説明

電子写真式画像形成装置

【課題】 感光体の静電疲労を自動解放。自動的にVL,VR上昇を低減。従来よりも、静電疲労を効果的に抑制。
【解決手段】 感光体12と光除電装置17を備える画像形成装置において、作像の繰返しが連続すると感光体に残留電位上昇を生じる、感光体速度630mm/sec,作像用感光体帯電電位-800Vおよび作像後除電光量1W/mでなる、既定の作像条件で、感光体を駆動し帯電し光除電装置で除電する場合の、VL又はVRの上昇速度絶対値Aに対して、帯電は行わずに感光体を前記感光体速度で駆動し光除電装置から光を感光体に照射した場合のVL又はVRの低下速度絶対値B又はCが、等しいか大きくなる光量10W/mを、光除電装置から感光体に照射する。又は、既定の作像条件で作像をおこない、所定のタイミングで、光照射モード光量30W/mで感光体を除電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電した感光体に画像光を露光して静電潜像を形成し、これを現像してトナー像として用紙に転写する、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に関し、特に、これに限定する意図ではないが、電荷発生材料としてチタニルフタロシアニンを含有する感光体の、VL(感光体を露光しベタ画像を形成する際のベタ画像部の感光体表面電位),VR(除電後の感光体表面残留電位)の上昇を防止する技術に関する。本発明の画像形成装置は、例えばプリンタ,複写機およびファクシミリに用いることができる。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2004−286887号公報
【特許文献2】特開2007−233116号公報
【特許文献3】特開2007−233348号公報
【特許文献4】特開2008−122740号公報。
【0003】
電子写真式画像形成において感光体は繰り返し使用により疲労しVLが上昇して濃度低下,地汚れなどの異常画像を生じるようになる。高感度の感光体であるほどこの傾向が強く、電荷発生材料を含む高感度有機半導体において顕著である。電荷発生材料には例えばフタロシアニン類があり、チタニルフタロシアニンがよく用いられる(特許文献1〜4)。
【0004】
電子写真式画像形成装置に用いられる電子写真感光体は、一般的には、導電性支持体上に直接または中間層を介して電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を設けた所謂、機能分離型積層感光体が主流である。更には、機械的もしくは化学的耐久性向上のため必要に応じて感光体最表面に表面保護層を形成する。この機能分離型積層感光体において、表面が帯電された感光体が露光されたとき、光は電荷輸送層を透過し、電荷発生層中の電荷発生材料に吸収される。電荷発生材料はこの光を吸収して電荷担体を発生する。発生した電荷担体は電荷輸送層に注入され帯電によって生じている電界に沿って電荷輸送層を移動して感光体の表面電荷を中和する。その結果感光体の表面に静電潜像が形成される。しかし、電荷担体が電荷輸送層を移動する過程において電荷輸送層のバルクに生成したトラップに電荷担体が捕獲されると、感光体表面電荷を中和できないだけでなく電界強度を弱めることになる。つまり感光体露光部において表面の電荷を中和しにくくなるため、VL,VRが上昇してしまう。
【0005】
VL,VRが上昇すると、静電潜像を現像するために現像装置と感光体の間に印加される現像バイアスとVLの電位差である現像ポテンシャルが小さくなるため画像濃度の低下を引き起こしてしまう。このような現像ポテンシャルの低下に対して、VLの上昇量を検知して、その上昇量を現像バイアスおよび感光体帯電電位に上乗せし現像ポテンシャルを一定に制御する技術が用いられている。
【0006】
VLが上昇すると現像バイアスだけでなく帯電電位にもVL上昇量を上乗せするのは、現像バイアスのみを高くすると帯電電位と現像バイアスの差が小さくなり、感光体非露光部への現像が起こりやすくなりかぶり濃度が高くなってしまうからであるが、感光体帯電電位を高くすると電界強度が強くなりすぎることによる絶縁破壊が危惧されるため感光体帯電電位を高くするには限界がある。よってVL上昇量を現像バイアスと帯電電位に上乗せする制御では、VL上昇量の限界値は帯電電位の限界値によってきまるため、VL上昇量が限界値を上回る場合は適切な制御を行うことができない。
【0007】
そこで特許文献3は、感光体における導電性支持体と電荷発生層の間に配置される中間層に、書き込み光を吸収する金属酸化物であるルチル型酸化チタンを含有させ、中間層で光キャリア発生させることでVL上昇を抑制する。また、特許文献1は、感光体表層の保護層の樹脂中に2種以上のフィラーを含有させ、そのうちの一種を平均粒径50nm以下のダイヤモンド状カーボンもしくは非晶質カーボン微粒子とすることにより、VL上昇を抑制する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
感光体の処方や構成を変えることによりVL上昇を低減する技術が様々開示されているが、感光体の静電疲労は感光体処方、あるいはプロセス条件によって大きく異なるものであり、感光体の開発側から考えると、プロセス条件ごとに対応を迫られることになる。
【0009】
本発明は、画像形成装置において感光体の静電疲労を自動的に解放すること、具体的には、自動的にVL,VR上昇を低減すること、を目的とする。換言すると従来よりも、静電疲労を効果的に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、感光体の改良ばかりではなく、画像形成装置本体での自動制御でVL上昇を低減すること目指して実験を重ね、その過程で、感光体に強いエネルギーを与えることにより、上昇したVLを初期状態に戻すことに成功した。感光体に強いエネルギーを与えると、VL上昇の原因となっている電荷輸送層中にトラップされた電位担体が該光エネルギーに反応して、電荷担体を解放し、VL上昇を抑制する。そこで本発明の画像形成装置を次のように構成した。
【0011】
(1)感光体(12)と、光照射により感光体表面の残留電荷を除電する光除電装置(17)を備える電子写真式画像形成装置において、
作像の繰返しが連続すると前記感光体(12)に残留電位上昇を生じる、感光体速度(630mm/sec),作像用感光体帯電電位(-800V)および作像後除電光量(1W/m2)でなる、既定の作像条件で、前記感光体(12)を駆動し帯電し前記光除電装置(17)で除電する場合の、VL又はVRの上昇速度絶対値Aに対して、帯電は行わずに前記感光体(12)を前記感光体速度(630mm/sec)で駆動し前記光除電装置(17)から光を前記感光体(12)に照射した場合のVL又はVRの低下速度絶対値B又はCが、等しいか大きくなる光量(10W/m2)を、前記光除電装置(17)から感光体(12)に照射することを特徴とする、電子写真式画像形成装置:
VL:前記感光体を露光しベタ画像を形成する際のベタ画像部の感光体表面電位
VR:除電後の感光体表面残留電位。
【0012】
なお、括弧内には、図面に示し後述する実施態様の対応要素又は対応事項の記号を、例示として参考までに付記した。以下も同様である。
【発明の効果】
【0013】
すなわち前記光除電装置(17)によって、感光体(12)の繰り返し使用によりトラップされた電荷担体が増大し、感光体(12)の残留電位が高くなりVL,VRが上昇するという問題に対して、感光体(12)に光エネルギーを与えることによりトラップされた電荷担体を解放し、感光体(12)の長期使用によるVL,VR上昇を抑制する。除電光によって継続的に感光体(12)にエネルギーを与え、しかも、VL,VRが上昇しない範囲の光量を光除電装置(17)が感光体(12)に与えるので、感光体(12)の長期使用によるVL,VR上昇に起因する画像品質の劣化を生じない。
【0014】
(2)感光体(12)と、光照射により感光体表面の残留電荷を除電する照射光量が可変の光除電装置(17)を備える電子写真式画像形成装置において、
既定の作像条件で作像をおこない、該作像の積算時間が設定値(450sec)を超えた作像終了時に、該作像終了時の積算時間の間のVL上昇量ΔVL=∫Aを、既定の作像条件での前記光除電装置(17)の光量でのVL上昇速度A(図4)と前記終了時の積算時間に基づいて算出し、前記既定の作像条件での前記光除電装置(17)の光量(1W/m2)より大きい光照射モード光量(30W/m)でのVL低下速度絶対値B(図5)を用いて、光照射モード実行時間T=ΔVL/Bを算出し、前記感光体(12)を駆動し感光体(12)は帯電しないで、前記光除電装置(17)の光量を前記光照射モード光量(30W/m)として感光体(12)を除電し、前記時間Tが経過すると該除電を停止し、前記作像の積算時間を初期化する、ことを特徴とする電子写真式画像形成装置。
【0015】
これによれば、除電光量を可変とし、所定のタイミングで、予測されるVL上昇量に応じて光量,時間を決定し光照射モードを実行し、VLを低下させるよう構成しているので、常に強い光量で光照射を行う場合よりも省エネ化を図ることができ、しかも、感光体(12)の長期使用によるVL上昇に起因する画像品質の劣化を生じない。
【0016】
(3)感光体(12)と、光除電装置(17)以外に光除電装置(17)と同様に感光体(12)に光を照射する光照射装置(8)を少なくとも1つ備える電子写真式画像形成装置において、
既定の作像条件で作像をおこない、該作像の積算時間が設定値(450sec)を超えた作像終了時に、該作像終了時の積算時間の間のVL上昇量ΔVL=∫Aを、既定の作像条件での前記光除電装置(17)の光量(1W/m2)でのVL上昇速度A(図4)と前記終了時の積算時間に基づいて算出し、前記既定の作像条件での前記光除電装置の光量より大きい光照射モード光量(30W/m2)でのVL低下速度絶対値B(図5)を用いて、光照射モード実行時間T=ΔVL/Bを算出し、前記感光体(12)を駆動し感光体(12)は帯電しないで、前記光照射装置(8)の光量を前記光照射モード光量(30W/m2)として感光体(12)を除電し、前記時間Tが経過すると該除電を停止し、前記作像の積算時間を初期化する、ことを特徴とする電子写真式画像形成装置。
【0017】
これによれば、光除電装置(17)以外に光照射装置(8)を設け、所定のタイミングで、予測されるVL上昇量に応じて光量,時間を決定し光照射モードを実行しているので、光除電装置(17)の光量が可変でなくともVLを低下させることができ、しかも常に強い光量で光照射を行う場合よりも省エネ化を図ることができ、しかも、感光体(12)の長期使用によるVL上昇に起因する画像品質の劣化を生じない。。
【0018】
(4)感光体(12)と、照射光量が可変の光除電装置(17)と、光除電装置(17)以外に光除電装置(17)と同様に感光体(12)に光を照射する光照射装置(8)を少なくとも1つ備える電子写真式画像形成装置において、
既定の作像条件で作像をおこない、該作像の積算時間が設定値(450sec)を超えた作像終了時に、該作像終了時の積算時間の間のVL上昇量ΔVL=∫Aを、既定の作像条件での前記光除電装置(17)の光量(1W/m2)でのVL上昇速度A(図4)と前記終了時の積算時間に基づいて算出し、前記既定の作像条件での前記光除電装置(17)の光量(1W/m2)より大きい、前記光除電装置(17)の光量(30W/m2)と前記光照射装置の光量(30W/m2)の和でなる光照射モード光量(60W/m2)でのVL低下速度絶対値B(図11)を用いて、光照射モード実行時間T=ΔVL/Bを算出し、前記感光体(12)を駆動し感光体(12)は帯電しないで、前記光除電装置(17)と光照射装置(8)で前記光照射モード光量(60W/m2)の感光体除電をおこない、前記時間Tが経過すると該除電を停止し、前記作像の積算時間を初期化する、ことを特徴とする電子写真式画像形成装置。
【0019】
これによれば、光照射モード時の光照射を、光除電装置(17)と光照射装置(8)の両方で行っているため、光除電装置(17)および光照射装置(8)それぞれの光量を小さくする、あるいは照射時間Tを短くすることができ、しかも、感光体(12)の長期使用によるVL上昇に起因する画像品質の劣化を生じない。
【0020】
(5)感光体(12)と、感光体(12)の表面電位を検知する表面電位検知装置(9)と、検知した表面電位を記憶する表面電位記憶手段(69)と、照射光量が可変の光除電装置(17)を備える電子写真式画像形成装置において、
既定の作像条件で作像をおこない、該作像の枚数積算値が設定値(1000)を超えた作像終了時に、VLを検知して検出値VLsの、前記表面電位記憶手段(69)に記憶している感光体初期時点のVL検出値VLiに対する上昇量ΔVL=VLs−VLiを算出し、前記既定の作像条件での前記光除電装置(17)の光量(1W/m2)より大きい光照射モード光量(30W/m2)でのVL低下速度絶対値B(図5)を用いて、光照射モード実行時間T=ΔVL/Bを算出し、前記感光体(12)を駆動し感光体(12)は帯電しないで、前記光除電装置(17)で前記光照射モード光量(30W/m2)で感光体(12)を除電し、該時間Tが経過すると該除電を停止し、前記枚数積算値を初期化する、ことを特徴とする電子写真式画像形成装置。
【0021】
これによれば、画像形成装置は所定のタイミングでVL上昇量を検知し、検知したVL上昇量に基づいて光照射モード実行時の光量,照射時間を決定しているので、適切な光量,照射時間で効率良くVLを低下させることができ、しかも、感光体の長期使用による感度低下に起因する画像品質の劣化を生じない。
【0022】
(6)感光体(12)と、感光体(12)の表面電位を検知する表面電位検知装置(9)と、検知した表面電位を記憶する表面電位記憶手段(69)と、光除電装置(17)以外に光除電装置(17)と同様に感光体(12)に光を照射する光照射装置(8)を少なくとも1つ備える電子写真式画像形成装置において、
既定の作像条件で作像をおこない、該作像の枚数積算値が設定値(1000)を超えた作像終了時に、VLを検知して検出値VLsの、前記表面電位記憶手段(69)に記憶している感光体初期時点のVL検出値VLiに対する上昇量ΔVL=VLs−VLiを算出し、前記既定の作像条件での前記光除電装置(17)の光量(1W/m2)より大きい光照射モード光量(30W/m2)でのVL低下速度絶対値B(図5)を用いて、光照射モード実行時間T=ΔVL/Bを算出し、前記感光体(12)を駆動し感光体(12)は帯電しないで、前記光照射装置(8)で前記光照射モード光量(30W/m2)で感光体(12)を除電し、該時間Tが経過すると該除電を停止し、前記枚数積算値を初期化する、ことを特徴とする電子写真式画像形成装置。
【0023】
これによれば、光除電装置(17)以外に光除電装置(17)と同様に感光体(12)に光を照射する光照射装置(8)を備え、所定のタイミングでVL上昇量を検知し、検知したVL上昇量に基づいて光照射モード実行時の光量,照射時間を決定し、光照射モードを実行しているので、光除電装置(17)の光量が可変でなくとも適切な光量,照射時間で効率良くVLを低下させることができ、かつ、感光体(12)の長期使用による感度低下に起因する画像品質の劣化を防止することができる。
【0024】
(7)感光体(12)と、感光体(12)の表面電位を検知する表面電位検知装置(9)と、検知した表面電位を記憶する表面電位記憶手段(69)と、照射光量が可変の光除電装置(17)と、光除電装置(17)以外に光除電装置(17)と同様に感光体(12)に光を照射する光照射装置(8)を少なくとも1つ備える電子写真式画像形成装置において、
既定の作像条件で作像をおこない、該作像の枚数積算値が設定値(1000)を超えた作像終了時に、VLを検知して検出値VLsの、前記表面電位記憶手段(69)に記憶している感光体初期時点のVL検出値VLiに対する上昇量ΔVL=VLs−VLiを算出し、前記既定の作像条件での前記光除電装置(17)の光量(1W/m2)より大きい、前記光除電装置(17)の光量(30W/m2)と前記光照射装置(8)の光量(30W/m2)の和でなる光照射モード光量(60W/m2)でのVL低下速度絶対値B(図11)を用いて、光照射モード実行時間T=ΔVL/Bを算出し、前記感光体(12)を駆動し感光体(12)は帯電しないで、前記光除電装置(17)と光照射装置(8)で前記光照射モード光量(60W/m2)の感光体除電をおこない、前記時間Tが経過すると該除電を停止し、前記枚数積算値を初期化する、ことを特徴とする電子写真式画像形成装置。
【0025】
これによれば、光照射モード時の光照射を、光除電装置(17)と光照射装置(8)の両方で行っているため、光除電装置(17)および光照射装置(8)それぞれの光量を小さくする、あるいは照射時間Tを短くすることができ、しかも、感光体(12)の長期使用による感度低下に起因する画像品質の劣化を防止することができる。
【0026】
(8)感光体(12)と、感光体(12)の表面電位を検知する表面電位検知装置(9)と、検知した表面電位を記憶する表面電位記憶手段(69)と、照射光量が可変の光除電装置(17)を備える電子写真式画像形成装置において、
既定の作像条件で作像をおこない、該作像の枚数積算値が設定値(1000)を超えた作像終了時に、VRを検知して検出値VRsの、前記表面電位記憶手段(69)に記憶している感光体初期時点のVR検出値VRiに対する上昇量ΔVR=VRs−VRiを算出し、前記既定の作像条件での前記光除電装置(17)の光量(1W/m2)より大きい光照射モード光量(30W/m2)でのVR低下速度絶対値Cを用いて、光照射モード実行時間T=ΔVR/Cを算出し、前記感光体(12)を駆動し感光体(12)は帯電しないで、前記光除電装置(17)で前記光照射モード光量(30W/m2)で感光体(12)を除電し、該時間Tが経過すると該除電を停止し、前記枚数積算値を初期化する、ことを特徴とする電子写真式画像形成装置。
請求項8
VLが上昇するのは、感光体の繰り返し使用等によりトラップされた電荷担体が増大し、感光体表面と電荷発生位置間の電界強度が低下することによる感度低下が原因であるため、このVL上昇分の電位は、VRの上昇分とほぼ等しくなる。VLを検知するには感光体表面を帯電させVLパターンの書込みを行う必要があるが、VRを検知するには感光体を除電するだけで良く簡便であるため、VLではなくVRを検知することで、感光体の感度低下をより簡単で即座に検知できる。
【0027】
本実施態様8によれば、実施態様5のVL検知ではなくVR検知しているので、感光体(12)を帯電させVLパターンの書込みを行うという動作の必要が無く、ダウンタイムを短くすることができ、実施態様5と同様に感光体の長期使用による感度低下に起因する画像品質の劣化を防止することができる。
【0028】
(9)感光体(12)と、感光体(12)の表面電位を検知する表面電位検知装置(9)と、検知した表面電位を記憶する表面電位記憶手段(69)と、光除電装置(17)以外に光除電装置(17)と同様に感光体(12)に光を照射する光照射装置(8)を少なくとも1つ備える電子写真式画像形成装置において、
既定の作像条件で作像をおこない、該作像の枚数積算値が設定値(1000)を超えた作像終了時に、VRを検知して検出値VRsの、前記表面電位記憶手段(69)に記憶している感光体初期時点のVR検出値VRiに対する上昇量ΔVR=VRs−VRiを算出し、前記既定の作像条件での前記光除電装置(17)の光量(1W/m2)より大きい光照射モード光量(30W/m2)でのVR低下速度絶対値Cを用いて、光照射モード実行時間T=ΔVR/Cを算出し、前記感光体(12)を駆動し感光体(12)は帯電しないで、前記光照射装置(8)で前記光照射モード光量(30W/m2)で感光体を除電し、該時間Tが経過すると該除電を停止し、前記枚数積算値を初期化する、ことを特徴とする電子写真式画像形成装置。
【0029】
これによれば、実施態様6のVLではなく、VRを検知しているので、感光体(12)を帯電させVLパターンの書込みを行うという動作の必要が無く、ダウンタイムを短くすることができ、かつ実施態様6と同様に、感光体(12)の長期使用による感度低下に起因する画像品質の劣化を防止することができる。
【0030】
(10)感光体(12)と、感光体(12)の表面電位を検知する表面電位検知装置(9)と、検知した表面電位を記憶する表面電位記憶手段(69)と、照射光量が可変の光除電装置(17)と、光除電装置(17)以外に光除電装置(17)と同様に感光体(12)に光を照射する光照射装置(8)を少なくとも1つ備える電子写真式画像形成装置において、
既定の作像条件で作像をおこない、該作像の枚数積算値が設定値(1000)を超えた作像終了時に、VRを検知して検出値VRsの、前記表面電位記憶手段(69)に記憶している感光体初期時点のVR検出値VRiに対する上昇量ΔVR=VRs−VRiを算出し、前記既定の作像条件での前記光除電装置(17)の光量(1W/m2)より大きい、前記光除電装置(17)の光量(30W/m2)と前記光照射装置(9)の光量(30W/m2)の和でなる光照射モード光量(60W/m2)でのVR低下速度絶対値Cを用いて、光照射モード実行時間T=ΔVR/Cを算出し、前記感光体(12)を駆動し感光体(12)は帯電しないで、前記光除電装置(17)と光照射装置(8)で前記光照射モード光量(60W/m2)の感光体除電をおこない、前記時間Tが経過すると該除電を停止し、前記枚数積算値を初期化する、ことを特徴とする電子写真式画像形成装置。
【0031】
これによれば、実施態様7のVLではなく、VRを検知しているので、感光体(12)を帯電させVLパターンの書込みを行うという動作の必要が無く、ダウンタイムを短くすることができ、かつ実施態様7と同様に感光体(12)の長期使用によるVR上昇に起因する画像品質の劣化を防止することができる。
【0032】
(11)前記感光体(12)は、電荷発生材料を含有する有機感光体である、上記(1)乃至(10)のいずれか1つに記載の電子写真式画像形成装置。
【0033】
(12)前記感光体(12)は、電荷発生材料としてフタロシアニン類を含有する有機感光体である、上記(1)乃至(10)のいずれか1つに記載の電子写真式画像形成装置。
【0034】
(13)前記感光体(12)は、電荷発生材料としてチタニルフタロシアニンを含有する有機感光体である、上記(1)乃至(10)のいずれか1つに記載の電子写真式画像形成装置。
【0035】
(14)前記既定の作像条件は、作像用感光体帯電電位:−800V、作像後除電光量:1W/m、を含む、上記(1)〜(13)のいずれか1つに記載の、電子写真式画像形成装置。
【0036】
(15)前記既定の作像条件は、感光体移動速度:630mm/secを含む上記(14)に記載の電子写真式画像形成装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の他の目的および特徴は、以下の、図面を参照した実施態様の説明より明らかになろう。
【実施例】
【0038】
図1に、本発明を実施する画像形成装置を示す。この画像形成装置は、レーザプリンタ10,原稿スキャナ30,自動原稿給送装置(ADF)41および給紙バンク43を備える複写機である。レーザプリンタ10には、ドラム状の感光体12がある。この感光体12の表面には、電荷発生材料としてチタニルフタロシアニンを含む、レーザ光に対して高感度の有機半導体層がある。感光体12の電荷輸送層の膜厚は38μmであって、電荷発生層はY型チタニルフタロシアニンとポリビニルブチラールからなる0.3μmの層であり、最高感度の波長は780nmである。感光体12の線速は630mm/sec,直径100mmである。
【0039】
感光体12のまわりには、帯電装置13,現像装置14,転写・搬送装置15,クリーニング装置16,光除電装置17などが配置されている。
【0040】
光除電装置17は、光エネルギーのピークの波長が680nmのLED(発光ダイオード)で構成されており、感光体12の表面の移動方向に関して、帯電装置13の上流側で、クリーニング装置16がクリーニングした感光体表面を、光照射により除電する除電装置で、感光体12表面と光除電装置17先端面の間の距離は、13mmである。この光除電装置17の光量は、以下の実施態様ごとに設定又は変更した。
【0041】
クリーニング装置16は、クリーニングブラシとクリーニングブレードを備え、それぞれが感光体12に当接してクリーニングを行う。クリーニング装置16の上部には、レーザ書込み装置18がある。レーザ書込み装置18は、光エネルギーのピーク波長が780nmのレーザダイオードである光源20,走査用の回転多面鏡21,ポリゴンモータ22,fθレンズ等の走査光学系23などを備える。クリーニング装置16の図中左側には、定着装置25がある。定着装置25には、ヒータを内蔵する定着ローラ26と、その定着ローラ26に下方から押し当てる加圧ローラ27がある。
【0042】
レーザプリンタ10の上部には、原稿スキャナ30がある。原稿スキャナ30には、光源31,複数のミラー32,結像レンズ33,イメージセンサ(CCD)34等がある。
【0043】
図2には、図1に示す現像装置14を拡大して示す。現像剤はブラシローラ53でされ、現像剤中のトナーが現像ローラ51から感光体12に移る。
【0044】
図3に、図1に示す画像形成機構の制御系の概略構成を示す。まず、作像制御手段であるCPU60,RAM61,ROM62,EEPROM67,不揮発メモリ69,入出力ポートバッファアンプ63,64等からなるマイクロコンピュータを用いた制御部が設けられており、作像制御手段であるCPU60が原稿スキャナ30のマイクロコンピュータとシリアル通信することにより、CPU60は原稿スキャナ30を制御する。原稿スキャナ30のマイクロコンピュータは、CPU60の指示に応じて、原稿読取りを行う。
【0045】
なお、感光体12の回転に同期して、その微小角度の回転につき1パルスの同期パルスをパルス発生器65が発生し、CPU60は、同期パルス発生器65が発生するパルスのカウント値に基づいて、転写紙の給紙制御,露光制御および画像形成処理(特にタイミング制御)を行なう。CPU60は、1パルスの到来毎に割込処理を実行して到来パルス数をカウントアップし、カウント値をタイミングテ−ブル(カウント値対イベントの関係をメモリしたテ−ブル)のカウント値と対比して、テ−ブルの1つのカウント値に合致していると、該カウント値に宛てられているイベント(画像形成要素のオン/オフ)を実行する。
【0046】
本複写機において、操作者は、コピーをとるときに、ADF41の原稿台上に原稿をセットする。あるいは、ADF41を開いて原稿スキャナ30のコンタクトガラス40上に原稿をセットした後、ADF41を閉じて原稿を押える。そして、図示しないスタートスイッチを押す。すると、CPU60が原稿スキャナ30に原稿画像の読取りを指示し、これに応じて原稿スキャナ30が、ADF41に原稿がセットされている場合にはADF41を駆動して原稿をコンタクトガラス40に向けて移送し、シートスルー方式で原稿画像を読取り、ADF41の排紙トレイに送り出す。コンタクトガラス32上に原稿がセットされていた場合には直ちに、原稿スキャナ30がキャリッジの駆動を開始する。そして、第1キャリッジ及び第2キャリッジが走行し、第1キャリッジの光源から発せられる光が原稿面で反射した後、第2キャリッジ向かう。更に、第2キャリッジのミラーで反射してから結像レンズ33を経由してイメージセンサ34に至り、イメージセンサ34が画像情報として読み取る。
【0047】
CPU60のイベントコマンドに応じて、プリンタ10は、感光体12を回転駆動し給紙バンク43の1つのトレイ44から給紙ローラ45で転写紙を繰り出し、搬送ローラを介してレジストローラ48に送り込む。以降もCPU60のイベントコマンドに応じて、帯電器13で感光体12を荷電し、スキャナ30が読取った画像データに基づいて変調したレーザ光を感光体表面に照射し、これによって生成した静電潜像を現像装置14でトナー像に現像する。このトナー像の原稿始端相当位置に転写紙の先端が重ねるタイミングでレジストローラ48を駆動して転写紙を感光体12に送り込む。転写・搬送装置15が、感光体12のトナー像を転写紙に転写して定着器25に送り込む。定着器25が、転写紙を過熱加圧して転写紙上のトナー像を転写紙に固定する。定着を終えた転写紙は機外に送出される。
【0048】
以上に示す構成において従来は、感光体12の線速:630mm/sec,感光体帯電電位:−800Vおよび光除電装置17の光量:1.0W/mである既定の作像条件でプリント(作像)するが、光除電装置17の光量が1W/mであったので、感光体12の繰り返し使用により、感光体12の電荷輸送層中に電荷担体がトラップされ、VLが上昇するという問題があった。本発明者は、このVLが上昇した感光体に光を照射し続けるとVLが低下することを見出した。光除電装置17にて光量20W/mの光を照射すると、VLが上昇しないという結果を得た。あるエネルギーの光を感光体に照射することによりVL上昇を防ぎ感光体の長期使用による感度低下に起因する画像品質の劣化を防止することが分かった。
【0049】
なお、VLは、感光体12を露光しベタ画像を形成する際のベタ画像部の感光体表面電位であり、該電位は、電位センサ9を用いてを検出する。後述のVRは、除電後の感光体表面残留電位であり、該電位は電位センサ9を用いて検出する。
【0050】
−実施態様1−
本発明の実施態様1は、上述の複写機の光除電装置17の光量を10W/mとしたものである。その理由を以下に示す。温度:23℃、湿度:50%のもと、既定の作像条件で帯電および除電を連続して行った際の、単位時間あたりのVL上昇量すなわちVL上昇速度を測定したところ、図4に示すとおり、
(6.5−4.3)/(1500−1000)=0.0044 (V/sec)
でVLが上昇することがわかった。これがVL上昇速度Aである。
【0051】
前記既定の作像条件は、前述の通り、感光体12の線速:630mm/sec,感光体帯電電位:−800Vおよび光除電装置17の光量:1.0W/mである。また、以下の連続印刷(連続プリント,連続作像)は、A4横版のリピート印刷であり、該連続印刷の期間、感光体の帯電および露光除電は間断なく、連続して行うものである。
【0052】
次に、VLが上昇した感光体12を用いて、帯電を行わずに、温度:23℃湿度:50%の環境下で感光体12を回転駆動し、回転する感光体12に光除電装置17により光を照射し続けた場合の、光除電装置の光量毎の、光照射時間とVLの関係を測定したところ、図5に示すとおり、光量が大きい程VLの低下量が大きいことがわかった。この光除電装置17の光量毎の、単位時間あたりのVL低下量すなわちVL低下速度の絶対値がBである。図6は、光量とVL低下速度絶対値Bの関係を表したグラフであり、このグラフより
B≧A ・・・(1)
を満たす光量は約8.6W/m以上であることがわかる。この結果より、実施態様1では、光除電装置17の光量を10W/mに設定(固定)した。
【0053】
すなわち実施態様1は、感光体12を線速630mm/secで回転駆動し、感光体帯電電位:−800V、光除電装置17の光量:10W/mという条件でプリント(作像)を行う。
【0054】
これにより、図7に示すように、感光体12の長期使用においてもVL上昇を抑制することができる。なお、図7は光除電装置17の光量が1.0W/mである比較例1(従来例)と、光量5W/mの比較例2と、実施態様1について、温度:23℃、湿度:50%、感光体帯電電位:−800V、書込み光量:110μW、書込みパターン:黒ベタ、転写電流:130μAという条件で印刷を行った場合の、感光体回転時間とVL上昇量を比較したグラフである。実施態様1ではVL上昇が解消されている。
【0055】
−実施態様2−
この実施態様2は、上述の複写機で、前記既定の作像条件で作像(プリント)を行うものである。すなわち、感光体12を線速630mm/secで回転駆動し、感光体帯電電位:−800V,光除電装置17の光量:1.0W/mという条件で、感光体12の帯電および除電を連続して行う。加えて、光除電装置17の光量を可変とし、感光体駆動モータの積算回転時間が450secを超えたプリント終了時に、光照射モードを実行する。
【0056】
光照射モードとは、帯電や書込み,現像,転写等を行わずに、感光体12と光除電装置17のみを駆動させる除電モードであり、光照射モード実行中は光除電装置17の光量を大に変更し、感光体12に光を照射し続ける。なお、積算回転時間は光照射モード実行後にリセットする。
【0057】
光照射モード実行直前のVL上昇量ΔVL=∫A(積算回転時間が450secを超えたプリント終了時の、該プリント期間のVL上昇量)は、VL上昇速度A(図4)の、該プリント期間分の積分にて算出し、光照射モード実行時間Tは、以下に示す(2)式によって算出する。なお、(2)式中のBは、実施態様1のBと同様、図5に示す単位時間あたりのVL低下速度の絶対値である。本実施態様2においては、光照射モード実行時の光量を30W/mとした。よって図5より、本実施態様2におけるVL低下速度絶対値Bは、0.016となっている。
T=ΔVL/B ・・・(2)
すなわち実施態様2は、感光体12の線速:630mm/sec,感光体帯電電位:−800V、光除電装置17の光量:1.0W/mという既定の作像条件でプリント(作像)を行う。CPU60が、このようなプリントの積算時間が450secを超えたプリント終了時に、光照射モードを実行する。すなわち、プリント終了時の積算時間の間のVL上昇量ΔVL=∫Aを、既定の作像条件での光除電装置17の光量:1.0W/mでのVL上昇速度A(図4)とプリント終了時の積算時間に基づいて算出し、光照射モード実行時の光除電装置17の光量:30W/mでのVL低下速度絶対値B(図5)を用いて、光照射モード実行時間T=ΔVL/Bを算出して、感光体12を既定の作像条件の線速630mm/secで回転駆動し、感光体12は帯電しないで、光除電装置17の光量:30W/mという条件で感光体12を除電し、該時間Tが経過すると該除電を停止し、前記プリントの積算時間を初期化(0にリセット)する。
【0058】
なお、上記光照射モードでも感光体12を既定の作像条件の線速630mm/secで回転駆動するが、必ずしも既定の作像条件の線速630mm/secと同一とする必要はなく、既定の作像条件の線速630mm/secよりも低速あるいは高速にすることもできる。以下の実施態様3〜10のいずれにおいても同様である。
【0059】
このような構成としたことにより、図8に示すように、VLの上昇が抑制される。なお図8は、本実施態様2における、温度:23℃、湿度:50%、感光体帯電電位:−800V、書込み光量:110μW、書込みパターン:黒ベタ、転写電流:130μAという条件で印刷を行った場合の、感光体回転時間とVL上昇量の関係を表したグラフである。
【0060】
なお、上記光照射モードでも感光体12を既定の作像条件の線速630mm/secで回転駆動するが、必ずしも既定の作像条件の線速630mm/secと同一とする必要はなく、既定の作像条件の線速630mm/secよりも低速あるいは高速にすることもできる。また、光照射モード実行時間Tに対応して、Tが大きいと低速に、小さいと高速に、感光体12の線速を変更してVLの上昇抑止を更に効果的にすることもできる。これらは、以下の実施態様3〜10のいずれにおいても同様である。
【0061】
−実施態様3−
この実施態様3も、既定の作像条件で作像(プリント)を行う。すなわち、感光体12を線速630mm/secで回転駆動し、感光体帯電電位:−800V,光除電装置17の光量:1.0W/mという条件で、感光体12の帯電および除電を連続して行う。感光体駆動モータの積算回転時間が450secを超えたプリント終了時に、光照射モードを実行する。
【0062】
この実施態様3は、実施態様2において光除電装置17の光量を可変とする代わりに、図9に示すように、感光体12回転方向における現像装置14と転写・搬送装置15の間に光照射装置8を備え、光照射モード実行時に、光除電装置17の代わりにこの光照射装置8によって光照射を行うことによって、光除電装置17の光量を可変としなくても、光照射によるVL低下を達成する。光照射装置8を発光付勢するドライバは、図3に示すI/O&バッファ64に接続され、該I/O&バッファ64を介してCPU60によってオン/オフ制御される。光照射装置8も、光除電装置17と同様に、光エネルギーのピークの波長が680nmのLEDで構成されている。
【0063】
光照射モード実行時間Tは、実施態様2と同様に(2)式で算出する。光照射装置8の光量およびVLB低下速度絶対値Bは、実施態様2と同様、30W/m、0.016となっている。
【0064】
すなわち実施態様3は、感光体12の線速:630mm/sec,感光体帯電電位:−800V、光除電装置17の光量:1.0W/mという既定の作像条件でプリント(作像)を行う。このようなプリントの積算時間が450secを超えたプリント終了時に、CPU60が、光照射モードを実行する。すなわち、CPU60は、プリント終了時の積算時間の間のVL上昇量ΔVL=∫Aを、既定の作像条件での光除電装置17の光量:1.0W/mでのVL上昇速度A(図4)とプリント終了時の積算時間に基づいて算出し、光照射モード実行時の光照射装置8の光量:30W/mでのVL低下速度絶対値B(図5)を用いて、光照射モード実行時間T=ΔVL/Bを算出して、感光体12を既定の作像条件の線速630mm/secで回転駆動し、感光体12は帯電しないで、光除電装置17は点灯しないで、光照射装置8の光量:30W/mという条件で感光体12を除電し、該時間Tが経過すると該除電を停止し、前記プリントの積算時間を初期化(0にリセット)する。
【0065】
このような構成としたことにより、図10に示すように、実施態様2と同様にVLの上昇を抑制することができる。なお、図10は本実施態様3における、温度:23℃、湿度:50%、感光体帯電電位:−800V、書込み光量:110μW、書込みパターン:黒ベタ、転写電流:130μAという条件で印刷を行った場合の感光体回転時間とVL上昇量の関係を表したグラフである。光照射装置を複数個備えることによって、VLを低下させるのに必要な時間を短くし、ダウンタイムを短縮することも可能である。
【0066】
−実施態様4−
この実施態様4も、作像(プリント)時には、感光体12を線速630mm/secで回転駆動し、感光体帯電電位:−800V,光除電装置17の光量:1.0W/mという条件で、感光体12の帯電および除電を連続して行う。すなわち既定の作像条件でプリントする。感光体駆動モータの積算回転時間が450secを超えたプリント終了時に、光照射モードを実行する構成とした。
【0067】
この実施態様4は、光照射装置8を備える実施態様3においてさらに、光除電装置17の光量を可変とし、光照射モード実行時には、光除電装置17と光照射装置8によって光照射を行う。光照射モード実行時間は、実施態様2と同様に(2)式の算出をおこなう。Bの値は、図5と同様にして測定した、図11に示す、光除電装置17と光照射装置8の光量の和毎の光照射時間とVLの関係を測定した結果から導き出す。本実施態様4においては、光除電装置17の光量:30W/m、光照射装置8の光量:30W/mとした。よって図11より、本実施態様4におけるVL低下速度絶対値Bは0.0345となっている。Bの値が実施態様2,3の実施態様と比較して2倍程度であるため、光照射モード実行時間Tは、実施態様2,3の実施態様と比較して1/2程度で済む。
【0068】
すなわち実施態様4は、感光体12の線速:630mm/sec,感光体帯電電位:−800V、光除電装置17の光量:1.0W/mという既定の作像条件でプリント(作像)を行う。このようなプリントの積算時間が450secを超えたプリント終了時に、CPU60が、光照射モードを実行する。すなわちCPU60は、プリント終了時の積算時間の間のVL上昇量ΔVL=∫Aを、既定の作像条件での光除電装置17の光量:1.0W/mでのVL上昇速度A(図4)とプリント終了時の積算時間に基づいて算出し、光照射モード実行時の光除電装置17の光量:30W/mと光照射装置8の光量:30W/mとの和60W/mでのVL低下速度絶対値B(図11)を用いて、光照射モード実行時間T=ΔVL/Bを算出して、感光体12を既定の作像条件の線速630mm/secで回転駆動し、感光体12は帯電しないで、光除電装置17および光照射装置8の光量和:60W/mという条件で感光体12を除電し、該時間Tが経過すると該除電を停止し、前記プリントの積算時間を初期化(0にリセット)する。
【0069】
このような構成としたことにより、図12に示すように、実施態様2,3と同様の効果をより短いダウンタイムで実現できる。なお、図12は、本実施態様4における、温度:23℃、湿度:50%、感光体帯電電位:−800V、書込み光量:110μW、書込みパターン:黒ベタ、転写電流:130μAという条件で印刷を行った場合の感光体回転時間とVL上昇量の関係を表したグラフである。
【0070】
−実施態様5−
この実施態様5も、作像(プリント)時には、感光体12を線速630mm/secで回転駆動し、感光体帯電電位:−800V,光除電装置17の光量:1.0W/mという条件で、感光体12の帯電および除電を連続して行う。すなわち既定の作像条件でプリントする。
【0071】
実施態様5は、光除電装置17の光量を可変とした。CPU60は、感光体初期のVLを不揮発メモリ69に記憶する機能を備え、マシン設置時や出荷時、感光体交換時等に、この感光体初期のVLを検知し記憶する「初期値設定モード」を実行することにより感光体初期のVLを、不揮発メモリ69に記憶する。
【0072】
該「初期値設定モード」では、感光体12に対して、帯電とVL検出パターンの書込みを行い、VLを検知し不揮発メモリ69に記憶する。VLパターンは感光体周方向長さ40mm、幅30mmの長方形ベタパターンであり、電位センサ9の位置に対応する感光体長手方向中央部に作成する。このVLパターンはさらに、積算1000プリントを超えたプリント終了時および電源投入時にも作成し、VLを検知する。なお、VL検知後は積算1000プリントをカウントするカウンタはリセットされる。
【0073】
この検知したVLが、記憶された感光体初期のVL(不揮発メモリのデータ)よりも高かった場合、その差ΔVLに応じた時間T=ΔVL/Bの光照射モードを実行する。このΔVLは、実施態様2〜4のΔVL=∫Aに対応するものである。Bは、実施態様1のBと同様、図5に示す単位時間あたりのVL低下速度絶対値である。ここでの光照射モードも、帯電や書込み、現像、転写等を行わずに、感光体12と光除電装置17のみを駆動させるモードであり、光照射モード実行時は、光除電装置17の光量を大に変更し、感光体12に光を照射し続ける。この光照射モードの実行時間Tも(2)式に基づいて算出する。本実施態様においては、光照射モード実行時の、光除電装置17の光量を30W/mとした。よって図5より、本実施態様におけるBの値は0.016となっている。
【0074】
すなわち実施態様5では、マシン設置時や出荷時、感光体交換時等の初期時点にCPU60が、感光体12に対して、帯電とVL検出パターンの書込みを行い、VLを検知し不揮発メモリ69に記憶する。このVLをVLiと表す。そしてプリント枚数積算値を初期化(0にリセット)する。その後CPU60は、プリント(作像)のたびにプリント枚数積算値をカウントアップし、該積算値が1000を超えたプリント終了時(終了直後)および電源投入時(投入直後)に、上記初期時点のときと同様に、帯電とVL検出パターンの書込みを行い、VLを検知する。このVLをVLsと表す。そしてΔVL=VLs−VLiを算出し、ΔVLが正かつ設定値以上であると、光照射モード実行時の光除電装置17の光量:30W/mでのVL低下速度絶対値B(図5)を用いて、光照射モード実行時間T=ΔVL/Bを算出して、感光体12を、既定の作像条件の線速630mm/secで回転駆動し、感光体12は帯電しないで、光除電装置17の光量:30W/mという条件で感光体12を除電し、該時間Tが経過すると該除電を停止し、前記プリント枚数積算値を初期化(0にリセット)する。以降も、プリント(作像)のたびにプリント枚数積算値をカウントアップし、該積算値が1000を超えたプリント終了時(終了直後)および電源投入時(投入直後)に、上記光照射モードを実行する。
【0075】
このような構成としたことにより、VL上昇量を予測ではなく実測できるため、実施態様2〜4において予測するVL上昇速度Aと、実際のVL上昇速度の間にズレが生じるような場合においても、VL上昇速度に応じて適切な照射時間Tで光照射モードを実行することができるため、光照射モードが必要以上に長くダウンタイムが長くなったり、光照射モードが短くVLを低下しきれなくなったりするといったことがなく、効率よくVLを低下させることができる。予測するVL上昇速度と、実際のVL上昇速度の間にズレが生じる場合の例としては、実施態様2〜4の、VL上昇速度予測タイミングとして感光体駆動モータ積算回転時間を用いる場合では、プリントが連続で行われるか、数枚ずつ行われるかで同じ積算回転時間でも、図22に示すように、プリント枚数が大きく変わるため、VL上昇速度も大きく異なる。
【0076】
本実施態様5においては、連続でプリントした場合の、感光体回転時間とVL上昇速度の関係から光照射モード実行時のVL上昇速度を予測しているため、実際の使われ方が少ない枚数のプリントを繰り返すような場合では、感光体駆動モータ回転時間に対してプリント枚数が少なくなり、予測するVL上昇速度よりも実際のVL上昇量が小さくなってしまう。つまり、光照射モード実行時間Tが短くて良いのに、無駄に光照射モードを実行することになってしまい、エネルギーを無駄使いする上に、ダウンタイムも必要以上に長くなってしまう。また同じプリント枚数でも、プリント画像の画像面積率が大きく異なる場合には、感光体12を通過する電荷量も大きく異なるため、VL上昇速度に差が生じることになる。さらに、温湿度条件が変動した場合も、予測値と実際の値にズレが生じてしまう。しかし本実施態様5においてはVLを検知しているため、適切な照射時間Tで、図14に示すように、VLの上昇を抑制することができる。なお図14は、本実施態様5における、温度:23℃、湿度:50%、感光体帯電電位:−800V、書込み光量:110μW、書込みパターン:黒ベタ、転写電流:130μAという条件で印刷を行った場合の走行時間とVL上昇量の関係を表したグラフである。
【0077】
−実施態様6−
この実施態様6も、作像(プリント)時には、感光体12を線速630mm/secで回転駆動し、感光体帯電電位:−800V,光除電装置17の光量:1.0W/mという条件で、感光体12の帯電および除電を連続して行う。すなわち既定の作像条件でプリントする。
【0078】
実施態様6は、実施態様5において、光除電装置17の光量を可変とする代わりに、図9に示すように、感光体12回転方向における現像装置14と転写・搬送装置15の間に、光照射装置8を備え、光照射モード実行時に、光除電装置17の代わりにこの光照射装置8によって光照射を行うことによって、光除電装置17の光量を可変としなくても、光照射によるVL低下が達成できる構成となっている。光照射モード実行時間Tは、実施形態5と同様に(2)式から算出する。光量およびBの値は、実施形態5と同様、30W/m、0.016である。
【0079】
すなわち実施態様6では、マシン設置時や出荷時、感光体交換時等の初期時点にCPU60が、感光体12に対して、帯電とVL検出パターンの書込みを行い、VLを検知し不揮発メモリ69に記憶する。このVLをVLiと表す。そしてプリント枚数積算値を初期化(0にリセット)する。その後CPU60は、プリント(作像)のたびにプリント枚数積算値をカウントアップし、該積算値が1000を超えたプリント終了時(終了直後)および電源投入時(投入直後)に、上記初期時点のときと同様に、帯電とVL検出パターンの書込みを行い、VLを検知する。このVLをVLsと表す。そしてΔVL=VLs−VLiを算出し、ΔVLが正かつ設定値以上であると、光照射モード実行時の光照射装置8の光量:30W/mでのVL低下速度絶対値B(図5)を用いて、光照射モード実行時間T=ΔVL/Bを算出して、既定の作像条件の感光体移動速度:線速630mm/secで感光体12を回転駆動し、感光体12は帯電しないで、光除電装置17は消灯するが、光照射装置8の光量:30W/mという条件で感光体12を除電し、該時間Tが経過すると該除電を停止し、前記プリント枚数積算値を初期化(0にリセット)する。以降も、プリント(作像)のたびにプリント枚数積算値をカウントアップし、該積算値が1000を超えたプリント終了時(終了直後)および電源投入時(投入直後)に、上記光照射モードを実行する。
【0080】
このような構成としたことにより、光除電装置17の光量を可変とせずに、図16に示すように実施態様5と同様にVLの上昇を抑制することができる。なお、図16は実施態様6における、温度:23℃、湿度:50%、感光体帯電電位:−800V、書込み光量:110μW、書込みパターン:黒ベタ、転写電流:130μAという条件で印刷を行った場合の感光体回転時間とVL上昇量の関係を表したグラフである。また、光照射装置を複数個備えることによって、VLを低下させるのに必要な時間を短くし、ダウンタイムを短縮することも可能である。
【0081】
−実施態様7−
この実施態様7も、作像(プリント)時には、感光体12を線速630mm/secで回転駆動し、感光体帯電電位:−800V,光除電装置17の光量:1.0W/mという条件で、感光体12の帯電および除電を連続して行う。すなわち既定の作像条件でプリントする。
【0082】
実施態様7は、光照射装置8を備える実施態様6においてさらに、光除電装置17の光量を可変とし、光照射モード実行時には、光除電装置17と光照射装置8によって光照射を行う構成となっている。光照射モード実行時間は、実施態様5と同様に(2)式から算出する。またBの値は、図11に示す光除電装置17と光照射装置8の光量の和毎の光照射時間とVLの関係を測定した結果から導き出す。本実施態様7においては、光除電装置17の光量:30W/m、光照射装置8の光量:30W/mとした。よって図11より本実施態様7におけるBの値は、0.0345となっている。Bの値が実施態様5,6と比較して2倍程度であるため、光照射モード実行時間は実施態様5,6と比較して1/2程度で済む。
【0083】
すなわち実施態様7では、マシン設置時や出荷時、感光体交換時等の初期時点にCPU60が、感光体12に対して、帯電とVL検出パターンの書込みを行い、VLを検知し不揮発メモリ69に記憶する。このVLをVLiと表す。そしてプリント枚数積算値を初期化(0にリセット)する。その後CPU60は、プリント(作像)のたびにプリント枚数積算値をカウントアップし、該積算値が1000を超えたプリント終了時(終了直後)および電源投入時(投入直後)に、上記初期時点のときと同様に、帯電とVL検出パターンの書込みを行い、VLを検知する。このVLをVLsと表す。そしてΔVL=VLs−VLiを算出し、ΔVLが正かつ設定値以上であると、光照射モード実行時の光除電装置19と光照射装置8の光量和:60W/mでのVL低下速度絶対値B(図11)を用いて、光照射モード実行時間T=ΔVL/Bを算出して、感光体12を既定の作像条件の線速630mm/secで回転駆動し、感光体12は帯電しないで、光除電装置17の光量:30W/mおよび光照射装置8の光量:30W/mという条件で感光体12を除電し、該時間Tが経過すると該除電を停止し、前記プリント枚数積算値を初期化(0にリセット)する。以降も、プリント(作像)のたびにプリント枚数積算値をカウントアップし、該積算値が1000を超えたプリント終了時(終了直後)および電源投入時(投入直後)に、上記光照射モードを実行する。
【0084】
このような構成としたことにより、図17に示すように実施態様5,6と同様の効果をより短いダウンタイムで実現できる。なお、図17は本実施態様における、温度:23℃、湿度:50%、感光体帯電電位:−800V、書込み光量:110μW、書込みパターン:黒ベタ、転写電流:130μAという条件で印刷を行った場合の感光体回転時間とVL上昇量の関係を表したグラフである。
【0085】
−実施態様8−
この実施態様8も、感光体12を線速630mm/secで回転駆動し、感光体帯電電位:−800V,光除電装置17の光量:1.0W/mという条件で、感光体12の帯電および除電を連続して行う。すなわち既定の作像条件でプリントする。
【0086】
実施態様8は、光除電装置17の光量を可変とした。CPU60は、感光体初期のVRを不揮発メモリに記憶する機能を備え、マシン設置時や出荷時、感光体交換時等に、この感光体初期のVRを検出して記憶する「初期値設定モード」を実行することにより感光体初期のVRを記憶する。
【0087】
さらにVR検知は、積算1000プリントを超えたプリント終了時および電源投入時にも行う。なお、VR検知後は積算1000プリントをカウントするカウンタはリセットする。この検知したVRが、不揮発メモリ69記憶された感光体初期のVRよりも高かった場合、その差ΔVRに応じて光照射モードを実行する。
【0088】
ここでの光照射モードも、帯電や書込み、現像、転写等を行わずに、感光体12と光除電装置17のみを駆動させる除電モードであり、光照射モード実行中は光除電装置17の光量を大に変更し、感光体12に光を照射し続ける。この光照射モードの実行時間Tは、以下に示す(3)式に基づいて算出する。なお、(3)式のCは、実施態様1のBと同様にして測定する、図15に示す単位時間あたりのVR低下量絶対値すなわちVR低下速度絶対値、である。本実施態様8においては、光照射モード実行時の光除電装置17の光量を30W/mとした。よって図15より本実施態様におけるCの値は、0.016となっている。
T=ΔVR/C ・・・(3)
すなわち実施態様8では、マシン設置時や出荷時、感光体交換時等の初期時点にCPU60が、感光体12のVRを検知し不揮発メモリ69に記憶する。このVRをVRiと表す。そしてプリント枚数積算値を初期化(0にリセット)する。その後CPU60は、プリント(作像)のたびにプリント枚数積算値をカウントアップし、該積算値が1000を超えたプリント終了時(終了直後)および電源投入時(投入直後)に、上記初期時点のときと同様に、VRを検知する。このVRをVRsと表す。そしてΔVR=VRs−VRiを算出し、ΔVRが正かつ設定値以上であると、光照射モード実行時の光除電装置17の光量:30W/mでのVR低下速度絶対値C(図15)を用いて、光照射モード実行時間T=ΔVR/Cを算出して、感光体12を既定の作像条件の線速630mm/secで回転駆動し、感光体12は帯電しないで、光除電装置17の光量:30W/mという条件で感光体12を除電し、該時間Tが経過すると該除電を停止し、前記プリント枚数積算値を初期化(0にリセット)する。以降も、プリント(作像)のたびにプリント枚数積算値をカウントアップし、該積算値が1000を超えたプリント終了時(終了直後)および電源投入時(投入直後)に、上記光照射モードを実行する。
【0089】
このような構成としたことにより、実施態様5のように積算1000プリントを超えたプリント終了時および電源投入時の検知タイミング毎にVLパターンを作成する必要がないため、ダウンタイムを低減することができ、かつ図18に示すように、VRの上昇を抑制することができる。なお図18は、本実施態様8における、温度:23℃、湿度:50%、感光体帯電電位:−800V、書込み光量:110μW、書込みパターン:黒ベタ、転写電流:130μAという条件で印刷を行った場合の感光体回転時間とVR上昇量の関係を表したグラフである。
【0090】
−実施態様9−
この実施態様9も、作像(プリント)時には、感光体12を線速630mm/secで回転駆動し、感光体帯電電位:−800V,光除電装置17の光量:1.0W/mという条件で、感光体12の帯電および除電を連続して行う。すなわち既定の作像条件でプリントする。
【0091】
実施態様9は、実施態様8において、光除電装置17の光量を可変とする代わりに、図9に示すように感光体12回転方向における現像装置14と転写・搬送装置15の間に光照射装置8を備え、光照射モード実行時に、光除電装置17の代わりにこの光照射装置8によって光照射を行うことによって、光除電装置17の光量を可変としなくても、光照射によるVR低下を達成する構成となっている。光照射モード実行時間Tは、実施態様8と同様に(3)式から算出する。光照射装置8k光量およびCの値は、実施態様8と同様、30W/m、0.016である。
【0092】
すなわち実施態様9では、マシン設置時や出荷時、感光体交換時等の初期時点にCPU60が、感光体12のVRを検知し不揮発メモリ69に記憶する。このVRをVRiと表す。そしてプリント枚数積算値を初期化(0にリセット)する。その後CPU60は、プリント(作像)のたびにプリント枚数積算値をカウントアップし、該積算値が1000を超えたプリント終了時(終了直後)および電源投入時(投入直後)に、上記初期時点のときと同様に、VRを検知する。このVRをVRsと表す。そしてΔVR=VRs−VRiを算出し、ΔVRが正かつ設定値以上であると、光照射モード実行時の光照射装置8の光量:30W/mでのVR低下速度絶対値C(図15)を用いて、光照射モード実行時間T=ΔVR/Cを算出して、感光体12を既定の作像条件の線速630mm/secで回転駆動し、感光体12は帯電しないで、光照射装置8の光量:30W/mという条件で感光体12を除電し、該時間Tが経過すると該除電を停止し、前記プリント枚数積算値を初期化(0にリセット)する。以降も、プリント(作像)のたびにプリント枚数積算値をカウントアップし、該積算値が1000を超えたプリント終了時(終了直後)および電源投入時(投入直後)に、上記光照射モードを実行する。
【0093】
このような構成としたことにより、実施態様6のように、積算1000プリントを超えたプリント終了時および電源投入時の検知タイミング毎にVLパターンを作成する必要がないため、ダウンタイムを低減でき、かつ図19に示すように実施態様8と同様にVRの上昇を抑制することができる。なお、図19は本実施態様における、温度:23℃、湿度:50%、感光体帯電電位:−800V、書込み光量:110μW、書込みパターン:黒ベタ、転写電流:130μAという条件で印刷を行った場合の感光体回転時間とVL上昇量の関係を表したグラフである。また、光照射装置を複数個備えることによって、VRを低下させるのに必要な時間を短くし、ダウンタイムを短縮することも可能である。
【0094】
−実施態様10−
この実施態様10も、感光体12を線速630mm/secで回転駆動し、感光体帯電電位:−800V,光除電装置17の光量:1.0W/mという条件で、感光体12の帯電および除電を連続して行う。すなわち既定の作像条件でプリントする。
【0095】
実施態様10は、光照射装置8を備える実施態様9においてさらに、光除電装置17の光量を可変とし、光照射モード実行時には、光除電装置17と光照射装置8によって光照射を行う。光照射モード実行時間Tは、実施態様8と同様に(3)式から算出する。またCの値は、図20に示す光除電装置17と光照射装置8の光量の和毎の光照射時間とVRの関係を測定した結果から導き出す。本実施態様10においては、光除電装置17の光量:30W/m、光照射装置8の光量:30W/mとした。よって図20より本実施態様10におけるCの値は0.0345となっている。Cの値が実施態様8,9と比較して2倍程度であるため、光照射モード実行時間は実施態様8,9と比較して1/2程度で済む。
【0096】
すなわち実施態様10では、マシン設置時や出荷時、感光体交換時等の初期時点にCPU60は、感光体12のVRを検知し不揮発メモリ69に記憶する。このVRをVRiと表す。そしてプリント枚数積算値を初期化(0にリセット)する。その後CPU60は、プリント(作像)のたびにプリント枚数積算値をカウントアップし、該積算値が1000を超えたプリント終了時(終了直後)および電源投入時(投入直後)に、上記初期時点のときと同様に、VRを検知する。このVRをVRsと表す。そしてΔVR=VRs−VRiを算出し、ΔVRが正かつ設定値以上であると、光照射モード実行時の光除電装置17と光照射装置8の光量和:60W/mでのVR低下速度絶対値C(図20)を用いて、光照射モード実行時間T=ΔVR/Cを算出して、感光体12を既定の作像条件の線速630mm/secで回転駆動し、感光体12は帯電しないで、光除電装置17の光量:30W/mかつ光照射装置8の光量:30W/mという条件で感光体12を除電し、該時間Tが経過すると該除電を停止し、前記プリント枚数積算値を初期化(0にリセット)する。以降も、プリント(作像)のたびにプリント枚数積算値をカウントアップし、該積算値が1000を超えたプリント終了時(終了直後)および電源投入時(投入直後)に、上記光照射モードを実行する。
【0097】
このような構成としたことにより、図21に示すように実施態様8,9と同様の効果をより短いダウンタイムで実現できる。なお、図21は本実施態様における、温度:23℃、湿度:50%、感光体帯電電位:−800V、書込み光量:110μW、書込みパターン:黒ベタ、転写電流:130μAという条件で印刷を行った場合の感光体回転時間とVL上昇量の関係を表したグラフである。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1実施例である複写機の縦断面図である。
【図2】図1に示す現像装置の拡大縦断面図である。
【図3】図1に示す複写機の機構制御システムの概要を示すブロック図である。
【図4】図1に示す感光体12の、既定の作像条件での作像の繰り返し継続時間に対する、除電後電位上昇量を示すグラフである。
【図5】図1に示す感光体12の、除電光照射時間に対するVL低下量を示すグラフである。
【図6】図1に示す感光体12の、除電光量に対するVL低下速度絶対値Bを示すグラフである。
【図7】図1に示す感光体12の、作像の繰り返し継続時間に対するVL上昇量を、3種の除電光量につき示すグラフである。
【図8】図1に示す感光体12の、所定タイミングで光照射モードを実行する実施態様2での、作像の繰り返し継続時間に対するVL上昇量を示すグラフである。
【図9】図1に示す複写機にさらに光照射装置8を付加した、第2実施例である複写機の、現像装置14部の拡大断面図である。
【図10】第2実施例である複写機の感光体12の、所定タイミングで光照射モードを実行する実施態様3での、作像の繰り返し継続時間に対するVL上昇量を示すグラフである。
【図11】第2実施例である複写機の感光体12の、除電光照射時間に対するVL低下量を示すグラフである。
【図12】第2実施例である複写機の感光体12、所定タイミングで光照射モードを実行する実施態様4での、作像の繰り返し継続時間に対するVL上昇量を示すグラフである。
【図13】図9に示す現像装置14部を、より簡易に示す断面図である。
【図14】第1実施例の複写機の感光体12の、所定タイミングで光照射モードを実行する実施態様5での、作像の繰り返し継続時間に対するVL上昇量を示すグラフである。
【図15】図1に示す感光体12の、除電光照射時間に対するVR低下量Cを示すグラフである。
【図16】第2実施例である複写機の感光体12の、所定タイミングで光照射モードを実行する実施態様6での、作像の繰り返し継続時間に対するVL上昇量を示すグラフである。
【図17】第2実施例である複写機の感光体12の、所定タイミングで光照射モードを実行する実施態様7での、作像の繰り返し継続時間に対するVL上昇量を示すグラフである。
【図18】第1実施例の複写機の感光体12の、所定タイミングで光照射モードを実行する実施態様8での、作像の繰り返し継続時間に対するVL上昇量を示すグラフである。
【図19】第2実施例である複写機の感光体12の、所定タイミングで光照射モードを実行する実施態様9での、作像の繰り返し継続時間に対するVL上昇量を示すグラフである。
【図20】第2実施例である複写機の感光体12の、除電光照射時間に対するVR低下量Cを示すグラフである。
【図21】第2実施例である複写機の感光体12の、所定タイミングで光照射モードを実行する実施態様10での、作像の繰り返し継続時間に対するVL上昇量を示すグラフである。
【図22】図1に示す感光体12を駆動するモータの回転時間およびプリントモードとプリント枚数の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0099】
8:光照射装置
9:電位センサ 10:プリンタ
12:感光体 13:帯電装置
14:現像装置 15:転写・搬送装置
16:クリーニング装置
17:光除電装置 18:レーザ書込み装置
20:光源 21:走査用の回転多面鏡
22:ポリゴンモータ
23:走査光学系 25:定着装置
26:定着ローラ 27:加圧ローラ
30:原稿スキャナ
31:光源 32:ミラー
33:結像レンズ 34:イメージセンサ
51:現像ローラ 53:ブラシローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、光照射により感光体表面の残留電荷を除電する光除電装置を備える電子写真式画像形成装置において、
作像の繰返しが連続すると前記感光体に残留電位上昇を生じる、感光体速度,作像用感光体帯電電位および作像後除電光量でなる、既定の作像条件で、前記感光体を駆動し帯電し前記光除電装置で除電する場合の、VL又はVRの上昇速度絶対値Aに対して、帯電は行わずに前記感光体を前記感光体速度で駆動し前記光除電装置から光を前記感光体に照射した場合のVL又はVRの低下速度絶対値B又はCが、等しいか大きくなる光量を、前記光除電装置から感光体に照射することを特徴とする、電子写真式画像形成装置:
VL:前記感光体を露光しベタ画像を形成する際のベタ画像部の感光体表面電位
VR:除電後の感光体表面残留電位。
【請求項2】
感光体と、光照射により感光体表面の残留電荷を除電する照射光量が可変の光除電装置を備える電子写真式画像形成装置において、
既定の作像条件で作像をおこない、該作像の積算時間が設定値を超えた作像終了時に、該作像終了時の積算時間の間のVL上昇量ΔVL=∫Aを、既定の作像条件での前記光除電装置の光量でのVL上昇速度Aと前記終了時の積算時間に基づいて算出し、前記既定の作像条件での前記光除電装置の光量より大きい光照射モード光量でのVL低下速度絶対値Bを用いて、光照射モード実行時間T=ΔVL/Bを算出し、前記感光体を駆動し感光体は帯電しないで、前記光除電装置の光量を前記光照射モード光量として感光体を除電し、前記時間Tが経過すると該除電を停止し、前記作像の積算時間を初期化する、ことを特徴とする電子写真式画像形成装置。
【請求項3】
感光体と、光除電装置以外に光除電装置と同様に感光体に光を照射する光照射装置を少なくとも1つ備える電子写真式画像形成装置において、
既定の作像条件で作像をおこない、該作像の積算時間が設定値を超えた作像終了時に、該作像終了時の積算時間の間のVL上昇量ΔVL=∫Aを、既定の作像条件での前記光除電装置の光量でのVL上昇速度Aと前記終了時の積算時間に基づいて算出し、前記既定の作像条件での前記光除電装置の光量より大きい光照射モード光量でのVL低下速度絶対値Bを用いて、光照射モード実行時間T=ΔVL/Bを算出し、前記感光体を駆動し感光体は帯電しないで、前記光照射装置の光量を前記光照射モード光量として感光体を除電し、前記時間Tが経過すると該除電を停止し、前記作像の積算時間を初期化する、ことを特徴とする電子写真式画像形成装置。
【請求項4】
感光体と、照射光量が可変の光除電装置と、光除電装置以外に光除電装置と同様に感光体に光を照射する光照射装置を少なくとも1つ備える電子写真式画像形成装置において、
既定の作像条件で作像をおこない、該作像の積算時間が設定値を超えた作像終了時に、該作像終了時の積算時間の間のVL上昇量ΔVL=∫Aを、既定の作像条件での前記光除電装置の光量でのVL上昇速度Aと前記終了時の積算時間に基づいて算出し、前記既定の作像条件での前記光除電装置の光量より大きい、前記光除電装置の光量と前記光照射装置の光量の和でなる光照射モード光量でのVL低下速度絶対値Bを用いて、光照射モード実行時間T=ΔVL/Bを算出し、前記感光体を駆動し感光体は帯電しないで、前記光除電装置と光照射装置で前記光照射モード光量の感光体除電をおこない、前記時間Tが経過すると該除電を停止し、前記作像の積算時間を初期化する、ことを特徴とする電子写真式画像形成装置。
【請求項5】
感光体と、感光体の表面電位を検知する表面電位検知装置と、検知した表面電位を記憶する表面電位記憶手段と、照射光量が可変の光除電装置を備える電子写真式画像形成装置において、
既定の作像条件で作像をおこない、該作像の枚数積算値が設定値を超えた作像終了時に、VLを検知して検出値VLsの、前記表面電位記憶手段に記憶している感光体初期時点のVL検出値VLiに対する上昇量ΔVL=VLs−VLiを算出し、前記既定の作像条件での前記光除電装置の光量より大きい光照射モード光量でのVL低下速度絶対値Bを用いて、光照射モード実行時間T=ΔVL/Bを算出し、前記感光体を駆動し感光体は帯電しないで、前記光除電装置で前記光照射モード光量で感光体を除電し、該時間Tが経過すると該除電を停止し、前記枚数積算値を初期化する、ことを特徴とする電子写真式画像形成装置。
【請求項6】
感光体と、感光体の表面電位を検知する表面電位検知装置と、検知した表面電位を記憶する表面電位記憶手段と、光除電装置以外に光除電装置と同様に感光体に光を照射する光照射装置を少なくとも1つ備える電子写真式画像形成装置において、
既定の作像条件で作像をおこない、該作像の枚数積算値が設定値を超えた作像終了時に、VLを検知して検出値VLsの、前記表面電位記憶手段に記憶している感光体初期時点のVL検出値VLiに対する上昇量ΔVL=VLs−VLiを算出し、前記既定の作像条件での前記光除電装置の光量より大きい光照射モード光量でのVL低下速度絶対値Bを用いて、光照射モード実行時間T=ΔVL/Bを算出し、前記感光体を駆動し感光体は帯電しないで、前記光照射装置で前記光照射モード光量で感光体を除電し、該時間Tが経過すると該除電を停止し、前記枚数積算値を初期化する、ことを特徴とする電子写真式画像形成装置。
【請求項7】
感光体と、感光体の表面電位を検知する表面電位検知装置と、検知した表面電位を記憶する表面電位記憶手段と、照射光量が可変の光除電装置と、光除電装置以外に光除電装置と同様に感光体に光を照射する光照射装置を少なくとも1つ備える電子写真式画像形成装置において、
既定の作像条件で作像をおこない、該作像の枚数積算値が設定値を超えた作像終了時に、VLを検知して検出値VLsの、前記表面電位記憶手段に記憶している感光体初期時点のVL検出値VLiに対する上昇量ΔVL=VLs−VLiを算出し、前記既定の作像条件での前記光除電装置の光量より大きい、前記光除電装置の光量と前記光照射装置の光量の和でなる光照射モード光量でのVL低下速度絶対値Bを用いて、光照射モード実行時間T=ΔVL/Bを算出し、前記感光体を駆動し感光体は帯電しないで、前記光除電装置と光照射装置で前記光照射モード光量の感光体除電をおこない、前記時間Tが経過すると該除電を停止し、前記枚数積算値を初期化する、ことを特徴とする電子写真式画像形成装置。
【請求項8】
感光体と、感光体の表面電位を検知する表面電位検知装置と、検知した表面電位を記憶する表面電位記憶手段と、照射光量が可変の光除電装置を備える電子写真式画像形成装置において、
既定の作像条件で作像をおこない、該作像の枚数積算値が設定値を超えた作像終了時に、VRを検知して検出値VRsの、前記表面電位記憶手段に記憶している感光体初期時点のVR検出値VRiに対する上昇量ΔVR=VRs−VRiを算出し、前記既定の作像条件での前記光除電装置の光量より大きい光照射モード光量でのVR低下速度絶対値Cを用いて、光照射モード実行時間T=ΔVR/Cを算出し、前記感光体を駆動し感光体は帯電しないで、前記光除電装置で前記光照射モード光量で感光体を除電し、該時間Tが経過すると該除電を停止し、前記枚数積算値を初期化する、ことを特徴とする電子写真式画像形成装置。
【請求項9】
感光体と、感光体の表面電位を検知する表面電位検知装置と、検知した表面電位を記憶する表面電位記憶手段と、光除電装置以外に光除電装置と同様に感光体に光を照射する光照射装置を少なくとも1つ備える電子写真式画像形成装置において、
既定の作像条件で作像をおこない、該作像の枚数積算値が設定値を超えた作像終了時に、VRを検知して検出値VRsの、前記表面電位記憶手段に記憶している感光体初期時点のVR検出値VRiに対する上昇量ΔVR=VRs−VRiを算出し、前記既定の作像条件での前記光除電装置の光量より大きい光照射モード光量でのVR低下速度絶対値Cを用いて、光照射モード実行時間T=ΔVR/Cを算出し、前記感光体を駆動し感光体は帯電しないで、前記光照射装置で前記光照射モード光量で感光体を除電し、該時間Tが経過すると該除電を停止し、前記枚数積算値を初期化する、ことを特徴とする電子写真式画像形成装置。
【請求項10】
感光体と、感光体の表面電位を検知する表面電位検知装置と、検知した表面電位を記憶する表面電位記憶手段と、照射光量が可変の光除電装置と、光除電装置以外に光除電装置と同様に感光体に光を照射する光照射装置を少なくとも1つ備える電子写真式画像形成装置において、
既定の作像条件で作像をおこない、該作像の枚数積算値が設定値を超えた作像終了時に、VRを検知して検出値VRsの、前記表面電位記憶手段に記憶している感光体初期時点のVR検出値VRiに対する上昇量ΔVR=VRs−VRiを算出し、前記既定の作像条件での前記光除電装置の光量より大きい、前記光除電装置の光量と前記光照射装置の光量の和でなる光照射モード光量でのVR低下速度絶対値Cを用いて、光照射モード実行時間T=ΔVR/Cを算出し、前記感光体を駆動し感光体は帯電しないで、前記光除電装置と光照射装置で前記光照射モード光量の感光体除電をおこない、前記時間Tが経過すると該除電を停止し、前記枚数積算値を初期化する、ことを特徴とする電子写真式画像形成装置。
【請求項11】
前記感光体は、電荷発生材料を含有する有機感光体である、請求項1乃至10のいずれか1つに記載の電子写真式画像形成装置。
【請求項12】
前記感光体は、電荷発生材料としてフタロシアニン類を含有する有機感光体である、請求項1乃至10のいずれか1つに記載の電子写真式画像形成装置。
【請求項13】
前記感光体は、電荷発生材料としてチタニルフタロシアニンを含有する有機感光体である、請求項1乃至10のいずれか1つに記載の電子写真式画像形成装置。
【請求項14】
前記既定の作像条件は、作像用感光体帯電電位:−800V、作像後除電光量:1W/m、を含む、請求項1乃至13のいずれか1つに記載の電子写真式画像形成装置。
【請求項15】
前記既定の作像条件は、感光体移動速度:630mm/secを含む、請求項14に記載の電子写真式画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−49190(P2010−49190A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215636(P2008−215636)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】