電子式南京錠システム、電子式南京錠、電子キー管理ボックス
【課題】権限を有する者のみが開錠することができる電子式南京錠を提供すること。
【解決手段】電子キー1と、電子キー1を保管する電子キー管理ボックス60と、電子キー1に記憶されている権限情報に基づいてロック手段を開錠状態とする電子式南京錠10と、を有し、電子キー管理ボックス60は指紋認証装置63により個人を認証した時に電子キー1に対して権限情報を付与する電子式南京錠システムにおいて、電子キー管理ボックス60が電子キー1にパスワードを付与すること、電子式南京錠10はパスワードを入力する入力ボタン95を有すること、電子式南京錠10は権限情報記憶装置46に記憶された権限情報と電子キー1に記憶された権限情報が一致するか確認し、かつ、入力ボタン95に入力されたパスワードが電子キー管理ボックス60が付与したパスワードと一致するか確認し、双方が一致する場合にロック手段を開錠状態とする。
【解決手段】電子キー1と、電子キー1を保管する電子キー管理ボックス60と、電子キー1に記憶されている権限情報に基づいてロック手段を開錠状態とする電子式南京錠10と、を有し、電子キー管理ボックス60は指紋認証装置63により個人を認証した時に電子キー1に対して権限情報を付与する電子式南京錠システムにおいて、電子キー管理ボックス60が電子キー1にパスワードを付与すること、電子式南京錠10はパスワードを入力する入力ボタン95を有すること、電子式南京錠10は権限情報記憶装置46に記憶された権限情報と電子キー1に記憶された権限情報が一致するか確認し、かつ、入力ボタン95に入力されたパスワードが電子キー管理ボックス60が付与したパスワードと一致するか確認し、双方が一致する場合にロック手段を開錠状態とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子キーと、前記電子キーを保管する電子キー管理ボックスと、前記電子キーに記憶されている権限情報に基づいてロック手段を開錠状態とする電子式南京錠と、を有し、前記電子キー管理ボックスは個人認証手段により個人を認証した時に前記電子キーに対して前記権限情報を付与する電子式南京錠システム、電子式南京錠、電子キー管理ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子式南京錠システムが販売されている。
電子キーは、電池と、鍵識別番号を有している。電子式南京錠は、着脱自在なジョイントシャフトと、ジョイントシャフトをロックするロック手段と、ロック手段を施錠位置と開錠位置に移動させるシリンダーと、シリンダーの回転をロックする回転ロック手段と、開錠可能な電子キーの鍵識別番号を記憶する鍵識別番号記憶手段とを有している。
電子式南京錠は、電子キーが装着されると、電子キーから電源を得て制御回路が駆動し、電子キーの鍵識別番号を読み取り、鍵識別番号記憶手段が記憶している鍵識別番号と一致する場合には、回転ロック手段のロック状態を解除する。
これにより、作業者は、シリンダーを回転させ、開錠または施錠を行うことができる。
そして、開錠、施錠の時刻、作業者等が電子キーに記憶され、電子キーを電子キー管理ボックスに戻したときに、データとしてPC等に読み込まれる。
ここで、従来のシステムでは、電子キーとは別にプログラミングキーという鍵を有している。プログラミングキーは、電子式南京錠に装着され、新たに開錠が許可された鍵識別番号等の必要な情報を、電子式南京錠に書き込むための鍵である。
【0003】
一方、現在、宅配便システムは、例えば、北海道から名古屋に荷物を移動しようとするときに、自社のトラックではなく、北海道で空荷になったもので名古屋近郊を通過するトラックを利用することが、コストダウンのため広く行われている。
その場合に、北海道の集配センターで荷積みして、名古屋の集配センターで荷降ろしを行うのであるが、途中では、運転手が荷物にアクセスできないよう、南京錠が取り付けられている。しかし、南京錠の鍵は、別途送付すると遅れが出るため、運転者に預けざるを得ないため、荷物のセキュリティに欠陥があった。すなわち、途中で、例えば高速道路のサービスエリア等で、運転者が南京錠を用いて積荷を抜き取るトラブルが発生する恐れがあった。
【0004】
一方、特許文献1には、トランク内に鍵開閉用携帯電話を備える鍵開閉装置を有し、受取人側の携帯電話番号を事前に登録しておき、開くときには、登録された受取人側の携帯電話を用いて、基地局に電話をかけることにより、基地局が鍵開閉用携帯電話に信号を送って、鍵開閉装置を駆動して、鍵を開ける技術が記載されている。特許文献1にはさらに、鍵開閉用携帯電話は、GPS機能を有しており、トランクの途中搬送経路を確認することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−69753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の市販されている電子式南京錠システムには、次のような問題があった。
すなわち、正規の電子キーにより開錠、施錠がされた場合は、開錠時刻、施錠時刻を記憶することができるが、例えば、途中で電子キーの代用品を用いて回転ロック手段(ソレノイド等)を駆動された場合には、開錠時刻、施錠時刻等の履歴を記憶できていないため、途中で電子式南京錠が開錠されたか否かを検知することができなかった。すなわち、電子式南京錠側には電池がないため、別の電子キーで開錠・施錠された場合には、電子式南京錠側に履歴が残らず、開錠されたという事実を把握することができなかった。
そのため、途中で荷物の一部が紛失するトラブルが発生していた。
また、本来は、配送センターでしか開錠する必要がないはずであるが、配送センター等の指定された場所以外の場所で開錠、施錠されることに対して、全く無防備であった。
【0007】
そこで、本出願人は、特願2009−222526において、配送センター以外の非正規な場所で電子式南京錠が開錠・施錠されることを禁止した電子式南京錠、または開錠・施錠の履歴を残すことのできる電子式南京錠を提案した。すなわち、特願2009−222526の電子式南京錠は、電池によりモータの状態や、ロッキングカムの状態等をチェックできるため、異常状態の発生をチェックすることができる。例えば、外部から強制的にモータに通電されて駆動された場合でも、モータが駆動された時刻等を履歴に保存できることで、異常状態の発生をチェックすることができる。
【0008】
しかしながら、特願2009−222526には、正規の電子キーが電子キー管理ボックスから取出された後に、権限のない者が電子キーを使用することにより電子式南京錠を開錠する場合のことについては全く考えられていなかった。
すなわち、権限を有する作業者が個人認証をした後に電子キー管理ボックスから、電子キーを取出す。電子キーを取出した後に、作業者が電子キーを席に置いたまま仕事で席を離れた場合等に、他の権限を有さない者であっても当該電子キーを使用すれば電子式南京錠を開錠できるため問題となる。権限情報を持った電子キーであれば権限のない者が本来の作業者に代わって行う開錠、いわゆる「なりすまし」による開錠が行われる恐れがある。そのため、セキュリティ性が問題となる。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は権限を有する者のみが開錠することができる電子式南京錠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の電子式南京錠システム、電子式南京錠、及び電子キー管理ボックスは、次の構成を有している。
(1)電子キーと、前記電子キーを保管する電子キー管理ボックスと、前記電子キーに記憶されている権限情報に基づいてロック手段を開錠状態とする電子式南京錠と、を有し、前記電子キー管理ボックスは個人認証手段により個人を認証した時に前記電子キーに対して前記権限情報を付与する電子式南京錠システムにおいて、前記電子キー管理ボックスが前記電子キーにパスワードを付与すること、前記電子式南京錠は前記パスワードを入力するパスワード入力手段を有すること、前記電子式南京錠は権限情報記憶装置に記憶された権限情報と前記電子キーに記憶された権限情報が一致するか確認し、かつ、前記パスワード入力手段に入力された前記パスワードが前記電子キー管理ボックスが付与した前記パスワードと一致するか確認し、双方が一致する場合に前記ロック手段を開錠状態とすること、が好ましい。
(2)(1)に記載する電子式南京錠システムにおいて、前記電子キー管理ボックスは、ランダムにパスワードを付与するパスワード付与手段を有すること、が好ましい。
(3)電子キーの権限情報に基づいてロック手段を開錠する電子式南京錠において、前記電子式南京錠は、前記電子キーに付与された個人を認証するためのパスワードを入力するためのパスワード入力手段を有すること、前記電子キーの権限情報を記憶した権限情報記憶装置を有すること、前記権限情報記憶装置に記憶された権限情報と前記電子キーに記憶された権限情報が一致するか確認し、かつ、前記パスワード入力手段に入力された前記パスワードが前記個人を認証するためのパスワードと一致するか確認し、双方が一致する場合に前記ロック手段を開錠状態とすること、が好ましい。
(4)電子式南京錠を開錠・施錠する電子キーを保管し、前記電子キーに前記電子式南京錠を開錠する権限情報を与える電子キー管理ボックスにおいて、前記電子キー管理ボックスが前記電子キーにパスワードを付与すること、ランダムにパスワードを付与するパスワード付与手段を有すること、が好ましい。
【発明の効果】
【0011】
次に、上記構成を有する本発明の電子式南京錠システム、電子式南京錠、及び電子キー管理ボックスの作用・効果について説明する。
(1)電子キーと、電子キーを保管する電子キー管理ボックスと、電子キーに記憶されている権限情報に基づいてロック手段を開錠状態とする電子式南京錠と、を有し、電子キー管理ボックスは個人認証手段により個人を認証した時に電子キーに対して権限情報を付与する電子式南京錠システムにおいて、電子キー管理ボックスが電子キーにパスワードを付与すること、電子式南京錠はパスワードを入力するパスワード入力手段を有すること、電子式南京錠は権限情報記憶装置に記憶された権限情報と電子キーに記憶された権限情報が一致するか確認し、かつ、パスワード入力手段に入力されたパスワードが電子キー管理ボックスが付与したパスワードと一致するか確認し、双方が一致する場合にロック手段を開錠状態とすることにより、権限を有する作業者に変わって権限のない者が電子キーを使用する「なりすまし」による電子式南京錠の開錠を防止することができる。
すなわち、電子キー管理ボックスにおいては作業者を指紋認証等により個人認証を行い、その作業者が電子式南京錠を開錠する権限を有する権限情報を電子キーに付与する。また、電子キーを作業者に渡す時には例えば4ケタのパスワードを付与する。電子式南京錠は、権限情報が記憶されている権限情報と一致するかを確認し、さらにパスワードを入力させることにより付与されたパスワードと一致するかを確認する。2つの確認を行うことによりパスワードを知らない権限のない作業者のなりすましを防止することができる。これにより、作業者が席等に電子キーを置き忘れた場合等であったとしても権限のない作業者が使用することを防止することができ、セキュリティ性を向上させることができる。
【0012】
(2)電子キー管理ボックスは、ランダムにパスワードを付与するパスワード付与手段を有することにより、毎回違うパスワードを付与することができる。作業者によりパスワードが決められている場合においては、作業者以外の者がパスワードを知りうる可能性がある。しかし、毎回違うパスワードであれば、作業者以外の者がパスワードを知りうる可能性が低くなるためセキュリティ性を向上させることができる。
【0013】
(3)電子キーの権限情報に基づいてロック手段を開錠する電子式南京錠において、電子式南京錠は、電子キーに付与された個人を認証するためのパスワードを入力するためのパスワード入力手段を有すること、電子キーの権限情報を記憶した権限情報記憶装置を有すること、権限情報記憶装置に記憶された権限情報と電子キーに記憶された権限情報が一致するか確認し、かつ、パスワード入力手段に入力されたパスワードが個人を認証するためのパスワードと一致するか確認し、双方が一致する場合にロック手段を開錠状態とすることにより、権限を有する作業者に代わって権限のない者が電子キーを使用する「なりすまし」による電子式南京錠の開錠を防止することができる。
すなわち、電子キー管理ボックスにおいては作業者を指紋認証等により個人認証を行い、その作業者が電子式南京錠を開錠する権限を有する権限情報を電子キーに付与する。また、電子キーを作業者に渡す時には例えば4ケタのパスワードを付与する。電子式南京錠は、権限情報が記憶されている権限情報と一致するかを確認し、さらにパスワードを入力させることにより付与されたパスワードと一致するかを確認する。2つの確認を行うことによりパスワードを知らない権限のない作業者のなりすましを防止することができる。これにより、作業者が席等に電子キーを置き忘れた場合等であったとしても権限のない作業者が使用することを防止することができ、セキュリティ性を向上させることができる。
【0014】
(4)電子式南京錠を開錠・施錠する電子キーを保管する電子キー管理ボックスにおいて、電子キー管理ボックスが電子キーにパスワードを付与すること、ランダムにパスワードを付与するパスワード付与手段を有することにより、毎回違うパスワードを付与することができる。作業者によりパスワードが決められている場合においては、作業者以外の者がパスワードを知りうる可能性がある。しかし、毎回違うパスワードであれば、作業者以外の者がパスワードを知りうる可能性が低くなるためセキュリティ性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例である電子式南京錠の施錠状態を示す断面図である。
【図2】電子式南京錠の開錠状態を示す断面図である。
【図3】電子式南京錠の施錠途中の状態を示す断面図である。
【図4】電子式南京錠の外観図である。
【図5】電子式南京錠の底面図である。
【図6】電子式南京錠の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】電子キーの外観図である。
【図8】電子キーの電気的構成を示すブロック図である。
【図9】電子キー管理ボックスの外観図である。
【図10】電子キー管理ボックスの電気的構成を示すブロック図である。
【図11】本発明に係る電子キー管理ボックスの制御プログラムをフローチャートで示す。
【図12】本発明に係る電子式南京錠の制御プログラムをフローチャートで示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明における電子式南京錠システム、電子式南京錠、及び電子キー管理ボックスを具体化した一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
<電子キーの構成>
電子キーの構成について説明する。図7は、電子キー1を示す図である。
電子キー1は、絶縁カバー2及び差込部6により構成されている。カバー2内には、ICタグ7を備える。ICタグ7には、差込部6に形成された第1端子9bと第2端子4が接続している。第1端子9bと第2端子4で情報と電源をやり取りし、差込部6をキー孔65に挿入すると充電がされる。また、電源は端子を用いて行う。情報はカバー2に組み込まれた近赤外や光で通信しても良い。
第2端子4は、後述する図9に示す電子キー管理ボックス60のキー孔65や電子式南京錠10の挿入口29に差し込み可能な形状で、絶縁カバー2から外部へ突き出すように設けられている。第2端子4は、凹部4dを備える。
第1端子9bは、板状をなし、第2端子4に対して直交するように配置され、絶縁カバー2の外部において第2端子4の両側に露出している。本実施形態においては、2つの端子で情報と電源を配線するが、4つの端子であってもよい。
電子キー1は、充電可能な充電式電池5を備える。充電式電池5は、第2端子4がキー孔65に挿入されると充電される。なお、本実施形態においては電子キー1は、充電式電池5を備えることとしたが、電池を使用しない電子キー1として用いることも可能である。
【0018】
次に、電子キー1のICタグ7について説明する。図8にICタグ7の構成をブロック図で示す。
ICタグ7は、データを加工・演算するCPU50、ROM51、履歴記憶メモリ52、履歴読取手段53、キータイマ54を備えている。ROM51は、制御プログラム55、アクセス権記憶部56、作業者記憶部57、パスワード記憶部58、ICタグデータ59を備えている。
また、ICタグ7には、充電式電池5が接続されている。
本実施形態はICタグにはCPUとメモリを含んだものとしたが、一実施形態でありその他の構成であってもよい。例えば、ICタグ、CPU、メモリを一部品として単独に存在させても良い。
【0019】
<電子式南京錠の構成>
図1、図2、図3に、電子式南京錠10の構成を断面図で示す。図1は、短シャフト12bが錠本体11に挿入され、ロックされている状態(施錠状態)を示し、図2は、短シャフト12bが錠本体11から離脱した状態(開錠状態)を示している。また、図3は、短シャフトが錠本体11に挿入されているが、未だロックされていない状態を示す。図4に、電子式南京錠10、及び電子キー1の外観図を示す。また、図5に、電子式南京錠10の底面図を示す。
【0020】
図1に示すように、電子式南京錠10は、U字形状で一端部が錠本体11に対して着脱自在なジョイントシャフト12を有している。
図4に示すように、電子式南京錠10の上面には、行先表示器(表示器)8、ディスプレイ91、入力ボタン92、取消ボタン93、決定ボタン94、パスワード入力ボタン95が付設されている。
行先表示器8での表示は、本実施例では、2桁の数字としている。作業者は、数字により、行先を確認することができる。
パスワード入力ボタン95は、本実施例では1〜9の9つのボタンを設けている。9つのボタンによる4ケタのパスワードは6561種類となる。
ディスプレイ91には、パスワード入力ボタン95で入力した数字が表示される。作業者は、入力した数字を確認したうえで、パスワードを確実に入力できる。
【0021】
図1に示す電子式南京錠10は、金属製であり、内部に中空部11dを有する錠本体11の上面には、ジョイントシャフト12の短シャフト12bが着脱自在に挿入される短シャフト孔11aと、長シャフト12aが挿入される長シャフト孔11bが形成されている。また、短シャフト孔11aと長シャフト孔11bを連通する横孔11cが形成されている。横孔11cには、平板状のロッキングカム16を挟んで一対のロック球14、15が取り付けられている。横孔の入口には、ロック球14,15が抜け出ないようにするための凸部(図示しない)が形成されている。
ロッキングカム16の中心には、回転軸18の先端部が固定されている。回転軸18の先端面は、樹脂製の押え板17により回転自在に保持されている。
【0022】
錠本体11の中空部11dには、樹脂製のケース13が装着されている。樹脂製のケース13を用いているのは、電気系統の絶縁、各駆動部の摺動性を高めるためである。また、宅配便用の電子式南京錠10は、屋外で使用されるため、防水仕様とするためである。
ケース13の上面には、凸部13cが形成されており、凸部13cに形成された保持孔13dに、回転軸18が回転可能に保持されている。ケース13には、保持孔13dに連続して少し径の大きい保持孔13eが形成されており、保持孔13eも回転軸18を回転可能に保持している。
また、ケース13には、2個の乾電池32を収納するための電池収納孔13aが形成されている。また、長シャフト12aを摺動自在に保持するためのガイド孔13bが形成されている。ガイド孔13bには、長シャフト12aが摺動可能に装着されている。長シャフトには、抜け止め部材12fが固設されている。抜け止め部材12fは、ケース13のガイド孔13hによりガイドされ、長シャフト12aが錠本体11から離脱しないための抜け止めとして機能している。
【0023】
また、ケース13には、長シャフト12aを検出するための摺動ノッチ24を摺動可能に保持するノッチ摺動孔13fが形成されている。ノッチ摺動孔13fには、付勢バネ25が付設されており、付勢バネ25は、摺動ノッチ24を長シャフト12aに当接する方向に付勢している。
ケース13の中央部には、中空部13gが形成されており、回転軸を回転させるためのモータ21、モータ21の回転軸に固設されたモータギア20、回転軸18に固設され、モータギア20と係合している回転軸ギア19、回転軸18の下端部に固設され、検出ノッチ22aが形成された検出板22、検出ノッチ22aを検出するためのリミットスイッチである施錠位置検出手段23、摺動ノッチ24により長シャフトの位置を確認するためのリミットスイッチである長シャフト確認手段26、及び電子キー1が装着され、電子キー1の接点と接触するための電子キー装着部28が収納されている。
なお、モータ21、施錠位置検出手段23、長シャフト確認手段26等の配線、及び制御手段40は、図が複雑になるため、図示を省略している。
錠本体11の中空部11dの開口11eは、本体蓋27により閉じられている。図5に示すように、本体蓋27には、電子キー1の挿入口29、電池挿入蓋30、ミニUSB端子35が形成されている。
ミニUSB端子35は、配送センターの制御手段と電子式南京錠10を接続するための端子である。電子式南京錠10の記憶している履歴は、定期的に、配送センターの制御手段に吸い上げられる。
【0024】
次に、電子式南京錠10の制御装置を、図6にブロック図で示す。なお、図1等では、制御基板の図示を省略している。
制御手段40には、モータ21、長シャフト確認手段26、施錠位置検出手段23、行先表示器8、ディスプレイ91、及び電子キー装着部28が接続している。さらに、図示しない電池が接続されている。電子キー装着部28には、電子キー1が装着され、電子キー1は、電子キー装着部28を介して、制御手段40と接続される。
制御手段40は、CPU41、RAM42、ROM44を有している。また、RAM42は、履歴記憶手段43、パスワード読取手段48を有している。また、ROM44は、開錠・施錠プログラム45、電子キー登録情報記憶手段46、登録GPSエリア記憶手段47、アクセス権照会手段49を有している。
電子キー1の電気的構成は図示しないが、記憶手段である接触式ICチップ用の第1端子9b、第2端子4が、接触式ICチップの両側に接続し、LED9aが接触式ICチップと並列に接続されている。接触式ICチップは、電源を流すことにより、記憶されているデータを読み出すことが可能である。
【0025】
<電子キー管理ボックスの構成>
電子キー管理ボックスの全体構成について説明する。図9に電子キー管理ボックス60の開閉扉61が開いた状態の正面図を示す。
電子キー管理ボックス60は、電子式南京錠10を開錠するために使用される電子キー1を集中して保管管理するためのものである。電子キー管理ボックス60は、開閉扉61が付設され、通常、開閉扉61は閉じられている。
電子キー管理ボックス60の開閉扉61の内側には、10個の電子キー1(図7参照)を保持するキー孔ユニット68(68Aから68Jまで)が付設されている。本実施形態においては、10個の電子キー1を保持するものであるが、電子キーの保管できる数を増やすことができる。
電子キー管理ボックスの開閉扉61の右側の表面には、ICカード読取部62、指紋認証装置63、液晶表示部64、テンキー操作部69が付設されている。キー孔ユニット68は、電子キー1が装着されるキー孔65、LED84、ネームプレート67を有している。キー孔65には、キー抜け阻止手段であるロック手段81(図10参照)により、通常電子キー1を抜くことができない状態となっている。
【0026】
次に、電子キー管理ボックス60のコントローラ70について説明する。図10にコントローラ70の構成をブロック図で示す。
コントローラ70は、CPU71、ROM72、有効時間設定部73、履歴記憶部74、履歴読取手段75、キーボックスタイマ76、個人認証手段77、充電選別機能86、パスワード書込手段88を備えている。ROM72は、制御プログラム78、電子キーID記憶部79、アクセス権記憶部80を備えている。
コントローラ70には、各キー孔ユニット68に対応して付設されている電子キー1をロックして抜けないようにするロック手段81A〜81J、電子キー1が装着されたときに、電子キー1に内蔵されたICタグ7に記憶されているデータを読み取るためのICタグデータ読取手段82A〜82J、有効時間データを電子キー1に書き込むための有効時間データ書込手段85A〜85J、作業者を識別するための個人ID番号や作業者が開錠許可を有している南京錠を特定する南京錠特定データなどのデータを電子キー1に書き込む南京錠データ書込手段83〜83J、LED84A〜84Jが接続されている。
また、コントローラ70には、液晶表示部64、指紋認証装置63、ICカード読取部62が接続されている。
【0027】
<電子式南京錠の作用>
次に、電子式南京錠10の作用について説明する。図2に示すように、ジョイントシャフト12は、短シャフト12bが短シャフト孔11aから抜け出ており、長シャフト12aは、抜け止め部材12fが錠本体11と当接することにより、図2の位置より抜け出ることはない。このとき、摺動ノッチ24は、付勢バネ25により付勢され、ガイド孔13b内に少し突出しており、長シャフト確認手段26は、オフしている。
また、横孔11cの端部には、図示しない凸部が形成されており、ロック球14,15が、横孔11cから抜け落ちることがない。ロッキングカム16は、カムの谷がロック球14,15と当接しており、ジョイントシャフト12を抜くときには、ロック球14、15は、図2の位置に移動する。ロッキングカム16が図2の位置にあるときには、検出板22の検出ノッチ22aが施錠位置検出手段23の検出板から外れた位置にあるため、施錠位置検出手段23は、オフしている。
【0028】
次に、施錠作用を説明する。作業者は、ジョイントシャフト12のU字部12c内にチェーン等を掛けた状態で、短シャフト12bを短シャフト孔11aに挿入して、図3の状態とする。
次に、電子キー1を挿入口29から挿入し、電子キー装着部28の所定の位置に装着する。本実施例では、電子式南京錠を開錠する場合でも、施錠する場合でも、電子キー1を電子キー装着部28に装着する必要がある。開錠・施常時に必ず電子キー1を装着させることにより、電子キー1に開錠・施錠情報を書き込むことができる。電子式南京錠10は、電子キー1より、行先情報を読み込み、行先表示器8に表示する。行先表示器8での表示は、本実施例では、2桁の数字としている。作業者は、数字により、行先を確認することができる。
電子キー1による作用については、後で詳細に述べるが、電子式南京錠10の制御手段40は、所定の条件を満たしている場合には、モータ21を駆動する。モータが駆動されることにより、図1に示すモータギア20、回転軸ギア19、及び回転軸18を介して、ロッキングカム16を回転させ、施錠状態とする。図1状態では、ロック球14、15がジョイントシャフト12のロック溝12d、12eと係合しているため、短シャフト12bを錠本体11から抜くことができない。
図1の施錠状態では、摺動ノッチ24は、長シャフト12aにより左方向に移動しており、長シャフト確認手段26は、オンしている。また、ロッキングカム16が図1の位置にあるときには、検出板22の検出ノッチ22aが施錠位置検出手段23の検出板上にあるため、施錠位置検出手段23は、オンしている。
【0029】
施錠位置検出手段23がオンしているのみでは、短シャフト12bが錠本体11の短シャフト孔11aに挿入されていない場合もあり得るが、本実施例では、長シャフト12aの位置も長シャフト確認手段26により確認しているので、施錠位置検出手段23がオンしており、長シャフト確認手段26がオンしていれば、施錠できていることを確実に確認できる。
本実施例の電子式南京錠10は、電池32を備え、常に、施錠位置検出手段23と長シャフト確認手段26により、開錠・施錠の状態をチェックし、施錠位置検出手段23または長シャフト確認手段26のオン・オフ状態に変化があったときには、全ての変化の内容と変化した時刻とを履歴記憶手段43に記憶している。そして、全ての変化のうち、本実施例では、施錠位置検出手段23がオフし、かつ、長シャフト確認手段がオフした場合に、開錠されたと判断し、開錠時刻として記憶している。
【0030】
そのため、配送センター等の所定の場所以外の場所で、電子式南京錠10が開錠・施錠された場合には、開錠・施錠の事実、及びその時刻を把握することができる。電子式南京錠10は、決められた時間に、ミニUSB端子35を介して、配送センターの制御手段に接続され、履歴記憶手段43に記憶されている履歴が、制御手段に吸い上げられる。また、このとき、電池32の残量がチェックされる。残量が少ないときは、制御手段は、電池交換指示を表示する。
本実施例では、施錠位置検出手段23と長シャフト確認手段26とをリンクさせて制御していないが、両スイッチが共にオンしている場合にのみ、施錠可能とする制御を行っても良い。
【0031】
<電子式南京錠システムの使用形態>
始めに、実施例の電子キーシステムの使用形態について説明する。
(電子キー管理ボックスから電子キーを取出す工程)
図11に、電子キー管理ボックス60の制御プログラム78をフローチャートで示す。
作業者は、電子キー管理ボックス60の所に行き、所持しているICカードをICカード読取部62に読み取らせる(S30;YES)。そして、作業者は指紋認証装置63に指を触れさせ指紋番号を認証する(S31)。コントローラ70の電子キー管理ID記憶部79は、ICカード読取部62が読み取ったICカードと対応する指紋を記憶しており、入力された指紋を照合する(S32)。そして、正しい指紋が入力されたときのみ(S32;YES)、開閉扉61を開放する。本実施例では、指紋認証装置63を用いているが、静脈認証装置、テンキー操作装置等により個人認証を行っても良い。個人認証を行うのは、他人のICカードを使用して不正行為が行われるのを防止するためである。
【0032】
S33の後、2つのルートに分かれて制御される。コントローラ70が、作業者が現在電子キー1を借りていないと判断した場合には(S33;NO)、S34へ進む。一方、コントローラ70が、作業者が現在電子キー1を借りていると判断した場合には(S33;YES)、S44へ進む。
先に、作業者が現在電子キー1を借りていない場合(S33;NO)について説明する。
この場合には、液晶表示部64に、作業者が必要とする電子式南京錠10の番号をテンキー操作部69を用いて入力させる(S34)。この場合に、液晶表示部64の特性を生かして、図示表示等行い、作業者が容易に電子式南京錠の番号を特定できるようにするとよい。
作業者が電子式南京錠10の番号を入力すると(S34)、番号入力が完了したか否か、液晶表示部64に表示を行い確認する(S35)。作業者は、複数の電子式南京錠を開錠したい場合には、全ての電子式南京錠の番号を入力する(S34,S35)。
【0033】
コントローラ70は、入力された電子式南京錠10の番号を、電子式南京錠10を開錠して保管物にアクセスできるアクセス権を作業者が有するかアクセス権記憶部80により照合する。個人認証に成功した作業者が保管物の全てにアクセス可能であるならば、南京錠データ書込手段83により電子式南京錠のアクセス権限情報を、電子キー1のICタグ7のアクセス権記憶部56に書き込む(S36)。同時に、ICタグ7に、有効時間設定部73が設定した有効時間データと、作業者を識別するための個人のID番号(作業者識別情報の一例)を書き込む(S36)。これにより、共通の電子キー1が、当該作業者専用の鍵となる。もし、当該作業者がアクセス権を有しない電子式南京錠の番号が入力されているときは、その旨、液晶表示部64に表示する。
【0034】
電子キー1のICタグ7のアクセス権記憶部56に書き込みを行う際に、パスワード書込手段88がランダムにデータを作成し、作成したパスワードを電子キー1のパスワード記憶部58に記憶させる(S37)。本実施例においては作成されたパスワードは4ケタのパスワードとなる。パスワードは、パスワード書込手段88がパスワードを書き込む際数字をランダムに組み合わせることにより作成する。作成されたパスワードは、液晶表示部64に表示を行う(S38)。作業者はパスワードを確認する。
【0035】
次に、コントローラ70は、開閉扉61を開放すると同時に、データを書き込んだ任意の電子キー1が装着されているキー孔ユニット68のロック手段81を解除する(S39)。ロック手段81は、電子キー1の凹部4dを利用して、図示しないロック部材をソレノイドで駆動させて係合・解除を行っている。また、解除したキー孔ユニット68のLED84を点灯する(S39)。作業者は、LED84の点灯により、専用鍵となった電子キー1を簡単に抜き取ることができる。コントローラ70は、ICタグデータ読取手段82が電子キー1を検出しなくなったときに、電子キー1がキー孔65から抜き取られたと判断して(S40;YES)、認証した個人、取り出された電子キー1、取り出された時間を履歴記憶部74に記憶する(S41)。その後、開閉扉61を閉じることを液晶表示部64に表示して指示する(S42)。開閉扉61が閉じられたことを確認して(S43;YES)、S30へ戻る。
本電子キー管理ボックス60では、電子キー1を直接、キー孔65に装着させているので、キー孔ユニット68に付設されたICタグデータ読取手段82により、装着された電子キー1のICタグデータを読み取って、電子キー1が正規の鍵であるか否かを確実に管理することができる。
【0036】
(電子式南京錠を開錠する工程)
図12に、電子式南京錠10の制御手段40をフローチャートで示す。
取出された電子キー1を保持して、権限情報を有する電子式南京錠10の所に行く。電子式南京錠10の挿入口29に、電子キー1を挿入する(T41;YES)。電子キー1には、電子式南京錠10に対する権限情報がアクセス権記憶部56に記憶されている。そのため、当該電子キー1が有する権限情報と電子式南京錠10の電子キー登録情報記憶手段46に登録された権限情報とをアクセス権照会手段49が照会し、一致するか確認をする(T42)。権限情報が一致すると確認されると(T42;YES)、電子式南京錠10のパスワード読取手段48が電子キー1のパスワード記憶部58からパスワードを読出す(T43)。パスワードの読み出しが完了すると、電子式南京錠10のディスプレイ91にパスワードを入力するよう指示が出される。作業者は記憶しているパスワードを、パスワード入力ボタン95を介し入力する(T44)。アクセス権照会手段49は、入力されたパスワードとパスワード読取手段48が読み出したパスワードと一致するか確認し、パスワードの一致が確認されると(T45;YES)、権限情報とパスワードの一致が確認され、本人であると確認することができる。そのためロック手段が開錠され、電子キー1を回転可能な状態とする(T46)。
【0037】
他方、パスワードの一致が確認されないと、例え、権限情報の一致が確認されたとしてもロック手段は開錠されない(T45;NO)。権限情報の一致が確認されたとしても、電子キー1は、権限を有する本人が有しているとは限らない。すなわち、電子キー1が権限のない作業者が権限を有するものでないのに「なりすまし」により開錠しようとする場合などでは本人でない可能性がある。しかし、本実施形態のように、パスワードの一致を確認すれば、電子キー管理ボックス60を取出した本人でなければ、パスワードはわからない。そのため、本人以外の者が電子式南京錠を開錠することができない。万が一パスワードを知っていたとしても、本人がパスワードを作業者に知らせるしか手段はないため「なりすまし」は防止することができる。
【0038】
電子キー1の権限情報及びパスワードの一致が確認でき(T45;YES)、電子式南京錠10の制御手段40は、モータ21を駆動する。モータが駆動されることにより、モータギア20、回転軸ギア19、及び回転軸18を介して、ロッキングカム16を回転させ、図3に示す開錠状態とする(T47)。電子式南京錠10を開錠した開錠時間、及び電子キー1を使用する作業者のID情報を履歴記憶手段43に記憶する。電子式南京錠10が開錠されることにより(T47)、電子式南京錠10がかけられていた扉をひらき内部に保管された保管物にアクセスすることができる。保管物にアクセスした後に、作業者は扉を閉める(T49)。作業者は、電子キー1を、挿入口29に対して最初の位置に戻るように回転させることで、モータ21が駆動し施錠される(T50)。電子キー1が回転され最初の位置に戻り、電子式南京錠10が施錠されたときに、電子式南京錠10を施錠した開錠時間、及び電子キー1を使用する作業者のID情報を電子式南京錠10の履歴記憶手段43に記憶する(T51)。
さらに、今回開錠・施錠した履歴以外の過去分の開錠・施錠時間、作業者IDを電子キー1に記憶する(T52)。過去分の履歴を記憶することにより、過去に保管庫が何者かにより開かれ、内部の保管物が逸失したような場合の問題を把握することができる。
その後電子キー1を挿入口29から抜出ことにより(T53;YES)、電子キー1により電子式南京錠10を開錠する工程は終了する。
【0039】
(電子キー管理ボックスへ電子キーを戻す工程)
次に、図11に示す、電子キー管理ボックス60へ電子キー1を戻す工程(S33;YES)について説明する。
この場合には、コントローラ70は、開閉扉61を開放すると同時に、電子キー1が装着されていないキー孔ユニット68のロック手段81を解除状態とする(S44)。
作業者は、電子キー1が装着されていない任意のキー孔65に、電子キー1を返却する(S45)。電子キー1が電子キー管理ボックス60に返却されたときに、ICタグデータ読取手段82は、電子キー1のICタグデータ59を読み取り、個人認証した特定の個人が借りていた電子キー1が返却されたことを確認し(S46;YES)、返却時間を履歴記憶部74に記憶する(S47)。次に、コントローラ70のICタグデータ読取手段82が電子キー1から読み取った使用履歴データが、履歴記憶部74に、個人用電子キー1の使用履歴として記憶される(S48)。
【0040】
これにより、履歴記憶部74は、各電子キー1について、電子キー管理ボックス60から取り出された日時、返却された日時、電子式南京錠10の使用履歴を全て記憶する。
後で、電子式南京錠10が使用されていた保管庫内の保管物の紛失等のトラブルが発生したときに、使用履歴をチェックすることにより、責任の所在を追及することができる。また、全ての過去分の履歴を管理していることを作業者に知らせることにより、作業者が電子キー管理ボックス60から電子キー1を取り出した後、すばやく保管庫の利用を行うことが期待できるため、電子キー1が机の上に長時間置きっぱなしになるような事態を回避することができる。
開閉扉11が閉じられたことを確認して(S43;YES)、S30へ戻る。
【0041】
なお、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
例えば、本実施例では、電子式南京錠10の開錠・施錠履歴を全て記憶しているが、GPS情報により、配送エリア内でしか電子キー1を使用できなくすれば、履歴を全て記憶しなくても、途中の経路で電子式南京錠10が開錠・施錠されることを防止することができる。
また、本実施例では、電子キーを用いるが、電子キーに変えてスマートフォンを使用して権限付与することもできる。また、スマートフォンと電子キーを繋いでスマートフォンから電子キーに権限を付与することもできる。スマートフォンを用いることにより遠隔にいたとしても権限情報を付与することができる。
また、本実施例では、有効時刻があるが、配送センターでは通常、ひっきりなしにトラックが出入りするため、スマートフォンを携帯したとしても、毎回、開錠許可を受けるのは、煩雑となる場合がある。その場合には、例えば、作業者Aの有効時間としては、次の休憩時間までの時間を設定しても良い。その作業者の可動状況は、他者も把握しているため、昼休み等の休憩時間に有効時刻が切れるようにすれば良い。
【0042】
また、本実施例では、電子式南京錠10を、トラックのトランクに取り付ける場合について説明したが、重要書類等を搬送するためのセキュリティボックス、セキュリティバックの施錠に、電子式南京錠10を用いても良い。その場合には、例えば、企業の本社と支社との間でセキュリティボックスを搬送する場合、企業の担当者が各々電子キー1を所持しており、書類を入れたセキュリティトランクを電子式南京錠10で施錠し、宅配便で配送する。配送された支社において、担当者が電子キー1を用いて開錠する。この施錠・開錠システムは、本実施例と同じなので、詳細な説明を割愛する。
ここで、制御手段51としては、スマートフォンを使用することができる。ただし、スマートフォンを使用すると便利であるが、ビルの地下等、スマートフォンの圏外となる場合に問題となる。そのような場合には、使用する場所にPCを設置して、有線による通信を行えば、本実施例の電子式南京錠10を利用することができる。
【0043】
本実施例では、行先情報を電子キー1を介して、電子式南京錠10のRAM42に記憶させているが、電子キー1を介さずに、電子式南京錠10のミニUSB端子35に電子キー管理ボックス60またはスマートフォンを有線で接続させ、直接電子式南京錠10のRAM42に行先情報を書き込み、始めから行先表示器8に行先番号を表示しておけば、作業者の作業効率を高めることができる。
また、本発明の電子式南京錠10は、航空機用の貨物コンテナに利用しても良い。現在、貨物用コンテナに途中経路で貨物が入れられ、または取り出された場合に、履歴を追うことが難しかった。本発明の電子式南京錠10によれば、航空機用コンテナのセキュリティを向上させることができる。
また、電子キー管理ボックスは、電子キーに複数の電子式南京錠を開閉する権限情報を与えることができる。その際には、パスワードは電子式南京錠毎に与えるのではなく、全て統一したパスワードを付与することで、作業者のパスワードの覚え間違えにより電子式南京錠が開錠不可能となることを防止することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 電子キー
10 電子式南京錠
48 パスワード読取手段
58 パスワード記憶手段
60 電子キー管理ボックス
63 指紋認証装置(請求項中の「個人認証手段」)
92 入力ボタン(請求項中の「パスワード入力手段」)
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子キーと、前記電子キーを保管する電子キー管理ボックスと、前記電子キーに記憶されている権限情報に基づいてロック手段を開錠状態とする電子式南京錠と、を有し、前記電子キー管理ボックスは個人認証手段により個人を認証した時に前記電子キーに対して前記権限情報を付与する電子式南京錠システム、電子式南京錠、電子キー管理ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子式南京錠システムが販売されている。
電子キーは、電池と、鍵識別番号を有している。電子式南京錠は、着脱自在なジョイントシャフトと、ジョイントシャフトをロックするロック手段と、ロック手段を施錠位置と開錠位置に移動させるシリンダーと、シリンダーの回転をロックする回転ロック手段と、開錠可能な電子キーの鍵識別番号を記憶する鍵識別番号記憶手段とを有している。
電子式南京錠は、電子キーが装着されると、電子キーから電源を得て制御回路が駆動し、電子キーの鍵識別番号を読み取り、鍵識別番号記憶手段が記憶している鍵識別番号と一致する場合には、回転ロック手段のロック状態を解除する。
これにより、作業者は、シリンダーを回転させ、開錠または施錠を行うことができる。
そして、開錠、施錠の時刻、作業者等が電子キーに記憶され、電子キーを電子キー管理ボックスに戻したときに、データとしてPC等に読み込まれる。
ここで、従来のシステムでは、電子キーとは別にプログラミングキーという鍵を有している。プログラミングキーは、電子式南京錠に装着され、新たに開錠が許可された鍵識別番号等の必要な情報を、電子式南京錠に書き込むための鍵である。
【0003】
一方、現在、宅配便システムは、例えば、北海道から名古屋に荷物を移動しようとするときに、自社のトラックではなく、北海道で空荷になったもので名古屋近郊を通過するトラックを利用することが、コストダウンのため広く行われている。
その場合に、北海道の集配センターで荷積みして、名古屋の集配センターで荷降ろしを行うのであるが、途中では、運転手が荷物にアクセスできないよう、南京錠が取り付けられている。しかし、南京錠の鍵は、別途送付すると遅れが出るため、運転者に預けざるを得ないため、荷物のセキュリティに欠陥があった。すなわち、途中で、例えば高速道路のサービスエリア等で、運転者が南京錠を用いて積荷を抜き取るトラブルが発生する恐れがあった。
【0004】
一方、特許文献1には、トランク内に鍵開閉用携帯電話を備える鍵開閉装置を有し、受取人側の携帯電話番号を事前に登録しておき、開くときには、登録された受取人側の携帯電話を用いて、基地局に電話をかけることにより、基地局が鍵開閉用携帯電話に信号を送って、鍵開閉装置を駆動して、鍵を開ける技術が記載されている。特許文献1にはさらに、鍵開閉用携帯電話は、GPS機能を有しており、トランクの途中搬送経路を確認することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−69753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の市販されている電子式南京錠システムには、次のような問題があった。
すなわち、正規の電子キーにより開錠、施錠がされた場合は、開錠時刻、施錠時刻を記憶することができるが、例えば、途中で電子キーの代用品を用いて回転ロック手段(ソレノイド等)を駆動された場合には、開錠時刻、施錠時刻等の履歴を記憶できていないため、途中で電子式南京錠が開錠されたか否かを検知することができなかった。すなわち、電子式南京錠側には電池がないため、別の電子キーで開錠・施錠された場合には、電子式南京錠側に履歴が残らず、開錠されたという事実を把握することができなかった。
そのため、途中で荷物の一部が紛失するトラブルが発生していた。
また、本来は、配送センターでしか開錠する必要がないはずであるが、配送センター等の指定された場所以外の場所で開錠、施錠されることに対して、全く無防備であった。
【0007】
そこで、本出願人は、特願2009−222526において、配送センター以外の非正規な場所で電子式南京錠が開錠・施錠されることを禁止した電子式南京錠、または開錠・施錠の履歴を残すことのできる電子式南京錠を提案した。すなわち、特願2009−222526の電子式南京錠は、電池によりモータの状態や、ロッキングカムの状態等をチェックできるため、異常状態の発生をチェックすることができる。例えば、外部から強制的にモータに通電されて駆動された場合でも、モータが駆動された時刻等を履歴に保存できることで、異常状態の発生をチェックすることができる。
【0008】
しかしながら、特願2009−222526には、正規の電子キーが電子キー管理ボックスから取出された後に、権限のない者が電子キーを使用することにより電子式南京錠を開錠する場合のことについては全く考えられていなかった。
すなわち、権限を有する作業者が個人認証をした後に電子キー管理ボックスから、電子キーを取出す。電子キーを取出した後に、作業者が電子キーを席に置いたまま仕事で席を離れた場合等に、他の権限を有さない者であっても当該電子キーを使用すれば電子式南京錠を開錠できるため問題となる。権限情報を持った電子キーであれば権限のない者が本来の作業者に代わって行う開錠、いわゆる「なりすまし」による開錠が行われる恐れがある。そのため、セキュリティ性が問題となる。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は権限を有する者のみが開錠することができる電子式南京錠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の電子式南京錠システム、電子式南京錠、及び電子キー管理ボックスは、次の構成を有している。
(1)電子キーと、前記電子キーを保管する電子キー管理ボックスと、前記電子キーに記憶されている権限情報に基づいてロック手段を開錠状態とする電子式南京錠と、を有し、前記電子キー管理ボックスは個人認証手段により個人を認証した時に前記電子キーに対して前記権限情報を付与する電子式南京錠システムにおいて、前記電子キー管理ボックスが前記電子キーにパスワードを付与すること、前記電子式南京錠は前記パスワードを入力するパスワード入力手段を有すること、前記電子式南京錠は権限情報記憶装置に記憶された権限情報と前記電子キーに記憶された権限情報が一致するか確認し、かつ、前記パスワード入力手段に入力された前記パスワードが前記電子キー管理ボックスが付与した前記パスワードと一致するか確認し、双方が一致する場合に前記ロック手段を開錠状態とすること、が好ましい。
(2)(1)に記載する電子式南京錠システムにおいて、前記電子キー管理ボックスは、ランダムにパスワードを付与するパスワード付与手段を有すること、が好ましい。
(3)電子キーの権限情報に基づいてロック手段を開錠する電子式南京錠において、前記電子式南京錠は、前記電子キーに付与された個人を認証するためのパスワードを入力するためのパスワード入力手段を有すること、前記電子キーの権限情報を記憶した権限情報記憶装置を有すること、前記権限情報記憶装置に記憶された権限情報と前記電子キーに記憶された権限情報が一致するか確認し、かつ、前記パスワード入力手段に入力された前記パスワードが前記個人を認証するためのパスワードと一致するか確認し、双方が一致する場合に前記ロック手段を開錠状態とすること、が好ましい。
(4)電子式南京錠を開錠・施錠する電子キーを保管し、前記電子キーに前記電子式南京錠を開錠する権限情報を与える電子キー管理ボックスにおいて、前記電子キー管理ボックスが前記電子キーにパスワードを付与すること、ランダムにパスワードを付与するパスワード付与手段を有すること、が好ましい。
【発明の効果】
【0011】
次に、上記構成を有する本発明の電子式南京錠システム、電子式南京錠、及び電子キー管理ボックスの作用・効果について説明する。
(1)電子キーと、電子キーを保管する電子キー管理ボックスと、電子キーに記憶されている権限情報に基づいてロック手段を開錠状態とする電子式南京錠と、を有し、電子キー管理ボックスは個人認証手段により個人を認証した時に電子キーに対して権限情報を付与する電子式南京錠システムにおいて、電子キー管理ボックスが電子キーにパスワードを付与すること、電子式南京錠はパスワードを入力するパスワード入力手段を有すること、電子式南京錠は権限情報記憶装置に記憶された権限情報と電子キーに記憶された権限情報が一致するか確認し、かつ、パスワード入力手段に入力されたパスワードが電子キー管理ボックスが付与したパスワードと一致するか確認し、双方が一致する場合にロック手段を開錠状態とすることにより、権限を有する作業者に変わって権限のない者が電子キーを使用する「なりすまし」による電子式南京錠の開錠を防止することができる。
すなわち、電子キー管理ボックスにおいては作業者を指紋認証等により個人認証を行い、その作業者が電子式南京錠を開錠する権限を有する権限情報を電子キーに付与する。また、電子キーを作業者に渡す時には例えば4ケタのパスワードを付与する。電子式南京錠は、権限情報が記憶されている権限情報と一致するかを確認し、さらにパスワードを入力させることにより付与されたパスワードと一致するかを確認する。2つの確認を行うことによりパスワードを知らない権限のない作業者のなりすましを防止することができる。これにより、作業者が席等に電子キーを置き忘れた場合等であったとしても権限のない作業者が使用することを防止することができ、セキュリティ性を向上させることができる。
【0012】
(2)電子キー管理ボックスは、ランダムにパスワードを付与するパスワード付与手段を有することにより、毎回違うパスワードを付与することができる。作業者によりパスワードが決められている場合においては、作業者以外の者がパスワードを知りうる可能性がある。しかし、毎回違うパスワードであれば、作業者以外の者がパスワードを知りうる可能性が低くなるためセキュリティ性を向上させることができる。
【0013】
(3)電子キーの権限情報に基づいてロック手段を開錠する電子式南京錠において、電子式南京錠は、電子キーに付与された個人を認証するためのパスワードを入力するためのパスワード入力手段を有すること、電子キーの権限情報を記憶した権限情報記憶装置を有すること、権限情報記憶装置に記憶された権限情報と電子キーに記憶された権限情報が一致するか確認し、かつ、パスワード入力手段に入力されたパスワードが個人を認証するためのパスワードと一致するか確認し、双方が一致する場合にロック手段を開錠状態とすることにより、権限を有する作業者に代わって権限のない者が電子キーを使用する「なりすまし」による電子式南京錠の開錠を防止することができる。
すなわち、電子キー管理ボックスにおいては作業者を指紋認証等により個人認証を行い、その作業者が電子式南京錠を開錠する権限を有する権限情報を電子キーに付与する。また、電子キーを作業者に渡す時には例えば4ケタのパスワードを付与する。電子式南京錠は、権限情報が記憶されている権限情報と一致するかを確認し、さらにパスワードを入力させることにより付与されたパスワードと一致するかを確認する。2つの確認を行うことによりパスワードを知らない権限のない作業者のなりすましを防止することができる。これにより、作業者が席等に電子キーを置き忘れた場合等であったとしても権限のない作業者が使用することを防止することができ、セキュリティ性を向上させることができる。
【0014】
(4)電子式南京錠を開錠・施錠する電子キーを保管する電子キー管理ボックスにおいて、電子キー管理ボックスが電子キーにパスワードを付与すること、ランダムにパスワードを付与するパスワード付与手段を有することにより、毎回違うパスワードを付与することができる。作業者によりパスワードが決められている場合においては、作業者以外の者がパスワードを知りうる可能性がある。しかし、毎回違うパスワードであれば、作業者以外の者がパスワードを知りうる可能性が低くなるためセキュリティ性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例である電子式南京錠の施錠状態を示す断面図である。
【図2】電子式南京錠の開錠状態を示す断面図である。
【図3】電子式南京錠の施錠途中の状態を示す断面図である。
【図4】電子式南京錠の外観図である。
【図5】電子式南京錠の底面図である。
【図6】電子式南京錠の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】電子キーの外観図である。
【図8】電子キーの電気的構成を示すブロック図である。
【図9】電子キー管理ボックスの外観図である。
【図10】電子キー管理ボックスの電気的構成を示すブロック図である。
【図11】本発明に係る電子キー管理ボックスの制御プログラムをフローチャートで示す。
【図12】本発明に係る電子式南京錠の制御プログラムをフローチャートで示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明における電子式南京錠システム、電子式南京錠、及び電子キー管理ボックスを具体化した一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
<電子キーの構成>
電子キーの構成について説明する。図7は、電子キー1を示す図である。
電子キー1は、絶縁カバー2及び差込部6により構成されている。カバー2内には、ICタグ7を備える。ICタグ7には、差込部6に形成された第1端子9bと第2端子4が接続している。第1端子9bと第2端子4で情報と電源をやり取りし、差込部6をキー孔65に挿入すると充電がされる。また、電源は端子を用いて行う。情報はカバー2に組み込まれた近赤外や光で通信しても良い。
第2端子4は、後述する図9に示す電子キー管理ボックス60のキー孔65や電子式南京錠10の挿入口29に差し込み可能な形状で、絶縁カバー2から外部へ突き出すように設けられている。第2端子4は、凹部4dを備える。
第1端子9bは、板状をなし、第2端子4に対して直交するように配置され、絶縁カバー2の外部において第2端子4の両側に露出している。本実施形態においては、2つの端子で情報と電源を配線するが、4つの端子であってもよい。
電子キー1は、充電可能な充電式電池5を備える。充電式電池5は、第2端子4がキー孔65に挿入されると充電される。なお、本実施形態においては電子キー1は、充電式電池5を備えることとしたが、電池を使用しない電子キー1として用いることも可能である。
【0018】
次に、電子キー1のICタグ7について説明する。図8にICタグ7の構成をブロック図で示す。
ICタグ7は、データを加工・演算するCPU50、ROM51、履歴記憶メモリ52、履歴読取手段53、キータイマ54を備えている。ROM51は、制御プログラム55、アクセス権記憶部56、作業者記憶部57、パスワード記憶部58、ICタグデータ59を備えている。
また、ICタグ7には、充電式電池5が接続されている。
本実施形態はICタグにはCPUとメモリを含んだものとしたが、一実施形態でありその他の構成であってもよい。例えば、ICタグ、CPU、メモリを一部品として単独に存在させても良い。
【0019】
<電子式南京錠の構成>
図1、図2、図3に、電子式南京錠10の構成を断面図で示す。図1は、短シャフト12bが錠本体11に挿入され、ロックされている状態(施錠状態)を示し、図2は、短シャフト12bが錠本体11から離脱した状態(開錠状態)を示している。また、図3は、短シャフトが錠本体11に挿入されているが、未だロックされていない状態を示す。図4に、電子式南京錠10、及び電子キー1の外観図を示す。また、図5に、電子式南京錠10の底面図を示す。
【0020】
図1に示すように、電子式南京錠10は、U字形状で一端部が錠本体11に対して着脱自在なジョイントシャフト12を有している。
図4に示すように、電子式南京錠10の上面には、行先表示器(表示器)8、ディスプレイ91、入力ボタン92、取消ボタン93、決定ボタン94、パスワード入力ボタン95が付設されている。
行先表示器8での表示は、本実施例では、2桁の数字としている。作業者は、数字により、行先を確認することができる。
パスワード入力ボタン95は、本実施例では1〜9の9つのボタンを設けている。9つのボタンによる4ケタのパスワードは6561種類となる。
ディスプレイ91には、パスワード入力ボタン95で入力した数字が表示される。作業者は、入力した数字を確認したうえで、パスワードを確実に入力できる。
【0021】
図1に示す電子式南京錠10は、金属製であり、内部に中空部11dを有する錠本体11の上面には、ジョイントシャフト12の短シャフト12bが着脱自在に挿入される短シャフト孔11aと、長シャフト12aが挿入される長シャフト孔11bが形成されている。また、短シャフト孔11aと長シャフト孔11bを連通する横孔11cが形成されている。横孔11cには、平板状のロッキングカム16を挟んで一対のロック球14、15が取り付けられている。横孔の入口には、ロック球14,15が抜け出ないようにするための凸部(図示しない)が形成されている。
ロッキングカム16の中心には、回転軸18の先端部が固定されている。回転軸18の先端面は、樹脂製の押え板17により回転自在に保持されている。
【0022】
錠本体11の中空部11dには、樹脂製のケース13が装着されている。樹脂製のケース13を用いているのは、電気系統の絶縁、各駆動部の摺動性を高めるためである。また、宅配便用の電子式南京錠10は、屋外で使用されるため、防水仕様とするためである。
ケース13の上面には、凸部13cが形成されており、凸部13cに形成された保持孔13dに、回転軸18が回転可能に保持されている。ケース13には、保持孔13dに連続して少し径の大きい保持孔13eが形成されており、保持孔13eも回転軸18を回転可能に保持している。
また、ケース13には、2個の乾電池32を収納するための電池収納孔13aが形成されている。また、長シャフト12aを摺動自在に保持するためのガイド孔13bが形成されている。ガイド孔13bには、長シャフト12aが摺動可能に装着されている。長シャフトには、抜け止め部材12fが固設されている。抜け止め部材12fは、ケース13のガイド孔13hによりガイドされ、長シャフト12aが錠本体11から離脱しないための抜け止めとして機能している。
【0023】
また、ケース13には、長シャフト12aを検出するための摺動ノッチ24を摺動可能に保持するノッチ摺動孔13fが形成されている。ノッチ摺動孔13fには、付勢バネ25が付設されており、付勢バネ25は、摺動ノッチ24を長シャフト12aに当接する方向に付勢している。
ケース13の中央部には、中空部13gが形成されており、回転軸を回転させるためのモータ21、モータ21の回転軸に固設されたモータギア20、回転軸18に固設され、モータギア20と係合している回転軸ギア19、回転軸18の下端部に固設され、検出ノッチ22aが形成された検出板22、検出ノッチ22aを検出するためのリミットスイッチである施錠位置検出手段23、摺動ノッチ24により長シャフトの位置を確認するためのリミットスイッチである長シャフト確認手段26、及び電子キー1が装着され、電子キー1の接点と接触するための電子キー装着部28が収納されている。
なお、モータ21、施錠位置検出手段23、長シャフト確認手段26等の配線、及び制御手段40は、図が複雑になるため、図示を省略している。
錠本体11の中空部11dの開口11eは、本体蓋27により閉じられている。図5に示すように、本体蓋27には、電子キー1の挿入口29、電池挿入蓋30、ミニUSB端子35が形成されている。
ミニUSB端子35は、配送センターの制御手段と電子式南京錠10を接続するための端子である。電子式南京錠10の記憶している履歴は、定期的に、配送センターの制御手段に吸い上げられる。
【0024】
次に、電子式南京錠10の制御装置を、図6にブロック図で示す。なお、図1等では、制御基板の図示を省略している。
制御手段40には、モータ21、長シャフト確認手段26、施錠位置検出手段23、行先表示器8、ディスプレイ91、及び電子キー装着部28が接続している。さらに、図示しない電池が接続されている。電子キー装着部28には、電子キー1が装着され、電子キー1は、電子キー装着部28を介して、制御手段40と接続される。
制御手段40は、CPU41、RAM42、ROM44を有している。また、RAM42は、履歴記憶手段43、パスワード読取手段48を有している。また、ROM44は、開錠・施錠プログラム45、電子キー登録情報記憶手段46、登録GPSエリア記憶手段47、アクセス権照会手段49を有している。
電子キー1の電気的構成は図示しないが、記憶手段である接触式ICチップ用の第1端子9b、第2端子4が、接触式ICチップの両側に接続し、LED9aが接触式ICチップと並列に接続されている。接触式ICチップは、電源を流すことにより、記憶されているデータを読み出すことが可能である。
【0025】
<電子キー管理ボックスの構成>
電子キー管理ボックスの全体構成について説明する。図9に電子キー管理ボックス60の開閉扉61が開いた状態の正面図を示す。
電子キー管理ボックス60は、電子式南京錠10を開錠するために使用される電子キー1を集中して保管管理するためのものである。電子キー管理ボックス60は、開閉扉61が付設され、通常、開閉扉61は閉じられている。
電子キー管理ボックス60の開閉扉61の内側には、10個の電子キー1(図7参照)を保持するキー孔ユニット68(68Aから68Jまで)が付設されている。本実施形態においては、10個の電子キー1を保持するものであるが、電子キーの保管できる数を増やすことができる。
電子キー管理ボックスの開閉扉61の右側の表面には、ICカード読取部62、指紋認証装置63、液晶表示部64、テンキー操作部69が付設されている。キー孔ユニット68は、電子キー1が装着されるキー孔65、LED84、ネームプレート67を有している。キー孔65には、キー抜け阻止手段であるロック手段81(図10参照)により、通常電子キー1を抜くことができない状態となっている。
【0026】
次に、電子キー管理ボックス60のコントローラ70について説明する。図10にコントローラ70の構成をブロック図で示す。
コントローラ70は、CPU71、ROM72、有効時間設定部73、履歴記憶部74、履歴読取手段75、キーボックスタイマ76、個人認証手段77、充電選別機能86、パスワード書込手段88を備えている。ROM72は、制御プログラム78、電子キーID記憶部79、アクセス権記憶部80を備えている。
コントローラ70には、各キー孔ユニット68に対応して付設されている電子キー1をロックして抜けないようにするロック手段81A〜81J、電子キー1が装着されたときに、電子キー1に内蔵されたICタグ7に記憶されているデータを読み取るためのICタグデータ読取手段82A〜82J、有効時間データを電子キー1に書き込むための有効時間データ書込手段85A〜85J、作業者を識別するための個人ID番号や作業者が開錠許可を有している南京錠を特定する南京錠特定データなどのデータを電子キー1に書き込む南京錠データ書込手段83〜83J、LED84A〜84Jが接続されている。
また、コントローラ70には、液晶表示部64、指紋認証装置63、ICカード読取部62が接続されている。
【0027】
<電子式南京錠の作用>
次に、電子式南京錠10の作用について説明する。図2に示すように、ジョイントシャフト12は、短シャフト12bが短シャフト孔11aから抜け出ており、長シャフト12aは、抜け止め部材12fが錠本体11と当接することにより、図2の位置より抜け出ることはない。このとき、摺動ノッチ24は、付勢バネ25により付勢され、ガイド孔13b内に少し突出しており、長シャフト確認手段26は、オフしている。
また、横孔11cの端部には、図示しない凸部が形成されており、ロック球14,15が、横孔11cから抜け落ちることがない。ロッキングカム16は、カムの谷がロック球14,15と当接しており、ジョイントシャフト12を抜くときには、ロック球14、15は、図2の位置に移動する。ロッキングカム16が図2の位置にあるときには、検出板22の検出ノッチ22aが施錠位置検出手段23の検出板から外れた位置にあるため、施錠位置検出手段23は、オフしている。
【0028】
次に、施錠作用を説明する。作業者は、ジョイントシャフト12のU字部12c内にチェーン等を掛けた状態で、短シャフト12bを短シャフト孔11aに挿入して、図3の状態とする。
次に、電子キー1を挿入口29から挿入し、電子キー装着部28の所定の位置に装着する。本実施例では、電子式南京錠を開錠する場合でも、施錠する場合でも、電子キー1を電子キー装着部28に装着する必要がある。開錠・施常時に必ず電子キー1を装着させることにより、電子キー1に開錠・施錠情報を書き込むことができる。電子式南京錠10は、電子キー1より、行先情報を読み込み、行先表示器8に表示する。行先表示器8での表示は、本実施例では、2桁の数字としている。作業者は、数字により、行先を確認することができる。
電子キー1による作用については、後で詳細に述べるが、電子式南京錠10の制御手段40は、所定の条件を満たしている場合には、モータ21を駆動する。モータが駆動されることにより、図1に示すモータギア20、回転軸ギア19、及び回転軸18を介して、ロッキングカム16を回転させ、施錠状態とする。図1状態では、ロック球14、15がジョイントシャフト12のロック溝12d、12eと係合しているため、短シャフト12bを錠本体11から抜くことができない。
図1の施錠状態では、摺動ノッチ24は、長シャフト12aにより左方向に移動しており、長シャフト確認手段26は、オンしている。また、ロッキングカム16が図1の位置にあるときには、検出板22の検出ノッチ22aが施錠位置検出手段23の検出板上にあるため、施錠位置検出手段23は、オンしている。
【0029】
施錠位置検出手段23がオンしているのみでは、短シャフト12bが錠本体11の短シャフト孔11aに挿入されていない場合もあり得るが、本実施例では、長シャフト12aの位置も長シャフト確認手段26により確認しているので、施錠位置検出手段23がオンしており、長シャフト確認手段26がオンしていれば、施錠できていることを確実に確認できる。
本実施例の電子式南京錠10は、電池32を備え、常に、施錠位置検出手段23と長シャフト確認手段26により、開錠・施錠の状態をチェックし、施錠位置検出手段23または長シャフト確認手段26のオン・オフ状態に変化があったときには、全ての変化の内容と変化した時刻とを履歴記憶手段43に記憶している。そして、全ての変化のうち、本実施例では、施錠位置検出手段23がオフし、かつ、長シャフト確認手段がオフした場合に、開錠されたと判断し、開錠時刻として記憶している。
【0030】
そのため、配送センター等の所定の場所以外の場所で、電子式南京錠10が開錠・施錠された場合には、開錠・施錠の事実、及びその時刻を把握することができる。電子式南京錠10は、決められた時間に、ミニUSB端子35を介して、配送センターの制御手段に接続され、履歴記憶手段43に記憶されている履歴が、制御手段に吸い上げられる。また、このとき、電池32の残量がチェックされる。残量が少ないときは、制御手段は、電池交換指示を表示する。
本実施例では、施錠位置検出手段23と長シャフト確認手段26とをリンクさせて制御していないが、両スイッチが共にオンしている場合にのみ、施錠可能とする制御を行っても良い。
【0031】
<電子式南京錠システムの使用形態>
始めに、実施例の電子キーシステムの使用形態について説明する。
(電子キー管理ボックスから電子キーを取出す工程)
図11に、電子キー管理ボックス60の制御プログラム78をフローチャートで示す。
作業者は、電子キー管理ボックス60の所に行き、所持しているICカードをICカード読取部62に読み取らせる(S30;YES)。そして、作業者は指紋認証装置63に指を触れさせ指紋番号を認証する(S31)。コントローラ70の電子キー管理ID記憶部79は、ICカード読取部62が読み取ったICカードと対応する指紋を記憶しており、入力された指紋を照合する(S32)。そして、正しい指紋が入力されたときのみ(S32;YES)、開閉扉61を開放する。本実施例では、指紋認証装置63を用いているが、静脈認証装置、テンキー操作装置等により個人認証を行っても良い。個人認証を行うのは、他人のICカードを使用して不正行為が行われるのを防止するためである。
【0032】
S33の後、2つのルートに分かれて制御される。コントローラ70が、作業者が現在電子キー1を借りていないと判断した場合には(S33;NO)、S34へ進む。一方、コントローラ70が、作業者が現在電子キー1を借りていると判断した場合には(S33;YES)、S44へ進む。
先に、作業者が現在電子キー1を借りていない場合(S33;NO)について説明する。
この場合には、液晶表示部64に、作業者が必要とする電子式南京錠10の番号をテンキー操作部69を用いて入力させる(S34)。この場合に、液晶表示部64の特性を生かして、図示表示等行い、作業者が容易に電子式南京錠の番号を特定できるようにするとよい。
作業者が電子式南京錠10の番号を入力すると(S34)、番号入力が完了したか否か、液晶表示部64に表示を行い確認する(S35)。作業者は、複数の電子式南京錠を開錠したい場合には、全ての電子式南京錠の番号を入力する(S34,S35)。
【0033】
コントローラ70は、入力された電子式南京錠10の番号を、電子式南京錠10を開錠して保管物にアクセスできるアクセス権を作業者が有するかアクセス権記憶部80により照合する。個人認証に成功した作業者が保管物の全てにアクセス可能であるならば、南京錠データ書込手段83により電子式南京錠のアクセス権限情報を、電子キー1のICタグ7のアクセス権記憶部56に書き込む(S36)。同時に、ICタグ7に、有効時間設定部73が設定した有効時間データと、作業者を識別するための個人のID番号(作業者識別情報の一例)を書き込む(S36)。これにより、共通の電子キー1が、当該作業者専用の鍵となる。もし、当該作業者がアクセス権を有しない電子式南京錠の番号が入力されているときは、その旨、液晶表示部64に表示する。
【0034】
電子キー1のICタグ7のアクセス権記憶部56に書き込みを行う際に、パスワード書込手段88がランダムにデータを作成し、作成したパスワードを電子キー1のパスワード記憶部58に記憶させる(S37)。本実施例においては作成されたパスワードは4ケタのパスワードとなる。パスワードは、パスワード書込手段88がパスワードを書き込む際数字をランダムに組み合わせることにより作成する。作成されたパスワードは、液晶表示部64に表示を行う(S38)。作業者はパスワードを確認する。
【0035】
次に、コントローラ70は、開閉扉61を開放すると同時に、データを書き込んだ任意の電子キー1が装着されているキー孔ユニット68のロック手段81を解除する(S39)。ロック手段81は、電子キー1の凹部4dを利用して、図示しないロック部材をソレノイドで駆動させて係合・解除を行っている。また、解除したキー孔ユニット68のLED84を点灯する(S39)。作業者は、LED84の点灯により、専用鍵となった電子キー1を簡単に抜き取ることができる。コントローラ70は、ICタグデータ読取手段82が電子キー1を検出しなくなったときに、電子キー1がキー孔65から抜き取られたと判断して(S40;YES)、認証した個人、取り出された電子キー1、取り出された時間を履歴記憶部74に記憶する(S41)。その後、開閉扉61を閉じることを液晶表示部64に表示して指示する(S42)。開閉扉61が閉じられたことを確認して(S43;YES)、S30へ戻る。
本電子キー管理ボックス60では、電子キー1を直接、キー孔65に装着させているので、キー孔ユニット68に付設されたICタグデータ読取手段82により、装着された電子キー1のICタグデータを読み取って、電子キー1が正規の鍵であるか否かを確実に管理することができる。
【0036】
(電子式南京錠を開錠する工程)
図12に、電子式南京錠10の制御手段40をフローチャートで示す。
取出された電子キー1を保持して、権限情報を有する電子式南京錠10の所に行く。電子式南京錠10の挿入口29に、電子キー1を挿入する(T41;YES)。電子キー1には、電子式南京錠10に対する権限情報がアクセス権記憶部56に記憶されている。そのため、当該電子キー1が有する権限情報と電子式南京錠10の電子キー登録情報記憶手段46に登録された権限情報とをアクセス権照会手段49が照会し、一致するか確認をする(T42)。権限情報が一致すると確認されると(T42;YES)、電子式南京錠10のパスワード読取手段48が電子キー1のパスワード記憶部58からパスワードを読出す(T43)。パスワードの読み出しが完了すると、電子式南京錠10のディスプレイ91にパスワードを入力するよう指示が出される。作業者は記憶しているパスワードを、パスワード入力ボタン95を介し入力する(T44)。アクセス権照会手段49は、入力されたパスワードとパスワード読取手段48が読み出したパスワードと一致するか確認し、パスワードの一致が確認されると(T45;YES)、権限情報とパスワードの一致が確認され、本人であると確認することができる。そのためロック手段が開錠され、電子キー1を回転可能な状態とする(T46)。
【0037】
他方、パスワードの一致が確認されないと、例え、権限情報の一致が確認されたとしてもロック手段は開錠されない(T45;NO)。権限情報の一致が確認されたとしても、電子キー1は、権限を有する本人が有しているとは限らない。すなわち、電子キー1が権限のない作業者が権限を有するものでないのに「なりすまし」により開錠しようとする場合などでは本人でない可能性がある。しかし、本実施形態のように、パスワードの一致を確認すれば、電子キー管理ボックス60を取出した本人でなければ、パスワードはわからない。そのため、本人以外の者が電子式南京錠を開錠することができない。万が一パスワードを知っていたとしても、本人がパスワードを作業者に知らせるしか手段はないため「なりすまし」は防止することができる。
【0038】
電子キー1の権限情報及びパスワードの一致が確認でき(T45;YES)、電子式南京錠10の制御手段40は、モータ21を駆動する。モータが駆動されることにより、モータギア20、回転軸ギア19、及び回転軸18を介して、ロッキングカム16を回転させ、図3に示す開錠状態とする(T47)。電子式南京錠10を開錠した開錠時間、及び電子キー1を使用する作業者のID情報を履歴記憶手段43に記憶する。電子式南京錠10が開錠されることにより(T47)、電子式南京錠10がかけられていた扉をひらき内部に保管された保管物にアクセスすることができる。保管物にアクセスした後に、作業者は扉を閉める(T49)。作業者は、電子キー1を、挿入口29に対して最初の位置に戻るように回転させることで、モータ21が駆動し施錠される(T50)。電子キー1が回転され最初の位置に戻り、電子式南京錠10が施錠されたときに、電子式南京錠10を施錠した開錠時間、及び電子キー1を使用する作業者のID情報を電子式南京錠10の履歴記憶手段43に記憶する(T51)。
さらに、今回開錠・施錠した履歴以外の過去分の開錠・施錠時間、作業者IDを電子キー1に記憶する(T52)。過去分の履歴を記憶することにより、過去に保管庫が何者かにより開かれ、内部の保管物が逸失したような場合の問題を把握することができる。
その後電子キー1を挿入口29から抜出ことにより(T53;YES)、電子キー1により電子式南京錠10を開錠する工程は終了する。
【0039】
(電子キー管理ボックスへ電子キーを戻す工程)
次に、図11に示す、電子キー管理ボックス60へ電子キー1を戻す工程(S33;YES)について説明する。
この場合には、コントローラ70は、開閉扉61を開放すると同時に、電子キー1が装着されていないキー孔ユニット68のロック手段81を解除状態とする(S44)。
作業者は、電子キー1が装着されていない任意のキー孔65に、電子キー1を返却する(S45)。電子キー1が電子キー管理ボックス60に返却されたときに、ICタグデータ読取手段82は、電子キー1のICタグデータ59を読み取り、個人認証した特定の個人が借りていた電子キー1が返却されたことを確認し(S46;YES)、返却時間を履歴記憶部74に記憶する(S47)。次に、コントローラ70のICタグデータ読取手段82が電子キー1から読み取った使用履歴データが、履歴記憶部74に、個人用電子キー1の使用履歴として記憶される(S48)。
【0040】
これにより、履歴記憶部74は、各電子キー1について、電子キー管理ボックス60から取り出された日時、返却された日時、電子式南京錠10の使用履歴を全て記憶する。
後で、電子式南京錠10が使用されていた保管庫内の保管物の紛失等のトラブルが発生したときに、使用履歴をチェックすることにより、責任の所在を追及することができる。また、全ての過去分の履歴を管理していることを作業者に知らせることにより、作業者が電子キー管理ボックス60から電子キー1を取り出した後、すばやく保管庫の利用を行うことが期待できるため、電子キー1が机の上に長時間置きっぱなしになるような事態を回避することができる。
開閉扉11が閉じられたことを確認して(S43;YES)、S30へ戻る。
【0041】
なお、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
例えば、本実施例では、電子式南京錠10の開錠・施錠履歴を全て記憶しているが、GPS情報により、配送エリア内でしか電子キー1を使用できなくすれば、履歴を全て記憶しなくても、途中の経路で電子式南京錠10が開錠・施錠されることを防止することができる。
また、本実施例では、電子キーを用いるが、電子キーに変えてスマートフォンを使用して権限付与することもできる。また、スマートフォンと電子キーを繋いでスマートフォンから電子キーに権限を付与することもできる。スマートフォンを用いることにより遠隔にいたとしても権限情報を付与することができる。
また、本実施例では、有効時刻があるが、配送センターでは通常、ひっきりなしにトラックが出入りするため、スマートフォンを携帯したとしても、毎回、開錠許可を受けるのは、煩雑となる場合がある。その場合には、例えば、作業者Aの有効時間としては、次の休憩時間までの時間を設定しても良い。その作業者の可動状況は、他者も把握しているため、昼休み等の休憩時間に有効時刻が切れるようにすれば良い。
【0042】
また、本実施例では、電子式南京錠10を、トラックのトランクに取り付ける場合について説明したが、重要書類等を搬送するためのセキュリティボックス、セキュリティバックの施錠に、電子式南京錠10を用いても良い。その場合には、例えば、企業の本社と支社との間でセキュリティボックスを搬送する場合、企業の担当者が各々電子キー1を所持しており、書類を入れたセキュリティトランクを電子式南京錠10で施錠し、宅配便で配送する。配送された支社において、担当者が電子キー1を用いて開錠する。この施錠・開錠システムは、本実施例と同じなので、詳細な説明を割愛する。
ここで、制御手段51としては、スマートフォンを使用することができる。ただし、スマートフォンを使用すると便利であるが、ビルの地下等、スマートフォンの圏外となる場合に問題となる。そのような場合には、使用する場所にPCを設置して、有線による通信を行えば、本実施例の電子式南京錠10を利用することができる。
【0043】
本実施例では、行先情報を電子キー1を介して、電子式南京錠10のRAM42に記憶させているが、電子キー1を介さずに、電子式南京錠10のミニUSB端子35に電子キー管理ボックス60またはスマートフォンを有線で接続させ、直接電子式南京錠10のRAM42に行先情報を書き込み、始めから行先表示器8に行先番号を表示しておけば、作業者の作業効率を高めることができる。
また、本発明の電子式南京錠10は、航空機用の貨物コンテナに利用しても良い。現在、貨物用コンテナに途中経路で貨物が入れられ、または取り出された場合に、履歴を追うことが難しかった。本発明の電子式南京錠10によれば、航空機用コンテナのセキュリティを向上させることができる。
また、電子キー管理ボックスは、電子キーに複数の電子式南京錠を開閉する権限情報を与えることができる。その際には、パスワードは電子式南京錠毎に与えるのではなく、全て統一したパスワードを付与することで、作業者のパスワードの覚え間違えにより電子式南京錠が開錠不可能となることを防止することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 電子キー
10 電子式南京錠
48 パスワード読取手段
58 パスワード記憶手段
60 電子キー管理ボックス
63 指紋認証装置(請求項中の「個人認証手段」)
92 入力ボタン(請求項中の「パスワード入力手段」)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子キーと、前記電子キーを保管する電子キー管理ボックスと、前記電子キーに記憶されている権限情報に基づいてロック手段を開錠状態とする電子式南京錠と、を有し、前記電子キー管理ボックスは個人認証手段により個人を認証した時に前記電子キーに対して前記権限情報を付与する電子式南京錠システムにおいて、
前記電子キー管理ボックスが前記電子キーにパスワードを付与すること、
前記電子式南京錠は前記パスワードを入力するパスワード入力手段を有すること、
前記電子式南京錠は権限情報記憶装置に記憶された権限情報と前記電子キーに記憶された権限情報が一致するか確認し、かつ、前記パスワード入力手段に入力された前記パスワードが前記電子キー管理ボックスが付与した前記パスワードと一致するか確認し、双方が一致する場合に前記ロック手段を開錠状態とすること、
を特徴とする電子式南京錠システム。
【請求項2】
請求項1に記載する電子式南京錠システムにおいて、
前記電子キー管理ボックスは、ランダムに前記パスワードを付与するパスワード付与手段を有すること、
を特徴とする電子式南京錠システム。
【請求項3】
電子キーの権限情報に基づいてロック手段を開錠する電子式南京錠において、
前記電子式南京錠は、
前記電子キーに付与された個人を認証するためのパスワードを入力するためのパスワード入力手段を有すること、
前記電子キーの権限情報を記憶した権限情報記憶装置を有すること、
前記権限情報記憶装置に記憶された権限情報と前記電子キーに記憶された権限情報が一致するか確認し、かつ、前記パスワード入力手段に入力された前記パスワードが前記個人を認証するためのパスワードと一致するか確認し、双方が一致する場合に前記ロック手段を開錠状態とすること、
を特徴とする電子式南京錠。
【請求項4】
電子式南京錠を開錠・施錠する電子キーを保管し、前記電子キーに前記電子式南京錠を開錠する権限情報を与える電子キー管理ボックスにおいて、
前記電子キー管理ボックスが前記電子キーにパスワードを付与すること、
ランダムに前記パスワードを付与するパスワード付与手段を有すること、
を特徴とする電子キー管理ボックス。
【請求項1】
電子キーと、前記電子キーを保管する電子キー管理ボックスと、前記電子キーに記憶されている権限情報に基づいてロック手段を開錠状態とする電子式南京錠と、を有し、前記電子キー管理ボックスは個人認証手段により個人を認証した時に前記電子キーに対して前記権限情報を付与する電子式南京錠システムにおいて、
前記電子キー管理ボックスが前記電子キーにパスワードを付与すること、
前記電子式南京錠は前記パスワードを入力するパスワード入力手段を有すること、
前記電子式南京錠は権限情報記憶装置に記憶された権限情報と前記電子キーに記憶された権限情報が一致するか確認し、かつ、前記パスワード入力手段に入力された前記パスワードが前記電子キー管理ボックスが付与した前記パスワードと一致するか確認し、双方が一致する場合に前記ロック手段を開錠状態とすること、
を特徴とする電子式南京錠システム。
【請求項2】
請求項1に記載する電子式南京錠システムにおいて、
前記電子キー管理ボックスは、ランダムに前記パスワードを付与するパスワード付与手段を有すること、
を特徴とする電子式南京錠システム。
【請求項3】
電子キーの権限情報に基づいてロック手段を開錠する電子式南京錠において、
前記電子式南京錠は、
前記電子キーに付与された個人を認証するためのパスワードを入力するためのパスワード入力手段を有すること、
前記電子キーの権限情報を記憶した権限情報記憶装置を有すること、
前記権限情報記憶装置に記憶された権限情報と前記電子キーに記憶された権限情報が一致するか確認し、かつ、前記パスワード入力手段に入力された前記パスワードが前記個人を認証するためのパスワードと一致するか確認し、双方が一致する場合に前記ロック手段を開錠状態とすること、
を特徴とする電子式南京錠。
【請求項4】
電子式南京錠を開錠・施錠する電子キーを保管し、前記電子キーに前記電子式南京錠を開錠する権限情報を与える電子キー管理ボックスにおいて、
前記電子キー管理ボックスが前記電子キーにパスワードを付与すること、
ランダムに前記パスワードを付与するパスワード付与手段を有すること、
を特徴とする電子キー管理ボックス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−225017(P2012−225017A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92005(P2011−92005)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(391020322)東海理研株式会社 (42)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(391020322)東海理研株式会社 (42)
【Fターム(参考)】
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