説明

電子機器およびストリーミング報知システム

【課題】ストリーミング信号の取りこぼしを防ぐ。
【解決手段】電子機器2は、再生開始からの経過時間の情報を含むストリーミング信号を受信する受信部11と、報知部13,15と、記憶部18と、ストリーミング信号の再送を要求する送信部11と、ストリーミング信号の受信期間において受信部11によるストリーミング信号の受信状態を判断する制御部44とを有し、制御部44は、ストリーミング信号を正常に受信できない可能性があると判断した場合に、正常受信できない期間の開始時間としてストリーミング信号に含まれる経過時間を記憶部18に記憶させ、ストリーミング信号を正常に受信できる状態に復帰したと判断した場合に、記憶部18に記憶させた開始時間を送信部11により送信させ、正常受信できない可能性があると判断した期間のストリーミング信号を再受信して報知部13,15に報知させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリーミング信号を報知する電子機器およびストリーミング報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、デジタル放送を受信する機能を有する携帯電話機を開示する。
デジタル放送では、デジタルのストリーミング信号を放送電波により搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−017210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の携帯電話機では、携帯電話機がたとえば地下などの電波環境が良くない場所に位置する場合、デジタル放送を受信することができない。
この場合、携帯電話機は、電子機器の受信状態に影響されて、ストリーミング信号を取りこぼしてしまう。
なお、携帯電話機以外のストリーミング信号を報知する電子機器でも、同様にストリーミング信号を取りこぼすことがある。
【0005】
このように電子機器では、ストリーミング信号の取りこぼしを防ぐことが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点の電子機器は、再生開始からの経過時間の情報を含むストリーミング信号を受信する受信部と、前記受信部により受信されたストリーミング信号を報知する報知部と、前記ストリーミング信号について少なくとも正常受信できない期間の開始時間を記憶する記憶部と、前記ストリーミング信号の再送を要求する送信部と、前記ストリーミング信号の受信期間において前記受信部による前記ストリーミング信号の受信状態を判断する制御部とを有し、前記制御部は、前記ストリーミング信号を正常に受信できない可能性があると判断した場合に、正常受信できない期間の開始時間として前記ストリーミング信号に含まれる経過時間を前記記憶部に記憶させ、前記ストリーミング信号を正常に受信できる状態に復帰したと判断した場合に、前記記憶部に記憶させた開始時間を前記送信部により送信させ、正常受信できない可能性があると判断した期間のストリーミング信号を再受信して前記報知部に報知させる。
【0007】
好適には、前記制御部は、前記ストリーミング信号の受信期間において前記ストリーミング信号の受信状態を繰り返し判断して、前記ストリーミング信号の受信状態の判断に基づいて正常受信できない可能性があると判断した期間の開始時間とともに終了時間を前記記憶部に蓄積し、前記正常受信できない可能性があると判断した各期間のストリーミング信号を再受信させてもよい。
【0008】
好適には、前記制御部は、前記再受信後のストリーミング信号に含まれる経過時間が前記記憶部に記憶させた終了時刻になると、前記記憶部に次に記憶させた期間の開始時間を前記送信部により送信させ、正常受信できない可能性があると判断した複数の期間を順番に前記受信部に再受信させてもよい。
【0009】
好適には、操作部を有し、前記制御部は、前記操作部の操作に基づいて前記記憶部に蓄積した期間の最初の開始時刻を前記送信部に送信させてもよい。
【0010】
好適には、前記電子機器は、基地局と通信する携帯電話機であり、前記受信部は、基地局によって通信速度が制御され、前記制御部は、前記受信部の通信速度が、前記ストリーミング信号の受信に必要となる通信速度より小さい場合に、前記ストリーミング信号を正常に受信できない可能性があると判断してもよい。
【0011】
好適には、前記電子機器は、前記受信部により受信されるストリーミング信号のエラーレートを判断する判断部を有し、前記制御部は、前記エラーレートが所定の閾値より大きくなったら、前記ストリーミング信号を正常に受信できない可能性があると判断してもよい。
【0012】
本発明の第2の観点の電子機器は、ストリーミング信号を受信する受信部と、前記受信部により受信されたストリーミング信号を報知する報知部と、前記ストリーミング信号の停止および再開を要求する送信部と、前記ストリーミング信号の受信期間において前記受信部による前記ストリーミング信号の受信状態を判断する制御部とを有し、前記制御部は、前記ストリーミング信号を正常に受信できない可能性があると判断した場合に、前記送信部に受信中の前記ストリーミング信号の停止要求を送信させ、前記ストリーミング信号を正常に受信できる状態に復帰したと判断した場合に、前記送信部に停止中の前記ストリーミング信号の送信再開要求を送信させる。
【0013】
好適には、前記受信部は、複数の基地局を繰り返しサーチ可能で、前記制御部は、前記受信部によってサーチされた基地局の個数が所定値よりも減った場合、前記ストリーミング信号を正常に受信できない可能性があると判断し、前記受信部によってサーチされた基地局が所定値以上に増えた場合、前記ストリーミング信号を正常に受信できる状態に復帰したと判断してもよい。
【0014】
好適には、前記制御部は、前記ストリーミング信号を再受信する場合に、再受信するストリーミング信号のビットレートを下げてもよい。
【0015】
好適には、前記受信部は、基地局からの電波の受信感度が前記所定値以上の場合は高ビットレートの前記所定のストリーミング放送を受信し、基地局からの電波の受信感度が前記所定値よりも小さい場合は前記高ビットレートよりも低い低ビットレートの前記所定のストリーミング放送を受信してもよい。
【0016】
好適には、前記受信部は、外部との通信におけるエラーレートと、所定のエラーレート値とを比較することによって前記受信感度を算出してもよい。
【0017】
本発明の第3の観点のストリーミング報知システムは、ストリーミング信号を送信するサーバ装置と、前記ストリーミング信号を受信する電子機器とを有し、前記サーバ装置は、再生開始からの経過時間を含むストリーミング信号を送信し、前記電子機器は、前記ストリーミング信号を受信する受信部と、前記受信部により受信されたストリーミング信号を報知する報知部と、前記ストリーミング信号について少なくとも正常受信できない期間の開始時間を記憶する記憶部と、前記ストリーミング信号の再送を要求する送信部と、前記ストリーミング信号の受信期間において前記受信部による前記ストリーミング信号の受信状態を判断する制御部とを有し、前記制御部は、前記ストリーミング信号を正常に受信できない可能性があると判断した場合に、正常受信できない期間の開始時間として前記ストリーミング信号に含まれる経過時間を前記記憶部に記憶させ、前記ストリーミング信号を正常に受信できる状態に復帰したと判断した場合に、前記記憶部に記憶させた開始時間を前記送信部により送信させ、前記サーバ装置が再送信した前記開始時刻からのストリーミング信号を前記報知部に報知させる。
【0018】
本発明の第4の観点のストリーミング報知システムは、ストリーミング信号を送信するサーバ装置と、前記ストリーミング信号を受信する電子機器とを有し、前記電子機器は、前記ストリーミング信号を受信する受信部と、前記受信部により受信されたストリーミング信号を報知する報知部と、前記ストリーミング信号の停止および再開を要求する送信部と、前記ストリーミング信号の受信期間において前記受信部による前記ストリーミング信号の受信状態を判断する制御部とを有し、前記制御部は、前記ストリーミング信号を正常に受信できない可能性があると判断した場合に、前記送信部に受信中の前記ストリーミング信号の停止要求を送信させ、前記ストリーミング信号を正常に受信できる状態に復帰したと判断した場合に、前記送信部に停止中の前記ストリーミング信号の送信再開要求を送信させ、前記サーバ装置が送信を再開した、送信再開要求がなされたストリーミング信号を前記報知部に報知させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、電子機器でのストリーミング信号の取りこぼしを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、第1実施形態に係るストリーミング再生システムの構成図である。
【図2】図2は、図1の携帯電話機の外観の斜視図である。
【図3】図3は、図1の携帯電話機のハードウェア構成図である。
【図4】図4は、ストリーミング信号の受信再生時に図3の携帯電話機に実現される機能を示すブロック図である。
【図5】図5は、図4中の未受信期間データの一例のデータ構造を示す図である。
【図6】図6は、図4の再生制御部4によるストリーミング信号の再送信処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は、第2実施形態に係る携帯電話機において、ストリーミング信号の受信再生時に実現される機能を示すブロック図である。
【図8】図8は、図7の再生制御部によるストリーミング信号の再送信処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0022】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るストリーミング再生システム1のシステム構成図である。
図1のストリーミング再生システム1は、携帯電話機(PS)2、複数の基地局(CS)3、携帯電話網4、プロトコル変換器(RTR)5、インターネット6、サーバ装置(SVR)7を有する。
【0023】
サーバ装置7は、インターネット6に接続される。
そして、サーバ装置7は、ストリーミング信号をインターネット6へ出力する。
【0024】
ストリーミング信号は、たとえばMPEG2−TS方式のストリームデータの信号がある。
MPEG2−TS方式のストリームデータには、コンテンツの映像データ、コンテンツの音声データ、各時点での再生時刻を示す現在時刻データなどを含めることができる。
MPEG2−TS方式において、映像のエレメンタリストリームは、任意の期間毎に分割してパケット化した複数のPES(Packetized Elementary Stream)パケットによりストリームデータに多重化される。音声のエレメンタリストリームについても同様である。
MPEG2−TS方式において、現在時刻データは、TOT(Time Offset Table)またはTDT(Time Date Table)用のPSI(Program Specific Information)パケットに含まれる。
PSIパケットは、映像のパケットや音声のパケットとは別に、ストリームデータに多重化される。このPSIパケットにより、コンテンツの各時点での再生期間が解る。
また、ストリームデータは、複数のトランスポートパケットに分割して送信される。ストリームデータの送信には、一般的にUDP/IPプロトコルが使用される。
UDP/IPプロトコルでは、TCP/IPプロトコルと異なり、喪失したパケットの再送要求をしない。
各ストリームデータの複数のトランスポートパケットは、共通のパケットIDを有する。このため、UDP/IPプロトコルによりストリームデータを受信する携帯電話機2では、一部のパケットを喪失したまま、ストリームデータを受信して再生することができる。
【0025】
サーバ装置7からインターネット6へ出力されたストリーミング信号は、インターネット6、プロトコル変換器5および携帯電話網4を通じて基地局3へ送信される。
基地局3は、ストリーミング信号を携帯電話機2に無線送信する。
これにより、ストリーミング信号は、携帯電話機2により受信される。
なお、プロトコル変換器5は、インターネット6におけるストリーミング信号を、携帯電話網4のストリーミング信号へ変換する。
【0026】
また、図1のストリーミング再生システム1において、携帯電話機2は、再生開始コマンド、再生位置指定コマンド(シークコマンド)、停止コマンド、再開コマンドを送信する。
再生開始コマンドは、コンテンツを選択するコマンドである。
再生位置指定コマンドは、再生中のコンテンツの再生開始位置を指定するコマンドである。
停止コマンドは、再生中のコンテンツの再生を停止するコマンドである。
再開コマンドは、再生停止中のコンテンツの再開を指示するコマンドである。
これらのコマンドは、基地局3、携帯電話網4、プロトコル変換器5およびインターネット6を通じてサーバ装置7へ送信される。
サーバ装置7は、受信したコマンドに応じてストリーミング信号の出力を制御する。
【0027】
たとえば再生開始コマンドを受信すると、サーバ装置7は、携帯電話機2に再生を要求されたコンテンツのストリーミング信号の送信を開始する。
再生位置指定コマンド(シークコマンド)を受信すると、サーバ装置7は、指定された再生位置からのストリーミング信号の送信を開始する。
停止コマンドを受信すると、サーバ装置7は、再生中のストリーミング信号の送信を停止する。
再開コマンドを受信すると、サーバ装置7は、再生停止中のストリーミング信号の送信を、停止した位置から開始する。
【0028】
図2は、図1の携帯電話機2の外観の斜視図である。
図2の携帯電話機2は、上部筐体101、下部筐体102およびヒンジ部103を有する。
上部筐体101および下部筐体102は、略同一サイズの長方形形状を有する。
上部筐体101と下部筐体102とは、ヒンジ部103により開閉可能に連結される。
図1は、上部筐体101と下部筐体102とを開いた状態である。
上部筐体101には、表示部13が設けられる。
下部筐体102には、操作部12が設けられる。
【0029】
図3は、図1の携帯電話機2のハードウェア構成図である。
携帯電話機2は、たとえば無線通信部(RF)11と、操作部(KEY)12と、表示部(DISP)13と、タイマ(RTC)14と、音声モデム部(MODEM)15と、デジタル放送受信部(RCV)16と、CPU(Central Processing Unit)17と、記憶部(MEM)18と、これらを接続するシステムバス19とを有する。
【0030】
無線通信部11は、基地局3との通信チャネルを確立し、基地局3と通信データを送受する。
そして、無線通信部11は、CPU17からの入力信号に含まれる通信データを基地局3へ無線送信する。
また、無線通信部11は、基地局3から受信した通信データを含む信号をCPU17へ出力する。
通信データには、ストリーミング信号のデータ、コマンドのデータなどがある。
【0031】
表示部13は、図示外のLCD(Liquid Crystal Display Device)や有機EL(Electro-Luminescence)デバイスなどを有する。
LCDまたは有機ELデバイスは、図1に示すように、携帯電話機2の前面に配置される。
そして、表示部13は、CPU17から入力された信号に含まれる表示データを表示する。
これにより、表示部13には、たとえばストリーミング信号に含まれる映像が再生される。
【0032】
音声モデム部15は、スピーカ20およびマイクロホン21に接続される。
そして、音声モデム部15は、マイクロホン21に入力された音声をサンプリングし、音声データを含む信号をCPU17へ出力する。
また、音声モデム部15は、CPU17からの入力信号に含まれる音声データによりスピーカ20を駆動する。
これにより、スピーカ20からストリーミング信号に含まれる音声が再生される。
【0033】
操作部12は、複数の操作キーを有する。
複数の操作キーには、たとえばファンクションキー、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、発信キーなどがある。
操作キーは、図1に示すように、携帯電話機2の前面に配置される。
そして、操作部12は、ユーザにより操作された操作キーに対応する信号をCPU17へ出力する。
これにより、CPU17は、操作キーに割り当てられたコマンドを選択する。
【0034】
タイマ14は、時刻および経過時間を計測する。
そして、タイマ14は、ストリーミング信号の受信開始時刻からの経過時間などを計測し、計測した経過時間の情報を含む信号をCPU17へ出力する。
【0035】
デジタル放送受信部16は、放送局設備から無線電波により送信されるデジタル放送電波を受信する。
このデジタル放送電波には、放送コンテンツのストリーミングデータが含まれる。
そして、デジタル放送受信部16は、受信した電波に含まれるストリーミングデータをCPU17へ出力する。
【0036】
記憶部18は、CPU17が読み込んで実行可能なプログラム、CPU17が使用するデータなどを有する。
記憶部18に記憶されるプログラムは、たとえばCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたものをインストールしたものであってもよい。
また、記憶部18に記憶されるプログラムは、インターネット6などの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。
【0037】
記憶部18に記憶されるデータには、後述する図4に示すように、たとえば基地局リスト31、変調方式設定データ32、基地局3とのリンク数データ33、エラーレート34、未受信期間データ35などがある。
【0038】
図4の基地局リスト31は、携帯電話機2がサーチした無線通信可能な基地局3のリストである。
基地局リスト31は、携帯電話機2が周期的にサーチすることにより更新される。
そして、基地局リスト31には、携帯電話機2がサーチした基地局3のCSIDなどが格納される。
【0039】
変調方式設定データ32は、携帯電話機2が通信する基地局3から指定された変調方式の指定データである。
携帯電話機2と基地局3との間の通信に用いられるデータの変調方式には、たとえば8PSK、16QAM、32QAM、64QAMなどがある。
8PSK、16QAM、32QAM、64QAMの順番で、1パケットで送信可能なデータ量が増える。
【0040】
基地局3とのリンク数データ33は、携帯電話機2が通信する基地局3との通信リンク数を示すデータである。
基地局3は、通信スロットに空きがある場合、その空きスロットを携帯電話機2に割り当てる。
これにより、基地局3との通信リンク数が増減する。
【0041】
エラーレート34は、無線通信部11および適応変調部41において検出した通信データのエラーレート34である。
無線通信部11がストリーミング信号を受信している場合、エラーレート34は、ストリーミング信号のエラーレート34を示すことになる。
エラーレート34は、たとえば所定期間ごとに更新される。
【0042】
未受信期間データ35は、携帯電話機2がストリーミング信号を受信することができなかった期間を示すデータである。
【0043】
図5は、図4中の未受信期間データ35の一例のデータ構造を示す図である。
図5の未受信期間データ35は、3個以上の未受信期間の開始時刻と終了時刻の情報を有する。
たとえば図5の1番目の「00分10秒」は、1回目の未受信期間の開始時刻のデータであり、2番目の「01分20秒」は、1回目の未受信期間の終了時刻のデータである。
そして、図5の未受信期間データ35には、再生中または最後に再生したストリーミング信号についての未受信期間が蓄積される。
【0044】
図3のCPU17は、プログラムを実行するコンピュータである。
そして、CPU17が、記憶部18に記憶されるプログラムを実行することで、携帯電話機2の制御部が実現される。
制御部は、携帯電話機2の動作を制御する。
【0045】
図4は、ストリーミング信号の受信再生時に図3の携帯電話機2に実現される機能を示すブロック図である。
ストリーミング信号の受信再生時には、CPU17には、適応変調部(AMD)41、通信制御部(RF_CTRL)42、再生部(PLAY)43、再生制御部(PL_CTRL)44が実現される。
【0046】
適応変調部41は、基地局3から指定された変調方式により通信データを変調または復調する。
そして、適応変調部41は、送信データを変調して無線通信部11へ出力する。
また、適応変調部41は、無線通信部11が受信した通信データを復調する。
ストリーミング信号を復調した場合、適応変調部41は、復調したストリーミング信号を再生部43へ出力する。
【0047】
通信制御部42は、携帯電話機2の無線通信部11による通信を制御する。
たとえば通信制御部42は、基地局3から変調方式または追加リンクが指定されると、それらの情報に基づいて通信制御部42および適応変調部41を制御する。
また、通信制御部42は、基地局3から受信した変調方式により、変調方式設定データ32を更新する。
通信制御部42は、基地局3から受信した追加リンクにより、リンク数データ33を更新する。
また、通信制御部42は、無線通信部11および適応変調部41における通信処理結果に基づいて、エラーレート34を更新する。
たとえば適応変調部41がエラー訂正処理を実行した場合、通信制御部42は、その訂正されたエラービット数によりエラーレート34を更新する。
【0048】
また、通信制御部42は、所定期間毎に、無線通信部11により基地局3をサーチさせる。
そして、通信制御部42は、検出した基地局3のCSIDなどにより、基地局リスト31を更新する。
また、通信制御部42は、基地局3のサーチ処理により基地局3を検出すると、当該基地局3と通信路を確立する。
たとえばストリームデータを基地局3との間で送受信する場合、通信制御部42は、UDP/IPプロトコルによる通信路を確立する。
これにより、携帯電話機2と基地局との間でストリームデータを含む電波の送受信が可能となる。
また、基地局のサーチ処理により基地局を1個も検出できなかった場合、通信制御部42は、UDP/IPプロトコルによる通信路を確立しない。
この場合、ストリームデータを含む電波を基地局3との間で送受することができない。
【0049】
再生部43は、適応変調部41から復調したストリーミング信号を再生する。
具体的には、再生部43は、ストリーミング信号から映像データ、音声データ、現在時刻データなどを抽出する。
そして、再生部43は、抽出した各データを表示部13、音声モデム部15などの再生部43へ出力する。
具体的にはたとえば、再生部43は、映像データおよび現在時刻データを表示する表示信号を生成し、表示部13へ出力する。
これにより、表示部13には、携帯電話機2が受信したストリーミング信号に含まれる映像と再生時刻とが表示される。
また、再生部43は、音声データを含む信号を生成し、音声モデム部15へ出力する。
これにより、音声モデム部15は、携帯電話機2が受信したストリーミング信号に含まれる音声を再生する。
【0050】
再生制御部44は、携帯電話機2によるストリーミング信号の再生を制御する。
たとえば再生制御部44には、操作部12から操作キーに応じた信号が入力される。
再生制御部44は、操作キーに対応するコマンドを選択し、適応変調部41へ出力する。
再生制御部44が操作キーの操作に応じて選択するコマンドには、再生開始コマンド、再生位置指定コマンド(シークコマンド)、停止コマンド、再開コマンドなどがある。
これらのコマンドは、異なるキーに対応付けられていればよい。
また、再生制御部44には、適応変調部41が再生部43へ出力するストリーミング信号が入力され、現在時刻データを抽出する。
そして、たとえばタイマ14により計測される所定の無受信期間が経過すると、再生制御部44は、最後に抽出した現在時刻データを記憶部18に保存する。
また、現在時刻データを記憶部18に保存した後に新たな現在時刻データを抽出すると、再生制御部44は、最初に抽出した現在時刻データを記憶部18に保存する。
これにより、記憶部18には、所定時間にわたってストリーミング信号を受信することができなかった期間の開始時刻と終了時刻とが蓄積保存される。また、記憶部18には、未受信期間データ35が生成される。
そして、再生制御部44は、操作部12の所定の操作キーの操作に応じて再生位置指定コマンドを送信する場合、未受信期間データ35に含まれる開始時刻をパラメータとして付加する。
【0051】
次に、図1のストリーミング再生システム1の動作を説明する。
サーバ装置7のストリーミング信号を携帯電話機2へ送信して再生する場合、一般的には、以下のように処理が実行される。
【0052】
まず、携帯電話機2の再生制御部44は、コンテンツリストの送信要求を生成し、サーバ装置7へ送信する。
コンテンツリストの送信要求は、再生制御部44から無線通信部11へ出力された後、基地局3、携帯電話網4、プロトコル変換器5、インターネット6を通じてサーバ装置7へ送信される。
コンテンツリストの送信要求を受信すると、サーバ装置7は、再生可能なコンテンツのリストを生成し、携帯電話機2へ送信する。
携帯電話機2の再生制御部44は、コンテンツリストを表示部13に表示させる。
携帯電話機2の再生制御部44は、また、操作部12の操作により、再生するコンテンツを選択する。
再生制御部44は、選択したコンテンツのストリーミング信号の再生を要求する再生開始コマンドを生成し、無線通信部11へ出力する。
再生開始コマンドは、サーバ装置7へ送信される。
【0053】
再生開始コマンドを受信したサーバ装置7は、要求されたコンテンツのストリーミング信号をインターネット6へ出力する。ストリーミング信号は、携帯電話機2の無線通信部11により受信される。
無線通信部11がストリーミング信号を受信すると、適応変調部41は、ストリーミング信号を復調し、再生部43へ出力する。
再生部43は、ストリーミング信号から映像データ、音声データなどを抽出し、これらのデータを含む信号を表示部13および音声モデム部15へ出力する。
これにより、携帯電話機2は、再生を要求したコンテンツの再生を開始する。
【0054】
また、再生部43は、携帯電話機2に順次送信されてくるストリーミング信号のパケットから映像データ、音声データなどを抽出し、これらのデータを含む信号を表示部13および音声モデム部15へ出力する。
これにより、携帯電話機2は、再生を要求したコンテンツの再生が継続される。
また、再生部43は、ストリーミング信号の送信が終了すると、映像データなどの抽出処理を終了する。
これにより、携帯電話機2は、再生を要求したコンテンツの再生を終了する。
【0055】
このようにストリーミング信号を再生している状況で、たとえば携帯電話機2が地下などに移動すると、通信環境が変化する。
通信環境に応じて、携帯電話機2が通信する基地局3が変更されたり、携帯電話機2と基地局3とのデータ通信の変調方式が変更されたり、リンク数が増減したりする。
この場合、携帯電話機2の再生制御部44は、必要に応じて再生中のストリーミング信号の再生要求を出力する。または、再生制御部44は、再生後に必要に応じてストリーミング信号の再生要求を出力する。
【0056】
図6は、図4の再生制御部44によるストリーミング信号の再送信処理の流れを示すフローチャートである。
【0057】
ステップST1において、再生部43によるストリーミング信号の再生が開始されると、再生制御部44は、再送信要求のための処理を開始する。
再生制御部44は、携帯電話機2の通信環境の変化の有無を判断する(ステップST2)。
【0058】
具体的にはたとえば、再生制御部44は、記憶部18から最新の変調方式設定データ32、リンク数データ33、エラーレート34を読み込む。
再生制御部44は、最新の変調方式設定データ32およびリンク数データ33から、現在の通信環境での単位時間当たりの通信データの受信量(スループット(bps))を算出する。
再生制御部44は、演算したスループットと、受信中のストリーミング信号の単位時間当たりの必要ストリーミング速度(bps)とを比較する。
そして、演算した通信路のスループットが必要ストリーミング速度より小さい場合、再生制御部44は、携帯電話機2の通信環境が変化したと判断する。
【0059】
また、再生制御部44は、最新のエラーレート34と所定の閾値とを比較する。
そして、最新のエラーレート34が所定の閾値より大きい場合、再生制御部44は、携帯電話機2の通信環境が変化したと判断する。
再生制御部44は、通信環境の変化が無いと判断した場合、ステップST2による携帯電話機2の通信環境の変化の有無を繰り返し判断する。
【0060】
そして、携帯電話機2の通信環境が変化した場合、再生制御部44は、受信中のストリーミング信号から最後に抽出した現在時刻データを記憶部18に保存する(ステップST3)。
これにより、図5の未受信期間データ35の1番目の開始時刻が記憶部18に蓄積される。
【0061】
最後に抽出した現在時刻データを記憶部18に保存した後、再生制御部44は、携帯電話機2の通信環境が復旧したか否かを判断する(ステップST4)。
たとえば再生制御部44は、演算した最新のスループットが必要ストリーミング速度以上であり、かつ、演算した最新の通信路のスループットが必要ストリーミング速度以上である場合、携帯電話機2の通信環境が復旧したと判断する。
これ以外の場合には、再生制御部44は、携帯電話機2の通信環境が復旧していないと判断する。この場合、再生制御部44は、ステップST4の通信環境の復旧判断を繰り返す。
【0062】
そして、携帯電話機2の通信環境が復旧した場合、再生制御部44は、受信中のストリーミング信号から最後に抽出した現在時刻データを記憶部18に保存する(ステップST5)。
これにより、図5の未受信期間データ35の2番目の終了時刻が記憶部18に蓄積される。
【0063】
復旧後の最初の現在時刻データを記憶部18に保存した後、再生制御部44は、ユーザによる操作部12の操作の有無を判断する(ステップST6)。
そして、操作部12により再度の再生処理が指示されていない場合、再生制御部44は、コンテンツの再生が終了したか否かを判断する(ステップST8)。
再生制御部44は、たとえばストリーミング信号の受信完了の有無に基づいて、コンテンツの再生の終了を判断する。
コンテンツの再生が終了していないと判断した場合、再生制御部44は、上述したステップST2からST8までの処理を繰り返す。
コンテンツの再生が終了したと判断した場合、再生制御部44は、ストリーミング信号の受信再生処理を終了する(ステップST9)。
【0064】
ステップST6の操作部12の操作に基づいて再度の再生の操作がなされたと判断すると、再生制御部44は、取りこぼした期間のストリーミング信号の再受信処理を実行する(ステップST7)。
具体的には、再生制御部44は、再生位置指定コマンドを生成し、無線通信部11へ出力する。
この場合、再生制御部44は、再生位置指定コマンドに対して、未受信期間データ35に含まれる最初の開始時刻をパラメータとして付加する。
【0065】
開始時刻が付加された再生位置指定コマンドは、サーバ装置7へ送信される。
サーバ装置7は、再生位置指定コマンドを受信すると、ストリーミング信号の出力を中断し、付加されている開始時刻からのストリーミング信号の出力を開始する。
サーバ装置7から新たに出力開始されたストリーミング信号は、携帯電話機2の無線通信部11により受信される。
適応変調部41は、この新たなストリーミング信号を復調する。
再生部43は、新たなストリーミング信号を再生する。
これにより、表示部13および音声モデム部15は、ストリーミング信号のコンテンツを開始時刻から再生する。
【0066】
再生制御部44は、この開始時刻を指定したストリーミング信号から現在時刻データを取得する。
再生制御部44は、記憶部18に記憶されている未受信期間データ35の終了時刻と現在時刻データとを比較する。
そして、ストリーミング信号から抽出した現在時刻データが未受信期間データ35の終了時刻と一致すると、再生位置指定コマンドを生成し、無線通信部11へ出力する。
この場合、再生制御部44は、再生位置指定コマンドに対して、未受信期間データ35において3番目の開始時刻をパラメータとして付加する。
その後、再生制御部44は、ストリーミング信号から抽出する現在時刻データと、未受信期間データ35の最後の終了時刻とを比較し、一致と判断するまで未受信期間毎の再生要求処理を繰り返す。
【0067】
また、現在時刻データと未受信期間データ35の最後の終了時刻とが一致すると、再生制御部44は、再受信処理を終了する。
この場合、サーバ装置7は、ストリーミング信号が終了するまで、ストリーミング信号を送信する。
【0068】
以上のように、第1実施形態のストリーミング再生システム1の携帯電話機2は、サーバ装置7が送信するストリーミング信号を再生することができる。
また、第1実施形態では、再生中にストリーミング信号の通信環境が変化した場合、ストリーミング信号の未受信期間の再送信を要求して再生する。
よって、第1実施形態では、携帯電話機2の受信状態に影響されることなく、ストリーミング信号の取りこぼしを防止できる。
これにより、第1実施形態では、携帯電話機2の通信環境が変化してたとえば動画が途切れ途切れの再生となる場合でも、その途切れた期間を再受信して取りこぼすことなく再生できる。
【0069】
また、再生制御部44は、再生中のすべての未受信期間を未受信期間データ35として記憶部18に蓄積し、操作部12により再度の再生が指示されたら、ストリーミング信号のすべての未受信期間の再生を要求する。
これにより、ユーザは、未受信期間が発生する度に、操作部12を操作する必要が無くなる。ユーザは、再生時刻指定やシーク指定などの操作を、未受信期間が発生する度に繰り返す必要がない。
また、第1実施形態では、ユーザがいつ未受信期間が発生していたかを記憶していなくとも、見逃した期間を取りこぼすことなく再生できる。
以上のように、第1実施形態では、ユーザの手入力操作を軽減することができる。
また、ユーザは、ストリーミング信号を再生している期間においても、再生環境の変化を危惧することなく移動することができる。
【0070】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態に係る携帯電話機2において、ストリーミング信号の受信再生時に実現される機能を示すブロック図である。
記憶部18には、基地局リスト31が記憶される。
再生制御部44Aは、第1実施形態と異なる判断処理により、携帯電話機2によるストリーミング信号の再生を制御する。
第2実施形態のストリーミング再生システム1についての上述した以外の箇所は、第1実施形態のものと同様であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
図8は、図7の再生制御部44Aによるストリーミング信号の再送信処理の流れを示すフローチャートである。
【0072】
再生部43によるストリーミング信号の再生が開始されると、再生制御部44Aは、再送信要求のための処理を開始する。
このストリーミング信号の再生においても、通信制御部42は、周期的に基地局3をサーチし、記憶部18の基地局リスト31のデータを最新の検出した基地局3のリストに繰り返し更新する。
【0073】
このような状況下で、再生制御部44Aは、携帯電話機2の通信環境の変化の有無を判断する。
具体的にはたとえば、再生制御部44Aは、記憶部18から最新の基地局リスト31のデータを読み込む(ステップST11)。
【0074】
再生制御部44Aは、基地局3の圏外となるか否かを判断する(ステップST12)。
具体的には、再生制御部44Aは、最新の基地局リスト31のデータでの基地局3数が1個であるか否かを判断し、1個である場合には更に前回の判断結果での基地局3数が2個以上であったか否かを判断する。
なお、ここでは判断基準として基地局が2個以上であるか否かに基づいて判断しているものの、判断基準の個数は2個に限定されない。
そして、いずれか一方の判断が不成立であった場合、再生制御部44Aは、携帯電話機2の通信環境が変化していないと判断する。
再生制御部44Aは、ステップST11の判断処理を繰り返す。
【0075】
ステップST11の2個の判断の両方が成立した場合、再生制御部44Aは、停止コマンドを生成し、無線通信部11へ出力する(ステップST13)。
停止コマンドは、無線通信部11からサーバ装置7へ送信される。停止コマンドを受信すると、サーバ装置7は、ストリーミング信号の出力を停止する。
【0076】
また、停止コマンドを送信した後、再生制御部44Aは、記憶部18から最新の基地局リスト31のデータを読み込む(ステップST14)。
再生制御部44Aは、基地局3の圏内に復帰したか否かを判断する(ステップST15)。
具体的には、再生制御部44Aは、最新の基地局リスト31のデータでの基地局3数が2個以上に戻ったか否かを判断する。
そして、基地局3数が2個以上に戻っていない場合、再生制御部44Aは、携帯電話機2の通信環境が変化したままであると判断する。
再生制御部44Aは、ステップST15の判断処理を繰り返す。
【0077】
基地局3数が2個以上に戻った場合、再生制御部44Aは、再開コマンドを生成し、無線通信部11へ出力する(ステップST16)。
再開コマンドは、無線通信部11からサーバ装置7へ送信される。
サーバ装置7は、再開コマンドを受信すると、ストリーミング信号の出力を再開する。
【0078】
再開コマンドを送信した後、再生制御部44Aは、コンテンツの再生が終了したか否かを判断する(ステップST17)。
再生制御部44Aは、たとえばストリーミング信号の受信完了の有無に基づいて、コンテンツの再生の終了を判断する。
コンテンツの再生が終了していないと判断した場合、再生制御部44Aは、上述したステップST11からST17までの処理を繰り返す。
コンテンツの再生が終了したと判断した場合、再生制御部44Aは、ストリーミング信号の受信再生処理を終了する。
【0079】
以上のように、第2実施形態のストリーミング再生システム1の携帯電話機2は、サーバ装置7が送信するストリーミング信号を再生することができる。
また、第2実施形態では、再生中にストリーミング信号の通信環境が変化した場合、ストリーミング信号の送信を停止し、復旧後に再開する。
よって、第2実施形態では、携帯電話機2の受信状態に影響されることなく、ストリーミング信号の取りこぼしを防止できる。
これにより、第2実施形態では、携帯電話機2が圏内から圏外に移動することがあったとしても、圏内に復旧した後に受信して取りこぼすことなく再生できる。
【0080】
また、再生制御部44Aは、携帯電話機2が基地局3であるうちに事前に停止コマンドを送信するので、停止コマンドを確実に送信できる。
【0081】
以上の各実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【0082】
たとえば上記実施形態では、基地局3と無線通信する無線通信部11が、ストリーミング信号を受信している。
この他にも例えば、携帯電話機2にデジタル放送受信器16を設け、デジタル放送受信器16がデジタル放送電波によりストリーミング信号を受信してもよい。
【0083】
上記実施形態では、ストリーミング信号は、サーバ装置7から送信されている。
この他にも例えば、ストリーミング信号は、放送局施設などから送信されてもよい。
また、通常受信時のストリーミング信号が放送局施設から送信され、再開時のストリーミング信号がサーバ装置7から送信されてもよい。
そして、放送局施設からのストリーミング信号のビットレートと、サーバ装置7からのストリーミング信号のビットレートとは異なっていてもよい。
また、ストリーミング信号を再受信する場合、再受信するストリーミング信号のビットレートが下がっていてもよい。
【0084】
上記実施形態では、ストリーミング信号は、映像信号および音声信号を含んでいる。
この他にも例えば、ストリーミング信号は、映像信号または音声信号を含むものであってもよい。
【0085】
上記第1実施形態では、携帯電話機2は、ストリーミング信号に含まれる経過時間を記憶部18に保存し、このストリーミング信号に含まれる経過時間を再開のために送信している。
この他にも例えば、携帯電話機2にタイマ14を設け、携帯電話機2は、このタイマ14によりストリーミング信号の受信開始からの経過時間を計測し、この計測された経過時間を再開のために送信してもよい。
【0086】
上記実施形態では、ストリーミング信号は、携帯電話機2により受信されて再生されている。
この他にも例えば、ストリーミング信号は、PHS端末、携帯ゲーム機器、AV機器、液晶表示装置、ナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ端末などの電子機器により受信されて再生されてもよい。
【0087】
また、無線通信部11は、基地局からの電波の受信感度が前記所定値以上の場合は高ビットレートの前記所定のストリーミング放送を基地局より受信し、基地局からの電波の受信感度が前記所定値より小さい場合は前記高ビットレートよりも低い低ビットレートの前記所定のストリーミング放送を受信するようにしてもよい。
つまり、無線通信部11における受信感度が悪ければ、無線通信部11は、悪い受信感度においてもストリーミング放送が滞りなく送信されるように低ビットレートにて配信を行い、ユーザに滞りのないストリーミング放送を提供することができる。
そして、無線通信部11における受信感度が良ければ、無線通信部11は、高ビットレートのストリーミング放送を行い、ユーザに高品質のストリーミング放送を提供することができる。
また、受信感度に応じてストリーミング放送のビットレートを変える際には、無線通信部11は、外部との通信におけるエラーレートと、所定のエラーレート値と、を比較することによって前記受信感度を算出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1…ストリーミング再生システム(ストリーミング報知システム)、2…携帯電話機(電子機器)、3…基地局、7…サーバ装置、11…無線通信部(受信部、送信部)、12…操作部、13…表示部(報知部)、15…音声モデム部(報知部)、18…記憶部、35…未受信期間データ、42…通信制御部(判断部)、44…再生制御部(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生開始からの経過時間の情報を含むストリーミング信号を受信する受信部と、
前記受信部により受信されたストリーミング信号を報知する報知部と、
前記ストリーミング信号について少なくとも正常受信できない期間の開始時間を記憶する記憶部と、
前記ストリーミング信号の再送を要求する送信部と、
前記ストリーミング信号の受信期間において前記受信部による前記ストリーミング信号の受信状態を判断する制御部と
を有し、
前記制御部は、
前記ストリーミング信号を正常に受信できない可能性があると判断した場合に、正常受信できない期間の開始時間として前記ストリーミング信号に含まれる経過時間を前記記憶部に記憶させ、
前記ストリーミング信号を正常に受信できる状態に復帰したと判断した場合に、前記記憶部に記憶させた開始時間を前記送信部により送信させ、正常受信できない可能性があると判断した期間のストリーミング信号を再受信して前記報知部に報知させる
電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記ストリーミング信号の受信期間において前記ストリーミング信号の受信状態を繰り返し判断して、前記ストリーミング信号の受信状態の判断に基づいて正常受信できない可能性があると判断した期間の開始時間とともに終了時間を前記記憶部に蓄積し、
前記正常受信できない可能性があると判断した各期間のストリーミング信号を再受信させる
請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、
前記再受信後のストリーミング信号に含まれる経過時間が前記記憶部に記憶させた終了時刻になると、
前記記憶部に次に記憶させた期間の開始時間を前記送信部により送信させ、正常受信できない可能性があると判断した複数の期間を順番に前記受信部に再受信させる
請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
操作部を有し、
前記制御部は、
前記操作部の操作に基づいて前記記憶部に蓄積した期間の最初の開始時刻を前記送信部に送信させる
請求項1から3のいずれか一項記載の電子機器。
【請求項5】
前記電子機器は、
基地局と通信する携帯電話機であり、
前記受信部は、
基地局によって通信速度が制御され、
前記制御部は、
前記受信部の通信速度が、前記ストリーミング信号の受信に必要となる通信速度より小さい場合に、前記ストリーミング信号を正常に受信できない可能性があると判断する
請求項1から4のいずれか一項記載の電子機器。
【請求項6】
前記電子機器は、
前記受信部により受信されるストリーミング信号のエラーレートを判断する判断部を有し、
前記制御部は、
前記エラーレートが所定の閾値より大きくなったら、前記ストリーミング信号を正常に受信できない可能性があると判断する
請求項1から5のいずれか一項記載の電子機器。
【請求項7】
ストリーミング信号を受信する受信部と、
前記受信部により受信されたストリーミング信号を報知する報知部と、
前記ストリーミング信号の停止および再開を要求する送信部と、
前記ストリーミング信号の受信期間において前記受信部による前記ストリーミング信号の受信状態を判断する制御部と
を有し、
前記制御部は、
前記ストリーミング信号を正常に受信できない可能性があると判断した場合に、前記送信部に受信中の前記ストリーミング信号の停止要求を送信させ、
前記ストリーミング信号を正常に受信できる状態に復帰したと判断した場合に、前記送信部に停止中の前記ストリーミング信号の送信再開要求を送信させる
電子機器。
【請求項8】
前記受信部は、複数の基地局を繰り返しサーチ可能で、
前記制御部は、
前記受信部によってサーチされた基地局の個数が所定値よりも減った場合、前記ストリーミング信号を正常に受信できない可能性があると判断し、
前記受信部によってサーチされた基地局が所定値以上に増えた場合、前記ストリーミング信号を正常に受信できる状態に復帰したと判断する
請求項7記載の電子機器。
【請求項9】
前記制御部は、
前記ストリーミング信号を再受信する場合に、再受信するストリーミング信号のビットレートを下げる
請求項1から8のいずれか一項記載の電子機器。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項記載の電子機器であって、
前記受信部は、基地局からの電波の受信感度が前記所定値以上の場合は高ビットレートの前記所定のストリーミング放送を受信し、基地局からの電波の受信感度が前記所定値よりも小さい場合は前記高ビットレートよりも低い低ビットレートの前記所定のストリーミング放送を受信する
電子機器。
【請求項11】
請求項10記載の電子機器であって、
前記受信部は、外部との通信におけるエラーレートと、所定のエラーレート値とを比較することによって前記受信感度を算出する
電子機器。
【請求項12】
ストリーミング信号を送信するサーバ装置と、
前記ストリーミング信号を受信する電子機器と
を有し、
前記サーバ装置は、
再生開始からの経過時間を含むストリーミング信号を送信し、
前記電子機器は、
前記ストリーミング信号を受信する受信部と、
前記受信部により受信されたストリーミング信号を報知する報知部と、
前記ストリーミング信号について少なくとも正常受信できない期間の開始時間を記憶する記憶部と、
前記ストリーミング信号の再送を要求する送信部と、
前記ストリーミング信号の受信期間において前記受信部による前記ストリーミング信号の受信状態を判断する制御部と
を有し、
前記制御部は、
前記ストリーミング信号を正常に受信できない可能性があると判断した場合に、正常受信できない期間の開始時間として前記ストリーミング信号に含まれる経過時間を前記記憶部に記憶させ、
前記ストリーミング信号を正常に受信できる状態に復帰したと判断した場合に、前記記憶部に記憶させた開始時間を前記送信部により送信させ、
前記サーバ装置が再送信した前記開始時刻からのストリーミング信号を前記報知部に報知させる
ストリーミング報知システム。
【請求項13】
ストリーミング信号を送信するサーバ装置と、
前記ストリーミング信号を受信する電子機器と
を有し、
前記電子機器は、
前記ストリーミング信号を受信する受信部と、
前記受信部により受信されたストリーミング信号を報知する報知部と、
前記ストリーミング信号の停止および再開を要求する送信部と、
前記ストリーミング信号の受信期間において前記受信部による前記ストリーミング信号の受信状態を判断する制御部と
を有し、
前記制御部は、
前記ストリーミング信号を正常に受信できない可能性があると判断した場合に、前記送信部に受信中の前記ストリーミング信号の停止要求を送信させ、
前記ストリーミング信号を正常に受信できる状態に復帰したと判断した場合に、前記送信部に停止中の前記ストリーミング信号の送信再開要求を送信させ、
前記サーバ装置が送信を再開した、送信再開要求がなされたストリーミング信号を前記報知部に報知させる
ストリーミング報知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−71938(P2011−71938A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223544(P2009−223544)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】