説明

電子投票システム

【課題】
従来の第1段階の電子投票システムは、選挙人には利便性が悪く、選挙を実施する側には設置環境やコスト的な問題があった。
【解決手段】
本発明に係る電子投票システムは、ICカード入力手段と、操作手段と、表示手段と、専用通信網を介して利用者情報を管理する金融管理サーバーに接続する通信手段と、金融取引に関する制御を行う金融取引制御手段とを有する現金取扱装置を利用する電子投票システムにおいて、現金取扱装置を利用した電子投票処理を行う電子投票制御手段と、金融取引制御手段または電子投票制御手段を切替する切替手段とを設け、切替手段は、ICカード入力手段に装着されたICカードの種類を判別し、ICカードが予め選挙人情報を記憶した電子投票カードである場合は電子投票制御手段を起動させ、ICカードが金融取引カードである場合は金融取引制御手段を起動させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関が顧客との間で金融取引を行うためのATM(Automated Teller Machine:現金自動預け払い機)を利用した電子投票システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子投票システムの段階的な導入形態として、第1段階:選挙人が指定された従来の投票所において電子投票機を用いて投票する段階、第2段階:指定された従来の投票所以外の全国の様々な公共の場所で投票できる段階、第3段階:投票所での投票を義務づけず、個人の所有するコンピュータ端末を用いて投票する段階(インターネット投票)、など3段階に分けて検討されている。現在、一部の地域で実施されているのは主に第1段階の電子投票システムであるが、電子投票システムの更なる普及が期待されている(非特許文献1参照)。そこで、例えば金融機関などのATMを利用する電子投票システムが考えられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−052757号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「電子機器利用による選挙システム研究会」平成14年2月(総務省)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、第1段階の従来の電子投票システムは、選挙の投票日に合わせて電子投票システムを体育館や公民館などに設置し、選挙終了後、撤去しなければならなかった。さらに、電子投票システムは、安定した電源設備の確保や維持および電源ケーブル等の敷設を臨時に行う必要があり、システムの設置や撤去に多大な費用と時間が掛かるという課題があった。また、撤去の度に廃棄物が発生し、環境面での問題もある。さらに、電子投票システムが設置される学校の体育館などは、選挙人だけでなく電子投票システムの電子機器にとって必ずしも環境が良いとは言えず、特に直射日光の当たる場所や塵埃(選挙人の土足入場や校庭の土埃等)の多い場所に設置されることもあり、電子機器にとっては短時間であるが好ましい設置環境ではなかった。
【0006】
また、従来の投票所は、学校や公民館等に限られており、数が比較的少なく、選挙人(投票する人)にとって便利な場所にあるとは限らなかった。そこで、このような理由で選挙当日に投票に行けない選挙人に対して、選挙費用を極力抑えつつ投票の機会を増やす手法が求められている。
【0007】
さらに、数年に一度の選挙に使用される専用の電子機器では関係する企業にとって市場規模が小さくビジネスモデルが成り立たないという問題もある。
【0008】
以下、電子投票システムに求められる本質的な課題をまとめる。
(1)第2段階(全国どこの投票所でも投票可能)の電子投票システムを実現すること。
(2)電子投票システムを実現する場合の国や地方自治体の選挙費用を低減すること。
(3)電子投票システムに関連する市場が成長拡大できるビジネスモデルを構築すること。
(4)投票所の設置と撤去の繰り返しから脱脚し、地球環境保全の取り組みに寄与すること。
(5)電子投票システムで考えられるリスクを低減すること。
【0009】
また、金融機関などのATMを利用する電子投票システムが考えられているが、銀行カードと投票用紙の番号を入力する必要があり、銀行カードを持たない選挙人への対応やATMの構成や動作については詳しく開示されていなかった。
【0010】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、既存のATMシステムを利用して第2段階の電子投票システムを実現する電子投票システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る請求項1に記載の電子投票システムは、装着された金融取引カードの情報を入力するICカード入力手段と、現金の入出金を含む金融取引操作を行うための操作手段と、金融取引情報を表示する表示手段と、専用通信網を介して利用者情報を管理する金融管理サーバーに接続する通信手段と、金融取引に関する制御を行う金融取引制御手段とを有する現金取扱装置を利用する電子投票システムにおいて、前記現金取扱装置を利用した電子投票処理を行う電子投票制御手段と、前記金融取引制御手段または前記電子投票制御手段を切替する切替手段とを設け、前記切替手段は、前記ICカード入力手段に装着されたICカードの種類を判別し、前記ICカードが予め選挙人情報を記憶した電子投票カードである場合は前記電子投票制御手段を起動させ、前記ICカードが前記金融取引カードである場合は前記金融取引制御手段を起動させることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る請求項2に記載の電子投票システムは、請求項1に記載の電子投票システムにおいて、前記電子投票制御手段は、前記表示手段に電子投票に関連する情報を表示し、前記操作手段で電子投票を行うための操作を受け付け、前記通信手段で電子投票に関連する情報を前記専用通信網を介して選挙情報を管理する選挙管理サーバーに接続し、前記ICカード入力手段に装着された前記電子投票カードの選挙人情報を読み取り、選挙人情報に含まれる居住地域に応じた選挙情報を前記選挙管理サーバーから受信して前記表示手段に表示し、選挙人が前記操作手段でを投票した投票情報を前記通信手段を介して前記選挙管理サーバーに送信することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る請求項3に記載の電子投票システムは、請求項1または2に記載の電子投票システムにおいて、前記金融取引カードと前記電子投票カードの両方の機能を有する兼用ICカードを設け、前記切替手段は、前記兼用ICカードが前記ICカード入力手段に装着された場合に、前記表示手段に金融取引または電子投票を選択する画面を表示し、前記操作手段で電子投票が選択された場合は前記電子投票制御手段を起動させ、前記操作手段で金融取引が選択された場合は前記電子投票制御手段を起動させることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る請求項4に記載の電子投票システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、前記電子投票制御手段は、前記ICカード入力手段に前記電子投票カードが装着された場合は予め選挙人に通知されたパスワードを要求する画面を前記表示手段に表示し、選挙人によって前記操作手段から入力された前記パスワードの認証を行い、前記パスワードが前記ICカード入力手段に装着された前記電子投票カードに対応する場合に電子投票処理を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る請求項5に記載の電子投票システムは、請求項1から4のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、前記電子投票制御手段は、選挙人による投票が終了した時に前記電子投票カードに投票済を示す情報を記憶し、投票済を示す情報が記憶された前記電子投票カードが前記ICカード入力手段に装着された場合は電子投票処理を中止または投票内容を無効にすることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る請求項6に記載の電子投票システムは、請求項1から5のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、前記ICカード入力手段に装着された電子投票カードを回収するカード回収手段を更に設け、前記電子投票制御手段は、選挙人による投票が終了した時に前記電子投票カードを前記カード回収手段に回収することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る請求項7に記載の電子投票システムは、請求項6に記載の電子投票システムにおいて、前記カード回収手段は、回収した電子投票カードに記憶された選挙人情報および前記電子投票カードの印刷を消去することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る請求項8に記載の電子投票システムは、請求項1から7のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、前記選挙管理サーバーから通知される時刻情報に同期したタイマー手段を更に設け、前記電子投票制御手段は、前記タイマー手段の時刻情報に応じて投票開始時刻と投票終了時刻とを自動制御し、投票時間内のみ前記電子投票カードによる投票を受け付けることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る請求項9に記載の電子投票システムは、請求項1から8のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、前記電子投票制御手段は、予め設定された一定時間内に前記操作手段のいずれの操作も行われなかった場合、投票処理を中止することを特徴とする。
【0020】
本発明に係る請求項10に記載の電子投票システムは、請求項1から8のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、前記現金取扱装置を操作する人の存在を検出するセンサを設け、前記電子投票制御手段は、投票処理中に前記センサが人の存在を検出しなくなった場合に投票処理を中止することを特徴とする。
【0021】
本発明に係る請求項11に記載の電子投票システムは、請求項10に記載の電子投票システムにおいて、前記センサは、前記現金取扱装置前の人を撮影する撮影手段と、前記カメラで撮影した画像から人の特徴を抽出する画像処理手段とで構成し、前記電子投票制御手段は、投票処理中に前記画像処理手段が抽出する人の特徴が変化した場合に投票処理を中止することを特徴とする。
【0022】
本発明に係る請求項12に記載の電子投票システムは、請求項1から11のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、投票結果を記録する電子記録媒体を更に設け、前記電子投票制御手段は、前記電子記録媒体に記録された投票結果を前記通信手段および前記専用通信網を介して前記選挙管理サーバーに送信することを特徴とする。
【0023】
本発明に係る請求項13に記載の電子投票システムは、請求項1から12のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、前記表示手段より表示する情報量が多い大型表示手段と、前記表示手段に前記大型表示手段を接続するためのインターフェースとを設け、前記電子投票制御手段は、前記ICカード入力手段に電子投票カードが装着された場合は、前記表示手段の代わりに前記大型表示手段に選挙情報を表示することを特徴とする。
【0024】
本発明に係る請求項14に記載の電子投票システムは、請求項1から13のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、前記電子投票制御手段は、前記選挙管理サーバーから受信して保持している選挙情報を前記専用通信網を介して接続される前記選挙管理サーバーから遠隔指令によって消去することを特徴とする。
【0025】
本発明に係る請求項15に記載の電子投票システムは、請求項1から14のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、前記電子投票制御手段は、前記金融取引制御手段と連携して、電子投票を終了した選挙人が予め設定した口座への振込みまたは現金の支払いによって予め決められた推奨金を支払うことを特徴とする。
【0026】
本発明に係る請求項16に記載の電子投票システムは、請求項1から15のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、前記選挙管理サーバーは、複数の前記現金取扱装置を前記専用通信網を介して集中管理することを特徴とする。
【0027】
本発明に係る請求項17に記載の電子投票システムは、請求項1から16のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、前記金融取引装置の異常振動を検知する振動検知手段と、前記振動検知手段が前記金融取引装置の異常振動を検知した場合に、警備会社に自動通報する警報手段とを更に設けたことを特徴とする。
【0028】
本発明に係る請求項18に記載の電子投票システムは、請求項1から17のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、前記選挙管理サーバーに選挙人に電子メールを送信する電子メール送信手段を更に設け、前記選挙管理サーバーは、前記電子投票制御手段から選挙人の投票終了の通知を受信した場合に、前記電子メール送信手段により、前記選挙人が予め登録した電子メールアドレスに投票完了の電子メールを自動送信することを特徴とする。
【0029】
本発明に係る請求項19に記載の電子投票システムは、請求項18に記載の電子投票システムにおいて、前記選挙管理サーバーは、前記選挙人が予め登録した電子メールアドレスに電子投票が可能な前記金融取引装置の設置場所を送信することを特徴とする。
【0030】
本発明に係る請求項20に記載の電子投票システムは、請求項1から17のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、前記選挙管理サーバーに選挙人の投票完了を確認するインターネット接続されたWebサーバー手段を更に設け、前記Webサーバー手段は、選挙人が前記インターネットを介して接続する場合に前記選挙人が予め登録したパスワードを受信した場合に前記選挙人の投票完了の有無を通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る電子投票システムは、既存のATMを電子投票機として利用するので、選挙日に臨時の投票所を設けたり、新たなシステムを設置する必要が無く、選挙費用を極力抑えつつ投票の機会を増やすことができ、且つセキュリティを確保できる。これにより、選挙を実施する側(国や地方自治体など)にとっても電子投票システムを安価で運用することが可能となり、電子投票システムを導入し易くなる。また、電子投票システムとして既存のATMシステムを利用することにより、自治体は選挙費用の削減が可能となる。もちろん、電子投票システムの実現により、開票の迅速化を図ることができる。
【0032】
以下、本発明に係る電子投票システムの効果を列挙する。
(1)本発明によれば、金融機関やセキュリティの整備されたコンビニに設置されている既存のATMシステムに電子投票システムを搭載するので、選挙当日、従来の投票所に行けない選挙人の投票の機会を増やし、投票率の向上を図ることができる。特に、ATMは利便性の良い場所に設置されていることが多いので、より一層効果的である。
(2)電子投票システムのいわゆる第2段階への移行に要するシステム開発費、運用費、維持費など低減するモデルを提供できる。特に、選挙は、同じ地域では、数年に一度の割合でしか行われないので、既存設備を有効活用することにより、選挙に掛かる費用も抑えることができる。また、既存設備を利用するので、電子投票システムの資産の流動化を図ることができ、選挙にしか利用できない従来の電子投票システムの電子機器を資産として保持する必要がなくなり、自治体の負担も軽減することができる。
(3)選挙制度の約100年の歴史の中で選挙の度に行われていた投票所を開設作業(設置と撤去の繰り返し)を無くすこと、或いは少なくすることができる。本発明によれば、社会インフラとして既存の資産を有効活用し、ATMシステムに電子投票システムを搭載するので、選挙を運営する自治体は、選挙に必要な選挙データ類のみ各選挙に対応させて作成および集計するだけでよい。
(4)選挙を運営する自治体は、投票所の開設に伴う電子システムの設置や撤去および付属設備(電源設備等)の設置や撤去が不要になり、選挙に要する費用を削減することができる。また、設置や撤去に伴う廃材なども発生しないため、環境負荷も低減できる。
(5)一般にATMが設置されている場所は空調設備などが整っているので、電子投票システムの設置環境を良好にすることができる。また、電子投票システムの機器毎に放熱用のFANの搭載、エアーフィルターの取付などの作業も不要になり、メンテナンス費用を少なくすることができる。
(6)常設されている既存のATMシステムを利用するので、従来のように臨時に設置した専用の電子投票システムを撤去する必要がなく、機器の保管費用(倉庫費用など)も不要となる。
(7)金融機関やコンビニ運営会社もATMシステムとATMの設置場所を選挙を運営する自治体に貸し出すことで手数料を得られるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】電子投票システム100の一例を示すシステム構成図である。
【図2】ATM101の一例を示す外観図である。
【図3】電子投票カード102の一例を示す説明図である。
【図4】ATM101の一例を示すブロック図である。
【図5】候補者一覧表の一例を示す説明図である。
【図6】投票手順を示すフローチャートである。
【図7】開票手順を示すフローチャートである。
【図8】電子投票制御部202の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(第1の実施形態)
本発明に係る電子投票システムの実施形態について図面を用いて詳しく説明する。
[電子投票システム100の構成例]
図1は本実施形態に係る電子投票システム100の構成例を示す図である。電子投票システム100では、予め選挙人に電子投票カード102を配布し、選挙人は電子投票カード102を用いて全国各地に設置されている金融機関の銀行ATM(現金自動出入機)101aやコンビニエンスストアのコンビニCD(現金自動支払い機)101bで電子投票を行う。
【0035】
図2はATM101の一例を示す図である。図2(a)は銀行ATM101aの外観例で、電子投票カード102を挿入するためのカード挿入口103、液晶モニタなどの表示部104、タッチパネル式の操作部105などを基本構成とする。さらに、銀行ATM101aは、監視用のカメラ106、現金取出口107、通帳挿入口108、現金投入口109および連絡用ハンドセット110などを有する。同様に、図2(b)に示すように、コンビニCD101bは、カード挿入口103、表示部104、操作部105、カメラ106、現金取出口107などを有する。例えば金融取引を行う場合、利用者はキャッシュカード(金融取引カード)をカード挿入口103に挿入し、表示部104に表示される金融取引操作画面に応じてタッチパネル式の操作部105で操作し、現金投入口109に投入した現金を口座に預金したり振込みを行う。或いは、利用者は、預金口座から現金を引き出す場合は、現金取出口107から現金を受け取る。また、現金の預け入れや支払いの際に通帳挿入口に預金通帳を挿入して、金融取引内容を預金通帳に印字する。また、操作が分からない場合や異常時には、管理者にハンドセット110で連絡する。また、預金通帳を使用しない場合は印字部111から利用明細をプリントアウトする。さらに、カメラ106は、利用者が不審な行動を行わないかを監視するためのカメラである。尚、図2(b)は、現金の支払いのみを行う装置で、現金投入口109や通帳挿入口108は設けられていない。また、図2(a)と同符号のものは同じ機能ブロックを示す。ここで、以降の説明において、便宜上、銀行ATM101aおよびコンビニCD101bなどの現金の入出金を含む金融取引操作を行うための現金取扱装置を総称してATM101と記載する。
【0036】
図1において、電子投票システム100は、図1に示すように、ATM101と、金融機関やコンビニ等が所有する専用回線(イントラネット)171と、各市区町村に設置された情報通信センタ172と、各市区町村の選挙管理委員会のコンピュータ173と、総合行政ネットワーク(LGWAN)174と、都道府県レベルや国レベルの集計用コンピュータ175と、選挙人データベース176とで構成される。尚、選挙人データベース176は、選挙管理委員会のコンピュータ173と共に市区町村に配置してもよいし、地方選挙などの場合は選挙管理委員会のコンピュータ173に選挙人データベース176の機能を含めてもよい。
【0037】
ここで、選挙管理委員会のコンピュータ173は、市区町村レベルの集計データ、候補者名や政党名などの候補者データ、投票時間やATM101の設置場所などの選挙情報などが予め記憶されている。また、選挙管理委員会のコンピュータ173は、インターネットを介して選挙人へ選挙情報などを提供するためのサービス用Webサーバー機能や電子メール機能などを有する。尚、図1では、説明がわかり易いように、選挙管理委員会のコンピュータ173で集計を行うようにしたが、集計用コンピュータを別に設けてもよい。また、サービス用Webサーバーや電子メールサーバーについても選挙管理委員会のコンピュータ173とは別に設けてもよい。また、選挙管理委員会のコンピュータ173は、電子投票が可能なATM101の設置場所を選挙人が予め登録した電子メールアドレスに送信するようにしてもよいし、Webサーバーに電子投票が可能なATM101の設置場所を公開してもよい。これにより、選挙人は、全国のどの場所で電子投票ができるか否かを知ることができる。
【0038】
そして、選挙人が全国各地にあるATM101で電子投票カード102を装着した場合に、その電子投票カード102に記憶されている選挙人の居住地に応じた選挙情報を選挙管理委員会のコンピュータ173から当該ATM101にダウンロードし、その選挙情報をタッチパネル式の操作部105を有する表示部104に表示する。これにより、選挙人は、居住地に不在の場合でも出先の地域にあるATM101で自分の居住地域の候補者に投票できる。例えば北海道の地方選挙の投票を九州で投票することができる。或いは、国政選挙において、自分が居住する選挙区の候補者に選挙区が異なる場所にある勤務先や遠方の出張先から投票することができる。
【0039】
例えば、本実施形態に係る電子投票システム100では、電子投票カード102が装着されたATM101は、電子投票カード102に登録されている選挙人の居住地域に応じた選挙区で立候補している候補者名や政党名を居住地域の選挙管理委員会のコンピュータ173からダウンロードして表示部104に表示する。これにより、選挙人が居住地以外の場所で電子投票する場合でも居住地の投票所と同様に投票を行うことができる。
【0040】
また、投票の内容は、銀行ATM101aやコンビニCD101bから金融機関などの専用のイントラネット171を介して情報通信センタ172および選挙管理委員会のコンピュータ173に送信され、市区町村内での集計が行われる。地方選挙など市区町村レベルの選挙の場合は、選挙管理委員会のコンピュータ173での集計結果によって開票録が作成され当選者が決まる。さらに、都道府県レベルや国レベルの選挙の場合は、各市区町村レベルの複数箇所の選挙管理委員会のコンピュータ173から総合行政ネットワーク(LGWAN)174を介して上位の集計用コンピュータ175に送信される。そして、上位の集計用コンピュータ175は、LGWAN174を介して複数箇所の選挙管理委員会のコンピュータ173から送られてくる市区町村レベルの集計データを統合して都道府県レベルや国レベルの集計結果を出す。つまり、都道府県レベルの選挙や国レベルの選挙の場合は、集計用コンピュータ175の集計結果によって開票録が作成され当選者が決まる。
[電子投票カード102]
図3は電子投票カード102の外観を示す図である。電子投票カード102はICチップ102aを搭載する電子投票システム専用のICカードで、選挙を実施する前に、自治体(選挙管理委員会)が選挙人毎に本人確認を行い、電子投票カード102のICチップ102aに選挙人の情報(氏名、居住地、管理番号など)を書き込む。そして、電子投票カード102は、投票日前に選挙管理委員会から各選挙人に書留郵便などの安全で確実な方法によって送付される。
【0041】
一方、電子投票カード102の送付とは別に、選挙管理委員会から各選挙人にパスワードが送付される。パスワードは書留郵便などの方法で送付してもよいし、インターネットを介して暗号化された電子メールで送信してもよい。このパスワードは、電子投票を行う時に、電子投票カード102の使用者が正当な選挙人であるか否かを認証するために用いられる。尚、パスワードを用いる代わりに、電子投票カード102のICチップ102aに選挙人の情報を書き込む時に選挙人の指紋や虹彩、或いは指静脈、手の平静脈、手の甲静脈など選挙人を特定できる生体認証情報も書き込むようにしてもよい。そして、ATM101に生体センサを設け、投票時に選挙人の生体認証情報を読み取り、生体センサで読み取った生体認証情報と、電子投票カード102に記憶されている選挙人の生体認証情報とが一致するか否かを判別することにより、パスワードを用いずに電子投票カード102の使用者が正当な選挙人であるか否かを認証することができる。
【0042】
また、電子投票カード102の表面には、選挙の種別(国政選挙、地方選挙など)や選挙管理委員会の名称などの印刷が為されている。そして、これらの印刷は消去および書き換え可能な方法(感熱方式など)で行われ、様々な選挙で電子投票カード102を再利用できるようになっている。尚、印刷を消去する時にはICチップ102aに記憶されている選挙人の情報も消去される。
【0043】
ここで、上記の説明では、金融取引カード150と電子投票カード102とを別の専用カードとしたが、金融取引カード150と電子投票カード102を1枚の兼用ICカードにしてもよい。この場合、切替部210は、兼用ICカードがICカード入力手段に装着された場合に、表示部104に金融取引または電子投票を選択する画面を表示する。そして、操作部105で電子投票が選択された場合は電子投票処理を行う制御部(図4で説明する電子投票制御部202)を動作させ、操作部105で金融取引が選択された場合は金融取引処理を行う制御部(図4で説明するATM制御部152)を動作させる。
[ATM101の構成例]
次に、ATM101の構成例について図4を用いて説明する。図4において、ATM101は、先ず、金融取引を行うためのブロックとして、ICカードI/F151と、ATM制御部152と、通信部153と、アラーム部154と、カメラI/F155と、共通バス156と、現金預払部157と、通帳取扱部158と、表示部104と、操作部105と、印字部111とを有する。
【0044】
ICカードI/F151は、カード挿入口103から挿入された金融取引カード150または電子投票カード102の情報を読み取って共通バス156を介して切替部201、電子投票制御部202、ATM制御部152のいずれかに出力する。
【0045】
ATM制御部152は、金融取引に関する制御を行い、例えば操作部105で入力された預金引き出しや預け入れ或いは振り込みなどの金融取引に応じて、現金預払部157は現金取出口107から現金を払い出したり、現金投入口109から現金を収集する。また、通帳挿入口108に預金通帳が挿入されている場合は、取引内容を預金通帳に印字したり、預金通帳が挿入されていない場合は印字部111から金融取引内容をプリントアウトする。さらに、ATM制御部152は、カード挿入口103に挿入された金融取引カード150の情報と入力された金融取引用のパスワードとが正しいか否かを判別したり、通信部153およびイントラネット171を介して金融管理サーバー170に接続して振込みなど金融取引に応じた処理を行う。また、ATM101の異常(物理的な振動やエラーなど)をアラーム部154が検知した場合には、通信部153を介して金融管理サーバー170に通報する。尚、振動の検知は加速度センサなどにより行う。さらに、カメラI/F155に接続されているカメラ106で撮影する画像を通信部153を介して警備会社などに送信したり、録画を行う。尚、金融取引に関する構成や動作については、本実施形態に係る電子投票システム100の主要部分ではないので詳しい説明は省略する。
【0046】
次に、ATM101における電子投票に関連する処理を行うブロックについて詳しく説明する。図4において、電子投票を行うためにブロックとして、切替部201と、電子投票制御部202と、記録部203とを有する。また、外部表示用I/F204を設けてもよい。
【0047】
切替部201は、カード挿入口103に挿入されたICカードの種類を判別し、当該ICカードが予め選挙人情報が記憶された電子投票カード102である場合は電子投票制御部202を動作させ、当該ICカードが金融取引カード150である場合はATM制御部152を動作させる。
【0048】
電子投票制御部202は、電子投票に関する制御を行い、例えば表示部104に候補者名や政党名などを表示して、操作部105の操作に応じた投票処理を行う。電子投票制御部202は、ATM101に装着された電子投票カード102に登録されている選挙人の居住地域に応じた選挙区で立候補している候補者名や政党名を居住地域の選挙管理委員会のコンピュータ173からメモリ202aにダウンロードし、表示部104に表示する。
【0049】
ここで、表示部104に表示される画面の一例を図5に示す。図5において、何の選挙であるかの情報や選挙管理委員会の名称などが表示され、届出順に番号が付与された候補者名や政党名のリストが表示される(リスト104a、104b)。また、表示部104には、投票ボタン104c、変更ボタン104d、白票ボタン104eなどの操作ボタンが表示される。そして、表示部104の画面上には透明のタッチパネルが操作部105として配置されており、選挙人は指で候補者名や政党名などを選択する。そして選択された部分は例えば網掛け表示される。図5の例では、11番の「いろは党」の「BCD男」が選択されている。選挙人はこの状態で投票ボタン104cを押下すると投票が実行される。候補者名や政党名の選択を変更したい場合は、変更ボタン104dを押下すると、網掛け表示されていた候補者名や政党名が元の状態に戻るので、改めて候補者名や政党名の選択をやり直すことができる。また、候補者名や政党名を選択せずに白票を投じたい場合は、白票ボタン104eを押下する。
【0050】
また、電子投票制御部202は、ATM101の異常(物理的な振動やエラーなど)をアラーム部154が検知した場合には、通信部153を介して選挙管理委員会のコンピュータ173に通報する。これを受けた選挙管理委員会のコンピュータ173は、情報通信センタ172から警備会社のパトロールカー181で巡回中の警備員などに通報し、警備員は異常があったATM101に駆けつける。ここで、電子投票制御部202が制御中にアラーム部154が異常を検出すると選挙管理委員側に通報されるようにしたが、先に説明したように、ATM制御部152が処理中にアラーム部154が異常を検出した場合と同様に、金融機関側にも通報するようにしてもよい。
【0051】
このようにして、選挙人による電子投票が実行されると、電子投票制御部202は、記録部203に投票内容を記録する。ここで、記録部203は、原本記録部251と、複写部252と、原本用記憶媒体253と、複写用記憶媒体254とで構成される。原本記録部251は、電子投票制御部202が出力する投票内容を原本用記憶媒体253に記憶する。原本記録部251が書込みを終了すると複写部252は、原本用記憶媒体253の記憶内容をそのまま複写用記憶媒体254にコピーする。これにより、原本用記憶媒体253が損傷した場合でも控えの複写用記憶媒体254に同じものが記憶されているので安全性が確保される。尚、印字部111から投票内容を印字するようにしてもよい。これにより、選挙人は自分の投票内容を確認して持ち帰ることができる。尚、この場合、電子投票制御部202は、表示部153に投票内容を印刷するか否かの選択を行う画面を表示して、選挙人の意思で選ぶようにしてもよい。
【0052】
また、電子投票制御部202は、原本用記憶媒体253に記憶されている投票内容を読み出して通信部153から選挙管理委員会のコンピュータ173に送信される。尚、投票内容の送信は、投票時間が終了後に行うようにしてもよいし、選挙人による投票が行われる毎に通信部153から選挙管理委員会のコンピュータ173に送信するようにしてもよい。この場合でも、原本用記憶媒体253および複写用記憶媒体254での記録は行われ、通信異常などで選挙管理委員会のコンピュータ173に送信されなかった場合は再送が行われる。或いは、投票結果に疑いが生じた場合は、原本用記憶媒体253および複写用記憶媒体254を物理的に回収して、投票内容の調査が行われる。
【0053】
ここで、外部表示用I/F204は、表示部104の画面に全ての候補者名や政党名を表示できない場合に、表示部104よりも表示する情報量が多い大型の表示装置を接続するためのインターフェースである。例えば電子投票制御部202は、図5の表示部104に表示される情報のうちリスト104a、104bを大型の表示装置に表示する。そして、表示部104には、投票ボタン104c、変更ボタン104d、白票ボタン104eなどの操作ボタンと、候補者名や政党名の番号を入力するためのテンキーを表示し、選挙人はテンキーを操作して候補者名や政党名を選択する。尚、投票ボタン104c、変更ボタン104d、白票ボタン104eの使い方は先述の通りである。
【0054】
また、大型の表示装置は、動画などを高速に表示することは苦手であるが、ポスターや印刷物などを高精細で表示することができる比較的安価な電子ペーパーなどで構成してもよい。これにより、全ての候補者名や政党名などを一度に公平に見られるように1画面内に表示することができる。尚、大型の表示装置は、カード挿入口103に挿入されたICカードが電子投票カード102である場合だけ、外部表示用I/F204を動作するように電子投票制御部202によって制御する。これにより、金融取引カード150がカード挿入口103に挿入されても大型の表示装置に金融取引内容が表示されることはない。或いは、金融取引カード150の場合は、大型の表示装置に宣伝用のポスター画像などを表示するようにしてもよい。これにより、大型の表示装置を選挙時だけでなく、常用できるので自治体のコスト負担が軽減され、金融機関やコンビニエンスストア会社にとってもメリットが得られる。
【0055】
次に、本実施形態に係る電子投票システム100による一連の投票手順について説明する。
[投票手順]
図6は、本実施形態に係る電子投票システム100による一連の投票手順を示すフローチャートである。ここで、図6のフローチャートは、定められた投票時間内にATM101が電子投票機として利用される場合の処理を示す。投票時間の管理は、例えば選挙管理委員会のコンピュータ173から定期的に通知される時刻情報に基づいて、各ATM101内部のタイマーを同期させる。そして、電子投票制御部202は、予め定められた投票開始時刻と投票終了時刻とを自動制御し、投票時間内のみ電子投票カード102による投票を受け付ける。図6のフローチャートにおいて、点線枠で示したステップは選挙人が行う操作を示し、実線枠で示したステップは電子投票制御部202が行う処理を示す。
【0056】
(ステップS101)選挙人は、電子投票カード102を持参して、ATM101が設置されている所に行く。
【0057】
(ステップS102)選挙人は、電子投票カード102をATM101のカード挿入口103に挿入する。
【0058】
(ステップS103)切替部201は、カード挿入口103に挿入されたカードが金融取引カード150であるか電子投票カード102であるかを判別する。電子投票カード102である場合はステップS104に進み、金融取引カード150である場合は、金融取引処理を行う(詳細な説明は省略)。
【0059】
(ステップS104)表示部104にパスワード要求画面を表示する。
【0060】
(ステップS105)選挙人は、別途通知されたパスワードを操作部105から入力する。
【0061】
(ステップS106)電子投票制御部202は、電子投票カード202とパスワードが一致するか否かの認証を行う。一致する場合はステップS107に進み、一致しない場合は表示部104にエラー表示を行い、再試行を要求するか、従来の投票所または選挙管理委員会に連絡する旨を表示する。尚、パスワードを所定回数だけ間違った場合は電子投票カード102をカード挿入口103からATM101の内部に回収するようにしてもよい。
【0062】
(ステップS107)電子投票制御部202は、選挙の種類を表示部104に表示する。例えば○○地方選挙、○×比例区などの情報を表示部104の画面に所定時間(5秒間など)大きく表示して、選挙人に何の選挙であるかを明示する。この時、電子投票制御部202は、電子投票カード102に記憶されている選挙人の居住地に応じた選挙の種類を判別し、表示部104に表示する内容を変える。例えば選挙人Aが選挙区Aに居住している場合、これから電子投票する選挙が選挙区Aであることを明示する。これにより、選挙人Aが例えば選挙区BにあるATM101で投票を行う場合でも選挙区Aの投票を行うことができる。
【0063】
(ステップS108)電子投票制御部202は、先に図5で説明したような電子投票画面を表示部104に表示する。この場合、先の例では選挙人Aに対応する選挙区Aの候補者名を表示する。
【0064】
(ステップS109)選挙人は、候補者名の選択または白票ボタン104eを押下する。
【0065】
(ステップS110)選挙人は、選択された候補者名や政党名を確認して、投票ボタン104cまたは変更ボタン104dを押下する。尚、白票ボタン104eも候補者名や政党名と同様に網掛け表示して、選挙人が誤って白票ボタン104eを押下した場合でも変更できるようにしてもよい。
【0066】
(ステップS111)電子投票制御部202は、押下されたボタンが投票ボタン104cである場合はステップS112に進み、変更ボタン104dである場合はステップS108に戻って投票をやり直す。
【0067】
(ステップS112)電子投票制御部202は、投票が完了したことを表示部104に表示する。
【0068】
(ステップS113)電子投票制御部202は、記録部203の原本用記憶媒体253および複写用の記憶媒体254に投票内容を記憶する。尚、投票内容は、暗号化されて記憶される。
【0069】
(ステップS114)電子投票制御部202は、カード挿入口103から電子投票カード102を返却する。或いは、投票終了後に電子投票カード102を回収する場合は、ATM101の内部にカード回収箱281を設けて当該電子投票カード102を回収する。尚、この場合は、表示部104に電子投票カード102を回収した旨、表示する。また、電子投票制御部202は、選挙人による投票が終了した時に電子投票カード102のICチップ102aに投票済を示す情報を記憶するようにしてもよい。これにより、投票済を示す情報が記憶された電子投票カードがカード挿入口103に挿入された場合、電子投票制御部202は電子投票処理を中止または2回目以降の投票内容を無効にすることができる。この時、カード回収箱281は、回収した電子投票カード102に記憶された選挙人の情報および当該電子投票カード102の印刷を消去する。
【0070】
また、電子投票制御部202は、電子投票中に、予め設定された一定時間内に操作部105の操作が行われなかった場合、投票処理を中止する。
【0071】
さらに、電子投票終了後に、選挙管理委員会のコンピュータ173からの遠隔指令を受信した電子投票制御部202は、選挙管理委員会のコンピュータ173から受信しメモリ202aに保持している選挙に関する情報を全て消去する。これにより、セキュリティを保つことができる。尚、原本用記憶媒体253および複写用記憶媒体254に記憶されている投票内容は、所定の期間保存された後、消去される。消去方法は、選挙管理委員会のコンピュータ173からの遠隔指令によって行ってもよいし、電子投票制御部202が日時を管理して予め設定された日時に消去を実行するようにプログラムしておいてもよい。或いは、多少のコストは掛かるがセキュリティなどの面を考慮して、選挙管理委員会が各ATM101から原本用記憶媒体253および複写用記憶媒体254を回収して、一括して消去するようにしてもよい。
【0072】
このように、電子投票を行う場合、全てのATM101はイントラネット171を介して接続されている選挙管理委員会のコンピュータ173によって集中管理される。
【0073】
以上説明したように、選挙人は、自分の居住地に不在の場合でも出先のATM101で居住地の地方選挙や選挙区の投票を遠隔地で行うことができる。
【0074】
ここで、選挙管理委員会のコンピュータ173が電子メール機能を有している場合は、選挙人が予め登録している電子メールアドレスに投票完了の電子メールを送付するようにしてもよい。また、選挙管理委員会のコンピュータ173がWebサーバー機能を有する場合は、選挙人が予め登録されたパスワードでWebサーバーにアクセスして、自分の投票が完了しているか否かを確認できるようにしてもよい。これにより、自分の投票が有効になっていることを知ることができ安心できると共に、第3者による成済まし投票も防止できる。さらに、投票内容が正しいか否かが不安になる場合は、電子メールやWebサーバーで自分の投票内容を確認できるようにしてもよい。
【0075】
次に、開票手順について説明する。
[開票手順]
図7は、本実施形態に係る電子投票システム100を用いた場合の一連の開票手順を示すフローチャートである。図7のフローチャートにおいて、点線枠で示したステップは人間が行う処理を示し、実線枠で示したステップは図1のATM101、選挙管理委員会のコンピュータ173および集計用コンピュータ175によって行われる処理を示す。
【0076】
(ステップS201)ATM101の電子投票制御部202は、所定の投票時間が終了すると、原本用記憶媒体253に記録された投票内容(候補者名(又は白票)の数など)を金融機関やコンビニエンスストア事業者が所有する専用回線(イントラネット171)を介して選挙管理委員会のコンピュータ173に送信する。尚、投票内容のデータは暗号化されて送信される。
【0077】
(ステップS202)選挙管理委員会のコンピュータ173は、各地に設置された同様のATM101から受信した投票内容を集計する。
【0078】
(ステップS203)選挙管理委員会のコンピュータ173は、電子投票カード102の発行枚数と、実際に電子投票された数(電子投票数)とを比較する。そして、電子投票数が発行枚数以下である場合はステップS205に進み、電子投票数が発行枚数よりも多い場合はエラーとして処理し、選挙管理委員が不正投票の有無や装置不良の有無などの原因を究明する調査を行う。
【0079】
(ステップS204)選挙管理委員会のコンピュータ173は、管轄下の各地に設置されたATM101から受信した投票内容を集計結果を確定する(市区町村の投票結果の確定)。尚、地方選挙などの場合は、ここで集計を終了しステップS207以降の処理を選挙管理委員が行う。また、都道府県レベルや国レベルの選挙の場合はステップS205以降の処理を実行する。
【0080】
(ステップS205)選挙管理委員会のコンピュータ173は、地域イントラネット(LG−WAN)を介して市区町村の集計結果を集計用コンピュータ175に送信する。
【0081】
(ステップS206)集計用コンピュータ175は、各市区町村の選挙管理委員会のコンピュータ173から受信する市区町村の集計結果を集計して最終的な得票数を確定する。
【0082】
(ステップS207)集計用コンピュータ175が確定した集計結果は、各候補者や政党毎の得票数が記載された開票録701(紙に印刷された集計結果)にまとめられる。尚、図7に示した開票録701は一例で、候補者毎の得票数が記録されている。
【0083】
(ステップS208)選挙管理者は、開票録に基づいて当選者の発表を行う。
【0084】
このようにして、全ての選挙人の投票結果が集計される。尚、図7の説明では、電子投票を中心とする開票手順に説明したが、従来型の紙による投票方式を併用する場合は、ステップS202の段階で、投票所から運搬されてきた投票箱の投票用紙を人手で開票して集計した結果を選挙管理委員会のコンピュータ173に入力する作業を行う。これにより、電子投票の集計結果と従来型の紙による投票の集計結果とが合算された集計結果が得られる。
【0085】
[変形例1]
次に、先に説明した電子投票システム100の変形例1について図8を用いて説明する。図8は、変形例1における電子投票制御部202の処理ブロックを示した図である。本変形例では、電子投票中にATM101の前で操作部105を操作している選挙人の身体的特徴(顔や体格など)を検出して、身体的特徴に変化があった場合に投票処理を中止することができる。これにより、投票の途中で第三者が選挙人本人の代わりに投票することを防止できる。
【0086】
画像処理部301は、カメラ106で撮影する画像から選挙人の特徴を予め設定された所定のフレーム間隔(例えば1秒毎)で抽出する。尚、特徴の抽出は、デジタルカメラなどで用いられている公知の技術(顔認識技術、体形認識技術、年齢や性別の認識技術など)を用いる。そして、1つ前のフレームで抽出した身体的特徴と現在のフレームで抽出した身体的特徴とが一致しているか否かを判定する。両者の身体的特徴が異なる場合は、投票途中で人物が入れ替わった可能性があると判断して投票処理を中止する。このように、カメラ106でATM101の前で操作している人物の特徴を検出することにより、正式な選挙人が認証を行った後で第3者が投票を行う不正を防止できる。
【0087】
尚、人物の特徴まで抽出せずに人物の存在のみを検出するようにしてもよい。この場合、電子投票制御部202は、投票の途中でATM101の前から人が居なくなったことを検知し、電子投票処理を中止する。或いは、電子投票制御部202にタイマー部302を設けて、ATM101の前から人が居なくなってから予め設定された時間(例えば3秒間など)の経過後に電子投票処理を中止するようにしてもよい。
【0088】
[その他の変形例]
選挙の投票率を向上するためには、電子投票システムを普及させて投票し易い環境を整備しなければならない。上記の実施形態で説明した電子投票システム100は、全国の各地にある銀行ATM101aやコンビニCD101bなどのATM101を電子投票機として使用できるので、現在のような居住地の投票所や公的機関での期日前投票のような不便さを解消できる。しかしながら、選挙人本人が投票の意思を持たなければ投票率は向上しない。そこで、上記の実施形態に係る電子投票システム100は、現金を扱うことができるATM101を兼用するので、投票した選挙人に予め決められた推奨金を支払うようなキャンペーンを容易に実現できる。この場合、例えば選挙人がATM101で電子投票を終了すると、ATM制御部152と連携して、現金預払部157は予め決められた推奨金を例えば政府口座から引き出して現金取出口107に払い出す。或いは、電子投票カード102と金融取引カード150の両方の機能を有する兼用ICカードを使用する場合は、金融取引カード150の預金口座に政府口座から推奨金を振り込むようにしてもよい。
【0089】
このように、ATM101本来の機能を電子投票と関連付けた電子投票システム100を実現することができる。これにより、投票率の向上を図ることができる。また、金融機関やコンビニエンスストア会社は、ATM101の機能を提供することにより、自治体や政府から手数料を得ることも可能である。
【0090】
以上、説明したように本実施形態に係る電子投票システム100は、全国各地に配置されている既存のATM101を利用し、ATM101に挿入されるICカードが金融取引カード150であるか電子投票カード102であるかを判別してシステムを切り替える切替部201を設けることによって、既存の金融取引に関する機能を変えずにATM101をあたかも専用の電子投票機であるかのように使用することができる。
【0091】
以下、本実施形態に係る電子投票システム100の効果を列挙する。
(1)金融機関やセキュリティの整備されたコンビニに設置されている既存のATM101を利用する電子投票システム100を実現するので、選挙当日、従来の投票所に行けない選挙人の投票の機会を増やし、投票率の向上を図ることができる。特に、ATM101は利便性の良い場所に設置されていることが多いので、より一層効果的である。
(2)常設されている既存のATM101に、電子投票処理を行うための電子投票制御部202と、システムを切り替えるための切替部201と、投票結果の原本と複写を記録する記録部203とを搭載するだけで電子投票システムのいわゆる第2段階へ移行することができる。これにより、第2段階のシステム開発費、運用費、維持費などを低減できる。特に、同じ地域における選挙は数年に一度の割合でしか行われないので、ATM101のような既存設備を有効活用することにより、選挙に掛かる費用を抑えることができる。また、既存設備を利用するので、資産の流動化を図ることができ、選挙にしか利用できなかった従来型の電子投票システムのように電子投票に関する機器を資産として保持する必要がなくなり、機器の保管費用(倉庫費用など)が不要となる。これにより、自治体の負担を大幅に軽減できる。
(3)選挙の度に行われていた投票所を開設作業(設置と撤去の繰り返し)を無くす、或いは少なくすることができる。本発明によれば、社会インフラとして既存の資産を有効活用し、ATM101を電子投票システム100に利用するので、選挙を運営する自治体は、選挙に必要な選挙データ類のみを各選挙に対応させて作成および集計するだけでよい。
(4)選挙を運営する自治体は、投票所の開設に伴う電子システムの設置や撤去および付属設備(電源設備等)の設置や撤去が不要になり、選挙に要する費用を削減することができる。また、設置や撤去に伴う廃材なども発生しないため、環境負荷も低減できる。
(5)一般にATMが設置されている場所は空調設備などが整っているので、電子投票システムの設置環境を良好にすることができる。また、電子投票システムの機器毎に放熱用のFANの搭載、エアーフィルターの取付などの作業も不要になり、メンテナンス費用を少なくすることができる。
(6)ATMシステムとATMの設置場所を選挙を運営する自治体に貸し出すビジネスモデルを構築すれば、金融機関やコンビニ運営会社にとっても手数料を得られるという利点がある。
【0092】
以上、本発明に係る電子投票システムについて、実施例を挙げて説明してきたが、その精神またはその主要な特徴から逸脱することなく他の多様な形で実施することができる。そのため、上述した実施例はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明は、特許請求の範囲によって示されるものであって、本発明は明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0093】
100・・・電子投票システム
101・・・ATM
101a・・・銀行ATM(現金自動出入機)
101b・・・コンビニCD(現金自動支払い機)
102・・・電子投票カード
103・・・カード挿入口
104・・・表示部
104c・・・投票ボタン
104d・・・変更ボタン
104e・・・白票ボタン
105・・・操作部
106・・・カメラ
107・・・現金取出口
108・・・通帳挿入口
109・・・現金投入口
110・・・ハンドセット
111・・・印字部
150・・・金融取引カード
151・・・ICカードI/F
152・・・ATM制御部
153・・・通信部
154・・・アラーム部
155・・・カメラI/F
156・・・共通バス
157・・・現金預払部
158・・・通帳取扱部
171・・・専用回線(イントラネット)
172・・・情報通信センタ
173・・・選挙管理委員会コンピュータ
174・・・総合行政ネットワーク(LGWAN)
175・・・集計用コンピュータ
176・・・選挙人データベース
181・・・パトロールカー
201・・・切替部
202・・・電子投票制御部
202a・・・メモリ(選挙管理委員会コンピュータ173から受信した選挙に関する情報)
203・・・記録部
204・・・外部表示用I/F
251・・・記録部
252・・・複写部
253・・・記憶媒体(原本)
254・・・記憶媒体(複写)
301・・・画像処理部
302・・・タイマー部
701・・・開票録

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着された金融取引カードの情報を入力するICカード入力手段と、現金の入出金を含む金融取引操作を行うための操作手段と、金融取引情報を表示する表示手段と、専用通信網を介して利用者情報を管理する金融管理サーバーに接続する通信手段と、金融取引に関する制御を行う金融取引制御手段とを有する現金取扱装置を利用する電子投票システムにおいて、
前記現金取扱装置を利用した電子投票処理を行う電子投票制御手段と、
前記金融取引制御手段または前記電子投票制御手段を切替する切替手段と
を設け、
前記切替手段は、前記ICカード入力手段に装着されたICカードの種類を判別し、前記ICカードが予め選挙人情報を記憶した電子投票カードである場合は前記電子投票制御手段を起動させ、前記ICカードが前記金融取引カードである場合は前記金融取引制御手段を起動させる
ことを特徴とする電子投票システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電子投票システムにおいて、
前記電子投票制御手段は、
前記表示手段に電子投票に関連する情報を表示し、
前記操作手段で電子投票を行うための操作を受け付け、
前記通信手段で電子投票に関連する情報を前記専用通信網を介して選挙情報を管理する選挙管理サーバーに接続し、
前記ICカード入力手段に装着された前記電子投票カードの選挙人情報を読み取り、選挙人情報に含まれる居住地域に応じた選挙情報を前記選挙管理サーバーから受信して前記表示手段に表示し、選挙人が前記操作手段でを投票した投票情報を前記通信手段を介して前記選挙管理サーバーに送信する
ことを特徴とする電子投票システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子投票システムにおいて、
前記金融取引カードと前記電子投票カードの両方の機能を有する兼用ICカードを設け、
前記切替手段は、前記兼用ICカードが前記ICカード入力手段に装着された場合に、前記表示手段に金融取引または電子投票を選択する画面を表示し、前記操作手段で電子投票が選択された場合は前記電子投票制御手段を起動させ、前記操作手段で金融取引が選択された場合は前記電子投票制御手段を起動させる
ことを特徴とする電子投票システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、
前記電子投票制御手段は、前記ICカード入力手段に前記電子投票カードが装着された場合は予め選挙人に通知されたパスワードを要求する画面を前記表示手段に表示し、選挙人によって前記操作手段から入力された前記パスワードの認証を行い、前記パスワードが前記ICカード入力手段に装着された前記電子投票カードに対応する場合に電子投票処理を行う
ことを特徴とする電子投票システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、
前記電子投票制御手段は、選挙人による投票が終了した時に前記電子投票カードに投票済を示す情報を記憶し、投票済を示す情報が記憶された前記電子投票カードが前記ICカード入力手段に装着された場合は電子投票処理を中止または投票内容を無効にする
ことを特徴とする電子投票システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、
前記ICカード入力手段に装着された電子投票カードを回収するカード回収手段を更に設け、
前記電子投票制御手段は、選挙人による投票が終了した時に前記電子投票カードを前記カード回収手段に回収する
ことを特徴とする電子投票システム。
【請求項7】
請求項6に記載の電子投票システムにおいて、
前記カード回収手段は、回収した電子投票カードに記憶された選挙人情報および前記電子投票カードの印刷を消去する
ことを特徴とする電子投票システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、
前記選挙管理サーバーから通知される時刻情報に同期したタイマー手段を更に設け、
前記電子投票制御手段は、前記タイマー手段の時刻情報に応じて投票開始時刻と投票終了時刻とを自動制御し、投票時間内のみ前記電子投票カードによる投票を受け付ける
ことを特徴とする電子投票システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、
前記電子投票制御手段は、予め設定された一定時間内に前記操作手段のいずれの操作も行われなかった場合、投票処理を中止する
ことを特徴とする電子投票システム。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、
前記現金取扱装置を操作する人の存在を検出するセンサを設け、
前記電子投票制御手段は、投票処理中に前記センサが人の存在を検出しなくなった場合に投票処理を中止する
ことを特徴とする電子投票システム。
【請求項11】
請求項10に記載の電子投票システムにおいて、
前記センサは、前記現金取扱装置前の人を撮影する撮影手段と、前記カメラで撮影した画像から人の特徴を抽出する画像処理手段とで構成し、
前記電子投票制御手段は、投票処理中に前記画像処理手段が抽出する人の特徴が変化した場合に投票処理を中止する
ことを特徴とする電子投票システム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、
投票結果を記録する電子記録媒体を更に設け、
前記電子投票制御手段は、前記電子記録媒体に記録された投票結果を前記通信手段および前記専用通信網を介して前記選挙管理サーバーに送信する
ことを特徴とする電子投票システム。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、
前記表示手段より表示する情報量が多い大型表示手段と、
前記表示手段に前記大型表示手段を接続するためのインターフェースと
を設け、
前記電子投票制御手段は、前記ICカード入力手段に電子投票カードが装着された場合は、前記表示手段の代わりに前記大型表示手段に選挙情報を表示する
ことを特徴とする電子投票システム。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、
前記電子投票制御手段は、前記選挙管理サーバーから受信して保持している選挙情報を前記専用通信網を介して接続される前記選挙管理サーバーから遠隔指令によって消去する
ことを特徴とする電子投票システム。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、
前記電子投票制御手段は、前記金融取引制御手段と連携して、電子投票を終了した選挙人が予め設定した口座への振込みまたは現金の支払いによって予め決められた推奨金を支払う
ことを特徴とする電子投票システム。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、
前記選挙管理サーバーは、複数の前記現金取扱装置を前記専用通信網を介して集中管理する
ことを特徴とする電子投票システム。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、
前記金融取引装置の異常振動を検知する振動検知手段と、
前記振動検知手段が前記金融取引装置の異常振動を検知した場合に、警備会社に自動通報する警報手段と
を更に設けたことを特徴とする電子投票システム。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、
前記選挙管理サーバーに選挙人に電子メールを送信する電子メール送信手段を更に設け、
前記選挙管理サーバーは、前記電子投票制御手段から選挙人の投票終了の通知を受信した場合に、前記電子メール送信手段により、前記選挙人が予め登録した電子メールアドレスに投票完了の電子メールを自動送信する
ことを特徴とする電子投票システム。
【請求項19】
請求項18に記載の電子投票システムにおいて、
前記選挙管理サーバーは、前記選挙人が予め登録した電子メールアドレスに電子投票が可能な前記金融取引装置の設置場所を送信する
ことを特徴とする電子投票システム。
【請求項20】
請求項1から17のいずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、
前記選挙管理サーバーに選挙人の投票完了を確認するインターネット接続されたWebサーバー手段を更に設け、
前記Webサーバー手段は、選挙人が前記インターネットを介して接続する場合に前記選挙人が予め登録したパスワードを受信した場合に前記選挙人の投票完了の有無を通知する
ことを特徴とする電子投票システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−108646(P2012−108646A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255820(P2010−255820)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】