体ドラムの回転方向下流側に位置して感光体ドラムの表面に接触する表面掻き取りブレードと、感光体ドラムの側面に接触する側面掻き取りブレードとからなる感光体ドラムクリーニング装置を設け、
上記キャリア液除去装置のキャリア液除去ロールと、感光体ドラムクリーニング装置のクリーニングロール、各表面掻き取りブレードのそれぞれを被接触部材側へ付勢力を調整可能にした付勢機構で付勢するようにした
ことを特徴とする請求項1記載の電子写真印刷機。
【請求項5】
感光体ドラムクリーニング装置のクリーニングロールを、感光体ドラム表面に対して摺擦接触させると共に、感光体ドラムの表面における残留トナーと逆極性のバイパス電圧を印加するようにしたことを特徴とする請求項4記載の電子写真印刷機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−122252(P2010−122252A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292985(P2008−292985)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(000161057)株式会社ミヤコシ (122)
【Fターム(参考)】