説明

電子写真装置用エンドレスベルト及びそれを有する電子写真装置

【課題】高温高湿環境下での用紙吸着と良好な画像、異常放電による不良画像の抑制を両立させ、かつ機械的強度に優れ長期に亘って安定した耐屈曲性を有するエンドレスベルトを得る。
【解決手段】電子写真装置用エンドレスベルトにおいて、少なくとも熱可塑性樹脂と、一次粒子径0.01μm〜0.1μmのカーボンブラックと、一次粒子径1μm〜10μmのカーボンブラックとが含まれ、体積抵抗率が1E+8〜1E+14Ω・cm、かつ表面抵抗率が1E+9〜1E+15Ω/□である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置用エンドレスベルト及びそれを利用した電子写真装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、レーザービームプリンターなどの電子写真装置に用いられる転写搬送部材、中間転写体、電子写真感光体、定着部材などには、剛体のドラム形状のもの以外に、フレキシブルなエンドレスベルト形状のもの(電子写真用エンドレスベルト)が使用されている。
【0003】
近年では、フルカラーの電子写真装置の実用化が進み、年々その生産台数は増加してきており、フルカラーの電子写真装置は、全世界に広く普及し、様々な気候の地域においても安定した出力画像が期待される。これに対して電子写真装置を構成する感光体、トナー、ベルト、ローラといった部材は使用環境によって特性が大きく変化し易く、常に安定した出力画像を得ることは困難であった。このような問題を解決する手段として、例えば特許文献1に記載されているように、装置が置かれている環境が変化しても、常に適正なトナー濃度でトナー像を出力させるために、ベルト上に濃度検知用のパッチ(濃度検知用のトナー像)を載せることがよく行われている。このとき、ベルトの電気抵抗が不適切な範囲にあると、パッチをベルト上に転写する際、感光ドラムとベルトとの間に異常放電が起こり、パッチがベルトに転写されなかったり、転写されたパッチに水玉模様や鳥の足のような放電模様の跡(スタティックマークとも言われる)がつくといったパッチ像の不良が生じたり、正確な濃度検知が行えなくなるといった問題が生ずる。
【0004】
この様な異常放電を防止するため、通常、ベルトを導電化・低抵抗化する。一般的にプラスチックを導電化して帯電を防止するためには10E+8Ω・cm以下が必要と言われている。しかし、ここまで低抵抗化してしまうと、例えば転写搬送ベルトとしてベルトを使用した際に、基本的な特性である用紙吸着が困難となってしまう。また、中間転写ベルトとしてベルトを使用したときには、使用環境によって十分な転写電界が得られず、画像の抜けやガサツキが生じてしまう。この傾向は特に高温高湿環境下において顕著である。
【0005】
上述のように、異常放電によるトナーパッチ不良を生じさせずに、かつ用紙吸着や良好な画像転写が得られるベルトを安定して得ることは非常に困難な課題であった。
【0006】
通常、熱可塑性樹脂を導電化する手法として、古くからカーボンブラックによる導電化が一般的に用いられてきた。電子写真装置用のエンドレスベルトにおいても例えば、特許文献2のようにカーボンブラックによって導電化が行われていた。
【0007】
しかし、特許文献2に記載されたような小粒径で高ストラクチャーのカーボンブラックだけで抵抗調整しようとしても、高温高湿環境下での用紙吸着や良好な画像と異常放電による不良画像の抑制を両立させることは困難であった。
【0008】
また、特許文献3や特許文献4に示されたようなDBP吸油量やBET比表面積が異なる2種類のカーボンブラックを併用しても、結果的に似通った特性しか得られず、高温高湿環境下での用紙吸着と良好な画像、異常放電による不良画像の抑制を両立させることは困難であった。
【0009】
しかも、上記の特許文献3あるいは特許文献4は、抵抗の安定性や、成形品の外観について言及したものであり、本発明における課題を何ら示唆するものではない。
【0010】
更に、エンドレスベルトとしては、上述の電気的な特性以外にも、電子写真装置中でローラに懸架され、長期にわたって繰り返し曲げ伸ばしを行っても亀裂が入ったり破れたりすることがない、安定した耐屈曲特性も同時に要求されていた。
【特許文献1】特開平6−30271号公報
【特許文献2】特開平8−224802号公報
【特許文献3】特開平7−85722号公報
【特許文献4】特公平5−4990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のとおり、従来提案されているエンドレスベルトでは、何らかの欠点があり、エンドレスベルトとして必要な様々な特性を全て満足できるエンドレスベルトは得られていなかった。
【0012】
本発明の目的は、上記のような課題に鑑み、高温高湿環境下での用紙吸着と良好な画像、異常放電による不良画像の抑制を両立させ、かつ機械的強度に優れ長期に亘って安定した耐屈曲性を有する電子写真装置用エンドレスベルトを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に従って、少なくとも熱可塑性樹脂、一次粒子径0.01μm〜0.1μmのカーボンブラックと、一次粒子径1μm〜10μmのカーボンブラックとを含有し、体積抵抗率が1E+8〜1E+14Ω・cm、かつ表面抵抗率が1E+9〜1E+15Ω/□である電子写真装置用エンドレスベルトが提案される。
【発明の効果】
【0014】
高温高湿環境下での用紙吸着力を維持しつつ、良好な画像が得られ、異常放電による水玉、トリ足のようなパッチ像不良を生じず、かつ耐屈曲性に優れ、長期に亘って性能を維持することのできる電子写真装置用エンドレスベルトを得ることができる。このベルトは転写材搬送ベルトや中間転写ベルトとして利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明ではエンドレスベルトの素材として、熱可塑性樹脂を使用する。熱可塑性樹脂は汎用の成形機が使用でき、安価にエンドレスベルトを製造できるといった利点がある。熱可塑性樹脂としては例えば、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂(PA)、ポリエチレン樹脂(高密度(HDPE)、中密度(MDPE)、低密度(LDPE)、直鎖状低密度(LLDPE)、超高分子量(UHMW−PE))、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN))ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS)、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリメタクリルスチレン(MS)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PET−G(ポリエチレンテレフタレート(PET)とポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)との共重合体)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂(ABS)、メタクリル−ブタジエン−スチレン樹脂(MBS)、ポリアクリロニトリル(PAN)等が例示できる。また、上記の樹脂を含む共重合体が例示できる。これらを単独、あるいは2種以上を混合して用いてもさしつかえない。
【0016】
上述した熱可塑性樹脂の中でも好ましいものとして、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂が挙げられ、ポリアミド樹脂は高強度で耐久性に優れ、フッ素樹脂は更にトナー離型性に優れ、残トナークリーニング性に優位である。
【0017】
ポリアミド樹脂は元来、その分子鎖中に存在するアミド結合によって吸水しやすい性質を持っている。吸水による影響が小さい場合には問題ないが、吸水による影響が無視できない場合には、例えばナイロン11やナイロン12等の比較的吸水率の低いポリアミドを用いるのが好ましいが、反面、弾性率は低下する傾向にある。ポリアミド樹脂を使用する場合には、吸水と弾性率のバランスを考慮し、2種以上のポリアミド樹脂を併用するのが好ましい。
【0018】
前記フッ素樹脂の中でも特にポリフッ化ビニリデン樹脂が成形性、電気特性の面で好ましい。
【0019】
上述した樹脂以外に、様々な樹脂が使用できるが、ベルトとしての耐屈曲性を考慮した場合、結晶性の樹脂を使用するのが好ましい。結晶性の樹脂以外でも非結晶性樹脂とエラストマー、ゴムとのアロイ樹脂等が好適に使用できる。
【0020】
樹脂の結晶性・非結晶性は、例えばDSC(Differential Scanning Calorimeter、示差熱量計)により融解ピークの有無によって判断できる。
【0021】
また、電子写真装置用のエンドレスベルトとして使用する場合、所望の電気抵抗となるように抵抗調整が必要である。本発明では導電剤としてカーボンブラックを使用する。カーボンブラックは少量の添加で電気抵抗の調整が可能であり、ブリードアウトのような汚染の心配がなく、安価に製造できて好ましい。更に、熱可塑性樹脂に対する補強効果があり、耐クリープ性を向上させるといった付加効果もある。
【0022】
特に、本発明では一次粒子径の大きく異なる少なくとも2種のカーボンブラックを使用する。本発明者等は鋭意研究した結果、ただ単一のカーボンブラックを使用してエンドレスベルトを製造しても電子写真特性にかかわる諸問題を解決するには限界があることが分かり、本発明に至った。
【0023】
本発明で使用するカーボンブラックの粒径は、小さい一次粒子径のものとして、所謂従来導電性カーボンブラックとして用いられてきたカーボンブラックが挙げられ、具体的にはファーネスブラック、サーマルブラック、ガスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。また、導電性カーボンブラックに限らず、着色用のカーボンブラックでも十分に導電性を発揮できる。むしろ、種類によっては、導電性カーボンブラックよりも電気抵抗値のコントロールが容易なものもある。
【0024】
本発明におけるカーボンブラックは、市場で容易に入手可能である。例えば、アセチレンブラックとして電気化学工業のデンカブラック(粉状品、粒状品、プレス品、HS−100等)、ライオンのケッチェンブラック(EC、EC600JD)、デグサのカラーブラック、スペシャルブラック、プリンテックス、ハイブラック、ランプブラック、コロンビヤン・カーボンのラーベン・コンダクテックス、キャボットのバルカン、モナーク、リーガル、ブラックパールズ、モーガル、旭カーボンの旭カーボン、東海カーボンのトーカブラック、昭和キャボットのシヨウブラック、新日化カーボンのニテロン・HTC等が挙げられる。
【0025】
一方、本発明では上述のカーボンブラックとは別に粒径の大きいカーボンブラックを併用する。通常、粒径の大きいカーボンブラックは、ストラクチャーがあまり発達せず、熱可塑性樹脂やゴム、エラストマー中に分散させた場合の全体としての電気導電性は低い。しかし、たとえ大粒径のカーボンブラックでも、それ自体の体積抵抗率は熱可塑性樹脂に比較して非常に小さいものであり、単独では十分に導体として振舞う。このような大粒径のカーボンブラックはベルト中ではベルト全体の導電性には大きく寄与しないが、ベルトに高電圧が加えられたときや大きな電荷が加わった際には、これら電荷のリークポイントとしての役割を果たし、あたかも除電針のように振る舞い、ここをポイントに速やかに電荷漏洩し、異常放電の発生を抑制するものと推測される。
【0026】
本発明における大きな一次粒子径を有するカーボンブラックとして以下のようなものが挙げられる。
【0027】
例えば、コールタールの加熱処理により生成するメソフェーズ小球体、所謂メソカーボンマイクロビーズ、人造黒鉛微粉末、フェノール樹脂を焼成・炭化したもの等が挙げられる。
【0028】
具体的な商品名としては、昭和電工のUFGシリーズ、日本黒鉛のHOPシリーズ、大阪ガスケミカルのMCMBシリーズ等が挙げられる。
【0029】
小粒径のカーボンブラックの一次粒子径は、0.01μm〜0.1μmの範囲とする。0.01μm以下ではカーボンブラックの凝集力が強くなり、分散性が非常に困難であり、また0.1μmを超えると、たくさん添加しないと十分な導電性が得られなくなってしまい好ましくない。
【0030】
また、大粒径のカーボンブラックの一次粒子径は、1μm〜10μmの範囲とする。1μm以下では十分な放電防止効果を得るためにやはり大量に添加しなければならなくなり、ベルトの機械特性を悪化させてしまう。また、10μm以上ではベルト表面に凹凸ができてしまい、画像にガサツキが生じて好ましくない。
【0031】
本発明では、少なくとも粒径の異なる大小2種のカーボンブラックを用いる。0.01μm〜0.1μmの粒径のものを少なくとも1種と、1μm〜10μmの粒径のものを少なくとも1種用いれば、本発明の効果は発現できる。もちろん、例えば小粒径のもの2種類と、大粒径のもの1種といった組合せで用いても何らさしつかえない。
【0032】
上述のとおり、粒径の小さいカーボンブラックだけで抵抗調整した場合には、高温高湿環境下での用紙吸着と良好な画像、異常放電によるパッチ不良画像の抑制の両立が非常に困難である。
【0033】
また、逆に粒径の大きいカーボンブラックだけで抵抗調整しようとすると、大量に添加しなければならず、ベルトが脆くなってしまい、ベルトとしての耐屈曲性に劣ってしまう。
【0034】
このように考えると、粒径の小さいカーボンブラックはベルト全体のマクロ抵抗である体積抵抗率を下げるのに寄与し、粒径の大きいカーボンブラックはベルト中にミクロ的な抵抗ムラを形成し、表面抵抗率を下げるのに寄与しているものと考えられる。このように粒径の異なる2種類のカーボンを用いることにより、表面抵抗率と体積抵抗率をそれぞれ別々に調整できることを示唆している。
【0035】
熱可塑性樹脂に本発明のカーボンブラックを添加したときのベルトの体積抵抗率は1E+8〜1E+14Ω・cmの範囲とする。1E+8Ω・cmより小さい場合には、十分な転写電界が得られない上に、用紙吸着力が低くなりすぎて用紙搬送性に欠け、ひいては色ズレ画像が発生してしまう。逆に1E+14Ω・cmを超えると、転写のための電圧が大型化してしまい、結果的に装置の大型化を招いてしまううえ、余分な電荷を逃がすことができずに、異常放電を起こしてしまい、パッチ上に水玉を発生させる。
【0036】
また、ベルトの表面抵抗率が1E+9〜1E+15Ω/□の範囲とする。1E+9Ω/□より小さいと体積抵抗率のときと同様、十分な転写電界が得られず、用紙搬送が劣ってしまう。逆に1E+15Ω/□を超えてしまってはベルト表面で異常放電を起こしてしまい好ましくない。
【0037】
小粒径のカーボンブラックと大粒径のカーボンブラックとの体積比率は99:1〜50:50の範囲が好ましい。大粒径の添加比が1未満となると、大粒径のカーボンブラックの添加効果が薄れてしまい好ましくない。大粒径の添加比が50を超えると、大量に添加する必要が生じてしまい、ベルトが脆くなり、ベルトとしての耐屈曲性が劣ってしまい好ましくない。また、大粒径のカーボンブラックを多量に添加した場合、分散性も劣ってしまい、ベルト表面上にブツとなって現われてしまい、これが画像不良を引き起こしてしまい好ましくない。
【0038】
また、熱可塑性樹脂とカーボンブラックとの比率は質量比で60:40〜99:1の範囲が好ましい。熱可塑性樹脂が60質量%より少ないと、ベルトが脆くなってしまう。また、99質量%より多い場合には、抵抗調整用のカーボンブラックの添加量が必然的に少なくなってしまい、所望の電気抵抗値にコントロールすることが困難となってしまう。
【0039】
カーボンブラックの添加量は、熱重量分析(Thermogravimetric Analysis:TGA)により知ることが可能である。また、エンドレスベルトを構成する熱可塑性樹脂を溶解性のある溶剤・溶媒に溶解させ、溶け残ったカーボンブラックの重さと、溶解させる前に予め測っておいたエンドレスベルトの重さの比から計算してもよい。
【0040】
本発明におけるカーボンブラックは、グラファイト(黒鉛)及び部分的にグラファイト化されたカーボンブラックを含む。
【0041】
部分的にでもグラファイト化されたカーボンブラックを使用すると、導電性が向上し、少ない添加量で抵抗調整でき、機械特性や耐屈曲性に及ぼす影響を最小限に留めることができ好ましい。粒径の大きいカーボンブラックにおいてもグラファイト化されたものについては導電性が増加し、電荷漏洩効果、異常放電抑制効果がより高くなり好ましい方向である。
【0042】
使用するカーボンブラックが結晶性を有するか否かはX線回折法により容易に判定可能である。通常、アモルファス状態のカーボンブラックをX線回折法により分析すると、得られる回折線は非常にブロードである。一方、結晶性カーボンブラックをX線回折法により分析すると、得られる回折線に鋭いピークが現われ、結晶化度の増加に伴い、ピークは鋭く、半価幅が狭くなってくる。本発明においては、少なくとも一種のカーボンブラックが結晶性を有することが好ましい。
【0043】
一般にカーボンブラックによる導電機構は電子導電であり、環境依存性は小さいものの、電圧依存性が大きい。一方、イオン導電剤では電圧依存性が小さく、環境依存性が大きくなる。本発明においては、導電剤としてカーボンブラックを使用した上で、更に電子写真装置の求める特性に合致するよう、更にイオン導電剤を添加してもよい。
【0044】
特に、熱可塑性樹脂にカーボンブラックを添加しただけのエンドレスベルトの場合は、使用する樹脂や成形方法、電荷の強弱にもよるが、繰り返し電荷がかかった状態が続くと、経時で抵抗が下がることがあり、これを防止するためにイオン導電剤を追加してもよい。
【0045】
本発明で添加されるイオン導電剤としては、ポリエーテルユニットを含む帯電防止樹脂、パーフロロアルキル基を有する塩等を挙げることができる。例えば、ポリエーテルエステルアミド、パーフロロブタンスルホン酸カリウム等が挙げられる。中でも特に、ブリードアウトによる汚染等を考慮すると、高分子のイオン導電剤(イオン導電性樹脂)を使用するのが好ましい。
【0046】
また、本発明において、コスト低減、物性改善、機能付与、加工性改善等の目的で、無機充填材を添加しても良い。無機充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー、シリカ、マイカ、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、その他、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属ケイ酸塩等を用いることができる。
【0047】
また、カーボンブラックや充填材の分散目的で、分散剤を添加しても良い。特に好ましい分散剤としては、縮合リシノレイン酸ポリグリセル、ポリグリセリンステアリン酸エステル等が挙げられる。また、シランカップリング剤やチタネート系のカップリング剤等を使用してもよい。
【0048】
分散剤の処理方法としては、従来公知の処理方法(湿式、乾式等)、処理装置(ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等)を用いて行えばよい。
【0049】
本発明におけるベルトの厚みとしては、50μm〜500μmの範囲であり、より好ましくは50μm〜250μmの範囲である。50μmより薄い場合にはベルト張力に対して十分な張抗力が得られず、クリープしてしまう恐れがある。また、250μmを超える場合には柔軟性に欠け、スムーズなベルト走行ができなくなる。
【0050】
本発明では、エンドレスベルト形状に成形する前に、予め、熱可塑性樹脂、カーボンブラックや充填材等を2軸押出混練機にて混練し、成形用材料を得る。
【0051】
図1に、2軸押し出し機の概略構成の一例を示す。
【0052】
成形用材料を構成する成分は、ホッパー302から2軸押し出し機301に一度に投入するのが一般的である。しかしながら、電子写真装置用エンドレスベルトには、一般の樹脂成形品に比べて高い精密さが求められ、また、カーボンブラックの分散性をより向上させることが必要であるため、2軸押し出し機301に樹脂を投入し、樹脂が溶融した段階で、2軸押し出し機301にカーボンブラックおよび上記充填材を投入する方法が好ましい(サイドフィード:途中投入)。なお、302’もホッパーである。
【0053】
2軸押し出し機で溶融混練された材料は、ストランドダイ303からストランド304として押し出され、水槽305を通って冷却され、次いでストランドカッター306を通されることによって、成形用材料となる。
【0054】
2軸押し出し機での混練は、1回練りでもよいし、一旦2軸押し出し機を通したものを、複数回2軸押し出し機で混練(複数回練り)してもよい。
【0055】
2軸押し出し機としては、例えば、日本製鋼所(JSW)製のTEX、東芝機械製のTEM、池貝製のPCMなどが挙げられる。
【0056】
また、カーボンブラックの添加方法としては、分散性を向上させるために上述の方法とは別にマスターバッチ法を用いても良い。
【0057】
また、本発明におけるエンドレスベルトの成形方法は、具体的には、押出成形法、押出しインフレーション成形法、押出ブロー成形法、射出成形法及びインジェクションブロー成形法等の公知の溶融成形法が例示できる。なかでも、好ましい成形方法としては、押出成形法あるいは押出しインフレーション成形法による方法が挙げられる。この方法では、一度に連続して成形が可能で、経済的に有利である。また、インフレーション成形は、結晶性樹脂を用いた場合、そのブロー比によっては延伸効果があり、より高強度・高弾性率のエンドレスベルトが得られるため、クリープを抑制できて好ましい。
【0058】
また、他に好ましい成形方法として、インジェクションブロー法が挙げられる。この方法は、予め射出(インジェクション)成形で、パリソンを作製しておき、これを再び加熱しブロー成形する。ブロー成形は単なるブロー成形あるいはストレッチブロー成形が例示できる。この方法は、成形装置が高価であるが、人手がかからずに、短時間でたくさんの成形品ができる点で有利である。しかも、ブロー比を大きくとることにより、結晶性の熱可塑性樹脂の場合、延伸効果が期待でき、より高強度・高弾性率のエンドレスベルトが得られて好ましい。
【0059】
以下に、本発明に用いる電子写真装置用エンドレスベルトの製造方法の一例を説明する。
【0060】
図2は、インフレーション成形法を採用した、電子写真装置用エンドレスベルトを製造する装置の概略構成の一例を示す図である。
【0061】
まず、樹脂や、カーボンブラック、充填材を所定の処方に基づいて予備混合し、混練分散して得られた成形用原料を、ホッパー102から押し出し機101に投入する。押し出し機101における温度やスクリュー構成は、成形用原料がベルト成形可能な溶融粘度となるように、また、成形用原料中にカーボンブラックが均一に分散するように選択される。
【0062】
成形用原料は、押し出し機101中で溶融混練されて溶融体となり、環状ダイ103に入る。環状ダイ103には気体導入路104が配設されており、空気などの気体105が気体導入路104から環状ダイ103に吹き込まれることにより、環状ダイ103を通過した溶融体は径方向に拡大膨張する。なお、気体導入路104に気体105を吹き込まずに成形してもよい。
【0063】
膨張した成形体106は、冷却リングによって冷却されながら上方向に引き上げられる。上方向に引き上げられる際に所定寸法の寸法安定ガイド107でチューブを左右から押し潰して、シート状に折り畳み、ピンチローラ108で内部のエアーが抜けないように挟持することによって、電子写真装置用エンドレスベルトの周方向長さ(周長)が決まり、また、カッター109により所望の長さに切断されることによって、電子写真装置用エンドレスベルトの母線方向長さ(幅)が決まる。
【0064】
このようにして、電子写真装置用エンドレスベルトを得ることができる。
【0065】
上述の説明は、単層構成の電子写真装置用エンドレスベルトの製造方法に関するものであるが、2層構成の電子写真装置用エンドレスベルトの場合は、図3に示すように、第2の押し出し機201(202は第2のホッパー)を設置し、押し出し機101からの溶融体と押し出し機201からの溶融体とを同時に環状ダイ103へ送り込み、2層を同時に拡大膨張させることによって、2層構成の電子写真装置用エンドレスベルトを得ることができる。3層以上のときも、層数に応じて押し出し機を用意すればよい。
【0066】
押出しインフレーション成形法で生じた折り目を除去したり、表面を平滑化したりする方法として例えば、熱膨張率の異なる材料で作られた直径の異なる一組の円筒型を使用する方法が挙げられる。
【0067】
小径の円筒型(内型)の熱膨張率は、大径の円筒型(外型)の熱膨張率より大きくなるようにし、この内型に成形した筒状フィルムを被せた後、その内型を外型内に挿入して、内型と外型で筒状フィルムを挟み込むようにする。内型と外型の間のギャップは、加熱する温度と内型・外型の熱膨張率の差及び必要とされる圧力で計算して求める。
【0068】
内側から、内型・筒状フィルム・外型の順でセットされた型を、筒状フィルムに用いられた樹脂の軟化点温度付近まで加熱する。熱膨張率の大きい内型は、加熱によって外型の内径以上に膨張しようとするため、筒状フィルム全面に均一な圧力がかかる。このとき、軟化点付近に達した筒状フィルムの表面は、外型内面に押し付けられ、折り目を除去できる。その後、冷却して筒状フィルムを型から外すことで円筒状フィルムを得ることができる。この方法によれば、同時に寸法調整や表面性の改質等が可能である。また、内型に被せるフィルムを重ねておけば、多層の円筒状フィルムが得られる。
【0069】
また、本発明におけるエンドレスベルトは、つなぎ目があってもなくてもよい。すなわち、シート状に押出しして、その後シートを丸めて超音波溶着等によってつなぎ合わせたり、上記のような内型−外型を用いたりして円筒状フィルムとしてもよい。
【0070】
上述の方法は、予め成形用材料を得てから、エンドレスベルト形状に成形しているが、二軸押出混練機の先端に直接環状ダイスを取り付け、一工程でエンドレスベルト形状に成形しても構わない。
【0071】
本発明のエンドレスベルトは上述の成形方法にも記載したとおり、単層でも2層以上からなる多層でも良い。
【0072】
エンドレスベルトは、電子写真装置中では、通常複数本のローラに張架して使用される。しかし各ローラの真直度、振れ等の影響により、エンドレスベルトの蛇行が不可避である場合には、エンドレスベルトに蛇行防止用の部材を設けても良い。また、ベルト端部に補強テープや位置検知用のマーク・シール等を取り付けても構わない。
【0073】
本発明のエンドレスベルトは転写搬送ベルトとして好適に用いられる。
【0074】
図4に、インライン方式のカラー電子写真装置の概略構成の一例を示す。電子写真感光体から転写材へのトナー像の転写は、主に転写材搬送ベルト、転写帯電部材により行われる。
【0075】
図4において、1Y、1M、1C、1Kは円筒状の電子写真感光体(第1色〜第4色用電子写真感光体)であり、それぞれ軸2Y、2M、2C、2Kを中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0076】
回転駆動される第1色用電子写真感光体1Yの表面は、第1色用一次帯電部材3Yにより、正または負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4Yを受ける。露光光4Yは、目的のカラー画像の第1色成分像(例えばイエロー成分像)に対応した露光光である。こうして第1色用電子写真感光体1Yの表面に、目的のカラー画像の第1色成分像に対応した第1色成分静電潜像(イエロー成分静電潜像)が順次形成されていく。
【0077】
張架ローラ12によって張架された転写材搬送ベルト14は、矢印方向に第1色〜第4色用電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kとほぼ同じ周速度(例えば第1色〜第4色用電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kの周速度に対して97〜103%)で回転駆動される。また、転写材供給手段(不図示)から給送された転写材(紙など)Pは、転写材搬送ベルト14に静電的に担持(吸着)され、第1色〜第4色用電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kと転写材搬送ベルトとの間(当接部)に順次搬送される。
【0078】
第1色用電子写真感光体1Yの表面に形成された第1色成分静電潜像は、第1色用現像剤担持体5Yに担持された現像剤に含まれる第1色トナーにより現像されて第1色トナー像(イエロートナー像)となる。次いで、第1色用電子写真感光体1Yの表面に形成担持されている第1色トナー像が、第1色用転写帯電部材(第1色用転写帯電ローラ)6Yからの転写バイアスによって、第1色用電子写真感光体1Yと第1色用転写帯電部材6Yとの間を通過する転写材搬送ベルト14に担持された転写材Pに順次転写されていく。
【0079】
第1色トナー像転写後の第1色用電子写真感光体1Yの表面は、第1色用クリーニング部材(第1色用クリーニングブレード)7Yによって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化された後、繰り返し第1色トナー像形成に使用される。
【0080】
第1色用電子写真感光体1Y、第1色用一次帯電部材3Y、第1色用露光手段、第1色用現像剤担持体5Y、第1色用転写帯電部材6Yをまとめて第1色用画像形成部と称する。
【0081】
第2色用電子写真感光体1M、第2色用一次帯電部材3M、第2色用露光手段、第2色用現像剤担持体5M、第2色用転写帯電部材6Mを有する第2色用画像形成部、第3色用電子写真感光体1C、第3色用一次帯電部材3C、第3色用露光手段、第3色用現像剤担持体5C、第3色用転写帯電部材6Cを有する第3色用画像形成部、第4色用電子写真感光体1K、第4色用一次帯電部材3K、第4色用露光手段、第4色用現像剤担持体5K、第4色用転写帯電部材6Kを有する第4色用画像形成部の動作は、第1色用画像形成部の動作と同様であり、転写材搬送ベルト14に担持され、第1色トナー像が転写された転写材Pに、第2色トナー像(マゼンタトナー像)、第3色トナー像(シアントナー像)、第4色トナー像(ブラックトナー像)が順次転写されていく。こうして転写材搬送ベルト14に担持された転写材Pに目的のカラー画像に対応した合成トナー像が形成される。
【0082】
合成トナー像が形成された転写材Pは、転写材搬送ベルト14の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることによりカラー画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0083】
また、第1色〜第4色用クリーニング部材7Y、7M、7C、7Kによる転写残りの現像剤(トナー)除去後の第1色〜第4色用電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kの表面を、前露光手段からの前露光光により除電処理してもよいが、図5に示すように、電子写真感光体の表面の帯電にローラ形状の一次帯電部材(一次帯電ローラ)などを用いた接触帯電を採用した場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0084】
なお、図4中、15は転写材搬送ベルトに転写材を吸着させるための吸着ローラであり、16は転写材搬送ベルトから転写材を分離するための分離帯電器である。なお、この吸着ローラ15、分離帯電器16はあってもなくてもよい。
【0085】
図5に、中間転写方式のカラー電子写真装置の概略構成の一例を示す。電子写真感光体から転写材へのトナー像の転写は、主に一次転写帯電部材、中間転写ベルト、二次転写帯電部材により行われる。
【0086】
図5において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0087】
回転駆動される電子写真感光体1の表面は、一次帯電部材3により、正または負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。この際の露光光は、目的のカラー画像の第1色成分像(例えばイエロー成分像)に対応した露光光である。こうして電子写真感光体1の表面に、目的のカラー画像の第1色成分像に対応した第1色成分静電潜像(イエロー成分静電潜像)が順次形成されていく。
【0088】
張架ローラ12および二次転写対向ローラ13によって張架された中間転写ベルト11は、矢印方向に電子写真感光体1とほぼ同じ周速度(例えば電子写真感光体1の周速度に対して97〜103%)で回転駆動される。
【0089】
電子写真感光体1の表面に形成された第1色成分静電潜像は、第1色用現像剤担持体(イエロー用現像剤担持体)5Yに担持された現像剤に含まれる第1色トナー(イエロートナー)により現像されて第1色トナー像(イエロートナー像)となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されている第1色トナー像が、一次転写帯電部材(一次転写帯電ローラ)6pからの一次転写バイアスによって、電子写真感光体1と一次転写帯電部材6pとの間を通過する中間転写ベルト11の表面に順次一次転写されていく。
【0090】
第1色トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング部材7によって一次転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化された後、次色の画像形成に使用される。
【0091】
第2色トナー像(マゼンタトナー像)、第3色トナー像(シアントナー像)、第4色トナー像(ブラックトナー像)も、第1色トナー像と同様にして電子写真感光体1の表面に形成され、中間転写ベルト11の表面に順次転写される。こうして中間転写ベルト11の表面に目的のカラー画像に対応した合成トナー像が形成される。第1色〜第4色の一次転写の間は、二次転写帯電部材(二次転写帯電ローラ)6s、電荷付与部材(電荷付与ローラ)7rは中間転写ベルト11の表面から離れている。
【0092】
中間転写ベルト11の表面に形成された合成トナー像は、二次転写帯電部材6sからの二次転写バイアスによって、転写材供給手段(不図示)から二次転写対向ローラ13・中間転写ベルト11と二次転写帯電部材6sとの間(当接部)に中間転写ベルト11の回転と同期して取り出されて給送された転写材(紙など)Pに順次二次転写されていく。
【0093】
合成トナー像の転写を受けた転写材Pは、中間転写ベルト11の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることによりカラー画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0094】
合成トナー像転写後の中間転写ベルト11の表面には電荷付与部材7rが当接される。電荷付与部材7rは、中間転写ベルト11の表面の二次転写残りの現像剤(トナー)に一次転写時と逆極性の電荷を付与する。一次転写時と逆極性の電荷が付与された二次転写残りの現像剤(トナー)は、電子写真感光体1と中間転写ベルト11との当接部およびその近傍において、電子写真感光体1の表面に静電的に転写される。こうして合成トナー像転写後の中間転写ベルト11の表面は、転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化される。電子写真感光体1の表面に転写された二次転写残りの現像剤(トナー)は、電子写真感光体1の表面の一次転写残りの現像剤(トナー)とともに、クリーニング部材7によって除去される。中間転写ベルト11から電子写真感光体1への二次転写残りの現像剤(トナー)の転写は、一次転写と同時に行うことができるため、スループットの低下を生じない。
【0095】
また、クリーニング部材7による転写残りの現像剤(トナー)除去後の電子写真感光体1の表面を、前露光手段からの前露光光により除電処理してもよいが、図5に示すように、電子写真感光体の表面の帯電にローラ形状の一次帯電部材(一次帯電ローラ)などを用いた接触帯電を採用した場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0096】
図6に、中間転写方式のカラー電子写真装置の概略構成の別の例を示す。この中間転写方式の場合、電子写真感光体から転写材へのトナー像の転写は、主に一次転写帯電部材、中間転写ベルト、二次転写帯電部材により行われる。
【0097】
図6において、1Y、1M、1C、1Kは円筒状の電子写真感光体(第1色〜第4色用電子写真感光体)であり、それぞれ軸2Y、2M、2C、2Kを中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0098】
回転駆動される第1色用電子写真感光体1Yの表面は、第1色用一次帯電部材3Yにより、正または負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4Yを受ける。露光光4Yは、目的のカラー画像の第1色成分像(例えばイエロー成分像)に対応した露光光である。こうして第1色用電子写真感光体1Yの表面に、目的のカラー画像の第1色成分像に対応した第1色成分静電潜像(イエロー成分静電潜像)が順次形成されていく。
【0099】
張架ローラ12および二次転写対向ローラ13によって張架された中間転写ベルト11は、矢印方向に電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kとほぼ同じ周速度(例えば電子写真感光体1の周速度に対して97〜103%)で回転駆動される。
【0100】
第1色用電子写真感光体1Yの表面に形成された第1色成分静電潜像は、第1色用現像剤担持体5Yに担持された現像剤に含まれる第1色トナーにより現像されて第1色トナー像(イエロートナー像)となる。次いで、第1色用電子写真感光体1Yの表面に形成担持されている第1色トナー像が、第1色用一次転写帯電部材(第1色用一次転写帯電ローラ)6pYからの一次転写バイアスによって、第1色用電子写真感光体1Yと第1色用一次転写帯電部材6pYとの間を通過する中間転写ベルト11の表面に順次一次転写されていく。
【0101】
第1色トナー像転写後の第1色用電子写真感光体1Yの表面は、第1色用クリーニング部材(第1色用クリーニングブレード)7Yによって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化された後、繰り返し第1色トナー像形成に使用される。
【0102】
第1色用電子写真感光体1Y、第1色用一次帯電部材3Y、第1色用露光手段、第1色用現像剤担持体5Y、第1色用一次転写帯電部材6pYをまとめて第1色用画像形成部と称する。
【0103】
第2色用電子写真感光体1M、第2色用一次帯電部材3M、第2色用露光手段、第2色用現像剤担持体5M、第2色用一次転写帯電部材6pMを有する第2色用画像形成部、第3色用電子写真感光体1C、第3色用一次帯電部材3C、第3色用露光手段、第3色用現像剤担持体5C、第3色用一次転写帯電部材6pCを有する第3色用画像形成部、第4色用電子写真感光体1K、第4色用一次帯電部材3K、第4色用露光手段、第4色用現像剤担持体5K、第4色用一次転写帯電部材6pKを有する第4色用画像形成部の動作は、第1色用画像形成部の動作と同様であり、中間転写ベルト11の表面に、第2色トナー像(マゼンタトナー像)、第3色トナー像(シアントナー像)、第4色トナー像(ブラックトナー像)が順次一次転写されていく。こうして中間転写ベルト11の表面に目的のカラー画像に対応した合成トナー像が形成される。
【0104】
中間転写ベルト11の表面に形成された合成トナー像は、二次転写帯電部材6sからの二次転写バイアスによって、転写材供給手段(不図示)から二次転写対向ローラ13・中間転写ベルト11と二次転写帯電部材6sとの間(当接部)に中間転写ベルト11の回転と同期して取り出されて給送された転写材(紙など)Pに順次二次転写されていく。
【0105】
合成トナー像の転写を受けた転写材Pは、中間転写ベルト11の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることによりカラー画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0106】
合成トナー像転写後の中間転写ベルト11の表面は、中間転写ベルト用クリーニング部材7’によって二次転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化された後、次の合成トナー像形成に使用される。
【0107】
また、第1色〜第4色用クリーニング部材7Y、7M、7C、7Kによる転写残りの現像剤(トナー)除去後の第1色〜第4色用電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kの表面を、前露光手段からの前露光光により除電処理してもよいが、図6に示すように、電子写真感光体の表面の帯電にローラ形状の一次帯電部材(一次帯電ローラ)などを用いた接触帯電を採用した場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0108】
また、本発明のエンドレスベルトは、電子写真装置本体にそのまま装着してもよいし、ベルトカートリッジとして本体と脱着自在な形として用いてもよい。また、エンドレスベルトを潜像坦持体や帯電部材等の電子写真プロセス部材と一緒に一体化したプロセスカートリッジ用のベルトとしても用いることができる。
【0109】
以下、本発明における各パラメータの測定方法について記述する。
【0110】
<カーボンブラックの一次粒子径>
本発明における一次粒子径の測定方法としては、エンドレスベルトをミクロトーム等で切り出して、その断面を走査電子顕微鏡(Scanning Electron microscope:SEM)あるいは透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Miccroscopy:TEM)にて観察し、写真を得る。この写真から、大粒径カーボンブラック、小粒径カーボンブラックの一次粒子の粒径を測定する。このとき、カーボンブラックは必ずしも真球状ではないので、長径と短径を測定し、それを平均した値を一次粒子径とする。これを大粒径、小粒径それぞれ100個について測定し、これを平均した値を本発明における一次粒子径と定義する。なお、測定倍率はカーボンブラックのサイズに合わせて適宜調整し、観察を行った。
【0111】
また、エンドレスベルトの切片を使用して上手く観察できない場合は、エンドレスベルトを構成する熱可塑性樹脂を溶解性のある溶剤・溶媒等を利用して、溶解させ、残ったカーボンブラックを直接観察してカーボンブラックの一次粒子径を測定してもさしつかえない。
【0112】
また、上述の写真から無作為に100個のカーボンブラックの一次粒子径を測定し、そのデータからヒストグラムを作成し、粒度分布を得る。この粒度分布が一次粒子径0.01μm〜0.1μmの領域と一次粒子径1μm〜10μmの領域とに、それぞれピーク(極大値)を持つことが好ましい。
【0113】
<大粒径カーボンブラックと小粒径カーボンブラックとの体積比率>
上述のカーボンブラックの粒子径の測定により得られた粒子径(これをDとする)から、一つのカーボンブラックを球とみなした場合の体積を算出する。なお、このときの体積(V)は、V=4/3×π×(D/2)−3によって求められる。これを大粒径、小粒径のカーボンブラックそれぞれについて算出する。
【0114】
一方、一視野中に観察されるカーボンブラックの総数が1000個以上となるような倍率で、上述の一次粒子径測定と同様にTEMあるいはSEM写真を得て、大粒子径、小粒子径のカーボンブラックそれぞれの個数をカウントする。それぞれの個数に上記によって得られたカーボンブラック1個あたりの体積を乗じ、その比率をもって体積比率とする。
【0115】
<カーボンブラックの添加量>
熱重量分析(Thermogravimetric Analysis:TGA)により、定量が可能である。以下、TGを使用したカーボンブラック量の定量方法の一例を示す。まず800℃まで窒素中で昇温を行い、エンドレスベルト中の樹脂成分のみを分解する。その後、一旦200℃まで温度を下げた後、雰囲気を空気に切り換えて再び昇温を行い、カーボンブラックを燃焼させて、そのときの減量率よりカーボン分の定量を行う。
【0116】
また、エンドレスベルトを適当な溶剤に溶解させて溶け残ったカーボンブラックの重さと、溶解前のエンドレスベルトの重さとから算出してもよい。
【0117】
<体積抵抗率の測定方法>
<測定機>
抵抗計:超高抵抗計R8340A((株)アドバンテスト製)
試料箱:超高抵抗測定用資料箱TR42((株)アドバンテスト製)
主電極は直径25mm、ガード・リング電極は内径41mm、外径49mmとした。
【0118】
<サンプル>
転写材搬送ベルトを直径56mmの円形に切断する。切断後、一方の面にはその全面にPt−Pd蒸着膜により電極を設け、他方の面にはPt−Pd蒸着膜により直径25mmの主電極と内径38mm、外径50mmのガード電極を設ける(ASTM D257−78に準ずる)。Pt−Pd蒸着膜は、マイルドスパッタE1030((株)日立製作所製)を用いて、被蒸着物とPt−Pdターゲットとの距離約15mm、電流15mAで、蒸着操作を2分間行うことにより得られる。蒸着操作を終了したものを測定サンプルとする。
【0119】
<測定条件>
測定雰囲気:23℃/55%RH(N/N)
なお、測定サンプルは、あらかじめ23℃、55%RH環境下に12時間以上放置しておく。
【0120】
測定モード:ディスチャージ10秒、チャージおよびメジャー30秒
印加電圧は、基本的には100Vとする。サンプルの抵抗値、肉厚、絶縁破壊強さ等により100Vで上手く測定できない場合には、本発明の画像形成装置で使用されるシームレスベルトに印加される電圧の範囲の一部である1〜1000Vの間で測定する。
【0121】
<表面抵抗率の測定方法>
<測定機>
高抵抗率計:ハイレスタ−UP MCP−HT450((株)ダイアインスツルメンツ製)
測定プローブ:UR−100プローブ MCP−HTP16((株)ダイアインスツルメンツ製)
スイッチボックス:Uタイプ MCP−SWBO2((株)ダイアインスツルメンツ製)
レジテーブル:UFL MCP−STO3((株)ダイアインスツルメンツ製)
<測定条件>
測定雰囲気:23℃/50%RH(N/N)
なお、測定サンプルは、あらかじめ23℃、55%RH環境下に12時間以上放置しておく。
【0122】
測定時間:30秒
測定電圧は基本的に1000Vとする。1000Vで上手く測定できない場合には、500V、250V、100Vと測定可能な電圧まで順次測定電圧を下げていく。
【0123】
<測定手順>
エンドレスベルトの内側に、テフロン(登録商標)面を上にしたレジテーブルを挿入し、プローブを載せ、測定を開始。測定開始30秒後の値を表面抵抗率とする。
【0124】
このとき、エンドレスベルトの内周長が小さく、レジテーブルが挿入できない場合は、エンドレスベルトを切開き、エンドレスベルト表面が上になる(エンドレスベルトの裏面がレジテーブルのPTFE面と接する)ようにして、その上からプローブを載せ、同様に測定する。
【0125】
<カーボンブラックの結晶性>
カーボンブラックの結晶性はX線回折装置により得られる。
【0126】
<X線回折装置(XRD)>
(株)リガク 試料水平型強力X線回折装置 「RINT TTRII」
<測定条件>
管球:Cu
平行ビーム光学系
電圧:50Kv
電流:300Ma
開始角度:3°
終了角度:60°
サンプリング幅:0.02°
スキャンスピード:4.00°/min
発散スリット:開放
発散縦スリット:10mm
散乱スリット:開放
受光スリット:1.0mm
サンプルは、エンドレスベルトをそのまま切り出したものを使用。
【0127】
上記により、得られた回折線から、カーボンブラック以外(樹脂、添加剤等)の固有のピークを除いた部分に、ピークが観察されるか否かで結晶性を判断。また、エンドレスベルトのままでは判定が困難な場合、エンドレスベルトを適当な溶剤に溶解させて溶け残ったカーボンブラックを直接X線回折により分析を行ってもよい。図7にX線回折により得られた回折線の一例を示す。
【0128】
<耐屈曲性>
<試験機>
MIT式耐揉疲労試験機(型式 D)。東洋精機製。
【0129】
<試験方法>
JIS P 8115に準拠して行った。
【0130】
サンプル:エンドレスベルトから幅15mm×長さ100mmに切り出した。
【0131】
荷重:1.5kgf
折り曲げ角度:左右それぞれ135°
折り曲げ速度:175回/分
折り曲げ装置:先端R 0.38 ヒラキ0.25mm
なお、上述した各種特性の測定方法は、本願発明のエンドレスベルトを何ら制限するものではない。
【0132】
以下、実施例により、本発明の実施の形態をより一層詳細に説明する。
【0133】
なお、本実施例で使用した材料は特に限定されるものではなく、他のメーカー、銘柄の材料を用いても良いことは言うまでもない。
【0134】
なお、実施例中の「部」は質量部を意味する。
[実施例1]
【0135】
実施例1の配合
ポリフッ化ビニリデン樹脂(カイナー720) 90 部
小粒径カーボンブラック(デンカブラック粉状品) 5 部
大粒径カーボンブラック(UFG10) 5 部
上記の配合で、ポリフッ化ビニリデン樹脂、大粒径カーボンブラック(UFG10、一次粒子径3μm)をタンブラーミキサーで混合した(これを混合物Aとする)。
【0136】
次に、図1に示される構成の装置において、ホッパー302から2軸押し出し機301に、混合物Aを投入し、樹脂が溶融した段階で、ホッパー302’から2軸押し出し機301に小粒径カーボンブラック(デンカブラック粉状品、一次粒子径35nm)を投入した。
【0137】
2軸押し出し機301で溶融混練(混練温度:230℃)された上記材料を、ストランドダイ303からストランド304(直径2.5mm)として押し出し、水槽305を通して冷却し、次いでストランドカッター306を通して、成形用材料を得た。
【0138】
なお、本実施例で使用した小粒径カーボンブラック及び大粒径カーボンブラックはともにX線回折の結果から、結晶性を有すると判断された。
【0139】
次に、図2に示される構成の装置において、上記成形用原料を押し出し機101に備えられたホッパー102に投入し、上述のインフレーション成形によってチューブを得た。
【0140】
これを、両端を密閉した外径Φ150mmのPFAチューブの外周面に被せた。更に、その上から、内径Φ154mm、長さ320mm、厚さ0.5mmのニッケル電鋳スリーブを被せ、前記PFAチューブの内側から0.4(MPa)の圧縮空気を送り込んでPFAチューブを膨らませ、インフレーション成形によって得られたチューブを、PFA(内周面)とニッケル電鋳スリーブ(外周面)で挟み込んだ。この状態で、ニッケル電鋳スリーブにハロゲンヒータの熱をあて、該スリーブの表面温度が180℃になるまで加熱した。その後、該スリーブを室温まで冷却し、FPAチューブの内側に送り込んだ圧縮空気を開放して、挟み込みを解除した。解除後、インフレーション成形されたチューブを取り出すと、折り目は消えていた。これは、ニッケル電鋳スリーブを加熱した際に、インフレーション成形チューブが溶融あるいは半溶融状態になったためである。
【0141】
次に、上記工程により、折り目の除去、表面平滑性の調整およびサイズの調整が施されたエンドレスベルトの両端部を精密にカットして、周長480mm、幅250mm、厚さ100μmの電子写真装置用エンドレスベルトを得た。また、この電子写真装置用エンドレスベルトには、裏面に蛇行防止部材を取り付けた。
【0142】
得られたベルトの体積抵抗率は3E+12Ω・cmであり、表面抵抗率は8E+12Ω/□であった。
【0143】
このベルトを転写搬送ベルトとして図4の電子写真装置(カラーレーザープリンター)に装着し、評価を行った。
【0144】
用紙吸着力の評価は用紙がベルトに吸着した時点で電源スイッチを切り、電子写真装置のカバーを開け、転写搬送ベルトが露出するようにし、電源OFF後20秒経過時点で用紙の搬送方向と平行な方向に用紙を引張り、引張るのに必要な力を用紙吸着力とした。この吸着力が200gf以上であれば、十分な用紙搬送力があり、画像上、許容範囲内の色ズレ量であると判断できる。なお、紙種は、カラーレーザーコピア用紙(キヤノン製)、サイズはA5サイズにカットして使用した。また、引張速度は、毎秒50mm〜150mmの範囲とした。
【0145】
なお、測定環境は30℃×80%RH(HHと称する)であり、電子写真装置(転写搬送ベルトも含む)、用紙は、予め同環境下に12時間以上放置してから評価を行った。
【0146】
上述の方法で、得られたベルトの吸着力を測定したところ、600gfであり、十分な用紙吸着力を有していた。
【0147】
さらに、同環境下でA4サイズのフルカラープリント試験を行ったところ、特に問題のない良好な画像が得られた。
【0148】
また、23℃×50%RH(NNと称する)の環境下において、用紙を搬送しない状態でエンドレスベルト上にパッチ画像を転写させ、転写したパッチ画像上の異常放電跡の有無を観察した。
【0149】
結果、十分な用紙吸着力を有し、かつ異常放電によるパッチ画像の不良のないベルトであることが確認された。
【0150】
また、このベルトの耐屈曲性評価の結果、2万回を超えても破断や亀裂を生じず、十分な耐久性を有していた。特に、熱可塑性樹脂としてフッ素樹脂であるPVDFを用いているため、耐紙粉付着性、トナークリーニング性も良好であった。
【0151】
結果をまとめて表1に示す。
[実施例2〜11]
表1に記した配合で、実施例1と同様にしてエンドレスベルトを得た。
【0152】
得られたベルトを転写搬送ベルトとして実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例12]
【0153】
表1に記した配合で、実施例1と同様にしてエンドレスベルトを得た。
【0154】
得られたベルトを中間転写ベルトとして図5の電子写真装置(カラーレーザープリンター)に装着し、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。なお、本実施例の場合、中間転写ベルトのため用紙吸着の評価は行っていない。
[実施例13]
【0155】
表1に記した配合で、実施例1と同様にしてエンドレスベルトを得た。
【0156】
得られたベルトを中間転写ベルトとして図6の電子写真装置(カラーレーザープリンター)に装着し、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。なお、本実施例の場合、中間転写ベルトのため用紙吸着の評価は行っていない。
[比較例1]
表2に記した配合で、実施例1と同様にしてエンドレスベルトを得た。
【0157】
得られたベルトを転写搬送ベルトとして実施例1と同様にして評価した。体積抵抗率・表面抵抗率とも適正な範囲にはコントロールでき、紙吸着力は十分であったが、パッチ画像全体に異常放電による水玉模様が発生しており、転写搬送ベルトとしての機能は不十分であった。
【0158】
評価結果をまとめて表2に示す。
[比較例2〜6]
表2に記した配合で、実施例1と同様にしてエンドレスベルトを得た。
【0159】
得られたベルトを転写搬送ベルトとして実施例1と同様にして評価した。評価結果を表2に示す。
【0160】
【表1】

【0161】
【表2】

【0162】
<表の説明>
カイナー720(PVDF樹脂、アルケマ社製)
カイナー740(PVDF樹脂、アルケマ社製)
PA12(ポリアミド12、宇部興産製のウベスタ3030U)
PA610(ポリアミド610、東レ製のアミランCM2001)
デンカブラック粉状品(一次粒子径0.035μm、結晶性、電気化学工業製)
ケッチェンブラックEC600JD(一次粒子径0.034μm、結晶性なし、ライオン製)
モナーク1300(一次粒子径0.013μm、結晶性なし、キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク製)
コンダクテックス975ULTRA(一次粒子径0.021μm、結晶性なし、コロンビヤン・カーボン製)
トーカブラック3800(一次粒子径0.07μm、結晶性、東海カーボン製)
ランプブラック101(一次粒子径0.095μm、結晶性なし、デグサ製)
サーマックスMT(一次粒子径0.3μm、結晶性なし、Cancarb社製)
UFG5(一次粒子径3μm、結晶性、昭和電工製)
UFG10(一次粒子径4.5μm、結晶性、昭和電工製)
MCMB(メソカーボンマイクロビーズ、一次粒子径6μm、結晶性、大阪ガスケミカル製)
UFG30(一次粒子径10.5μm、結晶性、昭和電工製)
PEEA(ポリエーテルエステルアミド樹脂):三洋化成工業製のペレスタットNC6321
KFBS(パーフロロブタンスルホン酸カリウム):三菱マテリアルのエフトップ
酸化亜鉛:堺化学製の酸化亜鉛1種
ベルト種類
「ETB」=「転写材搬送ベルト」
「ITB」=「中間転写ベルト」
HHにおける画像評価
◎:良好
○:ごく軽微なガサツキ等の画像不良が観察されるが、製品としての実用上、許容レベルにあるレベルと判断できるもの
×:画像全体に異常が発生し、不良レベル
パッチ画像の異常
◎:全くなし
○:ごく軽微に発生するが、適正な濃度検知が行えるレベル
△:一部に水玉のようなもの発生する。場所によっては、適正な濃度検知が行えない場合がある。
【0163】
×:パッチ全体に異常が発生し、適正な濃度検知が行えない。
【0164】
耐屈曲性
◎:2万回以上
○:1万回以上
△:2千回以上
×:2千回未満
これまでの検討の結果から、MIT式の耐久試験で1万回以上クリアできれば、電子写真用のベルトとして十分に耐久性があると判断できる。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明によれば、高温高湿環境下での用紙吸着力を維持しつつ、良好な画像が得られ、異常放電による水玉、トリ足のようなパッチ像不良を生じず、かつ耐屈曲性に優れ、長期に亘って性能を維持することのできる電子写真装置用エンドレスベルトを得ることができる。このベルトは転写材搬送ベルトや中間転写ベルトとしての利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】2軸押し出し機の概略構成の一例を示す図である。
【図2】インフレーション成形法を採用した、電子写真装置用エンドレスベルトを製造する装置の概略構成の一例を示す図である。
【図3】インフレーション成形法を採用した、電子写真装置用エンドレスベルトを製造する装置の概略構成の別の例を示す図である。
【図4】インライン方式のカラー電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
【図5】本発明のエンドレスベルトを備えた別のフルカラー電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
【図6】中間転写方式のカラー電子写真装置の概略構成の別の例を示す図である。
【図7】X線回折によりカーボンブラックを観察した時の回折線の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0167】
101 押し出し機
102 ホッパー
103 環状ダイ
104 気体導入路
105 気体
106 成形体
107 寸法安定ガイド
108 ピンチローラ
109 カッター
201 押し出し機
202 ホッパー
301 2軸押し出し機
302 ホッパー
302’ ホッパー
303 ストランドダイ
304 ストランド
305 水槽
306 ストランドカッター
1 電子写真感光体
2 軸
3 一次帯電部材
4 露光光(画像露光光)
5 現像剤担持体
6 転写帯電部材
7 クリーニング部材
8 定着手段
11 中間転写ベルト
12 張架ローラ
5Y 第1色用現像剤担持体
5M 第2色用現像剤担持体
5C 第3色用現像剤担持体
5K 第4色用現像剤担持体
6p 一次転写帯電部材
6s 二次転写帯電部材
7r 電荷付与部材
1Y 第1色用電子写真感光体
1M 第2色用電子写真感光体
1C 第3色用電子写真感光体
1K 第4色用電子写真感光体
2Y 軸
2M 軸
2C 軸
2K 軸
3Y 第1色用一次帯電部材
3M 第2色用一次帯電部材
3C 第3色用一次帯電部材
3K 第4色用一次帯電部材
4Y 露光光
4M 露光光
4C 露光光
4K 露光光
6Y 第1色用転写帯電部材
6M 第2色用転写帯電部材
6C 第3色用転写帯電部材
6K 第4色用転写帯電部材
7Y 第1色用クリーニング部材
7M 第2色用クリーニング部材
7C 第3色用クリーニング部材
7K 第4色用クリーニング部材
13 二次転写対向ローラ
14 転写材搬送ベルト
15 吸着ローラ
16 分離帯電器
6pY 第1色用一次転写帯電部材
6pM 第2色用一次転写帯電部材
6pC 第3色用一次転写帯電部材
6pK 第4色用一次転写帯電部材
7’ 中間転写ベルト用クリーニング部材
P 転写材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも熱可塑性樹脂と、一次粒子径0.01μm〜0.1μmのカーボンブラックと、一次粒子径1μm〜10μmのカーボンブラックとを含有し、体積抵抗率が1E+8〜1E+14Ω・cm、かつ表面抵抗率が1E+9〜1E+15Ω/□であることを特徴とする電子写真装置用エンドレスベルト。
【請求項2】
前記カーボンブラックの粒度分布において、一次粒子径0.01μm〜0.1μmの領域と一次粒子径1μm〜10μmの領域とに、それぞれ極大値を持つことを特徴とする請求項1に記載の電子写真装置用エンドレスベルト。
【請求項3】
一次粒子径0.01μm〜0.1μmと一次粒子径1μm〜10μmのカーボンブラックとの体積比率が、99:1〜50:50であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の電子写真装置用エンドレスベルト。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂の配合量が60〜99重量%であり、一次粒子径0.01μm〜0.1μmのカーボンブラックと一次粒子径1μm〜10μmのカーボンブラックの合計配合量が1〜40質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真装置用エンドレスベルト。
【請求項5】
少なくとも一種のカーボンブラックが結晶性を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真装置用エンドレスベルト。
【請求項6】
イオン導電剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真装置用エンドレスベルト。
【請求項7】
無機充填材を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真装置用エンドレスベルト。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂が少なくともポリアミド樹脂あるいはフッ素樹脂からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真装置用エンドレスベルト。
【請求項9】
前記ポリアミド樹脂が異なる2種類以上のポリアミド樹脂からなることを特徴とする請求項8に記載の電子写真装置用エンドレスベルト。
【請求項10】
前記フッ素樹脂が少なくともポリフッ化ビニリデン樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の電子写真装置用エンドレスベルト。
【請求項11】
前記電子写真装置用エンドレスベルトが転写材搬送ベルトであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真装置用エンドレスベルト。
【請求項12】
前記電子写真装置用エンドレスベルトが中間転写ベルトであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真装置用エンドレスベルト。
【請求項13】
少なくとも請求項1〜12のいずれかに記載の電子写真装置用エンドレスベルトを有することを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−292826(P2006−292826A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−109884(P2005−109884)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】