説明

電子制御装置

【課題】放熱効率を高めることができる電子制御装置を実現する。
【解決手段】ECU10はパワートランジスタなどの発熱する電子部品が搭載された回路基板と、この回路基板が収容されたケース20と、このケース20の開口部を覆うカバー40とを備える。カバー40の裏面には発熱する電子部品の熱を放熱するための放熱部材が設けられており、両側面からは取付片47が形成されている。カバー40の表面の取付面45は凸形状に形成されている。各取付片47のボルト挿通孔にボルトを挿通し、エンジンルームの側壁50の取付対象面56に締結すると、カバー40の取付面45によって取付対象面56が撓み、取付対象面56の凹凸が取付面45の凸形状に対応した形状に変形し、カバー40の取付面45と取付対象面56との非接触部が減少することにより接触面積が増大して接触熱抵抗が小さくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発熱する電子部品が収容された熱伝導性の外殻を備えており、車両の熱伝導性を有する取付対象面に押圧して取付けられる電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電子制御装置として、車両に備えられたエンジンを制御するECU(Electronic Control Unit)が知られている。図8は、従来のECUの構成を示す分解斜視図である。
【0003】
図8に示すように、従来のECU80は、パワートランジスタなどの発熱する電子部品が搭載された回路基板30と、この回路基板30を収容するケース20と、このケース20の開口部27を覆う板状のカバー90とを備える。ケース20およびカバー90は鉄などを主成分とする熱伝導性材料により形成されている。回路基板30の表面31には、クランク角センサやカム角センサなどの各種のセンサと接続するためのコネクタ33が設けられている。
【0004】
カバー90の表面41には、放熱部材49が設けられている。放熱部材49は、回路基板30に設けられた発熱する電子部品と接触し、その電子部品から発生する熱をカバー90に伝導させる。カバー90の両側面42,43には複数の取付片47が形成されており、各取付片47にはボルト60(図9)を挿通するためのボルト挿通孔48が貫通形成されている。このように構成されたECU80は、各取付片47に挿通されたボルト60をエンジンルームの側壁に形成されたボルト孔に締結することにより固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−201283号公報(第31段落、図1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図9(a),(b)は、エンジンルームの側壁の縦断面図であり、(c),(d)は、ECUが側壁に取付けられた状態の縦断面図である。ECUを取付けるエンジンルームの側壁の取付面は完全に平面でない場合が多い。たとえば、図9(a)に示すように、側壁50の取付対象面56に凹部51が形成されていたり、図9(b)に示すように、凹部51および凸部52が形成されていたりする。側壁50は鉄などを主成分とする熱伝導性材料により形成されている。
【0007】
このため、そのような取付対象面56にECU80を取付けると、図9(c),(d)に示すように、ECU80のカバー90の取付面45と側壁50との間に隙間Eが形成されるため、カバー90の取付面45と側壁50との接触熱抵抗が大きくなるので、発熱する電子部品から発生した熱がカバー90を介して側壁50に伝導し難く、放熱効率が低いという問題がある。
【0008】
そこでこの発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、放熱効率を高めることができる電子制御装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、発熱する電子部品が収容された熱伝導性の外殻(20,40)を備えており、車両の熱伝導性を有する取付対象面(56)に接触して取付けられる電子制御装置(10)において、前記取付対象面に接触する取付面(45)が凸形状に形成されているという技術的手段を用いる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の電子制御装置(10)において、前記取付面(45)が、前記取付対象面(56)の凹凸高さ(B1,B2)以上の高さ(A)を有する凸形状に形成されているという技術的手段を用いる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の電子制御装置(10)において、前記取付面(45)の長手方向に沿った断面が凸形状であるという技術的手段を用いる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の電子制御装置(10)において、前記取付面(45)の長手方向および短手方向に沿った各断面がそれぞれ凸形状であるという技術的手段を用いる。
【0013】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の電子制御装置(10)において、前記取付面(45)が、前記外殻(20,40)の高温部分の近傍に頂点を有する凸形状に形成されているという技術的手段を用いる。
【0014】
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の電子制御装置(10)において、前記取付面(45)の裏面(41)と前記電子部品との間には放熱部材(49)が介在されているという技術的手段を用いる。
【0015】
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の電子制御装置(10)において、前記外殻(20,40)には、ボルト挿通孔(48)が貫通形成された取付片(47)が形成されており、前記ボルト挿通孔に挿通されたボルト(60)を前記取付対象面(56)に締結することにより前記取付対象面に押圧して取付けられるという技術的手段を用いる。
【0016】
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の電子制御装置(10)において、前記外殻(20,40)には、ボルト挿通孔が貫通形成された間接部材(70)が取付けられており、前記ボルト挿通孔に挿通されたボルト(60)を前記取付対象面(56)に締結することにより前記取付対象面に押圧して取付けられるという技術的手段を用いる。
【0017】
請求項9に記載の発明では、請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の電子制御装置(10)において、前記外殻(20,40)は、前記電子部品が収容されたケース(20)と、前記ケースの開口面(27)を覆うカバー(40)とを備えており、前記取付面が前記ケースの表面(21)であるという技術的手段を用いる。
【0018】
請求項10に記載の発明では、請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の電子制御装置(10)において、前記外殻(20,40)は、前記電子部品が収容されたケース(20)と、前記ケースの開口面(27)を覆うカバー(40)とを備えており、前記取付面(45)が前記カバーの表面であることを特徴とする。
【0019】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1ないし請求項10に記載の発明によれば、電子制御装置の取付面が凸形状に形成されているため、電子制御装置を車両の取付対象面に接触させて取付ける際に、上記凸形状によって取付対象面を上記取付面の凸形状に対応した形状に撓ませることができるので、取付面および取付対象面の非接触部分が減少することにより接触面積を増大させることができる。
したがって、取付面および取付対象面の接触熱抵抗を小さくすることができるため、放熱効率を高めることができる。
【0021】
特に、車両の取付対象面に凹凸が形成されている場合であっても、請求項2に記載の発明のように、電子制御装置の取付面を、車両の取付対象面の凹凸高さ以上の高さを有する凸形状に形成することにより、取付対象面を上記取付面の凸形状に対応した形状に撓ませることができるので、取付面および取付対象面の非接触部分が減少することにより接触面積を増大して放熱効率を高めることができる。
【0022】
また、請求項3に記載の発明によれば、取付面の長手方向に沿った断面が凸状であるため、取付面の凸形状の頂点と底部との間隔を大きくすることができる。
したがって、取付面の凸形状によって取付対象面を撓ませるときに、取付対象面に掛かる曲げ荷重を小さくすることができるため、取付けに必要な力を小さくすることができる。
【0023】
また、請求項4に記載の発明によれば、取付面の長手方向および短手方向に沿った各断面がそれぞれ凸形状であるため、取付対象面を多方向から撓ませることができるので、取付面および取付対象面の接触面積が取付対象面の断面形状によって左右され難い。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、取付面が、取付面内の高温部分の近傍に頂点を有する凸形状に形成されているため、高温部分の取付対象面との接触熱抵抗を最小にすることができるので、放熱効率をより一層高めることができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、取付面の裏面と電子部品との間には放熱部材が介在されているため、電子部品から発生する熱を放熱部材から取付面を介して取付対象面に伝導させることができる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、外殻の取付片のボルト挿通孔に挿通されたボルトを締結するという作業により、取付面の凸形状によって取付対象面を撓ませ、取付面および取付対象面の非接触部が減少することにより接触面積を増大させることができる。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、外殻に取付けられた間接部材のボルト挿通孔に挿通されたボルトを締結するという作業により、取付面の凸形状によって取付対象面を撓ませ、取付面および取付対象面の接触面積を増大させることができる。また、取付対象面が複数種類存在する場合であっても、取付対象面に対応した間接部材を用いることにより、外殻の形状を変更しなくても電子制御装置を取付対象面に取付けることができる。
【0028】
請求項9に記載の発明によれば、外殻を構成するケースの表面側を取付対象面に取付けることにより、放熱効率を高めることができる。
【0029】
請求項10に記載の発明によれば、外殻を構成するカバーの表面側を取付対象面に取付けることにより、放熱効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の第1実施形態に係るECUの構成を示す分解斜視図である。
【図2】(a)は図1に示すECU10の組立て後の端面図であり、(b),(c)はエンジンルームの側壁の縦断面図であり、(d)は側壁に取付けられたECUの縦断面図である。
【図3】(a)は図2(a)に示すECU10をエンジンルームの側壁50に取付けた状態の縦断面図であり、(b)はECU10を取付けるときの側壁50における作用点を示す説明図である。
【図4】第2実施形態に係るECUの説明図であり、(a)は平面図、(b),(c)は正面図、(d),(e)は右側面図である。
【図5】第3実施形態に係るECUの説明図であり、(a)はECUの縦断面図、(b)は(a)に示すECU10をエンジンルームの側壁50に取付けた状態の縦断面図である。
【図6】第4実施形態に係るECUの構成を示す分解斜視図である。
【図7】(a)は図6に示すECUをエンジンルームの側壁50に取付けた状態の縦断面図であり、(b)は側壁50の縦断面図であり、(c)は図6に示すECUを(b)に示す側壁50に取付けた状態の縦断面図である。
【図8】従来のECUの構成を示す分解斜視図である。
【図9】(a),(b)は、エンジンルームの側壁の縦断面図であり、(c),(d)は、ECUが側壁に取付けられた状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
〈第1実施形態〉
この発明に係る第1実施形態の電子制御装置について図を参照して説明する。以下の各実施形態では、電子制御装置としてECUを例に挙げて説明する。図1は、この第1実施形態に係るECUの構成を示す分解斜視図である。なお、図8,9に示した従来のECUおよび車両の側壁と同一の構成については同一の符号を用い、説明を省略する。
【0032】
この実施形態のECU10は、ケース20、回路基板30およびカバー40を備える。カバー40は、図示しない取付部材により、表面41が、ケース20の相対向する側壁22,23の各下端25,26に当接した形態となるようにケース20に取付けられる。このとき、回路基板30のコネクタ33はケース20の端面24に形成された開口部27に収容される。
【0033】
カバー40の表面に形成された取付面45は、その全体が円弧状に膨出した凸形状に形成されている。換言すると、取付面45は、円柱の一部を中心軸と平行な線に沿って切断したときの切断面と反対側の外周形状に形成されている。カバー40をその端面44に平行に切断したときの断面形状は、端面44と同一の凸形状である。
【0034】
図2(a)は図1に示すECU10の組立て後の端面図であり、(b),(c)はエンジンルームの側壁の縦断面図であり、(d)は側壁に取付けられたECUの縦断面図である。図2(a)に示すECU10の取付面45の凸形状の高さAは、エンジンルームの側壁50においてECU10を取付ける面である取付対象面56に形成された凹部の深さおよび凸形状の高さに基づいて決定する。
【0035】
つまり、図2(b)に示すように、エンジンルームの側壁50に設定されている取付対象面56に深さB1の凹部51が形成されている場合は、取付面45の高さAが凹部51の深さB1以上(A≧B1)となるように取付面45を形成する。また、図2(c)に示すように、取付対象面56に高さB2の凸部52が形成されている場合は、取付面45の高さAが凸部52の高さB2以上(A≧B2)となるように取付面45を形成する。
【0036】
図3(a)は図2(a)に示すECU10をエンジンルームの側壁50に取付けた状態の縦断面図であり、(b)はECU10を取付けるときの側壁50における作用点を示す説明図である。P1は、ECU10を側壁50に取付けるときにおける取付面45の頂点46の作用点であり、P2は、カバー40の取付片47に挿通されたボルト60を側壁50に締結するときにおけるボルト60の作用点である。
【0037】
ECU10をエンジンルームの側壁50における取付対象面56にあてがい、取付片47のボルト挿通孔48と取付対象面56に形成されたボルト孔(雌ネジ孔)とを一致させ、ボルト60をボルト挿通孔48に挿通し、ボルト孔にねじ込むと、ECU10の取付面45の頂点46が側壁方向への作用点P1となり、ねじ込まれるボルト60がECU方向への作用点P2となる。
【0038】
そして、ボルト60のねじ込みを進めると、取付対象面56を形成する側壁50が取付面45になじむように凹形状に撓む。このとき、取付対象面56に凹凸が存在する場合であっても、取付面45の押圧力によって凹凸が強制的に補正され、取付面45に対応した形状53に変化する。そしてさらに、ボルト60のねじ込みを進めると、取付面45および取付対象面56が密着し、取付面45および取付対象面56間の非接触部が減少することにより接触面積が増大するため、接触熱抵抗が小さくなる。
【0039】
上述したように、第1実施形態のECU10を用いれば、取付面45が凸形状に形成されているため、ECU10をエンジンルームの取付対象面56に押圧して取付ける際に、上記凸形状によって取付対象面56を撓ませることができるので、取付面45および取付対象面56の非接触部が減少することにより接触面積を増大させることができる。
したがって、取付面45および取付対象面56の接触熱抵抗を小さくすることができるため、放熱効率を高めることができる。
【0040】
また、図2(c)に示したように、取付対象面56に凹凸が形成されている場合であっても、ECU10の取付面45を取付対象面56の凹凸高さB1,B2以上の高さAを有する凸形状に形成することにより、取付対象面56を撓ませることができるので、取付面45および取付対象面56の非接触部が減少することにより接触面積を増大して放熱効率を高めることができる。
【0041】
〈第2実施形態〉
次に、この発明の第2実施形態について図を参照して説明する。図4はECUの説明図であり、(a)は平面図、(b),(c)は正面図、(d),(e)は右側面図である。
【0042】
図4(a)に示すように、同じ側面から突出形成された一対の取付片47に貫通形成されたボルト挿通孔48の間隔をαとし、両側面から突出形成された一対の取付片47に貫通形成されたボルト挿通孔48の間隔をβとする。このαおよびβの比は、取付面45の奥行きおよび横幅の比(縦横比)に対応する。
そして、β>αの場合、つまり、αが短手方向でβが長手方向である場合は、図4(b),(d)に示すように、カバー40を長手方向に沿って切断した場合の縦断面のみが凸形状、つまり、取付面45が正面側から見た場合に凸形状になるようにカバー40を形成する。
【0043】
また、β<αの場合、つまり、αが長手方向でβが短手方向である場合は、図4(c),(e)に示すように、カバー40を長手方向に沿って切断した場合の縦断面のみが凸形状、つまり、取付面45が側面側から見た場合に凸形状になるようにカバー40を形成する。このように、長手方向に沿って切断したときに取付面45が凸形状になるようにカバー40を形成すれば、凸形状の頂点と底部の間隔を大きくすることができる。
したがって、取付面45の凸形状によって取付対象面56を撓ませるときに、取付対象面56に掛かる曲げ荷重を小さくすることができるため、取付けに必要な力を小さくすることができる。
【0044】
また、取付面45の長手方向および短手方向に沿った各断面がそれぞれ凸形状となるようにカバー40を形成することもできる。この取付面45を用いれば、取付対象面56を多方向から撓ませることができるので、取付面45および取付対象面56の接触面積が取付対象面56の断面形状によって左右され難い。
【0045】
〈第3実施形態〉
次に、この発明の第3実施形態について図を参照して説明する。図5(a)はECUの縦断面図であり、(b)は(a)に示すECU10をエンジンルームの側壁50に取付けた状態の縦断面図である。
【0046】
パワートランジスタなどの発熱する電子部品は、必ずしも回路基板30の中央に搭載される訳ではない。このような場合、高温部分、つまり、発熱が集中する部位(以下、発熱集中部位という)は、図中で符号Fで示すようにカバー40の中央から偏った箇所に存在する。そこで、取付面45が発熱集中部位Fの近傍に頂点46を有する凸形状となるようにカバー40を形成する。
【0047】
このように取付面45を形成することにより、発熱集中部位Fの取付対象面56との接触熱抵抗を最小にすることができるので、放熱効率をより一層高めることができる。
【0048】
〈第4実施形態〉
次に、この発明の第4実施形態について図を参照して説明する。図6は、ECUの構成を示す分解斜視図である。図7(a)は図6に示すECUをエンジンルームの側壁50に取付けた状態の縦断面図であり、(b)は側壁50の縦断面図であり、(c)は図6に示すECUを(b)に示す側壁50に取付けた状態の縦断面図である。
【0049】
図6に示すように、この実施形態のECU10を構成するカバー40には取付片47が形成されていないが、図7(a)に示すように、ECU10は、間接部材である1組のブラケット70を備える。各ブラケット70は、縦断面がL字形状に形成されており、各水平部71には、ボルト挿通孔がそれぞれ貫通形成されている。また、各ブラケット70の垂直部72の裏面が、ケース20およびカバー40の側面にそれぞれ固着されている。
【0050】
上記のように、この実施形態のECU10は、間接部材であるブラケット70を用いて側壁50に取付ける構成であるため、ECU10の異なる大きさ毎に取付片47を有する専用のカバー40を製造する必要がないので、製造コストを低減することができる。
【0051】
また、図7(b)に示す例では、側壁50の取付対象面56の一端が屈曲している。その屈曲部分は、傾斜部54および水平部55から構成されており、ボルト60を締結するボルト孔は、水平部55に形成されている。このため、ECU10の両端においてボルト60を締結する高さが異なる。そこで、図7(c)に示すように、一方のブラケット70は、垂直部72が短く、水平部71が長く形成されており、ボルト60を水平部55のボルト孔に締結できるようになっている。
【0052】
このように、側壁50の取付対象面56が平坦でなく屈曲している場合は、その屈曲している形状に対応させてブラケット70を製造すれば、ECU10を取付対象面56に取付けることができる。
つまり、取付対象面56が複数種類存在する場合であっても、取付対象面56に対応したブラケット70を用いることにより、カバー40の形状を変更しなくてもECU10を取付対象面56に取付けることができる。
【0053】
〈他の実施形態〉
(1)発熱する電子部品が回路基板30の表面31に搭載されている場合は、放熱部材49をケース20の裏面に上記発熱する電子部品と接触するように設け、ケース20の表面21を凸形状に形成し、ケース20の両側壁22,23から取付片47を形成した構造に設計し、ケース20の表面21を取付対象面56に押圧して取付けることもできる。
【0054】
(2)前述の各実施形態では、取付面45が全体が円弧状に膨出した凸形状である場合を説明したが、取付対象面56の形状に対応させて取付面45の一部が円弧状に膨出した凸形状に形成することもできる。
(3)前述の各実施形態では、エンジンルームの側壁に取付けるECUについて説明したが、エンジンルーム以外の壁に取付けるECUについても本願発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
10・・ECU(電子制御装置)、20・・ケース(外殻)、30・・回路基板、
40・・カバー(外殻)、45・・取付面、47・・取付片、48・・ボルト挿通孔、
50・・側壁、56・・取付対象面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱する電子部品が収容された熱伝導性の外殻を備えており、車両の熱伝導性を有する取付対象面に接触して取付けられる電子制御装置において、
前記取付対象面に接触する取付面が凸形状に形成されていることを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
前記取付面が、前記取付対象面の凹凸高さ以上の高さを有する凸形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記取付面の長手方向に沿った断面が凸形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記取付面の長手方向および短手方向に沿った各断面がそれぞれ凸形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記取付面が、前記外殻の高温部分の近傍に頂点を有する凸形状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の電子制御装置。
【請求項6】
前記取付面の裏面と前記電子部品との間には放熱部材が介在されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の電子制御装置。
【請求項7】
前記外殻には、ボルト挿通孔が貫通形成された取付片が形成されており、
前記ボルト挿通孔に挿通されたボルトを前記取付対象面に締結することにより前記取付対象面に押圧して取付けられることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の電子制御装置。
【請求項8】
前記外殻には、ボルト挿通孔が貫通形成された間接部材が取付けられており、
前記ボルト挿通孔に挿通されたボルトを前記取付対象面に締結することにより前記取付対象面に押圧して取付けられることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の電子制御装置。
【請求項9】
前記外殻は、前記電子部品が収容されたケースと、前記ケースの開口面を覆うカバーとを備えており、
前記取付面が前記ケースの表面であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の電子制御装置。
【請求項10】
前記外殻は、前記電子部品が収容されたケースと、前記ケースの開口面を覆うカバーとを備えており、
前記取付面が前記カバーの表面であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の電子制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−4216(P2012−4216A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136106(P2010−136106)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】