説明

電子写真画像形成装置

【課題】 電子写真画像形成装置において、ロータリの移動に応じて、電子写真画像形成装置本体の駆動軸の軸線と直交する方向から取り付け及び取り外されるカップリング部材を有する、現像カートリッジの構成が知られている。
上記構成に関して、低温環境において前記駆動軸と前記カップリング部材との連結が解除される際に、ロータリの回転負荷が上昇する場合がある。
本発明の目的は、低温環境において前記駆動軸と前記カップリング部材との連結が解除される際の、ロータリ回転負荷上昇を低減する電子写真画像形成装置を提供することである。
【解決手段】 前記課題は、前記カップリング部材との連結が解除される際のロータリ駆動を、低温環境以外においては加速状態とし、低温環境においては一定速度とすることによって実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置を用いる電子写真画像形成装置に関するものである。
【0002】
電子写真画像形成装置は、電子写真画像形成プロセスを用いて記録媒体に画像を形成するものである。電子写真画像形成装置としては、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(レーザービームプリンタ、LEDプリンタ等)等である。
【0003】
また、現像装置は、電子写真画像形成装置の本体に取り外し可能に装着されるものであって、前記本体に取り付けられて現像剤像を現像するためのものである。そして、ユーザーが現像装置を交換することによって、前記電子写真画像形成装置のメンテナンスを行うことができる。
【背景技術】
【0004】
複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真画像形成装置においては、ドラム形状の電子写真感光体(以下、感光体ドラムと称する)に形成された静電潜像を、現像装置を用いて現像することで現像剤像として可視化している。
【0005】
従来、複数の現像装置を用いて現像する電子写真画像形成装置において、複数個の現像装置が取り付けられた状態で移動する移動部材を電子写真画像形成装置本体に設け、移動部材の移動によって現像装置を現像位置に移動させ、感光体ドラムに形成された静電潜像を現像するものがある。このような現像装置に、回転力伝達部品が駆動伝達位置に対して傾斜可能に取り付けられる構成が知られている(例えば特許文献1)。この現像装置は現像ローラを有し、回転力伝達部品によって回転力が伝達可能である。そして、移動部材の移動に伴い、現像装置が現像位置に移動すると、電子写真画像形成装置本体に設けた駆動軸と現像装置に取り付けられた回転力伝達部品とが結合する。この際、結合前は駆動伝達位置に対して傾斜していた回転力伝達部品が、駆動軸との結合に伴い駆動伝達位置に移動する。そして、電子写真画像形成装置本体に設けられたモータの回転力を電子写真画像形成装置本体の駆動軸及び現像装置の回転力伝達部品を介して、現像装置の現像ローラに伝達する。これによって、感光体ドラムに静電潜像を現像するための現像剤を供給するための、現像ローラを回転させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許公開2008−268927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に記載された従来の構成によれば、ある色の現像装置の現像動作が終了した後、次の色の現像装置を現像位置に移動させるために、移動部材を移動させる必要がある。この移動部材の移動中に、現像装置の回転力伝達部品が駆動伝達位置に対して傾斜し、電子写真画像形成装置本体の駆動軸と現像装置の回転力伝達部品との連結が解除される。この時、図7(c)に示すように、回転力伝達部品150が平坦部150xに対して一定の角度α5(90°>α5>0°)を持った一対の回転力受け面150eによって、図7(g)に示すように本体側係合部のピン182からの駆動力を伝達される場合を考える。この場合、図25に示すように、回転力伝達部品150は駆動軸180方向に引き込まれる力F3を受けており、本体側係合部と回転力伝達部品150の連結を解除するためには、この力F3と等しい逆向きの力F5を、移動部材の移動によって回転力伝達部品150に与えなければならない。これにより、駆動軸と回転力伝達部品の連結解除時に、移動部材の移動負荷が一時的に上昇する。この移動部材の移動負荷上昇に伴い、移動部材を駆動するモータの負荷トルクが上昇する。更に、低温環境においては移動部材が移動する際の摺動部と勘合する本体の支持部の収縮や、摺動部と支持部との摺動抵抗を下げるためのグリスの粘度が低下し、移動部材が移動する際の抵抗になることなどにより、移動部材の駆動負荷が上昇する。一方で近年、装置本体の低コスト化、小型化が望まれており、移動部材を移動させるためのモータに関しても、負荷トルクの許容上限値が低い、低コスト、小型のモータの使用が要求されている。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記の従来技術の課題を解決するためのものであり、電子写真画像形成装置本体の移動部材の移動負荷上昇を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための本発明は、
記録媒体に画像を形成する電子写真画像形成装置において、
前記電子写真画像形成装置本体内の温度を検知する温度検知手段と、
現像剤を担持して回転する現像ローラと、前記現像ローラを回転させるための駆動力が伝達される駆動力被伝達部材と、を有する現像装置と、
前記現像装置を保持し、前記現像装置を、現像するための現像位置と、前記現像位置から退避した退避位置と、に移動させる移動部材と、
前記現像装置を移動させるために前記移動部材に駆動力を伝達する第一駆動力伝達部材と、
前記現像装置が前記現像位置に位置する状態で、前記駆動力被伝達部材と係合して前記駆動力被伝達部材に駆動力を伝達する第二駆動力伝達部材と、
前記温度検知手段によって検知された温度に基づいて前記第一駆動力伝達部材を制御可能な制御手段と、
を有し、
前記温度検知手段によって検知される温度がT1の際であって前記現像装置が前記現像位置から前記退避位置に移動するのに伴って前記駆動力被伝達部材が前記第二駆動力伝達部材から離脱する際に、前記現像装置が加速する加速度をα1とし、
前記温度検知手段によって検知される温度がT2の際であって前記現像装置が前記現像位置から前記退避位置に移動するのに伴って前記駆動力被伝達部材が前記第二駆動力伝達部材から離脱する際に、前記現像装置が加速する加速度をα2とした場合に、
T1<=T2の際にはα1<=α2となるように、前記制御手段が前記第一駆動力伝達部材を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低温環境において、現像装置の駆動力被伝達部材が電子写真画像形成装置本体の駆動力伝達部材から離脱する際の移動部材の移動負荷上昇を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る実施例を適用した、現像装置の側断面図である。
【図2】本発明に係る実施例を適用した、現像装置の斜視図である。
【図3】本発明に係る実施例を適用した、現像装置の斜視図である。
【図4】本発明に係る実施例を適用した、電子写真画像形成装置本体の側断面図である。
【図5】本発明に係る実施例を適用した、現像ローラの斜視図である。
【図6】本発明に係る実施例を適用した、回転力伝達部品の斜視図である。
【図7】本発明に係る実施例を適用した、回転力伝達部品の斜視図である。
【図8】本発明に係る実施例を適用した、駆動力伝達部材の正面図及び側断面図である。
【図9】本発明に係る実施例を適用した、現像装置の断面図である。
【図10】本発明に係る実施例を適用した、回転力伝達部品の斜視図である。
【図11】本発明に係る実施例を適用した、回転力伝達部品の縦断面図である。
【図12】本発明に係る実施例を適用した、規制部の斜視図である。
【図13】本発明に係る実施例を適用した、回転力伝達部品と規制部の位置関係を示した斜視図である。
【図14】本発明に係る実施例を適用した、弾性部材(付勢部材)と支持部材の斜視図である。
【図15】本発明に係る実施例を適用した、現像装置駆動部分の斜視図である。
【図16】本発明に係る実施例を適用した、移動部材の縦断面図である。
【図17】本発明に係る実施例を適用した、移動部材の縦断面図である。
【図18】本発明に係る実施例を適用した、移動部材の縦断面図である。
【図19】本発明に係る実施例を適用した、移動部材の縦断面図である。
【図20】本発明に係る実施例を適用した、駆動軸と回転力伝達部品との係合状態を示した縦断面図である。
【図21】本発明に係る実施例を適用した、駆動軸と回転力伝達部品との係合状態を示した縦断面図である。
【図22】本発明に係る実施例を適用した、駆動軸と回転力伝達部品の斜視図である。
【図23】本発明に係る実施例を適用した、駆動軸と回転力伝達部品が離脱する過程を示した縦断面図である。
【図24】本発明に係る実施例を適用した、駆動軸と回転力伝達部品が離脱する過程を示した縦断面図である。
【図25】従来例における、回転力伝達部品の側面図である。
【図26】従来例における、回転力伝達部品の正面図である。
【図27】従来例における、回転力伝達部品の正面図である。
【図28】本発明に係る実施例を適用した、ロータリ駆動シーケンスを示す図である。
【図29】本発明に係る実施例を適用した、ロータリ駆動トルクを示す図である。
【図30】本発明に係る実施例を適用した、ロータリ駆動トルクを示す図である。
【図31】本発明に係る他の実施例を適用した、現像装置の側断面図である。
【図32】本発明に係る他の実施例を適用した、現像装置の斜視図である。
【図33】本発明に係る他の実施例を適用した、電子写真画像形成装置の側断面図である。
【図34】本発明に係る他の実施例を適用した、回転力伝達部品の斜視図である。
【図35】本発明に係る他の実施例を適用した、移動部材の縦断面図である。
【図36】本発明に係る他の実施例を適用した、ロータリ駆動シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した実施例に係る現像装置、及び、前記現像装置を用いる電子写真画像形成装置について説明する。また、本発明を適用した実施例に係る回転力伝達部品について説明する。
【0013】
尚、本発明は電子写真画像形成装置(例えば、図4)そのものに適用される。
【実施例1】
【0014】
(1)現像装置の説明
まず、図1乃至図4を用いて、本発明の一実施例を適用した、現像装置としての現像カートリッジ(以下、「カートリッジ」と称する)Bについて説明する。図1は、カートリッジBの断面図である。図2、及び、図3はカートリッジBの斜視図である。また、図4はカラー電子写真画像形成装置本体(以下、「装置本体」と称す)Aの断面図である。
【0015】
ここで、本実施例においては、移動部材としてロータリCを一例に挙げて説明する。
【0016】
尚、カートリッジBは、ユーザーによって、装置本体Aに設けられたロータリCに取り付けられる、及び、ロータリCから取り外される。
【0017】
また、装置本体Aとは、電子写真画像形成装置100からカートリッジBを除いた構成を言う。
【0018】
図1乃至図3において、カートリッジBは現像剤tを担持する現像ローラ110を有する。現像ローラ110は、現像作用時に、装置本体Aから後述するカップリング機構により回転力を受けて回転する。
【0019】
現像剤収納枠体114には所定色の現像剤tが収納されている。即ち、枠体114は、現像剤tを収納する現像剤収納部116を有している。現像剤tは、現像室113aにおいてスポンジ状の現像剤供給ローラ115の回転によって現像ローラ110の表面に供給される。そして、この現像剤tは、薄板状の現像ブレード112と現像ローラ110との摩擦により電荷を付与され薄層化される。薄層化された現像ローラ110上の現像剤t(即ち、現像ローラ110の周面に付着した現像剤t)は、回転により現像位置に搬送される。そして、現像ローラ110に所定の現像バイアスを印加する。これにより、現像ローラ110が電子写真感光体ドラム(以下、「感光体ドラム」と称す)107に形成された静電潜像を現像する。即ち、現像ローラ110によって、現像剤tを用いて静電潜像が現像される。収納部116に収納されている現像剤tは、供給開口116aを通過して現像室113aに供給される。尚、開口116aは、開封可能に開口116aを封止するシール部材(不図示)によって封止されている。ユーザは、カートリッジBを使用するのに先立って、シール部材を引き抜いて、開口116aを開封する。これによって、収納部116内の現像剤tは、現像室113aに供給される。
【0020】
また、前記静電潜像の現像に寄与しなかった現像剤、すなわち、現像ローラ110の表面に残留した現像剤は、現像剤供給ローラ115で剥ぎ取られる。またこれと同時に、現像剤供給ローラ115によって、新しい現像剤tが現像ローラ110表面に供給される。これによって現像動作が連続的に行われる。
【0021】
尚、カートリッジBは、現像ユニット119を有する。また、現像ユニット119は、現像枠体113と現像剤収納枠体114とを有する。また、現像ユニット119は、現像ローラ110、現像ブレード112、現像剤供給ローラ115、現像室113a、及び、現像剤収納枠体114を有する。
【0022】
尚、現像ローラ110は、現像ローラ110は軸部110b、ゴム部(弾性部材)110aを有し、軸部110bは、両端の軸部110b1、110b2が、現像枠体113に軸受(不図示)を介して回転軸線L1を中心に回転可能である(図5参照)。また、ニップ幅規制部材136、137は、現像ローラ110が感光ドラム107に接触した状態で、感光ドラム107とゴム部110aとの当接によるニップ幅を一定に規制する部材である。
【0023】
ここで、カートリッジBは、ユーザーによって、装置本体Aに設けられたロータリCに設けられたカートリッジ収容部130aに取り付けられる(図4参照)。即ち、ロータリCがカートリッジBを保持する。この際に、後述するように、カートリッジBがロータリCにより所定の位置(感光体ドラム対向部)に位置決めされる。この動作に連動して、装置本体Aに設けられた第二駆動力伝達部材としての本体側係合部(駆動軸180及び/又は回転力付与部182)とカートリッジBが有する駆動力被伝達部材としての回転力伝達部品150とが結合する。そして、現像ローラ110等は装置本体Aから回転力を受けて回転する。その後、再度ロータリCが回転すると回転力伝達部品150が本体側係合部から離脱する。ここで、カートリッジB(現像ローラ110)は、収容部130aに取り付けられた状態で、ロータリCの一方向への移動に応じて、駆動軸180の回転軸線L3(図11参照)方向と実質的に直交する方向に移動する。
【0024】
尚、現像枠体113と現像剤収納枠体114は、カートリッジBの枠体である。
【0025】
(2)電子写真画像形成装置の説明
図4を用いて、カートリッジBを用いるカラー電子写真画像形成装置100について説明する。尚、以下、カラー電子写真画像形成装置100として、カラーレーザービームプリンターを例に挙げて説明する。
【0026】
図4に示すように、色の異なる現像剤t(トナー)を収納した複数のカートリッジB(B1、B2、B3、B4)をロータリC上に取り付ける。尚、カートリッジBのロータリCに対する取り付け、及び、取り外しはユーザーによって行われる。そして、モータ(不図示)からの回転力でロータリCが回転することにより、所定色の現像剤を収納したカートリッジBを感光体ドラム107に対向させる。ここで、ロータリCの回転速度は、後述のするロータリCの回転速度の時間変化を示す、ロータリ駆動シーケンスに従う。そして、カートリッジBの有する現像ローラ110により、感光体ドラム107に形成された静電潜像を現像する。次に、現像された現像像を転写ベルト104aに転写する。さらに、これらの現像転写動作を各色について行う。これにより、カラー画像を得る。以下に詳細を説明する。ここで記録媒体Sは、画像を形成することができるものであって、例えば紙、OHPシート等である。
【0027】
図4に示すように、露光手段101から画像情報に基づいた光を感光体ドラム107に照射する。これによって、感光体ドラム107に静電潜像を形成する。そして、前記潜像を現像剤を用いて、現像ローラ110によって現像する。即ち、感光体ドラム107に現像剤像を形成する。感光体ドラム107に形成された現像剤像は、中間転写体に転写される。
【0028】
次にその中間転写体である中間転写ベルト104a上に転写された現像剤像が、第二の転写手段としての二次転写ローラ104bによって記録媒体Sに転写される。そして、現像剤像が転写された記録媒体Sを、加圧ローラ105aと加熱ローラ105bとを有する定着手段105に搬送する。そして、記録媒体Sに転写された現像剤像を記録媒体Sに定着する。その後、記録媒体Sをトレイ106へ排出する。
【0029】
さらに画像形成工程を説明する。
【0030】
転写ベルト(中間転写体)104aの回転と同期して、感光体ドラム107を反時計回り(図4矢印A方向)に回転させる。そして、感光体ドラム107の表面を帯電ローラ108によって均一に帯電する。その後、露光手段101によって、画像情報に応じて、例えばイエロー画像の光照射を感光体ドラム107に行う。これによって、感光体ドラム107にイエロー色に応じた静電潜像を形成する。
【0031】
露光手段は次のように構成される。露光手段101は外部装置(不図示)から読み込んだ画像情報(色情報を含む、画像信号)に基づいて、感光体ドラム107に光照射を行う。
【0032】
この際、レーザーダイオードが画像情報に応じて発光し、ポリゴンミラーに画像光として照射する。ポリゴンミラーはスキャナモータによって高速回転し、ポリゴンミラーで反射した画像光が結像レンズ及び反射ミラーを介して感光体ドラム107の表面を選択的に露光する。これによって、感光体ドラム107に画像情報に応じた静電潜像を形成する。
【0033】
この潜像の形成と同時にロータリCを回転させる。これによって、イエローカートリッジB1を現像位置に移動させる。そして、イエローカートリッジB1の有する現像ローラ110に所定のバイアス電圧を印加し、潜像にイエロー現像剤を現像する。その後、転写ベルト104aの押えローラ(一次転写ローラ)104jに現像剤と逆極性のバイアス電圧を印加し、感光体ドラム107に形成されたイエロー色の現像剤像を中間転写ベルト104aに一次転写する。
【0034】
尚、イエローカートリッジB1は、イエロー色の現像剤を収納しているものであり、イエロー現像剤像を形成する。マゼンタカートリッジB2は、マゼンタ色の現像剤を収納しているものであり、マゼンタ現像剤像を形成する。シアンカートリッジB3は、シアン色の現像剤を収納しているものであり、シアン現像剤像を形成する。ブラックカートリッジB4は、ブラック色の現像剤を収納しているものであり、ブラック現像剤像を形成する。各カートリッジBは、収納している現像剤の色が異なるのみで、構成は同じである。
【0035】
上述のようにイエロー現像剤像の一次転写が終了すると、ロータリCが図4に示す矢印X4方向に再び回転する。そして、次のマゼンタカートリッジB2が移動し、感光体ドラム107に対向した位置に位置決めされる。以上の工程を、マゼンダ、シアン、そしてブラックの各色について繰り返すことによって、転写ベルト104a上に4色の現像剤像を重ね合わせる。
【0036】
この間、二次転写ローラ104bは、転写ベルト104aとは非接触状態である。この時、クリーニング帯電ローラ104fも転写ベルト104aとは非接触状態である。
【0037】
そして、転写ベルト104a上に4色の現像剤像が形成された後、転写ローラ104bが転写ベルト104aに圧接される(図4)。更に転写ローラ104bの圧接と同期して、レジストローラ対103e近傍で待機していた記録媒体Sが、転写ベルト104aと転写ローラ104bのニップ部に送り出される。そして、同時に次の記録媒体Sが搬送手段103としての給送ローラ103bによってカセット103aから搬送される。
【0038】
ここで、レジストローラ対103eの直前にはセンサ(不図示)が配置されている。センサは、記録媒体Sの先端を検知して、レジストローラ対103eの回転を停止し、記録媒体Sを所定の位置で待機させる。
【0039】
また、転写ローラ104bには、現像剤と逆極性のバイアス電圧が印加される。これによって、転写ベルト104a上の現像剤像が、搬送されてきた記録媒体Sに一括して二次転写される。
【0040】
現像剤像が転写された記録媒体Sは、定着手段105に搬送される。これによって、記録媒体Sに現像剤像の定着が行われる。そして、定着が行われた記録媒体Sは、排出ローラ対103gによって、装置本体上部の排出トレイ106に排出される。これによって、記録媒体Sに対する画像の形成が完了する。
【0041】
一方、二次転写終了後に、クリーニング帯電ローラ104fが転写ベルト104aに圧接される。これによって、ベルト104aの表面に残留した現像剤に、所定のバイアス電圧が印加される。そして残留電荷が除電される。
【0042】
除電された残留現像剤は、一次転写ニップ部を介してベルト104aから感光体ドラム107へ静電気的に再転写される。これによって、ベルト104aの表面がクリーニングされる。なお、感光体ドラム107に再転写された二次転写後の残留現像剤は、感光体ドラム107に接触しているクリーニングブレード117aによって除去される。この除去された現像剤は、搬送経路(不図示)をたどり、除去現像剤ボックス107dに回収される。
【0043】
(3)駆動伝達機構(回転力伝達機構)の説明
図6において、現像ギア145は現像ローラ110の同軸上端部に、及び、現像剤供給ギア146は、供給ローラ115(図1)の同軸上端部にそれぞれ配置され、固定されている。そして、現像ギア145と現像剤供給ギア146は、駆動力伝達部材(以下、「駆動入力ギア」と称する)147と噛み合っている。これによって、装置本体Aから駆動力被伝達部材としての回転力伝達部品(以下、「カップリング」と称する)150が受けた回転力は、現像ギア145を介して現像ローラ110に、及び、現像剤供給ギア146を介して現像剤供給ローラ115に伝達される。尚、カップリング部材としてのカップリング150が装置本体Aから受けた回転力は、現像ローラ110、及び、現像剤供給ローラ115以外の回転部材に伝達しても良い。
【0044】
次に、カップリング150を取り付けられた駆動入力ギア147について説明する。
【0045】
図6に示すように、駆動入力ギア147は現像ギア145、現像剤供給ギア146と噛み合う位置で回転可能に現像ユニット119に取り付けられている。駆動入力ギア147は、現像ギア部(第1ギア部)147a及び現像剤供給ギア部(第2ギア部)147bを有し、それぞれ現像ギア145および現像剤供給ギアと噛合している。そして、カップリング150が装置本体Aから受けた回転力を現像ローラ110と現像剤供給ローラ115に伝える。また、駆動入力ギア147は、その内部にカップリング取り付け部(カップリング収納部)147jを有している(図8参照)。取り付け部147jは、カップリング150の有する駆動部150bを収納している(取り付けている)。カップリング150は駆動入力ギア147の内側に設けられた抜け止め部147k(147k1、147k2、147k3、147k4)によって、駆動入力ギア147に対し図8(f)矢印X34方向への移動を規制されている。また、カップリング150は、取り付け部147jに対して、駆動入力ギア147の回転軸線L4(図8(c)(d))に対して傾斜可能に取り付けられている。即ち、カップリング150は、抜け止め部147kによって、取り付け部147jに対して、駆動部150bが後述する被駆動部150aの方向へ移動を規制された状態で、かつ、軸線L4に対して傾斜可能に取り付けられている。
【0046】
尚、軸線L4は、現像ローラ110の回転軸線L1(図5参照)と平行である。
【0047】
更にカートリッジBは現像枠体113と支持部材157とを有しており、現像枠体113に支持部材157が取り付けられている(図2参照)。
【0048】
支持部材157には穴157jが設けられており、その内周の軸線L4方向に突出したカップリング抜け止め部157aが駆動入力ギア147と嵌合している(図8(d)(e)参照)。
【0049】
(4)回転力伝達部品(カップリング、カップリング部材)の説明
次に、図7を用いて、本発明を適用した一実施例である回転力伝達部品であるカップリング(カップリング部材)の一例について説明する。図7(a)はカップリング150を装置本体側から見た斜視図であり、図7(b)はカップリング150を現像ローラ側から見た斜視図である。また、図7(c)はカップリング150を回転軸線L2方向と直交する方向から見た図である。また、図7(d)はカップリング150を装置本体側から見た側面図であり、図7(e)は図7(d)と逆側から見た側面図である。また、図7(f)は図7(d)をS3で切った断面を矢印S31方向から見た図である。図7(g)はカップリングが駆動軸と係合した状態を、図7(c)と同様の方向から見た図である。
【0050】
カートリッジBは、収容部130aに取り付けられた状態で、ロータリCの回転に応じて、駆動軸180の回転軸線L3方向と実質的に直交する方向に移動する。そして、ロータリCの一方向への回転に応じて、カップリング150は、本体側係合部(ピン182及び又は駆動軸180)と係合する、また、本体側係合部から離脱する。
【0051】
ここで、カップリング150の材質は樹脂が望ましく、例えばポリアセタールが望ましい。なぜならば、剛性、靭性、加工性のバランスが、本実施例に適しているためである。但し、カップリング150の剛性を上げるために、負荷トルクに応じて、樹脂にガラス繊維等を配合して剛性を上げても良い。また、金属材料を使用しても良い。その材質は、適宜選択可能である。但し、樹脂であれば加工が行い易いため、本実施例の各カップリングは樹脂製である。
【0052】
カップリング150は主に3つの部分を有する。第一の部分は、被駆動部150aであり、図7(h)に示すように、駆動軸180(後述する)と係合する。そして、被駆動部150aは、駆動軸180に設けられた回転力付与部(本体側回転力伝達部)であるピン182と係合して、ピン182から回転力を受ける。また第二の部分は、駆動部150bであり、駆動部150bに設けられたピン(回転力伝達部)155が駆動入力ギア(回転力受け部、回転力被伝達部)147の取り付け部147jと係合して、回転力をギア147に伝える。また、第三の部分は、被駆動部150aと駆動部150bとをつなぐ中間部150cである。
尚、ピン182は、駆動軸180の回転軸線L3と直交する方向に向い合って2箇所突出して設けられている(182a1、182a2)(図11)。
【0053】
図7(f)に示すように、被駆動部150aは、カップリング150の回転軸線L2に対して広がった駆動軸挿入開口部150mを有する。また、駆動部150bは、球状の球面形状部150i、ピン155、およびカップリング被規制部150jを有する。ここで、被規制部150jは、軸線L2と略同軸線上にあり、後述する被規制部収納部160b(図12)と係合する。これによって、被規制部150jは、軸線L2の傾斜方向を規制することができる。尚、詳細は後述する。
【0054】
開口部150mは、駆動軸180側に向かって(駆動入力ギア147の設けられている側とは反対側に向かって)拡開した円錐形状の駆動軸受け面150fを有する。駆動軸受け面150fは、図7(f)に示すように凹部150zを構成している。尚、凹部150zは、軸線L2方向において、駆動入力ギア147の設けられている側とは反対側に開口部150m(開口)を有する。
【0055】
これにより、現像ローラ110のカートリッジB内での回転位相に関わらず、駆動軸180の先端部180bに阻止されることなく、カップリング150が駆動軸180の回転軸線L3に対して移動(傾動)できる。即ち、カップリング150は、係合前角度位置(図20(a)に示す位置)、回転力伝達角度位置(図20(d)に示す位置)、及び、離脱角度位置(図23(c)(d)に示す位置)の間を移動(傾動)できる。
【0056】
尚、詳細は後述する。
【0057】
そして、円形の凹部150zの端面であって、軸線L2を中心とする円周上には、2個の突起(突出部)(係合部)150d(150d1、150d2)が等間隔に軸線L2を中心として対称に配置されている。また、各々の突起150dの間には、進入部150k(150k1、150k2)が設けられている。ここで、進入部150k(150k1、150k2)は、駆動軸180に設けられたピン182が位置できるように、ピン182の外径よりも大きく設定されている。尚、ピン182が回転力回転力付与部である。この突起の間が、カップリング150に駆動軸180から回転力が伝達される際には、進入部150k1、150k2にピン182が位置する。更に、図7(d)において、各突起150dの時計周りの方向において、その下流側には、回転力受け面(回転力受け部)150e(150e1、150e2)が設けられている。この回転力受け面150eは、カップリング150の回転方向と交差して設けられている。即ち、突起150d1には受け面150e1、及び、突起150d2には受け面150e2が設けられている。駆動軸180が回転している状態では、ピン182a1、182a2が、それぞれ受け面150eのいずれかに接触し、カップリング150は、軸線L2を中心にして回転する。
【0058】
尚、本実施例においては、突起150d(回転力受け面150e)を軸線L2を中心とする仮想円周上に配置し、かつ、前記中心を挟んで向い合って配置している。従って、カップリング150には、駆動軸180から均等に力が伝達されることになる。これによって、カップリング150は安定して精度良く回転することができる。また、本実施例においては、突起150d(回転力受け面150e)は、2箇所のみとしたので、進入部150kの間隔を広くすることができる。これによって、進入部150kにピン182が進入し易い。従って、回転力受面150eとピン182とを確実に接触させることができる。
【0059】
尚、駆動軸受け面150fは、図7(f)に示すように、軸線L2を中心にして先端の角度がα2の円錐となっている。これにより、カップリング150と駆動軸180が係合し、カップリング150が回転力伝達角度位置にある場合に、駆動軸の先端180b(図20参照)が駆動軸受け面150fに接触する。そして、円錐の軸、即ちカップリング150の軸線L2と、駆動軸180の軸線L3(図22参照)とが略同軸線となる。これによって、カップリング150と駆動軸180とが調芯され、カップリング150に伝達される回転トルクが安定する。本実施例において、α2は60°〜150°である。α2の角度によって、開口部150mの平坦部150x(図7(a)、図7(d))は、広い場合(図8(c)参照)や、存在しない場合がある。
【0060】
また、回転力受け面150eは軸線L2上に中心を有する仮想円上(同一円周上)C1に配置されていることが望ましい(図7(d))。これにより、回転力伝達半径が一定となり、伝達される回転トルクが安定する。また、突起150dは、カップリング150の受ける力の釣り合いにより、カップリング150の位置ができるだけ安定する方が好ましい。そのため本実施例では、各回転力受け面150eを180°対向した位置に配置している。
【0061】
更に、本実施例においては、回転力受け面150eが、平坦部150xに対して一定の角度α5をもって面している(図7(c)参照)。ここで、90°>α5>0°である。回転力受け面150eがピン182から駆動力F2を受ける際、図7(g)に示すように、角度αによって、カップリング150に軸線L2方向の分力F3が発生する。この分力F3によって、カップリング150が、駆動軸180の方に引き込まれる。すなわち、カップリング150が駆動軸180方向に移動する。こうすることにより、凹部150zが駆動軸先端部180bと係合し易くなり、カップリング150と駆動軸180の係合がより確実となる。尚、本実施例においては、α5は約10°である。
【0062】
ここで、本実施例の場合には、前記ピン182の直径を約2mmとした。この場合に、進入部150kの周長は、約8mmとした。尚、進入部150kの周長とは、隣り合う突起150dの円弧上(仮想円上)の間隔である。但し、これに限定されるものではない。このようにピン182の直径に対して進入部150kの周長が十分であるため、ピン182が進入部150kに進入し易くなっている。
【0063】
そして、ロータリC(収容部130a)が、カートリッジBを取り付けられた状態で回転する。そして、ロータリCが回転しながら、カップリング150が駆動軸180と係合する。そして、回転力受け面150eはピン182と係合して、回転力受け面150eは、回転する駆動軸180から力を受けるピン182によって押される。これによって、回転力受け面150eは、駆動軸180からの回転力を受ける。更に、ロータリCが回転し、所望のカートリッジBの有する現像ローラ110が感光体ドラム107と向い合う現像位置に到達してロータリCは回転を停止する。また、受け面150eは、軸線L2から等距離に、及び、軸線L2を挟んで対になって位置するように、各突起150dにおいて、前記交差方向に設けられた面に設けられている。
【0064】
また、進入部(窪み)150kが、前記回転方向に沿って、及び、軸線L2方向に窪んで設けられている。進入部150kは、突起150d1と突起150d2との間に設けられている。尚、駆動軸180が回転を停止している場合に、カートリッジBがロータリCに取り付けられた状態で、カップリング150が本体側係合部と係合すると、ピン182が進入部150kに進入する。そして、回転する駆動軸180のピン182によって、受け面150eが押される。あるいは、カップリング150が本体側係合部と係合する際に、本体側係合部が既に回転している場合には、ピン182が進入部150kに進入して、ピン182が受け面150eを押す。これによって、カップリング150が回転する。尚、回転力受け面(回転力受け部)150eは、駆動軸受け面150fの内側に配置されていても良い。或いは、受け面150eは、軸線L2方向において、駆動軸受け面150fから外方へ突出した箇所に配置されていても良い。受け面150eが、駆動軸受け面150fの内側に配置されている場合には、進入部150kも駆動軸受け面150fの内側に配置される。即ち、進入部150kは、駆動軸受け面150fの円環部の内側で、且つ、突起150d間に位置する窪みである。また、受け面150eが、前記外方へ突出した箇所に配置されている場合には、進入部150kは、突起150d間に位置する窪みである。尚、ここで、窪みとは、軸線L2方向において、貫通している穴であっても、或いは、底部を有している場合であっても含まれる。即ち、窪みとは、突起150d間に位置している空間領域であれば良い。そして、カートリッジBがロータリCに取り付けられた状態で、前記領域に、ピン182が進入し、駆動軸受け面150fと駆動軸先端部180bとが当接できればよい。
【0065】
駆動部150bは、駆動入力ギア147のカートリッジB内での回転位相がどこであっても、駆動入力ギア147の軸線L4(図10参照)に対して、回転力伝達角度位置と、係合前角度位置(または、離脱角度位置)の間を移動できるように球面部を有する。尚、前記回転力伝達角度位置は第1の角度位置である。また、前記係合前角度位置は第2の角度位置である。また、離脱角度位置は第3の角度位置である。図示例では、駆動部150bは、軸線L2を軸線とする球状の抜け止め部150iを有する。そして、駆動部150bの中心を通る位置に伝達ピン155を通す固定穴150gが設けてある。さらに、軸線L2を軸線とする円柱状のカップリング被規制部150jは、駆動部150bの球状部を中心として、中間部150cの反対側に設けてある。尚、この被規制部150jは、後述する被規制部収納部160b(図12)と係合する。これにより、カップリングの軸線L2の傾斜方向を規制する。尚、詳細は後述する。
【0066】
この実施例では、カップリング150は一体であるが、被駆動部150a、中間部150cと駆動部150bとに分割され、結合することによって一体化することも可能である。その他、様々な分割が可能であるが、カップリングとして一体的に動作可能であれば、どのように分割しても良い。
【0067】
また、カップリング150のピン155は、カートリッジBが装置本体Aに装着された状態で、突起150dが駆動軸180から受けた回転力を現像ローラ110に伝達する。即ち、ピン155は図8(b)に示すように、駆動入力ギア147の回転力受け面(回転力被伝達部)147h(147h1、147h2)と係合して、回転力を伝達する。これによって、駆動入力ギア147が回転し、駆動入力ギア147が有する第1ギア部147aを介して現像ローラ110に回転力を伝達する。また、駆動入力ギア147が有する第2ギア部147bを介して現像剤供給ローラ115に回転力を伝達する。
【0068】
次に、図8を用いて、カップリング150を取り付ける(支持する)駆動入力ギア147について説明する。
【0069】
図8(a)に示した開口部147g1、147g2は駆動入力ギア147の回転軸方向に沿った溝になっている。カップリング150を取り付ける際、回転力伝達ピン(回転力伝達部)(突き出し部)155がこの開口部147g1、147g2に進入する。
【0070】
開口部147g1、147g2の中で伝達ピン155が移動する。これによって、カートリッジB内で駆動入力ギア147の回転位相がどこであっても、カップリング150が、回転力伝達角度位置と、係合前角度位置(または、離脱角度位置)の間を移動可能となる。
【0071】
また、図8(a)において、開口部147(147g1、147g2)の時計周り方向上流側には、回転力受け面(回転力被伝達部)147h(147h1、147h2)が設けられている。そして、回転力受け面147hに、カップリング150の伝達ピン(回転力伝達部)155の側面が接触する。これにより、現像ローラ110に回転力が伝達される。つまり、回転力受け面147h1、147h2は、駆動入力ギア147の回転方向と交差した面である。これによって、回転力受け面147h(147h1、147h2)は、伝達ピン155の側面に押されて回転軸線L4(図8(c)参照)を中心に回転する。尚、軸線L4は、駆動入力ギア147の回転軸線である。
【0072】
また、カップリング150は、後述する通り、軸線L4に対して実質的に全方向にわたって傾斜可能なように、ピン(回転力伝達部)155と係合する回転力受け面(回転力被伝達部)147hとの間に隙間を有している(図8(b))。
【0073】
図8(c)は、カップリング150を駆動入力ギア147に固定する工程を示す断面図である。
【0074】
まず、カップリング150をX33方向に移動させる。そして、伝達部150bを取り付け部147jに挿入する。挿入前において、抜け止め部(球面形状部)150iの直径φZ6は、抜け止め部147kの内側稜線147m(147m1〜147m4)によって構成される円の直径φD15(図8(a))より大きい。即ち、Z6>D15の関係にある。
【0075】
伝達部150bの挿入に従い、抜け止め部147k(147k1〜147k4)が、弾性変形により一時的に駆動入力ギア147の半径方向外側に退避する。これによって、伝達部150bが取り付け部147jに挿入可能となる。即ち、一時的にD15>Z6の関係となる。取り付け部147jへの伝達部150bの挿入が完了すると、弾性変形していた抜け止め部147k(147k1〜147k4)は、元の状態に戻る。即ち、Z6>D15の関係となる。
【0076】
次に、抜け止め部材156を矢印X33方向から挿入して、駆動入力ギア147に固定する。ここで、被駆動部150aの外径φD10は、抜け止め部材156の開口156iの直径φD16よりも小さい。即ち、D16>D10の関係にある。この関係により、カップリング150を駆動入力ギア147に挿入した状態で、抜け止め部材156を駆動入力ギア147へ挿入することができる。また、図8(f)に示すように、抜け止め部材の挿入により、抜け止め部147k(147k1〜147k4)の、駆動入力ギア147の半径方向外側への弾性変形が防止される。これによって、Z6>D15の関係が保たれる。この状態において、カップリング150に挿入方向とは反対方向の力が働いた場合であっても、カップリング150が駆動入力ギア147から抜ける(脱落する)のを防ぐことができる。尚、挿入方向とは反対方向の力が働いた場合とは、カップリング150(伝達部150b)が取り付け部147jから抜け出るX34方向に力が働いた場合である。なぜならば、伝達部150bが抜け止め部147k(147k1〜147k4)の抜け止め面147l(147l1〜147l4(但し、147l3、147l4は不図示)、図8(c)参照)に接触して、それ以上の移動を規制されるからである。 これにより、カップリング150と駆動入力ギア147、及び、抜け止め部材156が一体となった駆動ユニットU(図8(f)、図16(a)(b))となる。
【0077】
尚、図8(e)に示すように、支持部材157のカップリング抜け止め部157aのように抜け止め部材156を支持部材157と一体とすることもできる。この場合、前記説明した工程の、抜け止め部材156を駆動入力ギア147に固定する工程が省略される。そして、後述するカップリング150を現像枠体(カートリッジ枠体)113に取り付ける際に、支持部材157の有するカップリング抜け止め部157aが駆動入力ギア147に挿入される(図8(e)に示す状態)。図8(e)に示す状態において、抜け止め部157aは、ギア147の抜け止め部147k(147k1〜147k4)の、半径方向外側への弾性変形を防止する。これによって、抜け止め部157aは、カップリング150が駆動入力ギア147から抜ける(脱落する)ことを防ぐ。尚、前述した抜け止め部157aの機能は、抜け止め部材156の機能と同様である。
【0078】
カップリング150は、駆動入力ギア147内において、回転力伝達角度位置と係合前角度位置、及び離脱角度位置の間を移動(傾動)可能に取り付けられている。また、抜け止め部147k(147k1〜147k4)は、カップリング150が、駆動入力ギア147に対してX34方向に移動するのを規制する。つまり、開口の内側稜線147m(147m1〜147m4)は、抜け止め部150iの直径φZ6よりも小さな直径φD15である。
【0079】
次に、図10を用いて、カップリング150の、駆動入力ギア147に対する移動範囲に関して説明する。
【0080】
図10は、駆動入力ギア147とカップリング150の結合状態を表した図である。図10(a1)〜(a5)は駆動軸180の方向から見た図であり、図10(b1)〜(b5)はその斜視図である。
【0081】
ここで、図10に示すように、カップリング150は、その回転軸線L2が軸線L4に対して、どのような方向にも傾斜できるように取り付けられている。尚、駆動軸180は、ロータリCの長手方向一端に位置して、装置本体Aに設けられている。駆動軸180は、回転可能に装置本体Aに位置決めして設けられている。即ち、駆動軸180は、その回転軸線と実質的に直交する方向に移動しないように装置本体Aに固定されている。図10(a1)、(b1)において、軸線L2は軸線L4と同軸線上にある。図10(a2)(b2)には、この状態から、カップリング150を上向きに傾斜させたときの状態を示した。カップリング150が、開口部147gが設けられた方向へ傾斜している。この状態で、伝達ピン155は開口部147gに沿って移動する(図10(a2)(b2))。その結果、カップリング150は、開口部147gと直交する軸線AXを中心に傾斜する。
【0082】
図10(a3)(b3)においては、カップリング150を右向きに傾斜させた状態を示している。このようにカップリング150が、開口部147gと直交する直交方向へ傾斜しているとき、ピン155は開口部147gの中で回転する。ピン155が回転する際のピン155の軸線は、ピン155の中心軸線AYである。
【0083】
図10(a4)(b4)及び図10(a5)(b5)において、カップリング150を下向きに傾けた状態及び左向きに傾けた状態を示した。カップリング150は、各々回転軸線AX、AYを中心にして傾斜する。
【0084】
ここで説明した傾斜方向と異なる方向、及び、中間位置では、カップリング150は、軸線AX回りの回転と、軸線AY回りの回転とが合わさって傾斜する。尚、前記傾斜方向と異なる方向とは、例えば図10(a2)と(a3)、(a3)と(a4)、(a4)と(a5)、(a5)と(a2)の間である。このように、軸線L4に対して、軸線L2はどのような方向にも傾斜することができる。
【0085】
しかしながら、軸線L2は軸線L4に対して、必ずしも360°いずれの方向にも所定の角度まで傾斜可能である必要はない。その場合、例えば、開口部147gを円周方向に広めに設定しておけばよい。このように設定しておけば、軸線L2が軸線L4に対して傾斜する際、直線的に所定の角度傾斜できない場合であっても、カップリング150が軸線L2まわりに少し回転する。これにより、軸線L2は軸線L4に対して、所定の角度まで傾斜することができる。つまり、開口部147gの回転方向のガタ(遊び)は、必要に応じて適宜選択できる。
【0086】
先に説明したように(図8参照)、抜け止め部150iが抜け止め面147lに接触している。そのため、カップリング150は抜け止め部(球面形状部)150iの球中心P2を回動中心にして取り付けられている。つまり、駆動入力ギア147の位相に関わらず、軸線L2は傾斜可能に取り付けられている。即ち、カップリング150は、軸線L4に対して旋回可能である。また、後述するが、カップリング150が駆動軸180と係合するためには、係合直前において、軸線L2は軸線L4に対して、ロータリCの回転方向X4において下流側に傾斜している必要がある。つまり、図11(a)〜(c)に示すように、被駆動部150aの位置が、ロータリCの回転方向X4において下流側となるように、カップリング150は、軸線L4に対して、軸線L2が傾斜している必要がある。
【0087】
図2は軸線L2が軸線L4に対して傾斜した状態を示している。また、図9は、図8(e)と同一の断面において、軸線L2が軸線L4に対して傾斜した状態を示している。
【0088】
これまで説明した構成により、図9に示す軸線L2が傾斜した状態から、軸線L2が軸線L4と略平行な状態になることも可能である。また、軸線L4と軸線L2の最大傾斜可能角度α4(図9)は、駆動部150a及び中間部150cが端部部材151や支持部材157に接触するまでである。そして、角度α4は、装置本体へ着脱する際に必要な値にすることができる。ここで、最大傾斜可能角度α4は、本実施例の場合は20°〜80°である。
先に、カップリング150が駆動軸180と係合する直前において、軸線L2は軸線L4に対して、回転方向X4において下流側へ傾斜する必要があると述べた。次に、その規制方法について説明する。
【0089】
(5)角度位置規制部材の説明
次に、図12及び図13を用いて、カップリング150の傾斜方向を規制する角度位置規制部材(以下、「規制部材」と称す。)160について説明する。
【0090】
尚、回転力伝達角度位置は第1の角度位置である。また、係合前角度位置は第2の角度位置である。また、離脱角度位置は第3の角度位置である。
【0091】
本実施例を適用した規制部材160によれば、カートリッジBが、ロータリCに取り付けられる前であっても、カップリング150を係合前角度位置(第2の角度位置)に維持することができる。即ち、カートリッジBが単独で存在する場合であっても、カップリング150を係合前角度位置(第2の角度位置)に維持することができる。従って、カートリッジBを運搬する際等に、カップリング150が不用意に移動することを防止できる。
【0092】
図12(a)は、規制部材160を現像ローラ110の長手方向外側から見た斜視図である。図12(b)は、規制部材160を前記外側から見た側面図である。図12(c)、図12(d)は、規制部材160の形状の他の実施例を示している。図13(a)は、カップリング150が回転力伝達角度位置(後述)にある場合の、カップリング150と規制部材160との位置関係を示す斜視図である。図13(b)は、カップリング150が係合前角度位置(後述)にある場合の、カップリング150と規制部材160との位置関係を示す斜視図である。また、図13(c)、図13(d)は、それぞれ図13(a)、図13(b)の状態における、駆動入力ギア147と抜け止め部材156の状態を示したものである。図13(e)は、カップリング被規制部150jが位置決め部(規制部)160b1に位置した状態を示した斜視図である。図13(f)は、被規制部150jが許容部160b2に位置した状態を示した斜視図である。図13(g)は、規制部材160に係合したカップリング150をカップリング被規制部150j側から見た斜視図である。尚、図13(g)においては、規制部材160の底の図示を省略している。実際には、規制部材160には底が有るので、被規制部150jは見ることができない。
【0093】
規制部材160は、円形の軸受部160aと、被規制部収納部160bとを有する。ここで、規制部材160は溝160gを有する。そして、軸受部160aは、溝160gを囲んで設けられている。更に、収納部160bは、位置決め部160b1と、許容部160b2とを有する。尚、規制部材160は、前述の軸受138と一体となっている。即ち、規制部材160は、軸受138の外側表面に設けられている。
【0094】
軸受部160aは、駆動入力ギア147の内周面147i(図8(c)参照)を、回転自在に支持する。即ち、軸受部160aの外周面に内周面147iを嵌合する。これによって、駆動入力ギア147は、軸受部160aに回転可能に取り付けられる。更に、収納部160bに、被規制部150jが収納される。この状態において、カップリング150は、被規制部150jが収納部の壁160b3と干渉しない範囲で、自由に移動可能となる。尚、被規制部150jは円柱形状である。このような構成によって、カップリング取り付け構成をコンパクトにすることができる。カップリング150は、本体側係合部と係合する前に、弾性部材(付勢部材)等(後述する)により係合前角度位置をとる。その時、被規制部150jが位置決め部(規制部)160b1に接触する。即ち、カップリング150は、被規制部(突出部)150jの円柱部分が、位置決め部160b1としてのV溝部の壁160b4に突き当たって傾斜方向が規制される。カップリング150の有する被規制部(突出部)150jは、回転力受け面(回転力受け部)150eが設けられているのとは反対側の後端に、突出して設けられている。すなわち、被規制部150jは、位置決め部160b1としての幅の狭い部分160b7のV溝部160b4に突き当たって傾斜方向が規制される。従って、カップリング150は、本体側係合部との係合に最適な係合前角度位置に位置決めされる。(図13(e)は、傾斜して図示しているカップリング150が、係合前角度位置に位置決めされている状態を示している)。この位置については後述する。即ち、位置決め部160b1は、カップリング150が係合前角度位置に存在する場合のみ、位置決めとして作用する。
【0095】
そして、カップリング150が係合前角度位置以外の位置にある場合には、規制部150jが許容部160b2の壁160b3と干渉しない範囲で、自由に移動可能となる。即ち、カップリング150が、係合前角度位置と回転力伝達角度位置の間、回転力伝達角度位置、回転力伝達角度位置と離脱角度位置の間、離脱角度位置にある場合には、規制部150jが許容部160b2の壁1603と干渉しない範囲で、自由に移動可能となる。言い換えると、被規制部150jが位置決め部(規制部)160b1と接触していない場合には、カップリング150は旋回可能である(図13(f)及び、図13(e)において垂直に図示したカップリング150がこの状態のカップリングである)。こうすることで、カップリング150が本体側係合部と係合した状態で、係合前角度位置から回転力伝達角度位置に移動する際、または回転力伝達位置から離脱角度位置に移動する際に、カップリング150は駆動軸180に倣って移動することができる。また、カップリング150は、ロータリC(後述する)が半径方向に移動する場合であっても、即ち、カップリング150がロータリCの半径方向に移動する場合であっても、カップリング150にかかるストレスを少なく抑えることができる。従って、カップリング150は、本体側係合部と円滑に係合することができ、また、本体側係合部から離脱することができる。尚、許容部160b2は、許容部160b2としての幅の広い部分160b8を有している。
【0096】
また、被規制部収納部160bの形状は、位置決め部162aと許容部162bとが上述の機能を満たせば、図12(c)及び図12(d)のような形状にすることも可能である。即ち、図12(c)に示した実施例は、位置決め部(規制部)160b1の形状を円弧形状とし、また、壁160b3の形状を屈曲させたものである。また、図12(d)に示した実施例は、壁160b3の形状を湾曲させたものである。
【0097】
次に、図14、15を用いて、カップリングを係合前角度位置に移動させるためのカップリング弾性部材(付勢部材)について説明する。図14は、支持部材157に弾性部材159を取り付けた状態を示した斜視図である。図15は、支持部材157に弾性部材(以下、「バネ」と称する)159を取り付けたカートリッジBの斜視図である。
【0098】
図14に示すように、支持部材(取り付け部材)157の外側面157iに、バネ取り付け部157e1、及び、バネ回転止め157e2を設けている。また、取り付け部157e1に、ねじりコイルバネであるバネ(付勢部材、弾性部材)159のコイル部159bを取り付けている。そして、バネ回転止め157e2に、バネ159の回転止めアーム159cが接触している。そして、図15に示すように、バネ159の接触部159aが、カップリング150の中間部150cに接触している。この状態で、バネ159がねじれて弾性力を発生させる。これにより、カップリング150は軸線L2を軸線L4に対して傾斜させている(図15に示す状態)。即ち、カップリング150は、係合前角度位置に傾斜している。 尚、本実施例ではバネ159として、ねじりコイルバネを用いたが、この限りではない。例えば、弾性部材(付勢部材)として、板ばね、ゴム、スポンジ等、弾性力を発生させるものであれば良い。但し、軸線L2を傾斜させるためにある程度ストロークを必要とする。そのために、ストロークを得られるものが望ましい。バネ(付勢部材、弾性部材)159は、カップリング150を係合前角度位置(第1の角度位置)に位置させるために、カップリング150の被規制部150jが規制部160b1に位置するように弾性力によってカップリング150を付勢している。
【0099】
そして、ロータリCが回転する際に、カートリッジBが移動するのに応じて、カップリング150が本体側係合部と接触する。これによって、カップリング150がバネ(弾性部材)159の弾性力に抗して回動し、被規制部150jが規制部160b1から許容部160b2へ移動する。それに伴って、カップリング150が前記係合前角度位置から前記回転力伝達角度位置に移動する。これによって、カップリング150が駆動軸180と対向して駆動軸180から前記回転力を受ける。また、カップリング150が駆動軸180と対向する位置からロータリCが更に回転する際には、カートリッジBが移動するのに応じて、カップリング150がバネ159の前記弾性力に抗して前記回転力伝達角度位置から前記離脱角度位置に移動する。これによって、カップリング150が本体側係合部から離脱する。
【0100】
(6)カートリッジ(現像装置)の切換構成
次に、図16乃至図19を用いて、ロータリCの構成について説明する。
【0101】
図16(a)、図18(a)、図19(a)は、駆動伝達機構の構成を、駆動軸180側から見た正面図である。図16(a)は、カートリッジB1の現像ローラ110−1が、感光体ドラム107と対向する現像位置DPに位置している状態を図示している。図17は図16(a)を右方向から見た右側面図である。図18(a)及び図19(a)は、それぞれ図16の状態からロータリCがX4方向に回転して、カートリッジB1が現像後退避位置18Y、現像前退避位置18Zに位置している状態を図示している。但し、図16(a)、図18(a)及び図19(a)では、図17に示す本体フレーム171は図示していない。また、図17では、図16(a)、図18(a)及び図19(a)に示す転写ベルト104a、転写ローラ104j、カップリング150、駆動軸180は図示していない。
【0102】
尚、図16(b)、図18(b)、及び図19(b)は、それぞれ図16(a)、図18(a)、及び図19(a)の状態における駆動軸180側から見た斜視図である。この図において、カップリング150、規制部160、駆動軸180の関係を示している。
【0103】
図16乃至図19に示す駆動伝達機構は、ロータリCを回転させることにより、ロータリCに支持された4つの各カートリッジB1〜B4を、感光体ドラム2と対向する現像位置DPへ順次移動させる。以下、駆動伝達機構の構成を説明する。
【0104】
第一駆動力伝達部材としての駆動ギア172は装置本体Aに対して回転自在に支持されたシャフト107に回転自在に支持されている。ギア172は、モータM(駆動源)から回転力を受けて回転する。
【0105】
尚、モータMからギア172に回転力を伝達する回転力伝達機構M1は、例えば、ギア列、歯付きベルト等であって、回転力を伝達できる構成ならば適宜用いることができる。
【0106】
アーム103は、装置本体Aに対して揺動可能に支持されている揺動部材であり、アーム103の一端側103bは、本体フレーム171に設けられたシャフト107に回転可能に設けられている。また、ロータリCを回転可能に支持しているアーム103の他端側103cには、一端を装置本体Aに固定されたアームバネ(例えば圧縮バネ)104の他端が取り付けられている。これによって、アーム103は、アームバネ104の弾性力によって、シャフト107の中心に矢印A方向(図16、図18、図19)への付勢力を受けている。
【0107】
ロータリCは、先に述べたように4つのカートリッジB(B1〜B4)を支持し、アーム103に回転可能に支持されている。即ち、カートリッジBは、ロータリCに取り付けられている。さらに、ロータリCが支持しているカートリッジB(B1〜B4)のカップリング150(150−1〜150−4)は、ロータリCから軸線L4方向に露出する構造となっている(図16、図18、図19)。これにより、ロータリCとは別体である駆動軸180から、カップリング150(150−1〜150−4)に回転力の伝達が可能である。
【0108】
また、ロータリCには、ギア部(回転支持体ギア)102aがロータリCの回転方向に沿って設けられている。ギア部102aは駆動ギア172と噛み合っている。つまり、駆動ギア172が矢印A方向(図16、図18、図19)に回転すれば、ロータリCは矢印X4方向に回転する。そして、ギア172が回転を停止すればロータリCも回転を停止する。
【0109】
規制コロ105は装置本体Aに設置されたコロホルダ106に回転可能に支持されている。この規制コロ105は、ロータリCの揺動を規制する規制部材である。また、規制コロ105の表層が弾性を有したゴム層であれば、騒音低減や高摩擦係数による確実な回転が可能となる。
【0110】
また、コロ105は装置本体Aに固設された軸106aに回転可能に支持された弾性コロである。コロ105を支持する軸106aはロータリCの回転軸線と平行になるように配置されている。コロ105は、ロータリCが回転する際に、後述するカム101の有する接触部101e〜101hと接触して従動回転する。
【0111】
カム(回転部材)101は、ロータリCと一体に回転する回転部材(ガイド部材)である。カム101は、コロ105に接触する接触部101e〜101hと、コロ105とは接触しない離間部(当接解除部)101a〜101dとを有している。離間部101a〜101dは凹部である。接触部101e〜101hと離間部(凹部)101a〜101dは、カム101の回転中心101iから略等角度に、カム101の外周面に沿って交互に配置されている。カム101はロータリCに支持されるカートリッジB1〜B4の長手方向の一端と他端に位置して、かつ、ロータリCと一体に設けられている。
【0112】
離間部(凹部)101a〜101dは、回転方向X4において、上流側に、下流側から上流側に向かって上昇する斜面101mを有する。斜面101m(図16、図18、図19)を有することによって、ロータリCの回転に応じて、カートリッジB1〜B4が回転方向と交差する方向へ遠ざかる際に、円滑に遠ざかることができる。即ち、ロータリCの回転に応じて、カートリッジB1〜B4が現像位置DPから、ロータリCの半径方向(ラジアル方向)へ遠ざかる際に、円滑に移動することができる。
【0113】
同様に、前記凹部は、回転方向X4において、下流側に、下流側から上流側に向かって下降する斜面101n(図16、図18、図19)を有する。斜面101nを有することによって、ロータリCの回転に応じて、カートリッジB1〜B4が現像位置DPへ向かって、回転方向X4と交差する方向へ近づく際に、円滑に近づくことができる。即ち、ロータリCの回転に応じて、カートリッジB1〜B4が現像位置DPへ向かって、ロータリCの半径方向(ラジアル方向)へ近づく際に、円滑に移動することができる。
【0114】
カム101は、ロータリCと一体に回転する。そして、接触部101eが規制コロ(規制部材)105と接触することによって、カートリッジB1の有する現像ローラ110−1が感光体ドラム107から離間された状態となる。なお、他の接触部101f〜101hがそれぞれ規制コロ105に接触しても、各カートリッジB1〜B4の有する現像ローラ110−1〜110−4がそれぞれ感光体ドラム107から離れた状態となる(図18、図19)。
【0115】
ここで、図17に示すとおり、カム(回転部材)101、ロータリ(回転支持体)C、アーム(揺動部材)103、および、規制コロ(規制部材)105は、支持される前記カートリッジB1の長手方向の一端側と他端側とに配置されている。
【0116】
尚、図18及び図19に示す状態は、後述する通り、ロータリCが回転している状態を示している。しかしながら、図18及び図19に示す状態は、ロータリCが回転を停止して、ロータリCが退避位置に位置している状態でもある。ここで、退避位置とは、前記各カートリッジB1〜B4が現像を行わない状態である。図18及び図19に示すとおり、この状態では、各現像ローラ110−1〜110−4が感光体ドラム107と接触していない。例えば、図18において、現像ローラ110−1は、コロ105の下流側の退避位置18Yに位置している。同様に、図19において、現像ローラ110−1は、コロ105の上流側の退避位置18Zに位置している。また、退避位置において、コロ105がロータリCの下方を支持している。また、コロ105が前記他端側に配置されたロータリCの下方を支持している。これによって、各カートリッジB1〜B4を支持しているロータリCは、コロ105によって揺動を規制されている。
【0117】
一方、図16に示すように、現像ローラ110−1が感光体ドラム107に接触した状態では、コロ105が凹部(離間部)101aの底面と離れた状態で対向している。この状態が、カートリッジB1が現像位置DPに位置した状態である。尚、現像ローラ110−2が感光体ドラム107に接触した現像位置DPに位置した状態では、コロ105が凹部101bの底面と離れた状態で対向している。同様に、現像ローラ110−3が現像位置DPに位置した状態では、コロ105が凹部101cの底面と離れた状態で対向している。また、現像ローラ110−4が現像位置DPに位置した状態では、コロ105が凹部101dの底面と離れた状態で対向している。即ち、カム101が規制コロ105から離間した状態である。よって、バネ104の弾性力によって付勢されたアーム103は、ロータリCを付勢し、現像ローラ110−1(〜110−4)と感光体ドラム107との接触圧となる。
【0118】
駆動ギア172がモータMからの回転力を受けて矢印A方向に回転する。すると、前述したように、ロータリCは矢印X4方向に回転する。そして、ロータリCに設けられているカム101もロータリCと一体に矢印X4方向に回転する。図18及び図19には、駆動ギア172の回転力を受けてロータリCが回転している状態を示す。図18は、カートリッジB1の現像が終了して、カートリッジB1が現像位置DPから現像後退避位置18Yに退避し、カートリッジB2が現像前退避位置18Zから現像位置DPに向かう状態を図示している。同様に、図19は、カートリッジB4の現像が終了して、カートリッジB4が現像位置DPから現像後退避位置18Yに退避し、カートリッジB1が現像前退避位置18Zから現像位置DPに向かう状態を示している。
【0119】
また、ロータリCは、その回転方向に沿って全周に設けられたギア部(回転支持体ギア)102aを有している。そして、アーム103を装置本体Aに回転可能に支持している回転中心103aと同軸線上に駆動ギア(揺動部材ギア)172が設けられている。これによって、ギア172とギア部102aは噛合している。従って、アーム103が揺動しても、ギア172とギア部102aは常に噛合状態を維持できる。
【0120】
尚、回転中心103aは、ギア172を回転可能に支持している軸172aの軸線である。軸172aは、本体フレーム171に固設されている。そして、軸172aには、アーム103の一端が回転可能に取り付けられている。
【0121】
前述したように、図16、図18及び図19に示すとおり、バネ104の弾性力(付勢力)は、現像ローラ110−1が感光体ドラム107に圧接する力として作用する。この状態から、ロータリCが回転することによって、現像ローラ110−1と感光体ドラム107との圧接状態が解除される。そして、前記圧接状態が解除されると、バネ104の付勢力はカム101がコロ105に圧接する力として作用する。これによって、カム101はコロ105に確実に接触することができる。
【0122】
離間部(凹部)101a〜101dが設けられた箇所を除くカム101の外周面は、前述したように、コロ105が接触する接触部101e〜101hである。接触部101e〜101hが、コロ105と接触している状態では、カートリッジB1〜B4が感光体ドラム107と接触しないように構成されている。よって、感光体ドラム107に何ら影響を及ぼすことなくカートリッジB1〜B4を順次現像位置に移動させることができる。接触部101e〜101hと離間部101a〜101dは、カム101(ロータリC)の回転方向に沿って交互に配置されている。そして、離間部101a〜101dとカム101の回転中心101iとの距離L10は、接触部101e〜101hとカム101の回転中心101iとの距離L2よりも短い(図18、図19)。そして、カートリッジB1(〜B4)を現像位置DPに移動させると、コントローラ(不図示)が駆動ギア172の回転力を遮断して、ロータリCが回転を停止する。そして、カートリッジB1が現像位置DPに達する。この現像位置DPでは、現像ローラ110−1(〜110−4)と感光体ドラム107が圧接する。この状態では、図16に示すように、コロ105がカム101の離間部(凹部)101b(〜101d)と離れた状態で対向している。即ち、離間部101b(〜101d)とコロ105とは離間した状態となる。そして、このような動作を繰り返しつつ、各カートリッジB1〜B4が現像位置DPに順次移動する。尚、本実施形態では、コロ105と離間部としての凹部101bの底面との隙間G(図2)は、約1.5mm離れている。
【0123】
このように、本実施形態では、ロータリCに接触部101e〜101hと離間部101a〜101dとを有するカム101を一体に設け、装置本体Aにコロ105を設けた。これにより、ロータリCを回転するだけで、カートリッジB1〜B4を回転移動させつつ、カートリッジB1〜B4(現像ローラ110−1〜110−4)を感光体ドラム107に対して接触又は離間させることができる。
【0124】
ここで、カップリング150の動作に関して、図16、図18及び図19を用いて説明する。
【0125】
カートリッジBが現像前退避位置18Z(図19)にある場合においては、カップリング150は前述したバネ159の弾性力により、係合前角度位置に位置している(図19に示す状態)。この時、図19(b)に示すように、被規制部150jが収納部160bの位置決め部160b1に接触して、カップリング150の角度位置は規制されている。即ち、カップリング150は、係合前角度位置に規制されている(図19に示す状態)。
【0126】
この状態で、ロータリCがX4方向に回転し、カートリッジB1が、現像前退避位置18Z(図19)から現像位置DP(図16)に移動する過程において、カップリング150は、本体側係合部と係合する。そして、カップリング150は係合前角度位置(図19に示す状態)から回転力伝達角度位置(図16に示す状態)に移動する。
【0127】
カートリッジB1が現像位置DP(図16)に位置している場合には、カップリング150は回転力伝達角度位置にあり、本体側係合部と係合している。更に、カップリング150は、駆動軸180から回転力を伝達される。この時、図16(b)に示すように、被規制部150jが収納部160bの許容部160b2内に、壁163b3に接触せずに存在する。そして、カップリング150は、本体側係合部と係合することによって位置が決まる。
【0128】
カップリング150は、ロータリCがX4方向に回転しつつ本体側係合部と係合するのに伴って、係合前角度位置から回転力伝達角度位置に移動する。この際、被規制部150jは、バネ159の弾性力に抗して、位置決め部160b1に接触していた状態から、許容部160b2に移動する。そして、被規制部150jは、許容部160b2の壁163b3とは接触しない状態となる。
【0129】
これによって、カップリング150は、係合前角度位置に位置していた状態から、実質的に旋回可能な状態となる。
【0130】
尚、ロータリCは、カップリング150が本体側係合部と係合した状態で回転を停止する。即ち、ロータリCが現像位置DPで停止する位置で、カップリング150と係合するように本体側係合部が配置されている。
【0131】
図16に示す状態でロータリCがX4方向に回転する。そして、カートリッジBが、現像位置DP(図16)から現像後退避位置18Y(図18)に移動する過程において、カップリング150は回転力伝達角度位置(図16(b))から離脱角度位置(図18(b))に移動する。これに伴い、カップリング150と本体側係合部との係合が解除され、本体側係合部からカップリング150への回転力の伝達が解除される。即ち、カップリング150は本体側係合部から離脱する。
【0132】
カップリング150が本体側係合部から離脱した直後は、カップリングは離脱角度位置にある(図18)。この時、図18(b)に示すように、被規制部150jは、収納部160bの許容部160b2内に、内壁163b3に接触せずに存在する。
【0133】
離脱角度位置にあるカップリング150は、駆動軸180とは干渉しない位置に来ると、規制部材160とバネ159の作用により、係合前角度位置方向に移動する。即ち、カップリング150は、係合前角度位置に傾斜する。そして、図19(b)に示すように、被規制部150jが位置決め部160b1に接触して、カップリング150の角度位置は係合前角度位置に位置決めされる。
【0134】
尚、ロータリCは、X4方向への回転に伴い、前述のカム101とコロ105の作用により、X4と直交する方向、即ちロータリCの揺動方向への移動も行う。これに伴い、カートリッジBが係合前角度位置から回転力伝達角度位置へ移動する場合と、回転力伝達角度位置から離脱角度位置に移動する場合に、カートリッジBは、ロータリCの回転方向X4への移動のみならず、ロータリCの揺動方向への移動も行う。
【0135】
ここで、カップリング150の駆動部150bは、カートリッジBと同様に、ロータリCの円周方向X4と、それに直交するロータリCの揺動方向の移動を組み合わせた軌道を描く。一方で、カップリング150の被駆動部150aは、駆動軸180に倣って移動する。即ち、カップリング150は、その傾動支点である駆動部150bと傾動先端である被駆動部150aとが連動しない、傾動軌道をとる。即ち、カップリング150の傾動軌道(移動軌道)は、その傾動支点である駆動部150bと傾動先端である被駆動部150aとが連動しない。このとき、カップリング150の傾動方向を規制する被規制部150jは、許容部160b2内に存在している。従って、被規制部150jは、その壁160b3とは接触せずに、自由に動くことができる。即ち、カップリング150は、実質的に旋回可能である。即ち、収納部160bの形状は、カップリング150が係合前角度位置以外の位置にある場合においてはその傾動を妨げず、カップリング150が係合前角度位置にある場合にのみ、カップリング150の傾斜方向を規制する。これにより、被規制部150jに作用するストレスを最小に抑えることができる。
【0136】
前述した通り、本実施例のロータリCは、回転中心101iが揺動可能である。このような、回転中心101iが揺動するロータリCにおいても、本実施例を適用したカートリッジBは本体側係合部とカップリング150とを確実に係合することができる。また、本体側係合部とカップリング150とを確実に離脱することができる。
【0137】
尚、前述した通り、カップリング150は、軸線L4に対して実質的にその全周に渡って旋回可能(揺動可能)である。即ち、カップリング150は、軸線L4に対して実質的にその全方向にわたって傾動可能である。
【0138】
ここで、カップリングの旋回とは、カップリングの軸線L2の周りにカップリング自身が回転するのではなくて、傾斜した軸線L2が軸線L4の周りに回転することである(図13(f)に旋回の状態を示している)。但し、遊び或いは積極的に設けた間隙の範囲で、軸線L2の周りにカップリング自身が回転することを排除しない。
【0139】
尚、軸線L2は軸線L1に対してどのような方向にも傾斜可能であると述べた。しかしながら、カップリング150は、必ずしも360°いずれの方向にも所定の角度まで直線的に傾斜可能である必要はない。
【0140】
また、傾動可能とは、使用者が、カートリッジBを装置本体Aに取り付ける際に、回転力付与部を有する駆動軸がどのような位相で停止していたとしても、カップリングが回転力伝達角度位置まで移動(傾動)することができる範囲を意味する。
【0141】
また、同様に使用者がカートリッジを装置本体Aから取り外す際に、前記駆動軸がどのような位相で停止していたとしても、カップリングが前記離脱角度位置まで移動(傾動)することができる範囲を意味する。
【0142】
また、カップリング150は、軸線L4に対して実質的に全方向にわたって傾斜可能なように、ピン(回転力伝達部)155と係合する回転力受け面(回転力被伝達部)147hとの間に隙間を有している(図8(b))。従って、カップリング150は、軸線L4に対して実質的に全方向にわたって傾斜可能である。
【0143】
また、本実施例では、これまで説明したように、ロータリCが回転している途中もしくはロータリCの回転が停止した直後に、本体側係合部とカップリング150の係合動作が完了する。そして、現像ローラ110が回転可能な状態あるいは回転を開始する。
【0144】
即ち、カップリング150が本体側係合部と係合する動作に入る前に、すでに駆動軸180が回転している場合には、カップリング150は本体側係合部と係合するのと同時に回転を始める。これに伴って、現像ローラ110は回転を始める。また、本体側係合部が停止している場合には、カップリング150が本体側係合部と係合を完了させても、カップリング150は回転することなく、停止している。そして、駆動軸180が回転を始めると、カップリング150も回転を始める。そして、現像ローラ110も回転を始める。
【0145】
いずれの場合であっても、本実施例によれば、本体側の回転力を伝達する部材(例えば、本体側カップリング)をその軸線方向に進退させなくて良い。従って、画像形成(現像)に要する時間を短縮することができる。尚、本実施例では、カップリング150が本体側係合部と係合する動作に入る前にすでに駆動軸180を回転させている。従って、画像形成を速やかに開始することができる。よって、駆動軸180が停止している場合と比較して、画像形成に要する時間を更に短縮することができる。
【0146】
また、本実施例では、本体側係合部が回転している状態で、カップリング150は本体側係合部から離脱することができる。
【0147】
従って、本実施例では、駆動軸180がその回転軸線と直交する方向に移動させないように装置本体Aに固定された状態であっても、現像ローラ110を回転させたままの状態で、現像ローラ110を感光体ドラム107と接触させることができる。また、駆動軸180が前述したように固定された状態であっても、現像ローラ110を回転させたままの状態で、現像ローラ110を感光体ドラム107から離すことができる。これは、カップリング150が回転力伝達角度位置(現像ローラ110と感光体ドラム107が当接する角度位置)を中心として所定の角度範囲(回転力伝達可能な角度範囲)内で駆動軸180から駆動を受けることができるからである。これによって、現像ローラ110の接触時、及び、離間時に、感光体ドラム107に与える負荷を軽減させることができる。
【0148】
また、本実施例では、カップリング150を本体側係合部と係合する、あるいは、本体側係合部から離脱させるために、駆動軸180の停止を行わなくても良い。
【0149】
即ち、本実施例のカップリング150によれば、駆動軸180が回転していても、本体側係合部と係合する、あるいは、本体側係合部から離脱することができる。
【0150】
そして、本実施例では、ロータリCは次の工程を経る。即ち、ロータリCがその揺動方向において感光体ドラム107方向へ揺動し、イエローの画像形成が行われ、ロータリCが前記半径方向において感光体ドラム107から遠ざかる方向へ揺動し、現像ローラ110の回転停止する、という各工程を経る。尚、ロータリCがその揺動方向において感光体ドラム107方向へ揺動とは、現像ローラ110が感光体ドラム107と接触する方向である。また、ロータリCが感光体ドラム107から遠ざかる方向へ揺動とは、現像ローラ110が感光体ドラム107から離れる方向である。そして、ロータリCが回転を開始すると同時に、本体側係合部から、カップリング150が離脱動作を行い、2色目の現像動作の準備を行う。
【0151】
即ち、本実施例では、カップリング150の本体側係合部との係合、離脱動作は、ロータリCの回転に連動して行うことができる。従って、1色目の現像と2色目の現像の間に必要な時間を短くすることができる。同様に2色目の現像と3色目の現像、3色目の現像と4色目の現像、ホームポジションから1色目の現像、4色目の現像からホームポジションに至るまでの時間を短縮することができる。従って、1枚のカラー画像を得るのに必要な時間を短縮することができる。
【0152】
尚、本実施例においては、ロータリCが回転方向X4とは反対方向に回転する場合にも適用することができる。
【0153】
即ち、図16に示した状態でロータリCが回転方向X4とは反対方向に回転し、カートリッジB1が現像位置DP(図16)から現像前退避位置18Z(図19)に移動する過程において、カップリング150と本体側係合部の係合を解除することも可能である。即ち、ロータリCの逆回転により、カップリング150が本体側係合部から離脱することができる。この場合、カップリング150は、本体側係合部から離脱する過程で、駆動伝達角度位置から係合前角度位置に移動する。そして、再びロータリCを回転方向X4方向に回転することで、カップリング150が本体側係合部と係合可能な状態となる。
【0154】
(7)カップリングの係合動作/回転力伝達動作/離脱動作
先に説明したように、カートリッジBが、装置本体Aの所定の位置に停止する直前もしくは所定の位置に停止すると略同時に、カップリング150は本体側係合部と係合する(図19から図16にいたる動作)。そして、カップリング150は一定時間回転後、カートリッジBが、装置本体Aの前記所定の位置から移動する際に、カップリング150は本体側係合部から離脱する(図16から図18に至る動作)。
【0155】
次に、図20乃至図24を用いて、カップリングの本体側係合部との係合動作、回転力伝達動作、離脱動作に関して説明する。
【0156】
図20は駆動軸180、カップリング150、駆動入力ギア147を示した縦断面図である。図21は駆動軸180、カップリング150の位相違いを示した縦断面図である。図23は駆動軸180、カップリング150、駆動入力ギア147を示した縦断面図である。図24(a)は、カップリング150が係合前角度位置に位置する場合の、カップリング150、現像ローラ110、現像剤供給ローラ115を示した、駆動軸180側から見た正面図である。図24(b)は、カップリング150が係合前角度位置に位置する場合の、カップリング150、カートリッジB、ロータリCを示した、駆動軸180側から見た正面図である。
【0157】
ロータリCの回転によって、カートリッジBが現像位置DPに至る過程において、カップリング150は、係合前角度位置に位置している。即ち、カップリング150は、軸線L2が、あらかじめ駆動入力ギア147の軸線L4に対して、被駆動部150aが回転方向X4において下流側に位置するように、バネ(付勢部材、弾性部材)159により付勢され、傾斜している。即ち、係合前角度位置では、回転方向X4において被駆動部150aが駆動部150bよりも下流側に位置している。尚、本実施例において、カップリング150が係合前角度位置に位置している場合には、駆動軸180側から見ると、カップリング150の軸線L2は、直線L5と直線L6との間に位置する(図24(a))。ここで、直線L5は、駆動入力ギア147の中心(軸線L4)と現像ローラ110の中心(軸線L1)とを通る直線である。また、直線L6は、駆動入力ギア147の中心と現像剤供給ローラ115の中心とを通る直線である。即ち、軸線L2は、現像ローラ110と現像剤供給ローラ115との間に位置する(図24(a))。更に、軸線L2は、ロータリCと同心で駆動部150bの中心を通る円C3の接線L7に対して、軸線L2が、ロータリCの回転方向X4において下流側で、かつ、ロータリCの半径方向外側を向いている(図24(b))。カップリング150が傾斜することで、ロータリCの回転方向X4の下流側先端位置150A1は、軸線L4方向において駆動軸先端180b3よりもギア147方向側に位置する。また、回転方向X4において上流側先端位置150A2は、軸線L3、L4方向において駆動軸先端180b3よりもピン182方向側に位置する(図20(a)、(b))。ここで言う先端位置150A(150A1、150A2)とは、図7(a)(c)に示す被駆動部150aにおける、駆動部150bから軸線L2方向に最も離れた位置であり、かつ、軸線L2と直交する方向において、最も離れた位置である。つまり、カップリング150の回転位相により、被駆動部150aの一稜線もしくは被駆動突起150dの一稜線のどちらかとなる(図7(a)(c)において、150Aとした)。
【0158】
ロータリCの回転方向(X4)において、下流側先端位置150A1が、軸先端180b3を通過する。そして、カップリング150は、駆動軸180を通過した後、カップリング150の円錐形状をしている駆動軸受け面150fもしくは突起部150dが、駆動軸180の先端部180bもしくはピン182に接触する。
【0159】
そして、ロータリCの回転に応じて、軸線L2が軸線L3、L4と平行になるように傾斜していく(図20(c))。ここで、図20(c)の状態でロータリCは回転を一時停止する。このとき、カップリング150は係合前角度位置と駆動伝達角度位置との中間の位置にある。そして、カップリング150は、2箇所に設けられた突起150dとピン182とが接触すれば、回転力を伝達できる角度位置となっている。ロータリCが回転を停止している間に、駆動軸180は回転し、進入部150kに位置するピン182は、突起150dとの隙間を詰める。カップリング150と駆動軸180との回転位相差によっては、このロータリCの回転停止中に、駆動軸180からカップリング150への回転力の伝達が開始される。そして、少なくとも次に述べるロータリCが停止する位置(図20(d))までには、駆動軸180からカップリング150への回転力の伝達が開始される。
【0160】
そして、最終的に装置本体Aに対してカートリッジBの位置が決まる。即ち、ロータリCが回転を停止する。この際、駆動軸180と駆動入力ギア147とが略同一直線上に位置する(軸線L3と軸線L4とが略直線となる)。即ち、カップリング150は、その先端位置150A1が駆動軸180を迂回することを許容するように、前記係合前角度位置から前記回転力伝達角度位置に移動する(傾動する、揺動する)。そして、カップリング150は回転力伝達角度位置として、軸線L2が軸線L3、L4と略直線となるように、前記係合前角度位置から回動する。そして、カップリング150と駆動軸180は係合する(図20(d))。即ち、凹部150zが先端部180bにかぶさる。これによって、駆動軸180からカップリング150に安定した回転力が伝達される。またこの時、ピン155は開口147gに位置する。また、ピン182は進入部150kに位置する。 尚、本実施例では、カップリング150が駆動軸180と係合を開始する状態では、駆動軸180はすでに回転している。そのため、カップリング150は直ちに回転を始める。
【0161】
以上で説明したように、本実施例によれば、カップリング150が、軸線L4に対して傾斜可能に取り付けられている。即ち、カップリング150は、被規制部150jが許容部160b2内に位置している場合には、軸線L4に対して実質的に旋回可能に取り付けられている。従って、ロータリCの回転に応じて、カップリング150は駆動軸180と干渉せずにカップリング150自身が傾斜することによって、駆動軸180に対して係合(連結)することができる。
【0162】
さらに、本実施例では、先に説明したように、駆動軸180が常に回転している。つまり、係合動作時に、駆動軸180の位相が常に変化しており、駆動軸180とカップリング150の位相は様々な関係をとる。このような場合であっても、上述したカップリング150の係合動作は、駆動軸180とカップリング150の位相に関係なく可能である。これについて、図21を用いて説明する。図21はカップリング150と駆動軸180との夫々の位相を表した図である。図21(a)は、ロータリCの回転方向X4において上流側で、ピン182と駆動軸受け面150fとが相対している場合である。図21(b)はピン182とカップリング150の突起150dとが相対している場合である。図21(c)は駆動軸の先端部180bとカップリング150の突起150dが相対している場合である。図21(d)は先端部180bと駆動軸受け面150fとが相対している場合である。図10に示したように、カップリング150は駆動入力ギア147に対して、どのような方向にも傾斜可能に取り付けられている。即ち、カップリング150は、実質的に旋回可能である。そのため、図21に示すように、カップリング150は、回転方向X4に対して、駆動入力ギア147がどのような位相であっても、装着方向X4に傾斜可能である。また、駆動軸180とカップリング150の夫々の位相に関係なく、ロータリCの回転方向X4において下流側先端位置150A1は、駆動軸先端180b3よりも、カートリッジB方向側(かつ、ロータリCの回転方向X4において下流側)に位置している。また、回転方向X4において上流側先端位置150A2は、駆動軸先端180b3よりもピン182方向側に位置するように、カップリング150の傾斜角度を設定している。このような設定にしておけば、ロータリCの回転動作に応じて、回転方向X4において下流側先端位置150A1は、駆動軸先端180b3を通過する。そして、図21(a)の場合は、駆動軸受け面150fがピン182に接触する。図21(b)に示す場合は、突起150dがピン182に接触する。図21(c)に示す場合は、突起150dが先端部180bに接触する。図21(d)に示す場合は、駆動軸受け面150fが先端部180bに接触する。更に、ロータリCが回転する際に発生する接触力(付勢力)により、軸線L2が軸線L4と略直線となる位置に近づき、両者は係合(連結)する。従って、駆動軸180とカップリング150、または、カップリング150と駆動入力ギア147がどのような位相であっても、両者は係合することができる。
【0163】
次に、図22を用いて、現像ローラ110を回転する際の回転力伝達動作について説明する。
【0164】
モータ(不図示)から受けた回転力によって駆動軸180は、図中X8の方向に、ギア(はす歯ギア)181とともに回転する。そして、駆動軸180と一体のピン182がカップリング150の回転力受け面150e1、150e2に接触して、カップリング150を回転させる。さらに、前述したように、カップリング150は、現像ローラ110と駆動入力ギア147を介して回転力が伝達可能に連結されている。そのため、カップリング150が回転することで、駆動入力ギア147を介して、現像ローラ110の軸110bに取り付けてある現像ギア145に回転力が伝達される。これによって、現像ローラ110を回転させる。
【0165】
また仮に、軸線L3と軸線L4とが多少同一直線からずれていたとしても、カップリング150が少し傾斜することで、現像ローラ110、及び、駆動軸180に大きな負荷をかけずにカップリングは回転することができる。
【0166】
次に、図23を用いて、ロータリCが一方向に回転することにより、カートリッジBが所定の位置(現像位置DP)から移動するのに応じて、カップリング150が駆動軸180から離脱する動作について説明する。
【0167】
まず、カートリッジBが所定の位置から移動する際の、各々の回転力伝達ピンの位置について説明する。画像形成が終了すると、これまでの説明から明らかなように、ピン182は進入部に位置する。そして、ピン155は開口150g内に位置している。
【0168】
次に、カートリッジBが画像形成動作を終了し、次のカートリッジBに切り替わる動作(図16から図18にいたる動作)に連動して、駆動軸180に対するカップリング150の係合が解除される動作について説明する。
【0169】
画像形成動作が終了した状態では、カップリング150は回転力伝達角度位置として、軸線L2が軸線L4に対して、略同軸線上に位置している(図23(a))。そして、カートリッジBとともにギア147が回転方向X4に移動する。そして、回転方向X4において上流側の駆動軸受け面150fもしくは、突起150dが駆動軸180の先端部180bに、もしくは、ピン182に接触する。そして、軸線L2が回転方向X4の上流側に傾斜を開始する(図23(b))。この傾斜する方向は、カップリング150が駆動軸180に係合する際に、カップリング150が傾斜している方向とは、ギア147に対して反対方向である。即ち、前記傾斜する方向は、係合前角度位置とは軸線L4に対して反対方向である。ロータリCの回転動作により、回転方向X4において上流側先端部150A2が駆動軸180の先端部180bに接触しながら移動する。そして、軸線L2が離脱角度位置として、上流側先端部150A2が先端180b3に至るまで傾斜する(図23(c))。そして、この状態でカップリング150は先端180b3に接触しながら、先端180b3を通過する(図23(d))。即ち、回転方向X4において、駆動軸180の上流側に位置しているカップリング150の一部分(上流側先端位置150A2)が駆動軸180を迂回することを許容するように、カップリング150は前記回転力伝達角度位置から前記離脱角度位置に移動する。その後、図18に至るように、カートリッジBがロータリCの回転に応じて移動する。
【0170】
更に、ロータリCが1回転するまでに、カップリング150は、前述した付勢部材159により、その軸線L2が回転方向X4において下流側に傾斜する。つまり、カップリング150は離脱角度位置から係合前角度位置に移動する。それにより、ロータリCが1回転した後、カップリング150が駆動軸180に再び係合可能な状態となる。
【0171】
以上の説明から明らかなように、軸線L4に対するカップリング150の係合前角度位置の角度は、離脱角度位置の角度より大きい。なぜなら、カップリングの係合時には、予め係合前角度位置は、回転方向X4において下流側先端位置150A1と駆動軸の先端部180b3との距離をやや広めにとるように、設定するからである。(図20(b)参照)。これは、各部品の寸法公差を考慮するからである。それに対して、カップリング離脱時には、ロータリCの回転に連動して軸線L2が傾斜する(離脱角度位置)。そのため、回転方向X4において、上流側先端位置150A2と駆動軸先端部180b3とは軸線L3、L4方向でほぼ一致する(図23(c)参照)。
【0172】
尚、前記係合角度位置、あるいは、前記離脱角度位置において、軸線L2が軸線L4となす角度β2、β3(図20、図23)は、前記回転力伝達角度位置において、軸線L2が軸線l1となす角度β1よりも大である。ここで、角度β1は、図20(b)、図23(a)において軸線L2と軸線L4がなす角度である。尚、角度β1は0°が好ましい。また、角度β2.β3は20°〜60°が好ましい。尚、前述した「回転力伝達可能な角度範囲」をβ4とすると、β4は回転力伝達角度位置を中心として、20°〜60°で設定されている。
本実施例においては、前記係合前角度位置に位置するカップリング150の傾斜する方向が、現像ローラ110の回転中心と現像剤供給ローラ115の回転中心との間である。
【0173】
これによって、ロータリCの回転中心101iが揺動するロータリにおいても、カップリング150を本体側係合部と確実に係合させることができる。
【0174】
また、ロータリCに装着されたカートリッジBは、ロータリCの回転に応じて、軸線L3方向と実質的に直交する方向に移動させることで、本体側係合部とカップリング150とが係合状態、及び、離脱状態となる。
【0175】
(8)カップリング係合動作及び回転力伝達の説明
前述のように、カップリング150が、駆動入力ギア147の軸線L4に対して傾斜可能に取り付けられており、ロータリCの回転動作に応じて、駆動軸180と干渉せずにカップリング150が傾斜する。これにより、本体側係合部よりカップリング150を離脱することができる。
【0176】
ここで、カップリング150が本体側係合部から離脱する際の、ロータリ駆動トルク上昇について説明する。以下では、〔1〕と〔2〕で第1と第2のロータリ駆動トルク上昇要因をそれぞれ述べる。
【0177】
〔1〕第1のロータリ駆動トルク上昇要因
まず、図25と図26を用いて、カップリング離脱時の第1のロータリ駆動トルク上昇要因について説明する。ここで、回転力受け面150e(150e1、150e2)と平行で、カップリング150の回転軸線L2と直交する直線をL5とする。図25(a)と図25(b)は、カップリング150が回転力伝達角度位置をとっており、本体側係合部と係合したカップリング150を、それぞれ装置本体側とカップリング150の回転軸線L2方向と直交する方向から見た図である。図25(c)は、図25(b)の状態からカップリング150がロータリ回転方向であるX4方向に移動し、カップリング150が回転力伝達角度位置と離脱角度位置との中間の傾斜角度位置をとっている図である。図25(d)は、図25(c)の状態からカップリング150が更にX4方向に移動し、カップリング150が離脱角度位置で本体側係合部から離脱する状態を示す図である。図26は、カップリング150が、図25の状態からカップリング150の回転軸線L2まわりに、カップリングが駆動伝達される方向であるX5方向に約120°回転した状態の図である。図26(a)〜(d)は、カップリング150が本体側係合部と係合している状態から離脱する状態を、図25(a)〜(d)と同様に示している。
【0178】
図25(a)、(b)の状態から、カップリング150がロータリ回転方向であるX4方向に移動して本体側係合部より離脱する。この際、カップリング150は回転力伝達角度位置から離脱角度位置に移動し、回転力受け面150e(150e1、150e2)とピン182(182a1、182a2)が離れる。この時、回転力受け面150eとピン182間で発生している分力F3(図7(g)参照)により、離脱力F5がカップリング150の抜け止め部150iに作用する。ロータリCの回転に伴うカップリング150のX4方向への移動によって、カップリング150の離脱力F5がロータリCに作用する。このため、ロータリCを回転させる駆動トルクが上昇する。よって、離脱力F5の大小により、離脱力F5をカップリング150に作用させるためのロータリCの駆動トルクの大小も変化する。
【0179】
この離脱力F5は、カップリングの移動方向X4(ロータリ回転方向)に対する、回転力受け面150eと平行でカップリング150の回転軸線L2と直交する直線L5の、カップリング150の回転軸線L2まわりの回転位相α6によって異なる。ここでα6は、カップリングが駆動伝達される方向が正である(図26参照)。例えば図25のように、α6=0°の場合を考える。すなわち、X4とL5が平行な場合を考える。この場合、カップリングが回転力伝達角度位置から離脱角度位置へ移動するのに伴い、まず回転力受け面150e1からピン182a1が外れる(図25(c))。この際の離脱力F5は、図25(b)における分力F3−1と等しい。次いで、回転力受面150e2がピン182a2から外れる(図25(c))。この際の離脱力F5も、図25(c)における分力F3−2と等しい。よってこの場合、カップリング離脱時に必要な力F5は、離脱開始から離脱終了まで分力F3(F3−1、F3−2)と等しくなる。
【0180】
一方、図26に示すように、回転力受け面150eの平坦部150xに対する角度α5が約10°(図7(c)参照)で、α6が約90°〜150°の場合を考える。このとき、カップリング150が回転力伝達角度位置から離脱角度位置へ移動しても、回転力受け面150e1とピン182a1の係り量、および回転力受け面150e2とピン182a2の係り量がほぼ等しい。そのため、カップリング回転力受け面150e1と150e2からほぼ同時にピン182a1、182a2が抜ける(図26(c)(d))。よって、カップリング離脱時に必要な力F5は、図26(c)に示すF3−1とF3−2の合力となる。すなわち、カップリング150の離脱に必要な離脱力F5は、分力F3の2倍と等しくなる。
【0181】
このように、ロータリCがカップリング150を引き込む離脱力F5は、α6が約90°〜150°の場合大きくなる。図26においてもα6=約120°となっており、離脱力F5が大きくなる上記範囲に該当する。
【0182】
前述のように、ロータリCの回転に伴うカップリング150のX4方向への移動によって、カップリング150の離脱力F5がロータリCに作用する。よって、離脱力F5が大きくなると、ロータリCの駆動トルクが大きくなる。
【0183】
〔2〕第2のロータリ駆動トルク影響要因
次に、図27を用いて、カップリング離脱時の第2のロータリ駆動トルク上昇要因について説明する。これは、カップリング150が本体側係合部から離脱する際に、回転力伝達角度位置から離脱角度位置へ移動するのに伴う、ロータリ駆動トルクの上昇である。また、ここでは〔1〕で説明した、ロータリ駆動トルクが大きくなる場合についてのみ述べる。すなわち、α16が約90°〜150°の場合で、特にα6=約120°の場合についてのみ述べる(図26、図27参照)。また、ここではわかり易いように、本体側係合部は不図示とする。図27(a)と図27(b)は、回転力伝達角度位置におけるカップリング150と駆動入力ギア147を、それぞれ装置本体側とカップリング150の回転軸線L2方向から見た図である。図27(c)は、図27(b)の状態からカップリング150と駆動入力ギア147がロータリ回転方向X4に移動し、カップリング150が離脱角度位置をとっている図である。図27(d)は、図27(c)の状態から駆動入力ギア147が、カップリング150に駆動伝達される方向であるX5方向に回転した図である。図27(e)は、回転力伝達角度位置、離脱角度位置、回転力伝達角度位置と離脱角度位置の中間の角度位置、の3種類の位置をとっているカップリング150を同時に示した状態を、駆動入力ギア147の回転軸線L4方向から見た図である。図27(f)は、図27(e)をS4で切った断面を、S41方向から見た図である。
【0184】
カップリング150は、駆動軸182から駆動力を伝達されている状態(図27(a)(b))から、ロータリ回転方向であるX4方向に移動し、駆動軸182から離脱する(図27(c)(d))。このようにカップリング150がX4方向に移動する間に、カップリング150は回転力伝達角度位置から離脱角度位置に移動する。この場合、カップリング150が回転力伝達角度位置から離脱角度位置に移動するのに伴い、カップリング150の回転力伝達ピン155が、ギア147の回転力受け面147hに侵入する方向に移動する(図27(c)に示す斜線部E)。ここで、カップリング150は、回転力伝達角度位置から離脱角度位置に移動する際、図27(e)(f)に示すような軌跡をとる。このとき、ギア147は回転力伝達ピン155が回転力受け面147hに侵入する量に応じて、回転力伝達ピン155と回転力受け面147hが干渉しない位置まで、X5方向に回転する(図27(d))。つまり、カップリング150の回転力伝達角度位置から離脱角度位置への移動により、駆動入力ギア147がX5方向に回転する。すなわち、カップリング150が回転力伝達角度位置をとる場合において、カップリング150と駆動入力ギア147の回転速度は同じであった。しかしながら、カップリング150が離脱角度位置へ移動することによって、カップリング150の回転速度に対し、駆動入力ギア147の回転速度が増すことになる。つまり、カップリング150の回転に対して駆動入力ギア147が増速される。この増速は、カップリング150が回転力伝達角度位置から離脱角度位置に移動することによるものである。さらに、その傾斜角度位置の移動は、カップリング150のX4方向への移動、すなわちロータリの回転によるものである。すなわち、ロータリの回転によって、駆動入力ギア147が増速される。ここで、駆動入力ギア147を増速させる、すなわちギア147に加速度を与えるためには力が必要となり、その力は、ロータリ駆動トルクによって与えられる。すなわち、駆動入力ギア147が増速されるのに必要なトルクによって、ロータリの駆動トルクが上昇する。
【0185】
(9)装置本体内温度に応じたロータリ駆動シーケンス変更の説明
次に、図28乃至図30を用いて、電子写真画像形成装置の装置本体内温度による、ロータリ駆動シーケンスの変更について述べる。ここで、ロータリ駆動シーケンスとは、ロータリCの回転速度の時間変化を示す。図28は、低温環境以外と低温環境におけるロータリ駆動シーケンスを示す。横軸は時間を示し、縦軸はロータリ駆動速度を示す。シーケンスP1とP2は、それぞれ低温環境以外用のロータリ駆動シーケンス(以下、「通常シーケンス」と称する)P1と低温環境用のロータリ駆動シーケンス(以下、「低温シーケンス」と称する)P2である。また、時間Trはカップリング150が本体側係合部から離脱するタイミングであり、点R1と点R2はそれぞれ通常シーケンスP1と低温シーケンスP2上に時間Trをプロットした点である。図29は、通常シーケンスP1におけるロータリ駆動トルクの時間変化を示す。また、図30は、低温シーケンスP2におけるロータリ駆動トルクの時間変化を示す。横軸は時間を示し、縦軸はロータリ駆動トルクを示す。以下、図29(a)および図30(a)の説明をする。まず、トルク曲線Tq11は、通常シーケンスP1において、カップリングの離脱を考慮しない場合のロータリ駆動トルクの時間変化を示す。また、トルク曲線Tq21は、低温シーケンスP2において、カップリングの離脱を考慮しない場合のロータリ駆動トルクの時間変化を示す。また、トルク曲線Tq12は、通常シーケンスP1において、カップリング離脱のみによるロータリ駆動トルクの時間変化を示す。また、トルク曲線Tq22は、低温シーケンスP2において、カップリング離脱のみによるロータリ駆動トルクの時間変化を示す。図29(b)および図30(b)において、トルク曲線Tq1は、トルク曲線Tq11とTq12を足した値であり、トルク曲線Tq2は、Tq21とTq22を足した値であり、ロータリ駆動トルクの時間変化を示している。
【0186】
ロータリ駆動シーケンスは、電子写真画像形成装置の装置本体内の温度によって通常シーケンスP1または低温シーケンスP2に切り替えられる。切り替えの方法としては、まず装置本体Aに設けられた温度検知手段(不図示)によって、電子写真画像形成装置の装置本体内の温度を検知する。その検知された本体内温度が任意に設定された設定温度より高い場合、ロータリ駆動モータ(不図示)を制御可能な駆動制御手段(不図示)によって通常シーケンスP1が選択され、適用される。検出された使用環境温度が任意に設定された設定温度以下の場合、低温シーケンスP2が選択され、適用される。また、ロータリ駆動シーケンスに従ってロータリCが駆動された場合、ロータリ駆動シーケンスの開始から終了までの間に、あるカートリッジが現像位置にある状態から、次のカートリッジが現像位置に移動するために必要な角度だけロータリCが回転する。この必要な角度は、ロータリ駆動シーケンスの内容によらず一定である。
【0187】
ここで、通常シーケンスP1においては、ロータリCを時間T1で所定の速度V1まで加速し、時間T2の間は所定の速度V1で回転し、時間T3で所定の速度V1から減速する。そして、ロータリの加速中である時間T1中にカップリング150が本体側係合部より離脱するように設定されている(図28 点R1)。一方で、低温シーケンスP2においては、ロータリCを時間T11aで一定速度V2まで加速し、時間T11bの間は一定速度V2で回転した後、時間T11cの間に一定速度V2から所定の速度V1まで加速する。更に、ロータリCを時間T12間は所定の速度V1で回転し、時間T13で所定の速度V1から減速する。ここで、所定の速度V1は、一定速度V2より大きい。そして、ロータリが一定速度で回転中である時間T11b中にカップリング150が本体側係合部から離脱するように設定されている(図28 点R2)。
【0188】
ここで、通常シーケンスP1において、カップリング150が本体側係合部から離脱するタイミングTrにおける、ロータリ駆動トルクについて考える。まず、上述のようにロータリCを加速するので、加速に必要なトルクである加速トルクTq11rだけロータリ駆動トルクが上昇する。更に、ロータリ加速中である時間T1にカップリング150が本体側係合部から離脱する際に、上述のように離脱トルクTq12rだけロータリ駆動トルクが上昇する。つまり、低温環境以外の環境においては、カップリング150が本体側係合部から離脱する際、カップリング150の本体側係合部からの離脱と、ロータリの加速の2点によって、ロータリ駆動トルクが上昇する。すなわち、加速トルクTq11rと離脱トルクTq12rを足した、離脱時トルクTq1rまでロータリ駆動トルクが上昇する。
【0189】
次に、低温シーケンスP2において、カップリング150が本体側係合部から離脱するタイミングTrにおける、ロータリ駆動トルクについて考える。まず、低温環境においては、先に説明したように、移動部材が移動する際の摺動部と勘合する本体の支持部の収縮や、摺動部と支持部との摺動抵抗を下げるためのグリスの粘度が低下し、移動部材が移動する際の抵抗になる。このことが原因で、ロータリ駆動トルクは低温上昇トルクΔTqだけ上昇する。更に、カップリング150が本体側係合部から離脱する際に、上述のように離脱トルクTq22rだけロータリ駆動トルクが上昇する。従って、低温環境においては、カップリング150が本体側係合部から離脱する際、この離脱動作と、移動部材が移動する際の摺動部と勘合する本体の支持部の収縮や、摺動部と支持部との摺動抵抗を下げるためのグリスの粘度が低下することによって、移動部材が移動する際の抵抗になる。これらの2点によって、ロータリ駆動トルクが上昇する。すなわち、低温上昇トルクΔTqと離脱トルクTq22rを足した、離脱時トルクTq2rまでロータリ駆動トルクが上昇する。この低温シーケンスP2における離脱時トルクTq2rは、通常シーケンスP2における離脱時トルクTq1r以下である。ここで、仮に低温環境において通常シーケンスP1を適用した場合、カップリング150が本体側係合部から離脱する際のロータリ駆動トルクは、以下の3点により、移動部材が移動する際の抵抗になる。つまり、前述の離脱と、ロータリの加速と、移動部材が移動する際の摺動部と勘合する本体の支持部の収縮や、摺動部と支持部との摺動抵抗を下げるためのグリスの粘度が低下することである。すなわち、加速トルクTq11rと低温上昇トルクΔTqと離脱トルクTq22rを足した値まで、ロータリ駆動トルクが上昇する。それに対して、低温シーケンスP2を適用することにより、ロータリCが一定速度V1で回転時にカップリング150と本体側係合部が離脱する。すなわち、カップリング150が本体側係合部から離脱する際のロータリ駆動トルクの上昇要因として、ロータリの加速要因である加速トルクTq11rではなく、ロータリCが一定速度V2で回転していることによる定速トルクTq23rが作用する。ここで、加速に比べて一定速度での回転は必要なトルクが低いので、Tq11r>Tq23rである。言い換えると、低温シーケンスP2を適用することにより、そうでない場合と比べて、カップリング150離脱時のロータリ駆動トルクを小さくすることができる。従って、低温環境において低温シーケンスP2に切り替えることにより、ロータリ駆動シーケンスを切り替えない場合と比べて、ロータリの加速をしていない分だけロータリ駆動トルクの上昇を緩和することが可能である。
【0190】
このように、低温環境においてロータリ駆動シーケンスを低温シーケンスP2に切り替えることにより、カップリング150が本体側係合部から離脱する際の、ロータリ駆動トルク上昇を緩和することができる。これは、本発明を適用した本実施例の顕著な効果の一つである。
【0191】
尚、本発明においては、上述の設定温度は7℃である。
尚、上述の低温シーケンスP2を適用すると、通常シーケンスP1を適用した場合と比較してロータリCは一定速度V2で回転する時間が追加され、所定の速度V1で回転する時間が短くなる。前述のようにロータリ駆動シーケンス中にロータリCが回転する角度はロータリ駆動シーケンスの内容によらず一定である。また、前述のように所定の速度V1は一定速度V2よりも大きい。よって、一定速度V12で回転する時間が長い低温シーケンスP2は、通常シーケンスP1と同じ角度だけ回転するのに時間がかかる。すなわち、低温シーケンスP2を適用した場合は、ロータリの回転を伴う画像形成にかかる時間が、通常シーケンスP1を適用した場合よりも長くなり、電子写真画像形成装置の単位時間あたりの出力枚数が減少する。但し、低温環境において、装置本体内の温度が前述の設定温度以下となり、低温シーケンスP2を適用してロータリCを駆動し、画像形成を行った場合、駆動部品の摩擦熱やモータの発熱、その他装置本体内の熱源の影響により、装置本体内の温度が上昇する。そして、装置本体内の温度が上述の設定温度を超えると、通常シーケンスが適用され、単位時間当たりの出力枚数が上昇する。つまり、低温環境において低温シーケンスが適用され、装置の単位時間あたりの出力枚数が減少するのは一時的なものである。即ち、画像形成に伴い装置本体内温度が上昇すると、装置の単位時間あたりの出力枚数は、低温環境以外と同等となる。このようにして、低温環境における装置の単位時間あたりの出力枚数への影響を最小限に抑えつつ、低コスト、小型のロータリ駆動モータを使用可能としている。
【0192】
まとめると、温度がT1の際にカップリング150が本体側係合部から離脱する時点のカートリッジB(ロータリC)の加速度をα1とし、温度がT2の際にカップリング150が本体側係合部から離脱する時点のカートリッジB(ロータリC)の加速度をα2とする。この場合、前記駆動制御手段が、T1<=T2の際にはα1<=α2となるようにロータリCの加速度を制御すれば良い。更に、温度がT1の際にカップリング150が本体側係合部から離脱する時点のカートリッジB(ロータリC)の速度をVr1とし、温度がT2の際にカップリング150が本体側係合部から離脱する時点のカートリッジB(ロータリC)の速度をVr2とする。その場合、前記駆動制御手段が、T1<=T2の際にはVr1<=Vr2となるようにロータリCの速度を制御すれば良い(図28)。尚、本実施例では、温度が7℃以下の際にα1を0として、Vr1を一定速度にしている。制御し易さ及び画像形成時のスループットを考慮すると、このように制御することがより好ましい。
【0193】
以上説明した実施例によれば、低温環境における装置本体の本体側係合部と現像装置のカップリング部材との連結が解除される際の移動部材の移動負荷上昇を低減することができる。その結果、低コスト、小型の移動部材駆動モータを使用できる前記現像装置を用いる電子写真画像形成装置を提供することができる。
【実施例2】
【0194】
ロータリ一般に関する実施例
以下、本発明を適用した第2の実施例に係る、現像装置を用いる電子写真画像形成装置について説明する。本発明は、電子写真画像形成装置(例えば、図4)そのものに適用される。尚、上記第一の実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0195】
(1)現像カートリッジの説明
まず、図31乃至図33を用いて、本発明の一実施例を適用した、現像装置としての現像カートリッジ(以下、「カートリッジ」と称す。)B21について説明する。図31は、カートリッジB21の断面図である。図32はカートリッジB21の斜視図である。図33はカラー電子写真画像形成装置本体(以下、「装置本体」と称す)A2の断面図である。
【0196】
実施例1と同様に、現像カートリッジB21は、ユーザーによって、装置本体A2に設けられた現像ロータリC2に設けられた現像カートリッジ収容部2130aに取り付けられる(図33参照)。そして、ロータリC2の一方向への回転によって、カートリッジB21の駆動力被伝達部材2150(後述する)が、装置本体A2に設けられた駆動力伝達部材2180に連結(係合)し、及び駆動力伝達部材2180から離脱する。
【0197】
(2)駆動伝達機構(回転力伝達機構)の説明
図34において、現像ギア2145は現像ローラ2110の同軸上端部に、及び、現像剤供給ギア2146は現像剤供給ローラ2115(図31)の同軸上端部にそれぞれ配置され、固定されている。そして、現像ギア2145と現像剤供給ギア2146は、駆動力被伝達部材2150と噛み合っている。これによって、装置本体A2から駆動力被伝達部材2150が受けた回転力は、現像ギア2145を介して現像ローラ2110に、及び、現像剤供給ギア2146を介して現像剤供給ローラ2115に伝達される。尚、駆動力被伝達部材2150が装置本体A2から受けた回転力は、現像ローラ2110、及び、現像剤供給ローラ2115以外の回転部材に伝達しても良い。
【0198】
次に、駆動力被伝達部材2150について説明する。
【0199】
図34(a)に示すように、駆動力被伝達部材2150は現像ギア2145、現像剤供給ギア2146と噛み合う位置で回転可能に現像ユニット2119に取り付けられている。駆動力被伝達部材2150は、被駆動伝達部2150a、及び現像ギア部(第1ギア部)2150b、及び現像剤供給ギア部(第2ギア部)2150cをし、それぞれ現像ギア2145および現像剤供給ギア2146と噛合している。そして、駆動力被伝達部材2150が装置本体A2から受けた回転力を現像ローラ2110と現像剤供給ローラ2115に伝える。また、駆動力被伝達部材2150は現像ユニット2119に、軸線L24まわりに回転可能に取り付けられている。
【0200】
尚、被駆動伝達部の形状は、上述の機能を満たせば図34(b)に示すような形状にすることも可能である。すなわち、図34(b)に示した実施例は、被駆動伝達部をはす歯ギアとしたものである。また、図34に示した実施例は、平歯ギア、はす歯ギア、マグネットカップリング等、様々な形状が可能である。すなわち、現像ギア・現像剤供給ギアに回転力を伝達可能であれば、どのような形状でもよい。
【0201】
(3)被駆動伝達部材の係合動作/回転力伝達動作/離脱動作
カートリッジB21が、装置本体A2の所定の位置に停止する直前もしくは所定の位置に停止すると略同時に、駆動力被伝達部材2150は駆動力伝達部材2180と係合する。そして、駆動力被伝達部材2150は一定時間回転後、カートリッジB21が、装置本体A2の前記所定の位置から移動する際に、駆動力被伝達部材2150は第二駆動力伝達部材2180から離脱する。
【0202】
ここで、駆動力被伝達部材2150が駆動力伝達部材2180から離脱する場合について、図35を用いて説明する。図35(a)(b)は、駆動伝達機構の構成を、軸線L24方向から見た側面図である。図35(a)は、カートリッジB21が、装置本体A2の前記所定の位置に位置している状態を図示している。図35(b)は、図35(a)の状態からロータリC2がX24方向に回転した状態を図示している。
【0203】
まず、移動部材であるロータリC2がX24方向に回転することによって、カートリッジB21が装置本体A2の前記所定の位置から移動する。この時、まず駆動力被伝達部材2150と駆動力伝達部材2180が係合したままカートリッジB21が移動する。そして、駆動力被伝達部材2150と駆動力伝達部材2180が駆動伝達可能な距離以上離れた時点で、駆動力被伝達部材2150と駆動力伝達部材2180が離脱する(図35(b))。すなわち、このカートリッジB21が移動し始めてから駆動力被伝達部材2150と駆動力伝達部材2180が離脱するまでの間、駆動力被伝達部材2150と駆動力伝達部材2180は係合している。この場合、ロータリC2の回転によって、駆動力被伝達部材2150と駆動力伝達部材2180の位置関係が変化することにより、駆動力被伝達部材2150はX25方向に増速される、または回転させられる。ここで、駆動力伝達部材2180が回転した状態でロータリC2が回転した場合は増速され、駆動力伝達部材2180が停止した状態でロータリC2が回転した場合は回転させられる。このように駆動力被伝達部材2150を増速または回転させる、すなわち駆動力被伝達部材2150に加速度を与えるためには力が必要となる。その力は、ロータリC2の回転によって与えられる。つまり、ロータリC2の駆動トルクによって、駆動力被伝達部材2150を増速または回転する力が与えられる。すなわち、駆動力被伝達部材2150に加速度を与えるのに必要な力によって、ロータリの駆動トルクが上昇する。
【0204】
尚、駆動力伝達部材2180の位置や、現像駆動軸2180の回転方向X26の方向によっては、駆動力被伝達部材2150と駆動力伝達部材2180が離脱する際に、駆動力被伝達部材2150が減速される場合もある。但しこの場合においても、駆動力被伝達部材2150が回転方向と逆向きの加速度を与えられているということなので、その加速度を得るのに必要な力はロータリの駆動トルクによって与えられる。、従って、前述の場合と同様にロータリの駆動トルクが上昇する。
【0205】
(4)装置本体内温度に応じたロータリ駆動シーケンス変更の説明
次に、図36を用いて、電子写真画像形成装置の装置本体内温度による、ロータリ駆動シーケンスの変更について述べる。ここで、ロータリ駆動シーケンスとは、ロータリCの回転速度の時間変化を示す。図35は、低温環境以外と低温環境におけるロータリ駆動シーケンスを示す。横軸は時間を示し、縦軸はロータリ駆動速度を示す。シーケンスP21とP22は、それぞれ低温環境以外用のロータリ駆動シーケンス(以下、「通常シーケンス」と称する)P21と低温環境用のロータリ駆動シーケンス(以下、「低温シーケンス」と称する)P22である。また、時間Tr2は駆動力被伝達部材2150が駆動力伝達部材2180から離脱するタイミングであり、点R21と点R22はそれぞれ通常シーケンスP21と低温シーケンスP22上に時間Tr2をプロットした点である。
【0206】
ロータリ駆動シーケンスは、電子写真画像形成装置の装置本体内温度によって通常シーケンスP21または低温シーケンスP22に切り替えられる。切り替えの方法としては、まず装置本体A2に設けられた温度検知手段(不図示)によって、電子写真画像形成装置の装置本体内温度を検出する。その検出された本体内温度が任意に設定された設定温度より高い場合、ロータリ駆動モータ(不図示)を制御する駆動制御手段(不図示)によって通常シーケンスP21が選択され、適用される。検出された使用環境温度が任意に設定された設定温度以下の場合、低温シーケンスP22が選択され、適用される。また、ロータリ駆動シーケンスに従ってロータリC2が駆動された場合、ロータリ駆動シーケンスの開始から終了までの間に、あるカートリッジが現像位置にある状態から、次のカートリッジが現像位置に移動するために必要な角度だけロータリC2が回転する。この必要な角度は、ロータリ駆動シーケンスの内容によらず一定である。
【0207】
ここで、通常シーケンスP21においては、ロータリC2を時間T21で所定の速度V21まで加速し、時間T22の間は所定の速度V21で回転し、時間T23で所定の速度V21から減速する。そして、ロータリの加速中である時間T21中に駆動力被伝達部材2150が駆動力伝達部材2180より離脱するように設定されている(図35 点R21)。一方で、低温シーケンスP22においては、ロータリC2を時間T211aで一定速度V22まで加速し、時間T211bの間は一定速度V22で回転した後、時間T211cの間に一定速度V22から所定の速度V21まで加速する。更に、ロータリC2を時間T212間は所定の速度V21で回転し、時間T213で所定の速度V21から減速する。ここで、所定の速度V21は、一定速度V22より大きい。そして、ロータリが一定速度で回転中である時間T211b中に駆動力被伝達部材2150が駆動力伝達部材2180から離脱するように設定されている(図35 点R22)。
まとめると、低温環境以外においては通常シーケンスP21を、低温環境においては低温シーケンス22を前述のように選択して適用することによって、駆動力被伝達部材2150が駆動力伝達部材2180から離脱する際のロータリ駆動トルク上昇を緩和することができる。これは、実施例1と同様であり、本発明を適用した本実施例の顕著な効果の一つである。
【0208】
以上説明した実施例によれば、低温環境における装置本体の駆動伝達部材と現像装置の被駆動伝達部材との連結が解除される際の移動部材の移動負荷上昇を低減することができる。その結果、低コスト、小型の移動部材駆動モータを使用できる前記現像装置を用いる電子写真画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0209】
A 電子写真画像形成装置本体
B カートリッジ(現像装置)
C ロータリ(移動部材)
t 現像剤
L1 現像ローラの回転軸線
L2 カップリングの回転軸線
L3 駆動軸の回転軸線
L4 駆動入力ギアの回転軸線
X4 ロータリ回転方向(ロータリ移動方向)
100 電子写真画像形成装置
110 現像ローラ
115 現像剤供給ローラ
138 軸受
147 駆動入力ギア
147g(147g1、147g2) 開口部
147h(147h1、147h2) 回転力受け面(回転力被伝達部、伝達面)
150 カップリング(回転力伝達部品)
150d(150d1、150d2) 突起
150e(150e1、150e2) 回転力受面(回転力受け部)
150h(150h1、150h2) 回転力伝達面(回転力伝達部)
150i 抜け止め部(球面形状部)
150j カップリング被規制部
150x 平坦部150x平坦部
150z 凹部
155 回転力伝達ピン
156 抜け止め部材
157 支持部材
159 弾性部材(付勢部材)(ねじりコイルバネ)
160 規制部材
160a 軸受部(駆動入力ギア支持部)
160b 被規制部収納部
160b1 位置決め部(規制部)
160b2 許容部
160b3 収納部の壁
160b4 V溝部
180 駆動軸
182 回転力伝達ピン
150A1 下流側先端位置
150A2 上流側先端位置
P1 低温環境以外用ロータリ駆動シーケンス
P2 低温環境用ロータリ駆動シーケンス
Tq1 低温環境以外用ロータリ駆動シーケンスにおけるロータリ駆動トルクの時間変化
Tq2 低温環境用ロータリ駆動シーケンスにおけるロータリ駆動トルクの時間変化

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する電子写真画像形成装置において、
前記電子写真画像形成装置本体内の温度を検知する温度検知手段と、
現像剤を担持して回転する現像ローラと、前記現像ローラを回転させるための駆動力が伝達される駆動力被伝達部材と、を有する現像装置と、
前記現像装置を保持し、前記現像装置を、現像するための現像位置と、前記現像位置から退避した退避位置と、に移動させる移動部材と、
前記現像装置を移動させるために前記移動部材に駆動力を伝達する第一駆動力伝達部材と、
前記現像装置が前記現像位置に位置する状態で、前記駆動力被伝達部材と係合して前記駆動力被伝達部材に駆動力を伝達する第二駆動力伝達部材と、
前記温度検知手段によって検知された温度に基づいて前記第一駆動力伝達部材を制御可能な制御手段と、
を有し、
前記温度検知手段によって検知される温度がT1の際であって前記現像装置が前記現像位置から前記退避位置に移動するのに伴って前記駆動力被伝達部材が前記第二駆動力伝達部材から離脱する際に、前記現像装置が加速する加速度をα1とし、
前記温度検知手段によって検知される温度がT2の際であって前記現像装置が前記現像位置から前記退避位置に移動するのに伴って前記駆動力被伝達部材が前記第二駆動力伝達部材から離脱する際に、前記現像装置が加速する加速度をα2とした場合に、
T1<=T2の際にはα1<=α2となるように、前記制御手段が前記第一駆動力伝達部材を制御することを特徴とする電子写真画像形成装置。
【請求項2】
前記温度検知手段によって検知される温度がT1の際であって前記現像装置が前記現像位置から前記退避位置に移動するのに伴って前記駆動力被伝達部材が前記第二駆動力伝達部材から離脱する際に、前記現像装置が移動する速度をV1とし、
前記温度検知手段によって検知される温度がT2の際であって前記現像装置が前記現像位置から前記退避位置に移動するのに伴って前記駆動力被伝達部材が前記第二駆動力伝達部材から離脱する際に、前記現像装置が移動する速度をV2とした場合に、
T1<=T2の際にはV1<=V2となるように、前記制御手段が前記第一駆動力伝達部材を制御することを特徴とする請求項1に記載の電子写真画像形成装置。
【請求項3】
前記温度検知手段によって検知される温度が所定の温度以下の際であって前記現像装置が前記現像位置から前記退避位置に移動するのに伴って前記駆動力被伝達部材が前記第二駆動力伝達部材から離脱する際に、前記第一駆動力伝達部材によって前記現像装置が加速する加速度を0となるように前記制御手段が前記第一駆動力伝達部材を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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