説明

電子回路

【課題】複雑な回路構成を必要とせず、且つ容易に電源シーケンスを順守することができる回路を提供する。
【解決手段】電子回路(20)は第1の電源ラインに第1の電圧(V1)を出力する第1の電源回路(31)と、第1の電圧に基づいて第1の電圧よりも低い第2の電圧(V2)を安定化容量(C2)が接続された第2の電源ラインに出力する第2の電源回路(32)と、安定化容量(C3)が接続される第3の電源ラインと第1の電源ラインの間に配置されるPチャネルMOSトランジスタ(MP1)と、ゲート駆動回路(4)を有する。ゲート駆動回路は第1の電源ラインの電圧上昇に応じて前記MOSトランジスタのゲート電圧を低下させ、第1の電源ラインの電圧低下に応じてゲート電圧を第3の電源ラインの電圧に近づける。前記MOSトランジスタはドレイン端子が第1の電源ライン側に、ソース端子が第3の電源ライン側に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源シーケンスの制御に係り、特に複数電源を使用して動作する電子回路に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の種類の電源を必要とする電子回路、例えば多電源のマイクロコンピュータにおいて、異なる電源電圧で動作する素子が半導体基板上に混在する場合や異なる電源電圧で動作する回路間で信号のやり取りを行う場合、電源の投入及び遮断の順序が問題となる。これは電源を立ち上げ又は立ち下げの順番によって、入力不定伝播に起因する貫通電流が発生すること等により、内部素子が破壊されたり、劣化したりする虞があるからである。そのため、一般に多電源を必要とするマイクロコンピュータ等のLSI(Large Scale Integration)では、内部回路保護やポート制御の観点から、電源の投入及び遮断の順序(以下、「電源シーケンス」とも称する。)が規定される。マイクロコンピュータの電源シーケンスは一般に、電源投入はマイクロコンピュータのCPU等に供給されるコア電源が先でポート電源が後、電源遮断はポート電源が先でコア電源が後とされ、入力端子の機能によってはその逆とされる場合もある。しかしながら、規定された電源シーケンスを順守できるように電源の供給と停止のタイミングを図って制御を行った場合であっても、例えば電源遮断時において、遮断される電源ラインに接続される負荷抵抗や負荷容量によって放電時間が異なるため、規定された電源シーケンスを順守することができない場合がある。このような問題を解決するための電源シーケンス制御の従来技術として、特許文献1に開示がある。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、一方の電源電圧が所定の閾値電圧よりも低くなったとき、他方の電源電圧の電源ラインに接続された負荷容量に蓄積された電荷をトランジスタによって放電させることで電源シーケンスを順守する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−269812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の技術の場合、一方の電源電圧が低下してきたことを検出するための電源電圧レベル検出器が必要になる。また、前記電源電圧レベル検出器による検出のための基準電圧を生成する回路が別途必要となるが、この基準電圧は検出レベルを定める基準となるものであるため、精度の高い基準電圧を生成することができる電圧生成回路が必要となり、回路構成が複雑となる可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、複雑な回路構成を必要とせず、かつ、容易に電源シーケンスを順守することができる回路を提供することにある。
【0007】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0009】
すなわち、本電子回路は、外部から与えられる電源電圧に基づいて第1の電源ラインに第1の電圧を出力する第1の電源回路と、前記第1の電圧に基づいて前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を安定化容量が接続された第2の電源ラインに出力する第2の電源回路とを有する。前記電子回路は更に、前記第1の電源ラインと安定化容量が接続される第3の電源ラインとの間に配置され、前記第1の電圧を前記第3の電源ラインに出力するための第1のPチャネルMOSトランジスタと、ゲート駆動回路とを有する。前記ゲート駆動回路は、前記第1の電源ラインの電圧上昇に応じて前記第1のPチャネルMOSトランジスタのゲート端子の電圧を低下させることで前記第1の電圧を前記第3の電源ラインに出力させ、前記第1の電源ラインの電圧低下に応じて前記ゲート電圧を前記第3の電源ラインの電圧に近づけることで前記第3の電源ラインへの前記第1の電圧の供給を停止させる。このとき、前記第1のPチャネルMOSトランジスタは、ドレイン端子が前記第1の電源ライン側に接続され、ソース端子が前記第3の電源ライン側に接続される。
【発明の効果】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0011】
すなわち、本電子回路によれば、複雑な回路構成を必要とせず、かつ、容易に電源シーケンスを順守することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施の形態に係る、多電源のマイクロコンピュータを動作させるための電源制御システムの一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、電源シーケンスの一例を示す説明図である。
【図3】図3は、レギュレータ32の内部構成の一例を示す回路図である。
【図4】図4は、R2の代わりに複数のダイオード、又はツェナーダイオードを用いた場合の一例を示す説明図である。
【図5】図5は、実施の形態1に係るタイミング調整回路4の比較例であるタイミング調整回路6の回路図である。
【図6】図6は、電源制御システム20における電源投入時と電源遮断時の動作波形の一例を示す説明図である。
【図7】図7は、実施の形態2に係る、多電源のマイクロコンピュータを動作させるための電源制御システムの一例を示すブロック図である。
【図8】図8は、実施の形態3に係る、多電源のマイクロコンピュータを動作させるための電源制御システムの一例を示すブロック図である。
【図9】図9は、実施の形態3に係るタイミング調整回路5の比較例であるタイミング調整回路7の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0014】
〔1〕(2電源電圧制御システム)
本発明の代表的な実施の形態に係る電子回路(20、30)は、外部から与えられる電源電圧に基づいて第1の電源ラインに第1の電圧(V1)を出力する第1の電源回路(31)と、前記第1の電圧に基づいて前記第1の電圧よりも低い第2の電圧(V2)を安定化容量(C2)が接続された第2の電源ラインに出力する第2の電源回路(32)と、安定化容量(C3)が接続される第3の電源ラインと、を有する。更に前記電子回路は、前記第1の電源ラインと前記第3の電源ラインの間に配置され、前記第1の電圧を前記第3の電源ラインに出力するための第1のPチャネルMOSトランジスタ(MP1)と、前記第1の電源ラインの電圧上昇に応じて前記第1のPチャネルMOSトランジスタのゲート端子の電圧を低下させ、前記第1の電源ラインの電圧低下に応じて前記ゲート電圧を前記第3の電源ラインの電圧に近づけるゲート駆動回路(R1〜R3、MN1)を有する。前記第1のPチャネルMOSトランジスタは、ドレイン端子が前記第1の電源ライン側に接続され、ソース端子が前記第3の電源ライン側に接続される。
【0015】
項1の電子回路による電源投入時のシーケンスは以下となる。前記第1の電圧が上昇して前記第1のPチャネルMOSトランジスタのスレッショルド電圧を超えると前記第1のPチャネルMOSトランジスタがオンし、前記第3の電源ラインに前記第1の電圧が供給される。更に前記第1のPチャネルMOSトランジスタのドレイン端子とソース端子(バックゲート端子)間に存在する寄生のダイオードにより、前記第1の電源ラインから前記第3の電源ラインに電圧が供給される。これにより、前記第1の電圧は前記第3の電源ラインに速やかに供給される。また、前記第2の電圧は前記第1の電圧に基づいて生成されることから、前記第2の電圧は前記第1の電圧(前記第3の電源ラインの電圧)よりも後に立ち上がる。以上により、電源投入時には、前記第3の電源ラインの電圧が前記第2の電源ラインの電圧より先に立ち上がるという電源シーケンスが順守される。
【0016】
項1の電子回路による電源遮断時のシーケンスは以下となる。外部電源の供給の停止やディセーブル信号の入力による前記第1の電源回路の動作停止により前記第1の電圧の出力が停止されると、前記第2の電源回路は前記第2の電圧を生成することができず、前記第2の電圧は前記第2の電源回路内の放電経路と前記第2の電源ラインに接続された安定化容量に基づく放電時間で低下する。一方、前記ゲート駆動回路は前記第1の電圧の供給停止に伴い、前記第1のPチャネルMOSトランジスタのゲート電圧をソース電圧に近づけることで前記第1のPチャネルMOSトランジスタをオフさせる。これにより、前記第1の電源ラインと前記第3の電源ラインの電流経路が遮断される。また、電源ライン間のロードスイッチとして存在する前記第1のPチャネルMOSトランジスタのドレイン端子が前記第1の電源ライン側に接続され、ソース端子が前記第3の電源ライン側に接続されることにより、前記第3の電源ラインから前記第1の電源ラインへの寄生ダイオードを介した電流の流出はない。これにより、前記第1の電源ラインと前記第3の電源ラインが電気的に遮断されるので、前記第1のPチャネルMOSトランジスタがオフした後は、前記第3の電源ラインの電圧は保たれる。以上により、電源遮断時には前記第2の電源ラインの電圧が前記第3の電源ラインの電圧より先に立ち下がるという電源シーケンスを順守することが容易となる。
【0017】
〔2〕(ゲート駆動回路)
項1の電子回路において、前記ゲート駆動回路は、前記PチャネルMOSトランジスタのゲート端子とグランド電圧との間に配置されたNチャネルMOSトランジスタ又はNPNトランジスタ(MN1)と、前記PチャネルMOSトランジスタのゲート端子と前記第3の電源ラインとの間に配置された抵抗素子(R1)と、一端が前記第1の電源ラインに接続される第1素子(R2、Dn、Dz)と、一端がグランド電圧に接続される第2素子(R3)と、を有する。前記第1素子の他端と前記第2素子の他端が接続され、当該接続点に発生する前記第1素子の電流能力と前記第2素子の電流能力に応じた電圧が、前記NチャネルMOSトランジスタのゲート端子又は前記NPNトランジスタのベース端子に与えられる。
【0018】
これによれば、前記ゲート駆動回路における前記第1の電圧に応じた動作を容易に実現することが可能となる。
【0019】
〔3〕(抵抗分圧)
項2の電子回路において、前記第1素子(R2)と前記第2素子(R3)は抵抗素子である。
【0020】
これによれば、前記ゲート駆動回路を容易に構成することができ、部品点数も抑えることが可能となる。また、前記第1素子と前記第2素子の抵抗比を調整することで、前記第1のPチャネルMOSトランジスタをオフさせるときの前記第1の電圧の値を変更することが容易となる。
【0021】
〔4〕(直列接続ダイオードと抵抗)
項2の電子回路において、前記第1素子はアノード側が第1の電源ライン側とされ、直列に接続された複数のダイオード素子(Dn)であり、前記第2素子(R3)は抵抗素子である。
【0022】
これによれば、前記ゲート駆動回路を容易に構成することができ、部品点数も抑えることが可能となる。
【0023】
〔5〕(ツェナーダイオードと抵抗)
項2の電子回路において、前記第1素子はカソード側が第1の電源ライン側とされるツェナーダイオード(Dz)であり、前記第2素子は抵抗素子(R3)である。
【0024】
これによれば、前記ゲート駆動回路を容易に構成することができ、部品点数も抑えることが可能となる。
【0025】
〔6〕(第2の電源ラインの放電用トランジスタ)
項1乃至5のいずれかの電子回路(30)において、前記第2の電源ラインとグランド電圧との間に配置された第2のPチャネルMOSトランジスタ又はPNPトランジスタ(MP2)を更に有し、前記PチャネルMOSトランジスタのゲート端子又は前記PNPトランジスタのベース端子は、前記第1の電源ライン側に接続される。
【0026】
これによれば、電源遮断時において前記第2の電圧をより早く低下させることが可能となる。
【0027】
〔7〕(ディスクリート部品)
項1乃至6のいずれかの電子回路において、前記第1のPチャネルMOSトランジスタ、前記第2のPチャネルMOSトランジスタ若しくは前記PNPトランジスタ、及び前記ゲート駆動回路は、ディスクリート素子で構成される。
【0028】
これによれば、前記第2電源ラインや前記第3電源ラインに接続される負荷や安定化容量に応じた、部品の定数変更等の設計変更が容易となる。
【0029】
〔8〕(2電源電圧制御システム(バイポーラ))
本発明の代表的な実施の形態に係る電子回路(40)は、外部から与えられる電源電圧に基づいて第1の電源ラインに第1の電圧(V1)を出力する第1の電源回路(31)と、前記第1の電圧に基づいて前記第1の電圧よりも低い第2の電圧(V2)を、安定化容量(C2)が接続された第2の電源ラインに出力する第2の電源回路(32)と、安定化容量(C3)が接続される第3の電源ラインとを有する。前記電子回路は更に、前記第1の電源ラインと前記第3の電源ラインの間に配置され、前記第1の電圧を前記第3の電源ラインに出力するためのPNPトランジスタ(Q1)と、前記PNPトランジスタのエミッタ端子とベース端子との間に配置される抵抗素子(R1)と、前記第1の電源ラインの電圧上昇に応じて前記PNPトランジスタのベース電流を増加させ、前記第1の電源ラインの電圧低下に応じてベース電流を低下させるベース電流制御回路(R2、R3、MN1)と、を有する。前記PNPトランジスタは、コレクタ端子が前記第1の電源ライン側に接続され、エミッタ端子が前記第3の電源ライン側に接続される。
【0030】
これによれば、電源投入時において項1と同様の作用効果を奏する。電源遮断時においては以下となる。前記第1の電圧の供給が停止されると、前記第2の電圧は、項1と同様に、前記第2の電源回路内の放電経路と前記第2の電源ラインに接続された安定化容量に応じた放電時間で低下する。一方、前記ゲート駆動回路は前記第1の電圧の供給停止に伴い、前記PNPトランジスタのベース電圧がエミッタ電圧に近づくことで前記PNPトランジスタがオフする。これにより、前記第1の電源ラインと前記第3の電源ラインの電流経路が遮断される。また、電源ライン間のロードスイッチとして存在する前記PNPトランジスタのコレクタ端子が前記第1の電源ライン側に接続され、エミッタ端子が前記第3の電源ライン側に接続されることにより、エミッタ端子とベース端子との間の抵抗素子を介してベース端子からコレクタ端子への電流の流出がない。これにより、前記第1の電源ラインと前記第3の電源ラインが電気的に遮断されるので、前記PNPトランジスタがオフした後は、前記第3の電源ラインの電圧は保たれる。以上により、電源遮断時には前記第2の電源ラインの電圧が前記第3の電源ラインの電圧より先に立ち下がるという電源シーケンスを順守することが容易となる。
【0031】
〔9〕(ベース電流制御回路)
項8の電子回路において、前記ベース電流制御回路は、前記PNPトランジスタのベース端子とグランド電圧との間に配置されたNチャネルMOSトランジスタ又はNPNトランジスタ(MN1)と、一端が前記第1の電源ラインに接続される第1素子(R2、Dn、Dz)と、一端がグランド電圧に接続される第2素子(R3)と、を有する。前記ベース電流制御回路は、前記第1素子の他端と前記第2素子の他端が接続され、当該接続点に発生する前記第1素子の電流能力と前記第2素子の電流能力に応じた電圧が、前記NチャネルMOSトランジスタのゲート端子又は前記NPNトランジスタのベース端子に与えられる。
【0032】
これによれば、前記ベース電流制御回路における前記第1の電圧に応じた動作を容易に実現することが可能となる。
【0033】
〔10〕(抵抗分圧)
項9の電子回路において、前記第1素子(R2)と前記第2素子(R3)は抵抗素子である。
【0034】
これによれば、前記ベース電流制御回路を容易に構成することができ、部品点数も抑えることが可能となる。
【0035】
〔11〕(タイミング調整回路)
本発明の代表的な実施の形態に係る電子回路(4)は、回路のグランド電圧に対する電源電圧が供給される第1の電源ライン(V1)と、第2の電源ライン(V3)と、前記第1の電源ラインと前記第2の電源ラインの間に配置されるPチャネルMOSトランジスタ(MP1)と、前記第1の電源ラインの電圧上昇に応じて前記PチャネルMOSトランジスタのゲート端子の電圧を低下させ、前記第1の電源ラインの電圧低下に応じて前記ゲート電圧を前記第2の電源ラインの電圧に近づけるゲート駆動回路(R1〜R3、MN1)と、を有する。前記PチャネルMOSトランジスタは、ドレイン端子が前記第1の電源ライン側に接続され、ソース端子が前記第2電源ライン側に接続される。
【0036】
一般にPチャネルMOSトランジスタのバックゲート端子は最も高い電位に接続され、多くの場合ソース端子と同電位とされる。これにより、ドレイン端子側をアノードとしバックゲート側をカソードとする寄生ダイオードにより、ドレイン端子とソース端子が接続されることになる。また、電源ライン間のロードスイッチとしてPチャネルMOSトランジスタを用いる場合、一般に電圧を供給する側にソース端子が接続され、電圧が供給される側にドレイン端子が接続される。このような接続において、電圧の供給側であるソース端子の電圧が低下した場合、電圧の供給先であるドレイン端子からソース端子に前記寄生ダイオードを介して電流が逆流することなる。そこで、項11の電子回路によれば、電源電圧の供給元にドレイン端子を接続し、電源電圧の供給先にソース端子を接続していることから、電圧の供給元であるドレイン端子の電圧が低下した場合であっても、電圧の供給先であるソース端子に電流が逆流することがない。
【0037】
〔12〕(ゲート駆動回路)
項11の電子回路は、前記ゲート駆動回路は、前記PチャネルMOSトランジスタのゲート端子とグランド電圧との間に配置されたNチャネルMOSトランジスタ又はNPNトランジスタ(MN1)と、前記PチャネルMOSトランジスタのゲート端子と前記第2の電源ラインとの間に配置された抵抗素子(R1)と、一端が前記第1の電源ラインに接続される第1素子(R2)と、一端がグランド電圧に接続される第2素子(R3)と、を有する。更に、前記第1素子の他端と前記第2素子の他端が接続され、当該接続点に発生する前記第1素子の電流能力と前記第2素子の電流能力に応じた電圧が、前記NチャネルMOSトランジスタのゲート端子又は前記NPNトランジスタのベース端子に与えられる。
【0038】
これによれば、前記ゲート駆動回路を容易に構成することができ、部品点数も抑えることが可能となる。
【0039】
〔13〕(抵抗分圧)
項12の電子回路は、前記第1素子(R2)と前記第2素子(R3)は抵抗素子である。
【0040】
これによれば、前記ゲート駆動回路における前記第1の電圧に応じた動作を容易に実現することが可能となる。
【0041】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0042】
≪実施の形態1≫
図1は、本実施の形態に係る、多電源のマイクロコンピュータを動作させるための電源制御システムの一例を示すブロック図である。電源制御システム10は、基板(ボード)1上に構成され、マイクロコンピュータ2に対し電源電圧を供給するための電源回路群3と、その電源電圧の供給と遮断のタイミングを調整するタイミング調整回路4とを備える。
【0043】
同図に示されるマイクロコンピュータ2は、複数の異なる電源電圧が供給されて動作する。ここでは一例として、ポート制御等を行う周辺回路等に供給されるポート電源VCC(3.3V)と、CPU等に供給されるコア電源VCCQ(1.2V)の2種類の電源が供給されるものとする。
【0044】
マイクロコンピュータ2は所定の電源シーケンスを要求する。ここでは一例として、ポート電源VCC(3.3V)がコア電源VCCQ(1.2V)よりも先に投入され、ポート電源VCCはコア電源VCCQよりも後に遮断され、且つポート電源VCCがコア電源VCCQよりも低くされない、という電源シーケンスが要求されるものとする。
【0045】
図2に電源シーケンスの一例を示す。同図(a)は、マイクロコンピュータ2が要求する電源シーケンスである。同図ではコア電源VCCQ(1.2V)がポート電源VCC(3.3V)よりも後に立ち上がり、且つ先に立ち下がる場合が示される。同図(b)は、マイクロコンピュータ2が要求する電源シーケンスを満足しない場合の一例である。同図ではコア電源VCCQがポート電源VCCよりも先に立ち上がり、且つ後に立ち下がる場合が示される。
【0046】
電源制御システム10では、前記マイクロコンピュータ2が要求する電源シーケンスを満足させるため、電源回路群3とタイミング調整回路4は以下のように構成される。
【0047】
電源回路群3は、DC/DCコンバータ31とレギュレータ32を備える。
【0048】
DC/DCコンバータ31は、例えば、外部から入力される電源(12V)から電圧V1(3.3V)を生成する。DC/DCコンバータ31は、例えばチョッパ方式の降圧DC/DCコンバータ、又はフライバック方式の降圧DC/DCコンバータである。或いは、電圧V1よりも低い電圧から電圧V1を生成する場合には、昇圧のDC/DCコンバータでもよい。電圧V1の電源ラインには安定化容量C1が接続される。DC/DCコンバータ31が電圧V1を出力する条件としては、例えば外部電源(12V)が供給されたとき、及び図示されないイネーブル信号等によりDC/DCコンバータ31の動作停止が解除されたとき等である。一方、電圧V1の出力が停止される条件としては、例えば外部電源の供給が停止されたとき、及び前記イネーブル信号等によりDC/DCコンバータ31の動作が停止されたとき等である。このとき電圧V1は、例えばDC/DCコンバータ31が内部に備える出力電圧センス用抵抗や放電用のトランジスタ等により電圧V1の電源ラインに接続された安定化容量C1の電荷が放電されることで、速やかに低下する。
【0049】
レギュレータ32は、DC/DCコンバータ31によって生成された電圧V1(3.3V)に基づいて電圧V2(1.2V)を生成し、コア電源VCCQとしてマイクロコンピュータ2に供給する。前記レギュレータ32は、具体的にはシリーズレギュレータであり、例えば3端子レギュレータである。レギュレータ32の出力電圧V2の電源ラインには、安定化容量C2が接続され、必要に応じて放電用抵抗R5が接続される。
【0050】
図3にレギュレータ32の内部構成の一例を示す。同図に示されるように、レギュレータ32は、基準電圧生成部321、アンプ部322、出力トランジスタ323、及び出力電圧センス抵抗324等から構成される。レギュレータ32に電圧V1が入力されると、出力電圧センス抵抗324で出力電圧V2を検出し、検出電圧と基準電圧Vrefとが等しくなるように、アンプ部322により出力トランジスタ323を制御することで電圧V2(1.2V)を生成する。入力電圧V1の供給がなくなったときは、電圧V2は、電源ラインに接続された安定化容量C2と出力電圧センス抵抗324及び放電抵抗R5に基づく時定数で定まる放電時間で低下する。
【0051】
タイミング調整回路4は、電圧V1の電源ラインと電圧V3の電源ラインとの間に設けられたPチャネルMOSトランジスタMP1と、MP1のゲート端子とグランド電位との間に設けられたNチャネルMOSトランジスタMN1と、MP1のゲート端子とソース端子との間に設けられた抵抗R1と、MP1のドレイン端子とグランド電位との間に設けられ、直列に接続された抵抗R2及びR3とを備える。これらの素子は、例えばディスクリート部品であり、ボード1上に配置される。
【0052】
抵抗R2とR3の接続点はMN1のゲート端子に接続される。電圧V1が上昇し、抵抗R2及びR3によって分圧された電圧がMN1の閾値電圧を超えると、MN1がオンする。抵抗R2と抵抗R3の抵抗比により、MN1がオン(オフ)するときの電圧V1の値を調整することができる。MP1のゲート端子の電圧は、抵抗R1とMN1の電流能力に応じて決定され、MN1がオンしてM1の電流能力が増加(オン抵抗が低下)することによりグランド電位に近づく。MP1のゲート電圧が低下し、MP1がオンすると、電圧V1がソース端子側に電圧V3として供給され、電圧V3はマイクロコンピュータ2のVCC端子に供給される。
【0053】
前記抵抗R2の代わりに他の素子を用いることも可能である。
【0054】
図4は、抵抗R2の代わりに複数の直列接続されたダイオード、又はツェナーダイオードを用いた場合の一例を示す説明図である。ダイオードDnを用いる場合には、電圧V1側をアノードとし、抵抗R3側をカソードとするダイオードを複数直列に接続する。この場合、直列に接続するダイオードDnの段数により、NチャネルMOSトランジスタMN1がオンする電圧V1の値を調整することが可能となる。またツェナーダイオードDzを用いる場合は、電圧V1側をカソードとし、抵抗R3側をアノードとして接続する。
【0055】
PチャネルMOSトランジスタMP1は、前述したようにディスクリートのPチャネルトランジスタであり、バックゲートとソース端子は同電位とされる。また、ドレイン端子とバックゲート間には寄生のダイオードD0が存在するため、ドレイン端子とソース端子は寄生ダイオードD0により接続される。したがって、タイミング調整回路4における電圧V1を供給する経路は、前述したPチャネルMOSトランジスタMP1がオンすることによる経路と、寄生ダイオードD0を介した経路の2つとなる。これにより、電圧V1の上昇に伴い、電圧V3が追従して上昇することが理解される。一方、電圧V1の供給が停止されたとき、MP1はMN1によってオフされる。また、本実施の形態に係る電源制御システム10では、PチャネルMOSトランジスタMP1は、図1に示されるようにドレイン端子が電圧V1の電源ラインに接続され、ソース端子が電圧V3の電源ラインに接続されるため、電圧V1が低下しても寄生ダイオードD0によるソース端子からドレイン端子への電流の流出はない。ここで、本実施の形態の比較例として、例えば電圧の供給側(電圧V1側)にPチャネルトランジスタのソース端子を接続した場合を考える。
【0056】
図5は、本実施の形態に係るタイミング調整回路4の比較例として、PチャネルMOSトランジスタのソース端子とドレイン端子の接続を入れ替えたタイミング調整回路6の回路図である。同図に示されるように、電圧V3の電源ラインに寄生ダイオードD0Xのアノード側が接続され、電圧V1の電源ラインにカソード側が接続されるため、電圧V1が電圧V3よりも低下した場合、寄生ダイオードD0Xを介して電流Ixが逆流してしまう。これにより、電圧V1の低下によりPチャネルMOSトランジスタMP1Xがオフしても、電圧V3の電源ラインに接続された安定化容量C3から電荷が流出し、電圧V3が電圧V2よりも早く低下してしまう場合があり、要求される電源シーケンスを守ることができない虞がある。そこで、本実施の形態に係るタイミング調整回路4によれば、寄生ダイオードD0のアノード側が電圧V1の電源ラインに接続されるため、電圧V1の遮断時に電流の逆流が発生せず、電圧V3は安定化容量C3により保たれる。これにより、電源遮断時の電圧V2の制御を容易に行うことが可能となる。具体的には、電圧V3の電源ラインに放電用抵抗R4を接続し、当該抵抗R4と安定化容量C3の値を調整することで、電圧V3の放電時間を調整することができる。また、抵抗R2とR3の抵抗比を変えることで、放電用抵抗R4による放電を開始するタイミングを調整することができる。これにより、電圧遮断時の電源シーケンスを順守できるように設計することが容易となる。
【0057】
図6に電源制御システム20における電源投入時と電源遮断時の動作波形の一例を示す。
【0058】
電源投入時の動作は以下である。同図に示されるように、時刻t0において外部電圧(12V)が供給されてDC/DCコンバータ31がイネーブル状態となると、電圧V1が上昇し始める。それに伴い、PチャネルMOSトランジスタMP1の寄生ダイオードD0を介して電流が流れ始め、電圧V3も上昇を始める。このとき、PチャネルMOSトランジスタMP1のゲート電圧は抵抗R1によりソース電圧と同電位であることからMP1は導通しない。その後、電圧V1がNチャネルMOSトランジスタMN1の閾値電圧に近づくにつれ、NチャネルMOSトランジスタMN1がオンし始めることにより電圧V3の上昇が加速し、時刻t1においてPチャネルMOSトランジスタMP1が導通すると、電圧V3は電圧V1と等しくされる。また、電圧V1がレギュレータ32の動作可能な電圧まで上昇した時刻t2において電圧V2が発生する。以上により、電圧V3は電圧V1に追従して上昇し、かつ電圧V2は電圧V1から生成されることから、電圧V3(電源VCC)は電圧V2(電源VCCQ)よりも先にマイクロコンピュータ2に供給され、電圧V2(電源VCCQ)よりも電圧が低くなることはない。これにより、電源投入時に要求される電源シーケンスは順守される。
【0059】
電源遮断時の動作は以下である。同図に示されるように、時刻t3においてDC/DCコンバータ31がディセーブル状態に又は外部電源が供給停止となると、電圧V1は低下する。これに伴い、PチャネルMOSトランジスタMP1を通じて電圧V3も低下するが、NチャネルMOSトランジスタMN1のゲート電圧も同じように低下するため、MN1のオン抵抗が徐々に増加し、MP1のゲート電圧はソース電圧と等しくなるように上昇する。これにより、MP1が非導通状態に移行し、電圧V3の低下が鈍化する。そして、時刻t4においてMN1の閾値を下回るところまで電圧V1が低下すると、MN1及びMP1がオフする。これにより、電圧V3の電源ラインの放電経路が放電抵抗R4のみとなり、電圧V3は、安定化容量C3と放電抵抗R4によって定まる時定数に基づく放電時間をもって低下する。また電圧V2は、V1の低下によりレギュレータ32が駆動できなくなると、電圧V1に追従して低下し、その後は安定化容量C2と放電抵抗R5及び出力電圧センス抵抗324によって定まる時定数に基づく放電時間をもって低下する。このとき、安定化容量C3と放電抵抗R4による時定数は、安定化容量C2と放電抵抗R5及び出力電圧センス抵抗324によって定まる時定数よりも大きく設定されていれば、図6に示されるように電源遮断時に要求される電源シーケンスは順守される。尚、電圧V2と電圧V3の上昇時間、低下時間は、抵抗R5、容量C2、抵抗R2、抵抗R3、容量C3等の定数の設定値によって任意に設定可能である。
【0060】
以上実施の形態1に係る電源制御システム20によれば、電源投入時は、タイミング調整回路4により電圧V1に追従して電圧V3が上昇し、かつ電圧V2は電圧V1から生成されるため、ポート電源VCC(V3)がコア電源VCCQ(V2)よりも先に投入され、ポート電源VCCがコア電源VCCQよりも低くならないという電源シーケンスを順守することができる。また電源遮断時は、タイミング調整回路4のPチャネルMOSトランジスタMP1がオフすること、及びMP1のドレイン端子側を電圧V1の電源ラインに接続していることによる寄生ダイオードD0を介した電流の逆流が生じないことから、MP1が非道通状態となった後は、電圧V3を安定化容量C3により保持することができる。これにより、電圧V2の電源ラインの安定化容量C2及び放電抵抗R5と、電圧V3の電源ラインの安定化容量C3及び放電抵抗R4の定数の調整を行えば、ポート電源VCC(V3)がコア電源VCCQ(V2)よりも後に遮断され、ポート電源VCCがコア電源VCCQよりも低くならないという電源シーケンスを順守させることが容易となる。
【0061】
≪実施の形態2≫
図7は、実施の形態2に係る、多電源のマイクロコンピュータを動作させるための電源制御システムの一例を示すブロック図である。同図に示される電源制御システム20のうち実施の形態1に係る電源制御システム10と同様の構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0062】
同図に示される電源制御システム20は、実施の形態1に係る電源制御システム10に対し、電圧V2の電源ラインとグランド電位間にPチャネルMOSトランジスタMP2を更に追加した構成である。MP2は、ゲート端子が電源V1の電源ラインに接続され、ソース端子が電圧V2の電源ラインに接続され、ドレイン端子はグランド電位に接続される。電源遮断時において電圧V1が電圧V2よりも低下し、MP2の閾値電圧を超えるゲート・ソース間電圧が発生すると、MP2がオンし、電圧V2の電源ラインに接続された安定化容量C2が放電される。これにより、電圧V2をより早く低下させることが可能となる。一方、電源投入時は、電圧V2は電圧V1に基づいて生成されるため、電圧V2が電圧V1よりも大きくならないことから、MP2が電圧V2の立ち上がりに及ぼす影響は少ない。なお、MP2による放電経路には、放電電流制限用の抵抗を挿入してもよい。
【0063】
以上実施の形態2によれば、電源遮断時において、PチャネルMOSトランジスタMP2により、電圧V2を早く低下させることができるから、電源遮断時の電源シーケンスを順守させることが容易となる。
【0064】
《実施の形態3》
図8は、実施の形態3に係る、多電源のマイクロコンピュータを動作させるための電源制御システムの一例を示すブロック図である。同図に示される電源制御システム40のうち実施の形態1に係る電源制御システム10と同様の構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0065】
同図に示される電源制御システム40は、実施の形態1に係る電源制御システム10のタイミング調整回路4におけるPチャネルMOSトランジスタMP1をPNPトランジスタQ1に変更した構成のタイミング調整回路5を備える。
【0066】
PNPトランジスタQ1は、コレクタ端子が電源V1の電源ラインに接続され、エミッタ端子が電圧V2の電源ラインに接続される。PNPトランジスタQ1は、ディスクリート部品である。Q1のベース端子とNチャネルMOSトランジスタMN1との間にベース電流制限用の抵抗R6が更に接続される。
【0067】
電圧V1が上昇し、抵抗R2及びR3によって分圧された電圧がMN1の閾値電圧を超えるとMN1がオンすると、R1を介してMN1に電流が流れるとともにPNPトランジスタQ1のベース端子からR6を介してMN1に電流が流れる。これにより、Q1が導通し、電圧V1がエミッタ端子側に電圧V3として供給され、電圧V3はマイクロコンピュータ2のVCC端子に供給される。以上により、電圧V3は電圧V1に追従して上昇し、かつ電圧V2は実施の形態1の場合と同様に電圧V1から生成されることから、電圧V3(電源VCC)は電圧V2(電源VCCQ)よりも先にマイクロコンピュータ2に供給され、電圧V2(電源VCCQ)よりも電圧が低くなることはない。これにより、電源投入時に要求される電源シーケンスは順守される。
【0068】
一方、電圧V1の供給が停止されたとき、MN1がオフすることによってPNPトランジスタQ1は非導通状態とされる。また、本実施の形態に係る電源制御システム40では、Q1は、図7に示されるようにコレクタ端子が電圧V1の電源ラインに接続され、エミッタ端子が電圧V3の電源ラインに接続されるため、電圧V1が電圧V3より低下してもエミッタ端子からコレクタ端子への電流の流出はない。ここで、本実施の形態の比較例として、例えば電圧の供給側(電圧V1側)にPNPトランジスタのエミッタ端子を接続した場合を考える。
【0069】
図9は、本実施の形態に係るタイミング調整回路5の比較例として、PNPトランジスタのエミッタ端子とコレクタ端子の接続を入れ替えたタイミング調整回路7の回路図である。この場合、コレクタ端子とベース端子のダイオードとエミッタ端子とベース端子間に設けられた抵抗R1Yからなる電流経路により、電圧V1が電圧V3よりも低下した場合、電流Iyが逆流してしまう。これにより、電圧V1が低下してPNPトランジスタが非導通状態となっても、電圧V3の電源ラインに接続された安定化容量C3から電荷が流出し、電圧V3が電圧V2よりも早く低下してしまう場合があり、要求される電源シーケンスを守ることができない虞がある。そこで、本実施の形態に係るタイミング調整回路5によれば、電圧V1の遮断時に電流の逆流が発生せず、電圧V3は安定化容量C3により保たれる。これにより、実施の形態1と同様に、放電用抵抗R4と安定化容量C3の値を調整すること、及び抵抗R2とR3の抵抗比を調整することにより、容易に電圧遮断時の電源シーケンスを順守することが可能となる。
【0070】
以上実施の形態3に係る電源制御システム40によれば、電源投入時は、ポート電源VCC(V3)がコア電源VCCQ(V2)よりも先に投入され、ポート電源VCCがコア電源VCCQよりも低くならないという電源シーケンスを順守することができる。また電源遮断時は、電圧V2の電源ラインの安定化容量C2及び放電抵抗R5と、電圧V3の電源ラインの安定化容量C3及び放電抵抗R4の定数の調整を行えば、ポート電源VCC(V3)がコア電源VCCQ(V2)よりも後に遮断され、ポート電源VCCがコア電源VCCQよりも低くならないという電源シーケンスを順守することが容易となる。
【0071】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0072】
例えば、実施の形態1乃至3におけるトランジスタMN1は、NチャネルMOSトランジスタに限られず、NPNトランジスタでもよい。この場合、NPNトランジスタのベース端子にベース電流制限用の抵抗を直列に挿入することが望ましい。
【0073】
実施の形態3における電圧V2の電源ラインとグランド電位との間にPチャネルMOSトランジスタMP2を挿入することも可能である。これによれば、実施の形態2と同様の作用効果を奏する。当該トランジスタMP2はPチャネルMOSトランジスタに限られず、PNPトランジスタでもよい。この場合もベース端子にベース電流制限用の抵抗を直列に挿入することが望ましい。
【0074】
実施の形態2及び3において、抵抗R2は、実施の形態1と同様に、ダイオードDn又はツェナーダイオードDzに置き換えることが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 基板(ボード)
10、20、40 電源制御システム
2 マイクロコンピュータ
3 電源回路群
31 DC/DCコンバータ
32 レギュレータ
321 基準電圧生成部
322 アンプ部
323 出力トランジスタ
324 出力電圧センス抵抗
4、5 タイミング調整回路
6、7 タイミング調整回路(比較例)
C1、C2、C3 安定化容量
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R1X、R1Y 抵抗
V1、V2、V3 電圧(電源ライン)
MP1、MP1X、MP2 PチャネルMOSトランジスタ
MN1 NチャネルMOSトランジスタ
D0、D0X 寄生ダイオード
Dn ダイオード
Dz ツェナーダイオード
Q1 PNPトランジスタ
D1Y コレクタ・ベース間ダイオード
Ix、Iy 逆流電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から与えられる電源電圧に基づいて第1の電源ラインに第1の電圧を出力する第1の電源回路と、
前記第1の電圧に基づいて前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を、安定化容量が接続された第2の電源ラインに出力する第2の電源回路と、
安定化容量が接続される第3の電源ラインと、
前記第1の電源ラインと前記第3の電源ラインの間に配置され、前記第1の電圧を前記第3の電源ラインに出力するための第1のPチャネルMOSトランジスタと、
前記第1の電源ラインの電圧上昇に応じて前記第1のPチャネルMOSトランジスタのゲート端子の電圧を低下させ、前記第1の電源ラインの電圧低下に応じて前記ゲート電圧を前記第3の電源ラインの電圧に近づけるゲート駆動回路と、を有し、
前記第1のPチャネルMOSトランジスタは、ドレイン端子が前記第1の電源ライン側に接続され、ソース端子が前記第3の電源ライン側に接続される、電子回路。
【請求項2】
前記ゲート駆動回路は、前記PチャネルMOSトランジスタのゲート端子とグランド電圧との間に配置されたNチャネルMOSトランジスタ又はNPNトランジスタと、
前記PチャネルMOSトランジスタのゲート端子と前記第3の電源ラインとの間に配置された抵抗素子と、
一端が前記第1の電源ラインに接続される第1素子と、一端がグランド電圧に接続される第2素子と、を有し、
前記第1素子の他端と前記第2素子の他端が接続され、当該接続点に発生する前記第1素子の電流能力と前記第2素子の電流能力に応じた電圧が、前記NチャネルMOSトランジスタのゲート端子又は前記NPNトランジスタのベース端子に与えられる、請求項1記載の電子回路。
【請求項3】
前記第1素子と前記第2素子は抵抗素子である、請求項2記載の電子回路。
【請求項4】
前記第1素子はアノード側が第1の電源ライン側とされ、直列に接続された複数のダイオード素子であり、前記第2素子は抵抗素子である、請求項2記載の電子回路。
【請求項5】
前記第1素子はカソード側が第1の電源ライン側とされるツェナーダイオードであり、前記第2素子は抵抗素子である、請求項2記載の電子回路。
【請求項6】
前記第2の電源ラインとグランド電圧との間に配置された第2のPチャネルMOSトランジスタ又はPNPトランジスタを更に有し、
前記PチャネルMOSトランジスタのゲート端子又は前記PNPトランジスタのベース端子は、前記第1の電源ライン側に接続される、請求項3記載の電子回路。
【請求項7】
前記第1のPチャネルMOSトランジスタ、前記第2のPチャネルMOSトランジスタ若しくは前記PNPトランジスタ、及び前記ゲート駆動回路は、ディスクリート素子で構成される、請求項3記載の電子回路。
【請求項8】
外部から与えられる電源電圧に基づいて第1の電源ラインに第1の電圧を出力する第1の電源回路と、
前記第1の電圧に基づいて前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を、安定化容量が接続された第2の電源ラインに出力する第2の電源回路と、
安定化容量が接続される第3の電源ラインと、
前記第1の電源ラインと前記第3の電源ラインの間に配置され、前記第1の電圧を前記第3の電源ラインに出力するためのPNPトランジスタと、
前記PNPトランジスタのエミッタ端子とベース端子との間に配置される抵抗素子と、
前記第1の電源ラインの電圧上昇に応じて前記PNPトランジスタのベース電流を増加させ、前記第1の電源ラインの電圧低下に応じてベース電流を低下させるベース電流制御回路と、を有し、
前記PNPトランジスタは、コレクタ端子が前記第1の電源ライン側に接続され、エミッタ端子が前記第3の電源ライン側に接続される、電子回路。
【請求項9】
前記ベース電流制御回路は、前記PNPトランジスタのベース端子とグランド電圧との間に配置されたNチャネルMOSトランジスタ又はNPNトランジスタと、
一端が前記第1の電源ラインに接続される第1素子と、一端がグランド電圧に接続される第2素子と、を有し、
前記第1素子の他端と前記第2素子の他端が接続され、当該接続点に発生する前記第1素子の電流能力と前記第2素子の電流能力に応じた電圧が、前記NチャネルMOSトランジスタのゲート端子又は前記NPNトランジスタのベース端子に与えられる、請求項8記載の電子回路。
【請求項10】
前記第1素子と前記第2素子は抵抗素子である、請求項9記載の電子回路。
【請求項11】
回路のグランド電圧に対する電源電圧が供給される第1の電源ラインと、
第2の電源ラインと、
前記第1の電源ラインと前記第2の電源ラインの間に配置されるPチャネルMOSトランジスタと、
前記第1の電源ラインの電圧上昇に応じて前記PチャネルMOSトランジスタのゲート端子の電圧を低下させ、前記第1の電源ラインの電圧低下に応じて前記ゲート電圧を前記第2の電源ラインの電圧に近づけるゲート駆動回路と、を有し、
前記PチャネルMOSトランジスタは、ドレイン端子が前記第1の電源ライン側に接続され、ソース端子が前記第2電源ライン側に接続される、電子回路。
【請求項12】
前記ゲート駆動回路は、前記PチャネルMOSトランジスタのゲート端子とグランド電圧との間に配置されたNチャネルMOSトランジスタ又はNPNトランジスタと、
前記PチャネルMOSトランジスタのゲート端子と前記第2の電源ラインとの間に配置された抵抗素子と、
一端が前記第1の電源ラインに接続される第1素子と、一端がグランド電圧に接続される第2素子と、を有し、
前記第1素子の他端と前記第2素子の他端が接続され、当該接続点に発生する前記第1素子の電流能力と前記第2素子の電流能力に応じた電圧が、前記NチャネルMOSトランジスタのゲート端子又は前記NPNトランジスタのベース端子に与えられる、請求項11記載の電子回路。
【請求項13】
前記第1素子と前記第2素子は抵抗素子である、請求項12記載の電子回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−143030(P2012−143030A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292120(P2010−292120)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】