電子棚札
【課題】電子棚札に表示される情報を使用して、当該電子棚札に対応する商品を発注する場合において、商品の誤発注を防止することが可能な技術を提供する。
【解決手段】電子棚札５は、ディスプレイ５１と、当該ディスプレイ５１を制御する制御部５７とを備えている。制御部５７は、電子棚札５に対応する商品を発注する際に使用される、当該商品を識別するための商品識別情報と、電子棚札５に対応する商品に係る、当該商品識別情報以外の商品情報とをディスプレイ５１に同時に表示させる。制御部５７は、電子棚札５の外部から特定の信号が入力されると、商品識別情報以外の商品情報についてはディスプレイ５１に表示させ、当該商品識別情報についてはディスプレイ５１に表示を消去させる。
【解決手段】電子棚札５は、ディスプレイ５１と、当該ディスプレイ５１を制御する制御部５７とを備えている。制御部５７は、電子棚札５に対応する商品を発注する際に使用される、当該商品を識別するための商品識別情報と、電子棚札５に対応する商品に係る、当該商品識別情報以外の商品情報とをディスプレイ５１に同時に表示させる。制御部５７は、電子棚札５の外部から特定の信号が入力されると、商品識別情報以外の商品情報についてはディスプレイ５１に表示させ、当該商品識別情報についてはディスプレイ５１に表示を消去させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品情報を表示する電子棚札に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗では、ＰＯＳシステム等に記憶される商品マスタによって、店舗内の商品の売価が一元的に管理されている。その一方で、顧客（消費者）への売価の伝達は、商品の位置に配置される紙媒体の棚札によりなされることが多い。このような紙媒体の棚札を採用した場合においては、棚札の管理は人手に頼らざるを得ないことから、売価の間違いなどの人為的ミスが生じやすい。このため、ＰＯＳシステムのレジスタによる精算時の売価とは異なる誤った売価が、顧客に対して伝達されるおそれがある。
【０００３】
このような問題を解決するため、特許文献１にも記載されているように、近年、電子棚札システム（ＥＳＬシステム／Electronic Shelf Label System）が実用化されている。電子棚札システムにおいては、売価などの商品に係る商品情報を表示する可搬性の電子棚札が、各商品に対応して配置される。そして、商品マスタに基づく売価を示す情報を含む通信信号が、情報を配信する配信側装置から各電子棚札に送信され、その売価が各電子棚札に表示される。これにより、電子棚札において精算時の売価と一致する正しい売価が表示され、正しい売価が顧客に伝達されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００４−２６５１９５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
上述の特許文献１にも記載されているように、従来の電子棚札では、それに対応する商品を識別するための商品識別情報としてのバーコードが印刷されたオーバレイラベルが貼り付けられる。商品を発注する際には、対応する電子棚札のオーバレイラベルに印刷されたバーコードが使用される。
【０００６】
一方で、商品の売れ行きが低迷していたり、季節商品を入れ換える際には、その商品の以後の発注を禁止することがあり、発注を禁止した商品が誤って発注されることを防止する必要がある。
【０００７】
そこで、本発明は上記の点に鑑みて成されたものであり、電子棚札に表示される情報を使用して、当該電子棚札に対応する商品を発注する場合において、商品の誤発注を防止することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記課題を解決するため、請求項１の発明は、商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品情報を表示する電子棚札であって、表示部と、前記電子棚札に対応する商品を発注する際に使用される、当該商品を識別するための商品識別情報と、前記電子棚札に対応する商品に係る、前記商品識別情報以外の商品情報とを前記表示部に同時に表示させる表示制御部とを備え、前記表示制御部は、前記電子棚札の外部から特定の信号が入力されると、前記商品識別情報以外の前記商品情報については前記表示部に表示させ、前記商品識別情報については前記表示部に表示を消去させる。
【０００９】
また、請求項２の発明は、請求項１に記載の電子棚札であって、前記特定の信号は、可搬性の表示切り換え装置から入力される。
【発明の効果】
【００１０】
請求項１の発明によれば、外部から特定の信号が入力されると、表示部の表示からは、商品識別情報が消去されるため、商品識別情報を使用して商品が誤発注されることを防止することができる。
【００１１】
また、請求項２の発明によれば、可搬性の表示切り換え装置から出力される特定の信号によって、表示部の表示から、商品識別情報を消去することができるため、作業者は、商品を確認しながら発注禁止にすることができる。よって、作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明の実施の形態に係る電子棚札システムが備える電子棚札が配置された様子を示す図である。
【図２】本発明の実施の形態に係る電子棚札システムを含む商品管理システムの構成例を示す図である。
【図３】本発明の実施の形態に係る発注処理端末の構成を示す斜視図である。
【図４】本発明の実施の形態に係るＥＳＬサーバの構成を示す図である。
【図５】商品ファイルの例を示す図である。
【図６】本発明の実施の形態に係る通信装置の構成を示す図である。
【図７】本発明の実施の形態に係るリモコンの構成を示す図である。
【図８】本発明の実施の形態に係る電子棚札の構成を示す図である。
【図９】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１０】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１１】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１２】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１３】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１４】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１５】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１６】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１７】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１８】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１９】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図２０】本発明の実施の形態に係る発注処理端末の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
＜電子棚札の概要＞
図１は、本発明の実施の形態に係る電子棚札システム１が備える電子棚札５が、店舗の商品棚６０に配置された様子を示す図である。本電子棚札システム１においては、売価などの商品に係る商品情報を表示する可搬性の電子棚札５が、各商品６に対応して配置される。そして、商品マスタに基づく売価を示す情報を含む通信信号が、情報を配信する配信側装置から各電子棚札５に送信され、その売価が各電子棚札５に表示される。これにより、電子棚札５において精算時の売価と一致する正しい売価が表示され、正しい売価が顧客に伝達されるようになっている。
【００１４】
図１に示されるように、商品棚６０はフェース６１と呼ばれる空間に区分され、各フェース６１には同一種の商品６が集約されて載置される。商品棚６０のフレーム６２には、各フェース６１に対応する位置にそれぞれ電子棚札５が取り付けられている。すなわち、電子棚札５はそれぞれ一の商品６（正確には、一の商品の種類）に対応づけられ、その対応する商品６の近傍（一般的には、商品６の下側）のフレーム６２に配置される。各電子棚札５はそれぞれディスプレイを備えており、ディスプレイには対応する商品６の売価が表示される。店舗の顧客（消費者）は、このような電子棚札５の表示により商品６の売価を認識する。
【００１５】
電子棚札５は可搬性の装置であり、商品６の配置変更に対応できるように、フレーム６２から取り外して別の位置に再配置することも可能とされている。本実施の形態においては、図１に示すような商品棚６０が店舗内の販売スペースに複数配置されている。
【００１６】
＜商品管理システムの構成＞
図２は、店舗に適用される、電子棚札システム１を含む商品管理システム１００の構成例を示す図である。図２に示されるように、商品管理システム１００は、電子棚札システム１とともに、ストアコントローラ２及びＰＯＳシステム３を備えている。ＰＯＳシステム３が備えるＰＯＳサーバ３１、及び電子棚札システム１が備えるＥＳＬサーバ１０は、ＬＡＮ２１を介してストアコントローラ２に接続されている。これにより、ストアコントローラ２、ＰＯＳシステム３及び電子棚札システム１の相互間でデータ通信が可能とされている。
【００１７】
ストアコントローラ２は一般的なコンピュータで構成され、商品管理システム１００を統括的に管理する装置として機能する。また、ストアコントローラ２はインターネットなどの外部ネットワークに接続されており、外部ネットワークを介して、店舗を統括管理する本部センターに配置されたサーバ装置等のコンピュータと通信可能とされている。
【００１８】
ＰＯＳシステム３は、商品の販売に係る情報をその販売時点において収集して分析するシステムであり、ＰＯＳシステム３を統括的に管理するＰＯＳサーバ３１とともに、商品の精算を行う複数のレジスタ３２を備えている。ＰＯＳサーバ３１とレジスタ３２とは専用の通信ケーブルで接続されている。
【００１９】
ＰＯＳサーバ３１は一般的なコンピュータで構成され、そのハードディスクには、売価などの商品に係る各種の情報を示す商品マスタ３０１が記憶されている。複数のレジスタ３２のそれぞれにおいては、商品マスタ３０１に記載される売価に基づいて商品の精算がなされる。
【００２０】
店舗内の全商品に係る情報は、この商品マスタ３０１により一元的に管理されている。商品マスタ３０１に記載される情報には、商品を識別するための商品識別コード、商品の名称である商品名、通常の売価である通常価格、特売における売価である特売価格、特売を実施する期間である特売期間、販売数、在庫数、１回の発注で納品される数である発注数などが含まれている。
【００２１】
また、ＬＡＮ２１には、無線ＬＡＮ用の電波中継器たるアクセスポイント（ＡＰ）１７０が接続されている。商品を発注する際に使用される可搬性の発注処理端末１８０は、アクセスポイント１７０を通じてＬＡＮ２１に接続することが可能であり、ストアコントローラ２、ＰＯＳサーバ３１及びＥＳＬサーバ１０と通信することが可能である。発注処理端末１８０は、店舗スタッフにより所定の操作が実行されると、商品の発注を指示する発注指示情報を無線ＬＡＮを利用してストアコントローラ２に出力する。発注指示情報には、例えば、発注対象の商品を識別するための商品識別コードや、当該商品を発注する数量などが含まれている。ストアコントローラ２は、入力された発注指示情報を本部センターに通知し、本部センターは、各店舗からの発注指示情報に基づいて、発注先の業者のサーバに対して商品の発注を行う。
【００２２】
図３は発注処理端末１８０の詳細な構成を示す斜視図である。図３に示されるように、発注処理端末１８０は、「ハンディーターミナル」と呼ばれる可搬性の業務端末であって、各種情報を表示するディスプレイ１８１と、バーコードを読み取るバーコードリーダ１８２と、店舗スタッフの各種操作を受け付ける操作部１８３とを備えている。また、発注処理端末１８０は、アクセスポイント１７０と無線通信を行う通信部１８４を備えている。この通信部１８４の機能により、発注処理端末１８０は、アクセスポイント１７０を通じて、ストアコントローラ２、ＰＯＳサーバ３１及びＥＳＬサーバ１０と通信することが可能である。そして、発注処理端末１８０には、その動作を統括的に管理する制御部１８５が設けられている。制御部１８５はＣＰＵやメモリなどで構成されている。
【００２３】
電子棚札システム１は、上述した複数の電子棚札５と、電子棚札５に表示すべき商品の売価などを配信する配信側装置４０と、電子棚札５の表示画面を切り換える際に使用される可搬性のリモコン１６０とを備えている。
【００２４】
情報配信部たる配信側装置４０は、電子棚札システム１を統括的に管理するサーバ装置であるＥＳＬサーバ１０と、複数の通信装置４とを備えて構成される。ＥＳＬサーバ１０と複数の通信装置４とは、専用の通信ケーブル２２を介して相互に接続されており、相互間でデータ通信が可能とされている。各通信装置４は電子棚札５と赤外線通信を行う。通信装置４は、販売スペース９０内に配置された全ての電子棚札５と通信可能なように、販売スペース９０の天井などに略一定距離ごとに配置される。
【００２５】
ＥＳＬサーバ１０のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。図４はＥＳＬサーバ１０の構成を示す図である。ＥＳＬサーバ１０は、各種演算処理を行うＣＰＵ１１、基本プログラムを記憶するＲＯＭ１２、演算処理の作業領域となるＲＡＭ１３、プログラムや各種のデータファイルなどを記憶するハードディスク１４、各種表示を行うディスプレイ１５、キーボード及びマウスなどで構成される入力部１６、ＬＡＮ２１を介したデータ通信機能を有するデータ通信部１７、並びに、通信装置４と通信するためのインターフェイス１８を備えている。電子棚札５に送信すべき売価を示す信号はインターフェイス１８を介して通信装置４に伝達される。
【００２６】
ＥＳＬサーバ１０のハードディスク１４には、専用のプログラムが予め記憶されており、このプログラムに従ってＣＰＵ１１が演算処理を行うことにより、ＥＳＬサーバ１０としての各種機能が実現される。また、ＥＳＬサーバ１０のハードディスク１４には、商品に係る各種の情報を示すデータファイルである商品ファイル１０１が記憶されている。
【００２７】
図５は、商品ファイル１０１の例を示す図である。図５に示されるように、商品ファイル１０１はテーブル形式となっており、レコード１０２のそれぞれが一の商品に係る情報を示している。具体的には、各レコード１０２ごとに、商品識別コード、商品名、通常価格、特売価格、特売期間、販売数、在庫数及び発注数などが登録されている。これらの情報は、上述したＰＯＳシステム３に記憶された商品マスタ３０１と同様の情報であり、ＥＳＬサーバ１０とＰＯＳシステム３との通信により商品マスタ３０１の情報に基づいて登録される。このため、商品ファイル１０１の情報と商品マスタ３０１の情報とは内容が一致する。
【００２８】
商品ファイル１０１の各レコード１０２には、さらに、電子棚札システム１が備える複数の電子棚札５のそれぞれに固有のハードウェアＩＤである一の「装置コード」が登録される。これにより、商品と電子棚札５とが一対一の関係でデータ的に対応づけられる（リンク付けされる）。この装置コードが利用されることにより、ある商品の売価が、その商品に対応する電子棚札５に対して送信されるようになっている。
【００２９】
以上の構成を有するＥＳＬサーバ１０は、各電子棚札５に送信する送信データをＣＰＵ１１で生成し、当該送信データをインターフェイス１８を通じて各通信装置４に出力する。各通信装置４は、入力された送信データを含む通信信号を、自身が通信可能な各電子棚札５に出力する。これにより、販売スペース９０に配置された各電子棚札５に対して同一の送信データが配信側装置４０から入力される。ＥＳＬサーバ１０から送信される送信データには、商品ファイル１０１中の通常価格や特売価格などの商品情報や、装置コードなどが含まれている。
【００３０】
次に通信装置４の構成について詳細に説明する。図６は通信装置４の構成を示す図である。図６に示されるように、各通信装置４は、制御部４１と、例えばＬＥＤで構成されている発光部４２と、例えばフォトダイオード及びアンプで構成されている受光部４３とを備えている。
【００３１】
制御部４１は、ＥＳＬサーバ１０から入力された送信データに基づいて発光部４２を制御する。これにより、発光部４２からは、送信データで変調された赤外線信号が出力される。
【００３２】
受光部４３は、電子棚札５から出力される赤外線信号を受信する。この赤外線信号は、ＥＳＬサーバ１０に対する電子棚札５からの送信データで変調されている。受光部４３は、受信した赤外線信号を電気信号に変換して制御部４１に出力する。制御部４１は、受光部４３から入力された電気信号に対して検波処理等を行って、電子棚札５で生成された送信データを再生する。そして、制御部４１は、再生した送信データをＥＳＬサーバ１０に出力する。なお、電子棚札５からの送信データも符号化されており、ＥＳＬサーバ１０は通信装置４から受け取った送信データに対して復号化処理を行う。
【００３３】
次に、表示切り換え装置たるリモコン１６０の構成について詳細に説明する。図７はリモコン１６０の構成を示す図である。図７に示されるように、リモコン１６０は、例えばＬＥＤで構成された、赤外線信号を出力する発光部１６１と、発光部１６１を制御する制御部１６２と、操作ボタン１６３とを備えている。操作ボタン１６３が押下されると、制御部１６２は発光部１６１を制御して、当該発光部１６１から所定の赤外線信号を出力させる。店舗スタッフが、発光部１６１の発光領域を電子棚札５に向けた状態で操作ボタン１６３を操作すると、発光部１６１から出力された赤外線信号は、当該発光部１６１と対向する電子棚札５で受信され、当該電子棚札５では表示画面が切り換えられる。
【００３４】
次に電子棚札５の構成について詳細に説明する。図８は電子棚札５の構成を示す図である。図８に示されるように、電子棚札５の前面には、商品情報を表示するディスプレイ５１と、配信側装置４０との通信を担う通信部５４とが配置されている。
【００３５】
通信部５４は、赤外線信号を出力する発光部５２と、通信装置４からの赤外線信号及びリモコン１６０からの赤外線信号を受信し、それを電気信号に変換して出力する受光部５３とを備えている。データを送信する送信部として機能する発光部５２は例えばＬＥＤで構成されており、データを受信する受信部として機能する受光部５３は、例えばフォトダイオード及びアンプで構成されている。
【００３６】
ディスプレイ５１は、ドットマトリクス方式の不揮発性表示部であって、例えば電子ペーパで構成されている。電子ペーパ等の不揮発性表示部では、駆動電力を与えることなく表示内容を保持することができる。ディスプレイ５１は、ドットマトリクス方式の表示部であるため、商品の売価などを示す数値のみならず、文字、記号、図形などを表示することができる。また、本実施の形態に係るディスプレイ５１は、複数の表示画面を切り換えて表示することが可能である。例えば、ディスプレイ５１は、自装置に対応する商品の発注が禁止されていない場合に表示される通常画面ＳＣ１と、自装置に対応する商品の発注が禁止されている場合に表示される発注禁止画面ＳＣ２とを切り換えて表示することができる。図７に示されるディスプレイ５１には、通常画面ＳＣ１が表示されている。
【００３７】
図８に示されるように、通常画面ＳＣ１には、自装置が対応付けられた商品の売価５１ｂとともに、その商品の商品名５１ａが表示される。さらに通常画面ＳＣ１には、商品識別コードを数字で表す文字列５１ｃと、商品識別コードを示すバーコード５１ｄとが、当該バーコード５１ｄが延びる方向に並んで表示される。
【００３８】
電子棚札５の内部には、当該電子棚札５の電源を供給する小型の電池５６と、当該電子棚札５の動作を統括的に制御する制御部５７とが設けられている。制御部５７は、ＣＰＵやメモリ５７ａなどで構成されている。メモリ５７ａには、ディスプレイ５１に表示すべき売価や商品名などの各種情報や、自装置の装置コードが記憶される。通信装置４から出力された赤外線信号に含まれる売価などの情報は、通信部５４で受信されて、その後、制御部５７に入力される。制御部５７は、入力された当該情報を一旦メモリ５７ａに記憶する。そして、制御部５７は、ディスプレイ５１を制御して、メモリ５７ａ内の各種情報をディスプレイ５１に表示させる。このように、制御部５７は、ディスプレイ５１の表示を制御する表示制御部として機能する。
【００３９】
リモコン１６０の操作ボタン１６３が押下されて、受光部５３にリモコン１６０からの赤外線信号が入力されると、受光部５３は当該赤外線信号を電気信号に変換して制御部５７に入力する。そうすると、制御部５７は、ディスプレイ５１の表示を、通常画面ＳＣ１から発注禁止画面ＳＣ２に変更する。そして、リモコン１６０の操作ボタン１６３が再度押下されて、受光部５３にリモコン１６０からの赤外線信号が入力されると、受光部５３は当該赤外線信号を電気信号に変換して制御部５７に入力する。そうすると、制御部５７は、ディスプレイ５１の表示を、発注禁止画面ＳＣ２から通常画面ＳＣ１に変更する。なお、発注禁止画面ＳＣ２については後で詳細に説明する。
【００４０】
＜電子棚札システムの基本動作＞
次に、電子棚札５に売価が表示されるまでの電子棚札システム１の動作について説明する。本電子棚札システム１において、配信側装置４０から電子棚札５への売価の配信は、システム起動時、及び電子棚札５に表示させる売価を更新する際などに行われる。ここで売価を更新する際とは、商品マスタ３０１の通常価格が変更されたときや、特売の実施にあたって売価を通常価格から特売価格に変更するときなどが該当する。システム起動時には、店舗内の全ての商品に関して売価の配信がなされる。一方、売価を更新する際には、対象となる商品のみに関して売価の配信がなされる。これにより、電子棚札５に表示される売価と、レジスタ３２による精算時の売価とが常時に一致されることになる。以下では、一の商品に関しての売価の配信に係る動作について説明する。以下の説明において、売価の配信の対象となる商品を「対象商品」という。
【００４１】
まず、配信側装置４０のＥＳＬサーバ１０において、商品ファイル１０１のうちの対象商品に係るレコード１０２が参照され、通常価格及び特売価格のうちの配信すべき売価、及び装置コードが取得される。ここで取得された装置コードは、対象商品に対応する電子棚札５の装置コードであり、また、取得された売価はその電子棚札５が表示すべき売価となる。これらの売価及び装置コードは、電気的な信号として通信ケーブル２２を介して通信装置４に送信される。そして、通信装置４は、売価及び装置コードの情報を含む赤外線信号を出力する。
【００４２】
通信装置４から出力された赤外線信号は、電子棚札５の通信部５４において受信されて電気信号に変換される。制御部５７は、通信部５４で得られた電気信号から、売価及び装置コードを取得する。
【００４３】
次に、制御部５７は、得られた装置コードが、メモリ５７ａ内に予め記憶された自装置の装置コードと一致するか否かを判定する。制御部５７は、取得した装置コードが自装置のものと一致しない場合は、受信した赤外線信号は他の電子棚札５のための信号と判断し、処理を終了する。一方で、制御部５７は、取得した装置コードが自装置のものと一致した場合は、受信した赤外線信号は自装置のための信号と判断し、得られた売価をディスプレイ５１に表示させて、ディスプレイ５１に表示されている売価を更新する。
【００４４】
以上のような動作によって、配信側装置４０から電子棚札５へ売価の配信がなされることになる。
【００４５】
制御部５７は、ディスプレイ５１の表示を更新すると、売価を正常に受け取った旨を示す情報を含む赤外線信号を発光部５２に出力させる。この赤外線信号は通信装置４で受信されて、当該赤外線信号に含まれる情報がＥＳＬサーバ１０に伝達される。これにより、配信側装置４０のＥＳＬサーバ１０は、配信した売価が電子棚札５で正常に受信されたか否かを確認できる。したがって、例えば、電子棚札５から赤外線信号が出力されない場合は、配信した売価が電子棚札５で正常に受信されなかったと判断して、ＥＳＬサーバ１０は、赤外線信号が返答されるまで売価を繰り返し配信するなどの処理が可能となる。これにより、電子棚札５の表示を確実に更新でき、システムの信頼性を大幅に向上できる。
【００４６】
＜商品の発注方法＞
本実施の形態に係る商品管理システム１００では、電子棚札５に表示される情報を利用して当該電子棚札５に対応する商品の発注を行うことができる。以下に、商品の発注方法について説明する。
【００４７】
店舗スタッフは、商品棚６０においてある商品が少なくなると、その商品に対応する電子棚札５に表示されているバーコード５１ｄを、発注処理端末１８０のバーコードリーダ１８２で読み取る。これにより、発注処理端末１８０では、バーコードリーダ１８２で読み取られたバーコード５１ｄが示す商品識別コードが制御部１８５に入力される。制御部１８５は、入力された商品識別コードによって特定される商品を発注対象とする。
【００４８】
次に、店舗スタッフが操作部１８３に対して所定の操作を行うと、商品の発注数量が制御部１８５に入力される。制御部１８５は、入力された商品識別コードによって特定される商品を、入力された数量だけ発注することを指示する発注指示情報を生成する。発注指示情報には商品識別コードと発注数量とが含まれている。
【００４９】
次に、店舗スタッフが操作部１８３に対して所定の操作を行うと、通信部１８４は、制御部１８５で生成された発注指示情報を含む無線信号をアクセスポイント１７０に送信する。
【００５０】
発注処理端末１８０から送信された無線信号はアクセスポイント１７０で受信されて、当該無線信号に含まれる発注指示情報はＬＡＮ２１を通じてストアコントローラ２に入力される。ストアコントローラ２は、入力された発注指示情報を本部センターに通知し、本部センターは、通知された発注指示情報に基づいて、発注先の業者のサーバに対して商品の発注を行う。
【００５１】
なお、発注処理端末１８０への商品識別コードの入力は、バーコード５１ｄをバーコードリーダ１８２で読み取る方法以外にも、操作部１８３を操作して文字列５１ｃが示す数字を入力する方法によっても行うことができる。
【００５２】
＜発注禁止画面の表示例＞
次に発注禁止画面ＳＣ２について詳細に説明する。
【００５３】
＜第１の表示例：商品識別情報と発注禁止情報との同時表示＞
図９は発注禁止画面ＳＣ２の表示例を示す図である。図９に示されるように、ディスプレイ５１の発注禁止画面ＳＣ２には、通常画面ＳＣ１で表示されていた商品名５１ａ、売価５１ｂ、文字列５１ｃ及びバーコード５１ｄに加えて、自装置に対応する商品の発注禁止を示す発注禁止情報５１ｅが表示される。図１１に示される例では、発注禁止情報５１ｅは「×」という記号で表示されている。発注禁止情報５１ｅは、商品を識別するための商品識別情報としての文字列５１ｃ及びバーコード５１ｄの周辺に表示される。
【００５４】
店舗スタッフは、売れ行き低迷や、商品入れ換えなどの理由で、ある商品の発注が禁止されていることが店舗マネージャから通知されると、当該ある商品に対応する電子棚札５に対してリモコン１６０の発光部１６１における発光領域を向けた状態で、リモコン１６０の操作ボタン１６３を押下する。そうすると、当該電子棚札５のディスプレイ５１の表示が、通常画面ＳＣ１から発注禁止画面ＳＣ２に切り換わり、当該電子棚札５に対応する商品の発注禁止を示す発注禁止情報５１ｅがディスプレイ５１に表示されるようになる。
【００５５】
このように、商品の発注が禁止された場合に、その商品に対応する電子棚札５に発注禁止情報５１ｅを表示することによって、当該商品が発注禁止となっていることを容易に理解することができる。したがって、発注禁止情報５１ｅが表示された電子棚札５が表示する文字列５１ｃやバーコード５１ｄを利用して商品が誤発注されることを防止することができる。
【００５６】
また、商品を発注する際に使用される文字列５１ｃやバーコード５１ｄの周辺に発注禁止情報５１ｅを表示することによって、文字列５１ｃやバーコード５１ｄを使用した商品の発注が禁止されていることが視覚的に理解しやすくなる。
【００５７】
なお、図９の例では、発注禁止情報５１ｅを記号で表示したが、図形や文字で表示しても良い。図１０は発注禁止情報５１ｅを四角形の図形で表示する場合の発注禁止画面ＳＣ２を示しており、図１１は発注禁止情報５１ｅを「発注禁止」という文字で表示する場合の発注禁止画面ＳＣ２を示している。図１０に示される例では、発注禁止情報５１ｅを示す四角形が、文字列５１ｃ及びバーコード５１ｄを取り囲むようにして表示されている。図１１に示される例では、発注禁止情報５１ｅを示す「発注禁止」の文字列が、発注禁止画面ＳＣ２を正面から見た際の右下の隅に表示されている。図１１に示されるように、発注禁止情報５１ｅを文字で表示することによって、商品の発注が禁止されていることが理解しやすくなる。
【００５８】
また、図９〜１１の例では、発注禁止情報５１ｅをバーコード５１ｄの周辺に表示していたが、発注禁止情報５１ｅとして文字、図形及び記号の少なくとも一つをバーコード５１ｄに重ねて表示しても良い。図１２〜１４は、発注禁止情報５１ｅとして図形をバーコード５１ｄに重ねて表示する場合の発注禁止画面ＳＣ２を示す図である。図１２の例では、横方向に延びる１本の直線が発注禁止情報５１ｅとしてバーコード５１ｄに重ねて表示されており、図１３の例では、右下がりの１本の斜線が発注禁止情報５１ｅとしてバーコード５１ｄに重ねて表示されており、図１４の例では、「×」の図形が発注禁止情報５１ｅとしてバーコード５１ｄに重ねて表示されている。
【００５９】
このように、発注禁止情報５１ｅとして文字、図形及び記号の少なくとも一つをバーコード５１ｄに重ねて表示することによって、商品の発注が禁止されていることが視覚的に分かりやすくなる。
【００６０】
なお、文字、図形及び記号の少なくとも一つを、バーコード５１ｄの端部に重ねて表示することによって、バーコード５１ｄを、発注処理端末１８０のバーコードリーダ１８２で読み取れるようにしても良いし、上述の図１２〜１４に示されるように、文字、図形及び記号の少なくとも一つを、バーコード５１ｄの中央部に重ねて表示することによって、バーコード５１ｄをバーコードリーダ１８２で読み取れないようにしても良い。後者のようにバーコード５１ｄが読み取り不能となっている場合には、バーコード５１ｄを利用した商品の誤発注を確実に防止することができる。
【００６１】
＜第２の表示例：商品識別情報の表示の消去＞
上述の図９〜１４の表示例では、文字列５１ｃやバーコード５１ｄなどの、商品の発注の際に使用される商品識別情報を発注禁止画面ＳＣ２に表示していたが、発注禁止画面ＳＣ２に商品識別情報を表示しなくても良い。つまり、リモコン１６０から特定の信号が電子棚札５に入力された場合に、その電子棚札５のディスプレイ５１において商品識別情報の表示を消去しても良い。
【００６２】
図１５〜１７は商品識別情報を表示しない場合の発注禁止画面ＳＣ２を示す図である。図１５の例では、文字列５１ｃ及びバーコード５１ｄの両方が表示されておらず、図１６の例では、バーコード５１ｄのみが表示されておらず、図１７の例では、文字列５１ｃのみが表示されていない。
【００６３】
このように、電子棚札５において、リモコン１６０から特定の信号が入力されると、ディスプレイ５１の表示を通常画面ＳＣ１から発注禁止画面ＳＣ２に切り換えて、文字列５１ｃ及びバーコード５１ｄの少なくとも一方の表示を消去することにより、商品の発注が禁止されていることが理解できるとともに、文字列５１ｃあるいはバーコード５１ｄを使用して商品が誤発注されることを防止することができる。
【００６４】
なお、図１５〜１７の発注禁止画面ＳＣ２は、通常画面ＳＣ１において商品識別情報を単に消去したものであったが、通常画面ＳＣ１において商品識別情報の替わりに発注禁止情報５１ｅを表示したものであっても良い。図１８は、文字列５１ｃ及びバーコード５１ｄを発注禁止情報５１ｅに切り換えて表示する場合の発注禁止画面ＳＣ２を示す図である。図１８の例では、発注禁止情報５１ｅとして「発注禁止」という文字列を表示しているが、上述のように記号や図形を発注禁止情報５１ｅとして表示しても良い。
【００６５】
このように、電子棚札５において、リモコン１６０から特定の信号が入力されると、バーコード５１ｄ等の商品識別情報を発注禁止情報５１ｅに切り換えて表示することによって、商品の発注が禁止されていることが確実に理解できるとともに、商品識別情報を使用して商品が誤発注されることを防止することができる。
【００６６】
図１９は、文字列５１ｃ及びバーコード５１ｄを発注禁止情報５１ｅに切り換えて表示する場合の発注禁止画面ＳＣ２の他の例を示す図である。図１９の例では、商品識別コードとして使用されていないコード、つまり店舗で扱うどの商品にも対応していないコードを示す文字列５１ｆ及びバーコード５１ｇが発注禁止情報５１ｅとして表示されている。図１９の発注禁止画面ＳＣ２では、文字列５１ｃが表示されていた位置に文字列５１ｆが表示され、バーコード５１ｄが表示されていた位置にバーコード５１ｇが表示されている。
【００６７】
上述の図９〜１４の例のように、発注禁止画面ＳＣ２において商品識別情報と発注禁止情報５１ｅとが表示される場合には、電子棚札５の表示態様が、顧客がよく目にする通常画面ＳＣ１の表示態様とは大きく異なったものとなり、発注禁止画面ＳＣ２を見た顧客は、電子棚札５の表示に不自然さを感じ、商品を購入する際に戸惑いを生じる可能性がある。上述の図１５〜１７の例のように、単に商品識別情報の表示が消去される場合や、図１８の例のように、商品識別情報の替わりに、文字列を発注禁止情報５１ｅとして表示する場合も同様である。
【００６８】
これに対して、図１９の例のように、表示するコードを切り換えることによって、商品識別情報の表示から発注禁止情報５１ｅの表示に切り換える場合には、電子棚札５の表示態様が、顧客がよく目にする通常画面ＳＣ１の表示態様とはそれほど異なったものとはならないため、表示に関して顧客にそれほど不自然さを与えることなく、商品の誤発注を防止することができる。
【００６９】
なお、図１９の例のように、発注禁止画面ＳＣ２において発注禁止情報５１ｅとして所定のコードを表示する際には、発注禁止画面ＳＣ２に表示されるコードと、通常画面ＳＣ１に表示される商品識別コードとが視覚的に区別しにくくなり、発注禁止画面ＳＣ２を見た店舗スタッフが商品の発注禁止を理解しにくい可能性がある。
【００７０】
そこで、発注禁止画面ＳＣ２が表示するコードが発注処理端末１８０に入力されると、図２０に示されるように、発注処理端末１８０のディスプレイ１８１に商品の発注が禁止されていることを表示することが望ましい。図２０の例では「発注禁止」という文字列１８１ａが表示されているが、他の文字を表示しても良いし、記号や図形を表示しても良い。
【００７１】
発注禁止画面ＳＣ２が表示するコードを発注処理端末１８０に入力する方法としては、発注禁止画面ＳＣ２に表示されたバーコード５１ｇを発注処理端末１８０のバーコードリーダ１８２で読み取っても良いし、発注禁止画面ＳＣ２に表示された文字列５１ｆを操作部１８３を操作して入力しても良い。
【００７２】
このように、発注禁止画面ＳＣ２が表示するコードが発注処理端末１８０に入力された際に、発注処理端末１８０に商品の発注が禁止されていることを表示することによって、コードが変化していることが分からず、電子棚札５の表示では商品の発注が禁止されていることが理解できなかった場合であっても、商品の誤発注を確実に防止することができる。
【００７３】
＜表示画面の切り換え方法の変形例＞
上記の例では、電子棚札５は、リモコン１６０から特定の信号を受け取ることによって、その表示を通常画面ＳＣ１から発注禁止画面ＳＣ２に切り換えていたが、ＥＳＬサーバ１０から特定の信号を受け取ることによって、その表示を通常画面ＳＣ１から発注禁止画面ＳＣ２に切り換えても良い。以下に、この場合についての電子棚札システム１の動作例について説明する。
【００７４】
店舗スタッフが、ＥＳＬサーバ１０の入力部１６に対して所定の操作を行うと、ＥＳＬサーバ１０のＣＰＵ１１には、発注禁止となった商品を特定する特定情報が入力される。ＣＰＵ１１は、入力された特定情報で特定される商品に対応した電子棚札５に対して、当該商品の発注が禁止されていることを通知するための通知情報を含む送信データを生成し、当該送信データを、インターフェイス１８を通じて通信装置４に出力する。この送信データには、特定情報で特定される商品に対応した電子棚札５の装置コードが含まれている。そして、通信装置４は、入力された送信データを含む赤外線信号を出力する。
【００７５】
通信装置４から出力された赤外線信号は、電子棚札５の通信部５４において受信されて電気信号に変換される。制御部５７は、通信部５４で得られた電気信号から、通知情報と装置コードとを取得する。制御部５７は、得られた装置コードが、メモリ５７ａ内に予め記憶された自装置の装置コードと一致するか否かを判定し、一致する場合には、ディスプレイ５１を制御して、その表示を、通常画面ＳＣ１から発注禁止画面ＳＣ２に切り換える。これにより、発注禁止対象となっている商品に対応した電子棚札５に発注禁止画面ＳＣ２が表示される。
【００７６】
なお、上記の通知情報は売価と一緒に電子棚札５に送信しても良い。この場合には、売価を示すデータの空きビットを制御フラグとして使用し、当該制御フラグのビットを反転させることによって、通知情報を電子棚札５に送信しても良い。
【００７７】
また、ＥＳＬサーバ１０は、上記の通知情報を生成して電子棚札５に送信する代わりに、発注禁止画面ＳＣ２の表示データそのものを生成して当該電子棚札５に送信しても良い。この場合には、電子棚札５は、ＥＳＬサーバ１０から表示データを受信すると、当該表示データに基づいて発注禁止画面ＳＣ２をディスプレイ５１に表示することになる。つまり、電子棚札５は、ＥＳＬサーバ１０から発注禁止画面ＳＣ２の表示データが入力されると、ディスプレイ５１に発注禁止情報５１ｅを表示することになる。
【符号の説明】
【００７８】
５ 電子棚札
６ 商品
５１ ディスプレイ
５１ａ 商品名
５１ｂ 売価
５１ｃ 文字列
５１ｄ バーコード
５７ 制御部
１６０ リモコン
【技術分野】
【０００１】
本発明は、商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品情報を表示する電子棚札に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗では、ＰＯＳシステム等に記憶される商品マスタによって、店舗内の商品の売価が一元的に管理されている。その一方で、顧客（消費者）への売価の伝達は、商品の位置に配置される紙媒体の棚札によりなされることが多い。このような紙媒体の棚札を採用した場合においては、棚札の管理は人手に頼らざるを得ないことから、売価の間違いなどの人為的ミスが生じやすい。このため、ＰＯＳシステムのレジスタによる精算時の売価とは異なる誤った売価が、顧客に対して伝達されるおそれがある。
【０００３】
このような問題を解決するため、特許文献１にも記載されているように、近年、電子棚札システム（ＥＳＬシステム／Electronic Shelf Label System）が実用化されている。電子棚札システムにおいては、売価などの商品に係る商品情報を表示する可搬性の電子棚札が、各商品に対応して配置される。そして、商品マスタに基づく売価を示す情報を含む通信信号が、情報を配信する配信側装置から各電子棚札に送信され、その売価が各電子棚札に表示される。これにより、電子棚札において精算時の売価と一致する正しい売価が表示され、正しい売価が顧客に伝達されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００４−２６５１９５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
上述の特許文献１にも記載されているように、従来の電子棚札では、それに対応する商品を識別するための商品識別情報としてのバーコードが印刷されたオーバレイラベルが貼り付けられる。商品を発注する際には、対応する電子棚札のオーバレイラベルに印刷されたバーコードが使用される。
【０００６】
一方で、商品の売れ行きが低迷していたり、季節商品を入れ換える際には、その商品の以後の発注を禁止することがあり、発注を禁止した商品が誤って発注されることを防止する必要がある。
【０００７】
そこで、本発明は上記の点に鑑みて成されたものであり、電子棚札に表示される情報を使用して、当該電子棚札に対応する商品を発注する場合において、商品の誤発注を防止することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記課題を解決するため、請求項１の発明は、商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品情報を表示する電子棚札であって、表示部と、前記電子棚札に対応する商品を発注する際に使用される、当該商品を識別するための商品識別情報と、前記電子棚札に対応する商品に係る、前記商品識別情報以外の商品情報とを前記表示部に同時に表示させる表示制御部とを備え、前記表示制御部は、前記電子棚札の外部から特定の信号が入力されると、前記商品識別情報以外の前記商品情報については前記表示部に表示させ、前記商品識別情報については前記表示部に表示を消去させる。
【０００９】
また、請求項２の発明は、請求項１に記載の電子棚札であって、前記特定の信号は、可搬性の表示切り換え装置から入力される。
【発明の効果】
【００１０】
請求項１の発明によれば、外部から特定の信号が入力されると、表示部の表示からは、商品識別情報が消去されるため、商品識別情報を使用して商品が誤発注されることを防止することができる。
【００１１】
また、請求項２の発明によれば、可搬性の表示切り換え装置から出力される特定の信号によって、表示部の表示から、商品識別情報を消去することができるため、作業者は、商品を確認しながら発注禁止にすることができる。よって、作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明の実施の形態に係る電子棚札システムが備える電子棚札が配置された様子を示す図である。
【図２】本発明の実施の形態に係る電子棚札システムを含む商品管理システムの構成例を示す図である。
【図３】本発明の実施の形態に係る発注処理端末の構成を示す斜視図である。
【図４】本発明の実施の形態に係るＥＳＬサーバの構成を示す図である。
【図５】商品ファイルの例を示す図である。
【図６】本発明の実施の形態に係る通信装置の構成を示す図である。
【図７】本発明の実施の形態に係るリモコンの構成を示す図である。
【図８】本発明の実施の形態に係る電子棚札の構成を示す図である。
【図９】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１０】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１１】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１２】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１３】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１４】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１５】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１６】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１７】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１８】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図１９】本発明の実施の形態に係る電子棚札の発注禁止画面の表示例を示す図である。
【図２０】本発明の実施の形態に係る発注処理端末の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
＜電子棚札の概要＞
図１は、本発明の実施の形態に係る電子棚札システム１が備える電子棚札５が、店舗の商品棚６０に配置された様子を示す図である。本電子棚札システム１においては、売価などの商品に係る商品情報を表示する可搬性の電子棚札５が、各商品６に対応して配置される。そして、商品マスタに基づく売価を示す情報を含む通信信号が、情報を配信する配信側装置から各電子棚札５に送信され、その売価が各電子棚札５に表示される。これにより、電子棚札５において精算時の売価と一致する正しい売価が表示され、正しい売価が顧客に伝達されるようになっている。
【００１４】
図１に示されるように、商品棚６０はフェース６１と呼ばれる空間に区分され、各フェース６１には同一種の商品６が集約されて載置される。商品棚６０のフレーム６２には、各フェース６１に対応する位置にそれぞれ電子棚札５が取り付けられている。すなわち、電子棚札５はそれぞれ一の商品６（正確には、一の商品の種類）に対応づけられ、その対応する商品６の近傍（一般的には、商品６の下側）のフレーム６２に配置される。各電子棚札５はそれぞれディスプレイを備えており、ディスプレイには対応する商品６の売価が表示される。店舗の顧客（消費者）は、このような電子棚札５の表示により商品６の売価を認識する。
【００１５】
電子棚札５は可搬性の装置であり、商品６の配置変更に対応できるように、フレーム６２から取り外して別の位置に再配置することも可能とされている。本実施の形態においては、図１に示すような商品棚６０が店舗内の販売スペースに複数配置されている。
【００１６】
＜商品管理システムの構成＞
図２は、店舗に適用される、電子棚札システム１を含む商品管理システム１００の構成例を示す図である。図２に示されるように、商品管理システム１００は、電子棚札システム１とともに、ストアコントローラ２及びＰＯＳシステム３を備えている。ＰＯＳシステム３が備えるＰＯＳサーバ３１、及び電子棚札システム１が備えるＥＳＬサーバ１０は、ＬＡＮ２１を介してストアコントローラ２に接続されている。これにより、ストアコントローラ２、ＰＯＳシステム３及び電子棚札システム１の相互間でデータ通信が可能とされている。
【００１７】
ストアコントローラ２は一般的なコンピュータで構成され、商品管理システム１００を統括的に管理する装置として機能する。また、ストアコントローラ２はインターネットなどの外部ネットワークに接続されており、外部ネットワークを介して、店舗を統括管理する本部センターに配置されたサーバ装置等のコンピュータと通信可能とされている。
【００１８】
ＰＯＳシステム３は、商品の販売に係る情報をその販売時点において収集して分析するシステムであり、ＰＯＳシステム３を統括的に管理するＰＯＳサーバ３１とともに、商品の精算を行う複数のレジスタ３２を備えている。ＰＯＳサーバ３１とレジスタ３２とは専用の通信ケーブルで接続されている。
【００１９】
ＰＯＳサーバ３１は一般的なコンピュータで構成され、そのハードディスクには、売価などの商品に係る各種の情報を示す商品マスタ３０１が記憶されている。複数のレジスタ３２のそれぞれにおいては、商品マスタ３０１に記載される売価に基づいて商品の精算がなされる。
【００２０】
店舗内の全商品に係る情報は、この商品マスタ３０１により一元的に管理されている。商品マスタ３０１に記載される情報には、商品を識別するための商品識別コード、商品の名称である商品名、通常の売価である通常価格、特売における売価である特売価格、特売を実施する期間である特売期間、販売数、在庫数、１回の発注で納品される数である発注数などが含まれている。
【００２１】
また、ＬＡＮ２１には、無線ＬＡＮ用の電波中継器たるアクセスポイント（ＡＰ）１７０が接続されている。商品を発注する際に使用される可搬性の発注処理端末１８０は、アクセスポイント１７０を通じてＬＡＮ２１に接続することが可能であり、ストアコントローラ２、ＰＯＳサーバ３１及びＥＳＬサーバ１０と通信することが可能である。発注処理端末１８０は、店舗スタッフにより所定の操作が実行されると、商品の発注を指示する発注指示情報を無線ＬＡＮを利用してストアコントローラ２に出力する。発注指示情報には、例えば、発注対象の商品を識別するための商品識別コードや、当該商品を発注する数量などが含まれている。ストアコントローラ２は、入力された発注指示情報を本部センターに通知し、本部センターは、各店舗からの発注指示情報に基づいて、発注先の業者のサーバに対して商品の発注を行う。
【００２２】
図３は発注処理端末１８０の詳細な構成を示す斜視図である。図３に示されるように、発注処理端末１８０は、「ハンディーターミナル」と呼ばれる可搬性の業務端末であって、各種情報を表示するディスプレイ１８１と、バーコードを読み取るバーコードリーダ１８２と、店舗スタッフの各種操作を受け付ける操作部１８３とを備えている。また、発注処理端末１８０は、アクセスポイント１７０と無線通信を行う通信部１８４を備えている。この通信部１８４の機能により、発注処理端末１８０は、アクセスポイント１７０を通じて、ストアコントローラ２、ＰＯＳサーバ３１及びＥＳＬサーバ１０と通信することが可能である。そして、発注処理端末１８０には、その動作を統括的に管理する制御部１８５が設けられている。制御部１８５はＣＰＵやメモリなどで構成されている。
【００２３】
電子棚札システム１は、上述した複数の電子棚札５と、電子棚札５に表示すべき商品の売価などを配信する配信側装置４０と、電子棚札５の表示画面を切り換える際に使用される可搬性のリモコン１６０とを備えている。
【００２４】
情報配信部たる配信側装置４０は、電子棚札システム１を統括的に管理するサーバ装置であるＥＳＬサーバ１０と、複数の通信装置４とを備えて構成される。ＥＳＬサーバ１０と複数の通信装置４とは、専用の通信ケーブル２２を介して相互に接続されており、相互間でデータ通信が可能とされている。各通信装置４は電子棚札５と赤外線通信を行う。通信装置４は、販売スペース９０内に配置された全ての電子棚札５と通信可能なように、販売スペース９０の天井などに略一定距離ごとに配置される。
【００２５】
ＥＳＬサーバ１０のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。図４はＥＳＬサーバ１０の構成を示す図である。ＥＳＬサーバ１０は、各種演算処理を行うＣＰＵ１１、基本プログラムを記憶するＲＯＭ１２、演算処理の作業領域となるＲＡＭ１３、プログラムや各種のデータファイルなどを記憶するハードディスク１４、各種表示を行うディスプレイ１５、キーボード及びマウスなどで構成される入力部１６、ＬＡＮ２１を介したデータ通信機能を有するデータ通信部１７、並びに、通信装置４と通信するためのインターフェイス１８を備えている。電子棚札５に送信すべき売価を示す信号はインターフェイス１８を介して通信装置４に伝達される。
【００２６】
ＥＳＬサーバ１０のハードディスク１４には、専用のプログラムが予め記憶されており、このプログラムに従ってＣＰＵ１１が演算処理を行うことにより、ＥＳＬサーバ１０としての各種機能が実現される。また、ＥＳＬサーバ１０のハードディスク１４には、商品に係る各種の情報を示すデータファイルである商品ファイル１０１が記憶されている。
【００２７】
図５は、商品ファイル１０１の例を示す図である。図５に示されるように、商品ファイル１０１はテーブル形式となっており、レコード１０２のそれぞれが一の商品に係る情報を示している。具体的には、各レコード１０２ごとに、商品識別コード、商品名、通常価格、特売価格、特売期間、販売数、在庫数及び発注数などが登録されている。これらの情報は、上述したＰＯＳシステム３に記憶された商品マスタ３０１と同様の情報であり、ＥＳＬサーバ１０とＰＯＳシステム３との通信により商品マスタ３０１の情報に基づいて登録される。このため、商品ファイル１０１の情報と商品マスタ３０１の情報とは内容が一致する。
【００２８】
商品ファイル１０１の各レコード１０２には、さらに、電子棚札システム１が備える複数の電子棚札５のそれぞれに固有のハードウェアＩＤである一の「装置コード」が登録される。これにより、商品と電子棚札５とが一対一の関係でデータ的に対応づけられる（リンク付けされる）。この装置コードが利用されることにより、ある商品の売価が、その商品に対応する電子棚札５に対して送信されるようになっている。
【００２９】
以上の構成を有するＥＳＬサーバ１０は、各電子棚札５に送信する送信データをＣＰＵ１１で生成し、当該送信データをインターフェイス１８を通じて各通信装置４に出力する。各通信装置４は、入力された送信データを含む通信信号を、自身が通信可能な各電子棚札５に出力する。これにより、販売スペース９０に配置された各電子棚札５に対して同一の送信データが配信側装置４０から入力される。ＥＳＬサーバ１０から送信される送信データには、商品ファイル１０１中の通常価格や特売価格などの商品情報や、装置コードなどが含まれている。
【００３０】
次に通信装置４の構成について詳細に説明する。図６は通信装置４の構成を示す図である。図６に示されるように、各通信装置４は、制御部４１と、例えばＬＥＤで構成されている発光部４２と、例えばフォトダイオード及びアンプで構成されている受光部４３とを備えている。
【００３１】
制御部４１は、ＥＳＬサーバ１０から入力された送信データに基づいて発光部４２を制御する。これにより、発光部４２からは、送信データで変調された赤外線信号が出力される。
【００３２】
受光部４３は、電子棚札５から出力される赤外線信号を受信する。この赤外線信号は、ＥＳＬサーバ１０に対する電子棚札５からの送信データで変調されている。受光部４３は、受信した赤外線信号を電気信号に変換して制御部４１に出力する。制御部４１は、受光部４３から入力された電気信号に対して検波処理等を行って、電子棚札５で生成された送信データを再生する。そして、制御部４１は、再生した送信データをＥＳＬサーバ１０に出力する。なお、電子棚札５からの送信データも符号化されており、ＥＳＬサーバ１０は通信装置４から受け取った送信データに対して復号化処理を行う。
【００３３】
次に、表示切り換え装置たるリモコン１６０の構成について詳細に説明する。図７はリモコン１６０の構成を示す図である。図７に示されるように、リモコン１６０は、例えばＬＥＤで構成された、赤外線信号を出力する発光部１６１と、発光部１６１を制御する制御部１６２と、操作ボタン１６３とを備えている。操作ボタン１６３が押下されると、制御部１６２は発光部１６１を制御して、当該発光部１６１から所定の赤外線信号を出力させる。店舗スタッフが、発光部１６１の発光領域を電子棚札５に向けた状態で操作ボタン１６３を操作すると、発光部１６１から出力された赤外線信号は、当該発光部１６１と対向する電子棚札５で受信され、当該電子棚札５では表示画面が切り換えられる。
【００３４】
次に電子棚札５の構成について詳細に説明する。図８は電子棚札５の構成を示す図である。図８に示されるように、電子棚札５の前面には、商品情報を表示するディスプレイ５１と、配信側装置４０との通信を担う通信部５４とが配置されている。
【００３５】
通信部５４は、赤外線信号を出力する発光部５２と、通信装置４からの赤外線信号及びリモコン１６０からの赤外線信号を受信し、それを電気信号に変換して出力する受光部５３とを備えている。データを送信する送信部として機能する発光部５２は例えばＬＥＤで構成されており、データを受信する受信部として機能する受光部５３は、例えばフォトダイオード及びアンプで構成されている。
【００３６】
ディスプレイ５１は、ドットマトリクス方式の不揮発性表示部であって、例えば電子ペーパで構成されている。電子ペーパ等の不揮発性表示部では、駆動電力を与えることなく表示内容を保持することができる。ディスプレイ５１は、ドットマトリクス方式の表示部であるため、商品の売価などを示す数値のみならず、文字、記号、図形などを表示することができる。また、本実施の形態に係るディスプレイ５１は、複数の表示画面を切り換えて表示することが可能である。例えば、ディスプレイ５１は、自装置に対応する商品の発注が禁止されていない場合に表示される通常画面ＳＣ１と、自装置に対応する商品の発注が禁止されている場合に表示される発注禁止画面ＳＣ２とを切り換えて表示することができる。図７に示されるディスプレイ５１には、通常画面ＳＣ１が表示されている。
【００３７】
図８に示されるように、通常画面ＳＣ１には、自装置が対応付けられた商品の売価５１ｂとともに、その商品の商品名５１ａが表示される。さらに通常画面ＳＣ１には、商品識別コードを数字で表す文字列５１ｃと、商品識別コードを示すバーコード５１ｄとが、当該バーコード５１ｄが延びる方向に並んで表示される。
【００３８】
電子棚札５の内部には、当該電子棚札５の電源を供給する小型の電池５６と、当該電子棚札５の動作を統括的に制御する制御部５７とが設けられている。制御部５７は、ＣＰＵやメモリ５７ａなどで構成されている。メモリ５７ａには、ディスプレイ５１に表示すべき売価や商品名などの各種情報や、自装置の装置コードが記憶される。通信装置４から出力された赤外線信号に含まれる売価などの情報は、通信部５４で受信されて、その後、制御部５７に入力される。制御部５７は、入力された当該情報を一旦メモリ５７ａに記憶する。そして、制御部５７は、ディスプレイ５１を制御して、メモリ５７ａ内の各種情報をディスプレイ５１に表示させる。このように、制御部５７は、ディスプレイ５１の表示を制御する表示制御部として機能する。
【００３９】
リモコン１６０の操作ボタン１６３が押下されて、受光部５３にリモコン１６０からの赤外線信号が入力されると、受光部５３は当該赤外線信号を電気信号に変換して制御部５７に入力する。そうすると、制御部５７は、ディスプレイ５１の表示を、通常画面ＳＣ１から発注禁止画面ＳＣ２に変更する。そして、リモコン１６０の操作ボタン１６３が再度押下されて、受光部５３にリモコン１６０からの赤外線信号が入力されると、受光部５３は当該赤外線信号を電気信号に変換して制御部５７に入力する。そうすると、制御部５７は、ディスプレイ５１の表示を、発注禁止画面ＳＣ２から通常画面ＳＣ１に変更する。なお、発注禁止画面ＳＣ２については後で詳細に説明する。
【００４０】
＜電子棚札システムの基本動作＞
次に、電子棚札５に売価が表示されるまでの電子棚札システム１の動作について説明する。本電子棚札システム１において、配信側装置４０から電子棚札５への売価の配信は、システム起動時、及び電子棚札５に表示させる売価を更新する際などに行われる。ここで売価を更新する際とは、商品マスタ３０１の通常価格が変更されたときや、特売の実施にあたって売価を通常価格から特売価格に変更するときなどが該当する。システム起動時には、店舗内の全ての商品に関して売価の配信がなされる。一方、売価を更新する際には、対象となる商品のみに関して売価の配信がなされる。これにより、電子棚札５に表示される売価と、レジスタ３２による精算時の売価とが常時に一致されることになる。以下では、一の商品に関しての売価の配信に係る動作について説明する。以下の説明において、売価の配信の対象となる商品を「対象商品」という。
【００４１】
まず、配信側装置４０のＥＳＬサーバ１０において、商品ファイル１０１のうちの対象商品に係るレコード１０２が参照され、通常価格及び特売価格のうちの配信すべき売価、及び装置コードが取得される。ここで取得された装置コードは、対象商品に対応する電子棚札５の装置コードであり、また、取得された売価はその電子棚札５が表示すべき売価となる。これらの売価及び装置コードは、電気的な信号として通信ケーブル２２を介して通信装置４に送信される。そして、通信装置４は、売価及び装置コードの情報を含む赤外線信号を出力する。
【００４２】
通信装置４から出力された赤外線信号は、電子棚札５の通信部５４において受信されて電気信号に変換される。制御部５７は、通信部５４で得られた電気信号から、売価及び装置コードを取得する。
【００４３】
次に、制御部５７は、得られた装置コードが、メモリ５７ａ内に予め記憶された自装置の装置コードと一致するか否かを判定する。制御部５７は、取得した装置コードが自装置のものと一致しない場合は、受信した赤外線信号は他の電子棚札５のための信号と判断し、処理を終了する。一方で、制御部５７は、取得した装置コードが自装置のものと一致した場合は、受信した赤外線信号は自装置のための信号と判断し、得られた売価をディスプレイ５１に表示させて、ディスプレイ５１に表示されている売価を更新する。
【００４４】
以上のような動作によって、配信側装置４０から電子棚札５へ売価の配信がなされることになる。
【００４５】
制御部５７は、ディスプレイ５１の表示を更新すると、売価を正常に受け取った旨を示す情報を含む赤外線信号を発光部５２に出力させる。この赤外線信号は通信装置４で受信されて、当該赤外線信号に含まれる情報がＥＳＬサーバ１０に伝達される。これにより、配信側装置４０のＥＳＬサーバ１０は、配信した売価が電子棚札５で正常に受信されたか否かを確認できる。したがって、例えば、電子棚札５から赤外線信号が出力されない場合は、配信した売価が電子棚札５で正常に受信されなかったと判断して、ＥＳＬサーバ１０は、赤外線信号が返答されるまで売価を繰り返し配信するなどの処理が可能となる。これにより、電子棚札５の表示を確実に更新でき、システムの信頼性を大幅に向上できる。
【００４６】
＜商品の発注方法＞
本実施の形態に係る商品管理システム１００では、電子棚札５に表示される情報を利用して当該電子棚札５に対応する商品の発注を行うことができる。以下に、商品の発注方法について説明する。
【００４７】
店舗スタッフは、商品棚６０においてある商品が少なくなると、その商品に対応する電子棚札５に表示されているバーコード５１ｄを、発注処理端末１８０のバーコードリーダ１８２で読み取る。これにより、発注処理端末１８０では、バーコードリーダ１８２で読み取られたバーコード５１ｄが示す商品識別コードが制御部１８５に入力される。制御部１８５は、入力された商品識別コードによって特定される商品を発注対象とする。
【００４８】
次に、店舗スタッフが操作部１８３に対して所定の操作を行うと、商品の発注数量が制御部１８５に入力される。制御部１８５は、入力された商品識別コードによって特定される商品を、入力された数量だけ発注することを指示する発注指示情報を生成する。発注指示情報には商品識別コードと発注数量とが含まれている。
【００４９】
次に、店舗スタッフが操作部１８３に対して所定の操作を行うと、通信部１８４は、制御部１８５で生成された発注指示情報を含む無線信号をアクセスポイント１７０に送信する。
【００５０】
発注処理端末１８０から送信された無線信号はアクセスポイント１７０で受信されて、当該無線信号に含まれる発注指示情報はＬＡＮ２１を通じてストアコントローラ２に入力される。ストアコントローラ２は、入力された発注指示情報を本部センターに通知し、本部センターは、通知された発注指示情報に基づいて、発注先の業者のサーバに対して商品の発注を行う。
【００５１】
なお、発注処理端末１８０への商品識別コードの入力は、バーコード５１ｄをバーコードリーダ１８２で読み取る方法以外にも、操作部１８３を操作して文字列５１ｃが示す数字を入力する方法によっても行うことができる。
【００５２】
＜発注禁止画面の表示例＞
次に発注禁止画面ＳＣ２について詳細に説明する。
【００５３】
＜第１の表示例：商品識別情報と発注禁止情報との同時表示＞
図９は発注禁止画面ＳＣ２の表示例を示す図である。図９に示されるように、ディスプレイ５１の発注禁止画面ＳＣ２には、通常画面ＳＣ１で表示されていた商品名５１ａ、売価５１ｂ、文字列５１ｃ及びバーコード５１ｄに加えて、自装置に対応する商品の発注禁止を示す発注禁止情報５１ｅが表示される。図１１に示される例では、発注禁止情報５１ｅは「×」という記号で表示されている。発注禁止情報５１ｅは、商品を識別するための商品識別情報としての文字列５１ｃ及びバーコード５１ｄの周辺に表示される。
【００５４】
店舗スタッフは、売れ行き低迷や、商品入れ換えなどの理由で、ある商品の発注が禁止されていることが店舗マネージャから通知されると、当該ある商品に対応する電子棚札５に対してリモコン１６０の発光部１６１における発光領域を向けた状態で、リモコン１６０の操作ボタン１６３を押下する。そうすると、当該電子棚札５のディスプレイ５１の表示が、通常画面ＳＣ１から発注禁止画面ＳＣ２に切り換わり、当該電子棚札５に対応する商品の発注禁止を示す発注禁止情報５１ｅがディスプレイ５１に表示されるようになる。
【００５５】
このように、商品の発注が禁止された場合に、その商品に対応する電子棚札５に発注禁止情報５１ｅを表示することによって、当該商品が発注禁止となっていることを容易に理解することができる。したがって、発注禁止情報５１ｅが表示された電子棚札５が表示する文字列５１ｃやバーコード５１ｄを利用して商品が誤発注されることを防止することができる。
【００５６】
また、商品を発注する際に使用される文字列５１ｃやバーコード５１ｄの周辺に発注禁止情報５１ｅを表示することによって、文字列５１ｃやバーコード５１ｄを使用した商品の発注が禁止されていることが視覚的に理解しやすくなる。
【００５７】
なお、図９の例では、発注禁止情報５１ｅを記号で表示したが、図形や文字で表示しても良い。図１０は発注禁止情報５１ｅを四角形の図形で表示する場合の発注禁止画面ＳＣ２を示しており、図１１は発注禁止情報５１ｅを「発注禁止」という文字で表示する場合の発注禁止画面ＳＣ２を示している。図１０に示される例では、発注禁止情報５１ｅを示す四角形が、文字列５１ｃ及びバーコード５１ｄを取り囲むようにして表示されている。図１１に示される例では、発注禁止情報５１ｅを示す「発注禁止」の文字列が、発注禁止画面ＳＣ２を正面から見た際の右下の隅に表示されている。図１１に示されるように、発注禁止情報５１ｅを文字で表示することによって、商品の発注が禁止されていることが理解しやすくなる。
【００５８】
また、図９〜１１の例では、発注禁止情報５１ｅをバーコード５１ｄの周辺に表示していたが、発注禁止情報５１ｅとして文字、図形及び記号の少なくとも一つをバーコード５１ｄに重ねて表示しても良い。図１２〜１４は、発注禁止情報５１ｅとして図形をバーコード５１ｄに重ねて表示する場合の発注禁止画面ＳＣ２を示す図である。図１２の例では、横方向に延びる１本の直線が発注禁止情報５１ｅとしてバーコード５１ｄに重ねて表示されており、図１３の例では、右下がりの１本の斜線が発注禁止情報５１ｅとしてバーコード５１ｄに重ねて表示されており、図１４の例では、「×」の図形が発注禁止情報５１ｅとしてバーコード５１ｄに重ねて表示されている。
【００５９】
このように、発注禁止情報５１ｅとして文字、図形及び記号の少なくとも一つをバーコード５１ｄに重ねて表示することによって、商品の発注が禁止されていることが視覚的に分かりやすくなる。
【００６０】
なお、文字、図形及び記号の少なくとも一つを、バーコード５１ｄの端部に重ねて表示することによって、バーコード５１ｄを、発注処理端末１８０のバーコードリーダ１８２で読み取れるようにしても良いし、上述の図１２〜１４に示されるように、文字、図形及び記号の少なくとも一つを、バーコード５１ｄの中央部に重ねて表示することによって、バーコード５１ｄをバーコードリーダ１８２で読み取れないようにしても良い。後者のようにバーコード５１ｄが読み取り不能となっている場合には、バーコード５１ｄを利用した商品の誤発注を確実に防止することができる。
【００６１】
＜第２の表示例：商品識別情報の表示の消去＞
上述の図９〜１４の表示例では、文字列５１ｃやバーコード５１ｄなどの、商品の発注の際に使用される商品識別情報を発注禁止画面ＳＣ２に表示していたが、発注禁止画面ＳＣ２に商品識別情報を表示しなくても良い。つまり、リモコン１６０から特定の信号が電子棚札５に入力された場合に、その電子棚札５のディスプレイ５１において商品識別情報の表示を消去しても良い。
【００６２】
図１５〜１７は商品識別情報を表示しない場合の発注禁止画面ＳＣ２を示す図である。図１５の例では、文字列５１ｃ及びバーコード５１ｄの両方が表示されておらず、図１６の例では、バーコード５１ｄのみが表示されておらず、図１７の例では、文字列５１ｃのみが表示されていない。
【００６３】
このように、電子棚札５において、リモコン１６０から特定の信号が入力されると、ディスプレイ５１の表示を通常画面ＳＣ１から発注禁止画面ＳＣ２に切り換えて、文字列５１ｃ及びバーコード５１ｄの少なくとも一方の表示を消去することにより、商品の発注が禁止されていることが理解できるとともに、文字列５１ｃあるいはバーコード５１ｄを使用して商品が誤発注されることを防止することができる。
【００６４】
なお、図１５〜１７の発注禁止画面ＳＣ２は、通常画面ＳＣ１において商品識別情報を単に消去したものであったが、通常画面ＳＣ１において商品識別情報の替わりに発注禁止情報５１ｅを表示したものであっても良い。図１８は、文字列５１ｃ及びバーコード５１ｄを発注禁止情報５１ｅに切り換えて表示する場合の発注禁止画面ＳＣ２を示す図である。図１８の例では、発注禁止情報５１ｅとして「発注禁止」という文字列を表示しているが、上述のように記号や図形を発注禁止情報５１ｅとして表示しても良い。
【００６５】
このように、電子棚札５において、リモコン１６０から特定の信号が入力されると、バーコード５１ｄ等の商品識別情報を発注禁止情報５１ｅに切り換えて表示することによって、商品の発注が禁止されていることが確実に理解できるとともに、商品識別情報を使用して商品が誤発注されることを防止することができる。
【００６６】
図１９は、文字列５１ｃ及びバーコード５１ｄを発注禁止情報５１ｅに切り換えて表示する場合の発注禁止画面ＳＣ２の他の例を示す図である。図１９の例では、商品識別コードとして使用されていないコード、つまり店舗で扱うどの商品にも対応していないコードを示す文字列５１ｆ及びバーコード５１ｇが発注禁止情報５１ｅとして表示されている。図１９の発注禁止画面ＳＣ２では、文字列５１ｃが表示されていた位置に文字列５１ｆが表示され、バーコード５１ｄが表示されていた位置にバーコード５１ｇが表示されている。
【００６７】
上述の図９〜１４の例のように、発注禁止画面ＳＣ２において商品識別情報と発注禁止情報５１ｅとが表示される場合には、電子棚札５の表示態様が、顧客がよく目にする通常画面ＳＣ１の表示態様とは大きく異なったものとなり、発注禁止画面ＳＣ２を見た顧客は、電子棚札５の表示に不自然さを感じ、商品を購入する際に戸惑いを生じる可能性がある。上述の図１５〜１７の例のように、単に商品識別情報の表示が消去される場合や、図１８の例のように、商品識別情報の替わりに、文字列を発注禁止情報５１ｅとして表示する場合も同様である。
【００６８】
これに対して、図１９の例のように、表示するコードを切り換えることによって、商品識別情報の表示から発注禁止情報５１ｅの表示に切り換える場合には、電子棚札５の表示態様が、顧客がよく目にする通常画面ＳＣ１の表示態様とはそれほど異なったものとはならないため、表示に関して顧客にそれほど不自然さを与えることなく、商品の誤発注を防止することができる。
【００６９】
なお、図１９の例のように、発注禁止画面ＳＣ２において発注禁止情報５１ｅとして所定のコードを表示する際には、発注禁止画面ＳＣ２に表示されるコードと、通常画面ＳＣ１に表示される商品識別コードとが視覚的に区別しにくくなり、発注禁止画面ＳＣ２を見た店舗スタッフが商品の発注禁止を理解しにくい可能性がある。
【００７０】
そこで、発注禁止画面ＳＣ２が表示するコードが発注処理端末１８０に入力されると、図２０に示されるように、発注処理端末１８０のディスプレイ１８１に商品の発注が禁止されていることを表示することが望ましい。図２０の例では「発注禁止」という文字列１８１ａが表示されているが、他の文字を表示しても良いし、記号や図形を表示しても良い。
【００７１】
発注禁止画面ＳＣ２が表示するコードを発注処理端末１８０に入力する方法としては、発注禁止画面ＳＣ２に表示されたバーコード５１ｇを発注処理端末１８０のバーコードリーダ１８２で読み取っても良いし、発注禁止画面ＳＣ２に表示された文字列５１ｆを操作部１８３を操作して入力しても良い。
【００７２】
このように、発注禁止画面ＳＣ２が表示するコードが発注処理端末１８０に入力された際に、発注処理端末１８０に商品の発注が禁止されていることを表示することによって、コードが変化していることが分からず、電子棚札５の表示では商品の発注が禁止されていることが理解できなかった場合であっても、商品の誤発注を確実に防止することができる。
【００７３】
＜表示画面の切り換え方法の変形例＞
上記の例では、電子棚札５は、リモコン１６０から特定の信号を受け取ることによって、その表示を通常画面ＳＣ１から発注禁止画面ＳＣ２に切り換えていたが、ＥＳＬサーバ１０から特定の信号を受け取ることによって、その表示を通常画面ＳＣ１から発注禁止画面ＳＣ２に切り換えても良い。以下に、この場合についての電子棚札システム１の動作例について説明する。
【００７４】
店舗スタッフが、ＥＳＬサーバ１０の入力部１６に対して所定の操作を行うと、ＥＳＬサーバ１０のＣＰＵ１１には、発注禁止となった商品を特定する特定情報が入力される。ＣＰＵ１１は、入力された特定情報で特定される商品に対応した電子棚札５に対して、当該商品の発注が禁止されていることを通知するための通知情報を含む送信データを生成し、当該送信データを、インターフェイス１８を通じて通信装置４に出力する。この送信データには、特定情報で特定される商品に対応した電子棚札５の装置コードが含まれている。そして、通信装置４は、入力された送信データを含む赤外線信号を出力する。
【００７５】
通信装置４から出力された赤外線信号は、電子棚札５の通信部５４において受信されて電気信号に変換される。制御部５７は、通信部５４で得られた電気信号から、通知情報と装置コードとを取得する。制御部５７は、得られた装置コードが、メモリ５７ａ内に予め記憶された自装置の装置コードと一致するか否かを判定し、一致する場合には、ディスプレイ５１を制御して、その表示を、通常画面ＳＣ１から発注禁止画面ＳＣ２に切り換える。これにより、発注禁止対象となっている商品に対応した電子棚札５に発注禁止画面ＳＣ２が表示される。
【００７６】
なお、上記の通知情報は売価と一緒に電子棚札５に送信しても良い。この場合には、売価を示すデータの空きビットを制御フラグとして使用し、当該制御フラグのビットを反転させることによって、通知情報を電子棚札５に送信しても良い。
【００７７】
また、ＥＳＬサーバ１０は、上記の通知情報を生成して電子棚札５に送信する代わりに、発注禁止画面ＳＣ２の表示データそのものを生成して当該電子棚札５に送信しても良い。この場合には、電子棚札５は、ＥＳＬサーバ１０から表示データを受信すると、当該表示データに基づいて発注禁止画面ＳＣ２をディスプレイ５１に表示することになる。つまり、電子棚札５は、ＥＳＬサーバ１０から発注禁止画面ＳＣ２の表示データが入力されると、ディスプレイ５１に発注禁止情報５１ｅを表示することになる。
【符号の説明】
【００７８】
５ 電子棚札
６ 商品
５１ ディスプレイ
５１ａ 商品名
５１ｂ 売価
５１ｃ 文字列
５１ｄ バーコード
５７ 制御部
１６０ リモコン
【特許請求の範囲】
【請求項１】
商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品情報を表示する電子棚札であって、
表示部と、
前記電子棚札に対応する商品を発注する際に使用される、当該商品を識別するための商品識別情報と、前記電子棚札に対応する商品に係る、前記商品識別情報以外の商品情報とを前記表示部に同時に表示させる表示制御部と
を備え、
前記表示制御部は、前記電子棚札の外部から特定の信号が入力されると、前記商品識別情報以外の前記商品情報については前記表示部に表示させ、前記商品識別情報については前記表示部に表示を消去させる、電子棚札。
【請求項２】
請求項１に記載の電子棚札であって、
前記特定の信号は、可搬性の表示切り換え装置から入力される、電子棚札。
【請求項１】
商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品情報を表示する電子棚札であって、
表示部と、
前記電子棚札に対応する商品を発注する際に使用される、当該商品を識別するための商品識別情報と、前記電子棚札に対応する商品に係る、前記商品識別情報以外の商品情報とを前記表示部に同時に表示させる表示制御部と
を備え、
前記表示制御部は、前記電子棚札の外部から特定の信号が入力されると、前記商品識別情報以外の前記商品情報については前記表示部に表示させ、前記商品識別情報については前記表示部に表示を消去させる、電子棚札。
【請求項２】
請求項１に記載の電子棚札であって、
前記特定の信号は、可搬性の表示切り換え装置から入力される、電子棚札。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【公開番号】特開２０１３−６５３４９（Ｐ２０１３−６５３４９Ａ）
【公開日】平成２５年４月１１日（２０１３．４．１１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１２−２７１１６７（Ｐ２０１２−２７１１６７）
【出願日】平成２４年１２月１２日（２０１２．１２．１２）
【分割の表示】特願２００８−４５６５（Ｐ２００８−４５６５）の分割
【原出願日】平成２０年１月１１日（２００８．１．１１）
【出願人】（０００１４７８３３）株式会社イシダ (859)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年４月１１日（２０１３．４．１１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２４年１２月１２日（２０１２．１２．１２）
【分割の表示】特願２００８−４５６５（Ｐ２００８−４５６５）の分割
【原出願日】平成２０年１月１１日（２００８．１．１１）
【出願人】（０００１４７８３３）株式会社イシダ (859)
【Ｆターム（参考）】
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